説明

紙片束の包装体

【課題】安定的に紙片束を結束して保管することができるとともに、容易に紙片束から包装巻シートを除去することができる紙片束の包装体を提供すること。
【解決手段】2つ折り紙片5の多数枚を交互に折り曲げ方向を向き合わせにして互いの片半片部分同士5a,5bを噛み合わせ状に重ね合わせて紙片5相互を連結させながら積層させた紙片束2に対して包装巻シート3を巻き回して結束する一方、包装巻シート3には紙片束2の上下いずれかの面に対面する一面に外方に突出する摘み片4を設けると共に、包装巻シート3の長さのいずれかの位置に前記摘み片4の引っ張りによる緊張力によって破断される脆弱切断部7を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙片束を包装する包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2つ折りの紙片の多数枚を交互に折り曲げ方向を向き合わせにして互いの片半片部分同士を噛み合わせに重ね合わせて紙片相互を連結させながら積層させた紙片束(以下、紙片束という)がある。このような紙片束として例えばティッシュペーパー、ペーパータオル、コールドペーパー等がその例として挙げられる。
ここでコールドペーパーを例にしてさらに言えば、このペーパーは広く知られるように、美容院等でパーマネントを施すときに毛先をまとめるために用いられており、一度の作業でに多量に使用するため、容器に入れて使用し、無くなったら再度補充しながら使用するのが一般的である。
上述したコールドペーパー等の補充型の紙片束は、多数枚の紙片があらかじめ積層され一纏めになっているが、この積層状態を維持するために保管時には何らかの方法で結束しておかなければならない。またそのためこの紙片束を容器に収納する際にはこの結束を解除しなければならないが、この作業の際中にコールドペーパーの一枚一枚が極めて軽量であって掴みにくいことから紙片束がばらけてしまうといった問題がある。
【0003】
図15は上記した従来の取扱いを説明したものである。紙片束100は、容器120に補充する前においては、紙やフィルム等からなる包装巻シート110によってバラバラにならないように束ねられており、この状態から容器120に収納するときには、包装巻シート110を鋏等で切断し除去した状態で、指先でこの紙片束100を摘み、容器120に収納するようにしている。このとき狭い容器に入れるため作業がし難く誤ってバラバラになってしまったり、また蓋121を閉めるときにバラバラになってしまって適切に作業が行えないことがしばしば起こる。このとき、容器120に収納した紙片束を容器120の取出口から取り出しやすくするため、バネを有する押し上げ板122が備えられているものにおいては、バネ力に抗して紙片束を押し込まなければならないことになり、弾かれてバラバラになる危険が高く、一層作業が厄介になる。
【0004】
また、このように容器に収納された紙片は、使用に当って紙片の一部が容器の取出口から露出していなければ取り出すことができないため、容器に収納する際に同時に紙片を取り出すための糸口とする最上層の紙片を指で取出口から引き出しておかなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように従来の包装巻シートは、紙片束を結束することができるものの、鋏で切断するなどして紙片束から除去するため、作業が面倒であるとともに作業中に手が滑って紙片束を落としてしまうことがある。また容器に収納するときに容器の底に接するまで積層状態を保ったまま収納するのは困難である。
また、紙片を容器に収納しただけでは最上層の紙片は取り出しやすく容器の取出口から突出した状態とはならないため、容器の取出口に指等を入れて紙片を摘みだしたり、容器への収納時またはその後に紙片の上片を指で持上げながら蓋を閉めて上片を突出させた状態にする等の手間がかかってしまうといった不具合がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑み、しっかりと安定的に紙片束を結束して保管することができ、しかも容器に収納した後で簡単に包装巻シートを除去することができる紙片束の包装体を提供するものである。
