説明

紙幣識別装置

【課題】紙幣識別装置に投入された紙幣が搬送通路上の磁気検知センサーを通過するとき、その搬送抵抗を小さくし、紙幣詰まりを防止することができる紙幣識別装置を提供する。
【解決手段】紙幣の投入口5と、投入口5に連なって延設された紙幣の搬送通路15と、搬送通路15に沿って紙幣を搬送する搬送手段7,10と、搬送通路15上に設けられ、搬送紙幣の磁気特性を検知する磁気センサー25と、磁気センサー25に対向して設けられ、搬送通路15上を搬送される紙幣を磁気センサー25に押し当てるように付勢するセンサー押え板27と、を備えた紙幣識別装置1において、センサー押え板27の付勢を解除する付勢解除手段34を有し、付勢解除手段34は、搬送通路25上を搬送される紙幣の端部が磁気センサー25上に突入するとき、センサー押え板27による紙幣の付勢を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機等に搭載され、投入された紙幣を識別して受け入れる紙幣識別装置に関し、特にその識別部の紙幣詰まりを防止するようにした紙幣識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこのような紙幣識別装置としては、先に出願公開された特開平7−105427号公報(特許文献1)に記載されるような識別構造を備えた紙幣識別装置が知られている。 この特許文献1に記載される紙幣識別装置は、常時は脚片が紙幣の搬送通路内に突出して紙幣の通過を阻止し、紙幣の投入時に脚片を搬送通路から没入して紙幣の通過を許容する引戻防止機構を具備した紙幣の不正行為防止機構を備え、その脚片の少なくとも一つに対応して、紙幣の搬送方向に磁気検知センサーや光センサーを同一列に配置したものである。
【0003】
これによれば、引戻防止機構の脚片の位置に合わせて紙幣をその挿入方向に分けて裁断し、その各裁断片の縁部に紐を取り付けると共に、各裁断片同士を弱い接着力の接着片を用いて接着することにより相互に繋ぎ合わせて紙幣の原形を復元し、この状態で搬送通路に、その変造紙幣を挿入し、その受入が完了した直後に、紐により紙幣をその繋ぎ目から分割して引き戻す不正行為を実行しようとすると、繋ぎ合わせた変造紙幣における繋ぎ部分は、磁気検知センサーや光センサーにより、その磁気抵抗や透過光率が検知されるが、その検知結果は、繋ぎ合わせ部分において正規紙幣のそれと異なるので、その変造紙幣の受入が拒否されて挿入口に逆送されることで、不正行為の実行を防止することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−105427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載される紙幣識別装置においては、磁気検知センサーにより受け入れ紙幣の磁気抵抗特性を検知する場合、その検知を正確に行うために、紙幣を押圧部材により磁気検知センサーに押圧して密接させ、その磁気抵抗を検知するように構成されている。ここで、この磁気検知センサーと押圧部材は、常時は押圧部材を磁気検知センサーに向けて付勢するばね等により圧接されている。そして、紙幣識別装置に紙幣が投入されると、その先端が搬送通路上に配置されたこれらの磁気検知センサーと押圧部材の接合部に押し込まれるようにして搬送される。このとき、紙幣の先端は押圧部材を押し退けるようにその接合部に進入するため、その搬送抵抗が大きくなる。また、投入された紙幣がこれらの磁気検知センサーの検知結果に基づいて、その受入が拒否された場合は、その紙幣の後端が同様に磁気検知センサーと押圧部材の接合部に押し込まれるようにして逆方向に搬送され、投入口に返却される。この場合も同様に搬送抵抗が大きくなる。そうすると、紙幣の端部が磁気検知センサーと押圧部材の接合部を通過するとき、その搬送抵抗が大きくなり紙幣詰まりが発生しやすい。特に皺癖の付いた札や湿った札等の腰の弱い札が投入された場合には、この磁気検知センサーと押圧部材の接合部を通過できずに詰まりが発生する頻度が高くなる問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に対応するため、紙幣識別装置に投入された紙幣の端部が搬送通路上に設けられる磁気検知センサーを通過する場合に、その搬送抵抗を小さくし、例えば、投入される紙幣が皺札や濡れ札等の腰の弱い札であっても、その紙幣詰まりを防止することができる信頼性の高い紙幣識別装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、紙幣の投入口と、前記投入口に連なって延設された紙幣の搬送通路と、前記搬送通路に沿って紙幣を搬送する搬送手段と、前記搬送通路上に設けられ、搬送紙幣の磁気特性を検知する磁気センサーと、前記磁気センサーに対向して設けられ、前記搬送通路上を搬送される紙幣を前記磁気センサーに押し当てるように付勢するセンサー押え板と、を備えた紙幣識別装置において、前記センサー押え板の前記付勢を解除する付勢解除手段を有し、前記付勢解除手段は、前記搬送通路上を搬送される紙幣の端部が前記磁気センサー上に突入するとき、前記センサー押え板による紙幣の付勢を解除するものである。
