説明

紙葉類識別ユニット及び紙幣取扱装置

【課題】基準ローラと検知ローラとを確実に密着させることができ、紙葉類の厚さを正確に識別する。
【解決手段】紙葉類Sを搬送する方向に回動する基準ローラ102と、基準ローラ102の外周面に密着して基準ローラ102に対して従動回転する検知ローラ104と、検知ローラ104を回動可能に支持するブラケット106と、ブラケット106を基準ローラ102側に押圧するスプリング108と、基準ローラ102の回転軸に対する検知ローラ104の回転軸の平行度に自由度を持たせてブラケットを支持する支点部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類識別ユニット及び紙幣取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙幣などの紙葉類の厚さを検出する技術が知られている。例えば下記の特許文献1、特許文献2には、紙葉類の厚さを検出するための装置が記載されている。
【0003】
引用文献1には、回転駆動される基準ローラと、検出ローラ回転軸に固定され、外周面が基準ローラの外周面に接触して従動回転する検出ローラが記載されている。検出ローラは、円筒状部材の外輪と内輪からなり、外輪と内輪との間に弾性部材が充填されている。そして、検出ローラがテープに乗り上げると、弾性部材が変形して外輪が上方に持ち上げられ、このときの外輪の変位を変位センサで検出することで、テープの厚みを高精度に検出している。また、引用文献1では、テープの端部に検出ローラが片乗りした場合に、検知ローラが上方へ平行に移動させることを目的として、円板状の側板を設けている。(引用文献1の図1、図2、図4等を参照)。
【0004】
また、引用文献2には、回転駆動される基準ローラと、基準ローラに押し付けられて従動回転する検知ローラが記載されている。引用文献2においても、検知ローラは、円筒状部材の外輪と内輪からなり、外輪と内輪との間に弾性部材が充填されている。紙葉類の厚みに応じて弾性部材が変形し、検知ローラの外輪が上方向に移動すると、変位検出センサによって外輪の動きが検出される。そして、判定処理部は、変位検出信号から紙幣の厚さを減算したテープ厚さ信号と、隣接する検知ローラのテープ厚さ信号を加算したテープ厚さ加算信号とから変造券を判定している。(引用文献2の図1等を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−258610号公報
【特許文献2】特開2006−4206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、基準ローラ回転軸と検知ローラ回転軸の取り付け部のクリアランスや、各部材の寸法公差等の要因により、基準ローラの外周面に対して検出ローラの外周面が完全に密着しない場合が想定される。基準ローラの外周面に対して検出ローラの外周面が密着せずに隙間が生じていると、検知ローラが上方向に変位した場合に、その隙間が無くなるまでは変位センサの出力は変化しないため、隙間の分だけ紙葉類の厚みを検出した際の変位センサ出力が低下してしまい、正確な厚みを検出することができないという問題が生じる。
【0007】
更に、上記特許文献2に記載された技術では、検知ローラの片側のみテープが接触した場合は、テープ厚さ信号及びテープ厚さ加算信号はともに微小な出力となってしまい、変造券などを正確に検出することは困難である。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、基準ローラと検知ローラとを確実に密着させることができ、紙葉類の厚さを正確に識別することが可能な、新規かつ改良された紙葉類識別ユニット及び紙幣取扱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、紙葉類を搬送する方向に回動する基準ローラと、前記基準ローラの外周面に密着して前記基準ローラに対して従動回転する検知ローラと、前記検知ローラを回動可能に支持するブラケットと、前記ブラケットを前記基準ローラ側に押圧するスプリングと、前記基準ローラの回転軸に対する前記検知ローラの回転軸の平行度に自由度を持たせて前記ブラケットを支持する支点部と、を備えることを特徴とする、紙葉類識別ユニットが提供される。
【0010】
また、前記ブラケットに連結された保持部材を備え、前記支点部は、前記ブラケットに設けられ、前記検知ローラの回転軸と平行に設けられた支点軸と、前記保持部材に設けられ、前記支点軸が挿入され、長手方向の中心部から両端に向かって所定方向に広がるテーパー形状を有する支持孔と、から構成されるものであってもよい。
