説明

紛失監視装置

【課題】監視対象の無線タグを任意に変更することができる紛失監視装置を提供する。
【解決手段】紛失監視装置10において、ID登録部31は監視対象の微弱無線送信タグについてタグIDを記憶する。紛失監視手段22はID登録部31に記憶されたタグIDについてタグの紛失を監視し、紛失に応じて紛失警報を発する。探索手段23は紛失したタグの発見を監視し、発見に応じて発見警報を発する。登録追加手段24はID登録部31に記憶されるタグIDを追加し、登録削除手段26はID登録部31に記憶されたタグIDを削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は紛失監視装置に関し、とくに微弱無線送信タグの紛失を監視するものに関する。
【背景技術】
【0002】
物品の紛失を監視するシステムとして、無線送信機能を持つタグを監視対象の物品に取り付け、無線を用いて当該物品の紛失を監視するものが知られている。紛失監視装置は受信機を備え、常に無線の受信状態を監視し、無線が受信できなくなると物品が紛失したという警報を発する。
このような紛失監視システムは、たとえば特許文献1に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−70964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の紛失監視システムでは、監視対象の無線タグを任意に変更することができないという問題があった。
【0005】
この発明はこのような問題点を解消するためになされたものであり、監視対象の無線タグを任意に変更することができる紛失監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る紛失監視装置は、固有のタグIDを送信する微弱無線送信タグの紛失を監視する、紛失監視装置であって、微弱無線によってタグIDを受信する受信機と、複数のタグIDを記憶可能なID登録部と、ID登録部に記憶されるタグIDを追加する登録追加手段と、ID登録部に記憶されたタグIDを削除する登録削除手段と、ID登録部に記憶されたタグIDのそれぞれについて、そのタグIDを送信する微弱無線送信タグが紛失しているか否かを記憶する紛失状態記憶部と、紛失していない微弱無線送信タグのそれぞれについて、その微弱無線送信タグの紛失を監視するとともに、紛失に応じて紛失警報を発する、紛失監視手段と、を備える。
紛失監視装置は、探索手段をさらに備え、探索手段は、紛失している微弱無線送信タグのそれぞれについて、その微弱無線送信タグの発見を監視するとともに、発見に応じて発見警報を発してもよい。
紛失している微弱無線送信タグいずれかのタグIDを受信機が受信した場合に、探索手段は、そのタグIDを送信する微弱無線送信タグが発見されたと判定してもよい。
紛失監視装置は、タグIDのそれぞれについて、受信機が最後にタグIDを受信した最終受信時刻を記憶する、最終受信時刻記憶部をさらに備え、紛失していない微弱無線送信タグのタグIDのいずれかについて、最終受信時刻からの経過時間が所定の値より大きくなった場合に、紛失監視手段は、そのタグIDを送信する微弱無線送信タグが紛失したと判定してもよい。
登録追加手段は、受信機が受信したタグIDを追加し、登録削除手段は、所定の操作に応じてタグIDを削除してもよい。
紛失監視装置は、紛失監視モード、探索モード、登録追加モードおよび登録削除モードを含む複数の動作モードのいずれかで選択的に動作可能であり、登録追加手段は登録追加モードにおいて機能し、登録削除手段は登録削除モードにおいて機能し、紛失監視手段は紛失監視モードにおいて機能し、探索手段は探索モードにおいて機能してもよい。
紛失警報は、画面表示、音声出力、振動、無線送信の少なくとも1つによって実現されてもよい。
紛失監視装置の動作ログを他のコンピュータに送信する動作ログ出力手段をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る紛失監視装置によれば、ID登録部に記憶される送信機IDが追加・削除可能となっているので、監視対象の無線タグを任意に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明に係る紛失監視装置を含む紛失監視システムの構成を示す図である。
【図2】紛失監視装置の正面図である。
