細胞/組織培養デバイス、システム、および方法
バイオリアクターおよび発酵槽を含む、細胞および/または組織を純培養し、回収するためのデバイス、システムおよび方法。デバイスは使い捨てであることが好ましいが、捨てる前に複数回の連続的な培養/回収サイクルのために連続的に使用されることもできる。本発明は細胞および組織の大規模生産のために使用されることができるかかるデバイスのバッテリーにも関する。本発明の好ましい実施態様によれば、本発明は植物細胞の培養で用いるために適合させられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞/組織の培養のためのデバイス、システム、および方法に関し、具体的には、植物細胞の培養のためのそのようなデバイス、システム、および方法の発明に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞および組織の培養技術は、長年にわたって利用されており、当業者に周知である。このような培養技術を経済的に使用することの目途は、二次代謝物、例えば、薬学的活性のある化合物、化粧品において使用される種々の物質、ホルモン、酵素、タンパク質、抗原、食品添加物、および天然殺虫剤を、培養された細胞または組織の集菌から抽出するためである。おそらく利益は上がる可能性があるが、それにもかかわらず、この目途は、高い資本コストを必要とすることが原因で、ゆっくりと増殖する植物細胞および動物細胞の培養物を使用する工業的規模のバイオリアクターでは有効に活用することはできていない。
【0003】
このような物質の生産に使用される、細胞および/または組織培養物の工業的規模での生産のための背景技術は、現在のところ、ガラス製のバイオリアクターおよびステンレス鋼製のバイオリアクターをベースとしており、これは、大きな資本がかかる部分である。さらに、これらのタイプの工業的バイオリアクターには、高価であり複雑な滅菌シールを介して動力が提供される羽根車のような、複雑であり高価な混合技術が含まれる。一部の高価な発酵槽には、エアリフトマルチパート構造が含まれている。これらのバイオリアクターをうまく操作するには、多くの場合に、改善が常時必要であるエアレーション技術の実施が必要である。さらに、このようなバイオリアクターは、その時点で必要なピーク容積容量にしたがって寸法決定される。したがって、パイロットプラントの発酵槽からより規模の大きい発酵槽へとスケールアップする際、または既存のバイオリアクターの容量を超えるほどに生産量を増大させる必要がある場合に、複数の問題が生じる。大容量バイオリアクターに現在取って代わるもの、すなわち、全容量を増加または減少させるためのある程度の柔軟性を提供しつつも、その全容量が要求を満たす多数の小さいガラス製またはステンレス鋼製のバイオリアクターを提供することは、そうは言うものの、1つの大きなバイオリアクターの提供よりもはるかにより高価である。さらに、ほとんどのガラス製およびステンレス鋼製のバイオリアクターに伴うランニングコストもまた高く、これは、それぞれの培養サイクルの後にバイオリアクターを滅菌する必要があることと組み合わせて、収量が少ないことに原因がある。結果として、このようなバイオリアクターの中で増殖させられた細胞または組織から抽出された産物は高価であり、別の技術を用いて生産された匹敵する産物と商業的に競争することは、現在はできていない。実際には、わずか1つの日本の会社にしか、ステンレス鋼製のバイオリアクターを使用して、商業的に上記細胞/組織培養技術を使用することは知られていない。この会社はShikoninを生産しており、これは、ほぼ日本でしか使用されていない化合物である。
【0004】
工業的規模、およびさらに大きな規模のバイオリアクターデバイスは、従来、永久的または半永久的な構成要素であり、大規模な細胞/組織培養物の生産に関する上記の問題点を解決するための使い捨てのバイオリアクターデバイスの概念については、開示も、示唆も知られていない。それとは逆に、極めて小さい容量の生産容量(例えば、家庭での醸造および研究室での作業用の)については、使い捨ての発酵槽およびバイオリアクターデバイスは周知であり、広く示されている。これらのバイオリアクターデバイスには、一般的には使い捨てのバッグが含まれ、これは通常、細胞/組織の生成物を回収するために切り開かれ、したがって、バッグをさらに利用することは決してできない。1つのこのような公知の使い捨てのバイオリアクターは、Osmotec,Israel,(Argritech Israel,issue No.1,Fall 1997,page 19)によって、例えば、研究室での研究のような小さい容量での使用のために生産されている。このバイオリアクターには、培養培地、空気、接種材料、および他の必要な添加物を導入することができる入口を有する円錐形のバッグが含まれており、これは、わずか約1.5リットルの容量しかない。エアレーションは、極小さい気泡を導入することによって行われ、これは、多くの場合、特に、植物細胞の培養の場合には細胞に対して損傷を生じる。特に、これらのバッグは、わずかに1回の培養/回収サイクル用に特異的に設計されており、バッグの内容物はバッグの底を切ることによって取り出される。したがって、これらのバッグは、上記で議論されたように、培養物から抽出される工業的な量の物質を提供する論点について、経済的な解決方法は示していない。
【0005】
用語「使い捨て」は、本出願においては、デバイス(バッグ、バイオリアクターなど)は使用後に廃棄され、無視できるほどの損失しか伴わないように設計されていることを意味する。したがって、ステンレス鋼製またはガラス製のデバイスは必然的に高価なデバイスであり、このようなデバイスを操作する者にとっては、ごく小さい無視できるほどの損失とはならない。一方、例えば、軟質のプラスチックのようなプラスチック製のデバイスは比較的安価であり、したがって、使用後に廃棄されても、無視できるほどの経済的損失にしかならない。したがって、これらのバイオリアクターデバイスの廃棄性は、一般的には、使用者に対して経済的な欠点を提示することはない。なぜなら、これらの商品の低い資本コストは、使用、保存、および他の実用上考慮すべき事柄の容易さに対して相殺されるからである。実際、これらのデバイスについて想定される小さい容量での生産のレベルでは、そのようなデバイスを1回より多い培養/回収サイクルに繰り返して使用できるようにするために、デバイスまたはその操作の複雑さが増大するような動機付けがないことが、このデバイスの経済性である。
【0006】
さらに、使い捨てのバイオリアクターデバイスの外側の滅菌条件は、多くの場合には必要はなく、また不可能でもある。したがって、一旦、回収可能な生成物を抽出するために開かれると、費用効率も、実用性もなく、さらには多くの場合には、開口部を滅菌のまま維持することもできず、これによりバッグと、その中にあるものは全て汚染される可能性がある。したがって、これらの使い捨てのデバイスは、1回の培養サイクルの後にさらに使用することはできない。
【0007】
したがって、使い捨てのバイオリアクターデバイスは、一般の使用者によって通常必要とされる量および生産容量については比較的安価であり、プロではない個人によって使用されるには比較的容易である。実際、使用の容易さおよび低い経済的コストがこの局面であり、これは、少ない生産容量の使い捨てデバイスに関係しており、これは使い捨てのバイオリアクターデバイスの主要な魅力である。したがって、先行技術による使い捨てのバイオリアクターデバイスは、工業的規模のバイオリアクターとは、構造的、操作性、またはスケールメリットに関してほとんど共通点はなく、実際、何らかの形でこのような解決方法を開示または示唆しているというよりもむしろ、工業的規模のバイオリアクターに付随する問題点についての解決方法を提供することから離れた教示である。
【0008】
実験的または研究室での作業に関してはいくらかの進歩があるが、工業的規模でのプロセスについてはまだ有用ではない別の分野は、植物細胞の培養である。医薬品の用途のためのタンパク質は、従来は、哺乳動物または細菌の発現システムにおいて生産されている。過去10年の間に、植物での新しい発現システムが開発された。この方法では、一本鎖のDNA分子(T−DNA)を植物のゲノムに挿入することができる細菌であるアグロバクテリウム(Agrobacterium)が利用される。タンパク質およびペプチドの大量生産については、遺伝子を導入することが比較的簡単であるとの理由から、この方法が別のタンパク質発現システムとして一般的になりつつある(Ma,J.K.C.,Drake,P.M.W.,and Christou,P.(2003)Nature reviews 4,794−805)。
【発明の開示】
【0009】
背景技術では、使い捨てのデバイスを用いた植物細胞または動物細胞の培養による工業的規模での物質の生産のためのデバイス、システム、あるいは方法についての教示および示唆は全くされていない。背景技術ではまた、工業的規模での植物細胞の培養のためのそのようなデバイス、システム、または方法についての教示、または示唆もされていない。
【0010】
本発明は、バイオリアクターおよび発酵槽を含む、細胞および/または組織を純培養によって培養し、回収するためのデバイス、システム、および方法を提供することによって背景技術のこれらの欠点を克服する。このデバイスは、使い捨てであることが好ましいが、それにもかかわらず、その廃棄の前に、複数回の連続する培養/回収のサイクルに連続して使用することができる場合もある。本発明はまた、細胞および組織の大量生産に使用することができるそのようなデバイスのバッテリーにも関する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によると、本発明は、例えば、適切な気体および/または液体の流れをなおも維持し、そして/あるいは、本発明のデバイスの容器内の適切な混合条件をなおも維持しつつも、低い剪断力を提供することにより、植物細胞の培養物と共に使用されるように適応される。例えば、所望により、そして好ましくは、細胞は懸濁下で増殖され、そしてエアレーション(培地全体にわたる通気、但し、所望により任意の他の気体または混合気体を使用することができる)は、低い剪断力が存在するように行われる。所望により、そして好ましくは、低い剪断力の維持を補助するためには、細胞培養物を含む容器は、軟質の材料から作られ、そして少なくとも円形の形状であり、円柱状および/または球状の形状であることがさらに好ましい。これらの特性はまた、任意ではあるが好ましい容器の態様を提供し、これにより、均一な流れ力と均一な剪断力が維持される。
【0012】
表現「植物細胞の培養物」には、本明細書中で使用される場合は、任意のタイプの自然な(自然界に存在している)植物細胞、または遺伝的に修飾された植物細胞(例えば、培養物中で増殖させられた、トランスジェニックによっておよび/または別の方法で遺伝子操作された植物細胞)が含まれることに留意されるべきである。その大量生産、またはその中で発現させられる有効成分の大量生産は、臨床的(例えば、治療的)、食品業界(例えば、調味料、香料)、農業(例えば、殺菌剤)、化粧品などでの使用のために、商業的に所望されている。遺伝子操作は、所望により安定的であっても一時的であってもよい。安定した形質転換においては、本発明の核酸分子が植物のゲノムに組み込まれ、その結果、本発明の核酸分子は安定した遺伝される形質を示す。一時的な形質転換においては、核酸分子は形質転換された細胞によって発現されるが、これはゲノムに組み込まれてはおらず、その結果、本発明の核酸分子は一時的な形質を示す。
【0013】
好ましくは、培養物は、完全な植物体を形成するように集まってはいない細胞を特徴とし、その結果、植物の少なくとも1つの生物学的構造は示さない。所望により、そして好ましくは、培養物は、複数の種々のタイプの植物細胞を特徴とし得るが、培養物は特定のタイプの植物細胞を特徴とすることが好ましい。所望により、特定のタイプの植物細胞を特徴とする植物培養物が複数の異なるタイプのそのような植物細胞から元来誘導される場合があることに留意されるべきである。
【0014】
植物細胞は、所望により任意のタイプの植物細胞であり得るが、所望により、そして好ましくは、植物の根細胞(すなわち、植物の根から誘導された細胞、植物の根から得られた細胞、または植物の根に基づく細胞)であり、さらに好ましくは、以下からなる群より選択される植物の根細胞である:セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞。根以外の構造を起源とする植物細胞を、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換することができ、これによって毛根細胞の発達を誘導できることが知られている(例えば、Strobel ら.の米国特許第4,588,693号を参照のこと)。したがって、本明細書中で上記したように、および以下の実施例のセクションに詳細に記載されるように、植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞である場合もある。
【0015】
所望により、そして好ましくは、植物細胞は懸濁液の中で増殖させられる。植物細胞は、所望により植物の葉細胞または植物の芽細胞であってもよい。これらはそれぞれ、植物の葉または植物の芽に由来する細胞、植物の葉または植物の芽から得られた細胞、あるいは、植物の葉または植物の芽に元来基づく細胞である。
【0016】
好ましい実施形態においては、植物の根細胞は、ニンジン細胞である。本発明の形質転換されたニンジン細胞は懸濁液の中で増殖させられることが好ましいことに留意されるべきである。本明細書中で上記したようにおよび以下の実施例に記載されるように、これらの細胞は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞で形質転換された。本発明の好ましい実施形態によると、任意の適切なタイプの細菌細胞を、所望により、そのような形質転換のために使用することができるが、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞が、以下に記載される好ましい植物宿主細胞を感染させるために使用されることが好ましい。あるいは、このような形質転換またはトランスフェクションは、所望により、ウイルスに基づいて(例えば、ウイルスベクターおよび/またはウイルス感染によって)行うこともできる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によると、植物細胞を培養するための使い捨ての容器を含む、植物細胞を培養するためのデバイスが提供される。この使い捨ての容器は、少なくとも1回のさらなる連続する培養/回収サイクルに連続して使用することができることが好ましく、その結果、「使い捨て」は、わずか1回の培養/回収サイクル用の容器だけには限定されない。さらに好ましくは、デバイスにはさらに、再利用可能な回収装置が含まれ、これには、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも所望の部分の回収が可能であり、所望の場合には、それによって、デバイスを、少なくとも1回のさらに連続する培養/回収サイクルに連続して使用できるようにする、流量調整器が含まれる。所望により、そして好ましくは、流量調整器は、細胞および/または組織を含む培地の残りの滅菌性を維持し、その結果、先に回収されたサイクルによる残りである培地の残りは、次の培養および回収サイクルのための接種材料とされる。
【0018】
本発明の他の実施形態によると、任意のタイプの細胞および/または組織の培養に適しているデバイス、システム、および方法が提供される。好ましくは、本発明は、宿主細胞を培養するために使用される。本発明の宿主細胞は、所望により、目的のタンパク質をコードする組み換え核酸分子で、またはそのような核酸分子を含む発現ベクターで形質転換されても、または、トランスフェクトされてもよい(恒久的または一時的に)。このような核酸分子には、所望により、目的のシグナルペプチドをコードする1つ以上のさらなる核酸配列に動作可能であるように連結させられた、目的のタンパク質をコードする第1の核酸配列が含まれる。本明細書中で使用される用語「動作可能であるように」連結されたというのは、必ずしも物理的な連結を意味するものではないことに留意されるべきである。
【0019】
「細胞」、「宿主細胞」、または「組み換え体宿主細胞」は、本明細書中で同義的に使用される用語である。このような用語は、特定の対象細胞だけではなく、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫も意味することが理解される。突然変異または環境による影響のいずれかが原因で、その後の世代において特定の修飾が生じる場合があるとの理由から、そのような子孫は、実際には親細胞と同一ではない場合があるが、これらもなお、本明細書中で使用される場合にはこの用語の範囲に含まれる。「宿主細胞」は、本明細書中で使用される場合には、裸のDNA、または組み換えDNA技術を使用して構築された発現ベクターで組み換えによって形質転換することができる細胞を意味する。本明細書中で使用される場合は、用語「トランスフェクション」は、核酸によって媒介される遺伝子導入による核酸(例えば、裸のDNAまたは発現ベクター)のレシピエント細胞への導入を意味する。「形質転換」は、本明細書中で使用される場合は、細胞の遺伝子型が、外因性DNAまたはRNAの細胞による取り込みの結果として変化させられるプロセスを意味し、例えば、形質転換された細胞は所望のタンパク質の組み換え形態を発現する。
【0020】
単子葉植物の細胞培養物および双子葉植物の細胞培養物のいずれもが、本発明の方法およびデバイスを用いた使用に適している。単子葉植物および双子葉植物の両方に外来遺伝子を導入することについては、様々な方法が存在している(Potrykus,I.,Annu.Rev.Plant.Physiol.,Plant.Mol.Biol.(1991)42:205−225;Shimamoto ら.,Nature(1989)338:274−276)。
【0021】
外因性DNAの植物のゲノムDNAへの安定した組み込みを生じる原則的な方法としては、2つの主なアプローチが挙げられる:
(i)アグロバクテリウムによって媒介される遺伝子導入:Klee ら.,(1987)Annu.Rev.Plant Physiol.38:467−486;Klee and Rogers in Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,第6巻,Molecular Biology of Plant Nuclear Genes,編,Schell,J.,and Vasil,L.K.,Academic Publishers,San Diego,Calif.(1989)p.2−25;Gatenby,in Plant Biotechnology,編,Kung,S.and Arntzen,C.J.,Butterworth Publishers,Boston,Mass.(1989)p.93−112。
【0022】
(ii)直接DNA取り込み:Paszkiwski ら.,Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,第6巻,Molecular Biology of Plant Nuclear Genes,編,Schell,J.,and Vasil,L.K.,Academic Publishers,San Diego,Calif.(1989)p.52−68;プロトプラストにDNAを直接取り込むための方法(Toriyama,K.ら.,(1988)Bio/Technology 6:1072−1074)を含む。植物細胞の短時間の電気的ショックによって誘導されるDNAの取り込み:Zhang ら.,Plant Cell Rep.(1988)7:379−384。Fromm ら.,Nature(1986)319:791−793。粒子衝突による植物細胞または組織へのDNAの注入:Klein ら.,Bio/Technology(1988)6:559−563;McCabe ら.,Bio/Technology(1988)6:923−926;Sanford,Physiol.Plant.(1990)79:206−209);マイクロピペットシステムの使用による植物細胞または組織へのDNAの注入:Neuhaus ら.,Theor,Appl.Genet.(1987)75:30−36;Neuhaus and Spangenberg,Physiol.Plant.(1990)79:213−217;細胞培養物、胚、またはカルス組織の、ガラス繊維または炭化シリコンウィスカー形質転換による植物細胞または組織へのDNAの注入:米国特許第5464765号;あるいは、発芽花粉とのDNAの直接のインキュベーションによる植物細胞または組織へのDNAの注入;DeWet ら.,Experimental Manipulation of Ovule Tissue,編,Chapman,G.P.and Mantell,S.H.and Daniels,W.Longman,London,(1985)p.197−209;およびOhta,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1986)83:715−719。
【0023】
アグロバクテリウムシステムには、植物のゲノムDNAに組み込まれる定義されたDNAセグメントを含むプラスミドベクターの使用が含まれる。植物組織の接種方法は、植物種、およびアグロバクテリウム送達システムに応じて様々である。広く使用されているアプローチは、リーフディスク手順であり、これは、全植物の分化の開始のための良好な供給源を提供する任意の組織外植片を用いて行うことができる。Horsch ら.,Plant Molecular Biology Manual A5,Kluwer Academic Publishers,Dordrecht(1988)p.1−9。補助的なアプローチでは、減圧浸透と組み合わせてアグロバクテリウム送達システムが使用される。アグロバクテリウムシステムは、トランスジェニック双子葉植物の作成において特に有用である。
【0024】
植物細胞への直接のDNAの導入については、種々の方法が存在している。電気泳動においては、プロトプラストは強い電場に短時間さらされる。マイクロインジェクションでは、非常に小さいマイクロピペットを使用してDNAが細胞に直接機械的に注入される。マイクロ粒子衝突では、DNAは、硫酸マグネシウム結晶またはタングステン粒子のようなマイクロプロジェクタイル上に吸着させられ、マイクロプロジェクタイルは、細胞または植物組織の中に入るように物理的に加速される。
【0025】
安定した形質転換の後、植物を繁殖させることができる。最も一般的な植物を繁殖させる方法は、播種によるか、または組織培養技術を用いた大量増殖による。これには、組織の培養、組織培養物の増殖、分化、および植物の形成が含まれる。
【0026】
安定した形質転換が現在は好ましいが、葉細胞、根細胞、分裂組織細胞、または他の細胞の一時的な形質転換もまた、本発明によって想定される。
【0027】
一時的な形質転換は、上記の直接的なDNA導入方法、または修飾された植物ウイルスを使用するウイルス感染のいずれかによって行うことができる。
【0028】
植物宿主の形質転換に有用であることが示されているウイルスとしては、CaMV、TMV、およびBVが挙げられる。植物ウイルスを使用する植物の形質転換は、米国特許第4,855,237号(BGV)、EP−A 67,553(TMV)、日本公開特許出願番号63−14693(TMV)、EPA 194,809(BV)、EPA 278,667(BV);およびGluzman,Y.ら.,Communications in Molecular Biology:Viral Vectors,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,pp.172−189(1988)に記載されている。植物を含む多くの宿主の中での外来DNAの発現に使用される偽ウイルス粒子は、WO87/06261に記載されている。
【0029】
ウイルス以外の外来核酸配列を植物に導入し発現させるための植物のRNAウイルスの構築は、上記の参考文献と、さらに、Dawson,W.O.ら.,Virology(1989)172:285−292;Takamatsu ら.,EMBO J.(1987)6:307−311;French ら.,Science(1986)231:1294−1297;およびTakamatsu ら.,FEBS Letters(1990)269:73−76によって明らかにされている。
【0030】
ウイルスがDNAウイルスである場合には、適切な修飾をウイルス自体に対して行うことができる。あるいは、外来DNAを有している所望のウイルスベクターの構築を容易にするために、ウイルスを最初に細菌プラスミドにクローニングすることができる。その後、ウイルスをプラスミドから切り出すことができる。ウイルスがDNAウイルスである場合には、細菌の複製起点をウイルスDNAに結合させることができる。その結果、ウイルスDNAが細菌によって複製される。このDNAの転写および翻訳により、ウイルスDNAをカプシドで包むコートタンパク質が生産される。ウイルスがRNAウイルスである場合には、ウイルスは一般的には、cDNAとしてクローニングされ、プラスミドに挿入される。プラスミドは、その後、全ての構築物を作成するために使用される。RNAウイルスは、その後、プラスミドのウイルス配列の転写およびウイルス遺伝子の翻訳によって生産されて、ウイルスRNAをカプシドで包むコートタンパク質が生産される。
【0031】
ウイルス以外の外来核酸配列(例えば、本発明の構築物に含まれる配列)の植物への導入および植物での発現のための植物RNAウイルスの構築は、上記の参考文献に、さらには、米国特許第5316931号に示されている。
【0032】
ウイルスベクターは、組み換え体植物ウイルスの核酸によってコードされるコートタンパク質によってカプシドで包まれて、組み換え体ウイルスが生じる。組み換え体である植物ウイルスの核酸または組み換え体植物ウイルスは、適切な宿主植物を感染させるために使用される。組み換え体植物ウイルスの核酸は、宿主内で複製することができ、宿主内で全身に広がり、そして宿主内で外来遺伝子(単離された核酸)が転写または発現されて、所望のタンパク質が生産される。
【0033】
ポリペプチドは、有色体の中で発現させることもできる。外因性の核酸配列を有色体のゲノムに導入するための技術は公知である。この技術には以下の手順が含まれる。最初に、植物細胞が、1つの細胞あたりの有色体の数を約1個に減少させるために、化学的に処理される。その後、少なくとも1つの外因性核酸分子の有色体への導入を目的として、外因性の核酸が粒子衝突によって、細胞に導入される。外因性の核酸は、有色体に固有の酵素によって容易に行われる相同組換えにより有色体のゲノムに組み込まれ得るように選択される。この目的を達成するために、外因性の核酸には、目的の遺伝子に加えて、有色体のゲノムに由来する少なくとも1つの核酸の伸縮が含まれる。さらに、外因性の核酸には、選択マーカーが含まれ、これは、有色体のゲノムのコピーの全てまたは実質的に全てが、そのような選択の後に外因性の核酸を含むことを確実にするための、連続的な選択手順において役割を担う。この技術に関するさらなる詳細は、米国特許第4945050号;および同第5693507号において見ることができ、これらは引用により本明細書中に組み入れられる。したがって、ポリペプチドは、有色体のタンパク質発現システムによって生産させることができ、有色体の内膜に組み込まれる。
【0034】
薬剤耐性または他の選択マーカーには、一部、形質転換体の選択を容易にするための意図があることは認識されるはずである。さらに、選択マーカー(例えば、薬剤耐性マーカー)の存在は、培養物中に微生物の混入があることを検出する際に使用されるものであってもよく、そして/また、化学物質または他の因子に対する耐性に基づく耐性マーカーの場合には、選択条件は、所望により、そして好ましくは、望ましくないおよび/または混入している微生物の培養培地中での増殖を防ぐものであってもよい。このような形質転換された宿主細胞の純粋培養は、誘導された表現形の生存に必要な条件下で細胞を培養することによって得られる。
【0035】
上記に示されるように、本発明の宿主細胞は、核酸分子でトランスフェクトされても、形質転換されてもよい。本明細書中で使用される場合は、用語「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)のようなポリヌクレオチドを意味し、そして適切な場合には、リボ核酸(RNA)を意味する。この用語はまた、ヌクレオチド類似体から作成されたRNAまたはDNAのいずれかの類似体である等価物、ならびに、記載される実施形態に適応させる場合は、一本鎖(例えば、センスまたはアンチセンス)ポリヌクレオチドおよび二本鎖ポリヌクレオチドも含むと理解されるべきである。
【0036】
さらに別の実施形態においては、本発明の宿主細胞は、組み換え体である核酸分子を含む発現ベクターでトランスフェクトされても、また、形質転換されてもよい。「発現ベクター」には、本明細書中で使用される場合は、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、組み込むことが可能なDNA断片、および宿主のゲノムにDNA断片を組み込むことができる他の媒体が含まれる。発現ベクターは、通常は、自律複製するDNAまたはRNA構築物であり、これには、所望の遺伝子またはその断片と、適切な宿主細胞中で認識され、所望の遺伝子の発現を行う、動作可能であるように連結された遺伝子制御エレメントとが含まれる。これらの制御エレメントは、適切な宿主中で発現を行うことができる。一般的には、遺伝子制御エレメントとしては、原核生物のプロモーターシステムまたは真核生物のプロモーター発現制御システムを挙げることができる。このようなシステムには、通常、転写プロモーター、転写の開始を制御するための任意のオペレーター、RNAの発現レベルを高めるための転写エンハンサー、適切なリボソーム結合部位をコードする配列、RNAスプライス部位、転写および翻訳を終結させる配列などが含まれる。発現ベクターには、通常、ベクターが宿主細胞とは無関係に複製することを可能にする複製起点が含まれる。
【0037】
プラスミドは、最も一般的に使用されるベクターの形態であるが、同等の機能を果たし、そして当該分野で知られている他の形態のベクターが、本明細書中での使用に適している。例えば、Pouwels ら.,Cloning Vectors:a Laboratory Manual(1985および補完),Elsevier,N.Y.;およびRodriquez,ら.,(編)Vectors:a Survey of Molecular Cloning Vectors and their Uses,Buttersworth,Boston,Mass(1988)を参照のこと。これらは引用により本明細書中に組み入れられる。
【0038】
一般的には、このようなベクターには、さらに、形質転換された細胞の表現型による選択を提供することができる特異的遺伝子が含まれる。原核生物および真核生物のウイルス発現ベクターを、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子を発現させるために使用することもまた意図される。
【0039】
1つの好ましい実施形態においては、本発明の宿主細胞は、真核生物細胞であっても、また、原核生物細胞であってもよい。
【0040】
好ましい実施形態においては、本発明の宿主細胞は原核生物細胞であり、好ましくは、細菌細胞である。別の実施形態においては、宿主細胞は真核生物細胞であり、例えば、上記のような植物細胞、または哺乳動物細胞である。
【0041】
用語「動作可能であるように連結された」は、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的な関係で配置されている場合に、第1の核酸配列が第2の核酸配列と動作可能であるように連結されていることを示すために、本明細書中で使用される。例えば、プロモーターは、そのプロモーターがコード配列の転写または発現に影響を与える場合には、コード配列に動作可能であるように連結されている。所望により、そして好ましくは、動作可能であるように連結されたDNA配列は連続しており(例えば、物理的に連結されている)、この場合には、同じリーディングフレーム内に2つのタンパク質をコードする領域を繋げることが必要である。したがって、DNA配列と調節配列は、適切な分子(例えば、転写活性化因子プロモーター)が調節配列に結合すると遺伝子が発現させられるように連結させられる。
【0042】
別の実施形態においては、この組み換え体核酸分子には、所望によりさらに、宿主細胞において機能することが好ましい、動作可能であるように連結されたターミネーター、例えば、植物細胞中で機能するターミネーターが含まれてもよい。組み換え体である本発明の核酸分子には、所望によりさらに、別の制御エレメント、促進および調節エレメント、ならびに/または選択マーカーが含まれてもよい。これらの調節エレメントが、組み換え体である分子に対して動作可能であるように連結されることに留意されるべきである。
【0043】
発現構築物において使用することができる調節エレメントとしては、プロモーターが挙げられ、これは、宿主細胞(好ましくは、植物細胞)に対して異種であっても、また同種であってもいずれでもよい。プロモーターは、植物のプロモーターであっても、また、宿主細胞(例えば、植物細胞および植物)中で連結された配列の高いレベルでの転写を駆動することができる植物以外のプロモーターであってもよい。本発明の実施において有効に使用することができる植物のプロモーターの限定的ではない例としては、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35S、rbcS、クロロフィルa/b結合タンパク質のプロモーター、AdhI、NOS、およびHMG2、あるいはそれらの修飾したものまたは誘導体が挙げられる。プロモーターは、構成的であっても、また誘導性であってもいずれでもよい。例えば、そして限定はされないが、誘導性プロモーターは、植物、植物組織、または植物細胞の機構による遺伝子の活性化(MGA)の後に、リソソーム酵素のヌクレオチド配列の発現、または発現の増大を促進するプロモーターであり得る。
【0044】
本発明の宿主細胞をトランスフェクトするため、または形質転換するために使用される発現ベクターは、植物および植物細胞中での異種遺伝子の発現を増大させる、または最適化することが当業者に公知である方法にしたがって、さらに修飾することができる。このような修飾としては、プロモーターの強さを増強するため、または目的のタンパク質を変化させるためにDNA調節エレメントを突然変異させることが挙げられるが、これに限定はされない。
【0045】
したがって、本発明は、細胞/組織培養物の大量生産のための使い捨てのバイオリアクターデバイスを提供することにより、背景技術に関する上記問題点の画期的な解決方法を示す。本発明のデバイスは、本質的には使い捨てであるが、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも一部の回収を可能にするため、所望の場合には、それによってデバイスを1回より多いその後の連続する培養/回収のサイクルに連続して使用できるようにするための再利用することができる回収口を含むことを特徴とする。工業的な環境では、回収の間、および回収後の回収口の滅菌性は、例えば、デバイスへの、およびデバイスからの供給の全ての不可欠な接続と取り外しをその中で行うことができる滅菌のフードを提供することによって、比較的低コストで有意に高い程度に確保することができる。最終的にデバイスが汚染されてしまった場合には、デバイスは廃棄されるが、比較的小さな経済的損失しか伴わない。このようなデバイスは、50または100リットル、あるいはそれ以上の培養物の生産容量についても、安価に製造することができる。さらに、多数回の培養/回収サイクルを行う能力は経済的に有利であり、これによって1つのデバイスについての経済的コストはなおさらに下がる。
【0046】
このようなデバイスのバッテリーは経済的に配置することができ、バッテリーの中のデバイスの数は、要求に応じた生産量に近くなるように制御することができる。したがって、パイロットプラントバイオリアクターから大量生産への移行もまた、比較的簡単な、経済的な様式で、バッテリーにさらにデバイスを付加することによって行うことができる。さらに、固体の混合装置を含まない比較的小さい生産容量のそれぞれのデバイスは、典型的なステンレス鋼製のバイオリアクターと比較して、比較的多量の収量を生じる。
【0047】
したがって、本発明のデバイスには背景技術を上回る多数の利点があり、これには、使い捨てることができること;生産が経済的であり、使用が簡単であること;使い捨てることができるが、所望の細胞/組織を培養し回収する複数回の連続するサイクルに連続して使用することもできること;ならびに、所望により、接種材料が最初の培養サイクルに提供されることだけが必要であり、その後のサイクルのための接種材料は、前のサイクルにおいてそれらが回収された後にデバイスの中に残っている培養培地の一部によって提供される方法による操作に適していることが含まれるが、これに限定はされない。
【0048】
本発明によると、少なくとも1回のサイクルにおいて細胞および/または組織を純培養し、回収するための使い捨てのデバイスが提供される。このデバイスには、上端と下端を有する滅菌可能な使い捨ての容器が含まれている。この容器は、適切な滅菌の生物学的細胞、および/または組織培養培地、および/または純培養の接種材料、および/または滅菌された空気、および/または必要とされる他の滅菌の添加物で少なくとも一部が満たされ得る。この容器には、:(i)容器から過剰な空気および/または排ガスを除去するための空気吹き出し口;(ii)接種材料、および/または培養培地、および/または添加物を容器内に導入するための添加物入口が含まれ;そして、(iii)所望の場合には、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも所望の部分の回収を可能にし、それによって、デバイスを少なくとも1回のさらなる連続する培養/回収サイクルに連続して使用できるようにするための再利用可能な流量調整器がさらに含まれることを特徴とする。この場合、先の回収されたサイクルから残っている、細胞および/または組織を含む培地の残りを、次の培養および回収サイクルのための接種材料とすることができる。この場合、培養培地および/または必要な添加物は提供される。
【0049】
所望により、使い捨ての容器は透明であるか、および/または半透明である。所望により、デバイスにはさらに、滅菌の気体を気泡の形態で、第1の吸入口開口部から培養培地に導入するための空気吸入口が含まれる。この場合、空気吸入口は、適切な気体の供給源に接続することができる。好ましくは、空気吸入口は、培養の間に1回より多く滅菌の気体を導入するためのものである。より好ましくは、空気吸入口は滅菌の気体を連続して導入するためのものである。所望により、複数の様々な気体が、空気吸入口から種々の時間および/または濃度で導入される。
【0050】
好ましくは、回収装置には、回収装置から容器への汚染物質の導入を実質的に防ぐための汚染防止装置が含まれる。
【0051】
所望により、容器は剛体ではない。好ましくは、容器は剛体ではないプラスチック材料製である。より好ましくは、材料は、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンとナイロン、PVCとEVAの共重合体からなる群より選択される。
【0052】
所望により、容器は、複数の材質の1層より多い積層体から作られる。
【0053】
また、所望により、容器は、あらかじめ決定された継目に沿った、2枚の適切な材質のシートの溶融結合によって形成される。
【0054】
好ましくは、空気吸入口には、その開口部から、その底部または底部に近い容器の内側の位置に向かって伸びる空気吸入口吸気管が含まれる。
【0055】
また、好ましくは、少なくとも1つの空気吸入口には、空気の適切な供給源のために接続することができ、かつ複数の第2の吸気管と繋げられた、少なくとも1つの空気吸入口吸気管が含まれる。それぞれの第2の吸気管は、培養培地の中に気泡の形態で滅菌の空気を導入するために、容器内の位置に向かって、その中の適切な吸入口開口部を通じて伸びている。より好ましくは、デバイスには、実質的には箱のような幾何学的立体構造が含まれ、これは、全体の長さ、高さ、および幅を有している。より好ましくは、長さに対する高さの比は約1から約3であり、好ましくは約1.85である。所望により、幅に対する高さの比は、約5から約30であり、好ましくは約13である。
【0056】
好ましくは、デバイスには、デバイスの深さに実質的に及ぶ支持開口が含まれる。開口は、適切な棒支持体の上にデバイスを支持できるように所望により変化される。
【0057】
所望により、デバイスにはさらにデバイスを支持するための支持構造体が含まれる。好ましくは、支持構造体には、一対の向かい合わせられたフレームが含まれ、フレームのそれぞれには、上部および下部の支持部材に対して適切に取り付けられた実質的に平行な垂直方向の複数の支持部材によって間隔を隔てられた上部支持部材と下部支持部材が含まれる。より好ましくは、複数の垂直方向の支持部材は、上部支持部材と下部支持部材のそれぞれの縦方向の先端にある少なくとも1つの垂直方向の支持部材から構成される。
【0058】
また、より好ましくは、フレームは、フレームに対して除去可能であるように、またはフレームに対して一体として取り付けられた複数の間隔を隔てるための棒によって互いに間隔を隔てられている。
【0059】
また、より好ましくは、間隔を隔てるための棒は、デバイスを支持構造体に容易に挿入することができ、かつ支持構造体から比較的容易に取り外せるように、戦略的に配置される。
【0060】
所望により、それぞれのフレームのより低い位置の支持部材には、デバイスの下方の末端の対応する部分を受け止め、そして支持するように適応させられた、少なくとも1つのより低い位置の支持部材が含まれる。
【0061】
好ましくは、それぞれのより低い位置の支持部材は、向かい合ったフレームの方向により低い位置の支持部材のそれぞれから突出する適切な形状のタブの形態である。
【0062】
所望により、フレームにはそれぞれ、予め決定された位置にデバイスの側壁に対して押し付けるための、向かい合うフレームの方向に向かう、それぞれのフレームから突出する少なくとも1つの内部仕切りが含まれる。その結果、向かい合わせられた内部仕切りの対によって、デバイスの幅が予め決定された位置に効果的に狭められる。
【0063】
好ましくは、内部仕切りには、適切な上部および下部の支柱を有する向かい合わせられたフレームに向かう方向で、上部および下部の支持部材から間隔を隔てられている適切な実質的に垂直方向の部材が含まれる。
【0064】
所望により、支持構造体には、デバイスの運搬のための複数のキャスターが含まれてもよい。
【0065】
所望により、少なくとも幾つかの気泡は、約1mmから約10mmの平均直径を有する。
【0066】
また、所望により、少なくとも幾つかの気泡は、約4mmの平均直径を有する。
【0067】
所望により、容器には、空気吹き出し口からの容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐために空気吹き出し口に取り付けられた適切なフィルターが含まれる。
【0068】
好ましくは、容器にはさらに、添加物入口からの容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐために添加物入口に取り付けられた適切なフィルターが含まれる。
【0069】
また、好ましくは、U型の流体トラップを含む汚染防止装置が存在する。この場合、U型流体トラップの一方のアームは、適切な無菌の連結装置を介して回収装置の外部出口に無菌的に取り付けられる。
【0070】
好ましくは、回収装置は、容器の下端の底部に取り付けられる。
【0071】
また、好ましくは、回収装置は、容器の下端の底部付近に配置され、その結果、各回収サイクルの最後に、細胞および/または組織を含む培地の残りが、回収装置のレベルよりも下のレベルまでの容器の下端に自動的に残る。
【0072】
所望により、そして好ましくは、細胞および/または組織を含む培地の残りは、容器の底部から回収装置までの距離d2に、少なくとも部分的にしたがって決定される。
【0073】
好ましくは、細胞および/または組織を含む培地の残りは、培養培地と接種材料のもとの容量の約2.5%から約45%を占める。より好ましくは、細胞および/または組織を含む培地の残りは、培養培地および接種材料のもとの容量の約10%から約20%を占める。
【0074】
所望により、下端は実質的には凸状である。
【0075】
また、所望により、下端は実質的には円錐台状である。
【0076】
好ましくは、容器は、約5リットルから約200リットルの間、好ましくは、約50リットルから150リットルの間、好ましくは、約100リットルの内部充填容量を有する。
【0077】
所望により、デバイスにはさらに、適切な支持構造体に対してデバイスを取り付けるための適切な取り付け器具が含まれる。好ましくは、取り付け器具には、容器の上端に一体として取り付けられることが好ましい、適切な材質の輪が含まれる。
【0078】
本発明の好ましい実施形態によると、デバイスは、植物細胞培養物に適応される。好ましくは、植物細胞培養物には、植物の根から得られた植物細胞が含まれる。より好ましくは、植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞、セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞からなる群より選択される。
【0079】
所望により、デバイスのバッテリーが提供され、これには、上記のように、少なくとも2つの使い捨てのデバイスが含まれる。好ましくは、デバイスは、それぞれのデバイスの取り付け器具を介して適切な支持構造体によって支持される。また、好ましくは、それぞれのデバイスの空気吹き出し口は、共通の空気吹き出し口管に適切に繋げられる。これには、所望により、汚染物質がデバイスへ流れることを防ぐための遮断装置が含まれる。遮断装置には適切なフィルターが含まれることが好ましい。
【0080】
所望により、それぞれのデバイスの添加物入口は、所望により、自由末端に適切な無菌の連結装置を含む、自由末端を有する、共通の添加物入口管に適切に接続される。
【0081】
所望により、自由末端は、培地および/または添加物の適切な供給源に接続することができる。
【0082】
好ましくは、それぞれのデバイスの回収装置は、所望により、自由末端に適切な無菌の連結装置を含む、自由末端を有する共通の回収管に適切に接続される。
【0083】
より好ましくは、バッテリーにはさらに、共通の回収管からの容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐための汚染防止装置が含まれる。好ましくは、汚染防止装置には、U型の流体トラップが含まれる。この場合、U型流体トラップの一方のアームは、開口部を有する自由末端であり、そのもう一方の末端は、適切な無菌の連結装置を介して共通の回収管の自由末端に無菌的に取り付けられる。
【0084】
より好ましくは、U型管の自由末端は、適切な貯蔵タンクに接続することができる。
【0085】
所望により、それぞれのデバイスの空気吸入口は、所望により、自由末端に適切な無菌の連結装置を含む、自由末端を有する共通の空気吸入口吸気管に対して適切に接続される。好ましくは、自由末端は、空気の適切な供給源に接続することができる
【0086】
本発明の他の好ましい実施形態によると、使い捨てのデバイスにおいて細胞および/または組織を純培養し、そして回収するための方法が提供される。この方法には、上端と下端を有する、滅菌可能な透明および/または半透明の使い捨ての容器を含むデバイスを提供すること(ここでは、この容器は、適切な滅菌の生物学的細胞、および/または組織培養培地、および/または純培養接種物、および/または滅菌の空気、および/または他の滅菌の必要とされる添加物で少なくとも一部を満たすことができる。容器には、(i)容器から過剰な空気および/または排ガスを除去するための空気吹き出し口;(ii)接種材料、および/または培養培地、および/または添加物を容器内に導入するための添加物入口;ならびに、(iii)所望の場合には、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも一部を回収できるようにし、それによって、デバイスを少なくとも1回のさらなる連続するサイクル(ここでは、先に回収されたサイクルから残っている、細胞および/または組織を含む培地の残りを次の培養および回収サイクルのための接種材料とすることができ、この場合、培養培地および/または必要とされる添加物は提供される)に連続して使用できるようにするための適切な流量調整器を含む再利用可能な回収装置が含まれる);回収装置から純培養の接種材料を提供すること;滅菌の培養培地と滅菌の添加物を添加物入口から提供すること;所望により、外部照明を用いて容器を照らすこと;ならびに、所望の収量が得られるまで、細胞および/または組織を培地の中で増殖させることが含まれる。
【0087】
好ましくは、この方法にはさらに、過剰な空気および/または排ガスを、空気吹き出し口を通じて連続的に容器から外に出すことが含まれる。
【0088】
より好ましくは、この方法にはさらに、容器内で生産された細胞/組織の汚染および/または品質をチェックすることが含まれる。汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低い場合には、デバイスとその内容物は廃棄される。汚染が認められない場合には、細胞および/または組織を含む培地の所望の部分が回収される。
【0089】
最も好ましくは、所望の部分は回収されるが、細胞および/または組織を含む培地の残りは容器の中に残される。この場合、培地の残りは、次の培養/回収サイクルのための接種材料となる。また、最も好ましくは、この方法にはさらに、次の培養/回収サイクルのための滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物を添加物入口から提供すること;ならびに、汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低くなるまで、増殖サイクルを繰り返すことが含まれ、その後、デバイスとその内容物は廃棄される。
【0090】
好ましくは、デバイスにはさらに、適切な滅菌空気の供給源のために接続することができる第1の吸入口開口部から培養培地の中に気泡の形態で滅菌空気を導入するための空気吸入口が含まれ、この方法にはさらに、最初のサイクルと、それに続くそれぞれのサイクルの間に滅菌空気を空気吸入口に提供する工程が含まれる。より好ましくは、滅菌空気は、少なくとも1回の培養サイクルの間中、連続して供給される。
【0091】
また、より好ましくは、滅菌空気は、少なくとも1回の培養サイクルの間、パルスで供給される。
【0092】
本発明のなお他の好ましい実施形態によると、使い捨てのデバイスのバッテリーの中で、細胞および/または組織を純培養し、回収するための方法が提供される。この方法には、上記のデバイスのバッテリーと、その少なくとも1つのデバイスを提供すること;共通の回収管を通じてデバイスに純培養の接種材料を提供すること;共通の添加物入口管を通じて、デバイスに滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物を提供すること;所望により、外部照明を用いて容器を照らすこと;ならびに、デバイスの中の細胞および/または組織を培地の中で所望の収量まで増殖させることが含まれる。
【0093】
好ましくは、この方法にはさらに、過剰な空気および/または排ガスを、共通の空気吹き出し口管を通じて連続して容器から外に出すこと;デバイスの中で生産された細胞/組織の汚染および/または品質をチェックすることが含まれる。デバイスの中で汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低い場合には、デバイスの回収装置は、バッテリーの他のデバイスの汚染を防ぐために閉じられ、バッテリーの全てのデバイスにおいて汚染が認められるか、またはその中で生産された細胞/組織の品質が低ければ、全てのデバイスとそれらの内容物は廃棄される。汚染が認められず、生産された細胞/組織の品質が許容されれば、それぞれの回収可能なデバイスについて共通の回収管と、適切な汚染防止装置を通じて細胞および/または組織を含む培地の所望の部分が貯蔵タンクへ回収される。
【0094】
好ましくは、容器内に残っている細胞および/または組織を含む培地の残りは、この場合には、次の培養/回収サイクルのための接種材料となる。この方法にはさらに、次の培養/回収サイクルのための滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物を、添加物入口から提供することが含まれる。
【0095】
また、好ましくは、増殖サイクルは、汚染が認められるか、またはバッテリーの全てのデバイスについて生産された細胞/組織の品質が低くなるまで繰り返され、その後、汚染防止装置が共通の回収装置とデバイスから取り外され、それらの内容物が廃棄される。
【0096】
本発明のなお他の好ましい実施形態によると、使い捨てのデバイスのバッテリーの中で、細胞および/または組織を純培養し、回収するための方法が提供される。この方法には、上記のデバイスのバッテリーと、そのデバイスの少なくとも1つを提供すること;共通の回収管を通じてデバイスに純培養の接種材料を提供すること;共通の添加物入口管を通じて、デバイスに滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物を提供すること;共通の空気吸入口吸気管を通じて、デバイスに滅菌空気を提供すること;所望により、外部照明を用いて容器を照らすこと;ならびに、デバイスの中の細胞および/または組織を培地の中で所望の収量まで増殖させることが含まれる。
【0097】
好ましくは、この方法にはさらに、過剰な空気および/または排ガスを、共通の空気吹き出し口管を通じて連続して容器から外に出すこと;ならびに、デバイスの中で生産された細胞/組織の汚染および/または品質をチェックすることが含まれる。デバイスの中で汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低い場合には、デバイスの回収装置は、バッテリーの他のデバイスの汚染を防ぐために閉じられ、バッテリーの全てのデバイスにおいて汚染が認められるか、またはその中で生産された細胞/組織の品質が低ければ、全てのデバイスとそれらの内容物は廃棄される。汚染が認められず、生産された細胞/組織の品質が許容されれば、デバイスは回収可能と見なされる。
【0098】
より好ましくは、この方法にはさらに、共通の回収管と、汚染防止装置を通じて、それぞれの回収可能なデバイスについて、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも所望の部分を適切な貯蔵タンクへ回収することが含まれる。
【0099】
最も好ましくは、容器内に残っている細胞および/または組織を含む培地の残りは、この場合には、次の培養/回収サイクルの接種材料となる。この方法にはさらに、次の培養/回収サイクルのための滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物を、添加物入口から提供することが含まれる。
【0100】
また、最も好ましくは、増殖サイクルは、バッテリーの全てのデバイスについて汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低くなるまで繰り返され、その後、汚染防止装置が共通の回収装置とデバイスから取り外され、それらの内容物が廃棄される。
【0101】
本発明のなお他の実施形態によると、植物細胞を培養するために使い捨ての容器を含む、植物細胞の培養のためのデバイスが提供される。好ましくは、使い捨ての容器は、少なくとも1回のさらなる連続する培養/回収サイクルに連続して使用することができる。より好ましくは、このデバイスにはさらに、所望の場合には、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも所望の部分を回収できるようにし、それによって、デバイスを、少なくとも1回のさらに連続する培養/回収サイクルに連続して使用できるようにする流量調整器を含む再利用可能な回収装置が含まれる。最も好ましくは、流量調整器は、細胞および/または組織を含む培地の残りの滅菌性を維持し、その結果、先に回収されたサイクルから残っている培地の残りは、次の培養および回収サイクルのための接種材料となる。
【0102】
本発明のなお他の実施形態によると、植物細胞を培養するための方法が提供され、この方法には、使い捨ての容器の中で植物細胞を培養することが含まれる。
【0103】
好ましくは、使い捨ての容器には、滅菌の気体または混合気体を導入するための空気吸入口が含まれる。
【0104】
より好ましくは、滅菌の気体には空気が含まれる。最も好ましくは、滅菌の混合気体に、は空気と追加の酸素の混合気体が含まれる。
【0105】
好ましくは、酸素が空気とは別に添加される。
【0106】
より好ましくは、酸素は、細胞培養の開始後、複数日添加される。
【0107】
好ましくは、滅菌の気体または混合気体は、培養の間に1回より多く添加される。
【0108】
また、好ましくは、空気吸入口は滅菌の気体を連続して導入するためのものである。
【0109】
また、好ましくは、複数の異なる気体が、空気吸入口から様々な時間および/または濃度で導入される。
【0110】
好ましくは、この方法にはさらに、吸入口から細胞をエアレーションすることが含まれる。より好ましくは、エアレーションには、1分あたり少なくとも1.5リットルの気体を投与することが含まれる。
【0111】
所望により、そして好ましくは、この方法にはさらに、細胞を増殖させるために十分な培地を提供することが含まれる。より好ましくは、十分な培地は、通常の培地の濃度の少なくとも約125%の濃度である。
【0112】
好ましくは、この方法にはさらに、細胞の増殖の間に、しかし回収の前に、培地を添加することが含まれる。より好ましくは、この方法にはさらに、追加の培地を、細胞の培養の開始後少なくとも約3日添加することが含まれる。
【0113】
好ましくは、この方法にはさらに、細胞の培養の開始後、少なくとも約3日、完全に培地を交換することが含まれる。
【0114】
また、好ましくは、培地には糖の混合物が含まれる。
【0115】
また、好ましくは、培地には、細胞培養のための通常の量よりも多量のスクロースが含まれる。
【0116】
好ましくは、植物細胞は組み換え体タンパク質を生産する。
【0117】
本発明は、添付の図面を参照して、例としてのみ、本明細書中に記載される。
図1a〜cには、本発明のデバイスの第1の実施形態の主な構成部材が、正面図および断面側面図として、それぞれ図1Aおよび1Bに示され、図1Cには本発明の例示的なシステムが示される。
図2aおよび2bには、それぞれ、本発明のデバイスの第2の実施形態の主な構成部材が、それぞれ、正面図および断面側面図として示される。
