説明

糖類の電気化学的酸化用触媒

【課題】低い過電圧で、しかも速い反応速度で糖類を電気化学的に酸化することが可能な、糖類の電気化学的検出などの用途に有用な新規な触媒物質を提供する。
【解決手段】ロジウム、コバルト、イリジウム、マンガン又はルテニウムを金属元素として含む、金属ポルフィリン錯体及び金属フタロシアニン錯体からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属錯体を有効成分とする糖類の電気化学的酸化用触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖類の電気化学的酸化用触媒、及び該触媒の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、糖類の検出方法としては、示差屈折計、200nm以下の短波長での紫外線吸収を利用した検出器等が知られている。しかしながら、これらの検出器は感度が低く、高感度分析の用途には適さない。
【0003】
近年、糖類を電気化学的手法により高感度に検出する方法として、パルスアンペロメトリック検出器(PAD)を用いたパルスアンペロメトリーが注目されている。この方法は、金又は白金電極に、パルス状に電位を印加することにより、電極表面の洗浄・再生を行いつつ電極反応に基づく電荷移動量を検出する方法である。この方法は、比較的高感度の検出が可能であるという特徴があるものの、電極表面に糖の酸化反応中間体が吸着しやすいため、電極に対して検出電位の他、洗浄電位および再生電位の合計3電位を有するトリプルパルスを短時間にかける必要があり、操作が難しく、また、再現性にも難点がある。
【0004】
一方、作用電極として銅電極又はロジウム電極を用いて、電極反応を利用して電気化学的に銅を検出する検出する方法が提案されている(下記特許文献1及び2参照)。
【0005】
しかしながら、これらの検出方法では、使用する銅電極及びロジウム電極は、いずれも糖類の酸化反応に対して過電圧が高いために、反応速度が遅く、十分な感度で糖類を検出することができない。
【特許文献1】特開平5−149917号公報
【特許文献2】特開平5−149918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、低い過電圧で、しかも速い反応速度で糖類を電気化学的に酸化することが可能な、糖類の電気化学的検出などの用途に有用な新規な触媒物質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、特定の金属元素を含むフタロシアニン錯体又はポルフィリン錯体を触媒として用いることによって、上記した目的を達成できることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記の糖類の電気化学的酸化反応用触媒及びその用途を提供するものである。
1. ロジウム、コバルト、イリジウム、マンガン又はルテニウムを金属元素として含む、金属ポルフィリン錯体及び金属フタロシアニン錯体からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属錯体を有効成分とする糖類の電気化学的酸化用触媒。
2. 金属錯体が導電性担体に担持されたものである上記項1に記載の糖類の電気化学的酸化反応用触媒。
3. 導電性担体がカーボンブラックである上記項2に記載の触媒。
4. 上記項1〜3のいずれかに記載の触媒を検出部における作用極用触媒として含む糖類の検出器。
5. 上記項1〜3のいずれかに記載の触媒をアノード触媒として含む、糖類を燃料とす
る固体高分子形燃料電池用アノード極。
【0009】
以下、本発明の糖類の電気化学的酸化反応用触媒について具体的に説明する。
【0010】
本発明触媒
本発明の糖類の電気化学的酸化反応用触媒の有効成分は、ロジウム、コバルト、イリジウム、マンガン又はルテニウムを金属元素として含む、金属ポルフィリン錯体及び金属フタロシアニン錯体からなる群から選ばれた少なくとも一種である。
【0011】
これらの特定の金属錯体を触媒として用いることによって、低い反応過電圧で、しかも速い反応速度で糖類を電気化学的に酸化することが可能となる。
【0012】
本発明では、上記した金属元素を含むポリフィリン錯体又はフタロシアニン錯体であれば、特に限定なく使用でき、配位子の具体的な構造については特に限定的ではない。
【0013】
以下、本発明の触媒の有効成分である金属錯体について、好ましい具体例を示す。
(1)化学式:
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、R〜R12は、同一又は異なって、それぞれ、アルキル基、置換基を有することのあるアリール基、水素原子又はハロゲン原子を示し、Mは、ロジウム、コバルト、イリジウム、マンガン又はルテニウムを示す。)で表される金属ポルフィリン錯体。
【0016】
