説明

糸半田自動供給方法並びに糸半田自動供給装置

【課題】 微小領域での微量半田付けをための細い糸半田の自動半田付けを高精度にする行うことが求められる、そのための糸半田供給方法とその装置。
【解決手段】 糸半田送り込みの途中で糸半田を切断させないことと、送り込み精度を上げるために糸半田のたるみをとる適度な張力を与える自動巻き出し装置3を、可撓性チューブ9で送り込み機構10につなぎ、送り込み機構10を半田付け場所へ近づける移動機構13を取り付け、糸半田を逆進させないことにした、さらに送り出し機構10に半田飛散防止機能を待たせたときは、該機能の切り込み深さ調整や多種の細い糸半田径が出来る、弾性体リング17でピンチローラを構成する構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸半田供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
糸半田供給装置をロボット等と組み合わせて自動半田付けを行う時、糸半田リールは該糸半田供給装置と一体化されており、糸半田を送り込むためのピンチローラには糸半田を定量送りする機能の他、リールから糸半田を巻きだす機能を合わせもつ、そのため糸半田には定量送りをするための接触力とリールから巻きだすための巻きだし力が加えられる、またピンチローラから送り出された糸半田をピンチローラ出口側より、半田付け場所へ導くためのガイドに可撓性のチューブ内を通して行うことが多い。
さらに半田付け終了時に半田付け場所から糸半田先端部を切り離す為にピンチローラを逆転し、糸半田を逆進させる場合がある。
参考文献として、特願平11−332310。意匠登録第1277887号。
特願2006−3143351。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
細い径の糸半田を使用してレーザ半田付け機などで、微小領域への微量の糸半田送りを高精度に行う時、糸半田送り込み装置のピンチローラから半田付け場所までの距離が離れていると、糸半田ガイド部で糸半田自身のたわみ等により送り量のばらつきや、応答性のばらつきが発生し、糸半田の微量半田付けに安定度を欠き不具合の頻度が高まる、また自動半田付けの場合、半田供給終了時等に半田付け場所から、糸半田溶融先端をすばやく切り離すために、糸半田を送り方向と逆向きに戻すとき、糸半田は材質としては柔らかい金属であり、細い糸半田にあっては逆進させると、ピンチローラの送り力での変形もあり、ピンチローラ部でのすべりや、送り込み途中での腰折れも発生しやすい、そのため次サイクルの送り込みの微量送りに安定さを欠くと同時に糸半田の切断もまねく。
さらにはリールからの巻きだしをピンチローラによる引っ張り力で糸半田を巻きだす時、リールの巻きだし抵抗で糸半田が細いため、切断することもある。
特に半田飛散防止機能を持つ送り込み機構においては糸半田に溝入れ加工されたことにより、たわみ、すべり、腰折れが顕著となる。半田飛散防止機能を持った送り込み機構を自動半田付けに使用するとき、糸半田溝入れ加工のための円形カッター刃がピンチローラの片側を担い、糸半田のガイド溝ローラが他方を受け持っており、両ローラの駆動力を得る為に片側のローラをモータ等の動力で駆動し、その動力側ローラと他ローラはギア等を介して動力伝達を行う。ギア等ではバックラッシュの発生があり送り量のばらつき発生や微量送りが困難、またピンチローラ芯間距離、刃の径、溝車の径、ギアのピッチ径は糸半田の径や半田の種類で固定化されるため、適切な溝入れ深さを選択する時、多種の半田径対応や切り込み深さの調整が不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、微量半田付けを目的として、切れやすい細い糸半田を使用するとき、糸半田送り込み装置として使用するピンチローラには糸半田送りのため接触力と糸半田リールとピンチローラ間のたわみを低減する適切な張力以外の外力を糸半田に与えない為の手段として、ピンチローラの入り口側と糸半田を通すための可撓性チューブで、自動巻きだし装置のダンサローラ出口側と接続する。
【0005】
更に、糸半田をピンチローラで所要の量をピンチローラ出口に設けられた出口ノズルを介して供給する、ピンチローラと出口ノズルを小型化することによって半田付け場所に送り込み機構を近接させ得る、このときピンチローラ等の送り込み機構そのものを移動機構で移動する。糸半田供給は所要供給量を出口ノズルから出したまま該移動機構で糸半田溶融動作、あるいは該移動機構の移動後に送り込み動作、該移動機構の動作中の送り込み動作等の複合半田付け動作が可能、糸半田を逆進させるためにはピンチローラを反転させないで、移動機構で糸半田の溶融先端部を半田付け場所から分離させる。
【0006】