【図3】紛失監視装置の上面図である。
【図4】紛失監視装置の左側面図である。
【図5】紛失監視装置の動作モードと、各動作モード間の遷移関係とを示す図である。
【図6】メインメニュー表示モードにおいて表示される画面の例である。
【図7】紛失監視モードにおいてに表示される画面の例である。
【図8】探索モードにおいて表示される画面の例である。
【図9】メンテナンスメニュー表示モードにおいて表示される画面の例である。
【図10】登録追加モードにおいて表示される画面の例である。
【図11】登録ID表示モードにおいて表示される画面の例である。
【図12】登録ID全削除モードにおいて表示される画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明に係る紛失監視装置10を含む紛失監視システムの構成を示す図である。また、図2〜図4は紛失監視装置10の外観を示す図である。図2は正面図であり、図3は底面図すなわち図2のIII方向から見た図であり、図4は左側面図すなわち図2のIV方向から見た図である。
この紛失監視装置10は携帯式の装置であり、携帯可能な寸法および重量をもって構成される。図2〜図4の外観の例では、図2に示す長さDは115mmであり、幅Wは70mmであり、図3に示す高さHは19.5mmである。
【0010】
この紛失監視システムは、図1に示すように、鍵K1およびK2を含む複数の鍵を監視対象の物品とし、これらの紛失を監視する。紛失監視システムは、紛失監視装置10と、微弱無線送信タグT1およびT2とを含む。微弱無線送信タグT1およびT2はそれぞれ鍵K1およびK2に取り付けられており、紛失監視装置10はこの微弱無線送信タグT1およびT2の紛失を監視することにより、結果として鍵K1およびK2の紛失を監視する。
なお、本実施形態では紛失監視装置10はたとえば10個の鍵の紛失を監視するものであるが、簡明のため図1では2個の鍵のみ示している。
【0011】
微弱無線送信タグT1およびT2は、それぞれ送信機T1aおよびT2aを備える。送信機T1aおよびT2aは、微弱無線によって固有のタグIDを送信する。たとえば、送信機T1aはタグIDとして「001」を表す信号を送信し、送信機T2aはタグIDとして「002」を表す信号を送信する。
このような微弱無線送信タグの構成は周知であり、市販されている微弱無線送信タグを用いることができる。微弱無線送信タグは、たとえば0.5秒間隔で定期的にタグIDを送信する。なお、本明細書において「微弱無線」とは、電波法に規定される微弱無線をいう。
【0012】
紛失監視装置10は、演算手段20、記憶手段30および受信機40を含む。受信機40は微弱無線によって送信される信号を受信可能であり、本実施形態ではタグIDを受信する。また、受信機40は受信したタグIDを演算手段20に受け渡す。さらに、受信機40は、タグIDが送信されている電波強度を検出可能であり、演算手段20は、微弱無線送信タグが受信機40から(すなわち紛失監視装置10から)所定の距離範囲内にあるか否か(たとえば3m以内にあるか否か)を電波強度に基づいて判定することができる。
【0013】
なお、本明細書において、「タグIDを受信する」とは、次の2通りの状況のいずれかを表しているが、これらは適宜交換可能である。
‐電波強度によらず、タグIDを識別できる状態で受信した場合。
‐3mの距離に相当する電波強度以上の電波強度で、タグIDを受信した場合。
たとえば、本実施形態では、紛失監視には後者の基準を用い、探索には前者の基準を用いているが、変形例として、紛失監視に前者の基準を用いてもよく、また探索に後者の基準を用いてもよい。
【0014】
演算手段20は、プログラムに従って動作するマイクロプロセッサである。記憶手段30はたとえば半導体メモリによって構成され、RAM、フラッシュROMおよび外部EP−ROMを含む。
記憶手段30には紛失監視装置10の動作を制御する制御プログラム(図示せず)が記憶されており、演算手段20がこの制御プログラムを実行することにより、紛失監視装置10はその機能を実現する。本実施形態では、演算手段20はモード制御手段21、紛失監視手段22、探索手段23、登録追加手段24、登録表示手段25、登録削除手段26および動作ログ出力手段27として機能する(これらの動作については後述する)。
【0015】
