説明

組合せ

本発明は、哺乳動物における癌の治療法およびその治療において有用な薬剤の組合せに関する。この方法は特に、MEK阻害剤であるN−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチル;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、PI3キナーゼ阻害剤阻害剤である2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩と含んでなる新規な組合せ、それを含んでなる医薬組成物、および癌治療における上記組合せの使用法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物における癌の治療法およびその治療に有用な組合せに関する。特にこの方法は、B−Raf阻害剤であるN−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、PI3K阻害剤である2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩とを含んでなる新規な組合せ、これらを含んでなる医薬組成物および癌治療における上記組合せの使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
癌を含めた高増殖性疾患の有効な治療は、腫瘍学分野における変わらない目標である。一般に癌は、細胞の分裂、分化およびアポトーシス細胞死を制御する正常なプロセスの調節解除から生じる。アポトーシス(プログラムされた細胞死)は、胚発生ならびに神経変性疾患、心血管疾患および癌のような各種疾患の病因において重要な役割を果たす。アポトーシスのキナーゼ調節に関与する経路の中で最も広く研究されている経路の1つが、細胞表面の増殖因子受容体から核への細胞シグナル伝達である(CrewsおよびErikson,Cell,74:215−17,1993)。
【0003】
酵素の重要な一大ファミリーがタンパク質キナーゼ酵素ファミリーである。現在、約500の異なるタンパク質キナーゼが知られている。タンパク質キナーゼには、ATP−Mg2+複合体のγ−リン酸を上記アミノ酸側鎖へ転移することにより各種タンパク質のアミノ酸側鎖のリン酸化を触媒する働きがある。この酵素は、細胞内の大部分のシグナル伝達プロセスを制御することにより、タンパク質のセリン、スレオニンおよびチロシン残基のヒドロキシル基の可逆的なリン酸化を介して細胞の機能、成長、分化および破壊(アポトーシス)を支配する。タンパク質キナーゼがシグナル伝達、転写調節、細胞運動性および細胞分裂を含めた数多くの細胞機能の鍵となる制御因子であることが研究により示されている。またいくつかの癌遺伝子がタンパク質キナーゼをコードすることも示されており、このことはキナーゼが腫瘍形成において役割を果たしていることを示唆する。こうしたプロセスは多くの場合、各キナーゼ自体が1つ以上のキナーゼにより調節される互いに複雑に絡み合った経路により高度に統制されている。その結果、異常なまたは不適当なタンパク質キナーゼ活性が、良性および悪性の増殖性疾患ならびに免疫および神経系の不適当な活性化に起因する疾患を含め、このような異常なキナーゼ活性に関連した病的状態の発生に寄与している可能性がある。タンパク質キナーゼは、その生理的関連性、多様性および普遍性により、生化学的および医学的研究において最も重要でありかつ広く研究されている酵素ファミリーの1つとなっている。
【0004】
酵素のタンパク質キナーゼファミリーは通常、それがリン酸化するアミノ酸残基に基づいて、タンパク質チロシンキナーゼおよびタンパク質セリン/スレオニンキナーゼの2つの大きなサブファミリーに分類される。タンパク質セリン/スレオニンキナーゼ(PSTK)には、環状AMP依存性および環状GMP依存性タンパク質キナーゼ、カルシウム/リン脂質依存性タンパク質キナーゼ、カルシウム依存性およびカルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ、カゼインキナーゼ、細胞分裂サイクルタンパク質キナーゼなどがある。これらのキナーゼは通常、恐らくアンカリングタンパク質により、細胞質内にあるかまたは粒子状の細胞断片に付随している。異常なタンパク質セリン/スレオニンキナーゼ活性が、数多くの病態、例えば関節リウマチ、乾癬、敗血症性ショック、骨喪失、多くの癌およびその他の増殖性疾患などに関連付けられているか、またはそれらにおいて疑われる。したがって、セリン/スレオニンキナーゼおよびそれが一部となっているシグナル伝達経路は、薬物設計の重要な標的である。チロシンキナーゼはチロシン残基をリン酸化する。チロシンキナーゼは、細胞調節において同じく重要な役割を果たす。このキナーゼは、上皮成長因子受容体、インスリン受容体、血小板由来増殖因子受容体などを含めた、増殖因子およびホルモン分子のような分子に対するいくつかの受容体を含む。多くのチロシンキナーゼが、その受容体ドメインが細胞の外側に、またキナーゼドメインが細胞の内側に位置する膜貫通型タンパク質であるということが研究で示されている。同様にチロシンキナーゼのモジュレーターを同定するための数多くの研究が進行中である。
【0005】
マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)キナーゼ/細胞外シグナル関連キナーゼ(ERK)キナーゼ(以下、MEKと呼ぶ)は、数多くの細胞プロセスの調節に関与することが知られている。Rafファミリー(B−Raf、C−Rafなど)はMEKファミリー(MEK−1、MEK−2など)活性化し、MEKファミリーはERKファミリー(ERK−1およびERK−2)を活性化する。大まかには、RAF/MEK/ERK経路のシグナル伝達活性はmRNA翻訳を制御する。これには細胞周期に関連する遺伝子が含まれる。したがって、この経路の過剰活性化は、無制御な細胞増殖を引き起こし得る。ヒト悪性腫瘍全体の約30%でERK過剰活性化によるRAF/MEK/ERK経路の調節解除が見られる(Allen,LFら,Semin.Oncol.2003.30(5 Suppl 16):105−16)。活性化BRAF変異が特定の腫瘍タイプ(例えば、黒色腫)において高頻度で確認されている(Davies,H.ら,Nature.2002.417:949−54)。ヒト癌に発生する確認済みの全BRAF変異の約90%は、V600 E/D/K(T1799A)アミノ酸置換を生じるエクソン15のT1799塩基転換変異である(Wellbrock,C.ら,Nat.Rev.Mol.Cell Biol.2004.5:875−85;Wan,PTら,Cell.2004.116:855−67)。この変異は、調節リン酸化を模倣し、BRAF活性を野生型に比べて約10倍増加させると思われる(Davies,H.ら,Nature.2002.417:949−54)。この活性化変異の頻度およびそれが引き起こす経路依存ゆえに、BRAFは極めて魅力的な標的である。
【0006】
ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)経路は、ヒト癌において最も活性化されることが多い経路である。腫瘍形成および腫瘍進行におけるこの経路の機能および重要性は十分に立証されている(SamuelsおよびEricson.Curr.Opp in Oncology,2006.18:77−82)。PI3K−AKTシグナル伝達は、細胞の生存、増殖および代謝の極めて重要なモジュレーターであると思われる。これには、PI3Kタンパク質ファミリーのメンバーであり細胞増殖および翻訳の直接的な調節因子である哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)の活性化が含まれる。したがって、腫瘍におけるPI3K/AKT/mTORシグナル伝達の調節解除は、無制限な生殖能およびアポトーシスの回避を含めた悪性腫瘍の数多くの顕著な特徴を示す細胞表現型に寄与する(HanahanおよびWeinberg,Cell.2000.100:57−70)。
【0007】
PI3Kファミリーは、特にそのキナーゼドメイン内に配列相同性を共有する15種類のタンパク質から構成されるが、それぞれ基質特異性および調節方法が異なる(VivancoおよびSawyers.Nat.Rev.Cancer,2002.2:489−501)。クラスIのPI3−キナーゼは、ホスファチジルイノシトール(PtdIns)として知られるイノシトール含有脂質を3位でリン酸化する。クラスIファミリーメンバーの主要な基質であるPtdIns−4,5−P2(PIP2)は、このキナーゼによりPtdIns−3,4,5−P3(PIP3)へ変換される。PIP3はプレクストリン相同ドメインを含むタンパク質を細胞膜に動員する重要なセカンドメッセンジャーであり、動員されたタンパク質はそこで活性化される。このようなタンパク質うち最もよく研究されているのは、細胞の生存、成長および増殖を促進するAKTである。AKTは、活性化されると細胞質および核まで移動し、そこでmTOR(TORC1)を含めた数多くの基質を活性化する。AKTに加え、PI3KがPDK1、CDC42およびRAC1のような発癌に関与する他の経路を活性化する(SamuelsおよびEricson.Curr.Opp in Oncology,2006.18:77−82)。
【0008】
ヒト腫瘍の研究では、数多くの機序を介してPI3K/AKT/mTORシグナル伝達経路の活性化が生じ得る。この経路の遺伝的調節解除は一般的なものであり、数多くの方法で生じ得る(SamuelsおよびEricson.Curr.Opp in Oncology,2006.18:77−82で概説されている)。PIK3CA遺伝子(PI3Kのp110α触媒サブユニットをコードする)の活性化変異は、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌および結腸直腸癌を含めたヒト腫瘍のかなりの割合において生じる。またこの遺伝子の活性化DNA増幅も、多くの異なる腫瘍タイプにおいてこれより低い頻度で生じる。 PI3K(PIK3R1)のp85α調節サブユニットの変異は、PIK3R1とPIK3CAの間のC2−iSH2相互作用を破綻させると考えられており、卵巣癌、膠芽腫および結腸直腸癌において生じる。腫瘍抑制因子PTENは、PIP3を脱リン酸化してPIP2を生成することによりPI3K経路の阻害因子として作用し、一般に変異しているか、欠失しているか、または後成的に発現抑制されている。最後にこの経路は、AKTのDNA増幅または変異によりPI3Kの下流でも遺伝的に活性化され得るが、このような遺伝的事象がヒト癌で生じることはかなり少ない。PI3Kアイソフォーム、特にPI3Kαの阻害が癌治療において有用であることが知られている(例えば、国際公開第05/121142号、同第08/144463号、同第08/144464号、同第07/136940号を参照されたい)。
【0009】
癌の影響に苦しむ患者のより効果的なおよび/または強化された治療を提供する新規な単独療法または併用療法を提供することが有用であると思われる。
【発明の概要】
【0010】
本発明の一実施形態では、
(i)構造(I)の化合物N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミド(以下、化合物A):
【化1】

