説明

紫外線吸収性コンタクトレンズの製造に適したプレポリマー

本発明は、(1)エチレン性不飽和基、ならびに(2)UV吸収性ポリマー単位、潜在性UV吸収性ポリマー単位及び/又は二重光機能性ポリマー単位を含む、化学線架橋性シリコーン含有プレポリマーのクラスを提供する。本発明のプレポリマーは、UV/可視放射線を吸収することができる、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造に使用することができる。本発明はまた、本発明のプレポリマーから製造されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、ならびにコンタクトレンズを費用効果的かつ元のレンズの設計に対して高い一貫性及び高い忠実度で製造する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線(UV)吸収性の部分を含むシリコーン含有プレポリマーのクラス、及びそれを製造する方法に関する。加えて、本発明は、このクラスのシリコーン含有プレポリマーから製造される、UV吸収性シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに関する。
【0002】
背景
市販のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの大部分は、使い捨てのプラスチックの型及びマクロマーの存在下又は非存在下でのモノマーの混合物を使用することを含む、従来のキャスト成形技術により製造されている。しかしながら、使い捨てのプラスチック型は、製造工程の変動(温度、圧力、材料特性)の結果、プラスチック型の射出成形中に型の寸法に変動が発生することがあり得、更に、その結果生じる型が射出成形の後に非一様な収縮を受けることがありうるため、本質的に不可避な寸法の変動を有する。型におけるこれらの寸法変化は、製造されるコンタクトレンズのパラメータ(ピーク屈折率、直径、基本曲線、中心厚み等)の変動及び複雑なレンズ設計の複製における低い忠実性につながりうる。
【0003】
従来のキャスト成形技術において直面するこのような欠点は、それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる、米国特許第5,508,317号、第5,789,464号、第5,849,810号及び第6,800,225号において説明されているとおりの、いわゆるLightstream Technology(登録商標)(CIBA Vision)を使用することにより克服することができる。Lightstream Technology(登録商標)は、(1)典型的にはエチレン性不飽和基を有する一種以上の実質的に精製したプレポリマーの溶液であり、一般的にモノマー及び低分子量の架橋剤を実質的に含まない、レンズ形成組成物、(2)高い精度で製造された再利用可能な型及び(3)化学線(例えばUV)照射の空間的限定の下で硬化することを伴う。Lightstream Technology(登録商標)に従って製造されたレンズは、再利用可能で高い精度の型を使用するので、元のレンズ設計に対して高い一貫性及び高い忠実度を有しうる。加えて、高い品質を備えたコンタクトレンズを、短い硬化時間及び高い製造収率ゆえに、相対的に低い費用で製造することができる。
【0004】
しかしながら、Lightstream Technology(登録商標)によってUV吸収性シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造することに適した、化学線架橋性のシロキサン含有プレポリマーは存在しない。したがって、そのようなプレポリマーに対する需要が未だ存在する。
【0005】
発明の概要
一つの態様において、本発明は、架橋してUV吸収性又は遮断性シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成することができる、化学線架橋性プレポリマーを提供する。本発明のプレポリマーは、プレポリマーの分岐鎖状コポリマー鎖中に、(1)少なくとも一種のポリシロキサン含有架橋剤に由来する架橋性ポリシロキサンポリマー単位;(2)一種以上の親水性ビニルモノマーに由来する親水性ポリマー単位;(3)UV吸収性ポリマー単位、潜在性UV吸収性ポリマー単位又は二重光機能性ポリマー単位(ここで、UV吸収性ポリマー単位は、重合性UV吸収剤に由来し、潜在性UV吸収性ポリマー単位は、重合性潜在性UV吸収剤に由来し、二重光機能性ポリマー単位は、光開始部分及びUV吸収又は潜在性UV吸収性部分を有する重合性化合物に由来する);(4)場合により、一種以上のモノエチレン性官能基化ポリシロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマーに由来するつり下がったポリシロキサンポリマー単位(ここで、つり下がったポリシロキサン単位は、エチレン性不飽和基を有さない);及び(5)場合により、少なくとも一種のシロキサン含有ビニルモノマーに由来するシロキサンポリマー単位を含み、ここで、前記プレポリマーは、三つ以上のエチレン性不飽和基を含み、溶媒に可溶性であり溶液を形成し、そして一種以上のモノマーの非存在下で化学線的に架橋することができ、シリコーンヒドロゲル材料を形成する。
【0006】
他の態様において、本発明は、本発明の化学線架橋性プレポリマーを含むレンズ形成材料から製造されるUV吸収性シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。
【0007】
さらなる態様において、本発明は、本発明の化学線架橋性プレポリマーからUV吸収性シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する方法を提供する。
【0008】
本発明はまた、本発明の化学線架橋性プレポリマーを調製する方法を提供する。
【0009】
本発明の実施態様の詳細な説明
特に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で用いる命名法及び実験手順は、当技術分野において周知であり、一般的に使用されている。当技術分野において及び種々の一般的な参考文献で提供されるような従来の方法が、これらの手順で用いられる。用語が単数で与えられている場合、本発明者らはその用語の複数形も想定している。一般に、本明細書で用いる命名法及び後述する実験手順は、当技術分野において周知であり、一般的に使用されているものである。
【0010】
「ヒドロゲル」又は「ヒドロゲル材料」は、完全に水和した(fully hydrated)場合、少なくとも10重量%の水を吸収することができるポリマー材料を指す。
【0011】
「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも一種のシリコーン含有ビニルモノマー又は少なくとも一種のシリコーン含有ビニルマクロマー又は少なくとも一種の架橋性シリコーン含有プレポリマーを含む重合性組成物の共重合によって得られる、シリコーンを含有するヒドロゲルを指す。
【0012】
本明細書で用いる「ビニルモノマー」は、一つのエチレン性不飽和基を有し、かつ化学線的に又は熱的に重合することができるモノマーを指す。
【0013】
用語「オレフィン性不飽和基」又は「エチレン性不飽和基」は、本願明細書で広義に使用され、>C=C<基を含有するあらゆる基を包含することを意図する。エチレン性不飽和基の例としては、非限定的に、下記:
【化1】


スチレニル又は他のC=C含有基を含む。
【0014】
重合性組成物、プレポリマーもしくは材料を硬化、架橋又は重合させることに関して、本願明細書において用いられる「化学線的に」は、硬化(例えば架橋及び/又は重合)を、化学線照射、例えばUV/可視光照射、電離放射線(例えばγ線又はX線照射)、マイクロ波照射などにより行うことを意味する。熱硬化又は化学線硬化法は当業者に周知である。
【0015】
本明細書で用いる用語「流体」は、材料が液体のように流れることができることを示す。
【0016】
「親水性ビニルモノマー」は、重合させて、水溶性であるか又は少なくとも10重量%の水を吸収することができるポリマーを形成することができるビニルモノマーを指す。
【0017】
本明細書で用いる「疎水性ビニルモノマー」とは、重合させて、水に溶解せず、かつ吸収できる水が10重量%未満のポリマーを形成するビニルモノマーを指す。
【0018】
「ビニルマクロマー」又は「マクロマー」は、化学線的に重合することができ、一つ以上のエチレン性不飽和基を含むマクロマーを指す。中及び高分子量とは、典型的には700ダルトンより大きい平均分子量を指す。
【0019】
「プレポリマー」は、一つ以上のエチレン性不飽和基を含有し、かつ化学線的に硬化(例えば架橋)して、出発ポリマーよりはるかに高い分子量を有する架橋ポリマーを得ることができる出発ポリマーを指す。
【0020】
「シリコーン含有プレポリマー」は、シリコーンを含有し、かつ化学線的に重合して、出発ポリマーよりはるかに高い分子量を有する架橋ポリマーを得ることができるプレポリマーを指す。
【0021】
本明細書で用いるポリマー材料(モノマー又はマクロマー材料を含む)の「分子量」は、他に特記しない限り又は他に試験条件を示さない限り、重量平均分子量を指す。
【0022】
「ポリマー」は、一種以上のモノマーを重合させることによって形成される材料を意味する。
【0023】
本明細書で用いる、コポリマー又は化合物に関しての用語「エチレン性官能基化」とは、一つ以上の化学線的に架橋可能な基が、カップリング工程によって、コポリマー又は化合物のペンダント又は末端官能基を介して、コポリマー又は化合物に共有結合されていることを表示することを意図する。
【0024】
本明細書において用いられる用語「多数の」は、3以上を指す。
【0025】
「化学線の空間的限定」とは、エネルギー放射を、光線の形態で、例えば、マスク又はスクリーン又はこれらの組み合わせにより方向づけて、空間的に限定された方法で、明確に画定された周囲の境界を有する領域上へ当てる、行為又は工程を指す。UV/可視放射線の空間的限定は、米国特許第6,800,225号(図1〜11)、第6,627,124号(図1〜9)、第7,384,590号(図1〜6)及び第7,387,759号(図1〜6)(それらの全体は全て参照により本明細書に組み込まれる)の図面において概略的に説明されているように、放射線(例えばUV)透過性領域、放射線透過性領域を囲んでいる放射線(例えばUV)不透過性領域、及び放射線不透過性及び放射線透過性領域間の境界線である投影輪郭を有するマスク又はスクリーンを用いることにより得られる。マスク又はスクリーンは、マスク又はスクリーンの投影輪郭によって画定される横断面(cross-sectional profile)を有する放射線(例えばUV/可視放射線)のビームを空間的に投影することを可能にする。放射線(例えばUV/可視放射線)の投影ビームは、レンズ成形型の第一の成形面から第二の成形面まで、投影ビームの経路に位置するレンズ形成材料に当たる放射線(例えばUV/可視放射線)を制限する。得られるコンタクトレンズは、第一の成形面により画定される前面、第二の成形面により画定される反対側の後面及び投影UV/可視ビームの横断面(sectional profile)によって画定されるレンズの端を含む(すなわち放射線の空間的限定)。架橋に使用する放射線は、放射エネルギー、特にUV/可視放射線、γ放射線、電子放射線又は熱放射であり、放射エネルギーは好ましくは、一方では良好な制限を、そしてもう一方ではエネルギーの効率的利用を達成するために、実質的に平行なビームの形態である。
【0026】
従来のキャスト成形工程において、成形型の第一及び第二の成形面は、得られるコンタクトレンズの端を定める円周接触線を形成するために、互いに押圧される。成形面の密な接触が成形面の光学的品質に損傷を与えることがありうるので、型は再利用することができない。これに対して、Lightstream Technology(登録商標)において、得られるコンタクトレンズの端は、成形型の成形面の接触によって画定されないが、その代わりに放射線の空間的限定によって画定される。成型型の成形面の間のいかなる接触もなく、該型は、高い再現性をもって高品質のコンタクトレンズを繰り返し製造するために用いることができる。
【0027】
レンズに関する「可視性色付け」は、使用者が、レンズ貯蔵、消毒又は容器洗浄の間、透明溶液の中でレンズを容易に見つけることができるようにするための、レンズの染色(又は着色)を意味する。染料及び/又は顔料をレンズの可視性色付けに使用できることは、当技術分野において周知である。
【0028】
「染料」は、溶媒又はレンズ形成用流体材料に可溶性であり、色を付与するために使用される物質を意味する。染料は、典型的には半透明であり、光を吸収するが、散乱はさせない。
【0029】
「顔料」は、それが不溶性である液体(例えばレンズ形成用流体材料)の中で懸濁する粉末状の物質を意味する。
【0030】
本明細書で用いられる「抗菌剤」は、その用語が当技術分野において知られてように、微生物の増殖を低減又は排除又は阻害することができる化学物質を指す。抗菌剤の好ましい例は、非限定的に、銀塩、銀錯体、銀ナノ粒子、銀含有ゼオライト等を含む。
【0031】
「銀ナノ粒子」は、本質的に銀金属でできており、そして1マイクロメートル未満のサイズを有する粒子を指す。
【0032】
「重合性UV吸収剤」は、当業者によって理解されるように、エチレン性不飽和基及び200nmから400nmまでの範囲のUV/可視放射線を吸収するか又は排除することができるUV吸収部分を含む化合物を指す。
【0033】
「重合性潜在性UV吸収剤」は、エチレン性不飽和基を含み、かつ200nmから400nmの波長領域のUV/可視放射線の吸光度が、保護された不安定な官能基のないUV吸収部分のものの約50%以下、好ましくは70%以下、より好ましくは90%以下となるように不安定な官能基によって保護されているUV吸収部分を含む化合物を指す。
【0034】
用語「不安定な官能基」は、任意の化学的手段によって保護官能基によって保護されている他の官能基から取り除く(開裂される)ことができる、保護官能基を意味する。
【0035】
材料固有の「酸素透過度」(Dk)は、酸素が材料を通過する速度である。本発明に従って、コンタクトレンズに関する用語「酸素透過度(Dk)」は、公知の方法によって測定される領域にわたってある平均厚さを有する試料(フィルム又はレンズ)について測定される、見かけの酸素透過度を意味する。酸素透過度は、通常barrerの単位で表され、ここで「barrer」は、[(cm酸素)(mm)/(cm)(秒)(mmHg)]×10−10として定義される。
【0036】
レンズ又は材料の「酸素透過率」(Dk/t)は、酸素が測定される領域にわたって平均厚さt(単位mm)を有する特定のレンズ又は材料を通過する速度である。酸素透過率は、通常barrer/mmの単位で表され、ここで「barrer/mm」は、[(cm酸素)/(cm)(秒)(mmHg)]×10−9と定義される。
【0037】
レンズを通る「イオン透過性」は、イオノフラックス拡散係数と相関する。イオノフラックス拡散係数D(単位[mm/分])は、以下の通りにフィックの法則を適用することによって決定される:
D=−n’/(A×dc/dx)
(式中、n’=イオン輸送の速度[mol/分];A=露出したレンズの面積[mm];dc=濃度差[mol/L];dx=レンズの厚さ[mm])。
【0038】
一般に、本発明は、UV吸収性ポリマー単位、潜在性UV吸収性ポリマー単位又は二重光開始性及び潜在性UV吸収性ポリマー単位を有する化学線架橋性シリコーン含有プレポリマーのクラスに関するものである。そのようなプレポリマーは、特にLightstream Technology(登録商標)(CIBA Vision)に従う、UV吸収特性を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造に使用することができる。
【0039】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する際の本発明のプレポリマーの使用に関連する、いくつかの可能性のある独特の特徴がある。第一に、本発明のプレポリマーは、秒の時間尺度で化学線により硬化して、より大きな放射線強度勾配によって生じる内部応力が無いか又は最小であるコンタクトレンズを製造することができる。強度勾配は、どれくらいの量の硬化に使用する光がレンズ製剤によって吸収されるかである。このように、本発明のプレポリマーは、相対的に低い費用かつ元のレンズ設計に対する高い一貫性及び高い忠実性で、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する際にLightstream Technology(登録商標)によって提供される利点を完全に活用することができる。第二に、UV吸収性コンタクトレンズを製造する際の本発明のプレポリマーの使用は、レンズから外へ浸出することができない高分子量プレポリマーの主鎖にUV吸収性部分が共有結合的に結合しているため、製造されたレンズの再現可能なUV吸収特性を確実にすることができる。
【0040】
一つの態様において、本発明は、架橋してUV吸収性又は遮断性シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成することができる、化学線架橋性プレポリマーを提供する。本発明のプレポリマーは、プレポリマーの分岐鎖状コポリマー鎖中に、(1)少なくとも一種のポリシロキサン含有架橋剤に由来する架橋性ポリシロキサンポリマー単位;(2)一種以上の親水性ビニルモノマーに由来する親水性ポリマー単位;(3)UV吸収性ポリマー単位、潜在性UV吸収性ポリマー単位又は二重光機能性ポリマー単位(ここで、UV吸収性ポリマー単位は、重合性UV吸収剤に由来し、潜在性UV吸収性ポリマー単位は、重合性潜在性UV吸収剤に由来し、二重光機能性ポリマー単位は、光開始部分及びUV吸収性又は潜在性UV吸収性部分を有する重合性化合物に由来する);(4)場合により、一種以上のモノエチレン性官能基化ポリシロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマーに由来するつり下がったポリシロキサンポリマー単位(ここで、つり下がったポリシロキサン単位は、エチレン性不飽和基を含まない);及び(5)場合により、少なくとも一種のシロキサン含有ビニルモノマーに由来するシロキサンポリマー単位を含み、ここで、前記プレポリマーは、一つ以上のエチレン性不飽和基を含み、溶媒に可溶性であり溶液を形成し、そして一つ以上のモノマーの非存在下で化学線的に架橋することができ、シリコーンヒドロゲル材料を形成する。
【0041】
ポリマー単位に関して用語「由来する」は、ポリマー単位が、ビニルモノマー又は架橋剤(すなわち、二つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物又はマクロマー又はポリマー)からエチレン性不飽和基を伴うフリーラジカル共重合反応において得られ、ポリマーの構造部分となることを意味する。
【0042】
「ポリシロキサン架橋剤」は、少なくとも二つのエチレン性不飽和基及び下記:
【化2】


