説明

紙葉類厚さ検出装置の開閉機構

【課題】ロックレバーの位置決めを容易にすると共に、締結部材による締結に発生する緩みを抑制する手段を提供する。
【解決手段】紙葉類厚さ検出装置1の開閉機構が、下フレーム3の、開閉支点4の反対側の端部に設けられた下突当て部11と、下フレーム3の側面の係合ピン14と、上フレーム2の上突当て部10と、上フレーム2の側面の横スライド穴21と、縦長穴26と、縦長穴26に嵌合する回動支点17と係合ピン14に係合する斜面19と操作部13aとを有し、回動支点17を中心に回動するロックレバー13と、操作部13aを係止し、その回動を制限するストッパ16と、ロックレバー13を係合方向Cに付勢するバネ部材15と、横スライド穴21に嵌合するスライド軸22と、回動支点17に嵌合する傾斜長穴27とを有する調整プレート20と、操作部13aを支持して操作部13aとストッパ16との間に所定の隙間を形成する位置決め治具とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金処理装置等の自動取引装置における紙幣等の紙葉類の厚さを検出する紙葉類厚さ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙葉類厚さ検知装置は、下フレームの、紙葉類の搬送方向の一端に設けられた開閉支点を中心に開閉可能に構成された上フレームと、搬送された紙葉類を挟持して搬送する複数の搬送ローラと、挟持した紙葉類の厚さを検知する検知ローラおよび基準ローラと、上フレームの閉鎖時に上フレームを下フレームにロックするロック機構とを備え、下フレームと上フレームとの間に設けた弾性体によって、閉鎖時の下フレームと上フレームとの間に予圧を付与し、開閉支点の軸受に存在する嵌め合い公差による隙間を吸収して、上フレームの開閉に伴う検知ローラと基準ローラとの間の距離の上下方向の変動を防止している。
【0003】
この紙葉類厚さ検出装置に用いられているロック機構は、上フレームに設けられた回動支点を中心に回動可能に支持された「く」の字状のロックレバーと、回動支点の反対側の端部に設けられた斜面を有する切欠部と、下フレームに設けられた係合ピンとを備え、上フレームの閉鎖時に、ロックレバーを回動支点を中心に回動させ、その切欠部の斜面を係合ピンに係合させて、上フレームを下フレームに固定している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような、斜面を係合ピンに係合させるロック機構においては、複数の搬送ローラの押圧力による反力、検知ローラと基準ローラとの押圧力による反力、および弾性体による反力を全て受止める必要があるため、切欠部の斜面の紙葉類の搬送方向から測った傾斜角θ(図1参照)は小さくする必要があり、また、上フレームと下フレームとの位置精度を正確にするためにも、傾斜角θは小さくする必要がある。
【0005】
この傾斜角θを小さくするためには、回動支点と係合ピンの位置精度が不足すると、回動支点を中心にロックレバーを回動させたときの斜面の軌跡に、下フレームの係合ピンを含まなくなる場合があるため、一般的に、回動支点および/もしくは係合ピンを、回転軸に軸芯を偏心させた回転頭部を形成した偏心ピンとし、位置の調整後に回転軸をナット等の締結部材で固定する偏心調整機構を設けることが行われている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−179289号公報(段落0017、0024−0025、0075−0079、第1図、第7図)
【特許文献2】特開平7−97080号公報(段落0042−0052、第1図、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した偏心調整機構を回動支点または係合ピンに設けると、上フレームと下フレームとの位置を所定の範囲内に調整するためには、複雑な調整が伴い、紙葉類厚さ検出装置の組立に時間を要するという問題点がある。
