説明

細分化された形にある加硫ゴムを含む熱可塑性エラストマー材料

本発明は、以下を含む熱可塑性エラストマー材料に関する:(a)10重量%〜100重量%、好ましくは20重量%〜80重量%の少なくとも1種のスチレン系熱可塑性エラストマー;(b)0重量%〜90重量%、好ましくは20重量%〜80重量%の(a)とは異なる少なくとも1種の熱可塑性α−オレフィンホモポリマーまたはコポリマー;ここにおいて、(a)+(b)の量は100である;(c)2重量部〜90重量部、好ましくは5重量部〜40重量部の細分化された形にある加硫ゴム;(d)0.01重量部〜10重量部、好ましくは0.05重量部〜5重量部の少なくとも1つのエチレン性不飽和を含有する少なくとも1種のカップリング剤;ここにおいて、(c)および(d)の量は、100重量部の(a)+(b)に対して表されている。前記熱可塑性エラストマー材料は、改善された機械的性質、詳細には、破断点応力および破断点伸びを示す。さらに、前記熱可塑性エラストマー材料は、改善された耐摩耗性を示す。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
説明
発明の背景
本発明は、細分化された形にある加硫ゴムを含む熱可塑性エラストマー材料に関する。
【0002】
詳細には、本発明は、細分化された形にある加硫ゴムと少なくとも1種のスチレン系熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマー材料に関する。
本発明はさらに、前記熱可塑性エラストマー材料を含む製品に関する。
【0003】
従来技術
工業用ゴム製品の生産量が増加した結果、大量のゴム廃棄物の蓄積がもたらされた。このゴム廃棄物は一般に専用の埋立地に処理されているが、環境を汚染するほか前記廃棄物を貯蔵するための広い専用区域を要するという主な欠点を有する。
【0004】
廃棄物の体積を減少させ、有用な副生物を得ることを目的として、タイヤなどの廃ゴムを解重合することは当分野で公知である。同様に、廃ゴムを再循環させる試みにおいて、ゴム製品を脱硫することができる。
【0005】
これらの技術に加えて、廃ゴムを粉砕し、そのようにして得られた粉砕粒子を利用することは、当分野で一般的である。これら粉砕粒子を続いて熱可塑性ポリマー材料と配合すると、複数の用途で採用することができる最終製品を作成することができる。
【0006】
例えば、米国特許第4970043号は、粉砕再生ゴムを含むスクラップ材料と、例えばブタジエン−スチレンブロックコポリマーなどの熱可塑性ポリマーを含む凝集性(cohesive)基材から、安定で成形可能な生成物を形成するための方法に関する。1:1の比率で実質的に均一に分配された粉砕再生ゴムと凝集性基材の混合物を十分な圧力および温度で処理して、準安定性(semi-stable)の成形可能な生成物を形成する。その後、準安定性の成形可能な生成物を十分な圧力下に暴露するかそのような圧力下で維持して、安定で成形可能な生成物を形成する。得られる安定な成形物は、低下した多孔度と概ね均一な性質を有すると述べられている。
【0007】
米国特許第5514721号は、熱可塑性材料と加硫ゴム粒子を含有する再生可能な熱可塑性組成物を作成するための方法であって、前記方法が、最初に熱可塑性材料を溶融して、加熱された塊を形成する段階;前記加熱された塊に加硫ゴム粒子のための解膠剤および乳化剤を加える段階、ここにおいて、前記解膠剤は、有機および無機の酸および塩基解膠剤からなる群より選択される;加硫ゴム粒子を前記塊に加える段階;得られた塊を、ゴム粒子の粒径を減少させつつ該粒子の表面を乳化し膨潤させるのに足る高剪断力下で加熱および混合する段階;該混合物をその等電点まで中和する段階;ならびに、得られた塊を冷却し回収する段階を含む、前記方法に関する。熱可塑性材料は、熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン−イソプレンまたはスチレン−ブタジエンブロックコポリマーなどのスチレンブロックコポリマー)から選択することができる。得られた熱可塑性組成物は、加硫ゴムに匹敵するかそれより良好な性質を有し、優れた耐薬品性および耐候性を有するように、配合することができる。
【0008】
米国特許第6262175号は、熱可塑性組成物であって、該組成物の全重量に基づく重量パーセンテージで、約5%〜約90%の加硫ゴム断片;約5%〜約60%のポリオレフィン;約2%〜約30%の未硬化ゴムまたはスチレン系熱可塑性エラストマー;ならびに、ビニルホモポリマー、コポリマーおよびその混合物から選択される約2%〜約30%のビニルポリマーを含有する前記熱可塑性組成物に関する。ポリオレフィンは、固体で高分子量のポリオレフィンホモポリマーもしくはコポリマー、またはその混合物である。好ましいポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはエチレンとプロピレンのコポリマーである。スチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーから選択することができる。上記熱可塑性組成物は、優れた物理的性質、例えば優れた極限伸びおよび引裂強さを有すると述べられている。
【0009】
しかしながら、出願人は、粉砕加硫ゴム粒子を例えばスチレンブロックコポリマーのようなスチレン系熱可塑性エラストマーに加えると、得られる熱可塑性エラストマー材料の機械的性質が結果として著しく低下することに気付いた。
【0010】
詳細には、出願人は、スチレン系熱可塑性エラストマーと粉砕加硫ゴム粒子との相溶性が不十分なため、得られる熱可塑性エラストマー材料の機械的性質、詳細には破断点応力(stress at break)および破断点伸び、ならびに耐摩耗性が悪影響を受けることに気付いた。
【0011】
発明の概要
出願人は今回、少なくとも1つのエチレン性不飽和を有する少なくとも1種のカップリング剤を利用して上記問題を克服することが可能であることを見いだした。前記カップリング剤により、スチレン系熱可塑性エラストマーと粉砕加硫ゴム粒子の相溶性が改善され、良好な機械的性質、詳細には破断点応力および破断点伸びを有する熱可塑性エラストマー材料を得ることが可能になる。さらに、前記熱可塑性エラストマー材料は、改善された耐摩耗性を示す。さらに、前記熱可塑性エラストマー材料は、良好な曲げ強さおよび良好な引裂抵抗を示す。さらに、前記熱可塑性エラストマー材料のメルトフローインデックス(MFI)は悪影響を受けない。
【0012】
第1の観点に従って、本発明は、熱可塑性エラストマー材料であって、
(a)10重量%〜100重量%、好ましくは20重量%〜80重量%の少なくとも1種のスチレン系熱可塑性エラストマー;
(b)0重量%〜90重量%、好ましくは20重量%〜80重量%の(a)とは異なる少なくとも1種の熱可塑性α−オレフィンホモポリマーまたはコポリマー;
ここにおいて、(a)+(b)の量は100である;
(c)2重量部〜90重量部、好ましくは5重量部〜40重量部の細分化された形にある加硫ゴム;
(d)0.01重量部〜10重量部、好ましくは0.05重量部〜5重量部の少なくとも1つのエチレン性不飽和を含有する少なくとも1種のカップリング剤;
ここにおいて、(c)および(d)の量は、100重量部の(a)+(b)に対して表されている、
を含む、前記熱可塑性エラストマー材料に関する。
【0013】
好ましい一態様に従って、前記熱可塑性エラストマー材料はさらに、(e)少なくとも1種の芳香族モノカルボン酸もしくはジカルボン酸またはそれらの誘導体を含んでいてもよい。
【0014】
他の好ましい態様に従って、前記熱可塑性エラストマー材料はさらに、(f)少なくとも1種の無機充填剤を含んでいてもよい。
他の好ましい態様に従って、前記熱可塑性エラストマー材料はさらに、(g)少なくとも1種のシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含んでいてもよい。
【0015】
好ましい一態様に従って、スチレン系熱可塑性エラストマー(a)は、少なくとも2個の末端ポリ(モノビニル芳香族炭化水素)ブロックと少なくとも1個の内部ポリ(共役ジエン)ブロックおよび/またはポリ(脂肪族α−オレフィン)ブロックとを含む。
【0016】
