説明

紙製容器

【課題】低融点の接着層を介することなく、紙面に直接PETをラミネートさせた原紙を用いて製造された紙製容器を提供する。
【解決手段】胴部材3と底板部材5とからなる紙製容器1であって、胴部材3は紙基材7の一方の表面にPET層が押し出しラミネートされており、底板部材5は紙基材7の両面にPET層が押し出しラミネートされており、胴部材3は一方の弦と他方の弦を重ね合せて接着して筒状に形成し、一方の弦はスカイブヘミング加工によりカットエッジがPET層により被覆され、他方の弦はカットエッジが露出しており、カットエッジがPET層により被覆されている側が胴部材3の内壁面側にくるように一方の弦のPET層と他方の弦のPET層を熱溶着させることにより接着させ、胴部材3と底板部材5とはPET層同士を熱溶着させることにより接着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙製容器に関する。更に詳細には、容器内面にポリエチレンテレフタレート(PET)ラミネート層を有する紙製容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器内面にポリエチレンテレフタレート(PET)ラミネート層を有する紙製容器は例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
ポリエチレンテレフタレート(PET)は耐熱性に優れるほか、樹脂自体の臭気が少なく、容器内容物に樹脂臭が転移しないばかりか、容器内容物の臭い又は香りなどもPETに吸着しないという利点を有する。従って、容器内面にポリエチレンテレフタレート(PET)ラミネート層を有する紙製容器は例えば、ジュース類などの清涼飲料用容器若しくはグラタンやケーキなどのようなオーブン又は電子レンジで加熱調理される食品類の充填容器又は包装容器として使用されてきた。
【0004】
しかし、従来技術では、紙基材の表面にPETを直接ラミネートするのではなく、特許文献1の図1に示されるように、紙基材の表面に先ず低密度ポリエチレンなどのような低融点フィルムをラミネートし、この低密度ポリエチレンの上面にPETフィルムをラミネートした積層構造を使用してきた。PET樹脂は比較的結晶化し易く、固まり易いため、汎用ラミネート樹脂に比べると融点が非常に高く、押出しラミネートには適さない。たとえ紙表面に押出しできたとしても、温度差により固まり易いためラミネート時の紙との接着力が不十分となりやすく、剥離してしまう。そのため、一般的には低密度ポリエチレン層を接着層として利用せざるを得なかった。また、低密度ポリエチレン層を接着層とすることで、紙との接着力は上がっても、ポリエチレン層とPET樹脂層との接着強度が十分に確保できないことには変わらず、フィルム同士の界面層で剥離してしまうことになる。
【0005】
特許文献1に記載されるような低密度ポリエチレン接着層を介してPETフィルムを積層させた紙製容器をオーブン又は電子レンジなどで加熱すると、接着層の低密度ポリエチレンが部分的に溶融し、上面PETフィルムの接着性を損なう傾向があった。すなわち、PETフィルムの接着力が低下して、部分的な“浮き上がり”を起こすことがあった。
【0006】
また、低密度ポリエチレン接着層の使用に伴う別の欠点として、容器内に熱水を注いだときに、ポリエチレンの低分子量成分が揮発し、異臭又は独特な臭気を感じることがある。特に、味の薄い飲料物、お茶や紅茶などではその影響度が大きい。
【0007】
更に、低密度ポリエチレン接着層の使用に伴う他の欠点として、耐熱性の低さが問題になることがある。昨今のファーストフードの進化により、容器に包装されたままの食品を電子レンジ内で直接加熱調理することが提案されている。しかし、低密度ポリエチレン接着層を介してアルミ箔又はPETフィルムをラミネートした容器は電子レンジで加熱調理すると容器の剛性が低下し、加熱後に素手で容器を掴もうとすると容器が著しく変形し内容物が容器外へ零れてしまうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−91323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、融点の低い低密度ポリエチレン接着層を介することなく、紙面に直接PETをラミネートさせた原紙を用いて製造された紙製容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、紙の一方の面にPETを押し出しラミネートした原紙から打ち抜かれた容器胴部材と底板部材とからなり、前記ラミネートPET面を内側にして前記容器胴部材と底板部材とを一体化させた紙製容器により解決される。
【0011】
押し出し機から溶融PET樹脂を紙の一方の面上に押し出すことにより、紙面に薄いPET層を強固に接着させることができることが発見された。これにより、低融点PE接着層を用いなくてもPET層を紙面に直接積層させることができる。PET樹脂は高融点であるが、PET樹脂同士は互いに融着させることができる。従って、PET層を内面に有する紙製容器を製造することができる。
【0012】