また、回動支点にはロックレバーの回動時の負荷および斜面の係合ピンへの係合時の負荷が、係合ピンには斜面の係合ピンへの係合時の負荷がかかるため、これら負荷が繰返し加えられると、締結部材による締結に緩みが生ずるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、ロックレバーの位置決めを容易にすると共に、締結部材による締結に発生する緩みを抑制する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、紙葉類の搬送方向の一端に設けられた開閉支点を中心に、下フレームに対して開閉自在に設けられた上フレームを有し、搬送された紙葉類を基準ローラと厚さ検出ローラとで挟持して紙葉類の厚さを検出する紙葉類厚さ検出装置の開閉機構において、前記下フレームの、前記開閉支点の反対側の端部に設けられた下突当て部と、前記下フレームの側面に立設された係合ピンと、前記上フレームに設けられた前記下突当て部に当接する上突当て部と、前記上フレームの側面に形成された、前記搬送方向を長手方向とした長穴である横スライド穴と、前記搬送方向の直交方向を長手方向とした縦長穴と、前記縦長穴に嵌合する回動支点と、前記係合ピンに係合する斜面と、操作部とを有し、前記回動支点を中心に回動するロックレバーと、前記操作部を係止して、前記ロックレバーの前記係合ピンへの係合方向への回動を制限するストッパと、前記ロックレバーを、前記係合ピンへの係合方向に付勢するバネ部材と、前記横スライド穴に嵌合するスライド軸と、前記回動支点に嵌合し、前記搬送方向から傾斜した方向を長手方向とする傾斜長穴とを有する調整プレートと、前記操作部を支持して、前記操作部と前記ストッパとの間に所定の隙間を形成する位置決め治具と、を備え、前記ロックレバーの回動支点の位置を決定する場合に、前記上突当て部と下突当て部とを当接させ、前記位置決め治具で前記操作部を支持させ、前記ロックレバーの斜面を前記係合ピンに係合させたときに、前記バネ部材による付勢力によって、前記縦長穴と前記傾斜長穴とに嵌合する前記回動支点を移動させて、前記回動支点の位置を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
これにより、本発明は、回動支点の位置を自動的に決定して、ロックレバーの位置調整を容易に行うことができると共に、紙葉類厚さ検出装置の使用時における繰返し負荷を主に上フレームで受けて、締結部材による締結に発生する緩みを抑制することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の紙葉類厚さ検出装置の側面から見た外観を示す説明図
【図2】実施例1の締結部材の図1のA−A断面線に沿った断面を示す説明図
【図3】実施例1のロックレバーの位置調整動作を示す説明図
【図4】実施例2の紙葉類厚さ検出装置の側面から見た外観を示す説明図
【図5】実施例2の紙葉類厚さ検出装置の上フレームの開放状態を示す説明図
【図6】実施例2のロックレバーの位置調整動作を示す説明図
【図7】実施例2のロックレバーのオートロック動作を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して本発明による紙葉類厚さ検出装置の開閉機構の実施例について説明する。
【実施例1】
【0013】
図1において、1は紙葉類厚さ検出装置であり、上フレーム2が下フレーム3に対して、その一端に設けられた開閉支点4を中心に開閉可能に構成された筐体であって、下フレーム3に設けられた基準ローラ6と、上フレーム2に設けられ、基準ローラ6を押圧力Pchで押圧している厚さ検出ローラ7との間で、搬送された紙幣等の紙葉類を挟持してその厚さを検出し、その紙葉類の重送や紙葉類に貼付されたテープの有無等を判定するために用いられる。
【0014】
また、紙葉類厚さ検出装置には、図1に矢印Bで示す紙葉類の搬送方向(以下単に、搬送方向Bという。)に沿って、下フレーム3に取付けられた駆動ローラと、上フレーム2に取付けられたプレッシャローラとで構成された一対のローラからなる搬送ローラ8a、8bが設けられ、各搬送ローラ8のプレッシャローラは駆動ローラを押圧力Pで押圧している。
【0015】
本実施例の上フレーム2は、これを上から押して閉鎖したときに、開閉支点4の搬送方向Bの反対側の端部に設けられた上フレーム2の上突当て部10と下フレーム3の下突当て部11とが当接した状態で自動的にロックがかかるオートロック機構により下フレーム3に固定される。
本実施例のオートロック機構は、操作部13aを有するロックレバー13、上フレーム2の閉鎖時にロックレバー13を係合する係合ピン14、バネ部材15、ストッパ16等から構成される。
【0016】
