説明

糸巻取機

【課題】エネルギー効率に優れ、糸継装置による糸継作業が円滑であるとともに、綾振糸ガイドの破損を防止可能な糸巻取機を提供する。
【解決手段】自動ワインダのワインダユニット10は、給糸部24と、パッケージ駆動モータ41と、トラバースガイド11と、トラバースガイド駆動モータ45と、トラバース制御部46と、を備える。パッケージ駆動モータ41は巻取ボビン22を回転させ、給糸ボビン21からの糸20を巻き取る。トラバースガイド11は、給糸部24と巻取ボビン22との間に設けられ、巻取ボビン22への糸20の巻取の際に当該糸20を綾振りする。トラバースガイド駆動モータ45は、前記トラバースガイド11を電磁力によって往復駆動する。トラバース制御部46は、例えば異常の発生により糸20の巻取が停止したときは、トラバースガイド駆動モータ45の励磁を巻取が再開されるまでオフするように、励磁制御部63によって制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸を綾振糸ガイドで綾振りしながら巻取ボビンに巻き取る糸巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の糸巻取機は、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1の自動ワインダは、揺動アームの先端に糸と係合して巻取ボビンの回転軸方向に往復運動するトラバースガイドを有するトラバース装置を採用した構成となっている。また、この自動ワインダは、給糸部の糸始端部と巻取ボビンに形成された糸層の糸終端部とを繋ぐための糸継装置と、給糸部の糸始端部を捕捉して糸継装置に導くための下糸捕捉案内手段と、糸層の糸終端部を捕捉して糸継装置に導くための上糸捕捉案内手段と、を備えている。
【0003】
特許文献1の自動ワインダが備えるトラバース装置において、前記トラバースガイドはアーム部材又はタイミングベルトに取り付けられており、トラバース駆動モータによって往復駆動される構成となっている。そしてトラバースガイドは、前記糸継装置による糸継作業時に、トラバースストロークの中央を避けた位置、例えばトラバースストロークの最端部で停止するように制御される。
【0004】
特許文献1は、上記の構成とすることにより、いわゆる綾振ドラム式のトラバース装置と比較して糸の多様な巻取が可能になるとともに、糸継装置による円滑な糸継作業を実現し、トラバースガイドの破損を回避できるとする。
【特許文献1】特開2007−153554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1では、糸継作業時に、トラバースガイドがトラバースストロークの最端部で保持されるように制御する構成となっている。従って、糸継作業のために上糸捕捉案内手段によって糸が捕捉されて糸継装置へ案内される際に、糸がトラバースガイドに係合していると、糸を介して当該トラバースガイドに過剰な引張力が加わり、トラバースガイドが破損するおそれがあった。また、上糸捕捉案内手段が糸を糸継装置へ案内するときに当該糸がトラバースガイドと強く擦れて切れるおそれがあり、糸継作業に失敗して生産効率を低下させる原因となっていた。
【0006】
また特許文献1では、巻取作業を行っていない糸継作業時において、トラバースガイドをトラバースストロークの最端部で保持するためにエネルギーを消費する構成となっている。このため、トラバース駆動モータの消費電力が増大し、エネルギー効率が低下してランニングコストを増大させてしまっていた。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、糸継装置による円滑な糸継作業を実現し、綾振糸ガイドの破損を回避できるとともに、エネルギー効率に優れた糸巻取機を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の糸巻取機が提供される。即ち、この糸巻取機は、機台と、前記機台に並設された複数の糸巻取ユニットと、を備える。それぞれの前記糸巻取ユニットは、給糸部と、巻取ボビン駆動部と、綾振糸ガイドと、綾振糸ガイド駆動部と、制御部と、を備える。前記巻取ボビン駆動部は、前記給糸部からの糸が巻き取られる巻取ボビンを回転駆動する。前記綾振糸ガイドは、前記給糸部と前記巻取ボビンとの間に設けられ、前記巻取ボビンへの糸の巻取の際に当該糸と係合して糸を綾振りする。前記綾振糸ガイド駆動部は、前記綾振糸ガイドを電磁力によって往復駆動する。前記制御部は、前記機台の電源が投入されてから糸の巻取が開始されるまでの少なくとも一部の時間において、前記綾振糸ガイド駆動部の励磁をオフするように前記綾振糸ガイド駆動部を制御する。
【0010】
この構成により、綾振糸ガイド駆動部の励磁が不要である電源投入直後の時間において励磁を積極的にオフにすることで、糸巻取機全体のエネルギー効率を向上させることができる。