好ましくは、スチレン系熱可塑性エラストマー(a)は、例えば、以下の化学式を有するブロックコポリマーから選択することができる:A(BA)、またはA(BA’)m’、または(AB)X、または(AB)X(A’B’)または(AB)X(B’’)[式中、AおよびA’のそれぞれは独立して、モノビニリデン芳香族モノマーを含むポリマーブロックを表し;B、B’およびB’’は独立して、共役ジエンモノマーおよび/または脂肪族α−オレフィンモノマーを含むポリマーブロックを表し;Xは、多官能性橋かけ部分を表し;nおよびrは、2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜8の整数を表し;mおよびm’は、≧1、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜8の整数を表し;p、qおよびsは、≧1、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜8の整数を表す]。
【0017】
好ましくは、ブロックAおよびA’のモノビニリデン芳香族モノマーは、例えば、スチレン、アルキル置換スチレン、アルコキシ置換スチレン、ビニルナフタレン、アルキル置換ビニルナフタレン、ビニルキシレン、アルキル置換ビニルキシレン、またはそれらの混合物から選択することができる。スチレンまたはアルキル置換スチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
【0018】
アルキルまたはアルコキシ置換基は、一般に1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含むことができる。アルキルまたはアルコキシ置換基が存在する場合、1分子あたりの該置換基の数は1〜3個であることができ、好ましくは1個である。コモノマーは、存在する場合、(ジ)オレフィン、およびスチレンと共重合しうる他の化合物から選択することができる。
【0019】
好ましくは、ブロックB、B’およびB’’の共役ジエンモノマーは、例えば、4〜24個、好ましくは3〜12個、より好ましくは4〜6個の炭素原子を含有する共役ジエン、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、メチルペンタジエン、3−エチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、ピペリレン、またはそれらの混合物などから選択することができる。1,3−ブタジエンおよびイソプレンが好ましい。コモノマーは、存在する場合、ビニル芳香族モノマー、および共役ジエンモノマーと共重合しうる他の化合物から選択することができる。
【0020】
脂肪族α−オレフィンモノマーは、好ましくは2〜12個、より好ましくは2〜4個の炭素原子を含有することができ、例えば、エチレン、プロピレン、またはそれらの混合物から選択することができる。
【0021】
好ましくは、AおよびA’ブロックはポリ(スチレン)ブロックを表し、B、B’およびB’’ブロックは、ポリ(ブタジエン)ブロック、ポリ(イソプレン)ブロック、ポリブチレン/ポリエチレンコポリマーブロック、ポリエチレン/ポリプロピレンコポリマーブロック、またはイソプレン/ブタジエンコポリマーブロックを表す。
【0022】
用いることができる多官能性橋かけ部分は、当分野で一般に公知のものを含む。
前記ブロックコポリマーに有利に用いることができる適切な多官能性橋かけ部分の例は、2〜8個、好ましくは2〜6個、より好ましくは2、3または4個の官能基を含む。
【0023】
前記ブロックコポリマーは、例えば米国特許第4764572号、米国特許第3231635号、米国特許第3700633号および米国特許第5194530号に開示されているように、s−ブチルリチウムなどのアルカリ金属開始剤を用いたアニオン重合により作成することができる。
【0024】
前記ブロックコポリマーはまた、その水素化前の最初の不飽和含量の通常最高20%、より好ましくは最高5%、さらにより好ましくは最高2%の残留エチレン性不飽和まで、選択的に水素化されていてもよい。水素化は、例えば、米国再発行特許第27145号または米国特許第5039755号、米国特許第5299464号および米国特許第3595942号に開示されているように、実施することができる。
【0025】
ブロックAおよびA’は、好ましくは3000g/mol〜125000g/mol、より好ましくは5000g/mol〜60000g/molの範囲の重量平均分子量を有する。
【0026】
ブロックB、B’およびB’’は、好ましくは10000g/mol〜300000g/molの範囲、より好ましくは30000g/mol〜150000g/molの範囲の重量平均分子量を有する。
【0027】
ブロックコポリマーの全重量平均分子量は、好ましくは25000〜500000、より好ましくは35000〜400000の範囲にある。
重量平均分子量は、当分野で公知の方法、例えば、ASTM基準D3536−91に従ったポリスチレン較正標準液を用いるゲル透過クロマトグラフィー(GPC)などにより、決定することができる。
【0028】
モノビニリデン芳香族ブロックの量は、ブロックコポリマーの全重量に対し、一般に8重量%〜75重量%、好ましくは20重量%〜60重量%である。ブロックコポリマーは、ブロックコポリマーの全重量に対し、好ましくは25重量%〜92重量%、より好ましくは40重量%〜80重量%の共役ジエンブロックおよび/または脂肪族α−オレフィンブロックを含有する。
【0029】
前記ブロックコポリマーはトリブロック構造を有し、線状もしくはラジアルタイプ、またはそれらの任意の組合わせのものであることができる。
好ましくは、スチレン系熱可塑性エラストマー(a)は、例えば、以下のトリブロックコポリマーから選択することができる:スチレン−ブタジエン−スチレン(S−B−S)、スチレン−イソプレン−スチレン(S−I−S)、スチレン−エチレン/ブテン−スチレン(S−EB−S)、またはそれらの混合物。
【0030】
本発明に用いることができ、現在市販されているスチレン系熱可塑性エラストマー(a)の例は、Kraton(登録商標)(Shell Chemical)、Calprene(登録商標)(Repsol);Europrene(登録商標)(Polimeri Europa);Vector(登録商標)(Dexco)という製品である。
【0031】
(a)とは異なる熱可塑性α−オレフィンホモポリマーまたはコポリマー(b)に関し、“α−オレフィン”という用語は一般に、化学式CH=CH−R[式中、Rは、水素原子、1〜12個の炭素原子を含有する線状または分枝状アルキル基、6〜14個の炭素原子を有するアリール基を表す]の脂肪族または芳香族α−オレフィンを意味する。
【0032】
好ましくは、脂肪族α−オレフィンは、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソプレン、イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、またはそれらの混合物から選択することができる。これらのうち、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、またはそれらの混合物が好ましい。
【0033】
好ましくは、芳香族α−オレフィンは、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、またはそれらの混合物から選択することができる。
好ましくは、本発明に用いることができる熱可塑性α−オレフィンホモポリマーまたはコポリマー(b)は、例えば、
−プロピレンホモポリマー、またはプロピレンとエチレンおよび/もしくは4〜12個の炭素原子を有する少なくとも1種のαオレフィンとのコポリマーであって、エチレンおよび/もしくはα−オレフィンの全体的含量が10モル%未満であるコポリマー;
−エチレンホモポリマー、またはエチレンと4〜12個の炭素原子を有する少なくとも1種のαオレフィンと所望により少なくとも1種のポリエンとのコポリマー;
−スチレンポリマー、例えば、スチレンホモポリマー;スチレンと、少なくとも1種のC−Cアルキル−スチレンまたは少なくとも1種の天然もしくは合成エラストマー、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、エチレン/プロピレン/ジエンコポリマー(EPDM)、エチレン/プロピレンコポリマー(EPR)、天然ゴム、エピクロロヒドリンなどとのコポリマーなど;