上記化学式において、Mで表される中心金属元素は、ロジウム、コバルト、イリジウム、マンガン又はルテニウムであり、特に、糖類の電気化学的酸化反応に対して高い活性を有する点でロジウムが好ましい。
【0017】
〜R12は、同一又は異なって、それぞれ、アルキル基、置換基を有することのあるフェニル基、水素原子又はハロゲン原子を示す。これらの内で、アルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチルなどの炭素数1〜5程度の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基が好ましい。また、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素などが好ましい。置換基を有することのあるアリール基としては、フェニル基;パラ-メトキシフェニル基、
パラ-メチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等の
置換基として低級アルコシキ基、低級アルキル基又はハロゲン原子を有するフェニル基;ピリジル基;1−メチルピリジル基等の置換基として低級アルキル基を有するピリジル基
等が好ましい。
【0018】
上記化学式で表されるポルフィリン錯体の代表例として、R1, R4, R7及びR10が置換基
を有することのあるフェニル基であって、R2, R3, R5, R6, R8, R9, R11及びR12が水素原子であるテトラフェニルポリフィリン錯体; R1, R4, R7及びR10が水素原子であって、R2
, R3, R5, R6, R8, R9, R11及びR12が低級アルキル基であるオクタアルキルポリフィリン錯体等を挙げることができる。
【0019】
これらの内で、テトラフェニルポリフィリン錯体の好ましい具体例としては、ロジウムテトラフェニルポルフィリン錯体を挙げることができ、オクタアルキルポリフィリン錯体の好ましい具体例としては、ロジウムオクタアルキルポリフィリンを挙げることができる。
【0020】
(2)化学式
【0021】
【化2】

【0022】
[式中、R1〜R8は、同一又は異なって、それぞれ、アルキル基、水素原子又はハロゲン原子を示し、R 〜R12は、同一又は異なって、それぞれ、−SO(式中、M
は水素原子、アルカリ金属又は−NHである)、−COOM(式中、Mは水素原子、アルカリ金属、−NH又はアルキル基である)又は−OCH−COOM(式中、Mは水素原子、アルカリ金属、−NH又はアルキル基である)を示し、Mは、ロジウム、コバルト、イリジウム、マンガン又はルテニウムを示す。]で表される金属ポルフィリン錯体。
【0023】
更に、上記化学式で表される金属ポルフィリン錯体は、メソ位が化学的に保護されているために、酸化反応などに対する安定性が高く、しかも使用するポルフィリン配位子が比較的安価であるために、ポルフィリン錯体としては低コストである。
【0024】
上記化学式において、Mで表される中心金属元素は、ロジウム、コバルト、イリジウム、マンガン又はルテニウムであり、特に、糖類の電気化学的酸化反応に対して高い活性を有する点でロジウムが好ましい。
【0025】
上記化学式において、アルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチルなどの炭素数1〜5程度の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素などが好ましい。
【0026】
−SOにおいて、Mは水素原子、アルカリ金属又は−NHである。これらの内で、アルカリ金属としては、K、Na等を例示できる。
【0027】
また、−COOMにおいて、Mは水素原子、アルカリ金属、−NH又はアルキル基である。これらの内で、アルカリ金属としては、K、Na等を例示できる。アルキル基としては、上記した基と同様の基を例示できる。
【0028】
また、−OCH−COOMにおいて、Mは水素原子、アルカリ金属、−NH又はアルキル基である。これらの内で、アルカリ金属としては、K、Na等を例示できる。アルキル基としては、上記した基と同様の基を例示できる。
【0029】
上記化学式で表される金属ポルフィリン錯体の内で、特に、低コストである点でR〜Rが全て水素原子であるロジウムポルフィリン錯体が好ましい。
【0030】
(3)化学式
【0031】
【化3】

【0032】
(式中、R〜Rは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、基:-SO3M1(式中、M1は、水素原子、アルカリ金属又は−NHである)、又は基:−R−COOM2(式中、Rは直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン
基であり、Mは水素原子、アルカリ金属又はアルキル基である)を示すか、或いは、R1とR2、R3とR4、R5とR6、R7とR8の各組み合わせの少なくとも一組は互いに結合し