図3には、本発明のデバイスの第3の実施形態の主な構成部材が断面側面図として示される。
図4には、本発明のデバイスの第1の実施形態の継目線が正面図として示される。
図5aおよび5bには、本発明のデバイスの第4の実施形態の主な構成部材が、それぞれ、側面図および断面の上方視点図として示される。図5cおよび5dには、図5(a)の線B−BおよびC−Cに沿った、第4の実施形態の横方向の断面図が示される。
図6aおよび6bには、本発明のデバイスの第5の実施形態の主な構成部材が、それぞれ、側面図および断面の上方視点図として示される。図6cおよび6dには、図6(a)の線B−BおよびC−Cに沿った、第5の実施形態の横方向の断面図が示される。
図7には、図5の実施態様が透視図として示される。
図8には、図6の実施態様が透視図として示される。
図9には、図5〜8の実施形態を使用するための支持構造体が示される。
図10には、図1〜8のいずれか1つのデバイスを複数個含む、本発明のバッテリーの好ましい実施形態の主な構成部材が示される。
図11aおよび11bでは、本発明とともに使用される発現カセットとベクターが示される。
図12には、三角フラスコに対して向かい合わせた本発明のデバイスの中での、形質転換された(グルコセレブロシダーゼ(GCD))ニンジン細胞懸濁物の増殖が示される。
図13には、三角フラスコに対して向かい合わせた本発明のデバイスによって生産されたGCDの相対的な量が示される。
図14には、平行である増殖曲線に関して、7%および15%の充填細胞容量の開始点が示される。
図15には、これらの2つの増殖条件についての定量的ウェスタンブロットによるGCDタンパク質の量が示される。
図16には、定常点を見つけるための、さらに長い期間(14日間)にわたる増殖が示される。
図17には、最大量のGCD(他のタンパク質と比較して)は形質転換された細胞によって8日目までに生産され、その後、生産されたGCDの量は減少し始めたことが示される。
図18には、4日目に培地を交換し、および/または新しい培地を添加することにより、8日目を越えても細胞の高い増殖レベルが維持されることが示される。
図19には、図18に記載される条件下で生産されたGCDの量が示される。
図20には、図18に記載される条件下で生産されたGCDの量が示される。
図21には、細胞増殖に対する種々の糖レジュメの効果が示される。
図22aおよび22bには、GCDの生産に対する種々の糖レジュメの効果が示される。
図23aおよび23bには、本発明の10Lのデバイスの中での細胞増殖に対するエアレーション速度の効果が示される。
図24には、本発明のデバイスに対するさらなる酸素の添加の効果が示される。
図25には、PCRによる増幅後の、ヒト第X因子をコードする配列(矢印)の電気泳動による分離が示される。
図26には、CaMV35SΩとOCSターミネーター配列の間に第X因子の配列が連結されている、連結されたCE−FX−KDEL構築物が示される。制限酵素の認識部位の位置が示される。
図27は、中に連結カセットCE−FX−KDELが導入されているpBluescript SKベクターのマップである。
図28は、プラスミドpzp−FX−ERおよびpGREEN nos−kana−FX−ERで形質転換したクローンの制限分析であり、これにより、植物細胞中でのヒト第X因子のクローニングおよび発現に使用したカセット、およびプラスミドが示される。レーン1は、構築物pzp−FX−ERで形質転換され、その後、制限酵素で消化されたクローン3である。レーン2は、EcoR1とHindIIIで消化された後のクローン3である。レーン3は、構築物pzp−FX−ERで形質転換され、その後、制限酵素で消化されたクローン4である。レーン4は、EcoR1とHindIIIで消化された後のクローン4である。レーン5は、CaMV35S+ΩFX−ER発現カセットである。レーン6は、pGREEN nos−kana−FX−ERで形質転換され、その後、制限酵素で消化されたクローン3である。レーン7は、Asp718とXbaIで消化されたクローン3である。レーン8は、pGREEN nos−kana−FX−ERで形質転換され、その後、制限酵素で消化されたクローン8である。レーン9は、Asp718とXbaIで消化されたクローン8である。全ての形質転換されたクローンのCaMV35S+ΩFX−ER発現カセットのバンドに注目されたい。MW=分子量標準物。
図29には、CaMV35S+Ω、OCSターミネーターと、NPTII配列の間に第X因子配列が連結されている、pGREEN nos−kana−FX−ER構築物のTDNAが示される。制限酵素の認識部位の位置が示される。
図30には、多数の形質転換されたニンジン細胞株の細胞内容物のウェスタンブロット分析が示される。第X因子の発現は、精製されたポリクローナルウサギ抗ヒト第X因子IgG(Affinity Biologicals,Hamilton,Ontario,Canada)によってウェスタンブロット上で検出された。pGREEN−nos−kana−FX−ERで形質転換された株の中での第X因子の強い発現に留意されたい(レーン1および2)。MW=分子量標準物。
図31には、植物細胞中で発現させられた組み換え体ヒト第X因子の的確な切断が示される。エンドペプチダーゼであるフリン(これは、ヒト第X因子の軽鎖/重鎖のプロセシングのためのプロペプチドと一本鎖の除去に応答する)によって、活性なXaの大きさになるように植物細胞中で発現させられた組み換え体ヒト第X因子が的確に消化される(レーン4および5を参照のこと)。MW=分子量標準物。
図32は、植物細胞中で発現させられた組み換え体ヒト第X因子の触媒活性を示すグラフである。形質転換されたニンジン細胞に由来する細胞抽出物(●、▲、および■)と、形質転換されていない対照(+、*、および●)は、色素形成性物質であるペファクロム(Pefachrome)と反応させられ、生成物が分光光度計によってOD450nmでモニターされた。
図33には、PCRによる増幅後の、ヒトIfnβコード配列(矢印)の電気泳動による分離が示される。レーン1はifnKDEL配列(ERを標的とする)である。レーン2はifnSTOP配列である(アポプラストを標的とする)。MW=分子量標準物。
図34には、CE−K発現カセットを使用して大腸菌(E.coli)DH5αにクローニングされた、増幅されたヒトIfnβコード配列の電気泳動による分離が示される。ポジティブクローンが、CaMV35S正方向プライマーとターミネーター逆方向プライマーを使用する挿入断片のPCR分析によって選択された(図29を参照のこと)。レーン1〜7はポジティブクローンであり、CE−ifn−STOP挿入断片を示している。レーン「fx」はポジティブ対照のCE−fx−hisであり、これにはifn挿入断片は含まれていない。レーン「−DNA」はネガティブ対照のPCR反応であり、これにはDNAは含まれていない。
図35には、CE−K発現カセットを使用して大腸菌(E.coli)DH5αにクローニングされた、増幅されたヒトIfnβコード配列の電気泳動による分離が示される。ポジティブクローンが、CaMV35S+Ω正方向プライマーとOCSターミネーター逆方向プライマーを使用する挿入断片のPCR分析によって選択された(図37を参照のこと)。レーン1〜4および6はポジティブクローンであり、CE−ifn−KDEL挿入断片を示している。レーン5はヒトIfnβを発現しないクローンである。MW=分子量標準物。
図36には、ifnポジティブクローンの制限分析産物の電気泳動による分離が示される。左側のパネルには、CE−ifn−STOP挿入断片およびCE−ifn−KDEL挿入断片(矢印)を有しているポジティブクローンの、制限酵素EcoRI+SalIを使用した制限分析産物の電気泳動による分離が示される(レーン1〜5)。レーン1は、EcoRI+SalIで消化したCE−ifn−KDELポジティブクローン1である(図35を参照のこと)。レーン2は、EcoRI+SalIで消化したCE−ifn−KDELポジティブクローン2である(図35を参照のこと)。レーン3は、EcoRI+SalIで消化したCE−ifn−STOPポジティブクローン1である(図34を参照のこと)。レーン4は、EcoRI+SalIで消化したCE−ifn−STOPポジティブクローン2である(図34を参照のこと)。レーン5は、EcoRI+SalIで消化したCE−Fx(「ifn」挿入断片を含まない)である。MW=分子量標準物。右側のパネルには、CE−ifn−STOP挿入断片およびCE−ifn−KDEL挿入断片(矢印)を有しているポジティブクローンの、制限酵素KpnI+XbaIを使用した制限分析産物の電気泳動による分離が示される(レーン6〜9)。レーン6は、KpnI+XbaIで消化したCE−ifn−KDELポジティブクローン1である(図35を参照のこと)。レーン7は、制限酵素消化をしていないCE−ifn−KDELポジティブクローン2である(図35を参照のこと)。レーン8は、制限酵素消化をしていないCE−ifn−STOPポジティブクローン1である(図34を参照のこと)。レーン9は、KpnI+XbaIで消化したCE−ifn−STOPポジティブクローン1である(図34を参照のこと)。MW=分子量標準物。
図37には、CaMV35S+ΩとOCSターミネーター配列の間にヒトIfnβのコード配列が連結されている、連結させられたCE−ifn−KDEL構築物が示される。制限酵素の認識部位の位置が示される。
図38は、pzp−ifn−KDELプラスミドとpzp−ifn−STOPプラスミドの調製に使用されたpzp 111バイナリーベクターのマップであり、制限酵素認識部位が示される。
図39は、pzp−ifn−KDELプラスミドとpzp−ifn−STOPプラスミドを有しているアグロバクテリウムLB4404で形質転換されたニンジン細胞のクローンの中で発現させられた組み換え体ヒトIfnβの免疫検出を示すウェスタンブロットである。カルスが、抗生物質での選択によって寒天中の形質転換された細胞から増殖させられ、その後、数ヶ月間かけてそれぞれのプレートに移された。形質転換されたカルスの細胞内容物(レーン1〜10)が抽出され、PAGE上で分離させられ、ブロットされ、組み換え体ヒトinfβが、親和性によって精製されたウサギ抗インターフェロンβ抗体で検出された。MW=分子量標準物。St=ポジティブ対照:CHO細胞中で発現させられた3ngの組み換え体ヒトインターフェロンβ。
図40には、PCRによる増幅後の、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスのウイルスタンパク質2(VPII)をコードする配列(矢印)の電気泳動による分離が示される。レーン1、2、および3はVPII配列である。レーン4および5はネガティブ対照のPCR反応であり、それぞれ、DNAが含まれないもの、およびポリメラーゼが含まれないものである。MW1はλHEの分子量標準物であり、MW2は1bpのラダーの分子量標準物である。
図41には、CE−K発現カセットを使用して大腸菌(E.coli)DH5αにクローニングされた、増幅されたVPIIコード配列の電気泳動による分離が示される。ポジティブクローンが、CaMV35S+Ω正方向プライマーとOCSターミネーター逆方向プライマーを使用する挿入断片のPCR分析によって選択された(図37を参照のこと)。レーン1〜6は試験したクローンである。レーン2、3、および5は、VPII挿入断片を有しているポジティブクローンを示す。レーン7は、VPIIIのPCR産物であるポジティブ対照である。レーン8は、空のCEカセットのDNAを有しているPCR産物である。レーン9および10はネガティブ対照のPCR反応であり、それぞれ、DNAが含まれないもの、およびポリメラーゼが含まれないものである。M=分子量標準物。
図42は、CE−VPIIの調製に使用されたCEバイナリーベクターのマップであり、制限酵素認識部位が示される。
図43aおよび43bは、PAGE分析(43A)とウェスタンブロット(43B)であり、これらによって、pGA492−CE−VPIIプラスミドを有しているアグロバクテリウムLB4404で形質転換されたニンジン細胞のクローンの中で発現させられた組み換え体VPIIの電気泳動による分離と免疫検出が示される。カルスが、抗生物質での選択によって寒天中で形質転換された細胞から増殖させられ、その後、数ヶ月間かけてそれぞれのプレートに移された。形質転換されたカルスの細胞内容物(レーン2、3、5、6、7、10、11、13、14、および15)が抽出され、PAGE上で分離され、ブロットされ、組み換え体であるVPIIが、ニワトリ抗IBDV抗体で検出された(図43)。+=ポジティブ対照(VPIIタンパク質)。レーン1およびレーン9はVPII細胞懸濁物(形質転換事象の混合物)である。レーン4および12は、「空の」ベクターだけで形質転換されたネガティブ対照細胞であり、そしてレーン8および16は、形質転換されていないニンジン細胞の内容物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0118】
本発明は、バイオリアクターと発酵槽を含む、細胞および/または組織を純培養し、回収するためのデバイス、システム、および方法の発明である。デバイスは、使い捨てることができることが好ましいが、それでもなお、それが廃棄するまでに、複数回の連続する培養/回収のサイクルに連続して使用される場合もある。本発明はまた、細胞および組織の大量生産に使用可能なそのようなデバイスのバッテリーにも関する。
【0119】
本発明の好ましい実施形態によると、本発明は、上記の植物細胞培養物とともに使用されるように適応される。
【0120】
好ましくは、培養物は、完全な植物体を形成するように集められていない細胞を特徴とし、その結果、植物の少なくとも1つの生物学的構造は存在しない。所望により、そして好ましくは、培養物は、複数の種々のタイプの植物細胞を特徴としてもよいが、好ましくは、培養物は、特定のタイプの植物細胞を特徴とする。所望により、特定のタイプの植物細胞を特徴とする植物培養物を、複数の種々のタイプのそのような植物細胞から元来誘導することができることに留意されるべきである。本発明のデバイスおよび方法での使用に適している植物細胞培養物としては、植物の根細胞、アルファルファ細胞、タバコ細胞、およびタバコ細胞株の細胞に由来する植物細胞培養物が挙げられるが、これらに限定はされない。本明細書中で使用される場合は、タバコ細胞株の細胞は、本発明の方法にしたがって培養される前に、細胞として培養物中で増殖させられたタバコ細胞と定義される。確立されているタバコ細胞株の限定的ではない例は、タバコ(Nicotiana tabacum)L.cv Bright Yellow−2(BY−2)と、タバコ(Nicotiana tabacum)L.cv.Petit Havanaである。
【0121】
植物細胞は、所望により任意のタイプの植物細胞であり得るが、所望により、そして好ましくは、植物の根細胞(すなわち、植物の根から誘導された細胞、植物の根から得られた細胞、または植物の根にもともとは基づく細胞)であり、さらに好ましくは、以下からなる群より選択される植物の根細胞である:根用セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞。本明細書中で上記に記載され、そして以下の実施例のセクションに詳細に記載されるように、植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞であり得る。所望により、そして好ましくは、植物細胞は懸濁液の中で増殖させられる。植物細胞は、所望により、植物の葉細胞または植物の芽細胞であってもよい。これらはそれぞれ、植物の葉または植物の芽に由来する細胞、植物の葉または植物の芽から得られた細胞、あるいは、植物の葉または植物の芽に元来基づく細胞である。
【0122】
好ましい実施形態においては、植物の根細胞は、ニンジン細胞である。本発明の形質転換されたニンジン細胞は懸濁液の中で増殖させられることが好ましいことに留意されるべきである。上記に、および以下の実施例に記載されるように、これらの細胞は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞で形質転換された。本発明の好ましい実施形態によると、任意の適切なタイプの細菌細胞は、所望により、そのような形質転換のために使用することができるが、好ましくは、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞が、以下に記載される好ましい植物宿主細胞を感染させるために使用される。
【0123】
アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞での宿主細胞の形質転換により、宿主細胞を、組み換え体タンパク質を発現させることができる本発明のデバイスの中で、本発明の方法によって培養物中で増殖させることができることは、当業者には明らかであろう。好ましい実施形態においては、組み換え体タンパク質は異種タンパク質である。なお別の好ましい実施形態においては、組み換え体タンパク質はウイルスタンパク質、真核生物タンパク質、および/または原核生物タンパク質である。本発明の形質転換された細胞培養物もまた、キメラポリペプチドを発現することができる。本明細書中で使用される場合は、キメラポリペプチドは、少なくとも2つの個体の同一ではない遺伝子に由来するコード配列を含む融合させられたコード配列を有するポリヌクレオチドによってコードされる組み換え体であるポリペプチドまたはタンパク質として定義される。発現させられたポリペプチドは、好ましくは、真核生物起源の植物以外のタンパク質、特に、哺乳動物起源のものであり、抗体分子、ヒトの血清アルブミン(Dugaiczyk ら.,(1982)PNAS USA 79:71−75(引用により本明細書中に組み入れられる))、エリスロポエチン、他の治療用分子、または血液の代用物、栄養価の高いタンパク質から選択されることができ、そしてこれらの任意のものの修飾された形態、例えば、1つ以上のアミノ酸の挿入、欠失、置換、および/または付加を含むものでもあることができる。(コード配列は、好ましくは、コドン使用の原則によると宿主種においては稀であるコドンに交換するように修飾されることが好ましい)。本発明のデバイスの中で、本発明の方法によって増殖させられた宿主細胞の中で発現させることができるこのような異種タンパク質の例として、リソソーム酵素、例えば、グルコセレブロシド、サイトカイン、および成長因子、例えば、ヒトインターフェロンβ、血清タンパク質、例えば、凝固因子、例えば、ヒト凝固因子X、細菌およびウイルスのタンパク質(例えば、VPII)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0124】
本発明の好ましい実施形態によると、植物細胞の培養のためのデバイスが提供され、これには、植物細胞を培養するための使い捨ての容器が含まれる。使い捨ての容器は、少なくとも1回のさらに連続する培養/回収サイクルに連続して使用することができることが好ましい。その結果、「使い捨て」は、1回の培養/回収サイクルのため容器だけには限定されない。より好ましくは、デバイスにはさらに、再利用可能な回収装置が含まれ、これには、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも所望の部分の回収が可能であり、所望の場合には、それによって、デバイスを、少なくとも1回のさらに連続する培養/回収サイクルに連続して使用できるようにする、流量調整器が含まれる。所望により、そして好ましくは、流量調整器は、細胞および/または組織を含む培地の残りの滅菌性を維持し、その結果、先に回収されたサイクルによる残りである培地の残りは、次の培養および回収サイクルのための接種材料とされる。
【0125】
本発明の任意の実施形態によると、本発明のデバイス、システム、および方法は、哺乳動物細胞の培養のために、好ましくは、懸濁液の中で哺乳動物細胞を培養するために適応させられる。当業者であれば、哺乳動物細胞の培養のために、本明細書中に提供されるプロトコールおよびデバイスについての記載を容易に適応させることができる。
【0126】
1つの好ましい実施形態においては、本発明の宿主細胞は、真核生物細胞または原核生物細胞であり得る。
【0127】
好ましい実施形態においては、本発明の宿主細胞は原核生物細胞であり、好ましくは、細菌細胞である。別の実施形態においては、宿主細胞は真核生物細胞であり、例えば、上記のような植物細胞、または哺乳動物細胞である。
【0128】
開示され、そして記載される本発明が、本明細書中に開示される特定の実施例、処理工程、および材料に限定されず、そのような処理工程や材料を幾らか変更することができることが理解される。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびその等価物によってのみ限定されるので、本明細書中で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載する目的のためにだけ使用され、限定するようには意図されないこともまた理解される。
【0129】
本明細書と、以下の特許請求の範囲を通じて、状況がそれ以外を必要としない限りにおいては、用語「含む(comprise)」と、「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」のようなバリエーションは、示される整数値または工程、あるいは、複数の整数値または複数の工程のグループが含まれることを暗に意味すると理解されるが、任意の他の整数値または工程、あるいは、複数の整数値または複数の工程のグループを排除するようには理解されてはならない。
【0130】
本明細書と、添付の特許請求の範囲において使用される場合には、単数形「a」、「an」、および「the」には、その内容が他の場所で明確に示されていない限りは、複数形についての言及が含まれることに留意されなければならない。
【0131】
以下の実施例は、本発明の複数の態様の実施において本発明者らによって使用された代表的な技術である。これらの技術は、本発明の実施についての好ましい実施形態の例であり、当業者であれば、本開示を参照して、多数の改変を本発明の精神および意図される範囲から逸脱することなく行うことができると認識するであろうことが理解されるべきである。
【実施例1】
【0132】
デバイスの説明
本発明の原理および操作は、図面と添付される記載を参照してさらに理解され得る。図1〜9は、本発明のデバイスの種々の例示的な実施形態の模式図を示す。
【0133】
本発明のデバイスは、以下にさらに詳細に記載されるように、所望により、製造の間、および/または使用の前の、全ての構成要素を特徴とすることに留意されるべきである。あるいは、このような構成要素は、これらの構成要素を便利に組み合わせることによって使用時に作成され得る。例えば、任意の1つ以上の構成要素が、所望により、使用時に完全なデバイスを生じるようにデバイスに付加される場合がある。
【0134】
ここで図面に言及すると、図1、2、および3はそれぞれ、一般的に設計されたデバイス(10)の第1、第2、および第3の実施形態に対応する。これらには、上端(26)と下端(28)を有する透明および/または半透明の容器(20)が含まれる。容器(20)には、側壁(22)が含まれ、これは好ましくは、実質的に円柱状であるか、または少なくとも丸い形状であることを特徴とするが、他の形状、例えば、長方形または多面体が適している場合もある。好ましくは、下端(28)は、その場所での沈殿を最小にするように適切に成型される。例えば、第1の実施形態においては、下端(28)は、実質的に円錐台型(frustroconical)であるか、または少なくとも、上向きに傾斜している壁を含む。第2の実施形態においては、下端(28)には、1つの上向きに傾斜している壁(29)が含まれる。第3の実施形態においては、下端(28)は、実質的には円柱状であるか、あるいは凸状である。上記の下端(28)の立体構造は、下端(28)近くの出口(76)(本明細書中で以降で記載される)の位置と組み合わせて、その場所での沈殿を効率よく最小にする、下端(28)にある容器の内容物の混合動作を誘導するための、出口(76)より空気が供給されることを可能にする。それにもかかわらず、本発明の他の実施形態においては、下端が実質的に平坦である場合もある。容器(20)には、内部充填容量(30)が含まれ、これは通常、5リットルから50リットルの間である。しかし、デバイス(10)は、その代わりに、50リットルを超えるか、または5リットルよりも少ない内部容量を有する場合もある。内部容量(30)は、適切な滅菌の生物学的細胞および/または組織培養培地(65)、ならびに/あるいは、純培養の接種材料(60)、ならびに/あるいは、滅菌の空気、ならびに/あるいは、必要な他の滅菌の添加物(例えば、本明細書中で以下に記載されるような抗生物質または殺菌剤)で満たされ得る。上記の実施形態においては、容器(20)は、実質的には剛体ではなく、好ましくは、例えば、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンとナイロン、PVCとEVAの共重合体を含む群より選択される、剛体ではないプラスチック材料製である。所望により、容器(20)は、1層以上の材料の積層体から作られている場合もある。
【0135】
図3に第3の実施形態について示されるように、容器(20)には、所望により、機械的強度を増大させ、そして容器の壁からの内容物の汚染のリスクを最小にするために、2つの同軸の外壁(24)が含まれてもよい。
【0136】
第1、第2、および第3の実施形態においては、デバイス(10)は、好気的な使用のためのデバイスである。したがって、容器(20)にはさらに、少なくとも1つの空気吸入口の開口部(72)を通じて培養培地(65)の中に気泡(70)の形態で滅菌空気を導入するための、少なくとも1つの空気吸入口が含まれる。上記の実施形態においては、空気吸入口には、適切な空気の供給源のために接続することができ(図示せず)、入口開口部(72)から下端の底(28)から距離d1にある内部容器(20)の位置に伸びる、少なくとも1つの管(74)が含まれる。この場合、d1は、通常およそ1cmであるが、1cmよりも大きくても、また1cmよりも小さくてもよい。管(74)はシリコン製であっても、また、他の適切なプラスチック材料製であってもよく、弾力性があることが好ましい。したがって、管(74)には、必要とされる平均直径の気泡(70)を生じるために適切な直径の空気吹き出し口(76)が含まれる。これらの気泡は、培地(65)だけにエアレーションするのではなく、容器の内容物を混合する役割も果たし、それによって、本明細書中で先に記載したように、下端(28)での沈殿を十分に小さくする。気体入口から送られる気泡の大きさは、デバイスの用途に応じて変化し、1mmよりも十分に小さい大きさから、10mmを超える直径までの範囲である。いくつかの場合には、特に、植物細胞に関しては、小さい気泡によっては細胞壁が実際に損傷を受ける場合があり、4mmを下回らない平均の気泡の直径によって、この起こりうる問題点が実質的に克服される。他の場合においては、さらに小さな気泡が有利であり、気泡の大きさを小さくするために噴霧器が空気吹き出し口(76)で使用される場合がある。さらに他の場合には、10mmまたはさらには、それより大きい直径の気泡が最も適している場合もある。所望により、出口(76)は、鎖(図示せず)または当該分野で公知の他の手段によって、下端(28)の位置に固定される場合もある。
【0137】
他の実施形態においては、デバイス(10)は嫌気的な使用のためのデバイスであり、したがって、空気吸入口は含まれない。
【0138】
本発明の第4および第5の実施形態においては、それぞれ図5および図6を参照して、デバイス(10)にもまた、上端(26)と下端(28)を有する透明および/または半透明の容器(20)が含まれる。容器(20)には、側壁(22)が含まれ、これは好ましくは、本発明の第4の実施形態について示されるように、断面が実質的に長方形であり、長さ対幅の比が大きい(図5)。したがって、第4の実施形態の容器(20)は、実質的に箱型であり、典型的には、130cm−70cm−10cmの高さ−長さ−幅の寸法をそれぞれ有する。デバイスの長さに対する高さの比は、例えば、約1、および約3であり、好ましくは、約1.85である。デバイスの幅に対する高さの比は、通常は、5から約30の間であり、好ましくは、約13である。
【0139】
あるいは、図6に示されるように、本発明の第5の実施形態に関して、側壁(22)には、実質的にアコーディオン型の水平方向の断面が含まれる場合があり、これは、容器(20)の長さにそって谷(222)が挿入されている連なった平行な一連の隆起(221)を有しており、これによって、互いに流体経路において一連の隣接しているチャンバー(223)との連なりが定義される。所望により、第5の実施形態の側壁(22)にはさらに、複数の垂直方向のウェブ(224)が含まれてもよい。これはそれぞれ、向かいあっている谷を内部で繋いでおり、それによって、隣接しているチャンバー(223)からそれぞれのチャンバー(223)の少なくとも垂直部分を分離させている。ウェブ(224)は、容器(20)に対して大きな構造上の完全性を提供するだけではなく、より小さい容量となるように容器(20)を効率よく分け、循環の増強の利点を提供する。言い換えると、細胞の循環を促進することにおける気泡の有効性は、より大きな等容量よりも、より小さい閉じられた容量においてはるかに高い。実際、正比例するより容量の大きい場合の気泡の流速が、同じ組み合わせた培地容量を有している多数のより小さい容量よりも、大きな容量の空気の循環を促進するためには必要である。第4および第5の実施形態においては、下端(28)な実質的には半円柱状であるか、また、凸状であるか、実質的に平坦であるか、または任意の他の適切な形状である場合もある。第4および第5の実施形態においては、容器(20)には、内部充填容量(30)が含まれ、これは通常、10リットルから100リットルの間である。しかし、デバイス(10)は、その代わりに、100リットルを超える、そしてまた、200リットルを超える内部容量を有する場合もある。内部容量(30)は、適切な滅菌の生物学的細胞および/または組織培養培地(65)、ならびに/あるいは、純培養の接種材料(60)、ならびに/あるいは、滅菌の空気、ならびに/あるいは、必要な他の滅菌の添加物(例えば、本明細書中で以下に記載されるような抗生物質または殺菌剤)で満たされ得る。上記の第4および第5の実施形態においては、容器(20)は、実質的には剛体ではなく、好ましくは、例えば、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンとナイロン、PVCとEVAの共重合体を含む群より選択される、剛体ではないプラスチック材料製である。例えば、そして所望により、容器(20)は、1層より多い材料の積層体から作られてもよい。
【0140】
第1、第2、および第3の実施形態と同様に、第4および第5の実施形態のデバイス(10)もまた、好気的な使用のためのデバイスでもある。第4および第5の実施形態においては、容器(20)にはさらに、複数の空気吸入口の開口部(72)を通じて培養培地(65)の中に気泡(70)の形態で滅菌空気を導入するための、少なくとも1つの空気吸入口が含まれる。第4および第5の実施形態においては、空気吸入口には、適切な空気の供給源に接続することができ(図示せず)、複数の第2の吸気管(741)に繋がる、少なくとも1つの空気吸入口吸気管(74)が含まれる。それぞれの第2の吸気管(741)は、入口開口部(72)から下端(28)の底からの距離d1にある容器(20)の内部位置に伸びる。この場合、d1は、通常およそ1cmであるが、1cmよりも大きい場合も、また1cmよりも小さい場合もある。複数の入口開口部(72)は、適切な間隔d5(通常は、約5cmから約25cmの間、好ましくは、10cm)を隔てられて互いに水平に配置される。少なくとも1つの空気吸入口吸気管(74)および第2の吸気管(741)はシリコン製である場合も、また、他の適切なプラスチック製である場合もあり、弾力性があることが好ましい。したがって、第2の吸気管(741)のそれぞれには、必要とされる平均直径の気泡(70)を生じるために適切な直径の空気吹き出し口(76)が含まれる。これらの気泡は、培地(65)にエアレーションするだけではなく、容器の内容物を混合する役割も果たし、それによって、本明細書中で先に記載したように、下端(28)での沈殿を十分に最小にする。気体入口から送られる気泡の大きさは、デバイスの用途に応じて様々であり、1mmよりも十分に小さい大きさから、10mmを超える直径までの範囲である。いくつかの場合には、特に、植物細胞に関しては、小さい気泡によっては細胞壁が実際に損傷を受ける場合があり、4mmを下回らない気泡の平均直径によって、この起こりうる問題点が実質的に克服される。他の場合においては、さらに小さな気泡が有利であり、気泡の大きさを小さくするために噴霧器が少なくとも1つの空気吹き出し口(76)で使用される場合がある。さらに他の場合には、10mmの直径、またはさらにはそれより大きい直径の気泡が最適である場合もある。所望により、それぞれの出口(76)は、鎖(図示せず)または当該分野で公知の別の機構を使用することによって、下端(28)の位置に固定されてもよい。
【0141】
本発明の第4および第5の実施形態は、比較的多量の接種材料を処理するために特別に適応させられる。
【0142】
上記の実施形態の全てにおいて、空気吸入口には、所望により、容器(20)内の空気圧をモニターするための適切な圧力ゲージが含まれる。好ましくは、圧力ゲージは、その中の圧力が規定値を超えた場合に容器(20)への空気の供給を遮断するために存在させることができる、適切な遮断バルブに動作可能であるように接続されるか、あるいは圧力ゲージに遮断バルブが含まれる。このようなシステムは、排気ガスの排出を遮断する場合にも有用であり、例えば、これは別の方法で、容器(20)内の圧力を高め、最終的にそれを破裂させるように導くことができる。
【0143】
容器(20)にはさらに、容器(20)から過剰な空気および/または排ガスを除去するための少なくとも1つの空気吹き出し口が含まれる。これらの気体は、容器(20)の上端(26)に集まる。空気吹き出し口には、下端(28)の底からの距離d4の位置にある上端(26)に、または上端の近くに入口(96)を有する管が含まれ得る。この場合、d4は、例えば、第1、第2、および第3の実施形態については通常、90cmである。管(90)は、シリコン製であっても、また、他の適切なプラスチック製であってもよく、弾力性があることが好ましい。管(90)は、適切な排気装置(図示せず)に対して既知の機構によって接続することができる。排気手段にはさらに、遮断装置、例えば、適切な一方向のバルブまたはフィルター(通常は、0.2マイクロメートルのフィルター)が、例えば、空気吹き出し口からの容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐために、含まれる。上端(26)の少なくとも一部は、入口(96)から取り出されるまで排気ガスを集めることを容易にするために適切な立体構造となっていてもよい。したがって、第1および第2の実施形態においては、上端(26)の上部は、入口(96)の位置の近くの断面積が小さくなるように徐々に細くなっている。あるいは、上端(26)の少なくとも上部は、同様に、実質的に円錐台形または凸状である場合もある。第4および第5の実施形態においては、上端(26)は凸状であるか、または比較的平坦であり、例えば、入口(96)は、上端(26)の水平方向の末端で、またはその付近に配置されることが便利である場合がある。
【0144】
容器(20)にはさらに、容器内に接種材料および/または培養培地および/または添加物を導入するための添加物入口が含まれる。上記の実施形態に加えて、添加物入口には、下端(28)の底から距離d3の位置に、好ましくは、上端(26)に、または上端付近に出口(86)を有する適切な管(80)が含まれる。この場合、例えば、第1の実施形態についてのd3は、通常、約68cmである。管(80)は、シリコン製であっても、また、他の適切なプラスチック製であってもよく、弾力性があることが好ましい。管(80)は、接種材料および/または培養培地および/または添加物の適切な滅菌された供給源に、既知の接続装置によって接続することができる。添加物入口にはさらに、添加物入口からの容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐための遮断装置が含まれる。これらの実施形態においては、適切な一方向のバルブまたはフィルター(84)が含まれる。通常、容器(20)の内容物のレベルは、出口(86)のレベルよりも低く維持される。
【0145】
容器(20)にはさらに、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも所望の第1の部分を回収するための、所望の場合には、それによって、デバイスを、少なくとも1回のその後の培養サイクルに連続して使用できるようにするための、再利用可能な回収装置が含まれる。細胞および/または組織を含む培地の残っている第2の部分は、次の培養および回収サイクルの接種材料となる。この場合、培養培地および/または必要とされる添加物が提供される。回収装置はまた、容器に最初の容量の接種材料を導入するため、さらには、回収される材料がそこを通って容器の外に流れ出ることを可能にするためにも、使用することができる。
【0146】
上記の実施形態においては、回収装置には、容器(20)の内部容量(30)とつなげられた入口(52)を有する管(50)および容器(20)の外部の管(56)が含まれる。管(50)は、シリコン製であっても、また、他の適切なプラスチック製であってもよく、弾力性があることが好ましい。管(50)は、それを通って流れる回収される細胞および/または組織が、細い管を詰まらせる可能性がある細胞粒子の塊を含む場合があるので、比較的大きな直径、通常は、約2cmの管である。好ましくは、入口(52)は、容器(20)の下端(28)付近にあり、その結果、入口(52)よりも上にある容器内容物しか回収されない。したがって、それぞれの回収サイクルの終了時点で、入口(52)(これは、下端(28)の底からの距離d2の位置にある)のレベル(51)より下のレベルまでの、細胞および/または組織を含む培地の第2の部分が、容器(20)の下端(28)に自動的に残る。d2は第1の実施形態については約25cmであるが、通常は、必ずしもそうではない。
【0147】
所望により、そして好ましくは、d2は容器(20)の容量にしたがって選択される。その結果、残る培地と細胞および/または組織の部分は、容器(20)の容量について所望の割合である。また、所望により、そして好ましくは、細胞および/または組織を含む培養培地の試料を取り出すためのさらなるサンプリング口もまた提供される場合がある(図示せず)。サンプリング口は好ましくは、入口と回収のための管を特徴とし、これは、より好ましくは、回収装置よりも上に配置される。他の口もまた所望により提供される場合がある。
【0148】
あるいは、入口(52)は、容器中(20)中のより低い位置に配置される場合もある。この場合、操作者は細胞および/または組織を含む培地の適切な部分を、培地と、細胞および/または組織の所望の部分を回収した後に、容器(20)の中に残すことを、所望により手作業によって確実に行うことができる。あるいは、培地の全てを手作業によって回収することもできる。回収装置にはさらに、閉鎖するため、および、回収装置から容器(20)の内部へ、または容器の外へと物質を流すための、適切なバルブ(54)および/または無菌の連結装置(55)のような流量調整器が含まれる。通常、無菌の連結装置(55)は、ステンレス鋼製であり、その多くの例が当該分野で公知である。好ましくは、回収装置にはさらに、回収後の回収装置から容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐための汚染防止装置が含まれる。
【0149】
第1、第2、第3、第4、および第5の実施形態においては、汚染防止装置には流体トラップ(300)が含まれる。流体トラップ(300)は、例えば、図1(b)において第1の実施形態について示されるように、好ましくは、実質的にU型の中空管の形態であり、その一方のアームは、回収装置の出口(56)に取り付けられ、もう一方のアームは外部開口部(58)を有している。回収された細胞/組織は、回収装置、流体トラップ(300)、および開口部(58)を通じてデバイス(10)の外に流され、その後、本明細書中で後に記載されるような適切な貯蔵タンクに回収される。回収が終了した後、空気を、開口部(56)を通じて回収装置の中に導入することができ、これには、回収された物質の幾らかの逆流が伴い、これによりデバイス内に汚染物質が導入される可能性がある。U管(300)は、開口部(56)の下流で回収された物質(すなわち、細胞/組織)の一部をトラップし、それによって空気、および可能性のある汚染物質が回収装置から進入することを防ぐことによって、この起こりうる問題点を実質的に克服する。一旦、回収装置がバルブ(54)によって閉鎖されると、U管(300)は取り外され、通常は、次の使用のために滅菌されるか、または廃棄される。U管(300)は、ステンレス鋼製であっても、また他の適切な硬質プラスチック材料製であってもよい。上記の実施形態においては、細胞および/または組織を含む培地の残っている第2の部分には、通常、もとの培養培地および接種材料の容量の10%から20%が含まれるが、第2の部分は、必要に応じて、もとの容量の20%よりも大きい場合も、45%まで、またはそれ以上である場合も、あるいは、10%未満である場合も、2.5%未満である場合もある。
【0150】
デバイス(10)には、所望によりさらに、吊り下げ型の支持構造体に対してこのデバイスを取り付けるための取り付け器具が含まれる。上記の実施形態においては、支持構造体には、棒(100)(図1、2、5)または輪(図示せず)が含まれる場合がある。第3の実施形態においては、取り付け器具にはフック(25)が含まれる場合があり、フックは容器(20)の上端(26)に一体として取り付けられていることが好ましい。あるいは、図1および2にそれぞれ第1および第2の実施形態について示されているように、取り付け器具には、好ましくは弾力性があり、適切な材質(通常は、容器(20)に使用されているものと同じ材質)の実質的に円柱状の輪(27)が含まれてもよく、これは、デバイスの上端(26)に一体化されているか、または適切に取り付けられている(例えば、溶融結合によって)かのいずれかである。あるいは、図5に第4の実施形態について示されるように、取り付け器具には、容器(20)の側壁(22)に作られた、好ましくは弾力性がある、実質的に円柱状の隙間(227)が含まれてもよい。これは、その深さ全体にまで伸びる。第5の実施形態は、所望により、デバイス(10)の上端(26)に一体化されているか、または上端に好ましくは適切に取り付けられている連なったフック(図示せず)によって支持されてもよい。
【0151】
所望により、容器は適切な支持カバーの中に支持されてもよい。例えば、第4の実施形態においては、デバイス(10)は、わずかに膨張した場合に、少なくとも側壁(22)と下端(28)の基準外部形状を補うような大きさであり、そのような形状の内部容量を含む、適切な外部支持構造体からなる支持カバーの中に支持されてもよい。外部支持構造体は実質的に連続しており、デバイス(10)の入口および出口にアクセスするための開口部と、さらには、デバイス(10)が支持カバーの中に挿入されること、またはそれから取り出されることを可能にするために、側部、上部、または下部のいずれかに適切な扉または開口部を有している。デバイスの基準形状は、それがその設計容量に膨張した場合の、デバイス(10)の形状と定義され得る。この時点では、その形状は、名目上は設計された形状であり、したがって、その内部容量は、名目上はその設計容積である。しかし、弾力性のある壁を含むこのようなデバイスに、実際に液体培地が充填されると、デバイスの形状は基準形状から外れる傾向にあり、デバイスの底が優先的に膨張してこの部分の圧力が最大になり、壁の材質の応力が相当増大する。例えば、記載されたような、必要とされる構造特性を有している支持カバーはまた、デバイスの形状を維持することを助け、壁の応力を低下させて、例えば、側壁(22)の破裂のリスクを小さくし、それによってそれぞれのデバイスのより長い作業寿命を確保する。
【0152】
あるいは、容器は、適切な支持構造体の中に支持されてもよい。例えば、本発明の第4および第5の実施形態においては、デバイス(10)は、例えば、図9に示されるように、一対の向かい合ったフレーム(405)、(406)を含む支持構造体(400)の中に支持されてもよい。それぞれのフレーム(405)、(406)は、通常、長方形であり、これには、実質的に平行であり、水平方向の上部および下部載荷部材(410)および(420)がそれぞれ含まれている。これらは、載荷部材(410)、(420)の少なくともそれぞれの長手方向の先端にあり、上部および下部載荷部材(410)および(420)のそれぞれに対して一体化されているかまたは別な方法で適切に取り付けられている、複数の実質的に平行な垂直の支持部材(430)によって間隔を隔てられている。それぞれのフレーム(405)および(406)の下部支持部材(420)には、容器(20)の下端(28)の対応する部分を受け止め、支持するように適応させられた適切な形状の下部支持体が含まれる。通常は、下部支持体は、向かい合ったフレームの方向に、それぞれの下部支持部材(420)から突出する適切に成型されたプラットフォームの形態をとり得る。あるいは、下部支持体は向かい合ったフレームの方向に、下部支持部材(420)のそれぞれから突出する複数の適切に成型されたタブ(460)の形態であってもよい。フレーム(405)、(406)は、戦略的に配置された間隔を隔てるための棒(450)によって互いに間隔を隔てられている。その結果、容器(20)は、支持構造体(400)から比較的容易に取り出すことができ、新しい容器(20)をその中にうまく、すなわち、支持フレーム(400)を分解する必要なく入れることができる。間隔を隔てるための棒(450)は、フレーム(405)、(406)に対して、例えば、溶融結合によって、一体化するように取り付けることができる。しかし、好ましくは、間隔を隔てるための棒(450)は、フレーム(405)、(406)に対して、取り外すことができるように取り付けられ、その結果、フレーム(405)、(406)は互いに分離することができ、また、それによって、フレーム(405)、(406)を接続するための異なる大きさの間隔を隔てるための棒を使用でき、これにより、支持構造体(400)を、広範囲の種々の幅を有している容器(20)とともに使用できるようにする。所望により、そして好ましくは、フレーム(405)、(406)にはそれぞれ、少なくとも1つの内部仕切り(470)が含まれる。内部仕切り(470)は、向かい合わせられたフレームの方向に、それぞれのフレーム(405)、(406)から突出する垂直のウェブの形態をとり得、これは、予め決定された位置に側壁(22)に対して押し付けるように作用する。その結果、内部仕切り(470)の向かい合わせられた対は、容器(20)の幅を予め決定された位置に効率よく減少させ、それによって、隣接している向かい合った内部仕切り(470)の対との間に、例えば、容器(20)の内部空間(30)の区切り、または簡単な区切り(semi partitioning)が作られる。したがって、内部仕切り(470)は、通常、第5の実施形態(図6を参照のこと)の側壁(22)と似ている形状になるように、第4の実施形態(図5を参照のこと)の容器(20)の側壁(22)を変形させることができる。もちろん、本発明の第5の実施形態の容器(20)と共に使用される場合には、内部仕切り(470)は、側壁(22)の谷(222)とかみ合うように、フレーム(405)、(406)の上に配置され、したがって、容器(29)の形状の維持に特に有用である。したがって、それぞれのフレーム上の隣接する内部仕切り(470)は、互いに一定の距離(d5)を隔てて配置されることが有利である。好ましくは、内部仕切り(470)には、適切な上部支柱と下部支柱(476)、(474)と向かい合わせられたフレームに向かう方向で、それぞれ、上部支持部材および下部支持部材(410)、(420)から間隔を隔てられた、適切な実質的に垂直な部材(472)が含まれる。したがって、支持構造体F(400)は、容器(20)の構造上の支持を提供するだけではなく、特に、第4および第5の実施形態については、これはまた、空気吸入口、空気吹き出し口、回収装置、および添加物入口のそれぞれがそこを通過することを可能にするための、積荷部材のそれぞれの間に多くの開かれた空間をも提供する。所望により、支持構造体(400)には、例えば、工場の環境で容器(20)の運搬を容易にするためのローラーまたはキャスター(480)が含まれてもよい。
【0153】
容器(20)は、所望により、上記に示したように、予め決定された継目に沿って、適切な材質の2枚の適切なシートを溶融結合することによって形成されてもよい。例えば、第1および第2の実施形態については、材質の2つのシート(200)をほぼ延長された形の長方形の形状に切断し、互いに重ね合わせることができる(図4)。その後、シートは2つのより長い側部の周囲(205)および(206)に沿って、そしてより短い方の側部の周囲(210)に沿って継目を生じるように、当該分野で周知の様式で互いに溶融結合される。容器(20)の上端に継目(220)が形成されるように、再び平行に、内向きに変えられる。溶融結合により、長いほうの側部に沿って継目(207)と(208)が合わせられ、これらの平行する短いほうの末端継目(210)と(220)の間が合わせられる。(210)および(220)は、別の方法で切断することができ、これによって、材質(20)の輪を残すことができる。容器(20)の底部(28)は、2つの傾斜している継目線(230)および(240)に沿ってシートの残っている短いほうの末端を溶融結合することによって形成され、長いほうの側部の継目(205)および(206)から相互に集まる。所望により、2つの傾斜している継目線(230)および(240)は、長いほうの側部の継目(205)および(206)にほぼ直交する別の溶融結合された継目線(260)によって頂上部分の上でつなげられてもよい。2枚のシートを互いに溶融結合する前に、硬質プラスチックの突起(270)、(290)、(280)、および(250)が、空気吸入口、空気吹き出し口、添加物入口、回収装置にそれぞれ対応する位置に溶融結合させられ得る。これらの突起は、対応する入口および出口のそれぞれについて、適切な機械的な取り付け点を提供する。本発明の第3、第4、および第5の実施形態は、実質的に上記に記載されているような、第1および第2の実施形態と同様の様式で、必要な変更を加えて、製造することができる。
【0154】
全ての実施形態において、デバイス(10)は、生物学的に適合し、容器を最初に使用する前に滅菌することができる材質から作られる。
【実施例2】
【0155】
システムの説明
本発明はまた、細胞および/または組織を純培養し、回収するための使い捨てのデバイスのバッテリーにも関する。ここでは、複数のこれらのデバイスのそれぞれは、本明細書中で上記に定義され、その第1から第5の実施形態を参照して記載された、デバイス(10)と構造的に、また操作上も類似している。
【0156】
図10に関して、バッテリー(500)には、第1から第5の実施形態のいずれか1つに関して本明細書中で上記に記載された、複数のデバイス(10)が含まれる。これらは、例えば、取り付け器具または支持構造体(400)を有している1つのフレームまたは複数のフレーム(図示せず)に支えられる。通常は、バッテリー(500)は、多数のグループに分けることができ、それぞれのグループには多数のデバイス(10)が含まれる。
【0157】
バッテリー(500)の好ましい実施形態においては、それぞれのグループのデバイス(10)の空気吸入口は相互に接続されている。したがって、グループのそれぞれのデバイス(10)の空気吸入口吸気管(74)は、無菌の接続装置(175)と共に提供される自由末端(170)を有している共通の管(174)に接続される。滅菌された空気は、1つ以上のフィルターのような適切な滅菌装置または遮断装置(110)を有している適切なエアーコンプレッサー(130)によって提供される。コンプレッサー(130)には、共通の管(174)の自由末端にある無菌の接続装置(175)に対して通常は接続することができる、無菌の接続装置(176)をその自由末端に有している供給管(101)が含まれる。この接続は、滅菌条件を接続の間中維持することを確実にするために、可動式の滅菌フード(380)の中で、それぞれの増殖/回収サイクルの実行の開始時に行われる。滅菌のフード(380)により、実質的に滅菌の条件下での、様々な供給、例えば、空気、培地、接種材料、および回収された細胞のデバイス(10)のグループへの供給、またはデバイスからの供給を接続するための、簡単であり比較的コストの低いシステムが提供される。同様に、増殖/回収サイクルのそれぞれの実行の最後に、接続装置(175)および(176)は滅菌のフード(380)の中で接続をはずされ、使用されたデバイスは廃棄される。これによって、コンプレッサーの末端の接続装置(175)を、デバイスの新しいグループの接続装置(176)に接続することができるようになる。滅菌された空気は、通常は連続して、あるいは、予め決定されたパルスでそれぞれの培養サイクルの間に提供される。
【0158】
バッテリー(500)の好ましい実施形態においては、それぞれのデバイス(10)からの過剰な空気および/または排ガスは、それぞれの対応する空気吹き出し口(90)に適切に接続された共通の管(290)を通じてから大気中に出される。共通の管(290)は、デバイス(10)内に汚染物質が流入することを防ぐための1つ以上のフィルターのような適切な汚染防止装置(210)と共に提供される。あるいは、それぞれのデバイス(10)の空気吹き出し口(90)は、別々に大気中に出るようにされ、好ましくは、デバイス(10)内への汚染物質の流入を実質的に防ぐ適切なフィルターを介して出される。
【0159】
培地および添加物は、1つ以上の保持タンク(340)に含められる。例えば、微量元素、マクロ要素、およびビタミンは、異なるタンクに保持することができ、添加物(例えば、抗生物質および抗菌剤)もまた、さらに別のタンクに保持することができる。それぞれのタンクに取り付けられたポンプ(345)により、所望の相対的な割合の培地および/または添加物のそれぞれの成分を、静的ミキサー(350)に対して予め決定された制御可能な流速で送ることができる。しかし、水−−蒸留されたか、または適切に濾過され、そして精製された−−は、適切な供給源(360)から、好ましくは適切なポンプ(365)の助けによって流される(図10)。ポンプ(345)および(365)の流速を調節することにより、デバイス(10)に送られる、利用することができる培地、さらには添加物の濃度を制御することができる。水と混合された培地および/または添加物は、その後、その自由末端(390)としての無菌の接続装置を有している、フィルター(310)および供給管(370)を介して、滅菌条件下で、静的ミキサー(350)から供給することができる。
【0160】
バッテリー(500)の好ましい実施形態においては、デバイスのグループのそれぞれ対応するデバイス(10)の添加物管(80)の入口は、共通の管(180)を介して相互に接続され、共通の管には、その自由末端に、共通の滅菌の接続装置(376)が含まれている。共通の滅菌の接続装置(376)は、その後、滅菌のフード(380)の中で、培地および添加物管(370)の自由末端(390)で無菌の接続装置(375)に接続することができる。これにより、バッテリーの、またはグループのそれぞれのデバイス(10)を、培地および添加物を供給することができる。デバイス(10)の寿命の最後であり、その廃棄の前には、滅菌の接続装置(375)および(376)は、滅菌のフードの中で接続をはずされる。無菌の滅菌装置(375)は、その後、次の培養/回収サイクルの実行のための準備として、バッテリーの新しいデバイス(10)の次の滅菌されたグループの新しい無菌の接続装置(376)に簡単に接続される。
【0161】
滅菌のフード(380)はまた、所望により、バッテリーの中のデバイス(10)の多数のグループのそれぞれの1つに対して、これらのグループのデバイスの耐用年数の間に、順に培地/添加物タンク(350)を接続するために使用することもできる。したがって、デバイスの1つのグループに培地/添加物が供給される場合には、このグループの無菌の接続装置(376)は、滅菌のフード(380)の中に一時的に無菌的にシールされ、これはその後、それらの共通の無菌の接続装置(376)が、管(370)の滅菌の接続装置(375)に接続される、デバイスの次のグループに移動させられる。これにより、デバイスのこのグループに、培地/添加物を供給することができる。
【0162】
バッテリー(500)の異なる実施形態においては、可動式の滅菌のフード(380)を、静的混合タンク(350)に接続された、好ましくは弾力性のある供給管の自由末端(390)を、次々と、それぞれのデバイス(10)の添加物入口に一緒に接続するために使用することができる。滅菌のフード(380)は、その後、1つのデバイス(10)から次のデバイスへと移動させることができ、毎回、対応する管(80)の入口末端に末端(390)が接続されて、順にそれぞれのデバイスに培地を供給することができる。滅菌のフード(380)は、好ましくは、ステンレス鋼製である無菌の接続装置と共に、それぞれ対応するデバイス(10)の末端(390)およびの管(80)入口に、それぞれのデバイス(10)を容易に接続し、その後、接続をはずすことができ、したがって、培地を滅菌条件下で供給することができる。2つの管を互いに接続するための適切な接続装置の多くの他の例は当該分野で周知である。適切なフィルターが、容器の内容物の汚染の可能性を防ぐか、または少なくとも最小にするために、末端(390)と管(80)にそれぞれ提供される。滅菌のフード(380)は、したがって、デバイス(10)からデバイス(10)へと、自動的に、または手作業によって移動させることができ、そしてそれぞれのデバイスでは、順に、操作者によって、滅菌のフード(380)を使用して培地供給源にデバイス(10)が接続され、デバイスが適切な量の培地および/または添加物で満たされ、その後、デバイスから滅菌のフード(380)がはずされて、次のデバイスの上へと移動させられる。もちろん、末端(390)は、滅菌の接続装置(375)をわずかに1つだけ含むのではなく、それよりもむしろ、複数の接続装置(375)を含むように適応させることができ、対応する接続装置(376)を有している同様の複数のデバイス(10)を、台車(380)によって培地の供給源に一度に接続することができる。
【0163】
それぞれのデバイス、またはデバイスのセットもしくはグループに対して接続末端(390)を接続する前に、毎回、対応する接続装置(375)および(376)は、通常は、例えば、加圧滅菌装置によって滅菌される。
【0164】
バッテリー(500)のなお別の実施形態においては、1つの管、または管のセット(図示せず)は、静的ミキサー(350)を、1つのデバイス(10)に、または対応するデバイス(10)のセットに、それぞれ同時に接続することができる。この場合、運搬システムによって、デバイス(10)またはデバイス(10)のセットが、1つの管または管のセットに対して、それぞれ運搬されるか、あるいは、その逆である。デバイス(10)またはデバイス(10)のセットが充填された後、運搬システムにより、さらなるデバイス(10)またはデバイス(10)のさらなるセットを、1つの管または管のセットを介して、それぞれ、静的ミキサーに接続することができる。
