細胞増殖および細胞融合を高めるための組成物および方法
細胞融合の方法が提供され、この方法は、細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地において融合し、それにより、細胞を融合することを含み、ただし、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。モノクローナル抗体を作製するためおよび真核生物細胞を培養するための組成物および製造物もまた提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞増殖および細胞融合を高めるための新規な組成物に関連する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物の生体は、恒常性を生体において維持するために有害であり、また、病原性になり、これにより、様々な疾患を引き起こし得るか、または、様々な疾患の悪化を増大させ得る外因性抗原(例えば、ウイルス、細菌毒素および化学物質)、自己抗原(例えば、自己反応性リンパ球;ガン細胞および過度な内因性因子(例えば、サイトカイン、ホルモンまたは増殖因子))を特異的に捕捉し、これらを排除するための防御システムである体液性免疫を有する。この体液性免疫において、抗体が大きな役割を果たす。
【0003】
抗体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、2つの長いポリペプチド鎖(免疫グロブリン重鎖;IgH鎖)および2つの短いポリペプチド鎖(免疫グロブリン軽鎖;IgL鎖)を含むY字型の基本構造を有する。このY字型構造は、ジスルフィド結合によって架橋される2つのIgH鎖が別のジスルフィド結合を介してIgL鎖のそれぞれにつなげられるときに作られる。
【0004】
生体にとって有害である抗原を捕捉し、排除するこの機能のために、様々な抗体がこれまで長い間、薬物として使用されている。ポリクローナル抗体が抗体薬物の最も古い形態であり、この場合、特定の抗原に対する様々なタイプの抗体を含む抗血清が使用された。しかしながら、このような抗血清を得るための方法は、血清から集めることに限定され、したがって、その供給は必然的に制限された。そのうえ、抗原に対する特異性を含む単一タイプの抗体分子をこの抗血清から単離することは極めて困難であった。
【0005】
KohlerおよびMilsteinによる1975年の、ハイブリドーマを使用するモノクローナル抗体の成功した調製(Nature、Vol.256、p.495〜497、1975)は、これにより、特定の抗原に対する抗体を要求に応じて作製することが可能になったので、これらの問題の解決をもたらし、また、モノクローナル抗体が薬物として使用されるための扉を開いた。
【0006】
典型的には、ヒトモノクローナル抗体の作製では、ヒトのBリンパ球を骨髄起原のパートナー細胞株との融合によって不死化することが必要である。これらの細胞融合の結果は、両方の親細胞株の特質、すなわち、絶え間なく増殖する能力、および、純粋な抗体を産生する能力を有する「ハイブリドーマ」と呼ばれる。
【0007】
しかしながら、モノクローナル抗体作製のために利用可能である唯一のヒトB細胞は、末梢血において循環するB細胞であるので、モノクローナル抗体作製のための細胞の供給源は限定される。さらには、理論的には可能であるが、抗原が引き起こした免疫応答が最近または再発でなかったならば、ヒトモノクローナル抗体をその抗原に対して作製することが難しい。加えて、分泌されたモノクローナル抗体の量が典型的には多くないので、高レベルの単離されたモノクローナル抗体をハイブリドーマ細胞培養から作製することが困難であることが判明している。
【0008】
モノクローナル抗体作製の理論的な成果および実際の成果を結びつけるためには、融合プロセスの効率が非常に高いことが必要であり、これは、末梢血から得られるB細胞が少ないことを克服するために、従って、末梢血から得られるB細胞の不死化の可能性をより高くするために必要である。
【0009】
したがって、多量のモノクローナル抗体を費用効果的な様式で作製する方法が必要であることが広く認識されており、また、そのような方法を有することは非常に好都合であると考えられる。
【発明の概要】
【0010】
本発明のいくつかの実施形態からなる1つの局面によれば、細胞融合の方法が提供され、この場合、この方法は、細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地において融合し、それにより、細胞を融合することを含み、ただし、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態からなる1つの局面によれば、真核生物細胞を培養する方法が提供され、この場合、この方法は、細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地においてインキュベーションし、それにより、真核生物細胞を培養することを含み、ただし、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態からなる1つの局面によれば、真核生物細胞培養培地と、液体およびナノ構造を有する液体組成物とを含む細胞培養培地が提供され、ただし、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態からなる1つの局面によれば、包装材と、前記包装材の中に含有される、真核生物細胞を培養することのために特定される液体組成物とを含む製造物が提供され、ただし、前記液体組成物は液体およびナノ構造を有し、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態からなる1つの局面によれば、包装材と、前記包装材の中に含有される、モノクローナル抗体を作製するために特定される液体組成物とを含む製造物が提供され、ただし、前記液体組成物は液体およびナノ構造を有し、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態からなる1つの局面によれば、モノクローナル抗体を作製するための方法が提供され、この場合、この方法は、不死化している細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地においてハイブリドーマを得るために抗体産生細胞と融合することを含み、ただし、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態からなる1つの局面によれば、セファロスポリンを、この物質を分散または溶解することを可能にする条件のもとでナノ構造および液体と接触させることを含む、セファロスポリンを溶解または分散する方法が提供され、この場合、前記ナノ構造は、前記液体の整列した流体分子によって包まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、細胞は同一である。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によれば、細胞は非同一である。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、細胞は初代細胞を含む。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、細胞は不死化細胞を含む。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、非同一の細胞は腫瘍細胞および抗体産生細胞を含む。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、非同一の細胞は幹細胞および体細胞を含む。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、幹細胞は胚性幹細胞である。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、体細胞は筋細胞または骨細胞である。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、抗体産生細胞はBリンパ球である。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、Bリンパ球はヒトBリンパ球である。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、Bリンパ球は末梢血単核細胞である。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、腫瘍細胞は、前記融合に先だって、ハイブリドーマ作製の増大を可能にする期間、前記液体組成物においてインキュベーションされる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記期間は最低でも1日である。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記流体分子の少なくとも一部がガス状状態である。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によれば、液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、液体組成物はヒドロキシアパタイトから作製される。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によれば、液体組成物は光の偏光を変化させることができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、培地はさらに、増殖因子、血清および抗生物質からなる群から選択される少なくとも1つの作用因を含む。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、真核生物細胞は単一の細胞である。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、単一の細胞はハイブリドーマである。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、培養することがHCFの非存在下で行われる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、真核生物細胞は間葉系幹細胞である。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によれば、真核生物細胞培養培地はさらに、増殖因子、血清および抗生物質からなる群から選択される少なくとも1つの作用因を含む。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、液体組成物は細胞増殖速度を増大させることができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記方法はさらに、前記ハイブリドーマをクローン化することを含む。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によれば、クローン化することが、前記ハイブリドーマを、前記液体組成物を含む培地においてインキュベーションすることによって行われる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によれば、クローン化することがHCFの非存在下で行われる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記方法はさらに、モノクローナル抗体を前記クローン化の後で集めることを含む。
【0049】
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。さらに、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0050】
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施形態を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、Neowater(商標)およびRO(逆浸透)水に基づくMEM培地における骨髄細胞の増殖を例示する棒グラフである。
【図2】図2は、557nmでの吸光度によって測定されたときの様々な水組成物の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。
【図3】図3A〜Cは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図4】図4A〜Cは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【図5】図5A〜Cは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図6】図6は、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【図7】図7A〜Cは、557nmでの吸光度によって測定されたときの、ナノ構造を含む水、および、RO水の塩酸滴定(図7A)および水酸化ナトリウム滴定(図7B〜図7C)を例示するグラフである。
【図8】図8A〜Bは、ROの塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図8A)、および、ナノ構造を含む水の塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図8B)である。それぞれのキュベットは1μlの塩酸の添加を例示する。
【図9】図9A〜Cは、RF水の塩酸滴定を例示するグラフ(図9A)、RF2水の塩酸滴定を例示するグラフ(図9B)、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフ(図9C)である。矢印は2回目の照射を示す。
【図10】図10は、RO水と比較したときの、FR2水の塩酸滴定を例示するグラフである。実験を3回繰り返した。3回の実験のすべてについての平均値がRO水についてプロットされた。
【図11A.11B.11F.11G】図11A、図11B、図11Fおよび図11Gは、粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。図11A〜図11Eは、実施例8のパートAからの、右側:試験チューブC(50%EtOH+Neowater(商標))、および、左側:試験チューブB(脱水されたNeowater(商標))を例示する。図11G〜図11Jは、赤色粉末の一晩の破砕、および、100μlのNeowater(商標)の滴定の後での溶液を例示する。
【図11C.11D.11H.11I】図11C、図11D、図11Hおよび図11Iは、粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。図11A〜図11Eは、実施例8のパートAからの、右側:試験チューブC(50%EtOH+Neowater(商標))、および、左側:試験チューブB(脱水されたNeowater(商標))を例示する。図11G〜図11Jは、赤色粉末の一晩の破砕、および、100μlのNeowater(商標)の滴定の後での溶液を例示する。
【図11E.11J】図11Eおよび図11Jは、粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。図11A〜図11Eは、実施例8のパートAからの、右側:試験チューブC(50%EtOH+Neowater(商標))、および、左側:試験チューブB(脱水されたNeowater(商標))を例示する。図11G〜図11Jは、赤色粉末の一晩の破砕、および、100μlのNeowater(商標)の滴定の後での溶液を例示する。
【図12A】図12Aは、ナノドロップで測定されたときの、3つの異なる溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。図12Aは、一晩の粉砕の後での赤色粉末+100μlのNeowaterの溶液を表す。
【図12B】図12Bは、ナノドロップで測定されたときの、3つの異なる溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。図12Bは、100%の脱水されたNeowater(商標)を加えた後での赤色粉末の溶液を表す。
【図12C】図12Cは、ナノドロップで測定されたときの、3つの異なる溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。図12Cは、EtOH+Neowater(商標)(50%−50%)を加えた後での赤色粉末の溶液を表す。
【図13】図13は、バイアル#1(CD−Dau+Neowater(商標))、バイアル#4(CD−Dau+10%PEG/Neowater(商標))およびバイアル#5(CD−Dau+50%アセトン+50%Neowater(商標))の分光光度計測定のグラフである。
【図14】図14は、Neowater(商標)における溶解物(青色線)、および、微量の溶媒(アセトン)を伴う溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。
【図15】図15は、Neowater(商標)における溶解物(青色線)および、アセトンにおける溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。淡青色および黄色の線はアセトン蒸発の異なる割合を表し、紫色線はアセトン非含有溶液である。
【図16】図16は、CD−Dauの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【図17】図17は、t−bocの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【図18】図18A〜Dは、200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。図18Aは、エタノールの存在下、および、エタノール蒸発直後のエタノール非存在下でのAG−14Bのグラフである。図18Bは、エタノールの存在下、および、エタノール蒸発後24時間のエタノール非存在下でのAG−14Bのグラフである。図18Cは、エタノールの存在下、および、エタノール蒸発直後のエタノール非存在下でのAG−14Aのグラフである。図18Dは、エタノールの存在下、および、エタノール蒸発後24時間のエタノール非存在下でのAG−14Aのグラフである。
【図19】図19は、エタノール蒸発後24時間でのAG−14AおよびAG14Bの懸濁物の写真である。
【図20A−D】図20A〜Dは、Neowater(商標)に溶解されたペプチドの分光光度計測定のグラフである。図20Aは、Neowater(商標)に溶解されたペプチドXのグラフである。図20Bは、Neowater(商標)に溶解されたX−5FUのグラフである。図20Cは、Neowater(商標)に溶解されたNLS−Eのグラフである。図20Dは、Neowater(商標)に溶解されたPalm−PFPSYK(CMFU)のグラフである。
【図20E−G】図20E〜Gは、Neowater(商標)に溶解されたペプチドの分光光度計測定のグラフである。図20Eは、Neowater(商標)に溶解されたPFPSYKLRPG−NH2のグラフである。図20Fは、Neowater(商標)に溶解されたNLS−p2−LHRHのグラフである。図20Gは、Neowater(商標)に溶解されたF−LH−RH−palm kGFPSKのグラフである。
【図21A−D】図21A〜Dは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたペプチドの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。図21Aは、Neowater(商標)に溶解されたペプチドXの細胞傷害作用のグラフである。図21Bは、Neowater(商標)に溶解されたX−5FUの細胞傷害作用のグラフである。図21Cは、Neowater(商標)に溶解されたNLS−Eの細胞傷害作用のグラフである。図21Dは、Neowater(商標)に溶解されたPalm−PFPSYK(CMFU)の細胞傷害作用のグラフである。
【図21E−G】図21E〜Gは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたペプチドの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。図21Eは、Neowater(商標)に溶解されたPFPSYKLRPG−NH2の細胞傷害作用のグラフである。図21Fは、Neowater(商標)に溶解されたNLS−p2−LHRHの細胞傷害作用のグラフである。図21Gは、Neowater(商標)に溶解されたF−LH−RH−palm kGFPSKの細胞傷害作用のグラフである。
【図22】図22は、エタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【図23】図23は、ろ過後の、エタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【図24】図24A〜Bは、試験チューブ(左側はNeowater(商標)および物質「X」を含有し、右側はDMSOおよび物質「X」を含有する)の写真である。図24Aは、24時間放置された試験チューブを例示し、図24Bは、48時間放置された試験チューブを例示する。
【図25】図25A〜Cは、加熱および振とう処置を行った直後における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図25A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図25B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図25C)の写真である。
【図26】図26A〜Cは、加熱および振とう処置を行った後60分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図26A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図26B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図26C)の写真である。
【図27】図27A〜Cは、加熱および振とう処置を行った後120分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図27A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図27B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図27C)の写真である。
【図28】図28A〜Cは、加熱および振とう処置を行った後24時間における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図28A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図28B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図28C)の写真である。
【図29】図29A〜Dは、Neowater(商標)および低下した濃度のDMSOを含む溶媒に物質「X」を含むガラス製ボトルの振とう直後の写真(図29A)、振とう後30分の写真(図29B)、振とう後60分の写真(図29C)および振とう後120分の写真(図29D)である。
【図30】図30は、分光光度計によって測定されたときの、ボルテックス後6時間のRO/Neowater(商標)における物質「X」の吸収特徴を例示するグラフである。
【図31】図31A〜Bは、分光光度計によって測定されたときの、エタノールにおけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図31A)、および、アセトンにおけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図31B)である。
【図32】図32A〜Bは、分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図32A)、および、Neowater(商標)におけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図32B)である。
【図33】図33A〜Bは、分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図33A)、および、DMSOにおけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図33B)である。
【図34】図34は、293T細胞に対する異なる溶剤におけるタキソールの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。コントロールRO=RO水により構成される培地;コントロールNeo=Neowater(商標)により構成される培地;コントロールDMSO RO=RO水+10μlのDMSOにより構成される培地;コントロールNeo RO=RO水+10μlのNeowater(商標)により構成される培地;タキソールDMSO RO=RO水と、DMSOに溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールDMSO Neo=Neowater(商標)と、DMSOに溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールNW RO=RO水と、Neowater(商標)に溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールNW Neo=Neowater(商標)と、Neowater(商標)に溶解されたタキソールとにより構成される培地。
【図35】図35A〜Bは、2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例16に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および非存在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である。
【図36】図36は、2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例17に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および非存在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である。
【図37A】図37Aは、Neowater(商標)およびDMSOにおける0.5mMタキソールの分光光度法による読み取りを例示するグラフである。
【図37B−C】図37B〜Cは、Neowater(商標)およびDMSOにおけるタキソールのHPLCによる読み取りである。図37Bは、タキソールの新たに調製された標準(DMSO)配合物のHPLCによる読み取りを例示する。図37Cは、−20℃での6ヶ月の貯蔵の後における、Neowater(商標)に分散されたタキソールのHPLCによる読み取りを例示する。
【図38】図38は、DMSO配合物またはNeowater(商標)配合物における様々なタキソール濃度のPC3細胞生存性を例示する棒グラフである。それぞれの点が8個の反復実験からの平均+/−標準偏差を表す。
【図39】図39は、Neowater(商標)による融合効率強化を例示する棒グラフである。融合が標準的プロトコルに従って行われ、この場合、培養培地およびPEGが、Neowater(商標)(NPD)またはコントロールの水(DI)のいずれかを用いて粉末形態から再構成された。それぞれの融合について、1つの回分処理物からのPBMCを2つの等量物に分け、Neowater(商標)またはコントロールの水に基づく試薬での2つの並行実験物を調製するために使用した。図は、それぞれの融合実験におけるハイブリドーマ陽性ウエルの割合を示す。割合が、細胞が融合プロセス後に播種および増殖させられる96ウエルプレートからのハイブリドーマ陽性ウエルの数として計算された。Neowater(商標)での融合結果のすべてと、コントロールの水での融合結果のすべてとの間における差は、χ二乗分析によって統計学的に有意であることが見出された(p<<0.001)。強化率を、[(Neowater(商標)での融合におけるハイブリドーマの数/コントロールの水での融合におけるハイブリドーマの数)x100%−100%]の式によって計算した。
【図40】図40は、Neowater(商標)(NPD)またはコントロールの水(DI)における準安定クローンのクローン化効率を例示する棒グラフである。抗体を産生する準安定なクローンから、200個の細胞を計数し、96ウエルプレートの全体に10mLの体積で播種した(平均して、1〜2細胞/100μL/ウエル)。図は、クローン化実験あたりのハイブリドーマ陽性ウエルの平均割合を示す。誤差棒は平均の標準誤差を示す。
【図41】図41A〜Bは、Neowater(商標)は安定なハイブリドーマクローンからの10%FCSにおける抗体分泌を高めることができることを例示する棒グラフである。2つの並行培養物を安定なハイブリドーマクローンから反復物で調製した。一方をNeowater(商標)での培地(NPD)において増殖させ、もう一方をコントロールの水(DI)での培地において増殖させ、両方を標準的な培養条件で保った。1週間増殖させた後、上清を集め、抗体濃度を標準的なサンドイッチELISAによって測定した。それぞれの棒が、Neowater(商標)(NPD)での培養物およびコントロールの水(DI)での培養物において測定された平均抗体濃度を表す。誤差棒は平均の標準誤差を示す。図41Aは、培養上清において測定された総抗体濃度を例示する。図41Bは、細胞あたりについて正規化された抗体濃度を例示する。
【図42A】図42Aは、安定なハイブリドーマクローンによる3%FCSにおけるIGM産生を例示する棒グラフである。安定なハイブリドーマクローンの同じ培養物に由来する2つの培養物を増殖させた。一方を、3%FCSが補充されたNeowater(商標)(NPD)に基づく培地において増殖させ、もう一方を、3%FCSが補充されたコントロールの水(DI)に基づく培地において増殖させた。播種前に、細胞を無血清培地で洗浄して、残存血清が除かれたことを確認した。2週間の期間中、上清を示されたように集め、細胞を同じ日に計数した。培養物は4日目および10日目に養分供給され、培地が6日目に培養物に入れられた。DIでの培養における細胞はこれらの条件のもとで正常に増殖したが、測定可能な量の抗体を産生することができなかった。
【図42B】図42Bは、安定なハイブリドーマクローンによる3%FCSにおけるIGM産生を例示する棒グラフである。安定なハイブリドーマクローンの同じ培養物に由来する2つの培養物を増殖させた。一方を、3%FCSが補充されたNeowater(商標)(NPD)に基づく培地において増殖させ、もう一方を、3%FCSが補充されたコントロールの水(DI)に基づく培地において増殖させた。播種前に、細胞を無血清培地で洗浄して、残存血清が除かれたことを確認した。2週間の期間中、上清を示されたように集め、細胞を同じ日に計数した。培養物は4日目および10日目に養分供給され、培地が6日目に培養物に入れられた。DIでの培養における細胞はこれらの条件のもとで正常に増殖したが、測定可能な量の抗体を産生することができなかった。
【図43】図43A〜Cは、血清低下培地におけるCHO細胞の増殖を例示する棒グラフである。図43A:細胞を、三連で、Neowater(商標)(NPD)に基づく培地およびコントロールの水(DI)に基づく培地において10cmペトリディッシュあたり1.5x106個の初期密度で播種した。一晩増殖させた後、細胞をトリプシン処理によって剥がし、計数した。結果が生細胞の数として示される。それぞれの棒がそれぞれの処理における細胞の平均数を表す。誤差棒は平均の標準誤差を示す。処理間の差は30%である。このグラフは、反復反応により行われ、3回繰り返された実験の代表的な結果を提供する。図43B、図43C:細胞を、5%または1%のFSCが補充されたNeowater(商標)(NPD)での培地またはコントロールの水(DI)での培地において複数の反復(処理あたり18個のウエル)で96ウエルプレートに播種した。結果をクリスタルバイオレット色素保持アッセイによって定量および分析した。それぞれの棒が所与の処理の後での平均細胞密度をO.D.の単位で表す。誤差棒は平均の標準誤差を示す。*NPD増殖細胞と、DI増殖細胞との間における有意差(p=0.0006)、7%の全体的な差。**NPD増殖細胞と、DI増殖細胞との間における有意差(p=0.0001)、14%の全体的な差。
【図44A】図44Aは、初代ヒト線維芽細胞の増殖に対するNeowater(商標)の影響を例示する棒グラフである。初代ヒト線維芽細胞を反復して96ウエルプレートに2つの初期細胞密度(ウエルあたり5000個および10000個の細胞)で播種した。一晩増殖させた後、細胞を固定処理し、クリスタルバイオレット色素保持法によってアッセイした。結果がO.D.値で示される。それぞれの棒が所与の増殖条件の平均O.D.を表す。誤差棒は平均の標準誤差を示す。*5000細胞/ウエルの細胞密度について、DI(コントロールの水)と、NPD(Neowater(商標))との間における有意差(p<<0.0001)。**10000細胞/ウエルの細胞密度について、DIと、NPDとの間における有意差(p<<0.0001)。
【図44B】図44Bは、初代ヒト線維芽細胞の増殖に対するNeowater(商標)の影響を例示する棒グラフである。24ウエルプレートにおいて、初代ヒト線維芽細胞を、三連で、NPDに基づく培地およびDIに基づく培地に播種した。隣の三連組(NPDおよびDIの両方で)を、生細胞を剥がし、計数することによって24時間毎に分析した。結果がウエルあたりの生細胞の数で示され、誤差棒は平均の標準誤差を示す。
【図45】図45は、細胞数を計数することによって測定されるような、間葉系幹細胞の増殖に対するNeowater(商標)の影響を例示する棒グラフである。
【図46】図46は、クリスタルバイオレット染色によって測定されるような、間葉系幹細胞の増殖に対するNeowater(商標)の影響を例示する棒グラフである。
【図47】図47は、100%のアセトンに溶解されたセファロスポリンの分光光度計による読み取りである。
【図48】図48は、ろ過前およびろ過後における、Neowater(商標)に溶解されたセファロスポリンの分光光度計による読み取りである。
【図49】図49A〜Bは、セファロスポリン濃度が異なるLBにおけるDH5αの増殖曲線である。細菌を2回別々に37℃および220rpmで増殖させた。
【図50】図50A〜Bは、2回別々に接種した後7時間における、コントロールでの増殖(セファロスポリン非添加)に対する参照での2つの異なるセファロスポリン濃度によるDH5αの生存性を例示する棒グラフである(コントロール群は100μlのNeowater(商標)を含有する)。
【図51】図51は、DDWでのスペクトルに対するNeowater(商標)の光学活性を例示する棒グラフである。赤色および青色の曲線は、異なる日に測定された異なるNeowater(商標)バッチ物の測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明は、細胞増殖および細胞融合を高めるための新規な組成物の発明である。
【0053】
特に、本発明は、モノクローナル抗体の作製を高めるために使用されることができる。
【0054】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の記載において示されるか、または、実施例において例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または、様々な方法で実施することができ、または、様々な方法で実施される。また、本明細書中で用いられる表現法および用語法は記述のためであって、限定するものとして見なすべきでないことを理解しなければならない。
【0055】
ヒトモノクローナル抗体の作製では、ヒトのBリンパ球を骨髄起原のパートナー細胞株との融合によって不死化することが必要である。しかしながら、モノクローナル抗体作製のために利用可能である唯一のヒトB細胞は、末梢血において循環するB細胞であるので、モノクローナル抗体作製のための細胞の供給源は限定される。
【0056】
加えて、分泌されたモノクローナル抗体の量は典型的には多くないので、高レベルの単離されたモノクローナル抗体をハイブリドーマ細胞培養から作製することが困難であることが判明している。
【0057】
モノクローナル抗体作製の理論的な成果および実際の成果を結びつけるためには、融合プロセスの効率が非常に高いことが必要であり、これは、末梢血から得られるB細胞が少ないことを克服するために、したがって、末梢血から得られるB細胞の不死化の可能性をより高くするために必要である。加えて、ハイブリドーマの安定性と、ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の分泌との両方を高めるための方法を見つける必要がある。
【0058】
本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、ナノ構造(例えば、米国特許出願第60/545955号および同第10/865955号、ならびに、国際特許出願公開番号WO2005/079153に開示されるナノ構造など)を含む組成物が細胞融合および細胞安定性の両方を促進することを発見している。
【0059】
本明細書中下記において、また、下記の実施例の節において例示されるように、本発明者らは、ナノ構造および液体がヒト末梢血単核細胞(PBMC)および融合パートナー(MFP−2)細胞の融合を促進させ、また、それらから作製されるハイブリドーマの安定性をも促進させることを明らかにしている(本明細書中下記において実施例1の表1および表3、ならびに、実施例19の図39および表6を参照のこと)。加えて、本発明者らは、ナノ構造および液体がハイブリドーマからの抗体の分泌を増大させることを示している。したがって、本発明の液体およびナノ構造はモノクローナル抗体の単離および作製に役立ち得る。
【0060】
本発明は、この発見を、モノクローナル抗体の作製を促進させるだけでなく、他の真核生物細胞との間での融合を高める新規な組成物を提供するために利用し、同様にまた、一般には細胞の増殖を高めるために、具体的には間葉系幹細胞の増殖を高めるために利用する(図45〜図46)。
【0061】
したがって、本発明の1つの局面によれば、細胞融合の方法が提供され、この場合、この方法は、細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地において融合し、それにより、細胞融合を達成することを含み、ただし、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0062】
本明細書中で使用される表現「細胞融合」は、2つ以上の生細胞を(エクスビボまたはインビボのどちらであっても)合体させることを示す。
【0063】
細胞融合を、細胞を融合誘導(fuseogenic)条件のもとで一緒にする任意の方法によって達成することができる。例えば、細胞を融合刺激剤(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)またはセンダイウイルスなど)の存在下で融合させることができる(例えば、Harlow&Lane(1988) in Antibodies、Cold Spring Harbor Press、New Yorkを参照のこと)。代替として、細胞を適切な電気的条件のもとで融合させることができる。
【0064】
本明細書中で使用される用語「ナノ構造(nanostructure)」は、一つ以上の粒子を含むサブマイクロメートルスケールの構造を指し、それらの粒子の各々はナノメートルまたはサブナノメートルスケールであり、一般に「ナノ粒子」と略される。構造の異なる要素(例えばナノ粒子、分子)の間の距離は、数十ピコメートルまたはそれ未満のオーダであることができ(その場合においてナノ構造は「連続ナノ構造」と称される)、または数百ピコメートルから数百ナノメートルのオーダであることができる(その場合においてナノ構造は「不連続ナノ構造」と称される)。従って、本実施形態のナノ構造は、ナノ粒子、ナノ粒子の配置、または一つ以上のナノ粒子および一つ以上の分子のいかなる配置も含むことができる。
【0065】
上記組成物の液体は水性液体、例えば水であることが好ましい。
【0066】
本発明のこの局面による一つの好ましい実施形態によれば、液体組成物のナノ構造は、整列した流体分子によって包囲されたナノメートルサイズのコア材料を含み、これらの流体分子はコア材料と、そして互いに定常的な物理的状態にある。このような液体組成物は、本発明者の米国特許出願第60/545955号および第10/865955号、並びに国際特許出願公開WO 2005/079153に記載されており、それらの内容は参考としてここに組み入れられる。
【0067】
このようなコア材料の例は、限定されないが、強誘電性物質、強磁性物質および圧電性物質を含む。強誘電性物質は、電場を加えることによって逆転または再配向させることができる永続的な電気的分極をある温度範囲にわたって維持する物質である。強磁性物質は、磁場を加えることによって逆転できる永続的な磁化を維持する物質である。好ましくは、ナノ構造は、コア材料の強誘電性または強磁性を保持し、それによってマクロスケールの物理的特性がナノスケール環境にもたらされる特別な特徴を有する。
【0068】
コア材料はまた、結晶構造を持ってもよい。
【0069】
本明細書中で使用される用語「整列した流体分子」は、相互関係を有する、例えば流体分子間の相関を有する流体分子の組織化された配置を示す。例えば、一つの流体分子の即座の変位は、コア材料を包囲する一つ以上の他の流体分子の即座の変位と相互に関係されることができる。