−エチレンと、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルおよびカルボン酸ビニルから選択される少なくとも1種のエチレン性不飽和エステルとのコポリマー、ここにおいて、アルキル基は、線状または分枝状であり、1〜8個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有することができる一方、カルボン酸基は、線状または分枝状であり、2〜8個、好ましくは2〜5個の炭素原子を有することができ;そして、エチレン性不飽和エステルは、コポリマーの全重量に対し、一般に0.1重量%〜80重量%、好ましくは0.5重量%〜50重量%の量で存在する、
から選択することができる。
【0034】
本発明で熱可塑性α−オレフィンホモポリマーまたはコポリマー(b)として用いることができるエチレンホモポリマーまたはエチレンと4〜12個の炭素原子を有する少なくとも1種のαオレフィンとのコポリマーの例は、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、またはそれらの混合物である。
【0035】
好ましくは、エチレンと4〜12個の炭素原子を有する少なくとも1種のα−オレフィンとのコポリマーは、例えば、
−以下のモノマー組成を有するエラストマーコポリマー:35mol%〜90mol%のエチレン;10mol%〜65mol%の脂肪族α−オレフィン、好ましくはプロピレン;0mol%〜10mol%のポリエン、好ましくはジエン、より好ましくは1,4−ヘキサジエンまたは5−エチレン−2−ノルボルネン(例えば、EPRおよびEPDMゴム);
−以下のモノマー組成を有するコポリマー:75mol%〜97mol%、好ましくは90mol%〜95mol%のエチレン;3mol%〜25mol%、好ましくは5mol%〜10mol%の脂肪族α−オレフィン;0mol%〜5mol%、好ましくは0mol%〜2mol%のポリエン、好ましくはジエン(例えば、DuPont−Dow Elastomersの製品Engage(登録商標)のようなエチレン/1−オクテンコポリマー)、
から選択することができる。
【0036】
本発明に用いることができる(a)とは異なるスチレンポリマーの例は、シンジオタクチックポリスチレン、アタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、スチレン−メチルスチレンコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマーもしくはスチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−エチレン/プロピレン(S−EP)もしくはスチレン−エチレン/ブテン(S−EB)ジブロックコポリマー;スチレン−ブタジエンもしくはスチレン−イソプレン分枝状コポリマー;またはそれらの混合物である。
【0037】
エチレンと少なくとも1種のエチレン性不飽和エステルとのコポリマーに関し、アクリレートまたはメタクリレートの例は、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、またはそれらの混合物である。カルボン酸ビニルの例は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニルまたはそれらの混合物である。
【0038】
本発明に用いることができるエチレンと少なくとも1種のエチレン性不飽和エステルとのコポリマーの例は、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー(EEA)、エチレン/アクリル酸ブチルコポリマー(EBA)、またはそれらの混合物である。
【0039】
前記熱可塑性α−オレフィンホモポリマーまたはコポリマー(b)は、廃材、例えば、産業廃棄物、使用済み農業用フィルム、使用済みボトルまたは容器などから回収することができる。
【0040】
本発明に用いることができる細分化された形にある加硫ゴム(c)は、任意の加硫ゴム化合物供給源、例えば、タイヤ、屋根材用膜(roofing membrane)、ホース、ガスケットなどを、粉砕するか、さもなければ微粉砕することにより得ることができ、任意の従来法を用いて再生タイヤまたはスクラップタイヤから得ることが好ましい。例えば、細分化された形にある加硫ゴムは、周囲温度において、または極低温の冷却液(すなわち液体窒素)の存在下で、機械的に粉砕することにより得ることができる。使用する前に、粉砕タイヤからあらゆる鋼または他の金属性混在物を除去すべきである。通常、例えばタイヤコード繊維のような繊維材料は、従来の分離方法を用いて粉砕ゴムから除去することが好ましい。
【0041】
好ましい一態様に従って、本発明に用いることができる細分化された形にある加硫ゴム(c)は、10mm以下、好ましくは5mm以下の粒径を有する粉末または顆粒の形にある。
【0042】
より好ましい態様に従って、本発明に用いることができる細分化された形にある加硫ゴム(c)は、0.5mm以下、好ましくは0.2mm以下、より好ましくは0.1mm以下の粒径を有する。
【0043】
好ましい一態様に従って、細分化された形にある加硫ゴム(c)は、天然由来かまたは1種以上の共役ジオレフィンの溶液重合、乳化重合もしくは気相重合により得ることができる、少なくとも1種の架橋ジエンエラストマーポリマーまたはコポリマーを含むことができ、ここにおいて、該共役ジオレフィンは、モノビニルアレーンおよび/または極性コモノマーから選択される少なくとも1種のコモノマーと60重量%以下の量でブレンドされていてもよい。
【0044】
共役ジオレフィンは、一般に4〜12個、好ましくは4〜8個の炭素原子を含有し、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、またはそれらの混合物を含む群から選択することができる。コモノマーとして用いてもよいモノビニルアレーンは、一般に8〜20個、好ましくは8〜12個の炭素原子を含有し、例えば、スチレン;1−ビニルナフタレン;2−ビニルナフタレン;スチレンのさまざまなアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル誘導体、例えば、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−p−トリルスチレン、4−(4−フェニルブチル)スチレン、またはそれらの混合物から選択することができる。
【0045】
用いてもよい極性コモノマーは、例えば、ビニルピリジン、ビニルキノリン、アクリル酸およびアルキルアクリル酸エステル、ニトリル、またはそれらの混合物、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリロニトリル、またはそれらの混合物などから選択することができる。
【0046】
好ましくは、架橋ジエンエラストマーポリマーまたはコポリマーは、例えば、cis−1,4−ポリイソプレン(天然または合成ゴム、好ましくは天然ゴム)、3,4−ポリイソプレン、ポリブタジエン(詳細には、高1,4−cis含量のポリブタジエン)、ハロゲン化されていてもよいイソプレン/イソブテンコポリマー、1,3−ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、スチレン/1,3−ブタジエンコポリマー、スチレン/イソプレン/1,3−ブタジエンコポリマー、スチレン/1,3−ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、またはそれらの混合物から選択することができる。
【0047】
