細胞ミクロ構造の共焦点画像化のための染料適用
例えば、患者の低侵襲的診断のための、生体内かつ本来の位置の組織の共焦点画像化のためのシステムおよび方法。光ファイバ束の遠位端部に連結した染料キャリアを有するカテーテルが提供され、これは、該染料キャリアが着目組織の一部分に選択的に接触される際、該染料キャリア内の少なくとも1つの蛍光染料を被検体つまり患者の該着目組織の該一部分に導入することを可能にする。結果として得られる共焦点画像から、患者内の細胞/組織レベルでの疾病の進行に関する診断情報を獲得することが可能になる。さらに、ECGトリガ画像獲得のためのシステムが提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
継続性
本願は、2008年8月4日に出願された、米国仮特許出願第61/137876号の優先権および利益を主張し、その全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、組織のミクロ構造、細胞の寸法および形状、ならびに細胞の配列に影響を及ぼす、広範な種類の疾病の診断に関する。大部分の先進国における死の主な原因である心疾患、例えば、心肥大、心筋梗塞、および心筋虚血で、組織ならびに細胞の変質が報告されている。
【背景技術】
【0003】
現在、磁気共鳴(MR)、超音波(US)、およびコンピュータ断層撮影(CT)画像化技術は、疾病の臨床診断および治療的介入の評価のための主要ツールである。共焦点顕微鏡画像化技術は、動物モデルの組織および細胞の生体外試料で、疾病の進行を観察するため、ならびに幹細胞、薬剤、およびデバイス移植を含む、見込みのある治療を評価するための最先端手法である。
【0004】
共焦点顕微鏡画像化の光学的断層化能力は、サブミクロンの分解能で粘性生物試料中の分子変化および形態変化を研究することを可能にするため、共焦点顕微鏡法は、細胞生物学において不可欠なツールである。典型的に、共焦点顕微鏡法は、顕微鏡器具と画像化される組織との間の密接な関係、画像コントラストのための有毒または高価な蛍光染料、および比較的長い画像獲得時間が必要とされるため、生組織を検査するのに使用されていない。これらの課題にも関わらず、共焦点顕微鏡技術は、様々な疾病状態についての有益な診断情報を提供することが示された。生検試料を用いた研究は、共焦点画像化が前癌病変の存在についての有用な診断情報を提供することができることを示唆し、共焦点反射顕微鏡を用いて取得された、正常な子宮頸管生検試料および異形子宮頸管生検試料の共焦点画像は、共焦点画像から抽出された核形態学的特徴と組織病理学的診断との間の強い相関を示した。
【0005】
共焦点顕微鏡画像化技術は、高分解能画像を作成し、光源、例えばレーザーからの特定の波長の照明光を試料内の非常に小さな回析制限スポットに集光させるために集光レンズを使用し、そのスポットから放射される光を不透明なスクリーン内の小さなピンホール上に集光させるために対物レンズを使用するという点において、従来の光学顕微鏡法とは異なる。いかなる時点においてもピンホールを通過する光の強度を定量化することができる検出器は、スクリーンの裏側に設置される。被照スポット内からの光のみが、ピンホールを通過し、検出器に到達するように適切に集光されるため、被照スポットの上方、下方、または側方の構造体からのいかなる迷光も除去される。したがって、画像分解能は、他の従来の手法と比較して、大いに向上される。
【0006】
走査共焦点顕微鏡画像化システムでは、いずれの時点においても小さなスポットが照射されるように、所望の視野上を点ごとに走査し、各スポットから放射される光の強度を記録することによって、コヒーレント画像が構築される。走査は、例えば、および制限なく、レーザー走査を介するものを含む、いくつかの方法で達成することができる。共焦点顕微鏡画像化システムは、Carl Zeiss、Nikon、およびOlympus等の事業体によって市販されている。例示的な共焦点は、Optical Biopsy Technologies Incに譲渡された、名称が「Integrated Angled−Dual−Axis Confocal Scanning Endoscopes」の特許文献1に記載されている。
【0007】
生体内の正常な組織および病変組織の共焦点画像を取得する能力は、着目組織を顕微鏡対物レンズに近接させる能力によって制限される。接近しにくい臓器部位の生体内画像化を容易にするために、単独の光ファイバまたは光ファイバ画像化束のいずれかを内蔵する、可撓性共焦点顕微鏡画像化システムが必要とされる。しかしながら、共焦点顕微鏡画像化技術の適用への大きな障害は、生物組織への蛍光染料の導入に関する。一般に、染料の導入は、輸液または全身針注入によって実施される。これらの方法の不利点には、例えば、蛍光染料の高用量要求、洗浄、および不均一分布が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,522,444号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、従来のもの、および光ファイバに基づくものを含む、共焦点顕微鏡画像化システムで使用するために構成されたカテーテルに関する。カテーテルは、体内位置の組織の研究用に適合され、1つもしくは複数の蛍光染料が観察下の組織領域に選択的に導入される。
【0010】
一実施形態では、カテーテルシステムは、カテーテルシースの少なくとも一部分内に配置される、光ファイバ束と、光ファイバ束の遠位端部に動作可能に連結される、蛍光染料のキャリアとを備える。一例示的な態様では、蛍光染料のキャリアは、所定の濃度およびキャリアの体積当たりの質量でキャリアに装填される、1つもしくは複数の蛍光染料を備えることができる。光ファイバ束の近位端部は、当該技術分野において既知であるように、および上記に例示的に記載されるように、共焦点顕微鏡画像化システムに動作可能に連結される。
【0011】
動作中、カテーテルの遠位端部分は、血管または体腔を通して、着目組織に隣接する位置に導かれる。続いて、染料キャリアは、それぞれ、所望の血管または体腔表面と接触させられる。染料キャリアが表面と接触した後、蛍光染料は、染料キャリアから組織に拡散される。蛍光染料は、次いで、カテーテルの光ファイバ束を通して伝送するための異なる波長の光を放射するように、適切な波長の集光レーザービーム等の光源によって励起される。理解されるように、染料を励起させ、放射光の強度を測定することによって、組織を通って走査することにより、2次元および3次元画像化が可能となる。
【0012】
一実施形態によると、組織の画像を生成するための方法は、所望の波長の光を生成することと、選択組織内の蛍光染料を励起するために、光ファイバ束の中を光ファイバ束の遠位端部に向かって、および染料キャリアを通して、1つもしくは複数の蛍光染料が導入された被検体の組織の一部分上にその光を伝送することとを含む。続いて、励起された蛍光染料によって、異なる波長の光が放射され、染料キャリアを通して、共焦点顕微鏡システムに動作可能に連結される、光ファイバ束の遠位端部に受信される。共焦点顕微鏡システムにおける画像化技術を用いて、放射光の測定強度から、組織の2次元画像、およびこれらの画像のスタックが獲得される。
【0013】
別の実施形態によると、ECGトリガ画像を生成するための方法が記載され、被検体から得られるECG信号の基準点は、各画像獲得の開始をトリガする。この画像化は、所望の波長の光を生成することと、被検体内の所望の位置の組織にその光を繰り返し伝送することと、各光伝送の結果として、所望の位置の励起された蛍光染料からの放射光を受信することと、画像または画像スタックを形成するように、受信した放射光を処理することとを含む。一例示的な態様では、高分解能高速マルチスペクトル共焦点マッピング技術および装置を使用することができる。
【0014】
他の装置、方法、ならびに本発明の態様および利点は、図面および好ましい実施形態の詳細な説明を参照して記載される。
【0015】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、以下に記載されるいくつかの態様を図示し、説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。類似番号は、図面全体を通して、同一の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】カテーテルシースと、光ファイバ束と、光ファイバ束の遠位端部に連結された染料キャリアとを有する、カテーテルの実施形態の概略図を示す。動作中、着目組織と接触して位置付けられた染料キャリアは、染料キャリアから着目組織の部分に染料を拡散させる。
【図2】染料注入および画像化の原理の概略図を示す。拡散は、キャリアからの染料の放出および着目組織への染料輸送に基づく。励起光および放射光は、光ファイバ束および染料キャリアを通して伝送される。
【図3A】染料拡散の動力学を研究するための実験セットアップの概略図を示す。
【図3B】図3Aに概略的に示された拡散研究の結果を示す。この実験的研究では、染料キャリア(デキストランに共役した蛍光染料Alexa488が装填されたヒドロゲルパッド)を、ウサギ乳頭筋の表面と接触させた。低速度撮影写真に見られるように、拡散は、キャリアから着目組織領域に染料を輸送することができる。結果としてもたらされる着目領域内の染料の濃度は、共焦点画像化に十分である。
【図4】ウサギの左心室筋を通る異なる深さでの組織ミクロ構造の一連の共焦点顕微鏡画像である。この研究では、染料(デキストランに共役したAlexa488)は、心外膜を貫通し、着目組織領域に拡散された。
【図5】ウサギの左心室筋からの共焦点顕微鏡画像の拡大部分を示す。例示的な画像から、心室筋細胞およびそれらの横行小管系、間質腔、ならびに血管を識別することができる。
【図6】ウサギ乳頭筋の組織ミクロ構造の例示的な共焦点顕微鏡画像を示す。画像は、100枚の画像のスタックからのものであり、筋細胞の高密度配列を示す。
【図7】蛍光色素イソチオシアネート(FITC)の吸収プロファイルを緑色で、Alexa Fluor546の吸収プロファイルを赤色で示す。
【図8】一実施形態に係る、心臓組織の共焦点画像化のための例示的な実験セットアップである。
【図9】共焦点画像化のための例示的な実験および処理方法の概略図である。
【図10】カテーテルベースの共焦点顕微鏡システム(Leica FCM1000)を用いた、例示的な実験中に取られた画像であり、(a)染料が装填されたヒドロゲルキャリアを伴う、M/30共焦点マイクロプローブと、(b)カテーテルベースの共焦点顕微鏡システムおよび改良型マイクロプローブを用いて獲得された、心房組織画像とを示す。尺度:(a)では5mmであり、(b)では50μmである。
【図11】試験組織の3次元スタックからの例示的な生XY画像である。画像は、(a)心外膜表面からのもの、ならびに心筋への深さが(b)10μmからのもの、(c)20μmからのもの、および(d)30μmからのものである。尺度:(a)の50μmが(a)〜(d)に適用される。
【図12】心室組織の3次元スタックからの例示的な生XY画像である。画像は、(a)心内膜表面からのもの、心筋への深さが(b)10μmからのもの、(c)20μmからのもの、および(d)30μmからのものである。また、(e)には、(c)内の白色ボックスでマークされた領域の拡大図が示され、(f)には、(c)内の白色ボックスでマークされた領域の処理された画像が示されている。白色矢印は、横行小管の断面を示す。尺度:(a)の50μmが(a)〜(d)に適用され、(e)の2μmはまた、(f)にも適用される。
【図13】試験組織の単一の心筋細胞の(a)XY、(b)XZ、および(c)YZ画像への例示的なセグメント化である。また、(d)に示されるのは、手動セグメント化および閾値化によって作成された、筋細胞の3次元モデルである。尺度:20μmが(a)〜(c)に適用される。
【図14】(a)心外膜表面から見た、(b)繊維方向に見た、および(c)側面から見た、試験組織の3次元モデルである。また、(d)に示されるのは、3つの直行平面における例示的な共焦点画像と重ねられたモデルである。このモデルは、17の完全な筋細胞と、21の部分筋細胞とを含む。尺度:50μmが(a)〜(c)に適用される。
【図15】心内膜表面から見た心室組織の3次元モデルである。このモデルは、11の完全な筋細胞と、11の部分筋細胞とを含む。尺度:50μm。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、以下の詳細な説明、実施例、図面、および請求項、ならびにそれらの前述および以下の説明を参照することによって、より容易に理解することができる。しかしながら、本デバイス、システム、および/または方法が開示され、記載される前に、本発明は、当然ながら、開示される特定のデバイス、システム、および/または方法が様々であり得るので、特に明記されていない限り、開示される特定のデバイス、システム、および/または方法に制限されないことが理解される。また、明細書で使用される専門用語は、特定の態様を説明するためだけのものであり、制限することは意図していないことが理解される。
【0018】
本発明の以下の説明は、最善の現在既知の実施形態での本発明の実現教示として提供される。そのために、関連技術分野に精通する者は、本発明の有益な結果を依然として得る一方で、本明細書に記載される本発明の様々な態様に多くの変更を行うことができることを認識し、理解するであろう。また、本発明の所望の利益のうちのいくつかは、他の特徴を利用することなく、本発明の特徴のうちのいくつかを選択することによって得ることができることも明らかであろう。したがって、当該技術分野に取り組む者は、本発明に対する多くの修正および適合が可能であり、特定の状況では、望ましい可能性さえあり、かつ本発明の一部であることを認識するであろう。したがって、以下の説明は、本発明の原理の制限としてではなく、例証として提供される。
【0019】
全体を通じて使用される際、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「該(the)」は、文脈がそうではないと明確に定めない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「染料(a dye)」への言及は、文脈がそうではないと定めない限り、2つ以上のそのような染料を含むことができる。
【0020】
範囲は、本明細書において、「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表現することができる。そのような範囲が表現される際、別の態様は、ある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」を使用することによって、値が近似値として表現される際、その特定の値は、別の態様を形成することが理解されるであろう。範囲のそれぞれの端点は、もう一方の端点に関して、およびもう一方の端点とは無関係に、両方において、有意であることがさらに理解されるであろう。
【0021】
本明細書で使用される場合、「任意の(optional)」または「任意に(optionally)」という用語は、続いて記載される事象または状況が、生じても生じなくてもよいこと、およびその説明が、該事象または状況が生じる場合、および生じない場合を含むことを意味する。
【0022】
「被検体」は、個人を意味する。被検体という用語は、ヒトを含むことができ、また、霊長類に加えて、小動物または実験動物も含むことができる。実験動物には、マウスまたはネズミ等の齧歯類を含むが、これらに限定されない。また、実験動物という用語は、動物、小動物、小実験動物、または被検体と交換可能に使用され、マウス、ネズミ、ネコ、イヌ、サカナ、ウサギ、モルモット、齧歯類等を含む。実験動物という用語は、特定の年齢または性別を示さない。したがって、雄であるか雌であるかに関わらず、成体動物および新生動物、ならびに胎児(胚を含む)が含まれる。
【0023】
本明細書で使用される場合、かつ制限なく、「組織」は、特定の種類の細胞の集合体を指すことができ、それらの細胞間物質と共に、固体または液体の物体を形成する。一態様では、着目組織の少なくとも一部分は、デバイスに接近しやすくなければならない。一例示的な非制限的態様では、組織は、心臓組織であってもよい。本発明で使用するのに好適な他の組織には、肺組織、胃腸組織、泌尿器細胞、内分泌細胞、神経組織、または血管組織を含む。
【0024】