【0070】
本明細書中で使用される用語「定常的な物理状態」は、物体または分子が、少なくとも局所的な最小値を有する何らかのポテンシャルによって結びついている状況を示す。そのようなポテンシャルについての代表的な例には、限定されないが、ファンデルワールスポテンシャル、湯川ポテンシャル、およびレナード・ジョーンズポテンシャルなどが含まれる。他の形態のポテンシャルもまた、考えられる。
【0071】
好ましくは、エンベロープの流体分子は液体組成物の液体分子と同一である。エンベロープの流体分子は、液体組成物の液体分子と同一でない追加の流体を含んでもよく、従ってエンベロープは不均一流体組成物を含んでもよい。
【0072】
整列した流体分子のエンベロープの形成のため、本実施形態のナノ構造は、液体の比重より低いかまたはそれに等しい比重を有することが好ましい。
【0073】
流体分子は液体状態またはガス状状態またはそれらの二つの混合状態のいずれかであってもよい。
【0074】
ナノ構造の好ましい濃度は1リットルあたり1020個未満のナノ構造、より好ましくは1リットルあたり1015個未満のナノ構造である。好ましくは、液体中のナノ構造は、それらの間で引きつける静電力によって少なくとも一つの追加のナノ構造とクラスター形成することができる。好ましくは、ナノ構造間の距離がクラスター形成(約0.5〜10μm)を防止するとき、ナノ構造は長距離の相互作用を維持することができる。
【0075】
理論に拘束されないが、ナノ構造間の長距離相互作用は液体組成物に独自の特性を与えると考えられる。一つのこのような特徴は、後述する実施例の欄に示すように、本発明の液体組成物が2つの細胞タイプの間の融合プロセスを促進することができることである。さらに、後述する実施例の欄の実施例2に示すように、液体組成物は、細胞の安定性を増大することが示された。加えて、液体組成物は、ハイブリドーマからの抗体の分泌を促進することが示された(実施例19)。
【0076】
本発明のこの局面に従ったナノ構造の製造は、「トップダウン」プロセスを使用して行うことができる。このプロセスは、粉末(例えば、鉱物、セラミック粉末、ガラス粉末、金属粉末または合成ポリマー)が、十分に高い温度に、好ましくは約700℃を越えて加熱される下記の方法工程を含む。意図される固体粉末の例には、BaTiO3、WO3およびBa2F9O12が含まれるが、これらに限定されない。驚いたことに、本発明者は、ハイドロキシアパタイト(HA)もまた本発明の液体組成物を生成するために加熱されてもよいことを示した。ハイドロキシアパタイトは、それが非毒性によって特徴づけられ、一般に人の治療のためにFDA承認されているので、特に好ましい。
【0077】
多くのハイドロキシアパタイト粉末がSigma,AldrichおよびClarion Pharmaceuticals(例えばカタログNo.1306−06−5)のような多数の製造業者から入手可能であることが認識されるだろう。
【0078】
表4に示されるように、HAに基づく液体組成物は全て、水と比較すると高い緩衝能力を持つ。
【0079】
加熱された粉末は次いで、冷たい液体(水)に、その密度異常温度以下で、例えば3℃または2℃で浸漬される。同時に、冷たい液体および粉末は、電磁RF放射線、好ましくは500MHz以上、750MHzより高いものによって照射され、それは連続波RF放射線または変調RF放射線のいずれであってもよい。
【0080】
上記で記載される製造プロセスの期間中において、供給源粉末の大きな塊の一部が崩壊し、また、供給源粉末の個々の粒子の一部がその形状を変化させ、球状のナノ構造になることが本発明者らによって明らかにされている。製造プロセスの期間中において、ナノ気泡が高周波処理によって生じ、また、高温の粒子がこの異常性温度よりも低い水の中に注入されることのために、キャビテーションが生じることが仮定される[Katsir他、「電気化学的析出に対するrf照射の影響およびナノ粒子ドーピングによるその安定化」、Journal of The Electrochemical Society、154(4)、D249〜D259、2007]。水はこの異常性温度よりも低く保たれるので、高温の粒子は局所的加熱を引き起こし、このことが、結果として、加熱された場所の比体積の局所的な減少を引き起こし、これがやがては他の場所で加圧下で生じる。プロセスの期間中に、また、プロセス後の数時間以下の時間的合間の期間中に、水が、外気とのガスの交換および周囲の電磁放射線の選択的な吸収を含む自己組織化プロセスを受けることが仮定される。この自己組織化プロセスが、ナノ気泡およびナノ構造から構成される安定な構造化された分布の形成につながることがさらに仮定される。
【0081】
下記の実施例の節において明らかにされるように、本発明の実施形態の液体組成物は、消滅しない円二色性シグナルによって特徴づけられる。円二色性は、物質が特定の波長で平面偏光の光と相互作用するときに生じる光学現象である。円二色性が、1つの偏光した光成分と物質との相互作用の特徴が、別の偏光した光成分と物質との相互作用の特徴と異なるときに生じる。例えば、吸収バンドが、物質に対する右円偏光成分および左円偏光成分の示差的吸収に依存して負または正のいずれかであり得る。
【0082】
液体組成物の消滅しない円二色性シグナルは、液体組成物が光学活性な媒体であることを示していることが認識される。したがって、本発明の実施形態の液体組成物は光の偏光を変化させることができ、一方で、光と相互作用することができる。本発明者らは、本発明の実施形態の液体組成物の光学活性が、ナノ気泡およびナノ構造の安定な構造化された分布の上記で述べられた形成によって現れる長距離秩序の結果であると仮定する。
【0083】
本明細書中上記で述べられたように、本発明の液体組成物は、細胞融合のプロセスに役立つことが示された。細胞の例には、初代細胞および不死化細胞、同一の細胞および非同一の細胞、ヒト細胞および非ヒト細胞が含まれる。
【0084】
表現「不死化(された)細胞」は、数世代にわたって、または、無限に細胞培養において継代培養することができる細胞または細胞株を示す。不死化細胞の一例が腫瘍細胞である。
【0085】
したがって、例えば、本発明の液体組成物は、ハイブリドーマを作製するための、腫瘍細胞と、抗体産生細胞(例えば、Bリンパ球)との間でのエクスビボ融合を助けるために使用することができる。
【0086】
本明細書中で使用される用語「ハイブリドーマ」は、2つの細胞、すなわち、免疫系由来の分泌細胞(例えば、B細胞)および不死性細胞(例えば、ミエローマなど)を1つのメンブランの中で融合することによって作り出される細胞を示す。得られるハイブリッド細胞はクローン化することができ、これにより、同一の娘細胞を作製することができる。これらの娘クローンのそれぞれが免疫細胞の細胞生成物を数世代にわたって分泌することができる。
【0087】
本発明のこの局面の好ましい実施形態によれば、Bリンパ球はヒトのBリンパ球である。本発明のこの局面の別の好ましい実施形態によれば、Bリンパ球は、末梢血において循環するリンパ球であり、例えば、PMBCである。
【0088】
ハイブリドーマを本発明のこの局面に従って作製するために使用することができる腫瘍細胞の例には、マウスのミエローマ細胞およびミエローマ細胞株、ラットのミエローマ細胞株、および、ヒトのミエローマ細胞株が含まれる。
【0089】
好ましくは、ミエローマ細胞株はマーカーを含み、したがって、選抜手法を確立することができる。例えば、ミエローマ細胞株はHGPRT陰性(ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ陰性)である場合がある。その具体的な例には、X63−Ag8(X63)、NS1−Ag4/1(NS−1)、P3X63−Ag8.UI(P3UI)、X63−Ag8.653(X63.653)、SP2/0−Ag14(SP2/0)、MPC11−45.6TG1.7(45.6TG)、FO、S149/5XXO.BU.1(これらはマウスに由来する)、210.RSY3.Ag.1.2.3(Y3)(これはラットに由来する)、ならびに、U266AR(SKO−007)、GM1500GTG−A12(GM1500)、UC729−6、LICR−LOW−HMy2(HMy2)、8226AR/NIP4−1(NP41)およびMFP−2(これらはヒトに由来する)が含まれる。
【0090】
本発明のこの局面によれば、腫瘍細胞および/またはBリンパ球が、本発明の液体組成物を含む培地(例えば、培養培地)においてインキュベーションされる。
【0091】
本明細書中で使用される表現「培養培地」は、真核生物細胞が少なくとも12時間にわたって生存性を保ち続けること、好ましくは、複製するために生存性を保ち続けることを可能にする培地を示す。
【0092】
本発明の液体組成物におけるインキュベーションを、ハイブリドーマの数を増大させるために、融合手順の前から、融合手順の期間中および/または融合手順の後まで行うことができる。融合プロセスに先立つ本発明の液体組成物におけるインキュベーションを、ハイブリドーマの生成を高めるように任意の長さの時間にわたって行うことができる。好ましくは、インキュベーションは1日を超える。本明細書中下記の実施例1において例示されるように、MFP−2細胞(ミエローマ細胞)が、融合前のおよそ20日間、本発明の液体組成物を含む細胞培地で増殖させられた。融合手法自体もまた、本発明の液体組成物を含む培地において行うことができる。
【0093】
本発明の局面のいずれかによれば、培養用培地の液体部分は、本明細書中下記においてさらに記載されるように、全体または一部を本発明の組成物の液体組成物に交換することができる。
【0094】
培養培地は、本発明の局面のいずれかによれば、典型的には、経験に基づいて選択される。これは、それぞれの細胞が特定の様式で異なる培養培地に応答するからである。培養培地の様々な例が本明細書中下記においてさらに記載される。
【0095】
本発明の液体組成物は、他の細胞(例えば、腫瘍細胞および樹状細胞など)の間でのエクスビボ融合を助けるために使用することができる。そのような融合された細胞は抗ガンワクチンとして効果的であり得ることが示されている[Zhang K他、World J Gastroenterol.、2006(Jun 7);12(21):3438〜41]。
【0096】
本発明の液体組成物は、体細胞と、幹細胞との間でのインビボ融合を助けるために使用することができる。その強力な増殖能力および再生能力のために、幹細胞を、骨髄における損傷を修復するために、また、様々な器官(例えば、肝臓、脳および心臓など)を分化させるために使用することができる。幹細胞の修復特性の一部が、幹細胞が修復している器官に元々存在する細胞と融合するその能力に由来することが示されている[Wang他、2003、Nature、422、897〜901]。それに従えば、本発明の液体組成物は、幹細胞と、体細胞(例えば、骨細胞および筋細胞など)との間での融合を高めるために使用することができる。したがって、幹細胞を本発明の液体組成物により処理し、その結果、幹細胞が、標的部位に対して、より迅速に、また、より効果的に融合し、それにより、幹細胞修復プロセスを行わせるようにすることができる。
【0097】
本発明の液体組成物はまた、核酸を、細胞融合を介してインビボ移入するために使用することができる。例えば、Hoppe UC、Circ Res.、1999(Apr 30);84(8):964〜72を参照のこと。
【0098】
本発明の組成物が役立ち得る別のエクスビボ融合プロセスが、胚性幹細胞と、ヒト細胞と間での融合である。そのような融合は、胚性幹細胞と類似する様式で挙動するハイブリッドを生じさせること、したがって、移植片のための遺伝子的に一致した幹細胞を生じさせることが示された。具体的には、ヒトの胚性幹細胞(hES細胞)がヒトの線維芽細胞と融合させられ、これにより、安定な四倍体DNA含有量を維持し、かつ、hES細胞に特徴的な形態学、増殖速度および抗原発現パターンを有するハイブリッド細胞が得られた[Cowan他、Science、2005(Aug 26);309(5739):1369〜73]。
【0099】
本発明の液体組成物によって促進され得るさらに別のエクスビボ融合プロセスが、体細胞核移入である。これは、体細胞が除核卵母細胞と融合させられるプロセスである。体細胞の核が遺伝情報を提供し、一方、卵母細胞は、胚が発達するために必要である栄養分および他のエネルギー産生物質を提供する。この手法は胚性幹細胞のクローン化および作製のために使用される。
【0100】
さらに本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、本発明の液体組成物が、融合プロセス、融合プロセスによって作製されたハイブリドーマのクローン化、および、ハイブリドーマからの抗体の分泌を含めて、モノクローナル抗体作製の全プロセスを高めることを示している。本発明者らは、本発明の液体組成物の存在下で作製されたクローン化されているハイブリドーマが、本発明の液体組成物の非存在下で作製されたクローン化されているハイブリドーマよりも安定であることを示している。
【0101】
したがって、本発明の別の局面によれば、モノクローナル抗体を作製する方法が提供され、この場合、この方法は、不死化している細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地においてハイブリドーマを得るために抗体産生細胞と融合することを含み、ただし、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0102】
本明細書中で使用される表現「モノクローナル抗体」は、免疫分子が免疫反応するいずれかの抗原に対する単一の結合親和性を含む免疫分子を示す。
【0103】
本発明のこの局面によれば、モノクローナル抗体が、不死化している細胞を、本明細書中上記で記載されるような本発明の液体組成物においてハイブリドーマを作製するために抗体産生細胞と融合することによって作製される。その後、作製されたハイブリドーマはクローン化することができる。本発明のこの局面の好ましい実施形態によれば、クローン化が、単一のハイブリドーマを、本発明の液体組成物を含む培地においてインキュベーションすることによって行われる。
【0104】
本発明の液体組成物の存在下で作製されたクローン化されているハイブリドーマは、その非存在下で作製されたクローン化されているハイブリドーマよりも安定であるので、クローン化手法は典型的には、安定化因子(例えば、HCFなど)の添加を必要としない。
【0105】
ハイブリドーマの作製、および、必要な場合に行われるそのクローン化の後で、モノクローナル抗体をスクリーニングすることができ、様々なモノクローナル抗体を集めることができる。多くのスクリーニング方法がこの技術分野では知られており、これらには、機能的アッセイおよび構造的アッセイが含まれる。ハイブリドーマをスクリーニングするための1つの例示的な方法が、サンドイッチELISAアッセイを使用する本明細書中下記の実施例2において記載される。
【0106】
モノクローナル抗体を集めるための技術もまた、この技術分野では広く知られており、そのような技術には、典型的には、標準的なタンパク質精製方法が含まれる。
【0107】
本発明のさらにさらなる局面によれば、包装材に包装され、本明細書中に記載されるような、モノクローナル抗体の作製における使用のために包装材の中または表面において印刷で特定される、本明細書中上記で記載されるような本発明の組成物を含む製造物が提供される。
【0108】
本発明の組成物は、真核生物細胞物(例えば、本明細書中上記で記載されるハイブリドーマなど)の安定化を高めることが示されているので、本発明者らは、本発明の組成物が、他の真核生物細胞物の安定化を高めるために利用され得ることを認識している。
【0109】
したがって、本発明のさらに別の局面によれば、真核生物細胞を培養する方法が提供される。この方法は、細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地においてインキュベーションすることを含み、ただし、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0110】
理論にとらわれることはないが、本発明者らは、本発明の液体組成物が、いくつかの理由で、培養培地における使用のために特に適していると考える。
【0111】
第1に、本発明者らは、本発明の液体組成物により、この液体組成物において培養される細胞の増殖速度が増大し得ることを示している(図1、実施例3、および、図43A〜図43C、実施例19)。
【0112】
第2に、本発明者らは、本発明の液体組成物により、様々な作用因の溶解性が高まることを示している(実施例8〜実施例15、図11〜図34、ならびに、実施例18および実施例21)。このことは、培養培地に添加される必要がある水不溶性作用因の溶解性を高めるために特に関連し得る。
【0113】
第3に、本発明者らは、本発明の液体組成物が、高まった緩衝能力を含むこと、すなわち、水よりも大きい緩衝能力を含むことを示している(実施例4〜実施例7、図2〜図10)。このことは、特にpH感受性である細胞のために関連し得る。
【0114】
本明細書中で使用される表現「緩衝能力」は、酸または塩基が添加されたとき、安定なpHを維持する組成物の能力を示す。
【0115】
最後に、本発明者らは、本発明の液体組成物により、タンパク質が安定化され得ることを示している(実施例16〜17、図35〜図36)。このことは、安定でないペプチド作用因が培養培地に添加される必要があるならば、特に関連し得るか、または、細胞から分泌されたペプチド作用因を安定化するために特に関連し得る。
【0116】
本発明のこの局面によれば、細胞は、どのような目的のためにも、例えば、増殖、維持および/またはクローン化(これらに限定されない)などのために培養され得ることを理解しなければならない。加えて、インキュベーション時間は決して制限されず、細胞は、必要とされる限り、長期にわたって本発明の組成物において培養され得ることを理解しなければならない。
【0117】
本発明の組成物は、低い濃度で典型的には存在する因子のオートクリン分泌を必要とする細胞を培養するために特に有用であり得る。例えば、間葉系幹細胞は、増殖を高めるDKK1を分泌することが示された。本発明の組成物の整列した構造は、DKK1の濃度を効果的に増大させ、それにより、その増殖を高めるために役立ち得る。
【0118】
本発明の組成物はまた、非安定である傾向を有する細胞を培養するために特に有用であり得る。そのような細胞の例には、ハイブリドーマ、凍結後に再培養されている細胞、および、低い濃度で存在する細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0119】
本発明者らは、いずれかの真核生物細胞培養培地の水分含有量のすべてまたは一部を本発明の液体組成物で交換することを意図する。培地の水分含有量の除去を、凍結乾燥、風乾およびオーブン乾燥などの技術を使用して行うことができる。したがって、培養用培地の液体部分は5%(より好ましくは10%、より好ましくは20%、より好ましくは40%、より好ましくは60%、より好ましくは80%、一層より好ましくは100%)の本発明の液体組成物を含むことができる。
【0120】
多くの培地がまた、乾燥された成分として市販されている。そのようなものとして、本発明の液体組成物は、培地の水成分を除くことを事前に必要とすることなく加えることができる。
【0121】
真核生物細胞培養培地の例には、DMEM、RPMI、Ames Media、CHO細胞培地、HamのF−10培地、HamのF−12培地、Leibovita L−15培地、McCoy培地、MEM Alpha Mediumが含まれる。そのような培地が、様々な会社から、例えば、Sigma AldrichおよびInvitrogenなどから広範囲に入手可能である。
【0122】
培地は、様々な他の成分、例えば、増殖因子、血清および抗生物質などを含み得ることが理解される。そのような成分が、例えば、Sigma AldrichおよびInvitrogenから市販されている。
【0123】
好ましくは、本発明の液体組成物は、細胞を本発明の液体組成物においてインキュベーションする前に(例えば、ろ過滅菌によって)滅菌される。
【0124】
本発明のさらにさらなる局面によれば、包装材に包装され、本明細書中に記載されるように真核生物細胞を培養することのために包装材の中または表面において印刷で特定される、本明細書中上記で記載されるような本発明の組成物を含む製造物が提供される。
【0125】
本明細書中上記で述べられたように、本発明の組成物は調製済みの培養培地として製造することができる。それに従えば、真核生物細胞培養培地と、本明細書中上記で記載されるような液体組成物とを含む細胞培養培地が提供される。
【0126】
本発明の別の局面によれば、セファロスポリンを、この物質を分散または溶解することを可能にする条件のもとでナノ構造および液体と接触させることを含む、セファロスポリンを溶解または分散する方法が提供され、この場合、ナノ構造は、流体の整列した流体分子によって包まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0127】
セファロスポリンは、可溶化プロセスを助けるために本発明の液体組成物を加える前の溶媒、または、加えた後の溶媒に溶解することができる。本発明では、この物質の溶解性をさらに増大させるために、極性、非極性、有機(例えば、エタノールまたはアセトンなど)または非有機を含む任意の溶媒の使用が意図されることが理解される。
【0128】
溶媒は、物質が本発明の液体組成物に溶解/分散されたままであるように可溶化プロセスの期間中の任意のときに(完全または部分的に)除くことができる。溶媒を除く様々な方法がこの技術分野では知られている(例えば、蒸発(すなわち、加熱、または、圧力を加えることによる蒸発)、または、任意の他の方法など)。
【0129】
本明細書中で使用される用語「約」は、±10%を意味する。
【0130】
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴が、限定であることが意図されない下記の実施例を検討したとき、当業者には明らかになる。加えて、本明細書中上記に描かれるような、また、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【実施例】
【0131】
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
【0132】
本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学、微生物学および組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている。例えば以下の諸文献を参照されたい:「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrook他(1989);Ausubel,R.M.編「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻(1994);Ausubel他著「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア(1989);Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク(1988);Watson他、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birren他編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク(1998);米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号および5272057号に記載される方法;Cellis,J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻(1994);Coligan,J.E.編「Current Protocols in Immunology」I〜III巻(1994);Stites他編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク(1994);MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク(1980);また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている:米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号および5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」(1984);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」(1985);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Transcription and Translation」(1984);Freshney,R.I.編「Animal Cell Culture」(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.著(1984)および「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ(1990);Marshak他、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press(1996);なお、これらの文献類は、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである。その他の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。それらの文献に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。それらの文献に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
【0133】
実施例1
ヒトハイブリドーマの単離に対する、ナノ構造を含む水の影響
下記の実験を、ナノ構造を含む水が、モノクローナル抗体作製の最初の段階、すなわち、ハイブリドーマの単離に影響を及ぼすかどうかを確認するために行った。
【0134】
材料および方法
細胞増殖のための試薬:RPMI1640をBeit−HaEmek(イスラエル)から粉末で購入し、neowater(商標)(Decoop、イスラエル)またはコントロールの水(逆浸透による精製水)のいずれかにおいて再構成した。再構成後、重炭酸ナトリウムを製造者の勧めに従って培地に加え、pHを7.4に調節した。培養培地には、10%ウシ胎児血清、L−グルタミン(4mM)、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(0.1mg/mL)、MEM−ビタミン(0.1mM)、非必須アミノ酸(0.1mM)およびピルビン酸ナトリウム(1mM)が補充された(すべてをGIBCO BRL,Life Technologiesから購入した)。HCFをOriGenから購入した。上記補充物のすべてを、水に基づく液体形態で購入し、neowater(商標)に基づく培地またはコントロールの培地に希釈した。8−アザグアニン、HTおよびHATをSigmaから購入し、neowater(商標)に基づくRPMIまたはコントロールのRPMIのいずれかを用いて粉末形態から再構成した。
【0135】
化学試薬:粉末化PBS(GIBCO BRL,Life Technologies)を、neowater(商標)またはコントロールの水を用いて再構成した。フレーク状PEG−1500(Sigma)を、無菌PBSの両方の形態を用いて再構成した(50%w/v)。液体PEGのpHを約7に調節し、液体PEGをろ過滅菌した。ハンクス平衡塩溶液をBeit−HaEmekから購入した。ELISAプレートをコーティングするための炭酸塩−重炭酸塩緩衝液(0.05M、pH=9.6)、OPD(0.4mg/mLで使用)およびリン酸塩−クエン酸塩緩衝液(0.05M、pH=5.0)をSigmaから購入した。
【0136】
抗体:ヤギ抗ヒトIgMおよびHRPコンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgMをJackson ImmunoResearchから購入した。標準ヒトIgMをSigmaから購入した。
【0137】
融合:ヒト末梢血単核細胞(PBMC)および融合パートナー(MFP−2)細胞を混合およびペレット化の前に血清非含有の培養培地で4回洗浄した。37℃に予熱された300μlのPEG−1500を細胞混合物(10〜200x106細胞)に加え、絶えず振とうしながら3分間インキュベーションした。その後、PEGをハンクス平衡塩溶液および完全RPMIにより細胞混合物から希釈した。ウシ胎児血清(10%)およびHT(x2)を得られた細胞懸濁物に加えた。このプロセスの期間中に生じたハイブリドーマをHAT選抜とともに完全RPMIにおいて96ウエルプレートで培養した。抗体についての上清のスクリーニングを、ハイブリドーマ細胞がウエルのおよそ1/4を占めたときに始めた。
【0138】
サンドイッチELISA:サンドイッチELISAを使用して、ハイブリドーマの上清をIgMについてスクリーニングした。簡単に記載すると、捕獲抗体(ヤギ抗ヒトIgM)を炭酸塩/重炭酸塩緩衝液において調製し、100ng/100μl/ウエルの濃度で96ウエルプレートに加えた。その後、プレートを4℃で一晩インキュベーションした。下記の工程のすべてを室温で行った。PBSにおける0.3%乾燥乳による1時間のブロッキング処理の後、ハイブリドーマからの上清をさらに1.5時間加えた。PBSにおいて1:500で希釈されたヒト血清を陽性コントロールとして使用した。ハイブリドーマ増殖培地を陰性コントロールとして使用した。二次抗体(HRPコンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgM)を1:5000の濃度でブロッキング溶液において調製し、1時間インキュベーションした。比色反応を生じさせるために、プレートを、0.03%のH2O2を含有するリン酸塩−クエン酸塩緩衝液においてOPDとインキュベーションした。発色反応を15分後に10%塩酸により停止させた。反応の読み取りおよび記録を、492nmの波長フィルターを使用してMultiscan−Ascentで行った。
【0139】
結果
2組の同一の実験を行った。最初の実験では、すべてが、(液体補充物の添加を除いて)neowater(商標)に基づく試薬であり、第2の実験では、試薬が標準的な逆浸透水(本明細書中では、コントロールの水)で作製された。記載された実験におけるneowater(商標)の使用を細胞増殖の時点で開始した。すなわち、MFP−2細胞の2つの集団を等しい密度で置床した:一方をneowater(商標)に基づく完全RPMIにおいて置床し、もう一方をコントロールの水に基づく完全RPMIにおいて置床した。この段階で、MFP−2を、HAT耐性細胞を選抜するために8−アザグアニンの存在下で増殖させた。1週間の増殖の後、2つの融合実験を、等しい数のリンパ球およびMFP−2細胞を用いて行った。それぞれの融合物を96ウエルの8枚のプレートに置床した。およそ20日後、両方の融合に由来するハイブリドーマをそれらのIgM産生能について試験した。それぞれのプレートにおいて見出されるIgM陽性クローンの数が下記の表1に示される。
【0140】
統計学的有意差が、コントロールでのIgM陽性ウエルの平均数と、neowater(商標)でのIgM陽性ウエルの平均数との間に見出された(コントロール対neowaterについてのアンペアード両側t検定:p<0.001)。加えて、上記の表において認められるように、プレートあたりのハイブリドーマの数が比較的一定している。このことは、neowater(商標)が、おそらくはその安定化作用の結果である、ハイブリドーマの作製でのより大きな一貫性を可能にすることを示している。したがって、ヒトのモノクローナル抗体を分泌する安定なハイブリドーマクローンを作出し、単離するプロセス全体がneowater(商標)では大きく高められる。
【0141】
コントロールおよびneowater(商標)におけるIgM陽性ウエルの量(この場合、測定された濃度は希釈血清よりも大きかった)もまた測定された。表1に例示されるように、統計学的有意差が、χ2検定を使用したとき、検出されなかった。このことは、neowater(商標)がハイブリドーマの形成および安定化に影響を及ぼしているが、同様に大きな役割を分泌のレベルにおいて果たしていないことを強く示唆する。
【0142】
ハイブリドーマ形成後の、neowater(商標)に基づく培地における抗体の分泌の速度論を分析した。neowater(商標)は分泌を実際に増大させることが示されており、だが、neowater(商標)は、細胞の分泌装置に影響を及ぼすことによってではなく、むしろ、ハイブリドーマを安定化し、それにより、より大きな全体的な分泌速度を可能にすることによって分泌を増大させているかもしれない。
【0143】
コントロールと、neowater(商標)との間での、IgM産生ハイブリドーマの数における違いは、ELISAによる測定がneowaterの環境ではより精密であることに起因すると考えられ得るので、下記の実験を行った。3つの検量線を作製した。標準のヒトIgMを下記において希釈した:1)Tris緩衝液、2)コントロールの増殖培地(完全RPMI)、3)neowater(商標)での増殖培地(完全RPMI)。この実験の結果が本明細書中下記の表2に示される。
【0144】
表2が示すように、コントロール培地およびneowater(商標)培地はともに、光学濃度の値が、Tris緩衝液と比較して、やや歪んでいる(製造者の勧めに従って、標準IgMは校正されなければならない)。しかしながら、統計学的有意差が、試験された範囲において、光学濃度のコントロールでの値と、neowater(商標)での値との間に見出されなかった。
【0145】
実施例2
ヒトハイブリドーマのクローン化に対する、ナノ構造を含む水の影響
関係のあるハイブリドーマを単離した後でのモノクローナル抗体作製における次の工程は、ハイブリドーマをクローン化によって安定化することである。ナノ構造を含む水がハイブリドーマのクローン形成能を妨げ得るかどうかを試験するために、下記の実験を行った。
【0146】
材料および方法
クローン化:ハイブリドーマのクローン化を標準的なプロトコルに従って行った。簡単に記載すると、限られた数(およそ104個)の細胞を96ウエルディッシュの上段横列にわたって連続希釈し、その後、その第1横列の内容物を、残る8個の横列において下に向かって連続希釈した。このようにして、プレートの右下に向かうウエルは、ただ1個の細胞を有する傾向を有した。
【0147】
IgM含有量についてのスクリーニング:サンドイッチELISAを使用して、ハイブリドーマの上清をIgMについてスクリーニングした。簡単に記載すると、捕獲抗体(ヤギ抗ヒトIgM)を炭酸塩/重炭酸塩緩衝液において調製し、100ng/100μL/ウエルの濃度で96ウエルプレートに加えた。その後、プレートを+4℃で一晩インキュベーションした。下記の工程のすべてを室温で行った。PBSにおける0.3%乾燥乳による1時間のブロッキング処理の後、ハイブリドーマからの上清を1.5時間加えた。PBSにおいて1:500で希釈されたヒト血清を陽性コントロールとして使用した。バックグラウンドについて、また、陰性コントロールとして、ハイブリドーマ増殖培地を使用した。二次抗体(HRPコンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgM)を1:5000の濃度でブロッキング溶液において調製し、1時間インキュベーションした。比色反応を生じさせるために、プレートを、0.03%のH2O2を含有するリン酸塩−クエン酸塩緩衝液においてOPDとインキュベーションした。発色反応を15分後に10%塩酸により停止させた。反応の読み取りおよび記録を、492nmの波長フィルターを使用してMultiscan−Ascentで行った。
【0148】
結果
3つのサブクローンプレートを下記の様式で同じ陽性親のウエルから調製した:プレートIを、HCFの添加がないneowater(商標)での培地においてサブクローン化した;プレートIIを、HCFの添加を有するコントロールの水での培地においてサブクローン化した;プレートIIIを、HCFを伴うneowater(商標)での培地においてサブクローン化した。これらのプレートを2週間にわたって顕微鏡で追跡し、2週間後、ウエルにおける細胞密度は、測定可能な量の抗体を産生するために十分に高かった。その後、これら3つのプレートの上清をそれらのIgM含有量について試験した。この実験をまとめる結果が本明細書中下記の表3に示される。
【0149】
統計学的有意差が、IgM産生クローンの頻度の間に、または、それぞれのプレートにおいて産生される抗体量の分布の間に見られなかった。このことは、ハイブリドーマが、neowater(商標)に基づく培地では、HCFを伴うコントロールの培地の場合と同じくらい良好にクローン化することを示している。コントロールの培地では、HCFの添加がない場合、ハイブリドーマはクローン化しない。このことは、neowater(商標)に基づく培地が、不安定なハイブリドーマのクローン形成能を高める環境をもたらすことを示唆する。この考えはまた、ハイブリドーマ回収の頻度が、neowater(商標)に基づく試薬での融合、および、neowater(商標)に基づく培地での増殖の後では高まることによっても支持される。
【0150】
考察および結論
本実施例に記載される実験の結果は、neowater(商標)は、物理的な細胞融合の効率を上げることによってであるか、または、融合の過程において生じるハイブリドーマを安定化させることによってであるかにかかわらず、融合プロセスを改善することを示している。どちらにしても、neowater(商標)において調製される融合体の収率はコントロールの場合よりも有意に高かった(p<0.001、表1)。また、高収率ハイブリドーマの割合および抗体濃度の分布が、コントロールでの試験と、neowater(商標)での試験との間で有意に異なっていないので(表1)、neowater(商標)はおそらくは抗体産生または抗体分泌の機構に干渉していない。
【0151】
しかしながら、このクローン化実験では、neowater(商標)が、新しいクローンに対する安定化作用を有するかもしれないという仮説を裏付ける重要な証拠が明らかにされた。HCFを伴わないクローン化では、ほとんどの場合において、成功した安定なクローンがもたらされない。この試薬(これは実際にはマクロファージ馴化培地である)の役割は、細胞1個の増殖を支えることである。HCFからハイブリドーマによって受け取られる因子がない場合、ハイブリドーマは、大抵の場合、死に至るか、または、かろうじて増殖し、しかし、抗体を産生するその能力を失っている。生育可能な抗体分泌ハイブリドーマが、HCFを伴わないneowater(商標)におけるクローン化の間に得られたという事実は、それ自体が有益な知見である。そのうえ、これらのクローンは、HCF−クローン化で確立されたクローンと統計学的に比較されたとき、それらの産生能および頻度において等しい。
【0152】
他の観測結果もまた、neowater(商標)の安定化作用の仮説を裏付けている。例えば、コントロールの培地への解凍の後で回復しなかった細胞集団が、neowater(商標)に基づく培地ではゆっくり回復した。neowater(商標)の環境において生じ、増殖した、産生能を有するクローンは、培地が1日間、コントロールに変えられたとき、抗体を分泌することを停止した。
【0153】
実施例3
増殖に対する、ナノ構造を含む液体組成物の影響
下記の実験を、ナノ構造を含む液体組成物が細胞増殖に影響を及ぼすかを確認するためにヒト間葉系細胞に対して行った。
【0154】
材料および方法
ヒト間葉系幹細胞の増殖をRO水またはNeowater(商標)に基づく培地において調べた。
【0155】
培地の調製:250mlのMEMα培地を、2.5gのMEMおよび0.55gのNaHCO3をRO水またはNeowater(商標)のいずれかに加えることによって調製した。
【0156】
細胞培養:細胞を、20%のウシ胎児血清、100u/mlのペニシリンおよび1mg/mlのストレプトマイシンが補充されたMEMαにおいて維持した(Colter他、2001、PNAS、98:7841〜7845)。細胞を計数し、2つのタイプのMEMα培地において500細胞/mlの濃度に希釈した:一方のMEMα培地がRO水に基づき、もう一方のMEMα培地がNeowater(商標)に基づいた。細胞を、96ウエルプレートで、すなわち、50個の細胞をそれぞれのウエルに有する100μlの培地において増殖させた。8日後、細胞増殖をクリスタルバイオレット生存性アッセイによって推定した。このアッセイにおける色素はDNAを染色する。可溶化したとき、単層物によって取り込まれた色素の量を590nmにおいてプレートリーダーで定量することができる。
【0157】
結果
クリスタルバイオレット生存性アッセイの結果が本明細書中下記において表4および図1にまとめられる。
【0158】
結論
本発明の液体組成物は細胞の増殖を増大させる。
【0159】
実施例4
ナノ構造を含む組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む組成物の影響を調べた。
【0160】
材料および方法
フェノールレッド溶液(20mg/25ml)を調製した。290μlを、13mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)の様々なバッチに加えた。それぞれの水が、フェノールレッド溶液が加えられた後でのそれらの黄色または明るいオレンジ色により、それらのすべてが酸性であったが、異なる開始pHを有したことが認められた。2.5mlのそれぞれの水+フェノールレッド溶液をキュベットに加えた。水酸化ナトリウムの増大する体積をそれぞれのキュベットに加え、吸収スペクトルを分光光度計で読み取った。酸性溶液はピークを430nmにおいて与え、アルカリ性溶液はピークを557nmにおいて与える。波長の範囲は200nm〜800nmであり、しかし、0.02M水酸化ナトリウムの添加に関連しては、グラフは557nmの波長だけを示す。