[式中、R及びRは、独立して、一価のC−C10アルキル、一価のC−C10アミノアルキル、一価のC−C10ヒドロキシアルキル、C−C10エーテル、C−C10フルオロアルキル、C−C10フルオロエーテル又はC−C18アリールラジカル、トリメチルシロキシル、−alk−(OCHCH−OR(ここで、alkは、C−Cアルキレン二価ラジカルであり、Rは、水素又はC−Cアルキルであり、そしてmは、1〜10の整数である)であり;nは、2〜800の整数である]で示される二価ラジカルを含む化合物又はポリマーを指す。
【0043】
任意の適切なポリシロキサン架橋剤を、本発明に使用することができる。そのようなポリシロキサン架橋剤の例は、様々な分子量のジメタクリル化又はジアクリル化ポリジメチルシロキサン;炭酸ビニル末端ポリジメチルシロキサン;カルバミン酸ビニル末端ポリジメチルシロキサン;様々な分子量のビニル末端ポリジメチルシロキサン;メタクリルアミド末端ポリジメチルシロキサン;アクリルアミド末端ポリジメチルシロキサン;アクリラート末端ポリジメチルシロキサン;メタクリラート末端ポリジメチルシロキサン;ビス−3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン;N,N,N’,N’−テトラキス(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−α,ω−ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン;ポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマー;米国特許第5,760,100号(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載されている、マクロマーA、マクロマーB、マクロマーC及びマクロマーDからなる群より選択されるシロキサン含有マクロマー;メタクリル酸グリシジルとアミノ官能性ポリジメチルシロキサンとの反応生成物;ヒドロキシル官能基化シロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマー;米国特許第4,136,250号、第4,153,641号、第4,182,822号、第4,189,546号、第4,343,927号、第4,254,248号、第4,355,147号、第4,276,402号、第4,327,203号、第4,341,889号、第4,486,577号、第4,543,398号、第4,605,712号、第4,661,575号、第4,684,538号、第4,703,097号、第4,833,218号、第4,837,289号、第4,954,586号、第4,954,587号、第5,010,141号、第5,034,461号、第5,070,170号、第5,079,319号、第5039,761号、第5,346,946号、第5,358,995号、第5,387,632号、第5,416,132号、第5,451,617号、第5,486,579号、第5,962,548号、第5,981,675号、第6,039,913号及び第6,762,264号(それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる)に開示されている、ポリシロキサン含有マクロマー;米国特許第4,259,467号、第4,260,725号及び第4,261,875号(それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる)に開示されている、ポリシロキサン含有マクロマーである。ポリジメチルシロキサン及びポリアルキレンオキシドからなるジ−及びトリブロックマクロマーがまた、有用でありうる。例えばメタクリラートでエンドキャップしたポリエチレンオキシド−ブロック−ポリジメチルシロキサン−ブロック−ポリエチレンオキシドが、酸素透過度を高めるために使用されうる。
【0044】
好ましい実施態様において、ポリシロキサン架橋剤は、式(1):
【化3】


[式中、
及びAは、各々独立して、直鎖状もしくは分岐鎖状C−C10アルキル二価ラジカル、下記:
【化4】


(式中、qは、1〜5の整数であり、そしてalk及びalk’は、各々独立して、C-Cアルキレン二価ラジカルである)で示される二価ラジカル又は−R’−X−E−X−R’−二価ラジカル(ここで、R’及びR’は、各々独立して、直接結合、直鎖状もしくは分岐鎖状C−C10アルキレン二価ラジカルであるか、又は上記と同義の下記:
【化5】


で示される二価ラジカルであり、X及びXは、各々独立して、下記:
【化6】


(式中、R’は、H又はC−Cアルキルである)からなる群より選択される結合であり、Eは、最大で40個までの炭素原子を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アルキルアリールジラジカル又はアリールジラジカルである)であり;
及びXは、各々独立して、直接結合及び下記:
【化7】


(ここで、R’は、H又はC−Cアルキルである)からなる群より選択される結合であり;
PDMSは、式(2):
【化8】


(式中、νは、0又は1であり、ωは、0〜5の整数であり、U及びUは、各々独立して、上記と同義の−R’−X−E−X−R’−二価ラジカル又は上記と同義の下記:
【化9】


で示される二価ラジカルを表し、D、D及びDは、各々独立して、−(CHCHO)−CHCH−(ここで、tは、3〜40の整数である)、−CF−(OCF−(OCFCF−OCF−(ここで、a及びbは、各々独立して、0〜10の整数であり、但しa+bは、10〜30の範囲の数である)、及び式(3):
【化10】


(式中、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、互いに独立して、C−C−アルキル、C−Cアルキル−もしくはC−C−アルコキシ−置換フェニル、フルオロ(C−C18−アルキル)、シアノ(C−C12−アルキル)、−alk−(OCHCH−OR11(ここで、alkは、C−C−アルキレン二価ラジカルであり、R11は、C−Cアルキルであり、nは、1〜10の整数である)であり、m及びpは、互いに独立して、2〜698の整数であり、そして(m+p)は、5〜700である)で示される二価の基からなる群より選択される二価ラジカルであり、但しD、D及びDの少なくとも一つは、式(3)で表される)で示されるポリシロキサンの二価ラジカルであり;そして
Qは、式(4):
【化11】


(式中、Z及びZは、互いに独立して、直鎖状もしくは分岐鎖状C−C12アルキレン二価ラジカル、一つ以上のヒドロキシル基を有する直鎖状もしくは分岐鎖状C−C12アルキレン二価ラジカル、−(CHCHO)−CHCH−ラジカル(ここで、dは、1〜10の整数である)、非置換フェニレン二価ラジカル、C−CアルキルもしくはC−Cアルコキシ置換フェニレン二価ラジカル又はC−C12アラルキレン二価ラジカルであり;Aは、下記:
【化12】


(式中、R’は、H又はC−Cアルキルである)であり;q及びqは、互いに独立して、0又は1の整数であり;R14は、水素又はC−Cアルキルであり;R15及びR16は、互いに独立して、水素、C−Cアルキル、フェニル又はカルボキシル基である)で示されるエチレン性不飽和基である]により定義される。
【0045】
ωが0である、式(1)のポリシロキサン含有ビニルマクロマーは、商業的供給源から得ることができるか、又は市販のジ−官能性ポリシロキサン(すなわち二つの末端の、第一級アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアナート基、酸無水物基及びそれらの組み合わせからなる群より選択される第一の反応性官能基を有する)の、エチレン性官能基化ビニルモノマー(すなわちヒドロキシル、アミノ(第一級又は第二級)、カルボキシル、エポキシ、アジリジン、アズラクトン、イソシアナート又は酸クロリドを有するビニルモノマー)を用いての、当業者に周知のカップリング反応におけるカップリング剤の存在下又は非存在下でのエチレン性官能基化(又は以下に記載の手順)により、調製することができる。
【0046】
エチレン性官能基化ビニルモノマーの例は、非限定的に、C〜Cヒドロキシルアルキル(メタ)アクリラート、C〜Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、アリルアミン、アミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリラート、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリラート、ビニルアミン、アミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド、アクリル酸、C−Cアルキルアクリル酸(例えばメタクリル、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、ブチルアクリル酸)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)−メチル]アクリルアミド、N,N−2−アクリルアミドグリコール酸、β−メチル−アクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、1−カルボキシ−4−フェニルブタジエン−1,3、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、アジリジニルC−C12アルキル(メタ)アクリラート(例えば2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリラート、3−(1−アジリジニル)プロピル(メタ)アクリラート、4−(1−アジリジニル)ブチル(メタ)アクリラート、6−(1−アジリジニル)ヘキシル(メタ)アクリラート又は8−(1−アジリジニル)オクチル(メタ)アクリラート)、グリシジル(メタ)アクリラート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸ハライド基(−COX、X=Cl、Br又はI)、C〜Cイソシアナトアルキル(メタ)アクリラート、アズラクトン含有ビニルモノマー(例えば2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4−メチル−4−エチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−ブチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4,4−ジブチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−ドデシル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ジフェニル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ペンタメチレン−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−テトラメチレン−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4,4−ジエチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4−メチル−4−ノニル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−フェニル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4−メチル−4−ベンジル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4,4−ペンタメチレン−1,3−オキサゾリン−5−オン及び2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−6−オン、好ましいアズラクトン含有ビニルモノマーとして2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン(VDMO)及び2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン(IPDMO)、及びそれらの組み合わせを含む。
【0047】
ωが0である、式(1)の好ましいポリシロキサン含有ビニルマクロマーは、非限定的に、ジ−3−メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、ジ−ビニル−末端ポリジメチルシロキサン、エチレン性官能基化ビニルモノマー(イソシアナトエチル(メタ)アクリラート、グリシジル(メタ)アクリラート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸クロリド、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリラート、3−(1−アジリジニル)プロピル(メタ)アクリラート、4−(1−アジリジニル)ブチル(メタ)アクリラート、6−(1−アジリジニル)ヘキシル(メタ)アクリラート、8−(1−アジリジニル)オクチル(メタ)アクリラート、2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン及びそれらの組み合わせからなる群より選択される)と、ジ−(ヒドロキシエトキシプロピル)−、ジ−ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル−、ジ−(アミノプロピル)−、ジ−エチルアミノプロピル−又はジ−カルボキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンとのカップリング生成物、エチレン性官能基化ビニルモノマー(アリルアミン、アミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリラート、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリラート、ビニルアミン、アミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される)と、ジ−カルボキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンとの、カップリング剤としてのカルボジイミド存在下でのカップリング生成物、エチレン性官能基化ビニルモノマー((メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、ブチルアクリル酸、2−アクリルアミドグリコール酸及びそれらの組み合わせからなる群より選択される)と、ジ−アミノプロピル−又はジ−エチルアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンとの、カップリング剤としてのカルボジイミド存在下でのカップリング生成物、エチレン性官能基化ビニルモノマー(C−Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、C−Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、アリルアミン、アミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリラート、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリラート、ビニルアミン、アミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸及びそれらの組み合わせからなる群より選択される)と、ジ−(ヒドロキシエトキシプロピル)−、ジ−(アミノプロピル)−又はジ−エチルアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンとの、ジ−エポキシ化合物(例えば1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル又はそれらの組み合わせ)又はジ−イソシアナート(例えばイソホロンジイソシアナート、ヘキサメチル−1,6−ジイソシアナート又は4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート)を介してのカップリング生成物を含む。
【0048】
ωが1〜5の整数(好ましくはω及びνが、整数1である)である、式(1)のポリシロキサン含有ビニルマクロマーは、任意の公知手順、例えば、それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる米国特許第4,136,250号、第4,486,577号、第4,605,712号、第5,034,461号、第5,416,132号及び第5,760,100号に記載されている手順に従って調製することができる。好ましくは、式(1)において、ω及びνは、整数1であり;D、D及びDは、互いに独立して、式(3)の二価ラジカル(ここで、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、メチルであり、m及びpは、互いに独立して、2から698の整数であり、そして(m+p)は、5〜700である)であり;U及びUは、互いに独立して、−R’−X−E−X−R’−[ここで、X及びXは、互いに独立して、下記:
【化13】


