説明

紙および板紙コーティングのための新規光沢付けシステム

本発明は、1種以上のモノマーから得られる共重合体を含む水性エマルジョンと、超微細カオリン顔料とを含む、紙のコーティング配合物または接着配合物を対象とする。ある実施形態では、本発明は、高T9ラテックス(実質的に非造膜性)と超微細カオリンとのブレンドを対象とする。本発明はまた、繊維マトリックスと;1種または複数のモノマーから得られる共重合体を含む水性エマルジョン、および超微細カオリン顔料を含む、コーティング組成物または接着組成物とを含む紙も対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超微細カオリンと、実質的に低造膜性のラテックスとのブレンド、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
紙コーティングにおいて高光沢(例えば、>65%)を得るには、一般に、形が非中空または中空であり得るプラスチック顔料の使用が必要となる。プラスチック顔料は、「非造膜性」である、すなわち、周辺温度下で、ならびにコーティングされた紙の乾燥および仕上げ(カレンダリングまたはスーパーカレンダリング)の間に遭遇する温度において、混じり合わない。中空球プラスチック顔料(HSPP)は、コアシェル形態を有し、コアが水で満たされている。紙コーティングの乾燥プロセスの間に、空洞中の水は、シェルを通して拡散し、空気間隙を残すことができる。空気と周囲のポリマーシェルとの間の屈折率の違いによって、光が効果的に散乱し、コーティングの不透明性に寄与する。紙コーティングにおけるHSPPの使用は、光沢度、白色度、および不透明度の向上をもたらし、また、非中空プラスチック顔料よりも効果的であると考えられている(米国特許第6,410,158号を参照されたい)。加えて、シートの光沢度、平滑度、および不透明度が高まった結果として、印刷性能が向上することが多い。シート特性が向上する度合いは、HSPPの粒径および空洞体積、使用される他の鉱物顔料、ならびに利用される仕上げの種類および量に依存する。HSPPは、所望の光沢レベルに応じて、顔料の2から20乾燥重量%の範囲で使用される。コーティングの顔料部分の残りは、一般に、カオリン、重質炭酸カルシウム(GCC)、タルク(鉱物)、二酸化チタン、または沈降炭酸カルシウムなどの無機材料で構成される。HSPPの粒径は、一般に、0.1から1.0マイクロメーターの範囲にあり、粒子は、水相中で懸濁し、約25〜30固体重量%で与えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,410,158号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
HSPPは、紙コーティングで使用される一般的な鉱物顔料と比較して、著しく高価な顔料であり(乾燥ベースで、カオリンより少なくとも10倍高い)、固体ラテックスより高価でもある(乾燥ベースで、少なくとも25%高い)ので、製紙業者は、より経済的に適切な代替物を常に求めている。したがって、HSPPに代わる適切なものを開発することは、当技術分野での進歩であろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、1種または複数のモノマーから得られる共重合体を含む水性エマルジョンと、超微細カオリン顔料とを含む、紙のコーティング配合物または接着配合物を対象とする。ある実施形態では、本発明は、高Tラテックス(実質的に非造膜性)と超微細カオリンとのブレンドを対象とする。
【0006】
本発明はまた、繊維マトリックスと;1種または複数のモノマーから得られる共重合体を含む水性エマルジョン、および超微細カオリン顔料を含む、コーティング組成物または接着組成物とを含む紙も対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、操業性およびコーティングされたシートの特性にいかなる有害な影響もなく、コーティングカラー配合物におけるHSPPに取って代わる、高ガラス転移温度(「T」)ラテックスおよび超微細カオリンの相乗的使用に関する。
【0008】
本発明の超微細カオリンは、重量で少なくとも55%の粒子が、0.3μm未満(Sedigraph 5100を使用するX線沈降法によって測定された場合)、およびより微細な粒径である。一実施形態では、重量で55%の粒子が、0.3μm未満である。別の実施形態では、顔料の粒径を減少させることによって、光沢度が向上することが周知であるので、重量で70%の粒子が、0.3μm未満である。しかし、粒径を減少させることは、コーティングまたはシート不透明性によってもたらされる隠蔽性を低下させることにもつながるが、これは、ポリアミンなどのバルク薬品を使用することによって克服される可能性がある。光沢への寄与のために使用される、超微細な粒径のカオリン顔料は、HSPPの適切な体質顔料であることが示されている。
【0009】
本発明は、光沢特性のために使用される、微細な粒径のカオリン顔料または非中空プラスチック顔料が、HSPPの適切な体質顔料であり得ることを示す。しかし、HSPPの完全な代替は、まず、ある程度のTの固体ラテックス(T>30℃)を、超微細カオリンとの組み合わせで使用することによって可能である。高Tラテックスは、コーティングの塗布、計量、乾燥、およびカレンダリングなどの、仕上がった紙および板紙コーティングを得るために遭遇するプロセス条件下で、実質的に非造膜性である。高Tラテックスは、30℃超のTをもたらす1種または複数のモノマーから得られる。このラテックス(水性共重合体エマルジョンとも呼ばれる)は、フリーラジカル水性エマルジョン重合を使用して、モノマーを重合させることによって、合成的に調製される。