【0161】
結果
表5には、水酸化ナトリウム滴定の後でのそれぞれの水の溶液の557nmにおける吸光度がまとめられる。
【0162】
図2および表5に例示されるように、RO水は、水酸化ナトリウムを加えたとき、pHにおけるより大きい変化を示す。RO水はわずかな緩衝作用を有するが、吸光度が0.09Aに達したとき、緩衝作用が「破れ」、pH変化が、より多くの水酸化ナトリウムを加えた後ではより大きくなる。HA−99水はROと類似している。NM(#150905−106)(Neowater(商標))、AB水Alexander(AB1−22−1 HA Alexander)は若干の緩衝作用を有する。HAPおよびHA−18はNeowater(商標)よりも一層大きい緩衝作用を示す。
【0163】
まとめると、この実験から、HA−99−Xを除いて、試験されたナノ構造を含むすべての新しい水タイプ(HAP、AB1−2−3、HA−18、Alexander)が、Neowater(商標)と類似した特性を示す。
【0164】
実施例5
ナノ構造を含む液体組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む液体組成物の影響を調べた。
【0165】
材料および方法
水酸化ナトリウムおよび塩酸を、50mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)に加え、pHを測定した。実験を三連で行った。すべてにおいて、3回の実験を行った。
【0166】
水酸化ナトリウム滴定:1μl〜15μlの1M水酸化ナトリウムを加えた。
【0167】
塩酸滴定:1μl〜15μlの1M塩酸を加えた。
【0168】
結果
水酸化ナトリウム滴定についての結果を図3A〜Cおよび図4A〜Cに示す。塩酸滴定についての結果を図5A〜Cおよび図6に示す。
【0169】
ナノ構造を含む水は、RO水について必要とされる同じpHレベルに到達するためにより多量の水酸化ナトリウムを要求するので、ナノ構造を含む水は緩衝能力を有する。この特徴は7.6〜10.5のpH範囲においてより著しい。加えて、ナノ構造を含む水は、RO水について必要とされる同じpHレベルに到達するためにより多量の塩酸を必要とする。この作用は、アルカリ範囲よりも、酸性pH範囲での方が大きい。例えば、10μlの水酸化ナトリウム(1M)を(総和で)加えたとき、ROのpHが7.56から10.3に増大した。ナノ構造を含む水のpHは7.62から9.33に増大した。10μlの塩酸(0.5M)を(総和で)加えたとき、ROのpHが7.52から4.31に低下した。ナノ構造を含む水のpHは7.71から6.65に低下した。この特徴は7.7〜3のpH範囲においてより著しい。
【0170】
実施例6
ナノ構造を含む液体組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む液体組成物の影響を調べた。
【0171】
材料および方法
フェノールレッド溶液(20mg/25ml)を調製した。1mlを、45mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)に加えた。pHを測定し、必要ならば、滴定した。3mlのそれぞれの水+フェノールレッド溶液をキュベットに加えた。水酸化ナトリウムまたは塩酸の増大する体積をそれぞれのキュベットに加え、吸収スペクトルを分光光度計で読み取った。酸性溶液はピークを430nmにおいて与え、アルカリ性溶液はピークを557nmにおいて与える。波長の範囲は200nm〜800nmであり、しかし、0.02M水酸化ナトリウムの添加に関連しては、グラフは557nmの波長だけを示す。
【0172】
塩酸滴定:
RO:45ml pH5.8
1mlのフェノールレッドおよび5μlの水酸化ナトリウム(1M)を加えた。新しいpH=7.85
Neowater(商標)(#150905−106):45ml pH6.3
1mlのフェノールレッドおよび4μlの水酸化ナトリウム(1M)を加えた。新しいpH=7.19
【0173】
水酸化ナトリウム滴定:
I.RO:45ml pH5.78
1mlのフェノールレッド、6μlの塩酸(0.25M)および4μlの水酸化ナトリウム(0.5M)を加えた。新しいpH=4.43
Neowater(商標)(#150604−109):45ml pH8.8
1mlのフェノールレッドおよび45μlの塩酸(0.25M)を加えた。新しいpH=4.43
II.RO:45ml pH5.78
1mlのフェノールレッドおよび5μlの水酸化ナトリウム(0.5M)を加えた。新しいpH=6.46
Neowater(商標)(#120104−107):45ml pH8.68
1mlのフェノールレッドおよび5μlの塩酸(0.5M)を加えた。新しいpH=6.91
【0174】
結果
図7A〜Cおよび図8A〜Bに例示されるように、ナノ構造を含む水の緩衝能力はRO水の緩衝能力よりも大きかった。
【0175】
実施例7
RF水の緩衝能力
緩衝能力に対するRF水の影響を調べた。
【0176】
材料および方法
水酸化ナトリウム(1M)の数μlの液滴を加えて、150mlのRO水のpH(pH=5.8)を上げた。この水の50mlを3つのボトルに等分した。3つの処理を行った:
ボトル1:非処理(RO水)
ボトル2:30Wにより30分間照射されたRO水。このボトルは、滴定を開始する前に実験台に10分間放置された(RF水)。
ボトル3:pHが5に達したとき、2回目の照射に供されたRF水。照射後、このボトルは、滴定を開始する前に実験台に10分間放置された。
【0177】
1μlの0.5M塩酸を50mlの水に加えることによって滴定を行った。pH値が4.2未満に達したときに滴定を終えた。
【0178】
実験を三連で行った。
【0179】
結果
図9A〜Cおよび図10から理解され得るように、RF水およびRF2水は、ナノ構造を含む担体組成物の緩衝特性と類似する緩衝特性を含む。
【0180】
実施例8
ナノ構造を含む液体組成物の溶媒能力
下記の実験を、ナノ構造を含む液体組成物が、1mg/mlの濃度で水に溶解しないことがともに知られている2つの材料を溶解することができたかどうかを確認するために行った。
【0181】
A.エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
5回の試みを、粉末を様々な組成で溶解することを目指して行った。
組成は下記の通りであった:
A.10mgの粉末(赤色/白色)+990μlのNeowater(商標)。
B.10mgの粉末(赤色/白色)+990μlのNeowater(商標)(90分間脱水されたもの)。
C.10mgの粉末(赤色/白色)+495μlのNeowater(商標)+495μlのEtOH(50%−50%)。
D.10mgの粉末(赤色/白色)+900μlのNeowater(商標)+90μlのEtOH(90%−10%)。
E.10mgの粉末(赤色/白色)+820μlのNeowater(商標)+170μlのEtOH(80%−20%)。
【0182】
これらのチューブをボルテックスし、60℃に1時間加熱した。
【0183】
結果
1.白色粉末は5個すべての試験チューブにおいて溶解しなかった。
2.赤色粉末は溶解したが、しばらくして沈降した。
色がわずかに黄色に変化したので、試験チューブCは粉末をより良好に溶解したかのようであった。
【0184】
B.粉砕後の、エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
粉砕後、赤色粉末を4つの組成で溶解した:
A.1/2mgの赤色粉末+49.5μlのRO。
B.1/2mgの赤色粉末+49.5μlのNeowater(商標)。
C.1/2mgの赤色粉末+9.9μlのEtOH→39.65μlのNeowater(商標)(20%−80%)。
D.1/2mgの赤色粉末+24.75μlのEtOH→24.75μlのNeowater(商標)(50%−50%)。
総反応体積:50μl。
【0185】
これらのチューブをボルテックスし、60℃に1時間加熱した。
【0186】
結果
粉砕後、赤色粉末を溶解するために、Neowater(商標)との組合せにおいて、わずかに20%のエタノールだけが必要であった。
【0187】
C.徹底的な粉砕の後における、エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
2つの粉砕プロトコルを行った。第1は粉末単独に対してであり(バイアル1)、第2は、100μlのNeowater(商標)(1%)に分散された粉末に対してあった(バイアル2)。
【0188】
これら2つの組成物を2つのバイアルに入れ、攪拌機上に置いて、材料を一晩粉砕した。
【0189】
15時間後、100μlのNeowater(商標)を数分毎に10μlの滴定によって1mgの赤色粉末(バイアル1)に加えた。
【0190】
変化を、試験チューブの写真を0時間〜24時間の間で撮影することによってモニタリングした(図14F〜J)。
【0191】
比較として、2つのチューブを観察した。2つのうちの一方が、990μlのNeowater(商標)(90分間脱水されたもの)に分散された赤色粉末(1%溶液)を含み、他方が、50%エタノール/50%Neowater(商標)を含む溶液に分散された赤色粉末(1%溶液)を含んだ。チューブを60℃で1時間加熱した。これらのチューブが図14A〜Eに例示される。24時間の期間の後、それぞれの溶液からの2μlを採取し、その吸光度をnanodropで測定した(図15A〜C)。
【0192】
結果
図11A〜Jは、徹底的な粉砕の後では、赤色材料が24時間にわたって安定であり続け、沈下しないように、赤色材料を溶解することが可能であることを例示する。しかしながら、図11A〜Eは、時間が経過するとき、該材料は色が変化すること(安定でないこと)を示す。
【0193】
バイアル1はほとんど吸収しなかった(図12A);溶液Bの吸光度ピークは、左側(220nm)への変化を伴って220nm〜270nmの間にあり(図12B)、溶液Cの吸光度ピークは250nm〜330nmの間にあった(図12C)。
【0194】
結論
赤色材料を粉砕することにより、該材料をNeowater(商標)に分散させることがもたらされた。この分散物は24時間にわたって持続した。該材料をガラス製バイアルにおいて維持することにより、溶液は、100%の脱水Neowater(商標)およびEtOH−Neowater(商標)の両方において、その後72時間安定に保たれた。
【0195】
実施例9
ダイゼイン、ダウノルビシンおよびt−boc誘導体を溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が3つの材料(ダイゼイン−ダウノマイシンコンジュゲート(CD−Dau);ダウノルビシン(セルビジン塩酸塩);ダイゼインのt−boc誘導体(tboc−Daid)、これらのすべてが、水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0196】
材料および方法
A.CD−Dauの可溶化−パート1:
要求濃度:3mg/ml(Neowater)
属性:この材料を、DMSO、アセトン、アセトニトリルに溶解した。
属性:この材料をEtOHに溶解した。
【0197】
5個の異なるガラス製バイアルを調製した:
1.5mgのCD−Dau+1.2mlのNeowater(商標)。
2.1.8mgのCD−Dau+600μlのアセトン。
3.1.8mgのCD−Dau+150μlのアセトン+450μlのNeowater(商標)(25%アセトン)。
4.1.8mgのCD−Dau+600μlの10%*PEG(ポリエチレングリコール)。
5.1.8mgのCD−Dau+600μlのアセトン+600μlのNeowater(商標)。
【0198】
これらのサンプルをボルテックスし、分光光度計での測定を、バイアル#1、バイアル#4およびバイアル#5に対して行った。
【0199】
バイアルを、アセトンを蒸発させるために開けたままにした(バイアル#2、バイアル#3およびバイアル#5)。
【0200】
結果
バイアル#1(100%のNeowater):CD−Dauが数時間後に沈降した。
バイアル#2(100%のアセトン):CD−Dauがアセトン内に懸濁されたが、48時間後には、アセトンが材料を溶解したので、材料が部分的に沈降した。
バイアル#3(25%のアセトン):CD−Dauがあまり良好に溶解せず、材料が溶液内部に漂った(溶液は濁っているようであった)。
バイアル#4(10%PEG+Neowater):CD−Dauが、バイアル#1におけるCD−Dauよりも良好に溶解したが、CD−Dauは、100%アセトンとの混合物の場合ほど良好に溶解しなかった。
バイアル#5:CD−Dauが最初、アセトン内に懸濁され、CD−Dauが完全に溶解した後で、Neowater(商標)を、アセトンを交換するために加えた。最初、アセトンは、Neowater(商標)の存在にもかかわらず、この材料を溶解した。しかしながら、アセトンが蒸発するにつれ、材料は一部がバイアルの底に沈降した。しかしながら、材料は懸濁されたままであった。
【0201】
分光光度計での測定(図13)は、アセトンの存在下および非存在下の両方における材料の挙動を例示する。アセトンがある場合、水または10%PEGにより懸濁される材料(両方の場合に、これらは1つだけのピークを示すだけである)との比較において、2つのピークが存在する。
【0202】
B.CD−Dauの可溶化−パート2:
アセトンが、溶液#2、溶液#4および溶液#5から蒸発するとすぐに、材料はわずかに沈降した。さらなる量のアセトンをこれらのバイアルに加えた。このプロトコルは、材料をアセトンおよびNeowater(商標)の存在下で溶解することを可能にし、一方で、同時に、その後の、溶液からのアセトンの蒸発を可能にする(この処置を2回行った)。2回目のサイクルの後で、液相をバイアルから取り出し、さらなる量のアセトンを沈降した材料に加えた。沈降した材料が溶解すると、それを以前に取り出された液相と一緒にした。一緒にした溶液を再び蒸発させた。材料が全く溶解しなかったので、バイアル#1からの溶液を取り出し、代わりに、1.2mlのアセトンを沈降物に加えて、材料を溶解した。その後、1.2mlの10%PEG+Neowater(商標)もまた加え、しばらくした後で、アセトンを溶液から蒸発させた。これらの処置を終了したとき、これらのバイアルを一緒にして1つのバイアルにした(3mlの総体積)。この最終的な体積の上に、3mlのアセトンを、材料を溶解し且つ透明な液化溶液を収容するために加え、その後、この溶液を50℃で再び蒸発させた。溶液は平衡に達しなかった。これは、そのような状態に一旦達すると、溶液は分離してしまうであろうという事実のためである。平衡を避けることによって、材料の水和状態が維持され、液体として保たれた。溶媒を蒸発させた後、材料を清浄なバイアルに移し、真空条件下で閉じた。
【0203】
C.CD−Dauの可溶化−パート3:
別の3mlの材料(6mlの総体積)を、2mlのアセトン溶解材料と、以前の実験から残った1mlの残留材料とを加えることにより作製した。
【0204】
1.9mlのNeowater(商標)を、アセトンを含有するバイアルに加えた。
【0205】
100μlのアセトン+100μlのNeowater(商標)を残留材料に加えた。
【0206】
蒸発を、50℃に調節されたホットプレート上で行った。
【0207】
この処置を、溶液が安定になるまで3回繰り返した(アセトンの添加およびその蒸発)。
【0208】
これら2つのバイアルをまとめて一緒にした。
【0209】
これら2つの溶液を一緒にした後、材料がわずかに沈降した。アセトンを加え、溶媒の蒸発を繰り返した。
【0210】
バイアル(3ml+2ml)を混合する前に、本明細書中上記のパート2に記載されるような実験で調製された第1の溶液を9℃で一晩インキュベーションして、その結果、溶液が平衡に達し、平衡を維持することを確実にした。そうすることによって、既に溶解している材料は沈降しないはずである。翌朝、溶液の吸収を明らかにし、差グラフを得た(図14)。これら2つのバイアルを一緒にした後、材料がわずかに沈降するので、吸収測定を再び行った。一部の沈降の結果として、溶液をアセトン(5ml)の添加によって1:1で希釈し、続いて、溶液の蒸発をホットプレートにて50℃で行った。蒸発処置を行いながらでの溶液の分光光度計での読み取りはアセトンの存在のために変化した(図15)。これらの実験から、微量のアセトンが存在するとき、アセトンは、もたらされる吸収読み取りに影響を及ぼし得ることが暗示される。
【0211】
B.ダウノルビシン(セルビジン塩酸塩)の可溶化
要求濃度:2mg/ml
【0212】
材料および方法
2mgのダウノルビシン+1mlのNeowater(商標)を1つのバイアルにおいて調製し、2mgのダウノルビシン+1mlのROを第2のバイアルにおいて調製した。
【0213】
結果
この材料は、分光光度計での測定(図16)によって例示されるように、Neowater(商標)および水の両方において容易に溶解した。
【0214】
結論
ダウノルビシンは難なくNeowater(商標)および水に溶解する。
【0215】
C.t−bocの可溶化
要求濃度:4mg/ml
【0216】
材料および方法
1.14mlのEtOHを、18.5mgのt−boc(油状材料)を含有する1つのガラス製バイアルに加えた。その後、これを2つのバイアルに分け、1.74mlのNeowater(商標)またはRO水を、溶液が25%のEtOHを含むようにバイアルに加えた。分光光度計での測定の後、溶媒を溶液から蒸発させ、Neowater(商標)を両方のバイアルに加えてそれぞれのバイアルにおいて2.31mlの最終体積にした。これら2つのバイアルにおける溶液を1つの清浄なバイアルに一緒にし、真空条件下での輸送のためにパッケージングした。
【0217】
結果
分光光度計での測定が図17に例示される。この材料はエタノールに溶解した。Neowater(商標)を加え、その後、溶媒を熱(50℃)により蒸発させた後、この材料はNeowater(商標)に溶解することができた。
【0218】
結論
材料を溶解するための最適な方法は、最初、材料を溶媒(アセトン、酢酸またはエタノール)とともに溶解し、その後、親水性流体(Neowater(商標))を加え、続いて、その溶媒を、溶液を加熱し、溶媒を蒸発させることによって除くことである。
【0219】
実施例10
AG−14aおよびAG−14bを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が2つの薬草材料(AG−14AおよびAG−14B、これらはともに、25mg/mlの濃度で水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0220】
パート1
材料および方法
2.5mgのそれぞれの材料(AG−14AおよびAG−14B)を、4つのチューブのそれぞれにおける粉末の最終濃度が2.5mg/mlであるように、Neowater(商標)単独、または、75%のNeowater(商標)および25%のエタノールを含む溶液のいずれかで希釈した。これらのチューブをボルテックスし、50℃に加熱して、エタノールを蒸発させるようにした。
【0221】
結果
エタノールの存在下および非存在下でのNeowater(商標)における2つの薬草材料の分光光学的測定を図18A〜Dに示す。
【0222】
結論
ROにおける懸濁はAG−14Bを溶解しなかった。Neowater(商標)におけるAG−14Bの懸濁は凝集せず、これに対して、ROでは、AG−14Bが凝集した。
【0223】
AG−14AおよびAG−14BはNeowater/ROに溶解しなかった。
【0224】
パート2
材料および方法
5mgのAG−14AおよびAG−14Bを62.5μlのEtOH+187.5μlのNeowater(商標)で希釈した。さらに62.5μlのNeowater(商標)を加えた。これらのチューブをボルテックスし、50℃に加熱して、エタノールを蒸発させるようにした。
【0225】
結果
Neowater(商標)を加える前でのEtOHにおける溶解、その後、EtOHの蒸発により、AG−14AおよびAG−14Bが溶解した。
【0226】
図19に示されるように、AG−14AおよびAG−14Bは、48時間を超えて懸濁状態で安定なままであった。
【0227】
実施例11
ペプチドを溶解する、ナノ構造を含む担体の能力
ナノ構造を含む担体組成物が7つの細胞傷害性ペプチド(これらのすべてが、水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。加えて、Skov−3細胞に対するこれらのペプチドの影響を、ナノ構造を含む担体組成物がペプチドの細胞傷害活性に影響を及ぼしたかどうかを確認するために測定した。
【0228】
材料および方法
可溶化:7個すべてのペプチド(ペプチドX、X−5FU、NLS−E、Palm−PFPSYK(CMFU)、PFPSYKLRPG−NH2、NLS−p2−LHRHおよびF−LH−RH−palm kGFPSK)を0.5mMでNeowater(商標)に溶解した。分光光学的測定を行った。
【0229】
インビトロ実験:Skov−3細胞を96ウエルプレートにおいてマッコイ5A培地で増殖させ、1500細胞/ウエルの濃度に希釈した。24時間後、2μl(0.5mM、0.05mMおよび0.005mM)のペプチド溶液を、10−6M、10−7Mおよび10−8Mの最終濃度のために1mlのマッコイ5A培地でそれぞれ希釈した。9個の反復物をそれぞれの処理のために作製した。それぞれのプレートは、3つの濃度での2つのペプチド、および、コントロール処理の6つのウエルを含有した。90μlのマッコイ5A培地+ペプチドを細胞に加えた。1時間後、10μlのFBSを(競合を防止するために)加えた。細胞を、クリスタルバイオレットに基づく生存性アッセイで24時間後および48時間後に定量した。このアッセイにおける色素はDNAを染色する。可溶化したとき、単層により取り込まれた色素の量をプレート読取り機で定量した。
【0230】
結果
Neowater(商標)で希釈された7個のペプチドの分光光学的測定を図20A〜Gに示す。図21A〜Gに示されるように、溶解されたペプチドのすべてが細胞傷害活性を含んでいた。
【0231】
実施例12
レチノールを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物がレチノールを溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0232】
材料および方法
レチノール(ビタミンA)をSigma(Fluka、99%HPLC)から購入した。レチノールを下記の条件下でNeowater(商標)において可溶化した。
EtOHおよびNeowater(商標)における1%レチノール(1mlに0.01gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.5%レチノール(1mlに0.005gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.5%レチノール(25mlに0.125gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.25%レチノール(25mlに0.0625gr)。最終的なEtOH濃度:1.5%
【0233】
EtOHにおけるレチノールの吸光度スペクトル:レチノール溶液を、校正用グラフを作製するために、種々のレチノール濃度とともに無水EtOHにおいて作製した。吸光度スペクトルを分光光度計で検出した。
【0234】
Neowater(商標)における0.25%および0.5%のレチノールを有し、EtOHの濃度が不明である2つの溶液を分光光度計で検出した。数滴の油滴が水に溶解されないので、レチノールの実際の濃度もまた不明である。
【0235】
ろ過:Neowater(商標)における0.25%のレチノールを有し、EtOHの最終濃度が1.5%である2つの溶液を調製した。これらの溶液を0.44μlおよび0.2μlのフィルターでろ過した。
【0236】
結果
レチノールは、アルカリ性のNeowater(商標)において、酸性のNeowater(商標)よりも容易に可溶化した。溶液の色は黄色であり、この色は時間とともに退色した。吸光度実験において、0.5%のレチノールは、0.125%のレチノールと類似するパターンを示し、0.25%のレチノールは、0.03125%のレチノールと類似するパターンを示した(図22を参照のこと)。レチノールは熱において不安定であるので、(その融点は63℃であり)、レチノールはオートクレーブ処理することができない。ろ過は、レチノールが(EtOHに)完全に溶解されたときに可能であった。図23に示されるように、ろ過後の溶液におけるレチノールは0.03125%未満である。両方のろ液は、類似した結果を与えた。
【0237】
実施例13
材料Xを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料Xを40mg/mlの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0238】
パート1−水およびDMSOにおける溶解性
材料および方法
第1の試験チューブにおいて、25μlのNeowater(商標)を1mgの材料「X」に加えた。第2の試験チューブにおいて、25μlのDMSOを1mgの材料「X」に加えた。両方の試験チューブをボルテックスし、60℃に加熱し、振とう機で1時間振とうした。
【0239】
結果
この材料はNeowater(商標)に全く溶解しなかった(試験チューブ1)。この材料はDMSOに溶解し、黄褐色の色を与えた。これらの溶液を24時間〜48時間放置し、それらの安定性を経時的に分析した(図24A〜B)。
【0240】
結論
Neowater(商標)は材料「X」を溶解せず、材料が沈降し、これに対して、DMSOは材料「X」をほぼ完全に溶解した。
【0241】
パート2−DMSOの削減および異なる溶媒における材料の安定性/速度論の経時的な試験
材料および方法
それぞれが25μlの総反応体積を含有する6個の異なる試験チューブを分析した:
1.1mgの「X」+25μlのNeowater(商標)(100%)。
2.1mgの「X」+12.5μlのDMSO→12.5μlのNeowater(商標)(50%)。
3.1mgの「X」+12.5μlのDMSO+12.5μlのNeowater(商標)(50%)。
4.1mgの「X」+6.25μlのDMSO+18.75μlのNeowater(商標)(25%)。
5.1mgの「X」+25μlのNeowater(商標)+スクロース*(10%)。
6.1mgの「X」+12.5μlのDMSO+12.5μlの脱水Neowater(商標)**(50%)。
*0.1gのスクロース+1mlのNeowater(商標)=10%Neowater(商標)+スクロース
**脱水Neowater(商標)は、Neowater(商標)を60℃で90分間脱水することによって得た。
【0242】
すべての試験チューブをボルテックスし、60℃に加熱し、1時間振とうした。
【0243】
結果
6つの溶媒および材料Xを含む、時間0での試験チューブを図25A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後60分での試験チューブを図26A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後120分での試験チューブを図27A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後24時間での試験チューブを図28A〜Cに示す。
【0244】
結論
すべての試験チューブにおいて、材料が24時間後に沈降したので、材料「X」は期間中を通して安定なままではなかった。
【0245】
試験チューブ2の溶媒と、試験チューブ6の溶媒との間には、同じ割合の溶媒を含有するにもかかわらず、違いが認められる。これは、試験チューブ6が、非脱水のNeowater(商標)より疎水性である脱水Neowater(商標)を含有するためである。
【0246】
パート3 DMSOのさらなる削減および異なる溶媒における材料の安定性/速度論の経時的な試験
材料および方法
1mgの材料「X」+50μlのDMSOをガラス製チューブに入れた。50μlのNeowater(商標)をチューブに少しずつ加え(数秒毎に、5μl)、その後、Neowater(商標)の溶液(9%DMSO+91%Neowater(商標))500μlを加えた。
【0247】
第2のガラス製チューブにおいて、1mgの材料「X」+50μlのDMSOを加えた。50μlのROをチューブに少しずつ加え(数秒毎に、5μl)、その後、ROの溶液(9%DMSO+91%RO)500μlを加えた。
【0248】
結果
図29A〜Dに例示されるように、材料「X」は、Neowater(商標)を含む溶液に分散されたままであったが、RO水を含む溶液では、チューブの底に沈降した。図30は、ボルテックス後6時間での、RO/Neowater(商標)およびアセトンに分散された材料の吸収特徴を示す。
【0249】
結論
材料「X」が、Neowater(商標)と比較したとき、ROに異なって溶解すること、および、材料「X」は、ROと比較したとき、Neowater(商標)においてより安定であることが明らかである。分光光度計での測定(図30)からは、グラフ下面積がROの場合よりも大きいので、材料「X」が、5時間後でさえ、Neowater(商標)にはより良好に溶解していたことが明らかである。Neowater(商標)は材料「X」を水和することが明らかである。DMSOの量を20%〜80%減らすことができ、また、材料「X」を水和し、材料「X」をNeowater(商標)に分散する、Neowater(商標)に基づく溶液を得ることができる。
【0250】
実施例14
SPL2101およびSPL5217を溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料SPL2101およびSPL5217を30mg/mlの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0251】
材料および方法
SPL2101をその最適な溶媒(エタノール)に溶解し(図31A)、SPL5217をその最適な溶媒(アセトン)に溶解した(図31B)。これら2つの化合物をガラス製バイアルに入れ、冷暗所環境で保った。微量の溶媒が全く認められなくなるまで、溶媒の蒸発をデシケータにおいて長時間行い、Neowater(商標)を溶液に加えた。
【0252】
結果
SPL2101およびSPL5217は、図32A〜Bにおける分光光度計データによって示されるように、Neowater(商標)に溶解した。
【0253】
実施例15
タキソールを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料タキソール(パクリタキセル)を0.5mMの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0254】
材料および方法
可溶化:0.5mMのタキソール溶液を、DMSO、または、17%のEtOHを伴うNeowater(商標)のいずれかで調製した(4mlにおいて0.0017gr)。吸光度を分光光度計により検出した。
細胞生存性アッセイ:150000個の293T細胞を3mlのDMEM培地とともに6ウエルプレートに播種した。それぞれの処理物を、ROまたはNeowater(商標)に基づくDMEM培地で増殖させた。タキソール(Neowater(商標)またはDMSOに溶解されたもの)を1.666μMの最終濃度に加えた(3mlの培地中10μlの0.5mMタキソール)。細胞をタキソールによる24時間処理の後で集め、死細胞を検出するためのトリパンブルー溶液を使用して計数した。
【0255】
結果
タキソールは、図33A〜Bに示されるように、DMSOおよびNeowater(商標)の両方に溶解した。タキソールの様々な溶液の後での293T細胞の生存性を図34に示す。
【0256】
結論
タキソールは、Neowater(商標)における溶液の後で細胞傷害作用を含んでいた。
【0257】
実施例16
ナノ構造を含む液体組成物の安定化作用
ナノ構造を含む液体組成物がタンパク質の安定性をもたらしたかを確認するために、下記の実験を行った。
【0258】
材料および方法
2つの市販のTaqポリメラーゼ酵素(Peq−labおよびBio−lab)を、ddH2O(RO)におけるそれらの活性、および、ナノ構造を含む担体(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)におけるそれらの活性を求めるために、PCR反応において調べた。酵素を1時間〜2.5時間までの種々の期間にわたって95℃に加熱した。2つのタイプの反応液を作製した:
水のみ−酵素および水のみを煮沸した。
中味すべて−反応成分のすべてを煮沸した(酵素、水、緩衝液、dNTP類、ゲノムDNAおよびプライマー)。
【0259】
煮沸後、必要とされる任意のさらなる反応成分をPCRチューブに加え、通常のPCRプログラムを30サイクルに設定した。
【0260】
結果
図35A〜Bに示されるように、ナノ構造を含む液体組成物は、成分のすべてが熱ストレスに供された条件、および、酵素のみが熱ストレスに供された条件の両方の下で、酵素を加熱から保護した。対照的に、RO水は、成分のすべてが熱ストレスに供された条件下で、酵素を加熱から保護しただけであった。
【0261】
実施例17
ナノ構造を含む液体組成物の安定化作用のさらなる例示
ナノ構造を含む液体組成物が2つの市販のTaqポリメラーゼ酵素(Peq−labおよびBio−lab)の安定性をもたらしたかを確認するために、下記の実験を行った。
【0262】
材料および方法
PCR反応を下記のように設定した:
Peq−labサンプル:ナノ構造を含む液体組成物(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)、または、蒸留水(逆浸透=RO)のいずれか20.4μl。
0.1μlのTaqポリメラーゼ(Peq−lab、Taq DNAポリメラーゼ、5U/μl)
【0263】
3つのサンプルを設定し、95℃の一定温度でのPCR装置に入れた。インキュベーション時間は、60分、75分および90分であった。
【0264】
Taq酵素の煮沸の後、下記の成分を加えた:
2.5μlの10X反応緩衝液Y(Peq−lab)
0.5μlのdNTP類(10mM)(Bio−lab)
1μlのプライマー GAPDHミックス 10pmol/μl
0.5μlのゲノムDNA 35μg/μl
【0265】
Biolabサンプル
ナノ構造を含む液体組成物(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)、または、蒸留水(逆浸透=RO)のいずれか18.9μl。
0.1μlのTaqポリメラーゼ(Bio−lab、Taqポリメラーゼ、5U/μl)
【0266】
5つのサンプルを設定し、95℃の一定温度でのPCR装置に入れた。インキュベーション時間は、60分、75分、90分、120分および150分であった。
【0267】
Taq酵素の煮沸の後、下記の成分を加えた:
2.5μlのTAQ 10X緩衝液(Mg非含有)(Bio−lab)
1.5μlのMgCl2(25mM)(Bio−lab)
0.5μlのdNTP類(10mM)(Bio−lab)
1μlのプライマー GAPDHミックス(10pmol/μl)
0.5μlのゲノムDNA(35μg/μl)
【0268】
それぞれの処理(NeowaterまたはRO)のために、陽性コントロールおよび陰性コントロールを作製した。陽性コントロールは、酵素を煮沸することを伴わないものであった。陰性コントロールは、酵素を煮沸することを伴わず、かつ、DNAを反応において伴わないものであった。PCRミックスを、煮沸taqアッセイ、ならびに、コントロール反応のために作製した。
【0269】
サンプルをPCR装置に入れ、下記のように操作した:
PCRプログラム:
1.94℃で2分間の変性
2.94℃で30秒間の変性
3.60℃で30秒間のアニーリング
4.72℃で30秒間の伸長
工程2〜4を30回繰り返す
5.72℃で10分間の伸長
【0270】
結果
図36に示されるように、ナノ構造を含む液体組成物は、1.5時間までの期間、両方の酵素を熱ストレスから保護した。
【0271】
実施例18
ナノ構造を含む液体組成物はタキソールを溶解することができることのさらなる証拠
下記の実験を、ナノ構造を含む液体組成物が0.08%のエタノールの存在下において0.5mMの最終濃度で物質タキソール(パクリタキセル)を溶解することができたかどうかを確認するために行った。
【0272】
材料および方法
可溶化:0.5mMのタキソール溶液を調製した(4mlにおいて0.0017gr)。タキソールをエタノールに溶解し、20日間に及ぶRT緩速溶媒交換手法を使用してNeowater(商標)に交換した。この手法が終了したとき、40%未満のエタノールが溶液中に残存し、最終的な投与濃度において0.08%のエタノールをもたらした。溶液を、0.2μmのフィルターを使用して滅菌した。別途、タキソールをDMSOにおいて調製した(0.5mM)。両方の溶液を−20℃で保った。吸光度を分光光度計により検出した。
【0273】
細胞生存性アッセイ:2000個のPC3細胞を、10%のFCSを含むRPMIに基づく培地の100μlとともに96ウエルプレートの各ウエルに播種した。播種後24時間で、0.5mMタキソールの2μl、1μlおよび0.5μlを1mlのRPMI培地で希釈し、これにより、1μM、0.5μMおよび0.25μMの最終濃度をそれぞれ得た。少なくとも8個の反復する反応を処理あたり行った。細胞増殖を、タキソール添加後24時間で、クリスタルバイオレット比色アッセイを使用して細胞密度を定量することによって評価した。
【0274】
処理後24時間で、細胞をPBSにより洗浄し、4%パラホルムアルデヒドにより固定処理した。クリスタルバイオレットを加え、室温で10分間インキュベーションした。細胞を3回洗浄した後、50%エタノールにおいて100mMクエン酸ナトリウムを含む溶液を使用して、色を細胞から溶出した。光学濃度の変化を、分光光度法によるプレートリーダーを使用して570nmで読み取った。細胞生存性を、ブランクを引いた後、コントロールでの光学濃度(これは100%であると見なされる)の百分率として表した。
【0275】
結果
DMSOまたはNeowater(商標)に溶解された0.5mMタキソールの分光光度法による吸光度が図37Aに例示される。図37B〜図37Cは両方の配合物についてのHPLCによる読み取りである。測定結果は、Neowater(商標)に分散されたタキソールの配合物における構造的な変化が6ヶ月の貯蔵期間の後で何ら生じないことを示した。
【0276】
細胞生存性のタキソール誘導による喪失の結果が、DMSOまたはNeowater(商標)に溶解した後において図38に例示される。
【0277】
結論
Neowater(商標)に溶解されたタキソール(0.08%のエタノールを最終的な作業濃度において有する)は、DMSOに溶解されたタキソールと類似する、ヒト前立腺ガン細胞株に対するインビトロ細胞生存性/細胞毒性を示した。
【0278】
実施例19
ヒトハイブリドーマの単離に対する、ナノ構造を含む水の影響を例示するさらなる実験
下記の実験を、ナノ構造を含む水が、モノクローナル抗体作製の最初の段階、すなわち、ハイブリドーマの単離に影響を及ぼすかどうかを確認するために行った。
【0279】
細胞増殖のための試薬:細胞増殖のための培地および補充物のすべてをGIBCO BRL,Life Technologiesから購入した。RPMI1640およびDMEMを粉末形態で購入し、NPDまたはDI水のいずれかにおいて再構成した。再構成後、重炭酸ナトリウムを製造者の勧めに従って培地に加え、pHのさらなる調節は行わなかった。使用前に、培地のすべてを0.22μmのフィルター(Millipore)でろ過滅菌した。ハイブリドーマ細胞の増殖のために、RPMIには、10%ウシ胎児血清、L−グルタミン(4mM)、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(0.1mg/mL)、MEM−ビタミン(0.1mM)、非必須アミノ酸(0.1mM)およびピルビン酸ナトリウム(1mM)が補充された。上記補充物のすべてを液体形態で購入し、製造者から得られたそのままで使用した(このことは、それらがNeowater(商標)またはコントロールの水(DIに基づく培地−18.2メガオームの超純粋な脱イオン水(DI水、UHQ PS、ELGA Labwater))に希釈されたことを意味する)。8−アザグアニン、HTおよびHATをSigmaから購入し、NPDまたはDIでのRPMIを用いて粉末形態から再構成した。ヒト初代線維芽細胞およびCHO細胞の増殖のために使用されたDMEMには、10%ウシ胎児血清、L−グルタミン(4mM)、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(0.1mg/mL)が補充された。ハイブリドーマクローン化因子をBioVerisから購入した。
【0280】
化学試薬:粉末化PBSをGIBCO BRL,Life Technologiesから得た。PEG−1500(P5402、Sigma)をSigmaから購入し、Neowater(商標)またはコントロールの水に基づく無菌PBSを用いて再構成した(50%w/v)。調製物をpH7.2に調節し、DMSO(v/v)(Sigma)を10%に加え、その後、PEG溶液を0.45μmのフィルター(Millipore)でろ過滅菌した。ハンクス平衡塩溶液をBiological Industries Beit−HaEmek LTD(イスラエル)から購入し、Neowater(商標)に基づく実験およびコントロールに基づく実験のためにそのまま使用した。ELISAプレートをコーティングするための炭酸塩−重炭酸塩緩衝液(0.05M、pH=9.6)、OPD(0.4mg/mLで使用)およびリン酸塩−クエン酸塩緩衝液(0.05M、pH=5.0)をSigmaから購入した。
【0281】
抗体:ヤギ抗ヒトIgM/IgGおよびHRPコンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgM/IgGをJackson ImmunoResearchから購入した。標準ヒトIgM/IgGをSigmaから購入した。
【0282】