【0011】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の糸巻取機が提供される。即ち、この糸巻取機は、給糸部と、巻取ボビン駆動部と、綾振糸ガイドと、綾振糸ガイド駆動部と、制御部と、を備える。前記巻取ボビン駆動部は、前記給糸部からの糸が巻き取られる巻取ボビンを回転駆動する。前記綾振糸ガイドは、前記給糸部と前記巻取ボビンとの間に設けられ、前記巻取ボビンへの糸の巻取の際に当該糸と係合して糸を綾振りする。前記綾振糸ガイド駆動部は、前記綾振糸ガイドを電磁力によって往復駆動する。前記制御部は、異常の発生により糸の巻取が停止したときは、前記綾振糸ガイド駆動部の励磁を糸の巻取が再開されるまでオフするように前記綾振糸ガイド駆動部を制御する。
【0012】
この構成により、綾振糸ガイド駆動部の励磁が不要である異常停止時において励磁を積極的にオフにすることで、糸巻取機全体のエネルギー効率を向上させることができる。
【0013】
本発明の第3の観点によれば、以下の構成の糸巻取機が提供される。即ち、この糸巻取機は、給糸部と、巻取ボビン駆動部と、綾振糸ガイドと、綾振糸ガイド駆動部と、強制停止スイッチと、制御部と、を備える。前記巻取ボビン駆動部は、前記給糸部からの糸が巻き取られる巻取ボビンを回転駆動する。前記綾振糸ガイドは、前記給糸部と前記巻取ボビンとの間に設けられ、前記巻取ボビンへの糸の巻取の際に当該糸と係合して糸を綾振りする。前記綾振糸ガイド駆動部は、前記綾振糸ガイドを電磁力によって往復駆動する。前記強制停止スイッチは、操作されることにより糸の巻取を強制的に停止することが可能に構成されている。前記制御部は、前記強制停止スイッチによって糸の巻取が停止されているときに、前記綾振糸ガイド駆動部の励磁をオフするように前記綾振糸ガイド駆動部を制御する。
【0014】
この構成により、綾振糸ガイド駆動部の励磁が不要である強制停止時において励磁を積極的にオフにすることで、糸巻取機全体のエネルギー効率を向上させることができる。
【0015】
本発明の第4の観点によれば、以下の構成の糸巻取機が提供される。即ち、この糸巻取機は、給糸部と、巻取ボビン駆動部と、綾振糸ガイドと、綾振糸ガイド駆動部と、検出部と、制御部と、を備える。前記巻取ボビン駆動部は、前記給糸部からの糸が巻き取られる巻取ボビンを回転駆動する。前記綾振糸ガイドは、前記給糸部と前記巻取ボビンとの間に設けられ、前記巻取ボビンへの糸の巻取の際に当該糸と係合して糸を綾振りする。前記綾振糸ガイド駆動部は、前記綾振糸ガイドを電磁力によって往復駆動する。前記検出部は、糸の走行を検出可能に構成されている。前記制御部は、前記検出部が糸の走行を検出していないときに、前記綾振糸ガイド駆動部の励磁をオフするように前記綾振糸ガイド駆動部を制御する。
【0016】
この構成により、綾振糸ガイド駆動部の励磁が不要である巻取停止状態を検出部により検出して、当該綾振糸ガイド駆動部の励磁を自動的にオフにすることで、糸巻取機全体のエネルギー効率を向上させることができる。
【0017】
前記の糸巻取機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この糸巻取機は糸継装置を更に備える。この糸継装置は、前記給糸部側の糸端と、前記巻取ボビンに糸が巻き取られて形成された糸層の糸端とを糸継ぎする。前記制御部は、前記糸継装置の糸継動作終了後に、前記綾振糸ガイド駆動部の励磁をオンするように前記綾振糸ガイド駆動部を制御する。
【0018】
この構成により、糸継装置の糸継動作中は綾振糸ガイド駆動部の励磁がオフになっているため、綾振糸ガイドに係合している糸が糸継装置側へ引っ張られたとしても、綾振糸ガイドはそれに追従して移動することができる。従って、糸が強く擦れて切れてしまい糸継ミスの原因となることを防止できるとともに、綾振糸ガイドの過負荷による破損を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、図面を参照しながら発明の実施の形態を説明する。図1は本実施形態に係る自動ワインダが備えるワインダユニット10の概略的な構成を示した模式図及びブロック図である。
【0020】
図1に示すワインダユニット(糸巻取ユニット)10は、給糸ボビン21から解舒される糸20をトラバースさせながら巻取ボビン22に巻き付けて、所定長で所定形状のパッケージ30とするものである。なお、本実施形態のワインダユニット10は、図1に示すチーズ形状のパッケージ以外にも、コーン形状やテーパ形状等、各種の形状のパッケージを形成することができる。
【0021】
本実施形態の自動ワインダ(糸巻取機)は、機台と、この機台上に並べて配置された複数のワインダユニット10と、を備えている。また、前記自動ワインダは、前記機台においてワインダユニット10が並べられた方向の一端に配置される図略の機台制御装置と、ワインダユニット10が並べられた方向の他端に配置される図略のブロアボックスと、を備えている。前記機台の適宜の位置には機台電源スイッチ81が設けられ、機台の電源をオンオフできるように構成されている。
【0022】
それぞれのワインダユニット10は、巻取ユニット本体16と、ユニット制御部50と、を備えている。
【0023】
ユニット制御部50は、例えば、CPUと、RAMと、ROMと、I/Oポートと、を備えて構成されている。前記ROMには、巻取ユニット本体16の各構成を制御するためのプログラムが記録されている。
【0024】