また本発明は、包装した紙片束を、取出口を設けた容器に収納する際には、容器に収納した状態のまま包装巻シートを除去することに併せて容器の取出口から包装巻シートと共に最上層の紙片の上片部分を引き出し取り出すことができる紙片束の包装体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、2つ折り紙片の多数枚を交互に折り曲げ方向を向き合わせにして互いの片半片部分同士を噛み合わせ状に重ね合わせて紙片相互を連結させながら積層させた紙片束に対して包装巻シートを巻き回して結束する一方、該包装巻シートには前記紙片束の上下いずれかの面に対面する一面に外方に突出する摘み片を設けると共に、該巻き回した包装巻シートの長さのいずれかの位置に前記摘み片の引っ張りによる緊張力によって破断される脆弱切断部を形成してなることを特徴とした紙片束の包装体を提供するものである。
【0008】
この発明によれば、紙片束に包装巻シートを巻き回して束ねることにより紙片束をしっかりと安定的に結束してばらけさせることなく保管できる。また、結束してあることから、紙片束を移動させるときに積層状態を保ったまま移動させることができる。また包装巻シートには引っ張りによる緊張力によって破断される脆弱切断部が形成されているため、鋏等を使用することなく簡単に紙片束から包装巻きシートを除去することができる。
【0009】
また、本発明は、包装巻シートは紙片束を構成する紙片の幅員と等しい幅員を有することを特徴とした紙片束の包装体を提供するものである。
【0010】
この発明によれば、包装巻シートの幅員を紙片の幅員と等しくすることにより、より安定的に紙片束を結束することができるとともに、紙片束の表面全体を覆うため紙片束を汚すことがない。
【0011】
また、本発明は、包装巻シートは紙片束を構成する紙片の幅員より狭い幅員を有することを特徴とした紙片束の包装体を提供するものである。
【0012】
この発明によれば、包装巻シートの幅員を紙片の幅員より狭くすることにより、必要とする包装巻シートが少なくなりコスト削減が図れるとともに、摘み片を引張ったときに脆弱切断部への緊張力が集中し、少ない引張りで容易に脆弱切断部を破断することができる。
【0013】
また、本発明は、包装巻シートは合成樹脂フィルムであることを特徴とした紙片束の包装体を提供するものである。
【0014】
この発明によれば、包装巻シートを合成樹脂フィルムで構成したことにより、紙等に比べて丈夫で切れにくく、且つ、脆弱切断部に力を加えれば容易に破断することができる。
【0015】
また、本発明は、包装巻シートはシュリンクフィルムであることを特徴とした紙片束の包装体を提供するものである。
【0016】
この発明によれば、包装巻シートをシュリンクフィルムで構成したことにより、包装巻シートを紙片束に巻きつけてから収縮させて紙片束に密着した状態で安定的に結束することができる。
【0017】
また、本発明は、摘み片は紙片束に巻き回す包装巻シートの一部を余剰部として外方に引き出し、該引き出し部分を接合して形成することを特徴とした紙片束の包装体を提供するものである。
【0018】
この発明によれば、包装巻シートの一部で摘み片を形成することにより、結束作業と同時に摘み片を形成することができる。
【0019】
また、本発明は、摘み片は小片にして紙片束に巻き回した包装巻シートの表面に一部を接合し、他の一部を起立させることによって形成することを特徴とした紙片束の包装体を提供するものである。
【0020】
この発明によれば、摘み片を小片から形成することから、任意の形状あるいは所要の強度を有する摘み片を簡単に形成することができる。さらに包装巻シートで紙片束を結束してから後付けで摘み片を取り付けることができる。
【0021】
また、本発明は、小片には接合する一部の背面部に接着剤を塗布する一方、紙片束に巻き回す包装巻シートに紙片束の上又は下面に対面する一面に透孔を開設し、前記小片の一部背面部に塗布する接着剤を介して上記一面に接着すると同時に前記透孔を通して臨む紙片の片半片部分に接着し、前記小片を前記包装巻シート及び最端部に位置する紙片に接合することを特徴とした紙片束の包装体を提供するものである。
【0022】
この発明によれば、接着剤によって摘み片となる小片と紙片とが接着されることから、小片を引張って脆弱切断部を破断し除去するときに、小片の引張りと共に紙片の片半片部分が持上げられて取り出しの糸口を作ることになる。
【0023】
また、本発明は、脆弱切断部は包装巻シートを横断するミシン線によって形成されることを特徴とした紙片束の包装体を提供するものである。
【0024】
この発明によれば、脆弱切断部を包装巻シートを横断するミシン線によって形成することにより、脆弱切断部を容易に形成することができる。
【0025】
また、本発明は、脆弱切断部は包装巻シートを横断する所要間隔を置いて並行状に配置される複数条のミシン線によって形成されることを特徴とした紙片束の包装体を提供するものである。
【0026】
