説明

細胞加工装置及び細胞加工方法

【課題】高いスループットレートにおける遺伝子導入の際に不要な細胞の混在を防ぐ。
【解決手段】細胞または粒子4をそれぞれ搬送するための複数の微小流路上が合流して複数の微小流路上のそれぞれの細胞または粒子4を互いに融合させるための細胞加工装置にて、2分割センサー6にて細胞または粒子4を検出する。細胞または粒子4が検出されたか否かに基づいて当該微小流路への細胞または粒子4の送液速度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞に刺激を与えたり、改質したり、改変するための細胞加工装置及び細胞加工方法に関し、特に流路を用いた細胞加工装置及び細胞加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微小流路を用いた粒子を処理するには、粒子を保持する保持メカニズムを用いる技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。この保持メカニズムは、流体フローによって及ぼされる配置力を超えるように作用しうる。こうすることで、複数の保持メカニズムに保持された粒子を、流路の薬液にさらすことができる。
【0003】
また、拡散前面を検出した結果のプロフィールに示された拡散の状況から、目的物の濃度を検出する技術が考えられている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
特許文献1及び特許文献2以外の従来行われている遺伝子導入には、DEAEデキストラン法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポーレーション法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法が挙げられる。
【特許文献1】特表2005−521425号公報(第1頁、第76頁、第77頁、FIG.11C)
【特許文献2】特表2003−500653号公報(第1頁、第9頁、図3A)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした従来技術は、本来物質を検出したり濃度を求めたりといった微小流路の特徴を生かした分析技術μTAS(micro total analysis system)として粒子(細胞を含む)を使用、操作するものである。
【0006】
このため、粒子操作は、細胞に刺激を与えたり、改質したり、改変したりするための操作には十分に適しているとは言えない場合が多い。
【0007】
本来、細胞を改変するための遺伝子導入(トランスフェクション)は、個々の細胞に確実で、ハイスループットな遺伝子導入が必要とされる。そのため細胞操作は、細胞一つ一つに漏れなく遺伝子を導入し、且つこの操作をスループット高く行わなければならない。
【0008】
こうした場合、特許文献1に記載されたような保持メカニズムを有することは必ずしも必要ではない。むしろ、流体フローによって及ぼされる配置力に逆らわず、流体フローのスループットレートで細胞操作を行う必要がある。
【0009】
また、特許文献2に記載されたような流路方向に対して横断面となるような拡散前面を検出して、目的の濃度を求める必要も無い。
【0010】
また、特許文献1及び特許文献2以外の従来行われている上述した遺伝子導入は、いずれも細胞個々の単一操作を行っていない。そのため、こうした操作の後には遺伝子導入された細胞とそうではない細胞とが混在してしまうという問題点がある。
【0011】
従来では、こうした細胞を選別するために、いくつかの薬剤耐性遺伝子や蛍光マーカー遺伝子を目的遺伝子の下流につなぎ、後から薬剤や蛍光コロニー、フローサイトメータによって選別できるよう細工することが必須である。
【0012】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、高いスループットレートにおける遺伝子導入の際に不要な細胞の混在を防ぐことができる細胞加工装置及び細胞加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、
細胞を含む粒子をそれぞれ搬送するための複数の流路上が合流して前記複数の流路上のそれぞれの粒子を互いに融合させるための細胞加工装置であって、
前記流路上にて前記粒子を検出する検出手段と、
前記検出手段によって粒子が検出されたか否かに基づいて当該流路への該粒子の送液速度を制御する制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上説明したように構成されているので、高いスループットレートにおける遺伝子導入の際に不要な細胞の混在を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の細胞加工装置に設けられた流路の一形態を示す図である。
【0017】
本形態は図1に示すように、それぞれ異なる物質を搬送し、それらがY字またはT字形(例えば、T字路3)で互いに合流(融合)する複数の流路である。また、この合流地点が多段に設けられているものである。そして、合流地点の上流側、下流側、または双方に物質を検出する検出手段であるセンサー1が設けられている。
