説明

紐状清掃具

【課題】孔の内周面上を紐状繊維構造物を往復動あるいは一方向移動などさせて擦ることにより、該内周面上の全周にわたり清掃作用を効果的に行うことなどができる新規な紐状清掃具を提供すること。
【解決手段】単繊維繊度が0.001dtex〜5dtexの合成繊維が筒紐状に製編織されてなる筒状繊維構造物の内部に、内芯クッション体が充填されてなることを特徴とする紐状清掃具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ベアリングの生産の仕上工程などにおいて該ベアリングに穿設された軸受孔の内周壁を清掃する場合等に好適に用いられる紐状清掃具に関する。
【0002】
より具体的には、各種工業製品の生産工程、仕上げ工程などにおいて、例えば、直径が数mm〜1.5cm程度の比較的小さい金属孔、プラスチック孔、塗装された木製孔などの内周面を清掃するのに最適な紐状清掃具に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、極細繊維などを用いて紐状繊維構造物を作り、該紐状構造物をベアリングの軸受孔に通し、擦りつけながら往復させることによって該軸受孔の内周壁面を清掃する道具とすることが提案されている(特許文献1、2)。
【0004】
しかし、これらの極細繊維糸を単に紐状の繊維構造物に形成した紐状清掃具は、一般に紐としては、細目であってかつ非常に柔軟になるものであり、孔の内周面上を該紐状繊維構造物を往復動させて擦ったとしても、内周面上の全周にわたり清掃作用を及ぼさせしめて所望のとおりに清掃することは難しく、内周面の一方の面に偏った清掃しかできないなどの事態が発生し、全周囲に対して効果的に清掃を行うことは難しく、その結果、清掃に多大な時間を費やしたり、時間をかけたわりには効果的な清掃ができていないなどの不都合を有するものであった。
【特許文献1】特開2002−119928号公報
【特許文献2】特開2003−200117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述したような点に鑑み、孔の内周面上において紐状繊維構造物を往復移動あるいは一方向移動などさせて擦ることにより、該内周面上の全周にわたり清掃作用を効果的に行うことなどができる新規な紐状清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成する本発明の紐状清掃具は、以下の(1)の構成を有する。
(1)単繊維繊度が0.001dtex〜5dtexの合成繊維が筒紐状に製編織されてなる筒状繊維構造物の内部に、内芯クッション体が充填されてなることを特徴とする紐状清掃具。
【0007】
また、かかる(1)の本発明の紐状清掃具において、具体的により好ましくは、以下の(2)〜(15)のいずれかの構成を有するものである。
(2)前記筒状繊維構造物が、筒編織による布地であることを特徴とする上記(1)記載の紐状清掃具。
(3)前記内芯クッション体が、単繊維の横断面の最大長径が0.5μm〜50μmである繊維の束状体からなることを特徴とする上記(1)または(2)記載の紐状清掃具。
(4)前記内芯クッション体が、捲縮を有するフィラメント繊維の束からなるものであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の紐状清掃具。
(5)前記内芯クッション体が、発泡樹脂からなるものであることを特徴とする上記(1)または(2)記載の紐状清掃具。
(6)前記捲縮を有するフィラメント繊維の束が、単繊維繊度0.1〜10dtexの仮撚り捲縮フィラメントからなる繊維束であることを特徴とする上記(4)記載の紐状清掃具。
(7)単位長さ当たりの前記紐状清掃具中、前記筒状繊維構造物の重量が、0.5〜10g/mであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の紐状清掃具。
(8)単位長さ当たりの前記紐状清掃具中、前記内芯クッション体の重量が、1〜20g/mであることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の紐状清掃具。
(9)単位長さ当たりの前記紐状清掃具中、前記筒状繊維構造物の重量と前記内芯クッション体の重量比率が、(前記筒状繊維構造物の重量):(前記内芯クッション体の重量)=20〜60:80〜40であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の紐状清掃具。
(10)筒紐状に製編織されて筒状繊維構造物を構成している合成繊維が、単繊維繊度0.001dtex〜1dtexの極細合成繊維であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の紐状清掃具。
(11)筒紐状に製編織されてなる筒状繊維構造物と内芯クッション体のいずれも、ポリアミド系合成繊維フィラメントを含んでなることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の紐状清掃具。