ロックレバー13は、上フレーム2の両側面の外側にそれぞれ設けられたT字状の板状部材であって、その第1の端部に固定された回動支点17を中心に回動可能に構成され、その第2の端部側には操作部13aが設けられ、第1および第2の端部の中央部に設けられた係合部13bの端部である第3の端部には、その先端にオートロック機構を作動させるための傾斜部18が設けられている。
【0017】
また、傾斜部18の上フレーム2側には、上フレーム2の閉鎖時に、下フレーム3の側面の外側に立設された係合ピン14に係合する、開閉支点4に向かって搬送方向Bから下る方向に傾斜した斜面19が形成されており、係合ピン14と斜面19との係合を解除する場合は、操作部13aによって、ロックレバー13を回動支点17を中心に斜面19を係合ピン14に係合させる方向(図3に示す矢印C方向、係合方向Cという。)と逆方向に回動させる。
【0018】
また、ロックレバー13は、係合部13bの中央部と上フレーム2との間に取付けられた引張コイルスプリング等のバネ部材15により引っ張られており、その斜面19を回動支点17を中心に係合方向Cに回動させる方向に付勢されている。
ストッパ16は、上フレーム2の側面の操作部13aの下方に設けられ、その上面によって操作部13aを係止して、ロックレバー13の係合ピン14への係合方向Cへの回動を制限する機能を有している。
【0019】
本実施例の上フレーム2の側面の内側には、回動支点17の位置を調整するための調整プレート20が設けられ、その調整プレート20には、上フレーム2の側面に設けられた、搬送方向Bを長手方向とする矩形の長穴である横スライド穴21に嵌合するスライド軸22が設けられ、図2に示すように、スライド軸22は、圧入やロウ付け等の固定手段で調整プレート20に固定されている。
【0020】
また、スライド軸22の先端部にはネジ部22aが設けられ、そのネジ部22aに螺合する締結部材としてのナット23で、ワッシャ24を介して上フレーム2の側面の内側に調整プレート20を締結するようになっている。
これにより、調整プレート20は、上フレーム2に対して搬送方向Bに移動可能に支持されると共に、移動を止める場合には、ナット23によって、上フレーム2の側面に締結され固定される。
【0021】
また、上フレーム2の側面には、図1に示すように、ロックレバー13の回動支点17を嵌合させる、搬送方向Bの直交方向D(図3参照)を長手方向とする矩形の縦長穴26が設けられ、調整プレート20には、回動支点17を嵌合させる、搬送方向Bから所定の角度で、開閉支点4に向かって搬送方向Bから下る方向に傾斜した方向を長手方向とする矩形の傾斜長穴27が設けられており、これら縦長穴26と傾斜長穴27とを組合せることで、4点(実際には2点)で、回動支点17を回動可能に支持するように構成されている。
【0022】
本実施例の開閉機構は、上記したオートロック機構に加えて、上フレーム2、下フレーム3、開閉支点4、上フレーム2の横スライド穴21と縦長穴26、調整プレート20、そのスライド軸22と傾斜長穴27等により構成される。
このような開閉機構を有する紙葉類厚さ検出装置1は、上フレーム2の開放時には、ロックレバー13がバネ部材15により引っ張られ、上フレーム2の側面に設けられたストッパ16により操作部13aが係止された状態で停止する。
【0023】
また、上フレーム2の閉鎖時には、上フレーム2に設けられた上突当て部10と、下フレーム3に設けられた下突当て部11とが当接した状態で、ロックレバー13の係合部13bに設けられた斜面19が下フレーム3に固定された係合ピン14に係合され、各搬送ローラ8の駆動ローラとプレッシャローラ、および基準ローラ6と厚さ検出ローラ7が押圧状態になり、紙葉類の搬送方向Bへの往復搬送が可能になる。
【0024】
更に、上フレーム2の閉鎖時には、ロックレバー13の斜面19が係合ピン14に係合された状態でバネ部材15により引っ張られ、斜面19の傾斜角θによる直交方向Dの分力により上フレーム2が下フレーム3に押付けられ、開閉支点4の軸受に存在する隙間が吸収される。
この場合に、バネ部材15の付勢力Fspは、上フレーム2の閉鎖時に、各搬送ローラ8の押圧力Pの合計と厚さ検出ローラ7の押圧力Pchを押さえ込むことのできるように設定される。
【0025】
一方、ロックレバー13によるロックを、操作者が容易に解除するためには、ロックレバー13の操作部13aに加える操作力Fopをできるだけ小さくすることが望ましく、そのためにはバネ部材15の付勢力Fspを小さく設定する必要がある。
