説明

組付装置及び組付方法

【課題】コンパクトかつ安価な構成で、複数種類の組付部品をワークに組付けることが可能であり、組付部品の組付位置を容易に変更することが可能な、組付装置及び組付方法を提供する。
【解決手段】ワーク送りユニット20と、組付ユニット30と、制御手段41と、を具備する、組付装置10であって、ワーク送りユニット20及び組付ユニット30は、制御手段41から送信される位置情報に基づいて、ワーク送りスライダ22及び組付スライダ33をスライドさせるとともに、組付部35は、組付スライダ33が基部31の側に位置する際に組付部品Pを把持し、組付スライダ33がワークWの側に位置する際に組付部品PをワークWに組付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組付装置及び組付方法に関し、詳しくは、ワークに組付部品を組付ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組付部品の供給部から組付部品を取出してワークに組付ける組付装置(ピックアンドプレイス装置)が知られている。このような組付装置としては、例えば、エンジンのシリンダヘッドサブにバルブ等を組付けるものがある。
【0003】
前記組付装置としては、複数のアームを相互回動可能に連結し、アームが水平に動作するように構成した水平多関節ロボット等がある(例えば、特許文献1を参照)。
一方、前記組付装置として、カムやボールねじ、アクチュエータ等を組合せた、機械式のピックアンドプレイス装置もある(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−328869号公報
【特許文献2】特開2001−347427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載される水平多関節ロボットによれば、原則的に一つの設備で一種類の組付部品をワークに組付ける必要がある。このため、ワークに組付ける部品点数の種類が多い場合は、組付部品の種類毎に水平多関節ロボットが必要となり、設備コストの増加に繋がっていた。
また、アームの可動範囲を確保するために設備スペースを大きくとる必要があるため、設備をコンパクト化することが困難であった。加えて、アーム等が温度変化によって変形した場合でも、組付位置を補正する手段がないため、組付精度の低下を防止することが困難であった。
一方、組付ツールを交換する等して一つの水平多関節ロボットで組付けることができる組付部品の種類を増やし、水平多関節ロボットの数を低減することも可能である。しかし、この場合は、組付ツールの交換のための動作時間が増加し、プログラムが複雑化するという問題があった。
【0006】
一方、前記特許文献2に記載される機械式のピックアンドプレイス装置によれば、組付部品の組付位置を変更する場合には、内部構成部品を変更する必要があるためにコスト増となっていた。
【0007】
そこで本発明は、上記現状に鑑み、コンパクトかつ安価な構成で、複数種類の組付部品をワークに組付けることが可能であり、組付部品の組付位置を容易に変更することが可能な、組付装置及び組付方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、それぞれ直交するX軸、Y軸、Z軸からなるXYZ座標系において、ワークを位置決めして載置した状態でX軸方向にスライド可能に構成されたワーク送りスライダを備える、ワーク送りユニットと、前記ワーク送りユニットの近傍に立設された基部と、前記基部においてY軸方向及びZ軸方向にスライド可能にY軸方向に延出して配設された組付スライダと、前記組付スライダの前記ワーク送りユニット側の端部に配設された組付部と、を備える、組付ユニットと、あらかじめ記憶した、前記ワーク送りスライダのX軸方向の位置情報と、前記組付スライダのY軸方向の位置情報及びZ軸方向の位置情報とを、前記ワーク送りユニット及び前記組付ユニットに対してそれぞれ送信する、制御手段と、を具備する、組付装置であって、前記ワーク送りユニット及び前記組付ユニットは、前記制御手段から送信される位置情報に基づいて、前記ワーク送りスライダ及び前記組付スライダをスライドさせるとともに、前記組付部は、前記組付スライダが前記基部側に位置する際に組付部品を把持し、前記組付スライダが前記ワーク側に位置する際に組付部品をワークに組付けるものである。
【0010】
請求項2においては、複数の前記組付ユニットを具備し、各組付ユニットが備える組付部による組付部品の組付タイミングがそれぞれ異なるものである。
