説明

組成物、組成物の製造方法、感熱性粘着材料、及び情報記録材料

【課題】可塑剤をより安定に分散させることが可能な組成物及び該組成物の製造方法を提供する。より良好な粘着性を有することが可能な、感熱性粘着材料及び情報記録材料を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤及び界面活性剤を含む、組成物において、該界面活性剤は、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む。熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤及び界面活性剤を含む組成物を製造する、組成物の製造方法において、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を用いる。加熱することによって粘着性を発現する、感熱性粘着材料は、熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む層を有する。情報を記録することが可能な情報記録材料は、該感熱性粘着材料を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、組成物の製造方法、感熱性粘着材料、及び情報記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、感熱性粘着剤及び感熱性粘着シートなどに関する様々な先行技術が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂、固体可塑剤を主成分とする感熱性粘着剤の水性分散液において、熱可塑性樹脂の平均粒子径が0.3μm以下であり、かつゲル含有量が3〜83%である感熱性粘着剤、及び、該感熱性粘着剤を基材の片面に塗布し、乾燥して得た感熱性粘着シートが記載されている。特に、特許文献1の第0035段落には、固体可塑剤を上記した平均粒子径にする方法としては、上記した固体可塑剤と分散剤と水を混合して適宜粉砕処理されること、及び、分散剤としては、例えば、ノニオン性界面活性剤等の各種界面活性剤が使用できることが、記載されている。また、ノニオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキル(特にC〜C30)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(特にC〜C20)アリール(特にフェニル)エーテル、ポリオキシエチレン、オキシエチレン、オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸(特にC〜C30)エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸(特にC〜C30)エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸(特にC〜C30)エステル、グリセリン脂肪酸(特にC〜C30)エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸(特にC〜C30)エステル、ポリオキシエチレンアルキル(特にC〜C30)アミン、アルキル(特にC〜C30)アルカノールアミド等が挙げられることも、記載されている。加えて、特許文献1の第0059段落には、分散剤としてのノニオン性界面活性剤(商品名:ノイゲンEA−120第一工業製薬株式会社製)が、記載されている。
【0004】
さらに、特許文献2には、 熱可塑性樹脂、粘着付与樹脂及び固形可塑剤からなる水性分散型ディレードタック粘着剤組成物であって、固形可塑剤の水性化分散剤として、カルボン酸含有共重合体を含有する、ディレードタック型粘着剤組成物、並びに、熱可塑性樹脂、粘着付与樹脂、固形可塑剤及びカルボン酸含有共重合体を含有するディレードタック型粘着剤組成物層を、ラベル用基材上に設けた、ディレードタック型粘着ラベルが、記載されている。また、特許文献2の第0004段落には、固形可塑剤の水性化のための分散剤として、ノニオン乳化剤等を用いてきたこと、ノニオン乳化剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン・オキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸、ポリオキシ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられること、及び、ノニオン系界面活性剤としてノニルフェニルアルキレンエーテルの例が挙げられることが、記載されている。
【0005】
これらのノニオン性(系)界面活性剤及びノニオン乳化剤の中で、分散系の分散剤として高いHLB(親水親油バランス)値を示すノニオン性(系)界面活性剤及びノニオン乳化剤を用いると、固体可塑剤を含む分散系において、気泡が容易に発生することがある。その結果、固体可塑剤を分散媒に分散させる工程において、固体可塑剤を分散媒に均一に分散させることができないことがある。また、分散系を基材に塗布する工程などにおいて、分散系を基材に均一に塗布することができないことがある。
【0006】
一方、分散系の分散剤として、消泡性を有する低いHLB値を示すノニオン性(系)界面活性剤及びノニオン乳化剤を用いると、固体可塑剤を含む分散系において、気泡が発生することを、抑制することができる。しかしながら、低いHLB値を示すノニオン性(系)界面活性剤及びノニオン乳化剤は、分散剤としての十分な性質を示さず、分散媒における固体可塑剤の分散性を低下させることがある。
【0007】
また、分散媒に分散する、固体可塑剤及びノニオン性(系)界面活性剤又はノニオン乳化剤のミセルの粒径を、分散機を使用して、小さくするとき、分散系は、しばしばホイップ状態を経由する。その結果、分散機における分散系の循環不良又は分散系における十分な分散を達成するために要求される時間(分散時間)の延長という問題が発生することがある。
【0008】
さらに、分散系に分散する、固体可塑剤及びノニオン性(系)界面活性剤又はノニオン乳化剤のミセルの粒径は、不均一な粒度分布を示すことがあるため、固体可塑剤を含む分散系から得られる感熱性粘着材料に含まれる固体可塑剤は、不均一な分布を示すことがある。その結果、感熱性粘着材料の粘着性が、顕著に低下することがある。また、感熱性粘着材料における固体可塑剤の耐ブロッキング性が、顕著に低下することがある。すなわち、感熱性粘着材料の品質が、顕著に低下することがある。
【特許文献1】特開平8−333565号公報
【特許文献2】特開2002−155264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第一の目的は、可塑剤をより安定に分散させることが可能な組成物を提供することである。
【0010】
本発明の第二の目的は、可塑剤をより安定に分散させることが可能な組成物の製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の第三の目的は、より良好な粘着性を有することが可能な感熱性粘着材料を提供することである。
【0012】
本発明の第四の目的は、より良好な粘着性を有することが可能な情報記録材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第一の態様は、熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤及び界面活性剤を含む、組成物において、該界面活性剤は、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含むことを特徴とする組成物である。
【0014】
本発明の第二の態様は、熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤及び界面活性剤を含む組成物を製造する、組成物の製造方法において、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を用いることを特徴とする組成物の製造方法である。
【0015】
本発明の第三の態様は、本発明の第二の態様である組成物の製造方法によって製造されることを特徴とする組成物である。
【0016】
本発明の第四の態様は、加熱することによって粘着性を発現する、感熱性粘着材料において、熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む層を有することを特徴とする感熱性粘着材料である。
【0017】
本発明の第五の態様は、加熱することによって粘着性を発現する、感熱性粘着材料において、熱可塑性樹脂をさらに含む本発明の第一の態様である組成物又は本発明の第三の態様である組成物を乾燥させることによって得られる層を含むことを特徴とする感熱性粘着材料である。
【0018】
本発明の第六の態様は、情報を記録することが可能な情報記録材料において、本発明の第四の態様又は本発明の第五の態様である感熱性粘着材料を含むことを特徴とする情報記録材料である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第一の態様又は本発明の第三の態様によれば、可塑剤をより安定に分散させることが可能な組成物を提供することができる。
【0020】
本発明の第二の態様によれば、可塑剤をより安定に分散させることが可能な組成物の製造方法を提供することができる。
【0021】
本発明の第四の態様又は本発明の第五の態様によれば、より良好な粘着性を有することが可能な感熱性粘着材料を提供することができる。
【0022】
本発明の第六の態様によれば、より良好な粘着性を有することが可能な情報記録材料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
[組成物]
本発明の第一の実施形態は、熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤及び界面活性剤を含む、組成物であって、該界面活性剤は、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む。
【0025】
本発明の第一の実施形態による組成物に含まれる可塑剤は、熱可塑性樹脂を可塑化することが可能な可塑剤であり、特に限定されない。なお、可塑剤は、熱可塑性樹脂を膨潤又は軟化させて、熱可塑性樹脂の粘着性を発現させることができる化合物である。
【0026】
熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤としては、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジヒドロアビエチル及びフタル酸ジフェニルのようなフタル酸エステル;N−シクロへキシル−p−トルエンスルホンアミド;安息香酸スクロース、二安息香酸エチレングリコール、三安息香酸トリメチロールエタン及び四安息香酸ペンタエリトリットのような安息香酸エステル;八酢酸スクロース;イソフタル酸ジメチル;クエン酸トリシクロヘキシル;カテコールジパルミテート、カテコールジステアレート及びカテコールジベンゾエートのようなカテコール誘導体;チオビス[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]及び1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]のようなヒンダードフェノール系化合物;2−[5’−(1’’,1’’,3’’,3’’−テトラメチルブチル)−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[5’−(1’’,1’’,2’’,3’’−テトラメチルブチル)−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’,5’−ジ−(2’’,2’’−ジメチルプロピル)−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール及び2−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールのようなトリアゾール系化合物が挙げられる。熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤は、単一の化合物であってもよく、複数の化合物の組み合わせであってもよい。
【0027】
また、熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤は、好ましくは、常温(40℃以下)で固体である固体可塑剤である。熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤が、固体可塑剤である場合には、その可塑剤は、常温では熱可塑性樹脂を可塑化しないが、その可塑剤を加熱することによって、溶融する。そして、熱可塑性樹脂を膨潤又は軟化させ、熱可塑性樹脂の粘着性を発現させる。
【0028】
また、熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤が、固体可塑剤である場合には、本発明の第一の実施形態による組成物は、例えば、粉砕された固体可塑剤が、分散媒に分散する、固体可塑剤分散系であってもよい。なお、分散媒は、水を含む水系分散媒であってもよく、この場合には、本発明の第一の実施形態による組成物は、粉砕された固体可塑剤が、水系分散媒に分散する液体(固体可塑剤分散液)であってもよい。固体可塑剤を粉砕する(微粒子化する)と共に分散媒に分散するためには、湿式分散の手段を用いることができる。湿式分散の手段としては、例えば、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、ダイノミル、アトライター及びヘンチェルミキサーのような湿式分散手段が挙げられる。
【0029】
界面活性剤は、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性(ノニオン系)界面活性剤、両性界面活性剤、及びそれらの組み合わせのいずれであってもよい。ここで、組み合わせとは、任意の複数の選択肢を組み合わせることを意味する。本発明の第一の実施形態による組成物は、界面活性剤を含むので、組成物における可塑剤の分散(安定)性を向上させることができる。また、可塑剤を組成物中に分散させる際に、組成物の発泡を抑制する(組成物の消泡性を向上させる)ことができる。
【0030】
本発明の第一の実施形態による組成物においては、界面活性剤は、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む。ここで、「界面活性剤は、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む」ということは、界面活性剤が、50℃以上の曇点を有する単数又は複数種類の界面活性剤を含み、且つ、本発明の効果を損なわない程度に、50℃以上の曇点を有さない界面活性剤を含んでもよいことを意味する。なお、50℃以上の曇点を有さない界面活性剤とは、50℃未満の曇点を有する界面活性剤及び/又は曇点を有さない界面活性剤を含む。本発明の第一の実施形態による組成物においては、好ましくは、界面活性剤は、50℃以上の曇点を有する界面活性剤である。ここで、「界面活性剤は、50℃以上の曇点を有する界面活性剤である」ことは、界面活性剤が、完全に又は実質的に50℃以上の曇点を有する単数又は複数種類の界面活性剤であることを意味し、界面活性剤が、実質的に50℃以上の曇点を有する単数又は複数種類の界面活性剤であることは、界面活性剤に含まれる50℃以上の曇点を有さない界面活性剤の含有率が無視できる(不純物とみなされ得る)ことを意味する。
【0031】
次に、界面活性剤の曇点を説明する。ある濃度を備えた界面活性剤の透明な水溶液を加熱すると、界面活性剤の透明な水溶液の全体が、ある温度で急激に白濁することがある。そして、界面活性剤を含む相が、水から分離することがある。このように、ある濃度を備えた界面活性剤の透明な水溶液を加熱するとき、界面活性剤の透明な水溶液の全体が、急激に白濁する温度が、その界面活性剤の曇点である。この場合には、ある濃度を備えた界面活性剤の白濁した水溶液を冷却するとき、界面活性剤の白濁した水溶液の全体が、その温度(曇点)で急激に透明になる。
【0032】
なお、本発明の第一の実施形態による組成物においては、約0.5重量%(例えば、0.50重量%)の濃度を備えた界面活性剤の透明な水溶液を加熱するとき、界面活性剤の透明な水溶液の全体が、急激に白濁する摂氏温度の測定値、及び、その濃度を備えた界面活性剤の白濁した水溶液を冷却するとき、界面活性剤の白濁した水溶液の全体が、急激に透明になる摂氏温度の測定値の平均値を、その界面活性剤の曇点として定義する。また、本発明の第一の実施形態による組成物においては、界面活性剤の曇点は、有効数字二桁の値を有する。
【0033】
なお、界面活性剤の透明な水溶液を加熱する際の加熱速度及び界面活性剤の白濁した水溶液を冷却するときの冷却速度は、有効数字二桁の範囲で界面活性剤の曇点の値を特定することができるような測定値が得られる任意の加熱速度及び冷却速度である。例えば、界面活性剤の透明な水溶液を加熱する際の加熱速度は、1度/分の加熱速度よりも遅い加熱速度であってもよく、界面活性剤の白濁した水溶液を冷却するときの冷却速度は、1度/分の冷却速度よりも遅い冷却速度であってもよい。
【0034】
また、界面活性剤の透明な水溶液の全体は急激に白濁すると共に界面活性剤の白濁した水溶液の全体は急激に透明になるので、有効数字二桁の範囲で界面活性剤の曇点の値を得るためには、界面活性剤の透明な水溶液の全体が急激に白濁する温度及び界面活性剤の白濁した水溶液の全体が急激に透明になる温度を目視によって十分に検知することができる。