【0018】
これらの合流する流路のうち少なくとも1つの流路は、改質または改変される細胞を搬送するためのものでなくてはならない。また、他の流路のうち少なくとも1つの流路は、上記細胞を改質または改変するためのDNAやRNA等の核酸、ペプチドまたは蛋白質を含む粒子、または細胞(ウイルスを含む)を搬送するものでなくてはならない。
【0019】
上記以外の流路は、単に培地交換、バッファー交換や各種グロスファクターなどの細胞の育成に関わる因子、薬剤選択をするための薬剤、シグナル伝達物質、各種標識抗体などを添加するための流路を含んでも良い。こうした流路はセンサー1を持たなくても良い。図1に示したT字路3にはセンサー1が設けられていない。
【0020】
また、流路の長さについては、細胞分裂や細胞改質に必要な滞留時間を満たすような長さであっても良い。滞留時間の長い流路として、図1に示した蛇行路2や、流路切り替えバルブと組み合わせた循環流路を用いることができる。
【0021】
また、センサー1を設ける位置については、三叉路の近傍が良く、目的に応じて合流地点の上流側と下流側とのいずれかに設けても良い。細胞と粒子との接触を果たす場合、または細胞と薬液とが接触を果たす場合は、上流側に設けることが望ましい。また、細胞と粒子が融合を果たした後、外部から刺激を印加する外部刺激印加手段によって核内に目的物質を移行させる場合は、下流側に設けることが望ましい。
【0022】
本形態の流路のような微小流路内で扱う細胞は、数ミクロンから数百ミクロンのサイズである。また、細胞であるため、これを操作するためには流路内は親水性である必要がある。
【0023】
一方、微小流路内で扱う非細胞粒子は、数十ナノから数ミクロンのサイズである。
【0024】
これらの個々の粒子について、単一操作を行いやすくするためには、粒子に対する流路幅が流路の1倍を超えて10倍以下程度であることが望ましい。しかし、極端に流路幅を細くすると、粒子が含まれた液体を流路に導入することが困難になるため、流路径rに対して送液圧力Pを考慮することが必要である。このときの条件は次式で表される。
【0025】
P>2Tcosθ/r−ρgh (式1)
ここで、Tは表面張力、θは溶液と流路との接触角、gは重力加速度、ρは溶液の密度、hは溶液の高さである。流路が水平(h=0)に設置された状態であれば、(式1)の第2項を考慮する必要は無い。
【0026】
この他、電気泳動や電気浸透流を送液手段に用いることができるが、バッファー組成や塩濃度、pH等に制約があり、ポンプでの送液がより望ましい。
【0027】
また、流路の材質は、シリコン基板、ガラス、樹脂、PDMSなどのエラストマーの他、熱、紫外線等で流路のパターニングが可能なポリアクリルアミドゲルのようなゲルを用いることができる。
【0028】
センサー1の形態について述べる。粒子の検出は、一対の電極による電気的インピーダンス変化を計測するもの、または受光素子によって光学的な光強度変化を計測するものを用いることができる。
【0029】
電極または受光素子で構成されたセンサーのサイズは、検出感度の観点から考えると、検出すべき粒子と同程度かそれよりも小さいことが望ましい。
【0030】
また、ピンホールを設け、レーザー光を用いて一般的な熱レンズ計測系や共焦点光学系の構成で受光素子の光強度変化を計測する方法も、小さな粒子検出には良い。この場合、光受光素子前にピンホールを設ける必要がある。
【0031】
図2(a)は、2分割センサーを用いた流路の一例を示す図であり、図2(b)は、2分割センサーの出力の様子を示す図である。
【0032】
図2(a)に示したY字流路には、粒子または細胞の位置検出をより精度良く行うために2分割センサー6が合流地点の上流側に設けられている。異なる流路から流れてくる粒子同士の接触を果たすためには、双方の流路にセンサーを設けなければならない。
【0033】
また、2分割センサー6から出力される2つの光強度信号をそれぞれF、Rとする。FとRとをそれぞれ差動増幅回路の入力(F)9と差動増幅回路の入力(R)10とに導くと、差動増幅回路の出力信号8が得られる。これにより、粒子または細胞4が2分割センサー6の中心を通過すると、図2(b)の破線に示すような零クロス信号を発生させることができる。このため粒子または細胞4の位置を正確に知ることができる。この情報をポンプの駆動、流速制御に用いる。
【0034】
次に、お互いの粒子が出会うためのタイミング制御形態について述べる。
【0035】
センサー1から粒子または細胞の検出信号を受け取ると、残る一方の流路に設けられたセンサー1からの粒子または細胞の検出信号が発生しない限り、ポンプによる流路への送液がストップされる。その後、残る一方の流路に設けられたセンサー1からの粒子または細胞の検出信号が発生すると、合流地点までの各流路内の粒子または細胞の位置を計算しながら、それぞれの流路を流れる粒子または細胞が互いに出会うように、両方のポンプが駆動される。
【0036】
次に、流路を流れる粒子または細胞の必要な性質について述べる。
【0037】