【0011】
請求項3においては、前記ワーク送りユニット及び前記組付ユニットのうち少なくとも一つは温度検知手段を備え、前記制御手段は、前記温度検知手段で検知した温度情報に基づいて、前記位置情報を補正するものである。
【0012】
請求項4においては、前記制御手段は、あらかじめ記憶した、前記ワーク送りスライダのX軸回りの回転情報を、前記ワーク送りユニットに対して送信し、前記ワーク送りユニットは、前記ワーク送りスライダをX軸周りに回転させる回転機構を備えるとともに、前記制御手段から送信される回転情報に基づいて、前記ワーク送りスライダを回転させるものである。
【0013】
請求項5においては、それぞれ直交するX軸、Y軸、Z軸からなるXYZ座標系において、ワークを位置決めして載置した状態でX軸方向にスライド可能に構成されたワーク送りスライダを備える、ワーク送りユニットと、前記ワーク送りユニットの近傍に立設された基部と、前記基部においてY軸方向及びZ軸方向にスライド可能にY軸方向に延出して配設された組付スライダと、前記組付スライダの前記ワーク送りユニット側の端部に配設された組付部と、を備える、組付ユニットと、あらかじめ記憶した、前記ワーク送りスライダのX軸方向の位置情報と、前記組付スライダのY軸方向の位置情報及びZ軸方向の位置情報とを、前記ワーク送りユニット及び前記組付ユニットに対してそれぞれ送信する、制御手段と、を具備する、組付装置で行う組付方法であって、前記ワーク送りユニット及び前記組付ユニットは、前記制御手段から送信される位置情報に基づいて、前記ワーク送りスライダ及び前記組付スライダをスライドさせるとともに、前記組付部は、前記組付スライダが前記基部側に位置する際に組付部品を把持し、前記組付スライダが前記ワーク側に位置する際に組付部品をワークに組付けるものである。
【0014】
請求項6においては、前記組付装置は、複数の前記組付ユニットを具備し、各組付ユニットが備える組付部による組付部品の組付タイミングがそれぞれ異なるものである。
【0015】
請求項7においては、前記ワーク送りユニット及び前記組付ユニットのうち少なくとも一つは温度検知手段を備え、前記制御手段は、前記温度検知手段で検知した温度情報に基づいて、前記位置情報を補正するものである。
【0016】
請求項8においては、前記制御手段は、あらかじめ記憶した、前記ワーク送りスライダのX軸回りの回転情報を、前記ワーク送りユニットに対して送信し、前記ワーク送りユニットは、前記ワーク送りスライダをX軸周りに回転させる回転機構を備えるとともに、前記制御手段から送信される回転情報に基づいて、前記ワーク送りスライダを回転させるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
本発明により、組付装置及び組付方法において、コンパクトかつ安価な構成で、複数種類の組付部品をワークに組付け、組付部品の組付位置を容易に変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第一実施形態に係る組付装置を示した斜視図。
【図2】(a)から(d)はそれぞれ組付ユニットの動作を示した斜視図。
【図3】(a)から(d)はそれぞれ第二実施形態に係る組付装置の動作を示した斜視図。
【図4】第二実施形態に係る組付装置の動作工程を示した図。
【図5】第三実施形態に係る組付装置を示した斜視図。
【図6】第四実施形態に係る組付装置を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
【0021】
[第一実施形態]
まず始めに、本発明の第一実施形態に係る組付装置10の構成について、図1及び図2を用いて説明する。なお、本明細書においては説明の便宜上、各図中の矢印に示す如く、それぞれ直交するX軸、Y軸、Z軸からなるXYZ座標系において、組付装置が配置されているものとする。詳細には、それぞれ紙面における右下方向をX軸方向、左下方向をY軸方向、上方向をZ軸方向として正の方向を、それぞれの反対方向として負の方向を定めている。本明細書において例えばX軸方向と記載する場合は、X軸方向の正の方向を意味することとする。
【0022】
本実施形態に係る組付装置10はいわゆるピックアンドプレイス装置であり、部品供給部51によって供給される組付部品Pを取出して、ワークWに組付けることを目的として構成されている。そして、組付装置10は主な構成要素として、ワーク送りユニット20と、組付ユニット30と、制御手段41と、を具備する。以下、各構成要素について具体的に説明する。
【0023】