であり、R’及びR’は、互いに独立して、下記:
【化14】


(ここで、qは、1〜5の整数であり、alk及びalk’は、互いに独立して、C-Cアルキレン二価ラジカルである)の二価ラジカルであり、そしてEは、最大で40個の炭素原子を有する、アルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アルキルアリールジラジカル又はアリールジラジカルである]の二価ラジカルを表し;A及びAは、互いに独立して、上記で、一般的には式(1)に対して定義したのと同じ意味を有し;Qは、式(4)のエチレン性不飽和基(ここで、Z、Z、A、q、q、R14、R15及びR16は、上記で定義(一般的には式(4)に対して)したとおりである)である。
【0049】
ほとんどの親水性ビニルモノマーを、本発明に用いることができる。適切な親水性ビニルモノマーは、これは完全に網羅するものではないが、(メタ)アクリルアミド、ジ−アルキル(C〜C)(メタ)アクリルアミド、(C〜C)アルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキル(C〜C)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキル(C〜C)(メタ)アクリラート、ヒドロキシル置換低級アルキルビニルエーテル、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−及び4−ビニルピリジン、合計で3〜6個の炭素原子を有するオレフィン性不飽和カルボン酸、アミノ(低級アルキル)−(ここで、用語「アミノ」は、第四級アンモニウムも含む)、モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)及びジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)アクリラート及びメタクリラート、アリルアルコール、N−ビニルアルキルアミド、N−ビニル−N−アルキルアミド等である。
【0050】
好ましい親水性ビニルモノマーは、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N,N−ジメチルメタクリルアミド(DMMA)、2−アクリルアミドグリコール酸一水和物、3−アクリロイルアミノ−1−プロパノール、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−アクリルアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリラート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート(HPMA)、トリメチルアンモニウム 2−ヒドロキシプロピルメタクリラート塩酸塩、アミノプロピルメタクリラート塩酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリラート(DMAEMA)、グリセロールメタクリラート(GMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、アリルアルコール、ビニルピリジン、アクリル酸、200から1500の重量平均分子量を有するC−C−アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリラート、メタクリル酸、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、アリルアルコール、N−ビニルカプロラクタム及びそれらの混合物である。
【0051】
任意の適切な重合性UV吸収剤を、本発明に用いることができる。好ましくは、重合性UV吸収剤は、ベンゾトリアゾール部分及び/又はベンゾフェノン部分を含む。好ましい重合性UV吸収剤の例は、非限定的に、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−ビニルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−アクリリルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルアミドメチル−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルアミドフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルアミドフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシプロピル−3’−t−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシプロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−アクリルオキシアルコキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシアルコキシベンゾフェノン、アリル−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシベンゾフェノンを含む。
【0052】
重合性潜在性UV吸収剤は、当業者に公知である任意の方法に従って、上記の重合性UV吸収剤から調製することができる。例えば、ベンゾトリアゾール部分又はベンゾフェノン部分は、保護用の不安定な基と反応して、UV吸収性部分を潜在性UV吸収性部分に変換することができる。
【0053】
ベンゾトリアゾール型UV吸収剤について、ベンゾトリアゾール部分のフェノール基のヒドロキシルラジカルは、保護用の不安定な基と置き換えることができ、当該剤を本質的に非UV吸収性にする(すなわち、保護基は本質的に、化合物の吸収特性を、当該剤が320〜400nmの範囲において強く吸収しないように変える)。保護用の不安定な基の例は、非限定的に、アセチルラジカル、アセチルアルキルシラン、アルキルエーテル及びアルキルエステルを含む。これらの保護基は、レンズが硬化された後で任意の公知の方法に従って変換してヒドロキシルラジカルへ戻すことができ、よってレンズをUV吸収性にする。例えば、保護用の不安定な基の除去は、硬化したレンズの飽和重炭酸塩溶液への浸漬及び加熱によって実施することができる。
【0054】
同様に、少なくとも一つのベンゾフェノン部分のフェノール基のヒドロキシルラジカルは、上述した保護用の不安定な基の一つで置き換えられることができ、潜在性UV吸収部分を形成する。該潜在性UV吸収部分は、保護用の不安定な基を除去することによって、UV吸収部分に変換することができる。
【0055】
光開始部分及びUV吸収又は潜在性UV吸収部分を有する重合性化合物は、好ましくは、出願人が共通の(commonly-owned)、2008年12月30日に出願され「Tri-Functional Compounds Useful in the Production of Ophthalmic Lenses,」と題され、その全体が参照として本明細書に組み込まれる、同時係属中の米国特許出願番号第61/141,265号に記載されている、三官能化合物の一種である。当業者は、そのような化合物を調製する方法を知っているであろう。
【0056】
説明的な例として、三官能化合物は、以下の通りに調製することができる。Irgacure 2959(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン)は、無水コハク酸と反応することができ(トリエチルアミン/トルエン中の還流)、Irgacure 2959−モノスクシナートを与える。Norbloc(2−{3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル}エチルメタクリラート)は、得られたIrgacure 2959−モノスクシナートと、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及び4−(ジメチルアミノ)ピリジン(D−MAP)の存在下で反応して、複合化Irgacure 2959-Norblocを与える。
【0057】
好ましい実施態様において、本発明の化学線架橋性プレポリマーは、二重光開始及び潜在性UV吸収性重合単位を含む。潜在性UV吸収部分は、保護用の不安定な基を除去することによって、UV吸収部分に変換することができる。
【0058】
本発明に従って、モノエチレン性官能基化ポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマーは、式(5):
【化15】


[式中、
及びAは、式(1)中において上記定義されたとおりであり;
、R、R、R、R、R、R、R10、m及びpは、式(3)中において上記定義されたとおりであり;
17は、一価のC−C25アルキル又はC−C30アリールラジカルであり、これらは−O−、−COO−、−CONR19−、−OCOO−又は−OCONR19−により中断されていてもよく、そしてヒドロキシ基、第一級、第二級もしくは第三級アミン基、カルボキシ基又はカルボン酸を含んでいてもよく;そして
Qは、上記で定義した式(4)のエチレン性不飽和基である]により定義される。
【0059】
モノエチレン性官能基化ポリシロキサンは、商業的供給源から得られるか、又はモノ官能基化ポリシロキサン(すなわち、例えば第一級又は第二級アミノ基、−OH、−COOH、エポキシ基、イソシアナート基、酸無水物等のような末端官能基を一つのみ有する)の、当業者に公知のカップリング反応においてモノ官能基化ポリシロキサンの末端官能基と共反応性(coreactive)の官能基を有するエチレン性官能基化ビニルモノマー(先に記載されたものの任意の一種)とのエチレン性官能基化により調製することができる。適切なモノ官能基化ポリシロキサンは、例えばAldrich、ABCR GmbH & Co., Fluorochem又はGelest, Inc, Morrisville, PAから市販されている。モノエチレン性官能基化ポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマーの好ましい例は、非限定的に、モノ−3−メタクリルオキシプロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノ−ビニル末端、モノ−アルキル末端ポリジメチルシロキサン、エチレン性官能基化ビニルモノマー(イソシアナトエチル(メタ)アクリラート、グリシジル(メタ)アクリラート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸クロリド、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリラート、3−(1−アジリジニル)プロピル(メタ)アクリラート、4−(1−アジリジニル)ブチル(メタ)アクリラート、6−(1−アジリジニル)ヘキシル(メタ)アクリラート、8−(1−アジリジニル)オクチル(メタ)アクリラート、2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン及びそれらの組み合わせからなる群より選択される)と、モノ−(ヒドロキシエトキシプロピル)−モノ−アルキル−、モノ−(ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル)−モノ−アルキル−、モノ−(アミノプロピル)−モノ−アルキル−、モノ−(テニルアミノプロピル)−モノ−アルキル−又はモノカルボキシプロピル−末端ポリジメチルシロキサンとのカップリング生成物、エチレン性官能基化ビニルモノマー(アリルアミン、アミノ-C−Cアルキル(メタ)アクリラート、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリラート、ビニルアミン、アミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド及びそれらの組み合わせからなる群より選択される)と、モノ−カルボキシプロピル−モノ−アルキル−末端ポリジメチルシロキサンとの、カップリング剤としてのカルボジイミド存在下でのカップリング生成物、エチレン性官能基化ビニルモノマー((メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、ブチルアクリル酸、2−アクリルアミドグリコール酸及びそれらの組み合わせからなる群より選択される)と、モノ−アミノプロピル−モノ−アルキル−又はモノ−エチルアミノプロピル−モノ−アルキル−末端ポリジメチルシロキサンとの、カップリング剤としてのカルボジイミド存在下でのカップリング生成物、エチレン性官能基化ビニルモノマー(C−Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、C−Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、アリルアミン、アミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリラート、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリラート、ビニルアミン、アミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸及びそれらの組み合わせからなる群より選択される)と、モノ−(ヒドロキシエトキシプロピル)−モノ−アルキル−、モノ−(ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル−モノ−アルキル−、モノ−(アミノプロピル)−モノ−アルキル−又はモノ−(エチルアミノプロピル)−モノ−アルキル−末端ポリジメチルシロキサンとの、ジ−エポキシ化合物(例えば、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル又はそれらの組み合わせ)又はジ−イソシアナート(例えば、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチル−1,6−ジイソシアナート又は4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート)を介してのカップリング生成物を含む。
【0060】
本発明に従って、シロキサン含有ビニルモノマーは、好ましくは、式(6):
【化16】


[式中:R14は、H又はCHであり;Z及びZは、互いに独立して、直鎖状もしくは分岐鎖状C−C12アルキレン二価ラジカル、一つ以上のヒドロキシル基を有する直鎖状もしくは分岐鎖状C−C12アルキレン二価ラジカル、−(CHCHO)−CHCHラジカル(ここで、dは、1〜10の整数である)、非置換のフェニレン二価ラジカル、C−CアルキルもしくはC−Cアルコキシ置換フェニレン二価ラジカル又はC−C12アラルキレン二価ラジカルであり;Aは、下記:
【化17】


(式中、R’は、H又はC−Cアルキルである)であり;q及びqは、互いに独立して、0又は1の整数であり;Yは、C−Cアルキレン二価ラジカル又は一つ以上のヒドロキシル基を含むC−Cアルキレン二価ラジカルであり、mは、0〜5の整数であり、pは、1〜6の整数であり、そしてG、G及びGは、互いに独立して、C−Cアルキル、フェニル、ベンジル又は式(7):
【化18】