細胞:これらの実験で使用されたすべての細胞(MFP−2、CHOおよび初代ヒト線維芽細胞)をNeowater(商標)に基づく培地およびコントロールに基づく培地のいずれかにおいて1週間維持し、細胞を実験前に培地になじませるようにした。加えて、融合パートナー細胞株MFP−2を、ウシ胎児血清および添加物が、HGPRT陰性の表現型を維持するための8−アザグアニンとともに添加されたRPMI1640において維持した。初代ヒト線維芽細胞をATCCから得て、DMEMにおいて維持した。CHO細胞株をDMEMにおいて維持した。すべての細胞培養を、ウシ胎児血清、グルタミンおよびペニシリン/ストレプトマイシンが添加された培養培地からなる完全培地において行った。MFP−2細胞株については、ビタミン、非必須アミノ酸およびピルビン酸塩もまた、完全培地において添加された。
【0283】
方法
細胞融合:PEG1450を用いた化学的融合技術[Kohler G、Milstein C(1975)、Nature、256:495〜497]を用いた。この場合、PEG1450は、ヒト末梢血リンパ球とのハイブリドーマを作出するために融合剤として作用する。PEG1450は典型的には、10%のDMSOが添加されるPBSにおいて調製される。これらの実験のために、Neowater(商標)を使用して、PBSを調製し、その後、このPBSを使用して、PEG/DMSO溶液を作製した;コントロール調製物として、コントロールの水に基づくPBSにおいて調製されたPEGを使用した。Neowater(商標)をコントロールの水に対して比較するすべての融合実験のために、すべての試薬を、ウシ胎児血清および高濃度の補充物を除いて、Neowater(商標)またはコントロールの水のいずれかにおいて調製した。加えて、PEG−1450を用いた融合の後でのハンクス平衡塩(HBSS)における細胞の希釈(下記参照)を、HBSSの購入された液体形態物(Beit HaEmek、イスラエル)を製造者から得られたそのままで使用して行った。
【0284】
ハイブリドーマの作製のために、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を40mLの新たに採血された全血から単離し、Histopaque1077(Sigma)により精製し、コントロールの水に基づく血清非含有の培養培地で4回洗浄した。MFP−2融合パートナー細胞をNeowater(商標)に基づく培地またはコントロールの水に基づく培地のいずれかにおいて増殖させ、その後、血清非含有のそれぞれの培地により4回洗浄した。それぞれの実験のために、PBMCの1つの回分処理物を2つの等量物に分け、それらの一方をNeowater(商標)での融合のために使用し、もう一方をコントロールの水での融合のために使用した。次に、MFP−2およびPBMCをNeowater(商標)に基づく血清非含有培地またはコントロールの水に基づく血清非含有培地のいずれかにおいて混合し、ペレット化した。その後、37℃に予熱されたPEG−1450を、混合された細胞の10〜200x106個について300μLで加えた。細胞混合物を、絶えず振とうしながらPEGとともに3分間インキュベーションした。その後、PEGをハンクス平衡塩溶液および完全RPMI(Neowater(商標)またはコントロールの水のいずれかにおいて調製されたもの)により細胞混合物から希釈した。得られた細胞懸濁物に、ウシ胎児血清(10%)およびHT(x2)を加えた。このプロセスで作製されたハイブリドーマを、HAT選抜とともに完全RPMIにおいて96ウエルプレートで培養した(約2x106リンパ球/ウエルの細胞密度)。免疫グロブリン産生についての上清のスクリーニングを、ハイブリドーマ細胞がウエルのおよそ1/4を占めた後で行った。
【0285】
サンドイッチELISA:サンドイッチELISAを使用して、ハイブリドーマの上清をIgM/IgGについてスクリーニングした。簡単に記載すると、捕獲抗体(ヤギ抗ヒトIgM/IgG)を炭酸塩/重炭酸塩緩衝液において調製し、100ng/100μL/ウエルの濃度で96ウエルプレートに加えた。その後、プレートを4℃で一晩インキュベーションした。下記の工程のすべてを室温で行った。PBSにおける0.3%乾燥乳による1時間のブロッキング処理の後、ハイブリドーマからの上清を1.5時間加えた。PBSにおいて1:500で希釈されたヒト血清を陽性コントロールとして使用した。バックグラウンドのために、また、陰性コントロールとして、ハイブリドーマ増殖培地を使用した。二次抗体(HRPコンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgM/IgG)を1:5000の濃度でブロッキング溶液において調製し、1時間インキュベーションした。比色反応を生じさせるために、プレートを、0.03%のH2O2を含有するリン酸塩−クエン酸塩緩衝液においてOPDとインキュベーションした。発色反応を15分後に10%HClにより停止させた。反応の読み取りおよび記録を、492nmの波長フィルターを使用してMultiscan−Ascent(Thermo Scientific)ELISAリーダーにより行った。使用されたすべての試薬は、NPDまたはDIに基づくハイブリドーマ上清からなったサンドイッチ層を除いて標準物であった。
【0286】
クローン化:選ばれたクローンの200個の細胞を10mLの培地の体積で希釈し、平均して各ウエルが1個〜2個の細胞を含有するように96ウエルプレートに播種した(100μL/ウエル)。細胞をインキュベーションし、定期的に養分補給し、クローンの増殖について顕微鏡でモニターした。クローンがウエルの1/4〜1/2を占めたとき、その上清を分析した。クローン化の効率をプレートあたりの生育可能なクローンの数で表した。10パーセントのHCF(ハイブリドーマクローン化因子)を実験設計に従って加えた。
【0287】
細胞増殖アッセイ:初代細胞株および不死化細胞株の増殖をクリスタルバイオレット色素保持アッセイによりモニターした。一定数の細胞を多数の反復で96ウエルプレートに播種した。細胞の増殖を4%ホルムアルデヒドにおける固定処理によって停止させた。その後、固定処理された細胞を0.5%クリスタルバイオレットにより染色し、その後、水による洗浄を何回も行った。保持された色素を50%エタノール(v/v)における0.1Mクエン酸ナトリウムの100μL/ウエルにおいて抽出した。その後、ウエルの吸光度をMultiscan−Ascentマイクロプレートリーダーおよび適切なフィルターにより550nmで読み取った。
【0288】
初代ヒト線維芽細胞:20代目の継代培養から出発して、ヒト線維芽細胞を培養し、細胞が線維芽細胞の典型的な形態学を示し、その数が、最初に播種された量よりも少なく低下しない限り、毎週、継代培養した。継代数および計算された集団倍加を記録した。細胞の形態学および生存性を顕微鏡でモニターした。これらの実験で使用されたヒト線維芽細胞は、一般には、集団倍加が25であった。
【0289】
データ分析:Neowater(商標)に基づく実験と、コントロールに基づく実験との間での、融合およびクローン化の効率における差の統計学的有意性を、χ二乗検定によって求めた。初代ヒト線維芽細胞を用いた増殖試験の結果をアンペアードスチューデントt検定によって分析した。0.05未満の統計学的p値を有意であると見なした。
【0290】
結果
Neowater(商標)は、ヒトモノクローナル抗体を作製するためのハイブリドーマ形成の効率を高める
化学的融合実験の結果が図39に示される。これらの実験のために、1人の個体に由来するPBMCを、Neowater(商標)に基づく環境またはコントロールに基づく環境のいずれかにおける融合のために、精製後、2つの群に分けた。NPDの環境と、DIの環境との間での、ハイブリドーマの収率における統計学的有意差が見られた。Neowater(商標)に基づく融合実験におけるハイブリドーマの収率が、コントロールに基づく培地における並行した融合と比較してより大きいことについての明白な傾向が認められた。強化の割合が、[(Neowater(商標)での融合におけるハイブリドーマの数/コントロールの水での融合におけるハイブリドーマの数)x100%−100%]の式によって計算された。これらの結果が図39に示される。強化の程度は一定でなく、一連の8個の融合実験の中では、22パーセントから227パーセントまで変動した。NPDにおける増大した融合効率は一定していないが、このことは、それぞれの融合が、異なるドナーに由来するリンパ球を用いて行われたので、予想外のことではない。そのようなものとして、ハイブリドーマの形成に対するNPD水性環境の影響の大きさは、ある程度は遺伝的背景の関数である。
【0291】
NPD水におけるハイブリドーマサブクローンの増大した収率
モノクローナル抗体作製のプロセスにおける極めて重要な工程の1つが、安定なサブクローンを、特異的なモノクローナル抗体の分泌について陽性であることが見出された最初のハイブリドーマ集団から単離することである。これは、典型的には、特異的な最初のハイブリドーマクローンの連続したサブクローン化によって達成される。ウエルあたり1個〜2個の細胞を播種することを伴うサブクローン化の目的は、遺伝的に安定しており、ただ1つのモノクローナル抗体を産生する単一起原のクローンを作製することである。このプロセスの期間中に、ハイブリドーマ細胞は、遺伝的不安定性のために死に至る可能性があるか、または、増殖し得るが、抗体を産生するその能力を失う可能性がある。これらの困難を克服するために、クローンの増殖および安定化を容易にする様々な因子を含有するマクロファージ馴化培地からなるハイブリドーマクローン化因子(HCF)が使用される。しかしながら、使用される融合パートナー細胞株はミエローマ起原であるので、そのような融合パートナー細胞株により作製されるハイブリドーマは、ハイブリドーマ自身のクローン拡大を促進させるオートクリン因子を分泌すると考えられる。しかしながら、これらの因子のオートクリン作用は、それらの濃度が比較的低いために標準的なインビトロ培養では明らかではない。Neowater(商標)に基づく培地が生物学的利用能を高めることができるか、したがって、これらの分泌された因子のオートクリン活性を、細胞局在化濃度における増大によって調べた。これは、最初のハイブリドーマ細胞をNeowater(商標)に基づく培地に対してコントロールの水に基づく培地においてサブクローン化し、また、HCFを両方のクローン化培地に加えることの影響をも観察することによって最も良く達成された。
【0292】
PBMCをMFP−2と融合させ、最初のハイブリドーマクローンを増殖させた後、抗体産生ハイブリドーマを特定し、補充物を含むNeowater(商標)に基づく培地またはコントロールの水に基づく培地においてサブクローン化した。これらの実験の結果が表6に示される。全体的には、試験されたそれぞれの最初のハイブリドーマについて、Neowater(商標)に基づく培地でのより大きなクローン増殖が、コントロールの水に基づく培地と比較して観測された。HCFがNeowater(商標)に基づく培地およびコントロールの水に基づく培地の両方に加えられたとき、両方の配合物におけるクローンの数における類似した割合の増加が認められた。最後に、図40に示されるように、準安定なクローンからの細胞のクローン形成能もまた、NPDに基づく培地では高まる。
表6:1つの最初の抗体産生ハイブリドーマクローンから、200個の細胞を計数し、10mLの体積に加え、96ウエルプレート全体に播種した(平均して1〜2細胞/100μL/ウエル)。表は、それぞれの処理において顕微鏡で計数された生育可能なサブクローンの数(および括弧内に百分率)を示す。
【0293】
χ二乗分析:
DI−RPMI+HCF対DI−RPMI p=0.008;DI−RPMI+HCF対NPD−RPMI p=有意でない;DI−RPMI+HCF対NPD−RPMI+HCF p=0.008;NPD−RPMI+HCF対DI−RPMI p<0.00001;NPD−RPMI+HCF対NPD−RPMI p=0.002;NPD−RPMI対DI−RPMI p=0.03。
【0294】
NPD水において増殖させたハイブリドーマからのモノクローナル抗体の増大した分泌。モノクローナル抗体の分泌に対するNeowater(商標)の水性環境の影響を研究するために、いくつかの安定化されたハイブリドーマクローンからのヒトモノクローナル抗体の産生を研究した。抗体を5年以上にわたって安定に産生し続けているハイブリドーマクローンをコントロールの水に基づく培地において増殖させ、その後、2つの並行培養物をそれから調製した。一方をNeowater(商標)に基づく培地において調製し、もう一方をコントロールの水に基づく培地において調製した。数日間なじませた後、細胞を反復して等しい密度で播種し、5日間の増殖の後、上清を集め、抗体濃度を標準的なサンドイッチELISAによって測定した。これらの実験のうちの1つの結果を図41Aに示したが、すべては、類似する結果を示した。グラフから明白であるように、反復するNeowater(商標)に基づく培養からの収量はやや一定していなかった(Neowater(商標)に基づく培養での濃度は101μg/mLから40μg/mLまで変動し、これに対して、コントロールの水では、その範囲ははるかにより狭く、30μg/mL〜32μg/mLであった)が、全体的に、モノクローナル抗体の収量は、Neowater(商標)に基づく培地の方が多かった。しかしながら、一部の細胞はNeowater(商標)に基づく培地においてより速く増殖する(下記参照)。したがって、この結果は、細胞あたりのより大きい分泌ではなく、むしろ、類似する分泌を有する細胞のより大きい増殖を反映しているかもしれない。このバイアスを除くために、抗体濃度をそれぞれの培養における細胞数に対して正規化した(図41B)。正規化の後では、結果は回分処理物の濃度に類似しており、Neowater(商標)に基づく培地におけるモノクローナル抗体の分泌が、コントロールの水に基づく培地において得られる分泌のほぼ2倍であることを示している。
【0295】
分泌に対するNeowater(商標)培地の影響をさらに研究するために、モノクローナル抗体の分泌を、低下させた血清で増殖させた培養物において調べた。この実験は、あまり活発でなく(10%のウシ胎児血清を有する完全培地と比較して相対的に休止しており)、しかし、依然として代謝的に活発であり、それにより、Neowater(商標)に基づく培地の増殖バイアスの一部を排除する培養物における分泌を調べることを可能にした。図42はこれらの実験の結果を示す。実験では、3%FCSにおいて反復して増殖させた安定なハイブリドーマクローンの毎日の抗体濃度および生細胞カウント数の両方が定量された。Neowater(商標)での培養において、抗体濃度は、培養における生細胞の量とともに変化した。細胞増殖および数における変動はまた、抗体の濃度にもまた影響を与えた培地交換および養分補給の関数でもあった(4日目および10日目に、培地が、細胞に養分補給するために培養物に添加され、6日目に、培地が完全に取り替えられた)。対照的に、コントロールの水での培養における細胞は増殖を保ち、しかし、何らかの測定可能な量の抗体を産生することができなかった。図42におけるグラフは、ハイブリドーマ細胞増殖と、培養物の抗体含有量との間における典型的な関係を示す。一般に、Neowater(商標)に基づく培地では、抗体の量が、養分供給後の増殖バーストの後で生じる細胞数における増大の後で増大する。グラフのパターンは、培地交換からの抗体濃度に対する希釈効果を反映し、また、(培地交換後6日目の)細胞増殖における付随する急な増大もまた反映する。
【0296】
Neowater(商標)に基づく水性環境における細胞増殖
ハイブリドーマクローンを用いた前回の実験の結果は、Neowater(商標)に基づく培地がヒトハイブリドーマ細胞のクローン拡大およびクローン生存性に影響を及ぼしたことを示唆した。この仮説をさらに調べるために、不死性CHO細胞株および初代ヒト線維芽細胞の増殖をNeowater(商標)に基づく培地およびコントロールの水に基づく培地において研究した。
【0297】
不死性細胞株はNeowater(商標)においてより速く増殖する
CHO細胞を、並行するNeowater(商標)に基づく完全DMEMでの培養およびコントロールの水に基づく完全DMEMでの培養において増殖させた。細胞を、反復する培養において1.5x106個/10cmペトリディッシュの初期密度で播種した。一晩増殖させた後、細胞をトリプシン処理によって剥がし、計数した。結果が図43A〜図43Cに示され、Neowater(商標)培地では、細胞が平均してほぼ30%速く増殖したことが明らかにされる。CHO細胞の増殖に対する血清枯渇の影響を調べるために、細胞を、5%または1%のFCSを有する並行するNeowater(商標)に基づく培養およびコントロールの水に基づく培養において反復して播種した。これらの実験において、細胞量をクリスタルバイオレット色素保持アッセイによって定量した。この実験の結果は、結果が図43A〜図43Cに例示されるが、血清を低下させた条件のもとでは、細胞は、コントロールの水に基づく培地と比較して、Neowater(商標)に基づく培地においてより速く増殖することを示している。
【0298】
初代ヒト線維芽細胞はNPD水においてより遅く増殖する
比較的少ない継代培養(20回の集団倍加)での初代ヒト線維芽細胞を最初に、Neowater(商標)に基づく培地およびコントロールの水に基づく培地において培養して、細胞をそれらのそれぞれの増殖培地になじませた。初代線維芽細胞は細胞密度に対して敏感であるので、Neowater(商標)に基づく培地対コントロールの水に基づく培地の影響を、異なる初期播種密度を用いて細胞増殖に対して調べた。96ウエルプレートにおいて、2つの細胞密度を、反復したウエルで、Neowater(商標)に基づく培地およびコントロールの水に基づく培地の両方において播種した(ウエルあたり5000個および10000個の細胞)。一晩増殖させた後、プレートをクリスタルバイオレット色素保持アッセイにより分析した。このアッセイの結果が図44Aに示される。両方の細胞密度で、コントロールの水に基づく培地において増殖させた線維芽細胞は、Neowater(商標)に基づく培地での場合よりも速く増殖した。この違いは、非常に統計学的に有意であることが見出された(p<0.0001)。差の百分率を計算すると、密度が大きい場合、処理間の差は、密度が低い場合(44%)よりも顕著であった(56%)ことが示された。
【0299】
初代ヒト線維芽細胞の増殖に対するNPDに基づく培地の影響をさらに研究するために、反復した培養での8日間にわたるコントロールの水に基づく培地およびNeowater(商標)に基づく培地における線維芽細胞の増殖を調べた。前回の実験では、線維芽細胞が、DIに基づく培地においてこの密度で十分に増殖したので、細胞を、反復する並行培養においてウエルあたり10000個の細胞で播種した。この実験からの増殖曲線が図44Bに示される。曲線から明白であるように、初代ヒト線維芽細胞は、コントロールの水に基づく培地と比較して、Neowater(商標)に基づく培地では増殖が不良であった。このことは、Neowater(商標)における環境が初代線維芽細胞の増殖のためにそれほど有利でないことを示しており、また、線維芽細胞の増殖は細胞密度の関数であるので、細胞−細胞の探知がやや損なわれることを示唆する。
【0300】
実施例20
間葉系幹細胞(MSC)の増殖に対する、ナノ構造を含む水の影響
MSCは、自身およびその周りの細胞に影響を与える様々な因子を分泌することが知られているオートクリン/パラクリン細胞である(CaplanおよびDennis、2006、J Cell Biochem、98(5):1076〜84)。Gregory他(Gregory,Singh他、2003、J Biol Chem、2003(Jul 25);278(30):28067〜78、Epub、2003年5月9日)は、1cm2あたり5個の細胞での培養MSCが、その増殖を高めるWntシグナル伝達経路のdickkpof1(DKK1)を分泌することを示している。類似する効果を、非常に低い密度で播種された増殖性の高い細胞に由来する20%の培地を添加することによって達成することができる。
【0301】
下記の実験を、MSCの増殖に対するNeowater(商標)の影響を明らかにするために行った。
【0302】
材料および方法
細胞培養:ヒト骨髄(BM)細胞を、承認されたプロトコルのもと、Laniado HospitalおよびTel Aviv大学において成人ドナーから得た。ヒト骨髄細胞を本質的には記載されるように培養した。簡単に記載すると、10mlのBM吸引物を19歳〜70歳の男性ドナーおよび女性ドナーの腸骨稜から採取した。単核細胞を、密度勾配(ficoll/paque、Sigma)を使用して単離し、25mMグルコースを含有し、16%のFBS(ロット番号:CPB0183、Hyclone、Logan、Utah)、100ユニット/mlのペニシリン、100mg/mlのストレプトマイシンおよび2mMのL−グルタミンが補充されたαMEM培地に再懸濁した(すべての培養培地成分を、別途示されない限り、Biological Industries(Beth Haemek、イスラエル)から得た)。細胞を10cmの培養ディッシュ(Corning、NY)に置床し、5%の加湿CO2とともに37℃でインキュベーションした。24時間後、非接着性の細胞を捨て、接着性の細胞をPBSにより2回徹底的に洗浄した。細胞を5日間〜7日間インキュベーションし、0.25%トリプシンおよび1mM EDTAによる37℃での5分間の処理によって集め、1cm2あたり50個〜100個の細胞で播種し、コンフルエンスにまで培養した。これを継代培養1と名付けた。継代培養1に由来する細胞を50細胞/cm2〜100細胞/cm2の密度で24ウエルプレートに播種し、Neowater(商標)またはRO水に基づく培地(これは粉末化培地(Biological industries(Beit Haemek、イスラエル)、01−055−1A)から調製された)において培養した。細胞の生存性を、5日毎に1回、合計で20日間、クリスタルバイオレットアッセイによってアッセイした。加えて、ドナーの1人に由来する細胞を6ウエルプレートに上記密度で播種し(三連)、細胞を、血球計を使用して計数した。
【0303】
結果
継代培養2〜継代培養4に由来する3名の骨髄ドナー(1名の女性および2名の男性)を50細胞/cm2〜100細胞/cm2の密度で増殖させ、細胞カウント(図45)およびクリスタルバイオレット(図46)を使用してアッセイした。
【0304】
結論
本実施例において示されるデータに基づけば、Neowaterに基づく培地における幹細胞(MSC)の増殖速度が、低い細胞密度では高まる。細胞が高コンフルエンスに到達したとき、速度は低下し、20日以内に、両方の条件における細胞の量が一列に並ぶ。Gregory他(Gregory,Singh他、2003、J Biol Chem、2003(Jul 25);278(30):28067〜78、Epub、2003年5月9日)は、MSCにおける増殖速度がDKK1のオートクリン分泌により影響を受けることを示唆した。MSCの増殖速度における最初の4日〜5日で見られる遅延期は、DKK1の濃度が低いことに起因する。増殖培地における高い濃度のDKK1に達すると、細胞は1回の倍加あたり24時間〜48時間までの大きい速度で増殖する。上記データは増殖期間における変化を示し、このことは、より高い濃度のDKK1がより初期には培地に存在することを暗示する。この現象は、高まった増殖を引き起こす細胞近傍におけるDKK1の局所的濃度によって説明することができる。
【0305】
実施例21
セファロスポリンの可溶化
下記実験の目的は、不溶性のセファロスポリンを、緩速溶媒交換手法を使用して3.6mg/mlの濃度でNeowater(NW)に溶解すること、および、アンピシリン(Amp)耐性を保有するpUC19プラスミドにより形質転換された大腸菌DH5α菌株に対するその生物活性を評価することであった。
【0306】
材料および方法
緩速溶媒交換:25mgのセファロスポリンを5mlの有機溶媒(アセトン)に溶解した(5mg/ml)。NWを添加する前に、この物質をHeλiosα分光光度計により分析した(図47)。この物質はかろうじてアセトンに溶解した。この物質は最初、砂様の外見を伴って沈降した。有機溶媒をNeowater(商標)で交換する手順を、(30℃で設定された)マルチブロックヒーターにおいて、また、デシケータおよびフードの中で行った。有機溶媒の濃度を、表7に示される式に従って計算した。
屈折計:RI:1.3339、式による計算に従って:1.833%。
分析天秤:平均:0.9962、式に従って:1.941%。
【0307】
溶液を、0.45μmのフィルターを使用して首尾良くろ過した。溶液の分光光度計による読み取りをろ過手順の前後で行った。
【0308】
Neowater(商標)に溶解されたセファロスポリンの生物活性の分析
pUC19プラスミド(アンピシリン耐性)を保有するDH5α大腸菌を、100μg/mlのアンピシリンが補充された液体LB培地において37℃および220rpm(回転/分)で一晩増殖させた。
【0309】
一晩(ON)のスターター培養物の100μLを下記のように新鮮な液体LBに再接種した:
a.100μlのNeowater(商標)(2回目の実験のみ)および抗生物質非添加(両方の実験)を有する3つのチューブ。
b.セファロスポリンストック溶液(50ug/ml)の10μlを有する3つのチューブ。
c.セファロスポリンストック溶液(5ug/ml)の100μlを有する3つのチューブ。
【0310】
細菌を37℃および220rpmでインキュベーションした。連続したOD読み取りを、TECAN SPECTRAFlour Plusを使用して、590nmのフィルターとともに96ウエルの透明プレートを使用して1時間毎に行った。
【0311】
結果
図48は、ろ過前およびろ過後における、Neowater(商標)に溶解されたセファロスポリンの分光光度計による読み取りである。
【0312】
図49A〜図49Bおよび図50A〜図50Bに例示されるように、Neowater(商標)に溶解されたとき、セファロスポリンは、大きく希釈されたときでさえ、細菌増殖阻害剤としての生物学的利用能および生物活性を有する。注目すべきことに、本実施例は、Neowater(商標)自身は細菌の増殖阻害において何ら役割を有しないことを教示する。
【0313】
実施例22
Neowater(商標)の光学活性
Neowater(商標)に対する旋光分析法による測定を、誘導された長距離秩序の形跡を検証するために考案した。NPD溶液の光学活性(円偏光した光および楕円偏光した光に関して)を、円二色性(CD)法を使用して測定した。
【0314】
円二色性(CD)実験手順:CD分光法は、水溶液を通過した左回りおよび右回り(LおよびR)の偏光した光の間における吸収差を検出することを目的とする。そのような差は、水に沈められた光学活性(キラル)な分子、あるいは、水または溶液における分子またはナノ粒子または何らかの他の誘導された整列構造の分布から生じ得る。本実施例において報告される測定は、Jasco K851 CD旋光計を室温(298K)で使用して行われた。スペクトルが、1nmおよび10秒の増分を使用して190nm〜280nmの間で走査された。感度および分解能を増大させるために、非常に長い光路を、(通常の操作モードでの1mm以下と比較して)10cmの石英キュベットを使用することによって確保した。
【0315】
結果
結果は、Neowater(商標)が円二色性を示すことを示している。(ベースラインとして使用された)DDWのCDスペクトルに対する、Neowater(商標)の異なる回分処理物で行われた2つの典型的なCDスペクトルが図51に示される。約0.5ミリ度の光学活性の検出された大きさが10−5mole〜10−6moleの通常のペプチド溶液の効果と類似することは特筆される。したがって、その大きさは、無視できるレベルではない。右回り偏光の光に対する左回り偏光の光の吸収におけるCD測定された差は、構造の非対称性に起因して生じる。すなわち、規則的な構造が存在しない場合には、消滅するCD強度が生じ、一方、整列した構造では、正のシグナルおよび/または負のシグナルを含有し得るスペクトルが生じる。したがって、本発明者らは、NPD溶液のCDスペクトルにおける消滅しないシグナルの存在は、ナノ粒子およびナノ気泡の網目組織によって形成されるNeowater(商標)における長距離の配向秩序の形成に関連するかもしれないことを提案する。
【0316】
明確にするため別個の実施形態で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施形態に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0317】
本発明はその特定の実施形態によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本明細書中で言及した刊行物、特許および特許願ならびにGenBankアクセッション番号はすべて、個々の刊行物、特許もしくは特許願またはGenBankアクセッション番号が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞増殖および細胞融合を高めるための新規な組成物に関連する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物の生体は、恒常性を生体において維持するために有害であり、また、病原性になり、これにより、様々な疾患を引き起こし得るか、または、様々な疾患の悪化を増大させ得る外因性抗原(例えば、ウイルス、細菌毒素および化学物質)、自己抗原(例えば、自己反応性リンパ球;ガン細胞および過度な内因性因子(例えば、サイトカイン、ホルモンまたは増殖因子))を特異的に捕捉し、これらを排除するための防御システムである体液性免疫を有する。この体液性免疫において、抗体が大きな役割を果たす。
【0003】
抗体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、2つの長いポリペプチド鎖(免疫グロブリン重鎖;IgH鎖)および2つの短いポリペプチド鎖(免疫グロブリン軽鎖;IgL鎖)を含むY字型の基本構造を有する。このY字型構造は、ジスルフィド結合によって架橋される2つのIgH鎖が別のジスルフィド結合を介してIgL鎖のそれぞれにつなげられるときに作られる。
【0004】
生体にとって有害である抗原を捕捉し、排除するこの機能のために、様々な抗体がこれまで長い間、薬物として使用されている。ポリクローナル抗体が抗体薬物の最も古い形態であり、この場合、特定の抗原に対する様々なタイプの抗体を含む抗血清が使用された。しかしながら、このような抗血清を得るための方法は、血清から集めることに限定され、したがって、その供給は必然的に制限された。そのうえ、抗原に対する特異性を含む単一タイプの抗体分子をこの抗血清から単離することは極めて困難であった。
【0005】
KohlerおよびMilsteinによる1975年の、ハイブリドーマを使用するモノクローナル抗体の成功した調製(Nature、Vol.256、p.495〜497、1975)は、これにより、特定の抗原に対する抗体を要求に応じて作製することが可能になったので、これらの問題の解決をもたらし、また、モノクローナル抗体が薬物として使用されるための扉を開いた。
【0006】
典型的には、ヒトモノクローナル抗体の作製では、ヒトのBリンパ球を骨髄起原のパートナー細胞株との融合によって不死化することが必要である。これらの細胞融合の結果は、両方の親細胞株の特質、すなわち、絶え間なく増殖する能力、および、純粋な抗体を産生する能力を有する「ハイブリドーマ」と呼ばれる。
【0007】
しかしながら、モノクローナル抗体作製のために利用可能である唯一のヒトB細胞は、末梢血において循環するB細胞であるので、モノクローナル抗体作製のための細胞の供給源は限定される。さらには、理論的には可能であるが、抗原が引き起こした免疫応答が最近または再発でなかったならば、ヒトモノクローナル抗体をその抗原に対して作製することが難しい。加えて、分泌されたモノクローナル抗体の量が典型的には多くないので、高レベルの単離されたモノクローナル抗体をハイブリドーマ細胞培養から作製することが困難であることが判明している。
【0008】
モノクローナル抗体作製の理論的な成果および実際の成果を結びつけるためには、融合プロセスの効率が非常に高いことが必要であり、これは、末梢血から得られるB細胞が少ないことを克服するために、従って、末梢血から得られるB細胞の不死化の可能性をより高くするために必要である。
【0009】
したがって、多量のモノクローナル抗体を費用効果的な様式で作製する方法が必要であることが広く認識されており、また、そのような方法を有することは非常に好都合であると考えられる。
【発明の概要】
【0010】
本発明のいくつかの実施形態からなる1つの局面によれば、細胞融合の方法が提供され、この場合、この方法は、細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地において融合し、それにより、細胞を融合することを含み、ただし、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態からなる1つの局面によれば、真核生物細胞を培養する方法が提供され、この場合、この方法は、細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地においてインキュベーションし、それにより、真核生物細胞を培養することを含み、ただし、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態からなる1つの局面によれば、真核生物細胞培養培地と、液体およびナノ構造を有する液体組成物とを含む細胞培養培地が提供され、ただし、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態からなる1つの局面によれば、包装材と、前記包装材の中に含有される、真核生物細胞を培養することのために特定される液体組成物とを含む製造物が提供され、ただし、前記液体組成物は液体およびナノ構造を有し、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態からなる1つの局面によれば、包装材と、前記包装材の中に含有される、モノクローナル抗体を作製するために特定される液体組成物とを含む製造物が提供され、ただし、前記液体組成物は液体およびナノ構造を有し、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態からなる1つの局面によれば、モノクローナル抗体を作製するための方法が提供され、この場合、この方法は、不死化している細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地においてハイブリドーマを得るために抗体産生細胞と融合することを含み、ただし、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態からなる1つの局面によれば、セファロスポリンを、この物質を分散または溶解することを可能にする条件のもとでナノ構造および液体と接触させることを含む、セファロスポリンを溶解または分散する方法が提供され、この場合、前記ナノ構造は、前記液体の整列した流体分子によって包まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、細胞は同一である。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によれば、細胞は非同一である。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、細胞は初代細胞を含む。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、細胞は不死化細胞を含む。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、非同一の細胞は腫瘍細胞および抗体産生細胞を含む。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、非同一の細胞は幹細胞および体細胞を含む。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、幹細胞は胚性幹細胞である。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、体細胞は筋細胞または骨細胞である。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、抗体産生細胞はBリンパ球である。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、Bリンパ球はヒトBリンパ球である。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、Bリンパ球は末梢血単核細胞である。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、腫瘍細胞は、前記融合に先だって、ハイブリドーマ作製の増大を可能にする期間、前記液体組成物においてインキュベーションされる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記期間は最低でも1日である。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記流体分子の少なくとも一部がガス状状態である。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によれば、液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、液体組成物はヒドロキシアパタイトから作製される。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によれば、液体組成物は光の偏光を変化させることができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、培地はさらに、増殖因子、血清および抗生物質からなる群から選択される少なくとも1つの作用因を含む。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、真核生物細胞は単一の細胞である。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、単一の細胞はハイブリドーマである。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、培養することがHCFの非存在下で行われる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、真核生物細胞は間葉系幹細胞である。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によれば、真核生物細胞培養培地はさらに、増殖因子、血清および抗生物質からなる群から選択される少なくとも1つの作用因を含む。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、液体組成物は細胞増殖速度を増大させることができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記方法はさらに、前記ハイブリドーマをクローン化することを含む。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によれば、クローン化することが、前記ハイブリドーマを、前記液体組成物を含む培地においてインキュベーションすることによって行われる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によれば、クローン化することがHCFの非存在下で行われる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記方法はさらに、モノクローナル抗体を前記クローン化の後で集めることを含む。
【0049】
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。さらに、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0050】
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施形態を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、Neowater(商標)およびRO(逆浸透)水に基づくMEM培地における骨髄細胞の増殖を例示する棒グラフである。
【図2】図2は、557nmでの吸光度によって測定されたときの様々な水組成物の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。
【図3】図3A〜Cは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図4】図4A〜Cは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【図5】図5A〜Cは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図6】図6は、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【図7】図7A〜Cは、557nmでの吸光度によって測定されたときの、ナノ構造を含む水、および、RO水の塩酸滴定(図7A)および水酸化ナトリウム滴定(図7B〜図7C)を例示するグラフである。
【図8】図8A〜Bは、ROの塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図8A)、および、ナノ構造を含む水の塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図8B)である。それぞれのキュベットは1μlの塩酸の添加を例示する。
【図9】図9A〜Cは、RF水の塩酸滴定を例示するグラフ(図9A)、RF2水の塩酸滴定を例示するグラフ(図9B)、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフ(図9C)である。矢印は2回目の照射を示す。