図1および図2を参照すると、一実施形態では、被検体の所望の組織の一部分の共焦点画像を現像するように構成される、従来の共焦点顕微鏡画像化システムで使用するためのカテーテルが提供される。一態様では、および以下により詳細に記載されるように、共焦点顕微鏡画像化システムは、プロセッサを備えることができる。さらなる態様では、カテーテルは、光ファイバ束と、染料キャリアとを備えることができる。
【0025】
一態様では、光ファイバ束は、遠位端部と、反対の近位端部とを有する。本態様では、光ファイバ束の近位端部は、共焦点顕微鏡画像化システムと動作可能な通信状態で定置される。さらなる態様では、染料キャリアは、少なくとも1つの蛍光染料を備え、光ファイバ束の遠位端部に動作可能に連結される。さらに別の態様では、カテーテルは、光ファイバ束の遠位端部分を選択的に、かつ少なくとも部分的に囲むように構成される、カテーテルシースを含むことができる。また、カテーテルシースは、染料キャリアの少なくとも一部分を選択的に、かつ少なくとも部分的に囲むように構成することができることも熟考される。
【0026】
さらなる態様では、光ファイバ束は、所望の波長の光を選択的に生成するように構成される光源と通信状態にある。当業者が理解するように、このことにより、選択波長の光が、光ファイバ束を下り、光ファイバ束の遠位端部に位置付けられた染料キャリアを通って、選択的に伝送されることが可能になる。さらなる態様では、カテーテルは、少なくとも1つの蛍光染料を着目組織領域に選択的に拡散するために、染料キャリアの一部分を着目組織領域に接触させて位置付けるための手段を備えることができる。任意に、染料キャリアの一部分を着目組織領域に接触させて位置付けるための手段は、染料キャリアを着目組織領域に対して位置付けるために、被検体内でカテーテルシースを導くための手段を含むことができることが熟考される。
【0027】
別の態様では、染料キャリアは、光透明マトリックスと、少なくとも1つの蛍光染料とを備える。緩衝溶液中の少なくとも1つの蛍光染料を、所定の所望の濃度で染料キャリアの光透明マトリックスの少なくとも一部分に拡散することができるように、少なくとも1つの蛍光染料を、従来の緩衝溶液中に懸濁することができることがさらに熟考される。一実施例では、少なくとも1つの蛍光染料およびその緩衝溶液は、染料キャリアの少なくとも95重量%を構成する。様々な他の例示的な態様では、少なくとも1つの蛍光染料およびその緩衝溶液は、染料キャリアの少なくとも10重量%、あるいは染料キャリアの少なくとも50重量%、および任意に染料キャリアの少なくとも75重量%を構成することができることが熟考される。さらなる態様では、染料キャリアは、少なくとも1つの共役剤、制限的であることは意味されないが、例えば、抗体をさらに備えることができる。
【0028】
制限的であることは意味されず、むしろ、例示的な実施例としての役割を果たす、様々な実験では、染料キャリアは、約30〜約100mmの厚さのヒドロゲルから形成され、約1〜約4mm2の範囲の組織の選択部分と接触する面積を有するように構成された。これらの試験では、形成されたヒドロゲル染料キャリアは、約5%の寒天と、約95%の水とを含んだ。
【0029】
形成されたヒドロゲル染料キャリアを着目組織領域に適用する前に、従来の緩衝溶液中に約0.1〜約0.5mgの蛍光染料がヒドロゲル染料キャリア上に装填され、染料キャリアに約1分間拡散された。試験された蛍光染料は、デキストラン共役Alexa488、およびデキストラン共役Texas Red(両方ともInvitrogenからのもの)を含む。
【0030】
当業者が理解するように、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、主に、構造的構成要素を特異的に標的とする能力ならびに生細胞および生組織に加えて化学的に固定された細胞および組織における動態過程と相まって、共焦点画像化技術によって与えられる高度の感度による、画像化モードとしての蛍光性に依存する。多くの蛍光プローブは、生体高分子(例えば、タンパク質または核酸)と結合するように、または細胞骨格、ミトコンドリア、ゴルジ体、小胞体、および細胞核等の特定の構造領域内に局在するように設計された合成芳香族有機化学物質を中心に構築された。他の蛍光プローブは、動態過程、および無機金属イオンの濃度、pH、反応性酸素種、および膜電位を含む局所化環境変数を監視するために採用される。また、蛍光染料は、細胞の完全性(生対死およびアポトーシス)、エンドサイトーシス、エクソサイトーシス、膜流動性、タンパク質輸送、シグナル伝達、および酵素活性の監視にも有用である。過去数十年間の蛍光染料合成における数々の進歩にも関わらず、新しい蛍光色素を開発するための分子設計規則について、特に利用可能な共焦点レーザー励起波長と適合する吸収スペクトルに関する確かな証拠は非常に少ない。結果として、共焦点顕微鏡法における広範な使用が見つかっている蛍光色素分子の数は、発見されている数千のうちの限られた一部である。
【0031】
共焦点用途に選択される蛍光色素分子は、一般に、過度の光退色アーチファクトおよび低い信号対ノイズ比が問題とならない、機器が画像データを取得するのに十分な励起性、放射光の強度、および信号持続性を呈するように選択される。広視野蛍光顕微鏡法では、励起照明レベルは、減光フィルタを用いて容易に制御され、飽和を回避し、蛍光性の不可逆的損失を抑制するために、強度を低下させることができる(より長い放射信号収集期間に加えて)。しかしながら、共焦点顕微鏡法における励起条件は、けた違いに厳しく、蛍光色素分子の特性および顕微鏡光学システムの性能によって課される制約が、励起率および放射収集方策の決定における重要因子となる。
【0032】
共焦点顕微鏡法では、高電力密度の集光レーザービームを用いた蛍光色素分子の励起は、最大で染料飽和点、パラメータが励起状態寿命によって定められる条件まで放射強度を増加させる。励起状態では、蛍光色素分子は、それらが蛍光過程を通じてより低いエネルギーの光子を放射するまで、別の入射光子を吸収することができない。蛍光色素分子の励起率が放射減衰率を超える際、これらの分子は、飽和状態になり、基底状態集団は減少する。結果として、レーザーエネルギーの大部分は減少せずに試料を通過し、蛍光色素分子励起に寄与しない。蛍光色素分子飽和とレーザー光強度レベルのバランスを取ることは、共焦点応用において所望の信号対ノイズ比を達成するのを助長する。
【0033】
共焦点顕微鏡法に現在利用可能な蛍光プローブの数は、数百に及び、多くの染料は、共通レーザースペクトル線と密接に関係する吸収極大を有する。特定のレーザー線と特定のプローブの吸収極大との間の完全な適合は、常に可能なわけではないが、極大付近の線の励起効率は、通常、容易に検出することができる蛍光放射のレベルをもたらすのに十分である。例えば、図7には、2つの共通プローブの吸収スペクトルが最も効果的なレーザー励起線と共に図示されている。緑色スペクトルは、495ナノメートルの吸収極大を有する、蛍光色素イソチオシアネート(FITC)の吸収プロファイルである。アルゴンイオンレーザーを使用した、488ナノメートルでのFITC蛍光色素分子の励起は、約87パーセントの放射効率をもたらす。その一方で、FITCを励起するのに477ナノメートルまたは514ナノメートルのアルゴンイオンレーザー線が使用される際、放射効率は、それぞれ、わずか58パーセントまたは28パーセントに降下する。当業者は、本実施例では、488ナノメートルのアルゴンイオン(またはクリプトン−アルゴン)レーザー線が、この蛍光色素分子の励起に最も効果的な源であることを理解するであろう。
【0034】
図7の赤色スペクトルは、Alexa Fluor546、蛍光実験において、大幅に低減されたレベルの光退色で増加した量子効率を示すように特異的に設計された、556ナノメートルで最大消散係数となるビスルホン化脂環式キサンテン(ローダミン)誘導体の吸収プロファイルである。Alexa Fluor546に最も効果的なレーザー励起スペクトル線は、約84パーセントの放射効率をもたらす、クリプトン−アルゴン混合ガスイオンレーザーからの黄色568ナノメートル線である。次に最も近いレーザースペクトル線、緑色ヘリウム−ネオンレーザーからの543ナノメートル線、および黄色ヘリウム−ネオンレーザーからの594ナノメートル線は、それぞれ、43パーセントおよび4パーセントの効率で、Alexa Fluor546を励起する。
【0035】
機器的に、および当業者が理解するように、共焦点顕微鏡画像化システムの蛍光放射収集は、対物レンズ、検出器開口寸法、2色性フィルタおよび障壁フィルタを慎重に選択すること、ならびに光学列(optical train)を精密に位置合わせされた状態に維持することによって最適化することができる。光収集強度は、開口数値の4乗で増加するが、倍率の2乗でしか減少しないため、大抵の場合、最も厳しい画像化条件には、低倍率の対物レンズが高数値の開口と共に選択されるべきである。しかしながら、分解能は、高倍率対物レンズを用いて改善することができる。一般に、蛍光色素分子自体の物理的特性によって課される制約に注目することが適切である。
【0036】
共焦点顕微鏡法のための蛍光プローブの選択は、一般に、レーザーシステムおよび検出器によって利用可能となる波長領域内の蛍光放射を励起し、検出する、機器の特定の能力に注意を向けるべきである。共焦点顕微鏡法で使用される現在のレーザーは、スペクトルの紫外部分、可視部分、および近赤外部分で、離散線をもたらすが、これらのスペクトル線の位置は、よく知られる蛍光色素分子の吸収極大と常に適合するわけではない。事実、レーザースペクトル線が最大吸収の蛍光色素分子波長に厳密に対応する必要は無いが、蛍光放射の強度は励起波長での蛍光色素分子励起係数によって調節される(上述したように)。共焦点顕微鏡法のための最もよく知られるレーザーは、空冷アルゴンおよびクリプトン−アルゴンイオンレーザー、新しい青色ダイオードレーザー、種々のヘリウム−ネオンシステムである。集合的に、これらのレーザーは、約400〜650ナノメートルの10〜12の特定波長での励起を提供することができる。
【0037】
さらなる態様では、本明細書に記載される方法およびシステムのための蛍光染料は、それらの分子量に基づいて選択することができる。複数の研究は、所与の分子量を有する蛍光染料が、特定の着目組織を通って拡散することができない場合があることを示した。例えば、AndriesおよびBrutsaertは、分子量が40kDaのデキストランに共役した蛍光染料は、心内膜内皮および血管内皮のいずれも通って拡散しなかったが、10kDaのものは、容易に拡散したことを実証した。したがって、所望の時間内に着目組織に導入および/または拡散することができる分子量の蛍光染料を選択することが望ましい。Andries LJ,Brutsaert DL.Endocardial endothelium in the rat:junctional organization and permeability.Cell Tissue Res.1994 Sep;277(3):391〜400を参照されたい。
【0038】
例示的な非制限的実施例では、形成されたヒドロゲル染料キャリアを介した、約3〜約10kDaの分子量を有する蛍光染料の導入は、組織画像化に準瞬時に利用可能であった。様々な態様では、少なくとも1つの蛍光染料の分子量は、40kDa未満、あるいは20kDa未満、および任意に10kDa未満であってもよいことが熟考される。
【0039】
例示的に上述されるように、少なくとも1つの蛍光染料は、Alexa Fluor染料を含むことができる。Molecular Probesによって製造されたAlexa Fluor染料(Alexa Fluorは、Molecular Probesの登録商標である)は、スペクトル的に類似するプローブより激しい蛍光放射でより高い量子収量を呈する、スルホン化ローダミン誘導体であり、向上された光安定性、共通レーザー線に適合された吸収スペクトル、pH鈍感性、および高度の水溶性を含む、いくつかの追加の改善された特徴を有する。
Alexa Fluor染料の光退色に対する耐性は、十分に高く、高強度レーザー源によって照射される際にさえ、蛍光強度は、色褪せ防止剤が不在の場合にさえ、ある期間、概して安定なままである。この特徴は、水溶性Alexa Fluorプローブを、生細胞および組織切片両方の調査、ならびに従来の固定試料のために容易に利用できるようにする。
【0040】
当業者が理解するように、Alexa Fluor染料は、紫外および藍色から近赤外領域に及ぶ、広範囲の蛍光励起および放射波長極大で利用可能である。個々の染料の英数字名は、プローブが意図される特定の励起レーザーまたはアーク放電ランプスペクトル線と関連付けられる。例えば、Alexa Fluor488は、アルゴンまたはクリプトン−アルゴンイオンレーザーの青色488ナノメートル線によって励起されるように設計され、一方、Alexa Fluor568は、クリプトン−アルゴンレーザーの568ナノメートルのスペクトル線に適合される。Alexa Fluor染料のうちのいくつかは、特に、青色ダイオードレーザー(405ナノメートル)、オレンジ色/黄色ヘリウム−ネオンレーザー(594ナノメートル)、または赤色ヘリウム−ネオンレーザー(633ナノメートル)のいずれかによって励起されるように設計される。他のAlexa Fluor染料は、可視(Alexa Fluor546)または紫外(Alexa Fluor350、高電力アルゴンイオンレーザーでも有用である)の従来の水銀アーク放電ランプ、および固体赤色ダイオードレーザー(Alexa Fluor680)を用いた励起が意図される。Alexa Fluorシリーズにおいて、多数の励起および放射波長が利用可能であるため、多重標識実験は、多くの場合、これらの染料を排他的に用いて実施することができる。
【0041】
Alexa Fluor染料は、マレイミド類、サクシニミジルエステル類、およびヒドラジド類、ならびに調製細胞骨格プローブ(ファロイジン、G−アクチン、およびウサギ骨格筋アクチンに共役した)の形態で、反応中間体として市販され、レクチン、デキストラン、ストレプトアビジン、アビジン、ビオシチン、および多種多様な二次抗体に共役する。後者の形態では、Alexa Fluor蛍光色素分子は、免疫細胞化学、神経科学、および細胞生物学における調査に、広範なツールを提供する。また、プローブのファミリーは、スペクトル画像化および分離(linear unmixing)能力を有する高性能共焦点顕微鏡検出システムで標的とされる、重複蛍光放射極大を有する一連の染料に及んだ。例えば、Alexa Fluor488、Alexa Fluor500、およびAlexa Fluor514は、明るい緑色蛍光で色は視覚的に類似するが、スペクトル的に異なる放射プロファイルを有する。加えて、3つの蛍光色素は、アルゴンイオンレーザーからの488または514ナノメートルのスペクトル線を用いて励起することができ、従来の蛍光色素フィルタの組み合わせで容易に検出される。多スペクトル(x−y−l、ラムダスタックと称される)共焦点画像化の用途では、類似する信号を区別するために、光学分離ソフトウェアを採用することができる。Alexa Fluor488、500、および514の重複放射スペクトルは、3つの蛍光色素分子が3重標識調査で同時に組み合わせられる際、擬似カラー技術を使用して、別個のチャネルに分離し、区別することができる。
【0042】
生細胞の内部環境を精査するために設計された蛍光色素分子は、複数の研究者によって広く検査されており、アルカリおよびアルカリ土類金属、重金属(酵素補助因子として生化学的に採用される)、無機イオン、チオール類および硫化物類、亜硝酸塩の局所濃度、ならびにpH、溶媒極性、および膜電位等の効果を監視するために、多くの蛍光色素分子が開発された。これらのプローブは、測定される応答をもたらすように、高度の特異性で標的イオンに結合し、しばしばスペクトル的に感受性の指標と称される。イオンとそのホストとの間の会合平衡を監視するために、光比率信号分析の適用によってイオン濃度変化が決定される。この技術から得られる濃度値は、機器のばらつき、ならびに光退色、装填パラメータ、および細胞保持によるプローブ濃度変動とは概して無関係である。
【0043】
