説明

紙葉類処理装置

【課題】装置が大型し、複数のCPUによって搬送監視を行う場合、紙葉類の搬送先情報と共に券種情報を送信することにより紙葉類の入り繰りを防止可能な紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】本実施例では、検知装置とM1コントロールCPU10(CPU10)、M2コントロールCPU20(CPU20)はLAN50によって接続されており、M1の検知装置による紙葉類Pの検知結果がCPU10に送信され、CPU10はこの検知結果に基づく券種情報、及びこの券種情報に基づく集積先情報とセンサPC14の券長情報をM2のCPU20に送信する。CPU20は、前記第1の搬送手段から送信された集積箇所情報に基づいて集積・施封装置に実際に搬送された枚数を計数しCPU10に送信する。CPU10は、送信枚数と受信枚数の照合を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価証券などの紙葉類の処理装置に関し、特に搬送路が長い場合に複数のCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)で搬送監視を行う紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理装置は、処理単位に応じて一括して投入された紙葉類束(例えば、1000枚)から取出装置によって紙葉類を所定のピッチで1枚ずつ取出して搬送し、検知装置によって当該紙葉類の種類(券種)、搬送方向及び正券・損券・排除券などの品質を判別する。
【0003】
搬送制御部は、紙葉類判別の判別結果に基づき、搬送路に配置された振分けゲートを制御して紙葉類ごとに判別された搬送先に搬送する。このようにして搬送された紙葉類は、各区分搬送路の終端に配置された集積装置によって集積される。この集積装置には、高速に搬送される紙葉類の搬送速度を吸収しながら集積する方法として、羽根車集積装置が用いられる。
【0004】
集積装置は、搬送路から取込んだ紙葉類を取込み一時集積庫に集積する。このようにして集積された紙葉類の枚数が、所定の枚数(例えば、100枚)に達すると、紙帯などの結束帯で結束して100枚束を形成する装置である。
【0005】
紙葉類は、搬送路上に複数枚存在し、高速に搬送されるため、紙葉類ごとに上記検知装置の判別結果によって設定された、搬送先情報と共に伝達される(シフト処理ともいう)。すなわち、紙葉類が搬送路上に配置された搬送監視センサ(シトセンサともいう)を通過するごとに紙葉類の属性として当該紙葉類の搬送先情報も紙葉類と共に搬送される。この結果、紙葉類がシフトセンサによって検知されると、紙葉類の属性である搬送先情報が判別され、当該搬送先情報に基づいて、振分けゲートが駆動されることにより上記集積装置まで導かれる。
【0006】
以上の説明で明らかなように、当該紙葉類はその搬送先情報のみがシフト処理によって伝達されれば最終集積装置に集積される。上述したように搬送路上を複数の紙葉類が高速に搬送され、その1枚ごとに紙葉類の搬送先情報を管理するのに即時性が必要であることから1個のCPUで管理していた。また、その管理する内容も、上記即時性の必要から必要最小限の項目のみをシフト処理の中で管理する手法が用いられてきた。
【0007】
しかしながら、昨今のシステムの大型化と複数券種対応の必要から複数CPUで上記シフト処理を行う必要性が発生し、その方法も検討されてきた。しかしながら、シフト処理で管理する情報としては搬送先情報のみの管理が行われてきた。なお、どの部位にどの金種の紙幣が何枚集積されたかを記憶する紙幣入出金装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−162324号公報 (第7−8頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記集積装置は、当該集積装置の搬送方向上流に配置された振分けゲートがシフト処理による搬送先情報によって区分されるため、紙葉類ごとの券種情報を必要としない。そのため、例えば、第1券種と判別された正券が第2券種の正券集積装置に集積され、第2券種の正券と判別された正券が第1券種の正券集積装置に集積された場合であっても互いの集積装置における集積枚数に変動をきたさず正常処理される場合があるという不具合があった。
【0010】
また、これらの搬送監視センサの検知は即時性が要求されるため、従来、一個のCPUで検知しシフト処理する場合が多かったが、最近の紙葉類処理装置の大型化に伴い、搬送監視センサの数も多くなり、一個のCPUで検知しシフト処理しきれなくなり、複数のCPUで搬送監視センサのシフト処理をするようになってきた。
