説明

紙製容器およびその作製用の紙材

【目的】1枚の厚紙で1個または複数個の紙製容器を作製する。
【構成】1枚の厚紙に,容器の上部周縁を形成するフランジ部12と,フランジ部12の内部に配置される底面部13と,フランジ部12と底面部13とを少なくとも2箇所でつなぐ連結部14を区画する。連結部14と接する部分以外の箇所においてフランジ部12と底面部13を切り離す。フランジ部12の底面部13と切り離された少なくとも2つの部分12A,12Bを折り畳んで接着し,かつ連結部14をフランジ部12および底面部13との境界でそれぞれ反対側に折り曲げることにより,連結部14によって容器の側壁を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,厚紙で形成された紙製容器およびその作製用の紙材に関する。
【背景技術】
【0002】
環境の保全および資源の節約の観点から素材としての紙が見直されており,プラスチック容器の代替品として紙製容器(トレーを含む)の需要も高まっている。
【0003】
たとえば,特許文献1に開示の紙製容器は,紙を主材料とする,フランジ部と複数の開口部を区分して形成する仕切り部とを有する一つの主ブランクと,上記開口部に対応した底面と側面とからなる副ブランクとで組み立てられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−302125号公報
【0005】
この紙製容器はその組み立てのために2つのブランクが必要であるから,使用する紙の量が多く,また組み立てに手間がかかる。
【発明の開示】
【0006】
この発明は,使用する紙の量をできるだけ少なくすることができる紙製容器およびその作製用の紙材を提供することを目的とする。
【0007】
この発明は1枚の厚紙で作製することができる紙製容器を提供するものである。
【0008】
この発明は紙製容器を作製するための1枚の厚紙(紙製容器作製用の紙材)を提供するものである。
【0009】
この発明による紙製容器は,1枚の厚紙に,容器の上部周縁を形成するフランジ部と,上記フランジ部の内部に配置される底面部と,上記フランジ部と上記底面部とを少なくとも2箇所でつなぐ連結部とが区画され,上記連結部と接する部分以外の箇所において上記フランジ部と上記底面部とは切り離され,上記フランジ部の上記底面部と切り離された少なくとも2つの部分において,その部分の長さが短くされ,かつ上記連結部が上記フランジ部および上記底面部との境界でそれぞれ反対方向に折り曲げられることにより,上記連結部が側壁を形成するものである。
【0010】
このようにして,この発明によると1枚の厚紙で少なくとも1個の紙製容器を作製することができる。2枚の厚紙を使う上記の従来技術に比べると使用する厚紙の量を少なくすることができる。
【0011】
もちろん1枚の厚紙で複数個の紙製容器を作製することができる。この場合に,1枚の厚紙に,複数の容器のフランジ部を隣接して配置するようにすると,厚紙の無駄がない。また,1枚の厚紙の外周縁が複数の容器のフランジ部の外周縁の一部を形成するようにすると,同じように厚紙の無駄がない。
【0012】
上記複数の紙製容器のフランジ部の境界にミシン目を形成しておくと,複数の紙製容器を個々に分離するのが容易となる。
【0013】
連結部と接する部分以外の箇所においてフランジ部と底面部とを切り離す態様には種々ある。たとえば,上記フランジ部と上記底面部との間の部分のうち,上記連結部以外の部分を切除してしまってもよい。また,上記フランジ部の内側の部分(底面部を除く)のうち,上記連結部以外の部分の一部または全部を残して底面部として活用すると,底面部の面積が大きくなり,紙製容器が安定する。要するに,少なくとも,連結部の両側(フランジ部および底面部とつながっている端部以外の側辺)と,フランジ部の内側辺(内周辺(縁))であって連結部とつながっている部分以外の内側辺とを切断しておけば,一枚の二次元の厚紙から立体形状(三次元)の紙製容器を形成することができる。
【0014】
