説明

組成物

本発明は粒子状固体、有機媒体および/または水ならびに式(1)(R−U−(Y)−T−Z−W0−v)の化合物および式1の塩を含む組成物を提供している。ここで、RはHまたは必要に応じて置換されたC1〜30−ヒドロカルビルであるか;またはRはR”C=O(R”が水素、アルキル、アリールまたは必要に応じて置換されたアルキルもしくはアリールであるアシル基)である;Uは酸素、−NHまたは−NR’’’である;R’’’は必要に応じて置換されたC1〜30−ヒドロカルビルである;YはC2〜4−アルキレンオキシである;Tは置換された酢酸またはプロピオン酸の残基である;Zはポリアミンおよび/またはポリイミンの残基である:Wは酸化物、尿素もしくは二塩基酸またはその無水物の残基、あるいはその混合物である;xは2から90である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2004年12月21日に出願された仮出願特許第60/638,091号に従って出願される。
【0002】
(発明分野)
本発明は、粒子状固体、有機媒体、および分散剤を含む組成物、ならびにインク、ミルベース、プラスチック、およびペイントにおけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
インク、ペイント、ミルベースおよび可塑物質のような多くの処方物は、有機媒体に粒子状固体を均一に分配するための効果的な分散剤を必要とする。有機媒体は、極性から非極性の有機媒体まで種々であり得る。したがって、極性および非極性の両方の有機媒体において、粒子状固体を分散し得る分散剤が求められる。
【0004】
特許文献1は、ポリ(低級アルキレン)イミンと反応した少なくとも8個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸から誘導されたポリエステルを含む分散剤を開示している。その分散剤は脂肪族の溶媒およびプラスチックのような非極性の媒体において効果的である。
【0005】
特許文献2は、ポリ(低級アルキレン)イミンと反応したε−カプロラクトンから誘導されたポリエステルを含む分散剤を開示している。その分散剤はケトンおよびエステルのようなさらに極性の媒体において効果的である。
【0006】
特許文献3は、二塩基酸無水物、ポリオキシアルキレンモノアミンおよび1343までの数平均分子量を有するヒドロカルビルポリアミンの反応生成物を含むモーターの燃料の組成物を開示している。
【特許文献1】米国特許第4,224,212号明細書
【特許文献2】欧州特許第208041号明細書
【特許文献3】米国特許第4,865,621号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
特定の分散剤が有機媒体、特に極性の有機媒体および水を含む有機媒体の範囲において、粒子状固体を分散させるすぐれた能力を示すことが見出された。したがって、本発明にしたがって、粒子状固体、有機媒体および/または水、ならびに式(1)の化合物およびその塩を含む組成物が提供される。
【0008】
【化2】

ここで、
RはHまたは必要に応じて置換されたC1〜30−ヒドロカルビルであるか;またはRはR”C=O(R”が水素、アルキル、アリールまたは必要に応じて置換されたアルキルもしくはアリールであるアシル基)である;
Uは酸素、−NHまたは−NR’’’である;
R’’’は必要に応じて置換されたC1〜30−ヒドロカルビルである;
YはC2〜4−アルキレンオキシである;
Tは置換された酢酸またはプロピオン酸の残基である;
Zはポリアミンおよび/またはポリイミンの残基である:
Wは酸化物、尿素もしくは二塩基酸またはその無水物の残基、あるいはその混合物である;
xは2から90である;
vはR−U−(Y)−T−基を有しないZにおけるアミノ基および/またはイミノ基の最大限利用できる数を表しており(すなわち、vはZの置換されていない価数である)、そして0−vは0+vを意味する。
【0009】
Zはポリアミンおよび/またはポリイミンの残基であるので、典型的にZに結合するR−U−(Y)x−T−基は2つより多く、そしてこれらは同じであっても異なってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は上記のような組成物を提供する。
【0011】
一つの実施形態において、Rはアリール、アラルキル、アルカリール、シクロアルキルまたはアルキルを含むヒドロカルビルであり、そして直鎖または分枝鎖であり得る。
【0012】
一つの実施形態において、Rはアルキルであり、C1〜30、C1〜20、C1〜6またはC1−4−アルキルを含む必要に応じて分枝鎖のアルキルである。一つの実施形態においてRはメチルである。
【0013】
Rが置換されたヒドロカルビルのとき、その置換基はC1〜10−アルコキシ、カルボニル、スルホニル、カルバモイル、スルファモイル、ハロゲン、ニトリル、ウレイド、ヒドロキシル、ウレタンまたはエステル(すなわち、−COO−または−OCO−)である。一つの実施形態においてRは置換されていない。
【0014】
一つの実施形態において、Rはナフチルまたはフェニルを含むアリールである。一つの実施形態において、Rは2−フェニルエチルまたはベンジルを含むアラルキルである。
【0015】
一つの実施形態において、Rはオクチルフェニルまたはノニルフェニルを含むアルカリールである。
【0016】
一つの実施形態において、RはシクロプロピルまたはシクロヘキシルのようなC3〜8−シクロアルキルを含むシクロアルキルである。
【0017】
YがC3〜4−アルキレンオキシで、そして(Y)で表される鎖がエチレンオキシ(−CHCHO−)を含むとき、(Y)の構造はランダムまたはブロックであり得る。エチレンオキシ単位の数は0から9の間または1から9の間または1から8の間である。一つの実施形態では、エチレンオキシ単位の数は0である。
【0018】
(Y)で表される鎖は、C3〜4−アルキレンオキシ繰り返し単位の単独の一つの型を含み得、または二つ以上の異なるC3〜4−アルキレンオキシ繰り返し単位を含み得る。(Y)で表される鎖が二つ以上の異なるC3〜4−アルキレンオキシ繰り返し単位を含むとき、(Y)の構造はランダムまたはブロックであり得る。
【0019】
