説明

組み立て式水槽

【課題】側壁下部に大きな側圧が加えられたり、あるいは一部の側壁に局部的に水流が強く当っても、これに十分に対抗することができると共に、組み立てを迅速に行うことができる組み立て式水槽を提供する。
【解決手段】組み立て式水槽1は、囲枠状の枠体2と、該枠体2の内側に上開容器状に配置される防水シート製の水槽袋4とを備えてなる。枠体2は、組み立てられた水槽1の各コーナー部及び各側壁の延在方向中間部にそれぞれ等間隔に立設される支柱6と、各支柱6の上部に連結される上枠8と、各支柱6の下部に連結される下枠10と、各支柱6の高さ方向途中部に連結される中間枠12とを有している。下枠10は、帯板状のものであり、板面を略水平方向にして水槽袋4の周囲部の下側に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上開容器状に組み立てられて内部に液を溜めるための組み立て式水槽に関するものであり、特にコンビナート等で用いるのに好適な組み立て式水槽に関する。
【背景技術】
【0002】
石油コンビナート、化学工場等で火災が発生した場合、消火に泡消火剤が使用される。泡消火剤の原液は、通常これらの工場に保管されており、これを化学消防車で水希釈して放水している。火災が大規模化した場合、水希釈された消火剤が大量に必要になり、化学消防車における希釈では消火が間に合わない。そこで、石油コンビナート等では、泡消化剤を大量の水で希釈する水槽が必要となる。
【0003】
この水槽は、非常時にのみ必要となるものであるから、平常時は分解状態で保管しておき、非常時に組み立てて使用するよう構成されることが望まれる。
【0004】
実開昭57−202990号公報には組み立て式の水槽として、水槽の周囲を取り巻く上枠及び下枠を間柱で連結して円環状の枠ユニットを構築し、この枠ユニットの内周に沿ってフェンスを取り付け、この枠ユニットの内側に防水シート製の円形水槽袋を配置したものが記載されている。
【特許文献1】実開昭57−202990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
I.上記実開昭57−202990号公報の組み立て式水槽を組み立てて水を溜めた場合、側周壁の下部には水圧によって極めて大きな側圧がかかるので、枠ユニットの下部が放射方向へ張り出すように変形して側周壁が傾き、水が溢出したり枠ユニットが損壊したりするおそれがある。
【0006】
また、上記実開昭57−202990号公報の組み立て式水槽を組み立て、これに大量の水をホース等から急激に注いだ場合、水流が側壁の一部に局部的に強く当たり、この側壁部分が外方に押されて傾いたり転倒したりするおそれもある。
【0007】
本発明は、側壁下部に大きな側圧が加えられたり、あるいは一部の側壁に局部的に水流が強く当っても、これに十分に対抗することができる組み立て式水槽を提供することを目的とする。
【0008】
II.上記実開昭57−202990号公報の上枠、下枠と間柱とはボルトによって連結されている。
【0009】
このようなボルトによる連結は著しく時間がかかり、火災時には水槽の組み立てが消火作業に間に合わないおそれがある。
【0010】
本発明は、その一態様において、組み立てを迅速に行うことができる組み立て式水槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の組み立て式水槽は、囲枠状の枠体と、該枠体の内側に上開容器状に配置される水槽袋とを備えてなる組み立て式水槽において、該枠体は、該水槽袋の周囲に所定間隔をおいて立設された複数本の支柱と、該周囲方向に延在し、該支柱の上部同士を連結する上枠と、該周囲方向に延在し、該支柱の下部同士を連結する下枠と、該周囲方向に延在し、該支柱の高さ方向途中部同士を連結する中間枠とを有し、該水槽袋は、水を収容したときに、その底部外周縁の一部が該下枠の上側へ膨出するように配置されることを特徴とする。
【0012】
請求項2の組み立て式水槽は、請求項1において、該下枠は、板面を略水平方向にして配置される帯板状であることを特徴とする。
【0013】
請求項3の組み立て式水槽は、請求項2において、前記支柱は、該下枠の下側に配置される座板と、該座板から起立する支柱本体と、該支柱の上部及び高さ方向途中部にそれぞれ設けられた係止部とを備えてなり、前記上枠及び中間枠には、該係止部への係止手段が設けられており、前記下枠には、該係止部が通過可能であり且つ前記座板が通過不能な、前記支柱本体の挿通用の開口が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の組み立て式水槽は、請求項3において、該支柱の前記高さ方向途中部に、前記係止部としてフランジが設けられており、該フランジに係止穴が設けられており、前記中間枠には、前記係止手段として、該係止穴に係合するフック部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項5の組み立て式水槽は、請求項3において、該支柱の前記高さ方向途中部に、前記係止部として、軸心線方向を上下方向として配置された管状ないし環状体が設けられており、前記中間枠には、前記係止手段として、該管状ないし環状体に係合するフック部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項6の組み立て式水槽は、請求項3ないし5のいずれか1項において、該支柱の前記上部に、前記係止部としてフランジが設けられており、該フランジに係止穴が設けられており、前記上枠には、前記係止手段として、該係止穴に係合するフック部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項7の組み立て式水槽は、請求項3ないし5のいずれか1項において、該支柱の前記上部に、前記係止部として、軸心線方向を上下方向として配置された管状ないし環状体が設けられており、前記上枠には、前記係止手段として、該管状ないし環状体に係合するフック部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項8の組み立て式水槽は、請求項3ないし5のいずれか1項において、該支柱の前記上部に、前記係止部としてフランジが設けられており、前記上枠には、前記係止手段として、前記支柱本体が挿通可能であり且つ該フランジが通過不能な挿通穴が設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項9の組み立て式水槽は、請求項1ないし8のいずれか1項において、前記水槽袋の上縁には、前記上枠が挿通される挿通部が設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項10の組み立て式水槽は、請求項1ないし9のいずれか1項において、前記下枠、上枠及び中間枠のうち少なくとも下枠は、前記支柱に対し非連結となっている状態において、その延在方向の長さを短くすることができるように構成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項11の組み立て式水槽は、請求項10において、該下枠は、該下枠よりも短い長さを有した複数の帯板状の短板よりなり、各短板は、該下枠の延在方向に一直線状に延在した直列状態と、互いに重なり合った折り畳み状態とをとりうるように回動結合部材によって回動可能に結合されていることを特徴とする。
