説明

紙幣収納装置

【課題】高コストで容量の大きな一時保留部をなくして低廉化、小型化を図りながら、投入された紙幣を一時保留する機能を実現しつつ集計作業、金庫への収納を実施する。
【解決手段】搬送されてきた紙幣を規定枚数まで収容する一時プール部15と、良紙幣を収納する回収金庫20と、を備え、納金モードが選択された時には、入金取込部5から搬送されてくる紙幣のうち良紙幣を一時プール部に、不良紙幣を返却部13aにそれぞれ搬送し、一時プール部に収容された紙幣が規定枚数に達すると当該紙幣を一括して回収金庫に搬送し収納する操作を繰り返し、入金取込部に載置された紙幣束がすべて搬送し終わると、一時プール部に収容された紙幣が規定枚数に達していなくても一括して回収金庫に搬送し収納する操作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスーパーマーケット等の小売店に設置されたレジスタに溜まった紙幣を終業時等に集計、回収する紙幣収納装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
廃止される夜間金庫が増えたり、その利用料金が値上げされている昨今、小売店等における売上金回収、保管手段として、店舗毎に設置される売上金入金機(紙幣収納装置)の需要が高まっている。売上金入金機に保管された金銭は、警備会社に引き渡されて安全に回収される。
売上金入金機は紙幣枚数、金額を集計する集計機能を有すると共に、投入された売上金を保管するための金庫を備えている(特許文献1)。
コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の小売店舗において、終業時、その他の集計時期に、レジスタから取り出した紙幣を集めて売上金入金機に投入することにより、集計と、集計した紙幣の金庫内への収納、保管という作業が自動的に実施される。予め紙幣枚数、金額が判明している場合には集計せずに金庫内へ収納する機能だけを利用することもある。
【0003】
図4(a)及び(b)は従来の売上金入金機の概略構成を説明する正面図、及び側面図であり、この売上金入金機は、入金部100と、入金された紙幣の識別と集計を行う判別部102と、一時保留部104と、金庫106と、リジェクト部108と、一時収納部104内の紙幣を一括して金庫106内に移送する収納機構110と、を備えている。判別部102で紙幣の識別と集計を行い、受入れ不能な紙幣(不良紙幣)である場合には機外にリジェクトする。この売上金入金機を用いて紙幣を金庫に収納する納金モードを実施する場合には、受入れ可能と判断された紙幣(良紙幣)は一時保留部104に一旦保留することにより、投入された一連の紙幣の入金額に誤りが発生した場合等に、収納金庫に移送せずに返却口104aから機外に返却できるように待機させる。投入された全紙幣についての識別を完了して全紙幣について入金額等に問題がない場合には、収納機構110を作動させて一時保留部に保留した全紙幣を一括して金庫106に収納する。
【0004】
一時保留部104には入金部100から投入される全紙幣(例えば、100枚)のうち受入れ可能であると判断された良紙幣(例えば、不良紙幣が2枚ある場合には、良紙幣は98枚)を全て一時保留して良紙幣の全金額、枚数を把握する必要があるため、その容量は必然的に大きくなる。従って、金庫を大型化して収容枚数を増大させようとすれば、一時保留部における保留可能枚数を更に増大して大型化する必要があり、装置全体も更に大型化する。更に一時保留部に収容された全紙幣を一括して金庫内に移送するためには収納機構110に対して信頼性や安定性が高いレベルで求められ、コストアップをもたらすこととなる。即ち、一時保留部及び収納機構は、紙幣を積載するバックアッププレートと、導入されてきた紙幣を一枚ずつバックアッププレート上にガイドして積載する積載機構と、バックアッププレート上に積載を完了した全紙幣を一括して金庫内に落下させる落下機構と、を備えているため、構成が複雑、大型、且つ高コストとなる。
【0005】
また、納金モードによる収納動作が途中で取消された場合や、集計モードが実施される場合には、一時保留部104に保留した紙幣を回収金庫106へ移送せずに返却口104aに移送することになるが、一時保留部と返却口との間の経路には図示しない外部からの抜取りを防ぐためのシャッタが設けられている。また、このシャッタをこじ開ける等の行為によって一時保留された紙幣を抜き取る不正行為を防止するために、シャッタには電磁ロック等のロック機構が設けられている。