【0011】
また、前記ブラケットに連結された保持部材を備え、前記支点部は、前記ブラケットに設けられ、前記検知ローラの回転軸と平行に設けられ、前記回転軸と直交する方向に設けられた挿入孔を有する支点軸と、前記保持部材に設けられ、前記支点軸の前記挿入孔に回動可能に挿入される支点ポストと、から構成されるものであってもよい。
【0012】
また、前記ブラケットを前記基準ローラ側に押圧するスプリングを備え、前記スプリングは、前記検知ローラの軸方向に複数個設けられたものであってもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、紙幣を搬送する方向に回動する基準ローラと、前記基準ローラの外周面に密着して前記基準ローラに対して従動回転する検知ローラと、前記検知ローラを回動可能に支持するブラケットと、前記ブラケットを前記基準ローラ側に押圧するスプリングと、前記基準ローラの回転軸に対する前記検知ローラの回転軸の平行度に自由度を持たせて前記ブラケットを支持する支点部と、を備えることを特徴とする、紙幣取扱装置が提供される。
【0014】
また、前記ブラケットに連結された保持部材を備え、前記支点部は、前記ブラケットに設けられ、前記検知ローラの回転軸と平行に設けられた支点軸と、前記保持部材に設けられ、前記支点軸が挿入され、長手方向の中心部から両端に向かって所定方向に広がるテーパー形状を有する支持孔と、から構成されるものであってもよい。
【0015】
また、前記ブラケットに連結された保持部材を備え、前記支点部は、前記ブラケットに設けられ、前記検知ローラの回転軸と平行に設けられ、前記回転軸と直交する方向に設けられた挿入孔を有する支点軸と、前記保持部材に設けられ、前記支点軸の前記挿入孔に回動可能に挿入される支点ポストと、から構成されるものであってもよい。
【0016】
また、前記ブラケットを前記基準ローラ側に押圧するスプリングを備え、前記スプリングは、前記検知ローラの軸方向に複数個設けられたものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基準ローラと検知ローラとを確実に密着させることができ、紙葉類の厚さを正確に識別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る紙葉類識別装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】搬送ローラの構成を示す模式図である。
【図3】ブラケット、及び検知ローラに関係する構成を示す斜視図である。
【図4】ブラケット及び検知ローラをローラ軸方向から見た状態を示す側面図である。
【図5】ブラケットと保持部材との連結部の構成を詳細に示す模式図である。
【図6】図6は、図5の矢印A1方向からブラケット及び支点軸を見た状態を示す模式図である。
【図7】図5中の一点鎖線II−II’に沿った断面を示す断面図である。
【図8】基準ローラに対して検知ローラが密着するようにセットした状態を示す模式図である。
【図9】基準ローラと検知ローラの間を紙葉類が通過する際の挙動を説明するための模式図である。
【図10】図9(A)から図9(B)の状態に遷移した場合の各変位センサの出力を示す模式図である。
【図11】第2の実施形態における検知ローラの支点部の構成を示す模式図である。
【図12】支点軸と固定用の板とが接続される部位の構成を示す模式図である。
【図13】第2の実施形態において、基準ローラに対して検知ローラが密着するようにセットした状態を示す模式図である。
【図14】第2の実施形態において、紙葉類が検知ローラと基準ローラの間を通過する際の挙動を示す模式図である。
【図15】第3の実施形態の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る紙葉類取扱装置1000の全体構成を示す模式図である。紙葉類取扱装置1000は、紙葉類の厚み検出機構を有する紙葉類識別ユニットを有するものであり、一例として、紙幣自動入出金機(ATM)、通帳記帳機、発券機、プリンター等の機器である。
【0021】
図1に示すように、紙葉類取扱装置1000は、搬送ローラ100、搬送ローラ200を備えている。紙葉類は、図1中に矢印で示すように、装置の両側から搬送することが可能である。紙葉類は、外部から紙葉類取扱装置1000へ挿入されると、搬送ローラ200によって内部の搬送ローラ100へ搬送される。搬送ローラ100は、搬送されてきた紙葉類の厚みを検出する機能を有する。