て、これらの各基が結合する炭素原子と共に、置換基を有することのある芳香族環を形成してもよい。Mは、ロジウム、コバルト、イリジウム、マンガン又はルテニウムを示す。但し、R〜Rの少なくとも一つは基:−R−COOM2である)で表される金属ポルフィリン錯体。
【0033】
上記化学式において、Mで表される中心金属元素は、ロジウム、コバルト、イリジウム、マンガン又はルテニウムであり、特に、糖類の電気化学的酸化反応に対して高い活性を有する点でロジウムが好ましい。
【0034】
上記化学式において、アルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチルなどの炭素数1〜5程度の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基が好ましい。
【0035】
ヒドロキシアルキル基のアルキル基部分としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチルなどの炭素数1〜5程度の直鎖状又は分枝鎖状の低級アルキル基を例示できる。ヒドロキシ基は、該アルキル基の任意の炭素原子に置換することができる。
【0036】
アルケニル基としては、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチルアリル、2−ペンテニル、2−ヘキセニル基等の炭素数2〜6の直鎖又は分枝鎖状アルケニル基を挙げることができる。
【0037】
基:-SO3M1において、M1は水素原子、アルカリ金属又は−NHである。これらの内で、アルカリ金属としては、K、Na等を例示できる。
【0038】
基:−R−COOM2において、R9で表されるアルキレン基としては、例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、1−
メチルトリメチレン、メチルメチレン、エチルメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキレン基を例示できる。M2で表されるアルキル基とアルカリ金属は、上記したものと同様である。
【0039】
上記化学式で表される金属ポルフィリン錯体において、R〜Rの内の2個以上が基:−R−COOM2である化合物は、特に糖類の電気化学的酸化反応に対して高い活性を有するものである。
【0040】
(4)化学式
【0041】
【化4】

【0042】
(式中、R〜R16は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子又はスルホン酸基を示すか、或いは、RとR、RとR、R10とR11、R14とR15の各組み合わせの少なくとも一組は互いに結合して、これらの各基が結合する炭素原子と共に、置換基を有することのある芳香族環を形成してもよい。また、Mは、ロジウム、コバルト、イリジウム、マンガン又はルテニウムを示す。)で表される金属フタロシアニン錯体。
【0043】
上記化学式において、Mで表される中心金属元素は、ロジウム、コバルト、イリジウム、マンガン又はルテニウムであり、特に、糖類の電気化学的酸化反応に対して高い活性を有する点でロジウムが好ましい。
【0044】
上記化学式において、R〜R16は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、アル
キル基、アルコキシル基、ハロゲン原子又はスルホン酸基を示す。更に、これらの内で、RとR、RとR、R10とR11、R14とR15の各組み合わせの少なくとも一組は互いに結合して、これらの各基が結合する炭素原子と共に、置換基を有することのある芳香族環を形成してもよい。
【0045】
これらの内で、アルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチルなどの炭素数1〜5程度の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルキル基が好ましい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシル基が好ましい。また、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素などが好ましい。
【0046】
上記化学式で表される金属フタロシアニン錯体の内で、例えば、R〜R16が全て水
素原子である化合物は、糖類の電気化学的酸化反応に対して高い活性を有するものである。
【0047】
また、RとR、RとR、R10とR11、R14とR15の各組み合わせが互いに結合して、これらの各基が結合する炭素原子と共に、置換基を有することのある芳香族環を形成した化合物として、下記化学式
【0048】
【化5】

【0049】