(12)筒紐状に製編織されてなる筒状繊維構造物と内芯クッション体のいずれも、ポリエステル系合成繊維フィラメントを含んでなることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の紐状清掃具。
(13)JIS L1096 8−18で測定される圧縮弾性の圧縮率が35〜60%、弾性率が80〜95%であることを特徴とする上記(1)〜(12)のいずれかに記載の紐状清掃具。
(14)ベアリングの軸受孔の内周壁の清掃に使用されることを特徴とする上記(1)〜(13)のいずれかに記載の紐状清掃具。
(15)紐状清掃具が、その両端に先端導糸部が設けられてなることを特徴とする上記(1)〜(14)のいずれかに記載の紐状清掃具。
【発明の効果】
【0008】
本発明の紐状清掃具によれば、例えば、複数枚のベアリングがその中心軸を合わせて重ねられているベアリングの軸受孔等の被清掃物の孔内に該紐状清掃具を通し、その両端部を把持して、往復移動あるいは一方向移動などさせて孔内周面を擦ることにより、該内周面上の全周にわたり清掃作用を効果的に行うことなどができる。
【0009】
特に、該紐状清掃具の外径寸法よりも小径の直径を有する、円形の被清掃物の孔を清掃するのに本発明の清掃具は好適なものである。従って、本発明の清掃具によれば、ごく短い時間で被清掃物の孔内の清掃作業を効率よく所望通りに行うことができ、そのような軸受孔を有するベアリングや各種機械部品等の各種工業製品の生産効率の向上、仕上げ品質の向上に資することができる。
【0010】
両端の把持は、例えば、手作業による清掃では作業者が手指で持って行うことができ、あるいは、自動機械による清掃ではチャック機構により把持することができ、繊維製のクッション性がある柱状であるので、いずれのケース(手作業、機械作業)でも比較的簡単にでき、かつ自由度も高いので扱いもしやすいものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面等に基づいて、更に詳しく本発明の紐状清掃具について説明する。
【0012】
図1は、本発明の紐状清掃具の外観をモデル的に示した外観概略図であり、本発明の紐状清掃具1は、単繊維繊度が0.001dtex〜5dtexの合成繊維が用いられて筒紐状に製編織されてなる筒状繊維構造物2の内部に、内芯クッション3が充填されてなるものである。
【0013】
なお、図1では、特に本発明の紐状清掃具の両端部において、内芯クッション体3を構成している捲縮フィラメント繊維の束を筒状繊維構造物2の端部から少し露出させたものを示しているが、これは説明の便宜のためであり、該内芯クッション体3が両端部において露出しているものが本発明の紐状清掃具の技術本旨というわけではない。
【0014】
図1において、同図(a)は該紐状清掃具の外観をモデル的に示した外観概略図、同図(b)は、同図(a)のA−A断面図であって、筒状繊維構造物2は、それ単独では、単繊維繊度が0.001dtex〜1dtexなどの極細合成繊維が筒紐状に製編されたものであること、あるいは、そのような極細繊維レベルほどには細くはないものの、単繊維繊度が5dtex以下などの細繊維レベルの合成繊維が筒紐状に製編されたものであることから柔軟性が大であり、一般に内芯空間部に充填物が何も存在していない場合には平らな紐状になってしまうものであるが、本発明においては、特に、その内芯空間部に内芯クッション体3が充填されているために、ほとんどその紐状清掃具の断面形態は円形状を呈するほどに充実して膨らんでいるものである。そして、特に限定されるものではないが、好ましく形成されている本発明にかかる紐状清掃具は、それが短めの長さ(例えば、10cm程度の長さ)であるとき、その一方の端部付近を手で持って他端側を上に向ければ、そのまま直立状態となり得る程度に剛軟さを併せ持っているものであって、自由な上端側が自重によって自由に垂れ下がるというようなものではない。
【0015】
前記筒状繊維構造物2は、筒編織による布地であって、内筒状を構成できるものであればよく、特に限定されることなく採用することができるが、適度な伸縮性を有することは好ましいものであり、その点から、筒編による編地であることが最も好ましい。
【0016】
該筒状繊維構造物2は、布地厚さとしては0.3〜1.5mm程度の厚めのものであることが好ましく、そうした厚めのものとすることが、筒紐状に存在する繊維の絶対量としても良好な清掃作業を実現できる要因となる。
【0017】
また、内芯クッション体3は、例えば、つめ綿と呼ばれるような繊維製つめ物・中綿や、スポンジと呼ばれるような発泡樹脂などで構成されるのが良いものであり、ある程度長尺の寸法を有したかつ取扱い性の良好なものであることが最良である。
【0018】
この内芯クッション体は、繊維で構成させることが好ましく、例えば、単繊維の横断面の最大長径が0.5μm〜50μmである繊維の束状体から構成されるものであることが好ましい。単繊維の横断面の最大長径は、さらに好ましくは、1μm〜40μmであること、より好ましくは1.5μm〜30μmである。
【0019】
