説明

紙葉類入金機

【課題】現金紙幣と現金外紙葉類とを入金可能な紙葉類入金機の提供。
【解決手段】現金モードおよび現金外モードのうちのいずれか一の媒体種別モードが選択して設定されるモード設定手段と、モード設定手段で設定された媒体種別モードに対応して、取込ギャップGを調整するギャップ調整手段75と、モード設定手段で設定された媒体種別モードに対応して、識別手段で受付可と識別する紙葉類を現金紙幣のみまたは現金外紙葉類のみに設定する受付設定手段と、識別手段で受付可と識別された紙葉類の額面を入金金額データへ計上する計上手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類として、現金紙幣と、現金以外の金券等の現金外紙葉類とを入金可能な紙葉類入金機に関する。
【背景技術】
【0002】
入金システムにおいて、入金処理作業を容易化することができるように、端末機において入金計データが確定されると、当該入金計データと当該端末機の店舗識別情報とを関連付けて記憶手段に記憶するとともに、入金取引に際して、入金機において店舗識別情報を受け付けると、当該店舗識別情報に関連付けられている入金計データを記憶手段から読み出して当該入金取引における当該入金機による現金計数結果と比較する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−218293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術においても、現金に関しては入金機において入金計数ができるものの、現金外たとえば商品券等の金券に関しては、手入力処理によって売上計上等の精算処理がなされることになり、当該金券の金額を自動計数入力することができず、担当者の操作が煩わしいままという課題が存在する。
【0005】
本発明は、現金紙幣と現金外紙葉類とを入金可能な紙葉類入金機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、投入口に投入された紙葉類を一枚ずつ、取込ギャップを通して機内へ取り込む取込手段と、該取込手段で機内へ取り込まれた紙葉類を識別する識別手段と、該識別手段の識別結果に基づいて紙葉類を機内で一時貯留する一時貯留手段と、前記識別手段の識別結果に基づいて紙葉類を機外へ繰り出す繰出手段と、前記一時貯留手段に一時貯留された紙葉類を機内で収納する収納手段と、前記一時貯留手段に一時貯留された紙葉類を機外へ返却する返却手段とを備え、さらに、現金モードおよび現金外モードのうちのいずれか一の媒体種別モードが選択して設定されるモード設定手段と、該モード設定手段で設定された媒体種別モードに対応して、前記取込ギャップを調整するギャップ調整手段と、前記モード設定手段で設定された媒体種別モードに対応して、前記識別手段で受付可と識別する紙葉類を現金紙幣のみまたは現金外紙葉類のみに設定する受付設定手段と、前記識別手段で受付可と識別された紙葉類の額面を入金金額データへ計上する計上手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記現金外モードでは、前記識別手段が、一の種別の現金外紙葉類を受付可と識別して枚数を計数し、前記計上手段は、前記一の種別の現金外紙葉類の額面を、前記一の種別の現金外紙葉類の一枚当たりの単位額面データと前記識別手段の計数結果との乗算によって求めて計上することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記現金外モードにおいて、前記識別手段で受付可と識別された現金外紙葉類のみを前記一時貯留手段および前記繰出手段のうちのいずれか一方へ搬送するとともに、現金を含むその他の紙葉類全てを前記一時貯留手段および前記繰出手段のうちのいずれか他方へ搬送する搬送制御手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記モード設定手段で設定された媒体種別モードに応じて、前記取込手段の取込速度を切り換える取込速度切換手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記モード設定手段で設定された媒体種別モードに応じて、機内へ取り込んだ紙葉類を搬送路にて搬送する搬送速度を切り換える搬送速度切換手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に係る発明において、前記識別手段と、該識別手段にて受付可と識別された現金外紙葉類を貯留する前記一時貯留手段または前記繰出手段との間の経路に設けられて、前記識別手段にて受付可と識別された現金外紙葉類に対して受付済みの記録を施す記録手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記識別手段は、光学式文字読取手段を備え、該光学式文字読取手段によって、前記記録手段による受付済みの記録を認識可能であり、該受付済みの記録が施された現金外紙葉類を受付不可と識別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、モード設定手段で媒体種別モードとして現金モードが選択して設定されると、投入口に投入された紙葉類が、取込手段で一枚ずつ機内に取り込まれ、識別手段で識別されて、現金紙幣のみが受付可と識別される。そして、計上手段が、識別手段で受付可と識別された現金紙幣の額面を入金金額データへ計上する。他方、モード設定手段で媒体種別モードとして現金外モードが選択して設定されると、投入口に投入された紙葉類が、取込手段で一枚ずつ機内に取り込まれ、識別手段で識別されて、現金外紙葉類のみが受付可と識別される。そして、計上手段が、識別手段で受付可と識別された現金外紙葉類の額面を入金金額データへ計上する。よって、取扱い対象の紙葉類として現金紙幣だけでなく現金外紙葉類をも入金して、売上計上等に自動計数入力することができる。したがって、現金外紙葉類について手操作で入金金額データを入力する必要がなくなり、自動計数入力ができるようになるため、担当者の作業を大幅に軽減できる。