で表される化合物を例示できる。上記化学式において、R17〜R32は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子又はスルホン酸基を示す。これらの各基の具体例は、R〜R16と同様である。
【0050】
金属錯体の製造方法
上記した金属ポルフィリン錯体及び金属フタロシアニン錯体は、例えば、目的とする錯体の配位子となる化合物と金属化合物を溶媒中に溶解し、加熱することによって製造することができる。
【0051】
例えば、ロジウム錯体については、ロジウム化合物としては、一価のロジウム金属が含まれる化合物体を用いることができる。溶媒としては、上記した配位子となる化合物とロジウム化合物を溶解できる溶媒を用いればよく、例えば、ジメチルホルムアミドなどを用いることができる。加熱温度については、例えば、使用する溶媒の還流温度とすればよい。
【0052】
担持触媒
上記した金属錯体は、導電性担体に担持させることにより、糖類の電気化学的酸化反応に対して高い触媒活性を有するものとすることができる。
【0053】
導電性担体としては、特に限定はなく、例えば、従来から固体高分子形燃料電池用の触媒担体として用いられている各種の担体を用いることができる。この様な担体の具体例としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛等の炭素質材料を挙げることができる。これらの内で、カーボンブラックは、導電性に優れ、比表面積も大きいために、導電性担体として特に好ましい物質である。
【0054】
導電性担体の形状などについては特に限定はないが、例えば、平均粒径が0.1〜100μm程度、好ましくは1〜10μm程度のものを用いることができる。また、カーボン
ブラックを用いる場合には、例えば、BET法による比表面積が100〜800m/g程度の範囲内にあるものが好ましく、200〜300 m/g程度の範囲内にあるもの
がより好ましい。この様なカーボンブラックの具体例としては、Vulcan XC-72R(Cabot社製)の商標名で市販されているものを用いることができる。
【0055】
導電性担体に担持させる方法としては、例えば、溶解乾燥法、気相法などの公知の方法を適用できる。
【0056】
例えば、溶解乾燥法では、金属錯体を有機溶媒に溶解させ、この溶液に導電性担体を加えて、例えば、数時間撹拌して、該担体に金属錯体を吸着させた後、有機溶媒を乾燥させればよい。また、有機溶媒中に金属錯体が多量に含まれる場合には、平衡に達するまで金属錯体を導電性担体に吸着させた後、濾過することによって、導電性担体に吸着していない金属錯体を除去して、該担体と相互作用している金属錯体のみを該担体の表面に残すことができる。
【0057】
この方法では、有機溶媒としては、金属錯体を溶解できるものであれば、特に限定なく使用できる。例えば、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素系炭化水素を好適に用いることができる。
【0058】
濾過によって得られた分散物を、さらに有機溶媒を用いて洗浄液が透明になるまで洗浄すれば、導電性担体との相互作用の弱い金属錯体を洗い流すことができ、導電性担体に強固に吸着している金属錯体のみを含む高活性な触媒を得ることができる。
【0059】
気相法で担持させる場合には、例えば、プラズマ蒸着法、CVD法、加熱蒸着法などを公知の方法を採用できる。
【0060】
導電性担体上に担持させる金属錯体の量については、特に限定はないが、例えば、導電性担体1gに対して、金属錯体を10μmol〜150μmol程度担持させることが好ましく、20μmol〜50μmol程度担持させることがより好ましい。
【0061】
本発明触媒の用途
上記した金属ポルフィリン錯体及び金属フタロシアニン錯体は、いずれも、糖類の電気化学的酸化反応用の触媒として、優れた活性を有するものである。
【0062】
本発明の触媒による電気化学的酸化反応の対象となる糖類については、特に限定的ではなく、単糖類、二糖類、多糖類などを例示できる。これらの内で、単糖類としては、構成炭素数4のエリトロース、トレオース、エリトルロース、構成炭素数5のリボース、アラビノース、キシロース、リキソース、リブロース、キシルロース、構成炭素数6のグルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、プシコース、タガトース、イノシトールなどが例示できる。二糖類としては、マルトース、ラクトース、セロビオース、サッカロースなどを使用することができる。多糖類としては、デンプン、グリコーゲン、イヌリン、セルロース、ペクチンなどを例示できる。これらの糖類の内で、特に、構成炭素数5又は6の単糖類、二糖類の内で還元糖などの糖類に関して、電気化学的酸化反応に対して高い活性を示す。
【0063】