【0011】
従来、この複数のCPUによる搬送監視センサのシフト処理を行う際、当該紙葉類の最終搬送先の情報のみを属性としていたため、搬送路上の紙葉類の管理及び保存できる集積装置の情報は枚数のみであり、投入枚数と集積枚数の枚数に不一致が発生した場合、券種ごとの集積枚数による遡及調査ができないといいう不具合があった。
【0012】
また、集積装置では、券種に関する情報が管理及び保存できないため、保守時に頻繁に搬送されている券種を知ることができなく、券種に応じた最適な保守をすることができないという不具合があった。
【0013】
さらに、紙葉類処理終了時の機械による最終的な枚数チェックが集積枚数によるものだけであり、券種情報を枚数チェックに利用することができなかった。
【0014】
なお、上記特許文献1記載の装置は、券種情報をシフト処理する機能を用いていないため、分割した搬送路を有する大型の装置に適用することができないという欠点を有している。
【0015】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、装置が大型し、搬送路が長くなり、かつ、複数のCPUによって搬送監視センサの監視を行った場合であっても、搬送される紙葉類の属性として、紙葉類の搬送先情報と共に券種情報をシフト処理することにより紙葉類の入り繰りなどの発生を防止及び保守性の向上を図ることが可能な紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙葉類処理装置は、供給部に供給された紙葉類束から紙葉類を1枚ずつ取出す取出手段と、この取出手段によって取出された紙葉類を搬送する搬送手段が搬送上流から搬送下流に向かって分割可能な複数のモジュール内に配置して構成した紙葉類処理装置であって、前記モジュールの中で、搬送上流に位置する第1のモジュールは、前記取出手段によって取出された紙葉類を搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送される紙葉類を検知する検知手段と、この検知手段の検知結果に基づいて当該紙葉類の搬送先を振り分ける振分手段と、当該第1のモジュール内の搬送路上に複数配置され、搬送される紙葉類を監視する第1の搬送監視センサと、当該第1のモジュール内の搬送制御を行う第1の搬送制御手段と、前記検知手段と前記第1の搬送制御手段間及び他の搬送制御手段との間の通信を行う通信手段と、を備え、前記検知手段は、搬送される紙葉類を検知した検知結果に基づいて判別した当該紙葉類の券種情報を、前記通信手段を介して前記第1の搬送制御手段に送信し、前記第1の搬送制御手段は、前記検知手段から受信した当該紙葉類の券種情報、及びこの券種情報を元に設定した集積箇所情報及び前記第1の搬送監視センサによって検知した券長情報を当該第1のモジュールの直近の搬送下流に位置する第2のモジュールの第2の搬送制御手段に前記通信手段を介して送信し、前記第2のモジュールは、前記第1のモジュールから搬送されてくる紙葉類を、さらに搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送される紙葉類の搬送先を振分ける振分手段と、この振分手段によって振分けられた紙葉類を集積又は施封する複数の集積・施封装置と、当該第2のモジュール内の搬送路上に複数配置され、搬送される紙葉類を監視する第2の搬送監視センサと、前記第1の搬送制御手段から受信した券長情報と、前記第2の搬送監視センサによって測定した券長情報と、を比較することにより当該モジュール内の搬送を監視する搬送監視手段と、当該第2のモジュール内の搬送制御を行う第2の搬送制御手段と、を備え、前記第2の搬送制御手段は、前記第1の搬送制御手段から送信された券種情報及び集積箇所情報に基づいて前記振分手段を制御して当該紙葉類を券種ごとに設定された集積・施封装置に搬送する振分搬送手段と、この振分搬送手段によって振分けられ集積・施封装置に搬送された枚数を、前記通信手段を介して前記第1の搬送制御手段に送信し、前記第1の搬送制御手段はさらに、前記第2の搬送制御手段から受信した券種ごとの枚数が、第2の搬送制御手段に送信した券種ごとの枚数に一致するかの照合を行う照合手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、装置が大型し、複数のCPUによって搬送監視を行った場合であっても、紙葉類の搬送先情報と共に券種情報をシフト処理することにより搬送監視及び紙葉類の入り繰りを防止することができる紙葉類処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の複数CPUによる券種情報をシフト処理する紙葉類処理装置100の概略構成図