前記課題は、容器胴部材の一方の端部の容器内面側となる面を所定の厚さに切り欠き、残った部分を折り返して前記切り欠き部分に積重させて紙層の露出面をPET層で被覆したスカイビング処理部を有する紙製容器によっても解決される。
【0013】
このような容器胴部材の一端にスカイビング処理部を形成すると、容器内面側に紙の切断面が露出しないので液体内容物の充填に好適であるばかりか、胴部材の端面同士がPET層になるので相互に融着可能となる。
【0014】
本発明の紙製容器の胴部外面には断熱層を配設させることもできる。
【0015】
これにより、本発明の容器を断熱容器として使用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の紙製容器は紙面にPET層をラミネートさせるために低融点ポリエチレンなどの接着層を使用する必要がないので、異臭問題が無く、高剛性で、しかも耐熱性に優れた紙製容器が得られる。従って、本発明の紙製容器はオーブンや電子レンジによる加熱調理にも十分に堪えることができる。また、低融点ポリエチレンなどの接着層を使用していないので、容器製造コストも安価になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の紙製容器の一例の部分切り欠き正面図であり、AはA部の部分拡大断面図であり、BはB部の部分拡大断面図であり、Cはc−c線に沿ったC部の部分拡大断面図である。
【図2】図1におけるd−d線に沿った部分拡大断面図である。
【図3】スカイブヘミング加工を説明する工程図である。
【図4】低融点ポリエチレンの発泡断熱層を有する本発明の紙製容器の部分断面図である。
【図5】筒状胴巻を断熱手段として有する本発明の紙製容器の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の紙製容器について更に詳細に説明する。図1は本発明の紙製容器の一実施態様の部分切り欠き断面図である。本発明の紙製容器1は基本的に容器胴部材3と底板部材5とから構成されている。容器胴部材3は部分拡大A図に示されるように、紙基材7の容器内側面にPET層9が存在する。PET層9はバリア性が高く、臭い移りなどし難いので、油性又は油脂性食品類の充填又は包装容器の内壁面形成材料として特に優れている。図示されていないが、紙基材7の容器外側面には容器の耐水性や審美性を向上させる目的でポリエチレン、ポリエステル、ナイロンなどの熱可塑性樹脂層を配設させることができる。しかし、本発明の紙製容器1にとって、熱可塑性樹脂層の存在は必須要件ではない。
【0019】
部分拡大B図に示されるように、底板部材5は紙基材7の両面にPET層9が存在する。下記で詳細に説明するように、PET層9を紙基材7にラミネート接着させることはできるが、紙基材7にラミネートされたPET層9を別の紙表面に熱溶着させたりすることはできない。なぜなら、紙基材7にラミネートされたPET層自体も再溶融させるためには、相当の熱量が必要となり、固化してしまわないうちに紙基材と接着させなくてはならないため、簡単に紙との接着はできない。押出しの時と同様、溶融している時間が短いため、接着させるために十分な余裕時間はなく、素早く行わなければ固まってしまうからである。このため、底板部材5の紙基材7の両面にPET層9をラミネート溶着させておくことにより、胴部材3と底板部材5とを一体化する際、胴部材3の内壁面側のPET層9と、底板部材5の外壁面側のPET層9とを接触させ、この接触界面を熱溶着させることにより胴部材3と底板部材5とを一体化させることができる。胴部材3の下端の上方向折り曲げ片の内側に底板部材5の下方向折り曲げ片を挿入することにより、胴部材3と底板部材5とを一体化させる。胴部材3と底板部材5との一体化方法としては例えば、ロールアウト(回転圧着)方法又はエキスパンダ方法など当業者に周知慣用の方法を使用できる。
【0020】
分部拡大C図はc−c線に沿った部分断面図である。胴部材3を丸めて円筒形状にすると、その接合部において、胴部材内壁面側のPET層9が胴部材外壁面側の紙基材7の表面にくる。前記のように、ラミネート後のPET層9自体は紙表面に熱溶着させることができない。そのため、本発明の容器1では下記で詳細に説明するように、スカイブヘミング加工という方法により、胴部材3の一端を折り曲げ処理してPET層9同士が対面するようにし、胴部材3を円筒形状に成形している。
【0021】
図2は図1におけるd−d線に沿った部分断面図である。前記のように、ラミネート後のPET層9自体は紙表面に熱溶着させることができない。従って、本発明の紙製容器1の胴部材3を形成する際、スカイブヘミング加工により折り曲げられたPET層9の端面11がスカイブヘミング加工されていない胴部材3の他端のPET層9の端面13と“面一致”となるように重ね合わせ、PET層同士を熱溶着させる。スカイブヘミング加工による折曲端部(屈曲面端部)からPET層9の端面11までの距離は5mm〜15mm、好ましくは7mm〜12mm程度である。従って、スカイブヘミング加工により折り曲げられたPET層9とスカイブヘミング加工されていない胴部材3の他端のPET層9との重ね合わせ部分(「サイドシーム」とも呼ばれる)の距離は5mm〜15mmとなる。