上述されるように、共焦点顕微鏡画像化システムは、必要に応じて、制御サブシステムおよび表示画面に連結される、プロセッサを含む。メモリは、このプロセッサに連結される。メモリは、任意の種類のコンピュータメモリであってもよく、典型的に、ランダムアクセスメモリ「RAM」と称され、システムソフトウェアおよび画像再構成ソフトウェアは、その中にある。共焦点顕微鏡画像化システムの画像再構成ソフトウェアは、受信される放射光の獲得および処理を制御し、共焦点顕微鏡画像化システムが、所望されるように2次元または3次元共焦点画像を表示できるようにする。一態様では、システムソフトウェアおよび画像再構成ソフトウェアは、共焦点顕微鏡画像化システムからのデータを獲得する、処理する、および表示する、1つもしくは複数のモジュールを備えることができる。このソフトウェアは、共焦点顕微鏡画像化サブシステムを調整する、機械コードの様々なモジュールを備える。
【0044】
データは、励起された着目組織領域の放射光から獲得される。放射光は、光ファイバ束を介して、放射光が測定され、画像を形成するように処理され、次いで所望により、表示画面に表示される、共焦点顕微鏡画像化システムに通信することができる。本システムソフトウェアおよび画像再構成ソフトウェアは、複数の獲得セッション、ならびにこれらのセッションに関連するデータの記憶および読み込みの管理を可能にする。また、本システムフトウェアおよび画像再構成ソフトウェアによる画像データの後処理も可能となる。
【0045】
当業者が理解するように、共焦点顕微鏡画像化システムは、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせを使用して実装することができる。システムのハードウェア実装は、すべて当該技術分野において周知である、以下の技術、別個の電子構成要素、データ信号上で論理関数を実施するための論理ゲートを有する別個の論理回路、適切な論理ゲートを有する特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ等のいずれか、または組み合わせを含むことができる。
【0046】
共焦点顕微鏡画像化システムのソフトウェアは、制御および処理機能を実装するための実行可能命令を備え、コンピュータベースのシステム、プロセッサ含有システム、または命令実行システム、装置もしくはデバイスから命令をフェッチし、命令を実行することができる他のシステム等の命令実行システム、装置、またはデバイスが使用するための、あるいはそれらと関連して使用するための任意のコンピュータ可読媒体内に具現化することができる。
【0047】
本文献の文脈では、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスが使用するための、またはそれらと関連して使用するためのプログラムを含有する、記憶する、通信する、伝搬する、あるいは輸送することができる任意の手段であってもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、もしくは半導体システム、装置、デバイス、または伝搬媒体であってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読媒体のより具体的な実施例(非包括的なリスト)には、以下の、1つもしくは複数のワイヤを有する電気接続(電子)、携帯用コンピュータディスク(磁気)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、デジタル多用途ディスク(DVD)、および携帯用小型ディスク読み出し専用メモリ(CDROM)が挙げられる。プログラムは、例えば、紙または他の媒体の光学走査を介して電子的に捕獲し、必要であれば、次いで好適な方法でコンパイル、解釈、ないしは別の方法で処理され、次いでコンピュータメモリに記憶することができるため、コンピュータ可読媒体は、さらに、プログラムが印刷される、紙または別の好適な媒体であってもよいことに留意されたい。
【0048】
コンピュータメモリは、共焦点顕微鏡画像化システムによって取得された画像データを含むことができ、また、獲得された光を表現する生データも含むことができる。コンピュータ可読記憶媒体は、共焦点顕微鏡画像化システムの動作に関連するステップもしくはアルゴリズムを実施するようにプロセッサに命令する、および/またはプロセッサを構成する、命令をプロセッサに提供するために、プロセッサに連結することができる。コンピュータ可読媒体には、一例としてのみ、磁気ディスク、磁気テープ、CD ROM等の光学的に可読な媒体、およびPCMCIAカード等の半導体メモリ等のハードウェアおよび/またはソフトウェアを挙げることができる。いずれの場合でも、媒体は、小型ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、カセット等の携帯用アイテムの形態をとってもよく、あるいは、ハードディスクドライブ、固体メモリカード、もしくはサポートシステム内に提供されるRAM等の比較的大きな、または不動型のアイテムの形態をとってもよい。上記にリストされる媒体例は、単独で、または組み合わせて、使用することができることに留意されたい。
【0049】
共焦点顕微鏡画像化システムは、共焦点顕微鏡画像化システムの様々な構成要素の動作を指示する、制御サブシステムを含むことができる。この制御サブシステムおよび関連構成要素は、汎用または専用プロセッサに命令するためのソフトウェアとして、またはハードウェア実装内の専用電子機器として提供されてもよい。この制御サブシステムは、所望の波長の所望の光を光ファイバ束に伝送するように、光源に接続される。
【0050】
共焦点顕微鏡画像化システムは、受信した放射光によって生成された電気信号を、プロセッサが操作することができるデータ、および画像に表示することができるデータに変換するための画像構成サブシステムを含む。様々な例示的な態様では、本画像化システムは、約0.5μm〜100μmの分解能の画像を提供することができる。画像構成サブシステムは、受信した放射光データに作用して、画像を表示するように、制御サブシステムによって指示することができる。さらなる例示的な態様では、また、制御サブシステムは、モータ制御信号をモータに提供して、カテーテルの遠位部分の被検体上の所望の位置への移動を制御するように構成される、モータ制御サブシステムを備えることができる。
【0051】
一実施形態では、被検体は、被検体から心臓電気信号を取得するために、心電図(ECG)電極に接続される。一態様では、電極からの心臓信号は、共焦点顕微鏡画像化システムに供給するための信号を調整するために、ECG増幅器に伝送することができる。信号を調整するために、ECG増幅器の代わりに、信号プロセッサまたは他のそのようなデバイスを使用することができることが認識される。電極からの心臓信号が取得された状態のままで好適である場合、増幅器または信号プロセッサの使用は、完全に回避してもよい。
【0052】
本態様では、共焦点顕微鏡画像化システムは、必要であれば、ECG増幅器から信号を受信するように構成される、ECG信号プロセッサを含むことができる。このECG信号プロセッサは、制御サブシステムに信号を提供するように構成することができる。ECG信号は、光源、例えば、レーザーによる、光の単一または複数のパルス(パルス列)の伝送をトリガするために使用することができる。共焦点顕微鏡画像化システムは、放射光データを伝送および受信し、共焦点顕微鏡画像化システムの動作パラメータを制御するためのインターフェースをユーザに提供することができ、例示的な態様では、データを、ECGトリガ画像を作成するように適切に処理することができる。
【0053】
一実施例では、共焦点顕微鏡画像化システムは、ECG信号処理モジュールからトリガ信号を検出する。このトリガ信号は、ECG電極、および必要であれば、ECG増幅器を使用することによってECG信号処理モジュールに提供される、被検体のECG信号に基づく。共焦点顕微鏡画像化システムのECG処理モジュールは、カテーテルを通した着目組織への放射線の伝送がトリガされる、例えば、R波のピーク、ECG信号トレース上の不動点および反復点を自動で検出するように構成することができる。当然ながら、例えば、および制限なく、音響信号もしくは超音波で測定されたもの等の被検体の信号活動の他のECG特徴または信号も、本画像化システムをトリガするために使用することができる。例えば、P波、Q波、S波、およびT波、またはこれらの特徴は、光伝送をトリガするために使用することができる。上記で言及された各特徴は、画像獲得をトリガする、または画像を選択するためのマーカを提供することができる、基準点を表すことができる。
【0054】
別の態様では、ECGトレースは、上述の波ピークの第1および第2、またはそれ以上のピークを備えることができることが熟考される。各ピークは、放射線エネルギーの伝送をトリガするためのECG信号の基準点を提供することができる。光の伝送をトリガするために、所与の波形のピークが選択される際、同一の波形の後続のピークは、後続の光の伝送をトリガするために使用することができる。
【0055】
動作中、カテーテルの遠位端部分は、血管または体腔を通して、着目組織に隣接する位置に導かれることが熟考される。続いて、染料キャリアは、それぞれ、所望の血管または体腔表面と接触させられる。染料キャリアが表面と接触した後、蛍光染料は、染料キャリアから組織に拡散される。蛍光染料は、次いで、カテーテルの光ファイバ束を通して伝送するための異なる波長の光を放射するように、適切な波長の集光レーザービーム等の光源によって励起される。理解されるように、染料を励起させ、放射光の強度を測定することによって、組織を通って走査することにより、共焦点顕微鏡画像化システムを介した2次元および3次元画像化が可能となる。
【0056】
一実施形態によると、組織の画像を生成するための方法は、所望の波長の光を生成することと、選択組織内の蛍光染料を励起するために、光ファイバ束の中を光ファイバ束の遠位端部に向かって、および染料キャリアを通して1つもしくは複数の蛍光染料が導入された被検体の組織の一部分上にその光を伝送することとを含む。続いて、励起された蛍光染料によって、異なる波長の放射光が放射され、染料キャリアを通して、従来の共焦点顕微鏡システムに動作可能に連結される、光ファイバ束の遠位端部に受信される。放射光の測定強度から、心臓組織の1次元、2次元、または3次元画像が作成される。
【0057】
別の実施形態によると、ECGトリガ画像を生成するための方法は、所望の波長の光を生成することと、被検体内の所望の位置の被検体にその光を繰り返し伝送することであって、被検体から得られるECG信号の基準点は、各連続光伝送をトリガする、ことと、各光伝送の結果として、所望の位置の励起された蛍光染料から放射される放射光を受信することと、共焦点画像を形成するように、受信された放射光データを処理することとを含む。一例示的な態様では、高分解能高速マルチスペクトル共焦点マッピング技術および装置を使用することができる。
【実施例】
【0058】
実験データ
一実験手順では、成体ウサギは、ペントバルビタール(30mg/kg)で麻酔され、ヘパリン(2500USP単位/kg)で抗凝血された。開胸に続き、ウサギの心臓は、素早く切除され、室温で、修飾酸素処理Tyrodeの溶液(mM単位で、126NaCl、11D形グルコース、0.1CaCl2、13.2KCl、1MgCl2、12.9NaOH、24HEPES)中に定置された。心臓は、3種類の組織切片、右心室乳頭筋(約1mm×1mm×5mm)、心外膜下心室組織(約6mm×2mm)、および心房組織(約6mm×2mm)に切離された。これらの切片は、図8に示されるように、縫合糸によってポリカーボネートホルダに固定され、画像化まで溶液中で保管された。
【0059】
画像は、心臓分離から6時間以内に取得された。画像化中、組織切片は、酸素処理Tyrodeの溶液によって被覆された(図8)。組織切片は、40倍の油浸対物レンズ(Nikon、Tokyo、Japan)を備えた8ビットBioRad MRC−1024レーザー走査共焦点顕微鏡(BioRad、Hercules、CA)上で画像化された。心筋(Z方向)に最大80μm延在する、204.8×153.6μmの視野(X×Y)の200×200×200nmの空間分解能の3次元画像スタックが取得された。Z軸は、レーザービーム方向に対して実質的に平行であった。
【0060】
薄いヒドロゲル片(4mm×4mm×厚さ40μm)は、水中で6.5%の寒天(GenePure LE Agarose、ISC BioExpress、Kaysville、UT)を使用して作成された。これらの片は、蛍光染料の溶液中に定置され、寒天ヒドロゲルに蛍光染料が拡散された。濃度が6〜12mg/mLで分子量が3kDa、および励起/放射波長が595/615nmのデキストランに共役した、リジン固定可能なTexas Red(Molecular Probes、Eugene、OR)が使用された。この染料および他のデキストラン共役染料は、細胞外空間の特異的標識化を可能にする。ポリスチレン秤量皿の底部から開口を切断し、サイズ#0のスライドガラスを開口部の上に糊付けすることによって、画像化チャンバが作成された。染料装填ヒドロゲル片がスライドガラス上に定置され、組織をスライド上に軽く押しつけることによって、染料が送達された。画像化領域内に組織試料が圧縮されないことを確実にするように予め注意した。スライドガラスと組織表面との間の距離が少なくとも10μmの画像領域が使用された。図8に示されるように、画像は、スライドガラスおよびヒドロゲルを通して画像化することによって獲得された。
【0061】
画像スタックは、測定点広がり関数(PSF)を使用する、反復Richardson−Lucyアルゴリズムを用いて解析された。つまり、画像化システムの所与のソースに対する応答gは、点広がり関数hを用いたソース画像fの重畳積分によって説明することができる。
【0062】
【数1−1】
反復Richardson−Lucyアルゴリズムは、相互相関演算子
【0063】
【数1−2】
を用いて、ソース画像fを再構成するために使用された。
【0064】
【数2】
3次元PSFは、寒天中に埋め込まれた100nmの蛍光ビーズを画像化することによって特徴付けられた。15のビーズの画像が抽出され、PSFを取得するために整合され、平均され、本明細書の画像化手法を定量的に特徴付けることを可能にした。最後に、PSFは、平均化フィルタを適用することによってフィルタ処理され、200nm×200nm×200nmの分解能で再びサンプリングされた。画像スタックを簡略化するために、PSFが適用された。
【0065】
画像スタックを特徴付けるために、生画像における信号対ノイズ比が推定された。信号強度の差異を計算するために、筋細胞の内部の300ボクセルの領域がサンプリングされ、平均信号強度を計算するために、細胞外空間内の300ボクセルの領域がサンプリングされた。信号対ノイズ比は、差異で除算した平均信号強度から計算された。生画像スタックは、バックグラウンド信号を除去し、深さ依存減衰を補正するように、C++およびMatLabソフトウェア(MathWorks、Natick、MA)の組み合わせを使用して処理された(図9)。バックグラウンド信号は、予測される強度がゼロである(すなわち、筋細胞の内部)小さな領域内の信号を平均することによって推定された。信号強度の深さ依存減衰は、関連強度の標準偏差が最小のZ軸(レーザービーム)方向の線を選択することによって計算された。これらの線に沿った強度は、深さの関数としてのスライス式スケーリングファクターを取得するために、最小二乗最適化を使用して、指数関数に適合された。
【0066】
筋細胞は、手動で表面メッシュを変形させ、続いて反復閾値化することによってセグメント化された。図13に示されるように、5120の三角形で構成される、初期に楕円形状のメッシュは、着目域内の各筋細胞の周囲に巻きつけられた。ボクセル強度のモードおよび標準偏差を計算するために、各メッシュによって囲まれた体積のボクセル強度のヒストグラムが作成された。筋細胞内空間と細胞外空間を区別するために、計算されたモードおよび標準偏差に基づき、各筋細胞の閾値が独立して選択された。
【0067】
閾値化の後、抽出された筋細胞全体に幾何分析が実施された。各セグメント化筋細胞の主軸を決定するために、主成分分析(PCA)が使用された。図13(d)に図示されるように、PCAに基づき、各筋細胞の周囲に境界ボックスが作成された。第1、第2、および第3の主軸の方向の境界ボックスの寸法は、それぞれ、筋細胞の長さ、幅、および高さと見なされる。筋細胞体積は、筋細胞内ボクセルの数を数えることによって計算された。平均断面積は、細胞体積を長さで除算することによって決定された。筋細胞によって占領される組織の体積分率は、すべての筋細胞がセグメント化された、画像スタックの領域内の300×300×30ボクセルの体積を不規則にサンプリングすることによって決定された。筋細胞密度は、各細胞の体積(Vi)で除算した筋細胞体積分率(MVF)の平均値として定義された。