【図2】本発明の実施例1による複数CPUによる紙葉類処理装置100の制御を説明する制御ブロック図
【図3】紙葉類処理装置100を構成するモジュールM1の搬送監視処理を説明するフローチャート
【図4】紙葉類処理装置100を構成するモジュールM1に配置された検知装置6の処理を説明するフローチャート
【図5】紙葉類処理装置100を構成するモジュールM2の搬送監視処理を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0020】
図1は、本発明の複数CPUによる券種情報をシフト処理する葉類処理装置100の概略構成図である。
【0021】
紙葉類処理装置100は、処理単位に応じて一括して投入された紙葉類束(例えば、1000枚)Psの最上面の紙葉類Pから順番に1枚ずつ取出して搬送し、検知装置6によって当該紙葉類Pを判別し、その判別結果に基づいて当該紙葉類を集積・施封などの区分処理を行う紙葉類処理装置である。
【0022】
本実施例では、3個のモジュールで構成され、モジュールごとにそれぞれモジュールM1(第1のモジュール)、モジュールM2(第2のモジュール)及びモジュールM3(第3のモジュール)で構成される場合を説明する。
【0023】
本実施例では、搬送監視センサを複数のエリアに区分する際、装置の製造・組立の容易性から、上記モジュール分割に合わせてエリア分割を行っている。本実施例ではこのように分割したが当該紙葉類処理装置の規模によっては、モジュール分割とエリア分割が必ずしも一致するとは限らない。すなわち、1個のモジュールに2個のエリアが存在する構成もあれば、1個のエリアが2個のモジュールに分割される場合もある。すなわち、上記エリアはCPUの処理速度によって制限されるが、モジュールは製造・組立上からくる制限によって決められる。本実施例では、簡単のため、エリアとモジュールが一致している場合に付いて説明する。
【0024】
モジュールM1には、供給部1、取出ロータ(取出手段)2、搬送路(搬送手段)3、検知装置(検知手段)6、排除券集積装置16、搬送監視センサPC11〜PC15(第1の搬送監視センサ)及び振分けゲート(振分手段)G11が設けられている。また、これらはM1コントロールCPUによって制御される。
【0025】
供給部1に供給された紙葉類束Ps(例えば1000枚紙葉類)は、バックアッププレート1Aに載置される。このバックアッププレート1Aは、駆動モータ(図示しない)によって駆動され、当該バックアッププレート1Aに載置された最上面の紙葉類Pを取出ロータ2の取出位置まで上昇させる。
【0026】
最上面の紙葉類Pが取出位置まで上昇すると、取出位置センサ(図示しない)によって最上面の紙葉類Pが検出され、取出ロータ2が1回転するごとに最上面の紙葉類Pから1枚ずつ搬送路3に取り出される。従って、取り出された紙葉類Pは、ほぼ一定間隔で搬送路3に取り出される。なお、上記バックアッププレート1Aの駆動モータ及び取出位置検知センサによって最上面の紙葉類Pが、取出位置にあるようにバックアッププレート1Aの位置が制御される。
【0027】
取出ロータ2によって取り出された紙葉類Pは、検知装置6によって紙葉類Pの券種及び品質(物理的特性、形状、損傷など)が検知され、正常な券(正券)、不良券(損券)及び偽券・異種券・判別不能券などの排除券に判別される。
【0028】
この判別の結果、偽券・異種券・判別不能券に区分された排除券は、排除券集積装置16に集積される。
【0029】
モジュールM2には、検知装置6の検知結果に基づいて当該紙葉類の搬送先を振分ける振分けゲートG21、G22及びこの振分けゲートG21、G22によって振分けられた紙葉類を集積及び施封する集積・施封装置が設けられている。本実施例では、当該検知結果に基づいて第1券種の正券と判別された紙葉類を集積する第1券種の集積・施封装置21、22が該当する。
【0030】
また、当該モジュールM2内搬送路上に複数配置され、搬送される紙葉類を監視する搬送監視センサPC21〜PC25(第2の搬送監視センサ)が設けられている。
【0031】
上記検知装置6による判別の結果、正券又は損券からなる真券(本物の紙葉類)に判別された紙葉類Pは、振分けゲートG11によって左側に振り分けられ、偽券・異種権・判別不能券に判別された紙葉類は、振分けゲートG11によって右側に振り分けられる。
【0032】