また、入金計数対象となる媒体種別を選択設定すると、ギャップ調整手段が取込手段の取込ギャップをその媒体種別の厚みに対応したギャップに調整するため、紙幣とは厚みに違いがある現金外紙葉類であっても適切に取込ギャップが調整されて、円滑に機内へ取り込むことが可能となる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、現金外モードでは、識別手段が、一の種別の現金外紙葉類を受付可と識別してその枚数を計数すると、計上手段が、この計数結果と、一の種別の現金外紙葉類の一枚当たりの単位額面データとの乗算によって一の種別の現金外紙葉類の額面を求めて計上する。したがって、廉価な構成で現金外紙葉類の額面を計上可能となる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、現金外モードにおいて、搬送制御手段が、識別手段で受付可と識別された現金外紙葉類のみを一時貯留手段および繰出手段のうちのいずれか一方へ搬送するとともに、現金を含むその他の紙葉類全てを一時貯留手段および繰出手段のうちのいずれか他方へ搬送する。よって、使用する店舗での運用仕様に応じた紙葉類の搬送先設定が可能となる。すなわち、受け付けた現金外紙葉類を収納手段に収納したい場合には一時貯留手段へ搬送し、収納手段に収納したくない場合には繰出手段へ搬送するといった選択設定が可能となる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、モード設定手段で設定された媒体種別モードに応じて、取込速度切換手段が、取込手段の取込速度を切り換えるため、媒体種別ごとに取込速度も可変となり、より媒体種別に適した状態で、紙葉類を一枚ずつ分離して円滑に機内へ取り込むことが可能となる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、モード設定手段で設定された媒体種別モードに応じて、搬送速度切換手段が、機内へ取り込んだ紙葉類を搬送路にて搬送する搬送速度を切り換えるため、媒体種別ごとに機内での搬送速度も可変となり、より媒体種別に適した状態で、紙葉類を搬送することが可能となる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、識別手段にて受付可と識別された現金外紙葉類に対しては、記録手段が受付済みの記録を施すことになるため、「受付済み」の現金外紙葉類が「受付済み」か否かが容易に目視で区別できるようになる。
【0019】
請求項7に係る発明によれば、識別手段が、記録手段による受付済みの記録が施された現金外紙葉類を受付不可と識別するため、オペミスや不正運用を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る紙葉類入金機を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る紙葉類入金機を示す側断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る紙葉類入金機を示す制御系のブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る紙葉類入金機を示す要部の側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る紙葉類入金機の表示操作部の待機画面を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る紙葉類入金機の表示操作部の現金モードでの表示画面を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る紙葉類入金機の表示操作部の現金外モードでの表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係る紙葉類入金機を図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る紙葉類入金機は、紙葉類として、現金紙幣と、現金以外であって現金に準じて交換媒体として使用される商品券・金券等の現金外紙葉類(以下、単に現金外紙葉類と言う)とを両方入金可能なものである。
【0022】
図1に示すように、紙葉類入金機11は、入金機本体12と、入金機本体12の前面側上部に引き出し可能に設けられる上段ユニット(返却手段)13と、入金機本体12の前面側下部に引き出し可能に設けられる下段ユニット14とで全体が構成されている。
【0023】
上段ユニット13の前部の上面には、ユーザによって入力が行われるとともにユーザに対して操作ガイダンス等の表示を行うタッチパネル式の表示操作部(モード設定手段)18と、紙葉類が集積状態で投入される投入口19とが設けられている。投入口19には、紙葉類が上下方向に集積された状態で装填されることになり、その際に装填された紙葉類を上側から押すビルプレス20と、紙葉類の装填の有無を検知する図2に示すセット検知センサ21とが設けられている。また、図1に示すように、上段ユニット13の前面には、電源スイッチ23と、機内から繰り出された紙葉類を機外に取り出し可能に集積させる第1繰出部(繰出手段)24および第2繰出部(繰出手段)25と、上段ユニット13を入金機本体12から引き出す際に操作される引出用取っ手26とが設けられている。
【0024】
下段ユニット14の前面には、下段ユニット14を入金機本体12から引き出す際に操作される引出用取っ手27と、下段ユニット14を入金機本体12に対して閉状態でロックおよびロック解除するための専用の鍵28とが設けられている。
【0025】
紙葉類入金機11の内部には、図2に示すように、紙葉類入金機11の全体を制御する制御部(受付設定手段,計上手段,搬送制御手段,取込速度切換手段,搬送速度切換手段)33と、各種データを記憶する記憶部34とが設けられている。
【0026】
投入口19には、投入口19に投入された集積状態の紙葉類Sを最下のものから一枚ずつ分離して機内へ取り込む取込機構(取込手段)36と、取込機構36で一枚ずつ分離して機内へ取り込まれた紙葉類Sを搬送する搬送路37とが設けられている。この搬送路37は、投入口19の位置から機体の後方に向け延出する前段搬送部38と、前段搬送部38の端末から下側に半円状に湾曲することで搬送方向を180度反転させる中間搬送部39と、中間搬送部39の端末から機体の前方に向け延出する後段搬送部40とを有している。
【0027】
