説明

紙葉類繰出装置

【課題】未流通の紙幣のように静電気等により密着して重なった状態の紙葉類を1枚ずつ分離して繰出す場合であっても完全な分離を得ることができるようにする。
【解決手段】紙葉類集積部19の出口の近傍に、駆動手段により回転する回転軸に設けたハブ部に弾性材料を固着させた舌片9と、紙葉類集積部19の出口側の側面壁に該舌片9を突出させる開口部20とを設け、回転させた舌片9をステージ2上の紙葉類Pの端部に当接させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣や伝票等の紙葉類が集積された紙葉類集積部から紙葉類を1枚ずつ分離して繰出す紙葉類繰出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙葉類繰出装置は、先端部と回転軸との半径距離が変化し得るゴム材を備えた舌片を紙葉類搬送路と紙葉類集積部との連結部の近傍に設け、紙葉類集積部に集積された紙葉類を1枚ずつ分離して繰出すとき、摩擦力を利用して紙葉類を繰出すフィードローラの回転に連動させ、その舌片を繰出し方向に回転させて繰出した紙葉類をなでるように送り出すようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−137015号公報(段落「0046」〜段落「0073」、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、折れ等により変形した紙葉類を紙葉類集積部から1枚ずつ分離して繰出す場合、その変形した部位を伸ばして紙葉類搬送路へ送り出すことができたが、例えば、未流通の紙幣(以下、「官封券」という。)のように静電気等により密着して重なった状態の紙葉類を1枚ずつ分離して繰出す場合、完全な分離を得ることができず紙葉類の詰まり、紙葉類が一部重なって分離する重走や複数の紙葉類が連なってしまう連鎖等の異常が発生してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明は、紙葉類を集積させて紙葉類集積部内を昇降可能なステージと、そのステージ上に集積された紙葉類を分離する分離機構とを備え、その分離機構で紙葉類を1枚ずつ分離して紙葉類集積部の出口へ搬送する紙葉類繰出装置において、紙葉類集積部の出口の近傍に、駆動手段により回転する回転軸に設けたハブ部に弾性材料を固着させた舌片と、紙葉類集積部の出口側の側面壁に該舌片を突出させる開口部とを設け、回転させた舌片をステージ上の紙葉類の端部に当接させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、官封券のように密着して重なった状態の紙葉類を1枚ずつ分離して繰出す場合であっても完全な分離を得ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施例における紙葉類繰出装置の構成を示す側面図
【図2】第1の実施例における分離部の構成を示す正面図
【図3】第1の実施例における分離準備動作を示すフローチャート
【図4】第1の実施例における分離準備動作を示す説明図
【図5】第2の実施例における分離準備動作を示すフローチャート
【図6】第2の実施例における分離準備動作を示す説明図
【図7】第3の実施例における紙葉類繰出装置の構成を示す側面図
【図8】第3の実施例におけるステージの要部を示す上面図
【図9】第3の実施例における分離準備動作を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明による紙葉類繰出装置の実施例を説明する。
【実施例】
【0010】
まず、第1の実施例について説明する。
図1は第1の実施例における紙葉類繰出装置の構成を示す側面図、図2は第1の実施例における分離部の構成を示す正面図である。
図1において、1は紙葉類繰出装置であり、装置内に集積した紙幣や伝票等の紙葉類Pを1枚ずつ分離して紙葉類搬送路へ繰出すものである。
【0011】
2はステージであり、紙葉類繰出装置1の内部に設けられ、紙葉類Pを集積する底板を構成するものである。このステージ2は図示しない駆動部および機構により昇降可能に構成されたものである。