この振分けゲートG11によって振り分けられた紙葉類Pが第1券種の正券の場合には、さらに振分けゲートG21によって集積・施封装置21に搬送され、その一時集積庫に集積され、集積された紙葉類Pの枚数が100枚に到達した100枚紙葉類は、施封装置に渡されて施封され100枚束(正券100枚束)が形成される。
【0033】
集積・施封装置21の一時集積庫に集積された紙葉類の枚数が100枚に到達すると、連続して搬送される第1券種の正券を集積・施封装置22に搬送するために振分けゲートG21及びG22が駆動される。このようにして、第1券種の正券が集積・施封装置22の一時集積庫に集積されている間に集積・施封装置の一時集積庫21に集積された100枚紙葉類は当該装置21の施封装置で施封処理されて100枚束が生成される。
【0034】
集積・施封装置22の一時集積庫に集積された紙葉類が100枚に到達したときは、連続する紙葉類を集積・施封装置21の一時集積庫に集積し、当該装置22の施封装置で施封されるのは言うに及ばない。
【0035】
検知装置6によって第2券種と判別された場合には、集積・施封装置21、22で行われたと同様の処理が集積・施封装置31及び32によって行われる。
【0036】
モジュールM3には、検知装置6によって第2の券種と判別された紙葉類を集積する第2券種の集積・施封装置31、32が設けられている。さらに、これら第2券種の集積・施封装置31、32に関連して振分けゲートG31、32及び搬送監視センサPC31〜PC36が設けられている。
【0037】
また、検知装置6によって損券(再流通不可能な紙葉類)と判別された紙葉類は、裁断装置34に搬送される。
【0038】
裁断装置34には、複数の円盤状刃を回転軸に複数組み込んで構成した第1の裁断刃34A及び同様に構成された第2の裁断刃34Bが2組入れ子状態に備えられている。これら第1及び第2の裁断刃34A、34Bが接触しながら回転し搬送されてきた損券を裁断することができる。
【0039】
図2は、本発明の実施例1による複数CPUによる紙葉類処理装置100の制御を説明する制御ブロック図である。
【0040】
モジュールM1には、モジュールM1全体を制御するM1コントロールCPU10及び検知装置6を構成する検知CPU6Aが備えられており、LAN(Local Area Network)50に接続されている。
【0041】
M1コントロールCPU10には、供給部1、搬送監視センサPC11〜PC15、振分けゲートG11及び搬送モータ(図示しない)が接続され、このM1コントロールCPU10によって制御される。
【0042】
モジュールM2には、モジュールM2全体を制御するM2コントロールCPU20が備えられており、上記LAN50に接続されている。
【0043】
M2コントロールCPU20には、集積・施封装置21、22、搬送監視センサPC21〜PC25、振分けゲートG21、G22及び搬送モータ(図示しない)が接続され、このM2コントロールCPU20によって制御される。
【0044】
モジュールM3には、モジュールM3全体を制御するM3コントロールCPU30が備えられており、上記LAN50に接続されている。
【0045】
M3コントロールCPU30には、集積・施封装置31、32、搬送監視センサPC31〜PC36、振分けゲートG31、G32、搬送モータ(図示しない)及び裁断装置34が接続され、このM3コントロールCPU30によって制御される。
【0046】
以上説明したように、M1コントロールCPU10、M2コントロールCPU20、M3コントロールCPU30及び検知CPU6Aの間は機体内LANで接続されている。
【0047】
また、M2コントロールCPU20及びM3コントロールCPU30は、USBインターフェースを介して保守用CPU120に接続される。この接続により、M2コントロールCPU20及びM3コントロールCPU30が保持している集積に関する保存情報を抽出することが出来る。
【0048】
次に、本実施例の搬送監視センサによる紙葉類Pの搬送監視処理の説明を行う。
【0049】
供給部1のバックアッププレート1Aに1000枚の紙葉類束Psを一括して供給し、取出を開始すると、バックアッププレート1Aが上昇して取出ロータ2より紙葉類Pが1枚ずつ搬送路3に取り出される。取り出された紙葉類Pは上述した方法によって搬送され、検知装置6によって検知される。この検知装置6による検知結果により区分集積され、100枚束が形成されるまでは上述した通りである。以上のように構成された紙葉類処理装置100の搬送監視処理の一例を以下に示す図3及び図4を参照して説明する。
【0050】
