終端圧着スリーブ用絶縁カバー
【課題】 スリーブ圧着後の形状の如何に拘わらず、一旦カバー内に挿入した後は周壁の四方に形成したロック爪によって確実にカバーの脱落防止ができるようにして、圧着スリーブを含む電線の先端部と絶縁カバーとが分離してカバーが外れ落ちるような不測の事態が生じないようにした終端圧着スリーブ用絶縁カバーの提供。
【解決手段】 一端に底壁2を備え他端が開口部3とされた有底の筒体1であって、断面形状が略正方形か略円形に形成され、周方向に仮想四等分された四つの周壁4の各連接部5が外方に向かって突出するリブ状部6に形成され、これら四つの周壁4のそれぞれが内面に向かって突出するロック爪7を備えており、全体が合成樹脂素材で単一体として形成された構成とする。
【解決手段】 一端に底壁2を備え他端が開口部3とされた有底の筒体1であって、断面形状が略正方形か略円形に形成され、周方向に仮想四等分された四つの周壁4の各連接部5が外方に向かって突出するリブ状部6に形成され、これら四つの周壁4のそれぞれが内面に向かって突出するロック爪7を備えており、全体が合成樹脂素材で単一体として形成された構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本以上の所要複数本の電線どうしを、電線端において圧着スリーブを用いて圧着させて電気的に接続させるようにした電線端部と終端圧着スリーブとを挿入して、その外周部を覆わせて絶縁するようにした絶縁カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、所要数の複数本の電線端を圧着スリーブ内に挿入し、スリーブの外周面を加圧工具を用いて圧着し、一体化した電線端と圧着スリーブとを絶縁カバー体で覆って絶縁保護するという思想は古くから存在し、長年に亘って実施され使用されている。
【0003】
ここにいう従来から一般に実施されている電線端と圧着スリーブとを覆う周知の絶縁カバー体は、カバー体の内部に当初から又は予め圧着スリーブだけを内挿させてあるものとし、このカバー体の内部に内挿させてある圧着スリーブに対して、複数本の電線端を平行させて挿入し、カバー体内部の圧着スリーブをカバー体の外部から圧着工具で加圧して変形させることによって電線どうしを電気的に接続するようにしたものであった。(特許文献1,2参照)
【0004】
しかしながら、このような絶縁カバー体の外部から圧着スリーブを圧着工具によって加圧変形させる形態とした閉端型絶縁カバーの場合は、内部の圧着スリーブに対する加圧変形が不十分となったり、スリーブに対する加圧箇所が不均一になったりするという課題を有し、電線どうしの接続には必ずしも最良で最適のものとは言い得ないものであった。また、絶縁カバーが透明性に欠ける場合には、内部スリーブの圧着状態の確認が充分には行われないおそれもあった。
【0005】
そこで、本出願人は、複数の電線どうしの接続を絶縁カバーを介在させることなく、圧着スリーブに対して必要複数本の電線端を直に挿入して、圧着スリーブを直接加圧圧着させることによって、加圧状態を直接確認することができるようにし、スリーブの直接加圧後に、加圧後のスリーブを絶縁カバーに挿入して絶縁保護することを着想し製品化した。その絶縁カバーは外観形状の意匠として出願し登録されている。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−224700号公報
【特許文献2】特開2000−208229号公報
【特許文献3】意匠登録第1288997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの文献中、特許文献1及び2に記載の閉端接続子及び閉端子は、絶縁カバー体の内部に当初から圧着スリーブを内挿させてある形態のものであって、絶縁カバー体の外部から内挿スリーブを加圧変形させるものであるから、前記のように、加圧不足が生じたり加圧箇所の不均一性を避けがたいという課題を有するものである。
【0008】
また、後者の特許文献3の意匠公報に記載の電線接続用コネクタは、本出願人において開発して実施しているものであり、圧着スリーブを直接加圧圧着させるものである点で、スリーブに対する加圧力をスリーブに直接伝達でき、加圧後の状態を直接目視できる点で極めて好ましいものである。しかしながら、加圧させた圧着スリーブは、他物を介することなく直接加圧させたものであるにも拘わらず、絶縁キャップに挿入したとき、絶縁キャップの加圧変形箇所が圧着スリーブのラッパ部分が変形されているような場合には、絶縁キャップの対向壁に形成してある二つの内部突起との確実な契合ができない事例が生じ、絶縁キャップが電線端から外れて脱落することがあり、電線端の絶縁性が失われて、時として事故に繋がる危険性のあるという課題を内包していることが確認されるに至った。