またはその薬学的に許容される塩と、
(ii)構造(II)の化合物2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド(以下、化合物B):
【化2】

またはその薬学的に許容される塩とを含んでなる組合せが提供される。
【0011】
本発明の一実施形態では、治療を必要とするヒトにおける癌の治療法が提供され、この方法は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、化合物Bまたはその薬学的に許容される塩との組合せの治療有効量を、上記ヒトへin vivo投与することを含んでなる。
【0012】
本発明の一実施形態では、治療を必要とするヒトにおける癌の治療法が提供され、この方法は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、化合物Bまたはその薬学的に許容される塩との組合せの治療有効量を、上記ヒトへin vivo投与することを含んでなる、この組合せは一定期間内に投与され、かつこの組合せは継続期間の間投与される。
【0013】
本発明の一実施形態では、治療を必要とするヒトにおける癌の治療法が提供され、この方法は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、化合物Bまたはその薬学的に許容される塩との組合せの治療有効量を、上記ヒトへin vivo投与することを含んでなる、化合物AおよびBは連続投与される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、抗増殖性活性を示す組合せに関する。好ましくは、この方法は、構造I:
【化3】

により表されるN−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミド(化合物A)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、好ましくはジメチルスルホキシド溶媒和物と、以下の構造:
【化4】