【0008】
これによれば、前記搬送通路上を搬送される紙幣の先端が前記磁気センサー上に突入するとき、前記センサー押え板による前記磁気センサーに向けた紙幣の付勢が、前記付勢解除手段によって解除されるから、その紙幣の先端が前記磁気センサー上を通過するときの搬送抵抗を小さくすることができる。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の紙幣識別装置において、常時は前記紙幣搬送通路を閉鎖し、前記投入口から紙幣が投入されたとき、またはその紙幣の受入が拒否されて返却されるとき前記紙幣の搬送通路を開放する紙幣引抜防止用の搬送路シャッターを備え、前記付勢解除手段は、前記搬送路シャッターの開放動作と連動して前記センサー押え板による紙幣の付勢を解除するものである。
【0009】
これによれば、前記投入口から紙幣が投入されたとき、またその紙幣の受入が拒否されて返却されるときに、前記搬送路シャッターの開放動作に連動して、前記センサー押え板による前記磁気センサーに向けた紙幣の付勢が解除されるから、その紙幣の端部が前記磁気センサー上を通過するときの搬送抵抗を小さくすることができる。また、前記付勢解除手段は前記搬送路シャッターと連動して前記センサー押え板による紙幣の付勢を解除するから、それらの駆動手段を一つにして構成を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように請求項1に係る発明によれば、搬送通路上を搬送される紙幣の先端が磁気センサー上に突入するとき、センサー押え板による磁気センサーに向けた紙幣の付勢が、付勢解除手段によって解除されることで、その紙幣の先端が前記磁気センサー上を通過するときの搬送抵抗を小さくすることができるから、その紙幣の端部が磁気センサー上に突入するときの詰まりを防止することができる。したがって、これにより信頼性の高い紙幣識別装置を提供することができる。
【0011】
また、請求項2に係る発明によれば、投入口から紙幣が投入されるとき、また紙幣の受入が拒否されて返却されるときに、搬送路シャッターの開放動作に連動して、センサー押え板による磁気センサーに向けた紙幣の付勢が解除されることにより、その紙幣の端部が磁気センサー上を通過するときの搬送抵抗を小さくすることができるから、紙幣の投入時、または紙幣の返却されるときに、紙幣の詰まりを防止することができる。また、付勢解除手段は前記搬送路シャッターと連動して前記センサー押え板による紙幣の付勢を解除するから、それらの駆動手段を一つにして構成を簡単にすることができるから、そのコストを安価にすることができる。したがって、これにより、コストが安く信頼性の高い紙幣識別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の紙幣識別装置を示す外観斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の紙幣識別装置を模式的に示す側断面図である。
【図3】本発明の実施形態の紙幣識別装置を構成する識別部の内部開放状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態の紙幣識別装置を構成する識別部の要部を示す側断面図である。
【図5】本発明の実施形態の紙幣識別装置の識別部に設けられる紙幣抜取防止用のシャッターと、これに連動するセンサー押え板の動作を説明する動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は自動販売機等に搭載される本発明の実施形態の紙幣識別装置を示す外観斜視図、図2は本発明の実施形態の紙幣識別装置を模式的に示す側断面図、図3は本発明の実施形態の紙幣識別装置を構成する識別部の内部開放状態を示す斜視図である。図に示すように、本発明の紙幣識別装置1は、フレーム部2に識別部3および収納部4を設けて構成される。このフレーム部2は、例えば自動販売機の正面の扉に内側から取り付けられるもので、紙幣を収納、排出するための紙幣投入口(投入口)5を有している。
【0014】