【図10】図10は、RO水と比較したときの、FR2水の塩酸滴定を例示するグラフである。実験を3回繰り返した。3回の実験のすべてについての平均値がRO水についてプロットされた。
【図11A.11B.11F.11G】図11A、図11B、図11Fおよび図11Gは、粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。図11A〜図11Eは、実施例8のパートAからの、右側:試験チューブC(50%EtOH+Neowater(商標))、および、左側:試験チューブB(脱水されたNeowater(商標))を例示する。図11G〜図11Jは、赤色粉末の一晩の破砕、および、100μlのNeowater(商標)の滴定の後での溶液を例示する。
【図11C.11D.11H.11I】図11C、図11D、図11Hおよび図11Iは、粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。図11A〜図11Eは、実施例8のパートAからの、右側:試験チューブC(50%EtOH+Neowater(商標))、および、左側:試験チューブB(脱水されたNeowater(商標))を例示する。図11G〜図11Jは、赤色粉末の一晩の破砕、および、100μlのNeowater(商標)の滴定の後での溶液を例示する。
【図11E.11J】図11Eおよび図11Jは、粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。図11A〜図11Eは、実施例8のパートAからの、右側:試験チューブC(50%EtOH+Neowater(商標))、および、左側:試験チューブB(脱水されたNeowater(商標))を例示する。図11G〜図11Jは、赤色粉末の一晩の破砕、および、100μlのNeowater(商標)の滴定の後での溶液を例示する。
【図12A】図12Aは、ナノドロップで測定されたときの、3つの異なる溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。図12Aは、一晩の粉砕の後での赤色粉末+100μlのNeowaterの溶液を表す。
【図12B】図12Bは、ナノドロップで測定されたときの、3つの異なる溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。図12Bは、100%の脱水されたNeowater(商標)を加えた後での赤色粉末の溶液を表す。
【図12C】図12Cは、ナノドロップで測定されたときの、3つの異なる溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。図12Cは、EtOH+Neowater(商標)(50%−50%)を加えた後での赤色粉末の溶液を表す。
【図13】図13は、バイアル#1(CD−Dau+Neowater(商標))、バイアル#4(CD−Dau+10%PEG/Neowater(商標))およびバイアル#5(CD−Dau+50%アセトン+50%Neowater(商標))の分光光度計測定のグラフである。
【図14】図14は、Neowater(商標)における溶解物(青色線)、および、微量の溶媒(アセトン)を伴う溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。
【図15】図15は、Neowater(商標)における溶解物(青色線)および、アセトンにおける溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。淡青色および黄色の線はアセトン蒸発の異なる割合を表し、紫色線はアセトン非含有溶液である。
【図16】図16は、CD−Dauの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【図17】図17は、t−bocの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【図18】図18A〜Dは、200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。図18Aは、エタノールの存在下、および、エタノール蒸発直後のエタノール非存在下でのAG−14Bのグラフである。図18Bは、エタノールの存在下、および、エタノール蒸発後24時間のエタノール非存在下でのAG−14Bのグラフである。図18Cは、エタノールの存在下、および、エタノール蒸発直後のエタノール非存在下でのAG−14Aのグラフである。図18Dは、エタノールの存在下、および、エタノール蒸発後24時間のエタノール非存在下でのAG−14Aのグラフである。
【図19】図19は、エタノール蒸発後24時間でのAG−14AおよびAG14Bの懸濁物の写真である。
【図20A−D】図20A〜Dは、Neowater(商標)に溶解されたペプチドの分光光度計測定のグラフである。図20Aは、Neowater(商標)に溶解されたペプチドXのグラフである。図20Bは、Neowater(商標)に溶解されたX−5FUのグラフである。図20Cは、Neowater(商標)に溶解されたNLS−Eのグラフである。図20Dは、Neowater(商標)に溶解されたPalm−PFPSYK(CMFU)のグラフである。
【図20E−G】図20E〜Gは、Neowater(商標)に溶解されたペプチドの分光光度計測定のグラフである。図20Eは、Neowater(商標)に溶解されたPFPSYKLRPG−NH2のグラフである。図20Fは、Neowater(商標)に溶解されたNLS−p2−LHRHのグラフである。図20Gは、Neowater(商標)に溶解されたF−LH−RH−palm kGFPSKのグラフである。
【図21A−D】図21A〜Dは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたペプチドの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。図21Aは、Neowater(商標)に溶解されたペプチドXの細胞傷害作用のグラフである。図21Bは、Neowater(商標)に溶解されたX−5FUの細胞傷害作用のグラフである。図21Cは、Neowater(商標)に溶解されたNLS−Eの細胞傷害作用のグラフである。図21Dは、Neowater(商標)に溶解されたPalm−PFPSYK(CMFU)の細胞傷害作用のグラフである。
【図21E−G】図21E〜Gは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたペプチドの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。図21Eは、Neowater(商標)に溶解されたPFPSYKLRPG−NH2の細胞傷害作用のグラフである。図21Fは、Neowater(商標)に溶解されたNLS−p2−LHRHの細胞傷害作用のグラフである。図21Gは、Neowater(商標)に溶解されたF−LH−RH−palm kGFPSKの細胞傷害作用のグラフである。
【図22】図22は、エタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【図23】図23は、ろ過後の、エタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【図24】図24A〜Bは、試験チューブ(左側はNeowater(商標)および物質「X」を含有し、右側はDMSOおよび物質「X」を含有する)の写真である。図24Aは、24時間放置された試験チューブを例示し、図24Bは、48時間放置された試験チューブを例示する。
【図25】図25A〜Cは、加熱および振とう処置を行った直後における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図25A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図25B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図25C)の写真である。
【図26】図26A〜Cは、加熱および振とう処置を行った後60分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図26A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図26B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図26C)の写真である。
【図27】図27A〜Cは、加熱および振とう処置を行った後120分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図27A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図27B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図27C)の写真である。
【図28】図28A〜Cは、加熱および振とう処置を行った後24時間における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図28A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図28B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図28C)の写真である。
【図29】図29A〜Dは、Neowater(商標)および低下した濃度のDMSOを含む溶媒に物質「X」を含むガラス製ボトルの振とう直後の写真(図29A)、振とう後30分の写真(図29B)、振とう後60分の写真(図29C)および振とう後120分の写真(図29D)である。
【図30】図30は、分光光度計によって測定されたときの、ボルテックス後6時間のRO/Neowater(商標)における物質「X」の吸収特徴を例示するグラフである。
【図31】図31A〜Bは、分光光度計によって測定されたときの、エタノールにおけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図31A)、および、アセトンにおけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図31B)である。
【図32】図32A〜Bは、分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図32A)、および、Neowater(商標)におけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図32B)である。
【図33】図33A〜Bは、分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図33A)、および、DMSOにおけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図33B)である。
【図34】図34は、293T細胞に対する異なる溶剤におけるタキソールの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。コントロールRO=RO水により構成される培地;コントロールNeo=Neowater(商標)により構成される培地;コントロールDMSO RO=RO水+10μlのDMSOにより構成される培地;コントロールNeo RO=RO水+10μlのNeowater(商標)により構成される培地;タキソールDMSO RO=RO水と、DMSOに溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールDMSO Neo=Neowater(商標)と、DMSOに溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールNW RO=RO水と、Neowater(商標)に溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールNW Neo=Neowater(商標)と、Neowater(商標)に溶解されたタキソールとにより構成される培地。
【図35】図35A〜Bは、2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例16に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および非存在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である。
【図36】図36は、2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例17に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および非存在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である。
【図37A】図37Aは、Neowater(商標)およびDMSOにおける0.5mMタキソールの分光光度法による読み取りを例示するグラフである。
【図37B−C】図37B〜Cは、Neowater(商標)およびDMSOにおけるタキソールのHPLCによる読み取りである。図37Bは、タキソールの新たに調製された標準(DMSO)配合物のHPLCによる読み取りを例示する。図37Cは、−20℃での6ヶ月の貯蔵の後における、Neowater(商標)に分散されたタキソールのHPLCによる読み取りを例示する。
【図38】図38は、DMSO配合物またはNeowater(商標)配合物における様々なタキソール濃度のPC3細胞生存性を例示する棒グラフである。それぞれの点が8個の反復実験からの平均+/−標準偏差を表す。
【図39】図39は、Neowater(商標)による融合効率強化を例示する棒グラフである。融合が標準的プロトコルに従って行われ、この場合、培養培地およびPEGが、Neowater(商標)(NPD)またはコントロールの水(DI)のいずれかを用いて粉末形態から再構成された。それぞれの融合について、1つの回分処理物からのPBMCを2つの等量物に分け、Neowater(商標)またはコントロールの水に基づく試薬での2つの並行実験物を調製するために使用した。図は、それぞれの融合実験におけるハイブリドーマ陽性ウエルの割合を示す。割合が、細胞が融合プロセス後に播種および増殖させられる96ウエルプレートからのハイブリドーマ陽性ウエルの数として計算された。Neowater(商標)での融合結果のすべてと、コントロールの水での融合結果のすべてとの間における差は、χ二乗分析によって統計学的に有意であることが見出された(p<<0.001)。強化率を、[(Neowater(商標)での融合におけるハイブリドーマの数/コントロールの水での融合におけるハイブリドーマの数)x100%−100%]の式によって計算した。
【図40】図40は、Neowater(商標)(NPD)またはコントロールの水(DI)における準安定クローンのクローン化効率を例示する棒グラフである。抗体を産生する準安定なクローンから、200個の細胞を計数し、96ウエルプレートの全体に10mLの体積で播種した(平均して、1〜2細胞/100μL/ウエル)。図は、クローン化実験あたりのハイブリドーマ陽性ウエルの平均割合を示す。誤差棒は平均の標準誤差を示す。
【図41】図41A〜Bは、Neowater(商標)は安定なハイブリドーマクローンからの10%FCSにおける抗体分泌を高めることができることを例示する棒グラフである。2つの並行培養物を安定なハイブリドーマクローンから反復物で調製した。一方をNeowater(商標)での培地(NPD)において増殖させ、もう一方をコントロールの水(DI)での培地において増殖させ、両方を標準的な培養条件で保った。1週間増殖させた後、上清を集め、抗体濃度を標準的なサンドイッチELISAによって測定した。それぞれの棒が、Neowater(商標)(NPD)での培養物およびコントロールの水(DI)での培養物において測定された平均抗体濃度を表す。誤差棒は平均の標準誤差を示す。図41Aは、培養上清において測定された総抗体濃度を例示する。図41Bは、細胞あたりについて正規化された抗体濃度を例示する。
【図42A】図42Aは、安定なハイブリドーマクローンによる3%FCSにおけるIGM産生を例示する棒グラフである。安定なハイブリドーマクローンの同じ培養物に由来する2つの培養物を増殖させた。一方を、3%FCSが補充されたNeowater(商標)(NPD)に基づく培地において増殖させ、もう一方を、3%FCSが補充されたコントロールの水(DI)に基づく培地において増殖させた。播種前に、細胞を無血清培地で洗浄して、残存血清が除かれたことを確認した。2週間の期間中、上清を示されたように集め、細胞を同じ日に計数した。培養物は4日目および10日目に養分供給され、培地が6日目に培養物に入れられた。DIでの培養における細胞はこれらの条件のもとで正常に増殖したが、測定可能な量の抗体を産生することができなかった。
【図42B】図42Bは、安定なハイブリドーマクローンによる3%FCSにおけるIGM産生を例示する棒グラフである。安定なハイブリドーマクローンの同じ培養物に由来する2つの培養物を増殖させた。一方を、3%FCSが補充されたNeowater(商標)(NPD)に基づく培地において増殖させ、もう一方を、3%FCSが補充されたコントロールの水(DI)に基づく培地において増殖させた。播種前に、細胞を無血清培地で洗浄して、残存血清が除かれたことを確認した。2週間の期間中、上清を示されたように集め、細胞を同じ日に計数した。培養物は4日目および10日目に養分供給され、培地が6日目に培養物に入れられた。DIでの培養における細胞はこれらの条件のもとで正常に増殖したが、測定可能な量の抗体を産生することができなかった。
【図43】図43A〜Cは、血清低下培地におけるCHO細胞の増殖を例示する棒グラフである。図43A:細胞を、三連で、Neowater(商標)(NPD)に基づく培地およびコントロールの水(DI)に基づく培地において10cmペトリディッシュあたり1.5x106個の初期密度で播種した。一晩増殖させた後、細胞をトリプシン処理によって剥がし、計数した。結果が生細胞の数として示される。それぞれの棒がそれぞれの処理における細胞の平均数を表す。誤差棒は平均の標準誤差を示す。処理間の差は30%である。このグラフは、反復反応により行われ、3回繰り返された実験の代表的な結果を提供する。図43B、図43C:細胞を、5%または1%のFSCが補充されたNeowater(商標)(NPD)での培地またはコントロールの水(DI)での培地において複数の反復(処理あたり18個のウエル)で96ウエルプレートに播種した。結果をクリスタルバイオレット色素保持アッセイによって定量および分析した。それぞれの棒が所与の処理の後での平均細胞密度をO.D.の単位で表す。誤差棒は平均の標準誤差を示す。*NPD増殖細胞と、DI増殖細胞との間における有意差(p=0.0006)、7%の全体的な差。**NPD増殖細胞と、DI増殖細胞との間における有意差(p=0.0001)、14%の全体的な差。
【図44A】図44Aは、初代ヒト線維芽細胞の増殖に対するNeowater(商標)の影響を例示する棒グラフである。初代ヒト線維芽細胞を反復して96ウエルプレートに2つの初期細胞密度(ウエルあたり5000個および10000個の細胞)で播種した。一晩増殖させた後、細胞を固定処理し、クリスタルバイオレット色素保持法によってアッセイした。結果がO.D.値で示される。それぞれの棒が所与の増殖条件の平均O.D.を表す。誤差棒は平均の標準誤差を示す。*5000細胞/ウエルの細胞密度について、DI(コントロールの水)と、NPD(Neowater(商標))との間における有意差(p<<0.0001)。**10000細胞/ウエルの細胞密度について、DIと、NPDとの間における有意差(p<<0.0001)。
【図44B】図44Bは、初代ヒト線維芽細胞の増殖に対するNeowater(商標)の影響を例示する棒グラフである。24ウエルプレートにおいて、初代ヒト線維芽細胞を、三連で、NPDに基づく培地およびDIに基づく培地に播種した。隣の三連組(NPDおよびDIの両方で)を、生細胞を剥がし、計数することによって24時間毎に分析した。結果がウエルあたりの生細胞の数で示され、誤差棒は平均の標準誤差を示す。
【図45】図45は、細胞数を計数することによって測定されるような、間葉系幹細胞の増殖に対するNeowater(商標)の影響を例示する棒グラフである。
【図46】図46は、クリスタルバイオレット染色によって測定されるような、間葉系幹細胞の増殖に対するNeowater(商標)の影響を例示する棒グラフである。
【図47】図47は、100%のアセトンに溶解されたセファロスポリンの分光光度計による読み取りである。
【図48】図48は、ろ過前およびろ過後における、Neowater(商標)に溶解されたセファロスポリンの分光光度計による読み取りである。
【図49】図49A〜Bは、セファロスポリン濃度が異なるLBにおけるDH5αの増殖曲線である。細菌を2回別々に37℃および220rpmで増殖させた。
【図50】図50A〜Bは、2回別々に接種した後7時間における、コントロールでの増殖(セファロスポリン非添加)に対する参照での2つの異なるセファロスポリン濃度によるDH5αの生存性を例示する棒グラフである(コントロール群は100μlのNeowater(商標)を含有する)。
【図51】図51は、DDWでのスペクトルに対するNeowater(商標)の光学活性を例示する棒グラフである。赤色および青色の曲線は、異なる日に測定された異なるNeowater(商標)バッチ物の測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明は、細胞増殖および細胞融合を高めるための新規な組成物の発明である。
【0053】
特に、本発明は、モノクローナル抗体の作製を高めるために使用されることができる。
【0054】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の記載において示されるか、または、実施例において例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または、様々な方法で実施することができ、または、様々な方法で実施される。また、本明細書中で用いられる表現法および用語法は記述のためであって、限定するものとして見なすべきでないことを理解しなければならない。
【0055】
ヒトモノクローナル抗体の作製では、ヒトのBリンパ球を骨髄起原のパートナー細胞株との融合によって不死化することが必要である。しかしながら、モノクローナル抗体作製のために利用可能である唯一のヒトB細胞は、末梢血において循環するB細胞であるので、モノクローナル抗体作製のための細胞の供給源は限定される。
【0056】
加えて、分泌されたモノクローナル抗体の量は典型的には多くないので、高レベルの単離されたモノクローナル抗体をハイブリドーマ細胞培養から作製することが困難であることが判明している。
【0057】
モノクローナル抗体作製の理論的な成果および実際の成果を結びつけるためには、融合プロセスの効率が非常に高いことが必要であり、これは、末梢血から得られるB細胞が少ないことを克服するために、したがって、末梢血から得られるB細胞の不死化の可能性をより高くするために必要である。加えて、ハイブリドーマの安定性と、ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の分泌との両方を高めるための方法を見つける必要がある。
【0058】
本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、ナノ構造(例えば、米国特許出願第60/545955号および同第10/865955号、ならびに、国際特許出願公開番号WO2005/079153に開示されるナノ構造など)を含む組成物が細胞融合および細胞安定性の両方を促進することを発見している。
【0059】
本明細書中下記において、また、下記の実施例の節において例示されるように、本発明者らは、ナノ構造および液体がヒト末梢血単核細胞(PBMC)および融合パートナー(MFP−2)細胞の融合を促進させ、また、それらから作製されるハイブリドーマの安定性をも促進させることを明らかにしている(本明細書中下記において実施例1の表1および表3、ならびに、実施例19の図39および表6を参照のこと)。加えて、本発明者らは、ナノ構造および液体がハイブリドーマからの抗体の分泌を増大させることを示している。したがって、本発明の液体およびナノ構造はモノクローナル抗体の単離および作製に役立ち得る。
【0060】
本発明は、この発見を、モノクローナル抗体の作製を促進させるだけでなく、他の真核生物細胞との間での融合を高める新規な組成物を提供するために利用し、同様にまた、一般には細胞の増殖を高めるために、具体的には間葉系幹細胞の増殖を高めるために利用する(図45〜図46)。
【0061】
したがって、本発明の1つの局面によれば、細胞融合の方法が提供され、この場合、この方法は、細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地において融合し、それにより、細胞融合を達成することを含み、ただし、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0062】
本明細書中で使用される表現「細胞融合」は、2つ以上の生細胞を(エクスビボまたはインビボのどちらであっても)合体させることを示す。
【0063】
細胞融合を、細胞を融合誘導(fuseogenic)条件のもとで一緒にする任意の方法によって達成することができる。例えば、細胞を融合刺激剤(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)またはセンダイウイルスなど)の存在下で融合させることができる(例えば、Harlow&Lane(1988) in Antibodies、Cold Spring Harbor Press、New Yorkを参照のこと)。代替として、細胞を適切な電気的条件のもとで融合させることができる。
【0064】
本明細書中で使用される用語「ナノ構造(nanostructure)」は、一つ以上の粒子を含むサブマイクロメートルスケールの構造を指し、それらの粒子の各々はナノメートルまたはサブナノメートルスケールであり、一般に「ナノ粒子」と略される。構造の異なる要素(例えばナノ粒子、分子)の間の距離は、数十ピコメートルまたはそれ未満のオーダであることができ(その場合においてナノ構造は「連続ナノ構造」と称される)、または数百ピコメートルから数百ナノメートルのオーダであることができる(その場合においてナノ構造は「不連続ナノ構造」と称される)。従って、本実施形態のナノ構造は、ナノ粒子、ナノ粒子の配置、または一つ以上のナノ粒子および一つ以上の分子のいかなる配置も含むことができる。
【0065】
上記組成物の液体は水性液体、例えば水であることが好ましい。
【0066】
本発明のこの局面による一つの好ましい実施形態によれば、液体組成物のナノ構造は、整列した流体分子によって包囲されたナノメートルサイズのコア材料を含み、これらの流体分子はコア材料と、そして互いに定常的な物理的状態にある。このような液体組成物は、本発明者の米国特許出願第60/545955号および第10/865955号、並びに国際特許出願公開WO 2005/079153に記載されており、それらの内容は参考としてここに組み入れられる。
【0067】
このようなコア材料の例は、限定されないが、強誘電性物質、強磁性物質および圧電性物質を含む。強誘電性物質は、電場を加えることによって逆転または再配向させることができる永続的な電気的分極をある温度範囲にわたって維持する物質である。強磁性物質は、磁場を加えることによって逆転できる永続的な磁化を維持する物質である。好ましくは、ナノ構造は、コア材料の強誘電性または強磁性を保持し、それによってマクロスケールの物理的特性がナノスケール環境にもたらされる特別な特徴を有する。
【0068】
コア材料はまた、結晶構造を持ってもよい。
【0069】
本明細書中で使用される用語「整列した流体分子」は、相互関係を有する、例えば流体分子間の相関を有する流体分子の組織化された配置を示す。例えば、一つの流体分子の即座の変位は、コア材料を包囲する一つ以上の他の流体分子の即座の変位と相互に関係されることができる。
【0070】
本明細書中で使用される用語「定常的な物理状態」は、物体または分子が、少なくとも局所的な最小値を有する何らかのポテンシャルによって結びついている状況を示す。そのようなポテンシャルについての代表的な例には、限定されないが、ファンデルワールスポテンシャル、湯川ポテンシャル、およびレナード・ジョーンズポテンシャルなどが含まれる。他の形態のポテンシャルもまた、考えられる。
【0071】
好ましくは、エンベロープの流体分子は液体組成物の液体分子と同一である。エンベロープの流体分子は、液体組成物の液体分子と同一でない追加の流体を含んでもよく、従ってエンベロープは不均一流体組成物を含んでもよい。
【0072】
整列した流体分子のエンベロープの形成のため、本実施形態のナノ構造は、液体の比重より低いかまたはそれに等しい比重を有することが好ましい。
【0073】
流体分子は液体状態またはガス状状態またはそれらの二つの混合状態のいずれかであってもよい。
【0074】
ナノ構造の好ましい濃度は1リットルあたり1020個未満のナノ構造、より好ましくは1リットルあたり1015個未満のナノ構造である。好ましくは、液体中のナノ構造は、それらの間で引きつける静電力によって少なくとも一つの追加のナノ構造とクラスター形成することができる。好ましくは、ナノ構造間の距離がクラスター形成(約0.5〜10μm)を防止するとき、ナノ構造は長距離の相互作用を維持することができる。
【0075】
理論に拘束されないが、ナノ構造間の長距離相互作用は液体組成物に独自の特性を与えると考えられる。一つのこのような特徴は、後述する実施例の欄に示すように、本発明の液体組成物が2つの細胞タイプの間の融合プロセスを促進することができることである。さらに、後述する実施例の欄の実施例2に示すように、液体組成物は、細胞の安定性を増大することが示された。加えて、液体組成物は、ハイブリドーマからの抗体の分泌を促進することが示された(実施例19)。
【0076】
本発明のこの局面に従ったナノ構造の製造は、「トップダウン」プロセスを使用して行うことができる。このプロセスは、粉末(例えば、鉱物、セラミック粉末、ガラス粉末、金属粉末または合成ポリマー)が、十分に高い温度に、好ましくは約700℃を越えて加熱される下記の方法工程を含む。意図される固体粉末の例には、BaTiO3、WO3およびBa2F9O12が含まれるが、これらに限定されない。驚いたことに、本発明者は、ハイドロキシアパタイト(HA)もまた本発明の液体組成物を生成するために加熱されてもよいことを示した。ハイドロキシアパタイトは、それが非毒性によって特徴づけられ、一般に人の治療のためにFDA承認されているので、特に好ましい。
【0077】
多くのハイドロキシアパタイト粉末がSigma,AldrichおよびClarion Pharmaceuticals(例えばカタログNo.1306−06−5)のような多数の製造業者から入手可能であることが認識されるだろう。
【0078】
表4に示されるように、HAに基づく液体組成物は全て、水と比較すると高い緩衝能力を持つ。
【0079】
加熱された粉末は次いで、冷たい液体(水)に、その密度異常温度以下で、例えば3℃または2℃で浸漬される。同時に、冷たい液体および粉末は、電磁RF放射線、好ましくは500MHz以上、750MHzより高いものによって照射され、それは連続波RF放射線または変調RF放射線のいずれであってもよい。
【0080】
上記で記載される製造プロセスの期間中において、供給源粉末の大きな塊の一部が崩壊し、また、供給源粉末の個々の粒子の一部がその形状を変化させ、球状のナノ構造になることが本発明者らによって明らかにされている。製造プロセスの期間中において、ナノ気泡が高周波処理によって生じ、また、高温の粒子がこの異常性温度よりも低い水の中に注入されることのために、キャビテーションが生じることが仮定される[Katsir他、「電気化学的析出に対するrf照射の影響およびナノ粒子ドーピングによるその安定化」、Journal of The Electrochemical Society、154(4)、D249〜D259、2007]。水はこの異常性温度よりも低く保たれるので、高温の粒子は局所的加熱を引き起こし、このことが、結果として、加熱された場所の比体積の局所的な減少を引き起こし、これがやがては他の場所で加圧下で生じる。プロセスの期間中に、また、プロセス後の数時間以下の時間的合間の期間中に、水が、外気とのガスの交換および周囲の電磁放射線の選択的な吸収を含む自己組織化プロセスを受けることが仮定される。この自己組織化プロセスが、ナノ気泡およびナノ構造から構成される安定な構造化された分布の形成につながることがさらに仮定される。
【0081】
下記の実施例の節において明らかにされるように、本発明の実施形態の液体組成物は、消滅しない円二色性シグナルによって特徴づけられる。円二色性は、物質が特定の波長で平面偏光の光と相互作用するときに生じる光学現象である。円二色性が、1つの偏光した光成分と物質との相互作用の特徴が、別の偏光した光成分と物質との相互作用の特徴と異なるときに生じる。例えば、吸収バンドが、物質に対する右円偏光成分および左円偏光成分の示差的吸収に依存して負または正のいずれかであり得る。
【0082】
液体組成物の消滅しない円二色性シグナルは、液体組成物が光学活性な媒体であることを示していることが認識される。したがって、本発明の実施形態の液体組成物は光の偏光を変化させることができ、一方で、光と相互作用することができる。本発明者らは、本発明の実施形態の液体組成物の光学活性が、ナノ気泡およびナノ構造の安定な構造化された分布の上記で述べられた形成によって現れる長距離秩序の結果であると仮定する。
【0083】
本明細書中上記で述べられたように、本発明の液体組成物は、細胞融合のプロセスに役立つことが示された。細胞の例には、初代細胞および不死化細胞、同一の細胞および非同一の細胞、ヒト細胞および非ヒト細胞が含まれる。
【0084】
表現「不死化(された)細胞」は、数世代にわたって、または、無限に細胞培養において継代培養することができる細胞または細胞株を示す。不死化細胞の一例が腫瘍細胞である。
【0085】
したがって、例えば、本発明の液体組成物は、ハイブリドーマを作製するための、腫瘍細胞と、抗体産生細胞(例えば、Bリンパ球)との間でのエクスビボ融合を助けるために使用することができる。
【0086】
本明細書中で使用される用語「ハイブリドーマ」は、2つの細胞、すなわち、免疫系由来の分泌細胞(例えば、B細胞)および不死性細胞(例えば、ミエローマなど)を1つのメンブランの中で融合することによって作り出される細胞を示す。得られるハイブリッド細胞はクローン化することができ、これにより、同一の娘細胞を作製することができる。これらの娘クローンのそれぞれが免疫細胞の細胞生成物を数世代にわたって分泌することができる。
【0087】
本発明のこの局面の好ましい実施形態によれば、Bリンパ球はヒトのBリンパ球である。本発明のこの局面の別の好ましい実施形態によれば、Bリンパ球は、末梢血において循環するリンパ球であり、例えば、PMBCである。
【0088】
ハイブリドーマを本発明のこの局面に従って作製するために使用することができる腫瘍細胞の例には、マウスのミエローマ細胞およびミエローマ細胞株、ラットのミエローマ細胞株、および、ヒトのミエローマ細胞株が含まれる。
【0089】
好ましくは、ミエローマ細胞株はマーカーを含み、したがって、選抜手法を確立することができる。例えば、ミエローマ細胞株はHGPRT陰性(ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ陰性)である場合がある。その具体的な例には、X63−Ag8(X63)、NS1−Ag4/1(NS−1)、P3X63−Ag8.UI(P3UI)、X63−Ag8.653(X63.653)、SP2/0−Ag14(SP2/0)、MPC11−45.6TG1.7(45.6TG)、FO、S149/5XXO.BU.1(これらはマウスに由来する)、210.RSY3.Ag.1.2.3(Y3)(これはラットに由来する)、ならびに、U266AR(SKO−007)、GM1500GTG−A12(GM1500)、UC729−6、LICR−LOW−HMy2(HMy2)、8226AR/NIP4−1(NP41)およびMFP−2(これらはヒトに由来する)が含まれる。
【0090】
本発明のこの局面によれば、腫瘍細胞および/またはBリンパ球が、本発明の液体組成物を含む培地(例えば、培養培地)においてインキュベーションされる。
【0091】
本明細書中で使用される表現「培養培地」は、真核生物細胞が少なくとも12時間にわたって生存性を保ち続けること、好ましくは、複製するために生存性を保ち続けることを可能にする培地を示す。
【0092】
本発明の液体組成物におけるインキュベーションを、ハイブリドーマの数を増大させるために、融合手順の前から、融合手順の期間中および/または融合手順の後まで行うことができる。融合プロセスに先立つ本発明の液体組成物におけるインキュベーションを、ハイブリドーマの生成を高めるように任意の長さの時間にわたって行うことができる。好ましくは、インキュベーションは1日を超える。本明細書中下記の実施例1において例示されるように、MFP−2細胞(ミエローマ細胞)が、融合前のおよそ20日間、本発明の液体組成物を含む細胞培地で増殖させられた。融合手法自体もまた、本発明の液体組成物を含む培地において行うことができる。
【0093】
本発明の局面のいずれかによれば、培養用培地の液体部分は、本明細書中下記においてさらに記載されるように、全体または一部を本発明の組成物の液体組成物に交換することができる。
【0094】
培養培地は、本発明の局面のいずれかによれば、典型的には、経験に基づいて選択される。これは、それぞれの細胞が特定の様式で異なる培養培地に応答するからである。培養培地の様々な例が本明細書中下記においてさらに記載される。
【0095】
本発明の液体組成物は、他の細胞(例えば、腫瘍細胞および樹状細胞など)の間でのエクスビボ融合を助けるために使用することができる。そのような融合された細胞は抗ガンワクチンとして効果的であり得ることが示されている[Zhang K他、World J Gastroenterol.、2006(Jun 7);12(21):3438〜41]。
【0096】
本発明の液体組成物は、体細胞と、幹細胞との間でのインビボ融合を助けるために使用することができる。その強力な増殖能力および再生能力のために、幹細胞を、骨髄における損傷を修復するために、また、様々な器官(例えば、肝臓、脳および心臓など)を分化させるために使用することができる。幹細胞の修復特性の一部が、幹細胞が修復している器官に元々存在する細胞と融合するその能力に由来することが示されている[Wang他、2003、Nature、422、897〜901]。それに従えば、本発明の液体組成物は、幹細胞と、体細胞(例えば、骨細胞および筋細胞など)との間での融合を高めるために使用することができる。したがって、幹細胞を本発明の液体組成物により処理し、その結果、幹細胞が、標的部位に対して、より迅速に、また、より効果的に融合し、それにより、幹細胞修復プロセスを行わせるようにすることができる。
【0097】
本発明の液体組成物はまた、核酸を、細胞融合を介してインビボ移入するために使用することができる。例えば、Hoppe UC、Circ Res.、1999(Apr 30);84(8):964〜72を参照のこと。
【0098】
本発明の組成物が役立ち得る別のエクスビボ融合プロセスが、胚性幹細胞と、ヒト細胞と間での融合である。そのような融合は、胚性幹細胞と類似する様式で挙動するハイブリッドを生じさせること、したがって、移植片のための遺伝子的に一致した幹細胞を生じさせることが示された。具体的には、ヒトの胚性幹細胞(hES細胞)がヒトの線維芽細胞と融合させられ、これにより、安定な四倍体DNA含有量を維持し、かつ、hES細胞に特徴的な形態学、増殖速度および抗原発現パターンを有するハイブリッド細胞が得られた[Cowan他、Science、2005(Aug 26);309(5739):1369〜73]。
【0099】
本発明の液体組成物によって促進され得るさらに別のエクスビボ融合プロセスが、体細胞核移入である。これは、体細胞が除核卵母細胞と融合させられるプロセスである。体細胞の核が遺伝情報を提供し、一方、卵母細胞は、胚が発達するために必要である栄養分および他のエネルギー産生物質を提供する。この手法は胚性幹細胞のクローン化および作製のために使用される。
【0100】
さらに本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、本発明の液体組成物が、融合プロセス、融合プロセスによって作製されたハイブリドーマのクローン化、および、ハイブリドーマからの抗体の分泌を含めて、モノクローナル抗体作製の全プロセスを高めることを示している。本発明者らは、本発明の液体組成物の存在下で作製されたクローン化されているハイブリドーマが、本発明の液体組成物の非存在下で作製されたクローン化されているハイブリドーマよりも安定であることを示している。
【0101】
したがって、本発明の別の局面によれば、モノクローナル抗体を作製する方法が提供され、この場合、この方法は、不死化している細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地においてハイブリドーマを得るために抗体産生細胞と融合することを含み、ただし、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0102】
本明細書中で使用される表現「モノクローナル抗体」は、免疫分子が免疫反応するいずれかの抗原に対する単一の結合親和性を含む免疫分子を示す。
【0103】
本発明のこの局面によれば、モノクローナル抗体が、不死化している細胞を、本明細書中上記で記載されるような本発明の液体組成物においてハイブリドーマを作製するために抗体産生細胞と融合することによって作製される。その後、作製されたハイブリドーマはクローン化することができる。本発明のこの局面の好ましい実施形態によれば、クローン化が、単一のハイブリドーマを、本発明の液体組成物を含む培地においてインキュベーションすることによって行われる。
【0104】