【0010】
紙のコーティング配合物または接着配合物での使用に適したモノマーは、一般的に、例えば、スチレン、ブタジエン、酢酸ビニル、カルボン酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリロニトリルを含む、エチレン性不飽和モノマーであり得る。例えば、適切なモノマーとして挙げることができるのは、ビニル芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−クロロスチレン、およびビニルトルエン);ブタジエン(すなわち、1,2−ブタジエン);共役ジエン(例えば、1,3−ブタジエンおよびイソプレン);α,β−モノエチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸、またはそれらの無水物(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ジメタクリル酸、エチルアクリル酸、アリル酢酸、ビニル酢酸マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、メチレンマロン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、およびメチルマロン酸無水物);3から6個の炭素原子を有するα,β−モノエチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸と、1から12個の炭素原子を有するアルカノールとのエステル(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、またはイタコン酸と、C1〜C12、C1〜C8、またはC1〜C4アルカノールとのエステル、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸エチル、n−ブチル、イソブチル、および2−エチルヘキシル、マレイン酸ジメチルおよびマレイン酸n−ブチル);アクリルアミドおよびアルキル置換アクリルアミド(例えば、(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、およびN−メチル(メタ)アクリルアミド);(メタ)アクリロニトリル;ハロゲン化ビニルおよびビニリデン(例えば、塩化ビニルおよび塩化ビニリデン);C1〜C18モノ−またはジカルボン酸のビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、およびステアリン酸ビニル);C3〜C6モノ−またはジカルボン酸、特にアクリル酸、メタクリル酸、またはマレイン酸のC1〜C4ヒドロキシアルキルエステル、あるいは2から50モルのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはこれらの混合物でアルコキシル化されたそれらの誘導体、あるいはそれらの酸と、2から50モルのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはこれらの混合物でアルコキシル化されたC1〜C18アルコールとのエステル(例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、およびアクリル酸メチルポリグリコール);ならびにグリシジル基を含有するモノマー(例えば、メタクリル酸グリシジル)である。
【0011】
紙のコーティング配合物または接着配合物での使用に適した追加のモノマーとして挙げることができるのは、直鎖状1−オレフィン、分岐鎖1−オレフィン、または環状オレフィン(例えば、エテン、プロペン、ブテン、イソブテン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、およびシクロヘキセン);アルキルラジカル中に1から40個の炭素原子を有し、アルキルラジカルが、ヒドロキシル基、アミノもしくはジアルキルアミノ基、またはアルコキシル化された1つまたは複数の基などの置換基をさらに有し得る、ビニルアルキルエーテルおよびアリルアルキルエーテル(例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、ビニル4−ヒドロキシブチルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、2−(ジ−n−ブチルアミノ)エチルビニルエーテル、メチルジグリコールビニルエーテル、およびそれらに対応するアリルエーテル);スルホ官能性モノマー(例えば、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホネート、ビニルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、およびそれらに対応するアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、アクリル酸スルホプロピル、およびメタクリル酸スルホプロピル);ビニルホスホン酸、ビニルホスホン酸ジメチル、および他のリンモノマー;アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、もしくはアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、またはそれらの四級化生成物(例えば、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチル(メタ)アクリレートクロリド、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、および3