一つの実施形態において、YはC3〜4−アルキレンオキシ基、−CHCHCHCHO−または−CHCH(CH)CHO−または−CHCH(CH)O−である。もう一つの実施形態において、Yは−CHCHCH(CH)O−または−CHCH(CH−CH)−O−である。一つの実施形態においてYはC3〜4−アルキレンオキシであり、そして(Y)で表される鎖は−CHCHCHCHO−、−CHCH(CH)O−または−CH−CH(CH−CH)−O−からなる。
【0020】
一つの実施形態において、式(1)の化合物はYを−CHCH(CH)O−と定義し、そして(Y)で表される鎖は9個までのエチレンオキシ繰り返し単位を含み得る。
【0021】
一つの実施形態におけるR−U−(Y)−T−基は、ポリアルキレンオキシドの残基である。
【0022】
Zがポリアミンの残基であるとき、それはポリビニルアミンまたはポリアリルアミンを含む。ポリアリルアミンおよび異なる分子量のポリ(N−アルキル)アリルアミンは商業的にNitto Bosekiから入手可能である。異なる分子量のポリビニルアミンはMitsubishi Kaseiから入手可能である。
【0023】
一つの実施形態において、Zはポリイミンの残基であり、そしてポリ(C2〜6−アルキレンイミン)および特にポリエチレンイミン(PEI)を含む。ポリイミンは直鎖または特に分枝鎖であり得る。直鎖のポリエチレンイミンは、例えば、Takeo SaegusaらによるMacromolecules,1972,Vol5,page4470の中で述べられているように、ポリ(N−アシル)アルキレンイミンの加水分解により調製され得る。異なる分子量の分枝鎖のポリエチレンイミンは、商業的にBASFおよびNippon Shokubaiから入手可能である。ポリプロピレンイミンデンドリマーは商業的にDSM Fine Chemicalsから入手可能であり、そしてポリ(アミドアミン)デンドリマーはAldrich Chemical Companyから「Starburst」デンドリマーとして入手可能である。
【0024】
ポリアミン混合物の他の有用な型は、しばしば「ポリアミンボトム」と呼ばれる残留分として残る、上述のポリアミン混合物のストリッピングから生じるポリアミン混合物である。一般的に、アルキレンポリアミンボトムは、約200℃未満に沸騰する、2重量%未満、たいていは1重量%未満を持つ物質として特徴付けられ得る。「E−100」と呼ばれるDow Chemical Company of Freeport,Texasから得られる、そのようなエチレンポリアミンボトムの典型的なサンプルは、15.6℃で1.0168の比重、33.15の窒素重量百分率、および40℃で121センチスト−クスの粘性率を持つ。そのようなサンプルのガスクロマトグラフィ−分析は約0.93重量%の「Light End」(だいたいはおそらくDETA)、0.72重量%のTETA、21.74重量%のテトラエチレンペンタミン、および76.61重量%のペンタエチレンヘキサミンおよびそれより大きい重量を持つサンプルを含む。これらのアルキレンポリアミンボトムは、ピペラジンおよび、ジエチレントリアミンまたはトリエチレンテトラアミンのさらに高次の類似体のような環式の縮合化合物を含む。
【0025】
一つの実施形態におけるポリアミンまたはポリイミンの数平均分子量は300〜650,000、500〜600,000、600〜100,000または1200〜70,000である。ポリエチレンイミンの場合、一つの実施形態における数平均分子量は1,500以上、3,000以上または5,000以上である。
【0026】
Wで表される二塩基酸の残基は、式HOOC−B’−COOHの任意の二塩基酸またはその無水物から誘導され得る。ここで、B’は直接結合または1〜20個の炭素原子を含む二価の有機部分である。B’は必要に応じて置換され得る芳香族、ヘテロ芳香族、脂環式、または脂肪族であり得る。B’が二個以上の炭素原子を含む脂肪族であるとき、それは直鎖または分枝鎖であり得、飽和または不飽和であり得る。一つの実施形態において、B’は非置換である。別の実施形態において、B’は12個以下の炭素原子を含み、そして別の実施形態において、8個以下の炭素原子を含む。
【0027】
B’が芳香族であるとき、それはフェニレンを含む。B’が脂環式であるとき、それはシクロヘキシレンを含む。B’が脂肪族であるとき、それはアルキレンを含む。一つの実施形態において、その二塩基酸はテレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、トリメリト酸、C1〜20−アルケニルまたはアルキルコハク酸である。一つの実施形態においてその二塩基酸はマレイン酸、マロン酸、コハク酸またはフタル酸から誘導される。その二塩基酸が無水物から誘導されるとき、適切な例は無水グルタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸または無水フタル酸から誘導される。
【0028】
二塩基酸またはその無水物の混合物が使用され得る。したがって、Wは一つ以上の異なる二塩基酸または無水物の残基であり得る。一つの実施形態において、Wは単独の二塩基酸または無水物の残基である。同様に、Wは一つ以上の異なる二塩基酸または無水物の残基であり得る。一つの実施形態において、Wは単独の二塩基酸または無水物の残基である。
【0029】
一つの実施形態において、Zで表されるポリアミンまたはポリイミンは同じであっても異なっていてもよい二つ以上のR−U−(Y)−T−基を有する。この型の分散剤は便宜的に式(2)で表され得る。
【0030】
【化3】

ここで、
X−*−*−Xはポリアミンおよび/またはポリイミンである;
QはR−U−(Y)−T−鎖である;および
qは2から2000である。
【0031】
一つの実施形態において、Zで表されるポリアミンまたはポリイミンは二つ以上の異なるポリマー鎖を有し、そして式2aで表される。
【0032】
【化4】

ここで、
X−*−*−XおよびQは上記のように定義される;および
は式R−G(B)−のポリエステル鎖および/またはポリアミド鎖を表す;
は水素または必要に応じて置換されたC1〜50−ヒドロカルビルである;
Gは二価の結合またはカルボニルである;
Bは一つ以上のアミノカルボン酸、一つ以上のヒドロキシカルボン酸、一つ以上のヒドロキシカルボン酸のラクトン、またはその混合物である;
qおよびsは0より大きい正の整数である;
mは2から2000の正の整数である;および
q+sは2から2000である。
【0033】
一つの実施形態において、Gはカルボニルである。また、R−G−は必要に応じて置換されたC1〜50−ヒドロカルビルカルボン酸の残基であり、特に脂肪族基が飽和または不飽和であり得、また直鎖または分枝鎖であり得る、必要に応じて置換されたC1〜50−脂肪族の酸の残基である。