あるいは、細分化された形にある加硫ゴム(c)はさらに、1種以上のモノオレフィンとオレフィンコモノマーまたはその誘導体との少なくとも1種の架橋エラストマーポリマーを含んでいてもよい。モノオレフィンは、例えば、エチレンおよび一般に3〜12個の炭素原子を含有するα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、またはそれらの混合物などから選択することができる。以下のものが好ましい:エチレンとα−オレフィンと所望によりジエンとのコポリマー;イソブテンホモポリマー、または少なくとも部分的にハロゲン化されていてもよいジエンを少量伴うそのコポリマー。存在していてもよいジエンは一般に4〜20個の炭素原子を含有し、好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、ビニルノルボルネン、またはそれらの混合物から選択される。これらのうち、以下のものがとりわけ好ましい:エチレン/プロピレンコポリマー(EPR)もしくはエチレン/プロピレン/ジエンコポリマー(EPDM);ポリイソブテン;ブチルゴム;ハロブチルゴム、詳細にはクロロブチルもしくはブロモブチルゴム;またはそれらの混合物。
【0048】
好ましい態様に従って、少なくとも1つのエチレン性不飽和を含有するカップリング剤(d)は、当分野で公知のもの、例えば、少なくとも1つのエチレン性不飽和および少なくとも1つの加水分解基を含有するシラン化合物;少なくとも1つのエチレン性不飽和を含有するエポキシド;少なくとも1つのエチレン性不飽和を含有するモノカルボン酸もしくは好ましくはジカルボン酸、またはそれらの誘導体、詳細には無水物もしくはエステル;少なくとも1つのエチレン性不飽和を含有する有機チタン酸塩、ジルコン酸塩またはアルミン酸塩;あるいはそれらの混合物などから選択することができる。
【0049】
好ましくは、シラン化合物は、例えば、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、またはそれらの混合物から選択することができる。
【0050】
好ましくは、エポキシドは、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸のモノグリシジルエステル、マレイン酸のグリシジルエステル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、またはそれらの混合物から選択することができる。
【0051】
好ましくは、モノカルボン酸もしくはジカルボン酸、またはそれらの誘導体は、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらから誘導される無水物もしくはエステル、またはそれらの混合物から選択することができる。無水マレイン酸がとりわけ好ましい。
【0052】
細分化された形にある加硫ゴム(c)とスチレン系熱可塑性エラストマー(a)との相溶性をさらに改善するために、本発明に従った熱可塑性エラストマー材料はさらに、少なくとも1種の芳香族モノカルボン酸もしくはジカルボン酸またはそれらの無水物もしくはエステルのような誘導体(e)を含むことができる。
【0053】
本発明に従って用いることができる芳香族モノカルボン酸もしくはジカルボン酸またはそれらの誘導体(e)は、例えば、安息香酸、フタル酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−イソデシル、トリメリト酸トリス−2−エチルヘキシル、またはそれらの混合物から選択することができる。
【0054】
好ましい一態様に従って、芳香族モノカルボン酸もしくはジカルボン酸またはそれらの誘導体(e)は、本発明の熱可塑性エラストマー材料中に、100重量部の(a)+(b)に対し0重量部〜10重量部、好ましくは0.01重量部〜5重量部の量で存在する。
【0055】
好ましい一態様に従って、本発明に従った熱可塑性エラストマー材料はさらに、少なくとも1種の無機充填剤(f)を含むことができる。
本発明に従って用いることができる無機充填剤(f)は、例えば、水酸化物、水和酸化物、金属の塩または水和塩、詳細にはカルシウム、マグネシウムもしくはアルミニウムの塩または水和塩から選択することができ、これらは、他の無機充填剤、例えば、シリケート、カーボンブラック、またはそれらの混合物などとの混合材の形にあってもよい。
【0056】
適した無機充填剤の具体例は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム(カオリン、すなわちケイ酸アルミニウムを含む)、アルミニウム三水和物、炭酸マグネシウム水和物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム水和物、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム水和物、炭酸カルシウムマグネシウム、またはそれらの混合物である。前記無機充填剤(f)は、0.1μm〜50μm、好ましくは1μm〜25μmの範囲のサイズを伴う粒子の形で用いることが好ましい。
【0057】
好ましい一態様に従って、無機充填剤(f)は、本発明の熱可塑性エラストマー材料中に、100重量部の(a)+(b)に対し0重量部〜200重量部、好ましくは10重量部〜50重量部の量で存在する。
【0058】
好ましい一態様に従って、本発明に従った熱可塑性エラストマー材料は、その不透明度を向上させるために、さらに少なくとも1種のシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(g)を含むことができる。
【0059】
好ましくは、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、75000〜200000、好ましくは100000〜150000の例えばゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により決定することができる平均分子量(数平均)を有することができる。好ましくは、前記1,2−ポリブタジエンは、10%〜90%、好ましくは20%〜40%の結晶化度を有する。
【0060】
好ましい一態様に従って、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(g)は、本発明の熱可塑性エラストマー材料中に、100重量部の(a)+(b)に対し0重量部〜300重量部、好ましくは5重量部〜200重量部の量で存在する。
【0061】
スチレン系熱可塑性エラストマー(a)が共役ジエンモノマーを包含しない場合、少なくとも1種のカップリング剤(d)を、該カップリング剤(d)がスチレン系熱可塑性エラストマー(a)上に直接グラフトするように、少なくとも1種のラジカル開始剤(h)と組合わせて本発明に従った熱可塑性エラストマー材料に加えてもよい。有機過酸化物、例えば、過安息香酸t−ブチル、過酸化ジクミル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、またはそれらの混合物などを、例えば、ラジカル開始剤(h)として用いることができる。
【0062】
本発明の熱可塑性エラストマー材料に加えることができるラジカル開始剤(h)の量は、100重量部の(a)+(b)に対し、一般に0重量部〜5重量部、好ましくは0.01重量部〜2重量部である。
【0063】
スチレン系熱可塑性エラストマー(a)が共役ジエンモノマーを包含する場合、ラジカル開始剤(h)は必要ないことに留意しなければならない。実際、前記ラジカル開始剤(h)の添加はスチレン系熱可塑性エラストマー(a)の架橋を引き起こす可能性があり(スコーチ現象)、このことが、得られる熱可塑性エラストマー材料のメルトフローインデックス(MFI)に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、スチレン系熱可塑性エラストマー(a)が共役ジエンモノマーを包含する場合、本発明に従った熱可塑性エラストマー材料は実質的にラジカル開始剤(h)を持たない。
【0064】
本説明および以下の請求項の目的に関し、“実質的にラジカル開始剤(h)を持たない”という表現は、存在する場合のラジカル開始剤(h)の量が100重量部の(a)+(b)に対し0.2重量部以下であることを意味する。
【0065】
本発明に従った熱可塑性エラストマー材料はさらに、従来の添加剤、例えば、潤滑剤(例えば、パラフィン系石油またはナフテン系石油など)、顔料、可塑剤、表面改質剤、UV吸収剤、酸化防止剤、ヒンダードアミンもしくはアミド光安定剤、またはそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0066】