大規模なコンビニエンスストアやスーパーマーケットのように複数台のレジスタを設置している店舗にあっては、計数した上での集計や、本社とのデータのやりとり等を行うことができ、且つ大量の紙幣を収容できる大型、高価な売上金入金機を設置する必要が大きい。しかし、中、小規模な小売店では集計機能と保管機能を備えた小型、低廉な売上金入金機があれば十分であり、このような売上金入金機の需要が中、小の小売店で増大している。
【0006】
しかし、挿入された紙幣のうちの良紙幣を全て一時的に保留する容量の大きな一時保留部を備えている限り、売上金入金機を小型、低廉化することは難しい。
特許文献1に開示された売上金入金機は、一時保留部を無くする一方で、リジェクト部に一時保留部の機能を持たせている。即ち、ホッパに投入された紙幣を一枚ずつ取り出して判別部で集計、識別した後で全てリジェクト部に送り、金額を確認した後でリジェクト部から手で抜き取った紙幣を再びホッパに投入すると、集計後に直接紙幣カセット(金庫)に収納される。
しかし、判別部がエラー紙幣を検知するとその紙幣をリジェクト部に送り込んだ時点で動作を停止し、リジェクト部から取り出した紙幣束からエラー紙幣だけを取り除いた後で再びホッパに投入して集計をやり直す必要がある。エラー紙幣が多い場合には、その都度人手による操作を何度も繰り返す必要があり、煩雑な作業となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3340176号
【特許文献2】特開2006−85219公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、容量の大きな一時保留部をなくして小型化、低廉化を図りながら、投入された紙幣を一時保留する機能を実現しつつ集計作業、金庫への収納を実施できる売上金入金機(紙幣収納装置)を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、処理対象となる紙幣束から紙幣を一枚ずつ分離して給送する入金取込部と、該入金取込部から給送されてきた紙幣を搬送経路に沿って装置本体内に搬送する搬送機構と、搬送される紙幣が受入れ可能な良紙幣かリジェクトすべき不良紙幣であるかを識別する識別部と、搬送されてきた紙幣を所要枚数収容し該紙幣を機外に払い出す返却部と、搬送されてきた紙幣を規定枚数まで収容する一時プール部と、前記良紙幣を収納する回収金庫と、納金モードと集計モードの何れかを選択する操作手段と、制御手段と、を備えた紙幣収納装置であって、前記制御手段は、前記操作手段にて納金モードが選択された時には、前記入金取込部から搬送されてくる紙幣のうち良紙幣を前記一時プール部に、不良紙幣を前記返却部にそれぞれ搬送し、前記一時プール部に収容された紙幣が規定枚数に達すると当該紙幣を一括して前記回収金庫に搬送し収納する操作を繰り返し、前記入金取込部にセットされた紙幣束がすべて搬送し終わると、前記一時プール部に収容された紙幣が規定枚数に達していなくても一括して前記回収金庫に搬送し収納する操作を行い、納金モードを終了するよう制御することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、紙幣の枚数を計数する計数部と、表示部と、を更に備え、前記制御手段は、前記計数部からの計数値に基づき前記回収金庫に収納される良紙幣の枚数を前記表示部に表示することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、前記制御手段は、前記操作手段にて集計モードが選択された時には、前記入金取込部から搬送されてくる紙幣のうち良紙幣を前記返却部に、不良紙幣を前記一時プール部にそれぞれ搬送し、前記計数部からの計数値に基づき前記返却部に搬送される前記良紙幣の枚数を前記表示部に表示し、前記入金取込部に載置された紙幣束がすべて搬送し終わると待機状態となり、前記待機状態に於いて前記返却部内に収容された良紙幣が全て除去されると、前記一時プール部内の不良紙幣を全て前記返却部へ搬送して、集計モードを終了するよう制御することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、前記入金取込部に紙幣束が載置されているか否かを検出する紙幣検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記操作手段で納金モードと集計モードの何れかが選択された状態で、前記紙幣検出手段が前記入金取込部に紙幣束が載置されたことを検出すると、選択されたモードの動作を開始するよう制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、紙幣を投入する前に納金モードと集計モードの何れかを選択し、各モードの違いに応じて処理紙幣の搬送先を変更することで、大容量の一時保留部を備えることなく、従来装置と同等の納金機能を発揮することができる。即ち、従来の多枚数一括収納方式から、少数枚を小分けにして収納する方式とすることにより、装置構造の簡略化、省スペース化、低コスト化を図ることができる。