【0035】
なお、界面活性剤の水溶液に加える圧力は、大気圧(人為的に加えられない自然界の大気の圧力)である。界面活性剤の水溶液に加える圧力が、大気圧である場合には、界面活性剤の水溶液に加える圧力は、測定値に影響を及ぼさない。
【0036】
界面活性剤の曇点は、界面活性剤の水溶液を加熱する任意の加熱手段及び界面活性剤の水溶液の温度を測定することができる任意の温度測定手段を有する装置を用いて、測定される。界面活性剤の水溶液を加熱する任意の加熱手段は、好ましくは、界面活性剤の水溶液を加熱する加熱速度を制御することができる手段である。また、界面活性剤の曇点を測定する装置は、好ましくは、界面活性剤の水溶液を冷却する任意の冷却手段を有する。界面活性剤の水溶液を冷却する任意の冷却手段は、好ましくは、界面活性剤の水溶液を冷却する冷却速度を制御することができる手段である。界面活性剤の曇点を測定する装置としては、例えば、ウォーターバス及び棒温度計のような市販の測定装置を用いてもよい。
【0037】
界面活性剤は、好ましくは、非イオン性界面活性剤を含む。界面活性剤が、非イオン性界面活性剤を含む場合には、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を、比較的容易に得ることができる。さらに、非イオン性界面活性剤は、好ましくは、オキシアルキレン基を含む非イオン性界面活性剤である。オキシアルキレン基は、特に限定されないが、オキシアルキレン基は、好ましくは、オキシエチレン基である。オキシアルキレン基を含む非イオン性界面活性剤を、水に溶解させると、非イオン性界面活性剤のオキシアルキレン基が、水分子と水素結合を形成する。ここで、オキシアルキレン基を含む非イオン性界面活性剤の水溶液を加熱すると、非イオン性界面活性剤のオキシアルキレン基から水分子が、取り除かれ、オキシアルキレン基を含む非イオン性界面活性剤の溶解性が低下する。そして、オキシアルキレン基を含む非イオン性界面活性剤の水溶液の温度が、曇点を超えると、オキシアルキレン基を含む非イオン性界面活性剤が、水から分離されて、水溶液の全体が白濁する。ここで、オキシアルキレン基を含む非イオン性界面活性剤の曇点を、非イオン性界面活性剤のオキシアルキレン基の種類及び数を選択することによって、比較的容易に調整することができる。特に、非イオン性界面活性剤のオキシアルキレン基の数を増加させると、オキシアルキレン基を含む非イオン性界面活性剤の曇点を、上昇させることができる。
【0038】
50℃以上の曇点を有する界面活性剤としては、例えば、50℃以上の曇点を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル及び50℃以上の曇点を有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのような50℃以上の曇点を有するポリオキシエチレンエーテル類;50℃以上の曇点を有するポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステルのような50℃以上の曇点を有するポリオキシエチレンエステル類;50℃以上の曇点を有するグリセリン脂肪酸エステル;並びに50℃以上の曇点を有する糖脂肪酸エステルが、挙げられる。より具体的には、50℃以上の曇点を有する界面活性剤として、レオックス2008C(天然アルコール、曇点:50℃、ライオン株式会社製)、レオックス2160C(天然アルコール、曇点:60℃、ライオン株式会社製)、ライオノールTD−2007(モノオール系ブロックタイプ、曇点:55℃、ライオン株式会社製)、ライオノールTDM−90(モノオール系ブロックタイプ、曇点:59℃、ライオン株式会社製)、RK−103(ジオール、曇点:50℃、日信化学株式会社製)、RK−70(ジオール、曇点:53℃、日信化学株式会社製)及びRK−105(ジオール、曇点:58℃、日信化学株式会社製)が挙げられる。
【0039】
本発明の第一の実施形態による組成物については、熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤及び界面活性剤を含む、組成物において、該界面活性剤は、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含むので、可塑剤をより安定に分散させることが可能な組成物を提供することができる。
【0040】
本発明の第一の実施形態による組成物に可塑剤を分散させるために、可塑剤及び界面活性剤を含む組成物に、分散のための高いエネルギーを加えるが、このとき、組成物の温度が、局所的に高くなることがある。界面活性剤が、50℃未満の曇点を有する界面活性剤である場合には、組成物の温度が、50℃未満である界面活性剤の曇点を超えることがある。この場合には、界面活性剤が、局所的に相分離し、可塑剤を分散させる界面活性剤の能力が、低下することがある(可塑剤を安定に分散させることが困難になることがある)。その結果、組成物において可塑剤が凝集して、組成物の粘度を上昇する、組成物の形態をムース状に変化させる、及び/又は、可塑剤の粒子の大きさを不均一にするなどの不具合を引き起こすことがある。
【0041】
一方、本発明の第一の実施形態による組成物においては、界面活性剤が、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含むので、本発明の第一の実施形態による組成物に可塑剤を分散させるために分散のためのエネルギーを加えることによって、組成物の温度が、局所的に高くなったとしても、組成物の温度が界面活性剤の曇点を超える可能性を低減することができると考えられる。よって、界面活性剤の局所的な相分離及び可塑剤を分散させる界面活性剤の能力の低下を抑制し、可塑剤をより安定に分散させることができると考えられる。
【0042】
さらに、界面活性剤が、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含むとき、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物に含まれる可塑剤の粒子の大きさを所定の大きさにするために要求される時間を、より短いものとすることが可能となる。また、界面活性剤が、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含むとき、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物の粘度を、より低下させる(本発明の第一の実施形態による組成物の流動性をより向上させる)ことが可能となる。
【0043】
加えて、本発明の第一の実施形態による組成物が液体であって、且つ、界面活性剤が、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含むとき、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物の塗工性を向上させることが可能となる。具体的には、本発明の第一の実施形態による組成物から得られる材料におけるスジ及びハジキ及び/又は異物を低減する又は防止することが可能となる。すなわち、本発明の第一の実施形態による組成物を、支持体に、より均一に塗布することが可能となる。また、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物を、支持体に、より均一に塗布することが可能であるため、本発明の第一の実施形態による組成物から得られる材料の粘着力を向上させることが可能となる。さらに、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物を、支持体に、より均一に塗布することが可能であるため、本発明の第一の実施形態による組成物から得られる材料のブロッキングをより良好に抑制することが可能となる。加えて、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物から得られる材料に対する印刷性能を向上させることが可能となる。
【0044】
本発明の第一の実施形態である組成物において、好ましくは、前記界面活性剤の含有率は、0.025重量%以上である。ここで、界面活性剤の含有率は、本発明の第一の実施形態である組成物における全ての界面活性剤の含有率を意味する。より好ましくは、本発明の第一の実施形態である組成物において、界面活性剤の含有率は、0.050重量%以上であり、さらに好ましくは、界面活性剤の含有率は、0.100重量%以上である。
【0045】
界面活性剤の含有率が、0.025重量%以上であるときには、可塑剤をより安定に分散させることが可能な組成物を提供することができ、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物に含まれる可塑剤の粒子の大きさを、所定の大きさにするために要求される時間を、より短いものとすることが可能となる。逆に、界面活性剤の含有率が、0.025重量%未満であるときには、可塑剤を分散させる界面活性剤の能力が低下し、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物に含まれる可塑剤の粒子の大きさを、所定の大きさにするために要求される時間が、より長くなることがある。
【0046】
本発明の第一の実施形態である組成物において、好ましくは、前記界面活性剤の含有率は、0.250重量%以下である。ここで、界面活性剤の含有率は、本発明の第一の実施形態である組成物における全ての界面活性剤の含有率を意味する。より好ましくは、本発明の第一の実施形態である組成物において、界面活性剤の含有率は、0.200重量%以下である。
【0047】
界面活性剤の含有率が、0.250重量%以下であるときには、可塑剤をより安定に分散させることが可能な組成物を提供することができ、例えば、発明の第一の実施形態による組成物に可塑剤を分散させる際に、組成物における発泡を低減する又は抑制することが可能となる。逆に、界面活性剤の含有率が、0.250重量%を超えるときには、組成物における界面活性剤の含有率が高すぎるため、組成物の表面張力が低下し、組成物における発泡が、観察されることがある。
【0048】
また、本発明の第一の実施形態による組成物が液体であって、且つ、界面活性剤の含有率が、0.250重量%以下であるときには、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物から得られる材料におけるハジキをより低減する又は防止することが可能となる。また、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物から得られる材料のブロッキングをより良好に抑制することが可能となる。逆に、本発明の第一の実施形態による組成物が液体であって、且つ、界面活性剤の含有率が、0.250重量%を超えるときには、本発明の第一の実施形態による組成物から得られる材料のブロッキングが、容易に発生することもある。
【0049】
よって、本発明の第一の実施形態である組成物において、より好ましくは、前記界面活性剤の含有率は、0.025重量%以上0.250重量%以下である。ここでも、界面活性剤の含有率は、本発明の第一の実施形態である組成物における全ての界面活性剤の含有率を意味する。この場合には、可塑剤をより安定に分散させることが可能な組成物を提供することができ、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物に含まれる可塑剤の粒子の大きさを、所定の大きさにするために要求される時間をより短いものとすると共に発明の第一の実施形態による組成物に可塑剤を分散させる際に組成物における発泡を低減する又は抑制することが可能となる。さらに、本発明の第一の実施形態による組成物が液体であるときには、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物から得られる材料におけるハジキをより低減する又は防止することが可能となる。また、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物から得られる材料のブロッキングをより良好に抑制することが可能となる。
【0050】
本発明の第一の実施形態である組成物において、好ましくは、前記界面活性剤は、ジオール系界面活性剤を含む。ここで、界面活性剤は、本発明の第一の実施形態である組成物における全ての界面活性剤を意味する。また、ジオール系界面活性剤とは、複数のオキシアルキレン基を含む非イオン性界面活性剤を意味する。さらに、「界面活性剤は、ジオール系界面活性剤を含む」ということは、界面活性剤が、単数又は複数種類のジオール系界面活性剤を含み、ジオール系界面活性剤でない界面活性剤を含んでもよいことを意味する。本発明の第一の実施形態による組成物においては、好ましくは、界面活性剤は、ジオール系界面活性剤である。ここで、「界面活性剤は、ジオール系界面活性剤である」ことは、界面活性剤が、完全に又は実質的に単数又は複数種類のジオール系界面活性剤であることを意味し、界面活性剤が、実質的に単数又は複数種類のジオール系界面活性剤であることは、界面活性剤に含まれるジオール系界面活性剤でない界面活性剤の含有率が無視できる(不純物とみなされ得る)ことを意味する。
【0051】
界面活性剤が、ジオール系界面活性剤を含む場合には、例えば、ジオール系界面活性剤は、水系分散媒に可塑剤をより高い効率で分散させることができ、本発明の第一の実施形態に含まれる水系の組成物の粘度を、より低下させる(本発明の第一の実施形態に含まれる水系の組成物の流動性をより向上させる)ことが可能となる。
【0052】
また、本発明の第一の実施形態による組成物が液体であって、且つ、界面活性剤が、ジオール系界面活性剤を含む場合には、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物の塗工性を向上させることが可能となる。具体的には、本発明の第一の実施形態による組成物から得られる材料におけるスジ及びハジキ並びに異物をより低減する又は防止することが可能となる。すなわち、本発明の第一の実施形態による組成物を、支持体に、より均一に塗布することが可能となる。また、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物を、支持体に、より均一に塗布することが可能であるため、本発明の第一の実施形態による組成物から得られる材料の粘着力をより向上させることが可能となる。さらに、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物を、支持体に、より均一に塗布することが可能であるため、本発明の第一の実施形態による組成物から得られる材料のブロッキングをより良好に抑制することが可能となる。加えて、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物から得られる材料に対する印刷性能をより向上させることが可能となる。
【0053】
本発明の第一の実施形態である組成物において、好ましくは、熱可塑性樹脂をさらに含む。この場合には、本発明の第一の実施形態による組成物は、少なくとも、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤及び界面活性剤を含む。ここで、熱可塑性樹脂及び熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤は、加熱することによって粘着性を発現する感熱性粘着材料を構成することもあり、この場合には、本発明の第一の実施形態である組成物から得られる材料が感熱性粘着材料であると共に本発明の第一の実施形態である組成物が感熱性粘着材料を提供するための感熱性粘着材料塗布液であってもよい。
【0054】
本発明の第一の実施形態である組成物に用いることができる熱可塑性樹脂は、特に限定されない。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−エチレン−スチレン共重合体、並びに、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)、ポリ(アクリル酸ブチル)、ポリ(アクリロニトリル)及びポリ(メタクリル酸メチル)のような単独重合体が挙げられる。本発明の第一の実施形態である組成物に用いることができる熱可塑性樹脂は、単数種類の熱可塑性樹脂であってもよく、複数の種類の熱可塑性樹脂の組み合わせであってもよい。
【0055】
熱可塑性樹脂は、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料に粘着性又は接着性を付与するものである。
【0056】
本発明の第一の実施形態である組成物において、好ましくは、熱可塑性樹脂は、アクリル酸2−エチルヘキシルを含み、より好ましくは、熱可塑性樹脂は、アクリル酸2−エチルヘキシルを主成分とする。ここで、「熱可塑性樹脂は、アクリル酸2−エチルヘキシルを主成分とする」ことは、熱可塑性樹脂におけるアクリル酸2−エチルヘキシルの含有率が、90重量%を超えることを意味する。また、熱可塑性樹脂が、アクリル酸2−エチルヘキシルを主成分とする場合に、熱可塑性樹脂は、好ましくは、10重量%未満のアクリル酸ブチル及び/又はメタクリル酸メチルを含む。この場合には、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる感熱性粘着材料を、従来の感熱性粘着材料に対して良好な濡れ性を示さないポリオレフィンからなる材料にも、良好に粘着させることが可能となる。
【0057】