しかし、スカイブヘミング加工されていない胴部材3の他端のPET層9の端面13がスカイブヘミング加工により折り曲げられたPET層9の端面11を越えていてもよい。スカイブヘミング加工されていない胴部材3の他端のPET層9の端面13がスカイブヘミング加工により折り曲げられたPET層9の端面11を越えている場合、越えた部分のPET層9は紙基材7の表面には接着しないが、容器口縁部のサイドシーム部分の成形性が良くなり、容器開口部の真円性が向上されるという利点がある。容器開口部の真円性が向上すると、開口部の容器口縁部上面に蓋をヒートシールする作業が効率的になるばかりか、容器シール不良などを起こさないので好ましい。スカイブヘミング加工されていない胴部材3の他端のPET層9の端面13がスカイブヘミング加工により折り曲げられたPET層9の端面11を越える長さは数ミリ(例えば、0.1〜3mm、好ましくは0.5mm〜1.5mm)程度である。図2に示されるように、本発明の容器1において、スカイブヘミング加工により折り曲げられた屈曲面のPET層9は胴部材3の内壁面側に配置されなければならない。紙基材7の切断面(カットエッジ)15が容器内壁面側に存在すると、このカットエッジ15から容器内容物が紙基材7内に浸透し、胴部材3の機械的強度、ひいては容器1全体の機械的強度を劣化させる可能性がある。これに対し、スカイブヘミング加工により折り曲げられた屈曲面のPET層9が胴部材3の内壁面側に配置されれば、容器内容物が紙基材7に浸透することは完全に防止され、容器1の機械的強度が損なわれることも無い。従って、本明細書における、「露出カットエッジ部のPET樹脂ラミネート層端面がスカイブヘミング加工により折り曲げられたPET樹脂ラミネート層の端面以上の位置」とは、スカイブヘミング加工により折り曲げられたPET層9の端面11がスカイブヘミング加工されていない胴部材3の他端のPET層9の端面13と“面一致”となる位置及びスカイブヘミング加工されていない胴部材3の他端のPET層9の端面13がスカイブヘミング加工により折り曲げられた端部のPET層9の端面11を越えた位置を意味する。
【0022】
図3は本発明の紙製容器の胴部材を製造する方法の一例の工程図である。ステップ(A)に示されるように、胴部材用のブランク17の一方の弦部分の紙基材7の表面を所定の深さ及び幅に従って、例えば、回転刃19などで削り取る。回転刃の他、やすり又はグラインダーなどの剥離手段も使用できる。この削り取り処理は「スカイブ」と呼ばれている。ステップ(B)において、削り取られた処理面の略中央部付近に折り返しを容易にするための窪み21を設けると共に、削り取られた処理面の最奥部分を垂直に整形する。ステップ(C)において、窪み21を中心にして削り取り処理面が内側になるように折り曲げる。この折り曲げ処理は「ヘミング」と呼ばれている。折り曲げ処理に先だって、削り取り処理面に公知慣用の接着剤を塗布することもできる。このようにして得られたブランク17を丸め、ブランクの弦部分同士を重ね合わせて接着することにより図2に示される胴部材3が完成される。
【0023】
前記のように、本発明の紙製容器1は内壁面側に耐熱性に優れたPET層9を有するので、高温液体などの充填に特に適する。この場合、容器1を把持する消費者の指などに高熱が伝わるのを防ぐために、紙製容器1の外壁面上に断熱層を形成することが好ましい。例えば、図4に示されるような、胴部材の外壁面上に熱可塑性合成樹脂フィルムの発泡断熱層23を有する紙製容器1Aである。胴部材の外壁面上に熱可塑性合成樹脂フィルムの発泡断熱層23を形成させるには、例えば、胴部材の外壁面側にポリエチレンなどの比較的低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートしておき、胴部材3と底板部材5とを一体化して容器に成型した後、この容器を所定の温度にまで加熱すると、紙基材7の中の水分が蒸発し、この蒸発した水分によりポリエチレンフィルムが発泡され、断熱層23を形成することができる。胴部材3の外壁面側にラミネートされる熱可塑性合成樹脂フィルムは内壁面側にラミネートされているPET層よりも融点の低いものを選択しなければならない。PET層よりも融点の高い熱可塑性合成樹脂フィルムを胴部材の外壁面側にラミネートした場合、この熱可塑性合成樹脂フィルムを紙中水分で発泡させることはできない。このような低融点熱可塑性合成樹脂フィルムを紙中水分により発泡させて断熱層を形成する具体的方法は本願出願人が保有する特許第3014629号公報に詳述されている。
【0024】
別法として、図5に示されるような、胴部材の外壁面側に胴巻25を配設し、胴部材3と胴巻25との間に断熱空間27を断熱層として設けた紙製容器1Bも可能である。この胴巻25の特徴は、下端のカール部に熱交換用の穴29が設けられていることである。穴29が存在するので、使用者が胴巻を指で押したり離したりすることにより断熱空間27内の熱気が外部の冷気と入れ替わることができる。このような断熱用胴巻は本願出願人が保有する特許第3953992号公報に記載されている。
【0025】