3は繰出しローラであり、ステージ2の上方に配置され、ステージ2に集積された紙葉類Pを分離するためものである。この繰出しローラ3の外周面の一部には紙葉類Pを分離するために充分な摩擦力を有する摩擦部材が取り付けられ、回転させることにより当接した紙葉類Pを1枚ずつ分離することができる。
【0012】
したがって、ステージ2を上昇させることにより紙葉類Pを繰出しローラ3に当接させ、その繰出しローラ3を図中反時計方向に回転させて1枚ずつ分離し、紙葉類集積部19の出口へ送り出すことができる。
ここで、紙葉類集積部19とは、繰出しローラ3と最下降させたステージ2との間で形成される空間であり、図示しない壁で側面が形成されている。
【0013】
4はフィードローラであり、紙葉類集積部19の出口の上部に配置され、分離された紙葉類Pを紙葉類搬送路へ繰出すものである。このフィードローラ4の外周面は紙葉類Pを繰出すために充分な摩擦力を有する摩擦部材が取り付けられている。
5はリバースローラであり、フィードローラ4に対向し、圧接するように配置されたものである。このリバースローラ5は図示しないワンウェイクラッチを備え、図中反時計方向のみ回転可能に構成されたものである。
【0014】
フィードローラ4およびリバースローラ5により紙葉類集積部19の出口を構成し、フィードローラ4を図中反時計方向、リバースローラ5は図中時計方向に回転させずに、繰出しローラ3により分離された紙葉類Pを挟持して紙葉類搬送路へ送り出すものである。
6は舌片アームであり、その一端がフィードローラ4およびリバースローラ5の近傍に設けられた支点7において回動自在に軸支され、他端は自由端となっている。その自由端部に回転軸8が設けられ、その回転軸8にはギア10が固着されているとともに、その回転軸8に固着された筒状に形成されたハブ部が設けられている。
【0015】
9は舌片であり、天然ゴムや合成ゴム等の弾性材料で構成され、一端が上述したハブ部に固着され他端が自由端になるように設けられたものである。この舌片6は一または複数で構成され、本実施例では8本の舌片6がハブ部の円周上に等間隔で配置されているものとする。
回転軸8に固着されたギア10は回転軸12の固着されたギア11と噛合するように配置され、回転軸12の回転力を回転軸8に伝達する。したがって、図示しないモータ等の正逆両方向に回転可能な駆動手段により回転軸12を回転させることにより、回転軸8に固着された舌片9を正逆両方向に回転させることが可能である。
【0016】
舌片アーム6、回転軸8、舌片9、ギア10、ギア11および回転軸12等の舌片機構部は、一体となって図示しないモータ等の駆動手段により、支点7を支点として回動可能に構成され、図1において、リバースローラ5の近傍である実線で示す分離準備動作位置および破線で示す退避位置に移動させることができるものである。
ここで、舌片9は、舌片機構部を分離準備動作位置に配置させ、回転軸8を回転させたとき舌片9の先端部が紙葉類集積部19の上部に集積された紙葉類Pの紙葉類集積部19の出口方向の端部に接触するに充分な長さを有するものとする。また、紙葉類集積部19の側面を形成する側面壁には舌片9の先端部が紙葉類Pに接触するに充分な開口部20が設けられているものとする。さらに、舌片機構部を退避位置に配置させたとき舌片9は、紙葉類集積部19に集積された紙葉類Pに接触することなく繰出しローラ3による分離動作およびフィードローラ4ならびにリバースローラ5による繰出しの動作を妨げることがないものとする。
【0017】
13は搬送ガイドであり、フィードローラ4およびリバースローラ5により繰出された紙葉類Pを案内する紙葉類搬送路を形成するものである。また、この搬送ガイド13は形成した紙葉類搬送路と紙葉類集積部19の側面を形成する側面壁とを結び、さらに、形成した紙葉類搬送路と繰出しローラ3の近傍を結び、紙葉類集積部19の上面部を形成するものである。
【0018】
なお、紙葉類搬送路と紙葉類集積部19の側面を形成する側面壁には舌片9の先端部が紙葉類搬送路上の紙葉類Pに接触するに充分な開口部20が設けられ、また、舌片9は、舌片機構部を分離準備動作位置に配置させ、回転軸8を回転させたとき舌片9の先端部が紙葉類搬送路上の紙葉類Pに接触するに充分な長さを有するものとする。