【0165】
バッテリー(500)の好ましい実施形態においては、グループのデバイス(10)のそれぞれの回収装置は相互接続される。したがって、それぞれのデバイス(10)の回収管(50)は、自由末端(150)を有している共通の回収管(154)に接続される。自由末端(150)には無菌の接続装置(150)が提供される。好ましくは、それぞれの回収管(50)には、本明細書で上記に記載されたように、それぞれの対応するデバイス(10)からの回収された細胞の流れを遮断するか、またはそのような流れを生じさせるための、バルブ(54)が含まれる場合がある。したがって、例えば、特定のグループの多数のデバイスが汚染されていると決定されても、他のデバイスが汚染されていなければ、汚染されたデバイスのバルブ(54)が閉じられたままである限りは、これらの後者のデバイスの中の細胞は回収することができ、前者のデバイスからの汚染の恐れはない。好ましくは、共通の管にはさらに、無菌の接続装置(155)の上流に、共通の遮断バルブ(259)が含まれる。好ましくは、汚染防止装置は、回収後の回収装置を介した容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐために提供される。
【0166】
好ましい実施形態においては、汚染防止装置には、実質的にU型の流体トラップ(400)が含まれる。流体トラップ(400)は、その一方のアームに無菌の接続装置(156)を有しており、他方のアームは、貯蔵タンク(590)と流体をやりとりする開口部(158)を有している。無菌の接続装置(155)および(156)は、その後、可動性の滅菌のフード(380)と滅菌条件下で相互接続される。その後、回収が、汚染されていないグループの全てのデバイスのバルブ(54)の開口部、さらには共通のバルブ(259)によって行われる。その後、グループに由来する細胞は貯蔵タンク(590)へと、好ましくは、重力によって流されるが、ある場合には、適切なポンプが使用されてもよい。回収が完了した後、無菌の接続装置(155)および(156)は、滅菌のフード(380)の中で接続をはずされ、これは次いで、デバイス(10)の次のグループに移動させることができる。このグループの対応する無菌の接続装置(155)は、その後、U管(400)の無菌の接続装置(156)と相互接続することができ、それによって、デバイスのこのグループの細胞を回収することができる。
【0167】
バッテリー(500)の別の実施形態においては、1つの管または管のセット(図示せず)は、共通の貯蔵タンクを、1つのデバイス(10)に、または対応するデバイス(10)のセットに、それぞれ同時に接続することができる。この場合、運搬システムによって、デバイス(10)またはデバイス(10)のセットが、1つの管または管のセットに対して、それぞれ運搬されるか、あるいは、その逆である。デバイス(10)またはデバイス(10)のセットが回収された後、運搬システムにより、さらなるデバイス(10)またはデバイス(10)のさらなるセットを、1つの管または管のセットを介して、それぞれ、共通の貯蔵タンクに接続することができる。
【0168】
バッテリー(500)の別の実施形態においては、それぞれのデバイス(10)は別々に回収することができる。この場合、それぞれのデバイスの回収装置には、回収後の回収装置から容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐための汚染防止装置が含まれる。この実施形態においては、汚染防止装置には、本明細書中で上記に記載されたようなU型の流体トラップ(400)が含まれる。流体トラップ(400)は、その一方のアームに無菌の接続装置(156)を有しており、他方のアームは、貯蔵タンク(590)と流体をやりとりする開口部(158)を有している。回収装置には、流体トラップ(400)の無菌の接続装置(156)に対して、可動性の滅菌のフード(380)の中で滅菌条件下で接続することができる、無菌の接続装置(55)が含まれる。回収は、デバイスのバルブ(54)の開口部から行われ、この場合、細胞はその後、貯蔵タンク(590)へと、好ましくは、重力によって流されるが、ある場合には、適切なポンプが使用されてもよい。回収が完了した後、これらの無菌の接続装置(55)および(156)は、滅菌のフード(380)の中で接続をはずされ、これは次いで、次のデバイス(10)に移動させることができる。このデバイスの回収装置の対応する無菌の接続装置(55)は、その後、U管(400)の無菌の接続装置(156)と相互接続することができ、それによって、デバイスのこの次のデバイスの細胞を回収することができる。
【0169】
バッテリー(500)の好ましい実施形態においては、回収装置はまた、新しい増殖/回収サイクルの実行の開始時に、最初に接種材料を提供すために使用することもできる。したがって、接種材料は、その自由末端に、滅菌のフード(380)の中で共通の回収管(154)の無菌の接続装置(155)に接続される無菌の接続装置を含む供給管を有している適切なタンクの中で、滅菌された培地と混合することができる。接種材料は、次いで、重力によって、または適切なポンプの助けを借りて、共通の回収管(154)からグループのそれぞれのデバイス(10)へと流され、その後、無菌の接続装置は滅菌のフードから取り外される。
【0170】
あるいは、接種材料は、回収装置、および共通の回収管(155)に関して本明細書中で上記に記載した様式と同様の様式で、必要な変更を加えて、添加物入口、具体的には、添加物用の共通の管(180)からデバイスの中に導入することができる。
【0171】
本発明の好ましい実施形態によると、上記のそれぞれのデバイスおよび/またはバッテリーの操作は、図1Cに関して示したように、コンピューター(600)によって制御される。コンピューターは、所望により、そして好ましくは、温度、容器に気体または混合気体を入れる量および時間、容器から気体を排出させる量および時間、少なくとも1つの物質(例えば、栄養分、培養培地など)を添加する量および時間、ならびに/あるいは、光の量の1つ以上のような、本発明のバッテリーおよび/またはデバイスの操作についてのそのようなパラメーターを制御することができる。コンピューターは、所望により、生産された廃棄物の量を検出することもできる。
【0172】
コンピューターは、本発明の操作の自動化または半自動化のためのシステムの一例として、好ましくは、本発明の操作に関して存在する種々の測定機器に接続される。例えば、コンピューター(600)は、好ましくは、気体または混合気体の流れを制御するために、1つのゲージ(602)または複数のゲージに接続される。ゲージ(602)は、好ましくは、適切な空気の供給源(604)に接続することができる管(74)に接続され、管(74)への空気または他の気体の流れを制御する。
【0173】
コンピューター(600)はまた、好ましくは、温度計(606)に接続される。温度計は、より好ましくは、容器(20)の環境に存在するが、容器内でないことがさらに好ましい。コンピューター(600)はまた、所望により、そして好ましくは、例えば、加熱装置および/または冷却装置のような、温度を制御するための機構(608)を制御することができる。
【0174】
コンピューター(600)は、所望により、そして好ましくは、栄養分/培地の容器(612:本明細書中では以降、栄養分容器とまとめて記載する)から容器(20)への本発明の管(80)を介した、培地および/または他の栄養分の流れを制御するためのゲージ(610)に接続される。コンピューター(600)はまた、所望により、さらに、またはあるいは、制御バルブ(84)であってもよい。また、所望により、バルブ(84)またはゲージ(610)の1つだけが存在してもよい。
【0175】
コンピューター(600)は、好ましくは、容器の少なくとも1つの口に接続され、より好ましくは(図示せず)、少なくとも回収口(管(50)として示す)に、所望により、試料口(612)として示すような回収口に接続される。所望により、試料口と回収口は一体化される場合もある。コンピューターは、所望により、試験および/または回収のために容器の内容物の一部を取り出すための、自動化されたサンプリング装置および/または回収装置を制御することができる(図示せず)。コンピューターはまた、所望により、例えば、コンピューターの操作のためのフィードバックを提供するために、これらの内容物の一部を分析するための分析装置(614)に接続されてもよい。
【実施例3】
【0176】
細胞培養方法の説明
本発明はまた、複数回使用される使い捨てのデバイス中で植物細胞を培養し、回収するための方法にも関する。このデバイスは、所望により、そして好ましくは、上記の実施例1および2のデバイスおよび/またはシステムにしたがって設定される。この方法では、植物細胞は、好ましくは、本発明のデバイスの容器に入れられる。この容器は、好ましくはプラスチック製であり、これは所望により、透明であっても、および/または半透明であってもよく、所望により硬質であっても、または弾力性があってもよく、また、所望により、硬質と柔軟性の間の硬度の程度を有してもよい(例えば、半硬質)。次いで、任意の他のさらなる材料、例えば、滅菌の気体もしくは混合気体、および/または滅菌の液体もしくは液体混合物、あるいは任意の他の適切な添加物が提供される。好ましくは、デバイスは、再利用することができる回収装置を特徴とするように構成される。その結果、材料(植物細胞、および/または上記のさらなる材料の1つ)を回収することができ、少なくとも1回のさらなる細胞培養/回収サイクルをなおも行うことができる。所望により、そしてより好ましくは、植物細胞は懸濁液の中で培養される。
【0177】
本発明の好ましい実施形態によると、植物細胞は、必要に応じて少なくとも1つの滅菌の気体または混合気体(複数の気体)が添加された液体培地を含む懸濁液の中で培養される。所望により、そして好ましくは、滅菌の気体には滅菌の混合気体が含まれ、これには、より好ましくは、滅菌の空気が含まれる。滅菌の気体および/または混合気体は、好ましくは、各サイクルの間に空気吸入口から容器に、上記のように、連続して、またはパルスのいずれかで添加される。
【0178】
滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物は、好ましくは、上記のように、添加物入口から容器に入れられる。
【0179】
(純培養の接種材料の例としての)植物細胞は、所望により、そして好ましくは、回収装置を通じて添加される。所望により、そして好ましくは、容器内の植物細胞は、例えば、特に、容器が透明および/または半透明である場合には、外部光(容器に対して外部にある照明の光源)によって光に曝される。
【0180】
細胞は、所望の収量の細胞によって生産される細胞および/または物質、例えば、タンパク質が得られるまで増殖させられる。
【0181】
好ましい実施形態によると、過剰な空気および/または排ガスは、好ましくは、空気吹き出し口を通じて、所望により、そしてより好ましくは、連続して、および/または断続的に容器の外へ放出される。
【0182】
また、所望により、そして好ましくは、容器内の物質(例えば、細胞培養培地)は、1つ以上の汚染物質について、そして/あるいは、容器内で生産された細胞および/または細胞生産物の品質についてチェックされる。より好ましくは、1つ以上の汚染物質が存在することが認められたか、あるいは、生産された細胞および/または細胞生産物の品質が低い場合には、デバイスとその内容物は廃棄される。
【0183】
適切な時点で、具体的には、汚染物質ならびに/あるいは、品質の低い細胞および/または細胞生産物が認められなければ、容器中の物質の少なくとも第1の部分、例えば、細胞および/または細胞生産物を含む培地が回収されることが好ましい。より好ましくは、物質の残りである第2の部分、例えば、細胞および/または細胞生産物を含む培地は、容器の中に残され、この場合、この第2の部分を、所望により次の培養/回収サイクルのための接種材料とすることができる。次に、滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物が、添加物入口から次の培養/回収サイクルのために提供される。
【0184】
上記のサイクルは、所望により1回以上行われる。また、上記のサイクルは、所望により、実施例2に関して記載されているように、デバイスのバッテリー(システム)を用いて行われる場合もある。所望により、そして好ましくは、この方法により、細胞を嫌気的に培養し、および/または回収することができる。
【0185】
嫌気的な実施形態については、デバイス(10)の少なくとも1つのグループのバッテリー(500)が提供される。この場合、デバイスには空気吸入口は含まれない。その少なくとも1つのデバイス(10)について、以下のプロセスが行われる。純培養の接種材料が、共通の回収管からデバイス(10)に導入される。次に、滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物が、共通の添加物入口管からデバイスに添加される。所望により、デバイスは、上記のように照射される。
【0186】
デバイスの中の細胞は、所望の量の細胞および/または細胞の生産物が得られるまで、培地の中で増殖させられる。所望により、そして好ましくは、過剰な空気および/または排ガスは、共通の空気吹き出し口管を通じて、より好ましくは連続して、デバイスの外へ放出される。
【0187】
上記の方法については、容器内の物質は、1つ以上の汚染物質の存在について、および/または、品質の低い細胞について、および/または、品質の低い細胞生産物についてモニターされる。この場合、容器とその内容物は、好ましくは廃棄される。上記の方法についてはまた、細胞および/または細胞生産物は、好ましくは、適切な時点で、例えば、所望の量の細胞生産物が生産された時点で回収される。
【0188】
上記の方法はまた、所望により、使い捨てのデバイスのバッテリーの中で好気的に行うこともできる。この場合には、滅菌の気体および/または混合気体(例えば、滅菌の空気)が、共通の空気吸入口吸気管からデバイスに提供される。
【0189】
通常は、水精製システムにより、脱イオン化された発熱物質を含まない水が、濃縮培地を含むタンクに供給され、その後、稀釈された培地がデバイス(10)に、添加物入口からポンプで入れられる。フィルター(通常は、0.2マイクロメートル)が、それぞれのデバイス(10)内の容器内容物の汚染のリスクを最小にするために、供給管に、そしてまた添加物入口のすぐ上流にも取り付けられる。あるいは、またはさらに、一方向バルブもまた、このリスクを最小にするために使用される場合がある。
【0190】
それぞれのデバイス(10)の最初の培養サイクルについては、接種材料(通常は、デバイス(10)の中での回収に必要とされる細胞のタイプの試料)は、蒸気滅菌された容器内で培地または水と予め混合され、回収装置からデバイス(10)に導入される。その後、培地が添加物入口からデバイス(10)に導入される。その後のサイクルについては、本明細書中で上記に記載されたように、培地および/または添加物のみが導入される。
【0191】
通常は、エアーコンプレッサーによって、実質的に滅菌された空気が、多数のフィルター:粒子を取り除くための粗濾過器、湿気を取り除くための乾燥機および湿気フィルター、ならびに、汚染物質を取り除くための、通常は0.2マイクロメートルの細かいフィルターを通って各デバイス(10)に提供される。好ましくは、空気吸入口のすぐ上流にある別のフィルターによって、容器の内容物の汚染のリスクはさらに最小限に抑えられる。
【0192】
デバイス(10)のそれぞれについて、容器(20)への全ての接続、すなわち、空気吸入口への接続、添加物入口への接続、そして好ましくは、空気吹き出し口への接続、および回収装置への接続も、使用する前に加圧滅菌装置で滅菌され、滅菌性が、本明細書中で上記に記載されたように、滅菌のフードの中で接続を行うことによって、例えば、空気供給源および排気装置を含む周辺機器への接続の間、維持される。
【0193】
それぞれのデバイス(10)の温度制御は、好ましくは、適切な空調装置によって提供される。デバイスの任意の照明は、細胞増殖に必要な場合には、デバイス(10)の周辺に適切に配置された適切な蛍光灯によって提供することができる。
【0194】
それぞれのデバイス(10)の各培養サイクルの間には、それぞれの対応する容器(20)の内容物には、通常、エアレーションが行われ、約7日間から約14日間、あるいはそれ以上の期間、制御された温度および照明条件下で混合される。
【0195】
それぞれのデバイス(10)についての培養サイクルの最後に、対応する回収装置が、通常は、適切な接続装置を含む予め滅菌された環境に接続され、これは、本明細書中で先に記載されたように、接続の前および接続の間に滅菌される。回収は、その後、次のサイクルの接種材料となるように、細胞および/または組織の約2.5%から約45%の間、しかし通常は、約10%から約20%を残すように行われる。
【0196】
回収された細胞および/または組織および/または細胞生産物は、その後、所望により、乾燥せられるか、または必要である場合には、抽出される。
【0197】
本発明の好ましい実施形態によると、細胞培養のプロセスは、所望により、以下の1つ以上にしたがって調節することができる。これらの調節は、好ましくは、植物細胞を培養するために行われる。第1の調節によると、培養培地を含む懸濁液の中で細胞を増殖させるためには、容器の中に最初に入れられる培地の量(例えば、0日目)は、好ましくは、推奨される量の少なくとも約125%であり、より好ましくは、推奨される培地の量の約200%までである。
【0198】
別の任意の、しかし好ましい調節は、細胞の増殖の間であり、しかし回収の前の培地の添加である。より好ましくは、そのような培地は、培養プロセスの開始後、3日目または4日目に添加される。所望により、そしてより好ましくは、培地には、約1倍から10倍まで濃縮された、濃縮された培養培地が含まれ、それによって、より高濃度の栄養分が提供される。十分な培地が提供されることが好ましいことに留意されたく、より好ましくは、通常の培地濃度の少なくとも約125%の濃度である。培地の添加は、新しい培地が容器内に存在している培地に対して添加されることを意味する。濃縮された溶液として添加されれば、好ましくは、得られる培地濃度は、通常の濃度または最初の濃度に近くなる。あるいは、容器内の培地は、所望により、増殖の間に新しい培地と完全に交換することができ、培養プロセスの開始後3日目または4日目に行われることが、再びより好ましい。
【0199】
別の任意の、しかし好ましい調節は、植物細胞の培養について通常推奨されるより高濃度のスクロースの、例えば、スクロースを添加することによる使用である。その結果、培地の濃度は、所望により、30g/lではなく40g/lである場合もある。1つ以上の他の糖(例えば、グルコース、フルクトース、または他の糖)が、スクロースを補うために所望により添加される場合もある。スクロース(および/または1つ以上の他の糖)は、また、所望により、そして好ましくは、細胞培養プロセスの間に、より好ましくは、培養プロセスの開始後3日目または4日目に添加される。
【0200】
別の任意の調節は、細胞培養プロセスの間の、より好ましくは、培養プロセスの開始後3日目または4日目での純酸素の添加である。
【0201】
別の任意の調節は、大きなエアレーション(気体交換)の使用であり、これは、以下にさらに詳細に示されるように、本発明のデバイスの中での細胞増殖速度の増大をももたらす。
【実施例4】
【0202】
ビンカ・ロゼア(Vinca rosea)細胞を用いた実験の例
本実験は、ツルニチニチソウ(rose periwinkle)としても知られているビンカ・ロゼア(Vinca rosea)由来の細胞を用いて行った。
【0203】
10個のバイオリアクター(それぞれ、本発明のデバイス)のグループ(それぞれが、底から5cmの位置にある30mmの口(空気吸入口用)、底から25cmの位置にある30mmの口(回収装置用)、底から68cmの位置にある30mmの口(添加物入口)、および底から90cmの位置にある30mmの口(空気吹き出し口)が全部揃っており、約10リットルの有効充填容量の、ポリエチレン−ナイロン共重合体製の容器(0.1mmの壁厚、20cmの直径、1.2mの高さ))を使用した。バイオリアクターを、それらの接続部品とともに、γ線を照射することによって滅菌した(2.5mRad)。
【0204】
9リットルのSchenk & Hildebrandt ミネラル/ビタミン培地、クロロフェノキシ酢酸および2,4−ジクロロフェノキシ酢酸をそれぞれ2ml/l、0.2mg/lのカイネチン、3%のスクロース、およびV24カサランツス・ロウセス(Catharanthus roseus)(ビンカ(Vinca))細胞株の充填された最初の接種材料900mlを、各バイオリアクターに導入した。培地表面上の空気の容量は、3.1であった。エアレーションを、容器の底から1cmの位置にある4mmの開口部(空気吸入口)から提供した1.5リットル/分の滅菌空気の流量を使用して行った。
【0205】
バイオリアクターを、室温(25℃)の制御下で取り付け、培養を、充填容量が約7.51(全容量の75%:対数期の間の2日間の倍加速度)に増大するまで、10日間継続して行った。この時点で、細胞を、9リットルの培地と細胞を回収装置を通じて抜き取ることによって回収し、同じ添加物を一緒に含む9リットルの新しい滅菌培地を、添加物入口から添加した。細胞を、さらに6回のサイクルの間、上記と同様に10日間の間隔で再び回収し、その時点で実行を完了した。
【0206】
これによって、全重量6.5kgの新しい細胞(0.5kgの乾燥重量)を、様々な時点にわたり、例えば、7日、10日、または14日の間隔で、101個の生産能力のあるバイオリアクターのそれぞれから回収した。これらの細胞は、0.6%の全アルカロイド含有量を有しており、これは開始時の株と同じであった。したがって、本発明のデバイスは、開始時の株に由来する細胞と同様の、または同一の細胞特性を維持したまま、健全で生産力のある状態で、培養物中で細胞を維持し、増殖させることができた。
【実施例5】
【0207】
植物細胞を用いた実験の例
実施例5a:ニンジンの細胞懸濁液の中でのヒトグルコセレブロシダーゼのクローニングおよび大量発現
本実施例により、本発明の方法にしたがって本発明のデバイスの中で培養され、形質転換された植物細胞を用いて行われた実験の記述が提供される。
【0208】
材料および実験手順:
プラスミドベクター:プラスミドCE−T
プラスミドCE−Tを、Galili博士から入手したプラスミドCEから構築した(米国特許第5367110号、1994年11月22日)。
【0209】
プラスミドCEをSalIで消化した。
【0210】
SalIの結合(付着)末端を、DNAポリメラーゼIの大きな断片を使用して平滑末端とした。その後、このプラスミドをPstIで消化して、塩基性エンドキチナーゼ遺伝子由来のER標的化シグナルをコードするDNA断片:シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)ATGAAGACTA ATCTTTTTCT CTTTCTCATC TTTTCACTTC TCCTATCATT ATCCTCGGCC GAATTC(配列番号10)と、SmaIおよびPstIで消化したタバコ(Tabacco)のキチナーゼAに由来する液胞標的化シグナルをコードするDNA断片:GATCTTTTAG TCGATACTAT G(配列番号11)に連結させた。
【0211】
SalIの結合末端を、DNAポリメラーゼIの大きな断片を使用して平滑末端とした。その後、このプラスミドをPstIで消化して、SmaIおよびPstIで消化したER標的化シグナル(配列番号1)、無関係な遺伝子、および液胞標的化シグナル(配列番号2)をコードするDNA断片に連結させた。
【0212】
pGREENIIは、P.Mullineaux博士(Roger P.Hellens ら.,(2000)Plant Mol.Bio.42:819−832)から入手した。pGREEN IIベクターからの発現は、カリフラワーモザイクウイルスに由来する35Sプロモーター(配列番号9)、TMB(タバコモザイクウイルス)Ω転写エンハンサーエレメント、およびアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来のオクトピン合成酵素のターミネーター配列によって制御される。
【0213】
cDNA:Sorge ら.,(PNAS USA 1985;82:7289−7293)に記載されているような、ヒトのGCD cDNA配列(GenBank Accession No:M16328)(ATCC Accession No.65696))、GC−2.2(GCS−2kb;グルコシダーゼβ酸(グルコセレブロシダーゼ)を含むλ−EZZ−γ3(ヒト(Homo sapiens))を含む大腸菌(E.coli)から得たhGCD。挿入断片の長さ(kb):2.20;組織:線維芽細胞WI−38細胞。
【0214】
発現プラスミドの構築
hGCDをコードするcDNA(配列番号7および8)を、正方向プライマー:5’CAGAATTCGCCCGCCCCTGCA3’(配列番号3)と逆方向プライマー:5’CTCAGATCTTGGCGATGCCACA3’(配列番号4)を使用して増幅した。精製したPCR DNA産物をエンドヌクレアーゼEcoRIとBglIIで消化し(プライマーの中の下線を付けた認識配列を参照のこと)、同じ酵素で消化した発現カセットE−Tを有している中間体ベクターに連結させた。発現カセットを切断し、中間体ベクターから溶離させて、制限酵素SmaIとXbaIを使用してバイナリーベクターpGREENIIに連結させて、最終的な発現ベクターとした。カナマイシン耐性を、pGREENベクターと共に入手したnosプロモーターによって駆動されるNPTII遺伝子によって与えた(図11B)。得られた発現カセット(配列番号13)を図11Aに示す。
【0215】
得られたプラスミドを、以下の配列決定プライマーを使用して、シグナルの正確なフレーム内での融合を確認するために配列決定した:3’35Sプロモーター:5’CTCAGAAGACCAGAGGGC3’(配列番号5)および3’ターミネーター:5’CAAAGCGGCCATCGTGC3’(配列番号6)。
【0216】
ニンジンカルスと細胞懸濁培養物の確立
ニンジンカルス(すなわち、未分化のニンジン細胞)と細胞懸濁培養物の確立を、Torres K.C.(Tissue culture techniques for horticular crops,p.p.111,169)に以前に記載されているように行った。
【0217】
ニンジン細胞の形質転換と形質転換された細胞の単離
ニンジン細胞の形質転換を、以前に記載された方法(Wurtele,E.S.and Bulka,K.Plant Sci.61:253−262(1989))の適応によってアグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換を使用して行った。液体培地中の増殖中の細胞を、カルスの代わりにこのプロセスの全体を通じて使用した。接種材料および増殖時間は、液体培養物中での細胞の形質転換に適応させた。簡単に説明すると、アグロバクテリウム(Agrobacterium)をエレクトロポレーションによってpGREEN IIベクターで形質転換し(den Dulk−Ra,A.and Hooykaas,P.J.(1995)Methods Mol.Biol.55:63−72)、その後、30mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。ニンジン細胞をアグロバクテリウム(Agrobacteria)で形質転換し、液体培地中の60mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。
【0218】
高レベルでGCDを発現するカルスの単離のための形質転換されたニンジン細胞のスクリーニング
形質転換の14日後、培養物に由来する細胞を、細胞のそれぞれのクラスターからカルスを形成させるために、3%の充填細胞容量の稀釈率で固形培地上にプレートした。以下に詳細に記載されるように、それぞれのカルスが1〜2cmの直径に達した時点で、細胞をSDS試料緩衝液中でホモジナイズし、得られたタンパク質抽出物をSDS−PAGEで分離させ(Laemmli U.,(1970)Nature 227:680−685)、ニトロセルロース膜(Hybond Cニトロセルロース、0.45マイクロン、カタログ番号:RPN203C、Amersham Life Science社製)に移した。GCDを検出するためのウェスタンブロットを、ポリクローナル抗hGCD抗体(以下に記載される)を使用して行った。有意なレベルのGCDを発現するカルスを増殖させ、スケールアップ、タンパク質の精製および分析のために液体培地に移して増殖させた。
【0219】
本発明のデバイスの中での大量の培養物の増殖
rh−GCD遺伝子(配列番号13および14)を含む遺伝子修飾されたニンジン細胞の約1cmのカルスを、4.4gr/lのMSD培地(Duchefa)、9.9mg/lのチアミンHCl(Duchefa)、0.5mgの葉酸(Sigma)、0.5mg/lのビオチン(Duchefa)、0.8g/lのカゼイン加水分解物(Duchefa)、糖30g/l、およびホルモン2−4D(Sigma)を含む9cmの直径のMurashige and Skoog(MS)寒天培地プレート上にプレートした。カルスを25℃で14日間増殖させた。
【0220】
懸濁細胞培養物を、当該分野で周知であるように、0.2mg/lの2,4−ジクロロ酢酸を含むMSD(Murashige and Skoog(1962))液体培地中での形質転換された細胞の継代培養によって調製した。懸濁細胞を、250mlの三角フラスコ(25mlの作業容量で開始し、7日後には50mlに増加した)の中で25℃で、60rpmの震盪速度で培養した。続いて、細胞培養容量を、同じ条件下での300mlまでの作業容量の添加によって、1Lの三角フラスコに増大させた。4LのMSD培地を含む小さいバイオリアクター(10L)(WO98/13469を参照のこと)の接種材料を、7日間培養した2つの1Lの三角フラスコに由来する400mlの懸濁細胞の添加によって得た。1L pmの通気を用いた25℃での1週間の培養後、MSD培地を10Lまで添加し、同じ条件下で培養を続けた。さらに5日間の培養の後、細胞のほとんどを集め、80μのネットに細胞培地を通過させることによって回収した。余分な培地を搾り出し、充填細胞のケーキを−70℃で保存した。
【0221】
最初の実験では、形質転換された(グルコセレブロシダーゼ(GCD))ニンジン細胞懸濁物の増殖を、三角フラスコとは対照的に本発明のデバイスの中で測定した。増殖は、充填細胞の容量(4000rpm)として、および乾燥重量として測定した。三角フラスコのなかでの増殖の測定は、21個のフラスコを用いて開始し、毎日3個のフラスコを回収することによって行った。回収したフラスコについて、正味の重量、乾燥重量、およびGCDの数を計測した。リアクターの集菌は、回収口(回収装置)を使用することによって行った。毎日50mlの懸濁液を、正味の重量と乾燥重量の測定のために回収した。
【0222】
図12は、フラスコ内で増殖させられた細胞は、最初は早い増殖速度を示し、これはおそらく、エアレーションの程度が原因であることを示しているが、デバイスの中で、およびフラスコの中で増殖させられた細胞についての増殖速度は、最終的には、非常によく似ていると見られ、以下の実験において得られた実験結果もまた非常に似ていた。
【0223】
その後、トランスフェクトされた植物細胞中のタンパク質の量を測定した。GCDを、10%w/wのPVPP(ポリビニルポリピロリドン)と1%のTriton−X−100を含むリン酸緩衝液(0.5M、pH7.2)の中で抽出した。GCD含有量を、フラスコで増殖させた懸濁液から得た試料、および/または本発明のデバイスの中で増殖させた細胞培養物から採取した試料について、定量的ウェスタンブロットを使用して測定した。ウェスタンブロットは以下のように行った。
【0224】
このアッセイについては、得られた試料に由来するタンパク質をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動において分離させ、ニトロセルロースに移した。この目的のために、SDSポリアクリルアミドゲルを以下のように調製した。SDSゲルは、積層ゲルと分離ゲルからなる(Laemmli、UK 1970,Cleavage of structural proteins during assembly of the head of bacteriophage T4,Nature 227,680−685にしたがった)。分離ゲルの組成は以下とした:12%のアクリルアミド(Bio−Rad)、10mlのゲル溶液あたり4マイクロリットルのTEMED(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン;Sigmaカタログ番号T9281)、0.1%のSDS、375mMのTris−HCl、pH8.8、および過硫酸アンモニウム(APS)、0.1%。TEMEDと過硫酸アンモニウムを、この状況においては、重合のためのフリーラジカルスターターとして使用した。重合の開始後約20分で、積層ゲル(3%のアクリルアミド、0.1%のSDS、126mMのTris−HCl、pH6.8、0.1%のAPS、および5mlの積層ゲル溶液あたり5マイクロリットルのTEMED)を上記の分離ゲル上に注ぎ、12個または18個の目がある櫛を試料用のウェルを作成するために挿入した。
【0225】
陽極および陰極チャンバーを同じ緩衝溶液:SDS(Biorad、カタログ番号161−0772)を含むトリスグリシン緩衝液(pH8.3)で満たした。抗原を含む物質を、0.5倍容量の試料装填緩衝液(30mlのグリセロール(Sigmaカタログ番号G9012)、9%のSDS、15mlのメルカプトエタノール(Sigmaカタログ番号M6230)、187.5mMのTris−HCl(pH6.8)、500マイクロリットルのブロモフェノールブルー、全て100mlの試料緩衝液あたりの量)で処理し、その後、混合液を100℃で5分間加熱し、積層ゲルの上に載せた。
【0226】
電気泳動は、13×9cmの大きさのゲルについては、適切な時間(例えば、45〜60分間)、50〜70ボルトの一定の電流の強さを使用し、その後、180〜200ボルトで45〜60分間、室温で行った。その後、抗原をニトロセルロース(Schleicher and Schuell,Dassel)に移した。
【0227】
タンパク質の移動は、本明細書中で記載するように行った。ゲルを、ニトロセルロースとくっつけて、Whatmann3MM濾紙、伝導性である0.5cm厚の発泡材料と、ワイヤー電極(白金電極を通って電流を伝導する)の間に挟んで置いた。濾紙、発泡材料、およびニトロセルロースは、転移緩衝液(BioradによるTG緩衝液、カタログ番号161−0771、メタノールと水で10倍に稀釈した緩衝液(20%メタノール))に十分に浸した。転移を、100ボルトで90分間、4℃で行った。
【0228】
転移後、ニトロセルロース上の結合していない部位を、4℃で一晩、1%の粉乳(Dairy America)と0.1%のTween 20(Sigmaカタログ番号P1379)を含む、リン酸緩衝液(Riedel deHaen,カタログ番号30435)で稀釈したブロッキング緩衝液で飽和させた。ブロットの細片を、抗体(上記の、1%の粉乳と0.1%のTween 20を含む、リン酸緩衝液中の1:6500希釈液、pH7.5)とともに37℃で1時間インキュベートした。
【0229】
抗体とのインキュベーション後、ブロットを、PBS(リン酸緩衝化リン酸ナトリウム緩衝液(Riedel deHaen,カタログ番号30435))でそれぞれのケースについて10分間の洗浄を3回行った。その後、ブロットの細片を、1%の粉乳(Dairy America)と0.1%のTween 20(Sigamカタログ番号P1379)を含む、リン酸緩衝液(Riedel deHaen,カタログ番号30435)で稀釈した緩衝液中の1:3000希釈物である、適切な二次抗体(ヤギ抗ウサギ(分子全体)HRP(Sigmaカタログ番号#A−4914))とともに、室温で1時間インキュベートした。PBSで数回洗浄した後、ブロットの細片をECL現像剤(Amersham RPN 2209)で染色した。
【0230】
ECL試薬にブロットを浸した後、ブロットをX線フィルムFUJI Super RX 18×24に焼付け、FUJI−ANATOMIX現像液と定着液(FUJI−X fixカタログ番号FIXRTU、2つあるうちの1つ)を用いて現像した。抗体が結合した特徴的なタンパク質のバンドが、この処理の後、見えるようになった。
【0231】
図13は結果を示しており、これは、全タンパク質(植物細胞およびGCD)に対するGCDタンパク質の量が、3日目および4日目に最も多く、この後は、GCDの相対的な量が再び減少することを示している。結果は、フラスコの中で増殖させた細胞と、本発明のデバイスの中で増殖させた細胞について同様であった。
【0232】
次に、7%の容量、および15%の充填細胞容量の開始点を比較した(再び、結果は、フラスコの中で増殖させた細胞と、本発明のデバイスの中で増殖させた細胞について同様であった)。「充填細胞容量」によって、全てのかく乱因子、例えば、培地のエアレーションを取り除いた後で、本発明のデバイスの中にセッティングされる細胞の容量が意味される。図14は増殖曲線を示しており、これは平行である。図15は、定量的ウェスタンブロットによるGCDタンパク質の量を示しており、全タンパク質(植物細胞およびGCD)に対するGCDタンパク質の量が、5日目および6日目に最も多く、その後、GCDの相対的な量は再び減少することを示している(試料が15%の充填細胞容量から増殖させられた細胞から採取されたことに留意されるべきである)。
【0233】
増殖は、定常点を見つけるために、さらに長い期間(14日間)にわたって測定した。定常点では、増殖速度はゼロである。図16について示すように、この点には8日目に到達し、その後、増殖は幾分減少した。したがって、GCDを発現するポリヌクレオチドでトランスフェクトされた細胞を増殖させることを可能にするためには、好ましくは、細胞は、少なくとも定常点まで(本実施例においては、好ましくは、8日目(またはその後早いうちまで)増殖させられる。
【0234】
図17は、(他のタンパク質と比較した)GCDの最大量が、8日目までに形質転換された細胞によって生産され、その後、生産されたGCDの量は減少し始めることを示している。
【0235】
容器に少なくとも幾らかの新しい培地を添加することは、細胞増殖を増強させ、細胞によって生産されるGCDの量を増加させることが明らかになった。図18に示されるように、4日目の新しい(濃縮された)培地(培地添加物)の添加および/または培地の置き換え(培地交換)によって、8日目を越えて細胞の高い増殖レベルが維持される。さらに、4日目の新しい培地での培地の置き換えにより、生産されるGCDの量をはるかに多くすることができることが明らかである(定量的ウェスタンブロットについては図19を参照のこと;「培地をリフレッシュする」は、新しい培地で全ての培地を置き換えることを意味する)。4日目に濃縮された新しい培地を添加することによってもまた、生産されるGCDの量がさらに多くなる(定量的ウェスタンブロットについては図20を参照のこと)。
【0236】
細胞増殖に対する種々の糖レジュメの効果を図21に示し、GCDの生産に対する効果を図22に示す。先に記載したように、所望により、しかし好ましくは、植物細胞の培養について通常推奨されるよりも高濃度のスクロースが、例えば、スクロースを添加することによって使用される。その結果、培地の濃度は、所望により、30g/lではなく40g/lである場合もある。1つ以上の他の糖(例えば、グルコース、フルクトース、または他の糖)を、スクロースを補うために所望により添加することができる。スクロース(および/または1つ以上の他の糖)は、また、所望により、そして好ましくは、細胞培養プロセスの間に、より好ましくは、培養プロセスの開始後3日目または4日目に添加される。この変更の細胞培養プロセスに対する効果は、以下に詳細に記載される。
【0237】
図21には、表示40gスクロースは、40gのスクロースが細胞増殖の開始時に添加されたことを示す;表示「30gスクロース+10gグルコース」は、糖のこの組み合わせが細胞増殖の開始時に存在していることを示す;表示「スクロースを別途加えた」は、30g/lのスクロースが0日目(細胞増殖の開始時)に存在しており、30g/lのスクロースが4日目に培地に添加されたことを示す;表示「MSDを別途加えた」は、MSD培地が添加されたことを示す;そして表意「対照」は、30g/lのスクロースが0日目(細胞増殖の開始時)に存在していたことを示す。示すように、別途加えたMSDの存在は、7日までに最大の効果を発揮し、多量のスクロース(40g/l)の使用がこれに続き、増殖サイクルの途中でのスクロースの添加がさらに続く。
【0238】
図22は、図22Aでのより多量のスクロース(40g/l)の使用と、4日目のスクロースの添加(図22B)の両方によって生産されたGCDの量が増加したことを示している;しかし、後者の条件によっては、5日目にGCDの生産の急増が生じ、一方、前者の条件では、数日間にわたって全体的に多量のGCDの生産が生じた。
【0239】
全体的に大きなエアレーション(すなわち、より迅速な気体交換の存在)と、特異的な酸素量の増加はいずれも、GCDで形質転換された植物細胞の増殖速度の増大を生じた。これらの実験については、培養物を、最初は、1分間に1リットルの空気の速度でエアレーションした。大きなエアレーションは、図23に示すように、1分間に1.5リットルまたは2リットルに通気速度を増大させることによって行った。酸素は、図24に示すように、4日目に添加を開始して、300%までの酸素を添加した(記号のない実線が酸素圧を示す)。他の条件は同じとした。
【0240】
図23は、本発明の10Lのデバイスの中で増殖させた細胞に対するエアレーションの効果を示す。示すように、1.5L/分(図23A)または2L/分(図23B)として提供された大きなエアレーション(1分間に1Lの空気交換の基準を超える)によって、早い細胞増殖速度が得られた。
【0241】
図24は、本発明のデバイスに対するより多量の酸素の添加の効果を示す。酸素は、4日目に添加を開始した;さらなる酸素の圧力を、記号のない実線で示した。細胞培養培地の粘度は、細胞が増殖し複製するとともに徐々に高くなるので、酸素圧の測定値は幾らか変化する場合があるが、酸素の流れは一定レベルに維持したことに留意されるべきである。示すように、酸素を別途加えた細胞は、特に、通常、酸素を供給しなかった細胞について示されるように増殖速度が低下し始める7日後に、明らかに早い増殖速度を示した。
【0242】
実施例5b:ニンジンカルスの中での生物学的に活性なヒト凝固因子Xのクローニングおよび発現
材料および実験手順
プラスミドベクター:
CE−Kプラスミド:CE−Kプラスミドの骨格は、植物細胞の小胞体での高いレベルでの発現および保持に不可欠なエレメントを全て含むさらなるカセットをポリクローニング部位の中に有しているBluescript SK+プラスミド(Stratagene,La Jolla CA)(配列番号15)である。このカセット(配列番号16およびマップ、図26を参照のこと)には、CaMV35Sプロモーター、Ωエンハンサー、塩基性エンドキチナーゼ遺伝子(シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))に由来するER標的化シグナルをコードするDNA断片、組み換え遺伝子の融合のためのEcoRIとSalI制限部位、KDEL ER保持シグナル、ならびに、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のオクトピン合成酵素(OCS)遺伝子の転写終結シグナルおよびポリアデニル化シグナルの配列が含まれている。
【0243】
pGreenベクター:バイナリープラスミドベクターを、植物のゲノムに操作されたDNAを組み込むために設計した。pGREENは、植物の形質転換用の第二世代バイナリーベクターであり、小さく、そして柔軟性のあるプラスミドである。
【0244】
pGREENベクターにおいては、トランスで作用することができる分離されている機能の概念はさらに一歩すすんだ。RepA遺伝子はクローニングベクターの中には存在しないが、互換性のあるプラスミド上に提供され、これは、形質転換されたアグロバクテリウム(Agrobacterium)細胞内に同時に存在する。RepA機能と他の必須ではない結合機能を除去することによって、全体的なプラスミドの大きさは劇的に小さくなった(Hellens,ら.,Plant Mol.Bio.2000;42:819−832)。
【0245】
ヒト第X因子遺伝子のクローニング:ヒト凝固因子XのcDNA(HSFACX,GenBank Accession No:M57285)(配列番号17と18XXXを、プラスミドSig−CEXGLY−FX−HDELから調製した。これには、第X因子の完全なcDNAが含まれている)。コード領域を増幅し、EcoRIとSalIの制限部位を、当該分野で認識されているプロトコールにしたがってサブクローニングのために付加した。簡単に説明すると、成熟ヒト第X因子のコード配列を、正方向プライマー:Fx開始EcoRI:5’CCGAATTCCGCGTAAGCTCTGCAGCC3’(配列番号19)と逆方向プライマー:Fx末端SalI kdel:5’GCGTCGACGAAGTAGGCTTG3’(配列番号20)を使用して増幅し;また、組み込まれた制限部位EcoRIとSalIによって遺伝子のN末端とC末端にシグナルを融合できるようにした。
【0246】
増幅反応はExpand High Fidelity PCR System(Roche−Applied−Science、カタログ番号:1732650)を使用し、製造業者の説明書にしたがって行った。PCR産物を、第X因子配列の同定のために1%のアガロースゲル上で分離させた。図25は、優勢に増幅されたHSFACXバンド(矢印で示す)を示している。製造業者の説明書にしたがって、バンドを溶出させ、制限酵素EcoRIとSalIで切断し、精製されたCE−K発現カセットに連結させた。
【0247】
連結混合物を使用して大腸菌(E.coli)DH5αを形質転換し、形質転換された細菌を、100μg/mlのアンピシリンを含む寒天プレート上で選択した。ポジティブクローンをPCR分析によって、FX正方向プライマーと逆方向プライマーを使用して分析し、さらに、SmaI+XbaI、HindIII、およびNotIを使用した制限分析によって確認した。
【0248】
発現カセットをCEK−FX−ERプラスミドから、制限酵素Asp718とXbaIを使用して切り出した。バイナリーベクターpGREEN nos−kanaを同じ酵素で切断し、脱リン酸化して、1%のアガロースゲルから溶出させた。バイナリーベクターとFX−ER発現カセットを連結させ、これを使用して大腸菌(E.coli)DH5α宿主細胞を形質転換させた。形質転換、増殖、およびプラスミドの抽出の後、ポジティブクローンをPCRと、HindIIIとBglIIでの制限分析によって確認した。選択されたクローンpGREENnoskana FX−ER(図28)を、配列決定によってさらに確認した。
【0249】
植物の形質転換:ニンジン細胞の形質転換は、以前に記載された方法(Wurtele,E.S.and Bulka,K.Plant Sci.61:253−262(1989))の適応によって、アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換を使用して行った。液体培地中の増殖中の細胞を、カルスの代わりにこのプロセスの全体を通じて使用した。インキュベーションおよび増殖時間は、液体培地中での細胞の形質転換に適応させた。簡単に説明すると、アグロバクテリウム(Agrobacteria)LB4404をpGREEN noskana FX−ERベクターでエレクトロポレーションによって形質転換し(den Dulk−Ra,A.and Hooykaas,P.J.(1995)Methods Mol.Biol.55:63−72)、その後、30mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。ニンジン細胞(ノラニンジン(Daucus carota))をアグロバクテリウム(Agrobacteria)で形質転換し、液体培地中の60mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。
【0250】
結果
培養されたニンジン細胞中での活性な組み換え体ヒト第X因子の発現
ニンジン細胞の中での発現および分析:形質転換されたニンジン細胞を、GCDについて本明細書中で上記に記載したように、0.2mg/lの2,4ジクロロメトキシ酢酸を加えたMurashige & Skoog培地(Physiol.Plant,15:473,1962)の中の培養物中で増殖させた。細胞を7日間増殖させ、その後、細胞を回収した。過剰な液体を100メッシュのフィルター上で分離した。細胞内容物を、タンパク質内容物の評価のために、本明細書中で上記に詳細に記載したように抽出した。FX cDNAで形質転換したニンジン細胞を、Affinity Biologicals(Hamilton Ontario,Canada)によるウサギ抗ヒト第X因子精製IgGを使用してウェスタンブロットによってFXの発現について分析した。多数の種々の細胞株を分析した(図30)。図30(レーン1および2)は、ニンジン細胞の中でのヒト第X因子の強い発現を示している。種々の大きさのものが観察された原因は、組み換え体ヒト第X因子プロタンパク質の部分的なプロセシングである。
【0251】
組み換え体タンパク質の実体を確認するために、フリンで切断されるその能力を試験した。フリンは、カルシウム依存性のセリンプロテアーゼであり、分泌経路の主要なプロセシング酵素である。フリンは、第X因子を、さらには、他の凝固因子および成長因子を切断する。フリンをNew England Biolabsから購入し、切断アッセイを製造業者によって推奨されるように行った。図31は、フリンによる組み換え体第X因子の正確な消化を示している(レーン6と比較してレーン5を参照のこと)。
【0252】
ニンジン細胞の中での活性の分析:組み換え体第X因子の活性アッセイを、第Xa因子の色素形成性ペプチド基質であるPefachrome FXa(Pefa−5523,Chromogenix,Milano,Italy)を使用して行った。図32(点線と比較して実線を参照のこと)は、大量の培養物中で増殖させられた組み換え体FXを発現するニンジン細胞由来の抽出物の中の正確な第X因子活性を示している。
【0253】
本発明のデバイスの中での大量の培養物の増殖
組み換え体ヒトFX遺伝子(配列番号16および21)を含む遺伝子修飾されたニンジン細胞の約1cmのカルスを、4.4gr/lのMSD培地(Duchefa)、9.9mg/lのチアミンHCl(Duchefa)、0.5mgの葉酸(Sigma)、0.5mg/lのビオチン(Duchefa)、0.8g/lのカゼイン加水分解物(Duchefa)、糖30g/l、およびホルモン2−4D(Sigma,St Louis,MO)を含む9cmの直径のMurashige and Skoog(MS)寒天培地プレート上にプレートした。カルスを25℃で14日間増殖させた。
【0254】
懸濁細胞培養物を、当該分野で周知であるように、MSD(0.2mg/lの2,4−ジクロロ酢酸を含むMurashige & Skoog(1962))液体培地中での形質転換された細胞の継代培養によって調製した。懸濁細胞を、250mlの三角フラスコ(25mlの作業容量で開始し、7日後には50mlに増加した)の中で25℃で、60rpmの震盪速度で培養した。続いて、細胞培養容量を、同じ条件下での300mlまでの作業容量の添加によって、1Lの三角フラスコに増大させた。4LのMSD培地を含む小さいバイオリアクター(10L)(WO98/13469を参照のこと)の接種材料を、7日間培養した2つの1Lの三角フラスコに由来する400mlの懸濁細胞の添加によって得た。1分あたり1リットルの通気を用いた25℃での1週間の培養後、MSD培地を10Lまで添加し、同じ条件下で培養を続けた。さらに5日間の培養の後、細胞のほとんどを集め、80μのネットに細胞培地を通過させることによって回収した。余分な培地を搾り出し、充填細胞のケーキを−70℃で保存した。
【0255】
実施例5c:ニンジンカルス中でのヒトインターフェロンβのクローニングおよび発現
材料および実験手順
CE−Kプラスミド:CE−Kプラスミドの骨格は、植物細胞の小胞体での高いレベルでの発現および保持に不可欠なエレメントを全て含むさらなるカセットをポリクローニング部位の中に有しているBluescript SK+プラスミド(Stratagene,La Jolla CA)(配列番号15)である。このカセット(配列番号27およびマップ、図37を参照のこと)には、CaMV35Sプロモーター、Ωエンハンサー、塩基性エンドキチナーゼ遺伝子(シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))に由来するER標的化シグナルをコードするDNA断片、組み換え遺伝子の融合のためのEcoRIとSalI制限部位、KDEL ER保持シグナル、ならびに、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のオクトピン合成酵素(OCS)遺伝子の転写終結シグナルおよびポリアデニル化シグナルの配列が含まれている。
【0256】
pPZP111:バイナリーベクターを、植物のゲノムに操作されたDNAを組み込むために設計した。バイナリーTiベクターpPZP111(Hajdukiewicz,ら.,Plant Mol Biol 1994;25:989−994)は、導入された領域の左端(LB)に隣接してカナマイシン耐性のための遺伝子を有している。lzcZα−ペプチドは、pUC18マルチクローニング部位(MCS)とともに、植物マーカー遺伝子と右端(RB)の間に存在している。したがって、RBが最初に導入されるので、薬剤耐性は、搭載される遺伝子がトランスジェニック植物の中に存在している場合にのみ、得られる。
【0257】
ヒトインターフェロンβ遺伝子のクローニング:ヒトインターフェロンβのcDNA(Ifnβ、HUMIFNB1、GenBank Accession No.M28622,配列番号22および23)は、Haki(Peprotech Inc.Princeton,NJ)から入手した。コード領域を増幅させ、サブクローニングのために制限部位EcoRIとSalIを付加した。成熟ヒトインターフェロンβ配列のコード領域の2つの部分を増幅させたか、あるいは、小胞体に対して標的化させた(プライマー1と2を使用して)か、またはアポプラストに対して標的化させた(プライマー1と3を使用して):
1.正方向プライマー:Ifnβ開始EcoRI:5’CAGAATTCATGAGCTATAATC3’(配列番号24)、
2.逆方向プライマーII:Ifnβ末端SalI kdel:5’GGATGTCGACTTACGCAGGTAG3’(配列番号25)、
3.逆方向プライマーII:Ifnβ末端SalI STOP:5’GTGTCGACTTAGTTACGCAGGTAG3’(配列番号26)。
【0258】
また、組み込まれた制限部位EcoRIとSalIによって遺伝子のN末端とC末端にシグナルを融合できるようにもした。
【0259】
増幅反応はExpand High Fidelity PCR System(Roche−Applied−Science、カタログ番号:1732650)を使用し、製造業者の説明書にしたがって行った。PCR産物を、ヒトインターフェロンβ配列の同定のために1%のアガロースゲル上で分離させた。PCR産物のバンドを本明細書中で上記に記載したように溶出させ、確認および精製のために、溶出させたDNAの10%を1%のアガロースゲル上で再び分離させた。図33は、精製されたクローニングされたヒトインターフェロンβ配列(矢印はPCR産物を示す)を示している。
【0260】
PCR産物を溶出させ、制限酵素EcoRIとSalIで切断し、製造業者の説明書にしたがってCE−K発現カセットに連結させた。
【0261】
連結混合物を使用して、大腸菌(E.coli)DH5αを形質転換し、形質転換された細菌を、100μg/mlのアンピシリンを含む寒天プレート上で選択した。ポジティブクローンを、35S正方向プライマー(配列番号5)とターミネーター逆方向プライマー(配列番号6)(図34および35)を使用したPCR分析によって選択した。さらに、クローニングを、EcoRI+SalI、およびKpnI+XbaIを使用した制限分析によって確認した(図36)。
【0262】
発現カセットをCEK−ifn−ER(図37)およびCEK−ifn−STOPプラスミドから、制限酵素KpnIとXbaIを使用して切り出した。バイナリーベクターpPZP111(図38)をKpnIとXbaIで切断し、脱リン酸化して、1%のアガロースゲルから溶出させた。バイナリーベクターとインターフェロン発現カセットを連結させた。大腸菌(E.coli)DH5αへの形質転換、およびプラスミドの抽出の後、ポジティブクローンをPCRと制限分析によって確認した。
【0263】
植物の形質転換:ニンジン細胞の形質転換は、以前に記載された方法(Wurtele,E.S.and Bulka,K.Plant Sci.61:253−262(1989))の適応によって、アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換を使用して行った。液体培地中の増殖中の細胞を、カルスの代わりにこのプロセスの全体を通じて使用した。インキュベーションおよび増殖時間は、液体培地中での細胞の形質転換に適応させた。簡単に説明すると、アグロバクテリウム(Agrobacteria)LB4404を「pzp−ifnーKDEL」と「pzp−ifn−STOP」ベクターベクターでエレクトロポレーションによって形質転換し(den Dulk−Ra,A.and Hooykaas,P.J.(1995)Methods Mol.Biol.55:63−72)、その後、30mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。ニンジン細胞(ノラニンジン(Daucus carota))をアグロバクテリウム(Agrobacteria)で形質転換し、液体培地中の60mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。
【0264】
結果
培養されたニンジン細胞中での活性な組み換え体ヒトインターフェロンβの発現
ニンジン細胞の中での発現および分析:最初の分析:形質転換されたニンジン細胞を、GCDについて本明細書中で上記に記載したように、0.2mg/lの2,4ジクロロメトキシ酢酸を加えたMurashige & Skoog培地(Physiol.Plant,15:473,1962)の中の培養物中で増殖させた。細胞を7日間増殖させ、その後、細胞を回収した。過剰な液体を100メッシュのフィルター上で分離した。2週間後、形質転換細胞の試料を、モノクローナルマウス抗ヒトインターフェロンβ抗体と、親和性によって精製されたウサギ抗インターフェロンβ抗体(Calbiochem,La Jolla,CA)を使用するドットブロットアッセイを使用して、インターフェロンの発現の事前の分析のために回収した。両方の抗体によって、インターフェロンβで形質転換された細胞の中で強い特異的なシグナルが生じた。形質転換されていない細胞においてはシグナルは生じなかった。