紙幣投入前にモード選択を行って処理紙幣の搬送先を変更するので、従来のように一時保留部に電磁ロック付きのシャッタ構造を設ける必要がなくなり、コストダウンを図ることができる。
また、投入する金額が事前に確認済みであったり、正確な入金管理を行う必要がない場合には、事前の集計を省略して納金作業のみを実施すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)及び(b)は本発明に係る紙幣収納装置(売上金入金機)の構成及び動作の説明図である。
【図2】納金モードにおける動作を説明するフローチャートである。
【図3】集計モードにおける動作を説明するフローチャートである。
【図4】(a)及び(b)は従来の売上金入金機の概略構成を説明する正面図、及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は本発明に係る紙幣収納装置(売上金入金機)の構成及び動作の説明図であり、図2は納金モードにおける動作を説明するフローチャートであり、図3は集計モードにおける動作を説明するフローチャートである。
紙幣収納装置(売上金入金機)1は、例えばコンビニエンスストア、中小規模のスーパーマーケット等の小売り店に設置されてレジスタに溜められた紙幣を集計したり、収納(金庫へ納金)する機能を有する。
紙幣収納装置1は、外装体3と、処理対象となる紙幣束から紙幣を一枚ずつ分離して装置内に給送する入金取込部5と、入金取込部5から給送されてきた紙幣を装置本体内に搬送する搬送経路7と、搬送経路7に沿って紙幣を搬送するための図示しないモータ、ソレノイド、及びローラ、ベルト、ゲートから成る搬送機構9と、搬送経路7を搬送される紙幣が金庫内に受入れ可能な良紙幣かリジェクトすべき不良紙幣であるか等を識別する識別部11と、不良紙幣を所要枚数収容するリジェクト部13と、搬送されてきた紙幣を所要枚数収容し該紙幣を機外に払い出す返却部13aと、搬送されてきた紙幣を規定枚数まで収容すると共に収容した紙幣を搬送経路7に送出する機能を有した一時プール部15と、一時プール部15に収容された良紙幣を収納する回収金庫20と、一時プール部15内の紙幣が所要枚数に達した時に全ての紙幣を一括して回収金庫20に収納する収納機構25と、入金取込部5から紙幣を投入する前に納金モードと集計モードの何れかを選択する操作手段30と、紙幣の枚数を計数する計数部35と、表示部36と、入金取込部5に紙幣束がセットされているか否かを検出する紙幣検出手段37と、制御手段40と、を備える。
【0016】
入金取込部5は一括投入された複数枚の紙幣を一枚ずつに分離しながら搬送経路7に送り出すための分離給送機構を備えている。
搬送経路7及び搬送機構9は、入金取込5から投入された紙幣のうちの良紙幣を一時プール部15へ搬送する機能と、不良紙幣をリジェクト部13へ搬送する機能を有している。制御手段40からの制御によって各ローラ、ベルト、ゲートを切り替え駆動することにより、所定のタイミングにて上記の各搬送機能を実現することができる。
識別部11は、紙幣の真贋、金種等を識別して受入れ可能か否かについての判断情報を制御手段40に送出する。
一時プール部15には直接機外へ紙幣を排出する排出部を備えておらず、収容部内に紙幣を排出する場合には搬送経路7、リジェクト部13を経由して返却部13aから排出する。このため、排出部を有した従来の一時保留部のように排出部を開閉するシャッタを設ける必要がなくなり、一時プール部に収納された紙幣をシャッタをこじ開けて不正に取り出す行為を防ぐ電磁ロックなどを設ける必要がなくなっている。
制御手段40は、計数部35からの計数値に基づき回収金庫20に収納される良紙幣の枚数を表示部36に表示する。
【0017】
本発明の一つの特徴は、従来の紙幣収納装置(売上金入金機)が備えていた大容量の一時保留部に代えて小容量の一時プール部15を設けて小型化を図ると共に、一時プール部に機外への紙幣排出部、及びシャッタを設けないことによって、外部からシャッタをこじ開けることにより収容部から紙幣を不正に取り出す行為を防止した点にある。
また、本発明の他の特徴は、入金取込部5に紙幣束を挿入する前に操作部30からの操作によって納金モードか集計モードかの機能選択を行うようにした点にある。