前記熱可塑性エラストマー材料は、細分化された形で加硫されたゴム(c)、スチレン系熱可塑性エラストマー(a)、および少なくとも1つのエチレン性不飽和を含有するカップリング剤(d)を最初に混合することにより、調製することができる。前記最初の混合段階の後、存在していてもよい他の成分を、熱可塑性エラストマー材料に加えることができる。混合は、当分野で公知の技術に従って、例えば、開放型ミルミキサーか、または正接ローター(tangential rotor)(Banbury)もしくは連動ローター(Intermix)を備えるタイプの密閉式ミキサーを用いるか、あるいはKo−Kneaderタイプ(Buss)または共回転もしくは逆回転二軸スクリュータイプの連続式ミキサーで、実施することができる。その後、得られた熱可塑性エラストマー材料を、通常の技術に従って押し出し、ペレット化することができる。ペレットは、後で用いるために包装するか、または製品の形成工程ですぐに用いることができる。本発明のペレットまたはブレンドは、熱可塑性樹脂組成物の熱加工に関し当分野で公知の技術に従って製品にすることができる。例えば、圧縮成形、真空成形、射出成形、カレンダリング、注型、押出、フィラメント巻き、積層、回転もしくはスラッシ成形、トランスファー成形、レイアップもしくは接触圧成形、型打ち、またはこれらの方法の組合わせを用いることができる。
【0067】
他の観点に従って、本発明はまた、先に開示した熱可塑性エラストマー材料を成形することにより得られる製品に関する。
本発明に従った熱可塑性エラストマー材料は、多種多様な靴、例えば、ズック靴、運動靴、および礼装用の靴の製造に用いることができる。詳細には、前記熱可塑性エラストマー材料は、靴底、靴の中底などのために用いることができる。
【0068】
さらに、本発明に従った熱可塑性エラストマー材料は、例えば、コンベヤーベルト、動力ベルトまたは伝動ベルトなどのベルト;レクリエーション地域、工業地域、運動用または安全な表面に用いることができる床材および歩道;床用タイル;コンピューター用帯電防止マット、自動車用フロアマットなどのマット;取付パッド;衝撃吸収シート;防音壁;膜保護物;カーペット下敷き;自動車用バンパー;ホイールアーチ用ライナー;自動車のドアまたは窓用シールなどのシール;o−リング;ガスケット;給水系統;管またはホース用材料;植木鉢;建築用ブロック;屋根材;ジオメンブレン(geomembrane)などを作成するために用いることもできる。
【0069】
あるいは、本発明に従った熱可塑性エラストマー材料は、アスファルト組成物に用いてもよい。
好ましい態様の詳細な説明
本発明をさらに、多くの調製法の実施例により以下に例示する。これらの実施例は単に表示するために与えるものであり、本発明を制限するものではない。
【0070】
実施例1〜2
熱可塑性エラストマー材料の調製
表1に挙げた熱可塑性エラストマー材料を以下のように調製した。
【0071】
Europrene(登録商標)SOL T171(a)、加硫ゴム(c)および無水マレイン酸(d)を、密閉式ミキサー(モデルPomini PL 1.6)で約2分間一緒に混合した。温度が190℃に達するとすぐに1分間のガス抜き段階を実施し、その後混合物を排出した。続いて、得られた混合物を、150℃の温度で操作している開放型ロールミキサーに入れて、厚さ1mmのシートを得た。
【0072】
【表1】

【0073】
(*):比較例;
(1):100重量部の(a)に対する重量部。
Europrene(登録商標)SOL T171:約43重量%のスチレンブロックと50phrの芳香油を含有するラジアルタイプのスチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー(Polimeri Europa);
加硫ゴム:スクラップタイヤからの極低温で粉砕された廃ゴム(<0.1mm(140メッシュ)−Applied Cryogenics International AG)。
【0074】
厚さ1mmのプレートを、先に開示したように得た熱可塑性材料から形成した。プレートは、180℃で10分間成形した後、5分間で室温まで冷却することにより調製した。
該プレートを、ASTM D638−02a基準に従い50mm/minでInstron機器を用いて機械的特性(すなわち、破断点応力および破断点伸び)を決定するために用いた。得られた結果を表2に示す。
【0075】
さらに、DIN摩耗値をDIN53516基準に従って測定した。これも、除去された化合物の量として表し表2に報告する。
さらに、5kgおよび190℃の温度下でASTM D1238−01e1基準に従ったメルトフローインデックス(MFI)を測定した:得られたデータを表2に示す。
【0076】
【表2】

【0077】
(*):比較例。
表2に報告したデータは、本発明に従った熱可塑性エラストマー材料(実施例2)が、カップリング剤を持たず細分化された形にある加硫ゴムを含む比較組成物(実施例1)に対し、改善された機械的特性、詳細には破断点応力および破断点伸び、ならびに改善された耐摩耗性を有することを示している。さらに、メルトフローインデックス(MFI)は悪影響を受けていない。
【0078】
実施例3〜4
熱可塑性エラストマー材料の調製
表3に挙げた熱可塑性エラストマー材料を以下のように調製した。
【0079】
Europrene(登録商標)SOL T171(a)、加硫ゴム(c)および無水マレイン酸(d)を、密閉式ミキサー(モデルPomini PL 1.6)で約2分間一緒に混合した。温度が190℃に達するとすぐに1分間のガス抜き段階を実施し、その後ポリスチレン(b)を加え、混合物を約5分間混合した。その後、混合物を排出した。続いて、得られた混合物を、150℃の温度で操作している開放型ロールミキサーに入れて、厚さ1mmのシートを得た。
【0080】
【表3】

【0081】
(*):比較例;
(1):(a)+(b)の量=100;
(2):100重量部の(a)+(b)に対する重量部。
Europrene(登録商標)SOL T171:約43重量%のスチレンブロックと50phrの芳香油を含有するラジアルタイプのスチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー(Polimeri Europa);
ポリスチレン:再循環されたポリスチレン(Socotech Verona S.p.A.);
加硫ゴム:スクラップタイヤからの極低温で粉砕された廃ゴム(<0.1mm(140メッシュ)−Applied Cryogenics International AG)。
【0082】
機械的特性(すなわち、破断点応力および破断点伸び)、DIN摩耗値、およびMFIを、先に報告したように測定した:得られたデータを表4に示す。
【0083】
【表4】

【0084】
(*):比較例。
表4に報告したデータは、本発明に従った熱可塑性エラストマー材料(実施例4)が、カップリング剤を持たず細分化された形にある加硫ゴムを含む比較組成物(実施例3)に対し、改善された機械的特性、詳細には破断点応力および破断点伸び、ならびに改善された耐摩耗性を有することを示している。さらに、メルトフローインデックス(MFI)は悪影響を受けていない。
【0085】
実施例5〜6
熱可塑性エラストマー材料の調製
表5に挙げた熱可塑性エラストマー材料を以下のように調製した。
【0086】
Europrene(登録商標)SOL T171(a)、加硫ゴム(c)および無水マレイン酸(d)を、密閉式ミキサー(モデルPomini PL 1.6)で約2分間一緒に混合した。温度が190℃に達するとすぐに1分間のガス抜き段階を実施し、その後ポリスチレン(b)およびK−Resin(登録商標)KR01(b)を加え、混合物を約5分間混合した。その後、混合物を排出した。続いて、得られた混合物を、150℃の温度で操作している開放型ロールミキサーに入れて、厚さ1mmのシートを得た。
【0087】
【表5】

【0088】
(*):比較例;
(1):(a)+(b)=100;
(2):100重量部の(a)+(b)に対する重量部。
Europrene(登録商標)SOL T171:約43重量%のスチレンブロックと50phrの芳香油を含有するラジアルタイプのスチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー(Polimeri Europa);
ポリスチレン:再循環されたポリスチレン(Socotech Verona S.p.A.);