この操作力Fopを小さくし、バネ部材15の付勢力Fspが小さい状態で各搬送ローラ8の押圧力Pの合計と厚さ検出ローラ7の押圧力Pchを押さえ込むために、本実施例のロックレバー13の斜面19の傾斜角θは小さく設定されている。
【0026】
以下に、図3を用いて、本実施例のロックレバー13の回動支点17の位置調整について説明する。
本実施例のロックレバー13の位置調整は、図3に示すように、上フレーム2の上突当て部10と下フレーム3の下突当て部11とを当接させた状態で、ストッパ16の上面とロックレバー13の操作部13aの下面との間に所定の隙間を形成するように操作部13aを下方から支持する位置決め治具29を上フレーム2の側面の外側で、操作部13aの下方に設置して行う。
【0027】
紙葉類厚さ検出装置1の組立の際に、ロックレバー13の位置を調整する場合は、まず、調整プレート20と上フレーム2とを締結しているスライド軸22に設けられたナット23を緩め、上突当て部10と下突当て部11とを当接させ、位置決め治具29を、ストッパ16とロックレバー13との間の操作部13aの下方に設置する。
【0028】
このとき、ロックレバー13は、その操作部13aとストッパ16との間に所定の隙間を形成した状態で、回動支点17を中心に係合方向Cおよびその逆方向に回動可能に支持され、調整プレート20は、そのスライド軸22が上フレーム2の横スライド穴21に沿って搬送方向Bに移動可能に支持され、その傾斜長穴27に嵌合している回動支点17は、上フレーム2の縦長穴26に沿って直交方向Dに移動可能になっている。
【0029】
これにより、ロックレバー13は、バネ部材15の付勢力Fspにより引っ張られ、かつ位置決め治具29で操作部13aを支持されているため係合方向Cに回転し、斜面19が係合ピン14に係合する位置まで、回動支点17が傾斜長穴27を押しながら縦長穴26に沿って直交方向Dに自動的に移動し、上フレーム2に対する回動支点17の高さおよび搬送方向Bの位置が決まる。
【0030】
また、調整プレート20は、傾斜長穴27が嵌合している回動支点17に押されて、横スライド穴21にガイドされながらスライド軸22が搬送方向Bに移動し、調整プレート20の搬送方向Bの位置が決まる。
この状態で、組立作業者は、調整プレート20と上フレーム2とをナット23により締結して調整プレート20を上フレーム2に固定し、ロックレバー13の位置決め治具29を取外して回動支点17の位置調整を完了させる。
【0031】
このようにして回動支点17の位置が確定された紙葉類厚さ検出装置1は、ロックレバー13の操作部13aに操作力Fop(図1参照)を加えれば、上フレーム2が開放され、上フレーム2のストッパ16に操作部13aが係止された状態で停止する。
【0032】
また、上フレーム2の閉鎖時には、開放された上フレーム2の開閉支点4と反対側の端部を上から押せば、ロックレバー13の操作部13aがストッパ16に当接した状態のまま、ロックレバー13の係合部13bの先端の傾斜部18が係合ピン14に押付けられ、更に上フレーム2を押込むと、回動支点17が縦長穴26と調整プレート20の傾斜長穴27に支持された状態で、ロックレバー13がバネ部材15の付勢力Fspに抗して回動支点17を中心に係合方向Cの逆方向に回動し、斜面19が係合ピン14の位置まで移動すると、ロックレバー13がバネ部材15の付勢力Fspに引っ張られて回動支点17を中心に係合方向Cに回動し、斜面19が係合ピン14に自動的に係合して上突当て部10と下突当て部11とが当接した状態で上フレーム2が閉鎖され、各搬送ローラ8の押圧力Pおよび厚さ検出ローラ7の押圧力Pchを規定の押圧力となり、紙葉類の厚さの検出が可能になる。
【0033】
上記のように、本実施例では、スライド軸22と横スライド穴21とからなる搬送方向Bのスライド機構を設けた調整プレート20の傾斜長穴27と上フレーム2に設けた縦長穴26との組合せで回動支点17を支持し、上突当て部10と下突当て部11を突当て、ロックレバー13の操作部13aを位置決め治具29にて支持することで、回動支点17が、調整プレート20を搬送方向Bに移動させながら縦長穴26に沿って移動し、回動支点17の位置が自動的に決まると共に、調整プレート20を移動した位置で締結するので、ロックレバー13の位置調整を容易に行うことができる。
【0034】