【0022】
図2は、搬送ローラ(紙葉類識別ユニット)100の構成を示す模式図である。搬送ローラ100は、回転駆動する基準ローラ102と、基準ローラ102に押し付けられて従動回転する検知ローラ104とを有して構成されている。検知ローラ104は、基準ローラ102の軸方向に複数配置され、各検知ローラ104は、各検知ローラ104に対応して設けられた複数のブラケット106にそれぞれ保持されている。
【0023】
ブラケット106は、支点構造を有しており、支点を中心として回動可能に構成されている。ブラケット106の上部にはスプリング108が配置されている。ブラケット106は、スプリング108の弾性力により支点を中心として下向きに押され、これにより検知ローラ104が基準ローラ103へ押し付けられる。
【0024】
また、ブラケット106の上部には、2つの変位センサ110a,110bが配置されている。変位センサ110a,110bは、ブラケット106の上面(スプリング108が当接する面)に向けられており、ブラケット106の上面の変位を計測する。すなわち、ブラケット106の上面は、変位センサ110a,110bによって上下方向の位置が検出されるセンシング面である。変位センサ110a,110bは、基準ローラ102と検知ローラ104との間に挟まれた紙葉類Sの厚みに応じて上方向に移動するブラケット106の動きを検出する。変位センサ110a,110bとしては、渦電流式変位センサを用いることができる。また、渦電流式変位センサの代わりに、静電容量式変位センサ、光学式変位センサ、接触式変位センサなどを用いても良い。
【0025】
図3は、ブラケット106、及び検知ローラ104に関係する構成を示す斜視図である。また、図4は、ブラケット106及び検知ローラ104をローラ軸方向から見た状態を示す側面図である。ブラケット106は、例えば金属板をプレス加工等によりコの字状に折り曲げて形成されたものである。図3及び図4に示すように、検知ローラ104は、軸112によりブラケット106に対して回動可能に支持されている。
【0026】
また、ブラケット106は、支点軸114を介して保持部材120と連結されている。ブラケット106は、支点軸114を支点として保持部材120に対して回動可能に構成されている。
【0027】
図5は、ブラケット106と保持部材120との連結部の構成を詳細に示す模式図であって、図4中の一点鎖線I−I’に沿った断面を示す断面図である。また、図6は、図5の矢印A1方向からブラケット106及び支点軸114を見た状態を示す模式図である。
【0028】
図5に示すように、支点軸114は、保持部材120の支持孔122に挿入されている。支持孔122は、その長手方向の中央部124において最も内径が小さくなっている。一方、支点軸114は、その長手方向において均一の外径で構成されている。中央部124においては、支持孔122の内径と支点軸114の外径とが、はめあい関係の公差になるように両者の寸法が規定されている。
【0029】
保持部材120は、ポリアセタール等の樹脂材料から構成される。一方、支点軸114は、金属材料によって構成される。これにより、支点軸114は、保持部材120に対して回動可能、摺動可能に構成される。
【0030】
そして、支持孔122の内壁は、支持孔122の両端部に向かって上下方向に拡がるテーパー形状とされている。また、支持孔122の内壁面は、水平方向においては、支持孔122の長手方向の全域で中央部124と同一の長さとされている。このため、図5、及び図6の側面図に示すように、支持孔122の両端では、支点軸114の上下に所定の隙間dが生じている。
【0031】
図7は、図5中の一点鎖線II−II’に沿った断面を示す断面図であって、保持部材120の断面のみを示している。図6に示すように、保持部材120は、固定用の板116に対してネジ118を締結することによって固定される。このため、図5及び図7に示すように、保持部材120には、ネジ118が挿入される長孔124と、ネジ118の頭が収納される凹部126が設けられている。また、図6及び図7に示すように、保持部材120の背面には、円柱状の突起部128が設けられている。突起部128は、固定用の板116に設けられた孔117に挿入され、ネジ118が板116に締め付けられることによって、保持部材120が板116に対して固定される。
【0032】
固定用の板116は、基準ローラ102の長手方向に沿って延在しており、複数の検知ローラ104に対応する複数の保持部材120の全てが板116に装着される。
【0033】