【0022】
請求項12の組み立て式水槽は、請求項1ないし11のいずれか1項において、前記水槽袋の下側を、該水槽袋を横断する方向に延在した下側補助枠が設けられており、該水槽袋の両側に立設された前記支柱の下部同士が該下側補助枠によって連結されていることを特徴とする。
【0023】
請求項13の組み立て式水槽は、請求項12において、該下側補助枠は、支柱に対し非連結となっている状態において、その延在方向の長さを短くすることができるように構成されていることを特徴とする。
【0024】
請求項14の組み立て式水槽は、請求項13において、該下側補助枠は、各支柱の下部に係止される係止体と、該係止体同士を連結した変形自在な線状部材とを備えていることを特徴とする。
【0025】
請求項15の組み立て式水槽は、請求項14において、該係止体は、支柱が挿通される開口を有していることを特徴とする。
【0026】
請求項16の組み立て式水槽は、請求項15において、該係止体は、その一部が前記水槽袋の下側に配置されるように延在した帯板状であることを特徴とする。
【0027】
請求項17の組み立て式水槽は、請求項14ないし16のいずれか1項において、前記線状部材は、チェーン、ロープ、ワイヤ又はベルトであることを特徴とする。
【0028】
請求項18の組み立て式水槽は、請求項1ないし17のいずれか1項において、前記水槽袋の上側を、該水槽袋を横断する方向に延在した上側補助枠が設けられており、該水槽袋の両側に立設された前記支柱の上部同士が該上側補助枠によって連結されていることを特徴とする。
【0029】
請求項19の組み立て式水槽は、請求項18において、該上側補助枠は、支柱に対し非連結となっている状態において、その延在方向の長さを短くすることができるように構成されていることを特徴とする。
【0030】
請求項20の組み立て式水槽は、請求項19において、該上側補助枠は、各支柱の上部に係止される係止体と、該係止体同士を連結した変形自在な線状部材とを備えていることを特徴とする。
【0031】
請求項21の組み立て式水槽は、請求項20において、各支柱の上部に前記係止体が係止される上側係止部が設けられると共に、高さ方向途中部に中間係止部が設けられており、該係止部には、該係止体から延出し、該中間係止部に係止されることにより、該係止体が該上側係止部から上方に離脱することを防止する離脱防止部材が設けられていることを特徴とする。
【0032】
請求項22の組み立て式水槽は、請求項20又は21において、前記線状部材は、チェーン、ロープ、ワイヤ又はベルトであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明(請求項1)の組み立て式水槽を組み立ててなる水槽にあっては、水槽袋は、水を収容したときに、その底部外周縁の一部が下枠の上側へ膨出するように配置される。従って、水槽袋内に水が供給されると、この水の重量によって下枠が上方から押え付けられる。そのため、水槽側壁の下部に大きな側圧がかかったり、側壁の一部に局部的に水流が当っても、側壁が傾いたり変形したりすることが防止される。
【0034】
下枠としては、帯板状のものが、構成が簡便であり、好適である(請求項2)。この帯板状の下枠は、板面を略水平方向にして配置され、該板面上に水槽袋が配置される。
【0035】
支柱としては、該下枠の下側に配置される座板と、該座板から起立する支柱本体と、該支柱の上部及び高さ方向途中部にそれぞれ設けられた係止部とを備えてなるものが好適である(請求項3)。この場合、上枠及び中間枠に、該係止部への係止手段を設けておく。該係止部に上枠及び中間枠を係止させることにより、該上枠及び中間枠をそれぞれ簡単に且つ迅速に支柱に連結することができる。
【0036】
また、この場合、下枠には、該係止部が通過可能であり且つ前記座板が通過不能な、前記支柱本体の挿通用の開口を設けておく。この場合、上枠及び中間枠を係止部に係止させるのに先立って、下枠の開口に支柱を挿入し、この支柱に沿って該下枠を上方から落し込む如くして支柱と下枠とを連結する。この連結も極めて簡単であり、迅速に行うことができる。
【0037】
この場合、例えば、該係止部として、支柱の上部及び高さ方向途中部にフランジを設け、各フランジに係止穴を設けると共に、上枠及び中間枠に、該係止穴に係合するフック部を設けることが好ましい(請求項4,6)。このフック部を該係止穴に係合させることにより、該上枠及び中間枠がそれぞれ支柱に連結される。この連結は極めて簡単であり、迅速に行うことができる。
【0038】
このフランジの代りに、係止部として、軸心線方向を上下方向として配置された管状ないし環状体を設けてもよい(請求項5,7)。この場合、フック部を該管状ないし環状体の内孔に上方から落とし込むようにして係合させることにより、上枠及び中間枠がそれぞれ支柱に連結される。この連結も極めて簡単であり、迅速に行うことができる。
【0039】
上枠の係止構造は、支柱の上部に係止部としてフランジが設けられており、上枠には、係止手段として、支柱本体が挿通可能であり且つ該フランジが通過不能な挿通穴が設けられている構成であってもよい(請求項8)。この場合、該挿通穴に支柱本体の上端部を差し込み、上枠を該支柱本体に沿って落し込んで支柱上部のフランジ上に係止する。この場合にも、上枠を支柱に対し簡単に且つ迅速に連結することができる。
【0040】
本発明では、水槽袋の上縁には、上枠が挿通される例えばトンネル状等の挿通部を設けておくのが好ましい(請求項9)。水槽袋を枠体の内側に配置すると共に、上枠をこの挿通部に挿通し、上枠を支柱に連結することにより、水槽袋の側壁上縁が上枠に支持された水槽が構築される。
【0041】
本発明においては、下枠、上枠及び中間枠のうち少なくとも下枠を、水槽分解時(各支柱に対し非連結状態となっているとき)にその延在方向の長さを短くすることができるように構成することが好ましい(請求項10)。このように構成することにより、組み立て式水槽の収納スペースを小さく抑えることが可能となると共に、運搬時にこれらの部材が嵩張らず、運搬作業を容易に行うことが可能となる。