【0265】
最も高い発現を有しているカルスの選択:形質転換の2週間後、ヒトインターフェロンβを発現する細胞を、それぞれの形質転換事象を示すカルスを単離するために、選択用の抗生物質(カナマイシンとセフォタキシム)を含む固体寒天の上に注いだ。カルスを形成させた後、これらをそれぞれのプレートに移し、3ヶ月間増殖させた。得られたカルスから、それぞれのカルス中での発現レベルを分析し、最も強い発現を有しているカルスを同定するために、十分な物質を回収した。図40は、ヒトインターフェロンβの最も強い発現について形質転換されたカルスをスクリーニングするための試料のウェスタンブロットを示している(例えば、レーン1および2を参照のこと)。
【0266】
ニンジン細胞の中での活性の分析:ニンジン細胞の中で生産された組み換え体であるヒトインターフェロンβの生物学的活性を評価するために、組み換え体である発現させられたタンパク質を、ウイルスの細胞変性阻害作用についてアッセイした(Rubinstein,ら.,J.Virol 1981;37:755−758)。簡単に説明すると、組み換え体であるヒトインターフェロンβ試料を予め稀釈し、予め形成させたWISH細胞(ヒト羊膜上皮細胞株)の単層に載せた。WISH細胞を水疱性口内炎ウイルス(VSV)でチャレンジし、細胞の生存性をモニターした。力価(U/mlで表わす)を、NIH標準インターフェロンβと比較して決定した。表1は、種々のトランスジェニックジェニックニンジン株から調製したタンパク質抽出物を使用した、ウイルス細胞変性阻害アッセイの結果を示す。
【0267】
したがって、これらの結果を見ると、ニンジンのカルスの中で発現された組み換え体であるヒトインターフェロンβは、自然界に存在しているヒトインターフェロンβとの抗原的および機能的同一性を明確に示している。
【0268】
本発明のデバイスの中での大量の培養物の増殖
組み換え体ヒト遺伝子インターフェロンβ(配列番号27および28)を含む遺伝子修飾されたニンジン細胞の約1cmのカルスを、4.4gr/lのMSD培地(Duchefa)、9.9mg/lのチアミンHCl(Duchefa)、0.5mgの葉酸(Sigma)、0.5mg/lのビオチン(Duchefa)、0.8g/lのカゼイン加水分解物(Duchefa)、糖30g/l、およびホルモン2−4D(Sigma St Louis,MO)を含む9cmの直径のMurashige and Skoog(MS)寒天培地プレート上にプレートした。カルスを25℃で14日間増殖させた。
【0269】
懸濁細胞培養物を、当該分野で周知であるように、MSD(0.2mg/lの2,4−ジクロロ酢酸を含むMurashige and Skoog(1962))液体培地中での形質転換されたカルスの継代培養によって調製した。懸濁細胞を、250mlの三角フラスコ(25mlの作業容量で開始し、7日後には50mlに増加した)の中で25℃で、60rpmの震盪速度で培養した。続いて、細胞培養容量を、同じ条件下での300mlまでの作業容量の添加によって、1Lの三角フラスコに増大させた。4LのMSD培地を含む小さいバイオリアクター(10L)(WO98/13469を参照のこと)の接種材料を、7日間培養した2つの1Lの三角フラスコに由来する400mlの懸濁細胞の添加によって得た。1分あたり1リットルの通気を用いた25℃で1週間の培養後、MSD培地を10Lまで添加し、同じ条件下で培養を続けた。さらに5日間の培養の後、細胞のほとんどを集め、80μのネットに細胞培地を通過させることによって回収した。余分な培地を搾り出し、充填細胞のケーキを−70℃で保存した。
【0270】
実施例5d:ニンジンカルス中での伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質2(VPII)のクローニングおよび発現
材料および実験手順
CEプラスミド:CEプラスミドの骨格は、植物細胞の小胞体での高いレベルでの発現および保持に不可欠なエレメントを全て含むさらなるカセットをポリクローニング部位の中に有しているBluescript SK+プラスミド(Stratagene,La Jolla CA)(配列番号15)である。このカセット(配列番号32およびマップ、図XXXを参照のこと)には、CaMV35Sプロモーター、Ωエンハンサー、塩基性エンドキチナーゼ遺伝子(シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))に由来するER標的化シグナルをコードするDNA断片、組み換え遺伝子の融合のためのEcoRIとSalI制限部位、KDEL ER保持シグナル、ならびに、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のオクトピン合成酵素(OCS)遺伝子の転写終結シグナルおよびポリアデニル化シグナルの配列が含まれている。
【0271】
pGA492:バイナリーベクターを、植物のゲノムに操作されたDNAを組み込むために設計した。バイナリーTiベクターpGA492(An,Methods in Enzymol 1987;153:292−305)は、カナマイシン耐性のための遺伝子を有している。
【0272】
伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質2(VPII)遺伝子のクローニング:伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質2(VPII)遺伝子のcDNA配列(GenBank Accession No.L42284)(配列番号29)は、J.Pitkovski,MIGAL Kiryat Shemoma Israel)から入手した。ウイルスのゲノムは、二本鎖RNAの2つのセグメントから形成されている。セグメントA(3.2kb)には、2つのオープンリーディングフレーム(ORF)A1およびA2が含まれている。ORF A1は、108kDaのポリタンパク質をコードし、これは、タンパク質分解によるプロセシングの後、3個の成熟ポリペプチド:VP2(VPII)(37から40kDa)、VP3(30から32kDa)、およびVP4(22kDa)を生じる。ウイルスのカプシドに由来するVPIIとVP3、ならびにVP4は、ポリタンパク質の切断に関与している。
【0273】
VPIIをコードするcDNAを、クローニングとシグナルの融合を容易にするためのプライマーを用いて増幅させた。簡単に説明すると、VPIIのコード配列を、正方向プライマー:VPII−(配列番号30)5’GCCTTCTGATGGCGCATGCAAATGGCAAACCTGCAAGATCAAACC3’と、逆方向プライマー:VPII−(配列番号31)5’GCCGGTGGTCTCTGCCATAAGGAGGATAGCTGTGTAATAGGAATTCGC3’を使用して増幅させた。
【0274】
また、組み込まれた制限部位SphIによって遺伝子のN末端にシグナルを融合できるようにもした。
【0275】
増幅反応はExpand High Fidelity PCR System(Roche−Applied−Science、カタログ番号:1732650)を使用し、製造業者の説明書にしたがって行った。PCR産物を、VPII配列の同定のために1%のアガロースゲル上で分離させた。図40は、優性なVPIIのバンド(矢印で示す)を示している。バンドを溶出させ、制限酵素EcoRIとSphIで切断し、製造業者の説明書にしたがって精製したCE発現カセットに連結させた。
【0276】
連結混合物を使用して、大腸菌(E.coli)DH5αを形質転換し、形質転換された細菌を、100μg/mlのアンピシリンを含む寒天プレート上で選択した。ポジティブクローンをPCR分析によって、35S正方向プライマー(配列番号5)とターミネーター逆方向プライマー(配列番号6)(図34および35)を使用したPCR分析によって選択した:
35Sプロモーター由来の正方向プライマー:5’CTCAGAAGACCAGAGGGC3’(配列番号5)
ターミネーター由来の後方プライマー:5’CAAAGCGGCCATCGTGC3’(配列番号6)。
【0277】
発現カセットを、制限酵素BamHIとXbaIを使用してCE−VPIIプラスミドから切り出した。pGA492ベクターをBglIIとXbaI(BglIIとBamHIは適合する結合末端を有している)で切断し、1%のアガロースゲルから溶出させた。バイナリーベクターとVPII発現カセットを連結させ、これを使用して大腸菌(E.coli)DH5α宿主細胞を形質転換させた。形質転換、増殖、およびプラスミドの抽出の後、ポジティブクローンをPCRと制限分析によって確認した。
【0278】
植物の形質転換:ニンジン細胞の形質転換は、以前に記載された方法(Wurtele,E.S.and Bulka,K.Plant Sci.61:253−262(1989))の適応によって、アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換を使用して行った。液体培地中の増殖中の細胞を、カルスの代わりにこのプロセスの全体を通じて使用した。インキュベーションおよび増殖時間は、液体培地中での細胞の形質転換に適応させた。簡単に説明すると、アグロバクテリウム(Agrobacteria)LB4404を「pGA492−CE−VPII」ベクターでエレクトロポレーションによって形質転換し(den Dulk−Ra,A.and Hooykaas,P.J.(1995)Methods Mol.Biol.55:63−72)、その後、30mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。ニンジン細胞(ノラニンジン(Daucus carota))をアグロバクテリウム(Agrobacteria)で形質転換し、液体培地中の60mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。
【0279】
結果
培養されたニンジン細胞中での組み換え体VPIIの発現
ニンジン細胞の中での発現および分析:最初の分析:形質転換されたニンジン細胞を、GCDについて本明細書中で上記に記載したように、0.2mg/lの2,4ジクロロメトキシ酢酸を加えたMurashige & Skoog培地(Physiol.Plant,15:473,1962)の中の培養物中で増殖させた。細胞を7日間増殖させ、その後、細胞を回収した。過剰な液体を100メッシュのフィルター上で分離した。2週間後に、形質転換細胞の試料を、ニワトリ抗IBDVおよびウサギ抗IBDV抗体を使用するドットブロットアッセイを使用してVPIIの発現を予備的に分析するために回収した。いずれの抗体も、VBIIで形質転換された細胞の中で強い特異的なシグナルを生じた。形質転換されていない細胞においてはシグナルは生じなかった。
【0280】
最も高い発現を有しているカルスの選択:形質転換の2週間後、ヒトインターフェロンβを発現する細胞を、それぞれの形質転換事象を示すカルスを単離するために、選択用の抗生物質(カナマイシンとセフォタキシム)を含む固体寒天の上に注いだ。カルスを形成させた後、これらをそれぞれのプレートに移し、3ヶ月間増殖させた。それぞれのカルス中での発現レベルをウェスタンブロット分析によって分析し、最も強い発現を有しているカルスを同定するために十分な物質を、得られたカルスから回収した。図44は、VPIIの最も強い発現について形質転換されたカルスをスクリーニングするための試料のウェスタンブロットを示している(例えば、レーン2および11を参照のこと)。スクリーニングの後、もっとも高い発現を有しているカルス(vp2R21)を選択し、増殖させるために液体培地に移した。
【0281】
組み換え体VP11−ニワトリワクチン接種アッセイ:
組み換え体VP11を伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスに対するワクチンとしての有効性について、ニワトリにおいてアッセイした。全タンパク質抽出物をvp2R21株由来のカルスから調製し、注射によって(1mg)または経口で(3×100μg)、(各グループにおいて10匹の4週齢のニワトリに)投与した。経口投与は、連続する3日間、1匹のニワトリについて2グラムの濾過した細胞懸濁液を与えることによって行った。組み換え体VPIIでのワクチン接種の防御効果を表2に示す。
【0282】
第2の実験においては、800μgのvpIIを経口投与し、これによっては、ニワトリの17%において免疫化が生じた(結果は示さない)。したがって、ニンジン細胞の中で発現させた組み換え体Vp11は、注射用ワクチンとして有効である。
【0283】
本発明のデバイスの中での大量の培養物の増殖
組み換え体VPII(配列番号32および33)を含む遺伝子修飾されたニンジン細胞の約1cmのカルスを、4.4gr/lのMSD培地(Duchefa)、9.9mg/lのチアミンHCl(Duchefa)、0.5mgの葉酸(Sigma)、0.5mg/lのビオチン(Duchefa)、0.8g/lのカゼイン加水分解物(Duchefa)、糖30g/l、およびホルモン2−4D(Sigma St Louis,MO)を含む9cmの直径のMurashige and Skoog(MS)寒天培地プレート上にプレートした。カルスを25℃で14日間増殖させた。
【0284】
懸濁細胞培養物を、当該分野で周知であるように、MSD(0.2mg/lの2,4−ジクロロ酢酸を含むMurashige and Skoog(1962))液体培地中での形質転換された細胞の継代培養によって調製した。懸濁細胞を、250mlの三角フラスコ(25mlの作業容量で開始し、7日後には50mlに増加した)の中で25℃で、60rpmの震盪速度で培養した。続いて、細胞培養容量を、同じ条件下での300mlまでの作業容量の添加によって、1Lの三角フラスコに増大させた。4LのMSD培地を含む小さいバイオリアクター(10L)(WO98/13469を参照のこと)の接種材料を、7日間培養した2つの1Lの三角フラスコに由来する400mlの懸濁細胞の添加によって得た。1分あたり1Lの通気を用いた25℃での1週間の培養後、MSD培地を10Lまで添加し、同じ条件下で培養を続けた。さらに5日間の培養の後、細胞のほとんどを集め、80μのネットに細胞培地を通過させることによって回収した。余分な培地を搾り出し、充填細胞のケーキを−70℃で保存した。
【0285】
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0286】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更及び変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更及び変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許及び特許願はすべて、それぞれの刊行物、特許及び特許願が各々あたかも具体的にかつそれぞれに引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用又は確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0287】
【図1a−b】図1a〜bには、本発明のデバイスの第1の実施形態の主な構成部材が、正面図および断面側面図が示される。
【図1c】図1cには、本発明の例示的なシステムが示される。
【図2】図2aおよび2bには、それぞれ、本発明のデバイスの第2の実施形態の主な構成部材が、それぞれ、正面図および断面側面図として示される。
【図3】本発明のデバイスの第3の実施形態の主な構成部材が断面側面図として示される。
【図4】本発明のデバイスの第1の実施形態の継目線が正面図として示される。
【図5】図5aおよび5bには、本発明のデバイスの第4の実施形態の主な構成部材が、それぞれ、側面図および断面の上方視点図として示される。図5cおよび5dには、図5(a)の線B−BおよびC−Cに沿った、第4の実施形態の横方向の断面図が示される。
【図6】図6aおよび6bには、本発明のデバイスの第5の実施形態の主な構成部材が、それぞれ、側面図および断面の上方視点図として示される。図6cおよび6dには、図6(a)の線B−BおよびC−Cに沿った、第5の実施形態の横方向の断面図が示される。
【図7】図5の実施態様が透視図として示される。
【図8】図6の実施態様が透視図として示される。
【図9】図5〜8の実施形態を使用するための支持構造体が示される。
【図10】図1〜8のいずれか1つのデバイスを複数個含む、本発明のバッテリーの好ましい実施形態の主な構成部材が示される。
【図11a】本発明とともに使用される発現カセットとベクターが示される。
【図11b】本発明とともに使用される発現カセットとベクターが示される。
【図12】三角フラスコに対して向かい合わせた本発明のデバイスの中での、形質転換された(グルコセレブロシダーゼ(GCD))ニンジン細胞懸濁物の増殖が示される。
【図13】三角フラスコに対して向かい合わせた本発明のデバイスによって生産されたGCDの相対的な量が示される。
【図14】平行である増殖曲線に関して、7%および15%の充填細胞容量の開始点が示される。
【図15】これらの2つの増殖条件についての定量的ウェスタンブロットによるGCDタンパク質の量が示される。
【図16】定常点を見つけるための、さらに長い期間(14日間)にわたる増殖が示される。
【図17】最大量のGCD(他のタンパク質と比較して)は形質転換された細胞によって8日目までに生産され、その後、生産されたGCDの量は減少し始めたことが示される。
【図18】4日目に培地を交換し、および/または新しい培地を添加することにより、8日目を越えても細胞の高い増殖レベルが維持されることが示される。
【図19】図18に記載される条件下で生産されたGCDの量が示される。
【図20】図18に記載される条件下で生産されたGCDの量が示される。
【図21】細胞増殖に対する種々の糖レジュメの効果が示される。
【図22】図22aおよび22bには、GCDの生産に対する種々の糖レジュメの効果が示される。
【図23】図23aおよび23bには、本発明の10Lのデバイスの中での細胞増殖に対するエアレーション速度の効果が示される。
【図24】本発明のデバイスに対するさらなる酸素の添加の効果が示される。
【図25】PCRによる増幅後の、ヒト第X因子をコードする配列(矢印)の電気泳動による分離が示される。
【図26】CaMV35SΩとOCSターミネーター配列の間に第X因子の配列が連結されている、連結されたCE−FX−KDEL構築物が示される。制限酵素の認識部位の位置が示される。
【図27】中に連結カセットCE−FX−KDELが導入されているpBluescript SKベクターのマップである。
【図28】プラスミドpzp−FX−ERおよびpGREEN nos−kana−FX−ERで形質転換したクローンの制限分析であり、これにより、植物細胞中でのヒト第X因子のクローニングおよび発現に使用したカセット、およびプラスミドが示される。
【図29】CaMV35S+Ω、OCSターミネーターと、NPTII配列の間に第X因子配列が連結されている、pGREEN nos−kana−FX−ER構築物のTDNAが示される。制限酵素の認識部位の位置が示される。
【図30】多数の形質転換されたニンジン細胞株の細胞内容物のウェスタンブロット分析が示される。
【図31】植物細胞中で発現させられた組み換え体ヒト第X因子の的確な切断が示される。
【図32】植物細胞中で発現させられた組み換え体ヒト第X因子の触媒活性を示すグラフである。
【図33】PCRによる増幅後の、ヒトIfnβコード配列(矢印)の電気泳動による分離が示される。
【図34】CE−K発現カセットを使用して大腸菌(E.coli)DH5αにクローニングされた、増幅されたヒトIfnβコード配列の電気泳動による分離が示される。
【図35】CE−K発現カセットを使用して大腸菌(E.coli)DH5αにクローニングされた、増幅されたヒトIfnβコード配列の電気泳動による分離が示される。
【図36】ifnポジティブクローンの制限分析産物の電気泳動による分離が示される。
【図37】CaMV35S+ΩとOCSターミネーター配列の間にヒトIfnβのコード配列が連結されている、連結させられたCE−ifn−KDEL構築物が示される。制限酵素の認識部位の位置が示される。
【図38】pzp−ifn−KDELプラスミドとpzp−ifn−STOPプラスミドの調製に使用されたpzp 111バイナリーベクターのマップであり、制限酵素認識部位が示される。
【図39】pzp−ifn−KDELプラスミドとpzp−ifn−STOPプラスミドを有しているアグロバクテリウムLB4404で形質転換されたニンジン細胞のクローンの中で発現させられた組み換え体ヒトIfnβの免疫検出を示すウェスタンブロットである。
【図40】PCRによる増幅後の、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスのウイルスタンパク質2(VPII)をコードする配列(矢印)の電気泳動による分離が示される。
【図41】CE−K発現カセットを使用して大腸菌(E.coli)DH5αにクローニングされた、増幅されたVPIIコード配列の電気泳動による分離が示される。
【図42】CE−VPIIの調製に使用されたCEバイナリーベクターのマップであり、制限酵素認識部位が示される。
【図43】図43aおよび43bは、PAGE分析(43A)とウェスタンブロット(43B)であり、これらによって、pGA492−CE−VPIIプラスミドを有しているアグロバクテリウムLB4404で形質転換されたニンジン細胞のクローンの中で発現させられた組み換え体VPIIの電気泳動による分離と免疫検出が示される。
【配列表フリーテキスト】
【0288】
配列番号1はER用のシグナルペプチドである。
配列番号2はタバコキチナーゼAからの液胞標的化シグナルである。
配列番号3〜6は一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。
配列番号9はCaMV 35Sプロモーター核酸配列である。
配列番号10はERシグナルペプチドをコードする核酸配列である。
配列番号11は液胞標的化配列をコードする核酸配列である。
配列番号12はターミネーター用配列である。
配列番号13はシグナルペプチドに融合された組換えGCDをコードする核酸である。
配列番号14はシグナルペプチドに融合された組換えGCDである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞/組織の培養のためのデバイス、システム、および方法に関し、具体的には、植物細胞の培養のためのそのようなデバイス、システム、および方法の発明に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞および組織の培養技術は、長年にわたって利用されており、当業者に周知である。このような培養技術を経済的に使用することの目途は、二次代謝物、例えば、薬学的活性のある化合物、化粧品において使用される種々の物質、ホルモン、酵素、タンパク質、抗原、食品添加物、および天然殺虫剤を、培養された細胞または組織の集菌から抽出するためである。おそらく利益は上がる可能性があるが、それにもかかわらず、この目途は、高い資本コストを必要とすることが原因で、ゆっくりと増殖する植物細胞および動物細胞の培養物を使用する工業的規模のバイオリアクターでは有効に活用することはできていない。
【0003】
このような物質の生産に使用される、細胞および/または組織培養物の工業的規模での生産のための背景技術は、現在のところ、ガラス製のバイオリアクターおよびステンレス鋼製のバイオリアクターをベースとしており、これは、大きな資本がかかる部分である。さらに、これらのタイプの工業的バイオリアクターには、高価であり複雑な滅菌シールを介して動力が提供される羽根車のような、複雑であり高価な混合技術が含まれる。一部の高価な発酵槽には、エアリフトマルチパート構造が含まれている。これらのバイオリアクターをうまく操作するには、多くの場合に、改善が常時必要であるエアレーション技術の実施が必要である。さらに、このようなバイオリアクターは、その時点で必要なピーク容積容量にしたがって寸法決定される。したがって、パイロットプラントの発酵槽からより規模の大きい発酵槽へとスケールアップする際、または既存のバイオリアクターの容量を超えるほどに生産量を増大させる必要がある場合に、複数の問題が生じる。大容量バイオリアクターに現在取って代わるもの、すなわち、全容量を増加または減少させるためのある程度の柔軟性を提供しつつも、その全容量が要求を満たす多数の小さいガラス製またはステンレス鋼製のバイオリアクターを提供することは、そうは言うものの、1つの大きなバイオリアクターの提供よりもはるかにより高価である。さらに、ほとんどのガラス製およびステンレス鋼製のバイオリアクターに伴うランニングコストもまた高く、これは、それぞれの培養サイクルの後にバイオリアクターを滅菌する必要があることと組み合わせて、収量が少ないことに原因がある。結果として、このようなバイオリアクターの中で増殖させられた細胞または組織から抽出された産物は高価であり、別の技術を用いて生産された匹敵する産物と商業的に競争することは、現在はできていない。実際には、わずか1つの日本の会社にしか、ステンレス鋼製のバイオリアクターを使用して、商業的に上記細胞/組織培養技術を使用することは知られていない。この会社はShikoninを生産しており、これは、ほぼ日本でしか使用されていない化合物である。
【0004】
工業的規模、およびさらに大きな規模のバイオリアクターデバイスは、従来、永久的または半永久的な構成要素であり、大規模な細胞/組織培養物の生産に関する上記の問題点を解決するための使い捨てのバイオリアクターデバイスの概念については、開示も、示唆も知られていない。それとは逆に、極めて小さい容量の生産容量(例えば、家庭での醸造および研究室での作業用の)については、使い捨ての発酵槽およびバイオリアクターデバイスは周知であり、広く示されている。これらのバイオリアクターデバイスには、一般的には使い捨てのバッグが含まれ、これは通常、細胞/組織の生成物を回収するために切り開かれ、したがって、バッグをさらに利用することは決してできない。1つのこのような公知の使い捨てのバイオリアクターは、Osmotec,Israel,(Argritech Israel,issue No.1,Fall 1997,page 19)によって、例えば、研究室での研究のような小さい容量での使用のために生産されている。このバイオリアクターには、培養培地、空気、接種材料、および他の必要な添加物を導入することができる入口を有する円錐形のバッグが含まれており、これは、わずか約1.5リットルの容量しかない。エアレーションは、極小さい気泡を導入することによって行われ、これは、多くの場合、特に、植物細胞の培養の場合には細胞に対して損傷を生じる。特に、これらのバッグは、わずかに1回の培養/回収サイクル用に特異的に設計されており、バッグの内容物はバッグの底を切ることによって取り出される。したがって、これらのバッグは、上記で議論されたように、培養物から抽出される工業的な量の物質を提供する論点について、経済的な解決方法は示していない。
【0005】
用語「使い捨て」は、本出願においては、デバイス(バッグ、バイオリアクターなど)は使用後に廃棄され、無視できるほどの損失しか伴わないように設計されていることを意味する。したがって、ステンレス鋼製またはガラス製のデバイスは必然的に高価なデバイスであり、このようなデバイスを操作する者にとっては、ごく小さい無視できるほどの損失とはならない。一方、例えば、軟質のプラスチックのようなプラスチック製のデバイスは比較的安価であり、したがって、使用後に廃棄されても、無視できるほどの経済的損失にしかならない。したがって、これらのバイオリアクターデバイスの廃棄性は、一般的には、使用者に対して経済的な欠点を提示することはない。なぜなら、これらの商品の低い資本コストは、使用、保存、および他の実用上考慮すべき事柄の容易さに対して相殺されるからである。実際、これらのデバイスについて想定される小さい容量での生産のレベルでは、そのようなデバイスを1回より多い培養/回収サイクルに繰り返して使用できるようにするために、デバイスまたはその操作の複雑さが増大するような動機付けがないことが、このデバイスの経済性である。
【0006】
さらに、使い捨てのバイオリアクターデバイスの外側の滅菌条件は、多くの場合には必要はなく、また不可能でもある。したがって、一旦、回収可能な生成物を抽出するために開かれると、費用効率も、実用性もなく、さらには多くの場合には、開口部を滅菌のまま維持することもできず、これによりバッグと、その中にあるものは全て汚染される可能性がある。したがって、これらの使い捨てのデバイスは、1回の培養サイクルの後にさらに使用することはできない。
【0007】
したがって、使い捨てのバイオリアクターデバイスは、一般の使用者によって通常必要とされる量および生産容量については比較的安価であり、プロではない個人によって使用されるには比較的容易である。実際、使用の容易さおよび低い経済的コストがこの局面であり、これは、少ない生産容量の使い捨てデバイスに関係しており、これは使い捨てのバイオリアクターデバイスの主要な魅力である。したがって、先行技術による使い捨てのバイオリアクターデバイスは、工業的規模のバイオリアクターとは、構造的、操作性、またはスケールメリットに関してほとんど共通点はなく、実際、何らかの形でこのような解決方法を開示または示唆しているというよりもむしろ、工業的規模のバイオリアクターに付随する問題点についての解決方法を提供することから離れた教示である。
【0008】
実験的または研究室での作業に関してはいくらかの進歩があるが、工業的規模でのプロセスについてはまだ有用ではない別の分野は、植物細胞の培養である。医薬品の用途のためのタンパク質は、従来は、哺乳動物または細菌の発現システムにおいて生産されている。過去10年の間に、植物での新しい発現システムが開発された。この方法では、一本鎖のDNA分子(T−DNA)を植物のゲノムに挿入することができる細菌であるアグロバクテリウム(Agrobacterium)が利用される。タンパク質およびペプチドの大量生産については、遺伝子を導入することが比較的簡単であるとの理由から、この方法が別のタンパク質発現システムとして一般的になりつつある(Ma,J.K.C.,Drake,P.M.W.,and Christou,P.(2003)Nature reviews 4,794−805)。
【発明の開示】
【0009】
背景技術では、使い捨てのデバイスを用いた植物細胞または動物細胞の培養による工業的規模での物質の生産のためのデバイス、システム、あるいは方法についての教示および示唆は全くされていない。背景技術ではまた、工業的規模での植物細胞の培養のためのそのようなデバイス、システム、または方法についての教示、または示唆もされていない。
【0010】
本発明は、バイオリアクターおよび発酵槽を含む、細胞および/または組織を純培養によって培養し、回収するためのデバイス、システム、および方法を提供することによって背景技術のこれらの欠点を克服する。このデバイスは、使い捨てであることが好ましいが、それにもかかわらず、その廃棄の前に、複数回の連続する培養/回収のサイクルに連続して使用することができる場合もある。本発明はまた、細胞および組織の大量生産に使用することができるそのようなデバイスのバッテリーにも関する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によると、本発明は、例えば、適切な気体および/または液体の流れをなおも維持し、そして/あるいは、本発明のデバイスの容器内の適切な混合条件をなおも維持しつつも、低い剪断力を提供することにより、植物細胞の培養物と共に使用されるように適応される。例えば、所望により、そして好ましくは、細胞は懸濁下で増殖され、そしてエアレーション(培地全体にわたる通気、但し、所望により任意の他の気体または混合気体を使用することができる)は、低い剪断力が存在するように行われる。所望により、そして好ましくは、低い剪断力の維持を補助するためには、細胞培養物を含む容器は、軟質の材料から作られ、そして少なくとも円形の形状であり、円柱状および/または球状の形状であることがさらに好ましい。これらの特性はまた、任意ではあるが好ましい容器の態様を提供し、これにより、均一な流れ力と均一な剪断力が維持される。
【0012】
表現「植物細胞の培養物」には、本明細書中で使用される場合は、任意のタイプの自然な(自然界に存在している)植物細胞、または遺伝的に修飾された植物細胞(例えば、培養物中で増殖させられた、トランスジェニックによっておよび/または別の方法で遺伝子操作された植物細胞)が含まれることに留意されるべきである。その大量生産、またはその中で発現させられる有効成分の大量生産は、臨床的(例えば、治療的)、食品業界(例えば、調味料、香料)、農業(例えば、殺菌剤)、化粧品などでの使用のために、商業的に所望されている。遺伝子操作は、所望により安定的であっても一時的であってもよい。安定した形質転換においては、本発明の核酸分子が植物のゲノムに組み込まれ、その結果、本発明の核酸分子は安定した遺伝される形質を示す。一時的な形質転換においては、核酸分子は形質転換された細胞によって発現されるが、これはゲノムに組み込まれてはおらず、その結果、本発明の核酸分子は一時的な形質を示す。
【0013】
好ましくは、培養物は、完全な植物体を形成するように集まってはいない細胞を特徴とし、その結果、植物の少なくとも1つの生物学的構造は示さない。所望により、そして好ましくは、培養物は、複数の種々のタイプの植物細胞を特徴とし得るが、培養物は特定のタイプの植物細胞を特徴とすることが好ましい。所望により、特定のタイプの植物細胞を特徴とする植物培養物が複数の異なるタイプのそのような植物細胞から元来誘導される場合があることに留意されるべきである。
【0014】
植物細胞は、所望により任意のタイプの植物細胞であり得るが、所望により、そして好ましくは、植物の根細胞(すなわち、植物の根から誘導された細胞、植物の根から得られた細胞、または植物の根に基づく細胞)であり、さらに好ましくは、以下からなる群より選択される植物の根細胞である:セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞。根以外の構造を起源とする植物細胞を、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換することができ、これによって毛根細胞の発達を誘導できることが知られている(例えば、Strobel ら.の米国特許第4,588,693号を参照のこと)。したがって、本明細書中で上記したように、および以下の実施例のセクションに詳細に記載されるように、植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞である場合もある。
【0015】
所望により、そして好ましくは、植物細胞は懸濁液の中で増殖させられる。植物細胞は、所望により植物の葉細胞または植物の芽細胞であってもよい。これらはそれぞれ、植物の葉または植物の芽に由来する細胞、植物の葉または植物の芽から得られた細胞、あるいは、植物の葉または植物の芽に元来基づく細胞である。
【0016】
好ましい実施形態においては、植物の根細胞は、ニンジン細胞である。本発明の形質転換されたニンジン細胞は懸濁液の中で増殖させられることが好ましいことに留意されるべきである。本明細書中で上記したようにおよび以下の実施例に記載されるように、これらの細胞は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞で形質転換された。本発明の好ましい実施形態によると、任意の適切なタイプの細菌細胞を、所望により、そのような形質転換のために使用することができるが、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞が、以下に記載される好ましい植物宿主細胞を感染させるために使用されることが好ましい。あるいは、このような形質転換またはトランスフェクションは、所望により、ウイルスに基づいて(例えば、ウイルスベクターおよび/またはウイルス感染によって)行うこともできる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によると、植物細胞を培養するための使い捨ての容器を含む、植物細胞を培養するためのデバイスが提供される。この使い捨ての容器は、少なくとも1回のさらなる連続する培養/回収サイクルに連続して使用することができることが好ましく、その結果、「使い捨て」は、わずか1回の培養/回収サイクル用の容器だけには限定されない。さらに好ましくは、デバイスにはさらに、再利用可能な回収装置が含まれ、これには、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも所望の部分の回収が可能であり、所望の場合には、それによって、デバイスを、少なくとも1回のさらに連続する培養/回収サイクルに連続して使用できるようにする、流量調整器が含まれる。所望により、そして好ましくは、流量調整器は、細胞および/または組織を含む培地の残りの滅菌性を維持し、その結果、先に回収されたサイクルによる残りである培地の残りは、次の培養および回収サイクルのための接種材料とされる。
【0018】
本発明の他の実施形態によると、任意のタイプの細胞および/または組織の培養に適しているデバイス、システム、および方法が提供される。好ましくは、本発明は、宿主細胞を培養するために使用される。本発明の宿主細胞は、所望により、目的のタンパク質をコードする組み換え核酸分子で、またはそのような核酸分子を含む発現ベクターで形質転換されても、または、トランスフェクトされてもよい(恒久的または一時的に)。このような核酸分子には、所望により、目的のシグナルペプチドをコードする1つ以上のさらなる核酸配列に動作可能であるように連結させられた、目的のタンパク質をコードする第1の核酸配列が含まれる。本明細書中で使用される用語「動作可能であるように」連結されたというのは、必ずしも物理的な連結を意味するものではないことに留意されるべきである。
【0019】
「細胞」、「宿主細胞」、または「組み換え体宿主細胞」は、本明細書中で同義的に使用される用語である。このような用語は、特定の対象細胞だけではなく、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫も意味することが理解される。突然変異または環境による影響のいずれかが原因で、その後の世代において特定の修飾が生じる場合があるとの理由から、そのような子孫は、実際には親細胞と同一ではない場合があるが、これらもなお、本明細書中で使用される場合にはこの用語の範囲に含まれる。「宿主細胞」は、本明細書中で使用される場合には、裸のDNA、または組み換えDNA技術を使用して構築された発現ベクターで組み換えによって形質転換することができる細胞を意味する。本明細書中で使用される場合は、用語「トランスフェクション」は、核酸によって媒介される遺伝子導入による核酸(例えば、裸のDNAまたは発現ベクター)のレシピエント細胞への導入を意味する。「形質転換」は、本明細書中で使用される場合は、細胞の遺伝子型が、外因性DNAまたはRNAの細胞による取り込みの結果として変化させられるプロセスを意味し、例えば、形質転換された細胞は所望のタンパク質の組み換え形態を発現する。
【0020】
単子葉植物の細胞培養物および双子葉植物の細胞培養物のいずれもが、本発明の方法およびデバイスを用いた使用に適している。単子葉植物および双子葉植物の両方に外来遺伝子を導入することについては、様々な方法が存在している(Potrykus,I.,Annu.Rev.Plant.Physiol.,Plant.Mol.Biol.(1991)42:205−225;Shimamoto ら.,Nature(1989)338:274−276)。
【0021】
外因性DNAの植物のゲノムDNAへの安定した組み込みを生じる原則的な方法としては、2つの主なアプローチが挙げられる:
(i)アグロバクテリウムによって媒介される遺伝子導入:Klee ら.,(1987)Annu.Rev.Plant Physiol.38:467−486;Klee and Rogers in Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,第6巻,Molecular Biology of Plant Nuclear Genes,編,Schell,J.,and Vasil,L.K.,Academic Publishers,San Diego,Calif.(1989)p.2−25;Gatenby,in Plant Biotechnology,編,Kung,S.and Arntzen,C.J.,Butterworth Publishers,Boston,Mass.(1989)p.93−112。
【0022】
(ii)直接DNA取り込み:Paszkiwski ら.,Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,第6巻,Molecular Biology of Plant Nuclear Genes,編,Schell,J.,and Vasil,L.K.,Academic Publishers,San Diego,Calif.(1989)p.52−68;プロトプラストにDNAを直接取り込むための方法(Toriyama,K.ら.,(1988)Bio/Technology 6:1072−1074)を含む。植物細胞の短時間の電気的ショックによって誘導されるDNAの取り込み:Zhang ら.,Plant Cell Rep.(1988)7:379−384。Fromm ら.,Nature(1986)319:791−793。粒子衝突による植物細胞または組織へのDNAの注入:Klein ら.,Bio/Technology(1988)6:559−563;McCabe ら.,Bio/Technology(1988)6:923−926;Sanford,Physiol.Plant.(1990)79:206−209);マイクロピペットシステムの使用による植物細胞または組織へのDNAの注入:Neuhaus ら.,Theor,Appl.Genet.(1987)75:30−36;Neuhaus and Spangenberg,Physiol.Plant.(1990)79:213−217;細胞培養物、胚、またはカルス組織の、ガラス繊維または炭化シリコンウィスカー形質転換による植物細胞または組織へのDNAの注入:米国特許第5464765号;あるいは、発芽花粉とのDNAの直接のインキュベーションによる植物細胞または組織へのDNAの注入;DeWet ら.,Experimental Manipulation of Ovule Tissue,編,Chapman,G.P.and Mantell,S.H.and Daniels,W.Longman,London,(1985)p.197−209;およびOhta,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1986)83:715−719。
【0023】
アグロバクテリウムシステムには、植物のゲノムDNAに組み込まれる定義されたDNAセグメントを含むプラスミドベクターの使用が含まれる。植物組織の接種方法は、植物種、およびアグロバクテリウム送達システムに応じて様々である。広く使用されているアプローチは、リーフディスク手順であり、これは、全植物の分化の開始のための良好な供給源を提供する任意の組織外植片を用いて行うことができる。Horsch ら.,Plant Molecular Biology Manual A5,Kluwer Academic Publishers,Dordrecht(1988)p.1−9。補助的なアプローチでは、減圧浸透と組み合わせてアグロバクテリウム送達システムが使用される。アグロバクテリウムシステムは、トランスジェニック双子葉植物の作成において特に有用である。
【0024】
植物細胞への直接のDNAの導入については、種々の方法が存在している。電気泳動においては、プロトプラストは強い電場に短時間さらされる。マイクロインジェクションでは、非常に小さいマイクロピペットを使用してDNAが細胞に直接機械的に注入される。マイクロ粒子衝突では、DNAは、硫酸マグネシウム結晶またはタングステン粒子のようなマイクロプロジェクタイル上に吸着させられ、マイクロプロジェクタイルは、細胞または植物組織の中に入るように物理的に加速される。
【0025】
安定した形質転換の後、植物を繁殖させることができる。最も一般的な植物を繁殖させる方法は、播種によるか、または組織培養技術を用いた大量増殖による。これには、組織の培養、組織培養物の増殖、分化、および植物の形成が含まれる。
【0026】
安定した形質転換が現在は好ましいが、葉細胞、根細胞、分裂組織細胞、または他の細胞の一時的な形質転換もまた、本発明によって想定される。
【0027】
一時的な形質転換は、上記の直接的なDNA導入方法、または修飾された植物ウイルスを使用するウイルス感染のいずれかによって行うことができる。
【0028】
植物宿主の形質転換に有用であることが示されているウイルスとしては、CaMV、TMV、およびBVが挙げられる。植物ウイルスを使用する植物の形質転換は、米国特許第4,855,237号(BGV)、EP−A 67,553(TMV)、日本公開特許出願番号63−14693(TMV)、EPA 194,809(BV)、EPA 278,667(BV);およびGluzman,Y.ら.,Communications in Molecular Biology:Viral Vectors,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,pp.172−189(1988)に記載されている。植物を含む多くの宿主の中での外来DNAの発現に使用される偽ウイルス粒子は、WO87/06261に記載されている。
【0029】
ウイルス以外の外来核酸配列を植物に導入し発現させるための植物のRNAウイルスの構築は、上記の参考文献と、さらに、Dawson,W.O.ら.,Virology(1989)172:285−292;Takamatsu ら.,EMBO J.(1987)6:307−311;French ら.,Science(1986)231:1294−1297;およびTakamatsu ら.,FEBS Letters(1990)269:73−76によって明らかにされている。
【0030】
ウイルスがDNAウイルスである場合には、適切な修飾をウイルス自体に対して行うことができる。あるいは、外来DNAを有している所望のウイルスベクターの構築を容易にするために、ウイルスを最初に細菌プラスミドにクローニングすることができる。その後、ウイルスをプラスミドから切り出すことができる。ウイルスがDNAウイルスである場合には、細菌の複製起点をウイルスDNAに結合させることができる。その結果、ウイルスDNAが細菌によって複製される。このDNAの転写および翻訳により、ウイルスDNAをカプシドで包むコートタンパク質が生産される。ウイルスがRNAウイルスである場合には、ウイルスは一般的には、cDNAとしてクローニングされ、プラスミドに挿入される。プラスミドは、その後、全ての構築物を作成するために使用される。RNAウイルスは、その後、プラスミドのウイルス配列の転写およびウイルス遺伝子の翻訳によって生産されて、ウイルスRNAをカプシドで包むコートタンパク質が生産される。
【0031】
ウイルス以外の外来核酸配列(例えば、本発明の構築物に含まれる配列)の植物への導入および植物での発現のための植物RNAウイルスの構築は、上記の参考文献に、さらには、米国特許第5316931号に示されている。
【0032】
ウイルスベクターは、組み換え体植物ウイルスの核酸によってコードされるコートタンパク質によってカプシドで包まれて、組み換え体ウイルスが生じる。組み換え体である植物ウイルスの核酸または組み換え体植物ウイルスは、適切な宿主植物を感染させるために使用される。組み換え体植物ウイルスの核酸は、宿主内で複製することができ、宿主内で全身に広がり、そして宿主内で外来遺伝子(単離された核酸)が転写または発現されて、所望のタンパク質が生産される。
【0033】
ポリペプチドは、有色体の中で発現させることもできる。外因性の核酸配列を有色体のゲノムに導入するための技術は公知である。この技術には以下の手順が含まれる。最初に、植物細胞が、1つの細胞あたりの有色体の数を約1個に減少させるために、化学的に処理される。その後、少なくとも1つの外因性核酸分子の有色体への導入を目的として、外因性の核酸が粒子衝突によって、細胞に導入される。外因性の核酸は、有色体に固有の酵素によって容易に行われる相同組換えにより有色体のゲノムに組み込まれ得るように選択される。この目的を達成するために、外因性の核酸には、目的の遺伝子に加えて、有色体のゲノムに由来する少なくとも1つの核酸の伸縮が含まれる。さらに、外因性の核酸には、選択マーカーが含まれ、これは、有色体のゲノムのコピーの全てまたは実質的に全てが、そのような選択の後に外因性の核酸を含むことを確実にするための、連続的な選択手順において役割を担う。この技術に関するさらなる詳細は、米国特許第4945050号;および同第5693507号において見ることができ、これらは引用により本明細書中に組み入れられる。したがって、ポリペプチドは、有色体のタンパク質発現システムによって生産させることができ、有色体の内膜に組み込まれる。
【0034】
薬剤耐性または他の選択マーカーには、一部、形質転換体の選択を容易にするための意図があることは認識されるはずである。さらに、選択マーカー(例えば、薬剤耐性マーカー)の存在は、培養物中に微生物の混入があることを検出する際に使用されるものであってもよく、そして/また、化学物質または他の因子に対する耐性に基づく耐性マーカーの場合には、選択条件は、所望により、そして好ましくは、望ましくないおよび/または混入している微生物の培養培地中での増殖を防ぐものであってもよい。このような形質転換された宿主細胞の純粋培養は、誘導された表現形の生存に必要な条件下で細胞を培養することによって得られる。
【0035】
上記に示されるように、本発明の宿主細胞は、核酸分子でトランスフェクトされても、形質転換されてもよい。本明細書中で使用される場合は、用語「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)のようなポリヌクレオチドを意味し、そして適切な場合には、リボ核酸(RNA)を意味する。この用語はまた、ヌクレオチド類似体から作成されたRNAまたはDNAのいずれかの類似体である等価物、ならびに、記載される実施形態に適応させる場合は、一本鎖(例えば、センスまたはアンチセンス)ポリヌクレオチドおよび二本鎖ポリヌクレオチドも含むと理解されるべきである。
【0036】
さらに別の実施形態においては、本発明の宿主細胞は、組み換え体である核酸分子を含む発現ベクターでトランスフェクトされても、また、形質転換されてもよい。「発現ベクター」には、本明細書中で使用される場合は、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、組み込むことが可能なDNA断片、および宿主のゲノムにDNA断片を組み込むことができる他の媒体が含まれる。発現ベクターは、通常は、自律複製するDNAまたはRNA構築物であり、これには、所望の遺伝子またはその断片と、適切な宿主細胞中で認識され、所望の遺伝子の発現を行う、動作可能であるように連結された遺伝子制御エレメントとが含まれる。これらの制御エレメントは、適切な宿主中で発現を行うことができる。一般的には、遺伝子制御エレメントとしては、原核生物のプロモーターシステムまたは真核生物のプロモーター発現制御システムを挙げることができる。このようなシステムには、通常、転写プロモーター、転写の開始を制御するための任意のオペレーター、RNAの発現レベルを高めるための転写エンハンサー、適切なリボソーム結合部位をコードする配列、RNAスプライス部位、転写および翻訳を終結させる配列などが含まれる。発現ベクターには、通常、ベクターが宿主細胞とは無関係に複製することを可能にする複製起点が含まれる。
【0037】
プラスミドは、最も一般的に使用されるベクターの形態であるが、同等の機能を果たし、そして当該分野で知られている他の形態のベクターが、本明細書中での使用に適している。例えば、Pouwels ら.,Cloning Vectors:a Laboratory Manual(1985および補完),Elsevier,N.Y.;およびRodriquez,ら.,(編)Vectors:a Survey of Molecular Cloning Vectors and their Uses,Buttersworth,Boston,Mass(1988)を参照のこと。これらは引用により本明細書中に組み入れられる。
【0038】
一般的には、このようなベクターには、さらに、形質転換された細胞の表現型による選択を提供することができる特異的遺伝子が含まれる。原核生物および真核生物のウイルス発現ベクターを、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子を発現させるために使用することもまた意図される。
【0039】
1つの好ましい実施形態においては、本発明の宿主細胞は、真核生物細胞であっても、また、原核生物細胞であってもよい。
【0040】
好ましい実施形態においては、本発明の宿主細胞は原核生物細胞であり、好ましくは、細菌細胞である。別の実施形態においては、宿主細胞は真核生物細胞であり、例えば、上記のような植物細胞、または哺乳動物細胞である。
【0041】
用語「動作可能であるように連結された」は、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的な関係で配置されている場合に、第1の核酸配列が第2の核酸配列と動作可能であるように連結されていることを示すために、本明細書中で使用される。例えば、プロモーターは、そのプロモーターがコード配列の転写または発現に影響を与える場合には、コード配列に動作可能であるように連結されている。所望により、そして好ましくは、動作可能であるように連結されたDNA配列は連続しており(例えば、物理的に連結されている)、この場合には、同じリーディングフレーム内に2つのタンパク質をコードする領域を繋げることが必要である。したがって、DNA配列と調節配列は、適切な分子(例えば、転写活性化因子プロモーター)が調節配列に結合すると遺伝子が発現させられるように連結させられる。
【0042】
別の実施形態においては、この組み換え体核酸分子には、所望によりさらに、宿主細胞において機能することが好ましい、動作可能であるように連結されたターミネーター、例えば、植物細胞中で機能するターミネーターが含まれてもよい。組み換え体である本発明の核酸分子には、所望によりさらに、別の制御エレメント、促進および調節エレメント、ならびに/または選択マーカーが含まれてもよい。これらの調節エレメントが、組み換え体である分子に対して動作可能であるように連結されることに留意されるべきである。
【0043】
発現構築物において使用することができる調節エレメントとしては、プロモーターが挙げられ、これは、宿主細胞(好ましくは、植物細胞)に対して異種であっても、また同種であってもいずれでもよい。プロモーターは、植物のプロモーターであっても、また、宿主細胞(例えば、植物細胞および植物)中で連結された配列の高いレベルでの転写を駆動することができる植物以外のプロモーターであってもよい。本発明の実施において有効に使用することができる植物のプロモーターの限定的ではない例としては、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35S、rbcS、クロロフィルa/b結合タンパク質のプロモーター、AdhI、NOS、およびHMG2、あるいはそれらの修飾したものまたは誘導体が挙げられる。プロモーターは、構成的であっても、また誘導性であってもいずれでもよい。例えば、そして限定はされないが、誘導性プロモーターは、植物、植物組織、または植物細胞の機構による遺伝子の活性化(MGA)の後に、リソソーム酵素のヌクレオチド配列の発現、または発現の増大を促進するプロモーターであり得る。
【0044】
本発明の宿主細胞をトランスフェクトするため、または形質転換するために使用される発現ベクターは、植物および植物細胞中での異種遺伝子の発現を増大させる、または最適化することが当業者に公知である方法にしたがって、さらに修飾することができる。このような修飾としては、プロモーターの強さを増強するため、または目的のタンパク質を変化させるためにDNA調節エレメントを突然変異させることが挙げられるが、これに限定はされない。
【0045】
したがって、本発明は、細胞/組織培養物の大量生産のための使い捨てのバイオリアクターデバイスを提供することにより、背景技術に関する上記問題点の画期的な解決方法を示す。本発明のデバイスは、本質的には使い捨てであるが、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも一部の回収を可能にするため、所望の場合には、それによってデバイスを1回より多いその後の連続する培養/回収のサイクルに連続して使用できるようにするための再利用することができる回収口を含むことを特徴とする。工業的な環境では、回収の間、および回収後の回収口の滅菌性は、例えば、デバイスへの、およびデバイスからの供給の全ての不可欠な接続と取り外しをその中で行うことができる滅菌のフードを提供することによって、比較的低コストで有意に高い程度に確保することができる。最終的にデバイスが汚染されてしまった場合には、デバイスは廃棄されるが、比較的小さな経済的損失しか伴わない。このようなデバイスは、50または100リットル、あるいはそれ以上の培養物の生産容量についても、安価に製造することができる。さらに、多数回の培養/回収サイクルを行う能力は経済的に有利であり、これによって1つのデバイスについての経済的コストはなおさらに下がる。
【0046】
このようなデバイスのバッテリーは経済的に配置することができ、バッテリーの中のデバイスの数は、要求に応じた生産量に近くなるように制御することができる。したがって、パイロットプラントバイオリアクターから大量生産への移行もまた、比較的簡単な、経済的な様式で、バッテリーにさらにデバイスを付加することによって行うことができる。さらに、固体の混合装置を含まない比較的小さい生産容量のそれぞれのデバイスは、典型的なステンレス鋼製のバイオリアクターと比較して、比較的多量の収量を生じる。
【0047】
したがって、本発明のデバイスには背景技術を上回る多数の利点があり、これには、使い捨てることができること;生産が経済的であり、使用が簡単であること;使い捨てることができるが、所望の細胞/組織を培養し回収する複数回の連続するサイクルに連続して使用することもできること;ならびに、所望により、接種材料が最初の培養サイクルに提供されることだけが必要であり、その後のサイクルのための接種材料は、前のサイクルにおいてそれらが回収された後にデバイスの中に残っている培養培地の一部によって提供される方法による操作に適していることが含まれるが、これに限定はされない。