【0009】
そこで、本発明は、この後者の圧着スリーブを直接加圧圧着させ、加圧力を圧着スリーブに直接伝達できる方式とした利点を備えたものでありながら、スリーブ圧着後のスリーブの変形形状が正しく変形されることなく、ラッパ部分が変形されているような不適正な加圧の場合でも、絶縁カバー内に一旦挿入した後は、圧着スリーブを含む電線の先端部と絶縁カバーとが分離して、絶縁カバーが外れ落ちるというような不測の事態が生じることなく、安心して使用することができるようにした終端圧着スリーブ用絶縁カバーをここに提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
該目的を達成するために講じた本発明の請求項1にいうところの終端圧着スリーブ用絶縁カバーの構成を説明すると、一端に底壁2を備え他端が開口部3とされた有底の筒体1であって、断面形状が略正方形か略円形に形成され、周方向に仮想四等分された四つの周壁4の各連接部5が外方に向かって突出するリブ状部6に形成され、これら四つの周壁4のそれぞれが内面に向かって突出するロック爪7を備えており、全体が合成樹脂素材で単一体として形成されている構成としたものである。
【0011】
また、請求項2に記載の終端圧着スリーブ用絶縁カバーの構成は、請求項1に記載の絶縁カバーに従属する構成であって、有底の筒体1が、開口部3側に比して底壁2側が小形に形成されている略角錐体か略円錐体である構成としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1にいうところの終端圧着スリーブ用絶縁カバーは、通電する複数の電線に対して圧着スリーブを裸状態で外嵌させて直接圧着するものであり、圧着状態を目視確認できる状態で所要電線を連結接続した後に、絶縁カバー内に挿通して絶縁保護するようにしたものであって、絶縁カバーの装着に際しては、電線に対して絶縁カバーを回転させながら外嵌させると容易に外嵌でき、電線端をカバー内へ一旦挿入した後は、周壁の四方から突出させてある四つのロック爪によって脱落防止させることができるので、スリーブの加圧変形箇所がラッパ形部分を圧着変形させたような圧着箇所の不良圧着や不良変形スリーブであっても、スリーブの非変形ラッパ部分が四つのロック爪の何れか複数の爪に必ず接当して抜け方向への移動を確実に阻止するので、絶縁カバーの脱落を確実に防止でき、事故発生の皆無な絶縁カバーとして安心して使用することができるという顕著な効果を期待できるものである。
【0013】
また、請求項2に記載の絶縁カバーにあっては、絶縁カバーの全体形状を、開口部側に比して底壁側が小形に形成されている略角錐体か円錐体としてあるので、圧着スリーブのカバー内への挿入が容易にできるものでありながら、挿入した圧着スリーブは、開口部よりも奥窄まりとなった内壁に形成された抜け落ち防止用ロック爪によって確実に移動阻止されるという利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施例の圧着スリーブを示す外観斜視図。
【図2】同実施例の正面図。
【図3】同実施例の底面図。
【図4】同実施例の平面図。
【図5】図3におけるA−A線断面図。
【図6】図3におけるB−B線断面図。
【図7】ロック爪の拡大側面図。
【図8】ロック爪の拡大平面図。
【図9】使用例を説明する斜視図。
【図10】スリーブとの関係を説明する底面図。
【図11】第2実施例の圧着スリーブを示す外観斜視図。
【図12】同実施例の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明にいう終端圧着スリーブの絶縁カバーを形成する樹脂素材としては、絶縁性に優れた素材であれば良い。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系の樹脂が好ましいが特に限定する意図はない。
【実施例】
【0016】
以下本発明の第1実施例について図面に基づいて説明する。本発明にいう終端圧着スリーブ用絶縁カバーは、全体を合成樹脂によって単一体として成形したものである。より詳しくは、該実施例に示す絶縁カバーは、ポリエチレン樹脂を素材としてインゼクション成形したものである。
【0017】
而して、該絶縁カバーは、図1,2において上端面に底壁2を備えていて、下端側が開口部3とされている有底の筒体1である。該筒体1は、図3の底面図から明らかなように断面形状が略正方形に形成され、その四等分された各周壁4,4…のそれぞれの角隅部に相当する各連接部5が、図5,6のように、上端から下端に至る長手方向の全長に亘って外方に向かって突出するリブ状部6としてある構造とされている。
【0018】