前記I/Oポートには、当該巻取ユニット本体16が備える各構成(後述)が接続されており、制御情報を相互に通信できるように構成されている。また、それぞれのワインダユニット10はユニットスイッチ(強制停止スイッチ)71を備えており、このユニットスイッチ71をオペレータが操作することで、巻取を強制停止できるように構成されている。このユニットスイッチ71はユニット制御部50に電気的に接続されており、強制停止信号をユニット制御部50に送信できるように構成されている。
【0025】
前記巻取ユニット本体16は、給糸部24と接触ローラ29との間の糸走行経路中に、給糸ボビン21側から順に、バルーンコントローラ12と、テンション付与装置13と、スプライサ装置(糸継装置)14と、クリアラ15と、を配置した構成となっている。
【0026】
巻取ユニット本体16の下部には、巻取ボビン22側へ糸を供給するための給糸部24が備えられている。この給糸部24は、図略のボビン搬送システムによって搬送されてきた給糸ボビン21を所定の位置に保持できるように構成されている。なお、給糸ボビン21を前記ボビン搬送システムによって供給する構成に代えて、巻取ユニット本体16に設けられたマガジン式供給システムから給糸ボビン21を供給する構成とすることもできる。
【0027】
バルーンコントローラ12は上下動可能な規制部材40を備え、この規制部材40は、前記給糸部24にセットされた給糸ボビン21の芯管に被さることが可能に構成されている。このバルーンコントローラ12は、給糸ボビン21からの糸の解舒と連動して前記規制部材40を下降させることにより、給糸ボビン21からの糸の解舒を補助するものである。規制部材40は、給糸ボビン21から解舒された糸の回転と遠心力によって給糸ボビン21上部に形成されたバルーンに対して接触し、当該バルーンに適切なテンションを付与することによって糸の解舒を補助する。規制部材40の近傍には前記給糸ボビン21のチェース部を検出するための図略のセンサが備えられており、このセンサがチェース部の下降を検出すると、それに追従して前記規制部材40を例えばエアシリンダ(図略)によって下降させることができる。
【0028】
テンション付与装置13は、走行する糸20に所定のテンションを付与するものである。テンション付与装置13としては、例えば、固定の櫛歯36に対して可動の櫛歯37を配置するゲート式のものを用いることができる。可動側の櫛歯37は、櫛歯同士が噛合せ状態又は解放状態になるように、例えばロータリ式に構成されたソレノイド38により回動することができる。このテンション付与装置13によって、巻き取られる糸20に一定のテンションを付与し、パッケージ30の品質を高めることができる。なお、テンション付与装置13には、上記ゲート式のもの以外にも、例えばディスク式のものを採用することができる。
【0029】
スプライサ装置14は、クリアラ15が糸欠点を検出して行う糸切断時、又は給糸ボビン21からの解舒中の糸切れ時等に、給糸ボビン21側の下糸と、パッケージ30側の上糸とを糸継ぎするものである。このような上糸と下糸とを糸継ぎする糸継装置としては、機械式のものや、圧縮空気等の流体を用いるもの等を使用することができる。
【0030】
クリアラ15は、糸20の太さを検出するための図略のセンサが配置されたクリアラヘッド49と、このセンサからの糸太さ信号を処理するアナライザ52と、を備えている。クリアラ15は、前記センサからの糸太さ信号を監視することにより、スラブ等の糸欠陥を検出するように構成されている。なお、前記クリアラ15は、糸20の走行速度を検知するセンサ、及び、単に糸20の有無を検知するセンサとしても機能させることができる。前記クリアラヘッド49の近傍には、前記クリアラ15が糸欠点を検出したときに直ちに糸20を切断するためのカッタ39が設けられている。
【0031】
前記スプライサ装置14の下側及び上側には、給糸ボビン21側の下糸を捕捉してスプライサ装置14に案内する下糸案内パイプ25と、パッケージ30側の上糸を捕捉してスプライサ装置14に案内する上糸案内パイプ26と、が設けられている。また、下糸案内パイプ25と上糸案内パイプ26は、それぞれ軸33,35を中心にして回動可能に構成されている。下糸案内パイプ25の先端には吸引口32が形成され、上糸案内パイプ26の先端にはサクションマウス34が備えられている。下糸案内パイプ25及び上糸案内パイプ26には前記ブロアボックスが適宜の配管を介して接続されており、前記吸引口32及びサクションマウス34に吸引流を発生させて、上糸及び下糸の糸端を吸引捕捉できるように構成されている。
【0032】
前記巻取ユニット本体16は、巻取ボビン(紙管、芯管)22を着脱可能に支持するクレードル23と、糸20をトラバースさせるためのアーム式のトラバース装置27と、巻取ボビン22の周面又はパッケージ30の周面に接触して従動回転可能な接触ローラ29と、を備えている。
【0033】
前記クレードル23は回動軸48を中心に回動可能に構成されており、巻取ボビン22への糸20の巻取に伴う糸層径の増大を、クレードル23が回動することによって吸収できるように構成されている。
【0034】
