説明

純水供給容器

【課題】手動式の簡易な液体供給容器においては容器内の液体の汚染が避けられなかった。
【解決手段】頂部開口部を有するプラスチック製容器本体105と、前記頂部開口部に気密的に取り付けられた着脱自在の蓋部と、該蓋部を貫通して前記容器本体内部へ延びた純水供給チューブ101と、前記蓋部の上部に取り付けられ前記純水供給チューブの上端に接続された注水口102、とを有する純水供給容器において、前記筒状壁部の純水収容部よりも上部位置に、空気中の微粒子を濾過するフィルタ123が装着され、前記供給チューブ101には逆流を阻止する逆止弁116が設けられ、フィルタ123を有する通路には容器内の清浄な空気の流出を防止する逆止弁107が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は純水供給容器、特に超純水の供給容器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機化学、無機化学、合成化学、生化学、生物化学等の広範な化学分野の基本的な処理操作において、処理操作対象物に純水または高度に精製した超純水を注いで洗浄する操作、あるいは、化学処理過程において、反応状態に応じて、煩雑に何度も純水を加えるという操作も極めてしばしば行われるものである。
【0003】
(1)そのような問題を解決するために、柔軟なポリマー製容器に鶴首状の細管を付けた、洗浄瓶または洗瓶と呼ばれる容器が簡便に多用されることがある。この種の容器は、本体が柔軟なポリマーにて構成されているために、容器を握持して力を入れて容器を圧潰するだけで内部の液体が細管から効率よく吐出され、力を抜くと本体の弾力にて元に戻って、再度、液体の吐出が可能となる。また、細い細管が、鶴の首と頭部のように曲がっていて、先端が細く加工されているので、望む箇所に液体を自由に射出し易く、力の入れ加減により吐出速度も有る程度調節可能である。
(2)また、やや複雑な形態の手動式液体容器としてトリガー式のものが知られており、容器本体の上部にトリガー式ポンプを取付け、容器本体内部の底部から外部の吐出ノズルへと延びる細管を設け、細管には逆止弁を設け、トリガーを引くことにより液体を容器内から逆止弁を有する細管を経て吸い上げ、これを次のトリガーのストロークで加圧して、吐出ノズルへ導き、吐出させる。
【0004】
上記(1)の例は特許文献1に記載がある。図3に示したように、従来の液体供給容器(洗浄瓶)は、柔軟なポリエチレン製の容器本体5Aと、その上部の径部にねじで気密的に着脱できるポリエチレンキャップ4Aと、噴出ノズル2Aを備えたポリエチレンチューブ1Aとから構成され、ポリエチレンチューブ1Aがキャップ4Aのチューブ保持部4Bにより固定または摺動可能に保持され、チューブ1Aの他端開口部を容器本体5Aの底に配置し液体10Aを吸引可能にする。この構造の洗浄瓶の容器本体5Aを握持し所望程度に潰せば、瓶内の空気部分の内圧が高くなって液体がチューブ1Aを経てノズル2Aから吐出される。更に、容器の不使用時に周囲温度が上昇した時に瓶の内圧が高まってノズル2Aから液体が吐出されることを防ぐために空気抜き8Aを設けているが、通常の吐出操作時には閉鎖されるので吐出動作には関係がない。
上記(2)の例は特許文献2に記載がある。図4に示すように、トリガー式液体供給容器は容器本体1とその上部に取り付けたトリガー式噴出器本体2から成り、容器本体1は胴部3とその上側肩部4の上端のネジ付口頸部5からなる。トリガー式噴出器本体2はその本体部2a下面に筒状基部6を備え、筒状基部6の下部を円筒体10に固定し、円筒体10はその外向きフランジ9を、上記ネジ付口頸部5のネジに螺合するネジを有する装着筒8の内向きフランジ7により容器本体1に固定されている。なお11は封止パッキンである。基部筒部6内には本体部2aのポンプ室内へ液体を送るための吸い込み弁12付の液体吸い込路としてチューブ嵌合筒13が垂下し、また、嵌合筒13にはコネクタ14を介して吸い上げチューブ15が接続され、コネクタ14には逆止弁16Bが設けられている。なお、16Aも逆止弁であるが容器が倒立した場合に供給経路となるものであり詳しくは説明しない。