底面部の外縁やフランジ部の内周辺(縁)の形状には,多角形,円形,楕円形,長円形等,種々の形状を採用できる。連結部の数はこれらの形状に応じて適した数に決めることができるが,少なくとも2つのフランジ部は互いに離隔していることが必要で,好ましくは互いに反対側にある方がよいが,必ずしも等間隔でなくてもよい。
【0015】
フランジ部を部分的に短くするには多くのやり方がある。フランジ部の一部を摘まんで重ね合わせ,接着,その他のやり方により結合させてもよいし,フランジ部の一部を切断して一部を重ね合わせて接続してもよい。基本的にはフランジ部の一部を重ね合わせて短くするが,製造工程の便宜,デザイン性等の観点から適切なやり方を採用すればよい。
【0016】
上述した紙製容器を作製するためのこの発明による紙材は,1枚の厚紙に,容器の上部周縁を形成するフランジ部の領域と,上記フランジ部の領域の内部に配置される底面部の領域と,上記フランジ部の領域と上記底面部の領域とを少なくとも2箇所でつなぐ連結部の領域とが区画され,上記連結部の領域と接する部分以外の箇所において上記フランジ部の領域と上記底面部の領域とが切り離されているものである。
【0017】
この紙製容器作製用紙材を用いると,上述したように,紙製容器を組立てることができる。
【0018】
1枚の厚紙で複数の容器を作製するためには,上述したように,1枚の厚紙に,複数の容器のフランジ部の領域を隣接して配置すると,効率がよい。
【0019】
複数の紙製容器を容易に分離可能とするためには,複数の容器のフランジ部の領域の境界にミシン目を形成しておくとよい。
【0020】
紙製容器の製造方法にも依るが,上記連結部の領域と上記フランジ部の領域および底面部の領域との境界に折り線をあらかじめ形成しておくと折り易い。同じように,上記フランジ部の領域の上記底面部の領域と切り離された少なくとも2つの部分において,その部分の長さを短くするために折り込む折り線を形成しておくと,作業がしやすくなる。もっとも,紙材の切断,折り加工等を自動機械で行う場合には,折り線の形成は必ずしも必要ではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施例による1枚の紙製容器作製用紙材(ブランク)の平面図である。
【図2】図1に示す紙材からつくられた4つの紙製容器を含む容器パックを示す斜視図である。
【図3】変形例を示すもので,紙製容器パックのうちの一つの紙製容器の部分を示す斜視図である。
【図4】他の変形例を示すもので,紙製容器パックのうちの一つの紙製容器の部分を示す斜視図である。
【図5】さらに他の変形例を示すもので,紙製容器作製用紙材の一部の平面図である。
【図6】図5に示す紙材からつくられた紙製容器パックの一部を示す斜視図である。
【図7】さらに他の変形例を示すもので,紙製容器のフランジ部の一部を拡大して示す斜視図である。
【図8】底面部の面積を大きくした変形例を示すもので,紙製容器パックのうちの一つの紙製容器の部分を示す斜視図である。
【図9】さらに変形例を示す1枚の紙製容器作製用紙材の平面図である。
【図10】さらに変形例を示す1枚の紙製容器作製用紙材の平面図である。
【図11】さらに変形例を示す1枚の紙製容器作製用紙材の平面図である。
【図12】図11に示す紙材を用いて作製された紙製容器パックの一部を示す斜視図である。
【実施例】
【0022】
図1は,この発明による1枚の紙製容器作製用紙材(いわゆるブランク)の実施例を示すものである。この紙材を用いると4つの紙製容器が縦横に2行2列に連なるように形成される。
【0023】
紙材は厚紙であり,厚紙には板紙(ボール紙),ミルクカートン用紙,画用紙,ケント紙,段ボール等を含み,いわゆる合成紙(積層紙),複合紙でもよく,各種プラスチックフィルムを積層(たとえば表面にラミネート)したものでもよい。厚紙の坪量は,収納する内容物により適宜設計することができるが,200〜600g/m2 が好ましい。厚紙の坪量が200g/m2 未満の場合は,紙製容器の剛性が不十分となるため好ましくなく,600g/m2 より大きい場合は,成形し難くなるため好ましくない。