【0048】
本発明によると、少なくとも1回のサイクルにおいて細胞および/または組織を純培養し、回収するための使い捨てのデバイスが提供される。このデバイスには、上端と下端を有する滅菌可能な使い捨ての容器が含まれている。この容器は、適切な滅菌の生物学的細胞、および/または組織培養培地、および/または純培養の接種材料、および/または滅菌された空気、および/または必要とされる他の滅菌の添加物で少なくとも一部が満たされ得る。この容器には、:(i)容器から過剰な空気および/または排ガスを除去するための空気吹き出し口;(ii)接種材料、および/または培養培地、および/または添加物を容器内に導入するための添加物入口が含まれ;そして、(iii)所望の場合には、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも所望の部分の回収を可能にし、それによって、デバイスを少なくとも1回のさらなる連続する培養/回収サイクルに連続して使用できるようにするための再利用可能な流量調整器がさらに含まれることを特徴とする。この場合、先の回収されたサイクルから残っている、細胞および/または組織を含む培地の残りを、次の培養および回収サイクルのための接種材料とすることができる。この場合、培養培地および/または必要な添加物は提供される。
【0049】
所望により、使い捨ての容器は透明であるか、および/または半透明である。所望により、デバイスにはさらに、滅菌の気体を気泡の形態で、第1の吸入口開口部から培養培地に導入するための空気吸入口が含まれる。この場合、空気吸入口は、適切な気体の供給源に接続することができる。好ましくは、空気吸入口は、培養の間に1回より多く滅菌の気体を導入するためのものである。より好ましくは、空気吸入口は滅菌の気体を連続して導入するためのものである。所望により、複数の様々な気体が、空気吸入口から種々の時間および/または濃度で導入される。
【0050】
好ましくは、回収装置には、回収装置から容器への汚染物質の導入を実質的に防ぐための汚染防止装置が含まれる。
【0051】
所望により、容器は剛体ではない。好ましくは、容器は剛体ではないプラスチック材料製である。より好ましくは、材料は、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンとナイロン、PVCとEVAの共重合体からなる群より選択される。
【0052】
所望により、容器は、複数の材質の1層より多い積層体から作られる。
【0053】
また、所望により、容器は、あらかじめ決定された継目に沿った、2枚の適切な材質のシートの溶融結合によって形成される。
【0054】
好ましくは、空気吸入口には、その開口部から、その底部または底部に近い容器の内側の位置に向かって伸びる空気吸入口吸気管が含まれる。
【0055】
また、好ましくは、少なくとも1つの空気吸入口には、空気の適切な供給源のために接続することができ、かつ複数の第2の吸気管と繋げられた、少なくとも1つの空気吸入口吸気管が含まれる。それぞれの第2の吸気管は、培養培地の中に気泡の形態で滅菌の空気を導入するために、容器内の位置に向かって、その中の適切な吸入口開口部を通じて伸びている。より好ましくは、デバイスには、実質的には箱のような幾何学的立体構造が含まれ、これは、全体の長さ、高さ、および幅を有している。より好ましくは、長さに対する高さの比は約1から約3であり、好ましくは約1.85である。所望により、幅に対する高さの比は、約5から約30であり、好ましくは約13である。
【0056】
好ましくは、デバイスには、デバイスの深さに実質的に及ぶ支持開口が含まれる。開口は、適切な棒支持体の上にデバイスを支持できるように所望により変化される。
【0057】
所望により、デバイスにはさらにデバイスを支持するための支持構造体が含まれる。好ましくは、支持構造体には、一対の向かい合わせられたフレームが含まれ、フレームのそれぞれには、上部および下部の支持部材に対して適切に取り付けられた実質的に平行な垂直方向の複数の支持部材によって間隔を隔てられた上部支持部材と下部支持部材が含まれる。より好ましくは、複数の垂直方向の支持部材は、上部支持部材と下部支持部材のそれぞれの縦方向の先端にある少なくとも1つの垂直方向の支持部材から構成される。
【0058】
また、より好ましくは、フレームは、フレームに対して除去可能であるように、またはフレームに対して一体として取り付けられた複数の間隔を隔てるための棒によって互いに間隔を隔てられている。
【0059】
また、より好ましくは、間隔を隔てるための棒は、デバイスを支持構造体に容易に挿入することができ、かつ支持構造体から比較的容易に取り外せるように、戦略的に配置される。
【0060】
所望により、それぞれのフレームのより低い位置の支持部材には、デバイスの下方の末端の対応する部分を受け止め、そして支持するように適応させられた、少なくとも1つのより低い位置の支持部材が含まれる。
【0061】
好ましくは、それぞれのより低い位置の支持部材は、向かい合ったフレームの方向により低い位置の支持部材のそれぞれから突出する適切な形状のタブの形態である。
【0062】
所望により、フレームにはそれぞれ、予め決定された位置にデバイスの側壁に対して押し付けるための、向かい合うフレームの方向に向かう、それぞれのフレームから突出する少なくとも1つの内部仕切りが含まれる。その結果、向かい合わせられた内部仕切りの対によって、デバイスの幅が予め決定された位置に効果的に狭められる。
【0063】
好ましくは、内部仕切りには、適切な上部および下部の支柱を有する向かい合わせられたフレームに向かう方向で、上部および下部の支持部材から間隔を隔てられている適切な実質的に垂直方向の部材が含まれる。
【0064】
所望により、支持構造体には、デバイスの運搬のための複数のキャスターが含まれてもよい。
【0065】
所望により、少なくとも幾つかの気泡は、約1mmから約10mmの平均直径を有する。
【0066】
また、所望により、少なくとも幾つかの気泡は、約4mmの平均直径を有する。
【0067】
所望により、容器には、空気吹き出し口からの容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐために空気吹き出し口に取り付けられた適切なフィルターが含まれる。
【0068】
好ましくは、容器にはさらに、添加物入口からの容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐために添加物入口に取り付けられた適切なフィルターが含まれる。
【0069】
また、好ましくは、U型の流体トラップを含む汚染防止装置が存在する。この場合、U型流体トラップの一方のアームは、適切な無菌の連結装置を介して回収装置の外部出口に無菌的に取り付けられる。
【0070】
好ましくは、回収装置は、容器の下端の底部に取り付けられる。
【0071】
また、好ましくは、回収装置は、容器の下端の底部付近に配置され、その結果、各回収サイクルの最後に、細胞および/または組織を含む培地の残りが、回収装置のレベルよりも下のレベルまでの容器の下端に自動的に残る。
【0072】
所望により、そして好ましくは、細胞および/または組織を含む培地の残りは、容器の底部から回収装置までの距離d2に、少なくとも部分的にしたがって決定される。
【0073】
好ましくは、細胞および/または組織を含む培地の残りは、培養培地と接種材料のもとの容量の約2.5%から約45%を占める。より好ましくは、細胞および/または組織を含む培地の残りは、培養培地および接種材料のもとの容量の約10%から約20%を占める。
【0074】
所望により、下端は実質的には凸状である。
【0075】
また、所望により、下端は実質的には円錐台状である。
【0076】
好ましくは、容器は、約5リットルから約200リットルの間、好ましくは、約50リットルから150リットルの間、好ましくは、約100リットルの内部充填容量を有する。
【0077】
所望により、デバイスにはさらに、適切な支持構造体に対してデバイスを取り付けるための適切な取り付け器具が含まれる。好ましくは、取り付け器具には、容器の上端に一体として取り付けられることが好ましい、適切な材質の輪が含まれる。
【0078】
本発明の好ましい実施形態によると、デバイスは、植物細胞培養物に適応される。好ましくは、植物細胞培養物には、植物の根から得られた植物細胞が含まれる。より好ましくは、植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞、セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞からなる群より選択される。
【0079】
所望により、デバイスのバッテリーが提供され、これには、上記のように、少なくとも2つの使い捨てのデバイスが含まれる。好ましくは、デバイスは、それぞれのデバイスの取り付け器具を介して適切な支持構造体によって支持される。また、好ましくは、それぞれのデバイスの空気吹き出し口は、共通の空気吹き出し口管に適切に繋げられる。これには、所望により、汚染物質がデバイスへ流れることを防ぐための遮断装置が含まれる。遮断装置には適切なフィルターが含まれることが好ましい。
【0080】
所望により、それぞれのデバイスの添加物入口は、所望により、自由末端に適切な無菌の連結装置を含む、自由末端を有する、共通の添加物入口管に適切に接続される。
【0081】
所望により、自由末端は、培地および/または添加物の適切な供給源に接続することができる。
【0082】
好ましくは、それぞれのデバイスの回収装置は、所望により、自由末端に適切な無菌の連結装置を含む、自由末端を有する共通の回収管に適切に接続される。
【0083】
より好ましくは、バッテリーにはさらに、共通の回収管からの容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐための汚染防止装置が含まれる。好ましくは、汚染防止装置には、U型の流体トラップが含まれる。この場合、U型流体トラップの一方のアームは、開口部を有する自由末端であり、そのもう一方の末端は、適切な無菌の連結装置を介して共通の回収管の自由末端に無菌的に取り付けられる。
【0084】
より好ましくは、U型管の自由末端は、適切な貯蔵タンクに接続することができる。
【0085】
所望により、それぞれのデバイスの空気吸入口は、所望により、自由末端に適切な無菌の連結装置を含む、自由末端を有する共通の空気吸入口吸気管に対して適切に接続される。好ましくは、自由末端は、空気の適切な供給源に接続することができる
【0086】
本発明の他の好ましい実施形態によると、使い捨てのデバイスにおいて細胞および/または組織を純培養し、そして回収するための方法が提供される。この方法には、上端と下端を有する、滅菌可能な透明および/または半透明の使い捨ての容器を含むデバイスを提供すること(ここでは、この容器は、適切な滅菌の生物学的細胞、および/または組織培養培地、および/または純培養接種物、および/または滅菌の空気、および/または他の滅菌の必要とされる添加物で少なくとも一部を満たすことができる。容器には、(i)容器から過剰な空気および/または排ガスを除去するための空気吹き出し口;(ii)接種材料、および/または培養培地、および/または添加物を容器内に導入するための添加物入口;ならびに、(iii)所望の場合には、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも一部を回収できるようにし、それによって、デバイスを少なくとも1回のさらなる連続するサイクル(ここでは、先に回収されたサイクルから残っている、細胞および/または組織を含む培地の残りを次の培養および回収サイクルのための接種材料とすることができ、この場合、培養培地および/または必要とされる添加物は提供される)に連続して使用できるようにするための適切な流量調整器を含む再利用可能な回収装置が含まれる);回収装置から純培養の接種材料を提供すること;滅菌の培養培地と滅菌の添加物を添加物入口から提供すること;所望により、外部照明を用いて容器を照らすこと;ならびに、所望の収量が得られるまで、細胞および/または組織を培地の中で増殖させることが含まれる。
【0087】
好ましくは、この方法にはさらに、過剰な空気および/または排ガスを、空気吹き出し口を通じて連続的に容器から外に出すことが含まれる。
【0088】
より好ましくは、この方法にはさらに、容器内で生産された細胞/組織の汚染および/または品質をチェックすることが含まれる。汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低い場合には、デバイスとその内容物は廃棄される。汚染が認められない場合には、細胞および/または組織を含む培地の所望の部分が回収される。
【0089】
最も好ましくは、所望の部分は回収されるが、細胞および/または組織を含む培地の残りは容器の中に残される。この場合、培地の残りは、次の培養/回収サイクルのための接種材料となる。また、最も好ましくは、この方法にはさらに、次の培養/回収サイクルのための滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物を添加物入口から提供すること;ならびに、汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低くなるまで、増殖サイクルを繰り返すことが含まれ、その後、デバイスとその内容物は廃棄される。
【0090】
好ましくは、デバイスにはさらに、適切な滅菌空気の供給源のために接続することができる第1の吸入口開口部から培養培地の中に気泡の形態で滅菌空気を導入するための空気吸入口が含まれ、この方法にはさらに、最初のサイクルと、それに続くそれぞれのサイクルの間に滅菌空気を空気吸入口に提供する工程が含まれる。より好ましくは、滅菌空気は、少なくとも1回の培養サイクルの間中、連続して供給される。
【0091】
また、より好ましくは、滅菌空気は、少なくとも1回の培養サイクルの間、パルスで供給される。
【0092】
本発明のなお他の好ましい実施形態によると、使い捨てのデバイスのバッテリーの中で、細胞および/または組織を純培養し、回収するための方法が提供される。この方法には、上記のデバイスのバッテリーと、その少なくとも1つのデバイスを提供すること;共通の回収管を通じてデバイスに純培養の接種材料を提供すること;共通の添加物入口管を通じて、デバイスに滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物を提供すること;所望により、外部照明を用いて容器を照らすこと;ならびに、デバイスの中の細胞および/または組織を培地の中で所望の収量まで増殖させることが含まれる。
【0093】
好ましくは、この方法にはさらに、過剰な空気および/または排ガスを、共通の空気吹き出し口管を通じて連続して容器から外に出すこと;デバイスの中で生産された細胞/組織の汚染および/または品質をチェックすることが含まれる。デバイスの中で汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低い場合には、デバイスの回収装置は、バッテリーの他のデバイスの汚染を防ぐために閉じられ、バッテリーの全てのデバイスにおいて汚染が認められるか、またはその中で生産された細胞/組織の品質が低ければ、全てのデバイスとそれらの内容物は廃棄される。汚染が認められず、生産された細胞/組織の品質が許容されれば、それぞれの回収可能なデバイスについて共通の回収管と、適切な汚染防止装置を通じて細胞および/または組織を含む培地の所望の部分が貯蔵タンクへ回収される。
【0094】
好ましくは、容器内に残っている細胞および/または組織を含む培地の残りは、この場合には、次の培養/回収サイクルのための接種材料となる。この方法にはさらに、次の培養/回収サイクルのための滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物を、添加物入口から提供することが含まれる。
【0095】
また、好ましくは、増殖サイクルは、汚染が認められるか、またはバッテリーの全てのデバイスについて生産された細胞/組織の品質が低くなるまで繰り返され、その後、汚染防止装置が共通の回収装置とデバイスから取り外され、それらの内容物が廃棄される。
【0096】
本発明のなお他の好ましい実施形態によると、使い捨てのデバイスのバッテリーの中で、細胞および/または組織を純培養し、回収するための方法が提供される。この方法には、上記のデバイスのバッテリーと、そのデバイスの少なくとも1つを提供すること;共通の回収管を通じてデバイスに純培養の接種材料を提供すること;共通の添加物入口管を通じて、デバイスに滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物を提供すること;共通の空気吸入口吸気管を通じて、デバイスに滅菌空気を提供すること;所望により、外部照明を用いて容器を照らすこと;ならびに、デバイスの中の細胞および/または組織を培地の中で所望の収量まで増殖させることが含まれる。
【0097】
好ましくは、この方法にはさらに、過剰な空気および/または排ガスを、共通の空気吹き出し口管を通じて連続して容器から外に出すこと;ならびに、デバイスの中で生産された細胞/組織の汚染および/または品質をチェックすることが含まれる。デバイスの中で汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低い場合には、デバイスの回収装置は、バッテリーの他のデバイスの汚染を防ぐために閉じられ、バッテリーの全てのデバイスにおいて汚染が認められるか、またはその中で生産された細胞/組織の品質が低ければ、全てのデバイスとそれらの内容物は廃棄される。汚染が認められず、生産された細胞/組織の品質が許容されれば、デバイスは回収可能と見なされる。
【0098】
より好ましくは、この方法にはさらに、共通の回収管と、汚染防止装置を通じて、それぞれの回収可能なデバイスについて、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも所望の部分を適切な貯蔵タンクへ回収することが含まれる。
【0099】
最も好ましくは、容器内に残っている細胞および/または組織を含む培地の残りは、この場合には、次の培養/回収サイクルの接種材料となる。この方法にはさらに、次の培養/回収サイクルのための滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物を、添加物入口から提供することが含まれる。
【0100】
また、最も好ましくは、増殖サイクルは、バッテリーの全てのデバイスについて汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低くなるまで繰り返され、その後、汚染防止装置が共通の回収装置とデバイスから取り外され、それらの内容物が廃棄される。
【0101】
本発明のなお他の実施形態によると、植物細胞を培養するために使い捨ての容器を含む、植物細胞の培養のためのデバイスが提供される。好ましくは、使い捨ての容器は、少なくとも1回のさらなる連続する培養/回収サイクルに連続して使用することができる。より好ましくは、このデバイスにはさらに、所望の場合には、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも所望の部分を回収できるようにし、それによって、デバイスを、少なくとも1回のさらに連続する培養/回収サイクルに連続して使用できるようにする流量調整器を含む再利用可能な回収装置が含まれる。最も好ましくは、流量調整器は、細胞および/または組織を含む培地の残りの滅菌性を維持し、その結果、先に回収されたサイクルから残っている培地の残りは、次の培養および回収サイクルのための接種材料となる。
【0102】
本発明のなお他の実施形態によると、植物細胞を培養するための方法が提供され、この方法には、使い捨ての容器の中で植物細胞を培養することが含まれる。
【0103】
好ましくは、使い捨ての容器には、滅菌の気体または混合気体を導入するための空気吸入口が含まれる。
【0104】
より好ましくは、滅菌の気体には空気が含まれる。最も好ましくは、滅菌の混合気体に、は空気と追加の酸素の混合気体が含まれる。
【0105】
好ましくは、酸素が空気とは別に添加される。
【0106】
より好ましくは、酸素は、細胞培養の開始後、複数日添加される。
【0107】
好ましくは、滅菌の気体または混合気体は、培養の間に1回より多く添加される。
【0108】
また、好ましくは、空気吸入口は滅菌の気体を連続して導入するためのものである。
【0109】
また、好ましくは、複数の異なる気体が、空気吸入口から様々な時間および/または濃度で導入される。
【0110】
好ましくは、この方法にはさらに、吸入口から細胞をエアレーションすることが含まれる。より好ましくは、エアレーションには、1分あたり少なくとも1.5リットルの気体を投与することが含まれる。
【0111】
所望により、そして好ましくは、この方法にはさらに、細胞を増殖させるために十分な培地を提供することが含まれる。より好ましくは、十分な培地は、通常の培地の濃度の少なくとも約125%の濃度である。
【0112】
好ましくは、この方法にはさらに、細胞の増殖の間に、しかし回収の前に、培地を添加することが含まれる。より好ましくは、この方法にはさらに、追加の培地を、細胞の培養の開始後少なくとも約3日添加することが含まれる。
【0113】
好ましくは、この方法にはさらに、細胞の培養の開始後、少なくとも約3日、完全に培地を交換することが含まれる。
【0114】
また、好ましくは、培地には糖の混合物が含まれる。
【0115】
また、好ましくは、培地には、細胞培養のための通常の量よりも多量のスクロースが含まれる。
【0116】
好ましくは、植物細胞は組み換え体タンパク質を生産する。
【0117】
本発明は、添付の図面を参照して、例としてのみ、本明細書中に記載される。
図1a〜cには、本発明のデバイスの第1の実施形態の主な構成部材が、正面図および断面側面図として、それぞれ図1Aおよび1Bに示され、図1Cには本発明の例示的なシステムが示される。
図2aおよび2bには、それぞれ、本発明のデバイスの第2の実施形態の主な構成部材が、それぞれ、正面図および断面側面図として示される。
図3には、本発明のデバイスの第3の実施形態の主な構成部材が断面側面図として示される。
図4には、本発明のデバイスの第1の実施形態の継目線が正面図として示される。
図5aおよび5bには、本発明のデバイスの第4の実施形態の主な構成部材が、それぞれ、側面図および断面の上方視点図として示される。図5cおよび5dには、図5(a)の線B−BおよびC−Cに沿った、第4の実施形態の横方向の断面図が示される。
図6aおよび6bには、本発明のデバイスの第5の実施形態の主な構成部材が、それぞれ、側面図および断面の上方視点図として示される。図6cおよび6dには、図6(a)の線B−BおよびC−Cに沿った、第5の実施形態の横方向の断面図が示される。
図7には、図5の実施態様が透視図として示される。
図8には、図6の実施態様が透視図として示される。
図9には、図5〜8の実施形態を使用するための支持構造体が示される。
図10には、図1〜8のいずれか1つのデバイスを複数個含む、本発明のバッテリーの好ましい実施形態の主な構成部材が示される。
図11aおよび11bでは、本発明とともに使用される発現カセットとベクターが示される。
図12には、三角フラスコに対して向かい合わせた本発明のデバイスの中での、形質転換された(グルコセレブロシダーゼ(GCD))ニンジン細胞懸濁物の増殖が示される。
図13には、三角フラスコに対して向かい合わせた本発明のデバイスによって生産されたGCDの相対的な量が示される。
図14には、平行である増殖曲線に関して、7%および15%の充填細胞容量の開始点が示される。
図15には、これらの2つの増殖条件についての定量的ウェスタンブロットによるGCDタンパク質の量が示される。
図16には、定常点を見つけるための、さらに長い期間(14日間)にわたる増殖が示される。
図17には、最大量のGCD(他のタンパク質と比較して)は形質転換された細胞によって8日目までに生産され、その後、生産されたGCDの量は減少し始めたことが示される。
図18には、4日目に培地を交換し、および/または新しい培地を添加することにより、8日目を越えても細胞の高い増殖レベルが維持されることが示される。
図19には、図18に記載される条件下で生産されたGCDの量が示される。
図20には、図18に記載される条件下で生産されたGCDの量が示される。
図21には、細胞増殖に対する種々の糖レジュメの効果が示される。
図22aおよび22bには、GCDの生産に対する種々の糖レジュメの効果が示される。
図23aおよび23bには、本発明の10Lのデバイスの中での細胞増殖に対するエアレーション速度の効果が示される。
図24には、本発明のデバイスに対するさらなる酸素の添加の効果が示される。
図25には、PCRによる増幅後の、ヒト第X因子をコードする配列(矢印)の電気泳動による分離が示される。
図26には、CaMV35SΩとOCSターミネーター配列の間に第X因子の配列が連結されている、連結されたCE−FX−KDEL構築物が示される。制限酵素の認識部位の位置が示される。
図27は、中に連結カセットCE−FX−KDELが導入されているpBluescript SKベクターのマップである。
図28は、プラスミドpzp−FX−ERおよびpGREEN nos−kana−FX−ERで形質転換したクローンの制限分析であり、これにより、植物細胞中でのヒト第X因子のクローニングおよび発現に使用したカセット、およびプラスミドが示される。レーン1は、構築物pzp−FX−ERで形質転換され、その後、制限酵素で消化されたクローン3である。レーン2は、EcoR1とHindIIIで消化された後のクローン3である。レーン3は、構築物pzp−FX−ERで形質転換され、その後、制限酵素で消化されたクローン4である。レーン4は、EcoR1とHindIIIで消化された後のクローン4である。レーン5は、CaMV35S+ΩFX−ER発現カセットである。レーン6は、pGREEN nos−kana−FX−ERで形質転換され、その後、制限酵素で消化されたクローン3である。レーン7は、Asp718とXbaIで消化されたクローン3である。レーン8は、pGREEN nos−kana−FX−ERで形質転換され、その後、制限酵素で消化されたクローン8である。レーン9は、Asp718とXbaIで消化されたクローン8である。全ての形質転換されたクローンのCaMV35S+ΩFX−ER発現カセットのバンドに注目されたい。MW=分子量標準物。
図29には、CaMV35S+Ω、OCSターミネーターと、NPTII配列の間に第X因子配列が連結されている、pGREEN nos−kana−FX−ER構築物のTDNAが示される。制限酵素の認識部位の位置が示される。
図30には、多数の形質転換されたニンジン細胞株の細胞内容物のウェスタンブロット分析が示される。第X因子の発現は、精製されたポリクローナルウサギ抗ヒト第X因子IgG(Affinity Biologicals,Hamilton,Ontario,Canada)によってウェスタンブロット上で検出された。pGREEN−nos−kana−FX−ERで形質転換された株の中での第X因子の強い発現に留意されたい(レーン1および2)。MW=分子量標準物。
図31には、植物細胞中で発現させられた組み換え体ヒト第X因子の的確な切断が示される。エンドペプチダーゼであるフリン(これは、ヒト第X因子の軽鎖/重鎖のプロセシングのためのプロペプチドと一本鎖の除去に応答する)によって、活性なXaの大きさになるように植物細胞中で発現させられた組み換え体ヒト第X因子が的確に消化される(レーン4および5を参照のこと)。MW=分子量標準物。
図32は、植物細胞中で発現させられた組み換え体ヒト第X因子の触媒活性を示すグラフである。形質転換されたニンジン細胞に由来する細胞抽出物(●、▲、および■)と、形質転換されていない対照(+、*、および●)は、色素形成性物質であるペファクロム(Pefachrome)と反応させられ、生成物が分光光度計によってOD450nmでモニターされた。
図33には、PCRによる増幅後の、ヒトIfnβコード配列(矢印)の電気泳動による分離が示される。レーン1はifnKDEL配列(ERを標的とする)である。レーン2はifnSTOP配列である(アポプラストを標的とする)。MW=分子量標準物。
図34には、CE−K発現カセットを使用して大腸菌(E.coli)DH5αにクローニングされた、増幅されたヒトIfnβコード配列の電気泳動による分離が示される。ポジティブクローンが、CaMV35S正方向プライマーとターミネーター逆方向プライマーを使用する挿入断片のPCR分析によって選択された(図29を参照のこと)。レーン1〜7はポジティブクローンであり、CE−ifn−STOP挿入断片を示している。レーン「fx」はポジティブ対照のCE−fx−hisであり、これにはifn挿入断片は含まれていない。レーン「−DNA」はネガティブ対照のPCR反応であり、これにはDNAは含まれていない。
図35には、CE−K発現カセットを使用して大腸菌(E.coli)DH5αにクローニングされた、増幅されたヒトIfnβコード配列の電気泳動による分離が示される。ポジティブクローンが、CaMV35S+Ω正方向プライマーとOCSターミネーター逆方向プライマーを使用する挿入断片のPCR分析によって選択された(図37を参照のこと)。レーン1〜4および6はポジティブクローンであり、CE−ifn−KDEL挿入断片を示している。レーン5はヒトIfnβを発現しないクローンである。MW=分子量標準物。
図36には、ifnポジティブクローンの制限分析産物の電気泳動による分離が示される。左側のパネルには、CE−ifn−STOP挿入断片およびCE−ifn−KDEL挿入断片(矢印)を有しているポジティブクローンの、制限酵素EcoRI+SalIを使用した制限分析産物の電気泳動による分離が示される(レーン1〜5)。レーン1は、EcoRI+SalIで消化したCE−ifn−KDELポジティブクローン1である(図35を参照のこと)。レーン2は、EcoRI+SalIで消化したCE−ifn−KDELポジティブクローン2である(図35を参照のこと)。レーン3は、EcoRI+SalIで消化したCE−ifn−STOPポジティブクローン1である(図34を参照のこと)。レーン4は、EcoRI+SalIで消化したCE−ifn−STOPポジティブクローン2である(図34を参照のこと)。レーン5は、EcoRI+SalIで消化したCE−Fx(「ifn」挿入断片を含まない)である。MW=分子量標準物。右側のパネルには、CE−ifn−STOP挿入断片およびCE−ifn−KDEL挿入断片(矢印)を有しているポジティブクローンの、制限酵素KpnI+XbaIを使用した制限分析産物の電気泳動による分離が示される(レーン6〜9)。レーン6は、KpnI+XbaIで消化したCE−ifn−KDELポジティブクローン1である(図35を参照のこと)。レーン7は、制限酵素消化をしていないCE−ifn−KDELポジティブクローン2である(図35を参照のこと)。レーン8は、制限酵素消化をしていないCE−ifn−STOPポジティブクローン1である(図34を参照のこと)。レーン9は、KpnI+XbaIで消化したCE−ifn−STOPポジティブクローン1である(図34を参照のこと)。MW=分子量標準物。
図37には、CaMV35S+ΩとOCSターミネーター配列の間にヒトIfnβのコード配列が連結されている、連結させられたCE−ifn−KDEL構築物が示される。制限酵素の認識部位の位置が示される。
図38は、pzp−ifn−KDELプラスミドとpzp−ifn−STOPプラスミドの調製に使用されたpzp 111バイナリーベクターのマップであり、制限酵素認識部位が示される。
図39は、pzp−ifn−KDELプラスミドとpzp−ifn−STOPプラスミドを有しているアグロバクテリウムLB4404で形質転換されたニンジン細胞のクローンの中で発現させられた組み換え体ヒトIfnβの免疫検出を示すウェスタンブロットである。カルスが、抗生物質での選択によって寒天中の形質転換された細胞から増殖させられ、その後、数ヶ月間かけてそれぞれのプレートに移された。形質転換されたカルスの細胞内容物(レーン1〜10)が抽出され、PAGE上で分離させられ、ブロットされ、組み換え体ヒトinfβが、親和性によって精製されたウサギ抗インターフェロンβ抗体で検出された。MW=分子量標準物。St=ポジティブ対照:CHO細胞中で発現させられた3ngの組み換え体ヒトインターフェロンβ。
図40には、PCRによる増幅後の、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスのウイルスタンパク質2(VPII)をコードする配列(矢印)の電気泳動による分離が示される。レーン1、2、および3はVPII配列である。レーン4および5はネガティブ対照のPCR反応であり、それぞれ、DNAが含まれないもの、およびポリメラーゼが含まれないものである。MW1はλHEの分子量標準物であり、MW2は1bpのラダーの分子量標準物である。
図41には、CE−K発現カセットを使用して大腸菌(E.coli)DH5αにクローニングされた、増幅されたVPIIコード配列の電気泳動による分離が示される。ポジティブクローンが、CaMV35S+Ω正方向プライマーとOCSターミネーター逆方向プライマーを使用する挿入断片のPCR分析によって選択された(図37を参照のこと)。レーン1〜6は試験したクローンである。レーン2、3、および5は、VPII挿入断片を有しているポジティブクローンを示す。レーン7は、VPIIIのPCR産物であるポジティブ対照である。レーン8は、空のCEカセットのDNAを有しているPCR産物である。レーン9および10はネガティブ対照のPCR反応であり、それぞれ、DNAが含まれないもの、およびポリメラーゼが含まれないものである。M=分子量標準物。
図42は、CE−VPIIの調製に使用されたCEバイナリーベクターのマップであり、制限酵素認識部位が示される。
図43aおよび43bは、PAGE分析(43A)とウェスタンブロット(43B)であり、これらによって、pGA492−CE−VPIIプラスミドを有しているアグロバクテリウムLB4404で形質転換されたニンジン細胞のクローンの中で発現させられた組み換え体VPIIの電気泳動による分離と免疫検出が示される。カルスが、抗生物質での選択によって寒天中で形質転換された細胞から増殖させられ、その後、数ヶ月間かけてそれぞれのプレートに移された。形質転換されたカルスの細胞内容物(レーン2、3、5、6、7、10、11、13、14、および15)が抽出され、PAGE上で分離され、ブロットされ、組み換え体であるVPIIが、ニワトリ抗IBDV抗体で検出された(図43)。+=ポジティブ対照(VPIIタンパク質)。レーン1およびレーン9はVPII細胞懸濁物(形質転換事象の混合物)である。レーン4および12は、「空の」ベクターだけで形質転換されたネガティブ対照細胞であり、そしてレーン8および16は、形質転換されていないニンジン細胞の内容物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0118】
本発明は、バイオリアクターと発酵槽を含む、細胞および/または組織を純培養し、回収するためのデバイス、システム、および方法の発明である。デバイスは、使い捨てることができることが好ましいが、それでもなお、それが廃棄するまでに、複数回の連続する培養/回収のサイクルに連続して使用される場合もある。本発明はまた、細胞および組織の大量生産に使用可能なそのようなデバイスのバッテリーにも関する。
【0119】
本発明の好ましい実施形態によると、本発明は、上記の植物細胞培養物とともに使用されるように適応される。
【0120】
好ましくは、培養物は、完全な植物体を形成するように集められていない細胞を特徴とし、その結果、植物の少なくとも1つの生物学的構造は存在しない。所望により、そして好ましくは、培養物は、複数の種々のタイプの植物細胞を特徴としてもよいが、好ましくは、培養物は、特定のタイプの植物細胞を特徴とする。所望により、特定のタイプの植物細胞を特徴とする植物培養物を、複数の種々のタイプのそのような植物細胞から元来誘導することができることに留意されるべきである。本発明のデバイスおよび方法での使用に適している植物細胞培養物としては、植物の根細胞、アルファルファ細胞、タバコ細胞、およびタバコ細胞株の細胞に由来する植物細胞培養物が挙げられるが、これらに限定はされない。本明細書中で使用される場合は、タバコ細胞株の細胞は、本発明の方法にしたがって培養される前に、細胞として培養物中で増殖させられたタバコ細胞と定義される。確立されているタバコ細胞株の限定的ではない例は、タバコ(Nicotiana tabacum)L.cv Bright Yellow−2(BY−2)と、タバコ(Nicotiana tabacum)L.cv.Petit Havanaである。
【0121】
植物細胞は、所望により任意のタイプの植物細胞であり得るが、所望により、そして好ましくは、植物の根細胞(すなわち、植物の根から誘導された細胞、植物の根から得られた細胞、または植物の根にもともとは基づく細胞)であり、さらに好ましくは、以下からなる群より選択される植物の根細胞である:根用セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞。本明細書中で上記に記載され、そして以下の実施例のセクションに詳細に記載されるように、植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞であり得る。所望により、そして好ましくは、植物細胞は懸濁液の中で増殖させられる。植物細胞は、所望により、植物の葉細胞または植物の芽細胞であってもよい。これらはそれぞれ、植物の葉または植物の芽に由来する細胞、植物の葉または植物の芽から得られた細胞、あるいは、植物の葉または植物の芽に元来基づく細胞である。
【0122】
好ましい実施形態においては、植物の根細胞は、ニンジン細胞である。本発明の形質転換されたニンジン細胞は懸濁液の中で増殖させられることが好ましいことに留意されるべきである。上記に、および以下の実施例に記載されるように、これらの細胞は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞で形質転換された。本発明の好ましい実施形態によると、任意の適切なタイプの細菌細胞は、所望により、そのような形質転換のために使用することができるが、好ましくは、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞が、以下に記載される好ましい植物宿主細胞を感染させるために使用される。
【0123】
アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞での宿主細胞の形質転換により、宿主細胞を、組み換え体タンパク質を発現させることができる本発明のデバイスの中で、本発明の方法によって培養物中で増殖させることができることは、当業者には明らかであろう。好ましい実施形態においては、組み換え体タンパク質は異種タンパク質である。なお別の好ましい実施形態においては、組み換え体タンパク質はウイルスタンパク質、真核生物タンパク質、および/または原核生物タンパク質である。本発明の形質転換された細胞培養物もまた、キメラポリペプチドを発現することができる。本明細書中で使用される場合は、キメラポリペプチドは、少なくとも2つの個体の同一ではない遺伝子に由来するコード配列を含む融合させられたコード配列を有するポリヌクレオチドによってコードされる組み換え体であるポリペプチドまたはタンパク質として定義される。発現させられたポリペプチドは、好ましくは、真核生物起源の植物以外のタンパク質、特に、哺乳動物起源のものであり、抗体分子、ヒトの血清アルブミン(Dugaiczyk ら.,(1982)PNAS USA 79:71−75(引用により本明細書中に組み入れられる))、エリスロポエチン、他の治療用分子、または血液の代用物、栄養価の高いタンパク質から選択されることができ、そしてこれらの任意のものの修飾された形態、例えば、1つ以上のアミノ酸の挿入、欠失、置換、および/または付加を含むものでもあることができる。(コード配列は、好ましくは、コドン使用の原則によると宿主種においては稀であるコドンに交換するように修飾されることが好ましい)。本発明のデバイスの中で、本発明の方法によって増殖させられた宿主細胞の中で発現させることができるこのような異種タンパク質の例として、リソソーム酵素、例えば、グルコセレブロシド、サイトカイン、および成長因子、例えば、ヒトインターフェロンβ、血清タンパク質、例えば、凝固因子、例えば、ヒト凝固因子X、細菌およびウイルスのタンパク質(例えば、VPII)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0124】
本発明の好ましい実施形態によると、植物細胞の培養のためのデバイスが提供され、これには、植物細胞を培養するための使い捨ての容器が含まれる。使い捨ての容器は、少なくとも1回のさらに連続する培養/回収サイクルに連続して使用することができることが好ましい。その結果、「使い捨て」は、1回の培養/回収サイクルのため容器だけには限定されない。より好ましくは、デバイスにはさらに、再利用可能な回収装置が含まれ、これには、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも所望の部分の回収が可能であり、所望の場合には、それによって、デバイスを、少なくとも1回のさらに連続する培養/回収サイクルに連続して使用できるようにする、流量調整器が含まれる。所望により、そして好ましくは、流量調整器は、細胞および/または組織を含む培地の残りの滅菌性を維持し、その結果、先に回収されたサイクルによる残りである培地の残りは、次の培養および回収サイクルのための接種材料とされる。
【0125】
本発明の任意の実施形態によると、本発明のデバイス、システム、および方法は、哺乳動物細胞の培養のために、好ましくは、懸濁液の中で哺乳動物細胞を培養するために適応させられる。当業者であれば、哺乳動物細胞の培養のために、本明細書中に提供されるプロトコールおよびデバイスについての記載を容易に適応させることができる。
【0126】
1つの好ましい実施形態においては、本発明の宿主細胞は、真核生物細胞または原核生物細胞であり得る。
【0127】
好ましい実施形態においては、本発明の宿主細胞は原核生物細胞であり、好ましくは、細菌細胞である。別の実施形態においては、宿主細胞は真核生物細胞であり、例えば、上記のような植物細胞、または哺乳動物細胞である。
【0128】
開示され、そして記載される本発明が、本明細書中に開示される特定の実施例、処理工程、および材料に限定されず、そのような処理工程や材料を幾らか変更することができることが理解される。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびその等価物によってのみ限定されるので、本明細書中で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載する目的のためにだけ使用され、限定するようには意図されないこともまた理解される。
【0129】
本明細書と、以下の特許請求の範囲を通じて、状況がそれ以外を必要としない限りにおいては、用語「含む(comprise)」と、「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」のようなバリエーションは、示される整数値または工程、あるいは、複数の整数値または複数の工程のグループが含まれることを暗に意味すると理解されるが、任意の他の整数値または工程、あるいは、複数の整数値または複数の工程のグループを排除するようには理解されてはならない。
【0130】
本明細書と、添付の特許請求の範囲において使用される場合には、単数形「a」、「an」、および「the」には、その内容が他の場所で明確に示されていない限りは、複数形についての言及が含まれることに留意されなければならない。
【0131】
以下の実施例は、本発明の複数の態様の実施において本発明者らによって使用された代表的な技術である。これらの技術は、本発明の実施についての好ましい実施形態の例であり、当業者であれば、本開示を参照して、多数の改変を本発明の精神および意図される範囲から逸脱することなく行うことができると認識するであろうことが理解されるべきである。
【実施例1】
【0132】
デバイスの説明
本発明の原理および操作は、図面と添付される記載を参照してさらに理解され得る。図1〜9は、本発明のデバイスの種々の例示的な実施形態の模式図を示す。
【0133】
本発明のデバイスは、以下にさらに詳細に記載されるように、所望により、製造の間、および/または使用の前の、全ての構成要素を特徴とすることに留意されるべきである。あるいは、このような構成要素は、これらの構成要素を便利に組み合わせることによって使用時に作成され得る。例えば、任意の1つ以上の構成要素が、所望により、使用時に完全なデバイスを生じるようにデバイスに付加される場合がある。
【0134】
ここで図面に言及すると、図1、2、および3はそれぞれ、一般的に設計されたデバイス(10)の第1、第2、および第3の実施形態に対応する。これらには、上端(26)と下端(28)を有する透明および/または半透明の容器(20)が含まれる。容器(20)には、側壁(22)が含まれ、これは好ましくは、実質的に円柱状であるか、または少なくとも丸い形状であることを特徴とするが、他の形状、例えば、長方形または多面体が適している場合もある。好ましくは、下端(28)は、その場所での沈殿を最小にするように適切に成型される。例えば、第1の実施形態においては、下端(28)は、実質的に円錐台型(frustroconical)であるか、または少なくとも、上向きに傾斜している壁を含む。第2の実施形態においては、下端(28)には、1つの上向きに傾斜している壁(29)が含まれる。第3の実施形態においては、下端(28)は、実質的には円柱状であるか、あるいは凸状である。上記の下端(28)の立体構造は、下端(28)近くの出口(76)(本明細書中で以降で記載される)の位置と組み合わせて、その場所での沈殿を効率よく最小にする、下端(28)にある容器の内容物の混合動作を誘導するための、出口(76)より空気が供給されることを可能にする。それにもかかわらず、本発明の他の実施形態においては、下端が実質的に平坦である場合もある。容器(20)には、内部充填容量(30)が含まれ、これは通常、5リットルから50リットルの間である。しかし、デバイス(10)は、その代わりに、50リットルを超えるか、または5リットルよりも少ない内部容量を有する場合もある。内部容量(30)は、適切な滅菌の生物学的細胞および/または組織培養培地(65)、ならびに/あるいは、純培養の接種材料(60)、ならびに/あるいは、滅菌の空気、ならびに/あるいは、必要な他の滅菌の添加物(例えば、本明細書中で以下に記載されるような抗生物質または殺菌剤)で満たされ得る。上記の実施形態においては、容器(20)は、実質的には剛体ではなく、好ましくは、例えば、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンとナイロン、PVCとEVAの共重合体を含む群より選択される、剛体ではないプラスチック材料製である。所望により、容器(20)は、1層以上の材料の積層体から作られている場合もある。
【0135】
図3に第3の実施形態について示されるように、容器(20)には、所望により、機械的強度を増大させ、そして容器の壁からの内容物の汚染のリスクを最小にするために、2つの同軸の外壁(24)が含まれてもよい。
【0136】
第1、第2、および第3の実施形態においては、デバイス(10)は、好気的な使用のためのデバイスである。したがって、容器(20)にはさらに、少なくとも1つの空気吸入口の開口部(72)を通じて培養培地(65)の中に気泡(70)の形態で滅菌空気を導入するための、少なくとも1つの空気吸入口が含まれる。上記の実施形態においては、空気吸入口には、適切な空気の供給源のために接続することができ(図示せず)、入口開口部(72)から下端の底(28)から距離d1にある内部容器(20)の位置に伸びる、少なくとも1つの管(74)が含まれる。この場合、d1は、通常およそ1cmであるが、1cmよりも大きくても、また1cmよりも小さくてもよい。管(74)はシリコン製であっても、また、他の適切なプラスチック材料製であってもよく、弾力性があることが好ましい。したがって、管(74)には、必要とされる平均直径の気泡(70)を生じるために適切な直径の空気吹き出し口(76)が含まれる。これらの気泡は、培地(65)だけにエアレーションするのではなく、容器の内容物を混合する役割も果たし、それによって、本明細書中で先に記載したように、下端(28)での沈殿を十分に小さくする。気体入口から送られる気泡の大きさは、デバイスの用途に応じて変化し、1mmよりも十分に小さい大きさから、10mmを超える直径までの範囲である。いくつかの場合には、特に、植物細胞に関しては、小さい気泡によっては細胞壁が実際に損傷を受ける場合があり、4mmを下回らない平均の気泡の直径によって、この起こりうる問題点が実質的に克服される。他の場合においては、さらに小さな気泡が有利であり、気泡の大きさを小さくするために噴霧器が空気吹き出し口(76)で使用される場合がある。さらに他の場合には、10mmまたはさらには、それより大きい直径の気泡が最も適している場合もある。所望により、出口(76)は、鎖(図示せず)または当該分野で公知の他の手段によって、下端(28)の位置に固定される場合もある。
【0137】
他の実施形態においては、デバイス(10)は嫌気的な使用のためのデバイスであり、したがって、空気吸入口は含まれない。
【0138】
本発明の第4および第5の実施形態においては、それぞれ図5および図6を参照して、デバイス(10)にもまた、上端(26)と下端(28)を有する透明および/または半透明の容器(20)が含まれる。容器(20)には、側壁(22)が含まれ、これは好ましくは、本発明の第4の実施形態について示されるように、断面が実質的に長方形であり、長さ対幅の比が大きい(図5)。したがって、第4の実施形態の容器(20)は、実質的に箱型であり、典型的には、130cm−70cm−10cmの高さ−長さ−幅の寸法をそれぞれ有する。デバイスの長さに対する高さの比は、例えば、約1、および約3であり、好ましくは、約1.85である。デバイスの幅に対する高さの比は、通常は、5から約30の間であり、好ましくは、約13である。
【0139】
あるいは、図6に示されるように、本発明の第5の実施形態に関して、側壁(22)には、実質的にアコーディオン型の水平方向の断面が含まれる場合があり、これは、容器(20)の長さにそって谷(222)が挿入されている連なった平行な一連の隆起(221)を有しており、これによって、互いに流体経路において一連の隣接しているチャンバー(223)との連なりが定義される。所望により、第5の実施形態の側壁(22)にはさらに、複数の垂直方向のウェブ(224)が含まれてもよい。これはそれぞれ、向かいあっている谷を内部で繋いでおり、それによって、隣接しているチャンバー(223)からそれぞれのチャンバー(223)の少なくとも垂直部分を分離させている。ウェブ(224)は、容器(20)に対して大きな構造上の完全性を提供するだけではなく、より小さい容量となるように容器(20)を効率よく分け、循環の増強の利点を提供する。言い換えると、細胞の循環を促進することにおける気泡の有効性は、より大きな等容量よりも、より小さい閉じられた容量においてはるかに高い。実際、正比例するより容量の大きい場合の気泡の流速が、同じ組み合わせた培地容量を有している多数のより小さい容量よりも、大きな容量の空気の循環を促進するためには必要である。第4および第5の実施形態においては、下端(28)な実質的には半円柱状であるか、また、凸状であるか、実質的に平坦であるか、または任意の他の適切な形状である場合もある。第4および第5の実施形態においては、容器(20)には、内部充填容量(30)が含まれ、これは通常、10リットルから100リットルの間である。しかし、デバイス(10)は、その代わりに、100リットルを超える、そしてまた、200リットルを超える内部容量を有する場合もある。内部容量(30)は、適切な滅菌の生物学的細胞および/または組織培養培地(65)、ならびに/あるいは、純培養の接種材料(60)、ならびに/あるいは、滅菌の空気、ならびに/あるいは、必要な他の滅菌の添加物(例えば、本明細書中で以下に記載されるような抗生物質または殺菌剤)で満たされ得る。上記の第4および第5の実施形態においては、容器(20)は、実質的には剛体ではなく、好ましくは、例えば、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンとナイロン、PVCとEVAの共重合体を含む群より選択される、剛体ではないプラスチック材料製である。例えば、そして所望により、容器(20)は、1層より多い材料の積層体から作られてもよい。
【0140】
第1、第2、および第3の実施形態と同様に、第4および第5の実施形態のデバイス(10)もまた、好気的な使用のためのデバイスでもある。第4および第5の実施形態においては、容器(20)にはさらに、複数の空気吸入口の開口部(72)を通じて培養培地(65)の中に気泡(70)の形態で滅菌空気を導入するための、少なくとも1つの空気吸入口が含まれる。第4および第5の実施形態においては、空気吸入口には、適切な空気の供給源に接続することができ(図示せず)、複数の第2の吸気管(741)に繋がる、少なくとも1つの空気吸入口吸気管(74)が含まれる。それぞれの第2の吸気管(741)は、入口開口部(72)から下端(28)の底からの距離d1にある容器(20)の内部位置に伸びる。この場合、d1は、通常およそ1cmであるが、1cmよりも大きい場合も、また1cmよりも小さい場合もある。複数の入口開口部(72)は、適切な間隔d5(通常は、約5cmから約25cmの間、好ましくは、10cm)を隔てられて互いに水平に配置される。少なくとも1つの空気吸入口吸気管(74)および第2の吸気管(741)はシリコン製である場合も、また、他の適切なプラスチック製である場合もあり、弾力性があることが好ましい。したがって、第2の吸気管(741)のそれぞれには、必要とされる平均直径の気泡(70)を生じるために適切な直径の空気吹き出し口(76)が含まれる。これらの気泡は、培地(65)にエアレーションするだけではなく、容器の内容物を混合する役割も果たし、それによって、本明細書中で先に記載したように、下端(28)での沈殿を十分に最小にする。気体入口から送られる気泡の大きさは、デバイスの用途に応じて様々であり、1mmよりも十分に小さい大きさから、10mmを超える直径までの範囲である。いくつかの場合には、特に、植物細胞に関しては、小さい気泡によっては細胞壁が実際に損傷を受ける場合があり、4mmを下回らない気泡の平均直径によって、この起こりうる問題点が実質的に克服される。他の場合においては、さらに小さな気泡が有利であり、気泡の大きさを小さくするために噴霧器が少なくとも1つの空気吹き出し口(76)で使用される場合がある。さらに他の場合には、10mmの直径、またはさらにはそれより大きい直径の気泡が最適である場合もある。所望により、それぞれの出口(76)は、鎖(図示せず)または当該分野で公知の別の機構を使用することによって、下端(28)の位置に固定されてもよい。
【0141】
本発明の第4および第5の実施形態は、比較的多量の接種材料を処理するために特別に適応させられる。
【0142】
上記の実施形態の全てにおいて、空気吸入口には、所望により、容器(20)内の空気圧をモニターするための適切な圧力ゲージが含まれる。好ましくは、圧力ゲージは、その中の圧力が規定値を超えた場合に容器(20)への空気の供給を遮断するために存在させることができる、適切な遮断バルブに動作可能であるように接続されるか、あるいは圧力ゲージに遮断バルブが含まれる。このようなシステムは、排気ガスの排出を遮断する場合にも有用であり、例えば、これは別の方法で、容器(20)内の圧力を高め、最終的にそれを破裂させるように導くことができる。
【0143】
容器(20)にはさらに、容器(20)から過剰な空気および/または排ガスを除去するための少なくとも1つの空気吹き出し口が含まれる。これらの気体は、容器(20)の上端(26)に集まる。空気吹き出し口には、下端(28)の底からの距離d4の位置にある上端(26)に、または上端の近くに入口(96)を有する管が含まれ得る。この場合、d4は、例えば、第1、第2、および第3の実施形態については通常、90cmである。管(90)は、シリコン製であっても、また、他の適切なプラスチック製であってもよく、弾力性があることが好ましい。管(90)は、適切な排気装置(図示せず)に対して既知の機構によって接続することができる。排気手段にはさらに、遮断装置、例えば、適切な一方向のバルブまたはフィルター(通常は、0.2マイクロメートルのフィルター)が、例えば、空気吹き出し口からの容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐために、含まれる。上端(26)の少なくとも一部は、入口(96)から取り出されるまで排気ガスを集めることを容易にするために適切な立体構造となっていてもよい。したがって、第1および第2の実施形態においては、上端(26)の上部は、入口(96)の位置の近くの断面積が小さくなるように徐々に細くなっている。あるいは、上端(26)の少なくとも上部は、同様に、実質的に円錐台形または凸状である場合もある。第4および第5の実施形態においては、上端(26)は凸状であるか、または比較的平坦であり、例えば、入口(96)は、上端(26)の水平方向の末端で、またはその付近に配置されることが便利である場合がある。
【0144】
容器(20)にはさらに、容器内に接種材料および/または培養培地および/または添加物を導入するための添加物入口が含まれる。上記の実施形態に加えて、添加物入口には、下端(28)の底から距離d3の位置に、好ましくは、上端(26)に、または上端付近に出口(86)を有する適切な管(80)が含まれる。この場合、例えば、第1の実施形態についてのd3は、通常、約68cmである。管(80)は、シリコン製であっても、また、他の適切なプラスチック製であってもよく、弾力性があることが好ましい。管(80)は、接種材料および/または培養培地および/または添加物の適切な滅菌された供給源に、既知の接続装置によって接続することができる。添加物入口にはさらに、添加物入口からの容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐための遮断装置が含まれる。これらの実施形態においては、適切な一方向のバルブまたはフィルター(84)が含まれる。通常、容器(20)の内容物のレベルは、出口(86)のレベルよりも低く維持される。
【0145】
容器(20)にはさらに、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも所望の第1の部分を回収するための、所望の場合には、それによって、デバイスを、少なくとも1回のその後の培養サイクルに連続して使用できるようにするための、再利用可能な回収装置が含まれる。細胞および/または組織を含む培地の残っている第2の部分は、次の培養および回収サイクルの接種材料となる。この場合、培養培地および/または必要とされる添加物が提供される。回収装置はまた、容器に最初の容量の接種材料を導入するため、さらには、回収される材料がそこを通って容器の外に流れ出ることを可能にするためにも、使用することができる。