記憶手段30は、ID登録部31、紛失状態記憶部32、最終受信時刻記憶部33および動作ログ記憶部34を含む。ID登録部31は、監視対象として指定された複数の微弱無線送信タグのタグIDを記憶可能であり、たとえば001,002,…,010の10個のタグIDを記憶する。ID登録部31はフラッシュROM内に配置され、紛失監視装置10の電源がオフになっている状態でも情報を保持する。
紛失状態記憶部32は、ID登録部31に記憶されたタグIDのそれぞれについて、そのタグIDに関連付けられた微弱無線送信タグが紛失しているか否かを表す紛失状態を記憶する。紛失状態は、たとえばタグIDごとに1ビットのフラグによって表すことができる。
【0016】
最終受信時刻記憶部33は、ID登録部31に記憶されたタグIDのそれぞれについて、受信機40が最後にそのタグIDを受信した時刻(最終受信時刻)を記憶する。時刻はたとえば周知のクロック(図示せず)から得ることができる。クロックから得られる現在時刻から、最終受信時刻を減算することにより、最終受信時刻からの経過時間が算出可能である。
動作ログ記憶部34は、紛失監視装置の動作ログを記憶する。
【0017】
また、図1〜図4に示すように、紛失監視装置10は、入出力インタフェースとして、USBコネクタ50、操作入力部60、LCDパネル70、ブザー80、LEDランプ90および91、ならびに充電用DCコネクタ92を備える。
【0018】
USBコネクタ50は、紛失監視装置10が他のコンピュータと通信するための入出力コネクタである。演算手段20は、このUSBコネクタ50を介して他のコンピュータと通信可能である。
操作入力部60は、紛失監視装置10の使用者が操作のための命令を入力するための入力インタフェースである。操作入力部60はたとえば複数の操作キーによって構成される。本実施形態では、操作入力部60は選択ボタン61、決定ボタン62およびキャンセルボタン63を含む。
LCDパネル70は、紛失監視装置10が使用者に対して視覚的に情報を出力するために使用する表示画面(液晶パネル)である。
ブザー80は、紛失監視装置10が使用者に対して聴覚的に情報を出力するために使用する音声出力装置である。
選択ボタン61は、バッテリ(たとえば充電式リチウムイオン電池、図示せず)から紛失監視装置10全体への電源供給を制御する電源ボタンを兼ねる。これはたとえば選択ボタン61を長押しすることによって実現される。すなわち、選択ボタン61を押した状態を所定時間維持することにより、電源供給が開始されまたは遮断される。
充電用DCコネクタ92は、外部の充電用電源からバッテリに電力を供給するために用いられる。LEDランプ91および92は、充電状態を表示するために用いられる。LEDランプ91および92は、たとえば一方が緑色であり、他方が赤色である。
【0019】
図5は、紛失監視装置10の動作モードと、各動作モード間の遷移関係とを示す図である。紛失監視装置10は、図5に示す各動作モードのいずれかで選択的に動作可能である。電源が投入された直後は、紛失監視装置10は紛失監視モードM2で動作する。
各動作モードにおける紛失監視装置10の動作を、図6〜図12を用いて以下に説明する。
【0020】
図6は、メインメニュー表示モードM1においてLCDパネル70に表示される画面の例である。メインメニュー表示モードM1では、モード制御手段21が機能し、紛失監視モードM2、探索モードM3およびメンテナンスメニュー表示モードM4との間のモード切替を行う。メインメニュー表示モードM1において、使用者は操作入力部60を操作して命令を入力し、紛失監視モードM2、探索モードM3またはメンテナンスメニュー表示モードM4に遷移させることができる。
【0021】
図6の画面では、紛失監視装置10がメインメニュー表示モードM1にあることを示す「メインメニュー」という表示と、遷移先モード候補として紛失監視モードM2が指定されていることを表す「フンシツカンシ」という表示がなされている。モード制御手段21は、選択ボタン61が操作されると遷移先モード候補を変更し、決定ボタン62が操作されると紛失監視装置10をその時点で指定されていた遷移先モード候補に遷移させる。
【0022】
たとえば、使用者は図6の画面から選択ボタン61を何度か操作することにより、遷移先モード候補をメンテナンスメニュー表示モードM4に変更し、その後に決定ボタン62を操作して紛失監視装置10をメインメニュー表示モードM1からメンテナンスメニュー表示モードM4に遷移させることができる。