また外気吸い込み路18が本体2aのシリンダ17内に通じており、吸い込み路18の上端はトリガー19の操作で進退するプランジャ20の後退時に外気吸い込み路18の上端が開いて通気性で且つ非通水性の耐水性シート21を通じて外気が取りこまれるようになっている。外気吸い込み路18は、シリンダ17に設けた第1通路18a、筒体10の頂部壁に設けた第2通路18b、及びこれらの間に設けた凹状溝18cとからなり、通気性で且つ非通水性の耐水性シート21は凹状溝18c内に配置されている。
上記構成ではトリガー19の操作で液体は容器本体11底部からチューブ15に吸引され、逆止弁16B、12を経て噴出器本体2内に送られ、本体2内でトリガーの繰りかえし操作で加圧され、ノズル2bの先端から噴出される。このとき外気が通気性で且つ非通水性の耐水性シート21を介して吸入される。こうして液体の逆流を防止しながら液体の供給が可能となる。
そのほか、(3)液体を供給する容器に、液体の供給量(吐出量、注出量)に相当した体積の空気を取り入れる際に容器とは別個のフィルタユニットを使用することは知られているが、それは容器とフィルタユニットが別個に設置される比較的大型のシステムであり、簡易な手動式純水供給容器に直接フィルタを取り付けたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−137734号公報
【特許文献2】実開平1−69658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図3に示した特許文献1の洗浄瓶の構造では、空気抜き8Aが外気の流入を許すので、空気中の汚染物質や粉塵が洗浄瓶内に容易に侵入して洗浄液例えば純水又は超純水を汚染する問題を生じる。一方空気抜き8Aを閉鎖した状態では空気が入らないので容器本体5Aを手で握る際に液体がノズルから吐出された体積分だけ容器本体5Aが潰れ、手を離すと容器本体5Aが復元する際にノズルから外気が容器チューブ1Aを介して逆流し、容器本体5A内部の液体を汚染させる問題を生じる。
一方、図4に示した特許文献2のトリガー式供給容器では、トリガー19を引くと容器本体1底部からチューブ15次いで逆止弁16Bを通じてトリガー式噴出器本体2に液体が吸い込まれ、次いで加圧されてノズル2bから液体が放出されるが、同時にその分だけ外気が通気性で且つ非通水性の耐水性シート21を介して吸入されるが、通気性で且つ非通水性の耐水性シート21には空気を遮断する能力はないので、供給容器内の液体が次第に汚染されてくることになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、筒状壁部と頂部開口部を有するプラスチック製容器本体と、前記頂部開口部に気密的に取り付けられた蓋部と、該蓋部を貫通して前記容器本体内部へ延びた純水供給チューブと、前記蓋部の上部に取り付けられ前記純水供給チューブの上端に接続された吐出ノズルとを有する純水供給容器において、
前記筒状壁部の純水収容部よりも上部位置に純水供給時に外気を取り入れる空気取入れ通路を設け、該空気取入れ通路には空気中の微粒子を除去するためのろ過膜を有するフィルタと逆止弁が設けられ、また前記供給チューブには逆止弁が設けられていることを特徴とする、純水供給容器を提供する。
(2)より具体的な1つの形態では、上記(1)において、前記筒状壁部は、手により弾性的に圧潰可能であり、前記純水供給チューブの上端と前記吐出ノズルは気密的に直結されている。
(3)他のより具体的な形態では、上記(1)において、前記純水供給チューブの上端と吐出ノズルの間には、トリガー式の吸上げ送出し機構が配置されていることが好ましい。
(4)より具体的には、上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記フィルタは空気中の浮遊微粒子(特に細菌微粒子)除去用の疎水性の微粒子ろ過膜を含むことが好ましい。