単繊維の最大長径が0.5μm未満の場合は、一般に細過ぎるため単繊維切れが発生し、ヘタってクッション性が不足する傾向にあるため、過酷な使用に耐えがたく好ましくない。また、50μmを上回る場合は太すぎるため、全体として硬い風合いになり、クッション性が不足し筒状物の内面にフィットしにくいために、被清掃物の形状・寸法などによっては好ましくない場合が生ずる。
【0020】
中でも、内芯クッション体は、本発明者らの知見によれば、ある程度太い、捲縮を有する合成フィラメント繊維の束からなるものが最も良く、特に、該捲縮も、スタッフィング加工・押し込み捲縮加工、擦過加工などによる2次元捲縮よりも、仮撚捲縮などの3次元捲縮のものが全周にわたり外側方向に膨らみ効果を万遍なく発揮させる上で好ましいものである。捲縮を有するフィラメント繊維の束は、繊度で言えば、単繊維繊度0.1〜10dtexの仮撚り捲縮フィラメントからなる繊維束が好ましい。なお、本発明の上述した効果を良好に発揮する上で、捲縮のレベルは、捲縮数(JIS L−1015 8.12.1)で 3〜70個/2.54cmの範囲内にあることが好ましく、さらに好ましくは5〜65個/2.54cmの範囲内、最も好ましくは10〜60個/2.54cmの範囲内である。
【0021】
また、なお、タスラン加工糸と呼ばれるようなループを多数有する嵩高加工が施された合成フィラメント繊維の束からなるものを使用することもよい。
【0022】
要は、捲縮やループなどによって嵩高さがもたらされている合成フィラメント繊維の束が好適なのである。
【0023】
あるいは、内芯クッション体3を繊維束で構成しない場合、いわゆるスポンジなどの発泡樹脂からなるものであってもよい。
【0024】
上述したような特異な構造により、本発明にかかる該紐状清掃具を、軸受け孔等の被清掃物の孔内に通し、その両端部を把持して往復移動あるいは一方向移動などさせて孔内周面を擦ることにより、内芯クッション体3の膨らみ力が、該孔の内周面上の全周にわたって、極細繊維などからなる筒状繊維構造物の外側表面を押し付けつつ擦らせることとなり、該繊維構造物の有するワイピング機能・効果を良好に発揮させることができるものである。
【0025】
内芯クッション体は、上述のように、捲縮を有する合成フィラメント繊維の束からなるものであることが、本発明の紐状清掃具の生産時の取扱い性、清掃具の生産の容易性などの点から好ましい。特に、内芯クッション体3を、捲縮を有する合成フィラメント繊維の束で構成せしめるときには、筒編機の編み立て部、筒織機製織部の真ん中に該合成フィラメント繊維束を連続的に供給しつつ編糸・織糸を筒状に製編織していくことにより、本発明に用いることのできる内芯クッション体3が充填された筒状繊維構造物を簡単に製造することができるものである。
【0026】
内芯クッション体を構成する繊維組成は、合成繊維が好適なものであり、例えばポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維などが好ましい。特に、これらの繊維などのうちの少なくとも1種または複数の組合せによって使用することができる。本発明者らの知見によれば、柔軟なポリアミド系繊維が好ましく用いられる。
【0027】
さらに、剥離型複合繊維、海島型複合繊維なども使用することができる。天然繊維であれば、綿、麻、絹、羊毛などが挙げられ、これらの繊維などのうち、少なくとも1種または組合せによって使用することができるが、汎用性のある綿が好ましい。さらに合成繊維と天然繊維との組合せでも使用することができる。
【0028】
本発明者らの各種知見によれば、本発明の紐状清掃具の効果をより良好に発揮させる上で、一般的なベアリング軸受孔の内周壁を清掃する物の場合などでは、単位長さ当たりの該紐状清掃具中、該筒状繊維構造物の重量が0.5〜10g/mであることが好ましい。
【0029】
また、単位長さ当たりの該紐状清掃具中、前記内芯クッション体の重量が、1〜20g/mであることが清掃効果をより良好に発揮させる上で好ましい。
【0030】
さらにまた、外側の筒状繊維構造物の作用であるワイピング効果と、内芯側のクッション体の膨らませ効果のバランスの点から、その両者の構成比率は、単位長さ当たりの該紐状清掃具中、筒状繊維構造物の重量と内芯クッション体の重量比率は、(筒状繊維構造物の重量):(内芯クッション体の重量)=20〜60:80〜40であることが好ましい。
【0031】
筒紐状に製編織されて筒状繊維構造物を構成している合成繊維は、単繊維繊度0.001dtex〜1dtexのいわゆる極細合成繊維であることがより高度なワイピング効果をもたらすことができることから好ましく、さらに、筒紐状に製編織されてなる筒状繊維構造物と内芯クッション体のいずれもが、ポリアミド系合成繊維フィラメントを含んでなること、あるいは、ポリエステル系合成繊維フィラメントを含んでなることが、耐久性などの点からも優位である。
【0032】
