説明

組換えポリペプチドの発現および翻訳後修飾の制御を標的化するための配列の組

本発明は、組換えポリペプチドの翻訳後修飾を制御するのに有用な新しいツールを提供する。これらのツールは、宿主細胞における組換えポリペプチドの合成の間の該組換えポリペプチドの、特異的細胞内コンパートメントへの標的化、および該細胞内コンパートメントでの該組換えポリペプチドの特異的設計を可能とする特定のシグナルペプチドである。これらのシグナルペプチドは本明細書中に開示する配列番号1〜配列番号31である。本発明は、有利には、例えば、組換えポリペプチドの産生の効率を増加させ、組み換えポリペプチドの免疫原性を妨ぎ、およびそれらの天然相当物の正確なコピーである治療的に活性な組換えポリペプチドを得ることを可能とする。本発明は、特に、植物が作成した医薬品(PMP)の再配向の分野に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換えタンパク質産生の分野に関し、さらに詳しくは、小胞体(ER)および/またはゴルジ装置(GA)において翻訳後修飾された組換えポリペプチドを産生する方法に関する。本発明は、組換えポリペプチドの翻訳後修飾を制御するのに有用なツール、より一般的には、植物遺伝子的修飾のためのDNA操作ツールを提供する。また本発明は、これらのツールに関連する組換えポリペプチドを産生するためのプロセスも提供する。
【0002】
本発明のツールは、宿主細胞におけるその合成の間の組換えポリペプチドの特異的細胞内コンパートメントへのソーティングを可能とする、および該細胞内コンパートメントでの該組換えポリペプチドの特異的設計も可能とする標的化シグナルを含む。本発明は、有利には、例えば、組換えポリペプチドの産生の収率の増加、組換えポリペプチドの免疫原性の制限または予防、およびそれらの天然相当物の正確なコピーである治療的に活性な組換えポリペプチドの入手を可能とする。
【0003】
本発明は、特に、植物が作成した医薬品(PMP)の再配向の分野に関する。
また、本発明は、標的化シグナルと融合された単一鎖可変断片(ScFv)とのタンパク質相互作用を用いる植物作成医薬品の免疫標的化の分野にも関する。
【0004】
また、本発明は、植物作成医薬品の翻訳後修飾に関与する植物酵素の再配向の分野にも関する。
また、本発明は、植物作成医薬品の翻訳後修飾に関与する異種酵素の再配向の分野にも関する。
【背景技術】
【0005】
組換えDNA技術は、宿主系における異種組換えタンパク質の産生を可能とした。初期の研究の大部分は原核生物宿主、主に、大腸菌(Escherichia coli)における組換え治療的タンパク質の発現に向けられていた。産生系としての原核生物の利点は、それらを遺伝子的に操作することができる容易性、それらの迅速な成長、および組換えタンパク質の高発現レベル、ならびに大規模な発酵の可能性である。
【0006】
しかしながら、シグナルペプチド切断、プロペプチドプロセッシング、タンパク質フォールディングすなわち折畳み、ジスルフィド結合形成およびグリコシル化を含めたいくつかの翻訳後修飾(PTM)を原核生物において行うことはできないであろう。その結果、原核生物で産生された複雑な治療タンパク質は、所望の程度の生物学的活性を提供するように常に適切に折り畳まれるとは限らないか、またはプロセッシングされるとは限らない。その結果として、微生物発現系は、一般には、生物学的に活性となるように、折畳みや広範な翻訳後プロセッシングを必要としない、インスリン、インターフェロンまたはヒト成長ホルモンのような比較的単純な治療タンパク質の発現に用いられてきた。
【0007】
治療タンパク質の産生のための原核生物が制限されているため、バイオテクノロジー産業は、哺乳動物細胞培養、酵母、真菌、昆虫細胞、およびトランスジェニック動物のような真核生物宿主にその努力を注いできた。しかしながら、これらの産生系は、高価な発酵、低い収率、分泌の問題、高操作コスト、大容量への拡大の困難性、およびウイルスまたはプリオンによる汚染可能性のような種々の欠点を有する(Gomord et al.2004(参考文献23))。
【0008】
植物細胞および植物浮遊培養細胞は、良好な代替法、すなわち、有利なコスト、ヒトに対する病原性汚染が無い、を表わすことができる(Gomord et al.2004(参考文献23))。
【0009】
しかしながら、全ての真核生物細胞の主な問題の1つに、不適切な転写後修飾(PTM)がある。
事実、治療タンパク質の大部分は、遺伝子からの遺伝的情報が、機能的遺伝子産物の形成を指令する最終工程であるいくつかのPTMを受ける。
【0010】
本明細書中においては、用語「PTM」は、個々のアミノ酸残基の誘導体を生じる共有結合修飾、例えば、グリコシル化、リン酸化、メチル化、ADP−リボシル化、酸化および糖化、ポリペプチド骨格に関連する反応によるタンパク質分解プロセッシング、および脱アミド化、ラセミ化のような非酵素修飾、およびタンパク質立体配座の自然な変化を網羅する。
【0011】
PTMのほとんどは、真核生物細胞における内膜系の存在に依存する。分泌経路は、添付の図1に表わされるように、小胞体(ER)、ゴルジ装置(GA)、トノプラスト、リソソームコンパートメント、原型質膜、および細胞外媒体から構成される。最近の研究は、初期コンパートメント(ERおよびGA)が、恐らくは、膜連続体から構成されることを示している(図1参照。ERおよびゴルジ連続体のドメインを以下に示す。
【表1】

)。しかしながら、ERにおける、ERおよびGAの間の、およびゴルジにおけるタンパク質輸送の詳細な研究によると、タンパク質が植物細胞では酵素的に区別される4つのドメインにサブコンパートメント化されることを示されている(図1参照:ドメイン青色、黄色、緑色およびオレンジ色)。
【0012】
血液タンパク質、サイトカイン、免疫グロブリン、構造タンパク質、(成長)ホルモン、ワクチン、酵素およびリソソームタンパク質を含めたほとんどの治療タンパク質は、ERのルーメンに同時翻訳によって挿入され、次いで、GAを介してリソソームコンパートメント、細胞外マトリックスまたは血流に輸送される。治療タンパク質のほとんどの修飾は、その初期コンパートメント(ERおよびGA,Gomord and Faye,2004(参考文献21)参照)を除いて分泌経路で起こる。
【0013】
例えば、凝固第IX因子は、ERにおいて461アミノ酸の前駆体分子として合成されたビタミン−K−依存性糖タンパク質である。生物学的に活性な第IX因子を得るためには、この前駆体は、シグナルペプチドおよびプロペプチドの切断、ジスルフィドブリッジの形成、最初の12のグルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、アスパルテート64の部分的β−ヒドロキシル化、アスパラギン(Asn)157およびAsn167におけるN−結合グリコシル化、セリン(Ser)63、Ser61、スレオニン(Thr)159、Thr169、Thr172およびThr179におけるO−結合グリコシル化、チロシン(Tyr)の硫酸化、およびSer158のリン酸化を含めた、ERにおける、およびGAにおける広範な翻訳後修飾を受ける。これは、これまでに観察された治療タンパク質の最も複雑な成熟化の1つである。
【0014】
より一般的には、ほとんどの治療タンパク質は、それらの生物活性、薬物動態、安定性および溶解性のために少なくともタンパク質切断およびグリコシル化を必要とする。