なお、取込機構36は、図3に示す取込駆動モータ36Aで駆動されることになり、搬送路37も図3に示す搬送駆動モータ37Aで駆動されることになる。これら取込駆動モータ36Aおよび搬送駆動モータ37Aは、いずれも回転速度を変更制御可能であり、よって、機内への取込機構36による紙葉類Sの取込速度と、機内へ取り込んだ紙葉類Sを搬送路37での搬送速度とは、制御部33の制御によって切り換え可能となっている。
【0028】
搬送路37の前段搬送部38には、取込機構36で機内へ取り込まれ前段搬送部38で搬送中の紙葉類Sを識別する識別部(識別手段)43が設けられている。この識別部43は、例えばCCDカメラ等の画像検出装置44を備えており、前段搬送部38で搬送中の紙葉類Sの券面画像データを撮像する。そして、識別部43は、この券面画像データを画像処理して基準データと比較することで、紙葉類Sが受付可であるか受付不可であるかを識別する。また、識別部43は、紙葉類Sの券面画像データから光学式に文字を読み取る光学式文字読取処理(OCR処理)を行う図3に示す光学式文字読取部(光学式文字読取手段)43Aを有している。
【0029】
図2に示すように、搬送路37の後段搬送部40は、上流側に、二方向に分岐する分岐搬送路46,47を有しており、一方の分岐搬送路46は略水平に機体前方に延出し、他方の分岐搬送路47は前下がりの姿勢で機体前方に延出する。また、後段搬送部40は、下流側に、分岐搬送路46をさらに二方向に分岐する分岐搬送路48,49を有しており、一方の分岐搬送路48は略水平に機体前方に延出し、他方の分岐搬送路49は前下がりの姿勢で機体前方に延出する。そして、分岐搬送路48は上記した第1繰出部24につながり、分岐搬送路49は上記した第2繰出部25につながっている。
【0030】
搬送路37の後段搬送部40には、中間搬送部39から搬送されてきた紙葉類Sを分岐搬送路46,47に選択的に振り分ける上流側振分部51と、分岐搬送路46から搬送されてきた紙葉類Sを分岐搬送路48,49に選択的に振り分ける下流側振分部52とが設けられている。これら上流側振分部51および下流側振分部52は、識別部43より下流側に設けられて識別部43の読み取り後の紙葉類Sを振り分ける。上流側振分部51は、図3に示す振分ソレノイド51Aで駆動され、下流側振分部52は、図3に示す振分ソレノイド52Aで駆動される。
【0031】
図2に示すように、上流側で分岐する分岐搬送路47の端末位置には、紙葉類Sを上下方向に集積させて機内で一時貯留する、底部が開閉可能な一時貯留部(一時貯留手段,返却手段)55が設けられている。この一時貯留部55は、識別部43の識別結果に基づいて、紙葉類Sのうち機内に収納する紙葉類Sを受け入れて一時貯留する。
【0032】
一時貯留部55は、上下に開口する四角枠状の枠体56と、相互に近接・離間するように水平移動することで枠体56の下部開口部を開閉する一対のシャッタ57,57と、枠体56内を上下に貫通するように昇降するプッシャ58とを有している。この一時貯留部55は、プッシャ58が枠体56の上方に位置する状態で、分岐搬送路47から一枚ずつ繰り出される紙葉類Sを閉状態のシャッタ57,57上に下から上に順に集積させる。一時貯留部55は、投入口19、搬送路37、識別部43、上流側振分部51、下流側振分部52、第1繰出部24および第2繰出部25とともに上段ユニット13に設けられており、上段ユニット13が入金機本体12から引き出されると、集積させていた紙葉類Sが機外に取り出し可能つまり返却可能になる。シャッタ57,57は、図3に示すシャッタモータ57Aで駆動され、プッシャ58は、図3に示すプッシャモータ58Aで駆動される。
【0033】
図2に示すように、一時貯留部55の下方には、一時貯留部55に一時貯留された紙葉類Sを機内で収納する収納部(収納手段)60が設けられている。この収納部60は、上部開口部を有する有底筒状の箱体61と、箱体61内で上下に昇降するとともに上側に図示略のスプリングで付勢される底板62と、箱体62の上部開口部の対辺位置に揺動可能に設けられた一対の係止板63,63とを有している。一対の係止板63,63はともに水平位置にある閉状態からともに下方向に揺動して開状態となるもので、閉状態を維持するように図示略のスプリングで付勢されている。
【0034】
この収納部60は、上下に集積された紙葉類Sを、閉状態の一対の係止板63,63と上方に付勢された底板62とで挟持する。一時貯留部55の紙葉類Sを収納する際には、一時貯留部55のシャッタ57,57が開作動されることによって一時貯留部55から落下した紙葉類Sを閉状態の一対係止板63,63およびすでに収納している紙葉類Sで受け取る。そして、一時貯留部55のプッシャ58が下降することで、プッシャ58が係止板63,63上の紙葉類S、すでに収納部60に収納されている紙葉類Sおよび底板62を下方に押圧し、これらを下降させる。すると、係止板63,63上の紙葉類Sは、一対の係止板63,63を開作動させながら下降することになり、係止板63,63上にあった紙葉類Sが一対の係止板63,63を通過すると、一対の係止板63,63は図示略のスプリングの付勢力で閉状態に戻る。その後、プッシャ58が上昇すると、底板62が図示略のスプリングの付勢力で上昇し、紙葉類Sを一対の係止板63,63との間に保持する。プッシャ58は、最終的に枠体56の上方の待機位置に戻る。
【0035】
この収納部60は、下段ユニット14に着脱可能に設けられており、鍵28によってロックが解除されて下段ユニット14が入金機本体12から引き出された状態で、下段ユニット14から取り外される。
【0036】
第1繰出部24は、分岐搬送路48から一枚ずつ繰り出される紙葉類Sを下から上に順に集積させるもので、機外に開口することで、集積させていた紙葉類Sがそのまま機外に取り出し可能となっている。この第1繰出部24は、識別部43の識別結果に基づいて紙葉類Sを機外へ取り出し可能に繰り出すもので、識別部43の識別結果から、例えば受付不可と識別された紙葉類Sを繰り出して集積させる。
【0037】
第2繰出部25は、分岐搬送路49から一枚ずつ繰り出される紙葉類Sを下から上に順に集積させるもので、機外に開口することで、集積させていた紙葉類Sがそのまま機外に取り出し可能となっている。この第2繰出部25も、識別部43の識別結果に基づいて紙葉類Sを機外へ取り出し可能に繰り出すもので、識別部43の識別結果から、例えば受付不可と識別された紙葉類Sを繰り出して集積させる。