本発明の触媒は、特に、アルデヒド基を有する単糖類であるリボース、アラビノース、キシロース、リキソース、グルコース、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、アルデヒド基を有する二糖類であるラクトース、マルトース等の電気化学的酸化反応に対して高い活性を示す。
【0064】
本発明の触媒を用いる電気化学的酸化反応によって、上記した糖類は、通常、対応するカルボン酸となるが、更に、カルボン酸の酸化反応が進行することもある。
【0065】
糖類の電気化学的酸化反応は、該触媒に糖類が接触した状態において、所定の電位とすることによって、選択性よく進行させることができる。例えば、糖類を含む水溶液中に、本発明の触媒を付与した電極を浸漬し、所定の電位とすることによって電気化学的酸化反応を進行させることができる。この際、使用する触媒の種類、対象とする糖類の種類等に応じて、酸化反応を進行させることが可能なpH範囲は多少異なるが、いずれの場合も、pH12以上のアルカリ性の条件下において、糖類の電気化学的酸化反応に対して、特に、高い活性を示すものとなる。この場合の具体的な電位については、使用する金属触媒の種類、糖類の種類、溶液の状態等によって異なるので一概に規定できないが、例えば、pH14程度の水溶液中で25℃で測定した電位(AgCl/KCl(飽和)電極基準)として、ロジウムポルフィリン系錯体では−0.6V〜−0.2V程度とすることが好ましく、特に−0.5V〜−0.3V程度とすることがより好ましい。ロジウムフタロシアニン系錯体では−0.1V〜0.3V程度とすることが好ましく、特に0V〜0.2V程度とすることがより好ましい。コバルト、イリジウム、マンガン、ルテニウムのポルフィリンもしくはフタロシアニン錯体では、0.2V〜0.4V程度とすることが好ましく、特に0.3V〜0.4V程度とすることがより好ましい。
【0066】
本発明の触媒は、上記した優れた特性を利用して、例えば、糖類の電気化学的センサやHPLC等の分離方法における糖類の電気化学的検出器における作用電極用触媒、糖類を燃料とする燃料電池のアノード触媒などの用途に有効に用いることができる。以下、これらの用途について簡単に説明する。
【0067】
(1)電気化学的検出器用作用極触媒
本発明の触媒を作用極用の酸化用触媒として用いることによって、電極と糖類を含む溶液との界面における電荷移動を利用して、糖類を高感度に検知することができる。特に、本発明の触媒を用いることにより、速い反応速度で糖類を電気化学的に酸化することができるので、糖類を迅速に検出することが可能となる。
【0068】
電気化学的検出器の具体的な構造については特に限定的ではないが、例えば、特開平5−149918号公報に記載されている検出器と同様の構造とすることができる。
【0069】
この検出器の概略図を図1に示す。図1において、作用電極1は電気的に不活性のフッ素系樹脂等からなる絶縁体ブロック2内に埋め込まれており、この作用電極1に対向して、例えばステンレススチール製の補助電極ブロック3が配設されている。補助電極ブロック3には、溶液のインレットチューブ4とアウトレットチューブ5が装着されており、アウトレットチューブ5は、例えば銀−塩化銀等からなる参照電極6を保持する参照電極コンポーネント7に導かれている。この様な構造の電気化学的検出器において、例えば、ナフィオン(商標名)等の導電性を有するバインダを用いて本発明の触媒を各種金属、炭素(グラッシーカーボン電極など)などの導電体上に固定することによって、糖類の測定用の作用極とすることができる。
【0070】
上記した構造の検出器は、例えば、糖類の電気化学的センサやHPLC等の分離方法における糖類の検出器として用いることができる。具体的な測定方法として、センサに印加する電位を所定の電位に保持することにより、糖類の存在量に応じて酸化電流が変化するので、この測定結果に基づいて糖類の濃度を定量することができる。
【0071】
(2)糖類を燃料とする燃料電池のアノード触媒
糖類を燃料とする燃料電池としては、例えば、カソード、アノード、および前記アノードと前記カソードの間に配置された陰イオン交換膜を構成要素として含むものを用いることができる。
【0072】
電解質膜として用いる陰イオン交換膜の種類は特に限定されないが、カソードで生成するOH-をアノードに移動させることができるものであればよく、例えば、四級アンモニウ
ム基、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、ホスホニウム基、スルホニウム基などの陰イオン交換基を有する炭化水素系樹脂(例えば、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレン、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリアリーレンエーテル等)、フッ素系樹脂などの固体高分子からなる陰イオン交換膜を用いることができる。陰イオン交換膜のイオン交換容量は、例えば、0.1〜10ミリ当量/g程度であることが好ましく、0.5〜5ミリ当量/g程度であることがより好まし