【0024】
図1において,紙材10は全体的にほぼ正方形で4隅に丸味10aがつけられている。4つの紙製容器を形成するために,紙材10は縦横の中央でそれぞれ2分割され,4つの同じ形の容器領域11が設けられている。これらの4つの領域11は,いわゆるミシン目11aで区画され,手または鋏等で容易に分離できるようになっている。各容器領域11の上記丸味10aがつけられた隅以外の3つの隅には,丸味10aよりも曲率の小さな丸味10bがつけられている。この結果,紙材10の中央は切除されて4つの丸味10bで形成された穴10cがあけられる。紙材10の4隅に丸味10aをつけ,また,各容器領域11の丸味10aの隅以外の3つの隅に丸味10bをつけることにより,紙製容器を取り扱う場合に怪我をすることを防ぐことができるが,必ずしも丸味をつける必要はない。
【0025】
各容器領域11は,容器の上部周縁を形成するフランジ部の領域12(以下,単に「フランジ部12」という)と,フランジ部12の内部に配置されるほぼ正八角形の底面部の領域13(以下,単に「底面部13」という)と,フランジ部12と底面部13とを2箇所でつなぐ連結部の領域14(以下,単に「連結部14」という)に区画されている。2つの連結部14は底面部13を挟んで互いに反対側にあり,八角形底面部13の反対側の辺からそれぞれフランジ部12につながっている。フランジ部12の内側の辺(内周辺(縁))も八角形底面部13に対応して八角形であるが,連結部14が設けられていない2つの辺が長くなっている。フランジ部12と底面部13とは離れて設けられており,これらのフランジ部12と底面部13との間の領域のうち,連結部14を除く部分(フランジ部12の八角形の内側の辺のうちの長い辺を含む辺で区切られた部分)(符号15で示す)は切除され,穴となっている。
【0026】
連結部14の両端,すなわち連結部14とフランジ部12との境界(符号41で示す)および連結部14と底面部13との境界(符号42で示す)は容器を作製するときに折り曲げられる。境界41は山折りにされ(鎖線で示す),境界42は谷折りにされる(破線で示す)。容易に折り曲げることができるように,これらの境界線に沿ってリード罫または押罫(折り線)が形成されることが好ましい。もっとも,自動機械により,紙材の切断とともに折り曲げ加工も行う場合には,境界41,42にいかなる加工も施す必要がないこともある。境界41,42の位置に何らの加工も施されていない場合でも,連結部14は容器を形成するために境界41,42で折り曲げられるから,連結部14とフランジ部12および底面部13とは区画されているということができる。
【0027】
フランジ部12には,底面部13とは切り離された2つの部分(連結部14とつながっている部分以外の部分であって,上述した長い辺を有する部分)がある。この2つの部分は,容器を形成するときにその長さが短くされる。フランジ部12のこれらの2つの部分の長さを短くする加工にはさまざまな方法があるが,この実施例では図2に示すように,フランジ部12の一部を,いわば摘むように,折り畳む(重ねる)。すなわち,フランジ部12の切除された穴15に臨む長い部分の中央が谷折りにされ(破線21で示す),その両側にやや離れた位置で山折りにされる(鎖線22で示す)。これらの線21と22とによって挟まれた部分12A,12Bが互いに接着される。折り線21,22は,容易に折り曲げることができるように,あらかじめリード罫加工,押罫加工を施しておいてもよいし,自動機械により折り曲げを行う場合には,折り線加工は必ずしも必要ない。
【0028】
図2は上述した紙製容器作製用紙材10を用いて作製され2×2に配列された4つの紙製容器(トレー)11Aを備える容器パック(容器集合体,容器群)10Aを示す。
【0029】