この発明によれば、脆弱切断部を複数のミシン線によって形成することによって引っ張りに対する切断の許容範囲を広げ、落下等による衝撃では破断せずに、実際の作業時に摘み片を引張ったときには適切に破断するといった調整が容易になる。
【0027】
また、本発明は、ミシン線は切断部及び非切断部のそれぞれが一定の長さで連続することを特徴とした紙片束の包装体を提供するものである。
【0028】
この発明によれば、ミシン線の切断部及び非切断部を一定の長さで連続させることによりミシン線に緊張力が与えられたときに抵抗力が同時に働くので不用意な破壊を免れやすい。
【0029】
また、本発明は、ミシン線は切断部及び非切断部のそれぞれが不規則の長さで連続することを特徴とした紙片束の包装体を提供するものである。
【発明の効果】
【0030】
したがって、上記説明から、本発明の包装体によれば、しっかりと安定的に紙片束を結束して保管することができる。また、摘み片を引っ張るだけで包装巻シートの脆弱切断部を破断することができることから、容易に紙片束から包装巻シートを除去することができる。
さらに言えば、本発明の包装体を、取出口を設けた容器に収納し使用する場合には、摘み片を取出口から突出させることができるので、容器に収納した状態のまま摘み片を引張ることで包装巻シートを除去することができる。また、摘み片と紙片の片半片部分が接着されている場合には、包装巻シートの除去に併せて容器の取出口から紙片の片半片部分が突出し、紙片を取り出し易くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
添付する図面は本発明の実施の形態を示したもので、図1〜図5は第1の実施例を示す。
【実施例1】
【0032】
図1は本発明に係る包装体の斜視図、図2は本発明に係る包装体の平面図、図3は図2のA−A線拡大断面図、図4は本発明に係る包装体の底面図である。図中の符号1は本発明の包装体、2は包装体の中身となる積層された多数枚の紙片からなる紙片束、3は包装巻シート、4は摘み片、7は脆弱切断部である。
【0033】
包装体1は、紙片束2に巻きつける包装巻シート3と、包装巻シート3から外方に突出するように取り付けられた摘み片4から構成される。
【0034】
包装体1によって包装される紙片束2は、図3に示すように、2つ折りの紙片5を多数枚を重ねたものであり、紙片5同士の折り曲げ方向を向かい合わせにして互いの片半片部分(一方の片である上片5a、または他方の片である下片5b)同士を噛み合わせ状に重ね合わせて紙片5相互を連結させながら積層させたものである。つまり、紙片5の上片5aと下片5bの間に上又は下になる他の紙片の上片5a乃至下片5bを挟み込むことによって折り重ねられているもので、この紙片束2の最上層の紙片5を持上げると、それに伴ない2枚目の紙片5の上片5aが持上げられ、この様にして第3枚目、第4枚目と繋がって持上げられることになる。
【0035】
包装巻シート3は、紙片束2と略々等しい幅員で紙片束2に巻きつけて束ねるものとなっており、本実施例においてはシュリンクフィルムを紙片束2に巻きつけたのち加熱して収縮させることにより紙片束2をしっかり結束する。
そして、上記包装巻シート3の上面9には上方に向って突出するように摘み片4が接着されている。
【0036】
摘み片4は、幅員を前記包装巻シート3の幅に合わせた紙製小片を素材にこれを2つ折りにしたもので、ここではその一片の貼着部4aを包装巻シート3の上面8に接着し、他片を使用時に摘むために起立させる摘み部4bとして構成している。
貼着部4aには裏面に粘着剤10を塗布したシールで構成して、包装巻シート3の上面9に粘着すると同時に、この包装巻シート3の上面9に開設する透孔9aを通して最上層の紙片5の上片5aに粘着するようにし、この紙片5と摘み片4とが連結するようにしてある。
【0037】
この摘み片4は、少なくとも後述する脆弱切断部7を破断するときにちぎれない程度の強度が求められる。また一方、粘着剤10は、少なくとも脆弱切断部7を破断するときに包装巻シート3から剥がれない程度の粘着力が求められることになる。
なお、本実施例においては、摘み片4の幅員を包装巻シート3の幅員と同等にして形成してあるが、これに限られず、包装巻シート3の幅員よりも狭いものであってもよい。
【0038】
図4に示すように、包装巻シート3の底面6の略々中央には底面6を横断する脆弱切断部7を形成するミシン線8が直線状に形成されている。
ここでは、上記ミシン線8の切断部8aの長さは非切断部8bの長さよりも長く形成してある。なお、非切断部8bの長さ、つまり接続している部分の長さは、落下する等の衝撃や、摘み片4を摘んで持上げた程度の力で破断しない程の長さを選択することになる。
【0039】
次に、包装体1の使用について説明する。