ここで、改質、改変される細胞に接触を果たすDNA、RNA等の核酸、ペプチドまたは蛋白質を含む非細胞粒子は、接触後、エンドサイトーシスによって細胞と融合するという特徴を有していなければならない。このような特徴を有するものとして、一般的なリポフェクション法に用いられるリポソームの中に、これらDNA、RNA等の核酸、ペプチドまたは蛋白質を内包させたものを用いることができる。ウイルスの場合は本来、細胞表面のレセプターを介して容易にエンドサイトーシスを起こす。また、一般的な数百ナノまでのナノ粒子は、リポソームのような脂質膜を持たずともエンドサイトーシスを起こしうる。従来行われているリン酸カルシウム法によるナノ粒子も、こうしたナノ粒子と同様と考えられる。さらに、数十以下のナノ粒子については、細胞の核膜孔サイズが25nmほどであることから、核内にも容易に到達することが予想される。
【0038】
また、トランスフェクションの形態においては、例えばRNAiのように細胞質に導入することで目的を果たせる場合や、核内まで移行させなければならない場合を考慮する必要がある。
【0039】
DNAのように核内まで運ばなくてはならない場合には、例えば細胞質から核内に移行させる外部刺激印加手段として、外部から温度、電気パルス(電気刺激)、超音波、光、磁気を融合後に加えることができる手段を持っていると良い。このため、融合後の粒子を検出する手段を設けてもよい。このとき、こうした外部刺激に対応したリポソーム、pH、光、温度感受性リポソーム、磁性体を内包したリポソームまたは磁性ナノ粒子、ウイルス粒子を用いることができる。磁性粒子の場合には、磁力で引き付け、核膜を突き破って、目的物を核内に移行させる手法をとることができる。なお、超音波を用いる場合は、リポソームの瞬間的破裂による核内導入を目的とする以外に、振動を加えることで流路内に定在波が立つために、定在波の節目に相当する流路中央に粒子が集まる性質がある。これを利用して流路に対して粒子が小さすぎる場合に、粒子を流路中央に集めるだけの目的として使用することができる。
【0040】
以上、1つの細胞とそれを改質するための粒子とを融合させるに必要な形態について述べたが、複数の流路を組み合わせて複数の粒子導入をすることにより、より高度なトランスフェクションを行うことができる。
【0041】
従来のトランスフェクションは、例えば、遺伝子は導入されたけれども一過性で、相同組換えに至るには困難を極めたりすることがよくある。こうした問題の背景には、遺伝子導入する細胞周期の状態、インポーチン、イクスポーチン、核内移行シグナルの発生など、シグナル伝達全体に関連する因子の状態を無視できないことが挙げられる。また、核内においても、DNAメチル化の状態、ヒストンのメチル化、アセチル化、脱アセチル化に関連する因子を無視できないことが挙げられる。一方、こうした因子に作用する、または関連する薬剤は近年多く報告されるようになり、こうした薬剤を組み合わせて、複数段階からなる、高度なトランスフェクションを行う形態も、本発明を用いることによって可能となる。
【0042】
図3は、粒子または細胞を刺激するために他の流路から薬剤を供給する一形態を示す図である。
【0043】
本形態は図3に示すように、T字で合流する流路である。粒子または細胞4が1つの流路から供給され、一方の流路には粒子または細胞4を刺激するための薬剤がパルス的に供給される。こうした段階を、トランスフェクションを行う前、または後に設けてより高度なトランスフェクションを行うことができる。
(実施例1)
(流路の作製)
図4は、本発明の流路における実施例1を示す図である。
【0044】
実施例1では図4に示すように、Y字流路の合流地点に単結晶Si基板を用いたpinフォトダイオードの4分割センサー11を、また、合流地点の下流側に第2のpinフォトダイオード11aをそれぞれ配置する。この流路は、n層となる基板の上に、水素化アモルファスシリコン、水素化アモルファスシリコンカーバイトをPCVD(plasma chemical vapor deposition )法で堆積する。そのとき、膜厚をそれぞれ360nm、140nmとし、その上にAu電極をパターニングする。成膜条件は、1×10-7Torr、RFパワー20mW/cm2、250℃、堆積時120 mTorrである。スパッタ法でSiO2を封止膜として積層し、その上から、シリコーン系離型剤をスピンコート、SU8レジストを塗布、露光して流路パターンを形成する。次にPDMS(ポリジメチルシロキサン)を型に流し込んで剥離後、中のSU8造物を除去した後、硬化したPDMSを再度かぶせて流路とする。
(装着および動作)
図5は、本発明の細胞加工装置の実施の一形態を示す図である。
【0045】