【0038】
中間搬送部39の上流側振分部51の直前位置には、識別部43の識別結果に基づいて受付可と識別された紙葉類S(現金外紙葉類)に対して、消し込み処理として受付済みの記録を施すエンドーサ(記録手段)65が設けられている。エンドーサ65は、図3に示すエンドーサソレノイド65Aで進退し、前進時に例えば「受付済み」のスタンプ押印を行う図示略のインクローラを備えている。
【0039】
図2に示すように、取込機構36は、投入口19に載置された紙葉類Sの最下のものに接触してこれを蹴り出す蹴出ローラ70と、蹴出ローラ70で蹴り出された紙葉類Sを一枚ずつに分離して機内に取り込む上下のセパレートローラ71および取込ローラ72とを有している。そして、取込ローラ72は、上記した取込駆動モータ36Aで駆動されて蹴出ローラ70とともに紙葉類Sの取り込み方向に回転する。これに対し、セパレートローラ71は図示略のワンウエイクラッチで取込ローラ72との取り込み方向の連れ回りが規制されている。これにより、セパレートローラ71で上側の紙葉類Sを停止させながら、取込ローラ72が図4に示す高摩擦部72Aで接触する紙葉類Sを一枚ずつ、セパレートローラ71との隙間である取込ギャップGを通して機内に取り込むことになる。
【0040】
そして、本実施形態においては、上記したセパレートローラ71と取込ローラ72との間の取込ギャップGを調整するギャップ調整機構(ギャップ調整手段)75が設けられている。このギャップ調整機構75は、ステッピングモータ76と、ステッピングモータ76の回転で上下に移動するプランジャ77と、プランジャ77に連結されるとともにセパレートローラ71を図示略のワンウエイクラッチを介して軸支する支持部材78とを有している。このギャップ調整機構75は、ステッピングモータ76の回転によりプランジャ77、支持部材78およびセパレートローラ71を昇降させて取込ギャップGを所望値に調整する。
【0041】
次に、制御部33の制御内容を、紙葉類入金機11の作動とともに説明する。
【0042】
紙葉類入金機11が待機状態にあるとき、制御部33は、表示操作部18に、図5に示すように、媒体種別モードのうち現金紙幣を処理する現金モードの選択時に押圧操作される「現金」と表示された現金モード選択入力部18aと、媒体種別モードのうち現金外紙葉類である金券種Aを処理する現金外モードの選択時に押圧操作される「金券A」と表示された現金外モード選択入力部18bと、媒体種別モードのうち現金外紙葉類である金券種Bを処理する現金外モードの選択時に押圧操作される「金券B」と表示された現金外モード選択入力部18cと、媒体種別モードのうち現金外紙葉類である金券種Cを処理する現金外モードの選択時に押圧操作される「金券C」と表示された現金外モード選択入力部18dとを、表示操作部18に設けている。また、紙葉類入金機11が待機状態にあるとき、制御部33は、操作開始の指示時に押圧操作される「スタート」と表示された開始操作入力部18eを表示操作部18に設けている。なお、同じ金券種の現金外紙葉類とは、一枚当たりの額面(単位額面)も同額のもののことで、発行元等が同じであっても一枚当たりの額面が異なれば異なる金券種となる。
【0043】
そして、現金紙幣および現金外紙葉類のいずれを処理する場合にも、オペレータは、処理対象の紙葉類Sを集積状態で、投入口19に投入し、上側からピルプレス20で押圧される状態とする。
【0044】
次に、オペレータは、初期操作として、表示操作部18に対し、現金モード、金券種Aの現金外モード、金券種Bの現金外モードおよび金券種Cの現金外モードのうちのいずれか一の媒体種別モードを選択して設定する。つまり、現金モード選択入力部18aおよび現金外モード選択入力部18b〜18dのうちのいずれか一つを押圧操作した後に、開始操作入力部18eを押圧操作する。または、現金モード選択入力部18aおよび現金外モード選択入力部18b〜18dのいずれも押圧操作せずに開始操作入力部18eを押圧操作する。制御部33は、投入口19に紙葉類Sが装填されていることをセット検知センサ21で検知している場合に限り、上記初期操作を受け付けることになる。
【0045】
そして、制御部33は、受け付けた初期操作で、現金モード選択入力部18aが押圧操作された場合と、現金モード選択入力部18aおよび現金外モード選択入力部18b〜18dのいずれも押圧操作されずに開始操作入力部18eが押圧操作された場合とについては、現金モードが選択して設定されたものとして現金モードを実行する。この現金モードでは、制御部33は、識別部43で受付可と識別する紙葉類Sを現金紙幣のみに設定する。
【0046】
また、制御部33は、受け付けた初期操作で、現金外モード選択入力部18bが押圧操作された場合は、現金外モードのうちの金券種Aの現金外モードを、現金外モード選択入力部18cが押圧操作された場合は、現金外モードのうちの金券種Bの現金外モードを、現金外モード選択入力部18dが押圧操作された場合は、現金外モードのうちの金券種Cの現金外モードを、それぞれ実行する。制御部33は、金券種Aの現金外モードでは、識別部43で受付可と識別する紙葉類Sを金券種Aの現金外紙葉類のみに設定することになり、金券種Bの現金外モードでは、識別部43で受付可と識別する紙葉類Sを金券種Bの現金外紙葉類のみに設定することになり、金券種Cの現金外モードでは、識別部43で受付可と識別する紙葉類Sを金券種Cの現金外紙葉類のみに設定することになる。
【0047】
制御部33は、初期操作で設定された媒体種別モードに応じて、基準データおよび設定データを記憶部34から読み出す。ここで、基準データは、識別対象の紙葉類Sが受付可であるか受付不可であるかを判別するための券面画像データの基準データである。また、設定データは、識別対象の紙葉類Sの厚さ、材質および表面性状等に応じた取込機構36の取込ギャップGの設定データと、識別対象の紙葉類Sの大きさ等に応じた取込機構36の取込速度の設定データと、識別対象の紙葉類Sの厚さ、材質および表面性状等に応じた搬送路37の搬送速度の設定データとからなっている。
【0048】