図8は、基準ローラ102に対して検知ローラ104が密着するようにセットした状態を示している。基準ローラ102は下部ユニット130に取り付けられ、検知ローラ104を保持する各保持部材120は板116に取り付けられた上体で上部ユニット140に取り付けられる。そして、上部ユニット140に装着されたスプリング108がブラケット106の上面を押圧することにより、基準ローラ102に対して検知ローラ104が密着される。
【0034】
上部ユニット140と下部ユニット130は、検知ローラ104に比べて大きいため、製造上の寸法バラツキが比較的大きく、セット時には、基準ローラ102の回転軸と検知ローラ104の回転軸が平行にならない場合が想定される。しかしながら、保持部材120に設けられた支持孔122はテーパー形状を有しているため、検知ローラ104を保持しているブラケット106は、支持孔122の中央部124を中心として、図8の矢印A2方向に可動できる自由度を有している。このため、スプリング108によってブラケット106が押圧されると、基準ローラ102の回転軸と検知ローラ104の回転軸が平行になり、検知ローラ104の全面が均一に基準ローラ102に対して密着する。
【0035】
図9は、基準ローラ102と検知ローラ104の間を紙葉類が通過する際の挙動を説明するための模式図である。ここで、図9(A)は、紙葉類Sが正常に通過している様子を示している。図9(A)に示すように、基準ローラ102と検知ローラ104の間に紙葉類Sが挿入されると、ブラケット106が支点軸114を支点として紙葉類Sの厚み分だけ上方向に動く。2つの変位センサ110a,110bは、この状態でブラケット106の上面のセンシング面の位置を検出し、センシング面の位置に応じた信号を出力する。
【0036】
図9(B)は、テープ媒体Tが貼り付けられた紙葉類Sが基準ローラ102と検知ローラ104の間を通過している様子を示す模式図である。この場合、テープ媒体Tは検知ローラ104の左端に位置しており、検知ローラ104の左端とテープ媒体Tが接触した状態(いわゆる片乗り状態)となる。このため、検知ローラ104は、左右でテープ媒体Tの厚みの差に追従するような挙動をする。具体的には、検知ローラ104の右側はテープ媒体Tに乗らないため、検知ローラ104の右側の変位は紙葉類Sの厚さ分に応じた位置となる。一方、検知ローラ104の左側はテープ媒体T上に乗るため、紙葉類Sの厚みに加えてテープ媒体Tの厚み分だけ更に上方に変位する。上述したように、ブラケット106は図8の矢印A2方向に可動できる自由度を有しているため、検知ローラ104の左側のみテープ媒体Tの厚み分だけ上方に変位することが可能である。
【0037】
図10は、図9(A)から図9(B)の状態に遷移した場合の各変位センサ110の出力を示す模式図である。図10において、実線は変位センサ110aの検出値を示しており、破線は変位センサ110bの検出値を示している。また、図10において、時刻t0からt1の直前までは、図9(A)のように紙葉類Sのみが基準ローラ102と検知ローラ104との間に挿入されており、時刻t1以降において図9(B)のように検知ローラ104の左側がテープ媒体Tに乗るものとする。この場合、時刻t1まではブラケット106のセンシング面はほぼ水平であり、変位センサ110aと変位センサ110bの検出値は、ほぼ同一となる。一方、時刻t1以降では、図9(B)に示すように、検知ローラ104の左側がテープ媒体Tに乗り上げた状態となるため、センシング面の左側がより多く上方に変位する。このため、左側の変位センサ110bの検出値(破線)が大きく上昇する。一方、検知ローラ104の右側はテープ媒体Tに乗り上げないため、センシング面の右側は、時刻t1以前に比べて僅かに上方に変化するのみである。このため、変位センサ110aの検出値(実線)は、時刻t1以前に比べて僅かに増加するのみとなる。
【0038】
紙葉類取扱装置1000は、紙葉類が正常な厚さの場合に変位センサ110a,110bで検出される変位量の検出値を予め取得しており、厚みに応じた検出値の変化量も予め取得している。このため、図9(A)及び図9(B)の状態でターゲット面の挙動を変位センサ110a,bでセンシングし、その変化を検出することによって、紙葉類Sの厚みが正常であるか否か、及び片乗り状態でのテープ媒体Tの厚み情報を取得することが可能である。
【0039】