ワーク送りユニット20は、ワークWを位置決めして載置した状態で、X軸方向にスライド可能に構成されたワーク送りスライダ22を備える。具体的には図1に示す如く、長手方向をX軸方向に向けた板状部材であるベース21が配置され、ベース21の上面には長手方向に沿ってレール21aが上方に突出して形成されている。そして、ベース21の上面においてワーク送りスライダ22が配設され、レール21aがスライダ22の下面に形成された溝部に装入されることにより、ワーク送りスライダ22がベース21の上を長手方向に摺動可能に、即ちX軸方向にスライド可能に構成されるのである。
【0024】
ワーク送りスライダ22は図1に示すように、その上面22aにワークWを位置決めして載置することができる。即ち、ワーク送りスライダ22をX軸方向にスライドさせることにより、ワークWもX軸方向にスライドするのである。ワーク送りスライダ22には図示しないアクチュエータが接続され、このアクチュエータが駆動されることによりレール21a上をスライドするように構成されている。なお、本明細書において記載するアクチュエータとしては、エアシリンダや油圧シリンダ、電動モータ等、対象を直線運動させたり、回転運動させたりすることができるものであれば採用することが可能であり、その態様は限定されるものではない。
【0025】
組付ユニット30は主な構成要素として、基部31と、組付スライダ33と、組付部35と、を備える。
基部31は、ワーク送りユニット20の近傍に立設された板状部材である。具体的には基部31は、ベース21の長手方向における略中途部付近でY軸方向の負の方向側に、Z軸方向に長手方向を向けて配置されるのである。基部31のX軸方向側の側面には長手方向に沿って、レール31aがX軸方向に突出して形成されている。さらに、基部31のX軸方向側には連結スライダ32が配設されている。そして、この連結スライダ32に形成された溝部にレール31aが装入されることによって、連結スライダ32が基部31の側面を上下方向に、即ちZ軸方向にスライド可能に構成されている。
【0026】
連結スライダ32には、Y軸方向に延出する板状部材である組付スライダ33がY軸方向にスライド可能に配設される。具体的には、連結スライダ32のX軸方向側の面には図示しない係合部が形成され、この係合部と組付スライダ33の長手方向に沿って形成された係合溝33aとが係合されることにより、組付スライダ33がY軸方向に摺動するのである。つまり、組付スライダ33は、基部31と連結スライダ32を介して連結されることにより、Y軸方向及びZ軸方向にスライド可能に配設されているのである。
【0027】
連結スライダ32及び組付スライダ33のそれぞれには図示しないアクチュエータが接続され、このアクチュエータが駆動されることにより組付スライダ33がY軸方向及びZ軸方向にスライドするように構成されている。具体的には、連結スライダ32に接続されたアクチュエータが駆動されると、連結スライダ32が組付スライダ33を伴ってZ軸方向にスライドされ、上下動する(図2(a)・(c)中の矢印α1・α2を参照)。また、組付スライダ33に接続されたアクチュエータが駆動されると、組付スライダ33がY軸方向にスライドされるのである(図2(b)・(d)中の矢印β1・β2を参照)。
【0028】
組付スライダ33のワーク送りユニット20の側、即ちY軸方向側の先端部には、組付部35が配設される。組付部35は、組付ピッチ切替手段36、第一クリップ37、及び、第二クリップ38で構成される。第一クリップ37及び第二クリップ38はそれぞれが組付部品Pを挟持可能に構成されている。図1においては、第一クリップ37が組付部品P11を、第二クリップ38が組付部品P12を挟持した状態を示している。つまり、本実施形態においては、組付部35は同時に二個の組付部品PをワークWに組付けることができるのである。
【0029】
組付ピッチ切替手段36は第一クリップ37と第二クリップ38との間隔を調整することができる。つまり、組付ピッチ切替手段36を調整することにより、ワークWに対して組付部品Pを組付ける際の間隔を変更することが出来る。例えば、ワークWがエンジンのヘッドサブであり、バルブの相互間隔が異なる場合には、組付部品Pとしてバルブを組付ける前に組付ピッチ切替手段36を調整するのである。これにより、第一クリップ37及び第二クリップ38にて挟持する組付部品P・Pのピッチを、ヘッドサブにおけるバルブの各組付位置の間隔に応じたピッチとして、バルブを組付けることが可能となるのである。
【0030】