K−Resin(登録商標)KR01:約75%のスチレンを含有するスチレン−ブタジエンコポリマー(Chevron Phillips);
加硫ゴム:スクラップタイヤからの極低温で粉砕された廃ゴム(<0.1mm(140メッシュ)−Applied Cryogenics International AG)。
【0089】
機械的特性(すなわち、破断点応力および破断点伸び)、DIN摩耗値、およびMFIを、先に報告したように測定した:得られたデータを表6に示す。
【0090】
【表6】

【0091】
(*):比較例。
表6に報告したデータは、本発明に従った熱可塑性エラストマー材料(実施例6)が、カップリング剤を持たず細分化された形にある加硫ゴムを含む比較組成物(実施例5)に対し、改善された機械的特性、詳細には破断点応力および破断点伸び、ならびに改善された耐摩耗性を有することを示している。さらに、メルトフローインデックス(MFI)は悪影響を受けていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性エラストマー材料であって、
(a)10重量%〜100重量%の少なくとも1種のスチレン系熱可塑性エラストマー;
(b)0重量%〜90重量%の(a)とは異なる少なくとも1種の熱可塑性α−オレフィンホモポリマーまたはコポリマー;
ここにおいて、(a)+(b)の量は100である;
(c)2重量部〜90重量部の細分化された形にある加硫ゴム;
(d)0.01重量部〜10重量部の少なくとも1つのエチレン性不飽和を含有する少なくとも1種のカップリング剤;
ここにおいて、(c)および(d)の量は、100重量部の(a)+(b)に対して表されている、
を含む、前記熱可塑性エラストマー材料。
【請求項2】
熱可塑性エラストマー材料であって、
(a)20重量%〜80重量%の少なくとも1種のスチレン系熱可塑性エラストマー;
(b)20重量%〜80重量%の(a)とは異なる少なくとも1種の熱可塑性α−オレフィンホモポリマーまたはコポリマー;
ここにおいて、(a)+(b)の量は100である、
を含む、前記熱可塑性エラストマー。
【請求項3】
細分化された形にある加硫ゴム(c)が、100重量部の(a)+(b)に対し5重量部〜40重量部の量で存在する、請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項4】
カップリング剤が、100重量部の(a)+(b)に対し0.05重量部〜5重量部の量で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項5】
スチレン系熱可塑性エラストマー(a)が、少なくとも2個の末端ポリ(モノビニル芳香族炭化水素)ブロックと少なくとも1個の内部ポリ(共役ジエン)ブロックおよび/またはポリ(脂肪族α−オレフィン)ブロックとを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項6】
スチレン系熱可塑性エラストマー(a)が、以下の化学式を有するブロックコポリマーから選択される、請求項5に記載の熱可塑性エラストマー材料:A(BA)、A(BA’)m’、または(AB)X、または(AB)X(A’B’)または(AB)X(B’’)[式中、AおよびA’のそれぞれは独立して、モノビニリデン芳香族モノマーを含むポリマーブロックを表し;B、B’およびB’’は独立して、共役ジエンモノマーおよび/または脂肪族α−オレフィンモノマーを含むポリマーブロックを表し;Xは、多官能性橋かけ部分を表し;nおよびrは、2以上の整数を表し;mおよびm’は、≧1の整数を表し;p、qおよびsは、≧1の整数を表す]。
【請求項7】
ブロックAおよびA’のモノビニリデン芳香族モノマーが、スチレン、アルキル置換スチレン、アルコキシ置換スチレン、ビニルナフタレン、アルキル置換ビニルナフタレン、ビニルキシレン、アルキル置換ビニルキシレン、またはそれらの混合物から選択される、請求項6に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項8】
ブロックB、B’およびB’’の共役ジエンモノマーが、4〜24個の炭素原子を含有する共役ジエン、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、メチルペンタジエン、3−エチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、ピペリレン、またはそれらの混合物から選択される、請求項6または7に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項9】
脂肪族α−オレフィンモノマーが、エチレン、プロピレン、またはそれらの混合物から選択される、請求項6〜8のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項10】
多官能性橋かけ部分が2〜8個の官能基を含む、請求項6〜9のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項11】
ブロックコポリマーが選択的に水素化されている、請求項6〜10のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項12】
ブロックAおよびA’が、3000g/mol〜125000g/molの範囲の重量平均分子量を有する、請求項6〜11のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項13】
ブロックB、B’およびB’’が、10000g/mol〜300000g/molの範囲の重量平均分子量を有する、請求項6〜12のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項14】
ブロックコポリマーが、25000〜500000の範囲の全重量平均分子量を有する、請求項6〜13のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項15】
ブロックコポリマーがトリブロック構造を有し、線状もしくはラジアルタイプ、またはそれらの任意の組合わせのものであることができる、請求項6〜14のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項16】
スチレン系熱可塑性エラストマー(a)が、以下のトリブロックコポリマーから選択される、請求項6〜15のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料:スチレン−ブタジエン−スチレン(S−B−S)、スチレン−イソプレン−スチレン(S−I−S)、スチレン−エチレン/ブテン−スチレン(S−EB−S)、またはそれらの混合物。
【請求項17】
(a)とは異なる熱可塑性α−オレフィンホモポリマーまたはコポリマー(b)において、α−オレフィンが、化学式CH=CH−R[式中、Rは、水素原子;1〜12個の炭素原子を含有する線状または分枝状アルキル基;6〜14個の炭素原子を有するアリール基を表す]の脂肪族または芳香族α−オレフィンである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項18】
脂肪族α−オレフィンが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、またはそれらの混合物から選択される、請求項17に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項19】
芳香族α−オレフィンが、スチレン、α−メチルスチレン、またはそれらの混合物から選択される、請求項17に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項20】
熱可塑性α−オレフィンホモポリマーまたはコポリマー(b)が、
−プロピレンホモポリマー、またはプロピレンとエチレンおよび/もしくは4〜12個の炭素原子を有するαオレフィンとのコポリマーであって、エチレンおよび/もしくはα−オレフィンの全体的含量が10モル%未満であるコポリマー;
−エチレンホモポリマー、またはエチレンと4〜12個の炭素原子を有する少なくとも1種のαオレフィンと所望により少なくとも1種のポリエンとのコポリマー;