【0068】
【数3】
いくつかの画像化研究では、切除された心臓は、取り付けられ、ランゲンドルフ法を使用して、大動脈に修飾Tyrodeの溶液を8mL/分で逆に通して灌流された。カテーテルベースの共焦点システム(FCM1000、Leica、Wetzlar、Germany)およびマイクロプローブ(M/30)を用いて、ランゲンドルフ試料から、視野が176.3×124.9μm、および方位分解能が0.48μmの2次元画像が獲得された。マイクロプローブ先端径は4.2mmであり、作動距離は30μmであった。ヒドロゲル染料キャリアは、図3(a)に示されるように、カテーテル先端上に適合する寒天シースとして構成された。
【0069】
組織切片をヒドロゲルキャリア上に押しつけると、デキストラン共役Texas Red染料が、心内膜層または心外膜層を通して、心筋内に急速に拡散した。心臓ミクロ構造の共焦点画像化に十分な濃度のデキストラン共役Texas Red染料が、即座に利用可能であった。BioRad共焦点顕微鏡を用いて獲得された、心房組織切片および心室組織切片の例示的な2次元画像が、それぞれ、図11(a)および図12(d)に示されている。これらの画像は、組織表面の約1μm外側から心筋内に最大80μmまでの範囲にわたる3次元スタックに由来する。
【0070】
蛍光は、細胞間の裂隙(間質腔)、膠原繊維、横行小管、および毛細血管と関連していると思われ、他方より暗い領域は、細胞と関連していると思われる。心房組織内および心室組織内の薄い膠原繊維の心外膜網状組織ならびに心内膜網状組織を通る画像断片が、それぞれ、図11(a)および図12(a)に示されている。これらの繊維は、それらの周囲より明るく、ある程度、筋細胞に対して平行に配向されているように思われる。心室心内膜を通る画像(図12(a))は、内皮細胞を含む。
【0071】
心房筋および心室筋への画像断片は、それぞれ、図11(b)〜(d)、および図12(b)〜(d)に提示される。これらの画像断片は、心外膜または心内膜表面層に対して心筋に10、20、および30μmの深さかさらのものである(図4(a)および図5(a))。膠原繊維の網状組織の密度は、心内膜および心外膜で、心筋内より高いように思われた。さらに、心筋にさらに延在する画像は、全体的により低い蛍光を呈した。
【0072】
BioRad共焦点顕微鏡システムの光学特性は、上述されるように、PSFの測定によって特徴付けられた。PSFは、XY平面(レーザービームと直行する)に0.30μm、およびZ方向(レーザービームに対して平行)に1.85μmの半値全幅を呈した。
【0073】
別の実験では、また、画像は、カテーテルベースの共焦点顕微鏡(FCM1000、Leica、Wetzlar、Germany)を用いても獲得された。染料キャリアは、カテーテル先端に取り付けられ、ランゲンドルフ灌流心臓の心房および心室の心外膜表面上に軽く押しつけられた。心房組織の例示的な2次元画像が、図10(b)に示されている。染料は、画像化に容易に利用可能であった。高蛍光強度および低蛍光強度は、それぞれ、細胞外空間および細胞内空間に関連していた。
【0074】
3次元画像データから心臓組織ミクロ構造を定量的に表現し、モデル化するために、デジタル画像処理および分析の方法が適用された。この目的のために、後続の分析のための19個の画像スタックが、全部で9匹のウサギから獲得された。これらのスタックのうちの14個は、低信号対ノイズ比、動きおよび/または組織品質の悪さによる画像スタック内の不連続性のため、分析から除外された。3未満の信号対ノイズ比は、低いと見なされた。バックグラウンド信号が除去され、深さ依存減衰が補正され、画像スタックが簡略化された。図12(e)および(f)は、画像スタック上でのこの処理の効果を図示する。処理された画像スタックは、未処理の画像データ(図12(e))では識別することが困難であった横行小管系(図12(f))等の筋細胞の微細な詳細を呈する。
【0075】
3次元画像スタック(図13)から、個々の筋細胞がセグメント化され、それによって、後続の空間モデル化(図14および図15)、ならびに筋細胞の定量分析(表IおよびII)が可能になった。50の心房筋細胞および36の心室筋細胞にセグメント化が実施された。定量分析は、筋細胞全体にのみ実施され、これは、28の心房筋細胞と、20の心室筋細胞とを含んだ。
【0076】
心房組織の3次元スタックからの単一の筋細胞の例示的なセグメント化が図13に示されている。3つの直行平面における手動で変形された表面メッシュが、図13(a)〜(c)に図示されている。筋細胞内空間と細胞外空間を区別するための閾値は、各セグメント化筋細胞の信号強度のモードに2を加算した標準偏差となるように選択された。図13(d)は、閾値化の後の筋細胞の主軸に整合された境界ボックス内のセグメント化筋細胞を示す。境界ボックスの寸法は、筋細胞の長さ、幅、および高さを決定する。心房組織および心室組織の3次元スタックからのセグメント化筋細胞の3次元空間モデルが、それぞれ、図14(a)および図15に示されている。図14(d)は、直行共焦点画像と重ね合わせられた心房モデルの3次元視覚化を示す。
【0077】
定量分析は、心房筋細胞の長さ、幅、および高さの平均および標準偏差(平均±標準偏差)が、それぞれ、105.0±10.6、13.1±1.7、および9.7±1.6μmであり、心室筋細胞では、それぞれ、112.3±14.3、18.4±2.3、および14.1±2.7μmであることを示した。心房筋細胞および心室筋細胞の平均体積は、それぞれ、4901±1713および10,299±3598μm3であった。さらに、心房組織および心室組織の筋細胞体積分率は、それぞれ、72.4±4.7%および79.7±2.9%であった。心房組織および心室組織の筋細胞密度は、それぞれ、165,571±55,836および86,957±32,280細胞/mm3であった。主成分分析は、筋細胞の長軸(第1の主軸)が心房組織および心室組織の表面に対して、それぞれ、表面平面に対して6°および3°の偏差内で平行であることを実証した(図14および図15)。
【0078】
さらに、心室筋細胞の大部分(70%)は、組織表面に対してほぼ平行(<25°)な、それらの第2の主軸を有した。対照的に、心房組織は、組織表面に対して平行な配向の第2の主軸を示さなかった。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態が前述の明細書に開示されてきたが、前述の説明および関連する図面に提示される教示の利益を有する、本発明が関連する、本発明の多くの修正および他の実施形態が思い付くことが当業者によって理解される。したがって、本発明は、本明細書に開示される特定の実施形態に制限されず、本発明の多くの修正および他の実施形態は、本発明の範囲内に含まれることが意図されることが理解される。さらに、本明細書において特定の用語が採用されるが、それらは、記載される本発明を制限するためではなく、一般的かつ説明的な意味でのみ使用される。
【0080】
本文献において様々な出版物が参照される。これらの出版物は、開示されるシステムおよび方法が関連する最先端技術をより完全に説明するために、参照することによってそれらの全体が本願に組み込まれる。また、開示される参照文献は、参照文献を利用した文章に記載されたものに含まれる材料について、参照することによって、個々にかつ明確に、本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0001】
継続性
本願は、2008年8月4日に出願された、米国仮特許出願第61/137876号の優先権および利益を主張し、その全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、組織のミクロ構造、細胞の寸法および形状、ならびに細胞の配列に影響を及ぼす、広範な種類の疾病の診断に関する。大部分の先進国における死の主な原因である心疾患、例えば、心肥大、心筋梗塞、および心筋虚血で、組織ならびに細胞の変質が報告されている。
【背景技術】
【0003】
現在、磁気共鳴(MR)、超音波(US)、およびコンピュータ断層撮影(CT)画像化技術は、疾病の臨床診断および治療的介入の評価のための主要ツールである。共焦点顕微鏡画像化技術は、動物モデルの組織および細胞の生体外試料で、疾病の進行を観察するため、ならびに幹細胞、薬剤、およびデバイス移植を含む、見込みのある治療を評価するための最先端手法である。
【0004】
共焦点顕微鏡画像化の光学的断層化能力は、サブミクロンの分解能で粘性生物試料中の分子変化および形態変化を研究することを可能にするため、共焦点顕微鏡法は、細胞生物学において不可欠なツールである。典型的に、共焦点顕微鏡法は、顕微鏡器具と画像化される組織との間の密接な関係、画像コントラストのための有毒または高価な蛍光染料、および比較的長い画像獲得時間が必要とされるため、生組織を検査するのに使用されていない。これらの課題にも関わらず、共焦点顕微鏡技術は、様々な疾病状態についての有益な診断情報を提供することが示された。生検試料を用いた研究は、共焦点画像化が前癌病変の存在についての有用な診断情報を提供することができることを示唆し、共焦点反射顕微鏡を用いて取得された、正常な子宮頸管生検試料および異形子宮頸管生検試料の共焦点画像は、共焦点画像から抽出された核形態学的特徴と組織病理学的診断との間の強い相関を示した。
【0005】
共焦点顕微鏡画像化技術は、高分解能画像を作成し、光源、例えばレーザーからの特定の波長の照明光を試料内の非常に小さな回析制限スポットに集光させるために集光レンズを使用し、そのスポットから放射される光を不透明なスクリーン内の小さなピンホール上に集光させるために対物レンズを使用するという点において、従来の光学顕微鏡法とは異なる。いかなる時点においてもピンホールを通過する光の強度を定量化することができる検出器は、スクリーンの裏側に設置される。被照スポット内からの光のみが、ピンホールを通過し、検出器に到達するように適切に集光されるため、被照スポットの上方、下方、または側方の構造体からのいかなる迷光も除去される。したがって、画像分解能は、他の従来の手法と比較して、大いに向上される。
【0006】
走査共焦点顕微鏡画像化システムでは、いずれの時点においても小さなスポットが照射されるように、所望の視野上を点ごとに走査し、各スポットから放射される光の強度を記録することによって、コヒーレント画像が構築される。走査は、例えば、および制限なく、レーザー走査を介するものを含む、いくつかの方法で達成することができる。共焦点顕微鏡画像化システムは、Carl Zeiss、Nikon、およびOlympus等の事業体によって市販されている。例示的な共焦点は、Optical Biopsy Technologies Incに譲渡された、名称が「Integrated Angled−Dual−Axis Confocal Scanning Endoscopes」の特許文献1に記載されている。
【0007】
生体内の正常な組織および病変組織の共焦点画像を取得する能力は、着目組織を顕微鏡対物レンズに近接させる能力によって制限される。接近しにくい臓器部位の生体内画像化を容易にするために、単独の光ファイバまたは光ファイバ画像化束のいずれかを内蔵する、可撓性共焦点顕微鏡画像化システムが必要とされる。しかしながら、共焦点顕微鏡画像化技術の適用への大きな障害は、生物組織への蛍光染料の導入に関する。一般に、染料の導入は、輸液または全身針注入によって実施される。これらの方法の不利点には、例えば、蛍光染料の高用量要求、洗浄、および不均一分布が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,522,444号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、従来のもの、および光ファイバに基づくものを含む、共焦点顕微鏡画像化システムで使用するために構成されたカテーテルに関する。カテーテルは、体内位置の組織の研究用に適合され、1つもしくは複数の蛍光染料が観察下の組織領域に選択的に導入される。
【0010】
一実施形態では、カテーテルシステムは、カテーテルシースの少なくとも一部分内に配置される、光ファイバ束と、光ファイバ束の遠位端部に動作可能に連結される、蛍光染料のキャリアとを備える。一例示的な態様では、蛍光染料のキャリアは、所定の濃度およびキャリアの体積当たりの質量でキャリアに装填される、1つもしくは複数の蛍光染料を備えることができる。光ファイバ束の近位端部は、当該技術分野において既知であるように、および上記に例示的に記載されるように、共焦点顕微鏡画像化システムに動作可能に連結される。
【0011】
動作中、カテーテルの遠位端部分は、血管または体腔を通して、着目組織に隣接する位置に導かれる。続いて、染料キャリアは、それぞれ、所望の血管または体腔表面と接触させられる。染料キャリアが表面と接触した後、蛍光染料は、染料キャリアから組織に拡散される。蛍光染料は、次いで、カテーテルの光ファイバ束を通して伝送するための異なる波長の光を放射するように、適切な波長の集光レーザービーム等の光源によって励起される。理解されるように、染料を励起させ、放射光の強度を測定することによって、組織を通って走査することにより、2次元および3次元画像化が可能となる。
【0012】
一実施形態によると、組織の画像を生成するための方法は、所望の波長の光を生成することと、選択組織内の蛍光染料を励起するために、光ファイバ束の中を光ファイバ束の遠位端部に向かって、および染料キャリアを通して、1つもしくは複数の蛍光染料が導入された被検体の組織の一部分上にその光を伝送することとを含む。続いて、励起された蛍光染料によって、異なる波長の光が放射され、染料キャリアを通して、共焦点顕微鏡システムに動作可能に連結される、光ファイバ束の遠位端部に受信される。共焦点顕微鏡システムにおける画像化技術を用いて、放射光の測定強度から、組織の2次元画像、およびこれらの画像のスタックが獲得される。
【0013】
別の実施形態によると、ECGトリガ画像を生成するための方法が記載され、被検体から得られるECG信号の基準点は、各画像獲得の開始をトリガする。この画像化は、所望の波長の光を生成することと、被検体内の所望の位置の組織にその光を繰り返し伝送することと、各光伝送の結果として、所望の位置の励起された蛍光染料からの放射光を受信することと、画像または画像スタックを形成するように、受信した放射光を処理することとを含む。一例示的な態様では、高分解能高速マルチスペクトル共焦点マッピング技術および装置を使用することができる。
【0014】
他の装置、方法、ならびに本発明の態様および利点は、図面および好ましい実施形態の詳細な説明を参照して記載される。
【0015】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、以下に記載されるいくつかの態様を図示し、説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。類似番号は、図面全体を通して、同一の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】カテーテルシースと、光ファイバ束と、光ファイバ束の遠位端部に連結された染料キャリアとを有する、カテーテルの実施形態の概略図を示す。動作中、着目組織と接触して位置付けられた染料キャリアは、染料キャリアから着目組織の部分に染料を拡散させる。
【図2】染料注入および画像化の原理の概略図を示す。拡散は、キャリアからの染料の放出および着目組織への染料輸送に基づく。励起光および放射光は、光ファイバ束および染料キャリアを通して伝送される。
【図3A】染料拡散の動力学を研究するための実験セットアップの概略図を示す。
【図3B】図3Aに概略的に示された拡散研究の結果を示す。この実験的研究では、染料キャリア(デキストランに共役した蛍光染料Alexa488が装填されたヒドロゲルパッド)を、ウサギ乳頭筋の表面と接触させた。低速度撮影写真に見られるように、拡散は、キャリアから着目組織領域に染料を輸送することができる。結果としてもたらされる着目領域内の染料の濃度は、共焦点画像化に十分である。
【図4】ウサギの左心室筋を通る異なる深さでの組織ミクロ構造の一連の共焦点顕微鏡画像である。この研究では、染料(デキストランに共役したAlexa488)は、心外膜を貫通し、着目組織領域に拡散された。
【図5】ウサギの左心室筋からの共焦点顕微鏡画像の拡大部分を示す。例示的な画像から、心室筋細胞およびそれらの横行小管系、間質腔、ならびに血管を識別することができる。