本発明の紐状清掃具は、JIS L1096 8−18に準じた方法で測定される圧縮弾性の圧縮率が35〜60%、弾性率が80〜95%であることが好ましい。ここでJIS L1096 8−18に準じた方法とは、5cm×5cmの織物片を3枚重ねた状態で圧縮試験を行うのに代えて、紐状清掃具を1本おいた状態で圧縮試験を行う以外は、JIS L1096 8−18の方法に従い測定する方法である。該圧縮・弾性特性を満足するためには、編地などからなる比較的良く伸びる筒状編地構造物とし、その内部に、単繊維繊度2〜4dtex程度の仮撚捲縮糸を比較的多めに充填することにより得ることができる。
【0033】
本発明において、筒状構造物を構成するものとして好ましいのは、ワイピング効果の点から、極細合成繊維と呼ばれる繊維であり、一般に、単繊維繊度1dtex以下、好ましくは0.00001〜0.9dtex、さらに好ましくは0.01〜0.2dtexの単繊維繊度を有する繊維であり、従来から、眼鏡拭きなどのワイピング布として、あるいは各種工業製品のワイピング布やテープを形成するものとして広く使用されているものと同等のものである。該極細繊維の製造手法は、現在では各種のものが知られており、スーパードロー方式によって製造される極細繊維や、2種以上のポリマー成分からなる海島型複合繊維や分割型複合繊維などから、1成分を除去することあるいは単一成分ごとに分割させることにより得られる極細繊維などを使用することができる。該極細繊維は、円形断面でもよくあるいは異形断面繊維であっても良く、もともと極細であること自体がエッジ効果があって高いワイピング効果に資するものであるが、異形断面であってもさらに高い該エッジ効果が得られるので、好ましいと言える。
【0034】
かかる極細繊維を構成するポリマーとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレンなど、また、これらポリマーのコポリマーを使用することができ、例えば、ポリエステル繊維とポリアミド繊維の混合使用などであってもよいものである。
【0035】
極細繊維は、その性状は、繊維ホコリ・くずを発生しにくいという点から、短繊維(ステープル)であることよりも、フィラメント(連続長繊維)からなるものが好ましい。また、紐状清掃具の全体に対して、その長さ方向と半径方向の双方に適度な伸縮性を与えることを実現できることから、仮撚捲縮などの捲縮を持つ極細フィラメント(連続長繊維)加工糸を用いることが、特に好ましい。
【0036】
本発明の紐状清掃具は、べアリングの軸受孔の内周壁の清掃などに好適に使用されるものであり、一般には、本発明の紐状清掃具が有する直径の0.6〜0.9倍程度の小径である孔の清掃に好ましく使用される。その程度の小径の孔に、本発明の紐状清掃具を通過させることにより、孔内全周にわたりワイピング効果を及ぼすことが可能となるのである。
【0037】
したがって、本発明の太い紐状清掃具を、細い孔内に通すことはそのままでは難しく、作業として能率的ではないので、その両端に先端導糸部を設けた本発明の紐状清掃具として用いるのが実際的でよい。
【0038】
図2(a)、(b)は、いずれも、そのような両端部に先端導紐部4を設けた本発明にかかる紐状清掃具の端部付近の外観をモデル的に示した概略図であり、(a)は靴ひもや綴じ紐の両先端と同様なプラスチックの筒体で両先端付近を丸めて小径化かつ固化させたもの、また、(b)は両先端に、孔部5を有したプラスチック製の先端導紐部4などを嵌合させて該孔部5にガイド糸やガイドワイヤを通して孔の反対側から引くことにより通すことができるようにしたものを示したものである。
【0039】
本発明の紐状清掃具は、特に限定されるものではないが、その使用用途の点から、好ましくは、直径で数mm〜15mm程度、さらに好ましくは2mm〜10mm程度の太さを有するものが実際的で好ましいのである。
【0040】
また、そのレベルよりも大径のものを清掃した場合には、必要に応じて、本発明の紐状清掃具の数本を撚り合わせて使用してもよい。あるいは、上記のレベルよりも大径のものであっても、もちろん本発明の紐状清掃具は製造可能であるので、特に大径のものを製造して使用するようにしてもよい。ただし、あまり大径になると、適宜に内芯クッション体の割合いを大きくするようにするなど、ある程度の全体硬さの維持とクッション性のバランスを良好にする等の配慮をすることが好ましい。
本発明の紐状清掃具は、一部上述したが、例えば、筒編機の編み立て部の真ん中に、連続した内芯クッション体、例えば、捲縮合成フィラメント繊維束あるいは棒状に成形したスポンジなどの合成発泡樹脂を連続的に供給しつつ、それを包み込むようにして、極細繊維糸である編糸を筒状に製編していき、全体を引取りローラで引取りすることにより、該内芯クッション体が内部に充填された筒状繊維構造物を連続的に製造することができるものである。例えば、特開平9−158012号公報に記載されたような筒状伸縮性編紐の編機などを利用することができるが、特に筒状編織ができるものであれば特に、限定されることなく利用できる。
【0041】
具体的には、例えば、筒編み、円編み、組み紐編、丸織りなど筒状にする方法であれば用いることができ、また、筒状にし難い緯編、経編、製織などであれば、ハチマキを作るがごとく、必要な幅に裁断し、縫製したあと、裏返し、芯を挿入することによって用いることもできるが、好ましくは、芯成分を挿入しながら外周を包含しながら作成していくことができる筒編み、丸編み、組み紐編、丸織りなどが好適である。