【0034】
一つの実施形態において、Rのために上記で開示されているように、Rは30個以下の炭素原子を含む。
【0035】
−CO−はまた直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和の必要に応じて置換されたカルボン酸の残基であり得、例えばメトキシ酸−酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、2−エチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、2−ブチルオクタン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−オクチルデカン酸および2−デシルテトラデカン酸である。この型の分枝鎖のアルキルカルボン酸はまたIsocarb(ex Condea GmbH)という商用名の下で入手可能であり、そして特定の実施例がIsocarb12、16、20、28、32、34Tおよび36である。
【0036】
が置換されているとき、置換基は一つ以上のエーテル基または二つ以上のエーテル基であり得る。したがって、R−CO−はAkypoTMカルボン酸(ex Kao Chem GmbH)の残基であり得る。特定の例はAkypo LF1、Akypo LF2、Akypo RLM25、Akypo RLM45 CA、Akypo RO20 VGおよびAkypo RO50 VGである。
【0037】
Bを与え得るアミノカルボン酸はアミノ−C2〜20−アルキレン(アルケニレン)カルボン酸またはアミノC1〜20−アルキレンカルボン酸を含む。一つの実施形態において、アルキレン(アルケニレン)基は12個以下の炭素原子を含む。特定の例は11−アミノウンデカン酸、6−アミノカプロン酸、4−アミノ酪酸、β−アラニンまたはサルコシンである。
【0038】
Bを誘導し得るヒドロキシカルボン酸は、ヒドロキシ−C2〜20−アルケニレンカルボン酸またはヒドロキシ−C1〜20−アルキレンカルボン酸を含む。適切なヒドロキシカルボン酸の特定の例はリシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシ吉草酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシデカン酸、4−ヒドロキシデカン酸、10−ヒドロキシウンデカン酸、乳酸またはグリコール酸である。
【0039】
Bはまたβ−プロピオラクトン、必要に応じてC1〜6−アルキルで置換されたε−カプロラクトンおよび必要に応じてC1〜6−アルキルで置換されたδ−バレロラクトンのようなラクトンから誘導可能である。特定の例は、ε−カプロラクトンおよび7−メチル−、3−メチル−、5−メチル−、6−メチル−、4−メチル−、5−テトラ−ブチル−、4,4,6−トリメチル−および4,6,6−トリメチル−ε−カプロラクトンおよびδ−バレロラクトンである。
【0040】
一つの実施形態において、q:sの比率は6:1から1:6である。
【0041】
上記のように、分散剤は塩の形態で存在し得る。分散剤がカルボン酸基を含む場合、その塩はリチウム、カリウムまたはナトリウムのようなアルカリ金属の塩であり得る。あるいは、その塩はアンモニア、アミンまたは四級アンモニウムカチオンで形成され得る。アミンの例はメチルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミンおよびオクタデシルアミンである。その四級アンモニウムカチオンは四級アンモニウムカチオンまたはベンザルコニウムカチオンであり得る。一つの実施形態における四級アンモニウムカチオンは、6〜12個の炭素原子を含む一つまたは二つのアルキル基を含む。その四級アンモニウムカチオンの例は、テトラエチルアンモニウム、N−オクタデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウム;N,N−ジドデシル−N,N−ジメチルアンモニウム、N−ベンジル−N,N,N−トリメチルアンモニウムおよびN−ベンジル−N−オクタデシル−N,N−ジメチルアンモニウムカチオンである。
【0042】
一つの実施形態において、カルボン酸基を含む分散剤は遊離酸の形態にある。
【0043】
vが0である式1の分散剤は色素酸(coloured acid)の塩の形態であり得る。色素酸はスルホン化またはカルボキシル化したフタロシアニン銅またはニッケルのような陰イオン染料であり得、そのフタロシアニンは一分子当たり平均0.5から3個のスルホン酸基、またはスルホン酸基および/またはカルボン酸基を含むジアゾ染料を含む。
【0044】
vが0であるとき、R−U−(Y)−T−基を有しないZにおけるいくつかのアミン/イミン基は、酸または四級化剤との反応により置換されたアンモニウム基に変換され得る。この目的のための適切な試薬は、無機物および塩酸、酢酸、硫酸、アルキルスルホン酸、アルキル硫酸水素またはアリールスルホン酸のような強酸を含む。四級化剤はジメチルサルフェート、塩化ベンジル、塩素、臭素およびヨウ素のようなハロゲン化メチル、ならびにプロパン(またはブタン)スルトンを含む。
【0045】
式(1)の化合物は、当該分野で公知のいかなる方法を用いても作られ得る。ポリアミンおよび/またはポリイミンとの反応の前の式(1)への前駆体は、米国特許第4,713,487号および欧州特許第73545号に記述されている方法により調製され得る。
【0046】
Tがプロピオン酸の残基であるとき、式(1)の化合物は20℃〜70℃、または30℃〜50℃の反応温度で(メタ)アクリロニトリルとともに生成され得る。典型的に、その反応はトルエン溶媒中で起こる。さらに詳細な記述は、式(2)後の特開第2004−89787号で与えられる。
【0047】
ポリアミンおよび/またはポリイミンとの反応は、一つの実施形態において100℃〜200℃の温度で行われる。そのような状況の下では、その反応は塩の形態のみよりも、アミドの形態および塩の形態の混合物を生じる。
【0048】
二塩基酸またはその無水物に関連する反応は、典型的に反応物に対して不活性である有機希釈剤の存在下で行われる。一つの実施形態において、有機希釈剤は反応物に対する溶媒である。その有機希釈剤はハロゲン化された誘導体を含む芳香族または脂肪族であり得る。例はトルエン、塩化ベンゼン、ヘプタンおよび石油エーテル留出物である。典型的に、その反応は有機希釈剤の非存在下で行われる。