紙基材7へPET層9をラミネートさせる方法は、例えば、紙基材7の一方の表面にPET樹脂をエクストルーダーから押し出すことにより行われる。本発明において、紙基材7に直接押し出しラミネートするために必要なPET樹脂の特性としては、融点が230℃以下で、共重合成分比率が10モル%〜40モル%、IV(Intrinsic Viscosity)値(dl/g)が0.6〜1.0の範囲内であることが好ましい。共重合成分比率が10モル%未満では、PETの結晶化が早く、また融点も230℃〜255℃と高いため、溶融時には300℃以上の温度に樹脂温を上げなければならず、紙へのラミネートが十分ではなくなる。また、そのような高温では樹脂の熱劣化が起きやすいという点でも好ましくない。一方、共重合成分比率が40モル%超では、殆ど結晶化しないために通常のDSC(下記参照)では融点を見出すことができない。紙にラミネートしたときの共重合PET樹脂はおそらく結晶化していないと考えられる。また、IV値が0.6未満では、樹脂を溶融押出しする際に、溶融粘度が低く、安定した成膜ができないなどの欠点があり、好ましくない。一方、IV値が1.0超では、溶融時の樹脂剪断発熱が大きくなり、樹脂温度の制御が困難となり溶融粘性が下がってしまうなどの欠点があり、好ましくない。本発明で使用するPET樹脂の融点は示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry, DSC) 法により測定した。DSC法は測定試料と基準物質との間の熱量の差を計測することで、融点やガラス転移点などを測定する熱分析手法である。DSC測定の結果は、縦軸に熱流(Heat Flow/mW)、横軸に温度や時間をとった曲線となる。融点は吸熱ピークとして現れるが、明確な鋭いピークを示さず、広いピークとなることもある。前記共重合成分比率の測定は、核磁気共鳴装置(ブルカー社製、400MHz)で測定した。IV値は、樹脂をフェノール/テトラクロロエタン=60/40(質量比)の混合溶液に溶かし、自動粘度測定装置(柴山科学製、SS−270LC)を用いて20℃で測定した値である。本発明で使用されるPET樹脂は、テレフタル酸、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシルジフェニールアジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、又はこれらのアルキルエステル誘導体からなる群から選択される少なくとも一種類の酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物からなる群から選択される少なくとも一種類のグリコール成分との共重合により得られるポリエステル樹脂である。本発明で使用されるPET樹脂は、テレフタル酸を主成分とする酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分からなり、共重合される酸成分としてイソフタル酸を、また共重合されるグリコール成分としてはネオペンチルグリコール又はシクロヘキサンジメタノールを使用することが好ましい。例えば、本発明で使用されるPET樹脂は、テレフタル酸を主成分とする酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分からなり、これに所定量のネオペンチルグリコールを共重合させたポリエステル樹脂などである。ネオペンチルグリコールの代わりにシクロヘキサンジメタノールを共重合成分とすることもできる。更に、テレフタル酸を主成分とする酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分からなり、これに所定量のイソフタル酸を共重合させたポリエステル樹脂及びテレフタル酸を主成分とする酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分からなり、これに所定量のイソフタル酸と所定量のネオペンチルグリコール又はシクロヘキサンジメタノールを共重合させたポリエステル樹脂も本発明のPET樹脂として使用できる。前記のように、共重合させる成分の種類及び共重合成分の比率を変化させることにより、紙に直接ラミネート可能な特性を有するPET樹脂が得られる。
【0026】
紙基材7の一方の表面に押し出しラミネートされるPET層9の膜厚は一般的に10μm〜100μmの範囲内である。PET層9の膜厚が10μm未満の場合、PET層9にピンホールが発生したり、耐熱性が不十分になることがある。一方、PET層9の膜厚が100μm超の場合、PET層9の使用効果が飽和し、不経済となるばかりか、容器の組立に支障が生じる可能性がある。
【0027】
本発明の紙製容器を製造するのに使用される紙基材7は100g/m 〜400g/m の範囲内の坪量のものが好ましい。また、この紙基材7は約3〜10%の範囲内の含水率を有するものであることが好ましい。紙基材7はバージンパルプのみから構成されていてもよいが、バージンパルプと再生パルプとの混合物から構成されていてもよい。
【0028】