納金モードが選択された場合には、識別部11において回収金庫20に受入れ可能な良紙幣であると判定された紙幣を一時プール部15に搬送し、一定の少枚数が溜まった段階でこの紙幣束を回収金庫に収納する。この動作を繰り返すことにより、全ての良紙幣を回収金庫内に収納する。
【0018】
一時プール部15は、集計、或いは納金のために入金取込部5から投入されて搬送されてくる多枚数の良紙幣(例えば、100枚)を全て収容するスペースを有していない。一時プール部15の収納可能枚数は、例えば投入される全良紙幣を複数回に分けて一時的にプールできるように小容量(例えば、15枚)に設定されている。図1(a)中の太い実線矢印で示した納金ルートにて表したように、制御手段40は、一時プール15に最初の15枚が収容された時点で収納機構25を作動させて15枚の良紙幣を回収金庫20に移送し、続いて次の15枚について同様に一時プール部への収容、回収金庫への移送を順次繰り返す。このように納金モードでは、「識別処理→15枚を一時プール→15枚を金庫収納」の動作が繰り返されるため、投入され、良紙幣であると判定を受けた紙幣はそのまま回収金庫20へ収納される。
納金前に納金する紙幣の枚数、金額を知りたい場合には、事前に集計モードによる集計を実施してから納金モードへ移行すればよい。
なお、納金モード中に識別部11によって不良紙幣であると判定された紙幣は、一時プール部15の手前で搬送ルートを切り換えられて、図1(a)中に太い破線矢印で示したリジェクトルートを経てリジェクト部13へ収納され、返却部13aから機外に返却される。
【0019】
操作手段30からの操作により納金モードと集計モードの何れかが選択された状態で、紙幣検出手段37が入金取込部5に紙幣束がセットされたことを検出すると、制御手段40は、選択されたモードの動作を開始するよう制御する。
操作手段30にて納金モードが選択された時には制御手段40は、入金取込部5から搬送されてくる紙幣のうちの良紙幣を一時プール部15に、不良紙幣を返却部13aにそれぞれ搬送し、一時プール部15に収容された紙幣が規定枚数に達すると収納機構25を作動させて当該紙幣を一括して回収金庫20に搬送して収納する操作を繰り返す。入金取込部5にセットされた紙幣がすべて搬送し終わると、一時プール部15に収容された紙幣が規定枚数に達していなくても一括して回収金庫20に搬送し収納する操作を行う。これにより、納金モードを終了する。
次に、操作手段にて集計モードが選択された時には制御手段40は、入金取込部5から搬送されてくる紙幣のうち良紙幣を返却部13aに、不良紙幣を一時プール部15にそれぞれ搬送し、計数部35からの計数値に基づき返却部13aに搬送される良紙幣の枚数を表示部36に表示し、入金取込部にセットされた紙幣束がすべて搬送し終わると待機状態となり、待機状態に於いて返却部内に収容された良紙幣が全て除去されると、一時プール部15内の不良紙幣を全て返却部へ搬送して、集計モードを終了するよう制御する。
【0020】
次に、納金モードにおける動作手順について図2に基づいて説明する。
制御手段40は、操作部30からの操作によって納金モードが選択された時には、入金取込部5から一時プール部15に搬送されてくる良紙幣の集積枚数が全納金紙幣枚数(例えば、100枚)よりも少ない規定枚数(例えば、15枚)に達した時点で収納機構25を作動させて回収金庫20内に一括収納する操作を実施し、規定枚数が集積される毎にこの操作を繰り返す(S1〜S6)。入金取込部5にセットされた紙幣がすべて搬送し終わると(ステップ6、NO)、一時プール部内に良紙幣があるか否かを判断し(S7)、良紙幣がある場合には(S7、Yes)一時プール部15に収容された紙幣が規定枚数に達していなくても一括して回収金庫20に搬送し収納する操作を行う(S9)。全紙幣の納金、及びリジェクトが終了した時に該納金モードを終了する。
【0021】
次に、集計モードにおける動作手順について図3に基づいて説明する。
集計モードが選択された場合には、制御手段40は、入金取込部5から搬送され識別部11において良紙幣であると判定された紙幣を全てリジェクト部13に収容する一方で(図1(b)中の太線矢印のルート、S20〜23)、不良紙幣を一時プール部15に収容するように制御する(S28)。なお、ステップ22において、良紙幣と判断された紙幣の計数値を更新して計数値を表示する。ステップ24では入金取込部に紙幣があるか否かを判断し、紙幣がない場合にはリジェクト部内の良紙幣を取り出すべき旨をオペレータに表示して、リジェクト部内の良紙幣が取り出された場合には一時プール部内の不良紙幣をリジェクト部へ搬送する(S24〜27)。
【0022】