現金モードに対応して記憶部34に記憶された券面画像データの基準データは、取り扱う全金種の現金紙幣の券面画像データの基準データであり、金券種Aの現金外モードに対応して記憶部34に記憶された券面画像データの基準データは、金券種Aの現金外紙葉類の券面画像データの基準データであり、金券種Bの現金外モードに対応して記憶部34に記憶された券面画像データの基準データは、金券種Bの現金外紙葉類の券面画像データの基準データであり、金券種Cの現金外モードに対応して記憶部34に記憶された券面画像データの基準データは、金券種Cの現金外紙葉類の券面画像データの基準データである。
【0049】
現金モードに対応して記憶部34に記憶された取込ギャップGの設定データは、取り扱う全金種の現金紙幣の厚さ、材質および表面性状が略一様であることから、これに合わせて設定されたものとなっている。金券種Aの現金外モードに対応して記憶部34に記憶された取込ギャップGの設定データは、金券種Aの現金外紙葉類の厚さ、材質および表面性状に、金券種Bの現金外モードに対応して記憶部34に記憶された取込ギャップGの設定データは、金券種Bの現金外紙葉類の厚さ、材質および表面性状に、金券種Cの現金外モードに対応して記憶部34に記憶された取込ギャップGの設定データは、金券種Cの現金外紙葉類の厚さ、材質および表面性状に、それぞれ合わせて設定されたものとなっている。具体的に、取込ギャップGは、紙葉類Sの厚さが薄いほど狭くなり、材質として例えば腰が弱いほど狭くなり、表面性状として例えば表面が滑らかでスキューし易いものほど狭くなるように設定される。
【0050】
現金モードに対応して記憶部34に記憶された取込速度の設定データは、取り扱う全金種の現金紙幣の大きさに合わせて設定されたものとなっている。金券種Aの現金外モードに対応して記憶部34に記憶された取込速度の設定データは、金券種Aの現金外紙葉類の大きさに、金券種Bの現金外モードに対応して記憶部34に記憶された取込速度の設定データは、金券種Bの現金外紙葉類の大きさに、金券種Cの現金外モードに対応して記憶部34に記憶された取込速度の設定データは、金券種Cの現金外紙葉類の大きさに、それぞれ合わせて設定されたものとなっている。具体的に、取込速度が速ければ速いほど、搬送中の紙葉類S間の距離は短くなり、また、紙葉類Sの外形寸法における取込方向とは直交する取込直交方向の長さが長いほどスキューすることによって前後を搬送中の紙葉類Sとのニアフィードの危険性が高くなることから、この取込直交方向の長さが短いほど取込速度が速くなるように設定される。
【0051】
現金モードに対応して記憶部34に記憶された搬送速度の設定データは、取り扱う全金種の現金紙幣の厚さ、材質および表面性状が略一様であるため、これに合わせて設定されたものとなっている。金券種Aの現金外モードに対応して記憶部34に記憶された搬送速度の設定データは、金券種Aの現金外紙葉類の厚さ、材質および表面性状に、金券種Bの搬送速度に対応して記憶部34に記憶された取込ギャップの設定データは、金券種Bの現金外紙葉類の厚さ、材質および表面性状に、金券種Cの現金外モードに対応して記憶部34に記憶された搬送速度の設定データは、金券種Cの現金外紙葉類の厚さ、材質および表面性状に、それぞれ合わせて設定されたものとなっている。具体的に、搬送速度は、紙葉類Sの厚さが薄いほど低速となり、材質として例えば腰が弱いほど低速となり、表面性状として例えば表面が滑らかでスキューし易いものほど低速となるように設定される。
【0052】
ここで、取込速度および搬送速度は、取込駆動モータ36Aおよび搬送駆動モータ37Aのそれぞれの駆動制御によって可変となる。その具体例としては、取込駆動モータ36Aあるいは搬送駆動モータ37Aとして通常のDCモータを使用して電流制御によって電流値(ADパラメータ)を大きく流すと高速に、逆に電流を小さく流すと低速とすることになる。また、別の例として、取込駆動モータ36Aあるいは搬送駆動モータ37Aとしてパルスモータを使用してパルス制御によってパルス幅を大きくすることによって高速に、パルス幅(ADパラメータ)を小さくすることによって低速とすることになる。
【0053】
そして、制御部33は、記憶部34から読み出された、初期操作で設定された媒体種別モードに対応する取込ギャップGの設定データとなるように、ギャップ調整機構75のステッピングモータ76を必要により駆動しセパレートローラ71を昇降させて取込ギャップGを調整する。このように、制御部33は、表示操作部18で設定された媒体種別モードに応じて取込ギャップGを調整する。
【0054】
このようにして取込ギャップGが設定データになると、制御部33は、記憶部34から読み出された、初期操作で設定された媒体種別モードに対応する取込速度の設定データおよび搬送速度の設定データで取込駆動モータ36Aおよび搬送駆動モータ37Aを駆動する。このように、制御部33は、表示操作部18で設定された媒体種別モードに応じて、取込機構36で紙葉類Sを機内へ取り込む際の取込速度、および機内へ取り込んだ紙葉類Sを搬送路37にて搬送する搬送速度を切り換える。
【0055】
これにより、投入口19の紙葉類Sが取込機構36の蹴出ローラ70で蹴り出され、セパレートローラ71および取込ローラ72で一枚ずつに分離され所定の間隔をあけて設定された取込速度で取込ギャップGを通って機内に取り込まれる。機内に取り込まれた紙葉類Sは設定された搬送速度で搬送路37により搬送される。そして、搬送路37の前段搬送部38を搬送中に、紙葉類Sは、識別部43で券面画像データが読み取られる。識別部43は読み取った券面画像データと、記憶部34から読み出された券面画像データの基準データとを比較して、一致度から、読み取った券面画像データを有する紙葉類Sの受付可・受付不可を判定する。
【0056】
つまり、初期操作で選択された媒体種別モードが現金モードである場合に、識別部43は、読み取った券面画像データが、取り扱う全金種の現金紙幣のうちのいずれかの基準データと所定の一致度で一致した場合には、この券面画像データの紙葉類Sを受付可と判定し、現金外紙葉類を含むそれ以外の紙葉類Sは受付不可と判定する。そして、識別部43は、受付可と判定した現金紙幣については、金種別に枚数を計数することになる。
【0057】
また、初期操作で選択された媒体種別モードが、金券種Aの現金外モードである場合に、識別部43は、読み取った券面画像データが、金券種Aの現金外紙葉類の基準データと所定の一致度で一致した場合には、この券面画像データの紙葉類Sを受付可と判定し、現金紙幣および他種の現金外紙葉類を含むそれ以外の紙葉類Sは受付不可と判定する。そして、識別部43は、受付可と判定した金券種Aの現金外紙葉類については、枚数を計数することになる。