図4に示されるような発泡断熱層23を有する紙製容器1Aを製造する場合、内壁面側にPET層9を有し、外壁面側に例えば、ポリエチレンフィルム層を有する胴部材3と、内壁面側及び外壁面側にPET層9を有する底板部材5とから容器を組立、この容器を、約110℃〜約200℃の温度で加熱する。加熱時間は約20秒間〜約7分間である。加熱手段は熱風,電熱,電子線など任意の手段を使用できる。コンベヤによる搬送手段を備えたトンネル内で熱風または電熱などによって加熱すれば、安価に大量生産することができる。この加熱により紙中水分が蒸発し、ポリエチレンフィルム層を発泡させて、発泡断熱層23が胴部材3の外壁面上に形成される。発泡断熱層23を有する紙製容器1Aを製造する方法は、本願出願人が保有する特許第3014629号公報に詳述されている。
【実施例1】
【0029】
本発明の紙製容器を製造するためのラミネート材料として、胴部用のコップ原紙及び底部用のコップ原紙を別々に用意し、更にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を所望の厚さが取れるだけの必要量を用意し、一般的なラミネート押出し機を用いて前記原紙にPETを押出ラミネートした。
テレフタル酸を主成分とする酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分とからなり、更にグリコール成分としてネオペンチルグリコールを30モル%共重合させることにより製造された、融点が180℃〜190℃、IV値0.78のPET樹脂を用意した。原紙として坪量280g/mのイミンコート処理を行ったコップ原紙を用意した。コロナ放電処理を行いながら押出しラミネート機のTダイより280℃でPET樹脂を押出し、チルロールで冷却しながら加圧し、その原紙上にPET樹脂を膜厚40μmでラミネートした。その反対面にもタンデム方式で同時に前記と同じPET樹脂を膜厚40μmでラミネートした。得られた両面ラミネート原紙を胴部用として使用し、この原紙から胴部材用ブランクを打ち抜いた。
次ぎに、テレフタル酸を主成分とする酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分とからなり、更にグリコール成分としてネオペンチルグリコールを25モル%共重合させることにより製造された、融点が200℃、IV値0.78のPET樹脂を用意した。原紙として坪量220g/mのイミンコート処理を行ったコップ原紙を用意した。コロナ放電処理を行いながら押出しラミネート機のTダイより280℃でPET樹脂を押出し、チルロールで冷却しながら加圧し、その原紙上にPET樹脂を膜厚30μmでラミネートした。その反対面にもタンデム方式で同時に前記と同じPET樹脂を膜厚30μmでラミネートした。得られた両面ラミネート原紙を底部用として使用し、この原紙から底板部材用ブランクを打ち抜いた。
前記のようにして得られた胴部材用ブランクを所定のスカイブ加工機に掛け、胴部シール面のみ約14mmだけスカイブ加工を行い、スカイブ加工した部分をヘミング加工(折り曲げ加工)した。ヘミング加工による屈曲面端部からPET層の端面11(図2参照)までの距離は約7mmであった。スカイブヘミング加工により折り曲げられたPET層の端面11がスカイブヘミング加工されていない胴部材用ブランクの他端のPET層の端面13(図2参照)と“面一致”となるように重ね合わせ、所望の胴部材を成形し、底板部材用ブランクと共に常用のカップ成型機により、胴部にはホットエアーヒータで400℃の加熱と、底板部にはホットエアーヒータで480℃の加熱を行い、各々ヒートシール及び加圧してカップを作製した。
【実施例2】
【0030】
本発明の紙製容器を製造するためのラミネート材料として、胴部用のコップ原紙及び底板部用のコップ原紙を別々に用意し、更にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を所望の厚さが取れるだけの必要量を用意し、一般的なラミネート押出し機を用いて前記原紙にPETを押出ラミネートした。
テレフタル酸を主成分とする酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分とからなり、更にグリコール成分としてシクロヘキサンジメタノールを30モル%共重合させることにより製造された、融点が180℃〜190℃、IV値0.78のPET樹脂を用意した。原紙として坪量280g/mのイミンコート処理を行ったコップ原紙を用意した。コロナ放電処理を行いながら押出しラミネート機のTダイより270℃でPET樹脂を押出し、チルロールで冷却しながら加圧し、その原紙上にPET樹脂を膜厚50μmでラミネートした。得られた片面ラミネート原紙を胴部用として使用し、この原紙から胴部材用ブランクを打ち抜いた。
次ぎに、テレフタル酸を主成分とする酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分とからなり、更にグリコール成分としてシクロヘキサンジメタノールを30モル%共重合させることにより製造された、融点が180℃〜190℃、IV値0.78のPET樹脂を用意した。原紙として坪量220g/mのイミンコート処理を行ったコップ原紙を用意した。コロナ放電処理を行いながら押出しラミネート機のTダイより270℃でPET樹脂を押出し、チルロールで冷却しながら加圧し、その原紙上にPET樹脂を膜厚30μmでラミネートした。その反対面にもタンデム方式で同時に前記と同じPET樹脂を膜厚30μmでラミネートした。得られた両面ラミネート原紙を底板部用として使用し、この原紙から底板部材用ブランクを打ち抜いた。