図3は、紙葉類処理装置100を構成するモジュールM1の搬送監視処理を説明するフローチャートである。紙葉類Pが上記取出ロータ2によって取り出されると搬送監視センサ(以下、センサと称する。)PC11によって検知される(S1)。検知された紙葉類Pは、検知装置6によって検知され、センサPC11からセンサPC12に到達するまでの到達時間T11・12が監視される(S2)。この到達時間は、紙葉類Pが搬送され、センサPC11とセンサPC12間を通過する通過時間を意味する。
【0051】
従って、上記到達時間T11・12の通過時間測定手段は、センサPC11が暗になってから、センサPC12が暗になるまでの時間を所定の時間(例えば200μs)ごとに計数する。この計数は、当該モジュールM1を管理するM1コントロールCPUのタイマ割り込みを用いて測定することができる。または、M1コントロールCPUの管理する外部に設けたハードウェアタイマ(図示しない)によって測定することができる。
【0052】
以上説明した通過時間測定手段によって測定された通過時間は下式(1)に示す比較判別手段によって通過時間の良否が判別される。下式(1)の判別の結果、規定値以内であれば正常と判断される(S4のYes)。
【0053】
(T11・12−ΔT)≦T11・12≧(T11・12+ΔT)・・・・・(1)
T11・12:センサPC11とセンサPC12間の到達時間
ΔT:許容値
一方、到達時間T11・12が上式(1)に示す規定値を超える場合には(S3のNo)、券詰まりと判別される(S14)。
【0054】
ステップS4において、当該紙葉類PがセンサPC12によって検知されると(S4のYes)、センサPC12からセンサPC13に到達するまでの到達時間T12・13が監視される(S5)。この到達時間T12・13が上式(1)と同様に確認され、規定値内であれば正常と判断される(S7のYes)。
【0055】
一方、到達時間T12・13が上式(1)と同様に確認され、規定値を超える場合には(S6のNo)、券詰まりと判断される(S14)。
【0056】
以下同様にセンサPC13からセンサPC14に到達するまでの到達時間T13・14(S8)及び当該紙葉類Pの検知装置6による判別の結果が排除券の場合、センサPC13からセンサPC15までの到達時間(S11)も監視される。
【0057】
確認の結果は、上記同様に規定値内であれば、正常と判断され(S9のYes又はS12のYes)、規定値を超える場合には、券詰まりと判断される(S9のNo又はS12のNo)。
【0058】
図4は、紙葉類処理装置100を構成するモジュールM1に配置された検知装置6の処理を説明するフローチャートである。この処理は、検知CPU6Aによって処理される。
【0059】
この検知処理は、モジュールM1の搬送監視処理がMIコントロールCPU10によって処理されるのと並行して検知CPU6Aによって処理される。
【0060】
検知装置6は、形状検知部、反射光検知部、透過光検知部、磁気検知部、蛍光検知部、厚さ検知部など複数の検知部によって構成され、これら検知部の検知結果を総合して紙葉類の券種判別、搬送方向判別、真偽判別及び正損判別行われる。
【0061】
最初に、上述した各検知部によって検知された紙葉類の真偽(本物か偽物か)判別を行う(S40)。真偽判別は被検出媒体としての紙葉類の主として物理的特性を検知する。
【0062】
この真偽判別の結果、真券と判別されると(S40の真券)、判別された紙葉類が本実施例の適用券種である第1券種であるか判別する(S41)。
【0063】
この判別の結果、第1券種の場合、正券か損券か判別する(S42)。この判別の結果正券の場合(S42の正券)、券種情報は第1券種の正券であることをM1コントロールCPU10へ送信する(S43)。
【0064】
ステップS42において、損券の場合(S42の損券)、券種情報は第1券種の損券であることをM1コントロールCPU10へ送信する(S47)。
【0065】
次に、ステップS41において、第1券種でない場合(S41のNo)、第2券種であるか判別する(S44)。この判別の結果、第2券種の場合(S44のYes)、正券か損券か判別する(S45)。この判別の結果、正券の場合(S45の正券)、券種情報は第2券種の正券であることをM1コントロールCPU10へ送信する(S46)。
【0066】
次に、ステップS42の判別の結果損券の場合(S42の損券)又はステップS45の判別の結果損券の場合(S45の損券)、券種情報はそれぞれの券種の損券であることをM1コントロールCP10へ送信する(S47)。
【0067】
次に、ステップS40の真偽判別において、被検出紙葉類が明らかに偽券と判別された場合(S40の「偽券・判別不能券」)、又はステップS44で第2券種でないと判別された場合(S44のNo)は、券種情報は「偽券・判別不能券」であることをM1コントロールCPU10へ送信する(S48)。