本形態は図5に示すような構成となる。流路24をホルダー7に装着し、流路24とシリンジ12,12a、およびシャーレ22との間をチューブ23で接続する。ここで、流路24は図4にて説明した流路である。シリンジ12,12aは流路24の2つの流路それぞれに接続されている。4分割センサー11は、4つに分割されたセンサーそれぞれにて検出された光強度信号を、I/V変換回路13を介して図2に示したようにペアにして差動増幅回路に導き、A/D変換回路14がA/D変換する。合流地点の下流側に設けられた第2のpinフォトダイオード11aは、検出された光強度信号を、I/V変換回路13aを介してA/D変換回路14aへ導き、A/D変換回路14aがA/D変換する。A/D変換回路14,14aにてA/D変換されたデータは、マイコン25によってシリンジポンプ15の駆動のON/OFF判定および、電気パルス印加タイミング発生信号に用いる。予め十分離散的となるような濃度、0.5×105個/mlに培地で希釈、かつポリエチレングリコールの濃度が20%になるように調整したマウスミエローマ細胞をシリンジ12に吸い込み、シリンジポンプ15に装着する。一方、マウスリンパ節から採取した細胞を同一濃度に調整し、もう一方のシリンジ12aに装着する。シリンジポンプ15は2つのシリンジが装着可能でそれぞれ独立に駆動を制御できる制御手段である。次に、予め扁平にしたタングステン針に金蒸着を施した電極16を、融合後の細胞検出のための第2のpinフォトダイオード11a側部に設けた、電極差込凹部21に実態顕微鏡で観察しながら差し込む。次に、ハロゲンランプ17で流路24全体を照明し、シリンジポンプ15を駆動する。気体から液体に差しかかる最初のシグナルがセンサーにはいり、粒子を検出するとマイコン25は粒子が互いに出会うように流速を制御する。また合流後、融合した粒子を第2のpinフォトダイオード11aで検出すると、電極16にパルスが印加され、核内の融合を促進する。
(実施例2)
(流路の作製)
図6は、本発明の流路における実施例2を示す図である。図6(a)は、本実施例を流路上部から見た図であり、また図6(b)は、本実施例を流路側面から見た図である。
【0046】
実施例2は図6に示すように、ガラス基板を用い、流路直下にピンホール19を配置する。ピンホール19は、流路の裏面にスパッタ法で、アルミを蒸着し、サイズ約400nmとする。実施例1と同様、SU8レジストを塗布、露光して流路パターンを形成する。次に、PDMSを型に流し込んで剥離後、中のSU8造物を除去した後、硬化したPDMSを再度かぶせて流路とする。流路には、PC modifier(株式会社AIバイオチップスの商品)を満たして内部を親水処理しておく。処理方法は能書に従う。
(装着および動作)
チューブの接続を実施例1と同様に行う。図6(b)に示すように、各ピンホール19には、コリメータレンズ付きの赤色可視光が半導体レーザー光源モジュール20のアパーチャ20aを通り、流路に照射される。そして、流路に照射された可視光が粒子像面からの一部の光はピンホール19を通過してアバランシエフォトダイオード18によって検出される。アバランシエフォトダイオード18の出力はI/V変換回路を介してA/D変換され、変換データはマイコンによってシリンジポンプ駆動のON/OFF判定に用いる。予め十分離散的となるような濃度、0.5×105個/mlに培地で希釈、調整したマウスES細胞をシリンジに吸い込み、シリンジポンプに装着する。一方、リポフェクタミン2000 (インビトロジェン株式会社の商品名)を使って、ハウスキーピングジーンの下流にGFP遺伝子をつないだプラスミドDNAを内包したリポソームを作製する。作製方法は能書に従う。先ほどとほぼ同じ濃度になるように調整した後、リポソームをシリンジに吸い込み、シリンジポンプに装着する。その後、シリンジポンプを駆動し、実施例1と同様に、細胞とリポソームが出会うように流速制御する。
【0047】
上記のように本発明においては、微小流路下で細胞個々の単一操作を実現することができるために、遺伝子導入された細胞とそうでない細胞が混在する結果とならない。また、マイクロインジェクション法と比べ、大幅にスループットレートを向上することができる。
【0048】
したがって本発明は、従来問題とされたスループットレートの課題、遺伝子導入されなかった細胞が混在するといった課題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の細胞加工装置に設けられた流路の一形態を示す図である。
【図2】(a)は、2分割センサーを用いた流路の一例を示す図であり、(b)は、2分割センサーの出力の様子を示す図である。
【図3】粒子または細胞を刺激するために他の流路から薬剤を供給する一形態を示す図である。
【図4】本発明の流路における実施例1を示す図である。
【図5】本発明の細胞加工装置の実施の一形態を示す図である。
【図6】本発明の流路における実施例2を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 センサー
2 蛇行路
3 T字路
4 粒子または細胞
5 薬剤
6 2分割センサー
7 ホルダー
8 差動増幅回路の出力信号
9 差動増幅回路の入力(F)
10 差動増幅回路の入力(R)
11 4分割センサー
11a 第2のpinフォトダイオード
12,12a シリンジ
13,13a I/V変換回路
14,14a A/D変換回路
15 シリンジポンプ
16 電極
17 ハロゲンランプ
18 アバランシエフォトダイオード
19 ピンホール
20 半導体レーザ光源モジュール
21 電極差込凹部
22 シャーレ
23 チューブ
24 流路
25 マイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を含む粒子をそれぞれ搬送するための複数の流路が合流して前記複数の流路上を搬送されるそれぞれの粒子を互いに融合させるための細胞加工装置であって、