なお、モード制御手段21は、紛失監視装置10のモードを切り替えるたびに、動作ログ記憶部34に切り替え時刻および切り替え先のモードを記録する。
【0023】
図7は、紛失監視モードM2においてLCDパネル70に表示される画面の例である。紛失監視モードM2では紛失監視手段22が機能し、紛失していない微弱無線送信タグの紛失を監視する。なお、他のモードから紛失監視モードM2に遷移する際、紛失監視手段22は紛失状態記憶部32に記憶されている紛失状態をすべてのタグIDについてクリアする(すなわち、いずれの鍵も紛失していない状態とする)。
【0024】
図7(a)は紛失監視モードM2における通常時すなわち鍵が紛失していない状態の画面であり、紛失鍵がないことを表す表示がなされている。図7(b)および図7(c)は鍵が紛失している状態の画面であり、いずれかの鍵が紛失していることを表す表示がなされている。とくに、図7(b)では紛失している鍵の数(この例では2個)が表示され、図7(c)では紛失している鍵の1つ(この例では1番目に登録された鍵)に関連付けられたタグIDが表示されている。
【0025】
紛失監視モードM2において、紛失監視手段22は、受信機40を介し、微弱無線によって微弱無線送信タグのタグIDを受信する。3mの距離に相当する電波強度以上の電波強度でタグIDを受信すると、紛失監視手段22は、受信したタグIDがID登録部31に記憶されているタグIDの1つと一致するか否かを判定し、一致する場合には最終受信時刻記憶部33を更新する。すなわち、そのタグIDと受信時刻とを関連付けて最終受信時刻記憶部33に記憶する。このようにして、最終受信時刻記憶部33に記憶されている受信時刻は、常にそのタグIDについての最終受信時刻となる。
【0026】
また、紛失監視モードM2において、紛失監視手段22は、紛失していない微弱無線送信タグのそれぞれについて、随時、最終受信時刻からの経過時間を算出する。そして、経過時間が所定の値(たとえば15秒)よりも大きい場合、その微弱無線送信タグが紛失したと判定して紛失警報を発する。紛失警報として、図7(b)および図7(c)に示す「カギヲフンシツシテイマス」という警報文による画面表示と、ブザー80からの警報音声出力とがなされる。また、紛失監視手段22は、紛失したと判定した微弱無線送信タグについて、その微弱無線送信タグが紛失していることを紛失状態記憶部32に記憶する。さらに、紛失監視手段22は、微弱無線送信タグが紛失したと判定するたびに、微弱無線送信タグが紛失したことを表す情報と、紛失した微弱無線送信タグのタグIDと、紛失した時刻とを動作ログ記憶部34に記録する。
【0027】
たとえば、鍵を紛失していない状態において、使用者が鍵K1を置き忘れ、3m以上離れると、受信機40はタグID「001」を受信できなくなる。そのまま15秒以上が経過すると、紛失監視手段22は微弱無線送信タグT1が紛失したと判定し、紛失警報を発することになる。
【0028】
また、紛失監視手段22は、紛失監視モードM2において、いずれかの鍵が紛失している場合、選択ボタン61が操作されると画面表示を切り替える。図7(b)の状態で選択ボタン61が操作されると、図7(c)のように紛失している微弱無線送信タグのタグIDを表示する(複数紛失している場合には選択ボタン61の操作に応じて順次表示する)。また、図7(c)の状態(複数紛失している場合には最後のタグIDが表示されている状態)で選択ボタン61が操作されると、図7(b)の表示に戻す。
【0029】
また、紛失監視手段22は、紛失監視モードM2においてキャンセルボタン63が操作されると、紛失監視装置10をメインメニュー表示モードM1に遷移させる。この際、紛失警報が発報されている状態であれば、紛失警報を停止する。すなわち、ブザー80からの警報音声出力を停止する。
【0030】
また、紛失監視手段22は、紛失警報が発報されている状態において、すべての微弱無線送信タグが発見された場合にも紛失警報を停止する。たとえば、紛失状態となった微弱無線送信タグのタグIDを再び受信した場合にはその微弱無線送信タグが紛失していないことを紛失状態記憶部32に記憶し、すべての微弱無線送信タグが紛失していない状態になると、紛失警報を停止する。この場合には、ブザー80からの警報音声出力を停止するとともに、LCDパネル70から警報文の表示を消去して画面表示を図7(a)のものに切り替える。
【0031】