図13は、本実施例の包装体1を容器11に収納する途中を示す図であり、図14は、容器に収めた包装体1を示す図である。
図示するように、紙片束2は容器10に収納した状態で使用することになる。この容器11は、左右にヒンジ部11aを介して開放される蓋11b,11bを有し、蓋11b,11bを閉塞すると、両者の自由端の間に紙片5の取出口となる空隙部が形成され、これが開口部10cを形成する。
また、容器11の内部には、図示しないが、バネによって常時押し上げ付勢される押し上げ板が備えられ、内部に収納された紙片束2は順次紙片が引き出されるのに従って、上記押し上げ板の上昇によって紙片束2を押し上げることになっている。
【0040】
容器11に対する包装体1の収納は、包装巻シート3で巻いた紙片束2をそのままの状態で容器11の開口部から入れることになる。そして蓋11b,11bを閉じることになる。このとき、摘み片4を起立した状態にして蓋11b,11bの召し合わせによって形成される開口部11cを通して容器11の外に向って突き出させるのである。
【0041】
上記容器11に収納した包装体1から包装巻シート3を除去するには、図14に示すように、蓋11bを指で押さえて開放しないようにして、開口部11cから突出した摘み片4を他方の手の指で摘み上げることによって行うことになる。この様にすると、蓋11b,11bで紙片束2が押さえられて包装巻シート3だけが引き出されることになるため緊張することになり、この緊張力が脆弱切断部7に伝播してミシン線8の切断部8aが広がり、これに伴って非切断部8bが次第に破断されていくことになる。そして全ての非切断部8bが破断されると、包装巻シート3は底面6で分断されることになり、摘み片4に引きずられるようにして、開口部11cから容器11の外に取り出されることになる。
このとき、摘み片4には、最上層の紙片5の上片5aが接着されていることから、包装巻シート3が取り出されるのに併せて、この紙片5も開口部11cから引き出されることになる。紙片束2は、前述したように積層する紙片5相互が噛み合わせに重ね合わされて連結する状態となっていることから、最上層の紙片5が引き出されるのに伴って次に2番目の紙片5の上片5aが開口部11cから突出することになり、順次紙片5の取出しが可能な状態になる。
【0042】
以上の説明から明らかなように、本発明の包装体1は、未使用時には紙片束2が包装体巻シート3によって巻き回されていることから、しっかりと安定して結束され保管することができる。使用に当って容器に収める場合には、紙片束2を包装巻シート3で結束したまま持ち運ぶことができると共に、容器にはそのままの状態で収容することができ、更に収容したまま摘み片4を引っ張るだけで上記包装巻シート3の脆弱切断部7を破断することによって包装巻シート3を取り除き、容器の中に紙片束2を積層させたまま残すことができる。
【0043】
つまり、包装体1を容器11に収めたとき、摘み片4が包装巻シート3の上方に突出した状態にあることから、容器11に収納した場合には、摘み片4を開口部11cから突出させることができる。このため、容器11に収納した状態のままで摘み片4を外部から引張って包装巻シート3を紙片束2から除去することができるのである。また、摘み片4と最上層の紙片5の上片5aが接着されていることから、包装巻シート3の除去に併せて最上層の紙片5を取り出すことができ、次の引き出しに備えることができるのである。
【0044】
ところで、本実施例においては、脆弱切断部を形成するミシン線8を包装巻シート3の底面6の略々中央には底面6を横断するように形成する例を示したが、これに限られず、例えば図6に示すようにミシン線12を包装巻シート3の側面に形成してもよい。
この脆弱切断部は、紙片束2に巻き回した包装巻シート3の一部を破断して容器11内から抜き取るためのものであることから包装巻シート3の適所に複数箇所設けても良く、いずれかにおいて破断することによって容器から引き抜くことができる。尚、脆弱切断部を複数箇所とする場合、例えば包装巻シート3の両側面に設けたり、或いは底面6に形成する脆弱切断部に加えて側面に形成してもよく、さらには摘み部の一側部に沿って形成するようにしてもよい。
【実施例2】
【0045】
次に、本発明の第2の実施例を図7に従って説明する。
実施例1においては、包装巻シート3の幅員を紙片束2の幅員と略々等しく形成した例を示したが、ここでは、包装巻シート13の幅員を紙片束2の幅員よりも狭く形成し、更に脆弱切断部を形成するミシン線14を摘み片15の近傍に設けた例を示す。
このように形成することにより、容器11に収納した包装体1から包装巻シートを除去するために摘み片15を引いたときの緊張力が直接的にミシン線12にかかることからミシン線12の破断を容易に行うことができる。