【図6】ウサギ乳頭筋の組織ミクロ構造の例示的な共焦点顕微鏡画像を示す。画像は、100枚の画像のスタックからのものであり、筋細胞の高密度配列を示す。
【図7】蛍光色素イソチオシアネート(FITC)の吸収プロファイルを緑色で、Alexa Fluor546の吸収プロファイルを赤色で示す。
【図8】一実施形態に係る、心臓組織の共焦点画像化のための例示的な実験セットアップである。
【図9】共焦点画像化のための例示的な実験および処理方法の概略図である。
【図10】カテーテルベースの共焦点顕微鏡システム(Leica FCM1000)を用いた、例示的な実験中に取られた画像であり、(a)染料が装填されたヒドロゲルキャリアを伴う、M/30共焦点マイクロプローブと、(b)カテーテルベースの共焦点顕微鏡システムおよび改良型マイクロプローブを用いて獲得された、心房組織画像とを示す。尺度:(a)では5mmであり、(b)では50μmである。
【図11】試験組織の3次元スタックからの例示的な生XY画像である。画像は、(a)心外膜表面からのもの、ならびに心筋への深さが(b)10μmからのもの、(c)20μmからのもの、および(d)30μmからのものである。尺度:(a)の50μmが(a)〜(d)に適用される。
【図12】心室組織の3次元スタックからの例示的な生XY画像である。画像は、(a)心内膜表面からのもの、心筋への深さが(b)10μmからのもの、(c)20μmからのもの、および(d)30μmからのものである。また、(e)には、(c)内の白色ボックスでマークされた領域の拡大図が示され、(f)には、(c)内の白色ボックスでマークされた領域の処理された画像が示されている。白色矢印は、横行小管の断面を示す。尺度:(a)の50μmが(a)〜(d)に適用され、(e)の2μmはまた、(f)にも適用される。
【図13】試験組織の単一の心筋細胞の(a)XY、(b)XZ、および(c)YZ画像への例示的なセグメント化である。また、(d)に示されるのは、手動セグメント化および閾値化によって作成された、筋細胞の3次元モデルである。尺度:20μmが(a)〜(c)に適用される。
【図14】(a)心外膜表面から見た、(b)繊維方向に見た、および(c)側面から見た、試験組織の3次元モデルである。また、(d)に示されるのは、3つの直行平面における例示的な共焦点画像と重ねられたモデルである。このモデルは、17の完全な筋細胞と、21の部分筋細胞とを含む。尺度:50μmが(a)〜(c)に適用される。
【図15】心内膜表面から見た心室組織の3次元モデルである。このモデルは、11の完全な筋細胞と、11の部分筋細胞とを含む。尺度:50μm。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、以下の詳細な説明、実施例、図面、および請求項、ならびにそれらの前述および以下の説明を参照することによって、より容易に理解することができる。しかしながら、本デバイス、システム、および/または方法が開示され、記載される前に、本発明は、当然ながら、開示される特定のデバイス、システム、および/または方法が様々であり得るので、特に明記されていない限り、開示される特定のデバイス、システム、および/または方法に制限されないことが理解される。また、明細書で使用される専門用語は、特定の態様を説明するためだけのものであり、制限することは意図していないことが理解される。
【0018】
本発明の以下の説明は、最善の現在既知の実施形態での本発明の実現教示として提供される。そのために、関連技術分野に精通する者は、本発明の有益な結果を依然として得る一方で、本明細書に記載される本発明の様々な態様に多くの変更を行うことができることを認識し、理解するであろう。また、本発明の所望の利益のうちのいくつかは、他の特徴を利用することなく、本発明の特徴のうちのいくつかを選択することによって得ることができることも明らかであろう。したがって、当該技術分野に取り組む者は、本発明に対する多くの修正および適合が可能であり、特定の状況では、望ましい可能性さえあり、かつ本発明の一部であることを認識するであろう。したがって、以下の説明は、本発明の原理の制限としてではなく、例証として提供される。
【0019】
全体を通じて使用される際、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「該(the)」は、文脈がそうではないと明確に定めない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「染料(a dye)」への言及は、文脈がそうではないと定めない限り、2つ以上のそのような染料を含むことができる。
【0020】
範囲は、本明細書において、「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表現することができる。そのような範囲が表現される際、別の態様は、ある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」を使用することによって、値が近似値として表現される際、その特定の値は、別の態様を形成することが理解されるであろう。範囲のそれぞれの端点は、もう一方の端点に関して、およびもう一方の端点とは無関係に、両方において、有意であることがさらに理解されるであろう。
【0021】
本明細書で使用される場合、「任意の(optional)」または「任意に(optionally)」という用語は、続いて記載される事象または状況が、生じても生じなくてもよいこと、およびその説明が、該事象または状況が生じる場合、および生じない場合を含むことを意味する。
【0022】
「被検体」は、個人を意味する。被検体という用語は、ヒトを含むことができ、また、霊長類に加えて、小動物または実験動物も含むことができる。実験動物には、マウスまたはネズミ等の齧歯類を含むが、これらに限定されない。また、実験動物という用語は、動物、小動物、小実験動物、または被検体と交換可能に使用され、マウス、ネズミ、ネコ、イヌ、サカナ、ウサギ、モルモット、齧歯類等を含む。実験動物という用語は、特定の年齢または性別を示さない。したがって、雄であるか雌であるかに関わらず、成体動物および新生動物、ならびに胎児(胚を含む)が含まれる。
【0023】
本明細書で使用される場合、かつ制限なく、「組織」は、特定の種類の細胞の集合体を指すことができ、それらの細胞間物質と共に、固体または液体の物体を形成する。一態様では、着目組織の少なくとも一部分は、デバイスに接近しやすくなければならない。一例示的な非制限的態様では、組織は、心臓組織であってもよい。本発明で使用するのに好適な他の組織には、肺組織、胃腸組織、泌尿器細胞、内分泌細胞、神経組織、または血管組織を含む。
【0024】
図1および図2を参照すると、一実施形態では、被検体の所望の組織の一部分の共焦点画像を現像するように構成される、従来の共焦点顕微鏡画像化システムで使用するためのカテーテルが提供される。一態様では、および以下により詳細に記載されるように、共焦点顕微鏡画像化システムは、プロセッサを備えることができる。さらなる態様では、カテーテルは、光ファイバ束と、染料キャリアとを備えることができる。
【0025】
一態様では、光ファイバ束は、遠位端部と、反対の近位端部とを有する。本態様では、光ファイバ束の近位端部は、共焦点顕微鏡画像化システムと動作可能な通信状態で定置される。さらなる態様では、染料キャリアは、少なくとも1つの蛍光染料を備え、光ファイバ束の遠位端部に動作可能に連結される。さらに別の態様では、カテーテルは、光ファイバ束の遠位端部分を選択的に、かつ少なくとも部分的に囲むように構成される、カテーテルシースを含むことができる。また、カテーテルシースは、染料キャリアの少なくとも一部分を選択的に、かつ少なくとも部分的に囲むように構成することができることも熟考される。
【0026】
さらなる態様では、光ファイバ束は、所望の波長の光を選択的に生成するように構成される光源と通信状態にある。当業者が理解するように、このことにより、選択波長の光が、光ファイバ束を下り、光ファイバ束の遠位端部に位置付けられた染料キャリアを通って、選択的に伝送されることが可能になる。さらなる態様では、カテーテルは、少なくとも1つの蛍光染料を着目組織領域に選択的に拡散するために、染料キャリアの一部分を着目組織領域に接触させて位置付けるための手段を備えることができる。任意に、染料キャリアの一部分を着目組織領域に接触させて位置付けるための手段は、染料キャリアを着目組織領域に対して位置付けるために、被検体内でカテーテルシースを導くための手段を含むことができることが熟考される。
【0027】
別の態様では、染料キャリアは、光透明マトリックスと、少なくとも1つの蛍光染料とを備える。緩衝溶液中の少なくとも1つの蛍光染料を、所定の所望の濃度で染料キャリアの光透明マトリックスの少なくとも一部分に拡散することができるように、少なくとも1つの蛍光染料を、従来の緩衝溶液中に懸濁することができることがさらに熟考される。一実施例では、少なくとも1つの蛍光染料およびその緩衝溶液は、染料キャリアの少なくとも95重量%を構成する。様々な他の例示的な態様では、少なくとも1つの蛍光染料およびその緩衝溶液は、染料キャリアの少なくとも10重量%、あるいは染料キャリアの少なくとも50重量%、および任意に染料キャリアの少なくとも75重量%を構成することができることが熟考される。さらなる態様では、染料キャリアは、少なくとも1つの共役剤、制限的であることは意味されないが、例えば、抗体をさらに備えることができる。
【0028】
制限的であることは意味されず、むしろ、例示的な実施例としての役割を果たす、様々な実験では、染料キャリアは、約30〜約100mmの厚さのヒドロゲルから形成され、約1〜約4mm2の範囲の組織の選択部分と接触する面積を有するように構成された。これらの試験では、形成されたヒドロゲル染料キャリアは、約5%の寒天と、約95%の水とを含んだ。
【0029】
形成されたヒドロゲル染料キャリアを着目組織領域に適用する前に、従来の緩衝溶液中に約0.1〜約0.5mgの蛍光染料がヒドロゲル染料キャリア上に装填され、染料キャリアに約1分間拡散された。試験された蛍光染料は、デキストラン共役Alexa488、およびデキストラン共役Texas Red(両方ともInvitrogenからのもの)を含む。
【0030】
当業者が理解するように、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、主に、構造的構成要素を特異的に標的とする能力ならびに生細胞および生組織に加えて化学的に固定された細胞および組織における動態過程と相まって、共焦点画像化技術によって与えられる高度の感度による、画像化モードとしての蛍光性に依存する。多くの蛍光プローブは、生体高分子(例えば、タンパク質または核酸)と結合するように、または細胞骨格、ミトコンドリア、ゴルジ体、小胞体、および細胞核等の特定の構造領域内に局在するように設計された合成芳香族有機化学物質を中心に構築された。他の蛍光プローブは、動態過程、および無機金属イオンの濃度、pH、反応性酸素種、および膜電位を含む局所化環境変数を監視するために採用される。また、蛍光染料は、細胞の完全性(生対死およびアポトーシス)、エンドサイトーシス、エクソサイトーシス、膜流動性、タンパク質輸送、シグナル伝達、および酵素活性の監視にも有用である。過去数十年間の蛍光染料合成における数々の進歩にも関わらず、新しい蛍光色素を開発するための分子設計規則について、特に利用可能な共焦点レーザー励起波長と適合する吸収スペクトルに関する確かな証拠は非常に少ない。結果として、共焦点顕微鏡法における広範な使用が見つかっている蛍光色素分子の数は、発見されている数千のうちの限られた一部である。
【0031】
共焦点用途に選択される蛍光色素分子は、一般に、過度の光退色アーチファクトおよび低い信号対ノイズ比が問題とならない、機器が画像データを取得するのに十分な励起性、放射光の強度、および信号持続性を呈するように選択される。広視野蛍光顕微鏡法では、励起照明レベルは、減光フィルタを用いて容易に制御され、飽和を回避し、蛍光性の不可逆的損失を抑制するために、強度を低下させることができる(より長い放射信号収集期間に加えて)。しかしながら、共焦点顕微鏡法における励起条件は、けた違いに厳しく、蛍光色素分子の特性および顕微鏡光学システムの性能によって課される制約が、励起率および放射収集方策の決定における重要因子となる。
【0032】
共焦点顕微鏡法では、高電力密度の集光レーザービームを用いた蛍光色素分子の励起は、最大で染料飽和点、パラメータが励起状態寿命によって定められる条件まで放射強度を増加させる。励起状態では、蛍光色素分子は、それらが蛍光過程を通じてより低いエネルギーの光子を放射するまで、別の入射光子を吸収することができない。蛍光色素分子の励起率が放射減衰率を超える際、これらの分子は、飽和状態になり、基底状態集団は減少する。結果として、レーザーエネルギーの大部分は減少せずに試料を通過し、蛍光色素分子励起に寄与しない。蛍光色素分子飽和とレーザー光強度レベルのバランスを取ることは、共焦点応用において所望の信号対ノイズ比を達成するのを助長する。
【0033】
共焦点顕微鏡法に現在利用可能な蛍光プローブの数は、数百に及び、多くの染料は、共通レーザースペクトル線と密接に関係する吸収極大を有する。特定のレーザー線と特定のプローブの吸収極大との間の完全な適合は、常に可能なわけではないが、極大付近の線の励起効率は、通常、容易に検出することができる蛍光放射のレベルをもたらすのに十分である。例えば、図7には、2つの共通プローブの吸収スペクトルが最も効果的なレーザー励起線と共に図示されている。緑色スペクトルは、495ナノメートルの吸収極大を有する、蛍光色素イソチオシアネート(FITC)の吸収プロファイルである。アルゴンイオンレーザーを使用した、488ナノメートルでのFITC蛍光色素分子の励起は、約87パーセントの放射効率をもたらす。その一方で、FITCを励起するのに477ナノメートルまたは514ナノメートルのアルゴンイオンレーザー線が使用される際、放射効率は、それぞれ、わずか58パーセントまたは28パーセントに降下する。当業者は、本実施例では、488ナノメートルのアルゴンイオン(またはクリプトン−アルゴン)レーザー線が、この蛍光色素分子の励起に最も効果的な源であることを理解するであろう。
【0034】
図7の赤色スペクトルは、Alexa Fluor546、蛍光実験において、大幅に低減されたレベルの光退色で増加した量子効率を示すように特異的に設計された、556ナノメートルで最大消散係数となるビスルホン化脂環式キサンテン(ローダミン)誘導体の吸収プロファイルである。Alexa Fluor546に最も効果的なレーザー励起スペクトル線は、約84パーセントの放射効率をもたらす、クリプトン−アルゴン混合ガスイオンレーザーからの黄色568ナノメートル線である。次に最も近いレーザースペクトル線、緑色ヘリウム−ネオンレーザーからの543ナノメートル線、および黄色ヘリウム−ネオンレーザーからの594ナノメートル線は、それぞれ、43パーセントおよび4パーセントの効率で、Alexa Fluor546を励起する。
【0035】
機器的に、および当業者が理解するように、共焦点顕微鏡画像化システムの蛍光放射収集は、対物レンズ、検出器開口寸法、2色性フィルタおよび障壁フィルタを慎重に選択すること、ならびに光学列(optical train)を精密に位置合わせされた状態に維持することによって最適化することができる。光収集強度は、開口数値の4乗で増加するが、倍率の2乗でしか減少しないため、大抵の場合、最も厳しい画像化条件には、低倍率の対物レンズが高数値の開口と共に選択されるべきである。しかしながら、分解能は、高倍率対物レンズを用いて改善することができる。一般に、蛍光色素分子自体の物理的特性によって課される制約に注目することが適切である。
【0036】
共焦点顕微鏡法のための蛍光プローブの選択は、一般に、レーザーシステムおよび検出器によって利用可能となる波長領域内の蛍光放射を励起し、検出する、機器の特定の能力に注意を向けるべきである。共焦点顕微鏡法で使用される現在のレーザーは、スペクトルの紫外部分、可視部分、および近赤外部分で、離散線をもたらすが、これらのスペクトル線の位置は、よく知られる蛍光色素分子の吸収極大と常に適合するわけではない。事実、レーザースペクトル線が最大吸収の蛍光色素分子波長に厳密に対応する必要は無いが、蛍光放射の強度は励起波長での蛍光色素分子励起係数によって調節される(上述したように)。共焦点顕微鏡法のための最もよく知られるレーザーは、空冷アルゴンおよびクリプトン−アルゴンイオンレーザー、新しい青色ダイオードレーザー、種々のヘリウム−ネオンシステムである。集合的に、これらのレーザーは、約400〜650ナノメートルの10〜12の特定波長での励起を提供することができる。