(5)さらに具体的には、上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記フィルタは粒子除去用の疎水性ろ過膜と、有機物(特に空気中の存在する揮発性有機物例えば環境ホルモン)吸着用の空着剤層とを含むことが好ましい。
(6)さらに具体的には、上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記フィルタは粒子除去用の疎水性ろ過膜と、有機物吸着用の吸着剤層と、炭酸ガス吸収層とを含んでいることが好ましい。この形態では空気中の微粒子の汚染のみならず炭酸ガスによる汚染も防止でき、また炭酸ガス汚染の限界が肉眼で検出可能となる。なおフィルタの目詰まりによる劣化はフィルターを通り空気の抵抗が増大して給水操作に抵抗が生じるのでその面からも判別できる。
前記疎水性ろ過膜は好ましくは平均孔径が0.1〜1.0μm、より好ましくは0.2〜0.5μmの多孔質材であり、空気中の浮遊粒子(特に細菌等の菌類)を濾過するようにする。平均孔径は用途が要求する純水の精製の程度に応じて選択できる。
前記吸着剤は分子ふるい、特に活性炭が好ましい。
前記炭酸ガス吸収層は好ましくは消石灰Ca(OH)2を主成分とする。
前記フィルタは容器本体の純水収容部側に第1の穿孔支持板を有することが好ましい。
また前記フィルタは前記容器本体の外側に第2の穿孔支持板を有しても良い。またCa(OH)2の変色を観察できるように容器本体の部分、キャップの部分、又は第2の穿孔支持板が透視できるようにすればよい。
【発明の効果】
【0008】
圧潰式またはトリガー式などの簡易な手動式の純水(高度に精製された超純水を含む)供給容器において、プラスチック製の純水収容部を構成する容器本体部又キャップ部にフィルタを設けて清浄な空気を導入可能とし、同時に、ノズルから容器内部への空気の逆流や、空気取り込み口からの外気の流入による容器内の純水の汚染を防ぎ、使用中の残留純水が長時間に亘り汚染されないように保護した純水供給容器を提供する。
好ましい形態において、本発明は前記フィルターとして疎水性の多孔質フィルター膜、吸着層、及び/又は炭酸ガス吸収層を使用したため、空気中の粉塵、有機物、及び/又は炭酸ガスによる純水の汚染を防ぐことができる。
また、空気取入れ口の逆止弁を設けたので、清浄な空気が容器外部へ漏出するのを防ぐことができ、それによりフィルタの耐用寿命を向上することができる。
さらに、フィルタに炭酸ガス吸収層を設けることにより、純水が炭酸ガスを吸収することを防ぐことができ、また炭酸ガス吸収層を外部から観察できるようにしたので、炭酸ガス吸収層の着色状態を観察することによりフィルタまたは純水供給容器の使用限界を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施例による圧潰式純水供給容器を例示する。
【図2】本発明の第2の実施例によるトリガー式純水供給容器を例示する。
【図3】従来の圧潰式液体供給容器を例示する。
【図4】従来のトリガー式液体供給容器を例示する。
【図5】本発明のフィルタの実施例を示す。
【図6】本発明の第3の実施例による圧潰式純水供給容器を例示する。
【図7】本発明の第3の実施例の給水時の動作を説明する。
【図8】本発明の第3の実施例の給水終了時に生じる動作を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明の好ましい実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
実施例1
この実施例は、図3に従来例として示した形式の、ポリエチレン等の復元可能な弾性を有するプラスチック容器を手で圧潰することにより純水を供給する形式の純水供給容器を例示する。以下の説明では、参照符号は図3のものに対応する部分は同一の参照符号を用いる。図1に示したように、この実施例の純水供給容器(または瓶)は、柔軟な圧潰可能なポリエチレン容器本体5Aと、その上部の径部にねじで気密的に着脱できるポリエチレンキャップ4Aと、噴出ノズル2Aを備えたポリエチレンチューブ1Aとから構成され、ポリエチレンチューブ1Aがキャップ4Aのチューブ保持部4Bにより固定または摺動可能に保持され、チューブ1Aの他端開口部を容器本体5Aの底に配置し純水10Aを吸引可能にする。