【0068】
M1コントロールCPU10は、検知装置6による判別結果を受信し、その結果に基づいて、当該紙葉類の搬送先である集積箇所を設定する。
【0069】
すなわち、M1コントロールCPU10は、振分けゲートG11を当該判別結果に基づいて切り換える。従って、正券又は損券と判別された紙葉類Pは、モジュールM2又はモジュールM3側に搬送されるように振分けゲートG11が切り換えられる。一方、「偽券・判別不能券」と判別された紙葉類は排除券扱いとなり、モジュールM1内に設けられた排除券集積装置16側に搬送されるように振分けゲートG11が切り換えられる。
【0070】
図5は、紙葉類処理装置100を構成するモジュールM2の搬送監視処理を説明するフローチャートである。モジュールM2には、第1券種の正券を集積及び施封する集積・施封装置21、22が配置されている。モジュールM3には、第2券種の正券を集積及び施封する集積・施封装置31、32が配置されているが、その基本的動作は共通であるため、集積・施封装置21、22の搬送監視処理の説明を行い、集積・施封装置31、32の共通する部分の説明を省略する。
【0071】
本実施例では、モジュールM1のM1コントロールCPU10とモジュールM2のコントロールCPU20はLAN50によって接続されており、モジュールM1での検知装置6の検知結果に基づく券種情報、集積箇所情報及びセンサPC14による券長情報がM1コントロールCPU10からLAN50を通してモジューM2のM2コントロールCPU20に通知される(S20)。この情報を基に、複数CPUによる搬送監視処理を説明する。
【0072】
モジュールM2に搬送されてきた紙葉類Pは、センサPC21によって検知される(S21)。
【0073】
M2コントロールCPU20は、M1コントロールCPU10から受信した券種情報及び集積箇所情報に基づいて振分けゲートを制御し、当該紙葉類を券種ごとに設定された集積・施封装置に搬送する(振分搬送手段)。例えば、検知装置6で判別された券種が第1券種正券である場合には、振分けゲートG21を制御して集積・施封装置21に搬送する。すなわち、紙葉類が搬送監視センサによって検知されながら搬送上流から搬送下流に搬送されるごとに、当該紙葉類の券種及び集積箇所情報も属性として一緒に搬送される(シフト処理)。従来は集積箇所情報のみをシフト処理していたが本発明では、券種及び集積箇所情報をシフト処理していることを特徴にしている。
【0074】
このシフト処理はモジュールM1からモジュールM2に紙葉類が搬送される場合、及び後述するモジュールM2からモジュールM3紙葉類が搬送される場合にも行われる。このシフト処理の結果、紙葉類の券種ごとに集積箇所が異なっても各集積・施封装置への集積が可能になる。
【0075】
この結果、集積・施封装置21に搬送された紙葉類はセンサPC22によって通過が検知されると第1券種の集積枚数として加算され保持される。すなわち、実際に第1券種の集積・施封装置に搬送された紙葉類の枚数が計数(計数1)される。
【0076】
この計数結果(計数1)は、M2コントロールCPU20からLAN50を介してM1コントロールCPU10に送信される。
【0077】
また、M1コントロールCPUでは上記紙葉類の券種情報に基づいて集積・施封装置21に集積されるべき紙葉類の枚数を計数する(計数2)。
【0078】
次に、M1コントロールCPU10は、M2コントロールCPUから受信した計数1と計数2が一致するか照合する(照合手段)。この照合を行うのは、本来、検知装置6によって判別された券種情報に基づいて集積箇所情報が設定され、その集積情報に基づいて当該紙葉類が集積装置に搬送されたことを検証することにより、上記課題に記載した紙葉類の入り繰りを防止することができるからである。また、この照合を行うことにより、検知装置6と集積・施封装置間にある複数の紙葉類の搬送先がそれぞれ異なる場合であっても当該紙葉類のシフト処理が確実に行われたことを確認することになるからである。
【0079】
なお、集積・施封装置に搬送される紙葉類をセンサPC22によって検知する場合を説明したが、これに限るものではなく、当該紙葉類が羽根車21Aに取込まれたのを検知するセンサ(図示しない)によって実際に羽根車に紙葉類が取込まれたのを検知する方法もあるが、本発明の趣旨が当該羽根21Aに集積される紙葉類の検知方法に関するものではないため、その詳細な説明を省略する。
【0080】