真核生物細胞はそれらの修飾のほとんどを実現することができる。しかしながら、これらの成熟はより一般的には宿主系に特異的である。さらに、翻訳後修飾は植物細胞に対して哺乳動物細胞とは異なる。植物では、他の真核生物細胞におけるように、N−グリコシル化はERにおいて開始し、可能なN−グリコシル化配列であるAsn−X−Ser/Thrを構成する特異的アスパラギン残基へオリゴ糖前駆体(Glc3Man9GlcNAc2)が同時翻訳付加される。一旦生じて間もないタンパク質上に移動すれば、分泌された糖タンパク質が分泌経路に沿って輸送される間に、オリゴ糖前駆体は、添付の図2に模式的に示されたようにERおよびGAにおける糖残基の除去または付加に関連するいくつかの成熟を受ける。植物および哺乳動物N−グリカン成熟が異なるのは後期GAにおいてのみであり、この結果、PMPのN−グリカンにおけるα−(1,6)−結合フコース、β(1,4)−結合ガラクトースおよびシアル酸の不存在、および分岐β(1,2)−キシロースおよびコアα−(1,3)−フコースの存在を生じさせる(添付の図2参照)。
【0015】
ここでは、異種発現系における同時翻訳および翻訳後成熟を制御できることは非常に重要である。
植物ER−存在タンパク質の構造分析は、かかるタンパク質が主として高マンノース型のN−グリカンを備えていることを示している(Navazio et al.,1997(参考文献41),1998(参考文献42);Pagny et al.,2000(参考文献49))。これらのオリゴ糖構造は植物および哺乳動物に共通しており、従って、免疫原性ではない。この観察は、β−(1,2)−キシロース、またはα−(1,3)−フコースのような免疫原生残基の植物作成医薬品(PMP)N−グリカンへの会合を妨げる戦略を示唆している。この戦略は、ER内での、すなわち、免疫原生グリコエピトープが付加されて植物N−グリカンを複合体化するゴルジ嚢の上流での組換えタンパク質の貯蔵にある。まず、組換え可溶性タンパク質のC末端におけるH/KDEL配列の付加が植物ERにおけるその保持で十分であることが示された(Gomord et al.,1997(参考文献24),1999(参考文献22),Saint−Jore−Dupas et al.,et 2004(参考文献57))。
【0016】
同一の戦略を用い、我々は、H/KDEL−ER保留配列を、2つの異なる抗体の重鎖および軽鎖双方に融合させた。これらの抗体は専ら非免疫原生高マンノース型のN−グリカンを表わし(Sriraman et al.,2004(参考文献59);Petrucelli et al.,2006(参考文献51))、α−マンノシダーゼIのような、ERおよびシスゴルジに局在化された酵素に制限されたグリカン成熟に基づく非常に有効な再循環を示す(Nebenfuhr et al.,1999(参考文献43))。従って、ER保留シグナルへの融合を通じて免疫原性N−グリカンのPMPへの会合の防止が可能である。
【0017】
対照的に、植物ERにおいて膜結合タンパク質を維持する役割を担う分子シグナルについてはほとんど知られていない。
事実、少数の研究のみによってC末端ジリシンモチーフの役割(Barrieu and Chrispeels,1999(参考文献3);Benghezal et al,2000(参考文献4);McCartney et al.,2004(参考文献35);Reyes et al,2006(参考文献53))、膜貫通ドメイン(TMD)の長さ(Brandizzi et al.,2002a(参考文献9))または芳香族アミノ酸豊富化ER検索シグナル(McCartney et al.,2004(参考文献35))が提供されている。α−グルコシダーゼIは、生じたばかりの糖タンパク質上のオリゴ糖前駆体の移動「エンブロック」の直後に該オリゴ糖前駆体から末端側α−
(1,2)−結合グルコース残基を特異的に除去することによってN−結合オリゴ糖前駆体の成熟に関与する、最初の酵素である(図2参照)。機能、および、結果として、ERにおけるこのII型膜タンパク質の位置は、必須である。事実、哺乳動物細胞では、かかるタンパク質が新生児で欠損していると、重度の全般性低血圧症および形成異常特徴を誘導し、74日齢において致死に至る(De Praeter et al.,2000(参考文献14))。
【0018】
グリコシル化とは別に、分泌経路の下流のタンパク質移動は、典型的には、標的化シグナルおよび調節ペプチド切断のような特異的タンパク質分解プロセッシングを受ける。N−グリコシル化に関しては、文献における最近の証拠は、分泌経路におけるタンパク質分解成熟は植物と哺乳動物細胞で同様であることを示唆している。これらの成熟は内因性タンパク質および組換えタンパク質の双方のプロセッシングに必須であるが、それらは、安定した一体的ポリペプチドの高収率産生を大きな課題とする。これらのタンパク質分解成熟も、タンパク質が蓄積される細胞内コンパートメントに依存する(Faye et al.,2005(参考文献17))。
【0019】
分泌経路を通じて輸送される多くの植物タンパク質は、まず、生成直後のポリペプチド鎖を小胞体に向けるN末端切断可能シグナルペプチド、またはプレ領域、およびその最終細胞目的地への転位置、および該目的地での処理の前に、成熟タンパク質の安定化、標的化、阻害および/または折り畳みに関与する調節プロ(ポリ)ペプチド、またはプロ領域を含めた、(以下の記載において「翻訳後に修飾されていない」とも呼ばれる)プレプロタンパク質として合成される。シグナルペプチダーゼによるそれらのシグナルペプチドの除去後、タンパク質はERルーメンに放出されて、適切に組み立てられ、かつ折り畳まれ、次いで、GAに転位置され、結局は、さらに下流へ分泌系の異なるコンパートメントまで転位置される。
【0020】
多くの植物タンパク質はERをプロタンパク質として残し、プロ領域は分泌経路を通ってそれらの経路に沿って下流でタンパク質分解により切断される。これは、特異的プロテアーゼによって空胞へのそれらの輸送の間にまたはその後に除去される、CまたはN末端切断可能ソーティングシグナルを有する多くの空胞タンパク質の場合に当てはまる。空胞および細胞壁に見出されるAsn特異的システインプロテイナーゼは、特に、2Sアルブミンおよび11Sグロブリンのような種子貯蔵タンパク質や、感染特異的タンパク質、キチナーゼ、グルカナーゼ、レクチン、および創傷誘導性プロテイナーゼ阻害剤のような抗微生物または摂食抑制/抗消化活性を有するタンパク質を含めたいくつかの分泌タンパク質のプロセッシングに関与するであろう。哺乳動物細胞では、多数の分泌タンパク質は、まず、不活性プロタンパク質前駆体として合成され、次いで、分泌経路を移動しつつ可溶性または膜結合プロテアーゼによって翻訳後にプロセッシングされる。
【0021】
多くの場合、限定されたタンパク質分解によるタンパク質前駆体の活性化が、スブチリシン様プロタンパク質コンバターゼ、細菌スブチリシンおよび酵母ケキシンと構造的に同様な酵素のファミリーによって行われる。著名なフューリンおよび二塩基性特異的ケキシン様プロテアーゼを含めた哺乳動物プロタンパク質コンバターゼは、一般に、コンセンサス配列(Arg/Lys)−Xn−(Arg/Lys)においてタンパク質前駆体を切断し、ここでXはCysを除くいずれかのアミノ酸であり、n=0、2、4または6である。イン・ビボにおいては、トランスゴルジネットワークで通常見出されるこれらの酵素が、種々のタンパク質前駆体を成熟タンパク質に変換し、それにより、チモーゲン活性化、遺伝子発現、細胞周期、プログラム細胞死、細胞内タンパク質標的化、および内分泌/神経機能のような重要なプロセスの微調整に直接的または間接的に貢献する。
【0022】
実際、植物における動物プロタンパク質のそれらの生物学的に活性な形態への正しいプ
ロセッシングを示すいくつかの例が提供されている。興味深い例がヒトプロコラーゲンについて提供されており、タバコ細胞でかかるコラーゲンがそのC−およびN末端プロペプチドの切断後に成熟タンパク質に変換されたことが示された。Lienard et al.,2006(参考文献32)。
【0023】