【0042】
本発明の一態様(請求項11)においては、下枠は、水槽構築時(支柱の下部同士を連結した状態のとき)の該下枠の長さよりも短い長さを有する複数の短板よりなり、これらの短板が、該下枠の延在方向に一直線状に延在した直列状態と、互いに重なり合った折り畳み状態とをとりうるように回動結合部材で結合された構成となっている。
【0043】
これらの短板同士を重ね合わせるようにして下枠を折り畳むことにより、該下枠の長さを短くして収納したり運搬することができる。また、これらの短板を展開して直列状態とすることにより、下枠の長さを水槽構築時の長さとして水槽を組み立てることができる。なお、この展開された下枠は、請求項2の態様と同様の帯板状のものとなり、板面を略水平方向にして配置され、該板面上に水槽袋が配置される。
【0044】
本発明では、水槽袋の下側に、該水槽袋を横断する方向に延在する下側補助枠を設け、この下側補助枠により、該水槽袋の両側に立設された支柱の下部同士を連結してもよい(請求項12)。このように構成することにより、組み立てられた水槽内に水が供給されて水槽側壁の下部に大きな側圧がかかっても、この水槽を取り囲む枠体が外側に膨れ出すように変形することが防止される。
【0045】
この下側補助枠を、水槽分解時にその延在方向の長さを短くすることができるように構成することが好ましい(請求項13)。このように構成することにより、該下側補助枠の収納スペースを小さく抑えることが可能となると共に、運搬時に該下側補助枠が嵩張らず、運搬作業を容易に行うことが可能となる。
【0046】
本発明の一態様(請求項14)においては、該下側補助枠は、各支柱の下部に係止される係止体と、該係止体同士を連結した変形自在な線状部材とからなる。この態様にあっては、該線状部材を変形させて係止体同士を接近ないし重ね合わせることにより、下側補助枠の長さを短くすることができる。
【0047】
この場合、該係止体は、支柱が挿通される開口を有したものであることが好ましい(請求項15)。この係止体を支柱の下部に係止するに当っては、該開口に支柱を挿入し、該支柱に沿って係止体を落とし込むようにする。この係止方法は極めて簡単であり、迅速に行うことが可能である。
【0048】
この係止体は、一部が水槽袋の下側に配置されるように延在した帯板状であることが好ましい(請求項16)。このように構成した場合、水槽袋の下側に入り込んだ係止体の板面上に該水槽袋内の水の重量がかかり、この係止体が連結された各支柱の下部が地面に押え付けられるため、該水槽袋の側壁に側圧がかかっても各支柱が外側へ傾きにくくなる。
【0049】
請求項17の通り、この下側補助枠の線状部材としては、チェーン、ロープ、ワイヤ又はベルトなどが例示されるが、これに限定されるものではない。
【0050】
本発明では、水槽袋の上側に、該水槽袋を横断する方向に延在する上側補助枠を設け、この上側補助枠により、該水槽袋の両側に立設された支柱の上部同士を連結してもよい(請求項18)。このように構成することにより、組み立てられた水槽内に水が供給されて水槽側壁に大きな側圧がかかっても、この水槽の周囲の支柱が外側へ傾くことが防止される。
【0051】
この上側補助枠を、水槽分解時にその延在方向の長さを短くすることができるように構成することが好ましい(請求項19)。このように構成することにより、該上側補助枠の収納スペースを小さく抑えることが可能となると共に、運搬時に該上側補助枠が嵩張らず、運搬作業を容易に行うことが可能となる。
【0052】
本発明の一態様(請求項20)においては、該上側補助枠は、各支柱の上部に係止される係止体と、該係止体同士を連結した変形自在な線状部材とからなる。この態様にあっては、該線状部材を変形させて係止体同士を接近ないし重ね合わせることにより、上側補助枠の長さを短くすることができる。
【0053】
請求項21の態様にあっては、この上側補助枠を設置するに当り、該上側補助枠を水槽袋の上側に張り渡し、各係止体を該水槽袋の両側の各支柱の上側係止部に係止すると共に、該係止体から延出した離脱防止部材を該支柱の中間係止部に係止する。これにより、水槽に水を供給する際などに該水槽に加わる振動等によって不用意に係止体が支柱から外れることを防止することができる。
【0054】
請求項22の通り、この上側補助枠の線状部材としても、チェーン、ロープ、ワイヤ又はベルトなどが例示されるが、これに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係る組み立て式水槽の組み立て完了状態における斜視図、第2図(a)は水槽袋の斜視図、第2図(b)は第2図(a)のB−B線に沿う断面図、第3図は下枠及び支柱の全体斜視図、第4図(a)は支柱の斜視図、第4図(b)は支柱と下枠との連結部分の分解斜視図、第5図は支柱と上枠又は中間枠との連結部分の拡大斜視図、第6図は支柱と上側補助枠との連結部分の拡大斜視図である。
【0056】
この組み立て式水槽1は、囲枠状の枠体2と、該枠体2の内側に上開容器状に配置される防水シート製の水槽袋4とを備えてなる。この実施の形態では、該水槽袋4は、第2図(a)に示すように、略正方形の底面4aと、該底面4aの4辺にそれぞれ連なる4面の側壁4bとを有する。
【0057】
第1図に示す通り、枠体2は、組み立てられた水槽1の各コーナー部及び各側壁の延在方向中間部(以下、単に「中間部」と称する。)にそれぞれ等間隔に立設される計8本の支柱6と、各支柱6の上部に連結される上枠8と、各支柱6の下部に連結される下枠10と、各支柱6の高さ方向途中部に連結される中間枠12と、水槽袋4の上側を横切って配置され、両端が中間部の支柱6,6の上部にそれぞれ連結される上側補助枠14と、水槽袋4の下側を横切って配置され、両端が中間部の支柱6,6の下部にそれぞれ連結される下側補助枠16とを有している。
【0058】
各支柱6は、第4図(a)に示すように、地面上に設置される座板6aと、該座板6aから起立する棒状の支柱本体6bと、該支柱本体6bの上部及び高さ方向の途中の2箇所に設けられた、係止部としての上段、中段及び下段の各フランジ6cと、各フランジ6cに設けられた係止穴6dとを備えてなる。各フランジ6cは座板6aよりも小径となっている。各々のフランジ6cにおいては、係止穴6dは支柱本体6bの軸心線回りに90°ずつ位相をずらして4個設けられている。フランジ6c同士の間では、各係止穴6dは同一位相状に配置されている。
【0059】
下枠10は、帯板状のものであり、板面を略水平方向にして水槽袋4の周囲部の下側に配置される。この下枠10の1枚分の長さは、隣り合う支柱6,6同士の間隔と略同等よりも若干長いものとなっている。各下枠10の両端側には、それぞれ、開口10aが設けられている。この開口10aは、各フランジ6cの通過は許容するが、座板6aの通過は許容し得ない大きさとなっている。