また、前記四つの周壁4のそれぞれが、図5,6に示したように、長手方向のほぼ中間箇所の内面に、内面側に向かって突出するロック爪7を備えている。該実施例に示したロック爪7の形状は、図7に側面形状を、図8に平面形状を、それぞれ拡大して示したように、側面形状では、上下面が傾斜していて、下面側の傾斜は圧着スリーブ挿入時の内奥側への案内として作用させ、上面側の傾斜は成形時の金型からの引き抜き分離を容易にするための傾斜としてある。平面形状では、左右の側面をほぼ直線状に立ち上がった形状としてある。
【0019】
更に言及しておくと、該第1実施例に示した絶縁カバーは、全体の形状を、開口部3側の大きさに比して、底壁2側を少し小さい形状とした概略角錐体に形成してある。
【0020】
該絶縁カバーは、内部に挿入する金属スリーブの大きさによって異なり、金属スリーブの大きさは、通電させる電線の太さや、集束する本数によって異なるものであるが、敢えて図2,5を対象として概寸を記載しておくと、上下長さ31〜34mm、開口部の横幅外寸10〜13mm、内寸7.5〜11mm、底壁部の横幅外寸8〜11mm、内寸6.5〜10mmである。再言するが、この数値は、小・中・大に区分した三製品における概寸であって、この数値に限定する意図はなく、また拘束されるものではない。
【0021】
このような構造とした絶縁カバーは、図9に示したように、通電する所要本数の被覆電線(同図では作図の便宜上2本の被覆電線C,Cについて示してある)の先端被覆を除去した裸電線部分c,cを、最先端部が見えるように金属スリーブSに内挿し、そのスリーブ上を所要の圧着工具で加圧凹部Dが形成出来るように直接加圧変形させる。このように加圧変形させた状態で、絶縁カバー筒体1内に挿入する。換言すると、加圧変形させた金属スリーブSと電線先端部の裸電線部分cとを覆うように絶縁カバー筒体1を被せて絶縁する。このとき、単に押し込むだけでは、金属スリーブSの後端側のラッパ状部分がカバー筒体1のロック爪7に突き当たって入りにくいので、筒体1を回転させながらロック爪7部分を乗り越えさせるようにして内奥部に移行させる。
【0022】
このようにして外嵌させた絶縁カバーは、図10に示したように、金属スリーブSのラッパ状部分が円形形状を維持することなく、加圧した方向に歪み変形しているような場合でも、カバー筒体1内面の四つのロック爪7の何れか複数の、通常は三つ以上のロック爪7に接当して抜け落ち方向への移動が阻止され、電線に大小の振動が与えられても電線から外れて落ちることはない。
【0023】
図11及び図12は、第2実施例の絶縁カバーを示した外観形状と底面形状とを示した図である。この第2実施例に示した絶縁カバーは、図11のように、上部の底壁2側が小径で、下部の開口部3側が大径とされている概略形状を円錐体形状としたものである。この円錐体形状とされた周壁4が、周方向において略四等分された四つの部分周壁部4a…からなっていて、隣り合うこれらの部分周壁部4a,4aの各連接部5に、図11の外観図のように、上端から下端に至るまでの全長に亘って外方に向かって突出するリブ状部6を形成してある構造としたものである。ロック爪7は、前記第1実施例の絶縁カバーにおけるロック爪7と同様に、リブ状部6で区画されたそれぞれの部分周壁部4aの上下方向ほぼ中間箇所の内面に、内面側に向かって突出させてある。その他の点は、前記第1実施例において示した絶縁カバーと同様である。
【0024】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしも、ここに実施例として示した構造のもののみに限定されるものではなく、本発明にいう前記の構成要件を充足し、上記の目的を達成し、上記の効果を有する範囲内において適宜に改変して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明にいう終端圧着スリーブ用絶縁カバーは、圧着スリーブを用いて裸状態のままで直接圧着し所要電線どうしを集束した後に、絶縁カバー内に挿入して絶縁保護することができるものでありながら、一旦挿入した後は周壁の四方に形成したロック爪によって確実に脱落防止ができ安心して使用することができるので、大いに使用される可能性を秘めたものである。
【符号の説明】
【0026】
1 筒体
2 底壁
3 開口部
4 周壁
5 連接部
6 リブ状部
7 ロック爪
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本以上の所要複数本の電線どうしを、電線端において圧着スリーブを用いて圧着させて電気的に接続させるようにした電線端部と終端圧着スリーブとを挿入して、その外周部を覆わせて絶縁するようにした絶縁カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、所要数の複数本の電線端を圧着スリーブ内に挿入し、スリーブの外周面を加圧工具を用いて圧着し、一体化した電線端と圧着スリーブとを絶縁カバー体で覆って絶縁保護するという思想は古くから存在し、長年に亘って実施され使用されている。