ナス科のタンパク質プロセッシング酵素についての最近の研究によって示されているように、哺乳動物プロセッシングコンバターゼの機能的ホモログが、植物細胞の分泌経路に沿ったタンパク質成熟に関連付けられている。kex2p様プロテアーゼ活性は、ウイルス抗真菌KP6キラープロトキシンを正確にプロセシング可能なトランスジェニックタバコ系統で起こることが示された。このゴルジに存在するkex2p様コンバターゼは、酵母kex2pの基質特異性の特徴を呈することが示され、これは、トマトからの細胞外プロタンパク質コンバターゼLeSBT1が、プロセッシング酵素の同一サブファミリーに属する哺乳動物コンバターゼSKI−1と同様に区別される特異性を呈するとは対照的であった(Jansik et al,2000(参考文献31);Rautengarden et al.,2005(参考文献52))。
【0024】
より最近では、脂質修飾を受けているタンパク質のC末端テトラペプチド、CAAXモチーフをプロセッシングする酵母および哺乳動物CAAXプロテアーゼの機能的ホモログがアラビドプシスに見出されており、ここでも真核生物細胞の分泌経路に沿ったよく保存されたタンパク質分解プロセスの発生が確認されている(Bracha et al,2002(参考文献7))。
【0025】
実際の見解より、N−グリコシル化の全保存された性質と共に細胞レベルにおけるこれらの保存されたプロセスは、複雑な翻訳後修飾を必要とする生物学的または治療的関連の種々のタンパク質の発現および正確なプロセッシングについての植物システムの潜在能力を強く指摘している。
【0026】
植物においては、α−グルコシダーゼIは、シロイヌナズナ(シロイヌナズナ)胚発生の間の、貯蔵タンパク質の蓄積、プロテインボディーの形成、細胞分化、および細胞壁破壊の基本原理である。α−グルコシダーゼI活性なくしては、シロイヌナズナ種子発生は核心段階でブロックされ(Boisson et al.,2001(参考文献6))、および細胞壁生合成は強く影響される(Gillmor et al.,2002(参考文献19))。
【0027】
特に真核生物宿主では、特に植物細胞では、遺伝子組換えによってタンパク質を生じさせて、設計されたまたは組み換え作成された転写後修飾組換えタンパク質を産生し、例えば、宿主において、それらの天然相当物と実質的に同一であり、かつより少ない可能な免疫原性特性を有する異種タンパク質を発現させて、特にヒトについて治療物質として使用可能とする手段の技術が依然として要望されている。
【0028】
本発明の発明者らは、シロイヌナズナグルコシダーゼIにER保留期間を付与する2つの独立したタイプのシグナルを同定した。GFPに融合させたこのグルコシダーゼの種々の欠失または突然変異を用いて、シロイヌナズナα−グルコシダーゼI(以後、GCSIと命名する)の全長がERに厳格に蓄積され、レポーターをERに標的化するのに十分なサイトゾルテイルに局在化されたArgベースのモチーフを含有することを示した。しかしながら、これらの機能的Argベースのシグナルは全長GCSIをこのコンパートメントに局在化するのに必要とされず、この膜結合ER酵素のステムに第2のシグナルが同定されている。
【0029】
本発明の発明者らは、シロイヌナズナグリコシルトランスフェラーゼにGA保留期間を
付与する3つの独立したタイプのシグナルを同定した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
本発明の目的は、正確には、この要望に対応する有効なツールを提供することである。本発明のツールは、標的化または保留シグナル、およびこれらの標的化シグナルに関連するプロセスの形態である。本発明は、一般には、これらの標的化または保留シグナルを用いた種々の方法による、組換えポリペプチドの翻訳後成熟の修飾をその対象とする。
【0031】
植物酵素またはヒト酵素(例えばグリコシダーゼおよびグリコシルトランスフェラーゼの)の輸送および局在化に対するそれらの多数の研究に基づき、本発明者らは、特に、植物細胞において、ERおよびGAの間の膜タンパク質の分布に特異的に関与する種々のペプチドシグナルを同定した。
【課題を解決するための手段】
【0032】
従って、本発明の第1の態様は、特に植物細胞において、特異的細胞サブコンパートメントにおける組換えポリペプチドの保留を可能とする、特別なペプチドシグナルを提供することである。これらのペプチドシグナルの配列および構造を以下に記載する。本発明のペプチドシグナルは、参照番号配列番号1〜配列番号31で添付の配列表(Sequence Listing)にも列挙される。以後、これらのペプチドシグナルを「保留シグナル配列」または「シグナル配列」または「標的シグナル」または「ペプチドシグナル」という。本発明の範囲における好ましい配列は表1に開示された配列である。
【0033】
本発明の保留シグナル配列は、特に、植物細胞のERおよび/またはGAコンパートメント膜へ組換えポリペプチドを特異的に標的化する。これらの配列はERにおける、および/またはGAの異なるサブコンパートメントにおける、またはERおよび/またはGAの異なるサブコンパートメントでの膜結合形態下での、組換えポリペプチドの保留を可能とする。「標的」または「標的化」とは、本発明のペプチドシグナルに融合されたポリペプチドが、このペプチドシグナルのため、ERおよび/またはGA内に局在化され、すなわち、閉じ込められるであろうことを意味する。
【0034】
組換えポリペプチドの成熟および安定性は、ポリペプチドが蓄積するコンパートメントによって直接的に決定される。例えば、本発明者らは、ERにおける組換えポリペプチドの保留はそれらの安定性を増加させ、およびそれらのN−グリカン成熟を妨げることを示した。また、本発明者らは、膜ポリペプチドとしての可溶性組換えポリペプチドの発現がその安定性を増加させることも示した。最後に、本発明者らは、分泌経路の初期コンパートメントにおける組換えポリペプチドの保留が、該組換えポリペプチドの産生の収率を増加させ、グリカン成熟による免疫原性を妨げることができることを示す。
【0035】
本発明者らは、本発明の適当なシグナルを、達成されその後呈示される種々の目標のために種々の組換えポリペプチドに融合した。従って、本発明のもう1つの態様は、本発明によるペプチドシグナルと、ポリペプチドとを含む、組換えポリペプチドを提供することにあり、ペプチドシグナルはポリペプチドに融合されている。本発明のペプチドシグナルの融合は、ポリペプチドのC末端またはN終末端に存在し得る。換言すれば、該ペプチドシグナルはポリペプチドまたはタンパク質のC末端またはN末端に連結させることができる。
【0036】
本発明によると、組換えポリペプチドは、医薬または農業食品産業において興味を有するいずれの組換えポリペプチドであってもよい。「組換えポリペプチド」は本明細書中においては、「組換えタンパク質」または「ペプチドX」または「標的タンパク質」と命名
することもできる。しかしながら、本発明の方法を開示する場合、例えば、医薬用途で、産生される組換えポリペプチドを示すのに「組換えポリペプチド」を用い;および組換えポリペプチドの成熟プロセス、すなわち、翻訳後修飾に関与するタンパク質を示すのに「組換えタンパク質」を用いるのが好ましい(方法の記載における以下の説明参照)。
【0037】
本発明によると、本明細書中においては、「標的ポリペプチド」とも命名されるポリペプチドは、全て膜治療ポリペプチド、膜タンパク質として発現されても、またはされなくてもよい全ての可溶性治療ポリペプチド、全ての抗体およびその断片であってよい。
【0038】
例えば、組換えポリペプチドは、酵素、抗体またはその部分、レポータータンパク質、ヌクレオチドトランスポーターおよび治療的に活性なポリペプチドを含む群から選択することができる。好ましくは、組換えポリペプチドは可溶性ポリペプチドまたはタンパク質である。
【0039】
本発明で産生することができる治療的に活性なタンパク質の例は、ワクチン、アレルゲン、酵素、血液タンパク質、ホルモン、抗体、抗体由来断片である。好ましくは、治療的に活性なポリペプチドは可溶性である。「治療ポリペプチド」または「治療的に活性なポリペプチド」は本明細書および特許請求の範囲において同一の意味を有する[すなわち膜結合タンパク質の可溶性部分]。
【0040】