【0060】
この実施の形態では、上枠8及び中間枠12は、それぞれ、隣り合う支柱6,6同士の間に架設される長さを有する棒状のものであり、両端に、前記係止穴6dに係合可能なフック部8a,12aが設けられている。なお、この実施の形態では、上枠8と中間枠12とは共通の部材であり、相互に互換可能となっている。
【0061】
第2図に示すように、水槽袋4の各側壁4bの上縁には、該上枠8が挿通されるトンネル状の挿通部4cが設けられている。この実施の形態では、各側壁4bの上縁部を折り返すと共に、その先端側を接着や溶着あるいはファスナー等により該側壁4bの外面に結合することにより上枠挿通部4cが形成されている。
【0062】
なお、各側壁4bの上縁の長手方向中間部には切欠部4Aが設けられ、この切欠部4Aにおいて上枠挿通部4cが露呈している。
【0063】
上側補助枠14は棒状のものであり、両端側には、それぞれ、支柱本体6bの上端側が挿通される挿通穴14aが設けられている。この挿通穴14aは、フランジ6cの通過は許容し得ない大きさとなっている。
【0064】
下側補助枠16は帯板状のものであり、その両端側には、支柱本体6bが挿通される開口16aが設けられている。この開口16aは、各フランジ6cの通過は許容するが、座板6aの通過は許容し得ない大きさとなっている。
【0065】
水槽袋4の素材としては、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、オレフィン系樹脂等が好適であるが、これに限定されない。
【0066】
かかる構成の組み立て式水槽1の組み立て手順の一例を以下に説明する。
【0067】
この組み立て式水槽1を組み立てるに当っては、各支柱6を立て、隣接する支柱6,6に跨って各下枠10を設置する。この際、下枠10の開口10aに支柱本体6bが内挿される。下枠10を支柱本体6bに沿って落し込み、該下枠10の両端を座板6a上に重ねる。なお、すべての支柱6を立ててから下枠10を設置してもよく、一部の支柱6を立てた後に下枠10を設置してもよい。支柱6を立てるに際しては、各支柱6の係止穴6dが隣接する支柱6同士を結ぶ直線上に配置されるようにする。
【0068】
なお、コンビナートや工場等の敷地内に水槽1の設置予定エリアを定めておき、このエリア内に、各支柱6の設置位置を予めマークしておいてもよい。このマークの上に各支柱6を設置するようにすることにより、水槽1の組み立てを正確に且つ迅速に行うことができる。
【0069】
次に、中間部の支柱6,6間に下側補助枠16を架け渡す。この際、下側補助枠16の開口16aに支柱本体6bが挿通される。下側補助枠16を支柱本体6bに沿って落し込み、その両端を下枠10の上に重ねる。
【0070】
次に、隣り合う支柱6,6の下段のフランジ6c,6c同士及び中段のフランジ6c,6c同士の間にそれぞれ中間枠12を架け渡す。この際、中間枠12のフック部12aを各フランジ6cの係止穴6dに係合させる。
【0071】
中間枠12を支柱6の全周にわたって設置した後、その内側に、水槽袋4を配置する。この際、該水槽袋4の切欠状部4Aに支柱6の上部が臨む。
【0072】
次いで、この水槽袋4の各上枠挿通部4cにそれぞれ上枠8を挿通する。各上枠8は、隣り合う支柱6,6間に位置する。各上枠8の両端のフック部8aを各フランジ6cの係止穴6dに係合させることにより、上枠8が各支柱6間に架設される。
【0073】
その後、中間部に位置する支柱6,6同士の間に上側補助枠14を架け渡す。この際、上側補助枠14の両端側の挿通穴14aに支柱6の支柱本体6bの上端部を差し込む。これにより、水槽1の組み立てが完了する。
【0074】
この水槽1にあっては、帯板状の下枠10が水槽袋4の底面4aの周縁部の下側に配置される。従って、水槽袋4内に水が供給されると、この水の重量によって下枠10が上方から押え付けられる。そのため、該水槽袋4の側壁4bの下部に大きな側圧がかかったり、側壁4bの一部に局部的に水流が当っても、側壁4bが傾いたり変形したりすることが防止される。
【0075】
この実施の形態では、下枠10の両端側の開口10aに支柱6の支柱本体6bをそれぞれ挿通し、この開口10aを支柱6の座板6a上に落し込む如くして下枠10と支柱とを連結する。この連結は極めて簡単である。また、上枠8及び中間枠12をそれぞれ支柱6に連結するに際しては、各々の両端のフック部8a,12aを支柱6の各フランジ6cの係止穴6dに係合させる。この連結も極めて簡単である。このため、組み立て式水槽1を容易に且つ迅速に組み立てることができる。
【0076】
本発明の組み立て式水槽にあっては、水槽袋内の貯流水を排出するための水抜き手段が設けられてもよい。第7図は、この水抜き手段の一例として水抜きホースを備えた組み立て式水槽1Aの要部斜視図であり、第8図は、この水槽1Aの要部立面図である。
【0077】
この組み立て式水槽1Aにおいては、水槽袋4のコーナー部の下隅付近に水抜き穴(図示略)が設けられ、この水抜き穴に水抜きホース20が接続されている。この実施の形態では、該ホース20は水槽袋4と同様の材質よりなる。ホース20の基端は、接着や溶着等の結合手段により該水抜き穴の周縁部に結合されている。この実施の形態では、該水抜き穴及びホース20は常時水槽袋4の内外を連通している。このホース20の長さは、水槽袋4の側壁4bの高さよりも大きなものとなっている。このホース20の内径は、例えば50mm程度とされるが、これに限定されない。
【0078】
この組み立て式水槽1Aのその他の構成は、前述の第1〜6図の組み立て式水槽1と同様となっている。
【0079】
この組み立て式水槽1Aを前述の組み立て式水槽1と同様の手順にて組み立てた後、水槽袋4に水を貯める場合、第8図に示すように、ホース20を支柱6に沿って上方へ引き上げ、該ホース20の先端を水槽袋4の上縁よりも高位となる高さに配置しておく。これにより、水がホース20を介して流出することなく水槽袋4内に貯留される。
【0080】
なお、この実施の形態では、ホース20を支柱6に沿って上方へ引き上げた後、ロープ等の結束具20aを用いて該ホース20の先端側を支柱6の上部に固定している。ただし、このホース20の固定方法はこれに限定されるものではない。例えば、ホース20の先端側にフック等の係止手段を設けておき、このフック等を支柱6の上部(例えば上段のフランジ6cや支柱本体6bの上端開口)に引掛けるようにしてもよい。
【0081】
この水槽袋4内の貯留水を排出する場合には、該結束具20aによる拘束を解除してホース20を下方へ垂らす。これにより、該ホース20を介して水が排出される。
【0082】
第9図は別の水抜き手段を備えた組み立て式水槽1Bの要部斜視図である。
【0083】