により表される2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド(化合物B)またはその薬学的に許容される塩との共投与による癌の治療法に関する。
【0016】
化合物Aはその薬学的に許容される塩と共に、特に癌治療におけるB−Raf活性の阻害剤として有用なものとして、国際出願日が2009年5月4日、国際公開番号が国際公開第2009/137391号および国際公開日が国際公開第2009/137391号である国際出願PCT/US2009/042682号で開示およびクレームされており、上記明細書は全開示が参照により本明細書に組み込まれ、化合物Aは実施例58の化合物である。化合物Aは、国際出願PCT/US2009/042682号に記載されている通りに調製することができる。
【0017】
好ましくは、化合物Aはメタンスルホン酸塩の形態である。この塩形態は、国際出願日が2009年5月4日である国際出願PCT/US2009/042682号の記載から当業者により調製され得る。
【0018】
化合物Bはその薬学的に許容される塩と共に、特に癌治療におけるPI3K活性の阻害剤として有用なものとして、国際出願日が2008年5月16日、国際公開番号が国際公開第2008/1444463号および国際公開日が2008年11月27日である国際出願PCT/US2008/063819号で開示およびクレームされており、上記明細書は全開示が参照により本明細書に組み込まれ、化合物Bは実施例345の化合物である。化合物Bは、国際出願PCT/US2008/063819号に記載されている通りに調製することができる。
【0019】
好ましくは、化合物Bは遊離塩基の形態である。
【0020】
治療有効量の本発明の組合せの投与は、この組合せが治療有効量の成分化合物の個々の投与と比較して、次の1つ以上の改善された特性:i)最も活性な単一薬剤よりも強い抗癌作用、ii)相乗的もしくは非常に相乗的な抗癌活性、iii)抗癌活性が増強され副作用が減少したプロファイルをもたらす投与プロトコール、iv)毒性作用プロファイルの減少、v)治療域の増加またはvi)一方もしくは両方の成分化合物のバイオアベイラビリティーの増加をもたらすという点で、個々の成分化合物よりも有利である。
【0021】
本発明の化合物は、溶質(本発明では、化合物Aもしくはその塩および/または化合物Bもしくはその塩)と溶媒により形成される可変的な化学量論組成の複合体であることが理解される溶媒和物を形成し得る。本発明の目的のための上記溶媒は、溶質の生物学的活性に干渉し得ない。適当な溶媒の例としては、水、メタノール、ジメチルスルホキシド、エタノールおよび酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、使用する溶媒は薬学的に許容される溶媒である。適当な薬学的に許容される溶媒和物としては、水、ジメチルスルホキシド、エタノールおよび酢酸が非限定的に挙げられる。好ましくは、使用する溶媒は水である。
【0022】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、当業者により容易に調製される。
【0023】
また、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物および/あるいは化合物Bまたはその薬学的に許容される塩をプロドラッグとして投与する、本発明の組合せを用いた癌の治療法も本明細書において考慮される。本発明の化合物の薬学的に許容されるプロドラッグは当業者により容易に調製される。
【0024】
投与プロトコールに言及する場合、用語「日」、「1日当たり」などは、午前零時に始まり翌午前零時に終わる1暦日以内の時間を指す。
【0025】
本明細書で使用される用語「治療すること」およびその派生語は、治療的治療を意味する。特定の状態に関しては、治療することは:(1)状態の1つ以上の生物学的兆候の状態を改善するまたは防ぐこと、(2)(a)状態を引き起こすもしくは状態に関与する生物学的カスケードの1つ以上の地点または(b)状態の1つ以上の生物学的兆候に干渉すること、(3)状態またはその治療に関連した1つ以上の症状、作用または副作用を軽減すること、あるいは(4)状態または状態の1つ以上の生物学的兆候の進行を遅らせることを意味する。予防的治療もこれにより考慮される。当業者は「予防」が絶対的な用語ではないことを理解するであろう。医学では、「予防」は、状態もしくはその生物学的兆候の可能性もしくは重症度を実質的に減少させるための、またはその状態もしくはその生物学的兆候の発症を遅延させるための薬物の予防的投与を指すものであると理解されている。予防的治療は、例えば、対象が癌を発症する危険性が高いと考えられる場合、例えば、対象が癌の強い家族歴を有する場合、または対象が癌原性物質に曝露されている場合などに適切である
【0026】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、例えば研究者または臨床医の求める組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的反応を誘発する薬物または医薬品の量を意味する。さらに「治療有効量」という用語は、その量を投与されていない対応する対象と比べて、疾患、障害もしくは副作用の治療の向上、治癒、予防もしくは改善または疾患もしくは障害の進行速度の低下をもたらす任意の量を意味する。またこの用語は、正常な生理機能を増強するのに効果的な量もその範囲に包含する。
【0027】
「定期的投与」という用語またはその派生語は、休薬日を設けて薬物をヒトへ投与することを意味する。休薬日(休薬期間(drug vacation、medication vacation)、計画的治療中断または戦略的治療中断と呼ばれることもある)とは、数日から数ヶ月の範囲の期間、患者への薬物(1つまたは複数)の投与を中止する日のことである。
【0028】
「組合せ」という用語およびその派生語は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容される塩および化合物Bまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の、同時投与または任意の方式による別々の連続投与を意味する。投与が同時でない場合、互いにごく近接した時間に化合物を投与することが好ましい。さらに、化合物を同じ剤形で投与するかどうかは関係なく、例えば、一方の化合物を局所投与し、もう一方の化合物を経口投与し得る。好ましくは両化合物を経口投与する。
【0029】
本明細書で使用される「組合せキット」という用語は、本発明に従って、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物および化合物Bまたはその薬学的に許容される塩を投与するために使用する、1つまたは複数の医薬組成物を意味する。両化合物を同時に投与する場合、組合せキットは、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物および化合物Bまたはその薬学的に許容される塩を、錠剤のような単一の医薬組成物中または別個の医薬組成物中に含有し得る。化合物を同時に投与しない場合、組合せキットは、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物および化合物Bまたはその薬学的に許容される塩を、別個の医薬組成物中に含有する。組合せキットは、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物および化合物Bまたはその薬学的に許容される塩を、単一の包装中の別個の医薬組成物中に、または別個の包装中の別個の医薬組成物中に含んでなる。
【0030】
一態様では、構成成分:薬学的に許容される担体を伴う化合物Aまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;および薬学的に許容される担体を伴う化合物Bまたはその薬学的に許容される塩を含んでなる組合せキットが提供される。
【0031】
本発明の一実施形態では、組合せキットは、構成成分:薬学的に許容される担体を伴う化合物Aまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;および薬学的に許容される担体を伴う化合物Bまたはその薬学的に許容される塩を含んでなる、構成成分は連続、個別および/または同時投与に適した形態で提供される。
【0032】
一実施形態では、組合せキットは、薬学的に許容される担体を伴う化合物Aまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなる第一の容器;および薬学的に許容される担体を伴う化合物Bまたはその薬学的に許容される塩を含んでなる第二の容器;ならびに前記第一および第二の容器を入れるための容器手段を含んでなる。
【0033】
また「組合せキット」は、用法・用量指示のような指示に従って提供され得る。このような用法・用量指示は、例えば製剤ラベルにより医師へ提供されるものであるか、または患者への指示のように医師により提供されるものであり得る。
【0034】
別途定義されない限り、本明細書に記載のすべての投与プロトコールにおいて、投与する化合物のレジメンは、治療の開始と共に始まり治療の終わりに終了する必要はなく、両化合物を投与する連続日数および任意選択で一方の成分化合物だけを投与する連続日数、または投与する化合物の量を含む指示された投与プロトコールが、治療過程で同じ時点にあることのみが必要とされる。
【0035】
本明細書で使用される「化合物A」という用語は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を意味する。
【0036】
本明細書で使用される「化合物B」という用語は、化合物Bまたはその薬学的に許容される塩を意味する。
【0037】
好ましくは、本発明の組合せは「一定期間」内に投与する。
【0038】
本明細書で使用される「一定期間」という用語およびその派生語は、化合物Aおよび化合物Bのうちの一方と化合物Aおよび化合物Bのうちの他方の投与間の時間間隔を意味する。別途定義されない限り、一定期間は同時投与を含み得る。本発明の両化合物を1日1回投与する場合、一定期間は、1日の間の化合物Aおよび化合物Bの投与を指す。本発明の化合物の一方または両方を1日2回以上投与する場合、特定日の各化合物の最初の投与に基づいて一定期間を計算する。一定期間を計算する際には、特定日における本発明の化合物の最初の投与後の投与はすべて考慮しない。
【0039】
化合物を「一定期間」内に投与しかつ同時に投与しない場合、好ましくは、両化合物を互いに約24時間以内に投与し、この場合、一定期間は約24時間であり;好ましくは、両化合物を互いに約12時間以内に投与し、この場合、一定期間は約12時間であるであり;好ましくは、両化合物を互いに約11時間以内に投与し、この場合、一定期間は約11時間であり;好ましくは、両化合物を互いに約10時間以内に投与し、この場合、一定期間は約10時間であり;好ましくは、両化合物を互いに約9時間以内に投与し、この場合、一定期間は約9時間であり;好ましくは、両化合物を互いに約8時間以内に投与し、この場合、一定期間は約8時間であり;好ましくは、両化合物を互いに約7時間以内に投与し、この場合、一定期間は約7時間であり;好ましくは、両化合物を互いに約6時間以内に投与し、この場合、一定期間は約6時間であり;好ましくは、両化合物を互いに約5時間以内に投与し、この場合、一定期間は約5時間であり;好ましくは、両化合物を互いに約4時間以内に投与し、この場合、一定期間は約4時間であり;好ましくは、両化合物を互いに約3時間以内に投与し、この場合、一定期間は約3時間であり;好ましくは化合物を互いに約2時間以内に投与し、この場合、一定期間は約2時間であり;好ましくは、両化合物を互いに約1時間以内に投与し、この場合、一定期間は約1時間である。本明細書で使用される場合、約45分未満の間隔での化合物Aと化合物Bの投与は同時投与と見なされる。
【0040】
本発明の組合せを「一定期間」投与する場合、好ましくは、化合物を「継続期間の間」の間、共投与する。
【0041】
本明細書で使用される「継続期間の間」という用語およびその派生語は、示される連続日数の間、本発明の両化合物を投与することを意味する。
【0042】
「一定期間」投与に関して:
好ましくは、少なくとも1日間、両化合物を一定期間内に投与し、この場合、継続期間の間は少なくとも1日であり;好ましくは、治療過程において、少なくとも3日間連続で両化合物を一定期間内に投与し、この場合、継続期間の間は少なくとも3日であり;好ましくは、治療過程において、少なくとも5日間連続で両化合物を一定期間内に投与し、この場合、継続期間の間は少なくとも5日であり;好ましくは、治療過程において、少なくとも7日間連続で両化合物を一定期間内に投与し、この場合、継続期間の間は少なくとも7日であり;好ましくは、治療過程において、少なくとも14日間連続で両化合物を一定期間内に投与し、この場合、継続期間の間は少なくとも14日であり;好ましくは、治療過程において、少なくとも30日間連続で両化合物を一定期間内に投与し、この場合、継続期間の間は少なくとも30日である。
【0043】
化合物を「一定期間」の間に投与しない場合、好ましくは、化合物を連続投与する。本明細書で使用される「連続投与」という用語およびその派生語は、化合物Aおよび化合物Bのうちの一方を1日1回、1日間以上連続して投与し、続いて化合物Aおよび化合物Bのうちの他方を1日1回、2日間以上連続して投与することを意味する。また、化合物Aおよび化合物Bのうちの一方と化合物Aおよび化合物Bのうちの他方の連続投与の間に適用される休薬日も本明細書において考慮される。本明細書で使用される休薬日とは、化合物Aおよび化合物Bのうちの一方の連続投与後ならびに化合物Aおよび化合物Bのうちの他方の投与前であって、化合物Aも化合物Bも投与しない日数の期間のことである。好ましくは、休薬日は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日および14日から選択される日数の期間である。
【0044】
連続投与に関して:
好ましくは、化合物Aおよび化合物Bのうちの一方を2〜30日間連続で投与し、これに任意選択の休薬日が続き、次いで化合物Aおよび化合物Bのうちの他方を2〜30日間連続で投与する。好ましくは、化合物Aおよび化合物Bのうちの一方を2〜21日間連続で投与し、これに任意選択の休薬日が続き、次いで化合物Aおよび化合物Bのうちの他方を2〜21日間連続で投与する。好ましくは、化合物Aおよび化合物Bのうちの一方を2〜14日間連続で投与し、これに1〜14日間の休薬日が続き、次いで化合物Aおよび化合物Bのうちの他方を2〜14日間連続で投与する。好ましくは、化合物Aおよび化合物Bのうちの一方を3〜7日間連続で投与し、これに3〜10日間の休薬日が続き、次いで化合物Aおよび化合物Bのうちの他方を3〜7日間連続で投与する。
【0045】
好ましくは、化合物Bを順序の最初に投与し、これに任意選択の休薬日が続き、次いで化合物Aを投与する。好ましくは、化合物Bを3〜21日間連続で投与し、これに任意選択の休薬日が続き、次いで化合物Aを3〜21日間連続で投与する。好ましくは、化合物Bを3〜21日間連続で投与し、これに1〜14日間の休薬日が続き、次いで化合物Aを3〜21日間連続で投与する。好ましくは、化合物Bを3〜21日間連続で投与し、これに3〜14日間の休薬日が続き、次いで化合物Aを3〜21日間連続で投与する。好ましくは、化合物Bを21日間連続で投与し、これに任意選択の休薬日が続き、次いで化合物Aを14日間連続で投与する。好ましくは、化合物Bを14日間連続で投与し、これに1〜14日間の休薬日が続き、次いで化合物Aを14日間連続で投与する。好ましくは、化合物Bを7日間連続で投与し、これに3〜10日間の休薬日が続き、次いで化合物Aを7日間連続で投与する。好ましくは、化合物Bを3日間連続で投与し、これに3〜14日間の休薬日が続き、次いで化合物Aを7日間連続で投与する。好ましくは、化合物Bを3日間連続で投与し、これに3〜10日間の休薬日が続き、次いで化合物Aを3日間連続で投与する。
【0046】
「一定期間」投与および「連続」投与の後に、反復投与が続くかまたは交互投与プロトコールが続いてもよく、また休薬日が反復投与または交互投与プロトコールに先行してもよいことが理解される。
【0047】