本発明の液体組成物の存在下で作製されたクローン化されているハイブリドーマは、その非存在下で作製されたクローン化されているハイブリドーマよりも安定であるので、クローン化手法は典型的には、安定化因子(例えば、HCFなど)の添加を必要としない。
【0105】
ハイブリドーマの作製、および、必要な場合に行われるそのクローン化の後で、モノクローナル抗体をスクリーニングすることができ、様々なモノクローナル抗体を集めることができる。多くのスクリーニング方法がこの技術分野では知られており、これらには、機能的アッセイおよび構造的アッセイが含まれる。ハイブリドーマをスクリーニングするための1つの例示的な方法が、サンドイッチELISAアッセイを使用する本明細書中下記の実施例2において記載される。
【0106】
モノクローナル抗体を集めるための技術もまた、この技術分野では広く知られており、そのような技術には、典型的には、標準的なタンパク質精製方法が含まれる。
【0107】
本発明のさらにさらなる局面によれば、包装材に包装され、本明細書中に記載されるような、モノクローナル抗体の作製における使用のために包装材の中または表面において印刷で特定される、本明細書中上記で記載されるような本発明の組成物を含む製造物が提供される。
【0108】
本発明の組成物は、真核生物細胞物(例えば、本明細書中上記で記載されるハイブリドーマなど)の安定化を高めることが示されているので、本発明者らは、本発明の組成物が、他の真核生物細胞物の安定化を高めるために利用され得ることを認識している。
【0109】
したがって、本発明のさらに別の局面によれば、真核生物細胞を培養する方法が提供される。この方法は、細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地においてインキュベーションすることを含み、ただし、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0110】
理論にとらわれることはないが、本発明者らは、本発明の液体組成物が、いくつかの理由で、培養培地における使用のために特に適していると考える。
【0111】
第1に、本発明者らは、本発明の液体組成物により、この液体組成物において培養される細胞の増殖速度が増大し得ることを示している(図1、実施例3、および、図43A〜図43C、実施例19)。
【0112】
第2に、本発明者らは、本発明の液体組成物により、様々な作用因の溶解性が高まることを示している(実施例8〜実施例15、図11〜図34、ならびに、実施例18および実施例21)。このことは、培養培地に添加される必要がある水不溶性作用因の溶解性を高めるために特に関連し得る。
【0113】
第3に、本発明者らは、本発明の液体組成物が、高まった緩衝能力を含むこと、すなわち、水よりも大きい緩衝能力を含むことを示している(実施例4〜実施例7、図2〜図10)。このことは、特にpH感受性である細胞のために関連し得る。
【0114】
本明細書中で使用される表現「緩衝能力」は、酸または塩基が添加されたとき、安定なpHを維持する組成物の能力を示す。
【0115】
最後に、本発明者らは、本発明の液体組成物により、タンパク質が安定化され得ることを示している(実施例16〜17、図35〜図36)。このことは、安定でないペプチド作用因が培養培地に添加される必要があるならば、特に関連し得るか、または、細胞から分泌されたペプチド作用因を安定化するために特に関連し得る。
【0116】
本発明のこの局面によれば、細胞は、どのような目的のためにも、例えば、増殖、維持および/またはクローン化(これらに限定されない)などのために培養され得ることを理解しなければならない。加えて、インキュベーション時間は決して制限されず、細胞は、必要とされる限り、長期にわたって本発明の組成物において培養され得ることを理解しなければならない。
【0117】
本発明の組成物は、低い濃度で典型的には存在する因子のオートクリン分泌を必要とする細胞を培養するために特に有用であり得る。例えば、間葉系幹細胞は、増殖を高めるDKK1を分泌することが示された。本発明の組成物の整列した構造は、DKK1の濃度を効果的に増大させ、それにより、その増殖を高めるために役立ち得る。
【0118】
本発明の組成物はまた、非安定である傾向を有する細胞を培養するために特に有用であり得る。そのような細胞の例には、ハイブリドーマ、凍結後に再培養されている細胞、および、低い濃度で存在する細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0119】
本発明者らは、いずれかの真核生物細胞培養培地の水分含有量のすべてまたは一部を本発明の液体組成物で交換することを意図する。培地の水分含有量の除去を、凍結乾燥、風乾およびオーブン乾燥などの技術を使用して行うことができる。したがって、培養用培地の液体部分は5%(より好ましくは10%、より好ましくは20%、より好ましくは40%、より好ましくは60%、より好ましくは80%、一層より好ましくは100%)の本発明の液体組成物を含むことができる。
【0120】
多くの培地がまた、乾燥された成分として市販されている。そのようなものとして、本発明の液体組成物は、培地の水成分を除くことを事前に必要とすることなく加えることができる。
【0121】
真核生物細胞培養培地の例には、DMEM、RPMI、Ames Media、CHO細胞培地、HamのF−10培地、HamのF−12培地、Leibovita L−15培地、McCoy培地、MEM Alpha Mediumが含まれる。そのような培地が、様々な会社から、例えば、Sigma AldrichおよびInvitrogenなどから広範囲に入手可能である。
【0122】
培地は、様々な他の成分、例えば、増殖因子、血清および抗生物質などを含み得ることが理解される。そのような成分が、例えば、Sigma AldrichおよびInvitrogenから市販されている。
【0123】
好ましくは、本発明の液体組成物は、細胞を本発明の液体組成物においてインキュベーションする前に(例えば、ろ過滅菌によって)滅菌される。
【0124】
本発明のさらにさらなる局面によれば、包装材に包装され、本明細書中に記載されるように真核生物細胞を培養することのために包装材の中または表面において印刷で特定される、本明細書中上記で記載されるような本発明の組成物を含む製造物が提供される。
【0125】
本明細書中上記で述べられたように、本発明の組成物は調製済みの培養培地として製造することができる。それに従えば、真核生物細胞培養培地と、本明細書中上記で記載されるような液体組成物とを含む細胞培養培地が提供される。
【0126】
本発明の別の局面によれば、セファロスポリンを、この物質を分散または溶解することを可能にする条件のもとでナノ構造および液体と接触させることを含む、セファロスポリンを溶解または分散する方法が提供され、この場合、ナノ構造は、流体の整列した流体分子によって包まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0127】
セファロスポリンは、可溶化プロセスを助けるために本発明の液体組成物を加える前の溶媒、または、加えた後の溶媒に溶解することができる。本発明では、この物質の溶解性をさらに増大させるために、極性、非極性、有機(例えば、エタノールまたはアセトンなど)または非有機を含む任意の溶媒の使用が意図されることが理解される。
【0128】
溶媒は、物質が本発明の液体組成物に溶解/分散されたままであるように可溶化プロセスの期間中の任意のときに(完全または部分的に)除くことができる。溶媒を除く様々な方法がこの技術分野では知られている(例えば、蒸発(すなわち、加熱、または、圧力を加えることによる蒸発)、または、任意の他の方法など)。
【0129】
本明細書中で使用される用語「約」は、±10%を意味する。
【0130】
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴が、限定であることが意図されない下記の実施例を検討したとき、当業者には明らかになる。加えて、本明細書中上記に描かれるような、また、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【実施例】
【0131】
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
【0132】
本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学、微生物学および組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている。例えば以下の諸文献を参照されたい:「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrook他(1989);Ausubel,R.M.編「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻(1994);Ausubel他著「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア(1989);Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク(1988);Watson他、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birren他編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク(1998);米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号および5272057号に記載される方法;Cellis,J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻(1994);Coligan,J.E.編「Current Protocols in Immunology」I〜III巻(1994);Stites他編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク(1994);MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク(1980);また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている:米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号および5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」(1984);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」(1985);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Transcription and Translation」(1984);Freshney,R.I.編「Animal Cell Culture」(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.著(1984)および「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ(1990);Marshak他、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press(1996);なお、これらの文献類は、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである。その他の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。それらの文献に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。それらの文献に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
【0133】
実施例1
ヒトハイブリドーマの単離に対する、ナノ構造を含む水の影響
下記の実験を、ナノ構造を含む水が、モノクローナル抗体作製の最初の段階、すなわち、ハイブリドーマの単離に影響を及ぼすかどうかを確認するために行った。
【0134】
材料および方法
細胞増殖のための試薬:RPMI1640をBeit−HaEmek(イスラエル)から粉末で購入し、neowater(商標)(Decoop、イスラエル)またはコントロールの水(逆浸透による精製水)のいずれかにおいて再構成した。再構成後、重炭酸ナトリウムを製造者の勧めに従って培地に加え、pHを7.4に調節した。培養培地には、10%ウシ胎児血清、L−グルタミン(4mM)、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(0.1mg/mL)、MEM−ビタミン(0.1mM)、非必須アミノ酸(0.1mM)およびピルビン酸ナトリウム(1mM)が補充された(すべてをGIBCO BRL,Life Technologiesから購入した)。HCFをOriGenから購入した。上記補充物のすべてを、水に基づく液体形態で購入し、neowater(商標)に基づく培地またはコントロールの培地に希釈した。8−アザグアニン、HTおよびHATをSigmaから購入し、neowater(商標)に基づくRPMIまたはコントロールのRPMIのいずれかを用いて粉末形態から再構成した。
【0135】
化学試薬:粉末化PBS(GIBCO BRL,Life Technologies)を、neowater(商標)またはコントロールの水を用いて再構成した。フレーク状PEG−1500(Sigma)を、無菌PBSの両方の形態を用いて再構成した(50%w/v)。液体PEGのpHを約7に調節し、液体PEGをろ過滅菌した。ハンクス平衡塩溶液をBeit−HaEmekから購入した。ELISAプレートをコーティングするための炭酸塩−重炭酸塩緩衝液(0.05M、pH=9.6)、OPD(0.4mg/mLで使用)およびリン酸塩−クエン酸塩緩衝液(0.05M、pH=5.0)をSigmaから購入した。
【0136】
抗体:ヤギ抗ヒトIgMおよびHRPコンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgMをJackson ImmunoResearchから購入した。標準ヒトIgMをSigmaから購入した。
【0137】
融合:ヒト末梢血単核細胞(PBMC)および融合パートナー(MFP−2)細胞を混合およびペレット化の前に血清非含有の培養培地で4回洗浄した。37℃に予熱された300μlのPEG−1500を細胞混合物(10〜200x106細胞)に加え、絶えず振とうしながら3分間インキュベーションした。その後、PEGをハンクス平衡塩溶液および完全RPMIにより細胞混合物から希釈した。ウシ胎児血清(10%)およびHT(x2)を得られた細胞懸濁物に加えた。このプロセスの期間中に生じたハイブリドーマをHAT選抜とともに完全RPMIにおいて96ウエルプレートで培養した。抗体についての上清のスクリーニングを、ハイブリドーマ細胞がウエルのおよそ1/4を占めたときに始めた。
【0138】
サンドイッチELISA:サンドイッチELISAを使用して、ハイブリドーマの上清をIgMについてスクリーニングした。簡単に記載すると、捕獲抗体(ヤギ抗ヒトIgM)を炭酸塩/重炭酸塩緩衝液において調製し、100ng/100μl/ウエルの濃度で96ウエルプレートに加えた。その後、プレートを4℃で一晩インキュベーションした。下記の工程のすべてを室温で行った。PBSにおける0.3%乾燥乳による1時間のブロッキング処理の後、ハイブリドーマからの上清をさらに1.5時間加えた。PBSにおいて1:500で希釈されたヒト血清を陽性コントロールとして使用した。ハイブリドーマ増殖培地を陰性コントロールとして使用した。二次抗体(HRPコンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgM)を1:5000の濃度でブロッキング溶液において調製し、1時間インキュベーションした。比色反応を生じさせるために、プレートを、0.03%のH2O2を含有するリン酸塩−クエン酸塩緩衝液においてOPDとインキュベーションした。発色反応を15分後に10%塩酸により停止させた。反応の読み取りおよび記録を、492nmの波長フィルターを使用してMultiscan−Ascentで行った。
【0139】
結果
2組の同一の実験を行った。最初の実験では、すべてが、(液体補充物の添加を除いて)neowater(商標)に基づく試薬であり、第2の実験では、試薬が標準的な逆浸透水(本明細書中では、コントロールの水)で作製された。記載された実験におけるneowater(商標)の使用を細胞増殖の時点で開始した。すなわち、MFP−2細胞の2つの集団を等しい密度で置床した:一方をneowater(商標)に基づく完全RPMIにおいて置床し、もう一方をコントロールの水に基づく完全RPMIにおいて置床した。この段階で、MFP−2を、HAT耐性細胞を選抜するために8−アザグアニンの存在下で増殖させた。1週間の増殖の後、2つの融合実験を、等しい数のリンパ球およびMFP−2細胞を用いて行った。それぞれの融合物を96ウエルの8枚のプレートに置床した。およそ20日後、両方の融合に由来するハイブリドーマをそれらのIgM産生能について試験した。それぞれのプレートにおいて見出されるIgM陽性クローンの数が下記の表1に示される。
【0140】
統計学的有意差が、コントロールでのIgM陽性ウエルの平均数と、neowater(商標)でのIgM陽性ウエルの平均数との間に見出された(コントロール対neowaterについてのアンペアード両側t検定:p<0.001)。加えて、上記の表において認められるように、プレートあたりのハイブリドーマの数が比較的一定している。このことは、neowater(商標)が、おそらくはその安定化作用の結果である、ハイブリドーマの作製でのより大きな一貫性を可能にすることを示している。したがって、ヒトのモノクローナル抗体を分泌する安定なハイブリドーマクローンを作出し、単離するプロセス全体がneowater(商標)では大きく高められる。
【0141】
コントロールおよびneowater(商標)におけるIgM陽性ウエルの量(この場合、測定された濃度は希釈血清よりも大きかった)もまた測定された。表1に例示されるように、統計学的有意差が、χ2検定を使用したとき、検出されなかった。このことは、neowater(商標)がハイブリドーマの形成および安定化に影響を及ぼしているが、同様に大きな役割を分泌のレベルにおいて果たしていないことを強く示唆する。
【0142】
ハイブリドーマ形成後の、neowater(商標)に基づく培地における抗体の分泌の速度論を分析した。neowater(商標)は分泌を実際に増大させることが示されており、だが、neowater(商標)は、細胞の分泌装置に影響を及ぼすことによってではなく、むしろ、ハイブリドーマを安定化し、それにより、より大きな全体的な分泌速度を可能にすることによって分泌を増大させているかもしれない。
【0143】
コントロールと、neowater(商標)との間での、IgM産生ハイブリドーマの数における違いは、ELISAによる測定がneowaterの環境ではより精密であることに起因すると考えられ得るので、下記の実験を行った。3つの検量線を作製した。標準のヒトIgMを下記において希釈した:1)Tris緩衝液、2)コントロールの増殖培地(完全RPMI)、3)neowater(商標)での増殖培地(完全RPMI)。この実験の結果が本明細書中下記の表2に示される。
【0144】
表2が示すように、コントロール培地およびneowater(商標)培地はともに、光学濃度の値が、Tris緩衝液と比較して、やや歪んでいる(製造者の勧めに従って、標準IgMは校正されなければならない)。しかしながら、統計学的有意差が、試験された範囲において、光学濃度のコントロールでの値と、neowater(商標)での値との間に見出されなかった。
【0145】
実施例2
ヒトハイブリドーマのクローン化に対する、ナノ構造を含む水の影響
関係のあるハイブリドーマを単離した後でのモノクローナル抗体作製における次の工程は、ハイブリドーマをクローン化によって安定化することである。ナノ構造を含む水がハイブリドーマのクローン形成能を妨げ得るかどうかを試験するために、下記の実験を行った。
【0146】
材料および方法
クローン化:ハイブリドーマのクローン化を標準的なプロトコルに従って行った。簡単に記載すると、限られた数(およそ104個)の細胞を96ウエルディッシュの上段横列にわたって連続希釈し、その後、その第1横列の内容物を、残る8個の横列において下に向かって連続希釈した。このようにして、プレートの右下に向かうウエルは、ただ1個の細胞を有する傾向を有した。
【0147】
IgM含有量についてのスクリーニング:サンドイッチELISAを使用して、ハイブリドーマの上清をIgMについてスクリーニングした。簡単に記載すると、捕獲抗体(ヤギ抗ヒトIgM)を炭酸塩/重炭酸塩緩衝液において調製し、100ng/100μL/ウエルの濃度で96ウエルプレートに加えた。その後、プレートを+4℃で一晩インキュベーションした。下記の工程のすべてを室温で行った。PBSにおける0.3%乾燥乳による1時間のブロッキング処理の後、ハイブリドーマからの上清を1.5時間加えた。PBSにおいて1:500で希釈されたヒト血清を陽性コントロールとして使用した。バックグラウンドについて、また、陰性コントロールとして、ハイブリドーマ増殖培地を使用した。二次抗体(HRPコンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgM)を1:5000の濃度でブロッキング溶液において調製し、1時間インキュベーションした。比色反応を生じさせるために、プレートを、0.03%のH2O2を含有するリン酸塩−クエン酸塩緩衝液においてOPDとインキュベーションした。発色反応を15分後に10%塩酸により停止させた。反応の読み取りおよび記録を、492nmの波長フィルターを使用してMultiscan−Ascentで行った。
【0148】
結果
3つのサブクローンプレートを下記の様式で同じ陽性親のウエルから調製した:プレートIを、HCFの添加がないneowater(商標)での培地においてサブクローン化した;プレートIIを、HCFの添加を有するコントロールの水での培地においてサブクローン化した;プレートIIIを、HCFを伴うneowater(商標)での培地においてサブクローン化した。これらのプレートを2週間にわたって顕微鏡で追跡し、2週間後、ウエルにおける細胞密度は、測定可能な量の抗体を産生するために十分に高かった。その後、これら3つのプレートの上清をそれらのIgM含有量について試験した。この実験をまとめる結果が本明細書中下記の表3に示される。
【0149】
統計学的有意差が、IgM産生クローンの頻度の間に、または、それぞれのプレートにおいて産生される抗体量の分布の間に見られなかった。このことは、ハイブリドーマが、neowater(商標)に基づく培地では、HCFを伴うコントロールの培地の場合と同じくらい良好にクローン化することを示している。コントロールの培地では、HCFの添加がない場合、ハイブリドーマはクローン化しない。このことは、neowater(商標)に基づく培地が、不安定なハイブリドーマのクローン形成能を高める環境をもたらすことを示唆する。この考えはまた、ハイブリドーマ回収の頻度が、neowater(商標)に基づく試薬での融合、および、neowater(商標)に基づく培地での増殖の後では高まることによっても支持される。
【0150】
考察および結論
本実施例に記載される実験の結果は、neowater(商標)は、物理的な細胞融合の効率を上げることによってであるか、または、融合の過程において生じるハイブリドーマを安定化させることによってであるかにかかわらず、融合プロセスを改善することを示している。どちらにしても、neowater(商標)において調製される融合体の収率はコントロールの場合よりも有意に高かった(p<0.001、表1)。また、高収率ハイブリドーマの割合および抗体濃度の分布が、コントロールでの試験と、neowater(商標)での試験との間で有意に異なっていないので(表1)、neowater(商標)はおそらくは抗体産生または抗体分泌の機構に干渉していない。
【0151】
しかしながら、このクローン化実験では、neowater(商標)が、新しいクローンに対する安定化作用を有するかもしれないという仮説を裏付ける重要な証拠が明らかにされた。HCFを伴わないクローン化では、ほとんどの場合において、成功した安定なクローンがもたらされない。この試薬(これは実際にはマクロファージ馴化培地である)の役割は、細胞1個の増殖を支えることである。HCFからハイブリドーマによって受け取られる因子がない場合、ハイブリドーマは、大抵の場合、死に至るか、または、かろうじて増殖し、しかし、抗体を産生するその能力を失っている。生育可能な抗体分泌ハイブリドーマが、HCFを伴わないneowater(商標)におけるクローン化の間に得られたという事実は、それ自体が有益な知見である。そのうえ、これらのクローンは、HCF−クローン化で確立されたクローンと統計学的に比較されたとき、それらの産生能および頻度において等しい。
【0152】
他の観測結果もまた、neowater(商標)の安定化作用の仮説を裏付けている。例えば、コントロールの培地への解凍の後で回復しなかった細胞集団が、neowater(商標)に基づく培地ではゆっくり回復した。neowater(商標)の環境において生じ、増殖した、産生能を有するクローンは、培地が1日間、コントロールに変えられたとき、抗体を分泌することを停止した。
【0153】
実施例3
増殖に対する、ナノ構造を含む液体組成物の影響
下記の実験を、ナノ構造を含む液体組成物が細胞増殖に影響を及ぼすかを確認するためにヒト間葉系細胞に対して行った。
【0154】
材料および方法
ヒト間葉系幹細胞の増殖をRO水またはNeowater(商標)に基づく培地において調べた。
【0155】
培地の調製:250mlのMEMα培地を、2.5gのMEMおよび0.55gのNaHCO3をRO水またはNeowater(商標)のいずれかに加えることによって調製した。
【0156】
細胞培養:細胞を、20%のウシ胎児血清、100u/mlのペニシリンおよび1mg/mlのストレプトマイシンが補充されたMEMαにおいて維持した(Colter他、2001、PNAS、98:7841〜7845)。細胞を計数し、2つのタイプのMEMα培地において500細胞/mlの濃度に希釈した:一方のMEMα培地がRO水に基づき、もう一方のMEMα培地がNeowater(商標)に基づいた。細胞を、96ウエルプレートで、すなわち、50個の細胞をそれぞれのウエルに有する100μlの培地において増殖させた。8日後、細胞増殖をクリスタルバイオレット生存性アッセイによって推定した。このアッセイにおける色素はDNAを染色する。可溶化したとき、単層物によって取り込まれた色素の量を590nmにおいてプレートリーダーで定量することができる。
【0157】
結果
クリスタルバイオレット生存性アッセイの結果が本明細書中下記において表4および図1にまとめられる。
【0158】
結論
本発明の液体組成物は細胞の増殖を増大させる。
【0159】
実施例4
ナノ構造を含む組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む組成物の影響を調べた。
【0160】
材料および方法
フェノールレッド溶液(20mg/25ml)を調製した。290μlを、13mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)の様々なバッチに加えた。それぞれの水が、フェノールレッド溶液が加えられた後でのそれらの黄色または明るいオレンジ色により、それらのすべてが酸性であったが、異なる開始pHを有したことが認められた。2.5mlのそれぞれの水+フェノールレッド溶液をキュベットに加えた。水酸化ナトリウムの増大する体積をそれぞれのキュベットに加え、吸収スペクトルを分光光度計で読み取った。酸性溶液はピークを430nmにおいて与え、アルカリ性溶液はピークを557nmにおいて与える。波長の範囲は200nm〜800nmであり、しかし、0.02M水酸化ナトリウムの添加に関連しては、グラフは557nmの波長だけを示す。
【0161】
結果
表5には、水酸化ナトリウム滴定の後でのそれぞれの水の溶液の557nmにおける吸光度がまとめられる。
【0162】
図2および表5に例示されるように、RO水は、水酸化ナトリウムを加えたとき、pHにおけるより大きい変化を示す。RO水はわずかな緩衝作用を有するが、吸光度が0.09Aに達したとき、緩衝作用が「破れ」、pH変化が、より多くの水酸化ナトリウムを加えた後ではより大きくなる。HA−99水はROと類似している。NM(#150905−106)(Neowater(商標))、AB水Alexander(AB1−22−1 HA Alexander)は若干の緩衝作用を有する。HAPおよびHA−18はNeowater(商標)よりも一層大きい緩衝作用を示す。
【0163】
まとめると、この実験から、HA−99−Xを除いて、試験されたナノ構造を含むすべての新しい水タイプ(HAP、AB1−2−3、HA−18、Alexander)が、Neowater(商標)と類似した特性を示す。
【0164】
実施例5
ナノ構造を含む液体組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む液体組成物の影響を調べた。
【0165】
材料および方法
水酸化ナトリウムおよび塩酸を、50mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)に加え、pHを測定した。実験を三連で行った。すべてにおいて、3回の実験を行った。
【0166】
水酸化ナトリウム滴定:1μl〜15μlの1M水酸化ナトリウムを加えた。
【0167】
塩酸滴定:1μl〜15μlの1M塩酸を加えた。
【0168】
結果
水酸化ナトリウム滴定についての結果を図3A〜Cおよび図4A〜Cに示す。塩酸滴定についての結果を図5A〜Cおよび図6に示す。
【0169】
ナノ構造を含む水は、RO水について必要とされる同じpHレベルに到達するためにより多量の水酸化ナトリウムを要求するので、ナノ構造を含む水は緩衝能力を有する。この特徴は7.6〜10.5のpH範囲においてより著しい。加えて、ナノ構造を含む水は、RO水について必要とされる同じpHレベルに到達するためにより多量の塩酸を必要とする。この作用は、アルカリ範囲よりも、酸性pH範囲での方が大きい。例えば、10μlの水酸化ナトリウム(1M)を(総和で)加えたとき、ROのpHが7.56から10.3に増大した。ナノ構造を含む水のpHは7.62から9.33に増大した。10μlの塩酸(0.5M)を(総和で)加えたとき、ROのpHが7.52から4.31に低下した。ナノ構造を含む水のpHは7.71から6.65に低下した。この特徴は7.7〜3のpH範囲においてより著しい。
【0170】
実施例6
ナノ構造を含む液体組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む液体組成物の影響を調べた。
【0171】
材料および方法
フェノールレッド溶液(20mg/25ml)を調製した。1mlを、45mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)に加えた。pHを測定し、必要ならば、滴定した。3mlのそれぞれの水+フェノールレッド溶液をキュベットに加えた。水酸化ナトリウムまたは塩酸の増大する体積をそれぞれのキュベットに加え、吸収スペクトルを分光光度計で読み取った。酸性溶液はピークを430nmにおいて与え、アルカリ性溶液はピークを557nmにおいて与える。波長の範囲は200nm〜800nmであり、しかし、0.02M水酸化ナトリウムの添加に関連しては、グラフは557nmの波長だけを示す。
【0172】
塩酸滴定:
RO:45ml pH5.8
1mlのフェノールレッドおよび5μlの水酸化ナトリウム(1M)を加えた。新しいpH=7.85
Neowater(商標)(#150905−106):45ml pH6.3
1mlのフェノールレッドおよび4μlの水酸化ナトリウム(1M)を加えた。新しいpH=7.19
【0173】
水酸化ナトリウム滴定:
I.RO:45ml pH5.78
1mlのフェノールレッド、6μlの塩酸(0.25M)および4μlの水酸化ナトリウム(0.5M)を加えた。新しいpH=4.43
Neowater(商標)(#150604−109):45ml pH8.8
1mlのフェノールレッドおよび45μlの塩酸(0.25M)を加えた。新しいpH=4.43
II.RO:45ml pH5.78
1mlのフェノールレッドおよび5μlの水酸化ナトリウム(0.5M)を加えた。新しいpH=6.46
Neowater(商標)(#120104−107):45ml pH8.68
1mlのフェノールレッドおよび5μlの塩酸(0.5M)を加えた。新しいpH=6.91
【0174】
結果
図7A〜Cおよび図8A〜Bに例示されるように、ナノ構造を含む水の緩衝能力はRO水の緩衝能力よりも大きかった。
【0175】
実施例7
RF水の緩衝能力
緩衝能力に対するRF水の影響を調べた。
【0176】
材料および方法
水酸化ナトリウム(1M)の数μlの液滴を加えて、150mlのRO水のpH(pH=5.8)を上げた。この水の50mlを3つのボトルに等分した。3つの処理を行った:
ボトル1:非処理(RO水)
ボトル2:30Wにより30分間照射されたRO水。このボトルは、滴定を開始する前に実験台に10分間放置された(RF水)。
ボトル3:pHが5に達したとき、2回目の照射に供されたRF水。照射後、このボトルは、滴定を開始する前に実験台に10分間放置された。
【0177】
1μlの0.5M塩酸を50mlの水に加えることによって滴定を行った。pH値が4.2未満に達したときに滴定を終えた。
【0178】
実験を三連で行った。
【0179】
結果
図9A〜Cおよび図10から理解され得るように、RF水およびRF2水は、ナノ構造を含む担体組成物の緩衝特性と類似する緩衝特性を含む。
【0180】
実施例8
ナノ構造を含む液体組成物の溶媒能力
下記の実験を、ナノ構造を含む液体組成物が、1mg/mlの濃度で水に溶解しないことがともに知られている2つの材料を溶解することができたかどうかを確認するために行った。
【0181】
A.エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
5回の試みを、粉末を様々な組成で溶解することを目指して行った。
組成は下記の通りであった:
A.10mgの粉末(赤色/白色)+990μlのNeowater(商標)。
B.10mgの粉末(赤色/白色)+990μlのNeowater(商標)(90分間脱水されたもの)。
C.10mgの粉末(赤色/白色)+495μlのNeowater(商標)+495μlのEtOH(50%−50%)。
D.10mgの粉末(赤色/白色)+900μlのNeowater(商標)+90μlのEtOH(90%−10%)。
E.10mgの粉末(赤色/白色)+820μlのNeowater(商標)+170μlのEtOH(80%−20%)。
【0182】
これらのチューブをボルテックスし、60℃に1時間加熱した。
【0183】
結果
1.白色粉末は5個すべての試験チューブにおいて溶解しなかった。
2.赤色粉末は溶解したが、しばらくして沈降した。
色がわずかに黄色に変化したので、試験チューブCは粉末をより良好に溶解したかのようであった。
【0184】
B.粉砕後の、エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
粉砕後、赤色粉末を4つの組成で溶解した:
A.1/2mgの赤色粉末+49.5μlのRO。
B.1/2mgの赤色粉末+49.5μlのNeowater(商標)。
C.1/2mgの赤色粉末+9.9μlのEtOH→39.65μlのNeowater(商標)(20%−80%)。
D.1/2mgの赤色粉末+24.75μlのEtOH→24.75μlのNeowater(商標)(50%−50%)。
総反応体積:50μl。
【0185】
これらのチューブをボルテックスし、60℃に1時間加熱した。
【0186】
結果
粉砕後、赤色粉末を溶解するために、Neowater(商標)との組合せにおいて、わずかに20%のエタノールだけが必要であった。
【0187】
C.徹底的な粉砕の後における、エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
2つの粉砕プロトコルを行った。第1は粉末単独に対してであり(バイアル1)、第2は、100μlのNeowater(商標)(1%)に分散された粉末に対してあった(バイアル2)。
【0188】
これら2つの組成物を2つのバイアルに入れ、攪拌機上に置いて、材料を一晩粉砕した。
【0189】
15時間後、100μlのNeowater(商標)を数分毎に10μlの滴定によって1mgの赤色粉末(バイアル1)に加えた。
【0190】
変化を、試験チューブの写真を0時間〜24時間の間で撮影することによってモニタリングした(図14F〜J)。
【0191】
比較として、2つのチューブを観察した。2つのうちの一方が、990μlのNeowater(商標)(90分間脱水されたもの)に分散された赤色粉末(1%溶液)を含み、他方が、50%エタノール/50%Neowater(商標)を含む溶液に分散された赤色粉末(1%溶液)を含んだ。チューブを60℃で1時間加熱した。これらのチューブが図14A〜Eに例示される。24時間の期間の後、それぞれの溶液からの2μlを採取し、その吸光度をnanodropで測定した(図15A〜C)。
【0192】
結果
図11A〜Jは、徹底的な粉砕の後では、赤色材料が24時間にわたって安定であり続け、沈下しないように、赤色材料を溶解することが可能であることを例示する。しかしながら、図11A〜Eは、時間が経過するとき、該材料は色が変化すること(安定でないこと)を示す。
【0193】
バイアル1はほとんど吸収しなかった(図12A);溶液Bの吸光度ピークは、左側(220nm)への変化を伴って220nm〜270nmの間にあり(図12B)、溶液Cの吸光度ピークは250nm〜330nmの間にあった(図12C)。
【0194】
結論
赤色材料を粉砕することにより、該材料をNeowater(商標)に分散させることがもたらされた。この分散物は24時間にわたって持続した。該材料をガラス製バイアルにおいて維持することにより、溶液は、100%の脱水Neowater(商標)およびEtOH−Neowater(商標)の両方において、その後72時間安定に保たれた。
【0195】
実施例9
ダイゼイン、ダウノルビシンおよびt−boc誘導体を溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が3つの材料(ダイゼイン−ダウノマイシンコンジュゲート(CD−Dau);ダウノルビシン(セルビジン塩酸塩);ダイゼインのt−boc誘導体(tboc−Daid)、これらのすべてが、水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0196】
材料および方法
A.CD−Dauの可溶化−パート1:
要求濃度:3mg/ml(Neowater)
属性:この材料を、DMSO、アセトン、アセトニトリルに溶解した。
属性:この材料をEtOHに溶解した。
【0197】
5個の異なるガラス製バイアルを調製した:
1.5mgのCD−Dau+1.2mlのNeowater(商標)。
2.1.8mgのCD−Dau+600μlのアセトン。
3.1.8mgのCD−Dau+150μlのアセトン+450μlのNeowater(商標)(25%アセトン)。
4.1.8mgのCD−Dau+600μlの10%*PEG(ポリエチレングリコール)。
5.1.8mgのCD−Dau+600μlのアセトン+600μlのNeowater(商標)。
【0198】
これらのサンプルをボルテックスし、分光光度計での測定を、バイアル#1、バイアル#4およびバイアル#5に対して行った。
【0199】
バイアルを、アセトンを蒸発させるために開けたままにした(バイアル#2、バイアル#3およびバイアル#5)。
【0200】
結果
バイアル#1(100%のNeowater):CD−Dauが数時間後に沈降した。
バイアル#2(100%のアセトン):CD−Dauがアセトン内に懸濁されたが、48時間後には、アセトンが材料を溶解したので、材料が部分的に沈降した。
バイアル#3(25%のアセトン):CD−Dauがあまり良好に溶解せず、材料が溶液内部に漂った(溶液は濁っているようであった)。
バイアル#4(10%PEG+Neowater):CD−Dauが、バイアル#1におけるCD−Dauよりも良好に溶解したが、CD−Dauは、100%アセトンとの混合物の場合ほど良好に溶解しなかった。
バイアル#5:CD−Dauが最初、アセトン内に懸濁され、CD−Dauが完全に溶解した後で、Neowater(商標)を、アセトンを交換するために加えた。最初、アセトンは、Neowater(商標)の存在にもかかわらず、この材料を溶解した。しかしながら、アセトンが蒸発するにつれ、材料は一部がバイアルの底に沈降した。しかしながら、材料は懸濁されたままであった。
【0201】
分光光度計での測定(図13)は、アセトンの存在下および非存在下の両方における材料の挙動を例示する。アセトンがある場合、水または10%PEGにより懸濁される材料(両方の場合に、これらは1つだけのピークを示すだけである)との比較において、2つのピークが存在する。
【0202】
B.CD−Dauの可溶化−パート2:
アセトンが、溶液#2、溶液#4および溶液#5から蒸発するとすぐに、材料はわずかに沈降した。さらなる量のアセトンをこれらのバイアルに加えた。このプロトコルは、材料をアセトンおよびNeowater(商標)の存在下で溶解することを可能にし、一方で、同時に、その後の、溶液からのアセトンの蒸発を可能にする(この処置を2回行った)。2回目のサイクルの後で、液相をバイアルから取り出し、さらなる量のアセトンを沈降した材料に加えた。沈降した材料が溶解すると、それを以前に取り出された液相と一緒にした。一緒にした溶液を再び蒸発させた。材料が全く溶解しなかったので、バイアル#1からの溶液を取り出し、代わりに、1.2mlのアセトンを沈降物に加えて、材料を溶解した。その後、1.2mlの10%PEG+Neowater(商標)もまた加え、しばらくした後で、アセトンを溶液から蒸発させた。これらの処置を終了したとき、これらのバイアルを一緒にして1つのバイアルにした(3mlの総体積)。この最終的な体積の上に、3mlのアセトンを、材料を溶解し且つ透明な液化溶液を収容するために加え、その後、この溶液を50℃で再び蒸発させた。溶液は平衡に達しなかった。これは、そのような状態に一旦達すると、溶液は分離してしまうであろうという事実のためである。平衡を避けることによって、材料の水和状態が維持され、液体として保たれた。溶媒を蒸発させた後、材料を清浄なバイアルに移し、真空条件下で閉じた。