【0049】
Wが酸化物の残基であるとき、R−U−(Y)−T−基を有しないZにおけるアミノ基および/またはイミン基の数は、幅広い限界にわたって変化し得る。そのような分散剤は遊離アミノ基および/または遊離イミノ基を含む分散剤を、酸素(または空気)あるいは、過酸化水素または過硫酸アンモニウムのような過酸化物のような酸化物と反応させることで容易に調製される。同様に、Wが尿素の残基のとき、そのような分散剤はまたR−U−(Y)−T−基を有しないZにおける任意の遊離アミノ基および/または遊離イミノ基を尿素と反応させることで、容易に調製され得る。一つの実施形態において、その反応は80℃〜140℃の間の温度の不活性雰囲気下で行われる。
【0050】
Wが二塩基酸またはその無水物の残基である特定の場合、R−U−(Y)−T−基を有しないZにおける大多数のアミノ基および/またはイミノ基は二塩基酸または無水物と反応している。
【0051】
組成物中で存在している粒子状固体は実質的に有機媒体に不溶の任意の無機または有機の固形状物質であり得る。一つの実施形態において、その粒子状固体はピグメントである。
【0052】
適切な固体の例は、溶剤のインクのためのピグメント;ペイントおよび可塑物質のためのピグメント、増量剤および充填剤;分散染料;溶剤の洗浴、インクおよび他の溶剤適用システムのための光学的な光沢剤ならびに繊維助剤;油性のおよび逆エマルジョンのボーリング掘穿泥水のための固体;ドライクリーニング流体における泥および固体の粒子;粒子状の窯業製品;磁性体および磁気記録媒体;複合物質のためのガラス、鋼、炭素、ホウ素のような繊維、および有機媒体における分散剤として適用される殺生物剤、農業化学物質および医薬品、である。
【0053】
一つの実施形態において、その固体は任意のピグメントの認知される等級に由来する有機のピグメントであり、それは、例えば、Colour Index(1971年)の第三版ならびに、次の改訂版およびそれの付録において、「ピグメント」という見出しの下で記述されている。有機のピグメントの例はアゾ、ジスアゾ、縮合されたアゾ、チオインジゴ、インダントロン、イソインダントロン、アントアンソロン(anthanthrone)、アントラキノン、イソジベンゾアントロン、トリフェンジオキサジン(triphendioxazine)、キナクリドンおよびフタロシアニン系列、特にフタロシアニン銅およびその中心がハロゲン化された誘導体、ならびにまた酸、塩基のレーキおよび媒染染料、である。カーボンブラックは、厳密には無機であるが、その分散特性において、より有機のピグメントのような挙動を示す。一つの実施形態において、有機のピグメントはフタロシアニンであり、特にフタロシアニン銅、モノアゾ、ジアゾ、インダントロン、アントアンソロン、キナクドリンおよびカーボンブラックである。
【0054】
無機の固体としてはタルク、カオリン、シリカ、バライトおよびチョークのような増量剤および充填剤;アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素および窒化アルミニウムの混合物、ならびに金属チタン酸塩のような粒子セラミック材料;遷移金属、特に鉄とクロムの磁性酸化物、例えば、ガンマ−Fe,Feおよびコバルトドープされた酸化鉄、酸化カルシウム、フェライト、特にバリウムフェライトのような粒子状の磁性物質;および金属粒子、特に金属の鉄、ニッケル、コバルト、銅およびその合金、が挙げられる。
【0055】
他の有用な固体物質としては殺真菌薬、フルトリアフェン(flutriafen)、カルベンダジム(carbendazim)、クロロタロニル(chlorothalonil)、およびマンコゼブ(mancozeb)が挙げられる。
【0056】
一つの実施形態における本発明の組成物中に存在している有機媒体は、可塑物質であり、そして別の実施形態においては有機液体である。その有機液体は非極性または極性の液体であり得るが、極性の有機液体が典型的に使用される。有機液体に関連して、「極性」という用語により、CrowleyらによるJournal of Paint Technology, Vol.38,1966の中の、「A Three Dimensional Approach to Solubility」という表題の論文の269頁に記述されているように、その有機液体は緩やかな結合から強い結合までを形成することができることが意味される。そのような有機液体は、上述の論文に定義されているように、一般的に5個以上の水素結合を持つ。
【0057】
適切な極性の有機液体の例は、アミン、エーテル、特に低級アルキルエーテル、有機酸、エステル、ケトン、グリコール、アルコールおよびアミドである。そのような緩やかに強い水素結合液体の数多くの特定の例は、Ibert Mellan(1968年にNoyes Development Corporationにより出版される)による「Compatibility and Solubility」という表題の本の39−40頁の表2.14の中で与えられる。そして、これらの液体はすべて本明細書中に使用されているように、極性の有機液体という用語の範囲内にある。
【0058】
一つの実施形態において、極性の有機液体はジアルキルケトン、アルカンカルボン酸およびアルカノールのアルキルエステルであり、特にそのような液体は合計6個までの炭素および合計6個の炭素を含む。極性の有機液体の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジ−イソピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−イソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチル n−アミルケトンおよびシクロヘキサノンのようなジアルキルおよびシクロアルキルケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、プロピオン酸メチル、メトキシプロピルアセテートおよび酪酸エチルのようなアルキルエステル;エチレングリコール、2−エトキシエタノール、3−メトキシプロピルプロパノール、3−エトキシプロピルプロパノール、2−ブトキシエチルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、3−エトキシプロピルアセテートおよび2−エトキシエチルアセテートのようなグリコール、グリコールエステルおよびエーテル;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびイソブタノールのようなアルカノール、およびジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランのようなジアルキルエーテルならびに環式エーテル、が挙げられる。一つの実施形態において、溶媒はアルカノール、アルカンカルボン酸およびアルカンカルボン酸のエステルである。一つの実施形態において、本発明は水性の媒体に実質的に不溶の有機液体に適切である。さらに、当業者は有機液体全体は水性の媒体に実質的に不溶であるという条件では、水性の媒体(グリコール、グリコールエーテル、グリコールエステルおよびアルコール)の少量が有機液体中に存在し得ることを理解する。