図8は、探索モードM3においてLCDパネル70に表示される画面の例である。探索モードM3では探索手段23が機能し、紛失している微弱無線送信タグの探索を行い、発見を監視する。
図8(a)は探索モードM3における通常時すなわち紛失している鍵が発見されていない状態の画面であり、発見された鍵がないことを表す表示がなされている。(この例では「フンシツカギタンサクチュウ」という表示をもっていずれの鍵も未発見であることを表している)
【0032】
図8(b)および図8(c)は鍵を発見した状態の画面であり、紛失した鍵のいずれかを発見したことを表す表示がなされている。とくに、図8(b)では発見した鍵の数が表示され、図8(c)では発見した鍵の1つ(この例では2番目に登録された鍵)に関連付けられたタグIDが表示されている。
【0033】
探索モードM3において、探索手段23は、受信機40を介し、微弱無線によって微弱無線送信タグのタグIDを受信する。タグIDを受信すると、探索手段23は、受信したタグIDが紛失状態記憶部32に紛失したと記憶されているタグIDのいずれかと一致するか否かを判定し、一致する場合には、その微弱無線送信タグが発見されたと判定して発見警報を発する。発見警報として、図8(b)および図8(c)に示す「フンシツカギヲケンチシマシタ」という警報文による画面表示と、ブザー80からの警報音声出力とがなされる。なお、発見警報に係る警報音声出力は、紛失警報に係る警報音声出力と同じものでもよく、異なるものであってもよい。発見警報に係る警報音声出力は、たとえば1秒間継続した後に停止する。
【0034】
また、探索手段23は、発見したと判定した微弱無線送信タグについて、その微弱無線送信タグが紛失していないことを紛失状態記憶部32に記憶する。さらに、探索手段23は、微弱無線送信タグを発見したと判定するたびに、微弱無線送信タグを発見したことを表す情報と、発見した微弱無線送信タグのタグIDと、発見した時刻とを動作ログ記憶部34に記録する。
【0035】
たとえば、タグID「001」の鍵K1を紛失している状態において、使用者が置き忘れた鍵K1を取りに戻り、受信可能範囲内に近づくと、受信機40はタグID「001」を受信する。これに応じて探索手段23は微弱無線送信タグT1を発見したと判定し、発見警報を発することになる。
【0036】
また、探索手段23は、探索モードM3において、いずれかの鍵を発見している場合、選択ボタン61が操作されると画面表示を切り替える。図8(b)の状態で選択ボタン61が操作されると、図8(c)のように発見した微弱無線送信タグのタグIDを表示する(複数発見している場合には選択ボタン61の操作に応じて順次表示する)。また、図8(c)の状態(複数発見している場合には最後のタグIDが表示されている状態)で選択ボタン61が操作されると、図8(b)の表示に戻す。
【0037】
また、探索手段23は、探索モードM3においてキャンセルボタン63が操作されると、紛失監視装置10をメインメニュー表示モードM1に遷移させる。この際、発見警報が発報されている状態であれば、発見警報を停止する。すなわち、ブザー80からの警報音声出力を停止する。
【0038】
図9は、メンテナンスメニュー表示モードM4においてLCDパネル70に表示される画面の例である。メンテナンスメニュー表示モードM4では、モード制御手段21が機能し、メインメニュー表示モードM1、登録追加モードM5、登録ID表示モードM6および登録ID全削除モードM7との間のモード切替を行う。メンテナンスメニュー表示モードM4において、使用者は操作入力部60を操作して命令を入力し、メインメニュー表示モードM1、登録追加モードM5、登録ID表示モードM6または登録ID全削除モードM7に遷移させることができる。
【0039】
図9の画面では、紛失監視装置10がメンテナンスメニュー表示モードM4にあることを示す「メンテナンスメニュー」という表示と、遷移先モード候補として登録追加モードM5が指定されていることを表す「カンシカギトウロク」表示がなされている。モード制御手段21は、選択ボタン61が操作されると遷移先モード候補を変更し、決定ボタン62が操作されると紛失監視装置10をその時点で指定されていた遷移先モード候補に遷移させる。
【0040】
たとえば、使用者は図9の画面から選択ボタン61を何度か操作することにより、遷移先モード候補を登録ID全削除モードM7に変更し、その後に決定ボタン62を操作して紛失監視装置10を登録ID全削除モードM7に遷移させることができる。