好ましくは、本発明による組合せの一部として投与される化合物Aの量は、約10mg〜約300mgから選択される量であり;好ましくは、その量は約30mg〜約280mgから選択され;好ましくは、その量は約40mg〜約260mgから選択され;好ましくは、その量は約60mg〜約240mgから選択され;好ましくは、その量は約80mg〜約220mgから選択され;好ましくは、その量は約90mg〜約210mgから選択され;好ましくは、その量は約100mg〜約200mgから選択され、好ましくは、その量は約110mg〜約190mgから選択され、好ましくは、その量は約120mg〜約180mgから選択され、好ましくは、その量は約130mg〜約170mgから選択され、好ましくは、その量は約140mg〜約160mgから選択され、好ましくは、その量は150mgである。したがって、本発明による組合せの一部として投与される化合物Aの量は、約10mg〜約300mgから選択される量である。例えば、本発明による組合せの一部として投与される化合物Aの量は、好ましくは、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg、125mg、130mg、135mg、140mg、145mg、150mg、155mg、160mg、165mg、170mg、175mg、180mg、185mg、190mg、195mg、200mg、205mg、210mg、215mg、220mg、225mg、230mg、235mg、240mg、245mg、250mg、255mg、260mg、265mg、270mg、275mg、280mg、285mg、290mg、295mgおよび300mgから選択される。好ましくは、選択された量の化合物Aを1日1〜4回投与する。好ましくは、選択された量の化合物Aを1日2回投与する。好ましくは、選択された量の化合物Aを1日1回投与する。好ましくは、化合物Aの投与を負荷投与として開始する。好ましくは、負荷投与は維持投与の2〜100倍;好ましくは2〜10倍;好ましくは2〜5倍;好ましくは2倍;好ましくは3倍;好ましくは4倍;好ましくは5倍の量である。好ましくは、負荷投与を1〜7日間;好ましくは1〜5日間;好ましくは1〜3日間;好ましくは1日間;好ましくは2日間;好ましくは3日間行い、これに維持投与プロトコールが続く。
【0048】
好ましくは、本発明による組合せの一部として投与される化合物Bの量は、約0.25mg〜約75mgから選択される量であり;好ましくは、その量は約0.5mg〜約50mgから選択され;好ましくは、その量は約1mg〜約25mgから選択され;好ましくは、その量は約2mg〜約20mgから選択され;好ましくは、その量は約4mg〜約16mgから選択され;好ましくは、その量は約6mg〜約12mgから選択され;好ましくは、その量は約10mgである。したがって、本発明による組合せの一部として投与される化合物Bの量は、約0.5mg〜約50mgから選択される量である。例えば、本発明による組合せの一部として投与される化合物Bの量は、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、20mg、21mg、22mg、23mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、35mg、40mg、45mgまたは50mgであり得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、化合物Aおよび化合物Bに関して明示される量はすべて、1用量当たりの遊離または非塩および非溶媒和化合物の投与量として示される。
【0050】
また本発明の方法は、癌治療の他の治療法と共に用いてもよい。
【0051】
治療での使用において、治療有効量の本発明の組合せを粗化学物質として投与し得るが、1つまたは複数の医薬組成物として組合せを提供することが好ましい。したがって本発明は、化合物Aおよび/または化合物Bならびに1つ以上の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物をさらに提供する。本発明の組合せは上記の通りである。担体(1つまたは複数)は、製剤の他の成分と適合性がある、医薬製剤化が可能であるおよびその被投与者に対して有害でないという意味で許容されるものでなければならない。本発明の別の態様によれば、化合物Aおよび/または化合物Bを1つ以上の薬学的に許容される担体と混和することを含めた、医薬製剤を調製するための工程も提供される。前述の通り、使用される薬剤の組合せの上記成分は、別個の医薬組成物として、または1つの医薬製剤中に一緒に製剤化して提供し得る。
【0052】
医薬製剤は、単位用量当たり所定量の有効成分を含有する単位用量形態で提供し得る。当業者に公知のように、1用量あたりの有効成分の量は、治療される状態、投与経路ならびに患者の年齢、体重および状態によって決まる。好適な単位用量剤形は、1日の投与量もしくはサブ用量またはその適当な割合の有効成分を含有するものである。さらに、このような医薬製剤は、薬学技術分野で公知の任意の方法により調製し得る。
【0053】
化合物Aおよび化合物Bは任意の適当な経路で投与し得る。適当な経路としては、経口、直腸内、経鼻、局所(バッカルおよび舌下を含む)、膣内および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、真皮内、髄腔内および硬膜外を含む)が挙げられる。好適な経路は、例えば組合せの被投与者の状態および治療する癌に応じて異なり得ることが理解されるであろう。また、投与される各薬剤を同じまたは異なる経路で投与し得ること、および化合物Aと化合物Bを1つの医薬組成物/製剤中に混合し得ることも理解されるであろう。
【0054】
本発明の化合物または組合せをカプセル剤、錠剤または注射用製剤のような都合のよい剤形内に組み込む。固体または液体の医薬担体を用いる。固体担体としては、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸が挙げられる。液体担体としては、シロップ、ラッカセイ油、オリーブ油、生理食塩水および水が挙げられる。同様に担体として、持効性放出の材料、例えば単独のモノステアリン酸グリセリルもしくはジステアリン酸グリセリルまたはそれにロウを加えたものなどを挙げ得る。固体担体の量は様々であるが、好ましくは、投与単位当たり約25mg〜約1gである。液体担体を使用する場合、製剤は好ましくは、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、軟ゼラチンカプセル剤、アンプルのような滅菌注射溶液剤または水性もしくは非水性液体懸濁液剤の形態である。
【0055】
例えば、錠剤またはカプセル形態での経口投与では、有効薬物成分を経口用で非毒性の薬学的に許容される不活性担体、例えばエタノール、グリセロール、水などと組み合わせ得る。化合物を微細なサイズに粉砕し、同様に粉砕した食用炭水化物、例えばデンプンまたはマンニトールのような医薬担体と混合することにより、粉末剤を調製する。香味料、保存剤、分散剤および着色剤も提供し得る。
【0056】
製剤のタイプを考慮して、上記成分の他にも当該技術分野における通常の他の薬剤を製剤に含ませ得る、例えば、経口投与に適した製剤に着香剤を含ませ得るということを理解するべきである。
【0057】
適応があれば、治療有効量の本発明の組合せ(化合物Bと組み合わせた化合物A)をヒトに投与する。通常、投与される本発明の薬剤の治療有効量は、例えば、対象の年齢および体重、治療を必要とする正確な状態、状態の重症度、製剤の性質および投与経路を含めた数多くの因子によって決まる。最終的には、治療有効量は主治医が判断する。
【0058】
本発明の組合せを有効性、有利性および相乗性に関して既知の方法により試験する。好ましくは、本発明の組合せを有効性、有利性および相乗性に関して、一般的には以下の併用細胞増殖アッセイにより試験する。10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを添加した、各細胞型に適した培地中、細胞を96または384ウェルプレートに播種し、37℃、5%COで一晩インキュベートする。細胞を化合物Aの希釈物(化合物を含有しないものを含む、0.50〜10μMを始点とする3倍希釈による10種類の希釈物)で格子状に処置し、また化合物B(化合物を含有しないものを含む、0.10〜1.0μMを始点とする3倍希釈による10種類の希釈物)でも処置し、さらに72時間、上記のようにインキュベートする。場合によっては化合物を千鳥状に添加し、インキュベーションを7日まで延長し得る。製造者プロトコールに従いCellTiter−Glo(登録商標)試薬を用いて細胞増殖を測定し、0.5秒読取りの発光モードに設定したPerkinElmer EnVision(商標)リーダーセットでシグナルを読み取る。データを下記のように解析する。
【0059】
結果をt=0値の百分率として表し、化合物(1つまたは複数)濃度に対してプロットする。t=0値は100%に対して正規化されており、化合物添加の時点で存在する細胞数を表す。Microsoft ExcelソフトウェアにIDBS XLfitプラグインを使用して細胞生存率の濃度に対する4パラメーター曲線フィット法を用いて、細胞増殖の50%阻害に必要な濃度(gIC50)を決定し、各化合物および/または化合物の組合せに対する細胞反応を判定する。細胞を含まないウェルの値を差し引いてバックグラウンド補正を行う。薬剤の各組合せに関して、併用指数(CI)、Excess Over Highest Single Agent(EOHSA)およびExcess Over Bliss(EOBliss)を、ChouおよびTalalay(1984)Advances in Enzyme Regulation,22,37−55;ならびにBerenbaum,MC(1981)Adv.Cancer Research,35,269−335に記載の既知の方法に従って算出する。
【0060】
本発明の組合せは、上記アッセイにおいて有効であるため、癌治療において有利な治療的有用性を示す。
【0061】
好ましくは本発明は、脳癌(神経膠腫)、膠芽腫、星状細胞腫、多形神経膠芽腫、バナヤン・ゾナナ症候群、カウデン病、レルミット・デュクロス病、乳癌、炎症性乳癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、上衣腫、髄芽腫、結腸癌、頭頸部癌、腎臓癌、肺癌、肝臓癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、有毛細胞性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽腫、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽頭癌、頬癌、口腔癌、GIST(消化管間質腫瘍)および精巣癌から選択される癌を治療するまたはその重症度を低減するための方法に関する。
【0062】
好ましくは本発明は、脳癌(神経膠腫)、膠芽腫、バナヤン・ゾナナ症候群、カウデン病、レルミット・デュクロス病、乳癌、結腸癌、頭頸部癌、腎臓、肺癌、肝臓癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫および甲状腺癌から選択される癌を治療するまたはその重症度を軽減するための方法に関する。
【0063】
好ましくは本発明は、卵巣癌、乳癌、膵臓癌および前立腺癌から選択される癌を治療するまたはその重症度を軽減するための方法に関する。
【0064】
好ましくは本発明は、肺癌、膵臓癌および結腸癌から選択される癌を治療するまたはその重症度を軽減するための方法に関する。
【0065】
好ましくは本発明は、特定のバイオマーカー(1つまたは複数)が野生型または変異型である癌を治療するまたはその重症度を軽減するための方法に関する。
【0066】
好ましくは本発明は、Rafが野生型または変異型であり、PI3K/Ptenが野生型または変異型である癌を治療するまたはその重症度を軽減するための方法に関する。RafおよびPI3K/PTENが共に野生型である患者、RafおよびPI3K/PTENが共に変異型である患者、Rafが変異型でありPI3K/PTENが野生型である患者、ならびにRafが野生型でありPI3K/PTENが変異型である患者がこれに含まれる。
【0067】
当該技術分野において理解されている「野生型」という用語は、遺伝子改変されていない天然の集団内に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列を指す。同様に当該技術分野において理解されている「変異型」は、それぞれ野生型のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに見られる対応するアミノ酸または核酸に対して、少なくとも1つの改変を有するポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列を包含する。変異型という用語には、最も一般的に見られる(野生型の)核酸鎖との比較で一塩基対の差異が核酸鎖の配列内に存在する一塩基多型(SNP)が包含される。
【0068】
特定のバイオマーカー(1つまたは複数)が野生型または変異型であり、PI3K/Ptenが野生型または変異型である癌は、既知の方法により同定される。
【0069】
例えば、DNA増幅および配列決定技術、特に限定されないが、それぞれノーザンブロット法およびサザンブロット法を含めたDNAおよびRNA検出技術、ならびに/または各種のバイオチップおよびアレイ技術により、野生型または変異型のRafまたはPI3K/PTEN腫瘍細胞を同定することができる。特に限定されないが、ELISA、ウエスタンブロット法または免疫細胞化学のような免疫診断技術を含めた各種技術により、野生型および変異体型ポリペプチドを検出することができる。好ましくは、加ピロリン酸分解活性化重合(PAP)および/またはPCR法を使用し得る。Liu,Qら,Human Mutation 23:426−436(2004)。
【0070】
本発明は、N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩とを含んでなる組合せを提供する。
【0071】
また本発明は、治療で使用するための、N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩とを含んでなる組合せも提供する。
【0072】
また本発明は、癌治療で使用するための、N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩とを含んでなる組合せも提供する。
【0073】
また本発明は、N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩との組合せを含んでなる医薬組成物も提供する。
【0074】
また本発明は、N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩とを含んでなる組合せキットも提供する。
【0075】
また本発明は、薬剤の製造における、N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩とを含んでなる組合せの使用も提供する。
【0076】
また本発明は、癌を治療するための薬剤製造における、N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩とを含んでなる組合せの使用も提供する。
【0077】
また本発明は、N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩との組合せを、治療を必要とする対象に投与することを含んでなる、癌の治療法も提供する。
【0078】
以下の実施例は、単に説明を目的としたものであり、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0079】
実験の詳細
N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミド(化合物A)がその薬学的に許容される塩と共に、特に癌治療においてB−Raf活性阻害剤として有用であるとして、国際出願日が2009年5月4日、国際公開番号が国際公開第2009/137391号、および国際公開日が国際公開第2009/137391号である国際出願PCT/US2009/042682号に開示およびクレームされており、上記明細書はその全開示が参照により本明細書に組み込まれ、化合物Aは実施例58の化合物である。化合物Aは国際出願PCT/US2009/042682号に記載されている通りに調製することができる。
【0080】
本発明の組合せでの使用に適したPI3K阻害剤、特に2,4−ジフルオロ−−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド
【化5】