組付ユニット30の下側には、組付部品Pを供給する部品供給部51が配設される。具体的には、組付スライダ33がY軸方向の負の方向にスライドし、Z軸方向の負の方向に下降した状態において組付部35が位置する部分に、部品供給部51の先端部が位置するように、部品供給部51が配置されるのである。
【0031】
本実施形態においては、X軸方向側から図1中の矢印Aに示す方向に、ワークWに組付ける順に組付部品Pが供給される構成としている。本実施形態においては前述の如く、同時に二個の組付部品PをワークWに組付ける構成としているため、部品供給部51においては第一クリップ37及び第二クリップ38で組付ける組付部品Pが交互に供給される。具体的には、図1に示すように第一クリップ37が組付ける組付部品P21、P31・・と、第二クリップ38が組付ける組付部品P22、P32・・とが交互に供給されるのである。部品供給部51としては、部品供給用コンベア等の搬送手段を用いたり、複数の搬送手段を組合せて構成したりすることが可能である。
【0032】
上記の如く構成された組付ユニット30において組付部品PをワークWに組付ける手順について、図2を用いて説明する。まず、組付スライダ33をY軸方向の負の方向にスライドさせると同時に、Z軸方向の負の方向(下方)に下降させる。そして、組付部35で組付部品Pを挟持した状態、即ち、組付部35の第一クリップ37及び第二クリップ38により組付部品P・Pを挟持した状態で、図2(a)中の矢印α1に示す如く、組付スライダ33を上昇させる。そして、図2(b)中の矢印β1に示す如く、組付スライダ33をY軸方向にスライドさせ、その後、図2(c)中の矢印α2に示す如く、組付スライダ33を下降させて、組付部品Pを第一クリップ37及び第二クリップ38により挟持された組付部品P・Pを同時にワークWに組付ける。さらに、図2(d)中の矢印β2に示す如く、組付スライダ33をY軸方向の負の方向にスライドさせて、次の組付部品Pを挟持するのである。その後、上記の手順を繰り返すことにより、組付ユニット30がワークWに対して組付部品Pを順に組付けていくのである。
【0033】
制御手段41は入力部、表示部、記憶部、通信部、及び、各種演算部等を備えた制御装置であり、CPUやRAMやROMやインターフェース等のマイクロコンピュータを主体として構成される。記憶部には、ワークWや組付部品Pの種類や形状、及び、後述する位置情報等が記憶されている。そして、制御手段41はワーク送りユニット20及び組付ユニット30に配設されたそれぞれのアクチュエータと電気的に接続され、ワーク送りユニット20及び組付ユニット30に対して位置情報を送信可能に構成されている。
具体的には、記憶部において、組付部品Pの種類ごとにあらかじめプログラムとして記憶された、ワーク送りスライダ22のX軸方向の位置情報と、組付スライダ33のY軸方向の位置情報及びZ軸方向の位置情報とを、ワーク送りユニット20及び組付ユニット30に配設された各アクチュエータに対してそれぞれ送信するのである。
【0034】
制御手段41から位置情報を受信した各アクチュエータは、それぞれの位置情報に基づいて、組付部品Pの種類ごとにワーク送りスライダ22のX軸方向の位置、及び、組付スライダ33のY軸方向・Z軸方向の位置を定めて駆動する。換言すれば、ワーク送りユニット20及び組付ユニット30は、制御手段41から送信されるそれぞれの位置情報に基づいて、ワーク送りスライダ22及び組付スライダ33をスライドさせる。そして、ワークWにおいて組付部品Pが組付けられる位置に、組付け時(図2(d)の状態)の組付部35が位置するように、ワーク送りスライダ22及び組付スライダ33が配置されるのである。
【0035】
つまり、ワーク送りユニット20は、制御手段41からの位置情報に基づいて、組付部品PをワークWに組付ける組付箇所におけるX軸方向の位置が、組付部35のX軸方向位置と一致するように、ワーク送りスライダ22を移動させる。また、組付ユニット30は、制御手段41からの位置情報に基づいて、組付部35をY軸方向及びZ軸方向へ移動して、ワークWにおける組付部品Pの組付箇所に組付部品Pを組付可能となるような位置に、組付部35を位置させる。換言すれば、組付部35に把持された組付部品PのY軸方向位置及びZ軸方向位置が、ワークWにおける組付部品Pの組付箇所のY軸方向位置及びZ軸方向位置と一致するように、組付部35をY軸方向及びZ軸方向へ移動させるのである。
さらに、組付部35は前述の如く、組付スライダ33が基部31の側に位置する際に組付部品Pを把持し、組付スライダ33がワークWの側に位置する際に組付部品Pをその種類毎にワークWの所定位置に組付けるのである。
【0036】