本発明によると、組換えポリペプチドが酵素である場合、該酵素は植物または動物酵素であってよい。本発明によると、該酵素は、例えば、グリコシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、プロテアーゼ、キナーゼ、デカルボキシラーゼ、エピメラーゼ、ヌクレオチド−糖トランスポーター、例えば、UDP−糖トランスポーター、GDP−糖トランスポーターまたはCMP−糖トランスポーター、アミド化酵素、および、より一般的には、宿主細胞(例えば植物細胞)のERおよび/またはGAに存在してもしなくてもよいいずれかの成熟酵素よりなる群から選択することができる。グリコシダーゼは、例えば、N−またはO−グリコシル化に関与するものであってよい。グリコシルトランスフェラーゼは、例えば、N−またはO−グリコシル化に関与するものであってよい。酵素の例を以下の表に引用する。
【0041】
【表2】

【0042】
「成熟酵素」とは、宿主細胞において組換えタンパク質の成熟に関与する任意の酵素をいう。
本発明によると、タンパク質が何であっても、それは貯蔵タンパク質またはプロテインボディーに貯蔵されたタンパク質、例えば、ZERA(登録商標)に融合したタンパク質と融合してもよい。これは、宿主細胞における産生後の組換えポリペプチドの回収で興味深い。この点は、本発明のプロセスの記載に照らして以下で議論する。
【0043】
本発明のもう1つの態様は、本発明のペプチドシグナルをコードする核酸配列を提供することにある。配列番号1〜31をコードする核酸配列の例を、参照番号配列番号102〜132で添付の配列表に与える。遺伝暗号の縮合によると、当業者であれば、配列番号1〜31をコードする他の適当な核酸配列が容易に推定されるであろう。
【0044】
本発明のさらなる態様は、本発明による組換えポリペプチドをコードする核酸配列を提供することにある。
本発明のさらなる態様は、本発明による核酸配列を含む核酸ベクターを提供することにある。本発明の核酸ベクターは本発明のペプチドシグナルをコードする核酸配列を含み、該核酸は、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする核酸配列とフレーム内でベクターに導入されて、該ポリペプチドの1つの(または双方の)末端(複数の末端)において「保留シグナル配列」を含有する組換えポリペプチドまたはタンパク質を産生する。
【0045】
いずれかの公知のかつ適当な方法を用いて、これらの核酸および核酸ベクターを構築することができる。例えば、(Gormord et al.,1997(参考文献24)および1998(参考文献25),Pagny et al,2000(参考文献49)および2003(参考文献50),Saint−Jore−Dupas et al 2006(参考文献58))に開示された方法を有利に用いることができる。
【0046】
本発明のさらなる態様は、本発明の少なくとも1つのペプチドシグナルおよび/または本発明の少なくとも1つの組換えポリペプチド(すなわち、本発明のペプチドシグナルを含む)、および/または本発明の組換えポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列、および/または本発明の少なくとも1つの核酸ベクターを含む植物細胞を提供することである。本発明によると、該組換えポリペプチドは同種または異種ポリペプチドであってよい。組換えポリペプチドは前記定義の通りであり得る。
【0047】
任意の公知の適当な方法を用いて、該植物細胞を得ることができる。例えば、(Gormord et al.,1997(参考文献24),1998(参考文献25),Pagny et al,2000(参考文献49)および2003(参考文献50),Saint−Jore−Dupas et al 2006(参考文献58),Saint−Jore et al.,2002(参考文献56)に開示された方法を有利に用いることができる。
【0048】
本発明のさらなる態様は、本発明の少なくとも1つのペプチドシグナル、および/または本発明の少なくとも1つの組換えタンパク質(すなわち、本発明のペプチドシグナルを含む)、および/または本発明の組換えタンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列、および/または本発明の少なくとも1つの核酸ベクターを含む植物を提供することである。本発明によると、該組換えタンパク質は同種または異種タンパク質であってよい。組換えタンパク質は前記した通りである。
【0049】
任意の公知の適当な方法を用いて、該植物を得ることができる。例えば、Saint−JoreDupas et al 2006(参考文献58),Saint−Jore et al,2002(参考文献56)に開示された方法を有利に用いることができる。
【0050】
本発明によると、植物は、組換えタンパク質の産生を可能とする任意の適当な植物であってもよい。例えば、植物はアルファルファ、シロイヌナズナ(Arabidospsis thaliana)、タバコ(タバコ)、ダイズ(Glycine max)、アカナス(Lycopersicon esculentum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、イネ(oriza sativa)、トウモロコシ(zea
maize)、ニセツリガネゴケ(physcomitrella patens)、コウキクサ(Lemna minor)、緑藻、海洋性珪藻(ostreococcus
tauri、phaeodactylum)、クラミドモナス(chlamidomonas reinhardtil)を含む群から選択することができる。
【0051】
本発明によると、植物細胞はこれらの植物のいずれから生じさせてもよいし、または由来してもよい。
本発明者らは、さらに、該組換えポリペプチドの標的化発現のためのベクター設計で形質転換された宿主細胞において、翻訳後修飾された異種ポリペプチドを産生する、第1の方法を提供する。この最初の方法は、添付の図3、行(A)に模式的に表されている。
【0052】
翻訳後に修飾された組換えポリペプチドを産生するためのこの第1の方法は、
−本発明による少なくとも1つの核酸ベクターで細胞をトランスフェクトまたは形質転換する工程であって、該ベクターは、翻訳後修飾されない場合に前記ポリペプチドである組換えタンパク質をコードする工程と、
−該トランスフェクトされた細胞を成長させる工程と、
−翻訳後修飾されたポリペプチドを収穫する工程と、
を含む。
【0053】
本発明によると、該プロセスは、さらに、トランスフェクトまたは形質転換された細胞
を成長させる工程の前に細胞をスクリーニングする工程を含むことができる。当業者によって知られたスクリーニングの任意の方法をも用いることもできる。例えば、顕微鏡での直接的選択によって、電気泳動(SDS page)によって、免疫検出によって、膜トランスフェルトによって等である。該スクリーニングを行うのに有用な方法の例は、例えば、Gomord et al.1997(参考文献24)に開示されている。スクリーニングのこの工程は、本発明に従ってトランスフェクトまたは形質転換されている細胞の選択を可能とする。この工程によって、修飾されたポリペプチドに関する良好な収率が得られる。
【0054】
本発明のプロセスの本開示では、先に述べたように、例えば、医薬用途のために産生されるべき組換えポリペプチドを設計するのに「組換えポリペプチド」を用いるのが好ましく、および組換えポリペプチドの成熟プロセス(すなわち翻訳後修飾)に関与するタンパク質を設計するのに「組換えタンパク質」を用いるのが好ましい(第2の方法の記載において以下の説明参照)。
【0055】
この方法によって、組換えポリペプチドに融合した本発明のペプチドシグナルをコードする核酸ベクターの使用は、ERおよび/またはGAの異なるサブコンパートメントにおける、自由な、または膜結合形態下での組換えポリペプチドの保留を可能とする。先行技術の方法での組換えポリペプチドで観察された異種性の一部は、ゴルジを通っての輸送および成熟の間におこる。ERにおける、またはER由来プロテインボディーにおける、または初期ゴルジコンパートメントにおける、本発明のポリペプチドシグナルの使用による組換えポリペプチドの保留は、この異種性を低下させることができる。