図2において、15はフィードローラ回転軸であり、フィードローラ4が固着されたものである。このフィードローラ回転軸15は図示しないモータ等の駆動手段により回転可能に構成されている。
【0019】
18はリバースローラ回転軸であり、リバースローラ5およびギア17が固着されたものである。このギア17はフィードローラ回転軸15に固着されたギア16と他の図示しないギアを介して噛合されている。したがって、駆動手段によりフィードローラ回転軸15が回転するとその回転力が伝達されリバースローラ回転軸18がフィードローラ回転軸15の回転方向と反対方向に回転するように構成されている。このフィードローラ回転軸15およびリバースローラ回転軸18の回転に伴ってフィードローラ4およびリバースローラ5も回転するが、上述したとおり、リバースローラ5は図1における反時計方向の方向にのみ回転するものとする。
【0020】
なお、本実施例ではフィードローラ回転軸15にふたつのフィードローラ4が固着されたものとし、そのフィードローラ4に対向してリバースローラ回転軸18にふたつのリバースローラ4が固着されたものとするがそれに限られることなく、1対または3対以上のフィードローラ4およびリバースローラ5を設けるようにしてもよい。
上述した構成の作用について説明する。
【0021】
なお、以下に説明する各部位の動作は、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)や制御用の情報に基づいて図示しない中央処理装置等の制御部により制御される。
図3は第1の実施例における分離準備動作を示すフローチャートであり、図中Sで表すステップにしたがって説明する。
【0022】
S1a:紙葉類繰出装置1により装置内の紙葉類Pの分離動作を開始する前に、制御部は図示しない昇降機構によりステージ2を上昇させ、図4(a)に示すようにステージ2に集積された紙葉類Pの上面を繰出しローラ3に当接させる。
S2a:紙葉類Pの上面が繰出しローラ3に当接すると制御部はステージ2の上昇を停止させ、図示しない機構により舌片機構部を分離準備動作位置に配置させる。
【0023】
S3a:舌片機構部が分離準備動作位置に配置されると制御部は駆動手段により回転軸12を回転させ、舌片9を図4(b)における時計方向に回転させる。
舌片9を回転させると図4(b)に示すようにその舌片9の先端部は紙葉類集積部19に集積された紙葉類Pのフィードローラ4およびリバースローラ5が配置された紙幣集積部19の出口側の端部に当接する。この舌片9の先端部が紙葉類Pの端部に当接することにより、その端部がさばかれ、密着した紙葉類Pと紙葉類Pとの間に間隙を形成させる。
【0024】
S4a:紙葉類Pの端部を充分さばくことができる予め記憶部に記憶した所定の時間が経過すると制御部は回転軸12の回転を停止させて舌片9の回転を停止させる。
S5a:舌片9の回転を停止させると制御部は図示しない機構により舌片機構部を図4(c)に示すように退避位置に配置させる。
S6a:舌片機構部を退避位置に配置させると制御部は繰出しローラ3を図4(d)に示すように矢印Aの方向、すなわち、反時計方向に回転させ、また、フィードローラ4も反時計方向に回転させ、紙葉類Pの分離動作および繰出し動作を開始する。
【0025】
このようにして紙葉類Pの分離準備動作を行う。
なお、紙葉類繰出し装置1はステージ2上に集積された紙葉類Pを分離および繰出す動作を行うものに限られることなく、紙葉類搬送路から搬送された紙葉類をフィードローラ4、リバースローラ5および舌片9を所定の方向に回転させステージ2上に集積することが可能なものであってもよい。
【0026】
また、ステージ2上に集積された紙葉類Pが官封券でない流通したものであることが予め鑑別できている場合は上述した分離準備動作を行わないようにしてもよい。
以上説明したように、第1の実施例では、紙葉類集積部に集積された紙葉類Pを分離する前に舌片9を回転させ、その先端部を紙葉類Pに当接させて密着した紙葉類Pの間に間隙を形成することにより、官封券のように密着して重なった状態の紙葉類を1枚ずつ分離して繰出す場合であっても完全な分離を得ることができるという効果が得られる。