【0203】
C.CD−Dauの可溶化−パート3:
別の3mlの材料(6mlの総体積)を、2mlのアセトン溶解材料と、以前の実験から残った1mlの残留材料とを加えることにより作製した。
【0204】
1.9mlのNeowater(商標)を、アセトンを含有するバイアルに加えた。
【0205】
100μlのアセトン+100μlのNeowater(商標)を残留材料に加えた。
【0206】
蒸発を、50℃に調節されたホットプレート上で行った。
【0207】
この処置を、溶液が安定になるまで3回繰り返した(アセトンの添加およびその蒸発)。
【0208】
これら2つのバイアルをまとめて一緒にした。
【0209】
これら2つの溶液を一緒にした後、材料がわずかに沈降した。アセトンを加え、溶媒の蒸発を繰り返した。
【0210】
バイアル(3ml+2ml)を混合する前に、本明細書中上記のパート2に記載されるような実験で調製された第1の溶液を9℃で一晩インキュベーションして、その結果、溶液が平衡に達し、平衡を維持することを確実にした。そうすることによって、既に溶解している材料は沈降しないはずである。翌朝、溶液の吸収を明らかにし、差グラフを得た(図14)。これら2つのバイアルを一緒にした後、材料がわずかに沈降するので、吸収測定を再び行った。一部の沈降の結果として、溶液をアセトン(5ml)の添加によって1:1で希釈し、続いて、溶液の蒸発をホットプレートにて50℃で行った。蒸発処置を行いながらでの溶液の分光光度計での読み取りはアセトンの存在のために変化した(図15)。これらの実験から、微量のアセトンが存在するとき、アセトンは、もたらされる吸収読み取りに影響を及ぼし得ることが暗示される。
【0211】
B.ダウノルビシン(セルビジン塩酸塩)の可溶化
要求濃度:2mg/ml
【0212】
材料および方法
2mgのダウノルビシン+1mlのNeowater(商標)を1つのバイアルにおいて調製し、2mgのダウノルビシン+1mlのROを第2のバイアルにおいて調製した。
【0213】
結果
この材料は、分光光度計での測定(図16)によって例示されるように、Neowater(商標)および水の両方において容易に溶解した。
【0214】
結論
ダウノルビシンは難なくNeowater(商標)および水に溶解する。
【0215】
C.t−bocの可溶化
要求濃度:4mg/ml
【0216】
材料および方法
1.14mlのEtOHを、18.5mgのt−boc(油状材料)を含有する1つのガラス製バイアルに加えた。その後、これを2つのバイアルに分け、1.74mlのNeowater(商標)またはRO水を、溶液が25%のEtOHを含むようにバイアルに加えた。分光光度計での測定の後、溶媒を溶液から蒸発させ、Neowater(商標)を両方のバイアルに加えてそれぞれのバイアルにおいて2.31mlの最終体積にした。これら2つのバイアルにおける溶液を1つの清浄なバイアルに一緒にし、真空条件下での輸送のためにパッケージングした。
【0217】
結果
分光光度計での測定が図17に例示される。この材料はエタノールに溶解した。Neowater(商標)を加え、その後、溶媒を熱(50℃)により蒸発させた後、この材料はNeowater(商標)に溶解することができた。
【0218】
結論
材料を溶解するための最適な方法は、最初、材料を溶媒(アセトン、酢酸またはエタノール)とともに溶解し、その後、親水性流体(Neowater(商標))を加え、続いて、その溶媒を、溶液を加熱し、溶媒を蒸発させることによって除くことである。
【0219】
実施例10
AG−14aおよびAG−14bを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が2つの薬草材料(AG−14AおよびAG−14B、これらはともに、25mg/mlの濃度で水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0220】
パート1
材料および方法
2.5mgのそれぞれの材料(AG−14AおよびAG−14B)を、4つのチューブのそれぞれにおける粉末の最終濃度が2.5mg/mlであるように、Neowater(商標)単独、または、75%のNeowater(商標)および25%のエタノールを含む溶液のいずれかで希釈した。これらのチューブをボルテックスし、50℃に加熱して、エタノールを蒸発させるようにした。
【0221】
結果
エタノールの存在下および非存在下でのNeowater(商標)における2つの薬草材料の分光光学的測定を図18A〜Dに示す。
【0222】
結論
ROにおける懸濁はAG−14Bを溶解しなかった。Neowater(商標)におけるAG−14Bの懸濁は凝集せず、これに対して、ROでは、AG−14Bが凝集した。
【0223】
AG−14AおよびAG−14BはNeowater/ROに溶解しなかった。
【0224】
パート2
材料および方法
5mgのAG−14AおよびAG−14Bを62.5μlのEtOH+187.5μlのNeowater(商標)で希釈した。さらに62.5μlのNeowater(商標)を加えた。これらのチューブをボルテックスし、50℃に加熱して、エタノールを蒸発させるようにした。
【0225】
結果
Neowater(商標)を加える前でのEtOHにおける溶解、その後、EtOHの蒸発により、AG−14AおよびAG−14Bが溶解した。
【0226】
図19に示されるように、AG−14AおよびAG−14Bは、48時間を超えて懸濁状態で安定なままであった。
【0227】
実施例11
ペプチドを溶解する、ナノ構造を含む担体の能力
ナノ構造を含む担体組成物が7つの細胞傷害性ペプチド(これらのすべてが、水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。加えて、Skov−3細胞に対するこれらのペプチドの影響を、ナノ構造を含む担体組成物がペプチドの細胞傷害活性に影響を及ぼしたかどうかを確認するために測定した。
【0228】
材料および方法
可溶化:7個すべてのペプチド(ペプチドX、X−5FU、NLS−E、Palm−PFPSYK(CMFU)、PFPSYKLRPG−NH2、NLS−p2−LHRHおよびF−LH−RH−palm kGFPSK)を0.5mMでNeowater(商標)に溶解した。分光光学的測定を行った。
【0229】
インビトロ実験:Skov−3細胞を96ウエルプレートにおいてマッコイ5A培地で増殖させ、1500細胞/ウエルの濃度に希釈した。24時間後、2μl(0.5mM、0.05mMおよび0.005mM)のペプチド溶液を、10−6M、10−7Mおよび10−8Mの最終濃度のために1mlのマッコイ5A培地でそれぞれ希釈した。9個の反復物をそれぞれの処理のために作製した。それぞれのプレートは、3つの濃度での2つのペプチド、および、コントロール処理の6つのウエルを含有した。90μlのマッコイ5A培地+ペプチドを細胞に加えた。1時間後、10μlのFBSを(競合を防止するために)加えた。細胞を、クリスタルバイオレットに基づく生存性アッセイで24時間後および48時間後に定量した。このアッセイにおける色素はDNAを染色する。可溶化したとき、単層により取り込まれた色素の量をプレート読取り機で定量した。
【0230】
結果
Neowater(商標)で希釈された7個のペプチドの分光光学的測定を図20A〜Gに示す。図21A〜Gに示されるように、溶解されたペプチドのすべてが細胞傷害活性を含んでいた。
【0231】
実施例12
レチノールを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物がレチノールを溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0232】
材料および方法
レチノール(ビタミンA)をSigma(Fluka、99%HPLC)から購入した。レチノールを下記の条件下でNeowater(商標)において可溶化した。
EtOHおよびNeowater(商標)における1%レチノール(1mlに0.01gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.5%レチノール(1mlに0.005gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.5%レチノール(25mlに0.125gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.25%レチノール(25mlに0.0625gr)。最終的なEtOH濃度:1.5%
【0233】
EtOHにおけるレチノールの吸光度スペクトル:レチノール溶液を、校正用グラフを作製するために、種々のレチノール濃度とともに無水EtOHにおいて作製した。吸光度スペクトルを分光光度計で検出した。
【0234】
Neowater(商標)における0.25%および0.5%のレチノールを有し、EtOHの濃度が不明である2つの溶液を分光光度計で検出した。数滴の油滴が水に溶解されないので、レチノールの実際の濃度もまた不明である。
【0235】
ろ過:Neowater(商標)における0.25%のレチノールを有し、EtOHの最終濃度が1.5%である2つの溶液を調製した。これらの溶液を0.44μlおよび0.2μlのフィルターでろ過した。
【0236】
結果
レチノールは、アルカリ性のNeowater(商標)において、酸性のNeowater(商標)よりも容易に可溶化した。溶液の色は黄色であり、この色は時間とともに退色した。吸光度実験において、0.5%のレチノールは、0.125%のレチノールと類似するパターンを示し、0.25%のレチノールは、0.03125%のレチノールと類似するパターンを示した(図22を参照のこと)。レチノールは熱において不安定であるので、(その融点は63℃であり)、レチノールはオートクレーブ処理することができない。ろ過は、レチノールが(EtOHに)完全に溶解されたときに可能であった。図23に示されるように、ろ過後の溶液におけるレチノールは0.03125%未満である。両方のろ液は、類似した結果を与えた。
【0237】
実施例13
材料Xを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料Xを40mg/mlの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0238】
パート1−水およびDMSOにおける溶解性
材料および方法
第1の試験チューブにおいて、25μlのNeowater(商標)を1mgの材料「X」に加えた。第2の試験チューブにおいて、25μlのDMSOを1mgの材料「X」に加えた。両方の試験チューブをボルテックスし、60℃に加熱し、振とう機で1時間振とうした。
【0239】
結果
この材料はNeowater(商標)に全く溶解しなかった(試験チューブ1)。この材料はDMSOに溶解し、黄褐色の色を与えた。これらの溶液を24時間〜48時間放置し、それらの安定性を経時的に分析した(図24A〜B)。
【0240】
結論
Neowater(商標)は材料「X」を溶解せず、材料が沈降し、これに対して、DMSOは材料「X」をほぼ完全に溶解した。
【0241】
パート2−DMSOの削減および異なる溶媒における材料の安定性/速度論の経時的な試験
材料および方法
それぞれが25μlの総反応体積を含有する6個の異なる試験チューブを分析した:
1.1mgの「X」+25μlのNeowater(商標)(100%)。
2.1mgの「X」+12.5μlのDMSO→12.5μlのNeowater(商標)(50%)。
3.1mgの「X」+12.5μlのDMSO+12.5μlのNeowater(商標)(50%)。
4.1mgの「X」+6.25μlのDMSO+18.75μlのNeowater(商標)(25%)。
5.1mgの「X」+25μlのNeowater(商標)+スクロース*(10%)。
6.1mgの「X」+12.5μlのDMSO+12.5μlの脱水Neowater(商標)**(50%)。
*0.1gのスクロース+1mlのNeowater(商標)=10%Neowater(商標)+スクロース
**脱水Neowater(商標)は、Neowater(商標)を60℃で90分間脱水することによって得た。
【0242】
すべての試験チューブをボルテックスし、60℃に加熱し、1時間振とうした。
【0243】
結果
6つの溶媒および材料Xを含む、時間0での試験チューブを図25A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後60分での試験チューブを図26A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後120分での試験チューブを図27A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後24時間での試験チューブを図28A〜Cに示す。
【0244】
結論
すべての試験チューブにおいて、材料が24時間後に沈降したので、材料「X」は期間中を通して安定なままではなかった。
【0245】
試験チューブ2の溶媒と、試験チューブ6の溶媒との間には、同じ割合の溶媒を含有するにもかかわらず、違いが認められる。これは、試験チューブ6が、非脱水のNeowater(商標)より疎水性である脱水Neowater(商標)を含有するためである。
【0246】
パート3 DMSOのさらなる削減および異なる溶媒における材料の安定性/速度論の経時的な試験
材料および方法
1mgの材料「X」+50μlのDMSOをガラス製チューブに入れた。50μlのNeowater(商標)をチューブに少しずつ加え(数秒毎に、5μl)、その後、Neowater(商標)の溶液(9%DMSO+91%Neowater(商標))500μlを加えた。
【0247】
第2のガラス製チューブにおいて、1mgの材料「X」+50μlのDMSOを加えた。50μlのROをチューブに少しずつ加え(数秒毎に、5μl)、その後、ROの溶液(9%DMSO+91%RO)500μlを加えた。
【0248】
結果
図29A〜Dに例示されるように、材料「X」は、Neowater(商標)を含む溶液に分散されたままであったが、RO水を含む溶液では、チューブの底に沈降した。図30は、ボルテックス後6時間での、RO/Neowater(商標)およびアセトンに分散された材料の吸収特徴を示す。
【0249】
結論
材料「X」が、Neowater(商標)と比較したとき、ROに異なって溶解すること、および、材料「X」は、ROと比較したとき、Neowater(商標)においてより安定であることが明らかである。分光光度計での測定(図30)からは、グラフ下面積がROの場合よりも大きいので、材料「X」が、5時間後でさえ、Neowater(商標)にはより良好に溶解していたことが明らかである。Neowater(商標)は材料「X」を水和することが明らかである。DMSOの量を20%〜80%減らすことができ、また、材料「X」を水和し、材料「X」をNeowater(商標)に分散する、Neowater(商標)に基づく溶液を得ることができる。
【0250】
実施例14
SPL2101およびSPL5217を溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料SPL2101およびSPL5217を30mg/mlの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0251】
材料および方法
SPL2101をその最適な溶媒(エタノール)に溶解し(図31A)、SPL5217をその最適な溶媒(アセトン)に溶解した(図31B)。これら2つの化合物をガラス製バイアルに入れ、冷暗所環境で保った。微量の溶媒が全く認められなくなるまで、溶媒の蒸発をデシケータにおいて長時間行い、Neowater(商標)を溶液に加えた。
【0252】
結果
SPL2101およびSPL5217は、図32A〜Bにおける分光光度計データによって示されるように、Neowater(商標)に溶解した。
【0253】
実施例15
タキソールを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料タキソール(パクリタキセル)を0.5mMの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0254】
材料および方法
可溶化:0.5mMのタキソール溶液を、DMSO、または、17%のEtOHを伴うNeowater(商標)のいずれかで調製した(4mlにおいて0.0017gr)。吸光度を分光光度計により検出した。
細胞生存性アッセイ:150000個の293T細胞を3mlのDMEM培地とともに6ウエルプレートに播種した。それぞれの処理物を、ROまたはNeowater(商標)に基づくDMEM培地で増殖させた。タキソール(Neowater(商標)またはDMSOに溶解されたもの)を1.666μMの最終濃度に加えた(3mlの培地中10μlの0.5mMタキソール)。細胞をタキソールによる24時間処理の後で集め、死細胞を検出するためのトリパンブルー溶液を使用して計数した。
【0255】
結果
タキソールは、図33A〜Bに示されるように、DMSOおよびNeowater(商標)の両方に溶解した。タキソールの様々な溶液の後での293T細胞の生存性を図34に示す。
【0256】
結論
タキソールは、Neowater(商標)における溶液の後で細胞傷害作用を含んでいた。
【0257】
実施例16
ナノ構造を含む液体組成物の安定化作用
ナノ構造を含む液体組成物がタンパク質の安定性をもたらしたかを確認するために、下記の実験を行った。
【0258】
材料および方法
2つの市販のTaqポリメラーゼ酵素(Peq−labおよびBio−lab)を、ddH2O(RO)におけるそれらの活性、および、ナノ構造を含む担体(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)におけるそれらの活性を求めるために、PCR反応において調べた。酵素を1時間〜2.5時間までの種々の期間にわたって95℃に加熱した。2つのタイプの反応液を作製した:
水のみ−酵素および水のみを煮沸した。
中味すべて−反応成分のすべてを煮沸した(酵素、水、緩衝液、dNTP類、ゲノムDNAおよびプライマー)。
【0259】
煮沸後、必要とされる任意のさらなる反応成分をPCRチューブに加え、通常のPCRプログラムを30サイクルに設定した。
【0260】
結果
図35A〜Bに示されるように、ナノ構造を含む液体組成物は、成分のすべてが熱ストレスに供された条件、および、酵素のみが熱ストレスに供された条件の両方の下で、酵素を加熱から保護した。対照的に、RO水は、成分のすべてが熱ストレスに供された条件下で、酵素を加熱から保護しただけであった。
【0261】
実施例17
ナノ構造を含む液体組成物の安定化作用のさらなる例示
ナノ構造を含む液体組成物が2つの市販のTaqポリメラーゼ酵素(Peq−labおよびBio−lab)の安定性をもたらしたかを確認するために、下記の実験を行った。
【0262】
材料および方法
PCR反応を下記のように設定した:
Peq−labサンプル:ナノ構造を含む液体組成物(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)、または、蒸留水(逆浸透=RO)のいずれか20.4μl。
0.1μlのTaqポリメラーゼ(Peq−lab、Taq DNAポリメラーゼ、5U/μl)
【0263】
3つのサンプルを設定し、95℃の一定温度でのPCR装置に入れた。インキュベーション時間は、60分、75分および90分であった。
【0264】
Taq酵素の煮沸の後、下記の成分を加えた:
2.5μlの10X反応緩衝液Y(Peq−lab)
0.5μlのdNTP類(10mM)(Bio−lab)
1μlのプライマー GAPDHミックス 10pmol/μl
0.5μlのゲノムDNA 35μg/μl
【0265】
Biolabサンプル
ナノ構造を含む液体組成物(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)、または、蒸留水(逆浸透=RO)のいずれか18.9μl。
0.1μlのTaqポリメラーゼ(Bio−lab、Taqポリメラーゼ、5U/μl)
【0266】
5つのサンプルを設定し、95℃の一定温度でのPCR装置に入れた。インキュベーション時間は、60分、75分、90分、120分および150分であった。
【0267】
Taq酵素の煮沸の後、下記の成分を加えた:
2.5μlのTAQ 10X緩衝液(Mg非含有)(Bio−lab)
1.5μlのMgCl2(25mM)(Bio−lab)
0.5μlのdNTP類(10mM)(Bio−lab)
1μlのプライマー GAPDHミックス(10pmol/μl)
0.5μlのゲノムDNA(35μg/μl)
【0268】
それぞれの処理(NeowaterまたはRO)のために、陽性コントロールおよび陰性コントロールを作製した。陽性コントロールは、酵素を煮沸することを伴わないものであった。陰性コントロールは、酵素を煮沸することを伴わず、かつ、DNAを反応において伴わないものであった。PCRミックスを、煮沸taqアッセイ、ならびに、コントロール反応のために作製した。
【0269】
サンプルをPCR装置に入れ、下記のように操作した:
PCRプログラム:
1.94℃で2分間の変性
2.94℃で30秒間の変性
3.60℃で30秒間のアニーリング
4.72℃で30秒間の伸長
工程2〜4を30回繰り返す
5.72℃で10分間の伸長
【0270】
結果
図36に示されるように、ナノ構造を含む液体組成物は、1.5時間までの期間、両方の酵素を熱ストレスから保護した。
【0271】
実施例18
ナノ構造を含む液体組成物はタキソールを溶解することができることのさらなる証拠
下記の実験を、ナノ構造を含む液体組成物が0.08%のエタノールの存在下において0.5mMの最終濃度で物質タキソール(パクリタキセル)を溶解することができたかどうかを確認するために行った。
【0272】
材料および方法
可溶化:0.5mMのタキソール溶液を調製した(4mlにおいて0.0017gr)。タキソールをエタノールに溶解し、20日間に及ぶRT緩速溶媒交換手法を使用してNeowater(商標)に交換した。この手法が終了したとき、40%未満のエタノールが溶液中に残存し、最終的な投与濃度において0.08%のエタノールをもたらした。溶液を、0.2μmのフィルターを使用して滅菌した。別途、タキソールをDMSOにおいて調製した(0.5mM)。両方の溶液を−20℃で保った。吸光度を分光光度計により検出した。
【0273】
細胞生存性アッセイ:2000個のPC3細胞を、10%のFCSを含むRPMIに基づく培地の100μlとともに96ウエルプレートの各ウエルに播種した。播種後24時間で、0.5mMタキソールの2μl、1μlおよび0.5μlを1mlのRPMI培地で希釈し、これにより、1μM、0.5μMおよび0.25μMの最終濃度をそれぞれ得た。少なくとも8個の反復する反応を処理あたり行った。細胞増殖を、タキソール添加後24時間で、クリスタルバイオレット比色アッセイを使用して細胞密度を定量することによって評価した。
【0274】
処理後24時間で、細胞をPBSにより洗浄し、4%パラホルムアルデヒドにより固定処理した。クリスタルバイオレットを加え、室温で10分間インキュベーションした。細胞を3回洗浄した後、50%エタノールにおいて100mMクエン酸ナトリウムを含む溶液を使用して、色を細胞から溶出した。光学濃度の変化を、分光光度法によるプレートリーダーを使用して570nmで読み取った。細胞生存性を、ブランクを引いた後、コントロールでの光学濃度(これは100%であると見なされる)の百分率として表した。
【0275】
結果
DMSOまたはNeowater(商標)に溶解された0.5mMタキソールの分光光度法による吸光度が図37Aに例示される。図37B〜図37Cは両方の配合物についてのHPLCによる読み取りである。測定結果は、Neowater(商標)に分散されたタキソールの配合物における構造的な変化が6ヶ月の貯蔵期間の後で何ら生じないことを示した。
【0276】
細胞生存性のタキソール誘導による喪失の結果が、DMSOまたはNeowater(商標)に溶解した後において図38に例示される。
【0277】
結論
Neowater(商標)に溶解されたタキソール(0.08%のエタノールを最終的な作業濃度において有する)は、DMSOに溶解されたタキソールと類似する、ヒト前立腺ガン細胞株に対するインビトロ細胞生存性/細胞毒性を示した。
【0278】
実施例19
ヒトハイブリドーマの単離に対する、ナノ構造を含む水の影響を例示するさらなる実験
下記の実験を、ナノ構造を含む水が、モノクローナル抗体作製の最初の段階、すなわち、ハイブリドーマの単離に影響を及ぼすかどうかを確認するために行った。
【0279】
細胞増殖のための試薬:細胞増殖のための培地および補充物のすべてをGIBCO BRL,Life Technologiesから購入した。RPMI1640およびDMEMを粉末形態で購入し、NPDまたはDI水のいずれかにおいて再構成した。再構成後、重炭酸ナトリウムを製造者の勧めに従って培地に加え、pHのさらなる調節は行わなかった。使用前に、培地のすべてを0.22μmのフィルター(Millipore)でろ過滅菌した。ハイブリドーマ細胞の増殖のために、RPMIには、10%ウシ胎児血清、L−グルタミン(4mM)、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(0.1mg/mL)、MEM−ビタミン(0.1mM)、非必須アミノ酸(0.1mM)およびピルビン酸ナトリウム(1mM)が補充された。上記補充物のすべてを液体形態で購入し、製造者から得られたそのままで使用した(このことは、それらがNeowater(商標)またはコントロールの水(DIに基づく培地−18.2メガオームの超純粋な脱イオン水(DI水、UHQ PS、ELGA Labwater))に希釈されたことを意味する)。8−アザグアニン、HTおよびHATをSigmaから購入し、NPDまたはDIでのRPMIを用いて粉末形態から再構成した。ヒト初代線維芽細胞およびCHO細胞の増殖のために使用されたDMEMには、10%ウシ胎児血清、L−グルタミン(4mM)、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(0.1mg/mL)が補充された。ハイブリドーマクローン化因子をBioVerisから購入した。
【0280】
化学試薬:粉末化PBSをGIBCO BRL,Life Technologiesから得た。PEG−1500(P5402、Sigma)をSigmaから購入し、Neowater(商標)またはコントロールの水に基づく無菌PBSを用いて再構成した(50%w/v)。調製物をpH7.2に調節し、DMSO(v/v)(Sigma)を10%に加え、その後、PEG溶液を0.45μmのフィルター(Millipore)でろ過滅菌した。ハンクス平衡塩溶液をBiological Industries Beit−HaEmek LTD(イスラエル)から購入し、Neowater(商標)に基づく実験およびコントロールに基づく実験のためにそのまま使用した。ELISAプレートをコーティングするための炭酸塩−重炭酸塩緩衝液(0.05M、pH=9.6)、OPD(0.4mg/mLで使用)およびリン酸塩−クエン酸塩緩衝液(0.05M、pH=5.0)をSigmaから購入した。
【0281】
抗体:ヤギ抗ヒトIgM/IgGおよびHRPコンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgM/IgGをJackson ImmunoResearchから購入した。標準ヒトIgM/IgGをSigmaから購入した。
【0282】
細胞:これらの実験で使用されたすべての細胞(MFP−2、CHOおよび初代ヒト線維芽細胞)をNeowater(商標)に基づく培地およびコントロールに基づく培地のいずれかにおいて1週間維持し、細胞を実験前に培地になじませるようにした。加えて、融合パートナー細胞株MFP−2を、ウシ胎児血清および添加物が、HGPRT陰性の表現型を維持するための8−アザグアニンとともに添加されたRPMI1640において維持した。初代ヒト線維芽細胞をATCCから得て、DMEMにおいて維持した。CHO細胞株をDMEMにおいて維持した。すべての細胞培養を、ウシ胎児血清、グルタミンおよびペニシリン/ストレプトマイシンが添加された培養培地からなる完全培地において行った。MFP−2細胞株については、ビタミン、非必須アミノ酸およびピルビン酸塩もまた、完全培地において添加された。
【0283】
方法
細胞融合:PEG1450を用いた化学的融合技術[Kohler G、Milstein C(1975)、Nature、256:495〜497]を用いた。この場合、PEG1450は、ヒト末梢血リンパ球とのハイブリドーマを作出するために融合剤として作用する。PEG1450は典型的には、10%のDMSOが添加されるPBSにおいて調製される。これらの実験のために、Neowater(商標)を使用して、PBSを調製し、その後、このPBSを使用して、PEG/DMSO溶液を作製した;コントロール調製物として、コントロールの水に基づくPBSにおいて調製されたPEGを使用した。Neowater(商標)をコントロールの水に対して比較するすべての融合実験のために、すべての試薬を、ウシ胎児血清および高濃度の補充物を除いて、Neowater(商標)またはコントロールの水のいずれかにおいて調製した。加えて、PEG−1450を用いた融合の後でのハンクス平衡塩(HBSS)における細胞の希釈(下記参照)を、HBSSの購入された液体形態物(Beit HaEmek、イスラエル)を製造者から得られたそのままで使用して行った。
【0284】
ハイブリドーマの作製のために、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を40mLの新たに採血された全血から単離し、Histopaque1077(Sigma)により精製し、コントロールの水に基づく血清非含有の培養培地で4回洗浄した。MFP−2融合パートナー細胞をNeowater(商標)に基づく培地またはコントロールの水に基づく培地のいずれかにおいて増殖させ、その後、血清非含有のそれぞれの培地により4回洗浄した。それぞれの実験のために、PBMCの1つの回分処理物を2つの等量物に分け、それらの一方をNeowater(商標)での融合のために使用し、もう一方をコントロールの水での融合のために使用した。次に、MFP−2およびPBMCをNeowater(商標)に基づく血清非含有培地またはコントロールの水に基づく血清非含有培地のいずれかにおいて混合し、ペレット化した。その後、37℃に予熱されたPEG−1450を、混合された細胞の10〜200x106個について300μLで加えた。細胞混合物を、絶えず振とうしながらPEGとともに3分間インキュベーションした。その後、PEGをハンクス平衡塩溶液および完全RPMI(Neowater(商標)またはコントロールの水のいずれかにおいて調製されたもの)により細胞混合物から希釈した。得られた細胞懸濁物に、ウシ胎児血清(10%)およびHT(x2)を加えた。このプロセスで作製されたハイブリドーマを、HAT選抜とともに完全RPMIにおいて96ウエルプレートで培養した(約2x106リンパ球/ウエルの細胞密度)。免疫グロブリン産生についての上清のスクリーニングを、ハイブリドーマ細胞がウエルのおよそ1/4を占めた後で行った。
【0285】
サンドイッチELISA:サンドイッチELISAを使用して、ハイブリドーマの上清をIgM/IgGについてスクリーニングした。簡単に記載すると、捕獲抗体(ヤギ抗ヒトIgM/IgG)を炭酸塩/重炭酸塩緩衝液において調製し、100ng/100μL/ウエルの濃度で96ウエルプレートに加えた。その後、プレートを4℃で一晩インキュベーションした。下記の工程のすべてを室温で行った。PBSにおける0.3%乾燥乳による1時間のブロッキング処理の後、ハイブリドーマからの上清を1.5時間加えた。PBSにおいて1:500で希釈されたヒト血清を陽性コントロールとして使用した。バックグラウンドのために、また、陰性コントロールとして、ハイブリドーマ増殖培地を使用した。二次抗体(HRPコンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgM/IgG)を1:5000の濃度でブロッキング溶液において調製し、1時間インキュベーションした。比色反応を生じさせるために、プレートを、0.03%のH2O2を含有するリン酸塩−クエン酸塩緩衝液においてOPDとインキュベーションした。発色反応を15分後に10%HClにより停止させた。反応の読み取りおよび記録を、492nmの波長フィルターを使用してMultiscan−Ascent(Thermo Scientific)ELISAリーダーにより行った。使用されたすべての試薬は、NPDまたはDIに基づくハイブリドーマ上清からなったサンドイッチ層を除いて標準物であった。
【0286】
クローン化:選ばれたクローンの200個の細胞を10mLの培地の体積で希釈し、平均して各ウエルが1個〜2個の細胞を含有するように96ウエルプレートに播種した(100μL/ウエル)。細胞をインキュベーションし、定期的に養分補給し、クローンの増殖について顕微鏡でモニターした。クローンがウエルの1/4〜1/2を占めたとき、その上清を分析した。クローン化の効率をプレートあたりの生育可能なクローンの数で表した。10パーセントのHCF(ハイブリドーマクローン化因子)を実験設計に従って加えた。
【0287】
細胞増殖アッセイ:初代細胞株および不死化細胞株の増殖をクリスタルバイオレット色素保持アッセイによりモニターした。一定数の細胞を多数の反復で96ウエルプレートに播種した。細胞の増殖を4%ホルムアルデヒドにおける固定処理によって停止させた。その後、固定処理された細胞を0.5%クリスタルバイオレットにより染色し、その後、水による洗浄を何回も行った。保持された色素を50%エタノール(v/v)における0.1Mクエン酸ナトリウムの100μL/ウエルにおいて抽出した。その後、ウエルの吸光度をMultiscan−Ascentマイクロプレートリーダーおよび適切なフィルターにより550nmで読み取った。
【0288】
初代ヒト線維芽細胞:20代目の継代培養から出発して、ヒト線維芽細胞を培養し、細胞が線維芽細胞の典型的な形態学を示し、その数が、最初に播種された量よりも少なく低下しない限り、毎週、継代培養した。継代数および計算された集団倍加を記録した。細胞の形態学および生存性を顕微鏡でモニターした。これらの実験で使用されたヒト線維芽細胞は、一般には、集団倍加が25であった。
【0289】
データ分析:Neowater(商標)に基づく実験と、コントロールに基づく実験との間での、融合およびクローン化の効率における差の統計学的有意性を、χ二乗検定によって求めた。初代ヒト線維芽細胞を用いた増殖試験の結果をアンペアードスチューデントt検定によって分析した。0.05未満の統計学的p値を有意であると見なした。
【0290】
結果
Neowater(商標)は、ヒトモノクローナル抗体を作製するためのハイブリドーマ形成の効率を高める
化学的融合実験の結果が図39に示される。これらの実験のために、1人の個体に由来するPBMCを、Neowater(商標)に基づく環境またはコントロールに基づく環境のいずれかにおける融合のために、精製後、2つの群に分けた。NPDの環境と、DIの環境との間での、ハイブリドーマの収率における統計学的有意差が見られた。Neowater(商標)に基づく融合実験におけるハイブリドーマの収率が、コントロールに基づく培地における並行した融合と比較してより大きいことについての明白な傾向が認められた。強化の割合が、[(Neowater(商標)での融合におけるハイブリドーマの数/コントロールの水での融合におけるハイブリドーマの数)x100%−100%]の式によって計算された。これらの結果が図39に示される。強化の程度は一定でなく、一連の8個の融合実験の中では、22パーセントから227パーセントまで変動した。NPDにおける増大した融合効率は一定していないが、このことは、それぞれの融合が、異なるドナーに由来するリンパ球を用いて行われたので、予想外のことではない。そのようなものとして、ハイブリドーマの形成に対するNPD水性環境の影響の大きさは、ある程度は遺伝的背景の関数である。
【0291】
NPD水におけるハイブリドーマサブクローンの増大した収率
モノクローナル抗体作製のプロセスにおける極めて重要な工程の1つが、安定なサブクローンを、特異的なモノクローナル抗体の分泌について陽性であることが見出された最初のハイブリドーマ集団から単離することである。これは、典型的には、特異的な最初のハイブリドーマクローンの連続したサブクローン化によって達成される。ウエルあたり1個〜2個の細胞を播種することを伴うサブクローン化の目的は、遺伝的に安定しており、ただ1つのモノクローナル抗体を産生する単一起原のクローンを作製することである。このプロセスの期間中に、ハイブリドーマ細胞は、遺伝的不安定性のために死に至る可能性があるか、または、増殖し得るが、抗体を産生するその能力を失う可能性がある。これらの困難を克服するために、クローンの増殖および安定化を容易にする様々な因子を含有するマクロファージ馴化培地からなるハイブリドーマクローン化因子(HCF)が使用される。しかしながら、使用される融合パートナー細胞株はミエローマ起原であるので、そのような融合パートナー細胞株により作製されるハイブリドーマは、ハイブリドーマ自身のクローン拡大を促進させるオートクリン因子を分泌すると考えられる。しかしながら、これらの因子のオートクリン作用は、それらの濃度が比較的低いために標準的なインビトロ培養では明らかではない。Neowater(商標)に基づく培地が生物学的利用能を高めることができるか、したがって、これらの分泌された因子のオートクリン活性を、細胞局在化濃度における増大によって調べた。これは、最初のハイブリドーマ細胞をNeowater(商標)に基づく培地に対してコントロールの水に基づく培地においてサブクローン化し、また、HCFを両方のクローン化培地に加えることの影響をも観察することによって最も良く達成された。
【0292】
PBMCをMFP−2と融合させ、最初のハイブリドーマクローンを増殖させた後、抗体産生ハイブリドーマを特定し、補充物を含むNeowater(商標)に基づく培地またはコントロールの水に基づく培地においてサブクローン化した。これらの実験の結果が表6に示される。全体的には、試験されたそれぞれの最初のハイブリドーマについて、Neowater(商標)に基づく培地でのより大きなクローン増殖が、コントロールの水に基づく培地と比較して観測された。HCFがNeowater(商標)に基づく培地およびコントロールの水に基づく培地の両方に加えられたとき、両方の配合物におけるクローンの数における類似した割合の増加が認められた。最後に、図40に示されるように、準安定なクローンからの細胞のクローン形成能もまた、NPDに基づく培地では高まる。
表6:1つの最初の抗体産生ハイブリドーマクローンから、200個の細胞を計数し、10mLの体積に加え、96ウエルプレート全体に播種した(平均して1〜2細胞/100μL/ウエル)。表は、それぞれの処理において顕微鏡で計数された生育可能なサブクローンの数(および括弧内に百分率)を示す。
【0293】
χ二乗分析:
DI−RPMI+HCF対DI−RPMI p=0.008;DI−RPMI+HCF対NPD−RPMI p=有意でない;DI−RPMI+HCF対NPD−RPMI+HCF p=0.008;NPD−RPMI+HCF対DI−RPMI p<0.00001;NPD−RPMI+HCF対NPD−RPMI p=0.002;NPD−RPMI対DI−RPMI p=0.03。
【0294】
NPD水において増殖させたハイブリドーマからのモノクローナル抗体の増大した分泌。モノクローナル抗体の分泌に対するNeowater(商標)の水性環境の影響を研究するために、いくつかの安定化されたハイブリドーマクローンからのヒトモノクローナル抗体の産生を研究した。抗体を5年以上にわたって安定に産生し続けているハイブリドーマクローンをコントロールの水に基づく培地において増殖させ、その後、2つの並行培養物をそれから調製した。一方をNeowater(商標)に基づく培地において調製し、もう一方をコントロールの水に基づく培地において調製した。数日間なじませた後、細胞を反復して等しい密度で播種し、5日間の増殖の後、上清を集め、抗体濃度を標準的なサンドイッチELISAによって測定した。これらの実験のうちの1つの結果を図41Aに示したが、すべては、類似する結果を示した。グラフから明白であるように、反復するNeowater(商標)に基づく培養からの収量はやや一定していなかった(Neowater(商標)に基づく培養での濃度は101μg/mLから40μg/mLまで変動し、これに対して、コントロールの水では、その範囲ははるかにより狭く、30μg/mL〜32μg/mLであった)が、全体的に、モノクローナル抗体の収量は、Neowater(商標)に基づく培地の方が多かった。しかしながら、一部の細胞はNeowater(商標)に基づく培地においてより速く増殖する(下記参照)。したがって、この結果は、細胞あたりのより大きい分泌ではなく、むしろ、類似する分泌を有する細胞のより大きい増殖を反映しているかもしれない。このバイアスを除くために、抗体濃度をそれぞれの培養における細胞数に対して正規化した(図41B)。正規化の後では、結果は回分処理物の濃度に類似しており、Neowater(商標)に基づく培地におけるモノクローナル抗体の分泌が、コントロールの水に基づく培地において得られる分泌のほぼ2倍であることを示している。
【0295】