この組み立て式水槽1Bにおいては、水槽袋4の側壁4bの下隅付近に水抜き穴(図示略)が設けられ、この水抜き穴に水抜きプラグ22が接続されている。この水抜きプラグ22には、該水抜きプラグ22からの吐水と止水とを切り替える開閉バルブ23が設けられている。符号23aは、この切替操作を行うためのバルブハンドルを示している。
【0084】
この実施の形態では、該水抜きプラグ22は樹脂チューブよりなる。該樹脂チューブの基端は、接着や溶着等の結合手段により前記水抜き穴の周縁部に結合されている。この実施の形態では、開閉バルブ23も樹脂製となっている。ただし、水抜きプラグ22及び開閉バルブ23の構成はこれに限定されない。
【0085】
この組み立て式水槽1Bのその他の構成は、前述の第1〜6図の組み立て式水槽1と同様となっている。
【0086】
かかる構成の組み立て式水槽1Aにあっては、バルブ23を閉じた状態で水槽袋4に水を貯留する。この水槽袋4内の貯留水を排出する場合には、ハンドル23aを操作してバルブ23を開ける。これにより、水抜きプラグ22を介して水が排出される。
【0087】
なお、水槽袋の水抜き手段は上記の各構成に限定されるものではない。例えば、水抜き穴に蓋ないし栓を設けただけの構成であってもよい。
【0088】
第10図(a)は支柱の別の構成例を示す斜視図であり、第10図(b)は第10図(a)のB−B線に沿う断面図である。また、第11図はこの支柱と上枠との連結部分の斜視図であり、第12図はこの支柱と中間枠との連結部分の分解斜視図である。
【0089】
この実施の形態では、支柱6Aは、第10図(a)に示すように、座板6aと、該座板6aから起立した支柱本体6bと、該支柱本体6bの上部に設けられた、上枠係止部としてのフランジ6c’と、該支柱本体6bの高さ方向の途中の2箇所に設けられた、上側中間枠用及び下側中間枠用の各係止部としての管状体6eとを備えている。該フランジ6c’は、座板6aよりも小径となっている。各管状体6eは、軸心線方向を上下方向としてそれぞれ支柱本体6bの側面に固着されている。なお、各管状体6eの内孔は、上端側がテーパ状に拡開した形状となっている。
【0090】
上段側及び下段側の各中間枠係止部においては、管状体6eは、支柱本体6bの軸心線周りに90°ずつ位相をずらして4個設けられている。また、これらの中間枠係止部同士の間においては、各管状体6eは同一位相状に配置されている。第10図(b)に示す通り、各中間枠係止部において、支柱本体6bを挟んで反対側に位置する管状体6e,6e同士の間で該支柱本体6bの径方向に最も離隔した部分(外周面)同士の間隔は、座板6aの径よりも小さなものとなっている。
【0091】
この実施の形態では、下枠10の両端の開口10a(第1〜6図参照)の径は、フランジ6c’及び各中間枠係止部(管状体6e)の通過は許容するが、座板6aの通過は許容しない大きさとなっている。
【0092】
この実施の形態では、第11図に示す通り、上枠8Aの両端側には、それぞれ、支柱本体6bが挿通される挿通穴8bが設けられている。この挿通穴8bは、フランジ6c’の通過は許容しない大きさとなっている。
【0093】
第12図に示す通り、中間枠12Aの両端側には、それぞれ、管状体6eに係合可能なフック部12a’が設けられている。
【0094】
なお、支柱6Aは、例えば、以下の寸法にて構成される。
座板6a:直径250mm,厚さ6mm
支柱本体6b:直径50mm,高さ980mm
フランジ6c’:直径10mm,厚さ6mm,座板6aからの高さ850mm
管状体6e:外径34mm,内径25mm,軸心線方向の長さ50mm,上側中間
枠係止部における座板6aから上端面までの高さ500mm,下側中
間枠係止部における座板6aから上端面までの高さ200mm
ただし、これは一例であり、これに限定されるものではない。
【0095】
かかる構成の支柱6Aを用いて組み立て式水槽を組み立てるに当っては、各支柱6Aの管状体6eが隣接する支柱6A,6A同士を結ぶ直線状に配置されるように支柱6Aを並べ、隣接する6A,6Aに跨って下枠10、中間枠12A及び上枠8Aを設置する。
【0096】
この実施の形態でも、下枠10の両端側の開口10aに各支柱6Aの支柱本体6bをそれぞれ挿通し、この開口10aを支柱6Aの座板6a上に落し込む如くして下枠10と支柱6Aとを連結する。この連結は極めて簡単である。
【0097】
中間枠12Aを支柱6Aに連結するに際しては、該中間枠12Aの両端のフック部12a’を管状体6eの内孔に上方から落とし込むようにして係合させる。この連結も極めて簡単である。
【0098】
上枠8Aを支柱6Aに連結するに際しては、該上枠8Aの両端の挿通穴8bに支柱本体6bの上端部を差し込み、上枠8Aを該支柱本体6bに沿って落し込んで支柱上部のフランジ6c’上に係止する。この場合にも、上枠8Aを支柱6Aに対し簡単に且つ迅速に連結することができる。
【0099】
本発明においては、下枠や下側補助枠、上側補助枠等を、水槽分解時(支柱に対し非連結となっているとき)に各々の延在方向の長さを短くすることができるように構成してもよい。第13〜17図に、このように構成された下枠100、下側補助枠160及び上側補助枠140と、これらを備えた組み立て式水槽1Cとを示す。なお、第13図(a)は下枠100の平面図、第13図(b)はこの下枠100の折り畳み状態を示す斜視図、第14図(a),(b)はそれぞれ下側補助枠160及び上側補助枠140の斜視図、第15図及び第16図は、それぞれ、該下枠100、下側補助枠160及び上側補助枠140を備えた組み立て式水槽1Cの組み立て途中時及び組み立て完了時の斜視図、第17図は該上側補助枠140の支柱6への係止状態を示す斜視図(拡大図)である。
【0100】
第13図(a)に示すように、下枠100は、水槽構築時(支柱6,6の下部同士を連結した状態)における該下枠100の長さの略半分程度の長さを有する2枚の帯板状の短板101a,101bよりなる。これらの短板101a,101bは、第13図(a)の如く互いの板面を略面一状にして一直線状に延在した直列状態と、第13図(b)の如く該板面を向かい合わせにして重なり合った折り畳み状とをとりうるように、各々の長手方向の一端側同士が回動結合部材としてのヒンジ102によって結合されている。
【0101】
各短板101a,101bの他端側(これらの短板101a,101bを直列状態としたときの下枠100の両端側)には、それぞれ、支柱6を挿通するための開口103が設けられている。この開口103は、該支柱6の支柱本体6b及びその途中の各フランジ6cの通過は許容するが、その下端の座板6aの通過は許容しない大きさとなっている。符号103aは、この開口103の周縁部に取り付けられた補強部材を示している。
【0102】