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド);C1〜C30モノカルボン酸のアリルエステル;N−ビニル化合物(例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾリン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルカルバゾール、2−ビニルピリジン、および4−ビニルピリジン);1,3−ジケト基を含有するモノマー(例えば、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートまたはジアセトンアクリルアミド;尿素基を含有するモノマー(例えば、ウレイドエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミドグリコール酸、およびメタクリルアミドグリコレートメチルエーテル);ならびにシリル基を含有するモノマー(例えば、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート)である。
【0012】
適切なモノマーとしてはまた、3から10個の炭素原子を有するα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のN−アルキロールアミド、およびそれと、1から4個の炭素原子を有するアルコールとのエステル(例えば、N−メチロールアクリルアミドおよびN−メチロールメタクリルアミド)などの1種または複数の架橋剤;グリオキザール系架橋剤;2つのビニルラジカルを含有するモノマー;2つのビニリデンラジカルを含有するモノマー;ならびに2つのアルケニルラジカルを含有するモノマーも挙げることができる。例示的な架橋モノマーとしては、二価アルコールと、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸とのジエステルを挙げることができ、このカルボン酸については、アクリル酸およびメタクリル酸を用いることができる。2つの非共役エチレン性不飽和二重結合を含有するこうしたモノマーの例としては、ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジアクリル酸1,4−ブチレングリコール、およびジアクリル酸プロピレングリコールなどのジアクリル酸アルキレングリコールおよびジメタクリル酸アルキレングリコール、ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、およびメチレンビスアクリルアミドを挙げることができる。いくつかの実施形態では、架橋モノマーとしては、ジアクリル酸アルキレングリコールおよびジメタクリル酸アルキレングリコール、および/またはジビニルベンゼンを挙げることができる。架橋モノマーは、共重合体で使用される場合、0.2から5phmの量で存在することができ、共重合体で使用されるモノマーの総量の一部と考えられる。
【0013】
架橋モノマーに加えて、少量(例えば、0.01から4phm)の分子量調整剤、例えば、tert−ドデシルメルカプタンなどを使用することができる。こうした調整剤は、重合されることとなるモノマーとの混合物中の重合帯域に添加することができ、共重合体で使用されるモノマーの総量の一部と考えられる。
【0014】
いくつかの実施形態では、モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、酢酸ビニル、ブタジエン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、および(メタ)アクリル酸グリシジルを挙げることができる。
【0015】
共重合体は、純粋なアクリル共重合体、スチレンアクリル共重合体、スチレンブタジエン共重合体、またはビニルアクリル共重合体であり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、共重合体は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリロニトリルから選択される、1種または複数のモノマーから得られる純粋なアクリル共重合体であり得る。いくつかの実施形態では、共重合体は、71から99.5phmの少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル、0から6phmのイタコン酸および/またはメタ(アクリル)酸、0から3phmの少なくとも1種の(メタ)アクリルアミド、0から20phmの少なくとも1種の(メタ)アクリロニトリル、および0から5phmのビニルトリエトキシシランを含むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、共重合体は、メタクリル酸メチル(「MMA」)とアクリル酸n−ブチル(「BA」)との共重合体であり得る。いくつかの実施形態では、共重合体は、25から85phmのMMA、20から65phmのBA、0から6phmのイタコン酸および/または(メタ)アクリル酸、0から3phmの少なくとも1種の(メタ)アクリルアミド、0から20phmの少なくとも1種の(メタ)アクリロニトリル、および0から5phmのビニルトリエトキシシランを含むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、共重合体は、MMAとアクリル酸2−エチルヘキシル(「2−EHA」)との共重合体であり得る。