【0037】
さらなる態様では、本明細書に記載される方法およびシステムのための蛍光染料は、それらの分子量に基づいて選択することができる。複数の研究は、所与の分子量を有する蛍光染料が、特定の着目組織を通って拡散することができない場合があることを示した。例えば、AndriesおよびBrutsaertは、分子量が40kDaのデキストランに共役した蛍光染料は、心内膜内皮および血管内皮のいずれも通って拡散しなかったが、10kDaのものは、容易に拡散したことを実証した。したがって、所望の時間内に着目組織に導入および/または拡散することができる分子量の蛍光染料を選択することが望ましい。Andries LJ,Brutsaert DL.Endocardial endothelium in the rat:junctional organization and permeability.Cell Tissue Res.1994 Sep;277(3):391〜400を参照されたい。
【0038】
例示的な非制限的実施例では、形成されたヒドロゲル染料キャリアを介した、約3〜約10kDaの分子量を有する蛍光染料の導入は、組織画像化に準瞬時に利用可能であった。様々な態様では、少なくとも1つの蛍光染料の分子量は、40kDa未満、あるいは20kDa未満、および任意に10kDa未満であってもよいことが熟考される。
【0039】
例示的に上述されるように、少なくとも1つの蛍光染料は、Alexa Fluor染料を含むことができる。Molecular Probesによって製造されたAlexa Fluor染料(Alexa Fluorは、Molecular Probesの登録商標である)は、スペクトル的に類似するプローブより激しい蛍光放射でより高い量子収量を呈する、スルホン化ローダミン誘導体であり、向上された光安定性、共通レーザー線に適合された吸収スペクトル、pH鈍感性、および高度の水溶性を含む、いくつかの追加の改善された特徴を有する。
Alexa Fluor染料の光退色に対する耐性は、十分に高く、高強度レーザー源によって照射される際にさえ、蛍光強度は、色褪せ防止剤が不在の場合にさえ、ある期間、概して安定なままである。この特徴は、水溶性Alexa Fluorプローブを、生細胞および組織切片両方の調査、ならびに従来の固定試料のために容易に利用できるようにする。
【0040】
当業者が理解するように、Alexa Fluor染料は、紫外および藍色から近赤外領域に及ぶ、広範囲の蛍光励起および放射波長極大で利用可能である。個々の染料の英数字名は、プローブが意図される特定の励起レーザーまたはアーク放電ランプスペクトル線と関連付けられる。例えば、Alexa Fluor488は、アルゴンまたはクリプトン−アルゴンイオンレーザーの青色488ナノメートル線によって励起されるように設計され、一方、Alexa Fluor568は、クリプトン−アルゴンレーザーの568ナノメートルのスペクトル線に適合される。Alexa Fluor染料のうちのいくつかは、特に、青色ダイオードレーザー(405ナノメートル)、オレンジ色/黄色ヘリウム−ネオンレーザー(594ナノメートル)、または赤色ヘリウム−ネオンレーザー(633ナノメートル)のいずれかによって励起されるように設計される。他のAlexa Fluor染料は、可視(Alexa Fluor546)または紫外(Alexa Fluor350、高電力アルゴンイオンレーザーでも有用である)の従来の水銀アーク放電ランプ、および固体赤色ダイオードレーザー(Alexa Fluor680)を用いた励起が意図される。Alexa Fluorシリーズにおいて、多数の励起および放射波長が利用可能であるため、多重標識実験は、多くの場合、これらの染料を排他的に用いて実施することができる。
【0041】
Alexa Fluor染料は、マレイミド類、サクシニミジルエステル類、およびヒドラジド類、ならびに調製細胞骨格プローブ(ファロイジン、G−アクチン、およびウサギ骨格筋アクチンに共役した)の形態で、反応中間体として市販され、レクチン、デキストラン、ストレプトアビジン、アビジン、ビオシチン、および多種多様な二次抗体に共役する。後者の形態では、Alexa Fluor蛍光色素分子は、免疫細胞化学、神経科学、および細胞生物学における調査に、広範なツールを提供する。また、プローブのファミリーは、スペクトル画像化および分離(linear unmixing)能力を有する高性能共焦点顕微鏡検出システムで標的とされる、重複蛍光放射極大を有する一連の染料に及んだ。例えば、Alexa Fluor488、Alexa Fluor500、およびAlexa Fluor514は、明るい緑色蛍光で色は視覚的に類似するが、スペクトル的に異なる放射プロファイルを有する。加えて、3つの蛍光色素は、アルゴンイオンレーザーからの488または514ナノメートルのスペクトル線を用いて励起することができ、従来の蛍光色素フィルタの組み合わせで容易に検出される。多スペクトル(x−y−l、ラムダスタックと称される)共焦点画像化の用途では、類似する信号を区別するために、光学分離ソフトウェアを採用することができる。Alexa Fluor488、500、および514の重複放射スペクトルは、3つの蛍光色素分子が3重標識調査で同時に組み合わせられる際、擬似カラー技術を使用して、別個のチャネルに分離し、区別することができる。
【0042】
生細胞の内部環境を精査するために設計された蛍光色素分子は、複数の研究者によって広く検査されており、アルカリおよびアルカリ土類金属、重金属(酵素補助因子として生化学的に採用される)、無機イオン、チオール類および硫化物類、亜硝酸塩の局所濃度、ならびにpH、溶媒極性、および膜電位等の効果を監視するために、多くの蛍光色素分子が開発された。これらのプローブは、測定される応答をもたらすように、高度の特異性で標的イオンに結合し、しばしばスペクトル的に感受性の指標と称される。イオンとそのホストとの間の会合平衡を監視するために、光比率信号分析の適用によってイオン濃度変化が決定される。この技術から得られる濃度値は、機器のばらつき、ならびに光退色、装填パラメータ、および細胞保持によるプローブ濃度変動とは概して無関係である。
【0043】
上述されるように、共焦点顕微鏡画像化システムは、必要に応じて、制御サブシステムおよび表示画面に連結される、プロセッサを含む。メモリは、このプロセッサに連結される。メモリは、任意の種類のコンピュータメモリであってもよく、典型的に、ランダムアクセスメモリ「RAM」と称され、システムソフトウェアおよび画像再構成ソフトウェアは、その中にある。共焦点顕微鏡画像化システムの画像再構成ソフトウェアは、受信される放射光の獲得および処理を制御し、共焦点顕微鏡画像化システムが、所望されるように2次元または3次元共焦点画像を表示できるようにする。一態様では、システムソフトウェアおよび画像再構成ソフトウェアは、共焦点顕微鏡画像化システムからのデータを獲得する、処理する、および表示する、1つもしくは複数のモジュールを備えることができる。このソフトウェアは、共焦点顕微鏡画像化サブシステムを調整する、機械コードの様々なモジュールを備える。
【0044】
データは、励起された着目組織領域の放射光から獲得される。放射光は、光ファイバ束を介して、放射光が測定され、画像を形成するように処理され、次いで所望により、表示画面に表示される、共焦点顕微鏡画像化システムに通信することができる。本システムソフトウェアおよび画像再構成ソフトウェアは、複数の獲得セッション、ならびにこれらのセッションに関連するデータの記憶および読み込みの管理を可能にする。また、本システムフトウェアおよび画像再構成ソフトウェアによる画像データの後処理も可能となる。
【0045】
当業者が理解するように、共焦点顕微鏡画像化システムは、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせを使用して実装することができる。システムのハードウェア実装は、すべて当該技術分野において周知である、以下の技術、別個の電子構成要素、データ信号上で論理関数を実施するための論理ゲートを有する別個の論理回路、適切な論理ゲートを有する特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ等のいずれか、または組み合わせを含むことができる。
【0046】
共焦点顕微鏡画像化システムのソフトウェアは、制御および処理機能を実装するための実行可能命令を備え、コンピュータベースのシステム、プロセッサ含有システム、または命令実行システム、装置もしくはデバイスから命令をフェッチし、命令を実行することができる他のシステム等の命令実行システム、装置、またはデバイスが使用するための、あるいはそれらと関連して使用するための任意のコンピュータ可読媒体内に具現化することができる。
【0047】
本文献の文脈では、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスが使用するための、またはそれらと関連して使用するためのプログラムを含有する、記憶する、通信する、伝搬する、あるいは輸送することができる任意の手段であってもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、もしくは半導体システム、装置、デバイス、または伝搬媒体であってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読媒体のより具体的な実施例(非包括的なリスト)には、以下の、1つもしくは複数のワイヤを有する電気接続(電子)、携帯用コンピュータディスク(磁気)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、デジタル多用途ディスク(DVD)、および携帯用小型ディスク読み出し専用メモリ(CDROM)が挙げられる。プログラムは、例えば、紙または他の媒体の光学走査を介して電子的に捕獲し、必要であれば、次いで好適な方法でコンパイル、解釈、ないしは別の方法で処理され、次いでコンピュータメモリに記憶することができるため、コンピュータ可読媒体は、さらに、プログラムが印刷される、紙または別の好適な媒体であってもよいことに留意されたい。
【0048】
コンピュータメモリは、共焦点顕微鏡画像化システムによって取得された画像データを含むことができ、また、獲得された光を表現する生データも含むことができる。コンピュータ可読記憶媒体は、共焦点顕微鏡画像化システムの動作に関連するステップもしくはアルゴリズムを実施するようにプロセッサに命令する、および/またはプロセッサを構成する、命令をプロセッサに提供するために、プロセッサに連結することができる。コンピュータ可読媒体には、一例としてのみ、磁気ディスク、磁気テープ、CD ROM等の光学的に可読な媒体、およびPCMCIAカード等の半導体メモリ等のハードウェアおよび/またはソフトウェアを挙げることができる。いずれの場合でも、媒体は、小型ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、カセット等の携帯用アイテムの形態をとってもよく、あるいは、ハードディスクドライブ、固体メモリカード、もしくはサポートシステム内に提供されるRAM等の比較的大きな、または不動型のアイテムの形態をとってもよい。上記にリストされる媒体例は、単独で、または組み合わせて、使用することができることに留意されたい。
【0049】
共焦点顕微鏡画像化システムは、共焦点顕微鏡画像化システムの様々な構成要素の動作を指示する、制御サブシステムを含むことができる。この制御サブシステムおよび関連構成要素は、汎用または専用プロセッサに命令するためのソフトウェアとして、またはハードウェア実装内の専用電子機器として提供されてもよい。この制御サブシステムは、所望の波長の所望の光を光ファイバ束に伝送するように、光源に接続される。
【0050】
共焦点顕微鏡画像化システムは、受信した放射光によって生成された電気信号を、プロセッサが操作することができるデータ、および画像に表示することができるデータに変換するための画像構成サブシステムを含む。様々な例示的な態様では、本画像化システムは、約0.5μm〜100μmの分解能の画像を提供することができる。画像構成サブシステムは、受信した放射光データに作用して、画像を表示するように、制御サブシステムによって指示することができる。さらなる例示的な態様では、また、制御サブシステムは、モータ制御信号をモータに提供して、カテーテルの遠位部分の被検体上の所望の位置への移動を制御するように構成される、モータ制御サブシステムを備えることができる。
【0051】
一実施形態では、被検体は、被検体から心臓電気信号を取得するために、心電図(ECG)電極に接続される。一態様では、電極からの心臓信号は、共焦点顕微鏡画像化システムに供給するための信号を調整するために、ECG増幅器に伝送することができる。信号を調整するために、ECG増幅器の代わりに、信号プロセッサまたは他のそのようなデバイスを使用することができることが認識される。電極からの心臓信号が取得された状態のままで好適である場合、増幅器または信号プロセッサの使用は、完全に回避してもよい。
【0052】
本態様では、共焦点顕微鏡画像化システムは、必要であれば、ECG増幅器から信号を受信するように構成される、ECG信号プロセッサを含むことができる。このECG信号プロセッサは、制御サブシステムに信号を提供するように構成することができる。ECG信号は、光源、例えば、レーザーによる、光の単一または複数のパルス(パルス列)の伝送をトリガするために使用することができる。共焦点顕微鏡画像化システムは、放射光データを伝送および受信し、共焦点顕微鏡画像化システムの動作パラメータを制御するためのインターフェースをユーザに提供することができ、例示的な態様では、データを、ECGトリガ画像を作成するように適切に処理することができる。
【0053】
一実施例では、共焦点顕微鏡画像化システムは、ECG信号処理モジュールからトリガ信号を検出する。このトリガ信号は、ECG電極、および必要であれば、ECG増幅器を使用することによってECG信号処理モジュールに提供される、被検体のECG信号に基づく。共焦点顕微鏡画像化システムのECG処理モジュールは、カテーテルを通した着目組織への放射線の伝送がトリガされる、例えば、R波のピーク、ECG信号トレース上の不動点および反復点を自動で検出するように構成することができる。当然ながら、例えば、および制限なく、音響信号もしくは超音波で測定されたもの等の被検体の信号活動の他のECG特徴または信号も、本画像化システムをトリガするために使用することができる。例えば、P波、Q波、S波、およびT波、またはこれらの特徴は、光伝送をトリガするために使用することができる。上記で言及された各特徴は、画像獲得をトリガする、または画像を選択するためのマーカを提供することができる、基準点を表すことができる。
【0054】
別の態様では、ECGトレースは、上述の波ピークの第1および第2、またはそれ以上のピークを備えることができることが熟考される。各ピークは、放射線エネルギーの伝送をトリガするためのECG信号の基準点を提供することができる。光の伝送をトリガするために、所与の波形のピークが選択される際、同一の波形の後続のピークは、後続の光の伝送をトリガするために使用することができる。
【0055】
動作中、カテーテルの遠位端部分は、血管または体腔を通して、着目組織に隣接する位置に導かれることが熟考される。続いて、染料キャリアは、それぞれ、所望の血管または体腔表面と接触させられる。染料キャリアが表面と接触した後、蛍光染料は、染料キャリアから組織に拡散される。蛍光染料は、次いで、カテーテルの光ファイバ束を通して伝送するための異なる波長の光を放射するように、適切な波長の集光レーザービーム等の光源によって励起される。理解されるように、染料を励起させ、放射光の強度を測定することによって、組織を通って走査することにより、共焦点顕微鏡画像化システムを介した2次元および3次元画像化が可能となる。
【0056】
一実施形態によると、組織の画像を生成するための方法は、所望の波長の光を生成することと、選択組織内の蛍光染料を励起するために、光ファイバ束の中を光ファイバ束の遠位端部に向かって、および染料キャリアを通して1つもしくは複数の蛍光染料が導入された被検体の組織の一部分上にその光を伝送することとを含む。続いて、励起された蛍光染料によって、異なる波長の放射光が放射され、染料キャリアを通して、従来の共焦点顕微鏡システムに動作可能に連結される、光ファイバ束の遠位端部に受信される。放射光の測定強度から、心臓組織の1次元、2次元、または3次元画像が作成される。