【0027】
次に、第2の実施例を説明する。
第2の実施例の構成は第1の実施例の構成と同様なので同一の符号を付してその説明を省略する。
第2の実施例の構成の作用について説明する。
なお、以下に説明する各部位の動作は、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)や制御用の情報に基づいて図示しない中央処理装置等の制御部により制御される。
【0028】
図5は第2の実施例における分離準備動作を示すフローチャートであり、図中Sで表すステップにしたがって説明する。
S1b〜S6b:S1a〜S6aと同様なのでその説明を省略する。
S7b:紙葉類Pの分離動作および繰出し動作を開始するとその動作が正常に行われているか図示しないセンサ等の異常検出手段により監視される。ここで、異常検出手段により検出される異常とは、紙葉類Pの詰まり、紙葉類Pが一部重なって分離する重走や複数の紙葉類Pが連なってしまう連鎖等である。
【0029】
S8b:図6(a)に示すように異常検出手段により動作に異常が発生したことが検知されると制御部は繰出しローラ3およびフィードローラ4の回転を停止させる。
S9b:繰出しローラ3およびフィードローラ4の回転を停止させると制御部は図6(b)の矢印Bが示すようにステージ2を下降させる。ステージ2を下降させることによりステージ2に集積された紙葉類Pと繰出しローラ3の間に異常が検知された紙葉類Pを戻す空間を形成する。
【0030】
S10b:ステージ2を下降させると制御部は図示しない機構により舌片機構部を分離準備動作位置に配置させる。
S11b:舌片機構部を分離準備動作位置に配置させると制御部は図6(c)に示すようにフィードローラ4を図中時計方向に、リバースローラ5を図中反時計方向に回転させ、さらに、舌片9を図中反時計方向に回転させて図中矢印Cが示すように異常の原因となった紙葉類Pをステージ2に集積された紙葉類Pと繰出しローラ3の間の空間に戻す。このとき、舌片9の先端部が紙葉類Pの端部に当接することにより、紙葉類搬送路上の紙葉類Pは押し戻されるとともに、押し戻された紙葉類Pは叩き落とされ、ステージ2に集積された紙葉類Pの上にさらに集積される。
【0031】
紙葉類搬送路上のすべての紙葉類Pが押し戻され、ステージ2上に集積されたことを図示しないセンサ等で検知すると制御部はフィードローラ4、リバースローラ5および舌片9の回転を停止する。
S12b:フィードローラ4、リバースローラ5および舌片9の回転を停止させると制御部は図示しない機構により舌片機構部を退避位置に配置させ、処理をS1bへ移行させて図6(d)の矢印Cの示す方向にステージ2を上昇させ、分離準備動作および分離動作ならびに繰出し動作を再度行う。
【0032】
S13b:一方、S7bにおいて動作の異常が検出されることなく、指定された枚数の紙葉類Pの分離が終了するとその分離動作および繰出し動作を終了する。
このようにして分離動作および繰出し動作において異常を検知した後も、再度の分離動作および繰出し動作を行う前に分離準備動作を行う。
なお、本実施例ではS7bにおいて、異常検出手段により分離動作および繰出し動作に異常が発生したことを検知するようにしたが、分離した紙葉類Pを計数する計数手段を設け、記憶部に記憶した所定の枚数の紙葉類Pを分離したことを検知するようにしてもよい。
【0033】
これは、分離準備動作において、舌片9の先端部が紙葉類Pの端部に当接することにより、その端部がさばかれ、密着した紙葉類Pと紙葉類Pとの間に間隙を形成させることができる範囲はステージ2に集積された上方の略一定の枚数の紙葉類Pに限定されてしまうためである。
したがって、S7bにおいて、分離準備動作を行うことにより密着した紙葉類Pと紙葉類Pとの間に間隙を形成させることができる紙葉類Pの枚数が、例えば、100枚とすると、その枚数の紙葉類Pの分離が終了したことを検知した場合、S8bからS12bの処理を行い、そして、S1bからS6bの処理を行うことにより、まだ分離準備動作が行われていない密着した紙葉類Pと紙葉類Pとの間に間隙を形成させ、分離動作を開始することができる。
【0034】