いくつかの実施形態では、共重合体は、25から85phmのMMA、20から65phmの2−EHA、0から6phmのイタコン酸および/または(メタ)アクリル酸、0から3phmの少なくとも1種の(メタ)アクリルアミド、0から20phmの少なくとも1種の(メタ)アクリロニトリル、および0から5phmのビニルトリエトキシシランを含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、共重合体は、2−EHAとBAとの共重合体であり得る。いくつかの実施形態では、共重合体は、20から65phmの2−EHA、20から65phmのBA、0から6phmのイタコン酸および/または(メタ)アクリル酸、0から3phmの少なくとも1種の(メタ)アクリルアミド、0から20phmの少なくとも1種の(メタ)アクリロニトリル、および0から5phmのビニルトリエトキシシランを含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、共重合体は、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、およびそれらの混合物を含めたモノマーから得られる、スチレンアクリル共重合体であり得る。例えば、このスチレンアクリル共重合体は、スチレンと、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、および(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルのうちの少なくとも1つとを含むことができる。このスチレンアクリル共重合体は、24から87phmの(メタ)アクリレート、18から81phmのスチレン、0から2phmの(メタ)アクリルアミド、および0から20phmの(メタ)アクリロニトリルを含むことができる。このスチレンアクリル共重合体はまた、0から3phmの1種または複数の上述した通りの架橋モノマー、例えば、ジアクリル酸アルキレングリコールおよびジメタクリル酸アルキレングリコールなどを含むこともできる。
【0021】
いくつかの実施形態では、共重合体は、スチレン、ブタジエン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、イタコン酸、および(メタ)アクリル酸を含めたモノマーから得られる、スチレンブタジエン共重合体であり得る。このスチレンブタジエン共重合体は、25から95phmのスチレン、15から90phmのブタジエン、0から6phmのイタコン酸および/または(メタ)アクリル酸、0から2phmの(メタ)アクリルアミド、および0から20phmの(メタ)アクリロニトリルを含むことができる。このスチレンブタジエン共重合体はまた、0から3phmの1種または複数の上述した通りの架橋モノマー、例えば、ジビニルベンゼンなどを含むこともできる。
【0022】
いくつかの実施形態では、共重合体は、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、およびそれらの混合物を含めたモノマーから得られる、ビニルアクリル共重合体であり得る。例えば、このビニルアクリル共重合体は、酢酸ビニルと、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、および(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルのうちの少なくとも1つとを含むことができる。このビニルアクリル共重合体は、24から87phmの(メタ)アクリレート、18から81phmの酢酸ビニル、0から2phmの(メタ)アクリルアミド、および0から20phmの(メタ)アクリロニトリルを含むことができる。このビニルアクリル共重合体はまた、0から3phmの1種または複数の上述した通りの架橋モノマー、例えば、ジアクリル酸アルキレングリコールおよびジメタクリル酸アルキレングリコールなどを含むこともできる。
【0023】
モノマー、およびモノマーが共重合体を形成するために使用される量は、光沢発現を促進するため共重合体のTが30℃超となり、かつ、紙コーティングにおけるバインダーとして働く共重合体の、−10℃から25℃という典型的なT範囲外となるように選択される。共重合体に使用されるモノマーの選択はまた、例えば、紙のコーティング配合物または接着配合物を製造する経費を減らすなど、経済的関心によって決まることもある。モノマーの選択はまた、例えば、水および/または光に耐性があるなど、モノマーの特徴および最終的適用の要件によって決まることもある。
【0024】
Styronal ND811と名付けられた製品(BASF社)は、紙および板紙コーティングのための光沢添加剤として有用な、カルボキシル化されたスチレン/ブタジエン共重合体の分散剤である。この製品は、固体含有量が約50%であり(中空球プラスチック顔料を覆うコーティングカラー固形物の向上を可能にするので、コーティングの乾燥経費を下げる)、Tが56℃である。この製品だけでは、HSPPにより与えられる光沢度に匹敵させる可能性は低い(米国特許第6,410,158号、実施例2を参照されたい)。
【0025】
驚いたことに、以下の実施例が示す通り、ナノサイズのカオリン顔料と高Tラテックスとの組み合わせによる、中空球プラスチック顔料の代替が可能であり、これによって、製紙工場に、現存の基礎設備に影響なく経済的利点がもたらされるであろう。超微細カオリンは、標準的なカオリンに代わり、高Tラテックスは、配合物におけるプラスチック顔料に代わるか、または超微細カオリンと高Tラテックスとのブレンドを使用することができる。
【0026】
実施例1
Styronal ND811単独では、中空球プラスチック顔料で達成される光沢度がもたらされない。
【0027】
表1は、中空球プラスチック顔料を含む配合を、1つ変更したこと−その顔料(サンプル4)を、高TラテックスのStyronal ND811(サンプル7)に代えたことを示している。
【0028】
【表1】