(式中、B、B及びBは、互いに独立して、C−Cアルキル、フェニル又はベンジルである)で示されるラジカルであり;但しG、G及びGの少なくとも二つは、式(7)のラジカルである]で示されるビニルモノマーである。
【0061】
式(6)のシロキサン含有ビニルモノマーの例は、非限定的に、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、N−[トリス(トリメチルシロキシ)−シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、N−[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、N−[トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピルメタクリラート(TRIS)、(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン)、(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−メタクリルオキシ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)−プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、N−2−メタクリルオキシエチル−O−(メチル−ビス−トリメチルシロキシ−3−プロピル)シリルカルバマート、3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカルボナート、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−トリス(トリメチル−シロキシ)シラン、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバマート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバマート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルボナート、t−ブチルジメチル−シロキシエチルビニルカルボナート;トリメチルシリルエチルビニルカルボナート及びトリメチルシリルメチルビニルカルボナート)を含む。最も好ましい式(1)のシロキサン含有(メタ)アクリルアミドモノマーは、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、TRIS、N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミドである。
【0062】
本発明のプレポリマーは、二段階工程で得ることができる。第一の工程では、ペンダント又は末端官能基を有する中間コポリマーは、反応性混合物を共重合することによって得られる。第二の工程では、中間コポリマーは、当業者に公知であるカップリング反応に従ってエチレン性官能基化ビニルモノマーと反応させることによって、エチレン性官能基化される。
【0063】
好ましくは、中間コポリマーの官能基は、ヒドロキシル基(−OH)、第一級アミノ基(−NH)、第二級アミノ基(−NHR)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハライド基(−COX、X=Cl、Br又はI)、イソチオシアナート基、イソシアナート基、ハライド基(−X、X=Cl、Br又はI)、酸無水物基及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0064】
本発明に従って、中間コポリマーの調製のための反応性混合物は、(1)少なくとも一種のポリシロキサン含有架橋剤;(2)一種以上の親水性ビニルモノマー;(3)重合性UV吸収剤又は重合性潜在性UV吸収剤;(4)フリーラジカル開始剤;(5)場合により、一種以上のモノエチレン性官能基化ポリシロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマー;及び(6)場合により、少なくとも一種のシロキサン含有ビニルモノマーに由来するシロキサン単位を含む。
【0065】
好ましい実施態様において、ペンダント又は末端官能基を有する中間コポリマーは、(1)少なくとも一種のポリシロキサン含有架橋剤;(2)一種以上の親水性ビニルモノマー;(3)重合性UV吸収剤、重合性潜在性UV吸収剤ならびに/又は光開始部分及びUV吸収性もしくは潜在性UV吸収性部分を有する重合性化合物;(4)フリーラジカル開始剤;(5)場合により、一種以上のモノエチレン性官能基化ポリシロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマー;及び(6)場合により、少なくとも一種のシロキサン含有ビニルモノマーに由来するシロキサン単位を含み、但し成分(1)〜(3)及び(5)の少なくとも一つは、さらに少なくとも一つの、エチレン性不飽和基がそれを介して、得られる中間コポリマーに共有結合的に結合することができる官能基を含む、反応性組成物の共重合によって得られる。
【0066】
少なくとも一つの官能基を含む、あらゆる公知の適切なビニルモノマーを、ペンダント又は末端官能基を有する中間コポリマーの調製のための、化学線重合性組成物に使用することができる。そのようなビニルモノマーの好ましい例は、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、グリシジルメタクリラート、グリシジルアクリラート、HEMA、HEA、メタクリル酸無水物、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、2−ブロモエチルメタクリラート及びビニルベンジルクロリドを含む。
【0067】
ビニルモノマーは、ペンダント又は末端官能基を有する中間コポリマーを調製するための化学線重合性組成物において、親水性ビニルモノマーとして及び官能基化ビニルモノマーとしての両方に使用することができることが理解されるべきである。
【0068】
より好ましい実施態様において、ペンダント又は末端官能基を有する中間コポリマーは、以下:(1)少なくとも一種のポリシロキサン含有架橋剤;(2)一種以上の親水性ビニルモノマー;(3)重合性UV吸収剤、重合性潜在性UV吸収剤ならびに/又は光開始部分及びUV吸収性もしくは潜在性UV吸収性部分を有する重合性化合物;(4)フリーラジカル開始剤;(5)場合により、一種以上のモノエチレン性官能基化ポリシロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマー;(6)場合により、少なくとも一種のシロキサン含有ビニルモノマーに由来するシロキサン単位;及び(7)少なくとも一種の、エチレン性不飽和基がそれを介して、得られる中間コポリマーに共有結合的に結合することができる官能基を有する連鎖移動剤を含む組成物の共重合によって得られる。
【0069】
官能性連鎖移動剤は、得られるコポリマーの分子量を調節し、引き続くエチレン性不飽和基の付加のための官能基を提供するために使用される。連鎖移動剤は、一つ以上のチオール基、例えば二つ、又は最も好ましくは一つのチオール基を含むことができる。適切な連鎖移動剤は、非限定的に、2−メルカプトエタノール、2−アミノエタンチオール、2−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオ乳酸又は他のヒドロキシメルカプタン、アミノメルカプタン、カルボキシル含有メルカプタン及びそれらの混合物を含む。
【0070】
反応性混合物は、架橋剤(すなわち、二つ以上のエチレン性不飽和基を含み、かつ700ダルトン以下の分子量を有する化合物)、シロキサン含有ビニルモノマー以外の疎水性ビニルモノマー及び二つ以上のエチレン性不飽和基を有する親水性プレポリマーからなる群より選択される一種以上の構成要素をさらに含むことができる。
【0071】
好ましい架橋剤の例は、非限定的に、テトラ(エチレングリコール)ジアクリラート、トリ(エチレングリコール)ジアクリラート、エチレングリコールジアクリラート、ジ(エチレングリコール)ジアクリラート、テトラエチレングリコールジメタクリラート、トリエチレングリコールジメタクリラート、エチレングリコールジメタクリラート、ジ(エチレングリコール)ジメタクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、ペンタエリスリトールテトラメタクリラート、ビスフェノールAジメタクリラート、ビニルメタクリラート、エチレンジアミンジメチルアクリルアミド、グリセロールジメタクリラート、トリアリルイソシアヌラート、トリアリルシアヌラート、アリルメタクリラート、米国特許第4,711,943号(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)に開示されているダイマー(例えば、1,3−ビス(メタクリルアミドプロピル)−1,1,3,3−テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3−ビス(N−メタクリルアミドプロピル)−1,1,3,3−テトラキス−(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3−ビス(メタクリルアミドブチル)−1,1,3,3−テトラキス(トリメチルシロキシ)−ジシロキサン、1,3−ビス(アクリルアミドプロピル)−1,1,3,3−テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3−ビス(メタクリルオキシエチルウレイドプロピル)−1,1,3,3−テトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン)及びそれらの組み合わせを含む。好ましい架橋剤は、テトラ(エチレングリコール)ジアクリラート、トリ(エチレングリコール)ジアクリラート、エチレングリコールジアクリラート、ジ(エチレングリコール)ジアクリラート、トリアリルイソシアヌラート又はトリアリルシアヌラートである。
【0072】
疎水性ビニルモノマーの好ましい例は、メチルアクリラート、エチルアクリラート、プロピルアクリラート、イソプロピルアクリラート、シクロヘキシルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、プロピルメタクリラート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、1−ブテン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、ペルフルオロヘキシルエチル−チオ−カルボニル−アミノエチル−メタクリラート、イソボルニルメタクリラート、イソボルニルアクリラート、ノルボルニルメタクリラート、ノルボルニルアクリラート、トリフルオロエチルメタクリラート、ヘキサフルオロ−イソプロピルメタクリラート、ヘキサフルオロブチルメタクリラートを含む。
【0073】
好ましい、多数のアクリロイル又はメタクリロイル基を有する親水性プレポリマーの例は、ポリ(エチレングリコール)ジアクリラート、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリラート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリルアミド、米国特許第5,583,163号、第6,303,687号、第5,849,841号、第6,479,587号、第5,712,356号、第5,665,840号、第6,492,478号、第6,165,408号、第6,221,303号及び第6,472,48号(それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる)、ならびに米国特許出願公開第2004/0082680号;第2005/0113549号(それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載されている水溶性の架橋性プレポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0074】
中間コポリマーの調製のための反応性混合物は、当業者に公知のとおり、溶融体、全ての必要な成分が一緒に混合された無溶媒液体、又は全ての必要な成分が不活性溶媒(すなわち、混合物中の反応物間の反応を阻害しない)、例えば水、有機溶媒又はそれらの混合物中に溶解した溶液であることができる。反応性混合物は、好ましくは全ての望ましい成分を溶解する溶媒を含む。
【0075】
適切な溶媒の例は、非限定的に、水、テトラヒドロフラン、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコール n−ブチルエーテル、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン等)、ジエチレングリコール n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセタート、プロピレングリコール n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコール n−ブチルエーテル、プロピレングリコール n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコール n−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸 i−プロピル、メチレンクロリド、2−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、メントール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール及びexoノルボルネオール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、3−メチル−2−ブタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、2−ノナノール、2−デカノール、3−オクタノール、ノルボルネオール、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール、2−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、1−クロロ−2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−2−オクタノール、2−2−メチル−2−ノナノール、2−メチル−2−デカノール、3−メチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−メチル−4−ヘプタノール、3−メチル−3−オクタノール、4−メチル−4−オクタノール、3−メチル−3−ノナノール、4−メチル−4−ノナノール、3−メチル−3−オクタノール、3−エチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−エチル−4−ヘプタノール、4−プロピル−4−ヘプタノール、4−イソプロピル−4−ヘプタノール、2,4−ジメチル−2−ペンタノール、1−メチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブテン、4−ヒドロキシ−4−メチル−1−シクロペンタノール、2−フェニル−2−プロパノール、2−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール 2,3,4−トリメチル−3−ペンタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2−フェニル−2−ブタノール、2−メチル−1−フェニル−2−プロパノール及び3−エチル−3−ペンタノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メチル−2−プロパノール、t−アミルアルコール、イソプロパノール、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリジノンならびにそれらの組み合わせを含む。
【0076】
中間コポリマーを調製するための反応性混合物中の親水性ビニルモノマー、架橋剤及び連鎖移動剤の化学量論は、広い制限内で選択することができ、使用目的に強く依存している。例えば、0.5〜5当量の連鎖移動剤:1当量の架橋剤(ポリシロキサン含有架橋剤及び親水性架橋剤を含む):5〜60当量の親水性モノマーのモル比が、生物医学的な目的に実用的であると確認されている。好適な範囲は、1〜3モル当量の連鎖移動剤:1当量の架橋剤(ポリシロキサン含有架橋剤及び親水性架橋剤を含む):10〜50モル当量の親水性モノマーである。
【0077】
得られるコポリマーの重量平均分子量は、例えば、使用した連鎖移動剤の量に強く依存し、好ましくは3000〜1000000、好ましくは5000〜500000、より好ましくは7000〜250000ダルトンである。
【0078】
重合性UV吸収剤、重合性潜在性UV吸収剤ならびに/又は光開始部分及びUV吸収性もしくは潜在性UV吸収性部分を有する重合性化合物は、一般的に反応性混合物中において、コンタクトレンズ(これは反応性混合物の硬化により得られ、そして適用できる場合、潜在性UV吸収部分を変換する処置に付される)を、レンズに当たる約280nm〜約400nmの範囲の紫外線の少なくとも約80パーセントを吸収するようにするのに十分な量存在する。当業者は、反応性混合物に使用されるUV吸収剤の具体的な量が、UV吸収剤の分子量及び約280〜約400nmの範囲におけるその吸光係数に依存することを理解するであろう。本発明に従って、反応性混合物は、重量で約0.2%〜約5.0%、好ましくは約0.5%〜約4.0%の、重合性UV吸収剤、重合性潜在性UV吸収剤ならびに/又は光開始部分及びUV吸収性もしくは潜在性UV吸収性部分を有する重合性化合物を含む。
【0079】
好ましい実施態様において、本発明のプレポリマーを調製するための反応性混合物は、以下:(1)重量で約5%〜約60%、好ましくは重量で約10%〜約50%、さらにより好ましくは重量で約15%〜約55%、さらにより好ましくは重量で約20%〜約45%の、一種以上の親水性ビニルモノマー;(2)重量で約5%〜約75%、好ましくは重量で約10%〜約70%、より好ましくは重量で約15%〜約65%の、ポリシロキサン架橋剤;(3)重量で約0.2%〜約5.0%、好ましくは約0.5%〜約2.5%の、重合性UV吸収剤、重合性潜在性UV吸収剤ならびに/又は光開始部分及びUV吸収性もしくは潜在性UV吸収性部分を有する重合性化合物;(4)重量で0〜約50%、より好ましくは約5%〜約45%、さらにより好ましくは約10%〜約40%の、式(6)のシロキサン含有ビニルモノマー(先に記載されたとおりである)又は式(5)のモノエチレン性官能基化ポリシロキサンビニルモノマー又はマクロマー(先に記載されたとおりである)を含む。前述の範囲の組み合わせが存在するが、但し、挙げられた成分及び任意の追加成分は重量で合計100%となる。
【0080】
中間コポリマーの調製のための重合性組成物の共重合は、光化学的に、又は好ましくは熱的に誘導される。適切な熱重合開始剤は、当業者に公知であり、例えば、過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾ−ビス(アルキル−又はシクロアルキルニトリル)、過硫酸塩、過炭酸塩又はそれらの混合物を含む。例は、ベンゾイルペルオキシド、tert.−ブチルペルオキシド、ジ−tert.−ブチル−ジペルオキシフタラート、tert.−ブチルヒドロペルオキシド、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、1,1−アゾジイソブチルアミジン、1,1’−アゾ−ビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾ−ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等である。重合は、好都合には、先に述べた溶媒中、昇温、例えば25〜100℃、そして好ましくは40〜80℃の温度で実施される。反応時間は、広い制限内で変えることができるが、好都合には、例えば1〜24時間又は好ましくは2〜12時間である。重合反応に使用される成分及び溶媒を予め脱気すること、及び前記共重合反応を不活性雰囲気下、例えば窒素又はアルゴン雰囲気下で実施することが有利である。共重合は、光学的に清澄で明確に画定されたコポリマーを与えることができ、それを従来の方法、例えば抽出、沈殿、限外濾過等の手法を使用して仕上げることができる。
【0081】
本発明に従って、中間コポリマーのエチレン性官能基化は、エチレン性不飽和基を中間コポリマーの官能基(例えば、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、イソシアナート、エポキシ基)に共有結合させることによって実施することができる。カップリング試薬(例えば、EDC、ジイソシアナート又は二酸クロリド)の非存在下又は存在下で、中間コポリマーのイソシアナート、アミン、ヒドロキシル、カルボキシ又はエポキシ基と共反応性である、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、エポキシ、酸クロリド、イソシアナート基を有する任意のビニルモノマーを、中間コポリマーのエチレン性官能基化に使用することができる。そのようなビニルモノマーの例は、非限定的に、末端ヒドロキシ基と反応させる場合には、2−イソシアナトエチルメタクリラート、2−イソシアナトエチルアクリラート、メタクリル酸無水物、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアナート、塩化アクリロイル又は塩化メタクリロイル、メタクリル酸グリシジルを含み;末端アミン基と反応させる場合には、2−イソシアナトエチルメタクリラート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアナート、メタクリル酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、塩化アクリロイル又は塩化メタクリロイルを含み;EDC存在下で末端カルボキシ基と反応させる場合には、ビニルアミン、2−アミノエチルメタクリラート又は3−アミノプロピルメタクリルアミドを含む。上記のリストは全てを網羅したものではなく、例示的なものである。当業者は、中間コポリマーをエチレン性官能基化するための、官能基を有するビニルモノマーを選択する方法を理解するであろう。