また、S7bにおいて、異常検出手段により分離動作および繰出し動作に異常が発生したことを検知したとき、または、所定の枚数の紙葉類Pを分離したことを検知したとき、S8bからS12bの処理を行い、そして、S1bからS6bの処理を行うことにより、まだ分離準備動作が行われていない密着した紙葉類Pと紙葉類Pとの間に間隙を形成させ、分離動作を開始させるようにしてもよい。
【0035】
さらに、ステージ2上に集積された紙葉類Pが官封券でない流通したものであることが予め鑑別できている場合は分離準備動作を行わないようにしてもよい。
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、紙葉類Pの分離動作および繰出し動作において異常を検知した場合、または、所定の枚数の紙葉類Pを分離したことを検知した場合、分離準備動作を行った後に、再度、分離動作および繰出し動作を行うようにしたため、分離動作および繰出し動作における異常を低減させることができ、装置の休止率を低減させることができるという効果が得られる。
【0036】
次に、第3の実施例を説明する。
第1の実施例および第2の実施例における紙葉類繰出装置は紙葉類を分離する部位と集積する部位が同一の位置に存在する構成であったが、第3の実施例における紙葉類繰出装置は紙葉類を集積する部位と分離する部位の位置が異なる構成のものである。
図7は第3の実施例における紙葉類繰出装置の構成を示す側面図である。
【0037】
図7において、30は紙葉類繰出装置であり、紙葉類搬送路で搬送された紙幣や伝票等の紙葉類Pを1枚ずつ集積する集積機構および集積された紙葉類Pを1枚ずつ分離して紙葉類搬送路へ繰出す分離機構を備えるものである。
この紙葉類繰出装置30はその上部に集積機構およびその下部に分離機構を配置するものである。
【0038】
40はステージであり、紙葉類Pを集積する底板を構成するものである。このステージ40は図示しない駆動部および機構により昇降可能に構成されたものであり、ステージ40を図中矢印Dで示す方向に上昇させて集積部31を形成し、そのステージ40上に紙葉類搬送路から搬送された紙葉類Pを集積することができる。また、ステージ40を図中矢印Eで示す方向に下降させて分離部32を形成し、そのステージ40上に集積された紙葉類Pを1枚ずつ分離して紙葉類搬送路へ繰出すことができる。
【0039】
ここで、集積部31を形成するステージ40の位置および分離部32を形成するステージ40の位置は図示しない位置決めセンサにより決定されるものであり、紙葉類Pを集積すべき最大の枚数に対応する空間の高さに合わせて決定される。
41はプレス板であり、ステージ40上に集積された紙葉類Pの上面を押圧するものである。このプレス板41は図示しない駆動部および機構により昇降可能に構成されたものであり、ステージ40を上昇させて集積部31を形成した場合、プレス板41はその集積部31の最上部に上昇させ紙葉類Pを集積する空間を形成する。また、ステージ40を下降させて分離部32を形成した場合、プレス板41を下降させてステージ40上に集積した紙葉類Pを下方に押圧する。
【0040】
42は集積領域であり、ステージ40を集積部31に上昇させたときステージ40とプレス板41との間に形成される空間である。この集積領域42に紙葉類Pが集積される。
43は搬送ローラであり、集積領域42の入口の上部および下部に配置されたものである。この搬送ローラ43が図示しない駆動手段により回転させられることにより、紙葉類搬送路45を搬送された紙葉類Pを挟持し集積領域42へ搬送し、集積させる。
【0041】
44は舌片であり、天然ゴムや合成ゴム等の弾性材料で構成され、一端がハブ部に固着され他端が自由端になるように設けられたものである。この舌片44は一または複数で構成され、本実施例では8本の舌片44がハブ部の円周上に等間隔で配置されているものとする。また、図示しないモータ等の正逆両方向に回転可能な駆動手段により舌片9を正逆両方向に回転させることが可能である。
【0042】
この舌片44を図中反時計方向に回転させることにより、搬送ローラ43により集積領域42へ搬送された紙葉類Pの後端部を集積領域42の奥部の方向へ押すとともにステージ40に集積されるように叩き落す。