上記の如く、本実施形態に係る組付装置10によれば、組付ユニット30において組付スライダ33の駆動方向をY軸方向及びZ軸方向に限定し、また、駆動方向をX軸方向に限定したワーク送りスライダ22でワークWの位置を調節する構成としている。このため、組付スライダ33のX軸方向における可動幅を短くすることで可動範囲がコンパクトになるため、水平多関節ロボットを用いる場合と比べて設備スペースを小さくすることができるのである。
【0037】
また、ワーク送りスライダ22のX軸方向の位置情報と、組付スライダ33のY軸方向の位置情報及びZ軸方向の位置情報とを、プログラムとして組付部品Pの種類ごとに記憶部に記憶させる構成としている。これにより、組付部品Pの種類が異なる場合であっても、それぞれの組付部品Pに対応してプログラムを作成すれば良いため、組付装置10で組付けることができる。このため、ワークWに組付ける組付部品Pの部品点数が多い場合でも、組付部品Pの種類ごとに組付装置10を配置する必要がなく、設備コストを抑えることが可能となるのである。
【0038】
さらに、記憶部に記憶させる、ワーク送りスライダ22のX軸方向の位置情報と、組付スライダ33のY軸方向の位置情報及びZ軸方向の位置情報とを記録したプログラムを変更することにより、組付部品PのワークWにおける組付位置を変更することができる。このため、組付部品Pの組付位置を変更するために内部構成部品を変更する必要がなく、コストが嵩むことがないのである。
【0039】
即ち、本実施形態に係る組付装置10によれば、コンパクトかつ安価な構成で、複数種類の組付部品PをワークWに組付けることが可能であり、組付部品Pの組付位置を容易に変更することが可能となるのである。
【0040】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る組付装置210の構成について、図3及び図4を用いて説明する。
なお、本実施形態以下において説明する組付装置においては、上述した第一実施形態に係る組付装置10と共通する部分についてはその説明を省略する。
【0041】
本実施形態に係る組付装置210においては、第一組付ユニット130及び第二組付ユニット230を具備する。詳細には図3(a)に示す如く、それぞれ前述の第一実施形態に係る組付装置10における組付ユニット30と略同一の構成である、第一組付ユニット130及び第二組付ユニット230が、X軸方向に並んで隣接し、かつ、幅Dだけ位置をずらして配置されているのである。なお、本実施形態においては制御手段41や部品供給部51等、第一実施形態と略同一の構成要素については図示を省略している。
【0042】
このとき、第一組付ユニット130と第二組付ユニット230とのずれ幅Dをできるだけ小さくして、第一組付ユニット130と第二組付ユニット230とを近接配置することができる。つまり、前記第一実施形態と同様に、第一組付スライダ133及び第二組付スライダ233のX軸方向における可動幅が短いため、第一組付ユニット130及び第二組付ユニット230を近接配置した状態で駆動させても、第一組付スライダ133及び第二組付スライダ233が干渉することがない。このように、本実施形態に係る組付装置210においては、複数の組付ユニットを並設することにより、一箇所の組付ステーションで複数種類の組付部品を効率良く組付ける構成としているのである。
【0043】
本実施形態に係る組付装置210においてはさらに、それぞれの第一組付ユニット130及び第二組付ユニット230が備える第一組付部135・第二組付部235による組付部品の組付タイミングがそれぞれ異なるように構成されている。以下、具体的に組付部品の組付手順について説明する。
【0044】
本実施形態においては、組付部品を組付けるワークとして、4気筒エンジンに適用されるヘッドサブHを用いて説明する。ヘッドサブHには図3(a)に示す如く、第一ボア部b1・第二ボア部b2・・・の順に4個のボア部が幅dだけ位置をずらして形成されている。組付装置210は、これらのボア部に組付部品を順に組付けていくのである。なお、本実施形態においては、各ボア部の間の幅dは、第一組付ユニット130と第二組付ユニット230とのずれ幅Dよりも小さくなるように構成されている。
【0045】
まず、図3(a)に示す如く、第一組付ユニット130において、第一組付部135が組付部品を挟持した状態で第一組付スライダ133が下降することにより、第一ボア部b1に対して組付部品を組付ける。この時、組付け時の第一組付部135が下降する箇所に第一ボア部b1が位置するように、ワーク送りユニット20によってヘッドサブHが配置されている。一方、第二組付ユニット230においては、第二組付部235が組付部品を挟持した状態で第二組付スライダ233が上昇することにより、組付部品を取出すのである(図4中の(a))。