【0029】
配合物を、固形分59%およびpH8.0で作製した。これを、Modern Metalcraftのコーティング機を使用して、LWC砕木原紙に塗布した。当業者に既知の標準的手順を使用して、このコーティングされた紙を乾燥させ、シートに切断し、目標の光沢度65%までカレンダリングした(2ニップ、ロール温度250F、および圧力500pli)。
【0030】
【表2】

【0031】
明らかに、ND811は、光沢度目標を達成しない。
【0032】
実施例2
表3は、超微細カオリン製品であるM07−1061が、#1高白色カオリン顔料の代替として使用されたとき、同じカレンダリング条件下で光沢度目標を達成しつつ、プラスチック顔料の大幅な減少(5部から2部)をもたらすことを示している。配合ならびにコーティングカラー粘度、固形分、および目標のコーティング重量および光沢度を表3に示す。
【0033】
【表3】

【0034】
このコーティングカラーを、Modern Metalcraftのコーティング機を使用して、原紙に塗布した。標準的手順を使用して、このコーティングされた紙を乾燥させ、シートに切断し、目標の光沢度65%までカレンダリングした。表4は、このコーティングされた紙の特性を示す。
【0035】
【表4】

【0036】
#1高白色カオリン顔料をM07−1061と名付けられた製品に代え、かつプラスチック顔料含有量を5部から2部に減らした結果として、シート高白色度の喪失なく、同一の光沢度が得られた。
【0037】
実施例3
実施例3は、ND811と名付けられたBASF製品(ラテックス)と、M07−1061(カオリン)との組み合わせが、シート高白色度を向上させて、かつコーティング強度の喪失なく、完全にプラスチック顔料に取って代わるであろうこと示している。
【0038】
【表5】

【0039】
【表6】

【0040】
表6は、M07−1061の組み合わせを使用して、コーティング強度に有害な影響なく、光沢度が大幅に向上したことを示している。また、前の実施例で観察した通り、プラスチック顔料の代替によって、コーティングカラーのレオロジーが向上し、すべてのコーティングの保水性が、依然として優れたままであった。
【0041】
実施例4
実施例4は、ND811およびM07−1061と名付けられたBASF製品の組み合わせが、ND811のみ、またはM07−1061のみの場合を超えて性能を向上させて、プラスチック顔料を排除するであろうことを重ねて示している。
【0042】
配合、およびコーティングカラーの特徴を表8に示す。
【0043】
【表7】

【0044】
このコーティングカラーを、Modern Metalcraftのコーティング機を使用して、原紙に塗布した。標準的手順を使用して、このコーティングされた紙を乾燥させ、シートに切断し、目標の光沢度70%までカレンダリングした。表9は、このコーティングされた紙の特性を示す。
【0045】
【表8】