上述したように,フランジ部12の切除された穴15に臨む長い部分の一部12A,12Bを下側に突出するように折り曲げて接着し,かつ連結部14の両端の境界41,42をそれぞれ山折り,谷折りに折り曲げる(直角よりも小さい角度で互いに反対方向に折り曲げる)と,連結部14が紙製容器11Aの側壁となり,底面部13がフランジ部12を含む平面から離れて紙製容器11Aの底となる。いわば2次元平面の紙材10から3次元(立体)形状の紙製容器11Aが形成される。このように部分12Aおよび12Bをフランジ部12の下面側に折り畳んだ場合は,折り畳んだ部分が上面から見えないため,外観に優れる。
【0030】
このような紙製容器11Aの形成のための作業は手作業によって行ってもよいし,自動機械で紙材10の切断,折り曲げ加工,接着を自動的に行うこともできる。接着される部分12A,12Bにはあらかじめ接着剤を塗布しておいてもよいし,プラスチックフィルムを表面に積層しておいてこれを熱溶着または圧着することもできる。
【0031】
このような紙製容器または容器パックは,たとえば各種食品(冷凍食品,缶詰等),菓子類,おもちゃ,日用品,その他の小物を陳列,配列,収納,梱包または運搬するためなどに,プラスチック容器等に代わるものとして使用することができる。各紙製容器11Aはミシン目11aで切り離して使用または利用することもできる。紙製容器はこのように各種商品の陳列,配列,収納,梱包,運搬などの用途に用いられるものであるから,必要に応じて,紙製容器作製用紙材の表面(裏面を含む)に,模様,文字,図形,色等を印刷してもよいのはいうまでもない。
【0032】
図3は変形例を示している。この変形例では,フランジ部12の連結部14につながる部分以外の長い部分(切除により形成された穴15に臨む部分)の一部12A,12Bが上方に向かって摘まれ,かつ相互に接着されていることにより,立体形状の紙製容器11Bがつくられる。他の構成は図1,図2に示すものと同じである。このように部分12Aおよび12Bをフランジ部12の上面側に折り畳んだ場合は,例えば,直方体形状のカートン等に紙製容器11Bまたはそのパックを収納したときに,カートンの上面から外力が加わっても折り畳んだ部分12A,12Bがこの外力を受けてカートンの上面を支えるため,紙製容器11Bの内容物に外力が加わるのを防ぐことができる。
【0033】
図4はさらに変形例を示すものである。この紙製容器11Cでは,フランジ部12の連結部14につながる部分以外の長い部分の一部12A,12Bが上方に向かって摘まれ,かつフランジ部12の上面に沿うように曲げられて,部分12Aがフランジ部12の上面に接着され,部分12Aと12Bとが互いに接着されている。これらの部分12Aと12Bを下方に向かって摘み,フランジ部12の下面に接着してもよい。部分12Aと12Bを別個に摘み,半分に折り畳んだ一方の部分12Aをフランジ部12の上面に接着し,半分に折り畳んだ他方の部分12Bをフランジ部12の下面に接着するようにしてもよい。このように部分12Aまたは12Bをフランジ部12の面と接着させた場合は,紙製容器11Cまたはそのパックを内容物を収納しない状態で重ねたときに,嵩張らないで重ねることができるため,紙製容器11Cまたはそれらのパックを置くスペースを小さくすることができる。また,部分12Aまたは12Bがフランジ部12に接着した部分ではフランジ部12の強度が高まるため,フランジ部12に外力が加わっても,変形し難い。
【0034】
図5および図6はさらに他の変形例を示すもので,立体形状の容器を形成するためにフランジ部12の一部の長さを短くする他のやり方を示している。フランジ部12の長さの長い部分の中央が切断線23で示すように幅方向に切断されるとともに,この切断線23から両方に少し離れた2箇所でフランジ部12の幅方向の反対側からそれぞれ幅の半分程度まで切込み24,25が入れられている。紙製容器11Dを組立てるときには,切込み24に切込み25の延長方向の部分25Aを差込み,切込み25に切込み24の延長方向の部分24Aを差込むようにして,切断したフランジ部の端部をつなぐことにより,フランジ部12の一部分の長さを短くする。このようにした場合は,切込みを差し込むだけでフランジ部12の長さを短くすることができるため,容易に紙製容器を形成することができる。