は、国際公開第08/144463号(実施例345)に従って調製することができる。
【0081】
試験1:腫瘍細胞系における化合物A、化合物Bおよびその組合せのin vitroでの細胞増殖阻害およびアポトーシス誘導
結腸癌細胞系
実験準備(1つまたは複数)
ヒト結腸癌由来の細胞系のパネルを用いて、化合物AおよびBの組合せ薬物試験を行った(n=25)(表1)。細胞系を[ATCC(Manassas、VA、USA)またはDSMZ(Braunschweig、Germany)から]購入し、2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび10%ウシ胎仔血清を添加し加湿恒温器内で37℃および5%COに維持したRPMI−1640中で増殖させた。
【0082】
実験プロトコール(1つまたは複数)
固定比率薬物併用アッセイ
固定比率薬物併用アッセイの希釈法のデザインを図1に示す。まず、試験化合物を100%ジメチルスルホキシド(DMSO)で10mMのストックとして調製した。化合物をDMSOでさらに希釈した。96ウェルマイクロタイタープレートのB−E行で、第一の試験化合物(化合物Aと呼ぶ)を10希釈ポイント分の3倍希釈系列を用いて水平方向に希釈する。別の96ウェルマイクロタイタープレートのD−G行で、第二の試験化合物(化合物Bと呼ぶ)を10希釈ポイント分の3倍希釈系列を用いて水平方向に希釈する。各薬物プレートから2つの化合物を等体積で組み合わせて細胞培地に加える。これで細胞培地中の薬物が1:50の希釈となる。プレートのBおよびC列では化合物Aが個別に漸増され、FおよびG列では化合物Bのみが投与される。細胞に添加する前に薬物をさらに1:10で希釈する。細胞への薬物添加により、薬物が1:2にさらに希釈される。薬物プレートから細胞までの全体の希釈は1:1000である。最終投与濃度の範囲は、化合物Bが0.1〜1000.0nM、化合物Aが0.5〜10000.0nMであった。陽性対照は、0.1%DMSOおよび細胞を含むが薬物は含まない培地からなる。陰性対照は0.1%DMSO溶液を含む培地からなる。
【0083】
アッセイを96ウェルマイクロタイタープレートで、各細胞系の以前の研究から推定される適当な播種密度で行った。投与後、細胞系を湿り空気中、37℃、5%COで72時間インキュベートする。細胞増殖を、製造者プロトコールに従いCellTiter Glo(Promega Corporation、Madison、WI、USA)試薬を用いて測定する。プレートをCellTiter Glo溶液で処理し、Molecular Devices SpectraMax M5(Sunnyvale、CA、USA)プレートリーダーを用いてRLU(相対発光量)を解析する。
【0084】
データ解析
結果を化合物添加値の時(T)に存在する細胞数の百分率として表し、化合物(1つまたは複数)濃度に対してプロットする。Microsoft Excel用のIDBS XLfitプラグイン205モデルにパーセント強度値を用い、gIC50値を4パラメーターロジスティックフィットを用いて計算した。細胞を含まないウェルの値を差し引いてバックグラウンド補正を行う。増殖域の中間点(gIC50)は、化合物添加時の細胞数とDMSO処置した対照細胞の72時間における増殖との中間に当たる。時間ゼロでの細胞数 を反応曲線の底の強度値(Ymin)から分離して、細胞死の測定単位(Ymin/T)を求める。1未満のYmin/T値は、それより高い値と比べて処置の効力が強いことを示す。2回反復アッセイでは、全反応測定基準の平均値を求めて表す。
【0085】
独立した3つの測定基準を用いて、化合物Bと化合物Aの増殖阻害に対する併用効果を解析した。
【0086】
データ解析
独立した3つの測定基準を用いて、化合物Bと化合物Aの増殖阻害に対する併用効果解析した。
1.Excess over Highest Single Agent(EOHSA)―薬物の併用効果を測定するための標準的な基準の1つは、細胞増殖に対する絶対的な効果を解析することである。この場合、薬物の組合せを、2つの個別の治療剤(単一薬剤)のうち反応性の高い方と比較する。各組合せ実験では、各用量について、最も高い単一薬剤に対するパーセント効果を曲線に従って求める。この「Excess of Highest Single Agent(EOHSA)」の測定は、薬物併用の相乗作用の評価に用いられる基準の1つである(Borisy AA Elliott PJ,Hurst NW,Lee MS,Lehar J,Price ER,Serbedzija G,Zimmermann GR,Foley MA,Stockwell BR,Keith CT.Systematic discovery of multicomponent therapeutics.Proc Natl Acad Sci U S A.2003 Jun 24;100(13):7977−82)。
【0087】
2.Bliss相乗作用―併用の相乗作用を判定するためによく用いられる2つ目の基準は、Bliss独立作用または「相加性」を上回る阻害を評価することである(Bliss,C.I,Mexico,DF,The Toxicity of Poisons Applied Jointly.Annals of Applied Biology 1939,Vol 26,Issue 3,August 1939)。このモデルでは、2つの化合物を合計した反応を下式:
スコア=E+E−(E*E
を用いて別個に推測し、式中、Eは化合物Aの効果(またはパーセント阻害)であり、Eは化合物Bの効果である。得られた2つの化合物の併用効果を、Blissによる予測相加性と比較し、各用量について相乗作用スコアを反応曲線に従って求める。
【0088】
3.併用指数(CI)―相乗作用評価のための3つ目の基準は、ChouおよびTalalayから導かれる併用指数(CI)である(Chou TC,Talalay P.Quantitative analysis of dose−effect relationships:the combined effects of multiple drugs or enzyme inhibitors.Adv Enzyme Regul.1984;22:27−55)。以下の方程式:
【数1】