なお、下枠101a,101b同士を直列状態としたときの、各々の開口103,103同士の間隔は、前述の第1〜6図の実施の形態における下枠10の両端側の開口10a,10a同士の間隔と略同じとなっている。
【0103】
第13図の通り、この下枠100をその延在方向の中間付近(ヒンジ102)から2つ折りにするようにして短板101a,101b同士を重ね合わせることにより、該下枠100の長さを水槽組み付け時の略半分程度にまで短くすることができる。
【0104】
第14図(a)に示すように、下側補助枠160は、水槽袋4の両側に立設された1対の支柱6,6の下部にそれぞれ係止される2枚の帯板状の係止体161a,161bと、これらの係止体161a,161bの長手方向の一端側同士を連結した変形自在な線状部材としてのチェーン162とからなる。
【0105】
各係止体161a,161bの他端側には、それぞれ、支柱6を挿通するための開口163が設けられている。この開口163も、該支柱6の支柱本体6b及びその途中の各フランジ16cの通過は許容するが、その下端の座板6aの通過は許容しない大きさとなっている。符号163aは、この開口163の周縁部に取り付けられた補強部材を示している。
【0106】
各係止体161a,161bの長さは、水槽構築時(水槽袋4の両側に立設された支柱6,6の下部同士を連結した状態)における下側補助枠160の所要長さの半分よりも短いものとなっている。
【0107】
この下側補助枠160は、図示の如くチェーン162が係止体161a,161b同士の間でピンと張るように該係止体161a、チェーン162及び係止体161bを一直線状に延在させた状態において、各係止体161a,161bの開口163,163同士の間隔が、前述の第1〜6図の実施の形態における下側補助枠16の両端側の開口16a,16a同士の間隔と略同じになるよう構成されている。
【0108】
このチェーン162を屈曲させて係止体161a,161b同士を重ね合わせることにより、下側補助枠160の長さを水槽組み付け時の長さの半分よりも短くすることができる。
【0109】
第14図(b)に示すように、上側補助枠140は、水槽4の両側に立設された1対の支柱6,6の上部にそれぞれ係止される2個の係止体141a,141bと、該係止体141a,141b同士を連結した、変形自在な線状部材としてのチェーン142と、各係止体141a,141bの支柱6からの離脱防止部材143,143とを備えている。
【0110】
各係止体141a,141bは、この実施の形態では図示の通りリング状の部材であり、その内側の開口径は、支柱本体6aの上端側の挿通は許容するが、その途中のフランジ6cの通過は許容しない大きさとなっている。
【0111】
チェーン142の長さは、該チェーン142がピンと張るように係止体141a,141b同士を離反させたときに、該係止体141a,141b同士の間隔が、前述の第1〜6図の実施の形態における上側補助枠14の両端側の挿通孔14a,14b同士の間隔と略同じになるように設定されている。
【0112】
各離脱防止部材143は、この実施の形態では、各係止体141a,141bからチェーン142と反対側へ延出したチェーン143aと、該チェーン143aの先端側に設けられたフック143bとからなる。該チェーン143aは、支柱6の上段側のフランジ6cから中段側のフランジ6cまで引き回しうる長さとなっている。また、フック143bは、該フランジ6cの係止穴6dに係止しうるものとなっている。
【0113】
この上側補助枠140は、各チェーン142,143aを巻き取るようにして、水槽組み付け時よりも長さを短くしたり、塊状とすることができる。
【0114】
この実施の形態の組み立て式水槽1Cは、前述の第1〜6図の実施の形態の組み立て式水槽1において、下枠10、下側補助枠16及び上側補助枠14の代わりに上記の下枠100、下側補助枠160及び上側補助枠140を用いたものである。この組み立て式水槽10Cのその他の構成は、該組み立て式水槽10と同様である。以下に、この組み立て式水槽1Cの組み立て手順の一例について説明する。
【0115】
この組み立て式水槽10Cを組み立てるに当っては、まず、前述の実施の形態と同様にして支柱6を立てる。次いで、各下枠100を第13図(a)の如く展開させ、隣り合う支柱6,6に跨ってこの下枠100を設置する。この際、該下枠100の両端側の開口103,103に各支柱6を挿入し、上方から該支柱6に沿って下枠100を落とし込み、その両端側を各支柱6の座板6aの上に重ねる。
【0116】
次に、水槽袋4の各側壁の中間部に位置する支柱6のうち、該水槽袋4を挟んで向かい合う支柱6,6同士間に、下側補助枠160を掛け渡す。この際、該下側補助枠160の両端側の係止体161a,161bの各開口163に各支柱6を挿入し、上方から該支柱6に沿って各係止体161a,161bを落とし込み、これらを下枠100の上に重ねる。
【0117】
第15図は、この下側補助枠160の設置が完了した状態を示している。
【0118】
次に、支柱6,…,6の全周にわたって中間枠12及び上枠8を設置すると共に、その内側に水槽袋4を設置する。これらの中間枠12、上枠8及び水槽袋4の設置手順は前述の実施の形態と同様であり、説明を省略する。
【0119】
その後、該水槽袋4の各側壁の中間部に位置する支柱6のうち該水槽袋4を挟んで向かい合う支柱6,6の上端部同士の間に、上側補助枠140を掛け渡す。この際、該上側補助枠140の両端側の係止体141a,141bに各支柱6の上端部を挿入し、上方から該支柱6に沿って各係止体141a,141bを落とし込み、これらを各支柱6の上段側のフランジ6cの上に重ねる。
【0120】
次いで、第17図に示すように、各係止体141a,141bから延出した離脱防止部材143のチェーン143aをそれぞれ下方へ引き回し、各々の先端のフック143bを各支柱6の中段側のフランジ6cの係止穴6dに引掛ける。
【0121】
これにより、水槽1Cの組み立てが完了する。
【0122】
この組み立てられた水槽1Cにあっては、各離脱防止部材143により、上側補助枠140の各係止体141a,141bが支柱6から上方へ離脱することが防止されているため、水槽袋4に水を供給する際などに加わる振動等によって上側補助枠140が不用意に支柱6から外れることが防止される。
【0123】
この組み立てられた水槽1Cは、上記の組み立て手順と逆の手順により分解することができる。
【0124】
この実施の形態では、下枠100、下側補助枠160及び上側補助枠140を支柱6から外した後、各々の延在方向の長さを短くすることができるので、この分解した組み立て式水槽1Cの収納スペースを比較的小さくすることができる。また、このように長さを短くすることにより、運搬時にもこれらの部材が嵩張らず、運搬作業を比較的容易に行うことができる。
【0125】