【0056】
主な困難は、天然相当物の正確なコピーである組換えタンパク質を産生することである。ポリペプチド翻訳後成熟は、天然相当物に対する発現系のみならず、同一発現系における天然相当物に対する器官、および同一器官を構成する細胞における天然相当物に対する1つの細胞内コンパートメントとは異なる。
【0057】
本発明の第1の方法による特異的コンパートメントへの、PMPを標的化するペプチドシグナルの付加は、この困難を解決することができるが、組換えタンパク質のこの構造的修飾によって、もちろん、非天然タンパク質が生じる。有利には、本発明のペプチドシグナルは、さらに、宿主細胞のERおよびGA媒体を作成し、または設計することによって、組換えポリペプチドの成熟を制御することを可能とする実際のツールである。この制御は、宿主細胞内でより安定であり、免疫原性が低く、かつそれらの天然相当物のコピーを要求する傾向がある組換えポリペプチドの産生を可能とする。これは、特にヒト療法で使用可能な植物による、治療的に活性なタンパク質の産生において非常に重要である。
【0058】
本発明は、ERおよびGA環境を設計するためのいくつかの解決法を提供する。これらの解決法は、単独で、または一緒に(組み合わせて)用いることができる。これらの解決法の例は、添付の図3、行(B)および(C)に模式的に表されている。これらの解決法の全てにおいて、宿主細胞は、
−産生される組換えポリペプチドに対して異なる組換えタンパク質と融合した本発明のペプチドシグナルをコードする少なくとも1つのベクター、および
−該組換えポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸ベクター
でトランスフェクトまたは形質転換される。
【0059】
従って、本発明のさらなる態様は、
−本発明による少なくとも1つの核酸ベクターで細胞をトランスフェクトまたは形質転換する工程であって、該ベクターは該ポリペプチドに対して異なる組換えタンパク質をコードする工程と、
−該ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸ベクターで該細胞をトランスフェクトまたは形質転換する工程と、
−トランスフェクトされた細胞を成長させる工程と、
−翻訳後修飾されたポリペプチドを収穫する工程と、
を含む、翻訳後修飾された組換えポリペプチドを産生する第2の方法を提供することである。
【0060】
本発明によると、該プロセスは、さらに、トランスフェクトまたは形質転換された細胞を成長させる工程の前に細胞をスクリーニングする工程を含むことができる。当業者によって公知のスクリーニングのいずれかの方法を用いることができる。スクリーニング方法は先に開示したものであり得る。スクリーニングのこの工程は、本発明に従ってトランスフェクトまたは形質転換された細胞の選択を可能とする。この工程により、修飾されたポリペプチドに関連する良好な収率が得られる。
【0061】
この第2の方法において、宿主細胞で翻訳される組換えタンパク質は、本発明のペプチドシグナルを含み、この組換えタンパク質は産生されるポリペプチドとは異なる。
この第2の方法において、組換えタンパク質は産生される組換えポリペプチドの翻訳後修飾の調節において役割を演じ、すなわち、それは、組換えポリペプチドの成熟プロセス、すなわち、翻訳後修飾に関与する。
【0062】
この役割は、選択された組換えタンパク質の性質に依存する。当業者であれば、本記載および実施例を読んで本発明を用いることによって達成したいものを達成するためには、どのようにして組換えタンパク質を選択すればよいかが容易に理解されるであろう。
【0063】
本発明によると、組換えタンパク質は、例えば、酵素および/または抗体またはその部分であってよい。
本発明のこの第2の方法によると、組換えタンパク質が抗体またはその部分である場合、それは、産生されるポリペプチド、および/または該ポリペプチドの翻訳後修飾に関与する酵素を認識し、およびそれに特異的に結合する抗体またはその部分などであろう。
【0064】
この方法によって、本発明のペプチドシグナルと融合する抗体またはその部分は、宿主細胞のERおよび/またはGAに局在化される。組換えタンパク質の役割は、REおよび/またはGAにおける組換えポリペプチドを捕獲することである。従って、本発明は、
−ER/GA標的化抗体または抗体断片、および
−産生されるポリペプチド;
をコードする核酸配列を含む発現ベクターで形質転換されている宿主細胞において抗体または抗体断片を発現させることによって翻訳後修飾された異種ポリペプチドを産生する方法を提供する。
【0065】
産生される該ポリペプチドを認識し、およびそれに特異的に結合する抗体またはその部分との関係で、本発明は、有利には、該抗体またはその断片を本発明によるペプチドシグナルと融合させることによって、細胞のコンパートメントの1つに保持された特異的抗体またはその断片へのその結合を介して、宿主細胞のERおよび/またはGAに、(本発明のペプチドシグナルよりなるタグ付加によって修飾されていない)天然組換えタンパク質を保持することが可能とする。この目的で、本発明によるERおよび/またはGA保留ペプチドシグナルは、究極的目標で組換えポリペプチドに対する特異的親和性でもって抗体に融合させて、組み換えタンパク質の成熟を制御し、または調節させた。
【0066】
該ポリペプチドの翻訳後修飾に関与する酵素を認識し、かつそれに特異的に結合する抗体またはその部分との関係で、抗体またはその部分は、好ましくは、該酵素を調節する。
ここに、本発明の適用は、ERおよび/またはGAに対する不活化抗体を特異的に用いて、コンパートメントに局在化された特異的酵素を不活化する。この目的では、本発明によるERおよび/またはGA保留ペプチドシグナルは、究極的な目標でERまたはGA酵素の触媒ドメインに対する特異的親和性を有する抗体に融合させて、内因性酵素を不活化して、組換えタンパク質の成熟を制御し、または調節している。組換えタンパク質の役割は、ここでは組換えポリペプチドの成熟に関与する酵素を捕獲することである。本発明は、従って、宿主細胞内の内因性酵素を「免疫調節」するのを可能とする。
【0067】
本発明によると、第2の方法は、
1)本発明のペプチドシグナルに融合された異種酵素をコードする本発明による少なくとも1つのベクターを用いることによって宿主細胞を異種酵素で補充し、および/または
2)本発明のペプチドシグナルに融合された該内因性酵素をコードする本発明による少なくとも1つのベクターを用いることによって宿主細胞の産生能力を最適化するための内因性酵素を再局在化する
ために用いることができる。
【0068】
組換えタンパク質の成熟を調節する異種または同種酵素の能力は、細胞におけるその局在化に依存するであろう。従って、宿主細胞の酵素機構を調節するためには、適当な酵素を「良好な」コンパートメントにおいて標的化するのが好ましい。従って、本発明は、
1)標的化成熟酵素、すなわち、本発明のペプチドシグナルに融合された成熟酵素である組換えタンパク質、および
2)産生される組換えポリペプチド
をコードする核酸配列を含む発現ベクターで形質転換されている宿主細胞において成熟酵素を発現させることによって、翻訳後修飾された異種ポリペプチドを産生する方法を提供する。
【0069】