前記のようにして得られた胴部材用ブランクを所定のスカイブ加工機に掛け、胴部シール面のみヘミング・スカイブ加工を行い、胴部シール面のみ約18mmだけスカイブ加工を行い、スカイブ加工した部分をヘミング加工(折り曲げ加工)した。ヘミング加工による屈曲面端部からPET層の端面までの距離は約9mmであった。スカイブヘミング加工されていない胴部材用ブランクの他端のPET層の端面がスカイブヘミング加工により折り曲げられたPET層の端面よりも約1.5mm越えるように重ね合わせ、所望の胴部材を成形し、底板部材用ブランクと共に常用のカップ成型機により、胴部にはホットエアーヒータで400℃の加熱と、底部にはホットエアーヒータで480℃の加熱を行い、各々ヒートシール及び加圧してカップを作製した。
【実施例3】
【0031】
本発明の紙製容器を製造するためのラミネート材料として、胴部用のコップ原紙及び底板部用のコップ原紙を別々に用意し、更にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を所望の厚さが取れるだけの必要量を用意し、一般的なラミネート押出し機を用いて前記原紙にPETを押出ラミネートした。
テレフタル酸を主成分とする酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分とからなり、更に酸成分としてイソフタル酸を25モル%共重合させることにより製造された、融点が200℃、IV値0.78のPET樹脂を用意した。原紙として坪量280g/mのイミンコート処理を行ったコップ原紙を用意した。コロナ放電処理を行いながら押出しラミネート機のTダイより280℃でPET樹脂を押出し、チルロールで冷却しながら加圧し、その原紙上にPET樹脂を膜厚50μmでラミネートした。得られた片面ラミネート原紙を胴部用として使用し、この原紙から胴部材用ブランクを打ち抜いた。
次ぎに、テレフタル酸を主成分とする酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分とからなり、更に酸成分としてイソフタル酸を25モル%共重合させることにより製造された、融点が200℃、IV値0.78のPET樹脂を用意した。原紙として坪量220g/mのイミンコート処理を行ったコップ原紙を用意した。コロナ放電処理を行いながら押出しラミネート機のTダイより280℃でPET樹脂を押出し、チルロールで冷却しながら加圧し、その原紙上にPET樹脂を膜厚30μmでラミネートした。その反対面にもタンデム方式で同時に前記と同じPET樹脂を膜厚30μmでラミネートした。得られた両面ラミネート原紙を底板部用として使用し、この原紙から底板部材用ブランクを打ち抜いた。
前記のようにして得られた胴部材用ブランクを所定のスカイブ加工機に掛け、胴部シール面のみヘミング・スカイブ加工を行い、胴部シール面のみ約18mmだけスカイブ加工を行い、スカイブ加工した部分をヘミング加工(折り曲げ加工)した。ヘミング加工による屈曲面端部からPET層の端面までの距離は約9mmであった。スカイブヘミング加工されていない胴部材用ブランクの他端のPET層の端面がスカイブヘミング加工により折り曲げられたPET層の端面よりも約1.5mm越えるように重ね合わせ、所望の胴部材を成形し、底板部材用ブランクと共に常用のカップ成型機により、胴部にはホットエアーヒータで400℃の加熱と、底部にはホットエアーヒータで480℃の加熱を行い、各々ヒートシール及び加圧してカップを作製した。
【0032】
比較例として、ポリエチレンラミネート原紙を用いて容器を製造した。ポリエチレン樹脂として、密度0.92、MFR3.0の、特に低臭グレードであるドローダウン性に富んだネックインの少ない低密度PE(LDPE)樹脂を用意した。原紙として坪量280g/mのイミンコート処理を行ったコップ原紙を用意した。コロナ放電処理を行いながら押出しラミネート機のTダイより310℃でLDPE樹脂を押出し、チルロールで冷却しながら、およそ100m/分のラインスピードで20μmの層厚を確保しながらLDPEラミ原紙を作製した。その反対面にもタンデム方式で同時に前記と同じLDPE樹脂を膜厚20μmでラミネートした。得られた両面ラミネート原紙から容器胴部材用ブランク及び底板部材用ブランクの両方を打ち抜いた。前記のようにして得られた胴部材用ブランクを所定のスカイブ加工機に掛け、胴部シール面のみヘミング・スカイブ加工を行い、所望のブランク形状とし、底板部材用ブランクと共に常用のカップ成型機により、胴部にはホットエアーヒータで400℃の加熱と、底部にはホットエアーヒータで430℃の加熱を行い、各々ヒートシール及び加圧してカップを作製した。
【0033】
前記の実施例1〜実施例3及び比較例で得られた各紙製容器について、(1)原紙とラミネートフィルムとの密着性、(2)カップ剛度、(3)ラミネートフィルム臭気評価、(4)耐フレーバー性及び(5)耐ピンホール性についてそれぞれ試験した。