【0046】
次に、図3(b)に示す如く、第一組付ユニット130において、第一組付スライダ133がY軸方向の負の方向に後退する。その際、第二組付ユニット230においては、第二組付スライダ233がY軸方向に前進する。さらに、ワーク送りユニット20においては、ワーク送りスライダ22が図3(b)中の矢印γ1に示す如く、X軸方向に幅Dだけ前進する。これにより、組付け時の第二組付部235が下降する箇所に第一ボア部b1が位置するようにヘッドサブHが配置されるのである(図4中の(b))。
【0047】
次に、図3(c)に示す如く、第一組付ユニット130において、第一組付部135が次の組付部品を挟持した状態で第一組付スライダ133が上昇することにより、組付部品を取出す。一方、第二組付ユニット230においては、第二組付部235が組付部品を挟持した状態で第二組付スライダ233が下降することにより、第一ボア部b1に対して組付部品を組付けるのである(図4中の(c))。
【0048】
次に、図3(d)に示す如く、第一組付ユニット130において、第一組付スライダ133がY軸方向に前進する。その際、第二組付ユニット230においては、第二組付スライダ233がY軸方向の負の方向に後退する。さらに、ワーク送りユニット20においては、ワーク送りスライダ22が図3(d)中の矢印γ2に示す如く、X軸方向の負の方向に幅(D−d)だけ後退する。これにより、組付け時の第一組付部135が下降する箇所に第二ボア部b2が位置するようにヘッドサブHが配置されるのである(図4中の(d))。
以下、図4に示す如く、(a)から(d)までの工程を繰り返すことにより、組付装置210は、各ボア部に組付部品を順に組付けていくのである。
なお、本実施形態では、各ボア部b1・b2・・・に対して、第一組付ユニット130の第一組付部135による組付部品の組付け、及び第二組付ユニット230の第二組付部235による組付部品の組付けが、それぞれ一回ずつ行われる構成となっているが、各ボア部b1・b2・・・に対する組付けをそれぞれ複数回行う構成とすることも可能である。
【0049】
上記の如く、本実施形態に係る組付装置210によれば、それぞれの第一組付ユニット130及び第二組付ユニット230が備える第一組付部135・第二組付部235による組付部品の組付タイミングがそれぞれ異なるように構成している。つまり、一方の組付ユニットと他方の組付ユニットにおいて組付部品の取出し・組付けタイミングをずらしているのである。これにより、一方の組付ユニットで組付部品の取出しに要する時間に、他方の組付ユニットで組付けを行うことにより、時間のロスを小さくすることができるため、作業時間を短縮することが可能となるのである。
【0050】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る組付装置310の構成について、図5を用いて説明する。
本実施形態に係る組付装置310においては、ワーク送りユニット20及び組付ユニット30は温度検知手段である温度センサ61・62・63を備えている。詳しくは、ワーク送りスライダ22に接続された図示しないアクチュエータの温度を検出する温度センサ61がワーク送りユニット20に配設されている。また、外気温を検出する温度センサ62が組付ユニット30における基部31の上端部に配設され、組付スライダ33に接続された図示しないアクチュエータの温度を検出する温度センサ63が組付ユニット30に配設されている。
そして、それぞれの温度センサ61・62・63は制御手段41と電気的に接続され、制御手段41に対して検出した温度情報を送信可能に構成されている。
【0051】
本実施形態に係る組付装置310において、制御手段41は、温度センサ61・62・63で検知し、送信された温度情報に基づいて、ワーク送りスライダ22のX軸方向の位置情報と、組付スライダ33のY軸方向の位置情報及びZ軸方向の位置情報とを補正するように構成されている。具体的には、アクチュエータ等の発熱による各部材の温度上昇や外気温の変動によって、組付スライダ33等の各部材が膨張、収縮をするため、それらによる各部材の変位量を考慮した値として、制御手段41における演算部でワーク送りスライダ22及び組付スライダ33の位置情報を補正するのである。
【0052】