い。陰イオン交換膜の膜厚は5〜300μm程度であることが好ましく、10〜100μm程度であ
ることがより好ましい。
【0073】
アノード極に使用する電極触媒としては、上記した金属ポルフィリン錯体、金属フタロシアニン錯体、又はこれらの金属錯体を担体に担持させたものを用いる。
【0074】
上記構造の燃料電池は、陰イオン交換膜を電解質膜として用いることによって、水酸化物イオンが膜中を移動し、電解質膜はアルカリ性雰囲気となる。
【0075】
前述した通り、本発明の触媒は、アルカリ性において特に高い活性を発揮する。このため、陰イオン交換膜を電解質膜とし、糖類の水溶液を燃料とする燃料電池において、本発明の触媒をアノード触媒として用いることによって高出力の燃料電池とすることができる。
【0076】
カソードに使用する電極触媒としては、従来から電極触媒として知られている金属、金属合金、金属錯体などの各種の触媒を用いることができる。
【0077】
上記した構造の燃料電池では、通常、カソード及びアノードとなるそれぞれの電極層と電解質膜とは、従来の燃料電池と同様に接合体として用いられる。電極層と電解質膜との接合体は、公知の方法により作製できる。例えば、触媒粉末と樹脂溶液とを混合して作製した触媒インクを薄膜化させた後、電解質膜上にホットプレスする方法や直接高分子膜上に塗布・乾燥するなどの方法を適用できる。樹脂溶液としては、電解質膜と同様、イオン交換容量0.1〜10ミリ当量/g(より好ましくは0.5〜5ミリ当量/g)程度の陰イオン交換能
を有する電解質溶液が好ましいが、イオン性基を有しないポリフッ化ビニリデン、ポリビニルブチラールなどの高分子樹脂を使用しても良い。その他、吸着還元法、無電解めっき、電気めっきやスパッター、CVDなどの方法で高分子電解質膜に直接触媒を取り付けることもできる。また、ガス拡散層や集電体に直接触媒インクを塗布・乾燥する方法、あるいは前駆体となる金属錯体を含浸・還元するなどの方法によって電極を作製しても良い。
【0078】
得られた膜―電極接合体の両面をカーボンペーパーまたはカーボンクロスなどの集電材で挟んでセルに組み込むことにより、燃料電池セルを作製できる。アノード側には燃料として上述の糖類を含む溶液を供給し、カソード側には酸素または空気を供給あるいは自然拡散させればよい。
【発明の効果】
【0079】
本発明の糖類の電気化学的酸化反応用触媒は、糖類の電気化学的酸化反応に対して非常に高い活性を有する触媒である。よって、本発明の触媒を用いることによって、低い過電圧で、しかも速い反応速度で糖類を電気化学的に酸化することが可能となる。
【0080】
このため、本発明の触媒は、例えば、糖類の電気化学的センサ、分離分析における電気化学的検出器などにおける糖類検知用触媒、糖類を燃料とする燃料電池のアノード触媒などの各種の用途に有効に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0081】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0082】
製造例1
ロジウムフタロシアニンの製造
下記化学式
【0083】
【化6】

【0084】
で表される市販のフタロシアニンを30 mg採取し、100mLのジメチルホルムアミドに溶解させた。その後、この溶液にテトラカルボニルジ-μ-クロロ二ロジウム(I) ([Rh2Cl2(CO)4])を12.5 mg加え、130℃で5時間、加熱還流を行った。還流後の沈殿物をろ過によって取り除き、濾液の紫外・可視分光スペクトル(UV-visスペクトル)を測定した。図2に紫外・可視分光スペクトルの吸光度曲線を示す。
【0085】
図2において、曲線Aが原料として用いたフタロシアニンに対応し、曲線Bが目的物であるロジウムフタロシアニンに対応する分光曲線である。曲線Bのスペクトルの形状は、既に報告されているロジウムフタロシアニンのスペクトル(Keen et al., J. Inorg. Nucl. Chem. 27 (1965) 1311-1319)と一致した。これにより目的化合物の生成を確認した。目的化合物の生成はESI-MSによっても確認した。この還流後の溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した。
【0086】
実施例1
ロジウムフタロシアニン担持カーボン触媒の作製
製造例1で得たロジウムフタロシアニンをジメチルホルムアミドに0.047 mMになるように溶解させた後、この溶液90 mLにカーボンブラック(比表面積250 m/g、商標名:Vulcan XC 72R、Cabot社製)を30 mg加えた。容器を密閉した後、超音波洗浄器に1分掛けることにより分散性をよくした。
【0087】