従って、該組換えタンパク質は、該ポリペプチドの翻訳後修飾に関与する内因性または異種酵素であってよい。本例においては、本発明は、2つの別々ではあるが近い戦略に従って、(a)内因性酵素をERおよび/またはGAへ再度向けることによって、および(b)異なる細胞内コンパートメントに局在化することができるER/GAに異種酵素を標的化することによって、宿主細胞、特に植物細胞においてERおよび/またはGAの酵素機構の修飾を可能とする。宿主細胞におけるERおよび/またはGAの酵素機構の修飾は、組換えポリペプチドの翻訳後成熟の修飾(すなわち、設計)を可能とするツールである。例えば、この修飾は、産生された組換えポリペプチドの安定性を改良し、および/または免疫原性を制御するのを可能とする。組換えタンパク質の役割は、本明細書中においては、ERおよび/またはGAにおける組換えポリペプチドの成熟に関与する同種または異種酵素を捕獲することである。
【0070】
本発明は、従って、有利には、非免疫原性糖タンパク質である組換えポリペプチドのみならず、均一糖タンパク質である組換えポリペプチドをも得ることを可能とする。
本発明によると、ポリペプチドは、特に、植物細胞または全植物において、遺伝子組換えによって産生されるのに必要な任意のポリペプチドであってよい。本発明で産生することができるポリペプチドは、例えば、本発明の組換えポリペプチドの開示において先に引用したものである。
【0071】
本発明によると、前記第1および第2の方法は同時に用いることができる。この場合において、第2の方法では、該ポリペプチドをコードする核酸ベクターは、本発明による核酸ベクター、すなわち、本発明のペプチドシグナルに融合されたポリペプチドをコードする核酸ベクターでもある。本発明のこの具体例では、ERおよび/またはGAに局在化させるべく成熟のために組換えポリペプチドを標的化することができ、同時に、ER およ
び/またはGAを、成熟のために設計、すなわち、組換えポリペプチドの翻訳後修飾を設計することができる。ポリペプチドは先に定義した通りである。例えば、それは治療的に活性なタンパク質であり得る。
【0072】
本明細書中に記載するように、本発明によると、ポリペプチドの翻訳後修飾は、有利には、ERおよび/またはGAコンパートメント膜中で行われる。
本発明者らは、宿主細胞において、特に、植物細胞において、設計された組換えポリペプチドを産生するためのそのような強力なツールを提供するまさに始めての者達である。
【0073】
用いられる本発明の方法が何であれ(第1および/または第2の方法)、ポリペプチドは貯蔵タンパク質と同時発現させることができる。この貯蔵タンパク質は、例えば、ZERA(登録商標)またはいずれかの他の適当なタンパク質に融合されたタンパク質であり得る。添付の図3、行(D)は、ゴルジへのZERA(登録商標)組換えタンパク質融合の標的化を模式的に示す。例えば、プロテインボディーは、宿主細胞におけるZERA(登録商標)組換えタンパク質の発現によってER膜から開始することができる(添付の図5A参照)。ERに蓄積された組換え糖タンパク質(以下の例参照)は、専ら高マンノース型のN−グリカンを保有する。本発明は、例えば、ER保留シグナルとの融合後にERに貯蔵された医薬糖タンパク質についての、ER均一性およびグリカン修飾を有利に組み合わせるのを可能とするペプチドシグナルを提供する。
【0074】
本発明の方法で用いるベクターを得るための使用可能な方法は先に開示する。
細胞、特に、植物細胞をトランスフェクトまたは形質転換するための使用可能な方法は先に開示する。
【0075】
本発明によると、細胞は、好ましくは、例えば、先に定義したような植物細胞であり、例えば、植物細胞はアルファルファ、シロイヌナズナ、タバコ、トマト、ジャガイモ、イネ、トウモロコシ、ニセツリガネゴケ、コウキクサ、緑藻、海洋性珪藻よりなる群から選択される植物から作られた細胞である。
【0076】
トランスフェクトされた細胞、または該トランスフェクト細胞から得られた植物を成長させ、かつ翻訳後修飾されたポリペプチドを収穫するための使用可能な方法は、当業者によって知られている。例えば、lienard et al.,2006(参考文献32)に開示された方法を有利に用いることができる。
【0077】
他の利点は、添付の図面によって示された以下の非限定的例から当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】植物細胞分泌経路の模式図である。
【図2】植物および哺乳動物細胞の小胞体およびゴルジ装置における、タンパク質上のN−結合グリカンの移動およびプロセッシングを示す。脂質担体上に組み立てられた前駆体オリゴ糖は、生成直後のポリペプチドから構成される特異的Asn残基に移動され、次いで、N−グリカンはグリコシルおよびほとんどのマンノシル残基の除去でトリミングされる。植物および哺乳動物の複雑なN−グリカンのプロセッシングの差は、後期ゴルジ成熟事象である。ERおよびゴルジドメインは図1に記載された主な列に示される。
【図3】抗体またはその部分の(ScFv)(行B)、酵素の(行C)、またはZERA(登録商標)−Fusion(行D)の、組換えタンパク質(行A)の標的化における異なるシグナル(暗色)の適用を示す。
【図4】分析された融合タンパク質: −GCSI−GFP:GFPに融合された全長シロイヌナズナ GCSI、 −GCS90−GFP:GFPに融合したGCSIの最初の90N末端アミノ酸、 −Δ13GCS90−GFP:GCS90−GFPから最初の13のN末端アミノ酸を差し引いたもの、 −ManI−GFP:GFPに融合された全長ダイズManI、 −Δ19CTMan−GFP:ManI−GFPから最初の19のN末端アミノ酸を差し引いたもの、 −Man99−GFPおよびMan49−GFP:各々、GFPに融合した、ManIの最初の99および49アミノ酸、 −Δ19CTMan49−GFP:Man49−GFPから最初の19のN末端アミノ酸を差し引いたもの、 −ΔCTMan49−GFP:全CTはMan49−GFPから欠失させた、 −MAAAMan49−GFP:Man49−GFPのCTは、3つのAla残基を含有する人工CTによって置き換えられた。 −ManTMD23−GFPおよびMan99TMD23−GFP:ManI−GFPおよびMan99−GFP、各々、ここに、TMDは16〜23アミノ酸の長さであった、 −GNTI−GFP:GFPに融合した全長タバコGNTI、 ―GNT38−GFP:GFPに融合したGNTIの最初の38N末端アミノ酸、 −XylT−GFP:GFPに融合した全長シロイヌナズナ、 −XylT35−GFP:GFPに融合したXylT35nの最初の35アミノ酸、 −ST52−mRFP:mRFPに融合したラットα−2,6−シアリルトランスフェラーゼの最初の52アミノ酸、 −GFP−HDEL:スポラミンシグナルペプチドおよびC末端HDEL ER保留配列を含有するGFPバージョン;の模式図である。
【図5】共焦点レーザー走査型顕微鏡観察を用いた、タバコBY−2細胞における安定した発現(3〜4日)後の、N−グリカンプロセッシング機構の4つの異なるメンバー(α−グルコシダーゼI、マンノシダーゼI、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI、β−1,2−キシロシルトランスフェラーゼ、図4)に対する、およびC末端HDEL ER保留配列に対する一連のGFP融合のゴルジおよび/またはERへの局在化を示す: (A,B)ManI−GFP、 (C)ManI−GFP(タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミドでの2時間処理の後)、 (D,E)GFP−HDEL、 (F)ManI−GFP[BFA(50mg・mL−1)での2時間処理後] (G)GCSI−GFP、 (H)GNTI−GFP、 (I)XylT−GFP、 全ての棒線=8μm。