また、上記センサPC21が暗になったことを受けてセンサPC21による券長測定が開始される。具体的にはセンサPC21が暗になっている間の時間を所定のクロック(例えば、200μs周期のクロック)で計数する(S22)。
【0081】
また、センサPC21からセンサPC22に到達するまでの到達時間T21・22が監視される(S24)。この監視の結果、到達時間T21・22が上式(1)同様に確認され、規定値内であれば正常と判断される(S25のYes)。
【0082】
一方、到達時間T21・22が規定値を越える場合には(S25のNo)、券詰まりと判断される(S26)。
【0083】
また、ステップS23において、センサPC21の明が検知されると(S23のNo)、センサPC21による券長測定が停止し、当該紙葉類PがセンサPC21を通過する時間からセンサPC21による券長が測定される(S28)。このようにして測定された券長とM1コントロールCPU10から通知された券長が同一長さであるかどうか比較判される(S29)。
【0084】
この際、直近の搬送上流のモジュールM1内搬送監視センサの搬送方向最下流の搬送監視センサであるPC14による券長が用いられる。これは、異なるモジュールの接合点の近傍の搬送監視センサによる長さ測定結果が同じであれば、搬送路が連続していると見なすことができるための条件となることによる。すなわち、上流に位置するモジュール内に配置されたCPUであるM1コントロールCPU10から送信された券長情報とモジュールM2内での券長測定手段による券長情報とを比較判別し、この比較判別結果に基づいて券欠落を判別する。従って本実施例ではモジュールM1とモジュールM2の接合点の近傍に配置されたセンサPC14及びセンサPC21の券長を比較判別することになる(S29、搬送監視手段)。
【0085】
券長を判別する際、この比較判別の結果、センサPC14による券長がセンサPC21による券長に比べて短い場合には、券欠落と判断される(S30)。
【0086】
以上説明したように、本発明の実施例によれば、装置が大型化し、搬送路が長くなった場合であっても、CPU1個で搬送監視可能な範囲でモジュール分割し、各モジュール間をLANで接続し、搬送上位に位置するモジュールで搬送された紙葉類Pの長さを測定し、当該紙葉類Pの券長データを次のモジュールに券長情報として送信することによって複数のモジュール間を紙葉類Pが搬送される場合であっても当該紙葉類Pの搬送監視を複数のCPUで行うことが可能になる。
【0087】
上記実施例は、さらに適用券種を追加する場合には、モジュールM2とモジュールM3の間にモジュールM2を増設することができる。各モジュールにCPUが搭載されているため、搬送路上の券搬送監視能力は、モジュールM2を増設しない場合と同等の能力になる。
【0088】
この場合であっても、M1コントロールCPU10とM2コントロールCPU20における搬送制御方法と同様に行われるため、その異なる部分を説明する。
【0089】
M3コントロールCPU30は、M1コントロールCPU(第1の搬送制御手段)10から送信された券種情報及び集積箇所情報に基づいて振分けゲートG11〜G32を切り換えられて集積・施封装置に搬送し、実際に集積・施封装置に搬送された券種ごとの枚数を計数(計数3)する。
【0090】
M3コントロールCPU30は、計数3をM1コントロールCPU10に送信する。
【0091】
M1コントロールCPU10は、M3コントロールCPU30から受信した計数3が、M3コントロールCPU30に送信した券種ごとの枚数に一致するか照合を行う。この照合の結果、一致した場合には正常に処理が行われたことを示す。
【0092】
上述したように、モジュールが拡張された場合には、各モジュールのコントロールCPUに対して券種情報及び集積箇所情報がLANを介して送信される。
【0093】
各モジュールのコントロールCPUは搬送される紙葉類を各モジュールの集積・施封装置に搬送し、実際に集積・施封装置に搬送された券種ごとの枚数を計数し、M1コントロールCPU10に送信する。
【0094】
M1コントロールCPU10は、各モジュールのコントロールCPUからLANを介して受信した券種ごとの計数(枚数)が各モジュールに送信した枚数に一致するか照合することになる。
【0095】
以上説明したように、本発明の紙葉類処理装置によれば、システムが大きく、複数のCPUで搬送監視を行う場合であっても、当該被検出紙葉類の券種情報、集積箇所情報が搬送監視センサ情報と共にM1コントロールCPUからM2コントロールCPUに送信されることによりあたかも1個のCPUで搬送監視をおこなうのと同等の効果を得ることができるだけでなく、当該被検出紙葉類の集積箇所情報の付帯する属性として券種情報が送信されるため集積部・施封総位置に集積される紙葉類の入り繰りなどの発生を防止できる。