本発明の第一の実施形態である組成物は、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料の粘着性を向上させる粘着性向上剤を含んでもよい。粘着性向上剤は、粘着性向上剤を加熱することによって溶融し、溶融した粘着性向上剤は、徐々に結晶化する。このため、粘着性向上剤を含む本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料の粘着性を、本発明の第一の実施形態である組成物を加熱することを停止した後、比較的長い時間持続させることが可能となる。
【0058】
本発明の第一の実施形態である組成物に用いることができる粘着性向上剤は、特に限定されない。粘着性向上剤としては、例えば、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂及びロジン誘導体樹脂が、挙げられる。
【0059】
本発明の第一の実施形態である組成物に含まれる粘着性向上剤の含有量は、例えば、本発明の第一の実施形態である組成物における熱可塑性樹脂の含有量の200重量%以下である。この場合には、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料におけるブロッキングの発生率を、低減することが可能となる。より好ましくは、粘着性向上剤の含有量は、熱可塑性樹脂の含有量の20重量%以上150重量%以下である。逆に、本発明の第一の実施形態である組成物に含まれる粘着性向上剤の含有量が、本発明の第一の実施形態である組成物における熱可塑性樹脂の含有量の200重量%を超える場合には、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料におけるブロッキングの発生率が、増加することがある。
【0060】
本発明の第一の実施形態である組成物は、可塑剤の過冷却性を促進させる過冷却性促進剤を含んでもよい。この場合には、低温環境下における、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料の粘着性を向上させることが可能となる。
【0061】
本発明の第一の実施形態である組成物に用いることができる過冷却性促進剤としては、2−ベンジルオキシナフタレンのようなナフトール誘導体;メタターフェニル、アセチルビフェニル、p−ベンジルビフェニル及び4−アリルオキシビフェニルのようなビフェニル誘導体;1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2’−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル及びビス(4−メトキシフェニル)エーテルのようなポリエーテル化合物;炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)エステル及びシュウ酸ジ(p−メチルベンジル)エステルのような炭酸又はシュウ酸のジエステルが、挙げられる。
【0062】
過冷却性促進剤は、好ましくは、シュウ酸ジベンジル誘導体及び/又はビフェニル誘導体を含む。過冷却性促進剤は、好ましくは、シュウ酸ジベンジル誘導体及び/又はビフェニル誘導体を含む場合には、可塑剤の過冷却性をより良好に維持すると共に本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料におけるブロッキングの発生率を、低減することができることがある。過冷却性促進剤は、より好ましくは、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)エステル、アセチルビフェニルからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を含む。
【0063】
本発明の第一の実施形態である組成物に含まれる過冷却性促進剤の含有量は、例えば、本発明の第一の実施形態である組成物における可塑剤の含有量の10重量%以上70重量%以下である。過冷却性促進剤の含有量が、可塑剤の含有量の10重量%以上70重量%以下である場合には、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料におけるブロッキングの発生率を低減すると共に低温環境下における、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料の粘着性を増加させることが可能となる。より好ましくは、過冷却性促進剤の含有量は、可塑剤の含有量の25重量%以上35重量%以下である。逆に、本発明の第一の実施形態である組成物に含まれる粘着性向上剤の含有量が、本発明の第一の実施形態である組成物における熱可塑性樹脂の含有量の10重量%未満である場合には、低温環境下における、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料の粘着性が、低下することがある。一方、本発明の第一の実施形態である組成物に含まれる粘着性向上剤の含有量が、本発明の第一の実施形態である組成物における熱可塑性樹脂の含有量の70重量%を超える場合には、低温環境下及び高温環境下の両方において、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料の粘着性が、低下することがある。
【0064】
本発明の第一の実施形態である組成物は、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料のブロッキングを低減又は防止する耐ブロッキング材料を含んでもよい。本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料のブロッキングを低減又は防止する耐ブロッキング材料は、特に限定されないが、例えば、熱溶融性材料及び無機フィラーが、挙げられる。
【0065】
熱溶融性材料としては、例えば、ワックス類、高級脂肪酸、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド以外の高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸アニリド及び芳香族アミンのアセチル化物が挙げられる。ワックス類としては、例えば、パラフィンワックス、木ろう、カルナウバろう、シェラック、モンタンろう、酸化パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンのような、動植物性ワックス及び合成ワックスが挙げられる。高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸及びベヘン酸が挙げられる。高級脂肪酸アミドとしては、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、及びエチレンビスステアリン酸アミドが挙げられる。高級脂肪酸アニリドとしては、例えば、ステアリン酸アニリド及びリノール酸アニリドが挙げられる。芳香族アミンのアセチル化物としては、例えば、アセトトルイジドが挙げられる。また、熱溶融性材料として、感熱記録材料に用いられるロイコ染料及び顕色剤も挙げられる。熱溶融性材料は、好ましくは、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料の粘着力に対する影響を低減するために、高い融点を有する熱溶融性材料である。
【0066】
無機フィラーとしては、例えば、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、バリウム及びチタンのような金属の炭酸塩、酸化物、水酸化物及び硫酸塩、並びに、天然シリカ、ゼオライト、カリオン及び焼成カリオンのような粘土類を含む無機系顔料が挙げられる。無機フィラーは、好ましくは、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料の粘着力に対する影響を低減するために、低い吸油量を有する無機フィラーである。
【0067】
本発明の第一の実施形態である組成物に含まれる耐ブロッキング材料の含有量は、例えば、本発明の第一の実施形態である組成物における熱可塑性樹脂の含有量の150重量%以下である。耐ブロッキング材料の含有量が、熱可塑性樹脂の含有量の150重量%以下である場合には、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料の粘着性の低減を抑制することが可能となる。より好ましくは、耐ブロッキング材料の含有量は、熱可塑樹脂の含有量の60重量%以上100重量%以下である。逆に、本発明の第一の実施形態である組成物に含まれる耐ブロッキング材料の含有量が、本発明の第一の実施形態である組成物における熱可塑性樹脂の含有量の150重量%を超える場合には、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料の粘着性が、低減することがある。
【0068】
本発明の第一の実施形態である組成物は、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料と本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料を支持する支持体との間の接着性を向上させる及び/又は本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料内の凝集力を向上させるために、バインダー樹脂などを含んでもよい。本発明の第一の実施形態である組成物が、水系の組成物である場合には、組成物は、水系バインダー樹脂を含んでもよい。水系バインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉;カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、アルギン酸ソーダが、挙げられる。本発明の第一の実施形態である組成物における(水系)バインダー樹脂の含有量は、本発明の第一の実施形態である組成物を用いて得られる材料の粘着性を損なわないような含有量である。具体的には、例えば、本発明の第一の実施形態である組成物における(水系)バインダー樹脂の含有量は、本発明の第一の実施形態である組成物に含まれる固形分に対して30重量%以下であり、より好ましくは、10重量%以下である。
【0069】
本発明の第一の実施形態である組成物は、必要に応じて、硬膜剤、防腐剤、染料、染料に対する顕色剤、pH調節剤及び消泡剤のような添加剤を含んでもよい。
【0070】
[組成物の製造方法]
本発明の第二の実施形態は、熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤及び界面活性剤を含む組成物を製造する、組成物の製造方法であって、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を用いる。言い換えれば、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法は、本発明の第一の実施形態である組成物を製造する製造方法である。このため、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法には、上述したような本発明の第一の実施形態である組成物を適用することができる。
【0071】
例えば、本発明の第二の実施形態によれば、熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤及び界面活性剤を含む組成物を製造する、組成物の製造方法において、上述したような本発明の第一の実施形態である組成物と同様に、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を用いることによって、上述したような本発明の第一の実施形態である組成物を製造することができるので、可塑剤をより安定に分散させることが可能な組成物の製造方法を提供することができる。
【0072】
本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法において、好ましくは、少なくとも該可塑剤及び該界面活性剤を、1,500回転/分以上の回転速度で混合することを含む。本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法において、より好ましくは、少なくとも該可塑剤及び該界面活性剤を、2,000回転/分以上の回転速度で混合することを含み、さらに好ましくは、少なくとも該可塑剤及び該界面活性剤を、2,500回転/分以上の回転速度で混合することを含む。
【0073】
本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法が、少なくとも可塑剤及び界面活性剤を、1,500回転/分以上の回転速度で混合することを含む場合には、例えば、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法によって製造される組成物において、可塑剤をより高度に分散させることができるため、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法によって製造される組成物に含まれる可塑剤の粒子の大きさを所定の大きさにするために要求される時間を、より短いものとすることが可能となる。
【0074】
本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法において、好ましくは、少なくとも該可塑剤及び該界面活性剤の一部を混合して混合物を得るステップ、並びに、該混合物に該界面活性剤の残部を混合して該組成物を得るステップを含む。
【0075】
本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法が、少なくとも可塑剤及び該界面活性剤の一部を混合して混合物を得るステップ、並びに、混合物に界面活性剤の残部を混合して組成物を得るステップを含む場合には、可塑剤をより安定に分散させることが可能となる。
【0076】
その結果、例えば、本発明の第二の実施形態による組成物の製造方法によって製造される組成物に含まれる可塑剤の粒子の大きさを所定の大きさにするために要求される時間を、より短いものとすることが可能となる。また、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法が、少なくとも可塑剤及び界面活性剤の一部を混合して混合物を得るステップ、並びに、混合物に界面活性剤の残部を混合して組成物を得るステップを含む場合には、例えば、本発明の第一の実施形態による組成物の粘度を、より低下させる(本発明の第一の実施形態による組成物の流動性をより向上させる)ことが可能となる。
【0077】
また、本発明の第二の実施形態による組成物の製造方法によって製造される組成物が液体であって、且つ、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法が、少なくとも可塑剤及び界面活性剤の一部を混合して混合物を得るステップ、並びに、混合物に界面活性剤の残部を混合して組成物を得るステップを含む場合には、例えば、本発明の第二の実施形態による組成物の製造方法によって製造される組成物から得られる材料の粘着力を向上させることが可能となる。さらに、例えば、本発明の第二の実施形態による組成物の製造方法によって製造される組成物から得られる材料に対する印刷性能を向上させることが可能となる。
【0078】
なお、本発明の第二の実施形態による組成物の製造方法によって製造される組成物に含まれる可塑剤の粒子の大きさを所定の大きさにするために要求される時間を短縮するために分散のエネルギーを増加させる方法としては、組成物の原材料の混合物に添加される、ガラスビーズ及びジルコニアビーズのような分散メディアの量を増加させる方法、組成物の原材料の混合物に加えられる分散の剪断力を増加させる方法、及び、容器における組成物の原材料の混合物の滞留時間を増加する方法が、考えられるが、これらの方法のいずれもが、しばしば、高い分散エネルギーを発生させるため、可塑剤及び界面活性剤に付与される熱量は、増加することになる。そして、可塑剤及び界面活性剤を含む組成物の温度が、界面活性剤の曇点よりも高い場合には、界面活性剤の局所的な相分離及び可塑剤を分散させる界面活性剤の能力の低下が起こり、可塑剤をより安定に分散させることが困難であることがある。
【0079】
これに対して、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法においては、少なくとも可塑剤及び該界面活性剤の一部を混合して混合物を得るステップ、並びに、混合物に界面活性剤の残部を混合して組成物を得るステップを含むことによって、可塑剤をより安定に分散させると共に、本発明の第二の実施形態による組成物の製造方法によって製造される組成物に含まれる可塑剤の粒子の大きさを所定の大きさにするために要求される時間を、より短いものとすることが可能となる。
【0080】
本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法において、少なくとも可塑剤及び該界面活性剤の一部を混合して混合物を得るステップ、並びに、混合物に界面活性剤の残部を混合して組成物を得るステップの両方において混合される界面活性剤の総量に対する、可塑剤及び該界面活性剤の一部を混合して混合物を得るステップにおいて混合される界面活性剤の一部の量の比は、好ましくは、30重量%以上70重量%以下であり、より好ましくは、40重量%以上60重量%以下である。
【0081】