【0082】
本発明に従って、本発明のプレポリマーは、UV吸収特性を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するためのレンズ形成流体材料を調製するために溶媒に可溶性である。本発明のプレポリマーは、好ましくは任意の親水性ビニルモノマー及び任意の架橋剤の非存在下で、シリコーンヒドロゲル又はコンタクトレンズを形成することができる。
【0083】
他の態様において、本発明は、レンズに当たる約280nm〜約400nmの範囲のUV光の少なくとも約80%を吸収することができるソフトコンタクトレンズを提供する。本発明のソフトコンタクトレンズは、型中のレンズ形成材料の硬化により得られるシリコーンヒドロゲル材料を含み、ここで、レンズ形成材料は、化学線架橋性プレポリマーを含み、これは、プレポリマーの分岐鎖状コポリマー鎖中に、(1)少なくとも一種のポリシロキサン含有架橋剤に由来する架橋性ポリシロキサン単位;(2)一種以上の親水性ビニルモノマーに由来する親水性単位;(3)UV吸収性ポリマー単位、潜在性UV吸収性ポリマー単位又は二重光機能性ポリマー単位(ここで、UV吸収性ポリマー単位は、重合性UV吸収剤に由来し、潜在性UV吸収性ポリマー単位は、重合性潜在性UV吸収剤に由来し、二重光機能性ポリマー単位は、光開始部分及びUV吸収性又は潜在性UV吸収性部分を有する重合性化合物に由来する);(4)場合により、一種以上のモノエチレン性官能基化ポリシロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマーに由来するつり下がったポリシロキサン単位(ここで、該つり下がったポリシロキサン単位は、エチレン性不飽和基を含まない);及び(5)場合により、少なくとも一種のシロキサン含有ビニルモノマーに由来するシロキサン単位を含む。
【0084】
本発明に従って、レンズ形成材料は、流体組成物であり、約20℃〜約85℃の温度で溶液又は溶融物であることができる。好ましくは、レンズ形成材料は、水又は有機溶媒又は水と一種以上の有機溶媒の混合物中の、少なくとも一種の本発明のプレポリマー及び他の望ましい成分の溶液である。
【0085】
少なくとも一種のプレポリマーの溶液は、プレポリマー及び他の成分を、当業者に公知である任意の適切な溶媒に溶解させることにより調製することができる。適切な溶媒の例は、先に記載している。
【0086】
本発明のプレポリマーの先に記載された全ての種々の実施態様及び溶媒は、本発明のこの態様に使用することができる。
【0087】
レンズ形成材料は、親水性ビニルモノマー、疎水性ビニルモノマー、架橋剤(すなわち、先に記載されたとおりの、二つ以上のエチレン性不飽和基を有し、かつ700ダルトン未満の分子量を有する化合物)からなる群より選択される一種以上の重合性成分を含むことができる。先に記載された任意の親水性及び疎水性ビニルモノマーならびに任意の架橋剤を、本発明のこの態様に使用することができる。
【0088】
レンズ形成材料はまた、当業者に周知であるような種々の他の成分、例えば、重合開始剤(例えば、光開始剤又は熱開始剤)、可視性色付け剤(例えば、染料、顔料又はそれらの混合物)、光増感剤、阻害剤、抗菌剤(例えば、好ましくは銀ナノ粒子)、生物活性剤、浸出性潤滑剤、充填剤などを含むこともできることが理解されるべきである。
【0089】
光開始剤は、光の使用によってフリーラジカル重合及び/又は架橋を開始させることができる。適切な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンならびにDarocur及びIrgacurタイプ、好ましくはDarocur 1173(登録商標)及びDarocur 2959(登録商標)である。ベンゾイルホスフィンオキシド開始剤の例は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−プロピルフェニルホスフィンオキシド;フェニル−ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド;ジフェニル−ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド;及びビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−ブチルフェニルホスフィンオキシドを含む。例えばマクロマーに導入することができるか、又は特殊なモノマーとして使用することができる、反応性光開始剤もまた適切である。反応性光開始剤の例は、その全体が参照として本明細書に組み込まれるEP632329に開示されているものである。そして、重合は、化学線、例えば光、特に適切な波長のUV/可視光によって開始することができる。適切な場合、適切な増感剤の添加によってスペクトル要件を相応に制御することができる。
【0090】
プレポリマーがUV吸収性単位を含み、レンズの硬化がUV/可視光の照射によって実施される場合、ベンゾイルホスフィンオキシド開始剤がレンズ形成材料に使用され、型中のレンズ形成材料の硬化を開始することが(必ずしもそうではないが)好ましい。
【0091】
ポリマーマトリックスに配合される生物活性剤は、眼の疾病を予防する、又は眼の疾病の症状を軽減することができる任意の化合物である。生物活性剤は、薬物、アミノ酸(例えばタウリン、グリシン等)、ポリペプチド、タンパク質、核酸又はそれらの任意の組み合わせであることができる。本明細書において有用な薬物の例は、レバミピド、ケトチフェン、オラプチジン、クロモグリコレート、シクロスポリン、ネドクロミル、レボカバスチン、ロドキサミド、ケトチフェン又はそれらの薬学的に許容される塩もしくはエステルを含むが、それらに限定されない。他の生物活性剤の例は、2−ピロリドン−5−カルボン酸(PCA)、α−ヒドロキシル酸(例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸及びクエン酸ならびにそれらの塩等)、リノール酸及びγリノール酸ならびにビタミン(例えば、B5、A、B6等)を含む。
【0092】
浸出性潤滑剤の例は、非限定的に、ムチン様物質(例えば、ポリグリコール酸)及び非架橋性親水性ポリマー(すなわちエチレン性不飽和基を含まない)を含む。
【0093】
いかなるエチレン性不飽和基をも有さない、任意の親水性ポリマー又はコポリマーを、浸出性潤滑剤として使用することができる。非架橋性親水性ポリマーの好ましい例は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアミド、ポリイミド、ポリラクトン、ビニルラクタムのホモポリマー、一種以上の親水性ビニルコモノマーの存在又は非存在下での、少なくとも一種のビニルラクタムのコポリマー、アクリルアミド又はメタクリルアミドのホモポリマー、アクリルアミド又はメタクリルアミドと一種以上の親水性ビニルモノマーとのコポリマー、ポリエチレンオキシド(すなわちポリエチレングリコール(PEG))、ポリオキシエチレン誘導体、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリ2エチルオキサゾリン、ヘパリン多糖、多糖及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0094】
非架橋性親水性ポリマーの重量平均分子量Mは、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜300,000、さらにより好ましくは20,000〜100,000である。
【0095】
コンタクトレンズを製造するためのレンズ成形型は、当業者に周知であり、例えば、キャスト成形又はスピンキャスティングで使用される。例えば、型(キャスト成形用)は一般に、少なくとも二つの型区分(又は部分)又は型半分(mold halves)、すなわち第一及び第二の型半分を含む。第一の型半分は第一の成形(又は光学)面を画定し、そして第二の型半分は第二の成形(又は光学)面を画定する。第一及び第二の型半分は、第一の成形面と第二の成形面との間にレンズ形成キャビティが形成されるように互いを受け入れるよう構成されている。型半分の成形面は、型のキャビティ形成面であり、レンズ形成材料と直接接触する。
【0096】
コンタクトレンズをキャスト成形するための型区分を製造する方法は、一般に当業者に周知である。本発明の方法は、特定の型形成方法に限定されない。事実、いかなる型形成方法をも、本発明において使用することができる。第一及び第二の型半分は、射出成形又は旋盤加工のような様々な技術によって形成することができる。型半分を形成するのに適した方法の例は、同じく参照により本明細書に組み込まれる、Schadへの米国特許第4,444,711号;Boehmらへの第4,460,534号;Morrillへの第5,843,346号;及びBonebergerらへの第5,894,002号に開示されている。
【0097】
型を製造するための技術分野で公知の実質的に全ての材料を、眼用レンズを調製するための型を製造するために使用することができる。例えば、ポリマー材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、環式オレフィンコポリマー(例えば、Ticona GmbH(Frankfurt, Germany及びSummit, New Jersey)のTopas(登録商標)COC grade 8007-S10(清澄で無定形の、エチレン及びノルボルネンのコポリマー)、Zeon Chemicals LP(Louisville, KY)のZeonex(登録商標)及びZeonor(登録商標))、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、DuPont(Delrin)のポリオキシメチレン、G.E. PlasticsのUltem(登録商標)(ポリエーテルイミド)、PrimoSpire(登録商標)などを使用することができる。UV光透過を許す他の材料、例えば石英、ガラス、サファイア、CaFを使用することができる。
【0098】
好ましい実施態様において、再利用可能な型が使用される。放射線の空間的限定に適切な再利用可能な型の例は、非限定的に、米国特許第6,800,225号、第6,627,124号、第7,384,590号及び第7,387,759号(それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる)に開示されているものを含む。この態様において、レンズ形成材料は、互いに接触せず、それらの間に配置された環状設計の狭い隙間を有する、二つの型半分からなる型に注入される。その隙間は型キャビティに接続されており、過剰なレンズ形成材料が隙間に流れ込むことができるようになっている。一度しか使用することができないポリプロピレン型の代わりに、再利用可能な石英、ガラス、サファイア又はCaF型を使用することが可能である。これらの型は、レンズ製造の後、水又は適切な溶媒を使用して速やかかつ効率的に洗浄して未反応材料及び他の残渣を除去することができ、そして空気乾燥させることができるためである。再利用可能な型はまた、環式オレフィンコポリマー(例えば、Ticona GmbH(Frankfurt, Germany及びSummit, New Jersey)のTopas(登録商標)COC grade 8007-S10(清澄で無定形の、エチレン及びノルボルネンのコポリマー)、Zeon Chemicals LP(Louisville, KY)のZeonex(登録商標)及びZeonor(登録商標))、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、DuPont(Delrin)のポリオキシメチレン、G.E. PlasticsのUltem(登録商標)(ポリエーテルイミド)、PrimoSpire(登録商標)でできていてもよい。型半分の再利用性のおかげで、極めて高い精度及び再現性の型を得るために、製造時に比較的多額の費用をかけることができる。型半分は、レンズが製造される領域、すなわちキャビティ又は実際の型面では互いに接触しないため、接触の結果としての損傷が排除される。これが型の長い耐用寿命を保証し、これがまた、特に製造されるコンタクトレンズの高い再現性及びレンズ設計への高い忠実度を保障する。
【0099】
本発明に従って、レンズ形成材料は、任意の公知の方法に従って、型により形成されるキャビティに導入(注入)することができる。
【0100】
レンズ形成材料を型に注いだ後、それを重合してコンタクトレンズを製造する。架橋は、型の中で例えば化学線、例えばUV/可視光照射、電離放射線(例えばγ又はX線照射)により開始することができる。本発明のプレポリマーがレンズ形成材料中の重合性成分である場合、レンズ形成材料を含む型は、化学線の空間的限定に曝し、プレポリマーを架橋することができる。
【0101】
本発明による架橋は、非常に短い時間、例えば≦5分、有利には≦3分、好ましくは≦2分、より好ましくは≦1分、最も好ましくは5〜50秒で起こさせることができる。
【0102】
成形品を型から取り出すための型の開放は、それ自体公知の方法で実施することができる。
【0103】
成形されたコンタクトレンズは、さらなる工程、例えば表面処理(例えば、プラズマ処理、化学処理、親水性モノマー又はマクロマーのレンズ表面へのグラフト、一層ずつの(layer-by-layer)コーティング等);重量で約0.005%〜約5%の湿潤剤(例えば、先に記載された親水性ポリマー)及び/又は粘度増強剤(例えば、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)又はそれらの混合物)を含むことができるパッケージング溶液を用いたレンズパッケージへのパッケージング;滅菌等に付すことができる。
【0104】
好ましい表面処理は、米国特許第6,451,871号、第6,719,929号、第6,793,973号、第6,811,805号及び第6,896,926号(それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載されているようなLbLコーティング及びプラズマ処理である。好ましいプラズマ処理は、米国特許第4,312,575号及び第4,632,844号(それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載されているとおりの、製品の表面にイオン化ガスを適用するものである。
【0105】
本発明のコンタクトレンズは、好ましくは少なくとも約40barrer、より好ましくは少なくとも約60barrer、さらにより好ましくは少なくとも約80barrerの、酸素透過度を有する。本発明に従って、酸素透過度は、実施例に記載される手順による見掛けの酸素透過度(厚さ約100ミクロンの試料を試験する際に直接計測される)である。
【0106】
本発明のコンタクトレンズは、約2.0MPa以下、好ましくは約1.5MPa以下、より好ましくは約1.2以下、さらにより好ましくは約0.4MPa〜約1.0MPaの、弾性率を有する。
【0107】
本発明のコンタクトレンズはさらに、好ましくは少なくとも約1.5×10−6mm2/min、より好ましくは少なくとも約2.6×10−6mm2/min、さらにより好ましくは少なくとも約6.4×10−6mm2/minの、イオノフラックス拡散係数Dを有する。
【0108】
本発明のコンタクトレンズはさらに、完全に水和した状態で、好ましくは重量で約15%〜約55%、より好ましくは約20%〜約38%の、含水率を有する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの含水率は、米国特許第5,849,811号に開示されているバルク技術に従って計測することができる。
【0109】
さらなる態様において、本発明は、レンズに当たる約280nm〜約370nmの範囲のUV光の少なくとも約80%を吸収することができる、ソフトコンタクトレンズを製造する方法を提供する。該方法は、以下の工程:ソフトコンタクトレンズを製造する型を提供すること(ここで、該型は、コンタクトレンズの前面を画定する第一の成形面を有する第一の型半分、及びコンタクトレンズの後面を画定する第二の成形面を有する第二の型半分を有し、ここで、前記第一及び第二の型半分は、該第一及び第二の成形面の間にキャビティが生じるように互いを受けるよう構成される);レンズ形成材料をキャビティに導入すること(ここで、該レンズ形成材料は、化学線架橋性プレポリマーを含み、これはプレポリマーの分岐鎖状コポリマー中に、(1)少なくとも一種のポリシロキサン含有架橋剤に由来する架橋性ポリシロキサン単位;(2)一種以上の親水性ビニルモノマーに由来する親水性単位;(3)UV吸収性ポリマー単位、潜在性UV吸収性ポリマー単位又は二重光機能性ポリマー単位(ここで、UV吸収性ポリマー単位は、重合性UV吸収剤に由来し、潜在性UV吸収性ポリマー単位は、重合性潜在性UV吸収剤に由来し、二重光機能性ポリマー単位は、光開始部分及びUV吸収性もしくは潜在性UV吸収性部分を有する重合性化合物に由来する);(4)場合により、一種以上のモノエチレン性官能基化ポリシロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマーに由来するつり下がったポリシロキサン単位(ここで、そのつり下がったポリシロキサン単位は、エチレン性不飽和基を有さない);及び(5)場合により、少なくとも一種のシロキサン含有ビニルモノマーに由来するシロキサン単位を含む);ならびに、キャビティ中のレンズ形成材料に化学線を照射してコンタクトレンズを形成することを含む。
【0110】
先に記載された、本発明の型、反応性混合物、及び放射線の空間的限定、及びコンタクトレンズの全ての様々な実施態様は、本発明のこの態様において用いることができる。
【0111】
上記の開示は、当業者が本発明を実施することを可能にする。種々の改良、変法及び組み合わせを、本明細書において記載されている種々の実施態様に行うことができる。読者が具体的な実施態様及びその利点をよりよく理解することを可能とするために、以下の実施例を参照されたい。該明細書及び実施例は、典型例としてみなされることが意図される。
【0112】
本発明の種々の態様及び実施態様を、具体的な用語、装置及び方法を用いて記載してきたが、このような記載は例示的な目的のためだけのものである。使用される単語は、限定よりむしろ説明の単語である。変更及び変法が、当業者によって、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の精神又は範囲を逸脱することなく行うことができることが理解される。加えて、種々の実施態様の態様は、全体もしくは部分を入れ替えるか、又は任意の方法で組み合わせる及び/もしくは一緒に使用することができることが理解されるべきである。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、それに含まれる好ましい形態の記載に限定されるべきではない。
【0113】
実施例1
酸素透過度測定
レンズの酸素透過度及びレンズ材料の酸素透過率は、米国特許第5,760,100号及びWintertonらによる文献(The Cornea: Transactions of the World Congress on the Cornea 111, H.D. Cavanagh Ed., Raven Press: New York 1988, pp273-280)(いずれもそれらの全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載されているものと類似した技術に従って決定した。酸素流束(J)は、34℃、ウェットセル中(すなわち、気流を相対湿度約100%に維持した)で、Dk1000計器(Applied Design and Development Co., Norcross, GAから入手可能)又は類似の分析計器を使用して測定した。既知の酸素の割合(例えば21%)を有する気流を、レンズの一方の側を約10〜20cm3/分の速度で通し、一方では窒素流をレンズの反対の側を約10〜20cm3/分の速度で通した。試料を、試験媒体(すなわち食塩水又は蒸留水)中、規定の試験温度で、計測前の少なくとも30分間かつ45分以下の間、平衡させた。上層として使用した任意の試験媒体は、規定の試験温度で、計測前の少なくとも30分間かつ45分以下の間、平衡させた。撹拌モーターの速度は、ステッパモーター制御装置上で400±15と示された設定に対応する1200±50rpmに設定した。系を包囲する気圧Pmeasuredを測定した。試験に曝露される区域内のレンズの厚さ(t)を、Mitotoya micrometer VL-50又は類似の計器を用いて約10箇所の測定を行い、測定値を平均することにより決定した。窒素気流中の酸素濃度(すなわちレンズを透過して拡散する酸素)を、DK1000計器を用いて測定した。レンズ材料の見掛けの酸素透過度Dkappを、以下の式に従って決定した:
Dkapp=Jt/(Poxygen
式中、J=酸素流束[マイクロリットルO/cm2-min]であり、
oxygen=(Pmeasured−Pwater vapor)=(気流中%O)[mmHg]=気流中の酸素分圧であり、
measured=気圧(mmHg)であり、
water vapor=34℃で0mmHg(ドライセル中)(mmHg)であり、
water vapor=34℃で40mmHg(ウェットセル中)(mmHg)であり、
t=曝露試験区域のレンズの平均厚さ(mm)であり、
ここで、Dkappは、barrerの単位で表される。
材料の酸素透過率(Dk/t)は、酸素透過度(Dkapp)をレンズの平均厚さ(t)で割って算出することができる。
【0114】
イオン透過性測定
レンズのイオン透過性は、米国特許第5,760,100号(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載されている手順に従って測定した。以下の実施例で報告されるイオン透過性の値は、標準物質としてのレンズ材料Alsaconに対する相対的イオノフラックス拡散係数(D/Dref)である。Alsaconは、0.314×10−3mm2/minのイオノフラックス拡散係数を有する。
【0115】
実施例2
ポリジメチルシロキサン(PDMS)架橋剤Aの調製