【実施例3】
【0046】
次に、本発明の第3の実施例について図8に従って説明する。なお、ここでは紙片束を省略し、包装巻シートの形状を中心に図示している。
本実施例においては、摘み片16を包装巻シート17の一部を余剰部として上方に引き出して接合することによって形成している。言い換えると、包装巻シート17の一部を弛ませて熱圧着により接合して形成しているのである。
本実施例では、包装巻シート17の一部で摘み片16を形成することにより他部材つまり、小片を利用することがなくコスト削減を図ることができる。
また、小片を摘み片として取り付ける場合と異なり、包装巻シートによる紙片束2の結束作業と同時に摘み片16を形成することができる。
なお、本実施例のように摘み片16を包装巻シート17の一部で形成した場合には、前述の各実施例とは異なり包装巻シートの内面17aを紙片束2の最上層の紙片5の上片5aに直接接着して、紙片5の引き出しに備えることになる。
【実施例4】
【0047】
次に本発明の第4の実施例を図9、図10に従って説明する。この実施例は脆弱切断部の他の例を示す実施例で、図9は包装体の底面図であり、図10は包装体の破断の途中を説明する底面図である。
実施例1から3においては、脆弱切断部を1本の直線状のミシン線として形成したが、本実施例においては、脆弱切断部18を並行に配置される2本の直線状のミシン線19,19として形成している。このミシン線19,19の各切断部19aと非切断部19bのそれぞれは一定の長さで連続している。また、一方のミシン線19の切断部19aと他方のミシン線19の非切断部19bは対向する位置に設けられるように千鳥に配置されている。
【0048】
図10に示すように、対向する切断部19a間の帯状部分27が切断部19a同士の広がる広がりに従って変形し、この変形を通して最終的に切断に移行することから、やわらかい感触の切断を実現することができる。
また、切断部19a及び非切断部19bをそれぞれ一定の長さで連続させたことによって各ミシン線19の切断部19a及び非切断部19bの設計を容易に行うことができる。
【実施例5】
【0049】
次に本発明の第5の実施例について説明する。図11は包装体の底面図である。
本実施例においては、底面6並行して設ける2条のミシン線21,21の切断部21aを不規則の長さで連続させて脆弱切断部20を形成している。
このように並行するミシン線21,21を形成し、両者間に帯状部分28を形成したことにより引張り力を受けたとき、この帯状部分28が蛇行状に変形しながら最終的に切断することになる結果、それぞれの非切断部21bが時間差を置いて破断され、順次破断が円滑に進行する。
そして、この形態ではミシン線21,21の全域に亘って同時進行的に切断が行われることになり、脆弱切断部20が同時に切り離されることになる。
【実施例6】
【0050】
次に本発明の第6の実施例について説明する。図12は包装体の底面図である。
本実施例は、ミシン線26の切断部26aの中央部に微小な接合部26cを形成して脆弱切断部25を形成した例である。
このようにミシン線26を構成したことにより、摘み片4を引張って包装巻シート3に緊張力を与えると、はじめに短い接合部26cが破断されて、次に帯状部分29が蛇行状態に変形しながら切断することになるのでさらに軟らかい感触の切断を実現することができる。このため、落下等による衝撃では非接断部26bは破断せずに接合部26cが破断し、衝撃を緩和する。
【0051】
なお、上記各実施例においては、各図の上部に摘み片を設け、上部に開口部を有する容器に収納して使用する例を説明したが、本発明の包装体はこれに限られず、例えば壁掛けの容器に収納して下から引き出すようにして使用するペーパータオル等に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施例1の包装体の斜視図である。
【図2】実施例1の包装体の平面図である。
【図3】図2のA−A線拡大断面図である。
【図4】実施例1の包装体の底面図である。
【図5】実施例1の包装体の破断途中を説明する底面図である。
【図6】実施例1の包装体の斜視図である。
【図7】実施例2の包装体の斜視図である。
【図8】実施例3の包装体の斜視図である。
【図9】実施例4の包装体の底面図である。
【図10】実施例4の包装体の破断途中を説明する底面図である。
【図11】実施例5の包装体の底面図である。
【図12】実施例6の包装体の底面図である。
【図13】本発明の包装体を容器に収納する途中を示す説明斜視図である。