−スチレンポリマー、例えば、スチレンホモポリマー;スチレンと、少なくとも1種のC−Cアルキル−スチレンまたは少なくとも1種の天然もしくは合成エラストマー、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、エチレン/プロピレン/ジエンコポリマー(EPDM)、エチレン/プロピレンコポリマー(EPR)、天然ゴム、エピクロロヒドリンとのコポリマー;
−エチレンと、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルおよびカルボン酸ビニルから選択される少なくとも1種のエチレン性不飽和エステルとのコポリマー、ここにおいて、アルキル基は線状または分枝状であり1〜8個の炭素原子を有する一方、カルボン酸基は線状または分枝状であり2〜8個の炭素原子を有し;そして、エチレン性不飽和エステルは、コポリマーの全重量に対し一般に0.1重量%〜80重量%の量で存在する、
から選択される、請求項17〜19のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項21】
エチレンホモポリマーまたはエチレンと4〜12個の炭素原子を有する少なくとも1種のαオレフィンとのコポリマーが、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、またはそれらの混合物から選択される、請求項20に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項22】
エチレンと4〜12個の炭素原子を有する少なくとも1種のα−オレフィンと所望により少なくとも1種のポリエンとのコポリマーが、
−以下のモノマー組成を有するエラストマーコポリマー:35mol%〜90mol%のエチレン;10mol%〜65mol%の脂肪族α−オレフィン;0mol%〜10mol%のポリエン;
−以下のモノマー組成を有するコポリマー:75mol%〜97mol%のエチレン;3mol%〜25mol%の脂肪族α−オレフィン;0mol%〜5mol%のポリエン、
から選択される、請求項20に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項23】
(a)とは異なるスチレンポリマーが、シンジオタクチックポリスチレン、アタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、スチレン−メチルスチレンコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマーもしくはスチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−エチレン/プロピレン(S−EP)もしくはスチレン−エチレン/ブテン(S−EB)ジブロックコポリマー;スチレン−ブタジエンもしくはスチレン−イソプレン分枝状コポリマー;またはそれらの混合物である、請求項20に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項24】
エチレンと少なくとも1種のエチレン性不飽和エステルとのコポリマーが、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー(EEA)、エチレン/アクリル酸ブチルコポリマー(EBA)、またはそれらの混合物から選択される、請求項20に記載の熱可塑性材料。
【請求項25】
細分化された形にある加硫ゴム(c)が10mm以下の粒径を有する、請求項1〜24のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項26】
細分化された形にある加硫ゴム(c)が5mm以下の粒径を有する、請求項25に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項27】
細分化された形にある加硫ゴム(c)が0.5mm以下の粒径を有する、請求項1〜24のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項28】
細分化された形にある加硫ゴム(c)が0.2mm以下の粒径を有する、請求項27に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項29】
細分化された形にある加硫ゴム(c)が0.1mm以下の粒径を有する、請求項28に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項30】
細分化された形にある加硫ゴム(c)が、天然由来かまたは1種以上の共役ジオレフィンの溶液重合、乳化重合もしくは気相重合により得られる、少なくとも1種の架橋ジエンエラストマーポリマーまたはコポリマーを含み、該共役ジオレフィンが、モノビニルアレーンおよび/または極性コモノマーから選択される少なくとも1種のコモノマーと60重量%以下の量でブレンドされていてもよい、請求項1〜29のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項31】
架橋ジエンエラストマーポリマーまたはコポリマーが、cis−1,4−ポリイソプレン、3,4−ポリイソプレン、ポリブタジエン、ハロゲン化されていてもよいイソプレン/イソブテンコポリマー、1,3−ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、スチレン/1,3−ブタジエンコポリマー、スチレン/イソプレン/1,3−ブタジエンコポリマー、スチレン/1,3−ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、またはそれらの混合物から選択される、請求項30に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項32】
細分化された形にある加硫ゴム(c)がさらに、1種以上のモノオレフィンとオレフィンコモノマーまたはその誘導体との少なくとも1種の架橋エラストマーポリマーを含む、請求項1〜31のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項33】
架橋エラストマーポリマーが、エチレン/プロピレンコポリマー(EPR)もしくはエチレン/プロピレン/ジエンコポリマー(EPDM);ポリイソブテン;ブチルゴム;ハロブチルゴム、詳細にはクロロブチルもしくはブロモブチルゴム;またはそれらの混合物から選択される、請求項32に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項34】
少なくとも1つのエチレン性不飽和を含有するカップリング剤(d)が、少なくとも1つのエチレン性不飽和および少なくとも1つの加水分解基を含有するシラン化合物;少なくとも1つのエチレン性不飽和を含有するエポキシド;少なくとも1つのエチレン性不飽和を含有するモノカルボン酸もしくはジカルボン酸、またはそれらの誘導体;少なくとも1つのエチレン性不飽和を含有する有機チタン酸塩、ジルコン酸塩またはアルミン酸塩から選択される、請求項1〜33のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項35】
シラン化合物が、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシ−シラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ジメチル−ジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、オクチルトリ−エトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチル−トリメトキシシラン、またはそれらの混合物から選択される、請求項34に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項36】
エポキシドが、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸のモノグリシジルエステル、マレイン酸のグリシジルエステル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、またはそれらの混合物から選択される、請求項34に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項37】