4Lビーカー中で、PDMSジアミンKF-8008 700グラムをヘキサン1000グラムに溶かした。2Lビーカー中で、炭酸ナトリウム一水和物25グラムを5%NaCl溶液1.6Lに溶かした。両方の溶液を4L反応器中に加えて、600rpmで30分間撹拌した。塩化アクリロイル15グラム及びヘキサン72グラムを含む溶液を調製した。この塩化アクリロイル溶液を、4L反応器中の撹拌されている混合物に1時間かけて滴下した。滴下の完了後、混合物の撹拌をさらに1時間続けた。次にNaCl飽和水溶液200mLを加えた。撹拌をさらに10分間続けた。撹拌を止め、そのまま一晩、相を分離した。水層を除去し、有機層に追加のDI水200mLを加えた。混合物を250rpmで10分間撹拌した。撹拌を止め、相を分離した。水層を除去した。DI水を加え、撹拌し、そして沈降させる工程を合計3回繰り返した。ヘキサン溶液を次に、磁気撹拌子を含むビーカーに流し出した。溶液を、氷浴を使用して冷却した。無水硫酸マグネシウム183グラムを撹拌しながら加えた。硫酸マグネシウムを吸引濾過により除去した。濾液からのヘキサンを、ロータリーエバポレーター(rotovap)を使用して減圧下で除去した。大部分のヘキサンをロータリーエバポレーターを使用して除去した後、試料重量が一定値を保つまで、試料を高真空(0.17mBarまで下げた)下に置いた。
【0116】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)架橋剤Bの調製
手順は、PDMSジアミンKF-8012 700グラム、炭酸ナトリウム一水和物62グラム、塩化アクリロイル37.10グラムを使用したこと以外は、架橋剤Aに使用したものと同じである。
【0117】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)架橋剤Cの調製
PDMS架橋剤Cを、以下に記載した二つの工程のいずれかに従って調製した。
第一の工程では、α,ω−ビス(2−ヒドロキシエトキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン49.85gと、イソホロンジイソシアナート(IPDI)11.1gとの、乾燥メチルエチルケトン(MEK)150g中、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)0.063gの存在下での反応により、α,ω−ビス(2−ヒドロキシエトキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン(Mn=2000、Shin-Etsu、KF-6001a)を、イソホロンジイソシアナートでキャップした。反応は40℃で4.5時間保ち、IPDI−PDMS−IPDIを形成した。第二の工程では、α,ω−ビス(2−ヒドロキシエトキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン(Mn=3000、Shin-Etsu、KF-6002)164.8g及び乾燥MEK 50gの混合物を、追加のDBTDL 0.063gを加えたIPDI−PDMS−IPDI溶液に滴下した。反応器を40℃で4.5時間保持し、HO−PDMS−IPDI−PDMS−IPDI−PDMS−OHを形成した。MEKを次に減圧下で除去した。第三の工程では、イソシアナトエチルメタクリラート(IEM)7.77g及び追加のDBTDL 0.063gの添加により、末端ヒドロキシル基を第三の工程におけるメタクリロイルオキシエチル基でキャップして、IEM−PDMS−IPDI−PDMS−IPDI−PDMS−IEM(すなわちPDMS架橋剤C)を形成した。
【0118】
KF-6001 240.43gを、撹拌器、温度計、低温保持器、滴下漏斗及び窒素/真空入口アダプターを備えた1L反応器に加え、そして次に高真空(2×10−2mBar)の適用により乾燥させた。次に、乾燥窒素雰囲気下で、蒸留したMEK 320gを次に反応器に加え、そして混合物を十分に撹拌した。DBTDL 0.235gを反応器に加えた。反応器を45℃に温めた後、IPDI 45.86gを、滴下漏斗を通して10分間かけて、穏やかな撹拌下で反応器に加えた。反応を60℃で2時間保った。蒸留したMEK 452gに溶解したKF-6002 630gを次に加え、そして均質な溶液を形成するまで撹拌した。DBTDL 0.235gを加え、そして反応器を乾燥窒素で覆って55℃で一晩保持した。次の日、MEKをフラッシュ蒸発により除去した。反応器を冷却し、そして次にIEM 22.7g、続いてDBTDL 0.235gを反応器に入れた。3時間後、追加のIEM 3.3gを加え、そして反応を一晩行った。次の日、反応混合物を18℃に冷却して、IEM−PDMS−IPDI−PDMS−IPDI−PDMS−IEM(すなわちPDMS架橋剤C)を得た。
【0119】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)架橋剤Dの調製
工程1
架橋剤Dは、触媒としてジブチルスズジラウレートを使用しての、2当量のイソホロンジイソシアナート(IPDI)と、PDMS KF6001Aとの反応により調製した。KF6001Aを容器に入れ、そして反応器を密閉して60℃に加熱した。減圧を<10mBarまで適用し、そして水を取り除いた。ジオールを穏やかな撹拌を行うことによりかき混ぜ、そして乾燥を約12時間続けた。
KF6001Aに加えるIPDIの量は、反応器中のKF6001Aのヒドロキシル当量の合計から計算した。IDPIを、反応器中のKF6001Aに入れた。穏やかないし激しい撹拌で、IPDIをKF6001Aに溶解させた。反応物を20℃で30分間撹拌し、IPDIを完全に溶解させた。ガスの正の流れの下、反応器を開け、そしてDBTDLを反応混合物に注入した。DBTDLの重量は、KF-6001Aの重量の0.0875%であった。発熱が起こり、温度は45℃にも上昇した。反応を2時間行った。
【0120】
工程2
KF-6002Aの容器をバキュームに接続して昇温で撹拌することによって、KF-6002Aから湿気を除去した。KF-6002Aを続いて不活性ガス下で保存した。工程1の反応に使用したIPDI−NCOのミリ当量と同じミリ当量のKF-6002A-OHを工程2の反応に使用し、1:1のジオール:イソシアナートのモル比を得た。工程1で使用したのと同じ重量のDBTDLを、反応器に加えた。そのバッチを、残りの保持時間の間反応混合物を50〜55℃に維持する、制御したジャケット温度で、KF-6002Aの添加に続いて4時間撹拌した。反応物を20〜25℃に冷却した。工程2の生成物をサンプリングして、IR解析によりNCOを確認した。
【0121】
工程3
IEMは、NCO終端基の解析のためのNMRにより解析した。工程3の反応に必要なIEMの量は、工程2に加えられるKF-6002A-OHミリ当量数としてのIEM−NCOミリ当量数に等しい。乾燥空気の散布を、工程2の生成物において高い撹拌速度で開始した。これらの材料を、最低で30分間、20〜25℃で撹拌し、溶液を十分に通気した。IEMを次に反応器に加え、続いて工程1で用いたのと同じ重量のDBTDLを加えた。乾燥空気を散布する速度は、反応を通して減少させ、維持した。発熱は40℃を超えるべきではない。冷却して発熱温度を制御することができる。バッチを、外部から冷却せずに少なくとも5時間撹拌した。この時間の後、バッチをサンプリングして、NMR解析を用いてイソシアナート官能基の消失を確認した。反応が完了していないようであれば、バッチを遊離のNCOピークが消失又は変化しなくなるまで撹拌及びサンプリングを続けた。
【0122】
ポリジメチルシロキサン架橋剤Eの調製
この調製は、求められるIEMのわずか80%を加えたこと以外、架橋剤Dの調製に従った。
【0123】
実施例3
A1.Norblocを含有するUV吸収性マクロマーの調製
2Lのジャケット付き反応器に、加熱/冷却ループ、N入口アダプター付き還流冷却器、止め栓及び側腕付き隔壁−入口アダプター2つ、熱電対アダプターならびに上部撹拌装置を備えたものを用いた。溶液は、実施例2で調製したPDMS架橋剤A 54.86g及び実施例2で調製したPDMS架橋剤B 6.22gを、1−プロパノール137gに溶解させることにより生成した。この溶液を反応器に入れ、4℃に冷却した。溶液を、5mBar未満に排気し、真空で15分間保持し、そして次に窒素で再加圧することにより脱気した。この脱気手順を合計5回繰り返した。
磁気撹拌子及びバルブ付きバキューム−入口アダプターを備えた、別の500mLフラスコ中で、システアミン塩酸塩2.84gを1−プロパノール87グラムに溶解した。撹拌子を混合物に加え、そして撹拌して溶解させた。
磁気撹拌子及びバルブ付きバキューム−入口アダプターを備えた、もう一つの500mLフラスコ中で、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)28.84g、ヒドロキシエチルアクリラート(HEA)7.20g及び2−{3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル}エチルメタクリラート(Norbloc)2.474gを含有するモノマー溶液を、1−プロパノール202gに溶解した。磁気撹拌子を用いて混合物を撹拌した。
同様に備えた第三のフラスコ中で、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(AIBN)0.14gを1−プロパノール14gに溶解した。三つ全ての溶液を、50mBarまで排気し、真空を5分間保持し、そして次に窒素で再加圧することにより2回脱気した。
投与溶液を、HEA 0.72g、DMA 2.88gを1−プロパノール21グラムに溶解することにより調製した。該投与溶液を、HPLCポンプを用いて、そして溶液をAlltech製Select(登録商標)脱気システムを通して少なくとも30分間循環させて脱気した。
窒素の正の流れの下、反応器を開け、そしてシステアミン塩酸塩及びモノマー溶液を反応器に入れた。合計で124gの1−プロパノールを使用して、これらの溶液からガラス製品をすすぎ、そして反応器に加えた。4℃に保ったまま、反応器を5mBar未満まで排気し、そして5分間保持し、次に窒素で再加圧することにより脱気した。合計4回の脱気サイクルを実施した。反応器を次に45分間かけて、約80℃に加熱した。一度溶液の温度が少なくとも78℃に到達したら、AIBN溶液を窒素下で反応器に注入した。同時に、投与溶液の添加を0.146mL/分の速度で開始した。反応混合物の温度を80℃で3時間保った。3時間後、反応混合物を次に室温に冷ました。
その溶液を次に丸底フラスコに移し、そして撹拌しながら水約400mLをゆっくりと加えた。1−プロパノールを、約40℃/100mBarの減圧下、ロータリーエバポレーターで除去した。最初の500mLの1−プロパノールを除去した後、水500mLを撹拌しながらゆっくりと加えた。混合物を次に、さらに約400mLの蒸留液が回収されるまで1−プロパノールを除去させた。水400mLを再度混合物に加え、そしてさらに400mLの1−プロパノールを回収した。追加の水400mLを加え、次に溶媒交換を続け、最後の300mLの蒸留液を集めた。次に混合物を2kgに希釈した。
この混合物を次に、上部撹拌装置、冷却ループ、温度計ならびにMetrohm Model 718 STAT TitrinoのpH計及び分注チップを備えた2L反応器に入れた。該反応混合物を1℃未満に冷却した。NaHCO1.5gを該混合物に加え、そして撹拌して溶解させた。Titrinoを、15%水酸化ナトリウム溶液の断続的な添加によりpHを9.5に維持するように設定した。塩化アクリロイル6.7mLを次に1時間かけて、シリンジポンプを使用して加えた。混合物を次に反応器から流し出し、コースフリット(course fritted)ガラス漏斗を通して濾過した。混合物を、脱イオン化水を用いる透析濾過(公称カットオフ分子量、10,000D)により、透過伝導度が2.5μS/cmより下になるまで精製し、そしてポリマーを凍結乾燥により単離した。
【0124】
A2.Norblocを含有するUV吸収性マクロマーの調製
コポリマーの合成
1Lジャケット付き反応器に、500mL滴下漏斗、上部撹拌装置、窒素/バキューム入口アダプター付き還流冷却器、温度計及びサンプリングアダプターを備えていた。実施例2の架橋剤E 45.98gを反応器に入れ、そして反応器を密閉した。酢酸エチル263g中のヒドロキシエチルメタクリラート0.512g、ジメチルアクリルアミド25.354g、Norblocメタクリラート1.38g、(トリス(トリメチルシリル))シロキシプロピル)メタクリラート26.034gの溶液を、滴下漏斗に入れた。反応器を、高真空ポンプを用いて、<1mbarで30分間、室温で脱気した。モノマー溶液を、100mbar、室温で10分間、脱気サイクルの間に窒素で真空を中断して、3回脱気した。モノマー溶液を次に反応器中のPDMSに入れ、そして次に該反応混合物を撹拌し、67℃に加熱した。加熱の間、酢酸エチル38g中に溶解したメルカプトエタノール1.480g及びアゾイソブチロニトリル0.260gの溶液を滴下漏斗に入れ、そして100mbar、室温で10分間の脱酸素を3回行った。反応器が該温度になったとき、開始剤溶液をPDMS/モノマー溶液に加えた。反応を8時間行い、そして次に加熱を中止し、反応器の温度を15分以内に室温にした。
【0125】
UVマクロマー合成
上記反応混合物を、気密性の蓋を備えた、乾燥した一口フラスコへ静かに移し、そしてイソシアナトエチルアクリラート3.841gを、ジブチルスズジラウレート0.15gと一緒に加えた。該混合物を、24時間室温で撹拌した。ヒドロキシ−テトラメチレンピペロニルオキシ10.0mgを、マクロマー溶液に加えた。溶液を200g(〜50%)まで濃縮し、そして1um孔サイズのろ紙を通して濾過した。固体含有量を、溶媒を真空オーブン中80℃で除去することを用いて測定した。
注記:イソシアナトエチルアクリラートは、イソシアナトエチルメタクリラートで置き換え、メタクリラート基を含むUVマクロマーを調製することができる。
【0126】
B.UV−416を含有するUV吸収性マクロマーの調製
Norblocを加えることに代えて、2−ヒドロキシ−4−アクリリルオキシエトキシベンゾフェノン(UV−416)3.50グラムを加えること以外は手順A1に従って、このマクロマーを合成した。
【0127】
C.BZTを含有するUV吸収性マクロマーの調製
Norblocを加えることに代えて、2−(1,1−ジメチルエチル)−4−[3−[(4−エテニルフェニル)メトキシ]プロポキシ]−6−(5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−フェノール(BZT)1.265グラムを加えること以外は手順A1に従って、このマクロマーを合成した。
【0128】
D.Norblocを含有するUV吸収性調合物の調製
上記工程A1に従って得られたマクロマー34.0gを、1−プロパノール約140mLに溶解した。該溶液を、1.0μm除外まで濾過した。該溶液を、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下で固形分65%まで濃縮した。溶液51.52gを固形分64.83%で回収した。調合物を、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド(TPO)0.068gを、マクロマー溶液15gに溶解させることにより調製した。
【0129】
E.UV−416及びBZTを含有するUV吸収性調合物の調製
調合物は、実施例Dに従って製造したが、実施例Bからのマクロマー46%、実施例Cからのマクロマー24%、UV吸収剤を含まないマクロマー29%及びTPO 0.7%を含んでいる。
【0130】
F.Norbloc(吸収剤1)を含有するコンタクトレンズの調製
ポリ(プロピレン)コンタクトレンズ型(DSM)を、実施例Dからの調合物で充填し、そして型を閉じた。330及び395カットオフフィルターを用いて、短い波長の放射線を除去した。型を次に、約21mW/cm2の強度を有するUV/可視光源を用いて68秒間照射した。型を次に開き、そして付着したレンズを有している型半分を、エタノールに最低で60秒間浸した。レンズを型から除去し、そしてエタノール中に置き、撹拌しながら約60秒間抽出した。レンズを次にDI水を含む容器中に置き、そして最低で30秒間撹拌した。このすすぎ工程を2回追加して繰り返した。3回目のすすぎ工程の後、レンズをDI水中で貯蔵した。レンズのコーティングが不要である場合、該レンズは約2mLのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)中で加圧滅菌に付された。
【0131】
G.UV−416及びBZT(吸収剤2)を含有するコンタクトレンズの調製
ポリ(プロピレン)コンタクトレンズ型(DSM)を、実施例Eからの調合物で充填し、そして型を閉じた。330及び395カットオフフィルターを用いて、短い波長の放射線を除外した。型を次に約21mW/cm2の強度を有するUV/可視光源で53秒間照射した。レンズを、約2mLのPBS中で加圧滅菌に付した。
【0132】
H.Norbloc及びTRISを含有するUV吸収性マクロマーの調製
2Lジャケット付き反応器に、加熱/冷却ループ、N入口アダプター付き還流冷却器、止め栓及び側腕付き隔壁−入口アダプター2つ、熱電対アダプター及び上部撹拌装置を備えたものを用いた。Norbloc 3.3g、架橋剤C 40グラム、DMA 31.47グラム、HEA 5.245グラム、TRIS−メタクリラート15.7385グラム及びt−アミルアルコール560グラムを加えた。混合物を、撹拌しながら溶液の温度が0〜−5℃の間になるまで冷却した。溶液を、1mBar未満まで排気し、真空を5分間保持し、そして次に窒素で再加圧することにより脱気した。該脱気手順を、合計で12回繰り返した。
磁気撹拌子及びバルブ付き真空入口アダプターを備えた別の250mLナシフラスコ中で、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(AIBN)0.15gを、t−アミルアルコール40g中に溶解した。20mLシンチレーションバイアル中で、システアミン塩酸塩0.80グラムを、メタノール1.2グラムに溶解した。一旦溶解させ、該システアミン溶液をAIBN溶液に撹拌しながら滴下した。この新しい溶液を、50mBarまで排気し、真空を10分間保持し、そして次に窒素で再加圧することにより、3回脱気した。
別のシンチレーションバイアル中で、システアミン塩酸塩1.60グラムをメタノール2.4グラムに溶解した。一旦溶解し、この溶液をt−アミルアルコール100gに撹拌しながら滴下した。この投与溶液を、HPLCポンプを使用して、そして溶液をAlltech製Select(登録商標)脱気システムを通して少なくとも30分間循環させることにより脱気した。
反応器中で、ヒーターを70℃に設定して溶液を加熱した。反応器中の溶液温度が64℃に達したとき、AIBN/システアミン溶液を、脱気したシリンジを用いて反応器に加えた。同時に、システアミン溶液を1mL/分の速度で反応器中へ投与し始めた。共重合の速度論は、GC解析により追跡した。5時間後、反応混合物を室温に冷ました。
その溶液を次に、丸底フラスコに移し、そしてコポリマーを、t−アミルアルコールから2−プロパノール、次に水へと溶媒交換した。該コポリマーを、10kDa膜と共に水を使用して透析濾過により精製した。
この混合物を次に、上部撹拌装置、冷却ループ、温度計、ならびにMetrohm Model 718 STAT TitrinoのpH計及び分注チップを備えた2L反応器に入れた。反応混合物を1℃未満に冷却した。NaHCO6.28gを該混合物に加え、そして撹拌して溶解した。Titrinoを、15%水酸化ナトリウム溶液の断続的な添加によりpHを9.5に維持するように設定した。塩化アクリロイル12.15mLを次に、シリンジポンプを用いて2時間かけて添加した。添加の完了後、溶液をさらに1時間撹拌した。該溶液を室温に温めながら、2N HCl水溶液を用いて溶液をpH7に中性化した。溶液を次に反応器から流し出し、そしてコースフリットガラス漏斗を通して濾過した。混合物を、脱イオン水及び1−プロパノールの50/50混合物を用いての透析濾過(公称分子量カットオフ、10,000D)により、透過伝導度が4μS/cm以下になるまで精製した。このとき、マクロマー溶液を100% 1−プロパノールへと溶媒交換する。マクロマー混合物の水含有量が1000ppm未満の場合、マクロマーは配合する(formulate)準備ができている。
【0133】
I1.Norbloc及びトリスを含有するUV吸収性調合物の調製
該調合物を、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド(TPO)0.1125gを、マクロマー9.75グラムを含有する、十分な工程Hからのマクロマー溶液に溶解させることで調製した。過剰の1−プロパノールを、ロータリーエバポレーターを使用して減圧下で除去して、65%濃度のマクロマーを得た。
【0134】
I2.マクロマーA1を含有するUV吸収調合物の調製
TPO 0.05グラム及びDMPC 0.0375グラムを、小さなコハク色のバイアルに秤りとった。十分なマクロマー溶液A2を加えて、マクロマー3.55グラム(調合物合計の71%がマクロマーである)を得た。1−プロパノール約9グラムを、バイアルに加えた。ロータリーエバポレーターを使用して、溶媒約14mLを除去した。さらに1−プロパノール9グラムを加え、そして溶媒約11mLを除去した。この手順をさらに2回繰り返した。最後に十分な溶媒を除去して、4.8グラムの重量の調合物を得た。次にDMA 0.2グラムを加えた。該調合物を、少なくとも2時間ゆっくりと回転させて混合した。
【0135】
J.Norbloc及びTRISを含有するUV吸収性レンズの調製
ポリ(プロピレン)コンタクトレンズ型(DSM)を、実施例I2からの調合物で充填し、そして型を閉じた。380nmカットオフフィルターを用いて、短い波長の放射線を除去した。型を次に、約13mW/cm2の強度を有するUV/可視光源を用いて50秒間照射した。該レンズを、IPAを用いて2段階で抽出した。第一の工程では2分間、そして第二の工程では別のIPA浴中で20分間である。レンズを次にポリ(アクリル酸)で被覆し、次に約2mLのPBS中で加圧滅菌に付した。
【0136】
K.調合物I2からのレンズの調製
I2からの調合物を、投入シリンジ中で、45分間、4500rpmで遠心分離した。該調合物を、前部の、曲がったlight stream(LS)型中へと投入した。型を閉じた後、388nmロングパスAsahiカットオフフィルターを透過するHamamatsu LC5ランプからの光により、調合物を硬化した。使用した光の強度は4.6mW/cm2である。硬化の継続時間は、22秒である。レンズを型から取り出し、次に抽出し、そして以下の手順を使用して被覆した:(1)MEK中22秒;(2)MEK中78秒;(3)MEK中224秒;(4)DI水中56秒;(5)PAA/1−プロパノール溶液中44秒;(6)PAA/1−プロパノール溶液中56秒;(7)DI水中56秒;(8)DI水中56秒;及び(9)DI水中56秒。レンズは、不具合を検査し、PBS中に封入し、加圧滅菌に付した。
【0137】
レンズの特性を、下記の表に示す。
【0138】
【表1】