【0058】
同様に、初期操作で選択された媒体種別モードが、金券種Bの現金外モードである場合に、識別部43は、読み取った券面画像データが、金券種Bの現金外紙葉類の基準データと所定の一致度で一致すると、この券面画像データの紙葉類Sを受付可と判定して、枚数を計数することになり、初期操作で選択された媒体種別モードが、金券種Cの現金外モードである場合に、識別部43は、読み取った券面画像データが、金券種Cの現金外紙葉類の基準データと所定の一致度で一致すると、この券面画像データの紙葉類Sを受付可と判定して、枚数を計数することになる。
【0059】
初期操作で選択された媒体種別モードが、現金モードである場合には、識別部43が読み取った紙葉類Sが、受付可な現金紙幣である場合、この現金紙幣については、上記したように金種を区別しつつ計数を行い、エンドーサ65で受付済みの記録を施すことなく、上流側振分部51で分岐搬送路47に搬送して、一時貯留部55に一時貯留させることになる。他方、識別部43が読み取った紙葉類Sが、現金紙幣以外の受付不可な紙葉類Sである場合、この受付不可な紙葉類Sについては、計数せず、またエンドーサ65での受付済みの記録を施すことなく、上流側振分部51で分岐搬送路46に搬送し、さらに下流側振分部52で分岐搬送路48に搬送して、第1繰出部24に繰り出すことになる。
【0060】
上記を繰り返すことで、投入口19内に紙葉類Sがなくなったことがセット検知センサ21で検知されると、所定時間経過後に、制御部33は、取込駆動モータ36Aを停止させることになり、その後、識別部43で最後に識別した紙葉類Sが一時貯留部55および第1繰出部24のいずれか対応する一方に搬送されるのに十分な所定時間が経過すると、制御部33は、搬送駆動モータ37Aを停止させることになる。そして、制御部33は、図6に示すように、表示操作部18に、今回の処理で受け付けた現金紙幣の金種別の計数値、金種別の金額および合計金額を表示させるとともに、「承認」と表示された承認選択入力部18fと、「キャンセル」と表示されたキャンセル選択入力部18gとを表示させて待機する。
【0061】
承認選択入力部18fが押圧操作されると、制御部33は、識別部43で受付可と識別された現金紙幣の金種別の額面を記憶部34の入金金額データへ計上して記憶部34に記憶する。つまり、今回の処理の前に入金されて記憶部34に記憶されている金種毎の入金金額に、今回の処理の金種毎の入金金額を加算するとともに、今回の処理の前に入金されて記憶部34に記憶されている合計の入金金額に、今回の処理の合計の入金金額を加算する。それとともに、制御部33は、一時貯留部55に集積された現金紙幣を収納部60に収納し、収納が完了すると表示操作部18に上記した待機画面を表示させる待機状態に戻る。
【0062】
他方、キャンセル選択入力部18gが押圧操作されると、制御部33は、識別部43で受付可と識別された現金紙幣の額面を記憶部34の入金金額データへ計上することなく、消去する。それとともに、制御部33は、一時貯留部55に集積された現金紙幣の取り出しを促す表示を表示操作部18に表示させることになり、これを見て、オペレータは、上部ユニット13を引き出して一時貯留部55に集積された現金紙幣を取り出すことになる。一時貯留部55から現金紙幣が取り出され、上部ユニット13が入金機本体12に戻されたことが図示略のセンサで検知されると、制御部33は表示操作部18に上記した待機画面を表示させる待機状態に戻る。
【0063】
初期操作で選択された媒体種別モードが、金券種Aの現金外モードである場合には、識別部43が読み取った紙葉類Sが、受付可な金券種Aの現金外紙葉類である場合、この金券種Aの現金外紙葉類については、枚数の計数を行い、エンドーサ65で受付済みの記録を施して、上流側振分部51で分岐搬送路47に搬送して、一時貯留部55に一時貯留させることになる。他方、識別部43が読み取った紙葉類Sが、金券種Aの現金外紙葉類以外の受付不可な紙葉類Sである場合、この受付不可な紙葉類Sについては、計数およびエンドーサ65での受付済みの記録を行うことなく、上流側振分部51で分岐搬送路46に搬送し、さらに下流側振分部52で分岐搬送路49に搬送して、第2繰出部25に繰り出すことになる。なお、識別部43は、光学式文字読取部43Aを備えており、この光学式文字読取部43Aによって、エンドーサ65による受付済みの記録を認識可能であり、このエンドーサ65による受付済みの記録が施された金券種Aの現金外紙葉類については受付不可と識別する。よって、受付済みの記録が施された金券種Aの現金外紙葉類も計数することなく第2繰出部25に繰り出すことになる。
【0064】
上記を繰り返すことで、投入口19内に紙葉類Sがなくなったことがセット検知センサ21で検知されると、所定時間経過後に、制御部33は、取込駆動モータ36Aを停止させることになり、その後、識別部43で最後に識別した紙葉類Sが一時貯留部55および第2繰出部25のいずれか対応する一方に搬送されるのに十分な所定時間が経過すると、制御部33は、搬送駆動モータ37Aを停止させることになる。そして、制御部33は、図7に示すように、表示操作部18に、今回の処理で計数した現金外紙葉類の、一枚当たりの単位額面データを含む金券種Aと、枚数と、額面とを表示させるとともに、「承認」と表示された承認選択入力部18fと、「キャンセル」と表示されたキャンセル選択入力部18gとを表示させて待機する。なお、制御部33は、今回の処理で計数した現金外紙葉類の額面を、一の種別である金券種Aの現金外紙葉類の一枚当たりの単位額面データと、識別部43で計数した金券種Aの現金外紙葉類の枚数との乗算によって求める。
【0065】
承認選択入力部18fが押圧操作されると、制御部33は、識別部43で受付可と識別された金券種Aの現金外紙葉類の額面を記憶部34の入金金額データへ計上して記憶部34に記憶する。つまり、今回の処理の前に入金されて記憶部34に記憶されている金券種Aの現金外紙葉類の入金金額に、今回の処理の金券種Aの現金外紙葉類の入金金額を加算するとともに、今回の処理の前に入金されて記憶部34に記憶されている合計の入金金額に、今回の処理の合計の入金金額を加算する。それとともに、制御部33は、一時貯留部55に集積された金券種Aの現金外紙葉類を収納部60に収納し、収納が完了すると表示操作部18に上記した待機画面を表示させる待機状態に戻る。