分泌に対するNeowater(商標)培地の影響をさらに研究するために、モノクローナル抗体の分泌を、低下させた血清で増殖させた培養物において調べた。この実験は、あまり活発でなく(10%のウシ胎児血清を有する完全培地と比較して相対的に休止しており)、しかし、依然として代謝的に活発であり、それにより、Neowater(商標)に基づく培地の増殖バイアスの一部を排除する培養物における分泌を調べることを可能にした。図42はこれらの実験の結果を示す。実験では、3%FCSにおいて反復して増殖させた安定なハイブリドーマクローンの毎日の抗体濃度および生細胞カウント数の両方が定量された。Neowater(商標)での培養において、抗体濃度は、培養における生細胞の量とともに変化した。細胞増殖および数における変動はまた、抗体の濃度にもまた影響を与えた培地交換および養分補給の関数でもあった(4日目および10日目に、培地が、細胞に養分補給するために培養物に添加され、6日目に、培地が完全に取り替えられた)。対照的に、コントロールの水での培養における細胞は増殖を保ち、しかし、何らかの測定可能な量の抗体を産生することができなかった。図42におけるグラフは、ハイブリドーマ細胞増殖と、培養物の抗体含有量との間における典型的な関係を示す。一般に、Neowater(商標)に基づく培地では、抗体の量が、養分供給後の増殖バーストの後で生じる細胞数における増大の後で増大する。グラフのパターンは、培地交換からの抗体濃度に対する希釈効果を反映し、また、(培地交換後6日目の)細胞増殖における付随する急な増大もまた反映する。
【0296】
Neowater(商標)に基づく水性環境における細胞増殖
ハイブリドーマクローンを用いた前回の実験の結果は、Neowater(商標)に基づく培地がヒトハイブリドーマ細胞のクローン拡大およびクローン生存性に影響を及ぼしたことを示唆した。この仮説をさらに調べるために、不死性CHO細胞株および初代ヒト線維芽細胞の増殖をNeowater(商標)に基づく培地およびコントロールの水に基づく培地において研究した。
【0297】
不死性細胞株はNeowater(商標)においてより速く増殖する
CHO細胞を、並行するNeowater(商標)に基づく完全DMEMでの培養およびコントロールの水に基づく完全DMEMでの培養において増殖させた。細胞を、反復する培養において1.5x106個/10cmペトリディッシュの初期密度で播種した。一晩増殖させた後、細胞をトリプシン処理によって剥がし、計数した。結果が図43A〜図43Cに示され、Neowater(商標)培地では、細胞が平均してほぼ30%速く増殖したことが明らかにされる。CHO細胞の増殖に対する血清枯渇の影響を調べるために、細胞を、5%または1%のFCSを有する並行するNeowater(商標)に基づく培養およびコントロールの水に基づく培養において反復して播種した。これらの実験において、細胞量をクリスタルバイオレット色素保持アッセイによって定量した。この実験の結果は、結果が図43A〜図43Cに例示されるが、血清を低下させた条件のもとでは、細胞は、コントロールの水に基づく培地と比較して、Neowater(商標)に基づく培地においてより速く増殖することを示している。
【0298】
初代ヒト線維芽細胞はNPD水においてより遅く増殖する
比較的少ない継代培養(20回の集団倍加)での初代ヒト線維芽細胞を最初に、Neowater(商標)に基づく培地およびコントロールの水に基づく培地において培養して、細胞をそれらのそれぞれの増殖培地になじませた。初代線維芽細胞は細胞密度に対して敏感であるので、Neowater(商標)に基づく培地対コントロールの水に基づく培地の影響を、異なる初期播種密度を用いて細胞増殖に対して調べた。96ウエルプレートにおいて、2つの細胞密度を、反復したウエルで、Neowater(商標)に基づく培地およびコントロールの水に基づく培地の両方において播種した(ウエルあたり5000個および10000個の細胞)。一晩増殖させた後、プレートをクリスタルバイオレット色素保持アッセイにより分析した。このアッセイの結果が図44Aに示される。両方の細胞密度で、コントロールの水に基づく培地において増殖させた線維芽細胞は、Neowater(商標)に基づく培地での場合よりも速く増殖した。この違いは、非常に統計学的に有意であることが見出された(p<0.0001)。差の百分率を計算すると、密度が大きい場合、処理間の差は、密度が低い場合(44%)よりも顕著であった(56%)ことが示された。
【0299】
初代ヒト線維芽細胞の増殖に対するNPDに基づく培地の影響をさらに研究するために、反復した培養での8日間にわたるコントロールの水に基づく培地およびNeowater(商標)に基づく培地における線維芽細胞の増殖を調べた。前回の実験では、線維芽細胞が、DIに基づく培地においてこの密度で十分に増殖したので、細胞を、反復する並行培養においてウエルあたり10000個の細胞で播種した。この実験からの増殖曲線が図44Bに示される。曲線から明白であるように、初代ヒト線維芽細胞は、コントロールの水に基づく培地と比較して、Neowater(商標)に基づく培地では増殖が不良であった。このことは、Neowater(商標)における環境が初代線維芽細胞の増殖のためにそれほど有利でないことを示しており、また、線維芽細胞の増殖は細胞密度の関数であるので、細胞−細胞の探知がやや損なわれることを示唆する。
【0300】
実施例20
間葉系幹細胞(MSC)の増殖に対する、ナノ構造を含む水の影響
MSCは、自身およびその周りの細胞に影響を与える様々な因子を分泌することが知られているオートクリン/パラクリン細胞である(CaplanおよびDennis、2006、J Cell Biochem、98(5):1076〜84)。Gregory他(Gregory,Singh他、2003、J Biol Chem、2003(Jul 25);278(30):28067〜78、Epub、2003年5月9日)は、1cm2あたり5個の細胞での培養MSCが、その増殖を高めるWntシグナル伝達経路のdickkpof1(DKK1)を分泌することを示している。類似する効果を、非常に低い密度で播種された増殖性の高い細胞に由来する20%の培地を添加することによって達成することができる。
【0301】
下記の実験を、MSCの増殖に対するNeowater(商標)の影響を明らかにするために行った。
【0302】
材料および方法
細胞培養:ヒト骨髄(BM)細胞を、承認されたプロトコルのもと、Laniado HospitalおよびTel Aviv大学において成人ドナーから得た。ヒト骨髄細胞を本質的には記載されるように培養した。簡単に記載すると、10mlのBM吸引物を19歳〜70歳の男性ドナーおよび女性ドナーの腸骨稜から採取した。単核細胞を、密度勾配(ficoll/paque、Sigma)を使用して単離し、25mMグルコースを含有し、16%のFBS(ロット番号:CPB0183、Hyclone、Logan、Utah)、100ユニット/mlのペニシリン、100mg/mlのストレプトマイシンおよび2mMのL−グルタミンが補充されたαMEM培地に再懸濁した(すべての培養培地成分を、別途示されない限り、Biological Industries(Beth Haemek、イスラエル)から得た)。細胞を10cmの培養ディッシュ(Corning、NY)に置床し、5%の加湿CO2とともに37℃でインキュベーションした。24時間後、非接着性の細胞を捨て、接着性の細胞をPBSにより2回徹底的に洗浄した。細胞を5日間〜7日間インキュベーションし、0.25%トリプシンおよび1mM EDTAによる37℃での5分間の処理によって集め、1cm2あたり50個〜100個の細胞で播種し、コンフルエンスにまで培養した。これを継代培養1と名付けた。継代培養1に由来する細胞を50細胞/cm2〜100細胞/cm2の密度で24ウエルプレートに播種し、Neowater(商標)またはRO水に基づく培地(これは粉末化培地(Biological industries(Beit Haemek、イスラエル)、01−055−1A)から調製された)において培養した。細胞の生存性を、5日毎に1回、合計で20日間、クリスタルバイオレットアッセイによってアッセイした。加えて、ドナーの1人に由来する細胞を6ウエルプレートに上記密度で播種し(三連)、細胞を、血球計を使用して計数した。
【0303】
結果
継代培養2〜継代培養4に由来する3名の骨髄ドナー(1名の女性および2名の男性)を50細胞/cm2〜100細胞/cm2の密度で増殖させ、細胞カウント(図45)およびクリスタルバイオレット(図46)を使用してアッセイした。
【0304】
結論
本実施例において示されるデータに基づけば、Neowaterに基づく培地における幹細胞(MSC)の増殖速度が、低い細胞密度では高まる。細胞が高コンフルエンスに到達したとき、速度は低下し、20日以内に、両方の条件における細胞の量が一列に並ぶ。Gregory他(Gregory,Singh他、2003、J Biol Chem、2003(Jul 25);278(30):28067〜78、Epub、2003年5月9日)は、MSCにおける増殖速度がDKK1のオートクリン分泌により影響を受けることを示唆した。MSCの増殖速度における最初の4日〜5日で見られる遅延期は、DKK1の濃度が低いことに起因する。増殖培地における高い濃度のDKK1に達すると、細胞は1回の倍加あたり24時間〜48時間までの大きい速度で増殖する。上記データは増殖期間における変化を示し、このことは、より高い濃度のDKK1がより初期には培地に存在することを暗示する。この現象は、高まった増殖を引き起こす細胞近傍におけるDKK1の局所的濃度によって説明することができる。
【0305】
実施例21
セファロスポリンの可溶化
下記実験の目的は、不溶性のセファロスポリンを、緩速溶媒交換手法を使用して3.6mg/mlの濃度でNeowater(NW)に溶解すること、および、アンピシリン(Amp)耐性を保有するpUC19プラスミドにより形質転換された大腸菌DH5α菌株に対するその生物活性を評価することであった。
【0306】
材料および方法
緩速溶媒交換:25mgのセファロスポリンを5mlの有機溶媒(アセトン)に溶解した(5mg/ml)。NWを添加する前に、この物質をHeλiosα分光光度計により分析した(図47)。この物質はかろうじてアセトンに溶解した。この物質は最初、砂様の外見を伴って沈降した。有機溶媒をNeowater(商標)で交換する手順を、(30℃で設定された)マルチブロックヒーターにおいて、また、デシケータおよびフードの中で行った。有機溶媒の濃度を、表7に示される式に従って計算した。
屈折計:RI:1.3339、式による計算に従って:1.833%。
分析天秤:平均:0.9962、式に従って:1.941%。
【0307】
溶液を、0.45μmのフィルターを使用して首尾良くろ過した。溶液の分光光度計による読み取りをろ過手順の前後で行った。
【0308】
Neowater(商標)に溶解されたセファロスポリンの生物活性の分析
pUC19プラスミド(アンピシリン耐性)を保有するDH5α大腸菌を、100μg/mlのアンピシリンが補充された液体LB培地において37℃および220rpm(回転/分)で一晩増殖させた。
【0309】
一晩(ON)のスターター培養物の100μLを下記のように新鮮な液体LBに再接種した:
a.100μlのNeowater(商標)(2回目の実験のみ)および抗生物質非添加(両方の実験)を有する3つのチューブ。
b.セファロスポリンストック溶液(50ug/ml)の10μlを有する3つのチューブ。
c.セファロスポリンストック溶液(5ug/ml)の100μlを有する3つのチューブ。
【0310】
細菌を37℃および220rpmでインキュベーションした。連続したOD読み取りを、TECAN SPECTRAFlour Plusを使用して、590nmのフィルターとともに96ウエルの透明プレートを使用して1時間毎に行った。
【0311】
結果
図48は、ろ過前およびろ過後における、Neowater(商標)に溶解されたセファロスポリンの分光光度計による読み取りである。
【0312】
図49A〜図49Bおよび図50A〜図50Bに例示されるように、Neowater(商標)に溶解されたとき、セファロスポリンは、大きく希釈されたときでさえ、細菌増殖阻害剤としての生物学的利用能および生物活性を有する。注目すべきことに、本実施例は、Neowater(商標)自身は細菌の増殖阻害において何ら役割を有しないことを教示する。
【0313】
実施例22
Neowater(商標)の光学活性
Neowater(商標)に対する旋光分析法による測定を、誘導された長距離秩序の形跡を検証するために考案した。NPD溶液の光学活性(円偏光した光および楕円偏光した光に関して)を、円二色性(CD)法を使用して測定した。
【0314】
円二色性(CD)実験手順:CD分光法は、水溶液を通過した左回りおよび右回り(LおよびR)の偏光した光の間における吸収差を検出することを目的とする。そのような差は、水に沈められた光学活性(キラル)な分子、あるいは、水または溶液における分子またはナノ粒子または何らかの他の誘導された整列構造の分布から生じ得る。本実施例において報告される測定は、Jasco K851 CD旋光計を室温(298K)で使用して行われた。スペクトルが、1nmおよび10秒の増分を使用して190nm〜280nmの間で走査された。感度および分解能を増大させるために、非常に長い光路を、(通常の操作モードでの1mm以下と比較して)10cmの石英キュベットを使用することによって確保した。
【0315】
結果
結果は、Neowater(商標)が円二色性を示すことを示している。(ベースラインとして使用された)DDWのCDスペクトルに対する、Neowater(商標)の異なる回分処理物で行われた2つの典型的なCDスペクトルが図51に示される。約0.5ミリ度の光学活性の検出された大きさが10−5mole〜10−6moleの通常のペプチド溶液の効果と類似することは特筆される。したがって、その大きさは、無視できるレベルではない。右回り偏光の光に対する左回り偏光の光の吸収におけるCD測定された差は、構造の非対称性に起因して生じる。すなわち、規則的な構造が存在しない場合には、消滅するCD強度が生じ、一方、整列した構造では、正のシグナルおよび/または負のシグナルを含有し得るスペクトルが生じる。したがって、本発明者らは、NPD溶液のCDスペクトルにおける消滅しないシグナルの存在は、ナノ粒子およびナノ気泡の網目組織によって形成されるNeowater(商標)における長距離の配向秩序の形成に関連するかもしれないことを提案する。
【0316】
明確にするため別個の実施形態で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施形態に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0317】
本発明はその特定の実施形態によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本明細書中で言及した刊行物、特許および特許願ならびにGenBankアクセッション番号はすべて、個々の刊行物、特許もしくは特許願またはGenBankアクセッション番号が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞融合の方法であって、前記方法は、細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地において融合し、それにより、細胞を融合することを含み、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある方法。
【請求項2】
前記細胞は同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細胞は非同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞は初代細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞は不死化細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記非同一の細胞は腫瘍細胞および抗体産生細胞を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記非同一の細胞は幹細胞および体細胞を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記幹細胞は胚性幹細胞である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記体細胞は筋細胞または骨細胞である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記抗体産生細胞はBリンパ球である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記Bリンパ球はヒトBリンパ球である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記Bリンパ球は末梢血単核細胞である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記腫瘍細胞は、前記融合に先だって、ハイブリドーマ作製の増大を可能にする期間、前記液体組成物においてインキュベーションされる、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記期間は最低でも1日である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記流体分子の前記少なくとも一部がガス状状態である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記液体組成物はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記液体組成物は光の偏光を変化させることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
真核生物細胞を培養する方法であって、前記方法は、細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地においてインキュベーションし、それにより、真核生物細胞を培養することを含み、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある方法。
【請求項24】
前記培地はさらに、増殖因子、血清および抗生物質からなる群から選択される少なくとも1つの作用因を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記真核生物細胞は単一の細胞である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記単一の細胞はハイブリドーマである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
培養することがHCFの非存在下で行われる、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
真核生物細胞は間葉系幹細胞である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記流体分子の前記少なくとも一部がガス状状態である、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
前記液体組成物はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
前記液体組成物は光の偏光を変化させることができる、請求項23に記載の方法。
【請求項37】
真核生物細胞培養培地と、液体およびナノ構造を有する液体組成物とを含む細胞培養培地であって、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある細胞培養培地。
【請求項38】
前記真核生物細胞培養培地はさらに、増殖因子、血清および抗生物質からなる群から選択される少なくとも1つの作用因を含む、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項39】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項40】
前記流体分子の前記少なくとも一部がガス状状態である、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項41】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項42】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項43】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項44】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項45】
前記液体組成物は細胞増殖速度を増大させることができる、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項46】
前記液体組成物はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項47】
前記液体組成物は光の偏光を変化させることができる、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項48】
包装材と、前記包装材の中に含有される、真核生物細胞を培養することのために特定される液体組成物とを含む製造物であって、前記液体組成物は液体およびナノ構造を有し、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある製造物。
【請求項49】
前記真核生物細胞は間葉系幹細胞である、請求項48に記載の製造物。
【請求項50】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項48に記載の製造物。
【請求項51】
前記流体分子の前記少なくとも一部がガス状状態である、請求項48に記載の製造物。
【請求項52】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項48に記載の製造物。
【請求項53】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項48に記載の製造物。
【請求項54】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項48に記載の製造物。
【請求項55】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項48に記載の製造物。
【請求項56】
前記液体組成物は細胞増殖速度を増大させることができる、請求項48に記載の製造物。
【請求項57】
前記液体組成物はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項48に記載の製造物。
【請求項58】
前記液体組成物は光の偏光を変化させることができる、請求項48に記載の製造物。
【請求項59】
包装材と、前記包装材の中に含有される、モノクローナル抗体を作製するために特定される液体組成物とを含む製造物であって、前記液体組成物は液体およびナノ構造を有し、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある製造物。
【請求項60】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項59に記載の製造物。
【請求項61】
前記流体分子の前記少なくとも一部がガス状状態である、請求項59に記載の製造物。
【請求項62】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項59に記載の製造物。
【請求項63】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項59に記載の製造物。
【請求項64】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項59に記載の製造物。
【請求項65】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項59に記載の製造物。
【請求項66】
前記液体組成物は細胞増殖速度を増大させることができる、請求項59に記載の製造物。
【請求項67】
前記液体組成物はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項59に記載の製造物。
【請求項68】
前記液体組成物は光の偏光を変化させることができる、請求項59に記載の製造物。
【請求項69】
モノクローナル抗体を作製するための方法であって、前記方法は、不死化している細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地においてハイブリドーマを得るために抗体産生細胞と融合することを含み、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある方法。
【請求項70】
前記ハイブリドーマをクローン化することをさらに含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記クローン化することが、前記ハイブリドーマを、前記液体組成物を含む培地においてインキュベーションすることによって行われる、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記クローン化することがHCFの非存在下で行われる、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
モノクローナル抗体を前記クローン化の後で集めることを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
前記流体分子の前記少なくとも一部がガス状状態である、請求項69に記載の方法。
【請求項76】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項69に記載の方法。
【請求項77】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項69に記載の方法。
【請求項78】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項69に記載の方法。
【請求項79】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項80】
前記液体組成物はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項69に記載の方法。
【請求項81】
前記液体組成物は光の偏光を変化させることができる、請求項69に記載の方法。
【請求項82】
セファロスポリンを、この物質を分散または溶解することを可能にする条件のもとでナノ構造および液体と接触させることを含む、セファロスポリンを溶解または分散する方法であって、前記ナノ構造は、前記液体の整列した流体分子によって包まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある方法。
【請求項1】
細胞融合の方法であって、前記方法は、細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地において融合し、それにより、細胞を融合することを含み、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある方法。
【請求項2】
前記細胞は同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細胞は非同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞は初代細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞は不死化細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記非同一の細胞は腫瘍細胞および抗体産生細胞を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記非同一の細胞は幹細胞および体細胞を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記幹細胞は胚性幹細胞である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記体細胞は筋細胞または骨細胞である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記抗体産生細胞はBリンパ球である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記Bリンパ球はヒトBリンパ球である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記Bリンパ球は末梢血単核細胞である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記腫瘍細胞は、前記融合に先だって、ハイブリドーマ作製の増大を可能にする期間、前記液体組成物においてインキュベーションされる、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記期間は最低でも1日である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記流体分子の前記少なくとも一部がガス状状態である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記液体組成物はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記液体組成物は光の偏光を変化させることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
真核生物細胞を培養する方法であって、前記方法は、細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地においてインキュベーションし、それにより、真核生物細胞を培養することを含み、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある方法。
【請求項24】
前記培地はさらに、増殖因子、血清および抗生物質からなる群から選択される少なくとも1つの作用因を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記真核生物細胞は単一の細胞である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記単一の細胞はハイブリドーマである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
培養することがHCFの非存在下で行われる、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
真核生物細胞は間葉系幹細胞である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記流体分子の前記少なくとも一部がガス状状態である、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
前記液体組成物はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
前記液体組成物は光の偏光を変化させることができる、請求項23に記載の方法。
【請求項37】
真核生物細胞培養培地と、液体およびナノ構造を有する液体組成物とを含む細胞培養培地であって、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある細胞培養培地。
【請求項38】
前記真核生物細胞培養培地はさらに、増殖因子、血清および抗生物質からなる群から選択される少なくとも1つの作用因を含む、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項39】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項40】
前記流体分子の前記少なくとも一部がガス状状態である、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項41】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項42】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項43】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項44】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項45】
前記液体組成物は細胞増殖速度を増大させることができる、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項46】
前記液体組成物はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項47】
前記液体組成物は光の偏光を変化させることができる、請求項37に記載の細胞培養培地。
【請求項48】
包装材と、前記包装材の中に含有される、真核生物細胞を培養することのために特定される液体組成物とを含む製造物であって、前記液体組成物は液体およびナノ構造を有し、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある製造物。
【請求項49】
前記真核生物細胞は間葉系幹細胞である、請求項48に記載の製造物。
【請求項50】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項48に記載の製造物。
【請求項51】
前記流体分子の前記少なくとも一部がガス状状態である、請求項48に記載の製造物。
【請求項52】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項48に記載の製造物。
【請求項53】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項48に記載の製造物。
【請求項54】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項48に記載の製造物。
【請求項55】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項48に記載の製造物。
【請求項56】
前記液体組成物は細胞増殖速度を増大させることができる、請求項48に記載の製造物。
【請求項57】
前記液体組成物はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項48に記載の製造物。
【請求項58】
前記液体組成物は光の偏光を変化させることができる、請求項48に記載の製造物。
【請求項59】
包装材と、前記包装材の中に含有される、モノクローナル抗体を作製するために特定される液体組成物とを含む製造物であって、前記液体組成物は液体およびナノ構造を有し、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある製造物。
【請求項60】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項59に記載の製造物。
【請求項61】
前記流体分子の前記少なくとも一部がガス状状態である、請求項59に記載の製造物。
【請求項62】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項59に記載の製造物。
【請求項63】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項59に記載の製造物。
【請求項64】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項59に記載の製造物。
【請求項65】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項59に記載の製造物。
【請求項66】
前記液体組成物は細胞増殖速度を増大させることができる、請求項59に記載の製造物。
【請求項67】
前記液体組成物はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項59に記載の製造物。
【請求項68】
前記液体組成物は光の偏光を変化させることができる、請求項59に記載の製造物。
【請求項69】
モノクローナル抗体を作製するための方法であって、前記方法は、不死化している細胞を、液体およびナノ構造を有する液体組成物を含む培地においてハイブリドーマを得るために抗体産生細胞と融合することを含み、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある方法。
【請求項70】
前記ハイブリドーマをクローン化することをさらに含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記クローン化することが、前記ハイブリドーマを、前記液体組成物を含む培地においてインキュベーションすることによって行われる、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記クローン化することがHCFの非存在下で行われる、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
モノクローナル抗体を前記クローン化の後で集めることを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
前記流体分子の前記少なくとも一部がガス状状態である、請求項69に記載の方法。
【請求項76】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項69に記載の方法。
【請求項77】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項69に記載の方法。
【請求項78】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項69に記載の方法。
【請求項79】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項80】
前記液体組成物はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項69に記載の方法。
【請求項81】
前記液体組成物は光の偏光を変化させることができる、請求項69に記載の方法。
【請求項82】
セファロスポリンを、この物質を分散または溶解することを可能にする条件のもとでナノ構造および液体と接触させることを含む、セファロスポリンを溶解または分散する方法であって、前記ナノ構造は、前記液体の整列した流体分子によって包まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある方法。
【図37B−C】
【図43】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A.11B.11F.11G】
【図11C.11D.11H.11I】
【図11E.11J】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A−D】
【図20E−G】
【図21A−D】
【図21E−G】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37A】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42A】
【図42B】
【図44A】
【図44B】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図43】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A.11B.11F.11G】
【図11C.11D.11H.11I】
【図11E.11J】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A−D】
【図20E−G】
【図21A−D】
【図21E−G】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37A】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42A】
【図42B】
【図44A】
【図44B】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【公表番号】特表2010−515432(P2010−515432A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544492(P2009−544492)
【出願日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000025
【国際公開番号】WO2008/081456
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(508203493)ドゥ−コープ テクノロジーズ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000025
【国際公開番号】WO2008/081456
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(508203493)ドゥ−コープ テクノロジーズ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】
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