【0035】
切込み24,25を入れずに,切断した端部を重ねて接着してもよい。
【0036】
図7はさらに他の変形例を示すもので,フランジ部12の長さの長い部分の一部12Aと12Bを下方に向かって摘み,これらを接着せずにフランジ部12の一部を互いに結合させるやり方の例を示している。部分12Aの折り線22の位置からフランジ部12に,幅が漸次大きくなる台形状の差込穴27が形成され,他方,部分12Bの折り線22の位置から部分12Bに向かって台形状の係止片26が切り起こすことにより形成されている。この係止片26はその高さが差込穴27の高さ(台形の高さ)よりもわずかに小さく形成されるとともに,台形状係止片26の上底にあたる辺の長さが台形状差込穴27の上底にあたる辺よりも短く,かつ係止片26の下底にあたる辺の長さが差込穴27の下底にあたる辺の長さとほぼ等しくされている。このようにして,係止片26は差込穴27に入り,かつ抜け難いので,2つの部分12Aと12Bを接着しなくてもフランジ部12はその折り線22の位置で結合する。このような構造によると,差込穴27に係止片26を係止させるだけでフランジ部12の長さを短くすることができるため,容易に紙製容器を形成できるだけでなく,係止しているので外れ難い。
【0037】
図8はさらに他の変形例を示すものである。上記の実施例においては,フランジ部12と底面部13との間の部分のうち連結部14を除く部分15は切除されているが,この変形例では,この部分15に対応する部分15Aが底面部13の一部として利用されている。すなわち,フランジ部12と底面部13との間の部分のうち連結部14を除くすべての部分が底面を形成するのに用いられている。底面の面積が大きくなるので,紙製容器11Eの安定性が増すという利点がある。部分15Aの全部ではなく,その一部を底面として利用してもよい。
【0038】
図9はさらに変形例を示すものである。図1に示す紙製容器作製用紙材10と比較すると,図9に示す紙製容器11Fではフランジ部12の長さを短くするために摘む部分の位置が2つの長い部分において異なっている。すなわち,図1に示す紙材10では対称的な2つの箇所の部分12A,12Bが摘む部分となっているが,図9に示す紙製容器11Eでは2つの箇所の部分12A,12Bは対称的な位置ではない。このように,フランジ部12のどの部分を用いてその長さを短くするかは任意に定めることができる。このように摘む位置を非対称にすることにより,フランジ部12に外力が加わったときに,一方の谷折りの線21の折れ曲りが他方の谷折りの線21の折れ曲りに影響を与えないため,フランジ部12を折れ曲りにくくすることができる。
【0039】
図10はさらに変形例を示している。この紙製容器作製用紙材10Gでは,底面部13がほぼ正六角形であり,フランジ部12の内側(内周)の辺は八角形である。紙製容器作製用紙材10Gを使用して容器パックを作製した場合,フランジ部12の内側辺(縁)の形状は正六角形となる。このように,底面部やフランジ部の形状も種々に変形が可能である。
【0040】
さらに,図11,図12に示すように,底面部13をほぼ円形に,フランジ部12の内側(内周)の辺は長円形とすることもできる。この紙製容器作製用紙材10Hでは,連結部14は細く,4つ設けられ,これらの連結部14が底面部13から放射状に(等角度間隔ではない)フランジ部12に向かっている。摘んだり折り畳まれる部分12A,12Bは,フランジ部12の長円形の内周辺のほぼ直線状の位置に区画されている。フランジ部12と底面部13の間の部分のうち,連結部14を除く部分15は切除されている。このように底面部を円形にした場合は,連結部とフランジ部との境界,および連結部と底面部との境界がわずかに湾曲している(直線ではない)ため,連結部を幅広とすると境界での折り曲げ加工が難しい。他方,連結部を折り曲げ加工し易くするために連結部の幅を狭くし境界を直線に近い形にすると,連結部の強度が不足するため,この変形例では連結部の数を4つとして必要な強度を確保している。