【0059】
極性の有機液体として使用され得る有機液体の例は、ペイントやインクのような種々の適用における使用のためのインク、ペイントおよびチップの調製に適切であるような、塗膜形成樹脂である。そのような樹脂の例として、VersamidTMおよびWolfamidTMのようなポリアミド、エチルセルロールおよびエチルヒドロキシエチルセルロースのようなセルロースエーテル、ニトロセルロースおよびセルロースアセテートブチレート樹脂(その混合物を含む)が挙げられる。塗料用樹脂の例としては短油アルキド/メラミン−ホルムアルデヒド、ポリエステル/メラミン−ホルムアルデヒド、熱硬化性アクリル/メラミン−ホルムアルデヒド、長油アルキド、ポリエーテルポリオールおよび、アクリルおよび尿素/アルデヒドのような複合媒体樹脂が挙げられる。
【0060】
その有機液体は、ポリオール、すなわち、2個以上のヒドロキシ基を持つ有機液体であり得る。一つの実施形態において、ポリオールとしてはα−ωジオールまたはα−ωジオールエトキシレートが挙げられる。
【0061】
一つの実施形態において、非極性の有機液体は、脂肪族基、芳香族基またはその混合物を含む化合物である。非極性の有機液体としてはハロゲン化されていない芳香族炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレン)、ハロゲン化された芳香族炭化水素(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン)、ハロゲン化されていない脂肪族炭化水素(例えば、完全に飽和のおよび一部が飽和の6個以上の炭素原子を含む直鎖および分枝鎖の脂肪族炭化水素)、ハロゲン化された脂肪族炭化水素(例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエタン)および天然の非極性の有機物質(例えば、植物油、ヒマワリ油、アマニ油、テルペンおよびグリセリド)が挙げられる。
【0062】
一つの実施形態において、有機液体は全体の有機液体に基づいて、少なくとも0.1重量%または1重量%以上の極性の有機液体を含む。
【0063】
有機液体は必要に応じて、さらに水を含む。一つの実施形態において、有機液体は水を含まない。
【0064】
有機液体が水を含むとき、一つの実施形態において存在している量は、有機液体の量に基づき70重量%以下、50重量%以下、または40重量%以下である。
【0065】
可塑物質は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂であり得る。本発明において有用である熱硬化性樹脂は加熱され、触媒作用を受け、または紫外線にさらすときに、化学反応を起こし、そして比較的不溶解性になる樹脂を含む。熱硬化性樹脂における典型的な反応としては、不飽和二重結合の酸化、エポキシ/アミン、エポキシ/カルボニル、エポキシ/ヒドロキシル、ポリイソシアネート/ヒドロキシ、アミノ樹脂/ヒドロキシ部分に関係する反応、ポリアクリレートのフリーラジカル反応、エポキシ樹脂およびビニルエーテルのカチオン重合、縮合またはシラノールなどが挙げられる。
【0066】
ヒドロキシ官能基(しばしばポリオール)を有するポリマーはアミノ樹脂またはポリイソシアネートと架橋するための熱硬化性システムにおいて広く使用される。ポリオールとしてはアクリルポリオール、アルキドポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリウレタンポリオールが挙げられる。典型的なアミノ樹脂としてはメラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂およびグリコルリル(glycoluril)ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。ポリイソシアネートは2個以上のイソシアネート基を有する樹脂であり、それは単量体の脂肪族ジイソシアネート、単量体の芳香族ジイソシアネート、およびそれらのポリマーを含む。典型的な脂肪族のジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび水素添加されたジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。典型的な芳香族イソシアネートとしては、トルエンジイソシアネートおよびビフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0067】
一つの実施形態において、熱可塑性の樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、セルロースおよびセルロース誘導体が挙げられる。上記組成物は、いくつかの方法で調製され得るが、溶融混合および乾燥固体混合が典型的な方法である。
【0068】
望ましくは、その組成物は他の成分、例えば、樹脂(これらがすでに有機媒体を構成しない場合)、結合剤、流動化剤(fluidizing agent)、反沈降剤(anti−sedimentation agent)、可塑剤、界面活性剤、消泡剤(anti−foamer)、レオロジ−調節剤(modifier)、均染剤(leveling agent)、光沢調節剤および保存剤、を含み得る。
【0069】