【0012】
チューブ1Aの垂直部分の任意の箇所に逆止弁16Bを設ける。これにより純水は常に吐出方向に流れることができる。
さらに、容器本体5Aの筒状壁部の上部の肩部であって純水収容部分よりも上部位置に、フィルタ23がねじ止め等により装着される。このフィルタ23の詳細は後で図5に関連して説明する。
使用時の動作を説明するに、この構造の純水供給容器の容器本体5Aを手で握持して圧潰すれば容器内の内圧が高くなって純水がチューブ1Aを経てノズル2Aから吐出される。
給水終了時には、容器本体5Aは自身の弾性により復元するが、その際に容器内の内圧が低くなるのでチューブ1A内の水と空気は逆流しようとするが、逆止弁16Bが閉鎖するので逆流は阻止される。また、同時にフィルタ23を経て清浄な空気が容器内に取りこまれる。また、容器本体の内圧が上昇すると清浄な空気がフィルタを通じて外部に漏れ出す場合があるので、空気取入れ通路に実施例3と同様な逆止弁を設ける。
【0013】
実施例2
この実施例は、特許文献2に記載されたものと同様なトリガー式純水供給容器に関する例である。図2に示すように、トリガー式純水供給容器はやや硬質のプラスチック製容器本体1とその上部に取り付けたトリガー式噴出器本体2から成り、容器本体1は胴部3とその上側の肩部4の上端のネジ付口頸部5からなる。トリガー式噴出器本体2は本体部2a下面に筒状基部6を備え、筒状基部6の下部を円筒体10に固定し、円筒体10はその外向きフランジ9を、上記ネジ付口頸部5のネジに螺合するネジを有する装着筒8の内向きフランジ7により容器本体1に固定されている。筒状基部6内には本体部2aのポンプ室内へ液体を送るための吸い込み弁12付の純水吸い込路としてチューブ嵌合筒13が垂下し、また、嵌合筒13にはコネクタ14を介して吸い上げチューブ15が接続され、コネクタ14には逆止弁16Bが設けられている。
容器本体1の肩部4にはフィルタ23がねじその他の固定手段により気密的に取り付けられている。
上記構成ではトリガー19の操作で液体は容器本体1の胴部3の底部からチューブ15に吸引され、逆止弁16B、12を経て噴出器本体2内に送られ、トリガーの繰り返し操作で、吸引された純水は加圧され、ノズル2bの先端から噴出される。このとき外気がフィルタ23を通して容器本体1に吸入される。こうして純水の逆流を防止しながら液体の供給が容易に行われる。
この形式の容器では特にフィルタ23を設置した空気取入れ通路に逆止弁を設けなくて良いが、温度上昇等により容器本体の内圧が上昇したときに清浄な空気が外部へ漏れるのを防ぐために、空気取入れ通路に実施例3と同様な逆止弁を設ける。
【0014】
フィルタの構造
つぎに、実施例1及び2において使用するフィルタを説明する。図5は本発明で使用されるフィルタ23の詳細を示す断面図である。ただし純水の不純物濃度に応じて一部の構成層の使用を省略できる。図5はもっとも好ましい実施例を示すものである。
フィルタ23は、純水供給容器の内側から順に積層された、多数の開口26を有する第1の穿孔支持板25と、粒子除去用の疎水性ろ過膜27と、有機物吸着用の活性炭層28と、炭酸ガス吸収層29と、多数の開口31を有する第2の穿孔支持板30とより構成され、そしてこの積層体は外枠32により支持されている。外枠の外壁には例えば雄ねじ33が形成され、それが、図1の実施例におけるポリエチレン製純水供給容器の容器本体5Aの外壁の肩部に形成された開口部24、または図2のトリガー式純水供給容器の肩部4に形成された開口部24に設けた周壁34の内ねじに螺合されて、フィルタの周囲を気密に保持する。
第1及び第2の穿孔支持板25、30はそれに接する層を指示でき且つ十分な通気性を有するように予め開口26、31の大きさと数を適宜に調整してこれらの条件を満足させればよい。