また、調整プレート20の傾斜長穴27と上フレーム2の縦長穴26の組合せで回動支点17を支持し、調整プレート20に固定したスライド軸22を上フレーム2の横スライド穴21に嵌合させているため、上フレーム2の開閉時のロックレバー13による負荷を、主に上フレーム2に設けた縦長穴26と、傾斜長穴27、スライド軸22を介して上フレーム2に設けた横スライド穴21とで受けることができ、紙葉類厚さ検出装置1の使用時における繰返し負荷により発生する締結部材の緩みを抑制することができる。
【0035】
なお、本実施例では、傾斜長穴27は、搬送方向Bから所定の角度で、開閉支点4に向かって搬送方向Bから下る方向に傾斜した方向を長手方向とする長穴であるとして説明したが、傾斜方向は逆方向であってもよい。
また、横スライド穴21、縦長穴26、傾斜長穴27は、矩形の長穴であるとして説明したが、矩形の一の短辺とその両側の2つの長辺とに内接する半円弧を長手方向の両側に形成した長円形の長穴であってもよい。
【0036】
以上説明したように、本実施例では、紙葉類の搬送方向Bの一端に設けられた開閉支点を中心に、下フレームに対して開閉自在に設けられた上フレームを有し、搬送された紙葉類を基準ローラと厚さ検出ローラとで挟持して紙葉類の厚さを検出する紙葉類厚さ検出装置の開閉機構が、下フレームの、開閉支点の反対側の端部に設けられた下突当て部と、下フレームの側面に立設された係合ピンと、上フレームに設けられた下突当て部に当接する上突当て部と、上フレームの側面に形成された搬送方向Bを長手方向とした長穴である横スライド穴と、搬送方向Bの直交方向Dを長手方向とした縦長穴と、縦長穴に嵌合する回動支点と、係合ピンに係合する斜面と、操作部とを有し回動支点を中心に回動するロックレバーと、操作部を係止してロックレバーの係合ピンへの係合方向への回動を制限するストッパと、ロックレバーを係合ピンへの係合方向に付勢するバネ部材と、横スライド穴に嵌合するスライド軸と、回動支点に嵌合し搬送方向Bから傾斜した方向を長手方向とする傾斜長穴とを有する調整プレートと、調整プレートを上プレートの側面に締結する締結部材と、操作部を支持して操作部とストッパとの間に所定の隙間を形成する位置決め治具と、を備え、ロックレバーの回動支点の位置を決定する場合に、締結部材による締結を緩め、上突当て部と下突当て部とを当接させ、位置決め治具で操作部を支持させ、ロックレバーの斜面を係合ピンに係合させたときに、バネ部材による付勢力によって縦長穴と傾斜長穴とに嵌合する回動支点を移動させて回動支点の位置を決定し、回動支点の移動に伴って移動する傾斜長穴によって、スライド穴に嵌合するスライド軸により搬送方向Bに移動した調整プレートを締結部材で締結して、回動支点の位置を決定された位置で確定するようにしてことによって、回動支点の位置を自動的に決定して、ロックレバーの位置調整を容易に行うことができると共に、紙葉類厚さ検出装置の使用時における繰返し負荷を主に上フレームで受けて、締結部材による締結に発生する緩みを抑制することができる。
【実施例2】
【0037】
以下に、図4ないし図7を用いて本実施例の紙葉類厚さ検出装置の開閉機構について説明する。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の調整プレート20には、図4に示すように、回動支点17を当接させる、搬送方向Bから所定の角度で開閉支点4に向かって搬送方向Bから下る方向に傾斜した傾斜面31が設けられており、縦長穴26と傾斜面31とを組合せることで、回動支点17を搬送方向Bの両側と下側の3点で回動可能に支持するように構成されている。
【0038】
また、本実施例のロックレバー13には、回動支点17を挟んで第2の端部側に設けられた操作部13aの反対側に形成されたアーム部13cが設けられ、そのアーム部13cの端部である第4の端部は、上フレーム2の側面の回動支点17と開閉支点4との間に設けられたストッパ33の下面に係止される。
【0039】
また、ストッパ33は、上記実施例1のストッパ16と同様に、ロックレバー13の係合ピン14への係合方向Cへの回動を制限する機能を有している。
なお、本実施例のロックレバー13の斜面19と係合ピン14との係合を解除する場合は、上記実施例1と同様に、操作部13aによって、ロックレバー13を回動支点17を中心に斜面19を係合方向Cと逆方向に回動させることによって行う。
【0040】
本実施例のオートロック機構は、アーム部13cを有するロックレバー13、係合ピン14、バネ部材15、ストッパ33等から構成される。
また、開閉機構は、前記オートロック機構に加えて、上フレーム2、下フレーム3、開閉支点4、上フレーム2の横スライド穴21と縦長穴26、調整プレート20、そのスライド軸22と傾斜面31等により構成される。