図8に示すように、隣り合う検知ローラ104のピッチをpとし、テープ媒体Tを検出するために最低限必要な検知ローラ104の片乗り量をrとする。テープ媒体Tが確実に検知ローラ104によって検知されるためには、片乗り量r以上の幅で検知ローラ104とテープ媒体Tが接触する必要があるため、テープ媒体Tの幅tは、t≧2×r+pの関係を満たす必要がある。この関係を満たすことにより、テープ媒体Tは、いずれかの検知ローラ104によって片乗り量r以上の幅で検知ローラ104と密着することになる。従って、検出したいテープ媒体Tの幅tに基づいて、検知ローラ104のピッチを適宜設定することが望ましい。
【0040】
以上説明したように第1の実施形態によれば、検知ローラ104の支点部となる保持部材120の支持孔122をテーパー構造としたことで、特別な機構調整を行うことなく、検知ローラ104を基準ローラ102へ確実に密着させることができる。従って、密着不足による厚みの検出値の出力損失を確実に抑えることが可能となる。これにより、テープ媒体Tが検知ローラ104に対して片乗り状態であったとしても、検知ローラ104がテープ媒体Tに追従する動きをすることが可能となり、正確な厚み情報を得ることが可能となる。
【0041】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、検知ローラ104を上下動させるための支点部の構造が第1の実施形態と相違している。紙葉類取扱装置1000の全体構成は、第1の実施形態と同様である。
【0042】
図11は、第2の実施形態における検知ローラ104の支点部の構成を示す模式図である。図11に示すように、第2の実施形態においては、支点軸114の代わりに支点軸150が設けられている。支点軸150には、その長手方向の中央部に孔152が設けられている。
【0043】
図12は、支点軸150と固定用の板116とが接続される部位の構成を示す模式図である。図12に示すように、固定用の板116には支点ポスト160が固定され、支点ポスト160の先端162が支点軸150の孔152に挿入される。支点軸150は、支点ポスト160の先端162に対して回動可能とされている。
【0044】
また、ブラケット106は、支点軸150に対して、支点軸150の中心軸周りに回動可能とされている。つまり、支点軸150は、ブラケット106に対して回動可能な状態で装着されている。このため、ブラケット106は、支点軸150の中心軸周りに回動することで、上下方向に変位することができる。
【0045】
図13は、第2の実施形態において、基準ローラ102に対して検知ローラ104が密着するようにセットした状態を示している。第1の実施形態と同様に、セット時には、基準ローラ102の軸と検知ローラ104の軸とは必ずしも平行にはならない。しかしながら、支点軸150が支点ポスト160の軸周りに回動することで、第1の実施形態と同様に、ブラケット106が図13の矢印A3方向に回動することができる。そして、スプリング108の押圧により、検知ローラ104は基準ローラ102に対して紙葉類S等を介して均等に密着することができる。
【0046】
図14は、第2の実施形態において、紙葉類が検知ローラ104と基準ローラ102の間を通過する際の挙動を示す模式図である。図9(A)及び図9(B)と同様に、図14(A)は、紙葉類Sが正常に通過している様子を示している。また、図14(B)は、テープ媒体Tが貼り付けられた紙葉類Sが基準ローラ102と検知ローラ104の間を通過している様子を示している。
【0047】
第2の実施形態では、紙葉類Sが通過すると、検知ローラ104は、紙葉類Sの厚み分だけ支点軸150の中心を回転軸として回転方向に変位する。また、テープ媒体Tが通過して、検知ローラ104がテープ媒体Tに片乗り状態になると、支点軸150が支点ポスト160に対して回動し、検知ローラ104はテープ媒体Tの厚みの差に追従する動きをする。従って、このときのターゲット面の挙動を変位センサ110a,110bでセンシングすることによって、片乗り状態でおいてもテープ媒体Tの厚み情報を取得することができる。
【0048】
以上説明したように第2の実施形態によれば、検知ローラ104の支点部に支点ポスト160を中心とした回転方向の挙動を可能にしたことで、特別な機構調整を行うことなく、検知ローラ104を基準ローラ102へ確実に密着させることができる。従って、密着不足による厚みの検出値の出力損失を確実に抑えることが可能となる。これにより、テープ媒体Tが検知ローラ104に対して片乗り状態であったとしても、検知ローラ104がテープ媒体Tに追従する動きをすることが可能となり、正確な厚み情報を得ることが可能となる。
【0049】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、第1の実施形態または第2の実施形態の構成に加えて、検知ローラ104の幅をより広くした実装が可能な場合等に、検知ローラ104を基準ローラ102に押し当てるスプリング108をブラケット106の左右2箇所に配置するものである。