前記クレードル23の巻取ボビン22を挟持する部分にはパッケージ駆動モータ41が取り付けられており、このパッケージ駆動モータ41によって巻取ボビン22を回転駆動して糸20を巻き取るように構成されている。パッケージ駆動モータ41のモータ軸は、巻取ボビン22をクレードル23に支持させたときに、当該巻取ボビン22と相対回転不能に連結されるようになっている(いわゆるダイレクトドライブ方式)。このパッケージ駆動モータ41の動作はパッケージ駆動制御部42により制御され、このパッケージ駆動制御部42はユニット制御部50からの運転信号を受けて前記パッケージ駆動モータ41の運転/停止を制御するように構成している。
【0035】
また、前記クレードル23にはパッケージ回転センサ43が取り付けられており、このパッケージ回転センサ43は、クレードル23に取り付けられた巻取ボビン22の回転(巻取ボビン22に形成された糸層31の回転)を検出するように構成している。この巻取ボビン22の回転検出信号は、パッケージ回転センサ43から、前記パッケージ駆動制御部42や前記ユニット制御部50へ送信される。更に、前記回転検出信号は、後述するトラバース制御部(制御部)46に入力される。
【0036】
また、前記回動軸48には、クレードル23の角度(回動角)を検知するための角度センサ44が取り付けられている。この角度センサ44は例えばロータリエンコーダからなり、クレードル23の角度に応じた角度信号をユニット制御部50に対して送信するように構成されている。クレードル23はパッケージ30が巻き太るに従って角度が変化するので、クレードル23の回動角を前記角度センサ44によって検出することにより、パッケージ30の糸層の径を検知することができる。これにより、トラバース装置27をパッケージ糸層径に応じて制御することで、糸の綾振りを適切に行うことができる。また、前記角度センサ44で取得された信号はユニット制御部50へ送信され、ユニット制御部50は当該受信した信号に基づいて糸層31の径を計算する。計算された糸層31の径は、ユニット制御部50からパッケージ駆動制御部42へ送信される。
【0037】
前記トラバース装置27は、支軸のまわりに旋回可能に構成した細長状のアーム部材28と、このアーム部材28の先端に形成されたフック状のトラバースガイド(綾振糸ガイド)11と、アーム部材28を駆動するトラバースガイド駆動モータ(綾振糸ガイド駆動部)45と、を備える。前記トラバースガイド駆動モータ45はサーボモータにより構成されており、アーム部材28を図1の矢印のように往復旋回運動させることにより、糸20の綾振りを行う構成になっている。
【0038】
このトラバースガイド駆動モータ45の作動はトラバース制御部46により制御され、このトラバース制御部46は、ユニット制御部50からの信号を受けてトラバースガイド駆動モータ45の運転/停止を制御するように構成している。
【0039】
また、トラバース装置27にはロータリエンコーダからなるトラバースガイド位置センサ47が備えられており、アーム部材28の旋回位置(ひいては、トラバースガイド11の位置)を検出して、位置信号をトラバース制御部46へ送信できるように構成されている。
【0040】
本実施形態において、前記トラバースガイド11は低摩擦性に優れたセラミックを材料として構成されており、これによって糸20をスムーズに綾振りできるとともに、パッケージ30の品質を向上させることができる。ただし、セラミック製のトラバースガイド11は衝撃に弱いので、強い負荷が当該トラバースガイド11に瞬間的に加わらないように留意して取り扱う必要がある。
【0041】
前記トラバース装置27は、前記アーム部材28の往復回動ストロークの両端部近傍に配置されたストッパ65を備えている。このストッパ65はアーム部材28の回動範囲を挟んで両側に配置され、当該アーム部材28の側部に接触可能に設けられている。この構成で、例えばトラバースガイド駆動モータ45が故障する等の何らかの原因でアーム部材28が通常のストローク範囲を越えて回動しようとするときに、ストッパ65は当該アーム部材28に接触してそれを防止できるように構成されている。
【0042】
また、このストッパ65は、トラバースガイド11が糸20を綾振りする基準点の位置を決定するための基準部材としての役割を果たす。即ち、本実施形態では、前記アーム部材28が一側のストッパ65に接触する位置と、他側のストッパ65に接触する位置とを前記トラバースガイド位置センサ47により取得し、この2つの位置の中間点を綾振りの基準点として設定している。
【0043】
なお、本実施形態では、この基準点を中心としてトラバースストロークが定められており、当該基準点を制御原点として各種制御情報のやり取りを行っている。従って、上記の基準点の設定は制御原点の位置を決定することを兼ねており、この意味で、以降の説明では、この基準点の設定作業を「原点出し」と称することがある。
【0044】
前記トラバース制御部46は、原点計算部61と、原点記憶部62と、励磁制御部63と、を備える。原点計算部61は、前記原点出し作業においてアーム部材28が2つのストッパ65のそれぞれに接触した状態でのトラバースガイド位置センサ47の検出値から、トラバースガイド11の制御原点を計算する。原点記憶部62は、原点計算部61が計算した制御原点を適宜のメモリに記憶する。励磁制御部63は、トラバースガイド駆動モータ45に信号を送ることで、当該トラバースガイド駆動モータ45における励磁及び励磁の停止を制御可能に構成されている。