【図6】共焦点レーザー走査型顕微鏡観察を用いた、タバコBY−2細胞における安定した発現(3〜4日)、または葉浸潤によるタバコ葉表皮細胞における一過性発現(5日)後の、N−グリカンプロセッシング機構の切断メンバー(Man99、Man49、GNT38、XylT35、図4)に対する一連のGFP融合のゴルジおよび/またはERへの局在化を示す: (A,B)Man99−GFPのBY−2浮遊培養細胞発現、 (C)Man99−GFPのBY−2浮遊培養細胞発現(タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミドでの2時間処理の後)、 (D)Man49−GFPのBY−2浮遊培養細胞発現、 (E−F)各々、Man99−GFPおよびMan49−GFPのタバコ葉表皮細胞発現、 (G)GNT38−GFP(G)のBY−2浮遊培養細胞発現、 (H)GNT38−GFPのタバコ葉表皮細胞、および (I)XylT35−GFPのタバコ葉表皮細胞発現。 全ての棒線=8μm。
【図7】共焦点レーザー走査型顕微鏡観察を用いた、これらのGFP融合およびST52−mRFPの1つまたはその他のタバコBY−2細胞における安定した同時発現(3〜4日)後の、ManI、Man99、Man49またはGNT38(図4)、およびトランスゴルジマーカーST52−mRFPに対する一連のGFP融合のゴルジスタックへの局在化を示す: (A−C) BY−2浮遊培養タバコ細胞におけるManI−GFP(A)およびST52−mRFP(B)同時発現、 (D−F) BY−2浮遊培養タバコ細胞におけるMan99−GFP(D)およびST52−mRFP(E)同時発現 (G−I) BY−2の浮遊培養タバコ細胞におけるMan49−GFP(G)およびST52−mRFP(H)同時発現、 (J−L) BY−2浮遊培養タバコ細胞におけるGNT38−GFP(J)およびST52−mRFP(K)同時発現、および (C、F、IおよびL)対応する併合発現GFP融合+ST52−mRFP。 インサート:選択されたゴルジスタックの倍率(X2,2)。 スタックは、しばしば、一方側のGFP融合(緑色)、他方側のST52−RFP(赤色)、およびそれらの間の重複の領域(黄色)を伴い、「三色」(FおよびIにおける矢印)で出現することに注意。 A−I:棒線=8μm;J−L:棒線=16μm。
【図8】サイトゾルテイル、および植物N−グリコシル化酵素についてのTMD長さの比較を示す: (A)植物細胞の小胞体(ER)およびゴルジ装置におけるN−結合グリカンのプロセッシング。 (B)サイトゾルテイル、および異なる植物種からクローン化されたN−グリカンプロセッシング酵素の膜貫通ドメインの長さ。受託番号は各模式図の右側に示されている。 各膜タンパク質については、膜貫通ドメインの位置およびサイズは、TmHMM_v2ソフトウェア(http://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM/)から概算した。 タンパク質のいくつかについては、TMDの位置を定義する確率は50%未満である(//)。 太線で輪郭が示されたボックスは、その細胞内局在化が今日までに共焦点および/または電子顕微鏡観察によって研究されたN−グリカンプロセッシング酵素に対応する。 GCSI:グルコシダーゼI,α1,2 ManI:α1,2−マンノシダーゼI、β1,2 GNTI:,β1,2−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI、α1,3 ManII:α1,3−マンノシダーゼII、β1,2 GNTII:β1,2−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼII、β1,2 キシロシルT:β1,2−キシロシルトランスフェラーゼ、α1,3 FucT:α1,3−フコシルトランスフェラーゼ、α1,4 FucT α1,4−フコシルトランスフェラーゼ、α2,6シアリルT:α2,6−シアリルトランスフェラーゼ。
【図9】共焦点レーザー走査型顕微鏡観察を用いた、葉浸潤による、タバコBY−2細胞における安定した発現(3〜4日)、またはタバコ葉表皮細胞における一過性発現(5日)後の、ManIの切断形態(Δ19Man、Δ19Man49、図3)に対する、およびMAAAMan49に対する一連のGFP融合のゴルジおよびERへの局在化を示す: (A)Δ19Man−GFPのBY−2浮遊培養細胞発現、 (B,C)Δ19Man49−GFPの浮遊培養細胞発現、 (D)Δ19Man49−GFPの葉表皮細胞発現、 (E)MAAAMan49−GFPの葉表皮細胞発現。 A〜C:棒線=16μm;D、E:棒線=8μm。
【図10】共焦点レーザー走査型顕微鏡観察を用いた、これらのGFP融合およびST52−mRFPの1つまたはその他のタバコBY−2細胞における安定した同時発現(3〜4日)後の、ManTMD23、Man99TMD23またはXylT35(図3)およびトランスゴルジマーカーST52−mRFPに対する一連のGFP融合のゴルジコンパートメントへの局在化を示す。 (A−C) BY−2浮遊培養タバコ細胞におけるManTMD23−GFP(A)およびST52−mRFP(B)同時発現、 (D−F) BY−2浮遊培養タバコ細胞における(G−I)Man99TMD23−GFP(D,G)およびST52−mRFP(E,H)同時発現、 (J−L) BY−2浮遊培養タバコ細胞におけるXylT35−GFP(J)およびST52−mRFP(K)同時発現、 (C,F,IおよびL)対応する併合発現GFP融合+ST52−mRFP。 インサート:倍率(×2.2)。 全ての棒線=8μm。
【図11】浮遊培養したBY−2タバコ細胞からのポリクローナル抗GFP抗体とのイムノゴールド標識にカップリングされた電子顕微鏡観察を用いた、Man99およびMan99TMD23へのGFP融合のゴルジ装置における局在化を示す: (A)野生型BY2タバコ細胞、 (B)Man99−GFPを発現するBY2細胞、 (C)Man99TMD23−GFPを発現するBY2細胞、 (D)ゴルジを2つのドメインに分割した後の、異なる細胞、シス側、トランス側のカウンティング金粒子において分析した15の個々のスタックで観察された標識のパーセントとしてのゴルジにおける融合タンパク質の分布の発現。 SV=分泌小胞。
【図12】共焦点レーザー走査型顕微鏡観察を用いた、葉浸潤による、葉表皮細胞における一過性発現(5日)後の、N−グリカンプロセッシング機構(ManI,XylT)、その切断形態(Man99TMD23,Man99、図4)のメンバーに対する一連のGFP融合のゴルジおよびERへの局在化を示す: (A)Man99−GFPのダイズ葉表皮細胞、 (B)Man99TMD23−GFPのダイズ葉表皮細胞発現、 (C)Man99−GFPのアカナス葉表皮細胞発現、 (D)Man99TMD23−GFPのアカナス葉表皮細胞発現。 全ての棒線=16μm。
【図13】共焦点レーザー走査型顕微鏡観察を用いた、可溶性ERマーカー(GFP−HDEL,A−B)、膜ERマーカー(Glu90−GFP,C−D)、ERおよび初期ゴルジマーカー(Δ19Man49−GFP、E−F)、メディアルゴルジマーカー(XylT35−GFP、G−H)、または後期ゴルジマーカー(Man99TMD23−GFP,ST52−mRFP,I−L)を発現するBY−2細胞におけるERおよび/またはゴルジタンパク質に対するBFAでの2時間処理の効果を示す。 全ての場合において、ERネットワークは、しばしば、蛍光の有窓シートとなることに注意。 全ての棒線=8μm。
【図14】共焦点レーザー走査型顕微鏡観察を用いた、ERおよびゴルジクラスターへの初期および後期ゴルジマーカー双方の同時再分布に対するBFA(50mg.mL−1)での2時間処理の効果を示す: (A−F)各々、BFAの不存在下または存在下における、BY−2浮遊培養タバコ細胞でのHDEL−GFP(A,B)およびST52−mRFP(B,E)同時発現、 (G−L)各々、BFAの不存在下または存在下における、BY−2浮遊培養タバコ細胞におけるΔ19Man49−GFP(G,J)およびST52−mRFP(H,K)同時発現、 (M−R)各々、BFAの不存在下または存在下における、BY−2浮遊培養タバコ細胞でのMan99TMD23−GFP(M,P)およびST52−mRFP(N,Q)同時発現、(C,F,I,L,O,R)BFAの不存在下または存在下における、対応する併合発現GFP融合+ST−mRFP。