【0041】
本実施例の開閉機構を有する紙葉類厚さ検出装置1は、上フレーム2の開放時には、図5に示すように、ロックレバー13がバネ部材15により引っ張られ、上フレーム2の側面に設けられたストッパ33によりアーム部13cが係止された状態で停止する。
【0042】
以下に、図6を用いて、本実施例のロックレバー13の回動支点17の位置調整について説明する。
本実施例の紙葉類厚さ検出装置1の組立の際に、ロックレバー13の位置を調整する場合は、まず、調整プレート20と上フレーム2とを締結しているスライド軸22に設けられたナット23を緩め、上突当て部10と下突当て部11とを当接させ、上記実施例1と同様の位置決め治具29を、ロックレバー13の操作部13aの下方に設置する。
【0043】
このとき、ロックレバー13は、そのアーム部13cとストッパ33との間に所定の隙間を形成した状態で、ロックレバー13を、回動支点17を中心に係合方向Cおよびその逆方向に回動可能として支持され、調整プレート20は、そのスライド軸22が上フレーム2の横スライド穴21に沿って搬送方向Bに移動可能に支持され、回動支点17は、上フレーム2の縦長穴26に沿って直交方向Dに移動可能になっている。
【0044】
これにより、ロックレバー13は、バネ部材15の付勢力Fspにより引っ張られ、かつ位置決め治具29で操作部13aを支持されているため係合方向Cに回転し、斜面19が係合ピン14に係合する位置まで、回動支点17が縦長穴26に沿って直交方向Dに自動的に移動し、上フレーム2に対する回動支点17の高さおよび搬送方向Bの位置が決まる。
【0045】
この状態で、組立作業者は、スライド軸22を横スライド穴21にガイドさせて調整プレート20を搬送方向Bに移動させ、その傾斜面31を回動支点17に当接させて、調整プレート20の搬送方向Bの位置を決め、調整プレート20と上フレーム2とをナット23により締結して調整プレート20を上フレーム2に固定し、ロックレバー13の位置決め治具29を取外して回動支点17の位置調整を完了させる。
【0046】
このようにして回動支点17の位置が確定された紙葉類厚さ検出装置1は、ロックレバー13の操作部13aに操作力Fop(図1参照)を加えれば、上フレーム2が開放され、上フレーム2のストッパ33にアーム部13cが係止された状態で停止する(図5参照)。
【0047】
また、上フレーム2の閉鎖時には、図7に示すように、開放された上フレーム2の開閉支点4と反対側の端部を力Fcで上から押せば、ロックレバー13のアーム部13cがストッパ33に当接した状態のまま、ロックレバー13の係合部13bの先端の傾斜部18が係合ピン14に押付けられ、回動支点17は縦長穴26に沿って図7に矢印Eで示す上方向にその上側の短辺に当接するまで移動し、更に上フレーム2を押込むと、ロックレバー13がバネ部材15の付勢力Fspに抗して回動支点17を中心に係合方向Cの逆方向である矢印G方向に回動し、斜面19が係合ピン14の位置まで移動すると、ロックレバー13がバネ部材15の付勢力Fspに引っ張られて回動支点17を中心に係合方向Cに回動し、斜面19が係合ピン14に自動的に係合して上突当て部10と下突当て部11とが当接した状態で上フレーム2が閉鎖され、各搬送ローラ8の押圧力Pおよび厚さ検出ローラ7の押圧力Pchを規定の押圧力となり、紙葉類の厚さの検出が可能になる。
【0048】
上記のように、本実施例では、上フレーム2に設けた縦長穴26に回動支点17を嵌合させ、上突当て部10と下突当て部11とを突当て、ロックレバー13の操作部13aを位置決め治具29にて支持することで、回動支点17が、縦長穴26に沿って移動して回動支点17の位置が自動的に決まり、スライド軸22と横スライド穴21とからなる搬送方向Bのスライド機構を設けた調整プレート20を搬送方向Bに移動させて、その傾斜面31を回動支点17に当接させ、その位置で調整プレート20を締結するので、ロックレバー13の位置調整を容易に行うことができる。
【0049】