このカーボンブラックを懸濁させたロジウムフタロシアニン溶液を、マグネティックスターラーで30分攪拌したのち、ジメチルホルムアミドをロータリーエバポレーターで除去した。その後、残ったカーボンブラックを回収してロジウムフタロシアニン担持カーボン触媒を得た。
【0088】
触媒活性の評価
上記した方法で得たロジウムフタロシアニン担持カーボン触媒5 mgを0.5 mLの混合溶媒(水:エタノール = 1 : 1)に懸濁させた後、5μLの5 % Nafion溶液 (Aldrich製)を加えた。この懸濁液を5分間超音波洗浄器に掛けることで、よく分散させた後、グラッシーカ
ーボン電極(表面積 = 0.071 cm2)の上に2μLのせて乾燥させた。
【0089】
触媒のD−グルコース酸化活性評価はエー・エル・エス製のポテンショスタット(ALS model 711B)を用いて行った。触媒を塗布したグラッシーカーボン電極を作用電極とし、白金電極を対極、Ag/AgCl/KCl(sat.)電極を参照電極として用いた。電解液としては1 M NaOHを用いた。サイクリックボルタンメトリーの測定結果を図3に示す。
【0090】
まず、D−グルコースのない条件でのロジウムフタロシアニンの電気化学的特性を調べるために、測定前に不活性ガス(窒素またはアルゴン)を電解液に10分間吹き込んだ後、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を開始した。測定中は不活性ガスを溶液の上部に連続的に吹き付けることで、酸素の混入を防ぐようにした。
【0091】
次に、ロジウムフタロシアニン担持カーボンのD−グルコース酸化触媒能を検討した。D−グルコースを10 mM加えた後、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を開始した
。図3より、−0.1V程度より正側の電位で酸化電流が流れ始めることが判る。
【0092】
次いで、グルコース濃度を0.5Mまで上昇させてサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行ったところ、酸化電流は大きく上昇し、最大電流は2.8mA(電流密度平方cmあたり39mA)を超える値となった。
【0093】
以上の結果から、ロジウムフタロシアニン担持カーボン触媒は、低い反応過電圧で高速にD−グルコースを電気化学的に酸化でき、D−グルコースの電気化学的酸化反応に対して高い活性を有することが判る。
【0094】
実施例2〜13
製造例1と同様の方法によって、下記表1に示すロジウムポルフィリン錯体又はロジウムフタロシアニン錯体を作製し、実施例1と同様の方法によってD−グルコースの電気化学的酸化反応に対する触媒活性を評価した。
【0095】
表1に糖類濃度が0.5Mの場合について、サイクリックボルタモグラム(CV)から求めた10μAになるときの電圧(mV)、-0.6Vの時の電流値(μA)、及び最大電流値(μA)を示す。尚、10μAになるときの電圧と-0.6Vの時の電流値は、いずれも過電圧に関する指標であり、10μAになるときの電圧が負である程、過電圧が小さく、-0.6Vの時の電流値が大きいほど活性が高い触媒といえる。また、最大電流値は反応速度に関する指標であり、この値が高い程、反応速度が速いといえる。
【0096】
また、実施例3及び11の触媒については、実施例1と同様の評価方法で求めたサイクリックボルタンメトリーの測定結果を図4及び図5に示す。
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】

【0099】
【表3】

【0100】
実施例14〜18
実施例11で得たロジウムジューテロポルフィリンIX, 2,4-ジスルホン酸担持カーボン触媒について、D−フルクトース、サッカロース、D−ラクトース、D−キシロース、及びD−ガラクトースの各糖類に関して、糖類濃度が0.5Mの場合の電気化学的酸化反応に対する触媒活性を実施例1と同様の方法で評価した。また、D-ガラクトースの電気化学的酸化反応については、実施例1と同様の評価方法で求めたサイクリックボルタンメトリーの測定結果を図6に示す。
【0101】
表4に、各糖類の溶液について、10μAになるときの電圧(mV)、-0.6Vの時の電流値(μA)、及び最大電流値(μA)を示す。
【0102】
【表4】

【0103】
実施例19〜20
実施例4で作製したロジウムテトラフェニルポルフィリンを担持したカーボン触媒について、D−ラクトース及びD−ガラクトースの各糖類に関して、糖類濃度が0.5Mの場合の電気化学的酸化反応に対する触媒活性を実施例1と同様の方法で評価した。
【0104】
表5に、各糖類の溶液について、10μAになるときの電圧(mV)、-0.6Vの時の電流値(μA)、及び最大電流値(μA)を示す。
【0105】
【表5】

【0106】
実施例21〜25
製造例1と同様の方法によって、下記表1に示す金属ポルフィリン錯体又は金属フタロシアニン錯体を作製し、糖類濃度が0.5Mの場合について、実施例1と同様の方法によってD−グルコースの電気化学的酸化反応に対する触媒活性を評価した。