【0066】
他方、キャンセル選択入力部18gが押圧操作されると、制御部33は、識別部43で受付可と識別された金券種Aの現金外紙葉類の額面を記憶部34の入金金額データへ計上することなく、消去する。それとともに、制御部33は、一時貯留部55に集積された金券種Aの現金外紙葉類の取り出しを促す表示を表示操作部18に表示させることになり、これを見て、オペレータは、上部ユニット13を引き出して一時貯留部55に集積された金券種Aの現金外紙葉類を取り出すことになる。一時貯留部55から金券種Aの現金外紙葉類が取り出され、上部ユニット13が入金機本体12に戻されたことが図示略のセンサで検知されると、制御部33は表示操作部18に上記した待機画面を表示させる待機状態に戻る。
【0067】
初期操作で選択された媒体種別モードが、金券種Bの現金外モードである場合は、上記金券種Aの現金外モードである場合に対して、金券種Aが金券種Bに変わる以外は同様となり、金券種Cの現金外モードである場合は、金券種Aの現金外モードである場合に対して、金券種Aが金券種Cに変わる以外は同様となる。
【0068】
なお、以上においては、制御部33が、識別部43で受付可と識別された紙葉類Sを一時貯留部55に、受付不可と識別された紙葉類Sを、現金モードでは第1繰出部24に、現金外モードでは第2繰出部25に、それぞれ搬送する処理((1)の処理)を例にとり説明した。しかしながら、本実施形態に係る紙葉類入金機11は、これ以外にも、以下(2)〜(4)の処理が選択設定できるようになっている。
【0069】
(2)識別部43で受付不可と識別された紙葉類Sを一時貯留部55に、受付可と識別された紙葉類Sを第1繰出部24あるいは第2繰出部25に搬送する。この場合、現金モードにおいて、受付可と識別された所定の同一金種の現金紙幣を第1繰出部24および第2繰出部25の一方に、受付可と識別された他の金種の現金紙幣を第1繰出部24および第2繰出部25の他方に搬送して分類するようにしても良い。
【0070】
(3)一時貯留部55を使用せずに、識別部43で受付可と識別された紙葉類Sを第1繰出部24および第2繰出部25のいずれか一方に、識別部43で受付不可と識別された紙葉類Sを第1繰出部24および第2繰出部25のいずれか他方に、それぞれ搬送する。
【0071】
(4)現金モードでは、受付可と識別された現金紙幣を一時貯留部55に搬送し、受付不可と識別された紙葉類Sを第1繰出部24および第2繰出部25のいずれか一方に搬送する一方、現金外モードでは、受付可と識別された現金外紙葉類を第1繰出部24および第2繰出部25のいずれか一方に搬送し、受付不可と識別された紙葉類Sを第1繰出部24および第2繰出部25のいずれか他方に搬送する。ただし、この場合、いずれのモードでも、受付不可と識別された紙葉類Sの搬送先は、第1繰出部24および第2繰出部25の同じ一方とする。
【0072】
なお、上記選択設定をせず、識別部43で受付可と識別された現金外紙葉類を常に一時貯留部55に搬送する場合は、搬送路37における識別部43と、識別部43にて受付可と識別された現金外紙葉類を貯留する一時貯留部55との間の経路にエンドーサ65を設けることになり、識別部43で受付可と識別された現金外紙葉類を常に第1繰出部24および第2繰出部25のいずれか一方に搬送する場合には、識別部43と、識別部43にて受付可と識別された現金外紙葉類を貯留する第1繰出部24あるいは第2繰出部25との間の経路にエンドーサ65を設けることになる。
【0073】
また、(1)の処理のみを行う場合は、二つの第1繰出部24および第2繰出部25を設けずに、一つのみ繰出部を設けてこの繰出部に受付不可と識別されたすべての紙葉類Sを繰り出すようにしても良い。
【0074】
また、(2)の処理のみを行う場合は、二つの第1繰出部24および第2繰出部25を設けずに、一つのみ繰出部を設けてこの繰出部に受付可と識別されたすべての紙葉類Sを繰り出すようにしても良い。
【0075】
以上に述べた本実施形態に係る紙葉類入金機11によれば、表示操作部18で媒体種別モードとして現金モードが選択して設定されると、投入口19に投入された紙葉類Sが、取込機構36で一枚ずつ機内に取り込まれ、識別部43で識別されて、現金紙幣のみが受付可と識別される。そして、制御部33が、識別部43で受付可と識別された現金紙幣の額面を入金金額データへ計上する。他方、表示操作部18で媒体種別モードとして現金外モードが選択して設定されると、投入口19に投入された紙葉類Sが、取込機構36で一枚ずつ機内に取り込まれ、識別部43で識別されて、現金外紙葉類のみが受付可と識別される。そして、制御部33が、識別部43で受付可と識別された現金外紙葉類の額面を入金金額データへ計上する。よって、取扱い対象の紙葉類Sとして現金紙幣だけでなく現金外紙葉類をも入金して、売上計上等に自動計数入力することができる。したがって、現金外紙葉類について手操作で入金金額データを入力する必要がなくなり、自動計数入力できるようになるため、担当者の作業を大幅に軽減できる。
【0076】
また、入金計数対象となる媒体種別を選択設定すると、ギャップ調整機構75が取込機構36の取込ギャップをその媒体種別の紙葉類Sの厚みに対応したギャップに調整するため、現金紙幣とは厚みに違いがある現金外紙葉類であっても適切に取込ギャップが調整されて、円滑に機内へ取り込むことが可能となる。
【0077】
また、現金外モードでは、識別部43が、一の種別の現金外紙葉類を受付可と識別して枚数を計数すると、制御部33が、この計数結果と、一の種別の現金外紙葉類の一枚当たりの単位額面データとの乗算によって一の種別の現金外紙葉類の額面を求めて計上する。したがって、廉価な構成で現金外紙葉類の額面を計上可能となる。
【0078】
また、表示操作部18で設定された媒体種別モードに応じて、制御部33が、取込機構36の取込速度を切り換えるため、媒体種別ごとに取込速度も可変となり、より媒体種別に適した状態で紙葉類Sを一枚ずつ分離して円滑に機内へ取り込むことが可能となる。
【0079】
また、表示操作部18で設定された媒体種別モードに応じて、制御部33が、機内へ取り込んだ紙葉類Sを搬送路37にて搬送する搬送速度を切り換えるため、媒体種別ごとに機内での搬送速度も可変となり、より媒体種別に適した状態で紙葉類Sを搬送することが可能となる。