【0045】
本実施形態では図1に示すように、前記パッケージ駆動モータ41と前記トラバースガイド駆動モータ45とが別々に設けられており、巻取ボビン22とトラバースガイド11とは別個独立に駆動(制御)されるように構成されている。これにより、糸20の綾振りを柔軟に変更制御しながら巻取ボビン22に糸20を巻き取ることができる。
【0046】
次に、図2を参照して、本実施形態におけるトラバースガイド11の制御を説明する。図2は、本実施形態の自動ワインダに電源が投入され、糸20の巻取が行われる場合の制御を示すフローチャートである。
【0047】
図2のフローに従って説明すると、最初に、オペレータによって機台電源スイッチ81が操作され、機台に電源が投入される(S101)。すると、機台に設置された機台制御装置が動作を開始し、この機台制御装置は機台から各ワインダユニット10に電力が供給されるように制御する。この結果、ユニット制御部50、パッケージ駆動制御部42、トラバース制御部46等が動作を開始する。また、機台制御装置は、オペレータのボタン操作による所定の処理後にブロアボックスを駆動し、糸の巻取作業で必要となる適宜の強さの負圧を発生させる。
【0048】
なお、トラバース制御部46は、S101の操作により動作を開始しても直ちにトラバースガイド駆動モータ45を励磁せず、所定の時間だけ待機する。そして、前記ブロアボックスの駆動が開始されたタイミングとほぼ同時に、トラバース制御部46はトラバースガイド駆動モータ45の励磁を開始する(S102)。
【0049】
次に、トラバース制御部46は、直ちに前述の原点出し作業を行う(S103)。具体的には、トラバース制御部46はトラバースガイド駆動モータ45を駆動してアーム部材28を一側に回動させ、アーム部材28がストッパ65に接触してこれ以上回動できなくなった状態でのトラバースガイド11の位置を、トラバースガイド位置センサ47によって取得する。次に、トラバース制御部46はアーム部材28を他側に回動させ、アーム部材28が反対側のストッパ65に接触した状態でのトラバースガイド11の位置をトラバースガイド位置センサ47によって取得する。そして、取得された2つの位置の中央となる点の位置を前記原点計算部61により計算し、得られた点の位置を、原点記憶部62により適宜のメモリに記憶する。記憶された点の位置は、糸20の綾振りの基準点、及び、トラバースガイド駆動モータ45を制御する際の制御原点として用いられる。
【0050】
次に、トラバース制御部46はトラバースガイド駆動モータ45を駆動し、トラバースガイド11を待機位置へ移動させる(S104)。この待機位置は、通常の巻取時にトラバースガイド11が糸20を綾振りするときのトラバースストロークより外側に若干外れた位置に設定されている。トラバースガイド11が前記待機位置へ到達したことがトラバースガイド位置センサ47により確認されると、トラバース制御部46はトラバースガイド駆動モータ45の励磁をオフする(S105)。これによりアーム部材28は電磁力から開放され、トラバースガイド11がほぼフリーで移動できる状態となる。
【0051】
その状態で、ユニット制御部50は、巻取作業の前段階としての糸継作業が開始できる状態となるまで待機する(S106)。糸継作業が開始可能な状態とは、前記給糸部24に給糸ボビン21が適切にセットされ、かつ、前記ユニットスイッチ71が強制停止側に操作されていない状態である。更に本実施形態の自動ワインダでは、過去にスプライサ装置14で所定回数連続して糸継ミスが発生していた等の場合は、糸20の巻取を中止し、警告のために自動停止するように構成されている。従って、前記の糸継作業が開始可能な状態の判断に当たっては、上記のようなアラーム停止の必要性の有無も考慮される。
【0052】
S106の判断で糸継が可能な状態と判定されると、ユニット制御部50はスプライサ装置14に糸継作業を行わせるとともに(S107)、この糸継作業が終了するまで待機する(S108)。
【0053】
この糸継動作では、上方へ回動した上糸案内パイプ26により、パッケージ30側の糸20(上糸)が吸引捕捉され、スプライサ装置14へ案内される。またこのとき、前記パッケージ駆動モータ41は、パッケージ30を逆回転させて糸端を適宜解舒するように、前記パッケージ駆動制御部42によって制御される。
【0054】
そしてこのとき、トラバースガイド駆動モータ45は励磁が解除されており、アーム部材28は2つの前記ストッパ65の間を自由に回動できる状態となっている。従って、仮にパッケージ30側の糸20が前記トラバースガイド11に係合していたとしても、当該糸20が上糸案内パイプ26によってパッケージ30から下方へ引き出される際に、トラバースガイド11及び糸20に無理な力が掛かることがない。従って、糸切れやトラバースガイド11の破損を防止することができる。
【0055】
また、上述した上糸案内パイプ26による糸20の案内と並行して、給糸ボビン21側の糸20(下糸)が下糸案内パイプ25により捕捉され、上方へ引き出されてスプライサ装置14へ案内される。そして、前記スプライサ装置14によって上糸と下糸とが糸継ぎされる。