また、モード制御手段21は、メンテナンスメニュー表示モードM4においてキャンセルボタン63が操作されると、紛失監視装置10をメインメニュー表示モードM1に遷移させる。
【0041】
図10は、登録追加モードM5においてLCDパネル70に表示される画面の例である。登録追加モードM5では登録追加手段24が機能し、ID登録部31に記憶されるタグIDの追加を行う。
図10(a)は、登録追加モードM5における初期表示画面であり、ID登録部31に記憶すべきタグIDの追加を受け付けている状態の画面である。この状態において、受信機40がなんらかのタグIDを受信した場合、そのタグIDについて次の2つの登録条件の双方が満たされると、登録変更手段24はそのタグIDを登録候補として受け付ける。
‐登録条件1:そのタグIDが未登録である(すなわち、ID登録部31に記憶されておらず、かつ登録候補にも含まれていない)。
‐登録条件2:そのタグIDが送信される電波強度が、3mの距離に相当する強度以上である。
登録追加手段24は、登録候補に含まれているタグIDの数を「トウロクカギスウ」として表示する。すなわち、この画面には、3m以内に置かれている未登録の微弱無線送信タグの総数が表示されることになる。図10(a)の例では、登録候補として10個のタグIDを受け付けられている。
【0042】
図10(a)の状態において、決定ボタン62が操作されると、登録追加手段24は画面表示を図10(b)に示すものに切り替える。また、キャンセルボタン63が操作されると、登録追加手段24は紛失監視装置10をメンテナンスメニュー表示モードM4に遷移させる。
【0043】
図10(b)は、登録候補として受け付けたタグIDをID登録部31に記憶するか否かの確認を求めている状態の画面である。登録候補の総数が表示されている。この状態において、決定ボタン62が操作されると、登録追加手段24は、登録候補のタグIDをすべてID登録部31に追加記憶する。また、登録追加手段24は、新たなタグIDが追加記憶されたことを表す情報と、追加されたタグIDと、追加した時刻とを動作ログ記憶部34に記録する。その後、登録追加手段24は紛失監視装置10をメンテナンスメニュー表示モードM4に遷移させる。
【0044】
なお、図10(b)の状態において、キャンセルボタン63が操作されると、登録追加手段24は、画面表示を図10(a)に示すものに切り替え、記憶すべきタグIDの追加を受け付ける状態に戻る。
【0045】
図11は、登録ID表示モードM6においてLCDパネル70に表示される画面の例である。登録ID表示モードM6では登録表示手段25が機能し、ID登録部31に記憶されるタグIDの表示を行う。
【0046】
図11(a)は、ID登録部31に少なくとも1つのタグIDが記憶されている場合に表示される画面である。タグIDが複数記憶されている場合には、選択ボタン61の操作に応じてタグIDが順次表示される。
図11(b)は、ID登録部31にいかなるタグIDも記憶されていない場合に表示される画面である。
登録ID表示モードM6において、キャンセルボタン63が操作されると、登録表示手段25は紛失監視装置10をメンテナンスメニュー表示モードM4に遷移させる。
【0047】
図12は、登録ID全削除モードM7においてLCDパネル70に表示される画面の例である。登録ID全削除モードM7では登録削除手段26が機能し、ID登録部31に記憶されているタグIDの削除を行う。
登録ID全削除モードM7(すなわち図12の画面が表示されている状態)において、決定ボタン62が操作されると、登録削除手段26はID登録部31に記憶されたタグIDをすべて削除する。また、登録削除手段26は、タグIDがすべて削除されたことを表す情報と、削除された時刻とを動作ログ記憶部34に記録する。その後、登録削除手段26は紛失監視装置10をメンテナンスメニュー表示モードM4に遷移させる。
【0048】
また、登録ID全削除モードM7においてキャンセルボタン63が操作されると、登録削除手段26はタグIDを削除することなく、紛失監視装置10をメンテナンスメニュー表示モードM4に遷移させる。
【0049】