そして、演算部で補正された、ワーク送りスライダ22のX軸方向の位置情報と、組付スライダ33のY軸方向の位置情報及びZ軸方向の位置情報とを、ワーク送りユニット20及び組付ユニット30に配設された各アクチュエータに対してそれぞれ送信する。さらに、制御手段41から位置情報を受信した各アクチュエータは、それぞれの位置情報に基づいて、組付部品Pの種類ごとにワーク送りスライダ22のX軸方向の位置、及び、組付スライダ33のY軸方向・Z軸方向の位置を定めて駆動するのである。
【0053】
上記の如く、本実施形態に係る組付装置310によれば、アクチュエータ等の発熱による各部材の温度上昇や外気温の変動によって、組付スライダ33等の各部材が膨張、収縮をした場合でも、組付位置を補正することができるため、組付精度の低下を防止することが可能となるのである。
【0054】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態に係る組付装置410の構成について、図6を用いて説明する。
本実施形態に係る組付装置410においては、ワーク送りユニット420は、ワークWを位置決めして載置した状態で、X軸方向にスライド可能に構成されたワーク送りスライダ425を備える。具体的には図6に示す如く、長手方向をX軸方向に向けた板状部材であるベース421が配置され、ベース421の上面には長手方向に沿ってレール421aが上方に突出して形成されている。そして、ベース421の上面において板状部材である摺動基部422が配設され、レール421aが摺動基部422の下面に形成された溝部に装入されることにより、摺動基部422がベース421の上を長手方向に摺動可能に、即ちX軸方向にスライド可能に構成されるのである。
【0055】
ワーク送りユニット420は、いわゆるチルト機構として、ワーク送りスライダ425をX軸周りに回転させる回転機構を備える。具体的には、摺動基部422の上面にはX軸方向の両端部に、回動支持部423a・423bが立設されている。そして、回動支持部423a・423bの間には回動軸424が架設され、この回動軸424を中心として回動可能にワーク送りスライダ425が配設されているのである。そして、ワーク送りスライダ425は図6に示すように、その上面にワークWを位置決めして載置することができる。即ち、ワーク送りスライダ425をX軸方向にスライドさせることにより、ワークWもX軸方向にスライドするのである。また、ワーク送りスライダ425をX軸周りに回転させることにより、ワークWもX軸周りに(図6中に示す矢印δ1・δ2の方向に)回転するのである。
【0056】
摺動基部422及び回動支持部423aにはそれぞれ図示しないアクチュエータが接続され、それぞれのアクチュエータが駆動されることにより摺動基部422がレール421a上をスライドし、また、ワーク送りスライダ425が回動するように構成されている。
【0057】
一方、制御手段41は前記第一実施形態に記載した構成に加え、回動支持部423aに配設されたアクチュエータと電気的に接続されている。そして、あらかじめ記憶した、ワーク送りスライダ425のX軸回りの回転情報を、ワーク送りユニット420における回動支持部423aに対して送信可能に構成されている。即ち、ワーク送りユニット420における回動支持部423aは、制御手段41から送信されるワーク送りスライダ425の回転情報に基づいて、ワーク送りスライダ425を回転させて、ワークWの角度を調節するのである。
【0058】
上記の如く、本実施形態に係る組付装置410によれば、ワーク送りスライダ425をX軸周りに回転させることにより、ワークWもX軸周りに回転する構成としている。これにより、ワークWに対して組付ける際の組付け角度が異なる組付部品であっても組付けが可能となる。例えば、ワークWがヘッドサブである場合には、組付部品であるバルブ等は吸気側と排気側でワークWに対するX軸周りの角度が異なる。このような場合でも、ワークWをX軸周りに回転させることにより、組付装置410で組付けることが可能となるのである。
【符号の説明】
【0059】
10 組付装置
20 ワーク送りユニット
22 ワーク送りスライダ
30 組付ユニット
33 組付スライダ
41 制御手段
P 組付部品
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ直交するX軸、Y軸、Z軸からなるXYZ座標系において、
ワークを位置決めして載置した状態でX軸方向にスライド可能に構成されたワーク送りスライダを備える、ワーク送りユニットと、
前記ワーク送りユニットの近傍に立設された基部と、前記基部においてY軸方向及びZ軸方向にスライド可能にY軸方向に延出して配設された組付スライダと、前記組付スライダの前記ワーク送りユニット側の端部に配設された組付部と、を備える、組付ユニットと、