なお、可塑剤が、固体可塑剤である場合には、混合物に界面活性剤の残部を混合して組成物を得るステップにおいて混合される界面活性剤の残部は、少なくとも可塑剤及び該界面活性剤の一部を混合して混合物を得るステップにおいて得られる混合物、すなわち、固体可塑剤がある程度分散した混合物に添加されることもある。よって、混合物に界面活性剤の残部を混合して組成物を得るステップにおいて混合される界面活性剤の残部は、好ましくは、ある程度微粉砕された固体可塑剤が分散する分散液として、添加される。この場合、ある程度微粉砕された固体可塑剤は、例えば、5.00μm以下のメジアン粒子径を有する固体可塑剤であり、より好ましくは、2.00μm以上3.50μm以下のメジアン粒子径を有する固体可塑剤である。なお、固体可塑剤のメジアン粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置である株式会社堀場製作所製の堀場LA−920を用いて、堀場LA−920に添付されたマニュアルである堀場LA−920粒径測定手順に従って、測定される。なお、堀場LA−920による固体可塑剤のメジアン粒子径の測定条件については、固体可塑剤を分散させるための分散媒は、水であり、常温(20℃±15℃、例えば20℃)で、固体可塑剤を水に分散させることによって、水における固体可塑剤の分散系を得る。ここで、水に対する固体可塑剤の濃度は、水における固体可塑剤の分散系を透過する光の透過率が、80%以上95%以下(例えば、90.0%)であるような濃度である。さらに、堀場LA−920において、得られた分散系へ超音波を、目盛5の超音波の強度で30秒間照射し、その分散系における固体可塑剤の粒子の体積分布のメジアン値を、固体可塑剤のメジアン粒子径とする。
【0082】
また、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法において、好ましくは、本発明の第一の実施形態である組成物と同様にして、0.025重量%以上の前記界面活性剤を前記組成物に含有させる。また、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法において、好ましくは、本発明の第一の実施形態である組成物と同様にして、0.250重量%以下の前記界面活性剤を前記組成物に含有させる。より好ましくは、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法において、本発明の第一の実施形態である組成物と同様にして、0.025重量%以上0.250重量%以下の前記界面活性剤を前記組成物に含有させる。なお、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法が、少なくとも該可塑剤及び該界面活性剤の一部を混合して混合物を得るステップ、並びに、該混合物に該界面活性剤の残部を混合して該組成物を得るステップを含む場合には、上記の界面活性剤の含有率は、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法によって製造された組成物に最終的に含まれる界面活性剤(各ステップにおいて混合された界面活性剤の総和)の含有率である。
【0083】
さらに、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法において、好ましくは、本発明の第一の実施形態である組成物と同様にして、ジオール系界面活性剤を用いる。加えて、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法において、好ましくは、本発明の第一の実施形態である組成物と同様にして、前記組成物に熱可塑性樹脂を含有させることを含む。なお、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法においても、本発明の第一の実施形態である組成物と同様にして、本発明の第一の実施形態である組成物に添加することができる、粘着性向上剤などのような様々な添加剤の少なくとも一つをさらに含有させてもよい。
【0084】
本発明の第三の実施形態は、本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法によって製造される組成物である。
【0085】
本発明の第三の実施形態によれば、本発明の第三の実施形態である組成物が、上述したような本発明の第二の実施形態である組成物の製造方法によって製造されるので、可塑剤をより安定に分散させることが可能な組成物を提供することができる。
【0086】
[感熱性粘着材料]
本発明の第四の実施形態は、加熱することによって粘着性を発現する、感熱性粘着材料であって、熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む層を有する。
【0087】
ここで、熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有する界面活性剤は、本発明の第一の実施形態である組成物について説明したものと同様のものである。また、本発明の第四の実施形態による感熱性粘着材料において、熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む層は、本発明の第一の実施形態である組成物に添加することができる、粘着性向上剤などのような様々な添加剤の少なくとも一つをさらに含んでもよい。
【0088】
本発明の第四の実施形態である感熱性粘着材料において、好ましくは、本発明の第一の実施形態である組成物について説明したものと同様に、前記界面活性剤は、ジオール系界面活性剤である。
【0089】
また、本発明の第四の実施形態による感熱性粘着材料は、通常、熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む層を支持する支持体を有する。
【0090】
本発明の第五の実施形態は、加熱することによって粘着性を発現する、感熱性粘着材料であって、熱可塑性樹脂をさらに含む本発明の第一の実施形態である組成物又は本発明の第三の実施形態である組成物を乾燥させることによって得られる層を含む。
【0091】
本発明の第五の実施形態による感熱性粘着材料において、熱可塑性樹脂をさらに含む本発明の第一の実施形態である組成物又は本発明の第三の実施形態である組成物を乾燥させることによって得られる層は、本発明の第一の実施形態である組成物に添加することができる、粘着性向上剤などのような様々な添加剤の少なくとも一つをさらに含んでもよい。
【0092】
また、本発明の第五の実施形態による感熱性粘着材料は、通常、本発明の第四の実施形態による感熱性粘着材料についても説明したような、熱可塑性樹脂をさらに含む本発明の第一の実施形態である組成物又は本発明の第三の実施形態である組成物を乾燥させることによって得られる層を支持する支持体を含む。
【0093】
本発明の第五の実施形態による感熱性粘着材料において、熱可塑性樹脂をさらに含む本発明の第一の実施形態である組成物又は本発明の第三の実施形態である組成物が、液体である場合には、このような組成物は、支持体に塗布される。このような組成物を支持体に塗布する塗工方法としては、例えば、ブレード塗工法、グラビア塗工法、グラビアオフセット塗工法、バー塗工法、ロール塗工法、ナイフ塗工法、エアナイフ塗工法、コンマ塗工法、Uコンマ塗工法、AKKU塗工法、スムージング塗工法、マイクログラビア塗工法、リバースロール塗工法、4本又は5本ロール塗工法、ディップ塗工法、落下カーテン塗工法、スライド塗工法及びダイ塗工法が、挙げられる。
【0094】
また、本発明の第五の実施形態による感熱性粘着材料において、熱可塑性樹脂をさらに含む本発明の第一の実施形態である組成物又は本発明の第三の実施形態である組成物を乾燥させる乾燥手段及び乾燥方法は、好ましくは、熱風を用いる乾燥手段及び乾燥方法である。熱風を用いる乾燥手段及び乾燥方法を用いる場合には、より短い時間で乾燥させることが可能となる。好ましくは、熱風の温度は、熱可塑性樹脂をさらに含む本発明の第一の実施形態である組成物又は本発明の第三の実施形態である組成物が塗布された支持体の表面の温度が、70℃以下であるように、調整される。この場合には、乾燥時における、熱可塑性樹脂をさらに含む本発明の第一の実施形態である組成物又は本発明の第三の実施形態である組成物を乾燥させることによって得られる層の表面の粘着性を、抑制又は防止することが可能となる。
【0095】
本発明の第四の実施形態による感熱性粘着材料又は本発明の第五の実施形態による感熱性粘着材料において、熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む層を支持する支持体又は熱可塑性樹脂をさらに含む本発明の第一の実施形態である組成物又は本発明の第三の実施形態である組成物を乾燥させることによって得られる層を支持する支持体は、例えば、木材パルプ及び填料を含む原紙であってもよい。原紙は、(原紙における木材パルプ及び填料の全体の含有率が90重量%以上である)木材パルプ及び填料を主成分とする原紙であってもよい。また、長網抄紙機、円網抄紙機及びツインワイヤ抄紙機のような装置を用いて、支持体としての原紙を製造することが可能である。さらに、支持体としての原紙を、酸性、中性又はアルカリ性の条件下で抄造することが可能である。加えて、金属ロール及び合成樹脂ロールを有するカレンダー装置を使用して、原紙にオンマシン処理を施してもよい。その際に、原紙にオフマシン処理を施してもよく、その処理後に、マシンカレンダー及びスーパーカレンダーのような装置を使用して、原紙にカレンダー処理を施して、原紙の平坦性を調整してもよい。
【0096】
原紙の原材料としての木材パルプとしては、例えば、LBKP及びNBKPのような化学パルプ;GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP及びCGPのような機械パルプ;DIPのような古紙パルプのようなパルプが、挙げられる。必要に応じて、原紙に、公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤及び紙力増強剤からなる群より選択される少なくとも一種類の添加剤を混合してもよい。
【0097】
原紙に含まれる填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム及び水酸化マグネシウムのような白色無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂及びメラミン樹脂のような有機顔料が、挙げられる。
【0098】
本発明の第四の実施形態による感熱性粘着材料において、支持体に支持される、熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む層の面密度は、好ましくは、5g/m以上30g/m以下であり、より好ましくは、7g/m以上15g/m以下である。同様に、本発明の第五の実施形態による感熱性粘着材料において、支持体に支持される、熱可塑性樹脂をさらに含む本発明の第一の実施形態である組成物又は本発明の第三の実施形態である組成物を乾燥させることによって得られる層の面密度は、好ましくは、5g/m以上30g/m以下であり、より好ましくは、7g/m以上15g/m以下である。
【0099】
本発明の第四の実施形態による感熱性粘着材料は、好ましくは、支持体と、熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む層との間に、熱可塑性樹脂及び中空粒子を含む下地層を含む。同様に、本発明の第五の実施形態による感熱性粘着材料は、支持体と、熱可塑性樹脂をさらに含む本発明の第一の実施形態である組成物又は本発明の第三の実施形態である組成物を乾燥させることによって得られる層との間に、熱可塑性樹脂及び中空粒子を含む下地層を含む。下地層は、好ましくは、熱可塑性樹脂及び中空粒子を主成分とする(下地層における熱可塑性樹脂及び中空粒子の総和の含有率が90重量%以上である)。
【0100】
本発明の第四の実施形態による感熱性粘着材料又は本発明の第五の実施形態による感熱性粘着材料が、下地層を含む場合には、熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む層又は熱可塑性樹脂をさらに含む本発明の第一の実施形態である組成物又は本発明の第三の実施形態である組成物を乾燥させることによって得られる層に加えられた熱を支持体へ伝導することを、下地層によって抑制することが可能である。すなわち、感熱性粘着材料に加えられた熱を、熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む層又は熱可塑性樹脂をさらに含む本発明の第一の実施形態である組成物又は本発明の第三の実施形態である組成物を乾燥させることによって得られる層の粘着性の発現に、より有効に利用することができる。よって、熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む層又は熱可塑性樹脂をさらに含む本発明の第一の実施形態である組成物又は本発明の第三の実施形態である組成物を乾燥させることによって得られる層の粘着性を、より向上させることが可能となる。
【0101】
下地層に含まれる熱可塑性樹脂は、下地層に中空粒子を定着させるための樹脂であり、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースのようなセルロース誘導体;カゼイン及びゼラチンのようなタンパク質;酸化澱粉及びエステル化合物澱粉のような澱粉類を包含する水性天然高分子化合物;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸三元共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリアクリルアミド及びスチレン−無水マレイン酸共重合体のような水溶性合成高分子化合物;エチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩のような水溶性接着樹脂;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなラテックス類が挙げられる。下地層に含まれる熱可塑性樹脂は、好ましくは、アクリル酸2−エチルヘキシルであり、この場合には、下地層の粘着力を向上させることが可能である。
【0102】
下地層に含まれる中空粒子としては、例えば、アクリル系ポリマー及び塩化ビニリデン系ポリマーのような高分子化合物からなる中空粒子が、挙げられる。
【0103】
本発明の第四の実施形態による感熱性粘着材料及び本発明の第五の実施形態による感熱性粘着材料の形態は、特に限定されないが、ロールの形状であってもよい。感熱性粘着材料の形態が、ロールの形状である場合には、プリンターなどに、感熱性粘着材料を、より容易に装着することが可能となる。また、ロールの形状を有する感熱性粘着材料は、ロール断面の中央を貫通する心材を有してもよく、有さなくてもよい。ただし、感熱性粘着材料が、完全に使用されたとき、心材は、廃棄されることになるため、感熱性粘着材料は、ロール断面の中央を貫通する心材を有さないことが、好ましい。
【0104】
本発明の第四の実施形態による感熱性粘着材料及び本発明の第五の実施形態による感熱性粘着材料は、感熱性粘着材料を加熱することによって、感熱性粘着材料の粘着性を発現する。
【0105】
ここで、本発明の第四の実施形態による感熱性粘着材料及び本発明の第五の実施形態による感熱性粘着材料の粘着性を発現する(以下、感熱性粘着材料の活性化と呼ぶことがある)方式としては、熱風活性化方式、熱ロール活性化方式及びサーマルヘッド活性化方式が、挙げられる。しかしながら、感熱性粘着材料の活性化における省電力化、感熱性粘着材料の活性化用の装置の小型化、及び、感熱性粘着材料の活性化における安全性の観点から、サーマルヘッドを用いる活性化方式が、好ましい。サーマルヘッドを用いる活性化方法としては、例えば、特開平11−65451公報、特開平11−79152公報、特開2001−88329公報、特開2001−88814公報、特開2003−316265公報及び特開2004−10710公報に開示される活性化方式が、挙げられる。
【0106】
本発明の第四の実施形態又は本発明の第五の実施形態によれば、より良好な粘着性を有することが可能な感熱性粘着材料を提供することができる。例えば、本発明の第四の実施形態及び本発明の第五の実施形態によれば、常温では粘着性を全く又は実質的に発現しないが、加熱することによって粘着性を発現する、且つ、剥離部材を必要としない感熱性粘着材料を提供することが可能となる。
【0107】
[情報記録材料]
本発明の第六の実施形態は、情報を記録することが可能な情報記録材料であって、本発明の第四の実施形態である感熱性粘着材料又は本発明の第五の実施形態である感熱性粘着材料を含む。
【0108】
情報を記録することが可能な情報記録材料の種類、形態及び用途は、特に限定されないが、情報を記録することが可能な情報記録材料としては、例えば、価格表示用ラベル、商品表示(バーコード)用ラベル、品質表示用ラベル、計量表示用ラベル、及び、広告宣伝用ラベル(ステッカー)のようなラベル用粘着シートが挙げられる。
【0109】
本発明の第六の実施形態によれば、本発明の第四の実施形態である感熱性粘着材料又は本発明の第五の実施形態である感熱性粘着材料を含むので、より良好な粘着性を有することが可能な情報記録材料を提供することができる。例えば、本発明の第六の実施形態によれば、常温では粘着性を全く又は実質的に発現しないが、加熱することによって粘着性を発現する、且つ、剥離部材を必要としない情報記録材料を提供することができる。
【0110】