また、紛失監視装置10はUSBコネクタ50を介して他のコンピュータ(図示せず)と通信可能である。たとえば、動作ログ出力手段27は、動作ログ記憶部34に記憶されている動作ログをUSBコネクタ50を介して出力し、他のコンピュータに送信することができる。この際の操作は、操作入力部60を用いて行うものとして当業者が適宜設計すればよい。なお、動作ログの出力は、たとえばメンテナンスメニュー表示モードM4において行うことができるが、動作ログ出力用のモードが設けられてもよく、また動作ログ出力用のモードはメンテナンスメニュー表示モードM4から遷移可能であってもよい。
【0050】
以上のように動作する紛失監視装置10を用いて、次のようにして監視対象の物品(たとえば鍵)の紛失を監視することができる。
使用者は、あらかじめ鍵および微弱無線送信タグを用意し、図1の例のようにこれらを結びつけておく。鍵は1つでも良いし、複数でもよい。複数の場合には鍵と微弱無線送信タグとを一対一に対応付けて結びつける。また、紛失監視装置10を登録ID全削除モードM7(図12)に切り替え、登録内容をすべて削除する。
【0051】
次に、使用者は紛失監視装置10を登録追加モードM5(図10)に切り替え、鍵を紛失監視装置10の周囲3m以内に置いてタグIDを登録する。その後、使用者は紛失監視装置10を紛失監視モードM2(図7)に切り替える。ここで鍵の紛失の監視が開始される。
この状態で使用者は紛失監視装置10および鍵を持ち歩く。鍵の紛失がない場合には警報の発報もなく、鍵は使用後に元の場所に返却される。いずれかの鍵から3m以上離れた場合には紛失警報が発報され、使用者は鍵の紛失に気づくことができる。
【0052】
紛失監視装置10を紛失監視モードM2にしないまま鍵を紛失した等の事情により、鍵の所在が不明となった場合には、使用者は紛失監視装置10を探索モードM3(図8)に切り替え、鍵を紛失した心当たりのある場所の探索を開始する。紛失した鍵のタグIDを受信可能な範囲内に入ると、紛失監視装置10は発見警報を発報し、使用者は鍵が近くにあることを知ることができるので、探索が容易になる。
【0053】
さらに、日によって持ち歩く鍵が異なる等の理由から、監視する鍵を変更したい場合には、紛失監視装置10を登録ID全削除モードM7(図12)に切り替えて登録内容をすべて削除した後、改めて登録追加モードM5(図10)に切り替えて必要な鍵を登録しなおせばよい。
【0054】
このように、本発明に係る紛失監視装置10は、単に微弱無線送信タグの紛失を監視するのみならず、ID登録部31の内容を変更する登録追加手段24および登録削除手段26を備えるので、監視対象の微弱無線送信タグを任意に変更することができ、また、微弱無線送信タグの発見を監視する探索手段23を備えるので、微弱無線送信タグが紛失した場合にこれを探索することができる。
【0055】
なお、実施の形態1では、紛失警報および発見警報は画面表示および音声出力によってなされるが、さらに振動および無線送信によってなされてもよい。たとえば、紛失監視装置は周知の振動発生装置によって紛失監視装置全体を振動させ、これを持ち運ぶ使用者に対して警報を発してもよく、また、紛失監視装置は周知の送信機によって所定の受信装置に警報を発し、受信装置がこれを受信して使用者に報知してもよい。
また、紛失警報および発見警報は、画面表示、音声出力、振動、無線送信の少なくとも1つによってなされればよい。
【0056】
また、実施の形態1では監視対象の物品を鍵としたが、これは微弱無線送信タグを取り付けることができる物品であれば鍵でなくともよい。
【0057】
また、実施の形態1では、登録追加手段24は受信機40が受信したタグIDのみをID登録部31に追加するが、追加すべきタグIDは他の方法によって指定されてもよい。たとえば、他のコンピュータからUSBコネクタ50を介してタグID(1つまたは複数)を受信し、これをID登録部31に追加してもよい。
このようにすると、持ち出す予定の物品に対応するタグIDのリストを他のコンピュータで作成し、これを紛失監視装置10に転送して登録し、その直後に紛失監視モードM2にすることにより、持ち出す予定の物品がすべて揃っているかどうかその場で確認することができ、作業ミスを防止することができる。
【0058】