【0041】
さらに多くの変形例が考えられる。たとえば,上記実施例の紙製容器作製用紙材には2×2の配置で4つの容器領域が区画されているが,1枚の紙材にn×m(n,mは正の整数)の容器領域を設けることができる。すなわち,1枚の紙材により1列複数個の紙製容器を作製してもよいし,2列3行(計6個)以上の紙製容器を作製することもできる。また,以上の例ではフランジ部12の内側の形状と底面部13の形状が同じ例を示したが,必ずしも同じ形状としなくてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10,10F,10G,10H 紙製容器作製用紙材
11 容器領域
11a ミシン目
11A,11B,11C,11D,11E,11H 紙製容器
12 フランジ部(領域)
12A,12B フランジ部の摘まれる部分
13 底面部(領域)
14 連結部(領域)
15 切除された部分
15A 底面部を形成する部分
21,42 谷折りの線
22,41 山折りの線
23 切断線
24,25 切込み
26 係止片
27 差込穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の上部周縁を形成するフランジ部と,
上記フランジ部の内部に配置される底面部と,
上記フランジ部と上記底面部とを少なくとも2箇所でつなぐ連結部とが1枚の厚紙に区画され,
上記連結部と接する部分以外の箇所において上記フランジ部と上記底面部とは切り離され,
上記フランジ部の上記底面部と切り離された少なくとも2つの部分において,その部分の長さが短くされ,かつ上記連結部が上記フランジ部および上記底面部との境界でそれぞれ折り曲げられることにより,上記連結部が側壁を形成する,
紙製容器。
【請求項2】
1枚の厚紙に,複数の容器のフランジ部が隣接して配置される,請求項1に記載の紙製容器。
【請求項3】
上記複数の容器のフランジ部の境界にミシン目が形成される,請求項2に記載の紙製容器。
【請求項4】
上記フランジ部と上記底面部との間の部分のうち,上記連結部以外の部分が切除される,請求項1から3のいずれか一項に記載の紙製容器。
【請求項5】
上記フランジ部の内側の部分のうち,上記連結部以外の部分が底面部である,請求項1から3のいずれか一項に記載の紙製容器。
【請求項6】
上記1枚の厚紙の外周縁が上記フランジの外周縁である,請求項1から5のいずれか一項に記載の紙製容器。
【請求項7】
1枚の厚紙に,
容器の上部周縁を形成するフランジ部の領域と,
上記フランジ部の領域の内部に配置される底面部の領域と,
上記フランジ部の領域と上記底面部の領域とを少なくとも2箇所でつなぐ連結部の領域とが区画され,
上記連結部の領域と接する部分以外の箇所において上記フランジ部の領域と上記底面部の領域とが切り離されている,
紙製容器作製用紙材。
【請求項8】
1枚の厚紙に,複数の容器のフランジ部の領域が隣接して配置される,請求項7に記載の紙製容器作製用紙材。
【請求項9】
上記複数の容器のフランジ部の領域の境界にミシン目が形成されている,請求項8に記載の紙製容器作製用紙材。
【請求項10】
上記連結部の領域と上記フランジ部の領域および底面部の領域との境界に折り線が形成されている,請求項7から9のいずれか一項に記載の紙製容器作製用紙材。
【請求項11】
上記フランジ部の領域の上記底面部の領域と切り離された少なくとも2つの部分において,その部分の長さを短くするために折り込む折り線が形成されている,請求項7から10のいずれか一項に記載の紙製容器作製用紙材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−12022(P2012−12022A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147613(P2010−147613)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】