49は分離領域であり、ステージ40を分離部32の底部に配置させたときステージ40とプレス板41との間に形成される空間である。
【0043】
50は繰出しローラであり、ステージ40を分離部32の底部に配置させたとき、ステージ40に集積された紙葉類Pと当接し、その紙葉類Pを分離するものである。この繰出しローラ3の外周面の一部には紙葉類Pを分離するために充分な摩擦力を有する摩擦部材が取り付けられている。
ステージ40には貫通孔が設けられ、ステージ40を下降させることにより貫通孔から突出した繰出しローラ50に紙葉類Pを当接させ、その繰出しローラ3を図中時計方向に回転させて紙葉類Pを1枚ずつ分離し、分離領域49の出口へ送り出す。
【0044】
51はフィードローラであり、分離領域49の出口の下部に配置され、分離された紙葉類Pを紙葉類搬送路へ繰出すものである。このフィードローラ51の外周面は紙葉類Pを繰出すために充分な摩擦力を有する摩擦部材が取り付けられている。
52はリバースローラであり、フィードローラ51に対向し、圧接するように配置されたものである。このリバースローラ52は図示しないワンウェイクラッチを備え、図中時計方向のみ回転可能に構成されたものである。
【0045】
フィードローラ51およびリバースローラ52により分離領域49の出口を構成し、フィードローラ51を図中時計方向、リバースローラ52を図中反時計方向に回転させ、繰出しローラ50により分離された紙葉類Pを挟持して紙葉類搬送路へ送り出すものである。
53および54は搬送ガイドであり、フィードローラ51およびリバースローラ52により繰出された紙葉類Pを案内する紙葉類搬送路55を形成するものである。
【0046】
56は側面壁であり、集積部31および分離部32における搬送ローラ43およびフィードローラ51ならびにリバースローラ52が配置された分離口側の側面を形成するものである。
搬送ガイド53は形成した紙葉類搬送路55と繰出しローラ3の近傍とを結び、また、搬送ガイド54は形成した紙葉類搬送路55と側面壁56とを結んでいる。
【0047】
60は突出部であり、天然ゴムや合成ゴム、天然樹脂や合成樹脂等の摩擦材で構成された略直方体形状のものである。この突出部60は側面壁56に設けられた突出した部位であり、ステージ40に集積された紙葉類Pに当接することができる長さを有しているものである。
図8は第3の実施例におけるステージの要部を示す上面図である。
【0048】
図8において、61は凹部であり、ステージ40の側面壁56と対向する側に設けられたものである。この凹部61は、側面壁56に設けた突出部60を通過させてステージ40の昇降動作を可能にしたものである。したがって、ステージ40を集積部31から分離部32へ下降させたとき、そのステージ40上に集積された紙葉類Pの端部に突出部60を当接させることが可能である。
【0049】
62は貫通孔であり、ステージ40を分離部32へ下降させたとき、繰出しローラ50の周面をステージ40上に集積された紙葉類Pに当接させるためのものである。
上述した構成の作用について説明する。
図9は第3の実施例における分離準備動作を示す説明図である。
なお、以下に説明する各部位の動作は、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)や制御用の情報に基づいて図示しない中央処理装置等の制御部により制御される。
【0050】
図9において、制御部は集積部31を形成する所定の位置へステージ40を上昇させ、そのステージ40上に紙葉類搬送路45から搬送された紙葉類Pを集積させる。
ステージ40上に紙葉類Pを集積させる動作が完了すると制御部はプレス板41で集積した紙葉類Pを押圧させる。
制御部は集積部31を形成する所定の位置にあるステージ40を図中矢印Fが示す方向に下降させて分離部32を形成する所定の位置へ移動させる。このとき、ステージ40上に集積された紙葉類Pの分離口側の端部は突出部60に当接してさばかれ、密着した紙葉類Pと紙葉類Pとの間に間隙を形成させる。
【0051】
さらにステージ40を図中矢印Gが示す方向に下降させ、ステージ40が分離部32を形成する所定の位置へ移動すると制御部は繰出しローラ50およびフィードローラ52を図中矢印Hで示す時計方向に回転させ、図中矢印Iで示す方向に紙葉類Pの分離および繰出す動作を開始する。