【0003】
ここにいう従来から一般に実施されている電線端と圧着スリーブとを覆う周知の絶縁カバー体は、カバー体の内部に当初から又は予め圧着スリーブだけを内挿させてあるものとし、このカバー体の内部に内挿させてある圧着スリーブに対して、複数本の電線端を平行させて挿入し、カバー体内部の圧着スリーブをカバー体の外部から圧着工具で加圧して変形させることによって電線どうしを電気的に接続するようにしたものであった。(特許文献1,2参照)
【0004】
しかしながら、このような絶縁カバー体の外部から圧着スリーブを圧着工具によって加圧変形させる形態とした閉端型絶縁カバーの場合は、内部の圧着スリーブに対する加圧変形が不十分となったり、スリーブに対する加圧箇所が不均一になったりするという課題を有し、電線どうしの接続には必ずしも最良で最適のものとは言い得ないものであった。また、絶縁カバーが透明性に欠ける場合には、内部スリーブの圧着状態の確認が充分には行われないおそれもあった。
【0005】
そこで、本出願人は、複数の電線どうしの接続を絶縁カバーを介在させることなく、圧着スリーブに対して必要複数本の電線端を直に挿入して、圧着スリーブを直接加圧圧着させることによって、加圧状態を直接確認することができるようにし、スリーブの直接加圧後に、加圧後のスリーブを絶縁カバーに挿入して絶縁保護することを着想し製品化した。その絶縁カバーは外観形状の意匠として出願し登録されている。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−224700号公報
【特許文献2】特開2000−208229号公報
【特許文献3】意匠登録第1288997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの文献中、特許文献1及び2に記載の閉端接続子及び閉端子は、絶縁カバー体の内部に当初から圧着スリーブを内挿させてある形態のものであって、絶縁カバー体の外部から内挿スリーブを加圧変形させるものであるから、前記のように、加圧不足が生じたり加圧箇所の不均一性を避けがたいという課題を有するものである。
【0008】
また、後者の特許文献3の意匠公報に記載の電線接続用コネクタは、本出願人において開発して実施しているものであり、圧着スリーブを直接加圧圧着させるものである点で、スリーブに対する加圧力をスリーブに直接伝達でき、加圧後の状態を直接目視できる点で極めて好ましいものである。しかしながら、加圧させた圧着スリーブは、他物を介することなく直接加圧させたものであるにも拘わらず、絶縁キャップに挿入したとき、絶縁キャップの加圧変形箇所が圧着スリーブのラッパ部分が変形されているような場合には、絶縁キャップの対向壁に形成してある二つの内部突起との確実な契合ができない事例が生じ、絶縁キャップが電線端から外れて脱落することがあり、電線端の絶縁性が失われて、時として事故に繋がる危険性のあるという課題を内包していることが確認されるに至った。
【0009】
そこで、本発明は、この後者の圧着スリーブを直接加圧圧着させ、加圧力を圧着スリーブに直接伝達できる方式とした利点を備えたものでありながら、スリーブ圧着後のスリーブの変形形状が正しく変形されることなく、ラッパ部分が変形されているような不適正な加圧の場合でも、絶縁カバー内に一旦挿入した後は、圧着スリーブを含む電線の先端部と絶縁カバーとが分離して、絶縁カバーが外れ落ちるというような不測の事態が生じることなく、安心して使用することができるようにした終端圧着スリーブ用絶縁カバーをここに提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
該目的を達成するために講じた本発明の請求項1にいうところの終端圧着スリーブ用絶縁カバーの構成を説明すると、一端に底壁2を備え他端が開口部3とされた有底の筒体1であって、断面形状が略正方形か略円形に形成され、周方向に仮想四等分された四つの周壁4の各連接部5が外方に向かって突出するリブ状部6に形成され、これら四つの周壁4のそれぞれが内面に向かって突出するロック爪7を備えており、全体が合成樹脂素材で単一体として形成されている構成としたものである。
【0011】