【0050】
図15は、第3の実施形態の構成を示す模式図である。図15に示すように、各ブラケット106は、左右に配置された2つのスプリング108によって下方へ押圧される。このように、スプリング108を左右の2箇所に配置することで、ブラケット106に対してバランス良く荷重をかけることができる。従って、基準ローラ102に対する検知ローラ104の密着をより精度良く行うことができ、検知ローラ104を紙葉類S(テープ媒体T)の厚みにより精度良く追従させることが可能となる。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0052】
100 紙葉類識別ユニット
102 基準ローラ
104 検知ローラ
106 ブラケット
108 スプリング
114 支点軸
120 保持部材
122 支持孔
160 支点ポスト
1000 紙葉類取扱装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を搬送する方向に回動する基準ローラと、
前記基準ローラの外周面に密着して前記基準ローラに対して従動回転する検知ローラと、
前記検知ローラを回動可能に支持するブラケットと、
前記基準ローラの回転軸に対する前記検知ローラの回転軸の平行度に自由度を持たせて前記ブラケットを支持する支点部と、
を備えることを特徴とする、紙葉類識別ユニット。
【請求項2】
前記ブラケットに連結された保持部材を備え、
前記支点部は、
前記ブラケットに設けられ、前記検知ローラの回転軸と平行に設けられた支点軸と、
前記保持部材に設けられ、前記支点軸が挿入され、長手方向の中心部から両端に向かって所定方向に広がるテーパー形状を有する支持孔と、から構成される、請求項1に記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項3】
前記ブラケットに連結された保持部材を備え、
前記支点部は、
前記ブラケットに設けられ、前記検知ローラの回転軸と平行に設けられ、前記回転軸と直交する方向に設けられた挿入孔を有する支点軸と、
前記保持部材に設けられ、前記支点軸の前記挿入孔に回動可能に挿入される支点ポストと、から構成される、請求項1に記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項4】
前記ブラケットを前記基準ローラ側に押圧するスプリングを備え、
前記スプリングは、前記検知ローラの軸方向に複数個設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の紙葉類識別ユニット。
【請求項5】
紙幣を搬送する方向に回動する基準ローラと、
前記基準ローラの外周面に密着して前記基準ローラに対して従動回転する検知ローラと、
前記検知ローラを回動可能に支持するブラケットと、
前記基準ローラの回転軸に対する前記検知ローラの回転軸の平行度に自由度を持たせて前記ブラケットを支持する支点部と、
を備えることを特徴とする、紙幣取扱装置。
【請求項6】
前記ブラケットに連結された保持部材を備え、
前記支点部は、
前記ブラケットに設けられ、前記検知ローラの回転軸と平行に設けられた支点軸と、
前記保持部材に設けられ、前記支点軸が挿入され、長手方向の中心部から両端に向かって所定方向に広がるテーパー形状を有する支持孔と、から構成される、請求項5に記載の紙幣取扱装置。
【請求項7】
前記ブラケットに連結された保持部材を備え、
前記支点部は、
前記ブラケットに設けられ、前記検知ローラの回転軸と平行に設けられ、前記回転軸と直交する方向に設けられた挿入孔を有する支点軸と、
前記保持部材に設けられ、前記支点軸の前記挿入孔に回動可能に挿入される支点ポストと、から構成される、請求項5に記載の紙幣取扱装置。
【請求項8】
前記ブラケットを前記基準ローラ側に押圧するスプリングを備え、
前記スプリングは、前記検知ローラの軸方向に複数個設けられたことを特徴とする、請求項5に記載の紙幣取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−62160(P2012−62160A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207478(P2010−207478)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】