【符号の説明】
【0096】
G11、G21、G22、G31、G32 振分けゲート
M1、M2、M3 モジュール
P 紙葉類
PC11〜PC15 搬送監視センサ
PC21〜PC25 搬送監視センサ
PC31〜PC36 搬送監視センサ
1 供給部
2 取出ロータ
3、4、5 搬送路
6 検知装置
6A 検知CPU
10 M1コントロールCPU
16 排除券集積装置
20 M2コントロールCPU
21、22 集積・施封装置
30 M3コントロールCPU
31、32 集積・施封装置
34 裁断装置
100 紙葉類処理装置
110 操作CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給部に供給された紙葉類束から紙葉類を1枚ずつ取出す取出手段と、この取出手段によって取出された紙葉類を搬送する搬送手段が搬送上流から搬送下流に向かって分割可能な複数のモジュール内に配置して構成した紙葉類処理装置であって、
前記モジュールの中で、搬送上流に位置する第1のモジュールは、
前記取出手段によって取出された紙葉類を搬送する搬送手段と、
この搬送手段によって搬送される紙葉類を検知する検知手段と、
この検知手段の検知結果に基づいて当該紙葉類の搬送先を振り分ける振分手段と、
当該第1のモジュール内の搬送路上に複数配置され、搬送される紙葉類を監視する第1の搬送監視センサと、
当該第1のモジュール内の搬送制御を行う第1の搬送制御手段と、
前記検知手段と前記第1の搬送制御手段間及び他の搬送制御手段との間の通信を行う通信手段と、を備え、
前記検知手段は、
搬送される紙葉類を検知した検知結果に基づいて判別した当該紙葉類の券種情報を、前記通信手段を介して前記第1の搬送制御手段に送信し、
前記第1の搬送制御手段は、
前記検知手段から受信した当該紙葉類の券種情報、及びこの券種情報を元に設定した集積箇所情報及び前記第1の搬送監視センサによって検知した券長情報を当該第1のモジュールの直近の搬送下流に位置する第2のモジュールの第2の搬送制御手段に前記通信手段を介して送信し、
前記第2のモジュールは、
前記第1のモジュールから搬送されてくる紙葉類を、さらに搬送する搬送手段と、
この搬送手段によって搬送される紙葉類の搬送先を振分ける振分手段と、
この振分手段によって振分けられた紙葉類を集積又は施封する複数の集積・施封装置と、
当該第2のモジュール内の搬送路上に複数配置され、搬送される紙葉類を監視する第2の搬送監視センサと、
前記第1の搬送制御手段から受信した券長情報と、前記第2の搬送監視センサによって測定した券長情報と、を比較することにより当該モジュール内の搬送を監視する搬送監視手段と、
当該第2のモジュール内の搬送制御を行う第2の搬送制御手段と、を備え、
前記第2の搬送制御手段は、
前記第1の搬送制御手段から送信された券種情報及び集積箇所情報に基づいて前記振分手段を制御して当該紙葉類を券種ごとに設定された集積・施封装置に搬送する振分搬送手段と、
この振分搬送手段によって振分けられ集積・施封装置に搬送された枚数を、前記通信手段を介して前記第1の搬送制御手段に送信し、
前記第1の搬送制御手段はさらに、前記第2の搬送制御手段から受信した券種ごとの枚数が、第2の搬送制御手段に送信した券種ごとの枚数に一致するかの照合を行う照合手段を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記第2のモジュールと同様に構成された第3のモジュールを第2のモジュールの搬送最下流に連結して構成し、
当該第3のモジュールを構成する第3の搬送制御手段は、
前記第1の搬送制御手段から送信された券種情報及び集積箇所情報に基づいて前記振分手段を制御して当該紙葉類を券種ごとに設定された集積・施封装置に搬送する振分搬送手段と、
この振分搬送手段によって振分けられ集積・施封装置に搬送された枚数を、前記通信手段を介して前記第1の搬送制御手段に送信し、
前記第1の搬送制御手段はさらに、前記第3の搬送制御手段から受信した券種ごとの枚数が、第3の搬送手段に送信した券種ごとの枚数に一致するかの照合を行う照合手段を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−195514(P2010−195514A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41113(P2009−41113)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】