は、異なる作用機序で振舞う化合物に用いられるモデルである(互いに非排他的な式)。CIが小さいほど、その併用は潜在的に高い相乗作用を有する。1よりも大きいCIは、試験対象の組合せが拮抗的であり得ることを示す。また25%(IC25)および75%(IC75)の阻害濃度のCIスコアも、上式中のIC50を各化合物について各阻害濃度で置き換えることにより求める。
【0089】
Microsoft ExcelのIDBS XLfitプラグイン205モデルにパーセント強度値を用いて、gIC50値を4パラメーターロジスティックフィットを用いて計算する。増殖域の中間点(gIC50)は、化合物添加時の細胞数とDMSO処置した対照細胞の72時間における増殖との中間に当たる。時間ゼロでの細胞数を反応曲線の底の強度値(Ymin)から分離して、細胞死の測定単位(Ymin/T)を求める。1未満のYmin/T値は、それより高い値と比べて処置の効力が強いことを示す。
【0090】
EOHSAおよびBlissでは、適切な命名(相乗的、やや相乗的など)を行うために、一実験内で両方の技術的反復で相乗作用スコアを見なければならない。併用実験には、単一薬剤として2つの化合物での反復だけではく、組合せの技術的反復も含まれる。
【0091】
極端に低い濃度(例えば、用量1、用量2)でのEOHSAおよびBlissの相乗作用スコアは変動が比較的大きい傾向があり、一般的には解析から除外する。逆に、治療投与範囲から大きく外れた最も高い濃度(用量10)での相乗作用スコアは、観察される効果がオフターゲット事象の影響を比較的受けやすいため、一般的には解析から除外する。
【0092】
EOHSAおよびBliss相乗作用の測定には、反応曲線に従って各用量のスコアを求める。スコアは、「拮抗的」(<−10)、「相加的」(−10〜10)、「やや相乗的」(10〜20)または「相乗的」(>20)に分類した。これらのスコアは、解釈するモデルに応じて、最高の薬剤を超える百分率またはBliss相加性を超える百分率を反映するものである。
【0093】
併用指数では、CIが小さいほど、その併用は潜在的に高い相乗作用を有する。0〜0.7の間のスコアを相乗的である見なし、0.7〜0.9の間のスコアをやや相乗的であると見なした。他のスコアはすべて、併用指数では相乗作用を示さないものとした。
【0094】
組合せのうちの1つの化合物が25%の阻害濃度に到達しない細胞系では、CIを算出することはできず、CIに関しては「NA」と記載した。
【0095】
細胞系変異データ
KRAS、BRAF、PIK3CAおよびPTEN遺伝子の状態に関する点突然変異データを収集した。データ源は、Catolog of Somatic Mutations in Cancer(COSMIC)のデータベースの一部として公開されている癌細胞系変異スクリーニングデータである(Bamford S.ら,Br.J.Cancer.2004.91:355−58)。増殖アッセイで使用する細胞系の同一性がCOSMICデータベースのものと確実に一致するように、感受性スクリーニングの細胞系とCOSMICとの間で遺伝子型比較を行った。具体的には、以下のことを伴った:
1.Affymetrix 500K「SNP Chip」(Affymetrix、Inc.、Sunnyvale、CA)およびRLMMアルゴリズム(RabbeeおよびSpeed,Bioinformatics,2006.22:7−12)を用いた各細胞系の遺伝子型の予測。
2.COSMICにおいて変異プロファイルを有する各細胞系に関して予め予測されたものに対する各細胞系の遺伝子型マッチの確認。
3.遺伝子型一致に基づく各細胞系の変異状態の選定。
【0096】
結果
細胞系の一部においてすべての遺伝子が変異していた。KRASの遺伝子変異が試料の60%(15/25)で見られ、PIK3CAが細胞系の40%(10/25)で、BRAFが細胞系の20%(5/25)で、また細胞系のPTENが細胞系の4%(1/25)で変異していた(表1にデータ記載)。
【0097】
PI3K阻害剤である化合物BとBRAF阻害剤である化合物Aの組合せで処置した各細胞系に関して、相乗作用の程度の包括的分類を行った。注目すべきことには、データが低品質であることから細胞系SW1116を解析から除外した。少なくとも1つの測定基準が相乗的であると採点された場合、その細胞系は相乗効果を有するものと見なした。この基準では、細胞系の54%(13/24)が相乗効果を示した。1未満の値がこれより高い値に比べて高い正味の細胞死を示すYmin/T比が、細胞系の79%(19/24)において細胞毒性が最も高い単一薬剤に比べて減少した。71%(17/24)の細胞系において、化合物AとBの併用投与により1未満のYmin/T比が得られた。結腸癌細胞系の相乗作用および細胞毒性のデータを表2に示す。
【0098】
併用試験で使用した結腸癌細胞系のスコアパネル。
【表1】