モノカルボン酸もしくはジカルボン酸、またはそれらの誘導体が、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらから誘導される無水物もしくはエステル、またはそれらの混合物から選択される、請求項34に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項38】
さらに、少なくとも1種の芳香族モノカルボン酸もしくはジカルボン酸またはそれらの無水物もしくはエステルのような誘導体(e)を含む、請求項1〜37のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項39】
芳香族モノカルボン酸もしくはジカルボン酸またはそれらの誘導体が、安息香酸、フタル酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−イソデシル、トリメリト酸トリス−2−エチルヘキシル、またはそれらの混合物から選択される、請求項38に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項40】
芳香族モノカルボン酸もしくはジカルボン酸またはそれらの誘導体(e)が、100重量部の(a)+(b)に対し0重量部〜10重量部の量で存在する、請求項38または39に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項41】
芳香族モノカルボン酸もしくはジカルボン酸またはそれらの誘導体(e)が、100重量部の(a)+(b)に対し0.01重量部〜5重量部の量で存在する、請求項40に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項42】
さらに、少なくとも1種の無機充填剤(f)を含む、請求項1〜41のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項43】
無機充填剤(f)が、水酸化物、水和酸化物、金属の塩または水和塩、詳細にはカルシウム、マグネシウムもしくはアルミニウムの塩または水和塩から選択され、これらが、他の無機充填剤、例えば、シリケート、カーボンブラック、またはそれらの混合物との混合材の形にあってもよい、請求項42に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項44】
無機充填剤が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、炭酸マグネシウム水和物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム水和物、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム水和物、炭酸カルシウムマグネシウム、またはそれらの混合物である、請求項43に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項45】
無機充填剤(f)が100重量部の(a)+(b)に対し0重量部〜200重量部の量で存在する、請求項42〜44のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項46】
無機充填剤(f)が100重量部の(a)+(b)に対し10重量部〜50重量部の量で存在する、請求項45に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項47】
さらに、少なくとも1種のシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(g)を含む、請求項1〜46のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項48】
シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンが75000〜200000の平均分子量(数平均)を有する、請求項47に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項49】
1,2−ポリブタジエンが10%〜90%の結晶化度を有する、請求項47または48に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項50】
シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(g)が、100重量部の(a)+(b)に対し0重量部〜300重量部の量で存在する、請求項47〜49のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項51】
シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(g)が、100重量部の(a)+(b)に対し5重量部〜200重量部の量で存在する、請求項50に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項52】
さらにラジカル開始剤(h)を含む、請求項1〜51のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項53】
ラジカル開始剤(h)が、有機過酸化物、例えば、過安息香酸t−ブチル、過酸化ジクミル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、またはそれらの混合物から選択される、請求項52に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項54】
ラジカル開始剤(h)が100重量部の(a)+(b)に対し0重量部〜5重量部の量で加えられる、請求項52または53に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項55】
ラジカル開始剤(h)が100重量部の(a)+(b)に対し0.01重量部〜2重量部の量で加えられる、請求項54に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項56】
スチレン系熱可塑性エラストマー(a)が共役ジエンモノマーを包含し、熱可塑性エラストマー材料が実質的にラジカル開始剤(h)を持たない、請求項1〜55のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料。
【請求項57】
請求項1〜56のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料を成形することにより得られる製品。
【請求項58】
請求項1〜57のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー材料を含む製品。
【請求項59】
前記製品が、靴底、靴の甲革(foxing)、靴の中底から選択される、請求項57または58に記載の製品。
【請求項60】
前記製品が、ベルト;床材および歩道;床用タイル;マット;衝撃吸収シート;防音壁;膜保護物;カーペット下敷き;自動車用バンパー;ホイールアーチ用ライナー;シール;o−リング;ガスケット;給水系統;管またはホース用材料;植木鉢;建築用ブロック;屋根材;ジオメンブレンから選択される、請求項57または58に記載の製品。

【公表番号】特表2007−530746(P2007−530746A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505383(P2007−505383)
【出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003302
【国際公開番号】WO2005/097887
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(503437727)ピレリ・アンド・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (35)
【Fターム(参考)】