疎水性ろ過膜27は好ましくは平均孔径が約0.1〜1.0μm、より好ましくは約0.2〜0.5μmの多孔質膜であり、空気中の浮遊粒子を除去することができる。ろ過膜27の材料としては容器が点灯した場合或いは使用時に横にされたときに容器内部の水が外部に漏れ出さないように疎水性ろ過膜から製造する。このような疎水性ろ過膜の材料としてはPVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PTFE(ポリトラフルオロエチレン)のような疎水性樹脂、あるいは疎水化処理を施したPC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)、PS(ポリスルフォン)等の公知の樹脂が使用できる。
吸着層28は好ましくは活性炭層であり空気中に存在する有機溶剤、環境ホルモン、その他の揮発性有機物を吸着する。活性炭は安価で空気中に存在することのある広範囲な種類の有機物に対して吸着性を有するので好ましい。
また炭酸ガス吸収層は好ましくは消石灰Ca(OH)2を主成分とする。消石灰は炭酸ガスを吸収するので炭酸ガスによる純水の汚染も防止され、また炭酸ガスと反応して青色に変化するのでのフィルタの限界が肉眼で検出可能となる。第2の穿孔支持板30は透明であり、前記Ca(OH)2の変色が観察できるようにする。
【0015】
実施例3
この実施例は、図1に例示した形式の、ポリエチレン等の柔軟で復元可能な弾性を有するプラスチック容器の本体を手で圧潰することにより純水を供給する形式の純水供給容器の他の実施例を例示する。
図6に示したように、この実施例の純水供給容器(瓶)は、容器本体105と、その上部の径部にねじ(図示は省略)で気密的に着脱できるポリエチレンキャップ104と、注水口(噴出ノズル)102を備えたポリエチレンチューブ101とから構成され、ポリエチレンチューブ101がキャップ104のチューブ保持部103により固定または摺動可能に保持され、チューブ101の他端開口部を容器本体105の底に配置し純水L(図7〜8参照)を吸引可能にする。
【0016】
チューブ101の垂直部分の任意の箇所(この例では下端部)に純水の供給方向への一方向流れを可能にする逆止弁116を設ける。この構造の純水供給容器の容器本体105を手で握持して圧潰すれば瓶内の空気部分の内圧が高くなって純水がチューブ101を経て注水口102から吐出される。
さらに、キャップ104の頂部には空気取入れ口106が設けられ、そこに空気の容器内への一方向流れを可能にする逆止弁107が取り付けられている。更にキャップ104の内部にはフィルタ123が保持されている。このフィルタ123の詳細は図5に関連して説明したものと同様でよいが、本実施例では特に疎水性ろ過膜127と吸着剤128のみが収納されている。疎水性ろ過膜127の下面にはフィルタの補強のため穿孔支持板125が設けられる。
【0017】
この実施例による給水供給容器(瓶)の動作は実施例1の場合と同様であるが、逆止弁107を追加したために容器内の清浄な空気が外部に漏出ことが無く、そのためフィルタ123の寿命が長くなり、交換コストが抑制できる。
動作を説明するに、図7に示したように、給水が必要な時には、容器本体105を矢印のように手で握持して所望程度に圧潰すれば容器本体内の内圧が高くなって純水がチューブ101を経て送られ、注水口102から吐出される。この給水時間中には純水供給時の内圧で閉鎖する逆止弁107が作用するので容器内の清浄な空気は外部に漏出しない。
給水終了時には、図8に示したように、容器本体105は自身の弾性により復元する。その際に容器内の空気部分の内圧が低下するのでチューブ101内の水と空気は逆流しようとするが、逆止弁116が閉鎖するので逆流は阻止される。他方、空気取入れ口106に設けた逆止弁107は開放するので外気がフィルタ123を通過する際に清浄化され、次いで矢印Aのように容器本体105内に吸引される。
【0018】
以上のように、本発明によれば、手動式の純水供給容器の容器本体の純水収容部よりも上側の壁、又はキャップにフィルタを取り付け、それと共に供給チューブに逆止弁を取り付けたので、給水時には逆止弁が開いて給水が円滑に行われると共に、給水休止時には容器の内圧が減じるので、フィルタを通して外気が浄化されて容器内部に取りこまれ、同時に、逆止弁が閉じて外気が吐出ノズルを経由して容器内へ逆流する可能性が防止される。