表1略語
細胞系=細胞系の名称
診断/組織診断=組織の病理学的診断
KRAS/BRAF/PIK3CA/PTEN=変異状態;WT=野生型
【0099】
各結腸細胞系の基本測定および相乗作用判定。
【表2】

表2略語:
細胞系=腫瘍由来細胞系
gIC50=50%の増殖阻害を発生させるのに必要な化合物濃度(nM)
min=Tが0のときの細胞増殖の%で測定した化合物Bの存在下での(DMSO対照に対する)最小細胞増殖(化合物B添加時の細胞数)。負数はT=0のときと比較した細胞の正味の減少を示す。
min/T=Ymin値をTで割ったものを表し、T値はYmin濃度−反応曲線から導かれ、T値は化合物添加時の細胞数(CTG測定)を表す。
EOHSA=Excess over highest single agentの判定
BLISS=Bliss相乗作用の判定
Comb Index=併用指数スコア
【0100】
試験2:MAPKおよびAKT/PI3K経路内の異なる変異をコードする種々の起源由来の癌細胞系に対するBRAF阻害剤(化合物A)とPI3K阻害剤(化合物B)のin vitro併用試験
384ウェルプレートで薬物併用試験を行った。10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを添加した、各細胞型に適した培地中、細胞を384ウェルのプレートに500細胞/ウェルで播種し、37℃、5%COで一晩インキュベートした。各薬剤の16種類の濃度の2倍希釈物を、細胞増殖阻害に関して行列状に試験した。試験濃度は、BRAF阻害剤である化合物Aが10μM〜0.3nM、PI3K阻害剤(化合物B)が5μM〜0.15nMであった。細胞を化合物の組合せで処置し、37℃で72時間インキュベートした。製造者プロトコールに従いCellTiter−Glo(登録商標)試薬を用いて細胞増殖を測定し、0.5秒読取りの発光モードに設定したPerkinElmer EnVision(商標)リーダーセットでシグナルを読み取った。結果をDMSO処置細胞と比較した阻害百分率で表し、細胞を含まないウェルの値を差し引いてバックグラウンド補正を行った。
【0101】
本試験の目的のために、Excess Over Highest Single Agent(EOHSA)の測定基準を用いて、各化合物間の相乗効果の程度を判定した。EOHSA計算の詳細な説明は上に記載されている。簡潔には、濃度「a」の化合物Aに対する反応(無処置試料と比較し、培地のみに対して正規化したパーセント阻害率)(Ra)および濃度「b」の化合物Bに対する反応(Rb)を、濃度がそれぞれ「a」および「b」である化合物AおよびBの混合物に対する反応(Rab)と比較する。等式は次の通りである:
Rab>RaとRbの高い方の値の10%増=相加的
Rab<RaとRbの高い方の値の10%減=拮抗作用
この式を用いて、RabがRaとRbのうちの最高値よりも10%以上高い場合、その薬物の組合せは「相加的」であると見なす。RabがRaとRbのうちの最高値よりも10%以上低い場合、その薬物の組合せは「拮抗的」である。この場合、「相加的」な細胞系は「拮抗的」な細胞系よりも相乗的であると考えられる。
【0102】
併用処置に対して相加的に反応する16×16行列中の組合せの数を数え、表3にまとめた。この表では、試験した組合せのうち20%(試験した256のうち51の組合せ)を超える組合せが、10%Excess Over the Highest Single Agent(10%EOHSA)よりも大きな値により定義される相加性を示した場合、所与の細胞系に対するその組合せはより有益であるとした(灰色部分)。
【0103】
多発性癌細胞系に対するPI3K阻害剤とBRAF阻害剤の併用効果。
【表3】

【0104】
上のデータは、種々の薬物組合せ(>20%)が10%Excess Over Highest Single Agent(EOHSA)を超える阻害活性を示したので、PI3K阻害剤とBRAF阻害剤の組合せが、MAPKまたはAKT/PI3K経路内の主要な癌遺伝子の変異状態に関係なく、種々の起源由来の種々の癌細胞系に対して有益であることを示している。
【0105】
試験3:腫瘍細胞系における化合物A、化合物Bおよびその組合せによるin vitroでの細胞増殖阻害
方法:
細胞系および増殖条件
ヒト黒色腫A375PF11系をA375(ATCC)から誘導した。12R5−1、12R5−3、12R8−1、12R8−3、16R5−2、16R6−3および16R6−4は、1200および1600nMの濃度までの化合物A中で増殖させて選択した、A375PF11細胞の混合集団由来の単一細胞クローンである。細胞系はすべて、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含有するRPMI1640培地で培養した。
【0106】
細胞増殖阻害アッセイおよび組合せのデータ解析。
播種する前にすべての細胞を最小限の72時間培養した。細胞を10%FBSを含有するRPMI培地の96ウェル組織培養プレート(NUNC 136102)で、全細胞とも1ウェル当たり1,000個の細胞でアッセイした。播種の約24時間後、10%FBSを含有するRPMI倍地中、細胞を化合物または化合物Aと化合物Bのモル比が1:10で一定である2種の薬剤の組合せの10種類の3倍系列希釈物に曝露した。細胞を化合物の存在下で3日間インキュベートした。製造者プロトコールに従いCell Titer Glo(登録商標)(Promega)を添加して、ATPレベルを決定した。簡潔には、Cell Titer Glo(登録商標)を各プレートに加え、30分間インキュベートした後、SpectraMax Lプレートリーダーにより積分時間0.5秒で発光シグナルを読み取った。
【0107】
化合物または化合物の組合せによる3日間の処置、および溶媒(DMSO)処置細胞とのシグナルの比較の後に、細胞増殖阻害を推定した。溶媒(DMSO)処置対照ウェルに対して相対的な細胞増殖を算出した。y=溶媒対照の50%として、方程式y=(A+(B−A)/(1+(C/x)^D)))(式中、Aは最小反応(ymin)、Bは最大反応(ymax)、Cは曲線の変曲点(EC50)およびDはHill係数である)の非線形回帰を用いて、対照細胞増殖を50%阻害する化合物濃度(IC50)を内挿した。
【0108】
逆補間IC50値ならびにChouおよびTalalayにより導かれた互いに非排他的な方程式(Chou TC,Talalay P.Quantitative analysis of dose−effect relationships:the combined effects of multiple drugs or enzyme inhibitors.Adv Enzyme Regul 1984;22:27−55.)を用いて算出した併用指数(CI)を用いて、効力に対する併用効果を評価した。CIの詳細は上に記載されている。一般に、CI値<0.9、0.9≦CI値≦1.1、CI値>1.1は、それぞれ相乗作用、相加作用、拮抗作用を示す。一般に、CI数が小さいほど相乗作用が強い。
【0109】
PetersonおよびNovick(2007)ならびにPeterson(2010)[Peterson JJ,Novick SJ.J Recept Signal Transduct Res 2007;27(2−3):125−46,Peterson J.Frontiers of Bioscience S2,483−503.2010]により詳細に記載されている非線形混合の概念に基づき、Excess Over Highest Single Agent(EOHSA)により反応の等級に対する併用効果を定量化した。EOHSA値は、組合せにより得られる、組合せでのその成分用量レベルでの最良の単剤を上回る向上分(ここでは、「百分率ポイント」(ppts)の差)と定義される。EOHSA計算の詳細は上に記載されている。単一薬剤および組合せ処置では、細胞を固定用量比の化合物に曝露し、用量反応曲線を実験データにフィットさせ、回帰モデルを用いて解析した。用量反応曲線に従った特定の総用量レベルのIC50で、用量組合せ(IC50に対応する)を決定し、EOHSAの統計的推定を行った。より具体的には、用量d1の薬物1および用量d2の薬物2を含む組合せ薬剤実験では、組合せでの平均反応が、用量d1の薬物1または用量d2の薬物2に対する平均反応よりも良い場合、(すなわち、総用量はd1+d2と等しい)は、陽性のEOHSAとする。
【0110】
結果:
ヒト黒色腫細胞系のパネルにおいて、BRAF阻害剤である化合物A、PI3K阻害剤である化合物Bおよびその組合せによる細胞増殖阻害の効果を判定した。平均IC50(少なくとも2つの独立した実験によるもの)およびIC50での併用効果を、BRAF突然変異状態と共に表4にまとめる。BRAF V600E変異を有するA375PF11細胞は、化合物A(IC50=0.059μM)または化合物B(IC50=0.048μM)の単一薬剤に対して高感受性であった。化合物Aと化合物Bの組合せは、A375PF11細胞における0.74のCI値により示されるように相乗的であった。7種の化合物A耐性クローン(A375PF11黒色腫細胞系由来の12R8−3、12R8−1、12R5−3、16R5−2、16R6−3、16R6−4および12R5−1)は、化合物B単独に反応して0.041〜0.212μMの範囲のIC50を示し、化合物Aと化合物Bの組合せに対しては、化合物Aに対して0.256〜0.0.731μMの範囲および化合物Bに対して0.026〜0.073μMの範囲のIC50で反応した。化合物Aと化合物Bの組合せは黒色腫系において細胞増殖阻害の増強を示し、EOHSA値が3〜34pptsであった。
【0111】
ヒト腫瘍細胞系における化合物A、化合物Bおよびその組合せによる細胞増殖阻害。
【表4】