第18図にこの分解した組み立て式水槽1Cの収納方法の一例を示す。なお、第18図(a)は未収納状態における収納用ラック200の斜視図であり、第18図(b)はこのラック200に分解した組み立て式水槽1Cを収納した状態を示している。
【0126】
第18図(a)の通り、このラック200は、組み立て式水槽1Cの各部材が積載される架台201と、この架台201の各コーナー部から該架台201の上面を囲むように立設された主支柱202と、この架台201の上面を積載部204,205の2面に仕切る仕切り支柱203と、塊状とされた上側補助枠140を収容するためのケース206とを有している。
【0127】
このラック200に分解した組み立て式水槽1Cを収納する場合、第18図(b)のように、各下枠100及び下側補助枠160を折り畳んで一方の積載部204に積み重ねると共に、各上枠8、中間枠12、水槽袋4及び各支柱6を他方の積載部205に積み重ねる。なお、この実施の形態では、積載部205上にまず各上枠8及び中間枠12を載せ、次いでその上に水槽袋4を折り畳んで載せ、さらにその上に各支柱6を載せている。また、各上側補助枠140を、チェーン142,143aをそれぞれ巻き取るようにして塊状とし、ケース206内に収納する。ただし、このラック200への収納方法はこれに限定されるものではない。
【0128】
上記の実施の形態は本発明の一例を示すものであり、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0129】
水槽の大きさは、例えば高さ0.5〜1.5m、1辺の長さ2〜6m程度とされるが、これに限定されない。
【0130】
上記の各実施の形態では、水槽袋は、直交2方向の各辺の長さがいずれも各枠の略2本分の長さとなっているが、水槽袋の各辺の長さはこれに限定されない。例えば、各枠の略1本分の長さを基本単位として、水槽袋の直交2方向の各辺の長さの比を1:1,1:2,1:3,2:3,2:4,3:3などと変更することにより、支柱や各枠を共通の部材として種々異なる大きさの水槽を構築することができる。
【0131】
水槽の組み立て後の平面視形状は、例えば円形や楕円形、多角形などの種々の形状とすることができる。
【0132】
本発明の組み立て式水槽を構成する各部材の材質は、十分な強度を得られるものであれば、特に制限はない。例えば、帯板状の下枠や下側補助枠は、木板や合成樹脂(グラスファイバーやカーボンファイバー等の繊維強化樹脂を含む)板、金属板など、種々の材質の板状体により構成することができる。なお、重量や加工のし易さ、コスト等を考慮すると、木板により下枠や下側補助枠を構成するのが好ましい。この場合、木板に防腐処理を施すのが好ましい。
【0133】
上記の第13〜17図の実施の形態では、下枠、下側補助枠及び上側補助枠を、水槽分解時に各々の延在方向の長さを短くすることができるように構成しているが、上枠及び中間枠も、水槽分解時に各々の延在方向の長さを短くすることができるように構成してもよい。
【0134】
上記の第13〜17図の実施の形態では、下側補助枠の係止体同士及び上側補助枠の係止体同士をそれぞれ連結する変形自在な線状部材としてチェーンを用いているが、これ以外にも、ロープやワイヤ、ベルトなど、種々の形態の線状部材を用いることができる。この線状部材の材質にも特に制限はない。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】実施の形態に係る組み立て式水槽の組み立て完了状態における斜視図である。
【図2】水槽袋の斜視図及び断面図である。
【図3】下枠及び支柱の全体斜視図である。
【図4】支柱の斜視図及び支柱と下枠との連結部分の分解斜視図である。
【図5】支柱と上枠及び中間枠との連結部分の拡大斜視図である。
【図6】支柱と上側補助枠との連結部分の拡大斜視図である。
【図7】別の実施の形態に係る組み立て式水槽の要部斜視図である。
【図8】図7の組み立て式水槽の要部立面図である。
【図9】さらに別の実施の形態に係る組み立て式水槽の要部斜視図である。
【図10】別の構成例に係る支柱の斜視図及び断面図である。
【図11】図9の支柱と上枠との連結部分の分解斜視図である。
【図12】図9の支柱と中間枠との連結部分の分解斜視図である。
【図13】別の実施の形態に係る下枠の平面図及び斜視図である。
【図14】別の実施の形態に係る下側補助枠及び上側補助枠の平面図である。
【図15】図13,14の下枠、下側補助枠及び上側補助枠を備えた組み立て式水槽の組み立て途中時の斜視図である。
【図16】図15の組み立て式水槽の組み立て完了時の斜視図である。
【図17】図14の上側補助枠の支柱への係止状態を示す斜視図である。
【図18】図15,16の組み立て式水槽の収納方法の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0136】
1,1A,1B,1C 組み立て式水槽
2 枠体
4 水槽袋
6,6A 支柱
6a 座板
6b 支柱本体
6c,6c’ フランジ
6d 係止穴
6e 管状体
8,8A 上枠
8a,8a’ フック部
8b 挿通穴
10,100 下枠
10a 開口
12,12A 中間枠
12a,12a’ フック部
14,140 上側補助枠
14a 挿通穴
16,160 下側補助枠
16a 開口
20 水抜きホース
22 水抜きプラグ
23 開閉バルブ
101a,101b 短板
102 ヒンジ
103 開口
141a,141b,161a,161b 係止体
142,162 チェーン
143 離脱防止部材
143a チェーン
143b フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
囲枠状の枠体と、
該枠体の内側に上開容器状に配置される水槽袋と
を備えてなる組み立て式水槽において、
該枠体は、該水槽袋の周囲に所定間隔をおいて立設された複数本の支柱と、該周囲方向に延在し、該支柱の上部同士を連結する上枠と、該周囲方向に延在し、該支柱の下部同士を連結する下枠と、該周囲方向に延在し、該支柱の高さ方向途中部同士を連結する中間枠とを有し、
該水槽袋は、水を収容したときに、その底部外周縁の一部が該下枠の上側へ膨出するように配置されることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項2】
請求項1において、該下枠は、板面を略水平方向にして配置される帯板状であることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項3】
請求項2において、前記支柱は、該下枠の下側に配置される座板と、該座板から起立する支柱本体と、該支柱の上部及び高さ方向途中部にそれぞれ設けられた係止部とを備えてなり、