以上の構成を備えた本発明の紙幣収納装置1は、次のような効果を奏する。
大容量の一時保留部を備えた従来の紙幣収納装置は、一時保留部に良紙幣を全て収容して金額、枚数を把握してから回収金庫に一括移送する構成を採用していた。このため、一時保留部が大型化していた。
これに対して本発明では、紙幣を投入する前に納金モードと集計モードの何れかを選択し、各モードの違いに応じて処理紙幣の搬送先を変更することで、大容量の一時保留部を備えることなく、従来装置と同等の納金機能を発揮することができる。
即ち、回収金庫20へ収納する紙幣全てを一箇所に保留しないので、従来装置の一時保留部に相当する一時プール部15のスペースを大きく確保する必要がなくなり、紙幣処理装置全体の小型化を達成できる。換言すれば、従来の多枚数一括収納方式から、少数枚を小分けにして収納する方式とすることにより、装置構造の簡略化、省スペース化、低コスト化を図ることができる。
紙幣投入前にモード選択を行って処理紙幣の搬送先を変更するので、従来のように一時保留部に電磁ロック付きのシャッタ構造を設ける必要がなくなり、コストダウンを図ることができる。
また、本発明の紙幣収納装置1にあっては、投入する金額が事前に確認済みであったり、正確な入金管理を行う必要がない場合には、事前の集計を省略して納金作業のみを実施すればよい。
【符号の説明】
【0023】
1…紙幣収納装置、3…外装体、5…入金取込部、7…搬送経路、9…搬送機構、11…識別部、13…リジェクト部、13a…返却部、15…一時プール部、20…回収金庫、25…収納機構、30…操作手段、40…制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象となる紙幣束から紙幣を一枚ずつ分離して給送する入金取込部と、該入金取込部から給送されてきた紙幣を搬送経路に沿って装置本体内に搬送する搬送機構と、搬送される紙幣が受入れ可能な良紙幣かリジェクトすべき不良紙幣であるかを識別する識別部と、搬送されてきた紙幣を所要枚数収容し該紙幣を機外に払い出す返却部と、搬送されてきた紙幣を規定枚数まで収容する一時プール部と、前記良紙幣を収納する回収金庫と、納金モードと集計モードの何れかを選択する操作手段と、制御手段と、を備えた紙幣収納装置であって、
前記制御手段は、前記操作手段にて納金モードが選択された時には、前記入金取込部から搬送されてくる紙幣のうち良紙幣を前記一時プール部に、不良紙幣を前記返却部にそれぞれ搬送し、前記一時プール部に収容された紙幣が規定枚数に達すると当該紙幣を一括して前記回収金庫に搬送し収納する操作を繰り返し、
前記入金取込部にセットされた紙幣束がすべて搬送し終わると、前記一時プール部に収容された紙幣が規定枚数に達していなくても一括して前記回収金庫に搬送し収納する操作を行い、納金モードを終了するよう制御することを特徴とする紙幣収納装置。
【請求項2】
紙幣の枚数を計数する計数部と、表示部と、を更に備え、
前記制御手段は、前記計数部からの計数値に基づき前記回収金庫に収納される良紙幣の枚数を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の紙幣収納装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記操作手段にて集計モードが選択された時には、前記入金取込部から搬送されてくる紙幣のうち良紙幣を前記返却部に、不良紙幣を前記一時プール部にそれぞれ搬送し、
前記計数部からの計数値に基づき前記返却部に搬送される前記良紙幣の枚数を前記表示部に表示し、
前記入金取込部に載置された紙幣束がすべて搬送し終わると待機状態となり、
前記待機状態に於いて前記返却部内に収容された良紙幣が全て除去されると、前記一時プール部内の不良紙幣を全て前記返却部へ搬送して、集計モードを終了するよう制御することを特徴とする請求項2に記載の紙幣収納装置。
【請求項4】
前記入金取込部に紙幣束が載置されているか否かを検出する紙幣検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記操作手段で納金モードと集計モードの何れかが選択された状態で、前記紙幣検出手段が前記入金取込部に紙幣束が載置されたことを検出すると、選択されたモードの動作を開始するよう制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の紙幣収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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