紙幣投入口5から投入された紙幣は、縦に並べて配置された搬送ローラ(搬送手段)7,10とその外周に当接して設けられたテンションローラ8,9,11,12により狭持され識別部4に設けられる逆U字状の紙幣搬送路(搬送通路)15を搬送される。また、識別部3には、その紙幣搬送路15を挟んで対向する位置に配置される複数の光学センサー21a,21b,22a,22b,23a,23b,24a,24b(図3参照)およびその紙幣搬送路15に面して配置された磁気センサー25が設けられている。なお、光学センサー21a,21b,22a,22b,23a,23b,24a,24bは、紙幣搬送路15を挟んで対向する位置関係に配置された発光部21a,22a,23a,24aと受光部21b,22b,23b,24とからなる透過型光学センサーである。これらの光学センサー21a,21b,22a,22b,23a,23b,24a,24b,及び磁気センサー25は、搬送されてくる紙幣の特定の識別ライン(トレースライン)上にある紙幣の特徴を検出し、検出されたデータを処理して紙幣の金種および真贋を判定する。なお、この判定処理の途中または判定処理が終了した後で投入された紙幣を正しく識別できなかった場合は、投入された紙幣を紙幣投入口5ヘ返却する。
【0015】
収納部4は、識別部3による判定の結果、投入された紙幣を正しく識別できた場合には、その紙幣を識別部3の延長上にある紙幣搬送路16に取り込み、取り込んだ紙幣をプッシャ17と呼ばれる機構によって、紙幣搬送路16から紙幣収納庫18に押し込むようにし、これによって紙幣収納庫18に積層状態で収納する。
また、識別部3は、紙幣の詰まり、識別エラー等に対処するために、その内部を開放し、紙幣搬送路15を露出させて詰まった紙幣の除去あるいは清掃などの保守ができるように、図3に示したように、固定側ユニット3aに対して開放側ユニット3bを開閉できる構造になっている。搬送ローラ7,10は、紙幣搬送路15の幅方向中心から左右対称位置に一対が設けられ、対抗する一対のテンションローラ8,9,11,12とで紙幣を狭持する。搬送ローラ7,10とテンションローラ8,9,11,12により狭持された紙幣は摩擦係合により紙幣搬送路15を搬送される。
【0016】
識別部3に設けられる磁気センサー25は、紙幣搬送路15の幅方向中心から左右対称位置に一対が設けられている。そして、紙幣に印刷された磁気インクの紙幣搬送方向の磁気インク印刷パターンを検出して紙幣の識別を行うため、磁気センサー25は、紙幣の磁気インク印刷パターンの特徴を好適に検出できる位置に配置される。また、紙幣の磁気特性を好適に検出するため、紙幣を磁気センサー25に押し当てるように、センサー押え板27が磁気センサー25と対向する位置に配置されている。このセンサー押え板27は後述のセンサー付勢バネ28により磁気センサー25に向けて押圧され、その間に紙幣を挟み込むように構成されている。
【0017】
また、磁気センサー25と同一のトレースライン上に光学センサー21a,21bが配置されている。この光学センサー21a,21bは、磁気センサー25と同様に紙幣搬送路15の幅方向中心から左右対称に一対設けられ、紙幣搬送路15を搬送される紙幣の光透過特性に基づく発光素子21aから受光素子21bへの入光量の変化を検知して紙幣の光学的特長を検出する。このように、光学センサー21a,21bと磁気センサー25が同一のトレースライン上をトレースすることにより、同一のトレースラインについて光学的特長と磁気的特長とを検出することができるから、これらにより、より精度の高い真贋判定が可能となる。
【0018】
これらの搬送ローラ7,10、磁気センサー25、光学センサー21a,21bは紙幣の搬送方向に略一直線上に配置され、各々が左右に一対ずつ設けられている。さらに磁気センサー25および光学センサー21a,21bは縦に並んだ搬送ローラ7,10の間に配置されていることにより、磁気センサー25及び光学センサー21a,21b上の紙幣は、紙幣の端部を除けば、これらの搬送ローラ7,10およびこれに対応するテンションローラ9,12とにより狭持された状態でこれらの光学センサー21a,21b,及び磁気センサー25上を通過する。これにより、しわ、折り目などがある紙幣でも好適にこれらのセンサー配置領域を搬送可能にしている。
【0019】
また、光学センサー21a,21bに隣接して、その紙幣搬送路15の幅方向内側に一対の光学センサー22a,22bが配置され、さらに一対の磁気センサー25の略中央に光学センサー23a,23bが配置され、さらにまた、その光学センサー23a,23bに隣接し収納部4方向に位置をずらして光学センサー24a,24bが配置されている。これらの光学センサー22a,22b,23a,23b,24a,24bは、発光部22a,23a,24aと受光部22b,23b,24bとからなる透過型光学センサーであって、搬送されてくる紙幣の光学的特徴を検出し、その検出データを処理して紙幣の金種および真贋を判定するものである。
【0020】