その組成物は、典型的に、1重量%〜95重量%の粒子状固体を含み、その正確な量は固体の性質に依存し、そしてその量は固体の性質ならびに固体および極性の有機液体の相対的な密度に依存している。例えば、その固体が有機のピグメントのような有機物質である組成物は、一つの実施形態において15重量%〜60重量%の固体を含む。一方、その固体が無機のピグメント、充填剤または増量剤のような無機物質である組成物は、組成物の合計の重量に基づき、一つの実施形態において40重量%〜90重量%の固体を含む。
【0070】
その組成物は、分散剤を調製するために公知のいかなる従来の方法を用いても調製され得る。したがって、固体、有機媒体および分散剤は任意の順序で混合され得る。次に、その混合物は、分散物が形成されるまで、例えばボールミル粉砕(ball mill)、ビーズ粉砕(bead mill)、砂利粉砕(gravel mill)、またはプラスチック粉砕(plastic mill)により、固体の粒子を適切なサイズに減少させるため機械的処理を受ける。あるいは、その固体は、その粒径を有機媒体もしくは分散剤と独立して、または混合して減少させるために処理され得、次に他の成分(単数または複数)が加えられ、そしてその混合物が組成物を提供するために攪拌される。
【0071】
本発明の組成物は、特に液体の分散物に適している。一つの実施形態において、そのような分散物の組成物は
(a)0.5部から30部の粒子状固体
(b)0.5部から30部の式(1)の化合物;および
(c)40部から99部の有機液体;ここですべての部分は重量で、その合計(a)+(b)+(c)=100である。
【0072】
一つの実施形態において、成分a)は0.5部から30部のピグメントを含み、そのような分散物は液体のインク、ペイントおよびミルベースとして有用である。
【0073】
組成物が粒子状固体および乾燥型の式(1)の分散剤を含むことが必要とされるならば、有機液体は典型的に揮発性であり、そのため蒸発のような簡単な分離方法によって粒子状固体から容易に取り除かれ得る。一つの実施形態において、その組成物は有機液体を含む。
【0074】
乾燥組成物が本質的に式(1)の分散剤および粒子状固体からなるとき、それは粒子状固体の重量に基づき典型的に、少なくとも0.2重量%、少なくとも0.5重量%以上または少なくとも1.0重量%の式(1)の分散剤を含む。一つの実施形態において、乾燥組成物は粒子状固体の重量に基づき、100重量%以下、50重量%以下、20重量%以下または10重量%以下の式(1)の分散剤を含む。
【0075】
上記に開示されているように、本発明の組成物は、式(1)のための化合物およびその塩の存在下で粒子状固体が有機液体中に粉砕化されるミルベースの調製に適切である。
【0076】
したがって、本発明のさらなる局面にしたがって、粒子状固体、有機液体ならびに式(1)の化合物およびその塩を含むミルベースが提供される。
【0077】
典型的に、ミルベースはミルベースの合計の重量に基づき、20重量%から70重量%の粒子状固体を含む。一つの実施形態において、粒子状固体は10重量%以上、または20重量%以上のミルベースである。そのようなミルベースは必要に応じて粉砕化の前または後のどちらかに加えられる結合剤を含み得る。
【0078】
その結合剤は有機液体の揮発に関して組成物を結合する能力がある重合体物質である。
【0079】
結合剤は天然物質および合成物質を含む高分子物質である。一つの実施形態において、結合剤としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、アルキド、セルロースのようなポリサッカリド、およびカゼインのような天然のタンパク質が挙げられる。一つの実施形態において、その結合剤は粒子状固体の量に基づき、100重量%より高く、200重量%より高く、300重量%より高く、または400重量%より高く組成物中に存在している。
【0080】
ミルベース中の任意の結合剤の量は幅広い限界にわたって変化し得るが、典型的にミルベースの連続的な/液体の相の10重量%以上、およびしばしば20重量%以上である。一つの実施形態において、結合剤の量はミルベースの連続的な/液体の相の50重量%以下、または40重量%以下である。
【0081】
ミルベース中の分散剤の量は、粒子状固体の量に依存しているが、典型的にミルベースの0.5重量%〜5重量%である。
【0082】
本発明の組成物から作られる分散物およびミルベースは特に、コーティングおよびペイント、特に高固形物ペイント;インク、特にフレキソ印刷、グラビア印刷およびスクリーンインク(screen ink);非水性セラミックプロセス、特にテープコーティング、ドクターブレード、押し出しおよび射出成形プロセス;複合物、化粧品、接着剤および可塑物質、における使用のために特に適切である。
【0083】
したがって、本発明のさらなる局面にしたがって、粒子状固体、有機液体、結合剤、ならびに式(1)の化合物およびその塩を含むペイントまたはインクが提供される。
【0084】
上記に述べたように、式(1)の分散剤の多くは新規である。
【0085】
本発明のさらなる局面にしたがって、Zが1500以上の数平均分子量を持ち、そしてvが0であるポリアミンおよび/またはポリイミンである式(1)の化合物およびその塩が提供される。
【0086】
一つの実施形態において、YがC3〜4−アルキレンオキシであり、(Y)で表される鎖が9個までのエチレンオキシ繰り返し単位数を含み得、そしてZが1200以上の数平均分子量をもつポリアミンおよび/またはポリイミンである式(1)の化合物およびその塩が提供される。
【0087】
本発明はさらに次の実施例により説明される。ここで、すべての量への言及は、逆に示されない限り、重量部である。
【実施例】
【0088】
(実施例1)
中間体1
ポリアルコキシレート(MeO+20PO+9EO)(50g 30.6mmol)、水酸化カリウム(KOH)(15.48g 270mmol)およびトルエン(140ml)を、30分間にわたって窒素雰囲気下で120℃で攪拌する。次にクロロ酢酸ナトリウム(8.94g 76mmol)を注意深く加え、その反応を18時間にわたって120℃で持続させ、そして100℃未満に冷却させる。水(20g)を加え、そしてその反応混合物をさらに30分間にわたって85℃で攪拌した。次に、その溶液のpHを濃塩酸(HCl)を用いてpH2に調整する。その後、23%の塩化ナトリウム(NaCl)水溶液(50ml)を加え、そして一時間にわたって攪拌することでその混合物を90℃まで熱する。次に、水層を分離する。トルエン抽出物を、さらに23%の塩化ナトリウム(NaCl)水溶液(50ml)を用いて洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)を用いて乾燥させ、濾過し、そしてその溶媒を減圧のもと除去し、琥珀色の液体(44g)を得る。IRはνmax1738cm−1のカルボン酸のカルボニル基の存在を示している。酸価=32.4mg KOH/g。これが中間体1である。