また、調整プレート20の傾斜面31と上フレーム2の縦長穴26とを組合せて回動支点17を搬送方向Bの両側と下側の3点で支持し、調整プレート20に固定したスライド軸22を上フレーム2の横スライド穴21に嵌合させているため、上フレーム2の開閉時のロックレバー13による負荷を、主に上フレーム2に設けた縦長穴26と、傾斜面31を介して上フレーム2に設けた横スライド穴21とで受けることができると共に、上フレーム2の閉作動時にロックレバー13の係合部13bの先端が係合ピン14に当接してから、回動支点17が縦長穴26の上側の短辺に当たるまで移動するため、上フレ−ム2を閉鎖するまでの時間が長くなり、ロックレバー13の回動支点17にかかる衝撃負荷を低減することができ、紙葉類厚さ検出装置1の使用時における繰返し負荷により発生する締結部材の緩みを更に抑制することができる。
【0050】
なお、本実施例では、傾斜面31は、搬送方向Bから所定の角度で、開閉支点4に向かって搬送方向Bから下る方向に傾斜させるとして説明したが、傾斜方向は逆方向であってもよい。
また、横スライド穴21、縦長穴26は、矩形の長穴であるとして説明したが、矩形の一の短辺とその両側の2つの長辺とに内接する半円弧を長手方向の両側に形成した長円形の長穴であってもよい。
【0051】
以上説明したように、本実施例では、紙葉類の搬送方向Bの一端に設けられた開閉支点を中心に、下フレームに対して開閉自在に設けられた上フレームを有し、搬送された紙葉類を基準ローラと厚さ検出ローラとで挟持して紙葉類の厚さを検出する紙葉類厚さ検出装置の開閉機構が、下フレームの、開閉支点の反対側の端部に設けられた下突当て部と、下フレームの側面に立設された係合ピンと、上フレームに設けられた下突当て部に当接する上突当て部と、上フレームの側面に形成された、搬送方向Bを長手方向とした長穴である横スライド穴と、搬送方向Bの直交方向Dを長手方向とした縦長穴と、縦長穴に嵌合する回動支点と、係合ピンに係合する斜面と、操作部と、回動支点を挟んで操作部の反対側に形成されたアーム部とを有し回動支点を中心に回動するロックレバーと、アーム部を係止してロックレバーの係合ピンへの係合方向への回動を制限するストッパと、ロックレバーを係合ピンへの係合方向に付勢するバネ部材と、横スライド穴に嵌合するスライド軸と、回動支点に当接し搬送方向Bから所定の角度で傾斜した傾斜面とを有する調整プレートと、調整プレートを上プレートの側面に締結する締結部材と、操作部を支持してアーム部とストッパとの間に所定の隙間を形成する位置決め治具と、を備え、ロックレバーの回動支点の位置を決定する場合に、締結部材による締結を緩め、上突当て部と下突当て部とを当接させ、位置決め治具で操作部を支持させ、ロックレバーの斜面を係合ピンに係合させたときに、バネ部材による付勢力によって、縦長穴に嵌合する回動支点を移動させて回動支点の位置を決定し、横スライド穴に嵌合するスライド軸により調整プレートを移動させて傾斜面を回動支点に当接させた位置で調整プレートを締結部材で締結して、ロックレバーの回動支点の位置を確定するので、回動支点の位置を自動的に決定して、ロックレバーの位置調整を容易に行うことができると共に、紙葉類厚さ検出装置の使用時における繰返し負荷を主に上フレームで受けて、締結部材による締結に発生する緩みを抑制することができる。
【0052】
また、上フレームの閉作動時に、ロックレバーの係合部の先端の傾斜部が係合ピンに当接してから、回動支点が縦長穴の上側の短辺に当たるまで移動するので、上フレ−ムを閉鎖するまでの時間が長くなり、ロックレバーの回動支点にかかる衝撃負荷を低減することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 紙葉類厚さ検出装置
2 上フレーム
3 下フレーム
4 開閉支点
6 基準ローラ
7 厚さ検出ローラ
8、8a、8b 搬送ローラ
10 上突当て部
11 下突当て部
13 ロックレバー
13a 操作部
13b 係合部
13c アーム部
14 係合ピン
15 バネ部材
16、33 ストッパ
17 回動支点
18 傾斜部
19 斜面
20 調整プレート
21 横スライド穴
22 スライド軸
22a ネジ部
23 ナット
24 ワッシャ
26 縦長穴
27 傾斜長穴
29 位置決め治具
31 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類の搬送方向の一端に設けられた開閉支点を中心に、下フレームに対して開閉自在に設けられた上フレームを有し、搬送された紙葉類を基準ローラと厚さ検出ローラとで挟持して紙葉類の厚さを検出する紙葉類厚さ検出装置の開閉機構において、
前記下フレームの、前記開閉支点の反対側の端部に設けられた下突当て部と、
前記下フレームの側面に立設された係合ピンと、
前記上フレームに設けられた前記下突当て部に当接する上突当て部と、