あらかじめ記憶した、前記ワーク送りスライダのX軸方向の位置情報と、前記組付スライダのY軸方向の位置情報及びZ軸方向の位置情報とを、前記ワーク送りユニット及び前記組付ユニットに対してそれぞれ送信する、制御手段と、を具備する、組付装置であって、
前記ワーク送りユニット及び前記組付ユニットは、前記制御手段から送信される位置情報に基づいて、前記ワーク送りスライダ及び前記組付スライダをスライドさせるとともに、
前記組付部は、前記組付スライダが前記基部側に位置する際に組付部品を把持し、前記組付スライダが前記ワーク側に位置する際に組付部品をワークに組付ける、
ことを特徴とする、組付装置。
【請求項2】
複数の前記組付ユニットを具備し、
各組付ユニットが備える組付部による組付部品の組付タイミングがそれぞれ異なる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の組付装置。
【請求項3】
前記ワーク送りユニット及び前記組付ユニットのうち少なくとも一つは温度検知手段を備え、
前記制御手段は、前記温度検知手段で検知した温度情報に基づいて、前記位置情報を補正する、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の組付装置。
【請求項4】
前記制御手段は、あらかじめ記憶した、前記ワーク送りスライダのX軸回りの回転情報を、前記ワーク送りユニットに対して送信し、
前記ワーク送りユニットは、前記ワーク送りスライダをX軸周りに回転させる回転機構を備えるとともに、前記制御手段から送信される回転情報に基づいて、前記ワーク送りスライダを回転させる、
ことを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の組付装置。
【請求項5】
それぞれ直交するX軸、Y軸、Z軸からなるXYZ座標系において、
ワークを位置決めして載置した状態でX軸方向にスライド可能に構成されたワーク送りスライダを備える、ワーク送りユニットと、
前記ワーク送りユニットの近傍に立設された基部と、前記基部においてY軸方向及びZ軸方向にスライド可能にY軸方向に延出して配設された組付スライダと、前記組付スライダの前記ワーク送りユニット側の端部に配設された組付部と、を備える、組付ユニットと、
あらかじめ記憶した、前記ワーク送りスライダのX軸方向の位置情報と、前記組付スライダのY軸方向の位置情報及びZ軸方向の位置情報とを、前記ワーク送りユニット及び前記組付ユニットに対してそれぞれ送信する、制御手段と、を具備する、組付装置で行う組付方法であって、
前記ワーク送りユニット及び前記組付ユニットは、前記制御手段から送信される位置情報に基づいて、前記ワーク送りスライダ及び前記組付スライダをスライドさせるとともに、
前記組付部は、前記組付スライダが前記基部側に位置する際に組付部品を把持し、前記組付スライダが前記ワーク側に位置する際に組付部品をワークに組付ける、
ことを特徴とする、組付方法。
【請求項6】
前記組付装置は、複数の前記組付ユニットを具備し、
各組付ユニットが備える組付部による組付部品の組付タイミングがそれぞれ異なる、
ことを特徴とする、請求項5に記載の組付方法。
【請求項7】
前記ワーク送りユニット及び前記組付ユニットのうち少なくとも一つは温度検知手段を備え、
前記制御手段は、前記温度検知手段で検知した温度情報に基づいて、前記位置情報を補正する、
ことを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の組付方法。
【請求項8】
前記制御手段は、あらかじめ記憶した、前記ワーク送りスライダのX軸回りの回転情報を、前記ワーク送りユニットに対して送信し、
前記ワーク送りユニットは、前記ワーク送りスライダをX軸周りに回転させる回転機構を備えるとともに、前記制御手段から送信される回転情報に基づいて、前記ワーク送りスライダを回転させる、
ことを特徴とする、請求項5から請求項7の何れか1項に記載の組付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−71359(P2012−71359A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216126(P2010−216126)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(391008515)株式会社アイエイアイ (107)
【Fターム(参考)】