また、請求項2に記載の終端圧着スリーブ用絶縁カバーの構成は、請求項1に記載の絶縁カバーに従属する構成であって、有底の筒体1が、開口部3側に比して底壁2側が小形に形成されている略角錐体か略円錐体である構成としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1にいうところの終端圧着スリーブ用絶縁カバーは、通電する複数の電線に対して圧着スリーブを裸状態で外嵌させて直接圧着するものであり、圧着状態を目視確認できる状態で所要電線を連結接続した後に、絶縁カバー内に挿通して絶縁保護するようにしたものであって、絶縁カバーの装着に際しては、電線に対して絶縁カバーを回転させながら外嵌させると容易に外嵌でき、電線端をカバー内へ一旦挿入した後は、周壁の四方から突出させてある四つのロック爪によって脱落防止させることができるので、スリーブの加圧変形箇所がラッパ形部分を圧着変形させたような圧着箇所の不良圧着や不良変形スリーブであっても、スリーブの非変形ラッパ部分が四つのロック爪の何れか複数の爪に必ず接当して抜け方向への移動を確実に阻止するので、絶縁カバーの脱落を確実に防止でき、事故発生の皆無な絶縁カバーとして安心して使用することができるという顕著な効果を期待できるものである。
【0013】
また、請求項2に記載の絶縁カバーにあっては、絶縁カバーの全体形状を、開口部側に比して底壁側が小形に形成されている略角錐体か円錐体としてあるので、圧着スリーブのカバー内への挿入が容易にできるものでありながら、挿入した圧着スリーブは、開口部よりも奥窄まりとなった内壁に形成された抜け落ち防止用ロック爪によって確実に移動阻止されるという利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施例の圧着スリーブを示す外観斜視図。
【図2】同実施例の正面図。
【図3】同実施例の底面図。
【図4】同実施例の平面図。
【図5】図3におけるA−A線断面図。
【図6】図3におけるB−B線断面図。
【図7】ロック爪の拡大側面図。
【図8】ロック爪の拡大平面図。
【図9】使用例を説明する斜視図。
【図10】スリーブとの関係を説明する底面図。
【図11】第2実施例の圧着スリーブを示す外観斜視図。
【図12】同実施例の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明にいう終端圧着スリーブの絶縁カバーを形成する樹脂素材としては、絶縁性に優れた素材であれば良い。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系の樹脂が好ましいが特に限定する意図はない。
【実施例】
【0016】
以下本発明の第1実施例について図面に基づいて説明する。本発明にいう終端圧着スリーブ用絶縁カバーは、全体を合成樹脂によって単一体として成形したものである。より詳しくは、該実施例に示す絶縁カバーは、ポリエチレン樹脂を素材としてインゼクション成形したものである。
【0017】
而して、該絶縁カバーは、図1,2において上端面に底壁2を備えていて、下端側が開口部3とされている有底の筒体1である。該筒体1は、図3の底面図から明らかなように断面形状が略正方形に形成され、その四等分された各周壁4,4…のそれぞれの角隅部に相当する各連接部5が、図5,6のように、上端から下端に至る長手方向の全長に亘って外方に向かって突出するリブ状部6としてある構造とされている。
【0018】
また、前記四つの周壁4のそれぞれが、図5,6に示したように、長手方向のほぼ中間箇所の内面に、内面側に向かって突出するロック爪7を備えている。該実施例に示したロック爪7の形状は、図7に側面形状を、図8に平面形状を、それぞれ拡大して示したように、側面形状では、上下面が傾斜していて、下面側の傾斜は圧着スリーブ挿入時の内奥側への案内として作用させ、上面側の傾斜は成形時の金型からの引き抜き分離を容易にするための傾斜としてある。平面形状では、左右の側面をほぼ直線状に立ち上がった形状としてある。
【0019】
更に言及しておくと、該第1実施例に示した絶縁カバーは、全体の形状を、開口部3側の大きさに比して、底壁2側を少し小さい形状とした概略角錐体に形成してある。
【0020】
該絶縁カバーは、内部に挿入する金属スリーブの大きさによって異なり、金属スリーブの大きさは、通電させる電線の太さや、集束する本数によって異なるものであるが、敢えて図2,5を対象として概寸を記載しておくと、上下長さ31〜34mm、開口部の横幅外寸10〜13mm、内寸7.5〜11mm、底壁部の横幅外寸8〜11mm、内寸6.5〜10mmである。再言するが、この数値は、小・中・大に区分した三製品における概寸であって、この数値に限定する意図はなく、また拘束されるものではない。
【0021】
このような構造とした絶縁カバーは、図9に示したように、通電する所要本数の被覆電線(同図では作図の便宜上2本の被覆電線C,Cについて示してある)の先端被覆を除去した裸電線部分c,cを、最先端部が見えるように金属スリーブSに内挿し、そのスリーブ上を所要の圧着工具で加圧凹部Dが形成出来るように直接加圧変形させる。このように加圧変形させた状態で、絶縁カバー筒体1内に挿入する。換言すると、加圧変形させた金属スリーブSと電線先端部の裸電線部分cとを覆うように絶縁カバー筒体1を被せて絶縁する。このとき、単に押し込むだけでは、金属スリーブSの後端側のラッパ状部分がカバー筒体1のロック爪7に突き当たって入りにくいので、筒体1を回転させながらロック爪7部分を乗り越えさせるようにして内奥部に移行させる。