また、実施例3のように、逆止弁をフィルタが配置された空気取り入れ口通路にも使用する場合には、容器内の清浄な空気の外気への流出が防止されるので、フィルタの寿命が長くなる。そしてフィルタは空気中に浮遊する粉塵、有機物、炭酸ガスのいずれか1種以上を除去することが可能となり、また炭酸ガスの除去に消石灰を使用することでフィルタの使用限界を知ることが可能となる。
【符号の説明】
【0019】
1A、101 ポリエチレンチューブ
2A、102 噴出ノズルまたは注水口
4A、104 キャップ
5A、105 容器本体
16B、116 逆止弁
1 容器本体
2 トリガー式噴出器本体
3 胴部
4 肩部
5 ネジ付口頸部
6 筒状基部
12 吸い込み弁
13 チューブ嵌合筒
14 コネクタ
15 吸い上げチューブ
23、123 フィルタ
25、125 第1の穿孔支持板
26、31 多数の開口
27、127 粒子除去用の疎水性ろ過膜
28、128 吸着剤層
29 炭酸ガス吸収層
30 第2の穿孔支持板
32 外枠
33 雄ねじ
34 周壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状壁部と頂部開口部を有するプラスチック製容器本体と、前記頂部開口部に気密的に取り付けられた蓋部と、該蓋部を貫通して前記容器本体内部へ延びた純水供給チューブと、前記蓋部の上部に取り付けられ前記純水供給チューブの上端に接続された吐出ノズルとを有する純水供給容器において、
前記筒状壁部の純水収容部よりも上部位置に、純水供給時に外気を取り入れる空気取入れ通路を設け、該空気取入れ通路には空気中の細菌等の微粒子を除去するためのろ過膜を有するフィルタと容器本体内部の内圧が高くなったときに該空気取入れ通路を閉鎖する逆止弁とを設け、さらに前記供給チューブには逆止弁を設けたことを特徴とする、純水供給容器。
【請求項2】
前記筒状壁部は、手により弾性的に圧潰可能であり、前記純水供給チューブの上端と前記吐出ノズルは気密的に直結されている請求項1に記載の純水供給容器。
【請求項3】
前記純水供給チューブの上端と吐出ノズルの間には、トリガー式の吸上げ送出し機構が配置されている請求項1に記載の純水供給容器。
【請求項4】
前記フィルタは、微粒子除去用の疎水性ろ過膜である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の純水供給容器。
【請求項5】
前記フィルタは、微粒子除去用の疎水性ろ過膜と、有機物吸着用の吸着剤炭層とを含んでいる請求項1〜3のいずれか一項に記載の純水供給容器。
【請求項6】
前記フィルタは微粒子除去用の疎水性のろ過膜と、有機物吸着用の吸着剤層と、炭酸ガス吸収層を含んでいる請求項1〜3のいずれか一項に記載の純水供給容器。
【請求項7】
前記疎水性ろ過膜は平均孔径が0.1〜1.0μmである請求項4〜6のいずれか一項に記載の純水供給容器。
【請求項8】
前記炭酸ガス吸収層はCa(OH)2を主成分とする請求項6〜7のいずれか一項に記載の純水供給容器。
【請求項9】
前記フィルタは容器本体の純水収容部側に第1の穿孔支持板を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の純水供給容器。
【請求項10】
前記フィルタは前記容器本体の外側に第2の穿孔支持板を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の純水供給容器。
【請求項11】
前記炭酸ガス吸収層が容器の外部から透視できる請求項8〜10のいずれか一項に記載の純水供給容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−179954(P2010−179954A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27193(P2009−27193)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】