なお、これらの各種センサーで真贋判定された紙幣の抜き取り防止のため、各種センサーによる真贋判定後、シャッター31が紙幣搬送路15に臨みシャッター嵌合部32と嵌合する。これらのシャッター31およびシャッター嵌合部32は、投入紙幣の後端に付された糸状または帯状の紙幣引抜具を検出するため、紙幣搬送方向に傾けて複数設けられ、それらが紙幣幅方向に重複するよう配設されている。また、シャッター31およびシャッター嵌合部32の傾きを紙幣搬送路15の中心から幅方向に対称にしたことで、搬送される紙幣がシャッター31およびシャッター嵌合部32との接触抵抗により片側に偏ることを防止している。
【0021】
次に、紙幣投入口5から紙幣が投入された場合の各部の動作について説明する。図4は本発明の実施形態の紙幣識別装置を構成する識別部の要部を示す側断面図、図5は、識別部に設けられる紙幣抜取防止用のシャッターとこれに連動するセンサー押え板の動作を説明する動作説明図である。図4に示すように、紙幣投入口5に続いて設けられる逆U字状の紙幣搬送路15には、紙幣投入口5近くのテンションローラ11の手前側に、紙幣の投入を検知する紙幣検知レバー13が設けられている。この紙幣検知レバー13は、支軸13aを中心に回動自在に設けられ、その一端13bが紙幣搬送路15に出没自在に設けられている。なお、この紙幣検知レバー13の一端13bは、常時は紙幣搬送路15を遮ってその内側に突出するように付勢され、紙幣が紙幣投入口5から投入されるとそれによって紙幣搬送路15から押し退けられて没入する。また、この紙幣検知レバー13の近傍には、その動作を検知する図示しない紙幣投入検知センサーが設けられている。
【0022】
識別部3の開放側ユニット3bには、シャッター31と、シャッター31を紙幣搬送路15から没入させるように駆動するシャッターソレノイド(付勢解除手段)34と、一方のアーム部36aがシャッターソレノイド34のプランジャ34bに連結され、他方のアーム部36bがシャッター31およびセンサー押え板27に係合し、支軸36cを中心に回動自在に設けられたL字状の連結レバー36と、一端27aが軸支され、他端27bが連結レバー36の他方のアーム部36bに係合され一端27aを中心に搖動することで対向する磁気センサー25に向けて出退自在に設けられたセンサー押え板27と、シャッター31を紙幣搬送路15に突出するように付勢するシャッター付勢バネ38と、センサー押え板27を対向する磁気センサー25に向けて付勢するセンサー付勢バネ28と、が設けられている。
【0023】
このように構成される本発明の紙幣識別装置1において、フレーム部2に設けられる紙幣投入口5から紙幣が投入されると、それによって紙幣検知レバー13の一端13bが紙幣搬送路15から押し退けられて没入する。そうすると、その動作が図示しない紙幣投入検知センサーによって検知され、これにより図示しない駆動モータが起動されて搬送ローラ7,10が紙幣の取り込み方向に回転駆動される。また、それと同時に、図5の(a)に示すように待機状態にあったシャッターソレノイド34が通電され、そのプランジャ34bが吸引されることで、図5の(b)に示すように、連結レバー36が支軸36cを中心に回動し、これに係合するシャッター31がシャッター付勢バネ38に抗して紙幣搬送路15から没入され、またセンサー押え板27が、センサー付勢バネ28に抗して一端27aを中心に磁気センサー25から引き離されるように回動される。すなわち、これにより、センサー押え板27による磁気センサー25に向けた紙幣の付勢が解除される。
【0024】
ここで、紙幣投入口5に投入された紙幣は、搬送ローラ7,10の駆動により、搬送ローラ7,10とテンションローラ8,9,11,12とに狭持され、逆U字状の紙幣搬送路15を搬送される。そして、紙幣の先端が紙幣搬送路15に配設された磁気センサー25を通過すると、それが例えば光学センサー24a,24bによって検知され、シャッターソレノイド34の通電が遮断される。そうすると、図5の(c)に示すように連結レバー36が元の待機状態に戻り、センサー押え板27がセンサー付勢バネ28により磁気センサー25に向けて付勢され、そこを通過する紙幣を磁気センサー25に押し当てるように機能する。なお、紙幣の先端が磁気センサー25上を通過するときは、センサー押え板27は磁気センサー25から引き離されているのでその搬送抵抗は小さい。
【0025】
さらに図5の(d)に示すように、紙幣が搬送されてその後端が紙幣搬送路15に配設されたシャッター31を通過し、次いで磁気センサー25および光学センサー21a,21b,22a,22b,23a,23b,24a,24bを通過すると、その紙幣の金種および真贋が判定される。また、紙幣の後端がシャッター31を通過すると、シャッター31がシャッター付勢バネ38に付勢されて紙幣搬送路15を遮るように突出するから、紙幣の紙幣投入口5からの引抜が防止される。
【0026】