【図14】本発明の包装体を容器に収めたのち、摘み片の引き出しによって包装巻シートを抜き取る準備を説明した斜視図である。
【図15】従来の包装体の取扱いを説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 包装体
2 紙片束
3 包装巻シート
4 摘み片
4a 貼着部
4b 摘み部
5 紙片
5a 紙片の上片
5b 紙片の下片
6 包装体の底面
7 脆弱切断部
8 ミシン線
8a 切断部
8b 非切断部
9 上面
9a 透孔
10 粘着剤
11 容器
11a ヒンジ部
11b 蓋
11c 開口部
12 ミシン線
13 包装巻シート
14 ミシン線
15 摘み片
16 摘み片
17 包装巻シート
18 脆弱切断部
19 ミシン線
19a 切断部
19b 非切断部
20 脆弱切断部
21 ミシン線
21a 切断部
21b 非切断部
25 脆弱切断部
26 ミシン線
26a 切断部
26b 非切断部
26c 接合部
27 帯状部分
28 帯状部分
29 帯状部分
100 紙片束
110 包装巻シート
120 容器
121 蓋
122 押し上げ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ折り紙片の多数枚を交互に折り曲げ方向を向き合わせにして互いの片半片部分同士を噛み合わせ状に重ね合わせて紙片相互を連結させながら積層させた紙片束に対して包装巻シートを巻き回して結束する一方、該包装巻シートには前記紙片束の上下いずれかの面に対面する一面に外方に突出する摘み片を設けると共に、該巻き回した包装巻シートの長さのいずれかの位置に前記摘み片の引っ張りによる緊張力によって破断される脆弱切断部を形成してなることを特徴とした紙片束の包装体。
【請求項2】
包装巻シートは紙片束を構成する紙片の幅員と等しい幅員を有することを特徴とした請求項1に記載の紙片束の包装体。
【請求項3】
包装巻シートは紙片束を構成する紙片の幅員より狭い幅員を有することを特徴とした請求項1に記載の紙片束の包装体。
【請求項4】
包装巻シートは合成樹脂フィルムであることを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載の紙片束の包装体。
【請求項5】
包装巻シートはシュリンクフィルムであることを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載の紙片束の包装体。
【請求項6】
摘み片は紙片束に巻き回す包装巻シートの一部を余剰部として外方に引き出し、該引き出し部分を接合して形成することを特徴とした請求項1乃至5のいずれかに記載の紙片束の包装体。
【請求項7】
摘み片は小片にして紙片束に巻き回した包装巻シートの表面に一部を接合し、他の一部を起立させることによって形成することを特徴とした請求項1乃至5のいずれかに記載の紙片束の包装体。
【請求項8】
摘み片となる小片には接合する一部の背面部に接着剤を塗布する一方、紙片束に巻き回す包装巻シートには紙片束の上又は下面に対面する一面に透孔を開設し、前記摘み片となる小片の一部背面部に塗布する接着剤を介して上記一面に接着すると同時に前記透孔を通して紙片の片半片部分に接着し、前記摘み片となる小片を前記包装巻シート及び最端部に位置する紙片に接合することを特徴とした請求項1乃至5又は請求項7のいずれかに記載の紙片束の包装体。
【請求項9】
脆弱切断部は包装巻シートを横断するミシン線によって形成されることを特徴とした請求項1乃至8のいずれかに記載の紙片束の包装体。
【請求項10】
脆弱切断部は包装巻シートを横断する所要間隔を置いて並行状に配置される複数条のミシン線によって形成されることを特徴とした請求項1乃至8のいずれかに記載の紙片束の包装体。
【請求項11】
ミシン線は切断部及び非切断部のそれぞれが一定の長さで連続することを特徴とした請求項9又は10に記載の紙片束の包装体。
【請求項12】
ミシン線は切断部及び非切断部のそれぞれが不規則の長さで連続することを特徴とした請求項9又は10に記載の紙片束の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−165763(P2009−165763A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9885(P2008−9885)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(593024922)
【出願人】(000240570)米正株式会社 (3)
【出願人】(301044004)富士紙化学株式会社 (3)
【Fターム(参考)】