例えば、従来のラベル用粘着シートが、情報記録面、粘着剤層、及び剥離紙の積層体を有し、ラベル用粘着シートを貼る際に剥離紙を除去すると共に粘着剤層を加圧するものであるのに対して、常温では粘着性を発現しないが、加熱することによって粘着性を発現する、且つ、剥離紙を必要としないラベル用粘着シートを提供することができる。よって、回収すること及び再利用することが困難であると共にほとんどの場合に廃棄されてきた剥離紙を使用しないラベル用粘着シートを提供することができる。
【0111】
情報を記録することが可能な情報記録材料に情報を記録する情報記録方式は、特に限定されないが、情報記録材料に情報を記録する情報記録方式としては、例えば、インクジェット記録方式、感熱記録方式、及び、感圧記録方式が挙げられる。
【0112】
本発明の第六の実施形態である情報記録材料において、好ましくは、加熱することにより情報を記録することが可能な感熱記録材料をさらに含む。この場合には、情報記録材料は、感熱性粘着材料及び感熱記録材料の両方を含む。例えば、支持体の一方の側に感熱性粘着材料を有すると共に支持体の他方の側に感熱記録材料を有する情報記録材料を提供することがきる。
【0113】
感熱記録材料は、一般に感熱記録紙又は感圧記録紙に用いられているような、ロイコ染料及び顕色剤を含む。ロイコ染料及び顕色剤は、特に制限されない。
【0114】
塩基性ロイコ染料としては、例えば、フルオラン系化合物、トリアリールメタン系化合物、スピロ系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、ラクタム系化合物及びフルオレン系化合物が挙げられる。塩基性ロイコ染料は、550nmから1000nmの波長範囲に少なくとも一つ以上の極大吸収を備えた吸収スペクトルを示すことが、好ましい。
【0115】
フルオラン系化合物としては、例えば、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソブチル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−[N−エチル−N−(3−エトキシプロピル)アミノ]−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−フルオロアニリノ)フルオラン、3−(p−トルイジノエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−エトキシエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン及び3−(p−トルイジノエチルアミノ)−6−メチル−7−フェネチルフルオランが、挙げられる。
【0116】
トリアリールメタン系化合物としては、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン又はCVL)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルアミノインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド及び3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリドが、挙げられる。
【0117】
スピロ系化合物としては、例えば、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3’−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン及び1,3,3−トリメチル−6−ニトロ−8’−メトキシスピロ(インドリン−2,2’−ベンゾピラン)が、挙げられる。
【0118】
ジフェニルメタン系化合物としては、例えば、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン(ハロは、クロロ、ブロモ又はヨードを表す)、4,4−ビス−ジメチルアミノフェニルベンズヒドリルベンジルエーテル及びN−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンが、挙げられる。
【0119】
チアジン系化合物としては、例えば、ベンゾイルロイコメチレンブルー及びp−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーが、挙げられる。
【0120】
ラクタム系化合物としては、例えば、ローダミンBアニリノラクタム及びローダミンB−p−クロロアニリノラクタムが、挙げられる。
【0121】
フルオレン系化合物としては、例えば、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ピロリジノフタリド及び3−ジメチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオレンスピロ(9,3’)−6’−ピロリジノフタリドが、挙げられる。
【0122】
また、カラー塩基性ロイコ染料として、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[α]フルオラン、3−ジブチルアミノ−ベンゾ[α]フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミルアミノ−ベンゾ[α]フルオラン、3−N−エチル−N−p−メチルフェニルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3,6−ビス(ジエチルアミノフルオラン)−γ−(4’−ニトロ)アニリノラクタム、ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドリル−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドリル−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−メチル−2−メチルインドリル−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドリル−3−イル)フタリド、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,7−ビス(4−ジメチルアミノ)−10−ベンゾリルフェノチアジン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−6−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−ジエチルアミノ−7−ジアニリノフルオラン、3−N−エチル−N−4−メチルフェニルアミノ−7−N−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−N−ジベンジルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジブトキシフルオラン、3’−メトキシ−4’−ラノキシフェニル−2−シトリルキノリン及び2’,4’−ジオクトキシフェニル−2−シトリルキノリンが、挙げられる。
【0123】
顕色剤としては、例えば、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、α−ナフトール、β−ナフトール、p−オクチルフェノール、4−t−オクチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA又はBPA)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−チオビスフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2’−(2,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−ブトキシジフェニルスルホン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、2,4−ジヒドロキシ−2’−メトキシベンズアニリド等のフェノール性化合物、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシフタル酸ジベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、5−ヒドロキシイソフタル酸エチル、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸及び3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸のような芳香族カルボン酸誘導体、芳香族カルボン酸及びそれらの金属塩が、挙げられる。
【0124】
感熱記録材料は、バインダー樹脂を含んでもよい。感熱記録材料に含まれるバインダー樹脂としては、下地層に含まれる熱可塑性樹脂と同様の樹脂が挙げられる。
【0125】
感熱記録材料は、加熱することによる情報の記録の感度を向上させるための増感剤を含んでもよい。増感剤としては、例えば、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド及びパルミチン酸アミドのようなワックス類;2−ベンジルオキシナフタレンのようなナフトール誘導体;アセチルビフェニル、p−ベンジルビフェニル及び4−アリルオキシビフェニルのようなビフェニル誘導体;1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2’−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル及びビス(4−メトキシフェニル)エーテルのようなポリエーテル化合物;炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル及びシュウ酸ジ(p−クロロベンジル)エステルのような炭酸ジエステル誘導体及びシュウ酸ジエステル誘導体が、挙げられる。
【0126】
本発明の第六の実施形態である情報記録材料において、好ましくは、インクを受容することにより情報を記録することが可能な層をさらに含む。この場合には、情報記録材料は、感熱性粘着材料及びインクを受容することにより情報を記録することが可能な層の両方を含む。例えば、支持体の一方の側に感熱性粘着材料を有すると共に支持体の他方の側にインクを受容することにより情報を記録することが可能な層を有する情報記録材料を提供することがきる。
【0127】
インクを受容することにより情報を記録することが可能な層は、好ましくは、インクを良好に吸収するための吸油性を備えた無機顔料を含む。吸油性を備えた無機顔料としては、例えば、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム及び尿素−ホルマリン樹脂が、挙げられる。
【0128】
なお、インクを受容することにより情報を記録することが可能な層は、バインダー樹脂を含んでもよい。インクを受容することにより情報を記録することが可能な層に含まれるバインダー樹脂としては、下地層に含まれる熱可塑性樹脂と同様の樹脂が挙げられる。
【0129】
本発明の第六の実施形態である情報記録材料が、インクを受容することにより情報を記録することが可能な層(インク受容層)を含む場合には、例えば、UVインクを使用して得られるインク画像の情報を、インク受容層に記録し、感熱性粘着材料を加熱することによって、情報記録材料を貼り付けることができる。この場合には、例えば、UV光によって感知できる情報が記録された情報伝達ラベルを提供することができる。また、感熱性粘着材料が、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を用いて形成されているので、可塑剤が、感熱性粘着材料により均一に分散されることになる。その結果、UVインクをインク受容層に付与する際の支持体からの感熱性粘着材料の剥離(ピッキング現象)を抑制又は防止することが可能となる。このようにして、インク受容層に高精細なインク画像を提供することが可能となる。
【0130】
UVインクとしては、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製のダイキュア セプター シリーズ、ダイキュア RT シリーズ、ダイキュア SSD シリーズ、ダイキュアクリヤーUV シリーズ、ダイキュアクリヤーYW シリーズ及びダイキュアクリヤーHP シリーズ;東洋インキ製造株式会社製のFDフレキソシリーズ、FDカルトンシリーズ、FDフォームシリーズ及びFDSシリーズ;並びに株式会社ティーアンドケイ東華製のUV 161、UV VNL、UV STP、UV RNC、UV NVR、UV SD及びUV 171が、挙げられる。
【0131】
図1は、本発明の第一又は第三の実施形態による組成物の例を概略的に説明する図である。図1に示すように、本発明の第一又は第三の実施形態による組成物としての感熱性粘着材料塗布液10は、熱可塑性樹脂11、固体可塑剤12、界面活性剤13、粘着性向上剤14、及び水系分散媒15を含む。固体可塑剤12は、熱可塑性樹脂11を可塑化することができる微粒子である。界面活性剤13は、熱可塑性樹脂11、固体可塑剤12、及び粘着性向上剤14などを、水系分散媒15に分散させる。ここで、感熱性粘着材料塗布液10においては、界面活性剤13は、50℃以上の曇点を有するジオール系の非イオン性界面活性剤である。そして、感熱性粘着材料塗布液10における界面活性剤13の含有率は、0.025重量%以上0.250重量%以下である。なお、感熱性粘着材料塗布液10は、必要に応じて、過冷却性促進剤、耐ブロッキング材料などを含んでもよい。
【0132】
図2Aは、本発明の第二の実施形態による組成物の製造方法の第一の例及び本発明の第四又は第五の実施形態による感熱性粘着材料の製造方法の第一の例を概略的に説明する図である。
【0133】
図2Aに示すように、本発明の第二の実施形態による組成物の製造方法の第一の例は、ステップS2A−1及びS2A−2からなる。ステップS2A−1において、熱可塑性樹脂、固体可塑剤、界面活性剤、粘着性向上剤などを水系分散媒に投入する。ステップS2A−1において、界面活性剤は、50℃以上の曇点を有するジオール系の非イオン性界面活性剤であり、得られた感熱性粘着材料塗布液における界面活性剤の含有率が、0.025重量%以上0.250重量%以下であるように、界面活性剤の量が調整される。ステップS2A−2において、得られた液体を攪拌して、感熱性粘着剤塗布液を得る。ステップS2A−2において、熱可塑性樹脂、固体可塑剤、界面活性剤、粘着性向上剤などを、1,500回転/分以上の回転速度で攪拌し混合する。ステップS2A−2において、得られた感熱性粘着材料塗布液においては、熱可塑性樹脂、固体可塑剤、及び粘着性向上剤などが、水系分散媒に分散している。
【0134】
図2Aに示すように、本発明の第四又は第五の実施形態による感熱性粘着材料の製造方法の第一の例は、ステップS2A−3及びステップS2A−4からなる。ステップS2A−3において、得られた感熱性粘着材料塗布液を、感熱性粘着材料の支持体へ塗布する。ステップS2A−4において、支持体に塗布された感熱性粘着材料塗布液を乾燥させて、感熱性粘着材料を得る。
【0135】
図2Bは、本発明の第二の実施形態による組成物の製造方法の第二の例及び本発明の第四又は第五の実施形態による感熱性粘着材料の製造方法の第二の例を概略的に説明する図である。
【0136】
図2Bに示すように、本発明の第二の実施形態による組成物の製造方法の第二の例は、ステップS2B−1〜S2B−4からなる。ステップS2B−1において、熱可塑性樹脂、固体可塑剤、界面活性剤の一部、粘着性向上剤などを水系分散媒に投入する。ステップS2B−1において、界面活性剤は、50℃以上の曇点を有するジオール系の非イオン性界面活性剤である。次に、ステップ2B−2において、得られた液体を攪拌して、感熱性粘着剤塗布液の中間液を得る。次に、ステップS2B−3において、得られた感熱性粘着剤塗布液の中間液に界面活性剤の残部を投入する。ここで、得られる感熱性粘着材料塗布液における界面活性剤の含有率が、0.025重量%以上0.250重量%以下であるように、ステップS2B−1及びステップS2B−3において投入される界面活性剤の量が調整される。次に、ステップS2B−4において、得られた液体を攪拌して、感熱性粘着剤塗布液を得る。ステップS2B−4において、得られた感熱性粘着材料塗布液においては、熱可塑性樹脂、固体可塑剤、及び粘着性向上剤などが、水系分散媒に分散している。
【0137】
図2Bに示すように、本発明の第四又は第五の実施形態による感熱性粘着材料の製造方法の第二の例は、ステップS2B−5及びステップS2B−6からなる。ステップS2B−5において、得られた感熱性粘着材料塗布液を、感熱性粘着材料の支持体へ塗布する。ステップS2B−6において、支持体に塗布された感熱性粘着材料塗布液を乾燥させて、感熱性粘着材料を得る。
【0138】
図3は、本発明の第四又は第五の実施形態による感熱性粘着材料の例を概略的に説明する図である。
【0139】
図3に示すように、本発明の第四又は第五の実施形態による感熱性粘着材料としての感熱性粘着材料30は、加熱することによって粘着性を発現する材料であり、支持体31、支持体31上に設けられた下地層32、及び下地層32上に設けられた感熱性粘着層33からなる。支持体31は、木材パルプ及び填料を主成分とする原紙である。下地層32は、熱可塑性樹脂及び中空粒子を含む。図3においては、感熱性粘着層33は、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂を可塑化する固体可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有するジオール系の非イオン性界面活性剤を含む層であり、図1に示すような本発明の第一又は第三の実施形態の例である感熱性粘着材料塗布液を乾燥させることによって得られる層である。