【0057】
別の実施形態によると、ECGトリガ画像を生成するための方法は、所望の波長の光を生成することと、被検体内の所望の位置の被検体にその光を繰り返し伝送することであって、被検体から得られるECG信号の基準点は、各連続光伝送をトリガする、ことと、各光伝送の結果として、所望の位置の励起された蛍光染料から放射される放射光を受信することと、共焦点画像を形成するように、受信された放射光データを処理することとを含む。一例示的な態様では、高分解能高速マルチスペクトル共焦点マッピング技術および装置を使用することができる。
【実施例】
【0058】
実験データ
一実験手順では、成体ウサギは、ペントバルビタール(30mg/kg)で麻酔され、ヘパリン(2500USP単位/kg)で抗凝血された。開胸に続き、ウサギの心臓は、素早く切除され、室温で、修飾酸素処理Tyrodeの溶液(mM単位で、126NaCl、11D形グルコース、0.1CaCl2、13.2KCl、1MgCl2、12.9NaOH、24HEPES)中に定置された。心臓は、3種類の組織切片、右心室乳頭筋(約1mm×1mm×5mm)、心外膜下心室組織(約6mm×2mm)、および心房組織(約6mm×2mm)に切離された。これらの切片は、図8に示されるように、縫合糸によってポリカーボネートホルダに固定され、画像化まで溶液中で保管された。
【0059】
画像は、心臓分離から6時間以内に取得された。画像化中、組織切片は、酸素処理Tyrodeの溶液によって被覆された(図8)。組織切片は、40倍の油浸対物レンズ(Nikon、Tokyo、Japan)を備えた8ビットBioRad MRC−1024レーザー走査共焦点顕微鏡(BioRad、Hercules、CA)上で画像化された。心筋(Z方向)に最大80μm延在する、204.8×153.6μmの視野(X×Y)の200×200×200nmの空間分解能の3次元画像スタックが取得された。Z軸は、レーザービーム方向に対して実質的に平行であった。
【0060】
薄いヒドロゲル片(4mm×4mm×厚さ40μm)は、水中で6.5%の寒天(GenePure LE Agarose、ISC BioExpress、Kaysville、UT)を使用して作成された。これらの片は、蛍光染料の溶液中に定置され、寒天ヒドロゲルに蛍光染料が拡散された。濃度が6〜12mg/mLで分子量が3kDa、および励起/放射波長が595/615nmのデキストランに共役した、リジン固定可能なTexas Red(Molecular Probes、Eugene、OR)が使用された。この染料および他のデキストラン共役染料は、細胞外空間の特異的標識化を可能にする。ポリスチレン秤量皿の底部から開口を切断し、サイズ#0のスライドガラスを開口部の上に糊付けすることによって、画像化チャンバが作成された。染料装填ヒドロゲル片がスライドガラス上に定置され、組織をスライド上に軽く押しつけることによって、染料が送達された。画像化領域内に組織試料が圧縮されないことを確実にするように予め注意した。スライドガラスと組織表面との間の距離が少なくとも10μmの画像領域が使用された。図8に示されるように、画像は、スライドガラスおよびヒドロゲルを通して画像化することによって獲得された。
【0061】
画像スタックは、測定点広がり関数(PSF)を使用する、反復Richardson−Lucyアルゴリズムを用いて解析された。つまり、画像化システムの所与のソースに対する応答gは、点広がり関数hを用いたソース画像fの重畳積分によって説明することができる。
【0062】
【数1−1】
反復Richardson−Lucyアルゴリズムは、相互相関演算子
【0063】
【数1−2】
を用いて、ソース画像fを再構成するために使用された。
【0064】
【数2】
3次元PSFは、寒天中に埋め込まれた100nmの蛍光ビーズを画像化することによって特徴付けられた。15のビーズの画像が抽出され、PSFを取得するために整合され、平均され、本明細書の画像化手法を定量的に特徴付けることを可能にした。最後に、PSFは、平均化フィルタを適用することによってフィルタ処理され、200nm×200nm×200nmの分解能で再びサンプリングされた。画像スタックを簡略化するために、PSFが適用された。
【0065】
画像スタックを特徴付けるために、生画像における信号対ノイズ比が推定された。信号強度の差異を計算するために、筋細胞の内部の300ボクセルの領域がサンプリングされ、平均信号強度を計算するために、細胞外空間内の300ボクセルの領域がサンプリングされた。信号対ノイズ比は、差異で除算した平均信号強度から計算された。生画像スタックは、バックグラウンド信号を除去し、深さ依存減衰を補正するように、C++およびMatLabソフトウェア(MathWorks、Natick、MA)の組み合わせを使用して処理された(図9)。バックグラウンド信号は、予測される強度がゼロである(すなわち、筋細胞の内部)小さな領域内の信号を平均することによって推定された。信号強度の深さ依存減衰は、関連強度の標準偏差が最小のZ軸(レーザービーム)方向の線を選択することによって計算された。これらの線に沿った強度は、深さの関数としてのスライス式スケーリングファクターを取得するために、最小二乗最適化を使用して、指数関数に適合された。
【0066】
筋細胞は、手動で表面メッシュを変形させ、続いて反復閾値化することによってセグメント化された。図13に示されるように、5120の三角形で構成される、初期に楕円形状のメッシュは、着目域内の各筋細胞の周囲に巻きつけられた。ボクセル強度のモードおよび標準偏差を計算するために、各メッシュによって囲まれた体積のボクセル強度のヒストグラムが作成された。筋細胞内空間と細胞外空間を区別するために、計算されたモードおよび標準偏差に基づき、各筋細胞の閾値が独立して選択された。
【0067】
閾値化の後、抽出された筋細胞全体に幾何分析が実施された。各セグメント化筋細胞の主軸を決定するために、主成分分析(PCA)が使用された。図13(d)に図示されるように、PCAに基づき、各筋細胞の周囲に境界ボックスが作成された。第1、第2、および第3の主軸の方向の境界ボックスの寸法は、それぞれ、筋細胞の長さ、幅、および高さと見なされる。筋細胞体積は、筋細胞内ボクセルの数を数えることによって計算された。平均断面積は、細胞体積を長さで除算することによって決定された。筋細胞によって占領される組織の体積分率は、すべての筋細胞がセグメント化された、画像スタックの領域内の300×300×30ボクセルの体積を不規則にサンプリングすることによって決定された。筋細胞密度は、各細胞の体積(Vi)で除算した筋細胞体積分率(MVF)の平均値として定義された。
【0068】
【数3】
いくつかの画像化研究では、切除された心臓は、取り付けられ、ランゲンドルフ法を使用して、大動脈に修飾Tyrodeの溶液を8mL/分で逆に通して灌流された。カテーテルベースの共焦点システム(FCM1000、Leica、Wetzlar、Germany)およびマイクロプローブ(M/30)を用いて、ランゲンドルフ試料から、視野が176.3×124.9μm、および方位分解能が0.48μmの2次元画像が獲得された。マイクロプローブ先端径は4.2mmであり、作動距離は30μmであった。ヒドロゲル染料キャリアは、図3(a)に示されるように、カテーテル先端上に適合する寒天シースとして構成された。
【0069】
組織切片をヒドロゲルキャリア上に押しつけると、デキストラン共役Texas Red染料が、心内膜層または心外膜層を通して、心筋内に急速に拡散した。心臓ミクロ構造の共焦点画像化に十分な濃度のデキストラン共役Texas Red染料が、即座に利用可能であった。BioRad共焦点顕微鏡を用いて獲得された、心房組織切片および心室組織切片の例示的な2次元画像が、それぞれ、図11(a)および図12(d)に示されている。これらの画像は、組織表面の約1μm外側から心筋内に最大80μmまでの範囲にわたる3次元スタックに由来する。
【0070】
蛍光は、細胞間の裂隙(間質腔)、膠原繊維、横行小管、および毛細血管と関連していると思われ、他方より暗い領域は、細胞と関連していると思われる。心房組織内および心室組織内の薄い膠原繊維の心外膜網状組織ならびに心内膜網状組織を通る画像断片が、それぞれ、図11(a)および図12(a)に示されている。これらの繊維は、それらの周囲より明るく、ある程度、筋細胞に対して平行に配向されているように思われる。心室心内膜を通る画像(図12(a))は、内皮細胞を含む。
【0071】
心房筋および心室筋への画像断片は、それぞれ、図11(b)〜(d)、および図12(b)〜(d)に提示される。これらの画像断片は、心外膜または心内膜表面層に対して心筋に10、20、および30μmの深さかさらのものである(図4(a)および図5(a))。膠原繊維の網状組織の密度は、心内膜および心外膜で、心筋内より高いように思われた。さらに、心筋にさらに延在する画像は、全体的により低い蛍光を呈した。
【0072】
BioRad共焦点顕微鏡システムの光学特性は、上述されるように、PSFの測定によって特徴付けられた。PSFは、XY平面(レーザービームと直行する)に0.30μm、およびZ方向(レーザービームに対して平行)に1.85μmの半値全幅を呈した。
【0073】
別の実験では、また、画像は、カテーテルベースの共焦点顕微鏡(FCM1000、Leica、Wetzlar、Germany)を用いても獲得された。染料キャリアは、カテーテル先端に取り付けられ、ランゲンドルフ灌流心臓の心房および心室の心外膜表面上に軽く押しつけられた。心房組織の例示的な2次元画像が、図10(b)に示されている。染料は、画像化に容易に利用可能であった。高蛍光強度および低蛍光強度は、それぞれ、細胞外空間および細胞内空間に関連していた。
【0074】
3次元画像データから心臓組織ミクロ構造を定量的に表現し、モデル化するために、デジタル画像処理および分析の方法が適用された。この目的のために、後続の分析のための19個の画像スタックが、全部で9匹のウサギから獲得された。これらのスタックのうちの14個は、低信号対ノイズ比、動きおよび/または組織品質の悪さによる画像スタック内の不連続性のため、分析から除外された。3未満の信号対ノイズ比は、低いと見なされた。バックグラウンド信号が除去され、深さ依存減衰が補正され、画像スタックが簡略化された。図12(e)および(f)は、画像スタック上でのこの処理の効果を図示する。処理された画像スタックは、未処理の画像データ(図12(e))では識別することが困難であった横行小管系(図12(f))等の筋細胞の微細な詳細を呈する。
【0075】
3次元画像スタック(図13)から、個々の筋細胞がセグメント化され、それによって、後続の空間モデル化(図14および図15)、ならびに筋細胞の定量分析(表IおよびII)が可能になった。50の心房筋細胞および36の心室筋細胞にセグメント化が実施された。定量分析は、筋細胞全体にのみ実施され、これは、28の心房筋細胞と、20の心室筋細胞とを含んだ。
【0076】
心房組織の3次元スタックからの単一の筋細胞の例示的なセグメント化が図13に示されている。3つの直行平面における手動で変形された表面メッシュが、図13(a)〜(c)に図示されている。筋細胞内空間と細胞外空間を区別するための閾値は、各セグメント化筋細胞の信号強度のモードに2を加算した標準偏差となるように選択された。図13(d)は、閾値化の後の筋細胞の主軸に整合された境界ボックス内のセグメント化筋細胞を示す。境界ボックスの寸法は、筋細胞の長さ、幅、および高さを決定する。心房組織および心室組織の3次元スタックからのセグメント化筋細胞の3次元空間モデルが、それぞれ、図14(a)および図15に示されている。図14(d)は、直行共焦点画像と重ね合わせられた心房モデルの3次元視覚化を示す。
【0077】
定量分析は、心房筋細胞の長さ、幅、および高さの平均および標準偏差(平均±標準偏差)が、それぞれ、105.0±10.6、13.1±1.7、および9.7±1.6μmであり、心室筋細胞では、それぞれ、112.3±14.3、18.4±2.3、および14.1±2.7μmであることを示した。心房筋細胞および心室筋細胞の平均体積は、それぞれ、4901±1713および10,299±3598μm3であった。さらに、心房組織および心室組織の筋細胞体積分率は、それぞれ、72.4±4.7%および79.7±2.9%であった。心房組織および心室組織の筋細胞密度は、それぞれ、165,571±55,836および86,957±32,280細胞/mm3であった。主成分分析は、筋細胞の長軸(第1の主軸)が心房組織および心室組織の表面に対して、それぞれ、表面平面に対して6°および3°の偏差内で平行であることを実証した(図14および図15)。
【0078】
さらに、心室筋細胞の大部分(70%)は、組織表面に対してほぼ平行(<25°)な、それらの第2の主軸を有した。対照的に、心房組織は、組織表面に対して平行な配向の第2の主軸を示さなかった。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態が前述の明細書に開示されてきたが、前述の説明および関連する図面に提示される教示の利益を有する、本発明が関連する、本発明の多くの修正および他の実施形態が思い付くことが当業者によって理解される。したがって、本発明は、本明細書に開示される特定の実施形態に制限されず、本発明の多くの修正および他の実施形態は、本発明の範囲内に含まれることが意図されることが理解される。さらに、本明細書において特定の用語が採用されるが、それらは、記載される本発明を制限するためではなく、一般的かつ説明的な意味でのみ使用される。
【0080】
本文献において様々な出版物が参照される。これらの出版物は、開示されるシステムおよび方法が関連する最先端技術をより完全に説明するために、参照することによってそれらの全体が本願に組み込まれる。また、開示される参照文献は、参照文献を利用した文章に記載されたものに含まれる材料について、参照することによって、個々にかつ明確に、本明細書に組み込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の画像化のための方法であって、
遠位端部を有する光ファイバ束を提供することと、
染料キャリアを前記光ファイバ束の前記遠位端部に動作可能に連結することであって、前記染料キャリアは、少なくとも1つの蛍光染料を備える、ことと、
前記少なくとも1つの蛍光染料の少なくとも一部分を着目組織領域に選択的に導入するために、前記染料キャリアの一部分を前記着目組織領域に接触させて位置付けることと、
所望の波長の光を生成することと、
前記組織内で前記蛍光染料を励起するために、前記光ファイバ束の中および前記染料キャリアを通して、前記着目組織領域に前記光を伝送することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記励起された蛍光染料から前記光ファイバ束に放射される光を受信することと、前記放射光を共焦点顕微鏡画像化システムに通信することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共焦点画像を形成するように、前記受信した放射光を処理することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記被検体から得られるECG信号を監視することであって、前記被検体から得られる前記ECG信号の基準点は、前記画像獲得をトリガする、ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