(1)原紙とラミネートフィルムとの密着性の単位はN/15mmで表示される。試験方法は、ラミネートフィルムの一端を把持して原紙から剥離させ、そのときの引っ張り強度を測定する。ラミネートフィルムの密着性が高いと、原紙から剥離されず、紙層破壊が生じる。
(2)カップ剛度の単位はNで表示される。試験方法は、95℃及び80℃の各々の温度の熱水を容器内に注ぎ込み、温度が低下しないうちに熱水を入れたままで、容器を座屈させたときの強度を測定した。
(3)ラミネートフィルム臭気評価は、95℃の熱水を容器内に注ぎ込み、その後、パネラー2名により容器内部の臭気を官能テストにより評価した。
(4)耐フレーバー性は80℃のお茶を容器内に注ぎ込み、その後、パネラー2名により容器内部のお茶への臭気移行の有無を官能テストにより評価した。
(5)耐ピンホール性は、それぞれの紙カップの内側にメチレンブルーの5%アルコール液を入れ、15分間放置した状態で内面の着色状態からラミネートフィルムの切れやピンホールなどの状態を評価した。
測定結果を下記の表1に要約して示す。
【0034】
【表1】

【0035】
表1に示された結果から明かなように、PEもPETも原紙との密着性は大差無いが、PEのガラス転移点が−40℃であるため、比較例の容器に熱湯などを注ぐと、フィルムの臭気が検出され、カップ剛度は低く、耐フレーバー性及び耐ピンホール性も不良となる。これに対して、耐熱性に優れたPETを原紙に直接ラミネートした容器は熱湯を注がれてもカップ剛度が高く、フィルムの臭気は検出されず、耐フレーバー性及び耐ピンホール性も全く問題が無い。従って、PEなどの低融点フィルムを介すること無く、原紙にPETを直接ラミネートした紙製容器は、熱湯を注ぎ込んで使用する用途の他、電子レンジなどで直接加熱調理する食品包装容器としても使用できる。
また、実施例1で得られた紙製容器に比べて、実施例2及び実施例3で得られた紙製容器は、スカイブヘミング加工されていない胴部材用ブランクの他端のPET層の端面がスカイブヘミング加工により折り曲げられたPET層の端面よりも約1.5mm越えるように重ね合わされているため、実施例2及び実施例3で得られた紙製容器の開口部の真円性は実施例1で得られた紙製容器の開口部の真円性よりも良好であった。
【実施例4】
【0036】
テレフタル酸を主成分とする酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分とからなり、更にグリコール成分としてネオペンチルグリコールを25モル%共重合させることにより製造された、融点が200℃、IV値0.78のPET樹脂を用意した。原紙として坪量280g/m、紙中水分7.6%のイミンコート処理を行ったコップ原紙を用意した。コロナ放電処理を行いながら押出しラミネート機のTダイより280℃でPET樹脂を押出し、チルロールで冷却しながら加圧し、60m/分のラインスピードで、その原紙上にPET樹脂を膜厚40μmでラミネートした。その反対面にもタンデム方式で同時にコロナ放電処理を行いながら押出しラミネート機のTダイより、300℃で密度0.92、MFR3.0の低密度ポリエチレン樹脂を押出し、チルロールで冷却しながら加圧し、60m/分のラインスピードで、その原紙上にLDPE樹脂を膜厚70μmでラミネートした。得られた両面ラミネート原紙を胴部材用原紙として使用した。この原紙から常法により容器胴部材用ブランクを打ち抜いた。
底部材用原紙として、前記と同じポリエチレンテレフタレート樹脂層(40μm厚)/原紙層(コップ原紙坪量220g/m)/ポリエチレンテレフタレート樹脂層(30μm厚)からなる層構成の両面ラミネート原紙を使用した。この原紙から常法により容器底部材用ブランクを打ち抜いた。
胴部材用ブランクを所定のスカイブ加工機に掛け、胴部シール面のみ約18mmだけスカイブ加工を行い、スカイブ加工した部分をヘミング加工(折り曲げ加工)した。ヘミング加工による屈曲面端部からPET層の端面までの距離は約9mmであった。スカイブヘミング加工されていない胴部材用ブランクの他端のPET層の端面がスカイブヘミング加工により折り曲げられたPET層の端面よりも約2.0mm越えるように重ね合わせ、所望の胴部材を成形し、底部材用ブランクと共に常用のカップ成型機により、胴部にはホットエアーヒータで400℃の加熱と、底部にはホットエアーヒータで480℃の加熱を行い、各々ヒートシール及び加圧してカップを作製した。
これらの所望のカップ成型機で得られた紙カップを温度125℃の加熱オーブンに入れ、加熱時間を変化させて、容器胴部外壁面のLDPE層のみを発泡させた。得られた発泡層の厚みをマイクロスコープで観察しながら測定したところ、加熱時間5分間で0.80mmと断熱性に適切な厚みが得られた。
比較のために、特許第3014629号公報に記載された方法により製造された紙カップのデータも併せて示す。特許第3014629号公報に記載された方法により製造された紙カップも加熱時間5分間で0.80mm厚の発泡断熱層が形成された。
【0037】
【表2】

【0038】