【0146】
上記の実施形態においては、回収装置には、容器(20)の内部容量(30)とつなげられた入口(52)を有する管(50)および容器(20)の外部の管(56)が含まれる。管(50)は、シリコン製であっても、また、他の適切なプラスチック製であってもよく、弾力性があることが好ましい。管(50)は、それを通って流れる回収される細胞および/または組織が、細い管を詰まらせる可能性がある細胞粒子の塊を含む場合があるので、比較的大きな直径、通常は、約2cmの管である。好ましくは、入口(52)は、容器(20)の下端(28)付近にあり、その結果、入口(52)よりも上にある容器内容物しか回収されない。したがって、それぞれの回収サイクルの終了時点で、入口(52)(これは、下端(28)の底からの距離d2の位置にある)のレベル(51)より下のレベルまでの、細胞および/または組織を含む培地の第2の部分が、容器(20)の下端(28)に自動的に残る。d2は第1の実施形態については約25cmであるが、通常は、必ずしもそうではない。
【0147】
所望により、そして好ましくは、d2は容器(20)の容量にしたがって選択される。その結果、残る培地と細胞および/または組織の部分は、容器(20)の容量について所望の割合である。また、所望により、そして好ましくは、細胞および/または組織を含む培養培地の試料を取り出すためのさらなるサンプリング口もまた提供される場合がある(図示せず)。サンプリング口は好ましくは、入口と回収のための管を特徴とし、これは、より好ましくは、回収装置よりも上に配置される。他の口もまた所望により提供される場合がある。
【0148】
あるいは、入口(52)は、容器中(20)中のより低い位置に配置される場合もある。この場合、操作者は細胞および/または組織を含む培地の適切な部分を、培地と、細胞および/または組織の所望の部分を回収した後に、容器(20)の中に残すことを、所望により手作業によって確実に行うことができる。あるいは、培地の全てを手作業によって回収することもできる。回収装置にはさらに、閉鎖するため、および、回収装置から容器(20)の内部へ、または容器の外へと物質を流すための、適切なバルブ(54)および/または無菌の連結装置(55)のような流量調整器が含まれる。通常、無菌の連結装置(55)は、ステンレス鋼製であり、その多くの例が当該分野で公知である。好ましくは、回収装置にはさらに、回収後の回収装置から容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐための汚染防止装置が含まれる。
【0149】
第1、第2、第3、第4、および第5の実施形態においては、汚染防止装置には流体トラップ(300)が含まれる。流体トラップ(300)は、例えば、図1(b)において第1の実施形態について示されるように、好ましくは、実質的にU型の中空管の形態であり、その一方のアームは、回収装置の出口(56)に取り付けられ、もう一方のアームは外部開口部(58)を有している。回収された細胞/組織は、回収装置、流体トラップ(300)、および開口部(58)を通じてデバイス(10)の外に流され、その後、本明細書中で後に記載されるような適切な貯蔵タンクに回収される。回収が終了した後、空気を、開口部(56)を通じて回収装置の中に導入することができ、これには、回収された物質の幾らかの逆流が伴い、これによりデバイス内に汚染物質が導入される可能性がある。U管(300)は、開口部(56)の下流で回収された物質(すなわち、細胞/組織)の一部をトラップし、それによって空気、および可能性のある汚染物質が回収装置から進入することを防ぐことによって、この起こりうる問題点を実質的に克服する。一旦、回収装置がバルブ(54)によって閉鎖されると、U管(300)は取り外され、通常は、次の使用のために滅菌されるか、または廃棄される。U管(300)は、ステンレス鋼製であっても、また他の適切な硬質プラスチック材料製であってもよい。上記の実施形態においては、細胞および/または組織を含む培地の残っている第2の部分には、通常、もとの培養培地および接種材料の容量の10%から20%が含まれるが、第2の部分は、必要に応じて、もとの容量の20%よりも大きい場合も、45%まで、またはそれ以上である場合も、あるいは、10%未満である場合も、2.5%未満である場合もある。
【0150】
デバイス(10)には、所望によりさらに、吊り下げ型の支持構造体に対してこのデバイスを取り付けるための取り付け器具が含まれる。上記の実施形態においては、支持構造体には、棒(100)(図1、2、5)または輪(図示せず)が含まれる場合がある。第3の実施形態においては、取り付け器具にはフック(25)が含まれる場合があり、フックは容器(20)の上端(26)に一体として取り付けられていることが好ましい。あるいは、図1および2にそれぞれ第1および第2の実施形態について示されているように、取り付け器具には、好ましくは弾力性があり、適切な材質(通常は、容器(20)に使用されているものと同じ材質)の実質的に円柱状の輪(27)が含まれてもよく、これは、デバイスの上端(26)に一体化されているか、または適切に取り付けられている(例えば、溶融結合によって)かのいずれかである。あるいは、図5に第4の実施形態について示されるように、取り付け器具には、容器(20)の側壁(22)に作られた、好ましくは弾力性がある、実質的に円柱状の隙間(227)が含まれてもよい。これは、その深さ全体にまで伸びる。第5の実施形態は、所望により、デバイス(10)の上端(26)に一体化されているか、または上端に好ましくは適切に取り付けられている連なったフック(図示せず)によって支持されてもよい。
【0151】
所望により、容器は適切な支持カバーの中に支持されてもよい。例えば、第4の実施形態においては、デバイス(10)は、わずかに膨張した場合に、少なくとも側壁(22)と下端(28)の基準外部形状を補うような大きさであり、そのような形状の内部容量を含む、適切な外部支持構造体からなる支持カバーの中に支持されてもよい。外部支持構造体は実質的に連続しており、デバイス(10)の入口および出口にアクセスするための開口部と、さらには、デバイス(10)が支持カバーの中に挿入されること、またはそれから取り出されることを可能にするために、側部、上部、または下部のいずれかに適切な扉または開口部を有している。デバイスの基準形状は、それがその設計容量に膨張した場合の、デバイス(10)の形状と定義され得る。この時点では、その形状は、名目上は設計された形状であり、したがって、その内部容量は、名目上はその設計容積である。しかし、弾力性のある壁を含むこのようなデバイスに、実際に液体培地が充填されると、デバイスの形状は基準形状から外れる傾向にあり、デバイスの底が優先的に膨張してこの部分の圧力が最大になり、壁の材質の応力が相当増大する。例えば、記載されたような、必要とされる構造特性を有している支持カバーはまた、デバイスの形状を維持することを助け、壁の応力を低下させて、例えば、側壁(22)の破裂のリスクを小さくし、それによってそれぞれのデバイスのより長い作業寿命を確保する。
【0152】
あるいは、容器は、適切な支持構造体の中に支持されてもよい。例えば、本発明の第4および第5の実施形態においては、デバイス(10)は、例えば、図9に示されるように、一対の向かい合ったフレーム(405)、(406)を含む支持構造体(400)の中に支持されてもよい。それぞれのフレーム(405)、(406)は、通常、長方形であり、これには、実質的に平行であり、水平方向の上部および下部載荷部材(410)および(420)がそれぞれ含まれている。これらは、載荷部材(410)、(420)の少なくともそれぞれの長手方向の先端にあり、上部および下部載荷部材(410)および(420)のそれぞれに対して一体化されているかまたは別な方法で適切に取り付けられている、複数の実質的に平行な垂直の支持部材(430)によって間隔を隔てられている。それぞれのフレーム(405)および(406)の下部支持部材(420)には、容器(20)の下端(28)の対応する部分を受け止め、支持するように適応させられた適切な形状の下部支持体が含まれる。通常は、下部支持体は、向かい合ったフレームの方向に、それぞれの下部支持部材(420)から突出する適切に成型されたプラットフォームの形態をとり得る。あるいは、下部支持体は向かい合ったフレームの方向に、下部支持部材(420)のそれぞれから突出する複数の適切に成型されたタブ(460)の形態であってもよい。フレーム(405)、(406)は、戦略的に配置された間隔を隔てるための棒(450)によって互いに間隔を隔てられている。その結果、容器(20)は、支持構造体(400)から比較的容易に取り出すことができ、新しい容器(20)をその中にうまく、すなわち、支持フレーム(400)を分解する必要なく入れることができる。間隔を隔てるための棒(450)は、フレーム(405)、(406)に対して、例えば、溶融結合によって、一体化するように取り付けることができる。しかし、好ましくは、間隔を隔てるための棒(450)は、フレーム(405)、(406)に対して、取り外すことができるように取り付けられ、その結果、フレーム(405)、(406)は互いに分離することができ、また、それによって、フレーム(405)、(406)を接続するための異なる大きさの間隔を隔てるための棒を使用でき、これにより、支持構造体(400)を、広範囲の種々の幅を有している容器(20)とともに使用できるようにする。所望により、そして好ましくは、フレーム(405)、(406)にはそれぞれ、少なくとも1つの内部仕切り(470)が含まれる。内部仕切り(470)は、向かい合わせられたフレームの方向に、それぞれのフレーム(405)、(406)から突出する垂直のウェブの形態をとり得、これは、予め決定された位置に側壁(22)に対して押し付けるように作用する。その結果、内部仕切り(470)の向かい合わせられた対は、容器(20)の幅を予め決定された位置に効率よく減少させ、それによって、隣接している向かい合った内部仕切り(470)の対との間に、例えば、容器(20)の内部空間(30)の区切り、または簡単な区切り(semi partitioning)が作られる。したがって、内部仕切り(470)は、通常、第5の実施形態(図6を参照のこと)の側壁(22)と似ている形状になるように、第4の実施形態(図5を参照のこと)の容器(20)の側壁(22)を変形させることができる。もちろん、本発明の第5の実施形態の容器(20)と共に使用される場合には、内部仕切り(470)は、側壁(22)の谷(222)とかみ合うように、フレーム(405)、(406)の上に配置され、したがって、容器(29)の形状の維持に特に有用である。したがって、それぞれのフレーム上の隣接する内部仕切り(470)は、互いに一定の距離(d5)を隔てて配置されることが有利である。好ましくは、内部仕切り(470)には、適切な上部支柱と下部支柱(476)、(474)と向かい合わせられたフレームに向かう方向で、それぞれ、上部支持部材および下部支持部材(410)、(420)から間隔を隔てられた、適切な実質的に垂直な部材(472)が含まれる。したがって、支持構造体F(400)は、容器(20)の構造上の支持を提供するだけではなく、特に、第4および第5の実施形態については、これはまた、空気吸入口、空気吹き出し口、回収装置、および添加物入口のそれぞれがそこを通過することを可能にするための、積荷部材のそれぞれの間に多くの開かれた空間をも提供する。所望により、支持構造体(400)には、例えば、工場の環境で容器(20)の運搬を容易にするためのローラーまたはキャスター(480)が含まれてもよい。
【0153】
容器(20)は、所望により、上記に示したように、予め決定された継目に沿って、適切な材質の2枚の適切なシートを溶融結合することによって形成されてもよい。例えば、第1および第2の実施形態については、材質の2つのシート(200)をほぼ延長された形の長方形の形状に切断し、互いに重ね合わせることができる(図4)。その後、シートは2つのより長い側部の周囲(205)および(206)に沿って、そしてより短い方の側部の周囲(210)に沿って継目を生じるように、当該分野で周知の様式で互いに溶融結合される。容器(20)の上端に継目(220)が形成されるように、再び平行に、内向きに変えられる。溶融結合により、長いほうの側部に沿って継目(207)と(208)が合わせられ、これらの平行する短いほうの末端継目(210)と(220)の間が合わせられる。(210)および(220)は、別の方法で切断することができ、これによって、材質(20)の輪を残すことができる。容器(20)の底部(28)は、2つの傾斜している継目線(230)および(240)に沿ってシートの残っている短いほうの末端を溶融結合することによって形成され、長いほうの側部の継目(205)および(206)から相互に集まる。所望により、2つの傾斜している継目線(230)および(240)は、長いほうの側部の継目(205)および(206)にほぼ直交する別の溶融結合された継目線(260)によって頂上部分の上でつなげられてもよい。2枚のシートを互いに溶融結合する前に、硬質プラスチックの突起(270)、(290)、(280)、および(250)が、空気吸入口、空気吹き出し口、添加物入口、回収装置にそれぞれ対応する位置に溶融結合させられ得る。これらの突起は、対応する入口および出口のそれぞれについて、適切な機械的な取り付け点を提供する。本発明の第3、第4、および第5の実施形態は、実質的に上記に記載されているような、第1および第2の実施形態と同様の様式で、必要な変更を加えて、製造することができる。
【0154】
全ての実施形態において、デバイス(10)は、生物学的に適合し、容器を最初に使用する前に滅菌することができる材質から作られる。
【実施例2】
【0155】
システムの説明
本発明はまた、細胞および/または組織を純培養し、回収するための使い捨てのデバイスのバッテリーにも関する。ここでは、複数のこれらのデバイスのそれぞれは、本明細書中で上記に定義され、その第1から第5の実施形態を参照して記載された、デバイス(10)と構造的に、また操作上も類似している。
【0156】
図10に関して、バッテリー(500)には、第1から第5の実施形態のいずれか1つに関して本明細書中で上記に記載された、複数のデバイス(10)が含まれる。これらは、例えば、取り付け器具または支持構造体(400)を有している1つのフレームまたは複数のフレーム(図示せず)に支えられる。通常は、バッテリー(500)は、多数のグループに分けることができ、それぞれのグループには多数のデバイス(10)が含まれる。
【0157】
バッテリー(500)の好ましい実施形態においては、それぞれのグループのデバイス(10)の空気吸入口は相互に接続されている。したがって、グループのそれぞれのデバイス(10)の空気吸入口吸気管(74)は、無菌の接続装置(175)と共に提供される自由末端(170)を有している共通の管(174)に接続される。滅菌された空気は、1つ以上のフィルターのような適切な滅菌装置または遮断装置(110)を有している適切なエアーコンプレッサー(130)によって提供される。コンプレッサー(130)には、共通の管(174)の自由末端にある無菌の接続装置(175)に対して通常は接続することができる、無菌の接続装置(176)をその自由末端に有している供給管(101)が含まれる。この接続は、滅菌条件を接続の間中維持することを確実にするために、可動式の滅菌フード(380)の中で、それぞれの増殖/回収サイクルの実行の開始時に行われる。滅菌のフード(380)により、実質的に滅菌の条件下での、様々な供給、例えば、空気、培地、接種材料、および回収された細胞のデバイス(10)のグループへの供給、またはデバイスからの供給を接続するための、簡単であり比較的コストの低いシステムが提供される。同様に、増殖/回収サイクルのそれぞれの実行の最後に、接続装置(175)および(176)は滅菌のフード(380)の中で接続をはずされ、使用されたデバイスは廃棄される。これによって、コンプレッサーの末端の接続装置(175)を、デバイスの新しいグループの接続装置(176)に接続することができるようになる。滅菌された空気は、通常は連続して、あるいは、予め決定されたパルスでそれぞれの培養サイクルの間に提供される。
【0158】
バッテリー(500)の好ましい実施形態においては、それぞれのデバイス(10)からの過剰な空気および/または排ガスは、それぞれの対応する空気吹き出し口(90)に適切に接続された共通の管(290)を通じてから大気中に出される。共通の管(290)は、デバイス(10)内に汚染物質が流入することを防ぐための1つ以上のフィルターのような適切な汚染防止装置(210)と共に提供される。あるいは、それぞれのデバイス(10)の空気吹き出し口(90)は、別々に大気中に出るようにされ、好ましくは、デバイス(10)内への汚染物質の流入を実質的に防ぐ適切なフィルターを介して出される。
【0159】
培地および添加物は、1つ以上の保持タンク(340)に含められる。例えば、微量元素、マクロ要素、およびビタミンは、異なるタンクに保持することができ、添加物(例えば、抗生物質および抗菌剤)もまた、さらに別のタンクに保持することができる。それぞれのタンクに取り付けられたポンプ(345)により、所望の相対的な割合の培地および/または添加物のそれぞれの成分を、静的ミキサー(350)に対して予め決定された制御可能な流速で送ることができる。しかし、水−−蒸留されたか、または適切に濾過され、そして精製された−−は、適切な供給源(360)から、好ましくは適切なポンプ(365)の助けによって流される(図10)。ポンプ(345)および(365)の流速を調節することにより、デバイス(10)に送られる、利用することができる培地、さらには添加物の濃度を制御することができる。水と混合された培地および/または添加物は、その後、その自由末端(390)としての無菌の接続装置を有している、フィルター(310)および供給管(370)を介して、滅菌条件下で、静的ミキサー(350)から供給することができる。
【0160】
バッテリー(500)の好ましい実施形態においては、デバイスのグループのそれぞれ対応するデバイス(10)の添加物管(80)の入口は、共通の管(180)を介して相互に接続され、共通の管には、その自由末端に、共通の滅菌の接続装置(376)が含まれている。共通の滅菌の接続装置(376)は、その後、滅菌のフード(380)の中で、培地および添加物管(370)の自由末端(390)で無菌の接続装置(375)に接続することができる。これにより、バッテリーの、またはグループのそれぞれのデバイス(10)を、培地および添加物を供給することができる。デバイス(10)の寿命の最後であり、その廃棄の前には、滅菌の接続装置(375)および(376)は、滅菌のフードの中で接続をはずされる。無菌の滅菌装置(375)は、その後、次の培養/回収サイクルの実行のための準備として、バッテリーの新しいデバイス(10)の次の滅菌されたグループの新しい無菌の接続装置(376)に簡単に接続される。
【0161】
滅菌のフード(380)はまた、所望により、バッテリーの中のデバイス(10)の多数のグループのそれぞれの1つに対して、これらのグループのデバイスの耐用年数の間に、順に培地/添加物タンク(350)を接続するために使用することもできる。したがって、デバイスの1つのグループに培地/添加物が供給される場合には、このグループの無菌の接続装置(376)は、滅菌のフード(380)の中に一時的に無菌的にシールされ、これはその後、それらの共通の無菌の接続装置(376)が、管(370)の滅菌の接続装置(375)に接続される、デバイスの次のグループに移動させられる。これにより、デバイスのこのグループに、培地/添加物を供給することができる。
【0162】
バッテリー(500)の異なる実施形態においては、可動式の滅菌のフード(380)を、静的混合タンク(350)に接続された、好ましくは弾力性のある供給管の自由末端(390)を、次々と、それぞれのデバイス(10)の添加物入口に一緒に接続するために使用することができる。滅菌のフード(380)は、その後、1つのデバイス(10)から次のデバイスへと移動させることができ、毎回、対応する管(80)の入口末端に末端(390)が接続されて、順にそれぞれのデバイスに培地を供給することができる。滅菌のフード(380)は、好ましくは、ステンレス鋼製である無菌の接続装置と共に、それぞれ対応するデバイス(10)の末端(390)およびの管(80)入口に、それぞれのデバイス(10)を容易に接続し、その後、接続をはずすことができ、したがって、培地を滅菌条件下で供給することができる。2つの管を互いに接続するための適切な接続装置の多くの他の例は当該分野で周知である。適切なフィルターが、容器の内容物の汚染の可能性を防ぐか、または少なくとも最小にするために、末端(390)と管(80)にそれぞれ提供される。滅菌のフード(380)は、したがって、デバイス(10)からデバイス(10)へと、自動的に、または手作業によって移動させることができ、そしてそれぞれのデバイスでは、順に、操作者によって、滅菌のフード(380)を使用して培地供給源にデバイス(10)が接続され、デバイスが適切な量の培地および/または添加物で満たされ、その後、デバイスから滅菌のフード(380)がはずされて、次のデバイスの上へと移動させられる。もちろん、末端(390)は、滅菌の接続装置(375)をわずかに1つだけ含むのではなく、それよりもむしろ、複数の接続装置(375)を含むように適応させることができ、対応する接続装置(376)を有している同様の複数のデバイス(10)を、台車(380)によって培地の供給源に一度に接続することができる。
【0163】
それぞれのデバイス、またはデバイスのセットもしくはグループに対して接続末端(390)を接続する前に、毎回、対応する接続装置(375)および(376)は、通常は、例えば、加圧滅菌装置によって滅菌される。
【0164】
バッテリー(500)のなお別の実施形態においては、1つの管、または管のセット(図示せず)は、静的ミキサー(350)を、1つのデバイス(10)に、または対応するデバイス(10)のセットに、それぞれ同時に接続することができる。この場合、運搬システムによって、デバイス(10)またはデバイス(10)のセットが、1つの管または管のセットに対して、それぞれ運搬されるか、あるいは、その逆である。デバイス(10)またはデバイス(10)のセットが充填された後、運搬システムにより、さらなるデバイス(10)またはデバイス(10)のさらなるセットを、1つの管または管のセットを介して、それぞれ、静的ミキサーに接続することができる。
【0165】
バッテリー(500)の好ましい実施形態においては、グループのデバイス(10)のそれぞれの回収装置は相互接続される。したがって、それぞれのデバイス(10)の回収管(50)は、自由末端(150)を有している共通の回収管(154)に接続される。自由末端(150)には無菌の接続装置(150)が提供される。好ましくは、それぞれの回収管(50)には、本明細書で上記に記載されたように、それぞれの対応するデバイス(10)からの回収された細胞の流れを遮断するか、またはそのような流れを生じさせるための、バルブ(54)が含まれる場合がある。したがって、例えば、特定のグループの多数のデバイスが汚染されていると決定されても、他のデバイスが汚染されていなければ、汚染されたデバイスのバルブ(54)が閉じられたままである限りは、これらの後者のデバイスの中の細胞は回収することができ、前者のデバイスからの汚染の恐れはない。好ましくは、共通の管にはさらに、無菌の接続装置(155)の上流に、共通の遮断バルブ(259)が含まれる。好ましくは、汚染防止装置は、回収後の回収装置を介した容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐために提供される。
【0166】
好ましい実施形態においては、汚染防止装置には、実質的にU型の流体トラップ(400)が含まれる。流体トラップ(400)は、その一方のアームに無菌の接続装置(156)を有しており、他方のアームは、貯蔵タンク(590)と流体をやりとりする開口部(158)を有している。無菌の接続装置(155)および(156)は、その後、可動性の滅菌のフード(380)と滅菌条件下で相互接続される。その後、回収が、汚染されていないグループの全てのデバイスのバルブ(54)の開口部、さらには共通のバルブ(259)によって行われる。その後、グループに由来する細胞は貯蔵タンク(590)へと、好ましくは、重力によって流されるが、ある場合には、適切なポンプが使用されてもよい。回収が完了した後、無菌の接続装置(155)および(156)は、滅菌のフード(380)の中で接続をはずされ、これは次いで、デバイス(10)の次のグループに移動させることができる。このグループの対応する無菌の接続装置(155)は、その後、U管(400)の無菌の接続装置(156)と相互接続することができ、それによって、デバイスのこのグループの細胞を回収することができる。
【0167】
バッテリー(500)の別の実施形態においては、1つの管または管のセット(図示せず)は、共通の貯蔵タンクを、1つのデバイス(10)に、または対応するデバイス(10)のセットに、それぞれ同時に接続することができる。この場合、運搬システムによって、デバイス(10)またはデバイス(10)のセットが、1つの管または管のセットに対して、それぞれ運搬されるか、あるいは、その逆である。デバイス(10)またはデバイス(10)のセットが回収された後、運搬システムにより、さらなるデバイス(10)またはデバイス(10)のさらなるセットを、1つの管または管のセットを介して、それぞれ、共通の貯蔵タンクに接続することができる。
【0168】
バッテリー(500)の別の実施形態においては、それぞれのデバイス(10)は別々に回収することができる。この場合、それぞれのデバイスの回収装置には、回収後の回収装置から容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐための汚染防止装置が含まれる。この実施形態においては、汚染防止装置には、本明細書中で上記に記載されたようなU型の流体トラップ(400)が含まれる。流体トラップ(400)は、その一方のアームに無菌の接続装置(156)を有しており、他方のアームは、貯蔵タンク(590)と流体をやりとりする開口部(158)を有している。回収装置には、流体トラップ(400)の無菌の接続装置(156)に対して、可動性の滅菌のフード(380)の中で滅菌条件下で接続することができる、無菌の接続装置(55)が含まれる。回収は、デバイスのバルブ(54)の開口部から行われ、この場合、細胞はその後、貯蔵タンク(590)へと、好ましくは、重力によって流されるが、ある場合には、適切なポンプが使用されてもよい。回収が完了した後、これらの無菌の接続装置(55)および(156)は、滅菌のフード(380)の中で接続をはずされ、これは次いで、次のデバイス(10)に移動させることができる。このデバイスの回収装置の対応する無菌の接続装置(55)は、その後、U管(400)の無菌の接続装置(156)と相互接続することができ、それによって、デバイスのこの次のデバイスの細胞を回収することができる。
【0169】
バッテリー(500)の好ましい実施形態においては、回収装置はまた、新しい増殖/回収サイクルの実行の開始時に、最初に接種材料を提供すために使用することもできる。したがって、接種材料は、その自由末端に、滅菌のフード(380)の中で共通の回収管(154)の無菌の接続装置(155)に接続される無菌の接続装置を含む供給管を有している適切なタンクの中で、滅菌された培地と混合することができる。接種材料は、次いで、重力によって、または適切なポンプの助けを借りて、共通の回収管(154)からグループのそれぞれのデバイス(10)へと流され、その後、無菌の接続装置は滅菌のフードから取り外される。
【0170】
あるいは、接種材料は、回収装置、および共通の回収管(155)に関して本明細書中で上記に記載した様式と同様の様式で、必要な変更を加えて、添加物入口、具体的には、添加物用の共通の管(180)からデバイスの中に導入することができる。
【0171】
本発明の好ましい実施形態によると、上記のそれぞれのデバイスおよび/またはバッテリーの操作は、図1Cに関して示したように、コンピューター(600)によって制御される。コンピューターは、所望により、そして好ましくは、温度、容器に気体または混合気体を入れる量および時間、容器から気体を排出させる量および時間、少なくとも1つの物質(例えば、栄養分、培養培地など)を添加する量および時間、ならびに/あるいは、光の量の1つ以上のような、本発明のバッテリーおよび/またはデバイスの操作についてのそのようなパラメーターを制御することができる。コンピューターは、所望により、生産された廃棄物の量を検出することもできる。
【0172】
コンピューターは、本発明の操作の自動化または半自動化のためのシステムの一例として、好ましくは、本発明の操作に関して存在する種々の測定機器に接続される。例えば、コンピューター(600)は、好ましくは、気体または混合気体の流れを制御するために、1つのゲージ(602)または複数のゲージに接続される。ゲージ(602)は、好ましくは、適切な空気の供給源(604)に接続することができる管(74)に接続され、管(74)への空気または他の気体の流れを制御する。
【0173】
コンピューター(600)はまた、好ましくは、温度計(606)に接続される。温度計は、より好ましくは、容器(20)の環境に存在するが、容器内でないことがさらに好ましい。コンピューター(600)はまた、所望により、そして好ましくは、例えば、加熱装置および/または冷却装置のような、温度を制御するための機構(608)を制御することができる。
【0174】
コンピューター(600)は、所望により、そして好ましくは、栄養分/培地の容器(612:本明細書中では以降、栄養分容器とまとめて記載する)から容器(20)への本発明の管(80)を介した、培地および/または他の栄養分の流れを制御するためのゲージ(610)に接続される。コンピューター(600)はまた、所望により、さらに、またはあるいは、制御バルブ(84)であってもよい。また、所望により、バルブ(84)またはゲージ(610)の1つだけが存在してもよい。
【0175】
コンピューター(600)は、好ましくは、容器の少なくとも1つの口に接続され、より好ましくは(図示せず)、少なくとも回収口(管(50)として示す)に、所望により、試料口(612)として示すような回収口に接続される。所望により、試料口と回収口は一体化される場合もある。コンピューターは、所望により、試験および/または回収のために容器の内容物の一部を取り出すための、自動化されたサンプリング装置および/または回収装置を制御することができる(図示せず)。コンピューターはまた、所望により、例えば、コンピューターの操作のためのフィードバックを提供するために、これらの内容物の一部を分析するための分析装置(614)に接続されてもよい。
【実施例3】
【0176】
細胞培養方法の説明
本発明はまた、複数回使用される使い捨てのデバイス中で植物細胞を培養し、回収するための方法にも関する。このデバイスは、所望により、そして好ましくは、上記の実施例1および2のデバイスおよび/またはシステムにしたがって設定される。この方法では、植物細胞は、好ましくは、本発明のデバイスの容器に入れられる。この容器は、好ましくはプラスチック製であり、これは所望により、透明であっても、および/または半透明であってもよく、所望により硬質であっても、または弾力性があってもよく、また、所望により、硬質と柔軟性の間の硬度の程度を有してもよい(例えば、半硬質)。次いで、任意の他のさらなる材料、例えば、滅菌の気体もしくは混合気体、および/または滅菌の液体もしくは液体混合物、あるいは任意の他の適切な添加物が提供される。好ましくは、デバイスは、再利用することができる回収装置を特徴とするように構成される。その結果、材料(植物細胞、および/または上記のさらなる材料の1つ)を回収することができ、少なくとも1回のさらなる細胞培養/回収サイクルをなおも行うことができる。所望により、そしてより好ましくは、植物細胞は懸濁液の中で培養される。
【0177】
本発明の好ましい実施形態によると、植物細胞は、必要に応じて少なくとも1つの滅菌の気体または混合気体(複数の気体)が添加された液体培地を含む懸濁液の中で培養される。所望により、そして好ましくは、滅菌の気体には滅菌の混合気体が含まれ、これには、より好ましくは、滅菌の空気が含まれる。滅菌の気体および/または混合気体は、好ましくは、各サイクルの間に空気吸入口から容器に、上記のように、連続して、またはパルスのいずれかで添加される。
【0178】
滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物は、好ましくは、上記のように、添加物入口から容器に入れられる。
【0179】
(純培養の接種材料の例としての)植物細胞は、所望により、そして好ましくは、回収装置を通じて添加される。所望により、そして好ましくは、容器内の植物細胞は、例えば、特に、容器が透明および/または半透明である場合には、外部光(容器に対して外部にある照明の光源)によって光に曝される。
【0180】
細胞は、所望の収量の細胞によって生産される細胞および/または物質、例えば、タンパク質が得られるまで増殖させられる。
【0181】
好ましい実施形態によると、過剰な空気および/または排ガスは、好ましくは、空気吹き出し口を通じて、所望により、そしてより好ましくは、連続して、および/または断続的に容器の外へ放出される。
【0182】
また、所望により、そして好ましくは、容器内の物質(例えば、細胞培養培地)は、1つ以上の汚染物質について、そして/あるいは、容器内で生産された細胞および/または細胞生産物の品質についてチェックされる。より好ましくは、1つ以上の汚染物質が存在することが認められたか、あるいは、生産された細胞および/または細胞生産物の品質が低い場合には、デバイスとその内容物は廃棄される。
【0183】
適切な時点で、具体的には、汚染物質ならびに/あるいは、品質の低い細胞および/または細胞生産物が認められなければ、容器中の物質の少なくとも第1の部分、例えば、細胞および/または細胞生産物を含む培地が回収されることが好ましい。より好ましくは、物質の残りである第2の部分、例えば、細胞および/または細胞生産物を含む培地は、容器の中に残され、この場合、この第2の部分を、所望により次の培養/回収サイクルのための接種材料とすることができる。次に、滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物が、添加物入口から次の培養/回収サイクルのために提供される。
【0184】
上記のサイクルは、所望により1回以上行われる。また、上記のサイクルは、所望により、実施例2に関して記載されているように、デバイスのバッテリー(システム)を用いて行われる場合もある。所望により、そして好ましくは、この方法により、細胞を嫌気的に培養し、および/または回収することができる。
【0185】
嫌気的な実施形態については、デバイス(10)の少なくとも1つのグループのバッテリー(500)が提供される。この場合、デバイスには空気吸入口は含まれない。その少なくとも1つのデバイス(10)について、以下のプロセスが行われる。純培養の接種材料が、共通の回収管からデバイス(10)に導入される。次に、滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物が、共通の添加物入口管からデバイスに添加される。所望により、デバイスは、上記のように照射される。
【0186】
デバイスの中の細胞は、所望の量の細胞および/または細胞の生産物が得られるまで、培地の中で増殖させられる。所望により、そして好ましくは、過剰な空気および/または排ガスは、共通の空気吹き出し口管を通じて、より好ましくは連続して、デバイスの外へ放出される。
【0187】
上記の方法については、容器内の物質は、1つ以上の汚染物質の存在について、および/または、品質の低い細胞について、および/または、品質の低い細胞生産物についてモニターされる。この場合、容器とその内容物は、好ましくは廃棄される。上記の方法についてはまた、細胞および/または細胞生産物は、好ましくは、適切な時点で、例えば、所望の量の細胞生産物が生産された時点で回収される。
【0188】
上記の方法はまた、所望により、使い捨てのデバイスのバッテリーの中で好気的に行うこともできる。この場合には、滅菌の気体および/または混合気体(例えば、滅菌の空気)が、共通の空気吸入口吸気管からデバイスに提供される。
【0189】
通常は、水精製システムにより、脱イオン化された発熱物質を含まない水が、濃縮培地を含むタンクに供給され、その後、稀釈された培地がデバイス(10)に、添加物入口からポンプで入れられる。フィルター(通常は、0.2マイクロメートル)が、それぞれのデバイス(10)内の容器内容物の汚染のリスクを最小にするために、供給管に、そしてまた添加物入口のすぐ上流にも取り付けられる。あるいは、またはさらに、一方向バルブもまた、このリスクを最小にするために使用される場合がある。
【0190】
それぞれのデバイス(10)の最初の培養サイクルについては、接種材料(通常は、デバイス(10)の中での回収に必要とされる細胞のタイプの試料)は、蒸気滅菌された容器内で培地または水と予め混合され、回収装置からデバイス(10)に導入される。その後、培地が添加物入口からデバイス(10)に導入される。その後のサイクルについては、本明細書中で上記に記載されたように、培地および/または添加物のみが導入される。
【0191】
通常は、エアーコンプレッサーによって、実質的に滅菌された空気が、多数のフィルター:粒子を取り除くための粗濾過器、湿気を取り除くための乾燥機および湿気フィルター、ならびに、汚染物質を取り除くための、通常は0.2マイクロメートルの細かいフィルターを通って各デバイス(10)に提供される。好ましくは、空気吸入口のすぐ上流にある別のフィルターによって、容器の内容物の汚染のリスクはさらに最小限に抑えられる。
【0192】
デバイス(10)のそれぞれについて、容器(20)への全ての接続、すなわち、空気吸入口への接続、添加物入口への接続、そして好ましくは、空気吹き出し口への接続、および回収装置への接続も、使用する前に加圧滅菌装置で滅菌され、滅菌性が、本明細書中で上記に記載されたように、滅菌のフードの中で接続を行うことによって、例えば、空気供給源および排気装置を含む周辺機器への接続の間、維持される。
【0193】
それぞれのデバイス(10)の温度制御は、好ましくは、適切な空調装置によって提供される。デバイスの任意の照明は、細胞増殖に必要な場合には、デバイス(10)の周辺に適切に配置された適切な蛍光灯によって提供することができる。
【0194】
それぞれのデバイス(10)の各培養サイクルの間には、それぞれの対応する容器(20)の内容物には、通常、エアレーションが行われ、約7日間から約14日間、あるいはそれ以上の期間、制御された温度および照明条件下で混合される。
【0195】
それぞれのデバイス(10)についての培養サイクルの最後に、対応する回収装置が、通常は、適切な接続装置を含む予め滅菌された環境に接続され、これは、本明細書中で先に記載されたように、接続の前および接続の間に滅菌される。回収は、その後、次のサイクルの接種材料となるように、細胞および/または組織の約2.5%から約45%の間、しかし通常は、約10%から約20%を残すように行われる。
【0196】
回収された細胞および/または組織および/または細胞生産物は、その後、所望により、乾燥せられるか、または必要である場合には、抽出される。
【0197】
本発明の好ましい実施形態によると、細胞培養のプロセスは、所望により、以下の1つ以上にしたがって調節することができる。これらの調節は、好ましくは、植物細胞を培養するために行われる。第1の調節によると、培養培地を含む懸濁液の中で細胞を増殖させるためには、容器の中に最初に入れられる培地の量(例えば、0日目)は、好ましくは、推奨される量の少なくとも約125%であり、より好ましくは、推奨される培地の量の約200%までである。
【0198】
別の任意の、しかし好ましい調節は、細胞の増殖の間であり、しかし回収の前の培地の添加である。より好ましくは、そのような培地は、培養プロセスの開始後、3日目または4日目に添加される。所望により、そしてより好ましくは、培地には、約1倍から10倍まで濃縮された、濃縮された培養培地が含まれ、それによって、より高濃度の栄養分が提供される。十分な培地が提供されることが好ましいことに留意されたく、より好ましくは、通常の培地濃度の少なくとも約125%の濃度である。培地の添加は、新しい培地が容器内に存在している培地に対して添加されることを意味する。濃縮された溶液として添加されれば、好ましくは、得られる培地濃度は、通常の濃度または最初の濃度に近くなる。あるいは、容器内の培地は、所望により、増殖の間に新しい培地と完全に交換することができ、培養プロセスの開始後3日目または4日目に行われることが、再びより好ましい。
【0199】
別の任意の、しかし好ましい調節は、植物細胞の培養について通常推奨されるより高濃度のスクロースの、例えば、スクロースを添加することによる使用である。その結果、培地の濃度は、所望により、30g/lではなく40g/lである場合もある。1つ以上の他の糖(例えば、グルコース、フルクトース、または他の糖)が、スクロースを補うために所望により添加される場合もある。スクロース(および/または1つ以上の他の糖)は、また、所望により、そして好ましくは、細胞培養プロセスの間に、より好ましくは、培養プロセスの開始後3日目または4日目に添加される。
【0200】
別の任意の調節は、細胞培養プロセスの間の、より好ましくは、培養プロセスの開始後3日目または4日目での純酸素の添加である。
【0201】
別の任意の調節は、大きなエアレーション(気体交換)の使用であり、これは、以下にさらに詳細に示されるように、本発明のデバイスの中での細胞増殖速度の増大をももたらす。
【実施例4】
【0202】
ビンカ・ロゼア(Vinca rosea)細胞を用いた実験の例
本実験は、ツルニチニチソウ(rose periwinkle)としても知られているビンカ・ロゼア(Vinca rosea)由来の細胞を用いて行った。
【0203】
10個のバイオリアクター(それぞれ、本発明のデバイス)のグループ(それぞれが、底から5cmの位置にある30mmの口(空気吸入口用)、底から25cmの位置にある30mmの口(回収装置用)、底から68cmの位置にある30mmの口(添加物入口)、および底から90cmの位置にある30mmの口(空気吹き出し口)が全部揃っており、約10リットルの有効充填容量の、ポリエチレン−ナイロン共重合体製の容器(0.1mmの壁厚、20cmの直径、1.2mの高さ))を使用した。バイオリアクターを、それらの接続部品とともに、γ線を照射することによって滅菌した(2.5mRad)。
【0204】
9リットルのSchenk & Hildebrandt ミネラル/ビタミン培地、クロロフェノキシ酢酸および2,4−ジクロロフェノキシ酢酸をそれぞれ2ml/l、0.2mg/lのカイネチン、3%のスクロース、およびV24カサランツス・ロウセス(Catharanthus roseus)(ビンカ(Vinca))細胞株の充填された最初の接種材料900mlを、各バイオリアクターに導入した。培地表面上の空気の容量は、3.1であった。エアレーションを、容器の底から1cmの位置にある4mmの開口部(空気吸入口)から提供した1.5リットル/分の滅菌空気の流量を使用して行った。
【0205】
バイオリアクターを、室温(25℃)の制御下で取り付け、培養を、充填容量が約7.51(全容量の75%:対数期の間の2日間の倍加速度)に増大するまで、10日間継続して行った。この時点で、細胞を、9リットルの培地と細胞を回収装置を通じて抜き取ることによって回収し、同じ添加物を一緒に含む9リットルの新しい滅菌培地を、添加物入口から添加した。細胞を、さらに6回のサイクルの間、上記と同様に10日間の間隔で再び回収し、その時点で実行を完了した。
【0206】
これによって、全重量6.5kgの新しい細胞(0.5kgの乾燥重量)を、様々な時点にわたり、例えば、7日、10日、または14日の間隔で、101個の生産能力のあるバイオリアクターのそれぞれから回収した。これらの細胞は、0.6%の全アルカロイド含有量を有しており、これは開始時の株と同じであった。したがって、本発明のデバイスは、開始時の株に由来する細胞と同様の、または同一の細胞特性を維持したまま、健全で生産力のある状態で、培養物中で細胞を維持し、増殖させることができた。
【実施例5】
【0207】
植物細胞を用いた実験の例
実施例5a:ニンジンの細胞懸濁液の中でのヒトグルコセレブロシダーゼのクローニングおよび大量発現
本実施例により、本発明の方法にしたがって本発明のデバイスの中で培養され、形質転換された植物細胞を用いて行われた実験の記述が提供される。
【0208】
材料および実験手順:
プラスミドベクター:プラスミドCE−T
プラスミドCE−Tを、Galili博士から入手したプラスミドCEから構築した(米国特許第5367110号、1994年11月22日)。
【0209】
プラスミドCEをSalIで消化した。
【0210】
SalIの結合(付着)末端を、DNAポリメラーゼIの大きな断片を使用して平滑末端とした。その後、このプラスミドをPstIで消化して、塩基性エンドキチナーゼ遺伝子由来のER標的化シグナルをコードするDNA断片:シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)ATGAAGACTA ATCTTTTTCT CTTTCTCATC TTTTCACTTC TCCTATCATT ATCCTCGGCC GAATTC(配列番号10)と、SmaIおよびPstIで消化したタバコ(Tabacco)のキチナーゼAに由来する液胞標的化シグナルをコードするDNA断片:GATCTTTTAG TCGATACTAT G(配列番号11)に連結させた。
【0211】
SalIの結合末端を、DNAポリメラーゼIの大きな断片を使用して平滑末端とした。その後、このプラスミドをPstIで消化して、SmaIおよびPstIで消化したER標的化シグナル(配列番号1)、無関係な遺伝子、および液胞標的化シグナル(配列番号2)をコードするDNA断片に連結させた。
【0212】
pGREENIIは、P.Mullineaux博士(Roger P.Hellens ら.,(2000)Plant Mol.Bio.42:819−832)から入手した。pGREEN IIベクターからの発現は、カリフラワーモザイクウイルスに由来する35Sプロモーター(配列番号9)、TMB(タバコモザイクウイルス)Ω転写エンハンサーエレメント、およびアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来のオクトピン合成酵素のターミネーター配列によって制御される。
【0213】
cDNA:Sorge ら.,(PNAS USA 1985;82:7289−7293)に記載されているような、ヒトのGCD cDNA配列(GenBank Accession No:M16328)(ATCC Accession No.65696))、GC−2.2(GCS−2kb;グルコシダーゼβ酸(グルコセレブロシダーゼ)を含むλ−EZZ−γ3(ヒト(Homo sapiens))を含む大腸菌(E.coli)から得たhGCD。挿入断片の長さ(kb):2.20;組織:線維芽細胞WI−38細胞。
【0214】
発現プラスミドの構築
hGCDをコードするcDNA(配列番号7および8)を、正方向プライマー:5’CAGAATTCGCCCGCCCCTGCA3’(配列番号3)と逆方向プライマー:5’CTCAGATCTTGGCGATGCCACA3’(配列番号4)を使用して増幅した。精製したPCR DNA産物をエンドヌクレアーゼEcoRIとBglIIで消化し(プライマーの中の下線を付けた認識配列を参照のこと)、同じ酵素で消化した発現カセットE−Tを有している中間体ベクターに連結させた。発現カセットを切断し、中間体ベクターから溶離させて、制限酵素SmaIとXbaIを使用してバイナリーベクターpGREENIIに連結させて、最終的な発現ベクターとした。カナマイシン耐性を、pGREENベクターと共に入手したnosプロモーターによって駆動されるNPTII遺伝子によって与えた(図11B)。得られた発現カセット(配列番号13)を図11Aに示す。
【0215】
得られたプラスミドを、以下の配列決定プライマーを使用して、シグナルの正確なフレーム内での融合を確認するために配列決定した:3’35Sプロモーター:5’CTCAGAAGACCAGAGGGC3’(配列番号5)および3’ターミネーター:5’CAAAGCGGCCATCGTGC3’(配列番号6)。
【0216】
ニンジンカルスと細胞懸濁培養物の確立
ニンジンカルス(すなわち、未分化のニンジン細胞)と細胞懸濁培養物の確立を、Torres K.C.(Tissue culture techniques for horticular crops,p.p.111,169)に以前に記載されているように行った。
【0217】
ニンジン細胞の形質転換と形質転換された細胞の単離
ニンジン細胞の形質転換を、以前に記載された方法(Wurtele,E.S.and Bulka,K.Plant Sci.61:253−262(1989))の適応によってアグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換を使用して行った。液体培地中の増殖中の細胞を、カルスの代わりにこのプロセスの全体を通じて使用した。接種材料および増殖時間は、液体培養物中での細胞の形質転換に適応させた。簡単に説明すると、アグロバクテリウム(Agrobacterium)をエレクトロポレーションによってpGREEN IIベクターで形質転換し(den Dulk−Ra,A.and Hooykaas,P.J.(1995)Methods Mol.Biol.55:63−72)、その後、30mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。ニンジン細胞をアグロバクテリウム(Agrobacteria)で形質転換し、液体培地中の60mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。
【0218】
高レベルでGCDを発現するカルスの単離のための形質転換されたニンジン細胞のスクリーニング
形質転換の14日後、培養物に由来する細胞を、細胞のそれぞれのクラスターからカルスを形成させるために、3%の充填細胞容量の稀釈率で固形培地上にプレートした。以下に詳細に記載されるように、それぞれのカルスが1〜2cmの直径に達した時点で、細胞をSDS試料緩衝液中でホモジナイズし、得られたタンパク質抽出物をSDS−PAGEで分離させ(Laemmli U.,(1970)Nature 227:680−685)、ニトロセルロース膜(Hybond Cニトロセルロース、0.45マイクロン、カタログ番号:RPN203C、Amersham Life Science社製)に移した。GCDを検出するためのウェスタンブロットを、ポリクローナル抗hGCD抗体(以下に記載される)を使用して行った。有意なレベルのGCDを発現するカルスを増殖させ、スケールアップ、タンパク質の精製および分析のために液体培地に移して増殖させた。
【0219】
本発明のデバイスの中での大量の培養物の増殖
rh−GCD遺伝子(配列番号13および14)を含む遺伝子修飾されたニンジン細胞の約1cmのカルスを、4.4gr/lのMSD培地(Duchefa)、9.9mg/lのチアミンHCl(Duchefa)、0.5mgの葉酸(Sigma)、0.5mg/lのビオチン(Duchefa)、0.8g/lのカゼイン加水分解物(Duchefa)、糖30g/l、およびホルモン2−4D(Sigma)を含む9cmの直径のMurashige and Skoog(MS)寒天培地プレート上にプレートした。カルスを25℃で14日間増殖させた。
【0220】
懸濁細胞培養物を、当該分野で周知であるように、0.2mg/lの2,4−ジクロロ酢酸を含むMSD(Murashige and Skoog(1962))液体培地中での形質転換された細胞の継代培養によって調製した。懸濁細胞を、250mlの三角フラスコ(25mlの作業容量で開始し、7日後には50mlに増加した)の中で25℃で、60rpmの震盪速度で培養した。続いて、細胞培養容量を、同じ条件下での300mlまでの作業容量の添加によって、1Lの三角フラスコに増大させた。4LのMSD培地を含む小さいバイオリアクター(10L)(WO98/13469を参照のこと)の接種材料を、7日間培養した2つの1Lの三角フラスコに由来する400mlの懸濁細胞の添加によって得た。1L pmの通気を用いた25℃での1週間の培養後、MSD培地を10Lまで添加し、同じ条件下で培養を続けた。さらに5日間の培養の後、細胞のほとんどを集め、80μのネットに細胞培地を通過させることによって回収した。余分な培地を搾り出し、充填細胞のケーキを−70℃で保存した。
【0221】
最初の実験では、形質転換された(グルコセレブロシダーゼ(GCD))ニンジン細胞懸濁物の増殖を、三角フラスコとは対照的に本発明のデバイスの中で測定した。増殖は、充填細胞の容量(4000rpm)として、および乾燥重量として測定した。三角フラスコのなかでの増殖の測定は、21個のフラスコを用いて開始し、毎日3個のフラスコを回収することによって行った。回収したフラスコについて、正味の重量、乾燥重量、およびGCDの数を計測した。リアクターの集菌は、回収口(回収装置)を使用することによって行った。毎日50mlの懸濁液を、正味の重量と乾燥重量の測定のために回収した。
【0222】
図12は、フラスコ内で増殖させられた細胞は、最初は早い増殖速度を示し、これはおそらく、エアレーションの程度が原因であることを示しているが、デバイスの中で、およびフラスコの中で増殖させられた細胞についての増殖速度は、最終的には、非常によく似ていると見られ、以下の実験において得られた実験結果もまた非常に似ていた。
【0223】
その後、トランスフェクトされた植物細胞中のタンパク質の量を測定した。GCDを、10%w/wのPVPP(ポリビニルポリピロリドン)と1%のTriton−X−100を含むリン酸緩衝液(0.5M、pH7.2)の中で抽出した。GCD含有量を、フラスコで増殖させた懸濁液から得た試料、および/または本発明のデバイスの中で増殖させた細胞培養物から採取した試料について、定量的ウェスタンブロットを使用して測定した。ウェスタンブロットは以下のように行った。
【0224】
このアッセイについては、得られた試料に由来するタンパク質をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動において分離させ、ニトロセルロースに移した。この目的のために、SDSポリアクリルアミドゲルを以下のように調製した。SDSゲルは、積層ゲルと分離ゲルからなる(Laemmli、UK 1970,Cleavage of structural proteins during assembly of the head of bacteriophage T4,Nature 227,680−685にしたがった)。分離ゲルの組成は以下とした:12%のアクリルアミド(Bio−Rad)、10mlのゲル溶液あたり4マイクロリットルのTEMED(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン;Sigmaカタログ番号T9281)、0.1%のSDS、375mMのTris−HCl、pH8.8、および過硫酸アンモニウム(APS)、0.1%。TEMEDと過硫酸アンモニウムを、この状況においては、重合のためのフリーラジカルスターターとして使用した。重合の開始後約20分で、積層ゲル(3%のアクリルアミド、0.1%のSDS、126mMのTris−HCl、pH6.8、0.1%のAPS、および5mlの積層ゲル溶液あたり5マイクロリットルのTEMED)を上記の分離ゲル上に注ぎ、12個または18個の目がある櫛を試料用のウェルを作成するために挿入した。
【0225】
陽極および陰極チャンバーを同じ緩衝溶液:SDS(Biorad、カタログ番号161−0772)を含むトリスグリシン緩衝液(pH8.3)で満たした。抗原を含む物質を、0.5倍容量の試料装填緩衝液(30mlのグリセロール(Sigmaカタログ番号G9012)、9%のSDS、15mlのメルカプトエタノール(Sigmaカタログ番号M6230)、187.5mMのTris−HCl(pH6.8)、500マイクロリットルのブロモフェノールブルー、全て100mlの試料緩衝液あたりの量)で処理し、その後、混合液を100℃で5分間加熱し、積層ゲルの上に載せた。
【0226】
電気泳動は、13×9cmの大きさのゲルについては、適切な時間(例えば、45〜60分間)、50〜70ボルトの一定の電流の強さを使用し、その後、180〜200ボルトで45〜60分間、室温で行った。その後、抗原をニトロセルロース(Schleicher and Schuell,Dassel)に移した。
【0227】
タンパク質の移動は、本明細書中で記載するように行った。ゲルを、ニトロセルロースとくっつけて、Whatmann3MM濾紙、伝導性である0.5cm厚の発泡材料と、ワイヤー電極(白金電極を通って電流を伝導する)の間に挟んで置いた。濾紙、発泡材料、およびニトロセルロースは、転移緩衝液(BioradによるTG緩衝液、カタログ番号161−0771、メタノールと水で10倍に稀釈した緩衝液(20%メタノール))に十分に浸した。転移を、100ボルトで90分間、4℃で行った。
【0228】
転移後、ニトロセルロース上の結合していない部位を、4℃で一晩、1%の粉乳(Dairy America)と0.1%のTween 20(Sigmaカタログ番号P1379)を含む、リン酸緩衝液(Riedel deHaen,カタログ番号30435)で稀釈したブロッキング緩衝液で飽和させた。ブロットの細片を、抗体(上記の、1%の粉乳と0.1%のTween 20を含む、リン酸緩衝液中の1:6500希釈液、pH7.5)とともに37℃で1時間インキュベートした。
【0229】
抗体とのインキュベーション後、ブロットを、PBS(リン酸緩衝化リン酸ナトリウム緩衝液(Riedel deHaen,カタログ番号30435))でそれぞれのケースについて10分間の洗浄を3回行った。その後、ブロットの細片を、1%の粉乳(Dairy America)と0.1%のTween 20(Sigamカタログ番号P1379)を含む、リン酸緩衝液(Riedel deHaen,カタログ番号30435)で稀釈した緩衝液中の1:3000希釈物である、適切な二次抗体(ヤギ抗ウサギ(分子全体)HRP(Sigmaカタログ番号#A−4914))とともに、室温で1時間インキュベートした。PBSで数回洗浄した後、ブロットの細片をECL現像剤(Amersham RPN 2209)で染色した。
【0230】
ECL試薬にブロットを浸した後、ブロットをX線フィルムFUJI Super RX 18×24に焼付け、FUJI−ANATOMIX現像液と定着液(FUJI−X fixカタログ番号FIXRTU、2つあるうちの1つ)を用いて現像した。抗体が結合した特徴的なタンパク質のバンドが、この処理の後、見えるようになった。
【0231】
図13は結果を示しており、これは、全タンパク質(植物細胞およびGCD)に対するGCDタンパク質の量が、3日目および4日目に最も多く、この後は、GCDの相対的な量が再び減少することを示している。結果は、フラスコの中で増殖させた細胞と、本発明のデバイスの中で増殖させた細胞について同様であった。
【0232】