【0139】
L.UV吸収性モノマー調合物の調製
以下の化合物を一緒に加えて、調合物を製造した:鎖延長PDMS架橋剤D 31.5%、TRISアクリルアミド20.5%、DMA 23%、TPO 1%、LPEG2000 0.25%、Norbloc 1%、1−プロパノール23.65%及び色付け分散液0.1%。
【0140】
M.UV吸収性モノマー調合物の調製
以下の化合物を一緒に加えて、調合物を製造した:鎖延長PDMS架橋剤D 31.5%、TRISアクリルアミド 20.5%、DMA 23%、TPO 0.75%、LPEG2000 0.25%、Norbloc 1%、1−プロパノール23.9%及び色付け分散液0.1%。
【0141】
N.レンズ製造及び断面を用いた内部応力の解析
レンズは、実施例I2、L及びMにおける調合物から、実施例Kに見られる手順を使用して調製した。用いたカットオフフィルターと光の強度のみが例外である。以下の表は、マクロマーベースの調合物を使用することの、モノマーベースの調合物に対する利点を実証している。マクロマーベースの調合物(I2)を、強度勾配を含めてモノマーベースの調合物と同じ条件下で硬化した場合、出来上がりのレンズの断面は、マクロマーベースの調合物から非常に優れていた。強度勾配は、該調合物が長さ100umの経路を超えて吸収する、硬化に使用した光の量に基づく計算値である。強度勾配が高すぎると、調合物の表面と比較して底部においてTPOにより見られる、異なる光量が生じうる。この効果は、断面の形状を見ることによりそれ自身が明らかになりうる、レンズの内部応力をもたらしうる。モノマーベースのレンズの場合、388nmカットオフフィルターを使用して硬化された断面は、レンズそれ自体よりもはるかに平坦である。モノマーベースの調合物は、良好な断面を得るために、より低い強度勾配を必要とする。これは、TPO濃度の減少及び波長カットオフフィルターの増加により成し遂げられる。
【0142】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学線架橋性プレポリマーであって、プレポリマーの分岐鎖状コポリマー鎖中に、(1)少なくとも一種のポリシロキサン含有架橋剤に由来する架橋性ポリシロキサンポリマー単位;(2)一種以上の親水性ビニルモノマーに由来する親水性ポリマー単位;(3)UV吸収性ポリマー単位、潜在性UV吸収性ポリマー単位又は二重光機能性ポリマー単位(ここで、UV吸収性ポリマー単位は、重合性UV吸収剤に由来し、潜在性UV吸収性ポリマー単位は、重合性潜在性UV吸収剤に由来し、二重光機能性ポリマー単位は、光開始部分及びUV吸収性又は潜在性UV吸収性部分を有する重合性化合物に由来する);(4)場合により、一種以上のモノエチレン性官能基化ポリシロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマーに由来するつり下がったポリシロキサンポリマー単位(ここで、つり下がったポリシロキサン単位は、エチレン性不飽和基を含まない);及び(5)場合により、少なくとも一種のシロキサン含有ビニルモノマーに由来するシロキサンポリマー単位を含み、ここで、前記プレポリマーは、三つ以上のエチレン性不飽和基を含み、溶媒に可溶性であり溶液を形成し、そして一種以上のビニルモノマー又は架橋剤の非存在下で化学線的に架橋することができ、UV吸収性又は遮断性シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する、化学線架橋性プレポリマー。
【請求項2】
プレポリマーが、一つ以上の第一の官能基を有する中間コポリマーから、該中間コポリマーと第二の官能基を有するビニルモノマーとの反応で、エチレン性不飽和基を第一の官能基の一つを介して中間コポリマーと共有結合的に結合させることによって得られ、ここで、前記第一及び第二の官能基は、互いに異なっており、そしてヒドロキシ基、アミノ基(−NH)、カルボキシル基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハライド基(−COX、X=Cl、Br又はI)、イソチオシアナート基、イソシアナート基、ハライド基(−X、X=Cl、Br又はI)、酸無水物基及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、但し、各々の第二の官能基は、第一の官能基の一つと共反応性であって共有結合を形成し、
ここで、前記中間コポリマーは、反応性混合物A又はBの共重合により得られ、
ここで、該反応性混合物Aは、(1)少なくとも一種のポリシロキサン含有架橋剤;(2)一種以上の親水性ビニルモノマー;(3)重合性UV吸収剤又は重合性潜在性UV吸収剤;(4)フリーラジカル開始剤;(5)場合により、一種以上のモノエチレン性官能基化ポリシロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマー;及び(6)場合により、少なくとも一種のシロキサン含有ビニルモノマーに由来するシロキサン単位(但し成分(1)〜(3)及び(5)の少なくとも一つは、さらに少なくとも一つの第一の官能基を含む)を含み、
前記反応性混合物Bは、(1)少なくとも一種のポリシロキサン含有架橋剤;(2)一種以上の親水性ビニルモノマー;(3)重合性UV吸収剤又は重合性潜在性UV吸収剤;(4)フリーラジカル開始剤;(5)場合により、一種以上のモノエチレン性官能基化ポリシロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマー;(6)場合により、少なくとも一種のシロキサン含有ビニルモノマーに由来するシロキサン単位;及び(7)少なくとも一種の、第一の官能基を有する連鎖移動剤を含む、請求項1に記載のプレポリマー。
【請求項3】
中間コポリマーが、反応性混合物Bの共重合により得られる、請求項2に記載のプレポリマー。
【請求項4】
ポリシロキサン架橋剤が、式(1):
【化19】