【0089】
中間体2
水素化ナトリウム(2.3g 油内66%)をジエチルエーテル(75mlおよび2×25ml)を用いて洗浄し、次にポリアルコキシレート(メトキシポリプロピレングリコール MW1900)(100g 52.6mmol)を加え、そしてその混合物を2時間にわたって窒素雰囲気下で100℃で攪拌する。クロロ酢酸ナトリウム(7g 60mmol)を注意深く加え、その反応を、5時間にわたって120℃で持続させ、その後100℃未満まで冷却する。その混合物に水(700ml)を加え、そしてその反応混合物を45分間にわたって50℃で攪拌し、エマルジョンを得る。そのエマルジョンのpHを、2MのHCL(75ml)を用いてpH2に調整する。50℃で45分間攪拌した後、そのエマルジョンを油相および水相に分離させる。油相はトルエン(750ml)を用いて抽出する。トルエン抽出物を、さらに水(2×200ml)を用いて洗浄し、MgSOを用いて乾燥させ、濾過する。その後、その溶媒を減圧のもと除去し、琥珀色の液体(76g)を得る。IRはνmax1738cm−1のカルボン酸のカルボニル基の存在を示している。酸価は27.6mg KOH/gである。これが中間体2である。
【0090】
中間体3
中間体3を作る方法は、試薬が水素化ナトリウム(3.43g 油内66%)、ジエチルエーテル(75mlおよび2×25ml)、ポリアルコキシレート(メトキシポリプロピレングリコール MW1300)(100g 76.9mmol)およびクロロ酢酸ナトリウム(10.15g 87mmol)である点を除き、中間体2と同じである。その生成物は琥珀色の液体(100g)である。IRはνmax1738cm−1のカルボン酸のカルボニル基の存在を示している。酸価は33.4mg KOH/gである。
【0091】
中間体4
ポリアルコキシレート(2−ナフトール+10PO+9EO)(50g 30.6mmol)、KOH(15.48g 270mmol)およびトルエン(140ml)を120℃で窒素雰囲気下で30分間にわたって攪拌する。クロロ酢酸ナトリウム(8.94g 76mmol)を注意深く加え、その反応を120℃で18時間持続させ、次に100℃未満に冷却させた。次に水(20g)を加え、そしてその反応混合物を溶液を形成するまで、30分間にわたって85℃で攪拌する。その溶液のpHを濃塩酸を用いてpH2に調整する。その後、23%のNaCl水溶液(50ml)を加え、そして一時間にわたって攪拌することでその混合物を90℃まで熱する。水層を分離する。トルエン抽出物をさらに23%のNaCl水溶液(50ml)を用いて洗浄し、MgSOを用いて乾燥させ、濾過し、そして次にその溶媒を減圧下で除去し、琥珀色の液体(44g)を得る。IRスペクトルはνmax1738cm−1のカルボン酸のカルボニル基の存在を示している。酸価=56.1mg KOH/g。これが中間体4である。
【0092】
中間体5
中間体3を作る過程は、試薬が水素化ナトリウム(12.9g 油内66%)、ジエチルエーテル(75mlおよび2×25ml)、ポリアルコキシレート(メトキシポリプロピレングリコール MW700)(200g 286mmol)およびクロロ酢酸ナトリウム(38.17g 328mmol)である点を除き、中間体2と同じである。その生成物は琥珀色の液体である(100g)。IRはνmax1738cm−1のカルボン酸のカルボニル基の存在を示している。酸価は67.3mg KOH/gである。
【0093】
分散剤1:中間体1:PEI SP200の比が13:1である中間体1のポリエチレンイミン誘導体
中間体1(26g)を2gのPEI SP200(ポリエチレンイミン、ex Nippon Shokubai MW10000)とともに窒素雰囲気下で120℃で6時間にわたって攪拌し、冷却すると琥珀色の粘着性の液体(26g)を得る。酸価=22.2mg KOH/g。これが分散剤1である。
【0094】
分散剤2:中間体1:PEI SP200の比が7:1である中間体1のポリエチレンイミン誘導体
中間体1(17g)をPEI SP200(2.42g)とともに窒素雰囲気下で120℃で6時間にわたって攪拌し、冷却すると粘着性の琥珀色の液体(18g)を得る。酸価=23.3mg KOH/g。これが分散剤2である。
【0095】
分散剤3
分散剤3はPEI SP012(2.5g)とともに、17.5gの中間体2を窒素雰囲気下で140℃で4時間にわたって攪拌することで調製され、冷却するとクリーム状の固体(19g)を得る。酸価は4.1mg KOH/gである。
【0096】
分散剤4
分散剤4はPEI SP012(7g)とともに、14gの中間体2を窒素雰囲気下で120℃で6時間にわたって攪拌することで調製され、冷却すると琥珀色の粘着性の液体(20g)を得る。酸価は9.5mg KOH/gである。
【0097】
分散剤5
分散剤5はPEI SP012(2.5g)とともに、17.5gの中間体3を窒素雰囲気下で120℃で6時間にわたって攪拌することで調製され、冷却すると茶色の液体(26g)を得る。酸価は13.6mg KOH/gである。
【0098】
分散剤6
分散剤6はポリアリルアミン MW17000(10gの20%水溶液)ともに、26gの中間体4を窒素雰囲気下で120℃で6時間にわたって攪拌することで調製され、冷却すると琥珀色の固体(26g)を得る。酸価は50.7mg KOH/gである。
【0099】
分散剤7
分散剤7はPEI SP075(1.33g)とともに、20gの中間体4を窒素雰囲気下で120℃で6時間にわたって攪拌することで調製され、冷却すると琥珀色の粘着性の液体(20g)を得る。酸価は39.3mg KOH/gである。
【0100】
分散剤8
分散剤8は20mlのトルエンおよび無水コハク酸(0.26g)の存在下で、16gの中間体4を2時間にわたって70℃で撹拌することで調製される。その溶媒はIRスペクトルにより、120℃に熱することで、無水物の官能基がごく僅かである/全くないことを確認するとき、その混合物から蒸発され得る。その生成物の酸価は51mg KOH/gである。
【0101】
分散剤9
分散剤9はPEI SP012(5g)とともに、15gの中間体5を窒素雰囲気下で120℃で6時間にわたって攪拌することで調製され、冷却すると琥珀色の粘着性の液体(18g)を得る。その生成物は18.9mg KOH/gの酸価を持つ。