【0046】
HSPPをND811のみと代えることによって、シート光沢度およびシート白色度は維持されるが、不透明度は、大幅に、0.8ポイント低下し、印刷光沢度は、4ポイント低下する。一方、#1級カオリンを超微細カオリンと代えて、HSPPを除くことによって、光沢度が4ポイント低下し、印刷光沢度が5ポイント低下する。しかし、ND811と超微細カオリンの両方を使用することによって、同等の光沢度、より高いシート白色度、わずかではあるが、より低い透明度および印刷光沢度がもたらされる。
【0047】
ある実施形態では、モノマーおよびカオリン顔料が、別々に、またはブレンドとして組み合わせて、該コーティング配合物または接着配合物に添加される。
【0048】
本発明を、その例示的な実施形態を参照して、具体的に示し、説明してきたが、以下の特許請求の範囲によって定められる通りの、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明において形態および細部の様々な変更をなし得ることが、当業者によって理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のモノマーから得られる共重合体を含む水性エマルジョンと、
超微細カオリン顔料と
を含む、紙のコーティング配合物または接着配合物。
【請求項2】
前記1種以上のモノマーが、スチレン、ブタジエン、酢酸ビニル、カルボン酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリロニトリルからなる群から選択される、請求項1に記載の紙のコーティング配合物または接着配合物。
【請求項3】
前記共重合体が、純粋なアクリル系共重合体、スチレンアクリル系共重合体、スチレンブタジエン系共重合体、およびビニルアクリル系共重合体から選択される、請求項1に記載の紙のコーティング配合物または接着配合物。
【請求項4】
前記共重合体が、純粋なアクリル系共重合体を含む、請求項3に記載の紙のコーティング配合物または接着配合物。
【請求項5】
前記1種以上のモノマーの少なくとも1種が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の紙のコーティング配合物または接着配合物。
【請求項6】
前記1種以上のモノマーが、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸ブチルを含む、請求項5に記載の紙のコーティング配合物または接着配合物。
【請求項7】
前記1種以上のモノマーが、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルを含む、請求項5に記載の紙のコーティング配合物または接着配合物。
【請求項8】
前記1種以上のモノマーがアクリル酸をさらに含む、請求項5に記載の紙のコーティング配合物または接着配合物。
【請求項9】
前記共重合体のガラス転移温度が30℃より高い、請求項3に記載の紙のコーティング配合物または接着配合物。
【請求項10】
少なくとも55%の前記カオリン顔料が0.3μm未満である、請求項1に記載の紙のコーティング配合物または接着配合物。
【請求項11】
前記モノマーおよびカオリン顔料が、別々に、またはブレンドとして組み合わせで前記コーティング配合物または接着配合物に添加される、請求項1に記載の紙のコーティング配合物または接着配合物。
【請求項12】
繊維マトリックスと、
1種以上のモノマーから得られる共重合体を含む水性エマルジョンと、超微細カオリン顔料と、を含む、コーティング組成物または接着組成物と
を含む紙。
【請求項13】
前記1種以上のモノマーが、スチレン、ブタジエン、酢酸ビニル、カルボン酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリロニトリルからなる群から選択される、請求項12に記載の紙。
【請求項14】
前記共重合体が、純粋なアクリル系共重合体、スチレンアクリル系共重合体、スチレンブタジエン系共重合体、およびビニルアクリル系共重合体から選択される、請求項12に記載の紙。
【請求項15】
前記共重合体が、純粋なアクリル系共重合体を含む、請求項14に記載の紙。
【請求項16】
前記1種以上のモノマーの少なくとも1種が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の紙。
【請求項17】
前記1種以上のモノマーが、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸ブチルを含む、請求項16に記載の紙。
【請求項18】
前記1種以上のモノマーが、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルを含む、請求項16に記載の紙。
【請求項19】
前記1種以上のモノマーがアクリル酸をさらに含む、請求項16に記載の紙。
【請求項20】
前記共重合体のガラス転移温度が30℃より高い、請求項14に記載の紙。
【請求項21】
少なくとも55%の前記カオリン顔料が0.3μm未満である、請求項12に記載の紙。
【請求項22】
前記モノマーおよびカオリン顔料が、別々に、またはブレンドとして組み合わせで前記コーティング配合物または接着配合物に添加される、請求項12に記載の紙。

【公表番号】特表2013−501157(P2013−501157A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522992(P2012−522992)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/043511
【国際公開番号】WO2011/014545
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(505470786)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (81)
【Fターム(参考)】