[式中、
及びAは、各々独立して、場合により1つ以上のヒドロキシルもしくはアミノ基を有する直鎖状もしくは分岐鎖状C−C10アルキルジラジカル、下記:
【化20】


(式中、qは、1〜5の整数であり、そしてalk及びalk’は、各々独立して、C-Cアルキレン二価ラジカルである)で示される二価ラジカル又は−R’−X−E−X−R’−二価ラジカル(ここで、R’及びR’は、各々独立して、直接結合、直鎖状もしくは分岐鎖状C−C10アルキレン二価ラジカルであるか、又は上記と同義の下記:
【化21】


で示される二価ラジカルであり、X及びXは、各々独立して、下記:
【化22】


(式中、R’は、H又はC−Cアルキルである)からなる群より選択される結合であり、Eは、最大で40個までの炭素原子を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アルキルアリールジラジカル又はアリールジラジカルである)であり;
及びXは、各々独立して、直接結合及び下記:
【化23】


(ここで、R’は、H又はC−Cアルキルである)からなる群より選択される結合であり;
PDMSは、式(2):
【化24】


(式中、νは、0又は1であり、ωは、0〜5の整数であり、U及びUは、各々独立して、上記と同義の−R’−X−E−X−R’−二価ラジカル又は上記と同義の下記:
【化25】


で示される二価ラジカルを表し、D、D及びDは、各々独立して、−(CHCHO)−CHCH−(ここで、tは、3〜40の整数である)、−CF−(OCF−(OCFCF−OCF−(ここで、a及びbは、各々独立して、0〜10の整数であり、但しa+bは、10〜30の範囲の数である)、及び式(3):
【化26】


(式中、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、互いに独立して、C−C−アルキル、C−Cアルキル−もしくはC−C−アルコキシ−置換フェニル、フルオロ(C−C18−アルキル)、シアノ(C−C12−アルキル)、−alk−(OCHCH−OR11(ここで、alkは、C−C−アルキレン二価ラジカルであり、R11は、C−Cアルキルであり、nは、1〜10の整数である)であり、m及びpは、互いに独立して、2〜698の整数であり、そして(m+p)は、5〜700である)で示される二価の基からなる群より選択される二価ラジカルであり、但しD、D及びDの少なくとも一つは、式(3)で表される)で示されるポリシロキサンの二価ラジカルであり;そして
Qは、式(4):
【化27】


(式中、Z及びZは、互いに独立して、直鎖状もしくは分岐鎖状C−C12アルキレン二価ラジカル、一つ以上のヒドロキシル基を有する直鎖状もしくは分岐鎖状C−C12アルキレン二価ラジカル、−(CHCHO)−CHCH−ラジカル(ここで、dは、1〜10の整数である)、非置換フェニレン二価ラジカル、C−CアルキルもしくはC−Cアルコキシ置換フェニレン二価ラジカル又はC−C12アラルキレン二価ラジカルであり;Aは、下記:
【化28】


(式中、R’は、H又はC−Cアルキルである)であり;q及びqは、互いに独立して、0又は1の整数であり;R14は、水素又はC−Cアルキルであり;R15及びR16は、互いに独立して、水素、C−Cアルキル、フェニル又はカルボキシル基である)で示されるエチレン性不飽和基である]により定義される、請求項1、2又は3に記載のプレポリマー。
【請求項5】
式(2)において、νが、0又は1であり、ωが、1〜5の整数であり、D、D及びDが、互いに独立して、式(3)の二価ラジカル(ここで、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、メチルであり、m及びpは、互いに独立して、2〜698の整数であり、(m+p)は、5〜700である)であり、U及びUが、互いに独立して、−R’−X−E−X−R’−二価ラジカル[ここで、X及びXは、互いに独立して、下記:
【化29】


であり、R’及びR’は、互いに独立して、下記:
【化30】


(式中、qは、1〜5の整数であり、alk及びalk’は、互いに独立して、C-Cアルキレン二価ラジカルである)の二価ラジカルであり、そしてEは、最大で40個までの炭素原子を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アルキルアリールジラジカル又はアリールジラジカルである]を表し;
式(1)において、A及びAが、互いに独立して、直鎖状もしくは分岐鎖状C-C10アルキル二価ラジカル、下記:
【化31】


(式中、q、alk及びalk’は、上記定義のとおりである)で示される二価ラジカル又は−R’−X−E−X−R’−二価ラジカル[ここで、R’及びR’は、互いに独立して、直接結合、直鎖状もしくは分岐鎖状C−C10アルキレン二価ラジカル又は上記と同義の下記:
【化32】


で示される二価ラジカルであり、X及びXは、互いに独立して、下記:
【化33】


(ここで、R’は、H又はC−Cアルキルである)からなる群より選択される結合であり、Eは、上記定義のとおりである]であり、
Qが、式(4)のエチレン性不飽和基[ここで、R14、R15及びR16は、互いに独立して、水素又はメチルであり、Z及びZは、互いに独立して、直鎖状もしくは分岐鎖状C−C12アルキレン二価ラジカル、1個以上のヒドロキシル基を有する直鎖状もしくは分岐鎖状C−C12アルキレン二価ラジカル、又は−(CHCHO)−CHCH−ラジカル(ここで、dは、1〜10の整数である)であり、Aは、下記:
【化34】


(ここで、R’は、H又はC−Cアルキルである)であり、q及びqは、互いに独立して、0又は1の整数である]である、請求項4に記載のプレポリマー。
【請求項6】
ポリシロキサン架橋剤が、(1)ジ−3−メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン;(2)ジ−ビニル末端ポリジメチルシロキサン;(3)第一のエチレン性官能基化ビニルモノマーと、ジ−(ヒドロキシエトキシプロピル)−、ジ−ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル−、ジ−(アミノプロピル)−、ジ−エチルアミノプロピル−又はジ−カルボキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンとのカップリング生成物(ここで、前記第一のエチレン性官能基化ビニルモノマーは、イソシアナトエチル(メタ)アクリラート、グリシジル(メタ)アクリラート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸クロリド、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリラート、3−(1−アジリジニル)プロピル(メタ)アクリラート、4−(1−アジリジニル)ブチル(メタ)アクリラート、6−(1−アジリジニル)ヘキシル(メタ)アクリラート、8−(1−アジリジニル)オクチル(メタ)アクリラート、2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン及びそれらの組み合わせからなる群より選択される);(4)第二のエチレン性官能基化ビニルモノマーと、ジ−カルボキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンとの、カップリング剤としてのカルボジイミド存在下でのカップリング生成物(ここで、前記第二のエチレン性官能基化ビニルモノマーは、アリルアミン、アミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリラート、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリラート、ビニルアミン、アミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド及びそれらの組み合わせからなる群より選択される);(5)第三のエチレン性官能基化ビニルモノマーと、ジ−アミノプロピル−又はジ−エチルアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンとの、カップリング剤としてのカルボジイミド存在下でのカップリング生成物(ここで、前記第三のエチレン性官能基化ビニルモノマーは、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、ブチルアクリル酸、2−アクリルアミドグリコール酸及びそれらの組み合わせからなる群より選択される);(6)第四のエチレン性官能基化ビニルモノマーと、ジ−(ヒドロキシエトキシプロピル)−、ジ−(アミノプロピル)−又はジ−エチルアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンとの、ジ−エポキシ化合物又はジ−イソシアナートを介してのカップリング生成物(ここで、前記第四のエチレン性官能基化ビニルモノマーは、C−Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、C−Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、アリルアミン、アミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリラート、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリラート、ビニルアミン、アミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド、C−Cアルキルアミノ−C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、ここで前記ジ−エポキシ化合物は、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル又はそれらの組み合わせであり、前記ジ−イソシアナートは、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチル−1,6−ジイソシアナート又は4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナートである)である、請求項4に記載のプレポリマー。
【請求項7】
プレポリマーが、式(6):
【化35】


[式中:
14は、H又はCHであり;Z及びZは、互いに独立して、直鎖状もしくは分岐鎖状C−C12アルキレン二価ラジカル、一つ以上のヒドロキシル基を有する直鎖状もしくは分岐鎖状C−C12アルキレン二価ラジカル、−(CHCHO)−CHCHラジカル(ここで、dは、1〜10の整数である)、非置換フェニレン二価ラジカル、C−Cアルキル又はC−Cアルコキシ置換フェニレン二価ラジカル又はC−C12アラルキレン二価ラジカルであり;Aは、下記:
【化36】


(ここで、R’は、H又はC−Cアルキルである)であり;q及びqは、互いに独立して、0又は1の整数であり;Yは、C−Cアルキレン二価ラジカル又は一つ以上のヒドロキシル基を含有するC−Cアルキレン二価ラジカルであり;mは、0〜5の整数であり、pは、1〜6の整数であり、そしてG、G及びGは、互いに独立して、C−Cアルキル、フェニル、ベンジル又は式(7):
【化37】


(式中、B、B及びBは、互いに独立して、C−Cアルキル、フェニル又はベンジルである)で示されるラジカルであり;但し、G、G及びGの少なくとも二つは、式(7)で示されるラジカルである]で示される、少なくとも一種のシロキサン含有ビニルモノマーに由来するシロキサンポリマー単位を含み、
ここで、前記プレポリマーが、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N,N−ジメチルメタクリルアミド(DMMA)、2−アクリルアミドグリコール酸一水和物、3−アクリロイルアミノ−1−プロパノール、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−アクリルアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリラート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート(HPMA)、トリメチルアンモニウム 2−ヒドロキシプロピルメタクリラート塩酸塩、アミノプロピルメタクリラート塩酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリラート(DMAEMA)、グリセリンメタクリラート(GMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、アリルアルコール、ビニルピリジン、アクリル酸、200〜1500の重量平均分子量を有するC−C−アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリラート、メタクリル酸、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、アリルアルコール、N−ビニルカプロラクタム及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一種の親水性ビニルモノマーに由来する親水性ポリマー単位を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプレポリマー。
【請求項8】
プレポリマーが、ベンゾトリアゾール部分及び/又はベンゾフェノン部分を含む重合性UV吸収剤に由来するUV吸収性ポリマー単位を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプレポリマー。
【請求項9】
重合性UV吸収剤が、2−(2−ヒドロキシ−5−ビニルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−アクリルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルアミドメチル−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルアミドフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルアミドフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシプロピル−3’−t−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシプロピルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−アクリルオキシアルコキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシアルコキシベンゾフェノン、アリル−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリルオキシベンゾフェノン及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプレポリマー。
【請求項10】
プレポリマーが、ベンゾトリアゾール部分及び/又はベンゾフェノン部分を含む重合性潜在性UV吸収剤に由来する潜在性UV吸収性ポリマー単位を含み、ここで、ベンゾトリアゾール部分におけるフェノール部分のヒドロキシルラジカルが、保護用の不安定な基により置き換えられて潜在性UV吸収性の部分を形成しており、ベンゾフェノン部分におけるフェノール性ラジカルの少なくとも一つのヒドロキシルラジカルが、保護用の不安定な基により置き換えられて潜在性UV吸収性部分を形成している、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプレポリマー。
【請求項11】
プレポリマーが、光開始性部分及びUV吸収性又は潜在性UV吸収性部分を有する重合性化合物に由来する二重光機能性ポリマー単位を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプレポリマー。
【請求項12】
メチルアクリラート、エチルアクリラート、プロピルアクリラート、イソプロピルアクリラート、シクロヘキシルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、プロピルメタクリラート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、1−ブテン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、ペルフルオロヘキシルエチル−チオ−カルボニル−アミノエチル−メタクリラート、イソボルニルメタクリラート、イソボルニルアクリラート、ノルボルニルメタクリラート、ノルボルニルアクリラート、トリフルオロエチルメタクリラート、ヘキサフルオロ−イソプロピルメタクリラート、ヘキサフルオロブチルメタクリラートからなる群より選択される、少なくとも一種の疎水性ビニルモノマーに由来する疎水性ポリマー単位を更に含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプレポリマー。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の化学線架橋性プレポリマーを含むレンズ形成材料を、型中で硬化することにより得られる、シリコーンヒドロゲル材料を含むソフトコンタクトレンズであって、レンズに当たる約280nmから約370nmの範囲のUV光の少なくとも約80%を吸収できることを特徴とするUV吸収特性を有する、コンタクトレンズ。
【請求項14】
コンタクトレンズが、少なくとも40barrerの酸素透過度、約2.0MPa以下の弾性率、少なくとも約1.5×10−6mm2/minのイオノフラックス拡散係数D及び約15%から約70%の水含有量からなる群より選択される少なくとも一つの特性を有する、請求項13に記載のソフトコンタクトレンズ。
【請求項15】
可視性色付け剤、抗菌剤、生物活性剤、浸出性潤滑剤又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項13又は14に記載のコンタクトレンズ。

【公表番号】特表2013−504682(P2013−504682A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529809(P2012−529809)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/048561
【国際公開番号】WO2011/034801
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】