【0042】
ただし、例えば、長さが50cm〜数メートル程度などの適当な短さである本発明にかかる紐状清掃具の場合には、ハチマキを作るがごとく、あるいは海苔巻きを作るがごとくにして製造することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明にかかる紐状清掃具の外観を説明するものであり、図1(a)は本発明にかかる紐状清掃具の外観をモデル的に示した外観概略図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。
【図2】図2は、本発明にかかる紐状清掃具の先端導紐部付近の外観をモデル的に示した外観概略図である。
【符号の説明】
【0044】
1 本発明にかかる紐状清掃具
2 筒状繊維構造物
3 内芯クッション体
4 先端導紐部
5 先端導紐部の孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単繊維繊度が0.001dtex〜5dtexの合成繊維が筒紐状に製編織されてなる筒状繊維構造物の内部に、内芯クッション体が充填されてなることを特徴とする紐状清掃具。
【請求項2】
前記筒状繊維構造物が、筒編織による布地であることを特徴とする請求項1記載の紐状清掃具。
【請求項3】
前記内芯クッション体が、単繊維の横断面の最大長径が0.5μm〜50μmである繊維の束状体からなることを特徴とする請求項1または2記載の紐状清掃具。
【請求項4】
前記内芯クッション体が、捲縮を有するフィラメント繊維の束からなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の紐状清掃具。
【請求項5】
前記内芯クッション体が、発泡樹脂からなるものであることを特徴とする請求項1または2記載の紐状清掃具。
【請求項6】
前記捲縮を有するフィラメント繊維の束が、単繊維繊度0.1〜10dtexの仮撚り捲縮フィラメントからなる繊維束であることを特徴とする請求項4記載の紐状清掃具。
【請求項7】
単位長さ当たりの前記紐状清掃具中、前記筒状繊維構造物の重量が、0.5〜10g
/mであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の紐状清掃具。
【請求項8】
単位長さ当たりの前記紐状清掃具中、前記内芯クッション体の重量が、1〜20g
/mであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の紐状清掃具。
【請求項9】
単位長さ当たりの前記紐状清掃具中、前記筒状繊維構造物の重量と前記内芯クッション体の重量比率が、(前記筒状繊維構造物の重量):(前記内芯クッション体の重量)=20〜60:80〜40であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の紐状清掃具。
【請求項10】
筒紐状に製編織されて筒状繊維構造物を構成している合成繊維が、単繊維繊度0.001dtex〜1dtexの極細合成繊維であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の紐状清掃具。
【請求項11】
筒紐状に製編織されてなる筒状繊維構造物と内芯クッション体のいずれも、ポリアミド系合成繊維フィラメントを含んでなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の紐状清掃具。
【請求項12】
筒紐状に製編織されてなる筒状繊維構造物と内芯クッション体のいずれも、ポリエステル系合成繊維フィラメントを含んでなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の紐状清掃具。
【請求項13】
JIS L1096 8−18に準じて測定される圧縮弾性の圧縮率が35〜60%、弾性率が80〜95%であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の紐状清掃具。
【請求項14】
ベアリングの軸受孔の内周壁の清掃に使用されることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の紐状清掃具。
【請求項15】
紐状清掃具が、その両端に先端導糸部が設けられてなることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の紐状清掃具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−221141(P2008−221141A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63558(P2007−63558)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】