前記上枠及び中間枠には、該係止部への係止手段が設けられており、
前記下枠には、該係止部が通過可能であり且つ前記座板が通過不能な、前記支柱本体の挿通用の開口が設けられていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項4】
請求項3において、該支柱の前記高さ方向途中部に、前記係止部としてフランジが設けられており、該フランジに係止穴が設けられており、
前記中間枠には、前記係止手段として、該係止穴に係合するフック部が設けられていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項5】
請求項3において、該支柱の前記高さ方向途中部に、前記係止部として、軸心線方向を上下方向として配置された管状ないし環状体が設けられており、
前記中間枠には、前記係止手段として、該管状ないし環状体に係合するフック部が設けられていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれか1項において、該支柱の前記上部に、前記係止部としてフランジが設けられており、該フランジに係止穴が設けられており、
前記上枠には、前記係止手段として、該係止穴に係合するフック部が設けられていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項7】
請求項3ないし5のいずれか1項において、該支柱の前記上部に、前記係止部として、軸心線方向を上下方向として配置された管状ないし環状体が設けられており、
前記上枠には、前記係止手段として、該管状ないし環状体に係合するフック部が設けられていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項8】
請求項3ないし5のいずれか1項において、該支柱の前記上部に、前記係止部としてフランジが設けられており、
前記上枠には、前記係止手段として、前記支柱本体が挿通可能であり且つ該フランジが通過不能な挿通穴が設けられていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項において、前記水槽袋の上縁には、前記上枠が挿通される挿通部が設けられていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項において、前記下枠、上枠及び中間枠のうち少なくとも下枠は、前記支柱に対し非連結となっている状態において、その延在方向の長さを短くすることができるように構成されていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項11】
請求項10において、該下枠は、該下枠よりも短い長さを有した複数の帯板状の短板よりなり、
各短板は、該下枠の延在方向に一直線状に延在した直列状態と、
互いに重なり合った折り畳み状態とをとりうるように回動結合部材によって回動可能に結合されていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項において、前記水槽袋の下側を、該水槽袋を横断する方向に延在した下側補助枠が設けられており、
該水槽袋の両側に立設された前記支柱の下部同士が該下側補助枠によって連結されていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項13】
請求項12において、該下側補助枠は、支柱に対し非連結となっている状態において、その延在方向の長さを短くすることができるように構成されていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項14】
請求項13において、該下側補助枠は、各支柱の下部に係止される係止体と、
該係止体同士を連結した変形自在な線状部材と
を備えていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項15】
請求項14において、該係止体は、支柱が挿通される開口を有していることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項16】
請求項15において、該係止体は、その一部が前記水槽袋の下側に配置されるように延在した帯板状であることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項17】
請求項14ないし16のいずれか1項において、前記線状部材は、チェーン、ロープ、ワイヤ又はベルトであることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれか1項において、前記水槽袋の上側を、該水槽袋を横断する方向に延在した上側補助枠が設けられており、
該水槽袋の両側に立設された前記支柱の上部同士が該上側補助枠によって連結されていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項19】
請求項18において、該上側補助枠は、支柱に対し非連結となっている状態において、その延在方向の長さを短くすることができるように構成されていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項20】
請求項19において、該上側補助枠は、各支柱の上部に係止される係止体と、
該係止体同士を連結した変形自在な線状部材と
を備えていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項21】
請求項20において、各支柱の上部に前記係止体が係止される上側係止部が設けられると共に、高さ方向途中部に中間係止部が設けられており、
該係止部には、該係止体から延出し、該中間係止部に係止されることにより、該係止体が該上側係止部から上方に離脱することを防止する離脱防止部材が設けられていることを特徴とする組み立て式水槽。
【請求項22】
請求項20又は21において、前記線状部材は、チェーン、ロープ、ワイヤ又はベルトであることを特徴とする組み立て式水槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−137492(P2006−137492A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273653(P2005−273653)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000176774)三菱化学エムケーブイ株式会社 (29)
【出願人】(000244660)木曽興業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】