光伝送のステップは、前記ECG信号上の各連続基準点で繰り返される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記光ファイバ束への各光伝送の結果として、前記励起された蛍光染料から放射される光を受信することと、前記放射光を共焦点顕微鏡画像化システムに通信することとをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記共焦点画像を形成するように、前記受信した放射光を処理することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記染料キャリアは、光透明マトリックスと、前記少なくとも1つの蛍光染料とを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、緩衝溶液中に懸濁される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの蛍光染料および前記緩衝溶液は、前記染料キャリアの少なくとも95%を構成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、所定の濃度である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記染料キャリアは、少なくとも1つの抗体剤を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、Alexa、Texas Red、FITC、Oregon Green、Rhodamine Green、Lucifer yellow、Fluo3、Fluo4、およびジ−8−Aneppsからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、40kDa以下の分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、20kDa以下の分子量を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、約3kDa〜約10kDaの分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記光透明マトリックスは、ヒドロゲルを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記光透明マトリックスは、前記光ファイバ束の前記遠位端部から100μm未満延在する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記光透明マトリックスは、前記光ファイバ束の前記遠位端部から200μm未満延在する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記着目組織は、心臓組織である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
プロセッサと、所望の波長の光エネルギーを選択的に生成するように構成される、光エネルギー源とを含む、共焦点顕微鏡画像化システムにおいて、被検体の組織の共焦点画像を現像するためのカテーテルであって、
遠位端部と、反対の近位端部とを有する、光ファイバ束であって、前記近位端部は、前記共焦点顕微鏡画像化システムと動作可能な通信状態にあり、前記光ファイバ束は、前記光エネルギー源と通信状態にある、光ファイバ束と、
少なくとも1つの蛍光染料を前記光ファイバ束の前記遠位端部に位置付けるための手段と、
を含む、カテーテル。
【請求項22】
前記少なくとも1つの蛍光染料を着目組織領域に選択的に導入するために、前記染料キャリアの一部分を前記着目組織領域に接触させて位置付けるための手段をさらに含む、請求項21に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記プロセッサは、前記共焦点画像を形成するように、前記少なくとも1つの蛍光染料から受信された放射光を処理するように構成される、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記プロセッサは、前記被検体のECG信号を使用して、共焦点画像化をトリガするように構成される、請求項23に記載のカテーテル。
【請求項25】
少なくとも1つの蛍光染料を前記光ファイバ束の前記遠位端部に位置付けるための前記手段は、前記光ファイバ束の前記遠位端部に連結した染料キャリアを備え、前記少なくとも1つの蛍光染料は、前記染料キャリアに装填され、前記染料キャリアは、光透過性マトリックスを含む、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、緩衝溶液中に懸濁される、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記少なくとも1つの蛍光染料および前記緩衝溶液は、前記染料キャリアの少なくとも95%を構成する、請求項26に記載のカテーテル。
【請求項28】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、所定の濃度である、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項29】
前記染料キャリアは、少なくとも1つの抗体剤を含む、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項30】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、Alexa、Texas Red、FITC、Oregon Green、Rhodamine Green、Lucifer yellow、Fluo3、Fluo4、およびジ−8−Aneppsからなる群から選択される、請求項21に記載のカテーテル。
【請求項31】
前記光ファイバ束の遠位端部分を選択的に、かつ少なくとも部分的に囲むように構成される、カテーテルシースをさらに備える、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項32】
前記カテーテルシースは、前記染料キャリアの少なくとも一部分を選択的に、かつ少なくとも部分的に囲むように構成される、請求項31に記載のカテーテル。
【請求項33】
前記染料キャリアの一部分を所望の着目組織の一部分に接触させて位置付けるための前記手段は、前記所望の着目組織に対して前記染料キャリアを位置付けるように、前記被検体内で前記カテーテルシースを導くための手段を含む、請求項32に記載のカテーテル。
【請求項34】
前記光エネルギー源は、レーザーである、請求項21に記載のカテーテル。
【請求項1】
組織の画像化のための方法であって、
遠位端部を有する光ファイバ束を提供することと、
染料キャリアを前記光ファイバ束の前記遠位端部に動作可能に連結することであって、前記染料キャリアは、少なくとも1つの蛍光染料を備える、ことと、
前記少なくとも1つの蛍光染料の少なくとも一部分を着目組織領域に選択的に導入するために、前記染料キャリアの一部分を前記着目組織領域に接触させて位置付けることと、
所望の波長の光を生成することと、
前記組織内で前記蛍光染料を励起するために、前記光ファイバ束の中および前記染料キャリアを通して、前記着目組織領域に前記光を伝送することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記励起された蛍光染料から前記光ファイバ束に放射される光を受信することと、前記放射光を共焦点顕微鏡画像化システムに通信することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共焦点画像を形成するように、前記受信した放射光を処理することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記被検体から得られるECG信号を監視することであって、前記被検体から得られる前記ECG信号の基準点は、前記画像獲得をトリガする、ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
光伝送のステップは、前記ECG信号上の各連続基準点で繰り返される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記光ファイバ束への各光伝送の結果として、前記励起された蛍光染料から放射される光を受信することと、前記放射光を共焦点顕微鏡画像化システムに通信することとをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記共焦点画像を形成するように、前記受信した放射光を処理することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記染料キャリアは、光透明マトリックスと、前記少なくとも1つの蛍光染料とを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、緩衝溶液中に懸濁される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの蛍光染料および前記緩衝溶液は、前記染料キャリアの少なくとも95%を構成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、所定の濃度である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記染料キャリアは、少なくとも1つの抗体剤を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、Alexa、Texas Red、FITC、Oregon Green、Rhodamine Green、Lucifer yellow、Fluo3、Fluo4、およびジ−8−Aneppsからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、40kDa以下の分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、20kDa以下の分子量を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、約3kDa〜約10kDaの分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記光透明マトリックスは、ヒドロゲルを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記光透明マトリックスは、前記光ファイバ束の前記遠位端部から100μm未満延在する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記光透明マトリックスは、前記光ファイバ束の前記遠位端部から200μm未満延在する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記着目組織は、心臓組織である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
プロセッサと、所望の波長の光エネルギーを選択的に生成するように構成される、光エネルギー源とを含む、共焦点顕微鏡画像化システムにおいて、被検体の組織の共焦点画像を現像するためのカテーテルであって、
遠位端部と、反対の近位端部とを有する、光ファイバ束であって、前記近位端部は、前記共焦点顕微鏡画像化システムと動作可能な通信状態にあり、前記光ファイバ束は、前記光エネルギー源と通信状態にある、光ファイバ束と、
少なくとも1つの蛍光染料を前記光ファイバ束の前記遠位端部に位置付けるための手段と、
を含む、カテーテル。
【請求項22】
前記少なくとも1つの蛍光染料を着目組織領域に選択的に導入するために、前記染料キャリアの一部分を前記着目組織領域に接触させて位置付けるための手段をさらに含む、請求項21に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記プロセッサは、前記共焦点画像を形成するように、前記少なくとも1つの蛍光染料から受信された放射光を処理するように構成される、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記プロセッサは、前記被検体のECG信号を使用して、共焦点画像化をトリガするように構成される、請求項23に記載のカテーテル。
【請求項25】
少なくとも1つの蛍光染料を前記光ファイバ束の前記遠位端部に位置付けるための前記手段は、前記光ファイバ束の前記遠位端部に連結した染料キャリアを備え、前記少なくとも1つの蛍光染料は、前記染料キャリアに装填され、前記染料キャリアは、光透過性マトリックスを含む、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、緩衝溶液中に懸濁される、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記少なくとも1つの蛍光染料および前記緩衝溶液は、前記染料キャリアの少なくとも95%を構成する、請求項26に記載のカテーテル。
【請求項28】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、所定の濃度である、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項29】
前記染料キャリアは、少なくとも1つの抗体剤を含む、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項30】
前記少なくとも1つの蛍光染料は、Alexa、Texas Red、FITC、Oregon Green、Rhodamine Green、Lucifer yellow、Fluo3、Fluo4、およびジ−8−Aneppsからなる群から選択される、請求項21に記載のカテーテル。
【請求項31】
前記光ファイバ束の遠位端部分を選択的に、かつ少なくとも部分的に囲むように構成される、カテーテルシースをさらに備える、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項32】
前記カテーテルシースは、前記染料キャリアの少なくとも一部分を選択的に、かつ少なくとも部分的に囲むように構成される、請求項31に記載のカテーテル。
【請求項33】
前記染料キャリアの一部分を所望の着目組織の一部分に接触させて位置付けるための前記手段は、前記所望の着目組織に対して前記染料キャリアを位置付けるように、前記被検体内で前記カテーテルシースを導くための手段を含む、請求項32に記載のカテーテル。
【請求項34】
前記光エネルギー源は、レーザーである、請求項21に記載のカテーテル。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10(a】
【図10(b】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図11(c)】
【図11(d)】
【図12(a】
【図12(b】
【図12(c】
【図12(d】
【図12(e】
【図12(f】
【図13(a)】
【図13(b)】
【図13(c)】
【図13(d)】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15】
【図3B】
【図5】
【図2】
【図3A】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10(a】
【図10(b】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図11(c)】
【図11(d)】
【図12(a】
【図12(b】
【図12(c】
【図12(d】
【図12(e】
【図12(f】
【図13(a)】
【図13(b)】
【図13(c)】
【図13(d)】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15】
【図3B】
【図5】
【公表番号】特表2011−530082(P2011−530082A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522053(P2011−522053)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/004457
【国際公開番号】WO2010/016885
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(506051429)ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション (25)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/004457
【国際公開番号】WO2010/016885
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(506051429)ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション (25)
【Fターム(参考)】
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