前記上フレームの側面に形成された、前記搬送方向を長手方向とした長穴である横スライド穴と、前記搬送方向の直交方向を長手方向とした縦長穴と、
前記縦長穴に嵌合する回動支点と、前記係合ピンに係合する斜面と、操作部とを有し、前記回動支点を中心に回動するロックレバーと、
前記操作部を係止して、前記ロックレバーの前記係合ピンへの係合方向への回動を制限するストッパと、
前記ロックレバーを、前記係合ピンへの係合方向に付勢するバネ部材と、
前記横スライド穴に嵌合するスライド軸と、前記回動支点に嵌合し、前記搬送方向から傾斜した方向を長手方向とする傾斜長穴とを有する調整プレートと、
前記操作部を支持して、前記操作部と前記ストッパとの間に所定の隙間を形成する位置決め治具と、を備え、
前記ロックレバーの回動支点の位置を決定する場合に、前記上突当て部と下突当て部とを当接させ、前記位置決め治具で前記操作部を支持させ、前記ロックレバーの斜面を前記係合ピンに係合させたときに、前記バネ部材による付勢力によって、前記縦長穴と前記傾斜長穴とに嵌合する前記回動支点を移動させて、前記回動支点の位置を決定することを特徴とする紙葉類厚さ検出装置の開閉機構。
【請求項2】
請求項1に記載の紙葉類厚さ検出装置の開閉機構において、
前記調整プレートを、前記上プレートの側面に締結する締結部材を備え、
前記ロックレバーの回動支点の位置を決定する場合に、前記締結部材による締結を緩め、前記回動支点の位置の決定時に、前記回動支点の移動に伴って移動する前記傾斜長穴によって、前記横スライド穴に嵌合する前記スライド軸により前記搬送方向に移動した前記調整プレートを、その位置で前記締結部材で締結して、前記回動支点の位置を決定された位置で確定することを特徴とする紙葉類厚さ検出装置の開閉機構。
【請求項3】
紙葉類の搬送方向の一端に設けられた開閉支点を中心に、下フレームに対して開閉自在に設けられた上フレームを有し、搬送された紙葉類を基準ローラと厚さ検出ローラとで挟持して紙葉類の厚さを検出する紙葉類厚さ検出装置の開閉機構において、
前記下フレームの、前記開閉支点の反対側の端部に設けられた下突当て部と、
前記下フレームの側面に立設された係合ピンと、
前記上フレームに設けられた前記下突当て部に当接する上突当て部と、
前記上フレームの側面に形成された、前記搬送方向を長手方向とした長穴である横スライド穴と、前記搬送方向の直交方向を長手方向とした縦長穴と、
前記縦長穴に嵌合する回動支点と、前記係合ピンに係合する斜面と、操作部と、前記回動支点を挟んで前記操作部の反対側に形成されたアーム部とを有し、前記回動支点を中心に回動するロックレバーと、
前記アーム部を係止して、前記ロックレバーの前記係合ピンへの係合方向への回動を制限するストッパと、
前記ロックレバーを、前記係合ピンへの係合方向に付勢するバネ部材と、
前記横スライド穴に嵌合するスライド軸と、前記回動支点に当接し、前記搬送方向から所定の角度で傾斜した傾斜面とを有する調整プレートと、
前記操作部を支持して、前記アーム部と前記ストッパとの間に所定の隙間を形成する位置決め治具と、を備え、
前記ロックレバーの回動支点の位置を決定する場合に、前記上突当て部と下突当て部とを当接させ、前記位置決め治具で前記操作部を支持させ、前記ロックレバーの斜面を前記係合ピンに係合させたときに、前記バネ部材による付勢力によって、前記縦長穴に嵌合する前記回動支点を移動させて、前記回動支点の位置を決定することを特徴とする紙葉類厚さ検出装置の開閉機構。
【請求項4】
請求項3に記載の紙葉類厚さ検出装置の開閉機構において、
前記調整プレートを、前記上プレートの側面に締結する締結部材を備え、
前記ロックレバーの回動支点の位置を決定する場合に、前記締結部材による締結を緩め、前記回動支点の位置の決定時に、前記横スライド穴に嵌合する前記スライド軸により前記調整プレートを移動させて前記傾斜面を前記回動支点に当接させ、その位置で前記調整プレートを前記締結部材で締結して、前記ロックレバーの回動支点の位置を確定することを特徴とする紙葉類厚さ検出装置の開閉機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−82034(P2012−82034A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227795(P2010−227795)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】