次に、7%の容量、および15%の充填細胞容量の開始点を比較した(再び、結果は、フラスコの中で増殖させた細胞と、本発明のデバイスの中で増殖させた細胞について同様であった)。「充填細胞容量」によって、全てのかく乱因子、例えば、培地のエアレーションを取り除いた後で、本発明のデバイスの中にセッティングされる細胞の容量が意味される。図14は増殖曲線を示しており、これは平行である。図15は、定量的ウェスタンブロットによるGCDタンパク質の量を示しており、全タンパク質(植物細胞およびGCD)に対するGCDタンパク質の量が、5日目および6日目に最も多く、その後、GCDの相対的な量は再び減少することを示している(試料が15%の充填細胞容量から増殖させられた細胞から採取されたことに留意されるべきである)。
【0233】
増殖は、定常点を見つけるために、さらに長い期間(14日間)にわたって測定した。定常点では、増殖速度はゼロである。図16について示すように、この点には8日目に到達し、その後、増殖は幾分減少した。したがって、GCDを発現するポリヌクレオチドでトランスフェクトされた細胞を増殖させることを可能にするためには、好ましくは、細胞は、少なくとも定常点まで(本実施例においては、好ましくは、8日目(またはその後早いうちまで)増殖させられる。
【0234】
図17は、(他のタンパク質と比較した)GCDの最大量が、8日目までに形質転換された細胞によって生産され、その後、生産されたGCDの量は減少し始めることを示している。
【0235】
容器に少なくとも幾らかの新しい培地を添加することは、細胞増殖を増強させ、細胞によって生産されるGCDの量を増加させることが明らかになった。図18に示されるように、4日目の新しい(濃縮された)培地(培地添加物)の添加および/または培地の置き換え(培地交換)によって、8日目を越えて細胞の高い増殖レベルが維持される。さらに、4日目の新しい培地での培地の置き換えにより、生産されるGCDの量をはるかに多くすることができることが明らかである(定量的ウェスタンブロットについては図19を参照のこと;「培地をリフレッシュする」は、新しい培地で全ての培地を置き換えることを意味する)。4日目に濃縮された新しい培地を添加することによってもまた、生産されるGCDの量がさらに多くなる(定量的ウェスタンブロットについては図20を参照のこと)。
【0236】
細胞増殖に対する種々の糖レジュメの効果を図21に示し、GCDの生産に対する効果を図22に示す。先に記載したように、所望により、しかし好ましくは、植物細胞の培養について通常推奨されるよりも高濃度のスクロースが、例えば、スクロースを添加することによって使用される。その結果、培地の濃度は、所望により、30g/lではなく40g/lである場合もある。1つ以上の他の糖(例えば、グルコース、フルクトース、または他の糖)を、スクロースを補うために所望により添加することができる。スクロース(および/または1つ以上の他の糖)は、また、所望により、そして好ましくは、細胞培養プロセスの間に、より好ましくは、培養プロセスの開始後3日目または4日目に添加される。この変更の細胞培養プロセスに対する効果は、以下に詳細に記載される。
【0237】
図21には、表示40gスクロースは、40gのスクロースが細胞増殖の開始時に添加されたことを示す;表示「30gスクロース+10gグルコース」は、糖のこの組み合わせが細胞増殖の開始時に存在していることを示す;表示「スクロースを別途加えた」は、30g/lのスクロースが0日目(細胞増殖の開始時)に存在しており、30g/lのスクロースが4日目に培地に添加されたことを示す;表示「MSDを別途加えた」は、MSD培地が添加されたことを示す;そして表意「対照」は、30g/lのスクロースが0日目(細胞増殖の開始時)に存在していたことを示す。示すように、別途加えたMSDの存在は、7日までに最大の効果を発揮し、多量のスクロース(40g/l)の使用がこれに続き、増殖サイクルの途中でのスクロースの添加がさらに続く。
【0238】
図22は、図22Aでのより多量のスクロース(40g/l)の使用と、4日目のスクロースの添加(図22B)の両方によって生産されたGCDの量が増加したことを示している;しかし、後者の条件によっては、5日目にGCDの生産の急増が生じ、一方、前者の条件では、数日間にわたって全体的に多量のGCDの生産が生じた。
【0239】
全体的に大きなエアレーション(すなわち、より迅速な気体交換の存在)と、特異的な酸素量の増加はいずれも、GCDで形質転換された植物細胞の増殖速度の増大を生じた。これらの実験については、培養物を、最初は、1分間に1リットルの空気の速度でエアレーションした。大きなエアレーションは、図23に示すように、1分間に1.5リットルまたは2リットルに通気速度を増大させることによって行った。酸素は、図24に示すように、4日目に添加を開始して、300%までの酸素を添加した(記号のない実線が酸素圧を示す)。他の条件は同じとした。
【0240】
図23は、本発明の10Lのデバイスの中で増殖させた細胞に対するエアレーションの効果を示す。示すように、1.5L/分(図23A)または2L/分(図23B)として提供された大きなエアレーション(1分間に1Lの空気交換の基準を超える)によって、早い細胞増殖速度が得られた。
【0241】
図24は、本発明のデバイスに対するより多量の酸素の添加の効果を示す。酸素は、4日目に添加を開始した;さらなる酸素の圧力を、記号のない実線で示した。細胞培養培地の粘度は、細胞が増殖し複製するとともに徐々に高くなるので、酸素圧の測定値は幾らか変化する場合があるが、酸素の流れは一定レベルに維持したことに留意されるべきである。示すように、酸素を別途加えた細胞は、特に、通常、酸素を供給しなかった細胞について示されるように増殖速度が低下し始める7日後に、明らかに早い増殖速度を示した。
【0242】
実施例5b:ニンジンカルスの中での生物学的に活性なヒト凝固因子Xのクローニングおよび発現
材料および実験手順
プラスミドベクター:
CE−Kプラスミド:CE−Kプラスミドの骨格は、植物細胞の小胞体での高いレベルでの発現および保持に不可欠なエレメントを全て含むさらなるカセットをポリクローニング部位の中に有しているBluescript SK+プラスミド(Stratagene,La Jolla CA)(配列番号15)である。このカセット(配列番号16およびマップ、図26を参照のこと)には、CaMV35Sプロモーター、Ωエンハンサー、塩基性エンドキチナーゼ遺伝子(シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))に由来するER標的化シグナルをコードするDNA断片、組み換え遺伝子の融合のためのEcoRIとSalI制限部位、KDEL ER保持シグナル、ならびに、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のオクトピン合成酵素(OCS)遺伝子の転写終結シグナルおよびポリアデニル化シグナルの配列が含まれている。
【0243】
pGreenベクター:バイナリープラスミドベクターを、植物のゲノムに操作されたDNAを組み込むために設計した。pGREENは、植物の形質転換用の第二世代バイナリーベクターであり、小さく、そして柔軟性のあるプラスミドである。
【0244】
pGREENベクターにおいては、トランスで作用することができる分離されている機能の概念はさらに一歩すすんだ。RepA遺伝子はクローニングベクターの中には存在しないが、互換性のあるプラスミド上に提供され、これは、形質転換されたアグロバクテリウム(Agrobacterium)細胞内に同時に存在する。RepA機能と他の必須ではない結合機能を除去することによって、全体的なプラスミドの大きさは劇的に小さくなった(Hellens,ら.,Plant Mol.Bio.2000;42:819−832)。
【0245】
ヒト第X因子遺伝子のクローニング:ヒト凝固因子XのcDNA(HSFACX,GenBank Accession No:M57285)(配列番号17と18XXXを、プラスミドSig−CEXGLY−FX−HDELから調製した。これには、第X因子の完全なcDNAが含まれている)。コード領域を増幅し、EcoRIとSalIの制限部位を、当該分野で認識されているプロトコールにしたがってサブクローニングのために付加した。簡単に説明すると、成熟ヒト第X因子のコード配列を、正方向プライマー:Fx開始EcoRI:5’CCGAATTCCGCGTAAGCTCTGCAGCC3’(配列番号19)と逆方向プライマー:Fx末端SalI kdel:5’GCGTCGACGAAGTAGGCTTG3’(配列番号20)を使用して増幅し;また、組み込まれた制限部位EcoRIとSalIによって遺伝子のN末端とC末端にシグナルを融合できるようにした。
【0246】
増幅反応はExpand High Fidelity PCR System(Roche−Applied−Science、カタログ番号:1732650)を使用し、製造業者の説明書にしたがって行った。PCR産物を、第X因子配列の同定のために1%のアガロースゲル上で分離させた。図25は、優勢に増幅されたHSFACXバンド(矢印で示す)を示している。製造業者の説明書にしたがって、バンドを溶出させ、制限酵素EcoRIとSalIで切断し、精製されたCE−K発現カセットに連結させた。
【0247】
連結混合物を使用して大腸菌(E.coli)DH5αを形質転換し、形質転換された細菌を、100μg/mlのアンピシリンを含む寒天プレート上で選択した。ポジティブクローンをPCR分析によって、FX正方向プライマーと逆方向プライマーを使用して分析し、さらに、SmaI+XbaI、HindIII、およびNotIを使用した制限分析によって確認した。
【0248】
発現カセットをCEK−FX−ERプラスミドから、制限酵素Asp718とXbaIを使用して切り出した。バイナリーベクターpGREEN nos−kanaを同じ酵素で切断し、脱リン酸化して、1%のアガロースゲルから溶出させた。バイナリーベクターとFX−ER発現カセットを連結させ、これを使用して大腸菌(E.coli)DH5α宿主細胞を形質転換させた。形質転換、増殖、およびプラスミドの抽出の後、ポジティブクローンをPCRと、HindIIIとBglIIでの制限分析によって確認した。選択されたクローンpGREENnoskana FX−ER(図28)を、配列決定によってさらに確認した。
【0249】
植物の形質転換:ニンジン細胞の形質転換は、以前に記載された方法(Wurtele,E.S.and Bulka,K.Plant Sci.61:253−262(1989))の適応によって、アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換を使用して行った。液体培地中の増殖中の細胞を、カルスの代わりにこのプロセスの全体を通じて使用した。インキュベーションおよび増殖時間は、液体培地中での細胞の形質転換に適応させた。簡単に説明すると、アグロバクテリウム(Agrobacteria)LB4404をpGREEN noskana FX−ERベクターでエレクトロポレーションによって形質転換し(den Dulk−Ra,A.and Hooykaas,P.J.(1995)Methods Mol.Biol.55:63−72)、その後、30mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。ニンジン細胞(ノラニンジン(Daucus carota))をアグロバクテリウム(Agrobacteria)で形質転換し、液体培地中の60mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。
【0250】
結果
培養されたニンジン細胞中での活性な組み換え体ヒト第X因子の発現
ニンジン細胞の中での発現および分析:形質転換されたニンジン細胞を、GCDについて本明細書中で上記に記載したように、0.2mg/lの2,4ジクロロメトキシ酢酸を加えたMurashige & Skoog培地(Physiol.Plant,15:473,1962)の中の培養物中で増殖させた。細胞を7日間増殖させ、その後、細胞を回収した。過剰な液体を100メッシュのフィルター上で分離した。細胞内容物を、タンパク質内容物の評価のために、本明細書中で上記に詳細に記載したように抽出した。FX cDNAで形質転換したニンジン細胞を、Affinity Biologicals(Hamilton Ontario,Canada)によるウサギ抗ヒト第X因子精製IgGを使用してウェスタンブロットによってFXの発現について分析した。多数の種々の細胞株を分析した(図30)。図30(レーン1および2)は、ニンジン細胞の中でのヒト第X因子の強い発現を示している。種々の大きさのものが観察された原因は、組み換え体ヒト第X因子プロタンパク質の部分的なプロセシングである。
【0251】
組み換え体タンパク質の実体を確認するために、フリンで切断されるその能力を試験した。フリンは、カルシウム依存性のセリンプロテアーゼであり、分泌経路の主要なプロセシング酵素である。フリンは、第X因子を、さらには、他の凝固因子および成長因子を切断する。フリンをNew England Biolabsから購入し、切断アッセイを製造業者によって推奨されるように行った。図31は、フリンによる組み換え体第X因子の正確な消化を示している(レーン6と比較してレーン5を参照のこと)。
【0252】
ニンジン細胞の中での活性の分析:組み換え体第X因子の活性アッセイを、第Xa因子の色素形成性ペプチド基質であるPefachrome FXa(Pefa−5523,Chromogenix,Milano,Italy)を使用して行った。図32(点線と比較して実線を参照のこと)は、大量の培養物中で増殖させられた組み換え体FXを発現するニンジン細胞由来の抽出物の中の正確な第X因子活性を示している。
【0253】
本発明のデバイスの中での大量の培養物の増殖
組み換え体ヒトFX遺伝子(配列番号16および21)を含む遺伝子修飾されたニンジン細胞の約1cmのカルスを、4.4gr/lのMSD培地(Duchefa)、9.9mg/lのチアミンHCl(Duchefa)、0.5mgの葉酸(Sigma)、0.5mg/lのビオチン(Duchefa)、0.8g/lのカゼイン加水分解物(Duchefa)、糖30g/l、およびホルモン2−4D(Sigma,St Louis,MO)を含む9cmの直径のMurashige and Skoog(MS)寒天培地プレート上にプレートした。カルスを25℃で14日間増殖させた。
【0254】
懸濁細胞培養物を、当該分野で周知であるように、MSD(0.2mg/lの2,4−ジクロロ酢酸を含むMurashige & Skoog(1962))液体培地中での形質転換された細胞の継代培養によって調製した。懸濁細胞を、250mlの三角フラスコ(25mlの作業容量で開始し、7日後には50mlに増加した)の中で25℃で、60rpmの震盪速度で培養した。続いて、細胞培養容量を、同じ条件下での300mlまでの作業容量の添加によって、1Lの三角フラスコに増大させた。4LのMSD培地を含む小さいバイオリアクター(10L)(WO98/13469を参照のこと)の接種材料を、7日間培養した2つの1Lの三角フラスコに由来する400mlの懸濁細胞の添加によって得た。1分あたり1リットルの通気を用いた25℃での1週間の培養後、MSD培地を10Lまで添加し、同じ条件下で培養を続けた。さらに5日間の培養の後、細胞のほとんどを集め、80μのネットに細胞培地を通過させることによって回収した。余分な培地を搾り出し、充填細胞のケーキを−70℃で保存した。
【0255】
実施例5c:ニンジンカルス中でのヒトインターフェロンβのクローニングおよび発現
材料および実験手順
CE−Kプラスミド:CE−Kプラスミドの骨格は、植物細胞の小胞体での高いレベルでの発現および保持に不可欠なエレメントを全て含むさらなるカセットをポリクローニング部位の中に有しているBluescript SK+プラスミド(Stratagene,La Jolla CA)(配列番号15)である。このカセット(配列番号27およびマップ、図37を参照のこと)には、CaMV35Sプロモーター、Ωエンハンサー、塩基性エンドキチナーゼ遺伝子(シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))に由来するER標的化シグナルをコードするDNA断片、組み換え遺伝子の融合のためのEcoRIとSalI制限部位、KDEL ER保持シグナル、ならびに、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のオクトピン合成酵素(OCS)遺伝子の転写終結シグナルおよびポリアデニル化シグナルの配列が含まれている。
【0256】
pPZP111:バイナリーベクターを、植物のゲノムに操作されたDNAを組み込むために設計した。バイナリーTiベクターpPZP111(Hajdukiewicz,ら.,Plant Mol Biol 1994;25:989−994)は、導入された領域の左端(LB)に隣接してカナマイシン耐性のための遺伝子を有している。lzcZα−ペプチドは、pUC18マルチクローニング部位(MCS)とともに、植物マーカー遺伝子と右端(RB)の間に存在している。したがって、RBが最初に導入されるので、薬剤耐性は、搭載される遺伝子がトランスジェニック植物の中に存在している場合にのみ、得られる。
【0257】
ヒトインターフェロンβ遺伝子のクローニング:ヒトインターフェロンβのcDNA(Ifnβ、HUMIFNB1、GenBank Accession No.M28622,配列番号22および23)は、Haki(Peprotech Inc.Princeton,NJ)から入手した。コード領域を増幅させ、サブクローニングのために制限部位EcoRIとSalIを付加した。成熟ヒトインターフェロンβ配列のコード領域の2つの部分を増幅させたか、あるいは、小胞体に対して標的化させた(プライマー1と2を使用して)か、またはアポプラストに対して標的化させた(プライマー1と3を使用して):
1.正方向プライマー:Ifnβ開始EcoRI:5’CAGAATTCATGAGCTATAATC3’(配列番号24)、
2.逆方向プライマーII:Ifnβ末端SalI kdel:5’GGATGTCGACTTACGCAGGTAG3’(配列番号25)、
3.逆方向プライマーII:Ifnβ末端SalI STOP:5’GTGTCGACTTAGTTACGCAGGTAG3’(配列番号26)。
【0258】
また、組み込まれた制限部位EcoRIとSalIによって遺伝子のN末端とC末端にシグナルを融合できるようにもした。
【0259】
増幅反応はExpand High Fidelity PCR System(Roche−Applied−Science、カタログ番号:1732650)を使用し、製造業者の説明書にしたがって行った。PCR産物を、ヒトインターフェロンβ配列の同定のために1%のアガロースゲル上で分離させた。PCR産物のバンドを本明細書中で上記に記載したように溶出させ、確認および精製のために、溶出させたDNAの10%を1%のアガロースゲル上で再び分離させた。図33は、精製されたクローニングされたヒトインターフェロンβ配列(矢印はPCR産物を示す)を示している。
【0260】
PCR産物を溶出させ、制限酵素EcoRIとSalIで切断し、製造業者の説明書にしたがってCE−K発現カセットに連結させた。
【0261】
連結混合物を使用して、大腸菌(E.coli)DH5αを形質転換し、形質転換された細菌を、100μg/mlのアンピシリンを含む寒天プレート上で選択した。ポジティブクローンを、35S正方向プライマー(配列番号5)とターミネーター逆方向プライマー(配列番号6)(図34および35)を使用したPCR分析によって選択した。さらに、クローニングを、EcoRI+SalI、およびKpnI+XbaIを使用した制限分析によって確認した(図36)。
【0262】
発現カセットをCEK−ifn−ER(図37)およびCEK−ifn−STOPプラスミドから、制限酵素KpnIとXbaIを使用して切り出した。バイナリーベクターpPZP111(図38)をKpnIとXbaIで切断し、脱リン酸化して、1%のアガロースゲルから溶出させた。バイナリーベクターとインターフェロン発現カセットを連結させた。大腸菌(E.coli)DH5αへの形質転換、およびプラスミドの抽出の後、ポジティブクローンをPCRと制限分析によって確認した。
【0263】
植物の形質転換:ニンジン細胞の形質転換は、以前に記載された方法(Wurtele,E.S.and Bulka,K.Plant Sci.61:253−262(1989))の適応によって、アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換を使用して行った。液体培地中の増殖中の細胞を、カルスの代わりにこのプロセスの全体を通じて使用した。インキュベーションおよび増殖時間は、液体培地中での細胞の形質転換に適応させた。簡単に説明すると、アグロバクテリウム(Agrobacteria)LB4404を「pzp−ifnーKDEL」と「pzp−ifn−STOP」ベクターベクターでエレクトロポレーションによって形質転換し(den Dulk−Ra,A.and Hooykaas,P.J.(1995)Methods Mol.Biol.55:63−72)、その後、30mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。ニンジン細胞(ノラニンジン(Daucus carota))をアグロバクテリウム(Agrobacteria)で形質転換し、液体培地中の60mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。
【0264】
結果
培養されたニンジン細胞中での活性な組み換え体ヒトインターフェロンβの発現
ニンジン細胞の中での発現および分析:最初の分析:形質転換されたニンジン細胞を、GCDについて本明細書中で上記に記載したように、0.2mg/lの2,4ジクロロメトキシ酢酸を加えたMurashige & Skoog培地(Physiol.Plant,15:473,1962)の中の培養物中で増殖させた。細胞を7日間増殖させ、その後、細胞を回収した。過剰な液体を100メッシュのフィルター上で分離した。2週間後、形質転換細胞の試料を、モノクローナルマウス抗ヒトインターフェロンβ抗体と、親和性によって精製されたウサギ抗インターフェロンβ抗体(Calbiochem,La Jolla,CA)を使用するドットブロットアッセイを使用して、インターフェロンの発現の事前の分析のために回収した。両方の抗体によって、インターフェロンβで形質転換された細胞の中で強い特異的なシグナルが生じた。形質転換されていない細胞においてはシグナルは生じなかった。
【0265】
最も高い発現を有しているカルスの選択:形質転換の2週間後、ヒトインターフェロンβを発現する細胞を、それぞれの形質転換事象を示すカルスを単離するために、選択用の抗生物質(カナマイシンとセフォタキシム)を含む固体寒天の上に注いだ。カルスを形成させた後、これらをそれぞれのプレートに移し、3ヶ月間増殖させた。得られたカルスから、それぞれのカルス中での発現レベルを分析し、最も強い発現を有しているカルスを同定するために、十分な物質を回収した。図40は、ヒトインターフェロンβの最も強い発現について形質転換されたカルスをスクリーニングするための試料のウェスタンブロットを示している(例えば、レーン1および2を参照のこと)。
【0266】
ニンジン細胞の中での活性の分析:ニンジン細胞の中で生産された組み換え体であるヒトインターフェロンβの生物学的活性を評価するために、組み換え体である発現させられたタンパク質を、ウイルスの細胞変性阻害作用についてアッセイした(Rubinstein,ら.,J.Virol 1981;37:755−758)。簡単に説明すると、組み換え体であるヒトインターフェロンβ試料を予め稀釈し、予め形成させたWISH細胞(ヒト羊膜上皮細胞株)の単層に載せた。WISH細胞を水疱性口内炎ウイルス(VSV)でチャレンジし、細胞の生存性をモニターした。力価(U/mlで表わす)を、NIH標準インターフェロンβと比較して決定した。表1は、種々のトランスジェニックジェニックニンジン株から調製したタンパク質抽出物を使用した、ウイルス細胞変性阻害アッセイの結果を示す。
【0267】
したがって、これらの結果を見ると、ニンジンのカルスの中で発現された組み換え体であるヒトインターフェロンβは、自然界に存在しているヒトインターフェロンβとの抗原的および機能的同一性を明確に示している。
【0268】
本発明のデバイスの中での大量の培養物の増殖
組み換え体ヒト遺伝子インターフェロンβ(配列番号27および28)を含む遺伝子修飾されたニンジン細胞の約1cmのカルスを、4.4gr/lのMSD培地(Duchefa)、9.9mg/lのチアミンHCl(Duchefa)、0.5mgの葉酸(Sigma)、0.5mg/lのビオチン(Duchefa)、0.8g/lのカゼイン加水分解物(Duchefa)、糖30g/l、およびホルモン2−4D(Sigma St Louis,MO)を含む9cmの直径のMurashige and Skoog(MS)寒天培地プレート上にプレートした。カルスを25℃で14日間増殖させた。
【0269】
懸濁細胞培養物を、当該分野で周知であるように、MSD(0.2mg/lの2,4−ジクロロ酢酸を含むMurashige and Skoog(1962))液体培地中での形質転換されたカルスの継代培養によって調製した。懸濁細胞を、250mlの三角フラスコ(25mlの作業容量で開始し、7日後には50mlに増加した)の中で25℃で、60rpmの震盪速度で培養した。続いて、細胞培養容量を、同じ条件下での300mlまでの作業容量の添加によって、1Lの三角フラスコに増大させた。4LのMSD培地を含む小さいバイオリアクター(10L)(WO98/13469を参照のこと)の接種材料を、7日間培養した2つの1Lの三角フラスコに由来する400mlの懸濁細胞の添加によって得た。1分あたり1リットルの通気を用いた25℃で1週間の培養後、MSD培地を10Lまで添加し、同じ条件下で培養を続けた。さらに5日間の培養の後、細胞のほとんどを集め、80μのネットに細胞培地を通過させることによって回収した。余分な培地を搾り出し、充填細胞のケーキを−70℃で保存した。
【0270】
実施例5d:ニンジンカルス中での伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質2(VPII)のクローニングおよび発現
材料および実験手順
CEプラスミド:CEプラスミドの骨格は、植物細胞の小胞体での高いレベルでの発現および保持に不可欠なエレメントを全て含むさらなるカセットをポリクローニング部位の中に有しているBluescript SK+プラスミド(Stratagene,La Jolla CA)(配列番号15)である。このカセット(配列番号32およびマップ、図XXXを参照のこと)には、CaMV35Sプロモーター、Ωエンハンサー、塩基性エンドキチナーゼ遺伝子(シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))に由来するER標的化シグナルをコードするDNA断片、組み換え遺伝子の融合のためのEcoRIとSalI制限部位、KDEL ER保持シグナル、ならびに、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のオクトピン合成酵素(OCS)遺伝子の転写終結シグナルおよびポリアデニル化シグナルの配列が含まれている。
【0271】
pGA492:バイナリーベクターを、植物のゲノムに操作されたDNAを組み込むために設計した。バイナリーTiベクターpGA492(An,Methods in Enzymol 1987;153:292−305)は、カナマイシン耐性のための遺伝子を有している。
【0272】
伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質2(VPII)遺伝子のクローニング:伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質2(VPII)遺伝子のcDNA配列(GenBank Accession No.L42284)(配列番号29)は、J.Pitkovski,MIGAL Kiryat Shemoma Israel)から入手した。ウイルスのゲノムは、二本鎖RNAの2つのセグメントから形成されている。セグメントA(3.2kb)には、2つのオープンリーディングフレーム(ORF)A1およびA2が含まれている。ORF A1は、108kDaのポリタンパク質をコードし、これは、タンパク質分解によるプロセシングの後、3個の成熟ポリペプチド:VP2(VPII)(37から40kDa)、VP3(30から32kDa)、およびVP4(22kDa)を生じる。ウイルスのカプシドに由来するVPIIとVP3、ならびにVP4は、ポリタンパク質の切断に関与している。
【0273】
VPIIをコードするcDNAを、クローニングとシグナルの融合を容易にするためのプライマーを用いて増幅させた。簡単に説明すると、VPIIのコード配列を、正方向プライマー:VPII−(配列番号30)5’GCCTTCTGATGGCGCATGCAAATGGCAAACCTGCAAGATCAAACC3’と、逆方向プライマー:VPII−(配列番号31)5’GCCGGTGGTCTCTGCCATAAGGAGGATAGCTGTGTAATAGGAATTCGC3’を使用して増幅させた。
【0274】
また、組み込まれた制限部位SphIによって遺伝子のN末端にシグナルを融合できるようにもした。
【0275】
増幅反応はExpand High Fidelity PCR System(Roche−Applied−Science、カタログ番号:1732650)を使用し、製造業者の説明書にしたがって行った。PCR産物を、VPII配列の同定のために1%のアガロースゲル上で分離させた。図40は、優性なVPIIのバンド(矢印で示す)を示している。バンドを溶出させ、制限酵素EcoRIとSphIで切断し、製造業者の説明書にしたがって精製したCE発現カセットに連結させた。
【0276】
連結混合物を使用して、大腸菌(E.coli)DH5αを形質転換し、形質転換された細菌を、100μg/mlのアンピシリンを含む寒天プレート上で選択した。ポジティブクローンをPCR分析によって、35S正方向プライマー(配列番号5)とターミネーター逆方向プライマー(配列番号6)(図34および35)を使用したPCR分析によって選択した:
35Sプロモーター由来の正方向プライマー:5’CTCAGAAGACCAGAGGGC3’(配列番号5)
ターミネーター由来の後方プライマー:5’CAAAGCGGCCATCGTGC3’(配列番号6)。
【0277】
発現カセットを、制限酵素BamHIとXbaIを使用してCE−VPIIプラスミドから切り出した。pGA492ベクターをBglIIとXbaI(BglIIとBamHIは適合する結合末端を有している)で切断し、1%のアガロースゲルから溶出させた。バイナリーベクターとVPII発現カセットを連結させ、これを使用して大腸菌(E.coli)DH5α宿主細胞を形質転換させた。形質転換、増殖、およびプラスミドの抽出の後、ポジティブクローンをPCRと制限分析によって確認した。
【0278】
植物の形質転換:ニンジン細胞の形質転換は、以前に記載された方法(Wurtele,E.S.and Bulka,K.Plant Sci.61:253−262(1989))の適応によって、アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換を使用して行った。液体培地中の増殖中の細胞を、カルスの代わりにこのプロセスの全体を通じて使用した。インキュベーションおよび増殖時間は、液体培地中での細胞の形質転換に適応させた。簡単に説明すると、アグロバクテリウム(Agrobacteria)LB4404を「pGA492−CE−VPII」ベクターでエレクトロポレーションによって形質転換し(den Dulk−Ra,A.and Hooykaas,P.J.(1995)Methods Mol.Biol.55:63−72)、その後、30mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。ニンジン細胞(ノラニンジン(Daucus carota))をアグロバクテリウム(Agrobacteria)で形質転換し、液体培地中の60mg/mlのパロモマイシン抗生物質を使用して選択した。
【0279】
結果
培養されたニンジン細胞中での組み換え体VPIIの発現
ニンジン細胞の中での発現および分析:最初の分析:形質転換されたニンジン細胞を、GCDについて本明細書中で上記に記載したように、0.2mg/lの2,4ジクロロメトキシ酢酸を加えたMurashige & Skoog培地(Physiol.Plant,15:473,1962)の中の培養物中で増殖させた。細胞を7日間増殖させ、その後、細胞を回収した。過剰な液体を100メッシュのフィルター上で分離した。2週間後に、形質転換細胞の試料を、ニワトリ抗IBDVおよびウサギ抗IBDV抗体を使用するドットブロットアッセイを使用してVPIIの発現を予備的に分析するために回収した。いずれの抗体も、VBIIで形質転換された細胞の中で強い特異的なシグナルを生じた。形質転換されていない細胞においてはシグナルは生じなかった。
【0280】
最も高い発現を有しているカルスの選択:形質転換の2週間後、ヒトインターフェロンβを発現する細胞を、それぞれの形質転換事象を示すカルスを単離するために、選択用の抗生物質(カナマイシンとセフォタキシム)を含む固体寒天の上に注いだ。カルスを形成させた後、これらをそれぞれのプレートに移し、3ヶ月間増殖させた。それぞれのカルス中での発現レベルをウェスタンブロット分析によって分析し、最も強い発現を有しているカルスを同定するために十分な物質を、得られたカルスから回収した。図44は、VPIIの最も強い発現について形質転換されたカルスをスクリーニングするための試料のウェスタンブロットを示している(例えば、レーン2および11を参照のこと)。スクリーニングの後、もっとも高い発現を有しているカルス(vp2R21)を選択し、増殖させるために液体培地に移した。
【0281】
組み換え体VP11−ニワトリワクチン接種アッセイ:
組み換え体VP11を伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスに対するワクチンとしての有効性について、ニワトリにおいてアッセイした。全タンパク質抽出物をvp2R21株由来のカルスから調製し、注射によって(1mg)または経口で(3×100μg)、(各グループにおいて10匹の4週齢のニワトリに)投与した。経口投与は、連続する3日間、1匹のニワトリについて2グラムの濾過した細胞懸濁液を与えることによって行った。組み換え体VPIIでのワクチン接種の防御効果を表2に示す。
【0282】
第2の実験においては、800μgのvpIIを経口投与し、これによっては、ニワトリの17%において免疫化が生じた(結果は示さない)。したがって、ニンジン細胞の中で発現させた組み換え体Vp11は、注射用ワクチンとして有効である。
【0283】
本発明のデバイスの中での大量の培養物の増殖
組み換え体VPII(配列番号32および33)を含む遺伝子修飾されたニンジン細胞の約1cmのカルスを、4.4gr/lのMSD培地(Duchefa)、9.9mg/lのチアミンHCl(Duchefa)、0.5mgの葉酸(Sigma)、0.5mg/lのビオチン(Duchefa)、0.8g/lのカゼイン加水分解物(Duchefa)、糖30g/l、およびホルモン2−4D(Sigma St Louis,MO)を含む9cmの直径のMurashige and Skoog(MS)寒天培地プレート上にプレートした。カルスを25℃で14日間増殖させた。
【0284】
懸濁細胞培養物を、当該分野で周知であるように、MSD(0.2mg/lの2,4−ジクロロ酢酸を含むMurashige and Skoog(1962))液体培地中での形質転換された細胞の継代培養によって調製した。懸濁細胞を、250mlの三角フラスコ(25mlの作業容量で開始し、7日後には50mlに増加した)の中で25℃で、60rpmの震盪速度で培養した。続いて、細胞培養容量を、同じ条件下での300mlまでの作業容量の添加によって、1Lの三角フラスコに増大させた。4LのMSD培地を含む小さいバイオリアクター(10L)(WO98/13469を参照のこと)の接種材料を、7日間培養した2つの1Lの三角フラスコに由来する400mlの懸濁細胞の添加によって得た。1分あたり1Lの通気を用いた25℃での1週間の培養後、MSD培地を10Lまで添加し、同じ条件下で培養を続けた。さらに5日間の培養の後、細胞のほとんどを集め、80μのネットに細胞培地を通過させることによって回収した。余分な培地を搾り出し、充填細胞のケーキを−70℃で保存した。
【0285】
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0286】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更及び変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更及び変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許及び特許願はすべて、それぞれの刊行物、特許及び特許願が各々あたかも具体的にかつそれぞれに引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用又は確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0287】
【図1a−b】図1a〜bには、本発明のデバイスの第1の実施形態の主な構成部材が、正面図および断面側面図が示される。
【図1c】図1cには、本発明の例示的なシステムが示される。
【図2】図2aおよび2bには、それぞれ、本発明のデバイスの第2の実施形態の主な構成部材が、それぞれ、正面図および断面側面図として示される。
【図3】本発明のデバイスの第3の実施形態の主な構成部材が断面側面図として示される。
【図4】本発明のデバイスの第1の実施形態の継目線が正面図として示される。
【図5】図5aおよび5bには、本発明のデバイスの第4の実施形態の主な構成部材が、それぞれ、側面図および断面の上方視点図として示される。図5cおよび5dには、図5(a)の線B−BおよびC−Cに沿った、第4の実施形態の横方向の断面図が示される。
【図6】図6aおよび6bには、本発明のデバイスの第5の実施形態の主な構成部材が、それぞれ、側面図および断面の上方視点図として示される。図6cおよび6dには、図6(a)の線B−BおよびC−Cに沿った、第5の実施形態の横方向の断面図が示される。
【図7】図5の実施態様が透視図として示される。
【図8】図6の実施態様が透視図として示される。
【図9】図5〜8の実施形態を使用するための支持構造体が示される。
【図10】図1〜8のいずれか1つのデバイスを複数個含む、本発明のバッテリーの好ましい実施形態の主な構成部材が示される。
【図11a】本発明とともに使用される発現カセットとベクターが示される。
【図11b】本発明とともに使用される発現カセットとベクターが示される。
【図12】三角フラスコに対して向かい合わせた本発明のデバイスの中での、形質転換された(グルコセレブロシダーゼ(GCD))ニンジン細胞懸濁物の増殖が示される。
【図13】三角フラスコに対して向かい合わせた本発明のデバイスによって生産されたGCDの相対的な量が示される。
【図14】平行である増殖曲線に関して、7%および15%の充填細胞容量の開始点が示される。
【図15】これらの2つの増殖条件についての定量的ウェスタンブロットによるGCDタンパク質の量が示される。
【図16】定常点を見つけるための、さらに長い期間(14日間)にわたる増殖が示される。
【図17】最大量のGCD(他のタンパク質と比較して)は形質転換された細胞によって8日目までに生産され、その後、生産されたGCDの量は減少し始めたことが示される。
【図18】4日目に培地を交換し、および/または新しい培地を添加することにより、8日目を越えても細胞の高い増殖レベルが維持されることが示される。
【図19】図18に記載される条件下で生産されたGCDの量が示される。
【図20】図18に記載される条件下で生産されたGCDの量が示される。
【図21】細胞増殖に対する種々の糖レジュメの効果が示される。
【図22】図22aおよび22bには、GCDの生産に対する種々の糖レジュメの効果が示される。
【図23】図23aおよび23bには、本発明の10Lのデバイスの中での細胞増殖に対するエアレーション速度の効果が示される。
【図24】本発明のデバイスに対するさらなる酸素の添加の効果が示される。
【図25】PCRによる増幅後の、ヒト第X因子をコードする配列(矢印)の電気泳動による分離が示される。
【図26】CaMV35SΩとOCSターミネーター配列の間に第X因子の配列が連結されている、連結されたCE−FX−KDEL構築物が示される。制限酵素の認識部位の位置が示される。
【図27】中に連結カセットCE−FX−KDELが導入されているpBluescript SKベクターのマップである。
【図28】プラスミドpzp−FX−ERおよびpGREEN nos−kana−FX−ERで形質転換したクローンの制限分析であり、これにより、植物細胞中でのヒト第X因子のクローニングおよび発現に使用したカセット、およびプラスミドが示される。
【図29】CaMV35S+Ω、OCSターミネーターと、NPTII配列の間に第X因子配列が連結されている、pGREEN nos−kana−FX−ER構築物のTDNAが示される。制限酵素の認識部位の位置が示される。
【図30】多数の形質転換されたニンジン細胞株の細胞内容物のウェスタンブロット分析が示される。
【図31】植物細胞中で発現させられた組み換え体ヒト第X因子の的確な切断が示される。
【図32】植物細胞中で発現させられた組み換え体ヒト第X因子の触媒活性を示すグラフである。
【図33】PCRによる増幅後の、ヒトIfnβコード配列(矢印)の電気泳動による分離が示される。
【図34】CE−K発現カセットを使用して大腸菌(E.coli)DH5αにクローニングされた、増幅されたヒトIfnβコード配列の電気泳動による分離が示される。
【図35】CE−K発現カセットを使用して大腸菌(E.coli)DH5αにクローニングされた、増幅されたヒトIfnβコード配列の電気泳動による分離が示される。
【図36】ifnポジティブクローンの制限分析産物の電気泳動による分離が示される。
【図37】CaMV35S+ΩとOCSターミネーター配列の間にヒトIfnβのコード配列が連結されている、連結させられたCE−ifn−KDEL構築物が示される。制限酵素の認識部位の位置が示される。
【図38】pzp−ifn−KDELプラスミドとpzp−ifn−STOPプラスミドの調製に使用されたpzp 111バイナリーベクターのマップであり、制限酵素認識部位が示される。
【図39】pzp−ifn−KDELプラスミドとpzp−ifn−STOPプラスミドを有しているアグロバクテリウムLB4404で形質転換されたニンジン細胞のクローンの中で発現させられた組み換え体ヒトIfnβの免疫検出を示すウェスタンブロットである。
【図40】PCRによる増幅後の、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスのウイルスタンパク質2(VPII)をコードする配列(矢印)の電気泳動による分離が示される。
【図41】CE−K発現カセットを使用して大腸菌(E.coli)DH5αにクローニングされた、増幅されたVPIIコード配列の電気泳動による分離が示される。
【図42】CE−VPIIの調製に使用されたCEバイナリーベクターのマップであり、制限酵素認識部位が示される。
【図43】図43aおよび43bは、PAGE分析(43A)とウェスタンブロット(43B)であり、これらによって、pGA492−CE−VPIIプラスミドを有しているアグロバクテリウムLB4404で形質転換されたニンジン細胞のクローンの中で発現させられた組み換え体VPIIの電気泳動による分離と免疫検出が示される。
【配列表フリーテキスト】
【0288】
配列番号1はER用のシグナルペプチドである。
配列番号2はタバコキチナーゼAからの液胞標的化シグナルである。
配列番号3〜6は一本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。
配列番号9はCaMV 35Sプロモーター核酸配列である。
配列番号10はERシグナルペプチドをコードする核酸配列である。
配列番号11は液胞標的化配列をコードする核酸配列である。
配列番号12はターミネーター用配列である。
配列番号13はシグナルペプチドに融合された組換えGCDをコードする核酸である。
配列番号14はシグナルペプチドに融合された組換えGCDである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1回のサイクルにおいて細胞および/または組織を純培養し、回収するための使い捨てのデバイスであって、前記デバイスには、上端と下端を有する滅菌可能な使い捨ての容器が含まれており、前記容器は、適切な滅菌の生物学的細胞、および/または組織培養培地、および/または純培養の接種材料、および/または滅菌された空気、および/または必要とされる他の滅菌の添加物で少なくとも一部が満たされることができ、前記容器には、:(i)前記容器から過剰な空気および/または排ガスを除去するための気体吹き出し口;(ii)前記接種材料、および/または前記培養培地、および/または前記添加物を前記容器内に導入するための添加物入口が含まれる場合において、前記容器には、(iii)所望の場合には、細胞および/または組織を含む前記培地の少なくとも所望の部分の回収を可能にし、それによって、前記デバイスを少なくとも1回のさらなる連続する培養/回収サイクルに連続して使用できるようにするための流量調整器を含む再利用可能な回収装置がさらに含まれ、この場合、先の回収されたサイクルから残っている、細胞および/または組織を含む前記培地の残りを、次の培養および回収サイクルのための接種材料とすることができ、この場合、前記培養培地および/または前記必要な添加物は提供されることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記使い捨ての容器は透明であるか、および/または半透明である請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
滅菌の気体を気泡の形態で、第1吸入口開口部から前記培養培地に導入するための空気吸入口がさらに含まれ、この場合、前記空気吸入口は、適切な気体供給源に接続することができる請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記空気吸入口は、培養の間に1回より多く滅菌の気体を導入するためのものである請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記空気吸入口は滅菌の気体を連続して導入するためのものである請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
複数の様々な気体が、前記空気吸入口から種々の時間および/または濃度で導入される請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記回収装置には、前記回収装置から前記容器への汚染物質の導入を実質的に防ぐための汚染防止装置が含まれる請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記容器は剛体ではない請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記容器は剛体ではないプラスチック材料製である請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記材料は、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンとナイロン、PVCとEVAの共重合体からなる群より選択される請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記容器は、前記材料の1層より多い積層体から作られる請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記容器は、あらかじめ決定された継目に沿った、前記材料の2枚の適切なシートの溶融結合によって形成される請求項9に記載のデバイス。
【請求項13】
前記空気吸入口には、前記吸入口開口部から、その底部または底部に近い前記容器の内側の位置に向かって伸びる空気吸入口吸気管が含まれる請求項3に記載のデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの空気吸入口には、空気の適切な供給源に接続することができ、かつ複数の第2の吸気管と繋げられた、少なくとも1つの空気吸入口吸気管が含まれ、それぞれの前記第2の吸気管は、前記培養培地の中に気泡の形態で滅菌の空気を導入するために、前記容器内の位置に向かって、その中の適切な吸入口開口部を通じて伸びている請求項3に記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイスには、実質的には箱のような幾何学的立体構造が含まれ、これが、全体の長さ、高さ、および幅を有している請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
長さに対する高さの比は約1から約3であり、好ましくは約1.85である請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
幅に対する高さの比は、約5から約30であり、好ましくは約13である請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記デバイスには、前記デバイスの深さに実質的に及ぶ支持開口が含まれ、前記開口は、適切な棒支持体の上に前記デバイスを支持できるように適合される請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
デバイスを支持するための支持構造体がさらに含まれる請求項14に記載のデバイス。
【請求項20】
前記支持構造体には、一対の向かい合わせられたフレームが含まれ、前記フレームのそれぞれには、上部および下部の支持部材に対して適切に取り付けられた実質的に平行な垂直方向の複数の支持部材によって間隔を隔てられた前記上部支持部材と下部支持部材が含まれる請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記複数の垂直方向の支持部材は、前記上部支持部材と下部支持部材のそれぞれの縦方向の先端にある少なくとも1つの前記垂直方向の支持部材から構成される請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記フレームは、前記フレームに対して除去可能であるように、または前記フレームに対して一体として取り付けられた複数の間隔を隔てるための棒によって互いに間隔を隔てられている請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
前記間隔を隔てるための棒は、前記デバイスを前記支持構造体に容易に挿入することができ、かつ前記支持構造体から比較的容易に取り外せるように、戦略的に配置される請求項21に記載のデバイス。
【請求項24】
それぞれの前記フレームの前記下部支持部材には、前記デバイスの前記下方の末端の対応する部分を受け止め、そして支持するように適応させられた、少なくとも1つの下部支持部材が含まれる請求項20に記載のデバイス。
【請求項25】
それぞれの前記下部支持部材は、向かい合ったフレームの方向に下部支持部材のそれぞれから突出する、適切な形状のタブの形態である請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記フレームにはそれぞれ、予め決定された位置に前記デバイスの側壁に対して押し付けるための、向かい合うフレームの方向に向かう、それぞれのフレームから突出する少なくとも1つの内部仕切りが含まれ、その結果、向かい合わせられた前記内部仕切りの対によって、前記デバイスの幅が前記予め決定された位置に効果的に狭められる請求項20に記載のデバイス。
【請求項27】
前記内部仕切りには、適切な上部および下部の支柱を有する向かい合わせられたフレームに向かう方向で、前記上部および下部の支持部材から間隔を隔てられている適切な実質的に垂直方向の部材が含まれる請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記支持構造体には、前記デバイスの運搬のための複数のキャスターが含まれる請求項19に記載のデバイス。
【請求項29】
少なくとも幾つかの前記気泡は、約1mmから約10mmの平均直径を有する請求項3に記載のデバイス。
【請求項30】
少なくとも幾つかの前記気泡は、約4mmの平均直径を有する請求項3に記載のデバイス。
【請求項31】
前記容器には、前記気体吹き出し口からの容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐために前記気体吹き出し口に取り付けられた適切なフィルターが含まれる請求項1に記載のデバイス。
【請求項32】
前記容器にはさらに、前記添加物入口からの容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐために前記添加物入口に取り付けられた適切なフィルターが含まれる請求項1に記載のデバイス。
【請求項33】
U型の流体トラップを含む汚染防止装置がさらに含まれ、前記U型流体トラップの一方のアームは、適切な無菌の連結装置を介して前記回収装置の外部出口に無菌的に取り付けられる請求項1に記載のデバイス。
【請求項34】
前記回収装置は、前記容器の前記下端の底部に取り付けられる請求項1に記載のデバイス。
【請求項35】
前記回収装置は、前記容器の前記下端の底部付近に配置され、その結果、各回収サイクルの最後に、細胞および/または組織を含む前記培地の前記残りが、前記回収装置のレベルよりも下のレベルまでの前記容器の前記下端に自動的に残る請求項1に記載のデバイス。
【請求項36】
細胞および/または組織を含む前記培地の前記残りは、前記容器の底部から前記回収装置までの距離d2に、少なくとも部分的にしたがって決定される請求項1に記載のデバイス。
【請求項37】
細胞および/または組織を含む前記培地の前記残りは、前記培養培地と前記接種材料のもとの容量の約2.5%から約45%を占める請求項1に記載のデバイス。
【請求項38】
細胞および/または組織を含む前記培地の前記残りは、前記培養培地および前記接種材料のもとの容量の約10%から約20%を占める請求項37に記載のデバイス。
【請求項39】
前記下端は実質的には凸状である請求項1に記載のデバイス。
【請求項40】
前記下端は実質的には円錐台状である請求項1に記載のデバイス。
【請求項41】
前記容器は、約5リットルから約200リットルの間、好ましくは、約50リットルから150リットルの間、好ましくは、約100リットルの内部充填容量を有する請求項1に記載のデバイス。
【請求項42】
前記デバイスには、適切な支持構造体に対して前記デバイスを取り付けるための適切な取り付け器具がさらに含まれる請求項1に記載のデバイス。
【請求項43】
前記取り付け器具には、前記容器の前記上端に一体として取り付けられることが好ましい、適切な材質の輪が含まれる請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
植物細胞培養物に適応されている請求項1に記載のデバイス。
【請求項45】
前記植物細胞培養物には、組換え体タンパク質を発現することができる植物細胞が含まれる請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
前記植物細胞は、アルファルファ細胞、タバコ細胞、およびタバコ細胞株細胞からなる群より選択される請求項45に記載のデバイス。
【請求項47】
前記植物細胞培養物には、植物の根から得られた植物細胞が含まれる請求項44に記載のデバイス。
【請求項48】
前記植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞、セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞からなる群より選択される請求項47に記載のデバイス。
【請求項49】
前記組換え体タンパク質は、原核生物タンパク質、ウイスルタンパク質、真核生物タンパク質、およびキメラタンパク質からなる群より選択される請求項45に記載のデバイス。
【請求項50】
前記ウイスルタンパク質は、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質VPIIである請求項49に記載のデバイス。
【請求項51】
前記真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである請求項49に記載のデバイス。
【請求項52】
前記真核生物タンパク質はヒト凝固因子である請求項49に記載のデバイス。
【請求項53】
前記凝固因子はヒト凝固因子Xである請求項52に記載のデバイス。
【請求項54】
前記真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である請求項49に記載のデバイス。
【請求項55】
前記リソソーム酵素はヒトグルコセレブロシターゼである請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
少なくとも2つの請求項3の前記使い捨てのデバイスが含まれる前記デバイスのバッテリー。
【請求項57】
前記デバイスは、それぞれの前記デバイスの取り付け器具を介して適切な支持構造体によって支持される請求項56に記載のバッテリー。
【請求項58】
それぞれの前記デバイスの前記気体吹き出し口は、汚染物質が前記デバイスへ流れることを防ぐための遮断装置を任意に含む共通の気体吹き出し口管に適切に繋げられる請求項56に記載のバッテリー。
【請求項59】
前記遮断装置には適切なフィルターが含まれる請求項58に記載のバッテリー。
【請求項60】
それぞれの前記デバイスの前記添加物入口は、自由末端に適切な無菌の連結装置を任意に含む、自由末端を有する、共通の添加物入口管に適切に接続される請求項56に記載のバッテリー。
【請求項61】
前記自由末端は、培地および/または添加物の適切な供給源に接続することができる請求項60に記載のバッテリー。
【請求項62】
それぞれの前記デバイスの前記回収装置は、自由末端に適切な無菌の連結装置を任意に含む、自由末端を有する共通の回収管に適切に接続される請求項56に記載のバッテリー。
【請求項63】
前記共通の回収管からの前記容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐための汚染防止装置がさらに含まれる請求項62に記載のバッテリー。
【請求項64】
前記汚染防止装置には、U型の流体トラップが含まれ、U型流体トラップの一方のアームは、開口部を有する自由末端であり、そのもう一方の末端は、適切な無菌の連結装置を介して前記共通の回収管の前記自由末端に無菌的に取り付けられる請求項63に記載のバッテリー。