【0140】
図4は、本発明の第六の実施形態による情報記録材料の第一の例を概略的に説明する図である。
【0141】
図4に示すように、本発明の第六の実施形態による情報記録材料としてのラベル用粘着シート40は、情報を記録することが可能な材料であり、支持体41、支持体41上に設けられた下地層42、下地層42上に設けられた感熱性粘着層43、並びに、下地層42及び感熱性粘着層43と反対側で支持体41上に設けられた感熱記録層44からなる。支持体41は、木材パルプ及び填料を主成分とする原紙である。下地層42は、熱可塑性樹脂及び中空粒子を含む。感熱性粘着層43は、図3に示すような、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂を可塑化する固体可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有するジオール系の非イオン性界面活性剤を含む層であり、図1に示すような本発明の第一又は第三の実施形態の例である感熱性粘着材料塗布液を乾燥させることによって得られる層である。図4においては、加熱することにより情報を記録することが可能な感熱記録材料としての感熱記録層44は、ロイコ染料、顕色剤、バインダー樹脂、及び増感剤を含む。
【0142】
図5は、本発明の第六の実施形態による情報記録材料の第二の例を概略的に説明する図である。
【0143】
図5に示すように、本発明の第六の実施形態による情報記録材料としてのラベル用粘着シート50は、情報を記録することが可能な材料であり、支持体51、支持体51上に設けられた下地層52、下地層52上に設けられた感熱性粘着層53、並びに、下地層52及び感熱性粘着層53と反対側で支持体51上に設けられたインク受容層54からなる。支持体51は、木材パルプ及び填料を主成分とする原紙である。下地層52は、熱可塑性樹脂及び中空粒子を含む。感熱性粘着層53は、図3に示すような、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂を可塑化する固体可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有するジオール系の非イオン性界面活性剤を含む層であり、図1に示すような本発明の第一又は第三の実施形態の例である感熱性粘着材料塗布液を乾燥させることによって得られる層である。図5においては、インクを受容することにより情報を記録することが可能な層としてのインク受容層54は、無機顔料を含む。図5におけるインク受容層54には、UVインクよって形成されたインク画像が記録されている。
【0144】
[実施例]
次に、本発明の実施例を詳細に説明する。本発明の実施例における「部」及び「%」は、それぞれ、「重量部」及び「重量%」を意味する。
【実施例1】
【0145】
まず、本発明に従った固体可塑剤分散液及びその製造方法の実施例を、従来の固体可塑剤分散液及びその製造方法の比較例と共に説明する。
【0146】
(1)固体可塑剤分散液の調製
<実施例1>
固体可塑剤としての100部の2−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール及び50部のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(固形分10%、KL−318、クラレ社製)を200部の水に添加した。次に、界面活性剤としてのレオックス2008C(天然アルコール、曇点:50℃、ライオン株式会社製)を、その界面活性剤の濃度が、300gである、得られる液体組成物の全重量の0.02%となるように、さらに添加した。得られた液体組成物を均一に攪拌した。
【0147】
次に、攪拌された液体組成物の全部を、図6に示すような、1000mlの容量を備えた金属製ジャケット付ポットに投入し、さらに、見掛けで300ccの1mmの直径を備えたガラスビーズを加えた。
【0148】
図6は、本発明の実施例及び比較例で使用した固体可塑剤分散液の調製装置を概略的に説明する図である。ここで、図6(a)は、本発明の実施例及び比較例で使用した固体可塑剤分散液の調製装置を概略的に説明する断面図であり、図6(b)は、本発明の実施例及び比較例で使用した固体可塑剤分散液の調製装置を概略的に説明する上面図である。図6に示す固体可塑剤分散液の調製装置60は、1000mlの容量を備えた金属製ジャケット付ポット61及び金属製ジャケット付ポット内の液体組成物を攪拌する攪拌羽根62を有する。
【0149】
ポット内の液体組成物の温度を18℃に保持するように、金属製ジャケットの内部に冷却水を常時流す一方で、図6に示すように、ポット内の液体組成物に浸漬させた攪拌羽根を、1000回転/分の回転数で回転させることによって、ポット内の液体組成物を攪拌して、実施例1の固体可塑剤分散液を調製した。
【0150】
ここで、ポット内の液体組成物の攪拌を、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまで、行った。なお、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製の堀場LA−920)を使用して、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。
【0151】
また、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、8.5時間の分散時間を必要とした。
【0152】
さらに、実施例1の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例1の固体可塑剤分散液には、発泡が観察されなかった。
【0153】
また、実施例1の固体可塑剤分散液の粘度を、Rheometrics社製ダイナミックスペクトロメータ(円錐円板粘度計)を使用して、2500回転/分の円板に対する円錐の回転数、12.5mmの円錐の底面及び円板の半径、0.04ラジアンの円板に対する円錐面の角度、及び0.05mmの円板と円錐面間の間隔の条件で、測定した。その結果、実施例1の固体可塑剤分散液の粘度は、71mPaであった。
【0154】
<実施例2>
界面活性剤として、実施例1で使用したレオックス2008C(天然アルコール、曇点:50℃、ライオン株式会社製)に代えて、レオックス2160C(天然アルコール、曇点:60℃、ライオン株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の固体可塑剤分散液を調製した。
【0155】
ここで、実施例1と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、実施例2においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、8.2時間の分散時間を必要とした。
【0156】
また、実施例2の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例2の固体可塑剤分散液には、発泡が観察されなかった。
【0157】
さらに、実施例2の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例1と同様に測定した。その結果、実施例2の固体可塑剤分散液の粘度は、56mPaであった。
【0158】
<実施例3>
界面活性剤として、実施例1で使用したレオックス2008C(天然アルコール、曇点:50℃、ライオン株式会社製)に代えて、ライオノールTD−2007(モノオール系ブロックタイプ、曇点:55℃、ライオン株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の固体可塑剤分散液を調製した。
【0159】
ここで、実施例1と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、実施例3においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、8.6時間の分散時間を必要とした。
【0160】
また、実施例3の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例3の固体可塑剤分散液には、発泡が観察されなかった。
【0161】
さらに、実施例3の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例1と同様に測定した。その結果、実施例3の固体可塑剤分散液の粘度は、55mPaであった。
【0162】
<実施例4>
界面活性剤として、実施例1で使用したレオックス2008C(天然アルコール、曇点:50℃、ライオン株式会社製)に代えて、ライオノールTDM−90(モノオール系ブロックタイプ、曇点:59℃、ライオン株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の固体可塑剤分散液を調製した。
【0163】
ここで、実施例1と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、実施例4においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、7.9時間の分散時間を必要とした。
【0164】
また、実施例4の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例4の固体可塑剤分散液には、発泡が観察されなかった。
【0165】
さらに、実施例4の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例1と同様に測定した。その結果、実施例4の固体可塑剤分散液の粘度は、51mPaであった。
【0166】
<実施例5>
界面活性剤として、実施例1で使用したレオックス2008C(天然アルコール、曇点:50℃、ライオン株式会社製)に代えて、RK−103(ジオール、曇点:50℃、日信化学株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の固体可塑剤分散液を調製した。
【0167】
ここで、実施例1と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、実施例5においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、8.0時間の分散時間を必要とした。
【0168】
また、実施例5の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例5の固体可塑剤分散液には、発泡が観察されなかった。
【0169】
さらに、実施例5の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例1と同様に測定した。その結果、実施例5の固体可塑剤分散液の粘度は、43mPaであった。
【0170】
<実施例6>
界面活性剤として、実施例1で使用したレオックス2008C(天然アルコール、曇点:50℃、ライオン株式会社製)に代えて、RK−70(ジオール、曇点:53℃、日信化学株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の固体可塑剤分散液を調製した。
【0171】
ここで、実施例1と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、実施例6においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、8.1時間の分散時間を必要とした。
【0172】
また、実施例6の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例6の固体可塑剤分散液には、発泡が観察されなかった。
【0173】
さらに、実施例6の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例1と同様に測定した。その結果、実施例6の固体可塑剤分散液の粘度は、43mPaであった。
【0174】
<実施例7>
界面活性剤として、実施例1で使用したレオックス2008C(天然アルコール、曇点:50℃、ライオン株式会社製)に代えて、RK−105(ジオール、曇点:58℃、日信化学株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の固体可塑剤分散液を調製した。
【0175】
ここで、実施例1と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、実施例7においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、7.9時間の分散時間を必要とした。
【0176】
また、実施例7の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例7の固体可塑剤分散液には、発泡が観察されなかった。
【0177】
さらに、実施例7の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例1と同様に測定した。その結果、実施例7の固体可塑剤分散液の粘度は、41mPaであった。
【0178】
<実施例8>
実施例5における界面活性剤の濃度を、液体組成物の全重量の0.02%から液体組成物の全重量の0.15%に変更した以外は、実施例5と同様にして、実施例8の固体可塑剤分散液を調製した。
【0179】
ここで、実施例5と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、実施例8においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、3.7時間の分散時間を必要とした。
【0180】
また、実施例8の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例8の固体可塑剤分散液には、発泡が観察されなかった。
【0181】
さらに、実施例8の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例5と同様に測定した。その結果、実施例8の固体可塑剤分散液の粘度は、42mPaであった。
【0182】
<実施例9>
実施例6における界面活性剤の濃度を、液体組成物の全重量の0.02%から液体組成物の全重量の0.15%に変更した以外は、実施例6と同様にして、実施例9の固体可塑剤分散液を調製した。
【0183】
ここで、実施例6と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、実施例9においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、3.5時間の分散時間を必要とした。
【0184】
また、実施例9の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例9の固体可塑剤分散液には、発泡が観察されなかった。
【0185】
さらに、実施例9の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例6と同様に測定した。その結果、実施例9の固体可塑剤分散液の粘度は、41mPaであった。
【0186】
<実施例10>
実施例7における界面活性剤の濃度を、液体組成物の全重量の0.02%から液体組成物の全重量の0.15%に変更した以外は、実施例7と同様にして、実施例10の固体可塑剤分散液を調製した。
【0187】
ここで、実施例7と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、実施例10においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、3.6時間の分散時間を必要とした。
【0188】
また、実施例10の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例10の固体可塑剤分散液には、発泡が観察されなかった。
【0189】
さらに、実施例10の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例7と同様に測定した。その結果、実施例10の固体可塑剤分散液の粘度は、40mPaであった。
【0190】
<実施例11>
実施例5における界面活性剤の濃度を、液体組成物の全重量の0.02%から液体組成物の全重量の0.30%に変更した以外は、実施例5と同様にして、実施例11の固体可塑剤分散液を調製した。
【0191】
ここで、実施例5と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、実施例11においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、4.3時間の分散時間を必要とした。
【0192】
また、実施例11の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例11の固体可塑剤分散液には、発泡が観察された。
【0193】
さらに、実施例11の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例5と同様に測定した。その結果、実施例11の固体可塑剤分散液の粘度は、38mPaであった。
【0194】
<実施例12>
実施例6における界面活性剤の濃度を、液体組成物の全重量の0.02%から液体組成物の全重量の0.30%に変更した以外は、実施例6と同様にして、実施例12の固体可塑剤分散液を調製した。