【0056】
なお、本実施形態の自動ワインダでは、例えば機台電源投入後に初めて巻取ボビン22に糸を巻き付ける場合は、ユニットスイッチ71が強制停止側に操作されている状態で、作業者が給糸ボビン21側の糸を手作業で引き出して巻取ボビン22に巻き付けるようになっている。従って、機台電源投入後の初回の制御ではS106〜S108の処理は行われず、ユニット制御部50は単にユニットスイッチ71の強制停止が解除されるまで待機することになる。
【0057】
以上のようにして糸継作業が完了した後(又はユニットスイッチ71による強制停止が解除された後)、ユニット制御部50は、パッケージ駆動制御部42によりパッケージ駆動モータ41を回転駆動させるとともに、トラバース制御部46により直ちにトラバースガイド駆動モータ45の励磁をオンさせる(S109)。そして、トラバース制御部46は、トラバースガイド11を原点位置へ移動させ(S110)、その後、トラバースガイド駆動モータ45を往復駆動させる。なお、トラバースガイド11に糸20が係合していなかった場合は、往復運動の開始直後に、糸20がトラバースガイド11に自然に係合される。以上により、糸20を綾振りしながらパッケージ30に巻き取る巻取運転が実現される(S111)。
【0058】
ユニット制御部50は、この巻取運転時において、巻取を直ちに停止することが必要な状況になっていないかを監視している(S112)。ここで、巻取停止が必要な状況とは、具体的には、例えば前記ユニットスイッチ71が強制停止側に操作された場合や、クリアラ15によって糸切れが検出された場合が考えられる。また、クリアラ15によって糸20の糸欠点が検知され、カッタ39によって当該糸欠点の近傍が切断された場合等も、巻取を直ちに停止することが必要になる。
【0059】
ユニット制御部50は、巻取運転時において前記ユニットスイッチ71及びクリアラ15からの信号を調べることで、上述の巻取停止が必要な状況の発生を監視している。そして、S112の判断で巻取を直ちに停止すべき状況であると判定された場合、ユニット制御部50はパッケージ駆動モータ41に信号を送って糸20の巻取を中止し(S113)、S104の処理に戻る。その後は前述と同様に、トラバース制御部46はトラバースガイド11を待機位置へ移動させた後にトラバースガイド駆動モータ45の励磁をオフし、この状態で、糸継が可能な状態になるまで待機する(S104〜S106)。
【0060】
以上の一連のフローにより、トラバースガイド駆動モータ45において励磁が不要な場合には積極的に励磁を切る制御が実現され、高いエネルギー効率を実現することができる。また、糸継作業時にトラバースガイド駆動モータ45の励磁を切ることにより、上糸案内パイプ26による糸端の案内時に糸20とトラバースガイド11とが係合していた場合でも、糸20の案内に応じてトラバースガイド11がある程度自由に動くことができる。従って、糸20及びトラバースガイド11に過剰な負荷が加わることを防止することができる。
【0061】
以上に説明したように、本実施形態の自動ワインダは、機台と、この機台に並設された複数のワインダユニット10と、を備える。それぞれのワインダユニット10は、給糸部24と、パッケージ駆動モータ41と、トラバースガイド11と、トラバースガイド駆動モータ45と、トラバース制御部46と、を備える。パッケージ駆動モータ41は、前記給糸部24にセットされた給糸ボビン21からの糸20が巻き取られる巻取ボビン22を回転駆動する。トラバースガイド11は、給糸部24と巻取ボビン22との間に設けられ、巻取ボビン22への糸20の巻取の際に当該糸20と係合して糸20を綾振りする。トラバースガイド駆動モータ45は、前記トラバースガイド11を電磁力によって往復駆動する。そして、前記トラバース制御部46は、前記機台の電源が投入されてから糸の巻取が開始されるまでの時間の一部において、前記トラバースガイド駆動モータ45の励磁をオフするようにトラバースガイド駆動モータ45を制御する。具体的には、電源が投入されてからブロアボックスが駆動されるまでの時間、及び、スプライサ装置14による糸継作業の時間において、前記トラバースガイド駆動モータ45の励磁がオフされる。
【0062】
これにより、トラバースガイド駆動モータ45の励磁が不要である電源投入直後の時間において励磁を積極的にオフにすることで、自動ワインダ全体のエネルギー効率を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態の自動ワインダの前記トラバース制御部46は、異常の発生(例えば糸切れ、糸切断、及びアラーム停止等)により糸20の巻取が停止したときは、トラバースガイド駆動モータ45の励磁を糸20の巻取が再開されるまでオフするように、励磁制御部63によってトラバースガイド駆動モータ45を制御する(図2のS105)。
【0064】