半田飛散防止機能を持つ送り込み機構にあっては、ピンチローラの片側に弾性体リングを取り付け、該リングのたわみを利用した摩擦力で伝達力を得て尚かつ、他方のピンチローラに偏芯機構等を設けて、ピンチローラ芯間距離を調整すれば、該リングで切り込み深さの調整と多種糸半田径等への対応ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1図は本発明の実施例構成図を示す。1はレーザ発振機よりの光軸を表し、2の半田付け対象体への熱供給を行っている、3は7の半田リールから8の糸半田を巻きだす巻きだし装置を示し、5,6のダンサローラ検出器による上下限制御によりリールが巻きだし方向に回転し、4のダンサローラが揺動して8の糸半田にたるみ防止の張力を加えながら、糸半田送り込み機構である12のモータで駆動される10の伝達ピンチローラへ、糸半田が9のガイドチューブを通して供給され、ピンチローラ出口部の11の出口ノズルを介して、所要の糸半田が送り出される。13は該送り込み機構を移動させる移動機構であり、14のモータで15の送りネジを回転し駆動する。
第2図は10の送り込み機構が半田付け場所へ移動したことを示し、X2は第1図のX1の距離が移動により変化したことを表しX2−X1=移動量となる。
第3図は半田送り込み機構に半田飛散防止機能を持った10の伝達ピンチローラが糸半田溝入れカッター刃であることを示し、16の被伝達ピンチローラが糸半田のガイド溝車であることを示す。
第4図は8の糸半田断面のフラックス部に10のピンチローラが溝入れカッター刃として糸半田を溝入れ加工を施し、16の他方のピンチローラが糸半田溝入れ加工のためのガイド溝車を兼ねていることを示す。
18の偏芯軸で10のカッター刃と16の溝車の芯間距離を19のレバーを使用して変更できることを表し、また17の弾性体リングが10のピンチローラの回転駆動力を16の他方のピンチローラに駆動力を伝えることと弾性体リングである為その変形で芯間距離の変更に対応できることを表す。
第5図は8の糸半田断面内の20のフラックス部が10のピンチローラ兼糸半田溝入れカッター刃によって開腹加工されていることを示す。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、微量半田付けに使用される細い径の糸半田を高精度に安定して自動半田付けの糸半田供給装置として実現できる、また半田飛散防止機能を持った糸半田供給装置にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動半田付け装置の構成におけるレーザ発振機とリール巻きだし装置と送り込み機構と移動機構の正面図である。
【図2】 第1図の構成における送り込み機構が移動した正面図である。
【図3】 送り込み機構であるピンチローラとその入り口側、出口側の平面図である。
【図4】 カッター刃と弾性体リングの側面図と溝車の断面図である
【図5】 糸半田とカッター刃の断面図である。
【符号の説明】
1 レーザ発振機
2 半田付け対象体
3 巻きだし装置
4 ダンサローラ
5 上限検出器
6 下限検出器
7 糸半田リール
8 糸半田
9 ガイドチューブ
10 伝達ピンチローラ
11 出口ノズル
12 送り出しモータ
13 移動機構
14 移動駆動モータ
15 送りネジ
16 被伝達ピンチローラ
17 弾性体リング
18 偏芯軸
19 レバー
20 フラックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸半田リール等に巻かれた糸半田を自動で半田付けを行う時、糸半田リールから巻きだされた糸半田をピンチローラ等の送り込み機構に可撓性のチューブ等の内部を通して導き、該送り込み機構を半田付け場所へ移動して、ピンチローラ等で送り出された糸半田を最適な半田付けが出来るための所要の量送り込み速度、送り込み回数、またそれらの精度等の半田付け条件を満たす方法。
【請求項2】
請求項1を実現する為の自動巻きだし装置と巻き出された糸半田を糸半田送り込み機構に導く可撓性のガイドが組み合わされた、該糸半田の送り込み機構を半田付け場所へ移動できる糸半田自動供給装置
【請求項3】
請求項2の糸自動半田供給装置にあって、半田飛散防止機能を持った送り込み機構を採用した時、ピンチローラの駆動伝達に弾性体リング使用した装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−142769(P2008−142769A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−357178(P2006−357178)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(399128242)
【Fターム(参考)】