また、実施の形態1では、登録ID全削除モードM7において、登録削除手段26は、紛失状態記憶部32に記憶されたタグIDをすべて一括して削除するが、変形例として、個別に削除を行えるものであってもよい。たとえば、選択ボタン61の操作に応じて削除すべきタグIDの候補を選択し、選択されているタグIDを決定ボタン62の操作に応じてID登録部31から削除してもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 紛失監視装置、20 演算手段(21 モード制御手段、22 紛失監視手段、23 探索手段、24 登録追加手段、25 登録表示手段、26 登録削除手段、27 動作ログ出力手段)、30 記憶手段(31 ID登録部、32 紛失状態記憶部、33 最終受信時刻記憶部、34 動作ログ記憶部)、40 受信機、50 USBコネクタ、60 操作入力部(61 選択ボタン、62 決定ボタン、63 キャンセルボタン)、70 LCDパネル、80 ブザー、90および91 LEDランプ、92 充電用DCコネクタ、K1,K2 鍵、T1,T2 微弱無線送信タグ、T1a,T2a 送信機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有のタグIDを送信する微弱無線送信タグの紛失を監視する、紛失監視装置であって、
微弱無線によって前記タグIDを受信する受信機と、
複数の前記タグIDを記憶可能なID登録部と、
前記ID登録部に記憶されるタグIDを追加する登録追加手段と、
前記ID登録部に記憶されたタグIDを削除する登録削除手段と、
前記ID登録部に記憶されたタグIDのそれぞれについて、そのタグIDを送信する微弱無線送信タグが紛失しているか否かを記憶する紛失状態記憶部と、
紛失していない微弱無線送信タグのそれぞれについて、その微弱無線送信タグの紛失を監視するとともに、前記紛失に応じて紛失警報を発する、紛失監視手段と、
を備える、紛失監視装置。
【請求項2】
前記紛失監視装置は、探索手段をさらに備え、
前記探索手段は、紛失している微弱無線送信タグのそれぞれについて、その微弱無線送信タグの発見を監視するとともに、前記発見に応じて発見警報を発する
請求項1に記載の紛失監視装置。
【請求項3】
前記紛失している微弱無線送信タグいずれかの前記タグIDを前記受信機が受信した場合に、前記探索手段は、そのタグIDを送信する微弱無線送信タグが発見されたと判定する、請求項2に記載の紛失監視装置。
【請求項4】
前記紛失監視装置は、前記タグIDのそれぞれについて、前記受信機が最後にタグIDを受信した最終受信時刻を記憶する、最終受信時刻記憶部をさらに備え、
前記紛失していない微弱無線送信タグのタグIDのいずれかについて、前記最終受信時刻からの経過時間が所定の値より大きくなった場合に、前記紛失監視手段は、そのタグIDを送信する微弱無線送信タグが紛失したと判定する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の紛失監視装置。
【請求項5】
前記登録追加手段は、前記受信機が受信したタグIDを追加し、
前記登録削除手段は、所定の操作に応じて前記タグIDを削除する
請求項1〜4のいずれか一項に記載の紛失監視装置。
【請求項6】
前記紛失監視装置は、紛失監視モード、探索モード、登録追加モードおよび登録削除モードを含む複数の動作モードのいずれかで選択的に動作可能であり、
前記登録追加手段は前記登録追加モードにおいて機能し、
前記登録削除手段は前記登録削除モードにおいて機能し、
前記紛失監視手段は前記紛失監視モードにおいて機能し、
前記探索手段は前記探索モードにおいて機能する
請求項2〜5のいずれか一項に記載の紛失監視装置。
【請求項7】
前記紛失警報は、画面表示、音声出力、振動、無線送信の少なくとも1つによって実現される
請求項1〜6のいずれか一項に記載の紛失監視装置。
【請求項8】
前記紛失監視装置の動作ログを他のコンピュータに送信する動作ログ出力手段をさらに備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の紛失監視装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−54659(P2013−54659A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193926(P2011−193926)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000162320)協栄産業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】