これにより、トラバースガイド駆動モータ45の励磁が不要である異常停止時において励磁を積極的にオフにすることで、自動ワインダ全体のエネルギー効率を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態の自動ワインダは、操作されることにより糸20の巻取を強制的に停止することが可能なユニットスイッチ71を備える。そして、前記トラバース制御部46は、前記ユニットスイッチ71によって糸20の巻取が停止されているときに、トラバースガイド駆動モータ45の励磁をオフするようにトラバースガイド駆動モータ45を制御する。
【0066】
これにより、トラバースガイド駆動モータ45の励磁が不要である強制停止時において励磁を積極的にオフにすることで、自動ワインダ全体のエネルギー効率を向上させることができる。
【0067】
なお、上記実施形態の自動ワインダにおいて、前記トラバース制御部46は、前記クリアラ15が糸20の走行を検出していないときに、前記トラバースガイド駆動モータ45の励磁をオフするようにトラバースガイド駆動モータ45を制御することもできる。即ち、電源投入直後の状態、ユニットスイッチ71による強制停止時、及び糸継作業時等においては、糸20の巻取(走行)は停止されている。この点に鑑み、クリアラ15を糸走行検出センサとして使用し、当該クリアラ15が糸の走行を検知しない場合は、トラバースガイド駆動モータ45の励磁を自動的にオフしてトラバースガイド11を電磁力から開放するように構成することもできる。
【0068】
これにより、トラバースガイド駆動モータ45の励磁が不要である巻取停止状態をクリアラ15により検出して、当該トラバースガイド駆動モータ45の励磁を自動的にオフにすることで、自動ワインダ全体のエネルギー効率を向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態の自動ワインダはスプライサ装置14を備え、このスプライサ装置14は、前記給糸部24側の糸端と、前記巻取ボビン22に糸20が巻き取られて形成された糸層31の糸端との糸継動作を行うように構成されている。そして、前記トラバース制御部46は、前記スプライサ装置14の糸継動作終了後に、前記トラバースガイド駆動モータ45の励磁をオンするようにトラバースガイド駆動モータ45を制御する(図2のS108)。
【0070】
これにより、スプライサ装置14の糸継動作中はトラバースガイド駆動モータ45の励磁がオフになっているため、トラバースガイド11に係合している糸20がスプライサ装置14側へ引っ張られたとしても、トラバースガイド11はそれに追従して移動することができる。従って、糸が強く擦れて切れてしまい糸継ミスの原因となることを防止できるとともに、トラバースガイド11の過負荷による破損を回避することができる。
【0071】
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0072】
トラバース装置27は、巻取ボビン22の回転と独立にトラバースガイド11の往復駆動を制御できる構成であれば良く、例えば、ベルトをモータによって駆動することにより綾振ガイドを往復させる構成のトラバース装置に変更することができる。このベルト式のトラバース装置の場合でも、ベルトを駆動する前記モータの励磁をオフすることで、綾振ガイドがフリーで移動できる状態を実現することができる。
【0073】
巻取ボビン22をパッケージ駆動モータ41によって直接駆動する構成に代えて、接触ローラ29をモータによって駆動し、パッケージ30側を従動回転する構成としても良い。
【0074】
糸20の走行の検出は、クリアラ15で行うことに代えて、糸20の走行経路に配置された接触式又は非接触式の適宜のセンサで行うように変更することができる。
【0075】
トラバースガイド駆動モータ45はサーボモータとする構成に代えて、例えばボイスコイルモータ又はステップモータとすることができる。
【0076】
図2のS104の処理を省略し、トラバースガイド11を任意の位置で停止させて励磁をオフする構成としても良い。しかしながら、上記実施形態のようにトラバースガイド11を待機位置(トラバースストロークから若干外れた位置)へ移動させてから励磁を切るように制御すると、糸20がパッケージ30から上糸案内パイプ26によって引き出されてスプライサ装置14に案内される際に、トラバースガイド11に糸20が絡み付きにくくなる点で好ましい。
【0077】
上記実施形態において、トラバースガイド11の待機位置はトラバースストロークの若干外側に設定されている。しかしながらこれに代えて、前記待機位置がトラバースストロークの一側の端部に設定されるように変更することができる。また、アーム部材28が一側の前記ストッパ65に接触する位置に前記待機位置を設定することもできる。
【0078】
上記実施形態では、トラバースガイド11の制御原点(基準点)が、トラバースストロークの中央の点として設定されている。しかしながらこれに代えて、例えばトラバースストロークの一端に相当する位置の点を制御原点(基準点)として求めるように変更することができる。
【0079】
図2のS102〜S105の処理を省略し、自動ワインダの電源がオンされてからスプライサ装置14による糸継が終了して巻取運転が開始されるまで、継続してトラバースガイド駆動モータ45の励磁をオフするように構成することもできる。
【0080】