表4略語:
IC50:細胞増殖を50%減少させる、単一薬剤としての化合物の濃度、すなわち化合物A:化合物B=10:1のモル比とした併用での化合物AもしくはBの濃度;
CI;併用指数;N/A=該当なし
EOHSA:百分率で測定したExcess over Highest Single Agent。
【0112】
実施例1−カプセル組成物
標準的なツーピースの硬ゼラチンカプセルに下の表Iに示す割合で成分を充填することにより、本発明の化合物の1つを投与するための経口剤形を作製する。
【0113】
【表5】

【0114】
実施例2−カプセル組成物
標準的なツーピースの硬ゼラチンカプセルに下の表IIに示す割合で成分を充填することにより、本発明の化合物の1つを投与するための経口剤形を作製する。
【0115】
【表6】

【0116】
実施例3−カプセル組成物
標準的なツーピースの硬ゼラチンカプセルに下の表IIIに示す割合で成分を充填することにより、本発明の化合物の1つを投与するための経口剤形を作製する。
【0117】
【表7】

【0118】
実施例4−錠剤組成物
下の表IVに示すスクロース、微結晶性セルロースおよび本発明の組合せの化合物を、示される割合で10%ゼラチン溶液と混合し顆粒化する。湿った顆粒を篩過し、乾燥させて、デンプン、タルクおよびステアリン酸と混合した後、篩過し、打錠する。
【0119】
【表8】

【0120】
実施例5−錠剤組成物
下の表Vに示すスクロース、微結晶性セルロースおよび本発明の組合せの化合物の1つを、示される割合で10%ゼラチン溶液と混合し顆粒化する。湿った顆粒を篩過し、乾燥させて、デンプン、タルクおよびステアリン酸と混合した後、篩過し、打錠する。
【0121】
【表9】

【0122】
実施例6−錠剤組成物
下の表VIに示すスクロース、微結晶性セルロースおよび本発明の組合せの化合物の1つを、示される割合で10%ゼラチン溶液と混合し顆粒化する。湿った顆粒を篩過し、乾燥させて、デンプン、タルクおよびステアリン酸と混合した後、篩過し、打錠する。
【0123】
【表10】

【0124】
本発明の好適な実施形態が上で説明されているが、発明が本明細書に開示されている詳細な説明に限定されないこと、および以下の特許請求の範囲内のあらゆる修正の権利が留保されることを理解するべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)構造(I)の第一の化合物:
【化1】

またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、
(ii)構造(II)の化合物である第二の化合物:
【化2】

またはその薬学的に許容される塩と
を含んでなる組合せ。
【請求項2】
前記構造(I)の化合物がメタンスルホン酸塩の形態であり、かつ前記構造(II)の化合物が遊離塩基の形態である、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組合せを、薬学的に許容される1つまたは複数の担体と共に含んでなる、組合せキット。
【請求項4】
前記構造(I)の化合物の量が、10mg〜300mgから選択される量であり、かつその量が1日1〜4回投与され、前記構造(II)の化合物の量が、0.5mg〜20mgから選択される量であり、かつその量が1日1回投与される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組合せ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の組合せを、薬学的に許容される1つまたは複数の担体と共に含んでなる、組合せキット。
【請求項6】
治療を必要とするヒトにおける癌の治療法であって、N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドとの組合せの治療有効量を、前記ヒトにin vivo投与することを含んでなる、前記組合せを一定期間内に投与し、かつ前記組合せを継続期間の間投与する治療法。
【請求項7】
N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドメタンスルホン酸塩と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドとの組合せの治療有効量を、前記ヒトにin vivo投与することを含んでなる、前記組合せを一定期間内に投与し、かつ前記組合せを継続期間の間投与する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩の量が、約10mg〜約300mgから選択され、かつその量が1日1〜3回投与され、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドの量が、約0.5mg〜約10mgから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩の量が、約70mg〜約260mgから選択され、かつその量が1日2回投与され、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドの量が、約0.5mg〜約6mgから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドを、少なくとも連続7日間の期間に、互いに12時間以内に毎日投与する(1サイクル以上の反復投与サイクルがこれに続いてもよい)、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドメタンスルホン酸塩と、2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドの量を、少なくとも連続14日間の期間に、互いに12時間以内に毎日投与する(1サイクル以上の反復投与サイクルがこれに続いてもよい)、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
1サイクル以上の投与サイクルを含んでなる、治療を必要とするヒトにおける癌の治療法であって、前記各サイクルが、
(1)約10〜300mgのN−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、1日1〜4回で1〜30日間、前記ヒトに投与することと、
(2)約0.05mg〜10mgの2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、定期的に前記ヒトに投与することと、
を含んでなる、治療法。
【請求項13】
1サイクル以上の投与サイクルを含んでなる、治療を必要とするヒトにおける癌の治療法であって、前記各サイクルが、
(1)約70〜260mgのN−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、1日1〜4回で1〜30日間、前記ヒトに投与することと、
(2)約0.5〜5mgの2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、1〜30日間、定期的に前記ヒトに投与することと、
を含んでなる、治療法。
【請求項14】
1サイクル以上の投与サイクルを含んでなる、治療を必要とするヒトにおける癌の治療法であって、前記各サイクルが、
(1)約0.05〜10mgの2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、1日1回または2回で、1〜30日間、前記ヒトに投与することと、
(2)約10〜300mgのN−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、1〜30日間、定期的に前記ヒトに投与することと
を含んでなる、治療法。
【請求項15】
1サイクル以上の投与サイクルを含んでなる、治療を必要とするヒトにおける癌の治療法であって、前記各サイクルが、
(1)約0.5〜5mgの2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、1日1回または2回で、1〜30日間、前記ヒトに投与することと、
(2)約70〜260mgのN−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、1〜30日間、定期的に前記ヒトに投与することと
を含んでなる、治療法。
【請求項16】
2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドを2〜4日に1回投与する、請求項12または13に記載の方法。
【請求項17】
2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドを5〜7日に1回投与する、請求項12または13に記載の方法。
【請求項18】
2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドを8〜15日に1回投与する、請求項12または13に記載の方法。
【請求項19】
N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドメタンスルホナートを2〜4日に1回投与する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項20】
N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドメタンスルホナートを5〜7日に1回投与する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項21】
N−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドメタンスルホナートを8〜15日に1回投与する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項22】
1サイクル以上の投与サイクルを含んでなる、治療を必要とするヒトにおける癌の治療法であって、前記各サイクルが、約10〜300mgのN−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、1日1〜4回で、5〜14日間、前記ヒトに投与し、次いで約0.05〜10mgの2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、5〜14日間、前記ヒトに投与することを含んでなる、治療法。
【請求項23】
1サイクル以上の投与サイクルを含んでなる、治療を必要とするヒトにおける癌の治療法であって、前記各サイクルが、約70〜260mgのN−{3−[5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−2−(1,1−ジメチルエチル)−1,3−チアゾール−4−イル]−2−フルオロフェニル}−2,6−ジフルオロベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、1日1〜2回で、5〜14日間、前記ヒトに投与し、次いで約0.5mg〜5mgの2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、5〜14日間、前記ヒトに投与することを含んでなる、治療法。
【請求項24】
前記癌が黒色腫または結腸癌である、請求項12〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記癌がBRAF変異体である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第二の化合物が遊離塩基の形態である、請求項1〜4のいずれかに記載の組合せ。
【請求項27】
治療に使用するための、請求項1〜26のいずれかに記載の組合せ。
【請求項28】
癌治療に使用するための、請求項1〜4のいずれかに記載の組合せ。
【請求項29】
請求項1〜4のいずれかに記載の組合せを、薬学的に許容される担体と共に含んでなる、医薬組成物。
【請求項30】
癌治療のための薬剤製造における、請求項1〜4のいずれかに記載の組合せの使用。
【請求項31】
前記癌が、黒色腫、肺癌、膵臓癌、乳癌または結腸癌である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項32】
前記癌が黒色腫または結腸癌である、請求項17に記載の方法。
【請求項33】
前記癌がBRaf変異体である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記癌が、BRaf阻害剤による治療後に進行した黒色腫である、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記癌がBRaf阻害剤に対して耐性をもつ黒色腫である、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記癌が、BRaf阻害剤による治療後に進行した結腸癌である、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記癌がBRaf阻害剤に対して耐性をもつ結腸癌である、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−507442(P2013−507442A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534272(P2012−534272)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/052242
【国際公開番号】WO2011/046894
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】