【0102】
分散剤10
分散剤10はPEI SP012(2.5g)とともに、17.5gの中間体5を窒素雰囲気下で120℃で6時間にわたって攪拌することで調製され、冷却すると琥珀色の粘着性の液体(18g)を得る。酸価は13.9mg KOH/gである。
【0103】
比較例1は、米国特許第4,645,611号に記述されているように、ポリエチレンイミンと反応し、ラウリル酸で末端をキャップされたポリ(ε−カプロラクトン)である。
【0104】
比較例2は、分散剤の非存在下で調製されたミルベース(mill base)である。
【0105】
ミルベースの調製
一連のマゼンタのミルベースを分散剤1から2ならびに比較例1および2を利用することで調製する。ミルベースは7.55gのMPA:ブタノールの比が4:1である溶媒混合物の中に分散剤1または2(0.45g)を溶解させることで調製される(MPA=メトキシプロピルアセテート)。ガラスビーズ(3mm、17部)およびMonolite Rubine 3B(ex Heubach 2.0部)を加え、その混合物を16時間にわたって水平撹拌機で撹拌した。次に、その結果生じた分散物を、AからE(良いから悪い)の任意のスケールを用いて流動性を評価した。その分散剤のために得られた粉砕化等級および比較例を次の表に示す。
【0106】
【化5】

上記内容を言及している各書類は、本明細書中に参考として援用される。実施例の中または他に明瞭に示される場合を除き、物質の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを明記している本明細書におけるすべての数量は、「約」という用語で修正されるものとして理解されるべきである。他に示されない限り、本明細書中において言及される各化学物質または組成物は、異性体、副生成物、誘導体、および通常は商業的な等級にあると理解されている他のそのような物質を含み得る商業的な等級の物質として理解される。しかしながら、各化学成分の量は、他に示されない限り、通常商業的な物質であり得る任意の溶媒または賦形剤の油を除いて示される。本明細書中に述べられる上位または下位の量、範囲、および割合の限界は独立して組み合わされ得る。同様に、本発明の各要素のための範囲および量は、他の任意の要素のための範囲または量とともに使用され得る。本明細書中に使用されているように、「本質的になる」という表現は、考慮中の組成物の基本的かつ新しい特性に物質的に影響を与えない物質を含むことを許容する。
【0107】
本発明は、その好ましい実施形態に関連して説明されるが、その種々の改変は本明細書を読むことで当業者に対して明白になると理解されるべきである。したがって、本明細書中において開示される本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれるような改変を網羅するに意図されたものであると理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状固体、有機媒体および/または水、ならびに式(1)の化合物およびその塩を含む組成物であって、該組成物において
【化1】

RはHまたは必要に応じて置換されたC1〜30−ヒドロカルビルであるか;またはRはR”C=O(R”が水素、アルキル、アリールまたは必要に応じて置換されたアルキルもしくはアリールであるアシル基)である;
Uは酸素、−NHまたは−NR’’’である;
R’’’は必要に応じて置換されたC1〜30−ヒドロカルビルである;
YはC2〜4−アルキレンオキシである;
Tは置換された酢酸またはプロピオン酸の残基である;
Zはポリアミンおよび/またはポリイミンの残基である:
Wは酸化物、尿素もしくは二塩基酸またはその無水物の残基、あるいはその混合物である;
xは2から90である;
vはR−U−(Y)−T−基を有しないZにおけるアミノ基および/またはイミノ基の最大限利用できる数を表す、組成物。
【請求項2】
YがC3〜4−アルキレンオキシであり、および(Y)で表される鎖が9個までのエチレンオキシ繰り返し単位数を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
エチレンオキシ単位数が0である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
YがC3〜4−アルキレンオキシであり、および(Y)で表される鎖は−CHCHCHCHO−、−CHCH(CH)O−または−CHCH(CH−CH)−O−である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
Wがマレイン酸、マロン酸、コハク酸およびフタル酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水コハク酸および無水フタル酸からなる群より独立して誘導される残基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
Zで表される官能基がポリエチレンイミンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記有機媒体が有機液体または可塑物質である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記有機液体が、有機液体全体に基づき、少なくとも0.1重量%の極性の有機液体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記粒子状固体がピグメントである、請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−524385(P2008−524385A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546737(P2007−546737)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/043925
【国際公開番号】WO2006/068813
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(506347528)ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド (74)
【Fターム(参考)】