表2に示された結果から、本発明の紙製容器は従来技術の特許第3014629号公報に記載された断熱性紙製容器に匹敵する優れた断熱性を示すことが予想される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上、本発明の紙製容器について好ましい実施態様を挙げて具体的に説明してきたが、本発明の紙製容器は例示された実施態様に限定されない。例えば、断熱層を形成する場合、例示された特許公報に開示された方法に限らず、紙製容器の断熱化のために当業者に使用されている又は当業者に公知の全ての方法又は手段を使用することができる。
また、本発明の紙製容器は口縁部に蓋を施蓋し、密閉容器とすることもできる。この場合、容器内壁面にハイガスバリア性のPET層9が使用されているので、蓋形成材料にもハイガスバリア性材料を使用することが好ましい。このような容器は油脂性食品を充填したときに油の酸敗を防止することができ、油脂性食品の長期保存に特に適する。
本発明の紙製容器は固体及び液体の他、流動性のある半固体状食品の充填包装に使用できる。
【符号の説明】
【0040】
1,1A,1B 本発明の紙製容器
3 胴部材
5 底板部材
7 紙基材
9 PET層
11 スカイブヘミング加工により折り曲げられたPET層9の端面
13 スカイブヘミング加工されていない胴部材3の他端のPET層9の端面
15 紙基材7のカットエッジ
17 胴部材ブランク
19 回転刃
21 窪み
23 発泡断熱層
25 胴巻
27 断熱空間
29 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも胴部材と底板部材とからなる紙製容器であって、
前記胴部材は紙基材の一方の表面にPET樹脂が押し出しラミネートされており、前記底板部材は紙基材の両面にPET樹脂が押し出しラミネートされており、
前記胴部材は、一方の弦と他方の弦を重ね合わせて接着することにより筒状に形成されており、前記一方の弦はスカイブヘミング加工により折り曲げられて紙基材のカットエッジがPET層により被覆されており、他方の弦は紙基材のカットエッジが露出しており、
露出カットエッジ部のPET樹脂ラミネート層端面がスカイブヘミング加工により折り曲げられたPET樹脂ラミネート層の端面以上の位置で、かつ、スカイブヘミング加工により折り曲げられて紙基材のカットエッジがPET樹脂ラミネート層により被覆されている側が胴部材の内壁面側にくるように、前記一方の弦のPET樹脂ラミネート層と他方の弦のPET樹脂ラミネート層を熱溶着させることにより接着させ、
前記胴部材と前記底板部材とはPET樹脂ラミネート層同士を熱溶着させることにより接着されていることを特徴とする紙製容器。
【請求項2】
前記PET樹脂は、融点が230℃以下、共重合成分比率が10モル%〜40モル%、IV(Intrinsic Viscosity)値(dl/g)が0.6〜1.0の範囲内である請求項1に記載の紙製容器。
【請求項3】
前記PET樹脂は、テレフタル酸を主成分とする酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分からなり、更にイソフタル酸、ネオペンチルグリコール及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選択される少なくとも一種類の成分との共重合により得られるポリエステル樹脂である請求項1又は2に記載の紙製容器。
【請求項4】
スカイブヘミング加工による屈曲面端部からPET樹脂ラミネート層端面までの距離が5mm〜15mmであり、露出カットエッジ部のPET樹脂ラミネート層端面がスカイブヘミング加工により折り曲げられたPET樹脂ラミネート層の端面を0.1mm〜3mmの範囲内の距離だけ超えている請求項1〜3の何れかに記載の紙製容器
【請求項5】
スカイブヘミング加工による屈曲面端部からPET樹脂ラミネート層端面までの距離が7mm〜12mmであり、露出カットエッジ部のPET樹脂ラミネート層端面がスカイブヘミング加工により折り曲げられたPET樹脂ラミネート層の端面を0.5mm〜1.5mmの範囲内の距離だけ超えている請求項4記載の紙製容器
【請求項6】
前記胴部材の外壁面上に断熱手段が更に配設されている請求項1記載の紙製容器。
【請求項7】
前記断熱手段は、胴部材外壁面上にラミネートされた低融点熱可塑性合成樹脂フィルムの発泡断熱層である請求項6記載の紙製容器。
【請求項8】
前記断熱手段は、胴部材外壁面上に配設された筒状胴巻であり、前記胴部材外壁面と筒状胴巻との間に断熱空間が形成されている請求項6記載の紙製容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−62099(P2012−62099A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208876(P2010−208876)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000152930)株式会社日本デキシー (14)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】