【請求項65】
前記U型管の前記自由末端は、適切な貯蔵タンクに接続することができる請求項64に記載のバッテリー。
【請求項66】
それぞれの前記デバイスの前記空気吸入口は、自由末端その場所に適切な無菌の連結装置を任意に含む、自由末端を有する共通の空気吸入口吸気管に対して適切に接続される請求項56に記載のバッテリー。
【請求項67】
前記自由末端は、適切な空気供給源に接続することができる請求項66に記載のバッテリー。
【請求項68】
以下のことを含む、使い捨てのデバイスにおいて細胞および/または組織を純培養し、そして回収するための方法:
上端と下端を有する、滅菌可能な透明および/または半透明の使い捨ての容器を含むデバイスを提供すること、但しこの容器は、適切な滅菌の生物学的細胞、および/または組織培養培地、および/または純培養接種物、および/または滅菌の空気、および/または他の滅菌の必要とされる添加物で少なくとも一部を満たすことができ、前記容器には、
(i)前記容器から過剰な空気および/または排ガスを除去するための気体吹き出し口;
(ii)前記接種材料、および/または前記培養培地、および/または前記添加物を前記容器内に導入するための添加物入口;ならびに、
(iii)所望の場合には、細胞および/または組織を含む前記培地の少なくとも一部を回収できるようにし、それによって、前記デバイスを少なくとも1回のさらなる連続するサイクルに連続して使用できるようにするための適切な流量調整器を含む再利用可能な回収装置が含まれ、但し先に回収されたサイクルから残っている、細胞および/または組織を含む前記培地の残りを次の培養および回収サイクルのための接種材料とすることができ、この場合、培養培地および/または必要とされる添加物は提供される;
前記回収装置から純培養の接種材料を提供すること;
滅菌の前記培養培地および/または滅菌の前記添加物を前記添加物入口から提供すること;
所望により、外部照明を用いて前記容器を照らすこと;ならびに、
所望の収量が得られるまで、前記細胞および/または組織を前記培地の中で増殖させること。
【請求項69】
過剰な空気および/または排ガスを、前記気体吹き出し口を通じて連続的に前記容器から外に出すことがさらに含まれる請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記容器内で生産された細胞/組織の汚染および/または品質をチェックすることがさらに含まれ、汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低い場合には、デバイスとその内容物は廃棄され、汚染が認められない場合には、細胞および/または組織を含む前記培地の前記所望の部分が回収される請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記所望の部分は回収されるが、細胞および/または組織を含む培地の残りは前記容器の中に残され、培地の前記残りは、次の培養/回収サイクルのための接種材料となる請求項70に記載の方法。
【請求項72】
次の培養/回収サイクルのための滅菌の前記培養培地および/または滅菌の前記添加物を前記添加物入口から提供すること;ならびに、
前記汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低くなるまで、増殖サイクルを繰り返し、その後デバイスとその内容物は廃棄される
ことをさらに含む請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記デバイスには、適切な滅菌空気の供給源に接続することができる第1の吸入口開口部から前記培養培地の中に気泡の形態で滅菌空気を導入するための空気吸入口がさらに含まれ、前記方法には、最初のサイクルと、それに続くそれぞれのサイクルの間に滅菌空気を前記空気吸入口に提供する工程がさらに含まれる請求項68に記載の方法。
【請求項74】
前記滅菌空気は、少なくとも1回の培養サイクルの間中、連続して供給される請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記滅菌空気は、少なくとも1回の培養サイクルの間、パルスで供給される請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記細胞には、組換え体タンパク質を発現することができる植物細胞が含まれる請求項68に記載の方法。
【請求項77】
前記植物細胞には、アルファルファ細胞、タバコ細胞、およびタバコ細胞株細胞からなる群より選択される請求項76に記載のデバイス。
【請求項78】
前記細胞には、植物の根から得られた植物細胞が含まれる請求項68に記載の方法。
【請求項79】
前記植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞、セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞からなる群より選択される請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記組換え体タンパク質は、原核生物タンパク質、ウイスルタンパク質、真核生物タンパク質、およびキメラタンパク質からなる群より選択される請求項76に記載の方法。
【請求項81】
前記ウイスルタンパク質は、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質VPIIである請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記真核生物タンパク質はヒト凝固因子である請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記凝固因子はヒト凝固因子Xである請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記リソソーム酵素はヒトグルコセレブロシターゼである請求項80に記載の方法。
【請求項87】
以下のことを含む、使い捨てのデバイスのバッテリーの中で、細胞および/または組織を純培養し、回収するための方法:
請求項64に記載のデバイスのバッテリーと、その少なくとも1つの前記デバイスを提供すること;
共通の回収管を通じて前記デバイスに純培養の接種材料を提供すること;
共通の添加物入口管を通じて、前記デバイスに前記滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物を提供すること;
所望により、外部照明を用いて前記デバイスを照らすこと;ならびに、
前記デバイスの中の前記細胞および/または組織を前記培地の中で所望の収量まで増殖させること。
【請求項88】
過剰な空気および/または排ガスを、共通の空気吹き出し口管を通じて連続して前記デバイスから外に出すこと;
前記デバイスの中で生産された細胞/組織の汚染および/または品質をチェックすることがさらに含まれ:
前記デバイスの中で汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低い場合には、前記デバイスの前記回収装置は、前記バッテリーの他の前記デバイスの汚染を防ぐために閉じられ;
前記バッテリーの全ての前記デバイスにおいて汚染が認められるか、またはその中で生産された細胞/組織の品質が低い場合、全てのデバイスとそれらの内容物は廃棄され;
汚染が認められず、生産された細胞/組織の品質が許容される場合、それぞれの回収可能なデバイスについて共通の回収管と、前記の汚染防止装置を通じて細胞および/または組織を含む前記培地の所望の部分が適切な貯蔵タンクへ回収される請求項87に記載の方法。
【請求項89】
細胞および/または組織を含む培地の残りは前記容器内に残っており、前記残りは次の培養/回収サイクルのための接種材料となり、前記方法には、次の培養/回収サイクルのための滅菌の前記培養培地および/または滅菌の前記添加物を、前記添加物入口から提供して増殖サイクルを形成することがさらに含まれる請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記増殖サイクルは、前記汚染が認められるか、または前記バッテリーの全ての前記デバイスについて生産された細胞/組織の品質が低くなるまで繰り返され、その後、前記汚染防止装置が共通の回収装置と前記デバイスから取り外され、それらの内容物が廃棄される請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記細胞には、組換え体タンパク質を発現することができる植物細胞が含まれる請求項87に記載の方法。
【請求項92】
前記植物細胞は、アルファルファ細胞、タバコ細胞、およびタバコ細胞株細胞からなる群より選択される請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記細胞には、植物の根から得られた植物細胞が含まれる請求項87に記載の方法。
【請求項94】
前記植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞、セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞からなる群より選択される請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記組換え体タンパク質は、原核生物タンパク質、ウイスルタンパク質、真核生物タンパク質、およびキメラタンパク質からなる群より選択される請求項91に記載の方法。
【請求項96】
前記ウイスルタンパク質は、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質VPIIである請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記真核生物タンパク質はヒト凝固因子である請求項95に記載の方法。
【請求項99】
前記凝固因子はヒト凝固因子Xである請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記リソソーム酵素はヒトグルコセレブロシターゼである請求項100に記載の方法。
【請求項102】
以下のことを含む、使い捨てのデバイスのバッテリーの中で、細胞および/または組織を純培養し、回収するための方法:
請求項67に記載のデバイスのバッテリーと、前記デバイスの少なくとも1つを提供すること;
共通の回収管を通じて前記デバイスに純培養の接種材料を提供すること;
共通の添加物入口管を通じて、前記デバイスに滅菌の前記培養培地および/または滅菌の添加物を提供すること;
共通の空気吸入口吸気管を通じて、前記デバイスに滅菌空気を提供すること;
所望により、外部照明を用いて前記デバイスを照らすこと;ならびに、
前記デバイスの中の細胞および/または組織を前記培地の中で所望の収量まで増殖させること。
【請求項103】
過剰な空気および/または排ガスを、共通の空気吹き出し口管を通じて連続して前記デバイスから外に出すこと;ならびに、
前記デバイスの中で生産された細胞/組織の汚染および/または品質をチェックすることがさらに含まれ:
前記デバイスの中で汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低い場合には、前記デバイスの前記回収装置は、前記バッテリーの他の前記デバイスの汚染を防ぐために閉じられ;前記バッテリーの全ての前記デバイスにおいて汚染が認められるか、またはその中で生産された細胞/組織の品質が低い場合には、全てのデバイスとそれらの内容物は廃棄され;汚染が認められず、生産された細胞/組織の品質が許容される場合には、デバイスは回収可能と見なされる請求項102に記載の方法。
【請求項104】
共通の回収管と、前記汚染防止装置を通じて、それぞれの回収可能なデバイスについて、細胞および/または組織を含む前記培地の少なくとも所望の部分を適切な貯蔵タンクへ回収することがさらに含まれる請求項103に記載の方法。
【請求項105】
細胞および/または組織を含む培地の残りは前記容器内に残っており、前記残りは次の培養/回収サイクルの接種材料となり、前記方法には、次の培養/回収サイクルのための滅菌の前記培養培地および/または滅菌の前記添加物を、添加物入口から提供して増殖サイクルを形成することがさらに含まれる請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記増殖サイクルは、前記バッテリーの全ての前記デバイスについて前記汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低くなるまで繰り返され、その後、前記汚染防止装置が共通の回収装置と前記デバイスから取り外され、それらの内容物が廃棄される請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記細胞には、組換え体タンパク質を発現することができる植物細胞が含まれる請求項102に記載の方法。
【請求項108】
前記植物細胞は、アルファルファ細胞、タバコ細胞、およびタバコ細胞株細胞からなる群より選択される請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記細胞には、植物の根から得られた植物細胞が含まれる請求項102に記載の方法。
【請求項110】
前記植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞、セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞からなる群より選択される請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記組換え体タンパク質は、原核生物タンパク質、ウイスルタンパク質、真核生物タンパク質、およびキメラタンパク質からなる群より選択される請求項107に記載の方法。
【請求項112】
前記ウイスルタンパク質は、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質VPIIである請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである請求項111に記載の方法。
【請求項114】
前記真核生物タンパク質はヒト凝固因子である請求項111に記載の方法。
【請求項115】
前記凝固因子はヒト凝固因子Xである請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である請求項111に記載の方法。
【請求項117】
前記リソソーム酵素はヒトグルコセレブロシターゼである請求項116に記載の方法。
【請求項118】
植物細胞を培養するための使い捨ての容器を含む、植物細胞の培養のためのデバイス。
【請求項119】
前記使い捨ての容器は、少なくとも1回のさらなる連続する培養/回収サイクルに連続して使用することができる請求項118に記載のデバイス。
【請求項120】
所望の場合には、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも所望の部分を回収できるようにし、それによって、前記デバイスを、少なくとも1回のさらに連続する培養/回収サイクルに連続して使用できるようにする流量調整器を含む再利用可能な回収装置がさらに含まれる請求項119に記載のデバイス。
【請求項121】
前記流量調整器は、細胞および/または組織を含む前記培地の残りの滅菌性を維持し、その結果、先に回収されたサイクルから残っている前記培地の残りは、次の培養および回収サイクルのための接種材料となる請求項120に記載のデバイス。
【請求項122】
前記細胞には、組換え体タンパク質を発現することができる植物細胞が含まれる請求項118に記載のデバイス。
【請求項123】
前記植物細胞は、アルファルファ細胞、タバコ細胞、およびタバコ細胞株細胞からなる群より選択される請求項122に記載のデバイス。
【請求項124】
前記植物細胞には、植物の根から得られた植物細胞が含まれる請求項118に記載のデバイス。
【請求項125】
前記植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞、セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞からなる群より選択される請求項124に記載のデバイス。
【請求項126】
前記組換え体タンパク質は、原核生物タンパク質、ウイスルタンパク質、真核生物タンパク質、およびキメラタンパク質からなる群より選択される請求項122に記載のデバイス。
【請求項127】
前記ウイスルタンパク質は、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質VPIIである請求項126に記載のデバイス。
【請求項128】
前記真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである請求項126に記載のデバイス。
【請求項129】
前記真核生物タンパク質はヒト凝固因子である請求項126に記載のデバイス。
【請求項130】
前記凝固因子はヒト凝固因子Xである請求項129に記載のデバイス。
【請求項131】
前記真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である請求項126に記載のデバイス。
【請求項132】
前記リソソーム酵素はヒトグルコセレブロシターゼである請求項126に記載のデバイス。
【請求項133】
使い捨ての容器の中で植物細胞を培養することが含まれる、植物細胞を培養するための方法。
【請求項134】
前記使い捨ての容器には、滅菌の気体または混合気体を導入するための空気吸入口が含まれる請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記滅菌の気体には空気が含まれる請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記滅菌の混合気体には、空気と追加の酸素の混合気体が含まれる請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記追加の酸素は前記空気とは別に添加される請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記追加の酸素は、細胞培養の開始後、複数日添加される請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記滅菌の気体または混合気体は、培養の間に1回より多く添加される請求項134に記載の方法。
【請求項140】
前記空気吸入口は滅菌の気体を連続して導入するためのものである請求項134に記載の方法。
【請求項141】
複数の異なる気体が、前記空気吸入口から様々な時間および/または濃度で導入される請求項134に記載の方法。
【請求項142】
前記吸入口から細胞をエアレーションすることがさらに含まれる請求項134に記載の方法。
【請求項143】
前記エアレーションには、1分あたり少なくとも1.5リットルの気体を投与することが含まれる請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記細胞を増殖させるために十分な培地を提供することがさらに含まれる請求項133に記載の方法。
【請求項145】
十分な培地は、通常の培地の濃度の少なくとも約125%の濃度である請求項144に記載の方法。
【請求項146】
細胞の増殖の間に、しかし回収の前に、培地を添加することがさらに含まれる請求項144に記載の方法。
【請求項147】
追加の培地を、前記細胞の培養の開始後少なくとも約3日添加することがさらに含まれる請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記細胞の培養の開始後、少なくとも約3日、完全に培地を交換することがさらに含まれる請求項146に記載の方法。
【請求項149】
前記培地には糖の混合物が含まれる請求項144に記載の方法。
【請求項150】
前記培地には細胞培養のための通常の量よりも多量のスクロースが含まれる請求項144に記載の方法。
【請求項151】
前記細胞には、組換え体タンパク質を発現することができる植物細胞が含まれる請求項133に記載の方法。
【請求項152】
前記植物細胞は、アルファルファ細胞、タバコ細胞、およびタバコ細胞株細胞からなる群より選択される請求項151に記載の方法。
【請求項153】
前記組換え体タンパク質は、原核生物タンパク質、ウイスルタンパク質、真核生物タンパク質、およびキメラタンパク質からなる群より選択される請求項151に記載の方法。
【請求項154】
前記ウイスルタンパク質は、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質VPIIである請求項152に記載の方法。
【請求項155】
前記真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである請求項153に記載の方法。
【請求項156】
前記真核生物タンパク質はヒト凝固因子である請求項155に記載の方法。
【請求項157】
前記凝固因子はヒト凝固因子Xである請求項156に記載の方法。
【請求項158】
前記真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である請求項152に記載の方法。
【請求項159】
前記リソソーム酵素はヒトグルコセレブロシターゼである請求項158に記載の方法。
【請求項1】
少なくとも1回のサイクルにおいて細胞および/または組織を純培養し、回収するための使い捨てのデバイスであって、前記デバイスには、上端と下端を有する滅菌可能な使い捨ての容器が含まれており、前記容器は、適切な滅菌の生物学的細胞、および/または組織培養培地、および/または純培養の接種材料、および/または滅菌された空気、および/または必要とされる他の滅菌の添加物で少なくとも一部が満たされることができ、前記容器には、:(i)前記容器から過剰な空気および/または排ガスを除去するための気体吹き出し口;(ii)前記接種材料、および/または前記培養培地、および/または前記添加物を前記容器内に導入するための添加物入口が含まれる場合において、前記容器には、(iii)所望の場合には、細胞および/または組織を含む前記培地の少なくとも所望の部分の回収を可能にし、それによって、前記デバイスを少なくとも1回のさらなる連続する培養/回収サイクルに連続して使用できるようにするための流量調整器を含む再利用可能な回収装置がさらに含まれ、この場合、先の回収されたサイクルから残っている、細胞および/または組織を含む前記培地の残りを、次の培養および回収サイクルのための接種材料とすることができ、この場合、前記培養培地および/または前記必要な添加物は提供されることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記使い捨ての容器は透明であるか、および/または半透明である請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
滅菌の気体を気泡の形態で、第1吸入口開口部から前記培養培地に導入するための空気吸入口がさらに含まれ、この場合、前記空気吸入口は、適切な気体供給源に接続することができる請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記空気吸入口は、培養の間に1回より多く滅菌の気体を導入するためのものである請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記空気吸入口は滅菌の気体を連続して導入するためのものである請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
複数の様々な気体が、前記空気吸入口から種々の時間および/または濃度で導入される請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記回収装置には、前記回収装置から前記容器への汚染物質の導入を実質的に防ぐための汚染防止装置が含まれる請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記容器は剛体ではない請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記容器は剛体ではないプラスチック材料製である請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記材料は、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンとナイロン、PVCとEVAの共重合体からなる群より選択される請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記容器は、前記材料の1層より多い積層体から作られる請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記容器は、あらかじめ決定された継目に沿った、前記材料の2枚の適切なシートの溶融結合によって形成される請求項9に記載のデバイス。
【請求項13】
前記空気吸入口には、前記吸入口開口部から、その底部または底部に近い前記容器の内側の位置に向かって伸びる空気吸入口吸気管が含まれる請求項3に記載のデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの空気吸入口には、空気の適切な供給源に接続することができ、かつ複数の第2の吸気管と繋げられた、少なくとも1つの空気吸入口吸気管が含まれ、それぞれの前記第2の吸気管は、前記培養培地の中に気泡の形態で滅菌の空気を導入するために、前記容器内の位置に向かって、その中の適切な吸入口開口部を通じて伸びている請求項3に記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイスには、実質的には箱のような幾何学的立体構造が含まれ、これが、全体の長さ、高さ、および幅を有している請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
長さに対する高さの比は約1から約3であり、好ましくは約1.85である請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
幅に対する高さの比は、約5から約30であり、好ましくは約13である請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記デバイスには、前記デバイスの深さに実質的に及ぶ支持開口が含まれ、前記開口は、適切な棒支持体の上に前記デバイスを支持できるように適合される請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
デバイスを支持するための支持構造体がさらに含まれる請求項14に記載のデバイス。
【請求項20】
前記支持構造体には、一対の向かい合わせられたフレームが含まれ、前記フレームのそれぞれには、上部および下部の支持部材に対して適切に取り付けられた実質的に平行な垂直方向の複数の支持部材によって間隔を隔てられた前記上部支持部材と下部支持部材が含まれる請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記複数の垂直方向の支持部材は、前記上部支持部材と下部支持部材のそれぞれの縦方向の先端にある少なくとも1つの前記垂直方向の支持部材から構成される請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記フレームは、前記フレームに対して除去可能であるように、または前記フレームに対して一体として取り付けられた複数の間隔を隔てるための棒によって互いに間隔を隔てられている請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
前記間隔を隔てるための棒は、前記デバイスを前記支持構造体に容易に挿入することができ、かつ前記支持構造体から比較的容易に取り外せるように、戦略的に配置される請求項21に記載のデバイス。
【請求項24】
それぞれの前記フレームの前記下部支持部材には、前記デバイスの前記下方の末端の対応する部分を受け止め、そして支持するように適応させられた、少なくとも1つの下部支持部材が含まれる請求項20に記載のデバイス。
【請求項25】
それぞれの前記下部支持部材は、向かい合ったフレームの方向に下部支持部材のそれぞれから突出する、適切な形状のタブの形態である請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記フレームにはそれぞれ、予め決定された位置に前記デバイスの側壁に対して押し付けるための、向かい合うフレームの方向に向かう、それぞれのフレームから突出する少なくとも1つの内部仕切りが含まれ、その結果、向かい合わせられた前記内部仕切りの対によって、前記デバイスの幅が前記予め決定された位置に効果的に狭められる請求項20に記載のデバイス。
【請求項27】
前記内部仕切りには、適切な上部および下部の支柱を有する向かい合わせられたフレームに向かう方向で、前記上部および下部の支持部材から間隔を隔てられている適切な実質的に垂直方向の部材が含まれる請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記支持構造体には、前記デバイスの運搬のための複数のキャスターが含まれる請求項19に記載のデバイス。
【請求項29】
少なくとも幾つかの前記気泡は、約1mmから約10mmの平均直径を有する請求項3に記載のデバイス。
【請求項30】
少なくとも幾つかの前記気泡は、約4mmの平均直径を有する請求項3に記載のデバイス。
【請求項31】
前記容器には、前記気体吹き出し口からの容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐために前記気体吹き出し口に取り付けられた適切なフィルターが含まれる請求項1に記載のデバイス。
【請求項32】
前記容器にはさらに、前記添加物入口からの容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐために前記添加物入口に取り付けられた適切なフィルターが含まれる請求項1に記載のデバイス。
【請求項33】
U型の流体トラップを含む汚染防止装置がさらに含まれ、前記U型流体トラップの一方のアームは、適切な無菌の連結装置を介して前記回収装置の外部出口に無菌的に取り付けられる請求項1に記載のデバイス。
【請求項34】
前記回収装置は、前記容器の前記下端の底部に取り付けられる請求項1に記載のデバイス。
【請求項35】
前記回収装置は、前記容器の前記下端の底部付近に配置され、その結果、各回収サイクルの最後に、細胞および/または組織を含む前記培地の前記残りが、前記回収装置のレベルよりも下のレベルまでの前記容器の前記下端に自動的に残る請求項1に記載のデバイス。
【請求項36】
細胞および/または組織を含む前記培地の前記残りは、前記容器の底部から前記回収装置までの距離d2に、少なくとも部分的にしたがって決定される請求項1に記載のデバイス。
【請求項37】
細胞および/または組織を含む前記培地の前記残りは、前記培養培地と前記接種材料のもとの容量の約2.5%から約45%を占める請求項1に記載のデバイス。
【請求項38】
細胞および/または組織を含む前記培地の前記残りは、前記培養培地および前記接種材料のもとの容量の約10%から約20%を占める請求項37に記載のデバイス。
【請求項39】
前記下端は実質的には凸状である請求項1に記載のデバイス。
【請求項40】
前記下端は実質的には円錐台状である請求項1に記載のデバイス。
【請求項41】
前記容器は、約5リットルから約200リットルの間、好ましくは、約50リットルから150リットルの間、好ましくは、約100リットルの内部充填容量を有する請求項1に記載のデバイス。
【請求項42】
前記デバイスには、適切な支持構造体に対して前記デバイスを取り付けるための適切な取り付け器具がさらに含まれる請求項1に記載のデバイス。
【請求項43】
前記取り付け器具には、前記容器の前記上端に一体として取り付けられることが好ましい、適切な材質の輪が含まれる請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
植物細胞培養物に適応されている請求項1に記載のデバイス。
【請求項45】
前記植物細胞培養物には、組換え体タンパク質を発現することができる植物細胞が含まれる請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
前記植物細胞は、アルファルファ細胞、タバコ細胞、およびタバコ細胞株細胞からなる群より選択される請求項45に記載のデバイス。
【請求項47】
前記植物細胞培養物には、植物の根から得られた植物細胞が含まれる請求項44に記載のデバイス。
【請求項48】
前記植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞、セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞からなる群より選択される請求項47に記載のデバイス。
【請求項49】
前記組換え体タンパク質は、原核生物タンパク質、ウイスルタンパク質、真核生物タンパク質、およびキメラタンパク質からなる群より選択される請求項45に記載のデバイス。
【請求項50】
前記ウイスルタンパク質は、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質VPIIである請求項49に記載のデバイス。
【請求項51】
前記真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである請求項49に記載のデバイス。
【請求項52】
前記真核生物タンパク質はヒト凝固因子である請求項49に記載のデバイス。
【請求項53】
前記凝固因子はヒト凝固因子Xである請求項52に記載のデバイス。
【請求項54】
前記真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である請求項49に記載のデバイス。
【請求項55】
前記リソソーム酵素はヒトグルコセレブロシターゼである請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
少なくとも2つの請求項3の前記使い捨てのデバイスが含まれる前記デバイスのバッテリー。
【請求項57】
前記デバイスは、それぞれの前記デバイスの取り付け器具を介して適切な支持構造体によって支持される請求項56に記載のバッテリー。
【請求項58】
それぞれの前記デバイスの前記気体吹き出し口は、汚染物質が前記デバイスへ流れることを防ぐための遮断装置を任意に含む共通の気体吹き出し口管に適切に繋げられる請求項56に記載のバッテリー。
【請求項59】
前記遮断装置には適切なフィルターが含まれる請求項58に記載のバッテリー。
【請求項60】
それぞれの前記デバイスの前記添加物入口は、自由末端に適切な無菌の連結装置を任意に含む、自由末端を有する、共通の添加物入口管に適切に接続される請求項56に記載のバッテリー。
【請求項61】
前記自由末端は、培地および/または添加物の適切な供給源に接続することができる請求項60に記載のバッテリー。
【請求項62】
それぞれの前記デバイスの前記回収装置は、自由末端に適切な無菌の連結装置を任意に含む、自由末端を有する共通の回収管に適切に接続される請求項56に記載のバッテリー。
【請求項63】
前記共通の回収管からの前記容器内への汚染物質の導入を実質的に防ぐための汚染防止装置がさらに含まれる請求項62に記載のバッテリー。
【請求項64】
前記汚染防止装置には、U型の流体トラップが含まれ、U型流体トラップの一方のアームは、開口部を有する自由末端であり、そのもう一方の末端は、適切な無菌の連結装置を介して前記共通の回収管の前記自由末端に無菌的に取り付けられる請求項63に記載のバッテリー。
【請求項65】
前記U型管の前記自由末端は、適切な貯蔵タンクに接続することができる請求項64に記載のバッテリー。
【請求項66】
それぞれの前記デバイスの前記空気吸入口は、自由末端その場所に適切な無菌の連結装置を任意に含む、自由末端を有する共通の空気吸入口吸気管に対して適切に接続される請求項56に記載のバッテリー。
【請求項67】
前記自由末端は、適切な空気供給源に接続することができる請求項66に記載のバッテリー。
【請求項68】
以下のことを含む、使い捨てのデバイスにおいて細胞および/または組織を純培養し、そして回収するための方法:
上端と下端を有する、滅菌可能な透明および/または半透明の使い捨ての容器を含むデバイスを提供すること、但しこの容器は、適切な滅菌の生物学的細胞、および/または組織培養培地、および/または純培養接種物、および/または滅菌の空気、および/または他の滅菌の必要とされる添加物で少なくとも一部を満たすことができ、前記容器には、
(i)前記容器から過剰な空気および/または排ガスを除去するための気体吹き出し口;
(ii)前記接種材料、および/または前記培養培地、および/または前記添加物を前記容器内に導入するための添加物入口;ならびに、
(iii)所望の場合には、細胞および/または組織を含む前記培地の少なくとも一部を回収できるようにし、それによって、前記デバイスを少なくとも1回のさらなる連続するサイクルに連続して使用できるようにするための適切な流量調整器を含む再利用可能な回収装置が含まれ、但し先に回収されたサイクルから残っている、細胞および/または組織を含む前記培地の残りを次の培養および回収サイクルのための接種材料とすることができ、この場合、培養培地および/または必要とされる添加物は提供される;
前記回収装置から純培養の接種材料を提供すること;
滅菌の前記培養培地および/または滅菌の前記添加物を前記添加物入口から提供すること;
所望により、外部照明を用いて前記容器を照らすこと;ならびに、
所望の収量が得られるまで、前記細胞および/または組織を前記培地の中で増殖させること。
【請求項69】
過剰な空気および/または排ガスを、前記気体吹き出し口を通じて連続的に前記容器から外に出すことがさらに含まれる請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記容器内で生産された細胞/組織の汚染および/または品質をチェックすることがさらに含まれ、汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低い場合には、デバイスとその内容物は廃棄され、汚染が認められない場合には、細胞および/または組織を含む前記培地の前記所望の部分が回収される請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記所望の部分は回収されるが、細胞および/または組織を含む培地の残りは前記容器の中に残され、培地の前記残りは、次の培養/回収サイクルのための接種材料となる請求項70に記載の方法。
【請求項72】
次の培養/回収サイクルのための滅菌の前記培養培地および/または滅菌の前記添加物を前記添加物入口から提供すること;ならびに、
前記汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低くなるまで、増殖サイクルを繰り返し、その後デバイスとその内容物は廃棄される
ことをさらに含む請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記デバイスには、適切な滅菌空気の供給源に接続することができる第1の吸入口開口部から前記培養培地の中に気泡の形態で滅菌空気を導入するための空気吸入口がさらに含まれ、前記方法には、最初のサイクルと、それに続くそれぞれのサイクルの間に滅菌空気を前記空気吸入口に提供する工程がさらに含まれる請求項68に記載の方法。
【請求項74】
前記滅菌空気は、少なくとも1回の培養サイクルの間中、連続して供給される請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記滅菌空気は、少なくとも1回の培養サイクルの間、パルスで供給される請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記細胞には、組換え体タンパク質を発現することができる植物細胞が含まれる請求項68に記載の方法。
【請求項77】
前記植物細胞には、アルファルファ細胞、タバコ細胞、およびタバコ細胞株細胞からなる群より選択される請求項76に記載のデバイス。
【請求項78】
前記細胞には、植物の根から得られた植物細胞が含まれる請求項68に記載の方法。
【請求項79】
前記植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞、セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞からなる群より選択される請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記組換え体タンパク質は、原核生物タンパク質、ウイスルタンパク質、真核生物タンパク質、およびキメラタンパク質からなる群より選択される請求項76に記載の方法。
【請求項81】
前記ウイスルタンパク質は、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質VPIIである請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記真核生物タンパク質はヒト凝固因子である請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記凝固因子はヒト凝固因子Xである請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記リソソーム酵素はヒトグルコセレブロシターゼである請求項80に記載の方法。
【請求項87】
以下のことを含む、使い捨てのデバイスのバッテリーの中で、細胞および/または組織を純培養し、回収するための方法:
請求項64に記載のデバイスのバッテリーと、その少なくとも1つの前記デバイスを提供すること;
共通の回収管を通じて前記デバイスに純培養の接種材料を提供すること;
共通の添加物入口管を通じて、前記デバイスに前記滅菌の培養培地および/または滅菌の添加物を提供すること;
所望により、外部照明を用いて前記デバイスを照らすこと;ならびに、
前記デバイスの中の前記細胞および/または組織を前記培地の中で所望の収量まで増殖させること。
【請求項88】
過剰な空気および/または排ガスを、共通の空気吹き出し口管を通じて連続して前記デバイスから外に出すこと;
前記デバイスの中で生産された細胞/組織の汚染および/または品質をチェックすることがさらに含まれ:
前記デバイスの中で汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低い場合には、前記デバイスの前記回収装置は、前記バッテリーの他の前記デバイスの汚染を防ぐために閉じられ;
前記バッテリーの全ての前記デバイスにおいて汚染が認められるか、またはその中で生産された細胞/組織の品質が低い場合、全てのデバイスとそれらの内容物は廃棄され;
汚染が認められず、生産された細胞/組織の品質が許容される場合、それぞれの回収可能なデバイスについて共通の回収管と、前記の汚染防止装置を通じて細胞および/または組織を含む前記培地の所望の部分が適切な貯蔵タンクへ回収される請求項87に記載の方法。
【請求項89】
細胞および/または組織を含む培地の残りは前記容器内に残っており、前記残りは次の培養/回収サイクルのための接種材料となり、前記方法には、次の培養/回収サイクルのための滅菌の前記培養培地および/または滅菌の前記添加物を、前記添加物入口から提供して増殖サイクルを形成することがさらに含まれる請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記増殖サイクルは、前記汚染が認められるか、または前記バッテリーの全ての前記デバイスについて生産された細胞/組織の品質が低くなるまで繰り返され、その後、前記汚染防止装置が共通の回収装置と前記デバイスから取り外され、それらの内容物が廃棄される請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記細胞には、組換え体タンパク質を発現することができる植物細胞が含まれる請求項87に記載の方法。
【請求項92】
前記植物細胞は、アルファルファ細胞、タバコ細胞、およびタバコ細胞株細胞からなる群より選択される請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記細胞には、植物の根から得られた植物細胞が含まれる請求項87に記載の方法。
【請求項94】
前記植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞、セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞からなる群より選択される請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記組換え体タンパク質は、原核生物タンパク質、ウイスルタンパク質、真核生物タンパク質、およびキメラタンパク質からなる群より選択される請求項91に記載の方法。
【請求項96】
前記ウイスルタンパク質は、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質VPIIである請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記真核生物タンパク質はヒト凝固因子である請求項95に記載の方法。
【請求項99】
前記凝固因子はヒト凝固因子Xである請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記リソソーム酵素はヒトグルコセレブロシターゼである請求項100に記載の方法。
【請求項102】
以下のことを含む、使い捨てのデバイスのバッテリーの中で、細胞および/または組織を純培養し、回収するための方法:
請求項67に記載のデバイスのバッテリーと、前記デバイスの少なくとも1つを提供すること;
共通の回収管を通じて前記デバイスに純培養の接種材料を提供すること;
共通の添加物入口管を通じて、前記デバイスに滅菌の前記培養培地および/または滅菌の添加物を提供すること;
共通の空気吸入口吸気管を通じて、前記デバイスに滅菌空気を提供すること;
所望により、外部照明を用いて前記デバイスを照らすこと;ならびに、
前記デバイスの中の細胞および/または組織を前記培地の中で所望の収量まで増殖させること。
【請求項103】
過剰な空気および/または排ガスを、共通の空気吹き出し口管を通じて連続して前記デバイスから外に出すこと;ならびに、
前記デバイスの中で生産された細胞/組織の汚染および/または品質をチェックすることがさらに含まれ:
前記デバイスの中で汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低い場合には、前記デバイスの前記回収装置は、前記バッテリーの他の前記デバイスの汚染を防ぐために閉じられ;前記バッテリーの全ての前記デバイスにおいて汚染が認められるか、またはその中で生産された細胞/組織の品質が低い場合には、全てのデバイスとそれらの内容物は廃棄され;汚染が認められず、生産された細胞/組織の品質が許容される場合には、デバイスは回収可能と見なされる請求項102に記載の方法。
【請求項104】
共通の回収管と、前記汚染防止装置を通じて、それぞれの回収可能なデバイスについて、細胞および/または組織を含む前記培地の少なくとも所望の部分を適切な貯蔵タンクへ回収することがさらに含まれる請求項103に記載の方法。
【請求項105】
細胞および/または組織を含む培地の残りは前記容器内に残っており、前記残りは次の培養/回収サイクルの接種材料となり、前記方法には、次の培養/回収サイクルのための滅菌の前記培養培地および/または滅菌の前記添加物を、添加物入口から提供して増殖サイクルを形成することがさらに含まれる請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記増殖サイクルは、前記バッテリーの全ての前記デバイスについて前記汚染が認められるか、または生産された細胞/組織の品質が低くなるまで繰り返され、その後、前記汚染防止装置が共通の回収装置と前記デバイスから取り外され、それらの内容物が廃棄される請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記細胞には、組換え体タンパク質を発現することができる植物細胞が含まれる請求項102に記載の方法。
【請求項108】
前記植物細胞は、アルファルファ細胞、タバコ細胞、およびタバコ細胞株細胞からなる群より選択される請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記細胞には、植物の根から得られた植物細胞が含まれる請求項102に記載の方法。
【請求項110】
前記植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞、セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞からなる群より選択される請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記組換え体タンパク質は、原核生物タンパク質、ウイスルタンパク質、真核生物タンパク質、およびキメラタンパク質からなる群より選択される請求項107に記載の方法。
【請求項112】
前記ウイスルタンパク質は、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質VPIIである請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである請求項111に記載の方法。
【請求項114】
前記真核生物タンパク質はヒト凝固因子である請求項111に記載の方法。
【請求項115】
前記凝固因子はヒト凝固因子Xである請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である請求項111に記載の方法。
【請求項117】
前記リソソーム酵素はヒトグルコセレブロシターゼである請求項116に記載の方法。
【請求項118】
植物細胞を培養するための使い捨ての容器を含む、植物細胞の培養のためのデバイス。
【請求項119】
前記使い捨ての容器は、少なくとも1回のさらなる連続する培養/回収サイクルに連続して使用することができる請求項118に記載のデバイス。
【請求項120】
所望の場合には、細胞および/または組織を含む培地の少なくとも所望の部分を回収できるようにし、それによって、前記デバイスを、少なくとも1回のさらに連続する培養/回収サイクルに連続して使用できるようにする流量調整器を含む再利用可能な回収装置がさらに含まれる請求項119に記載のデバイス。
【請求項121】
前記流量調整器は、細胞および/または組織を含む前記培地の残りの滅菌性を維持し、その結果、先に回収されたサイクルから残っている前記培地の残りは、次の培養および回収サイクルのための接種材料となる請求項120に記載のデバイス。
【請求項122】
前記細胞には、組換え体タンパク質を発現することができる植物細胞が含まれる請求項118に記載のデバイス。
【請求項123】
前記植物細胞は、アルファルファ細胞、タバコ細胞、およびタバコ細胞株細胞からなる群より選択される請求項122に記載のデバイス。
【請求項124】
前記植物細胞には、植物の根から得られた植物細胞が含まれる請求項118に記載のデバイス。
【請求項125】
前記植物の根細胞は、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)で形質転換された根細胞、セロリー細胞、ショウガ細胞、西洋ワサビ細胞、およびニンジン細胞からなる群より選択される請求項124に記載のデバイス。
【請求項126】
前記組換え体タンパク質は、原核生物タンパク質、ウイスルタンパク質、真核生物タンパク質、およびキメラタンパク質からなる群より選択される請求項122に記載のデバイス。
【請求項127】
前記ウイスルタンパク質は、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質VPIIである請求項126に記載のデバイス。
【請求項128】
前記真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである請求項126に記載のデバイス。
【請求項129】
前記真核生物タンパク質はヒト凝固因子である請求項126に記載のデバイス。
【請求項130】
前記凝固因子はヒト凝固因子Xである請求項129に記載のデバイス。
【請求項131】
前記真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である請求項126に記載のデバイス。
【請求項132】
前記リソソーム酵素はヒトグルコセレブロシターゼである請求項126に記載のデバイス。
【請求項133】
使い捨ての容器の中で植物細胞を培養することが含まれる、植物細胞を培養するための方法。
【請求項134】
前記使い捨ての容器には、滅菌の気体または混合気体を導入するための空気吸入口が含まれる請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記滅菌の気体には空気が含まれる請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記滅菌の混合気体には、空気と追加の酸素の混合気体が含まれる請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記追加の酸素は前記空気とは別に添加される請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記追加の酸素は、細胞培養の開始後、複数日添加される請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記滅菌の気体または混合気体は、培養の間に1回より多く添加される請求項134に記載の方法。
【請求項140】
前記空気吸入口は滅菌の気体を連続して導入するためのものである請求項134に記載の方法。
【請求項141】
複数の異なる気体が、前記空気吸入口から様々な時間および/または濃度で導入される請求項134に記載の方法。
【請求項142】
前記吸入口から細胞をエアレーションすることがさらに含まれる請求項134に記載の方法。
【請求項143】
前記エアレーションには、1分あたり少なくとも1.5リットルの気体を投与することが含まれる請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記細胞を増殖させるために十分な培地を提供することがさらに含まれる請求項133に記載の方法。
【請求項145】
十分な培地は、通常の培地の濃度の少なくとも約125%の濃度である請求項144に記載の方法。
【請求項146】
細胞の増殖の間に、しかし回収の前に、培地を添加することがさらに含まれる請求項144に記載の方法。
【請求項147】
追加の培地を、前記細胞の培養の開始後少なくとも約3日添加することがさらに含まれる請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記細胞の培養の開始後、少なくとも約3日、完全に培地を交換することがさらに含まれる請求項146に記載の方法。
【請求項149】
前記培地には糖の混合物が含まれる請求項144に記載の方法。
【請求項150】
前記培地には細胞培養のための通常の量よりも多量のスクロースが含まれる請求項144に記載の方法。
【請求項151】
前記細胞には、組換え体タンパク質を発現することができる植物細胞が含まれる請求項133に記載の方法。
【請求項152】
前記植物細胞は、アルファルファ細胞、タバコ細胞、およびタバコ細胞株細胞からなる群より選択される請求項151に記載の方法。
【請求項153】
前記組換え体タンパク質は、原核生物タンパク質、ウイスルタンパク質、真核生物タンパク質、およびキメラタンパク質からなる群より選択される請求項151に記載の方法。
【請求項154】
前記ウイスルタンパク質は、伝染性ファブリーキウス嚢病ウイルスタンパク質VPIIである請求項152に記載の方法。
【請求項155】
前記真核生物タンパク質はヒトインターフェロンβである請求項153に記載の方法。
【請求項156】
前記真核生物タンパク質はヒト凝固因子である請求項155に記載の方法。
【請求項157】
前記凝固因子はヒト凝固因子Xである請求項156に記載の方法。
【請求項158】
前記真核生物タンパク質はヒトリソソーム酵素である請求項152に記載の方法。
【請求項159】
前記リソソーム酵素はヒトグルコセレブロシターゼである請求項158に記載の方法。
【図1a−b】
【図1c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図14】
【図16】
【図18】
【図21】
【図23】
【図24】
【図26】
【図27】
【図29】
【図32】
【図37】
【図38】
【図42】
【図13】
【図15】
【図17】
【図19】
【図20】
【図22】
【図25】
【図28】
【図30】
【図31】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図39】
【図40】
【図41】
【図43】
【図1c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図14】
【図16】
【図18】
【図21】
【図23】
【図24】
【図26】
【図27】
【図29】
【図32】
【図37】
【図38】
【図42】
【図13】
【図15】
【図17】
【図19】
【図20】
【図22】
【図25】
【図28】
【図30】
【図31】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図39】
【図40】
【図41】
【図43】
【公表番号】特表2007−522824(P2007−522824A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500352(P2007−500352)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000228
【国際公開番号】WO2005/080544
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(505161910)プロタリクス リミテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000228
【国際公開番号】WO2005/080544
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(505161910)プロタリクス リミテッド (8)
【Fターム(参考)】
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