【0107】
表6に10μAになるときの電圧(mV)、及び0.399Vの時の電流値(μA)を示す。
【0108】
【表6】

【0109】
実施例26
実施例11で作製したロジウムフタロシアニンを担持したカーボン触媒を、実施例1と
同様の手法によりグラッシーカーボン電極に固定化した。この電極を150℃で一時間乾燥させた。この操作により、電流は減少するもののノイズを減少させることができる。
【0110】
この電極をグルコースセンシングの作用電極として用い、白金触媒を対極、Ag/AgCl/KCl(sat.)電極を参照電極として、以下の方法でグルコース濃度を連続的に変化させて電流
値の測定を行った。
【0111】
まず、グルコースを含まない1M NaOH溶液に、上記の作用電極を浸し、測定前に不活性
ガス(窒素)を電解液に10分間吹き込み、溶液中の酸素をパージした。ビー・エー・エス社製の回転電極装置により電極を3600 rpmで回転させて、Ag/AgCl/KCl(sat.)電極に対して0.1Vの電圧を印加して、電流値の測定を開始した。測定中は不活性ガス(窒素)を溶液に連続的に吹き込むことで、酸素の混入を防ぐようにした。
【0112】
電流値が安定した後、この溶液に対してグルコースを段階的に添加して、グルコース濃度を250秒後に0.01mM、370秒後に0.05 mM、450秒後に0.099 mM、540秒後に0.197 mM、630秒後に0.492 mM、730秒後に0.98 mMとして、電流値を測定した。
【0113】
図7は、測定開始後の経過時間と電流値との関係を示すグラフである。図中の濃度は、その時点でのグルコースの合計濃度を示す。また、図8はグルコース濃度とグルコース添
加後40秒後の電流値との関係を示すグラフである。
【0114】
図8から明らかなようにロジウムフタロシアニン担持カーボン触媒を固定化したグラッ
シーカーボン電極に一定の電圧を印加することによって、グルコース濃度に対して線形の応答を示すことがわかる。よって、ロジウムフタロシアニン担持カーボンを用いた電極は、簡単な構造であって、グルコース濃度に対して良好な応答性を示すものであり、グルコースのセンシングにとって有用であることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明触媒を用いる電気化学的検出器の概略図。
【図2】製造例1で得たロジウムフタロシアニンの紫外・可視分光スペクトル。
【図3】実施例1で作製したロジウムフタロシアニン担持カーボンについて、D−グルコース溶液中でのサイクリックボルタンメトリーの測定結果を示すグラフ。
【図4】実施例3で作製したロジウムオクタエチルポルフィリン担持カーボンについて、D−グルコース溶液中でのサイクリックボルタンメトリーの測定結果を示すグラフ。
【図5】実施例11で作製したロジウムジューテロポルフィリンIX, 2,4-ジスルホン酸担持カーボンについて、D−グルコース溶液中でのサイクリックボルタンメトリーの測定結果を示すグラフ。
【図6】実施例11で作製したロジウムジューテロポルフィリンIX, 2,4-ジスルホン酸担持カーボンについて、D−ガラクトース溶液中でのサイクリックボルタンメトリーの測定結果を示すグラフ。
【図7】実施例26で測定した測定開始後の経過時間と電流との関係を示すグラフ。
【図8】実施例26で測定したグルコース濃度と電流値との関係を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジウム、コバルト、イリジウム、マンガン又はルテニウムを金属元素として含む、金属ポルフィリン錯体及び金属フタロシアニン錯体からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属錯体を有効成分とする糖類の電気化学的酸化用触媒。
【請求項2】
金属錯体が導電性担体に担持されたものである請求項1に記載の糖類の電気化学的酸化反応用触媒。
【請求項3】
導電性担体がカーボンブラックである請求項2に記載の触媒。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の触媒を検出部における作用極用触媒として含む糖類の検出器。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の触媒をアノード触媒として含む、糖類を燃料とする固体高分子形燃料電池用アノード極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−5493(P2010−5493A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164227(P2008−164227)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】