【0195】
ここで、実施例6と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、実施例12においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、4.2時間の分散時間を必要とした。
【0196】
また、実施例12の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例12の固体可塑剤分散液には、発泡が観察された。
【0197】
さらに、実施例12の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例6と同様に測定した。その結果、実施例12の固体可塑剤分散液の粘度は、40mPaであった。
【0198】
<実施例13>
実施例7における界面活性剤の濃度を、液体組成物の全重量の0.02%から液体組成物の全重量の0.30%に変更した以外は、実施例7と同様にして、実施例13の固体可塑剤分散液を調製した。
【0199】
ここで、実施例7と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、実施例13においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、4.4時間の分散時間を必要とした。
【0200】
また、実施例13の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例13の固体可塑剤分散液には、発泡が観察された。
【0201】
さらに、実施例13の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例7と同様に測定した。その結果、実施例13の固体可塑剤分散液の粘度は、41mPaであった。
【0202】
<実施例14>
実施例9における液体組成物に浸漬させた攪拌羽根の回転数を、1000回転/分から3000回転/分に変更した以外は、実施例9と同様にして、実施例14の固体可塑剤分散液を調製した。
【0203】
ここで、実施例9と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、実施例14においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、3.1時間の分散時間を必要とした。
【0204】
また、実施例14の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例14の固体可塑剤分散液には、発泡が観察されなかった。
【0205】
さらに、実施例14の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例9と同様に測定した。その結果、実施例14の固体可塑剤分散液の粘度は、66mPaであった。
【0206】
<実施例15>
固体可塑剤としての100部の2−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール及び50部のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(固形分10%、KL−318、クラレ社製)を200部の水に添加した。次に、界面活性剤としてのRK−70(ジオール、曇点:53℃、日信化学株式会社製)を、その界面活性剤の濃度が、300gである、得られる液体組成物の全重量の0.08%となるように、さらに添加した。得られた液体組成物を均一に攪拌した。
【0207】
次に、攪拌された液体組成物の全部を、図6に示すような、1000mlの容量を備えた金属製ジャケット付ポットに投入し、さらに、見掛けで300ccの1mmの直径を備えたガラスビーズを加えた。ポット内の液体組成物の温度を18℃に保持するように、金属製ジャケットの内部に冷却水を常時流す一方で、図6に示すように、ポット内の液体組成物に浸漬させた攪拌羽根を、3000回転/分の回転数で回転させることによって、ポット内の液体組成物を攪拌して、固体可塑剤分散液を調製した。
【0208】
ここで、ポット内の液体組成物の攪拌を、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が3.0μmに到達するまで、行った。なお、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製の堀場LA−920)を使用して、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。
【0209】
なお、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が3.0μmに到達するまでに、1.6時間の分散時間を必要とした。
【0210】
引き続き、界面活性剤としてのRK−70(ジオール、曇点:53℃、日信化学株式会社製)を、その界面活性剤の濃度が、得られる液体組成物の全重量の0.07%となるように、得られた固体可塑剤分散液にさらに滴下した。
【0211】
そして、ポット内の固体可塑剤分散液の温度を18℃に保持するように、金属製ジャケットの内部に冷却水を常時流す一方で、ポット内の液体組成物に浸漬させた攪拌羽根を、3000回転/分の回転数で回転させることによって、ポット内の固体可塑剤分散液を再度攪拌して、実施例15の固体可塑剤分散液を調製した。
【0212】
ここで、ポット内の固体可塑剤分散液の攪拌を、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまで、行った。なお、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製の堀場LA−920)を使用して、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。
【0213】
なお、界面活性剤としてのRK−70の滴下から固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、1.2時間の分散時間を必要とした。(初期の液体組成物から固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、合計2.8時間の分散時間を必要とした。)
さらに、実施例15の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、実施例15の固体可塑剤分散液には、発泡が観察されなかった。
【0214】
また、実施例15の固体可塑剤分散液の粘度を、Rheometrics社製ダイナミックスペクトロメータ(円錐円板粘度計)を使用して、2500回転/分の円板に対する円錐の回転数、12.5mmの円錐の底面及び円板の半径、0.04ラジアンの円板に対する円錐面の角度、及び0.05mmの円板と円錐面間の間隔の条件で、測定した。その結果、実施例15の固体可塑剤分散液の粘度は、38mPaであった。
【0215】
<比較例1>
界面活性剤として、実施例9で使用したRK−70(ジオール、曇点:53℃、日信化学株式会社製)に代えて、サーフィノールTG(ジオール、曇点:46℃、日信化学株式会社製)を用いた以外は、実施例9と同様にして、比較例1の固体可塑剤分散液を調製した。
【0216】
ここで、実施例9と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、比較例1においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、19.0時間の分散時間を必要とした。
【0217】
また、比較例1の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、比較例1の固体可塑剤分散液には、発泡が観察された。
【0218】
さらに、比較例1の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例9と同様に測定した。その結果、比較例1の固体可塑剤分散液の粘度は、170mPaであった。
【0219】
<比較例2>
界面活性剤として、実施例9で使用したRK−70(ジオール、曇点:53℃、日信化学株式会社製)に代えて、PD001(ジオール、曇点:44℃、日信化学株式会社製)を用いた以外は、実施例9と同様にして、比較例2の固体可塑剤分散液を調製した。
【0220】
ここで、実施例9と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、比較例2においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、22.0時間の分散時間を必要とした。
【0221】
また、比較例2の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、比較例2の固体可塑剤分散液には、発泡が観察された。
【0222】
さらに、比較例2の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例9と同様に測定した。その結果、比較例2の固体可塑剤分散液の粘度は、185mPaであった。
【0223】
<比較例3>
界面活性剤として、実施例9で使用したRK−70(ジオール、曇点:53℃、日信化学株式会社製)に代えて、RK−101(ジオール、曇点:49℃、日信化学株式会社製)を用いた以外は、実施例9と同様にして、比較例3の固体可塑剤分散液を調製した。
【0224】
ここで、実施例9と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、比較例3においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、14.0時間の分散時間を必要とした。
【0225】
また、比較例3の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、比較例3の固体可塑剤分散液には、発泡が観察された。
【0226】
さらに、比較例3の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例9と同様に測定した。その結果、比較例3の固体可塑剤分散液の粘度は、120mPaであった。
【0227】
<比較例4>
界面活性剤として、実施例9で使用したRK−70(ジオール、曇点:53℃、日信化学株式会社製)に代えて、ライオノールTD−730(モノオール系ブロックタイプ、曇点:37℃、ライオン株式会社製)を用いた以外は、実施例9と同様にして、比較例4の固体可塑剤分散液を調製した。
【0228】
ここで、実施例9と同様に、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径を測定した。その結果、比較例4においては、固体可塑剤のミセルのメジアン粒子径が1.0μmに到達するまでに、35.0時間の分散時間を必要とした。
【0229】
また、比較例4の固体可塑剤分散液を目視で観察した。その結果、比較例4の固体可塑剤分散液には、発泡が観察された。
【0230】
さらに、比較例4の固体可塑剤分散液の粘度を、実施例9と同様に測定した。その結果、比較例4の固体可塑剤分散液の粘度は、920mPaであった。
【0231】
実施例1〜15及び比較例1〜4の固体可塑剤分散液における界面活性剤の種類及び添加条件並びに実施例1〜15及び比較例1〜4の固体可塑剤分散液について得られた測定結果を、表1に示す。
【0232】
表1
【0233】
【表1】

表1において、まず、50℃以上の曇点を備えた界面活性剤を使用した実施例1〜15の固体可塑剤分散液を、50℃未満の曇点を備えた界面活性剤を使用した比較例1〜4の固体可塑剤分散液と比較すると、50℃以上の曇点を備えた界面活性剤を使用した実施例1〜15の固体可塑剤分散液の調製において固体可塑剤のミセルの粒径を1.0μmにするために必要な時間(分散時間)は、50℃未満の曇点を備えた界面活性剤を使用した比較例1〜4の固体可塑剤分散液の調製において固体可塑剤のミセルの粒径を1.0μmにするために必要な時間(分散時間)よりも顕著に短いことを、確認することができた。また、50℃以上の曇点を備えた界面活性剤を使用した実施例1〜15の固体可塑剤分散液の粘度は、50℃未満の曇点を備えた界面活性剤を使用した比較例1〜4の固体可塑剤分散液の粘度よりも低いと共に固体可塑剤分散液の流動性を保持することができるものであることを、確認することができた。
【0234】
また、固体可塑剤分散液を攪拌する攪拌羽根の回転数が1000回転/分である実施例1〜13の固体可塑剤分散液を、固体可塑剤分散液を攪拌する攪拌羽根の回転数が3000回転/分である実施例14及び15の固体可塑剤分散液と比較すると、固体可塑剤分散液を攪拌する攪拌羽根の回転数が3000回転/分である実施例14及び15の固体可塑剤分散液の調製において固体可塑剤のミセルの粒径を1.0μmにするために必要な時間(分散時間)は、固体可塑剤分散液を攪拌する攪拌羽根の回転数が1000回転/分である実施例1〜13の固体可塑剤分散液の調製において固体可塑剤のミセルの粒径を1.0μmにするために必要な時間(分散時間)よりも短いことを、確認することができた。
【0235】
次に、天然アルコール又はモノオール系の界面活性剤を使用した実施例1〜4の固体可塑剤分散液を、ジアルコール系の界面活性剤を使用した実施例5〜7の固体可塑剤分散液と比較すると、ジアルコール系の界面活性剤を使用した実施例5〜7の固体可塑剤分散液の粘度は、天然アルコール又はモノオール系の界面活性剤を使用した実施例1〜4の固体可塑剤分散液の粘度よりも低いと共に良好な流動性を示すことを、確認することができた。
【0236】
また、0.02重量%の界面活性剤を含む実施例1〜7の固体可塑剤分散液を、0.15重量%又は0.30重量%の界面活性剤を含む実施例8〜15の固体可塑剤分散液と比較すると、0.15重量%又は0.30重量%の界面活性剤を含む実施例8〜15の固体可塑剤分散液を調製する際に、固体可塑剤のミセルの粒径が1.0μmに到達するのに必要とされる分散時間は、0.02重量%の界面活性剤を含む実施例1〜7の固体可塑剤分散液を調製する際に、固体可塑剤のミセルの粒径が1.0μmに到達するのに必要とされる分散時間よりも短いことを、確認することができた。
【0237】
さらに、0.02重量%又は0.15重量%の界面活性剤を含む実施例1〜10並びに実施例14及び15の固体可塑剤分散液を、0.30重量%の界面活性剤を含む実施例11〜13の固体可塑剤分散液と比較すると、0.30重量%の界面活性剤を含む実施例11〜13の固体可塑剤分散液には発泡が観察されたが、0.02重量%又は0.15重量%の界面活性剤を含む実施例1〜10並びに実施例14及び15の固体可塑剤分散液には発泡が観察されなかった。
【0238】
加えて、界面活性剤を段階的に添加した実施例15の固体可塑剤分散液を、界面活性剤の全量を一度に添加した実施例14の固体可塑剤分散液と比較すると、界面活性剤を段階的に添加した実施例15の固体可塑剤分散液の調製において固体可塑剤のミセルの粒径を1.0μmにするために必要な時間(分散時間)は、界面活性剤の全量を一度に添加した実施例14の固体可塑剤分散液の調製において固体可塑剤のミセルの粒径を1.0μmにするために必要な時間(分散時間)よりも短いことを、確認することができた。また、界面活性剤を段階的に添加した実施例15の固体可塑剤分散液の粘度が、界面活性剤の全量を一度に添加した実施例14の固体可塑剤分散液の粘度よりも低いと共に固体可塑剤分散液の流動性を保持することができるものであることを、確認することができた。
【実施例2】
【0239】
次に、本発明に従った感熱性粘着材料の実施例を、従来の感熱性粘着材料の比較例と共に説明する。
【0240】
(2)感熱発色層塗工液の調製
(2−a)ロイコ染料分散液の調製
ロイコ染料としての20部の3−ジブチルアミノ−6−メチル−N−7−アニリノフルオラン、20部の10%ポリビニルアルコール水溶液、及び60部の水を混合して、液体組成物を得た。得られた液体組成物に含まれるロイコ染料の粒子を、ロイコ染料の粒子の平均粒子径が、0.5μmに到達するまで、サンドミルを使用して粉砕した。
【0241】
(2−b)顕色剤分散液の調製
顕色剤としての20部の4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシ−ジフェニルスルホン、過冷却性促進剤としての10部のジ−(p−メチルベンジル)=オキサラート、吸油性を有する顔料としての10部の炭酸カルシウム、30部の10%ポリビニルアルコール水溶液、及び30部の水を混合して、液体組成物を得た。得られた液体組成物に含まれる顕色剤の粒子を、顕色剤の粒子の平均粒子径が、0.5μmに到達するまで、ボールミルを使用して粉砕した。
【0242】
(2−c)感熱発色層塗工液の調製
20部の(2−a)で得られたロイコ染料分散液、60部の(2−b)で得られた顕色剤分散液、30部のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(固形分10%、KL−318、クラレ社製)、及び、1部のジオクチルスルホコハク酸水溶液(固形分5%)を混合して、感熱発色層塗工液を得た。
【0243】
(3)保護層塗工液の調製
40部の水酸化アルミニウム水分散液(固形分50%)、6部のステアリン酸亜鉛水分散液(固形分30%)、1部のジオクチルスルホコハク酸水溶液(固形分5%)、及び、200部の、二つのアセトン基を有するポリビニルアルコール(アセトン単量体単位の含有量:4%、重合度:1600、鹸化度:98%、信越化学社製)の10%水溶液、架橋剤としての10部のアジピン酸ヒドラジド水溶液(固形分10%)、及び43部の水を混合して、保護層塗工液を得た。