前記流路上にて前記粒子を検出する検出手段と、
前記検出手段によって粒子が検出されたか否かに基づいて当該流路への該粒子の送液速度を制御する制御手段とを有する細胞加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の細胞加工装置において、
前記制御手段は、前記複数の流路のうち1つの流路上の検出手段にて前記粒子が検出された場合、他の流路上の検出手段にて前記粒子が検出されるまで、当該流路への送液を停止することを特徴とする細胞加工装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の細胞加工装置において、
前記検出手段は、前記流路における光強度変化または電気的インピーダンス変化を検出することにより、前記流路上にて前記粒子を検出することを特徴とする細胞加工装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の細胞加工装置において、
前記検出手段は、受光素子であることを特徴とする細胞加工装置。
【請求項5】
請求項4に記載の細胞加工装置において、
前記受光素子は、1つのセンサーと、2分割センサーと、4分割センサーとのいずれかのセンサーであることを特徴とする細胞加工装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の細胞加工装置において、
前記検出手段は、ピンホールであることを特徴とする細胞加工装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の細胞加工装置において、
前記流路が合流した流路上に、前記粒子に刺激を印加する外部刺激印加手段を有することを特徴とする細胞加工装置。
【請求項8】
請求項7に記載の細胞加工装置において、
前記外部刺激印加手段は、前記流路が合流した流路の外部から光と、温度と、超音波と、磁気と、電気刺激とのいずれかの刺激を印加することを特徴とする細胞加工装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の細胞加工装置において、
前記外部刺激印加手段は、前記検出手段によって粒子が検出されたか否かに基づいて該刺激を印加することを特徴とする細胞加工装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の細胞加工装置において、
前記粒子に薬剤をパルス的に供給することを特徴とする細胞加工装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の細胞加工装置において、
前記粒子は、DNAやRNAの核酸、ペプチドまたは蛋白質を含むリポソームであることを特徴とする細胞加工装置。
【請求項12】
細胞を含む粒子をそれぞれ搬送するための複数の流路が1つの流路に合流して前記複数の流路上を搬送されるそれぞれの粒子を互いに融合させるための細胞加工装置における細胞加工方法であって、
前記流路上にて前記粒子を検出する処理と、
前記粒子が検出されたか否かに基づいて当該流路への該粒子の送液速度を制御する処理とを有する細胞加工方法。
【請求項13】
請求項12に記載の細胞加工方法において、
前記複数の流路のうち1つの流路上にて前記粒子が検出された場合、他の流路上にて前記粒子が検出されるまで、当該流路への送液を停止する処理を有することを特徴とする細胞加工方法。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の細胞加工方法において、
前記流路上における光強度変化または電気的インピーダンス変化を検出する処理を有することを特徴とする細胞加工方法。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれか1項に記載の細胞加工方法において、
前記流路が合流した流路上にて前記粒子に刺激を印加する処理を有することを特徴とする細胞加工方法。
【請求項16】
請求項15に記載の細胞加工方法において、
前記流路が合流した流路の外部から光と、温度と、超音波と、磁気と、電気刺激とのいずれかの刺激を印加する処理を有することを特徴とする細胞加工方法。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載の細胞加工方法において、
前記流路上にて粒子が検出されたか否かに基づいて該刺激を印加する処理を有することを特徴とする細胞加工方法。
【請求項18】
請求項12乃至17のいずれか1項に記載の細胞加工方法において、
前記粒子に薬剤をパルス的に供給する処理を有することを特徴とする細胞加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−271905(P2008−271905A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121558(P2007−121558)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】