【0080】
また、識別部43にて受付可と識別された現金外紙葉類に対しては、エンドーサ65が受付済みの記録を施すことになるため、「受付済み」の現金外紙葉類が、「受付済み」か否かが容易に目視で区別できるようになる。特に、「受付済み」の現金外紙葉類が収納部60へ収納されない場合に、「受付済み」か否かが容易に目視で区別できることによる効果が高い。
【0081】
また、識別部43が、エンドーサ65による受付済みの記録が施された現金外紙葉類を受付不可と識別するため、オペミスや不正運用を防止できるようになる。
【0082】
また、現金外モードにおいて、制御部33が、識別部43で受付可と識別された現金外紙葉類のみを一時貯留部55および第1繰出部24(または第2繰出部25)のうちのいずれか一方へ搬送するとともに、現金を含むその他の紙葉類全てを一時貯留部55および第1繰出部24(または第2繰出部25)のうちのいずれか他方へ搬送するように搬送先を変更可能となっている。よって、使用する店舗での運用仕様に応じた紙葉類の搬送先設定が可能となる。すなわち、受け付けた現金外紙葉類を収納部60に収納したい場合には一時貯留部55へ搬送し、収納部60に収納したくない場合には第1繰出部24(または第2繰出部25)へ搬送するといった選択設定が可能となる。
【0083】
なお、現金以外の紙葉類の識別部33での受付ロジックは、現金紙幣のように真偽判定や金種判定までは行わず、例えば外形寸法(幅センサーと走行センサーで外形寸法を求める等)のみで受付の可不可を判定して、受付可の紙葉類の枚数のみを判読する簡易な構成とすることもできる。このような構成とすることで、紙幣を識別する構成の識別部33には特に手を加えずに現金以外の紙葉類も取扱い可能となるので、廉価な構成として実現可能となる。
【符号の説明】
【0084】
11 紙葉類入金機
13 上段ユニット(返却手段)
18 表示操作部(モード設定手段)
19 投入口
24 第1繰出部(繰出手段)
25 第2繰出部(繰出手段)
33 制御部(受付設定手段,計上手段,搬送制御手段,取込速度切換手段,搬送速度切換手段)
36 取込機構(取込手段)
43 識別部(識別手段)
43A 光学式文字読取部(光学式文字読取手段)
55 一時貯留部(一時貯留手段,返却手段)
60 収納部(収納手段)
65 エンドーサ(記録手段)
75 ギャップ調整機構(ギャップ調整手段)
S 紙葉類
G 取込ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口に投入された紙葉類を一枚ずつ、取込ギャップを通して機内へ取り込む取込手段と、
該取込手段で機内へ取り込まれた紙葉類を識別する識別手段と、
該識別手段の識別結果に基づいて紙葉類を機内で一時貯留する一時貯留手段と、
前記識別手段の識別結果に基づいて紙葉類を機外へ繰り出す繰出手段と、
前記一時貯留手段に一時貯留された紙葉類を機内で収納する収納手段と、
前記一時貯留手段に一時貯留された紙葉類を機外へ返却する返却手段とを備え、
さらに、現金モードおよび現金外モードのうちのいずれか一の媒体種別モードが選択して設定されるモード設定手段と、
該モード設定手段で設定された媒体種別モードに対応して、前記取込ギャップを調整するギャップ調整手段と、
前記モード設定手段で設定された媒体種別モードに対応して、前記識別手段で受付可と識別する紙葉類を現金紙幣のみまたは現金外紙葉類のみに設定する受付設定手段と、
前記識別手段で受付可と識別された紙葉類の額面を入金金額データへ計上する計上手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類入金機。
【請求項2】
前記現金外モードでは、
前記識別手段が、一の種別の現金外紙葉類を受付可と識別して枚数を計数し、
前記計上手段は、前記一の種別の現金外紙葉類の額面を、前記一の種別の現金外紙葉類の一枚当たりの単位額面データと前記識別手段の計数結果との乗算によって求めて計上することを特徴とする請求項1記載の紙葉類入金機。
【請求項3】
前記現金外モードにおいて、前記識別手段で受付可と識別された現金外紙葉類のみを前記一時貯留手段および前記繰出手段のうちのいずれか一方へ搬送するとともに、現金を含むその他の紙葉類全てを前記一時貯留手段および前記繰出手段のうちのいずれか他方へ搬送する搬送制御手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の紙葉類入金機。
【請求項4】
前記モード設定手段で設定された媒体種別モードに応じて、前記取込手段の取込速度を切り換える取込速度切換手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の紙葉類入金機。
【請求項5】
前記モード設定手段で設定された媒体種別モードに応じて、機内へ取り込んだ紙葉類を搬送路にて搬送する搬送速度を切り換える搬送速度切換手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の紙葉類入金機。
【請求項6】
前記識別手段と、該識別手段にて受付可と識別された現金外紙葉類を貯留する前記一時貯留手段または前記繰出手段との間の経路に設けられて、前記識別手段にて受付可と識別された現金外紙葉類に対して受付済みの記録を施す記録手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の紙葉類入金機。
【請求項7】
前記識別手段は、光学式文字読取手段を備え、該光学式文字読取手段によって、前記記録手段による受付済みの記録を認識可能であり、該受付済みの記録が施された現金外紙葉類を受付不可と識別することを特徴とする請求項6記載の紙葉類入金機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−190236(P2012−190236A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52891(P2011−52891)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000116079)ローレルバンクマシン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】