【0244】
(4)過冷却性促進剤分散液の調製
過冷却性促進剤としての100部のジ(p−メチルベンジル)=オキサラート、50部のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(固形分10%、KL−318、クラレ社製)、及び200部の水を均一に混合して、液体組成物を得た。得られた液体組成物に含まれる過冷却性促進剤の粒子を、過冷却性促進剤の粒子の平均粒子径が、1.0μmに到達するまで、ボールミルを使用して粉砕した。
【0245】
(5)アンダー層塗工液の調製
100部の熱可塑性樹脂エマルジョンAP5570(ジ(エチルヘキシル)=アクリラート樹脂、固形分:55%、ガラス転移点−65℃、昭和高分子社製)、85部の中空粒子R300(中空率:90%、固形分:33%、松本油脂社製)、及び350部の水を、十分に攪拌及び混合して、アンダー層塗工液を得た。
【0246】
(6)感熱性粘着剤層塗工液の調製
100部の熱可塑性樹脂エマルジョンAP5570(主成分:ジ(エチルヘキシル)=アクリラート樹脂、固形分:55%、ガラス転移点:−65℃、昭和高分子社製)、70部の粘着性付与剤エマルジョンE100(主成分:テルペンフェノール、固形分50%、軟化点145℃、荒川化学社製)、540部の実施例1〜15及び比較例1〜4の各々の固体可塑剤分散液、100部の(4)で得られた過冷却性促進剤分散液、並びに130部の水を、十分に攪拌及び混合して、実施例1〜15及び比較例1〜4の各々に対応する感熱性粘着剤層塗工液を得た。
【0247】
(7)感熱発色層の形成
まず、支持体としての上質紙(面密度:60g/m)の表面上に、(2)で得られた感熱発色層塗工液を塗布し、且つ、その感熱発色層塗工液を乾燥させて、感熱発色層を形成した。ここで、(2)で得られた感熱発色層塗工液を乾燥させたとき、上質紙に付着するロイコ染料の面密度が、約0.6g/mであるように、上質紙に感熱発色層塗工液を塗布した。
【0248】
(8)保護層の形成
次に、(7)で得られた感熱発色層の表面上に、(3)で得られた保護層塗工液を塗布し、且つ、その保護層塗工液を乾燥させて、保護層を形成した。ここで、(3)で得られた保護層塗工液を乾燥させたとき、感熱発色層に付着する、保護層に含まれる成分の面密度が、約3g/mであるように、感熱発色層に保護層塗工液を塗布した。さらに、保護層の表面の平滑度が、5000秒になるように、保護層の表面にキャレンダー処理を施した。
【0249】
(9)アンダー層の形成
次に、(8)で得られた保護層と反対側の(7)で得られた感熱発色層の表面上に、(5)で得られたアンダー層塗工液を塗布し、且つ、そのアンダー層塗工液を乾燥させて、アンダー層を形成した。ここで、(5)で得られたアンダー層塗工液を乾燥させたとき、感熱発色層に付着する、アンダー層に含まれる成分の面密度が、約5g/mであるように、感熱発色層にアンダー層塗工液を塗布した。
【0250】
(10)感熱性粘着剤層の形成
最後に、0.50mmの直径を備えた線形のワイヤーバーを使用して、(9)で得られたアンダー層の表面上に、約20m/分の塗工速度で、(6)で得られた実施例1〜15及び比較例1〜4の各々に対応する感熱性粘着剤層塗工液を塗布し、且つ、その実施例1〜15及び比較例1〜4の各々に対応する各々の感熱性粘着剤層塗工液を乾燥させて、実施例16〜30及び比較例5〜8の各々の感熱性粘着材料を形成した。ここで、(6)で得られた実施例1〜15及び比較例1〜4の各々に対応する感熱性粘着剤層塗工液を乾燥させたとき、アンダー層に付着する、感熱性粘着材料層に含まれる成分の面密度が、約13g/mであるように、アンダー層に感熱性粘着剤層塗工液を塗布した。
【0251】
実施例16〜30及び比較例5〜8の感熱性粘着材料の調製に使用した固体可塑剤分散液の種類並びに実施例16〜30及び比較例5〜8の感熱性粘着材料について得られた測定結果を、表2に示す。
【0252】
表2
【0253】
【表2】

<塗工性>
実施例16〜30及び比較例5〜8の感熱性粘着材料の各々について、得られた感熱性粘着材料におけるスジ及びハジキを、以下の五段階の指標に従って、目視で評価した。感熱性粘着材料におけるスジ及びハジキの評価結果を、それぞれ、表2に示す。
【0254】
(スジ)
1:5本以上の1mm以上の幅を備えた塗工スジが観察される
2:1本以上5本未満の1mm以上の幅を備えた塗工スジが観察される
3:1本以上5本未満の0.3mm以上1mm未満の幅を備えた塗工スジが観察される
4:1本以上5本未満の0.3mm未満の幅を備えた塗工スジが観察される
5:塗工スジが観察されない
(ハジキ)
1:7個以上の8mm以上の直径を備えたハジキが観察される
2:1個以上7個未満の8mm以上の直径を備えたハジキが観察される
3:1個以上7個未満の2mmφ以上8mmφ未満の直径を備えたハジキが観察される
4:1個以上7個未満の2mm未満の直径を備えたハジキが観察される
5:ハジキが観察されない
<粘着力>
実施例16〜30及び比較例5〜8の感熱性粘着材料の各々を、4cmの幅及び10cmの長さの大きさに切り出した。22℃の温度及び65%RHの湿度の環境条件下で、切り出した感熱性粘着材料の表面に、サーマルヘッド(TEC社製TH−0976SP)を接触させて、感熱性粘着材料を活性化させた。より詳しくは、サーマルヘッドを使用して、切り出した感熱性粘着材料に、100mm/秒の印字速度で、印字した。なお、このサーマルヘッドは、1mm当たり8個のドットを有し、各ドットの抵抗値は、500Ωであり、サーマルヘッドの全てのドットに通電すると、26.0mJ/mmの活性エネルギーを与えることができるものであった。また、サーマルヘッドを使用して、切り出した感熱性粘着材料に印字する際に、直径1cmの直径を備えたシリコン系プラテンロールを、6kg重/線の圧力条件で、サーマルヘッドと反対側から、切り出した感熱性粘着材料に押し当てた。
【0255】
サーマルヘッドで活性化した感熱性粘着材料(感熱記録材料ラベル)の活性化された面を、ステンレス鋼SUS304−2Bの表面に、感熱性粘着材料を活性化した後5秒以内に、手で貼り、且つ、ゴムローラーによって感熱性粘着材料に2kg/線の圧力を加えると共にゴムローラーを一回往復させて、ステンレス鋼の表面に感熱性粘着材料を貼り付けた。ステンレス鋼の表面に感熱性粘着材料を貼り付けた後2分後に、ステンレス鋼の表面から、180度の剥離角度及び300mm/分の剥離速度の条件で、感熱性粘着材料を剥離させ、感熱性粘着材料の粘着力の指標として、ステンレス鋼の表面からの感熱性粘着材料の剥離の平均抵抗値を測定した。ステンレス鋼の表面からの感熱性粘着材料の剥離の平均抵抗値の数値を、g重/40mmの単位で表2に示す(なお、数値の一の位の数字は、四捨五入した)。
【0256】
<ブロッキング性>
実施例16〜30及び比較例5〜8の感熱性粘着材料の各々における感熱記録層(感熱発色層+保護層)の表面の全体に、活版輪転印刷機及びUVインク(DIC EX−257浅藍B6)を使用して、40m/分の印刷速度で、ベタ印刷を行った。感熱記録層における印刷の直後に、活版輪転印刷機に取り付けられた紫外線ランプから3.6kwの出力で紫外線を、感熱記録層に印刷したUVインクに照射して、感熱記録層に印刷したUVインクを硬化させた。
【0257】
実施例16〜30及び比較例5〜8の感熱性粘着材料の各々について、一つの感熱性粘着材料の感熱性粘着剤層の粘着面を、別の感熱性粘着材料の感熱記録層のUVインク印刷面と重ね合わせると共に接触させ、重ね合わせた感熱性粘着材料の両方に、50℃の温度及び乾燥の条件下で、24時間の間、2kg重/cmの圧力を加えた。その後、重ね合わせた感熱性粘着材料を、室温で放置し、一方の感熱性粘着材料を、他方の感熱性粘着材料から剥離した。その際に、感熱性粘着材料のブロッキング性を、以下に示す10段階の指標に従って、評価した。
【0258】
10:感熱性粘着材料のひっかかりが無く、感熱性粘着材料は、その自重で剥がれる。
【0259】
9:感熱性粘着材料のひっかかりが若干有るが、感熱性粘着材料の剥離音は無い。
【0260】
8:感熱性粘着材料のひっかかりが有り、感熱性粘着材料の剥離音も若干有る。
【0261】
7:感熱性粘着材料の剥離音が有る。
【0262】
6:感熱性粘着材料の点状転写が、粘着面の一部に観察される。
【0263】
5:感熱性粘着材料の点状転写が、粘着面の30%〜50%の範囲で観察される。
【0264】
4:感熱性粘着材料の点状転写が、粘着面の50%〜その全面の範囲で観察される。
【0265】
3:感熱性粘着材料の層間のハガレが、粘着面の一部に観察される。
【0266】
2:感熱性粘着材料の層間のハガレが、粘着面の30%〜50%の範囲で観察される。
【0267】
1:感熱性粘着材料の層間のハガレが、粘着面の50%〜その全面の範囲で観察される。
【0268】
感熱性粘着材料のブロッキング性の評価結果を表2に示す。
【0269】
<印刷適正>
実施例16〜30及び比較例5〜8の感熱性粘着材料の各々における感熱性粘着剤層の表面の全体に、活版輪転印刷機及びUVインク(Toka UV NVR墨J)を使用して、40m/分の印刷速度で、ベタ印刷を行った。感熱性粘着剤層における印刷の直後に、活版輪転印刷機に取り付けられた紫外線ランプから3.6kwの出力で紫外線を、感熱性粘着剤層に印刷したUVインクに照射して、感熱性粘着剤層に印刷したUVインクを硬化させた。感熱性粘着剤層における印刷面の濃度を、市販のマクベス反射濃度計(マクベス社製)を使用して、測定した。感熱性粘着剤層における印刷面の濃度の測定値を、印刷適正の指標として、表2に示す。
【0270】
表2に示すように、まず、50℃以上の曇天を備えた界面活性剤を含む実施例1〜15の固体可塑剤分散液を使用した実施例16〜30の感熱性粘着材料を、50℃未満の曇天を備えた界面活性剤を含む比較例1〜4の固体可塑剤分散液を使用した比較例5〜8の感熱性粘着材料と比較すると、実施例16〜30の感熱性粘着材料の塗工性(スジ及びハジキ)、粘着力、ブロッキング性、及び印刷適正の各評価結果が、それぞれ、比較例5〜8の感熱性粘着材料の塗工性(スジ及びハジキ)、粘着力、ブロッキング性、及び印刷適正の各評価結果よりも高いものである(従って、実施例16〜30の感熱性粘着材料が、比較例5〜8の感熱性粘着材料よりも高い実用性を有する)ことを、確認することができた。
【0271】
また、天然アルコール又はモノオール系の界面活性剤を含む実施例1〜4の固体可塑剤分散液を使用した実施例16〜19の感熱性粘着材料を、ジアルコール系の界面活性剤を含む実施例5〜7の固体可塑剤分散液を使用した実施例20〜22の感熱性粘着材料と比較すると、実施例20〜22の感熱性粘着材料の塗工性(スジ及びハジキ)、粘着力、ブロッキング性、及び印刷適正の各評価結果が、それぞれ、実施例16〜19の感熱性粘着材料の塗工性(スジ及びハジキ)、粘着力、ブロッキング性、及び印刷適正の各評価結果よりも高いものであることを、確認することができた。
【0272】
さらに、0.02重量%又は0.15重量%の界面活性剤を含む実施例5〜10並びに実施例14及び15の固体可塑剤分散液を使用した実施例20〜25並びに実施例29及び30の感熱性粘着材料を、0.30重量%の界面活性剤を含む実施例11〜13の固体可塑剤分散液を使用した実施例26〜28の感熱性粘着材料と比較すると、実施例20〜25並びに実施例29及び30の感熱性粘着材料のハジキ及びブロッキング性の評価結果が、それぞれ、実施例26〜28の感熱性粘着材料のハジキ及びブロッキング性の評価結果よりも高いものであることを、確認することができた。
【0273】
加えて、界面活性剤を段階的に添加した実施例15の固体可塑剤分散液を使用した実施例30の感熱性粘着材料を、界面活性剤の全量を一度に添加した実施例14の固体可塑剤分散液を使用した実施例29の感熱性粘着材料と比較すると、実施例30の感熱性粘着材料の粘着力及び印刷適正の評価結果が、それぞれ、実施例29の感熱性粘着材料の粘着力及び印刷適正の評価結果よりも高いものであることを、確認することができた。
【0274】
以上、本発明の実施形態及び実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施形態及び実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0275】
【図1】本発明の第一又は第三の実施形態による組成物の例を概略的に説明する図である。
【図2A】本発明の第二の実施形態による組成物の製造方法の第一の例及び本発明の第四又は第五の実施形態による感熱性粘着材料の製造方法の第一の例を概略的に説明する図である。
【図2B】本発明の第二の実施形態による組成物の製造方法の第二の例及び本発明の第四又は第五の実施形態による感熱性粘着材料の製造方法の第二の例を概略的に説明する図である。
【図3】本発明の第四又は第五の実施形態による感熱性粘着材料の例を概略的に説明する図である。
【図4】本発明の第六の実施形態による情報記録材料の第一の例を概略的に説明する図である。
【図5】本発明の第六の実施形態による情報記録材料の第二の例を概略的に説明する図である。
【図6】本発明の実施例及び比較例で使用した固体可塑剤分散液の調製装置を概略的に説明する図である。
【符号の説明】
【0276】
10 感熱性粘着材料塗布液
11 熱可塑性樹脂
12 固体可塑剤
13 界面活性剤
14 粘着性向上剤
15 水系分散媒
30 感熱性粘着材料
31,41,51 支持体
32,42,52 下地層
33,43,53 感熱性粘着層
40,50 ラベル用粘着シート
44 感熱記録層
54 インク受容層
60 固体可塑剤分散液の調製装置
61 金属製ジャケット付ポット
62 攪拌羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤及び界面活性剤を含む、組成物において、
該界面活性剤は、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤の含有率は、0.025重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記界面活性剤の含有率は、0.250重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤は、ジオール系界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
熱可塑性樹脂をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤及び界面活性剤を含む組成物を製造する、組成物の製造方法において、
50℃以上の曇点を有する界面活性剤を用いることを特徴とする組成物の製造方法。
【請求項7】
少なくとも該可塑剤及び該界面活性剤を、1,500回転/分以上の回転速度で混合することを含むことを特徴とする請求項6に記載の組成物の製造方法。
【請求項8】
少なくとも該可塑剤及び該界面活性剤の一部を混合して混合物を得るステップ、並びに、
該混合物に該界面活性剤の残部を混合して該組成物を得るステップ
を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の組成物の製造方法。
【請求項9】
0.025重量%以上の前記界面活性剤を前記組成物に含有させることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【請求項10】
0.250重量%以下の前記界面活性剤を前記組成物に含有させることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【請求項11】
ジオール系界面活性剤を用いることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【請求項12】
前記組成物に熱可塑性樹脂を含有させることを含むことを特徴とする請求項6乃至11のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項6乃至12のいずれか一項に記載の組成物の製造方法によって製造されることを特徴とする組成物。
【請求項14】
加熱することによって粘着性を発現する、感熱性粘着材料において、
熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を可塑化する可塑剤、及び、50℃以上の曇点を有する界面活性剤を含む層を有することを特徴とする感熱性粘着材料。
【請求項15】
前記界面活性剤は、ジオール系界面活性剤を含むことを特徴とする請求項14に記載の感熱性粘着材料。
【請求項16】
加熱することによって粘着性を発現する、感熱性粘着材料において、
請求項5に記載の組成物又は請求項13に記載の組成物を乾燥させることによって得られる層を含むことを特徴とする感熱性粘着材料。
【請求項17】
情報を記録することが可能な情報記録材料において、
請求項14乃至16のいずれか一項に記載の感熱性粘着材料を含むことを特徴とする情報記録材料。
【請求項18】
加熱することにより情報を記録することが可能な感熱記録材料をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の情報記録材料。
【請求項19】
インクを受容することにより情報を記録することが可能な層をさらに含むことを特徴とする請求項17又は18に記載の情報記録材料。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−106983(P2007−106983A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243685(P2006−243685)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】