以上説明したように、第3の実施例では、紙葉類を集積する部位と分離する部位の位置が異なる紙葉類繰出装置であっても、突出部を分離する前のステージ上に集積された紙葉類Pに当接させて密着した紙葉類Pの間に間隙を形成することにより、官封券のように密着して重なった状態の紙葉類を1枚ずつ分離して繰出す場合であっても完全な分離を得ることができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0052】
1 紙葉類繰出装置
2 ステージ
3 繰出しローラ
4 フィードローラ
5 リバースローラ
6 舌片アーム
8、12 回転軸
9 舌片
13 搬送ガイド
15 フィードローラ回転軸
18 リバースローラ回転軸
10、11、16、17 ギア
19 紙葉類集積部
20 開口部
30 紙葉類繰出装置
31 集積部
32 分離部
40 ステージ
41 プレス板
42 集積領域
43 搬送ローラ
44 舌片
49 分離領域
50 繰出しローラ
51 フィードローラ
52 リバースローラ
53、54 搬送ガイド
45、55 紙葉類搬送路
56 側面壁
60 突出部
61 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を集積させて紙葉類集積部内を昇降可能なステージと、そのステージ上に集積された紙葉類を分離する分離機構とを備え、その分離機構で紙葉類を1枚ずつ分離して紙葉類集積部の出口へ搬送する紙葉類繰出装置において、
紙葉類集積部の出口の近傍に、駆動手段により回転する回転軸に設けたハブ部に弾性材料を固着させた舌片と、
紙葉類集積部の出口側の側面壁に該舌片を突出させる開口部とを設け、
回転させた舌片をステージ上の紙葉類の端部に当接させるようにしたことを特徴とする紙葉類繰出装置。
【請求項2】
請求項1の紙葉類繰出装置において、
一端が回動可能に軸支され、自由端である他端に前記舌片を有する舌片アームを設け、
前記分離機構で紙葉類を分離するとき、前記舌片アームを回動させて前記舌片をステージ上の紙葉類に当接させないようにしたことを特徴とする紙葉類繰出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の紙葉類繰出装置において、
前記舌片を、前記分離機構で紙葉類を分離する前に一定時間回転させるようにしたことを特徴とする紙葉類繰出装置。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3の紙葉類繰出装置において、
前記分離機構で行う分離動作の異常を検知する異常検知手段を設け、
前記異常検知手段で異常を検知したとき、分離機構を構成するモータを停止させ、さらに、該モータを逆転させて紙葉類集積部の出口に残留した紙葉類を前記ステージ上に戻し、回転させた舌片をステージ上の紙葉類の端部に当接させるようにしたことを特徴とする紙葉類繰出装置。
【請求項5】
請求項1、請求項2または請求項3の紙葉類繰出装置において、
前記分離機構で行う分離動作により分離された紙葉類の枚数を計数する計数手段を設け、
前記計数手段で予め記憶部に記憶された枚数の紙葉類を分離したことを検知したとき、分離機構を構成するモータを停止させ、さらに、該モータを逆転させて紙葉類集積部の出口に残留した紙葉類を前記ステージ上に戻し、回転させた舌片をステージ上の紙葉類の端部に当接させるようにしたことを特徴とする紙葉類繰出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−247994(P2010−247994A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157593(P2010−157593)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【分割の表示】特願2005−365208(P2005−365208)の分割
【原出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】