【0022】
このようにして外嵌させた絶縁カバーは、図10に示したように、金属スリーブSのラッパ状部分が円形形状を維持することなく、加圧した方向に歪み変形しているような場合でも、カバー筒体1内面の四つのロック爪7の何れか複数の、通常は三つ以上のロック爪7に接当して抜け落ち方向への移動が阻止され、電線に大小の振動が与えられても電線から外れて落ちることはない。
【0023】
図11及び図12は、第2実施例の絶縁カバーを示した外観形状と底面形状とを示した図である。この第2実施例に示した絶縁カバーは、図11のように、上部の底壁2側が小径で、下部の開口部3側が大径とされている概略形状を円錐体形状としたものである。この円錐体形状とされた周壁4が、周方向において略四等分された四つの部分周壁部4a…からなっていて、隣り合うこれらの部分周壁部4a,4aの各連接部5に、図11の外観図のように、上端から下端に至るまでの全長に亘って外方に向かって突出するリブ状部6を形成してある構造としたものである。ロック爪7は、前記第1実施例の絶縁カバーにおけるロック爪7と同様に、リブ状部6で区画されたそれぞれの部分周壁部4aの上下方向ほぼ中間箇所の内面に、内面側に向かって突出させてある。その他の点は、前記第1実施例において示した絶縁カバーと同様である。
【0024】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしも、ここに実施例として示した構造のもののみに限定されるものではなく、本発明にいう前記の構成要件を充足し、上記の目的を達成し、上記の効果を有する範囲内において適宜に改変して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明にいう終端圧着スリーブ用絶縁カバーは、圧着スリーブを用いて裸状態のままで直接圧着し所要電線どうしを集束した後に、絶縁カバー内に挿入して絶縁保護することができるものでありながら、一旦挿入した後は周壁の四方に形成したロック爪によって確実に脱落防止ができ安心して使用することができるので、大いに使用される可能性を秘めたものである。
【符号の説明】
【0026】
1 筒体
2 底壁
3 開口部
4 周壁
5 連接部
6 リブ状部
7 ロック爪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に底壁(2)を備え他端が開口部(3)とされた有底の筒体(1)であって、断面形状が略正方形か略円形に形成され、周方向に仮想四等分された四つの周壁(4)の各連接部(5)が外方に向かって突出するリブ状部(6)に形成され、これら四つの周壁(4)のそれぞれが内面に向かって突出するロック爪(7)を備えており、全体が合成樹脂素材で単一体として形成されている終端圧着スリーブ用絶縁カバー。
【請求項2】
筒体(1)が、開口部(3)側に比して底壁(2)側が小形に形成されている略角錐体か略円錐体である請求項1に記載の終端圧着スリーブ用絶縁カバー。
【請求項1】
一端に底壁(2)を備え他端が開口部(3)とされた有底の筒体(1)であって、断面形状が略正方形か略円形に形成され、周方向に仮想四等分された四つの周壁(4)の各連接部(5)が外方に向かって突出するリブ状部(6)に形成され、これら四つの周壁(4)のそれぞれが内面に向かって突出するロック爪(7)を備えており、全体が合成樹脂素材で単一体として形成されている終端圧着スリーブ用絶縁カバー。
【請求項2】
筒体(1)が、開口部(3)側に比して底壁(2)側が小形に形成されている略角錐体か略円錐体である請求項1に記載の終端圧着スリーブ用絶縁カバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−164444(P2012−164444A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22161(P2011−22161)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(591028773)株式会社ニチフ端子工業 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(591028773)株式会社ニチフ端子工業 (23)
【Fターム(参考)】
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