ここで、紙幣が本物と判定されると、さらに紙幣を識別部3の下方に設けられた紙幣搬送路16に搬送し、その紙幣搬送路16から紙幣収納庫18にこれを押し込んで積層状態で収納する。一方、ここで紙幣が贋物と判定される等して、その受け入れが拒否されると、再びシャッターソレノイド34が通電され、そのプランジャ34bが吸引されることで、図5の(e)に示すように、連結レバー36が回動し、シャッター31が紙幣搬送路15から没入され、さらにセンサー押え板27が磁気センサー25から引き離されるように回動される。そして、搬送ローラ7,10が紙幣の取り込み方向と逆の方向に回転駆動され、紙幣が紙幣投入口5に向けて返却される。なお、この場合、磁気センサー25は紙幣の磁気特性を検出する必要がないから、シャッターソレノイド34は紙幣が磁気センサー25上を完全に通過するまで通電され、その間センサー押え板27が磁気センサー25から引き離された状態に保持される。これにより、紙幣返却時の搬送抵抗が小さくなり、紙幣詰まりが防止される。
【0027】
以上のように、本発明の紙幣識別装置においては、紙幣投入口5から投入された紙幣が、紙幣搬送路15上を搬送され、その先端が磁気センサー25上に突入するとき、センサー押え板27による磁気センサー25に向けた紙幣の付勢が、シャッターソレノイド34により回動される連結レバー36によって解除されるから、その紙幣の先端が磁気センサー25上を通過するときの搬送抵抗を小さくすることができる。すなわち、これにより、紙幣の端部が磁気センサー25上に突入するときの詰まりを防止することができるから、信頼性の高い紙幣識別装置を提供することができる。
【0028】
また、紙幣投入口5から紙幣が投入されるとき、或いはその投入紙幣が贋物と判定される等してその受入が拒否され返却されるときに、シャッター31の紙幣搬送通路15からの没入動作に連動して、センサー押え板27による磁気センサー25に向けた紙幣の付勢が解除されるから、その紙幣の先端が磁気センサー25上を通過するときの搬送抵抗を小さくするとともに、それらの駆動手段を一つにして構成を簡単にすることができる。したがって、これにより、コストが安く信頼性の高い紙幣識別装置を提供することができる。
【0029】
なお、本発明は、言うまでもなく本実施の形態に示す装置にのみ限定されず、その趣旨の包含する範囲で応用変更が可能である。例えば、識別部3や、その内部に設けられる紙幣搬送路15、搬送ローラ7,10及びテンションローラ8,9,11,12、シャッター31、センサー押え板27等の構成、形状等、あるいは、磁気センサー25、光学センサーの配置構成等は、この実施形態に示すものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0030】
1 紙幣識別装置
2 フレーム部
3 識別部
4 収納部
5 紙幣投入口
7 搬送ローラ(搬送手段)
8 テンションローラ
9 テンションローラ
10 搬送ローラ(搬送手段)
11 テンションローラ
12 テンションローラ
15 紙幣搬送路(搬送通路)
21a 光学センサー(発光部)
21b 光学センサー(受光部)
25 磁気センサー
27 センサー押え板
31 シャッター(搬送路シャッター)
34 シャッターソレノイド(付勢解除手段)
36 連結レバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣の投入口と、前記投入口に連なって延設された紙幣の搬送通路と、前記搬送通路に沿って紙幣を搬送する搬送手段と、前記搬送通路上に設けられ、搬送紙幣の磁気特性を検知する磁気センサーと、前記磁気センサーに対向して設けられ、前記搬送通路上を搬送される紙幣を前記磁気センサーに押し当てるように付勢するセンサー押え板と、を備えた紙幣識別装置において、前記センサー押え板の前記付勢を解除する付勢解除手段を有し、前記付勢解除手段は、前記搬送通路上を搬送される紙幣の端部が前記磁気センサー上に突入するとき、前記センサー押え板による紙幣の付勢を解除することを特徴とする紙幣識別装置。
【請求項2】
常時は前記紙幣搬送通路を閉鎖し、前記投入口から紙幣が投入されたとき、またはその紙幣の受入が拒否されて返却されるとき前記紙幣の搬送通路を開放する紙幣引抜防止用の搬送路シャッターを備え、前記付勢解除手段は、前記搬送路シャッターの開放動作と連動して前記センサー押え板による紙幣の付勢を解除することを特徴とする請求項1に記載の紙幣識別装置。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−198337(P2010−198337A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42640(P2009−42640)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】