上記実施形態では、巻取開始時においては図2のS110に示すようにトラバースガイド11を原点位置に強制的に移動させ、糸20の巻取時にはトラバースガイド11による綾振りを当該原点から出発させるように構成されている。しかしながら、トラバースガイド11を原点位置に移動させる処理を省略し、巻取開始時においてトラバースガイド11がどの位置にあっても、当該位置から糸20の綾振りを開始するように変更することができる。
【0081】
上記のトラバース装置27及びトラバース制御部46の構成は、自動ワインダに限定されず、糸巻取機としての例えば紡績機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動ワインダが備えるワインダユニットの概略的な構成を示した模式図及びブロック図。
【図2】自動ワインダに電源が投入され、糸の巻取が行われる場合の制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0083】
10 ワインダユニット(糸巻取ユニット)
11 トラバースガイド
14 スプライサ装置
15 クリアラ(検出部)
22 巻取ボビン
24 給糸部
31 糸層
41 パッケージ駆動モータ(巻取ボビン駆動部)
45 トラバースガイド駆動モータ(綾振糸ガイド駆動部)
46 トラバース制御部(制御部)
71 ユニットスイッチ(強制停止スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機台と、
前記機台に並設された複数の糸巻取ユニットと、
を備え、
それぞれの前記糸巻取ユニットは、
給糸部と、
前記給糸部からの糸が巻き取られる巻取ボビンを回転駆動するための巻取ボビン駆動部と、
前記給糸部と前記巻取ボビンとの間に設けられ、前記巻取ボビンへの糸の巻取の際に当該糸と係合して糸を綾振りするための綾振糸ガイドと、
前記綾振糸ガイドを電磁力によって往復駆動するための綾振糸ガイド駆動部と、
前記機台の電源が投入されてから糸の巻取が開始されるまでの少なくとも一部の時間において、前記綾振糸ガイド駆動部の励磁をオフするように前記綾振糸ガイド駆動部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする糸巻取機。
【請求項2】
給糸部と、
前記給糸部からの糸が巻き取られる巻取ボビンを回転駆動するための巻取ボビン駆動部と、
前記給糸部と前記巻取ボビンとの間に設けられ、前記巻取ボビンへの糸の巻取の際に当該糸と係合して糸を綾振りするための綾振糸ガイドと、
前記綾振糸ガイドを電磁力によって往復駆動するための綾振糸ガイド駆動部と、
異常の発生により糸の巻取が停止したときは、前記綾振糸ガイド駆動部の励磁を糸の巻取が再開されるまでオフするように前記綾振糸ガイド駆動部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする糸巻取機。
【請求項3】
給糸部と、
前記給糸部からの糸が巻き取られる巻取ボビンを回転駆動するための巻取ボビン駆動部と、
前記給糸部と前記巻取ボビンとの間に設けられ、前記巻取ボビンへの糸の巻取の際に当該糸と係合して糸を綾振りするための綾振糸ガイドと、
前記綾振糸ガイドを電磁力によって往復駆動するための綾振糸ガイド駆動部と、
操作されることにより糸の巻取を強制的に停止することが可能な強制停止スイッチと、
前記強制停止スイッチによって糸の巻取が停止されているときに、前記綾振糸ガイド駆動部の励磁をオフするように前記綾振糸ガイド駆動部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする糸巻取機。
【請求項4】
給糸部と、
前記給糸部からの糸が巻き取られる巻取ボビンを回転駆動するための巻取ボビン駆動部と、
前記給糸部と前記巻取ボビンとの間に設けられ、前記巻取ボビンへの糸の巻取の際に当該糸と係合して糸を綾振りするための綾振糸ガイドと、
前記綾振糸ガイドを電磁力によって往復駆動するための綾振糸ガイド駆動部と、
糸の走行を検出可能な検出部と、
前記検出部が糸の走行を検出していないときに、前記綾振糸ガイド駆動部の励磁をオフするように前記綾振糸ガイド駆動部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする糸巻取機。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の糸巻取機であって、
前記給糸部側の糸端と、前記巻取ボビンに糸が巻き取られて形成された糸層の糸端とを糸継ぎする糸継装置を更に備え、
前記制御部は、前記糸継装置の糸継動作終了後に、前記綾振糸ガイド駆動部の励磁をオンするように前記綾振糸ガイド駆動部を制御することを特徴とする糸巻取機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−227413(P2009−227413A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75397(P2008−75397)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】