【図15】本実験において我々が用いた構築物の模式図である:GCSI:GFPに融合した全長シロイヌナズナα−グルコシダーゼI/GCS150:GFPに融合したGCSIの最初の150アミノ酸/GCS90:GFPに融合したGCSIの最初の90アミノ酸/Δ13GCS150:13の最初のN末端アミノ酸(MTGASRRSARGRI−配列番号1)をGCS150から欠失させた/Δ13GCS90:13の最初のN末端アミノ酸をGCS90から欠失させた/Hs10−Δ13GCS90:Homo sapiens GCSIの10の最初のN末端アミノ酸(MARGERRRRA−配列番号2)をΔ13GCS90のN末端で融合した/XYLT35:シロイヌナズナβ−1,2−キシロシルトランスフェラーゼの最初の35アミノ酸をGFPに融合させた/XYLT35−GCS(91−150):XYLTの最初の35アミノ酸をGCSIのルミナールドメイン(アミノ酸91〜150)の最初の60アミノ酸に融合させ、およびGFPに融合させた/XYLT35−GCS(70−150):XYLTの最初の35アミノ酸をGFPに融合させたGCSIのルミナールドメイン(アミノ酸70〜150)の最初の80アミノ酸に融合させた/GCS13−XYLT35:GCSIの13の最初のN末端アミノ酸をXYLT35に融合させた/CNX11−XYLT35:シロイヌナズナカルネキシン(CNX)最後の11アミノ酸(NDRRPQRKRPA−配列番号3)をXYLT35のN末端に融合させた/ST52−GFP/mRFP:ラットα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ(ST)の最初の52アミノ酸を、GFPまたはmRFPに融合させた/GFP/mRFP−HDEL:スポラミンシグナルペプチド、およびHDEL ER保留配列CT:サイトゾルテイル;TMD:膜貫通ドメイン;CD:触媒ドメインの制御下でGFPまたはmRFPに融合させた。
【図16】ER:トランスジェニックBY−2タバコ細胞系統において厳格に蓄積されるGCSIが継代培養から3〜4日後に観察されたことを示す。皮質(A,C)および中間光学セクション(B,D)は、GCSIがER(A,B)に局在化され、パターン染色がGFP−HDEL(C,D)のそれと同様であることを示す。 棒線=8μm。
【図17】N末端ドメインはERにGCSIを局在化させるのに十分であることを示す(GCS150およびGCS90は、全長構築物GCSIのように、BY−2細胞(各々、A、BおよびD、E)中のERに蓄積する)。それらの標的化が、タバコ葉表皮細胞において同一である(各々、CおよびF)。棒線=8μm。
【図18】13アミノ酸のN末端配列がER局在化の情報を含有することを示す。GCS90はBY−2細胞(A,B)中のERに蓄積されるが、Δ13GCS90はゴルジ(C,D)に局在化される。XYLT35はゴルジタンパク質(E,F)であるが、GCS13−XYLT35はERにおいて、ゴルジ(G,H)において見出される。 棒線=8μm。
【図19】ArgリッチなER標的化配列は、単独で(A,D,G,J,M)、あるいはmRFP−HDELと共に(B,E,H,K,N)、またはST52−mRFPと共に(C,F,I,L,O)、Δ13GCS90、XYLT35、GCS13−XYLT35、Hs10−GCS90またはCNX11−XYT35を発現するタバコ葉表皮細胞の間で保存されていることを示す。BY−2細胞(図4)においては、Δ13GCS90(A−C)は専らゴルジにあり、他方、GCS90はERにあり、およびΔ13GCS90は好ましくはST−mRFP(C,F)と同時局在化される。顕微鏡写真は、Δ13GCS90(A−C)をXYLT35(D−F)と比較した場合に同一である。GCS13−XYLT35(G)をmRFP−HDELと同時発現させた場合、ERは黄色で出現し、ゴルジは緑色のままであり(H)、一方、ST52−mRFPと共に、ゴルジは黄色であって、ERは緑色(I)であり、これは、GCS13−XYLT35はERにおいて、およびゴルジにおいて二元局在を有することを示す。興味深いことには、GCS90の最初の13アミノ酸.はヒトGCSI(J−L)の最初の10アミノ酸.で置き換えることができ:Hs10−GCS90キメラタンパク質はERのみにあり(J)、mRFP−HDEL(K)と同時局在化されるが、ST52−mRFP(L)と共にはそうされない。これは、シグナルが区系の間で保存されていることを示唆する。同様に、CNX11−XYL35(M)がmRFP−HDELと同時発現される場合、ERは黄色で出現し、ゴルジは緑色(N)のままであり、一方、ST52−mRFPと共に、ゴルジは黄色であって、ERは緑色(O)であり、これは、GCS13−XYLT35もまたERにおいて、およびゴルジにおいて二元局在を有することを示す。 棒線=8μm。
【図20】N末端アルギニンが、単独で(左側パネル)、またはmRFP−HDELと共に(中央のパネル)、またはST52−mRFPと共に(右側パネル)、GFP融合を発現するER局在化情報タバコ葉表皮細胞を含有することを示す。GCS90(A)はmRFP−HDEL(B、黄色のER)と共に完全に同時局在化されるが、ST52−mRFP(C、緑色のER、赤色のゴルジ)とは同時局在化されない。位置6、7、10および12における4つのArgをAla(D−F)またはLeu(G−I)で置き換えると、R/LGCS90またはR/AGCS90は、顕微鏡写真FおよびIで観察された黄色のスポットで示されるように、専らゴルジに蓄積する。Argが対によって突然変異された場合、R/L6−7GCS90(J−L)またはR/L10−12GCS90(M−O)またはR/L6−L12(P−R)はERに、およびER可溶性タンパク質mRFP−HDEL(K,N,Q)を含有しないミニスポットに位置し、ゴルジスタック(L,O,R)に密接には会合するが、独立したままである。これらのデータは、そのN末端のRR、RXRまたはRXXRモチーフがGSC90に標的化されるERを付与することを示す。 棒線=8μm。
【図21】R/L6−7がゴルジに密接に会合することを示す。R/L6−7GCS90がmRFP−HDELおよびST52−mRFPと同時発現される場合、蛍光構造が黄色で出現し、ゴルジとのそれらの非常に密接な会合を示す。 棒線=8μm。
【図22】Sar1p−mRFP(パネルB、EおよびK)またはSar1p−GTP−mRFP(パネルHおよびN)とのGFP融合を発現するタバコ葉表皮細胞を示す。Argが対によって突然変異された場合、R/L6−7GCS90(A−C)またはGCS90(D−I)は突然変異した、または突然変異していないSar1pと同時発現され、GFP融合では標識修飾は観察されなかった。対照的に、R/LGCS90とSar1p−GTP(M−O)との同時発現はERにおけるR/LGCS90の輸送を阻害し、一方、Sar1pとの同時発現はR/LGCS90のパターンを修飾しない。 棒線=8μm。
【図23】N末端アルギニンモチーフがAtGCSIのER保留についての重要な決定基ではないことを示す。ERは一過性GCS150−GFP(A)、GCS90−GFP(B)、およびΔ13GCS150−GFP(C)形質転換タバコ葉表皮細胞、皮質セクションにおいて可視化される。Δ13GCS150−GFPのER局在化は、mRFP−HDEL(E)およびST52−mRFP(G)、皮質セクションと同時発現させることによって確認される。このII型の膜タンパク質の最初の13アミノ酸は、ジ−アルギニンモチーフにも拘わらず、GCS150−GFP ER標的化に関連付けられないように見える。(D)(F)(H)ゴルジは、一過性Δ13GCS90−GFP形質転換タバコ葉表皮細胞(D)において、および同時発現するmRFP−HDEL(F)またはST52−mRFP(H)、皮質セクションにおいて可視化される。最初の13アミノ酸は、GCS150−GFPとは対照的にGCS90−GFPに対するER標的化で必須である。ルミナールドメインに隣接しそれを挟むアミノ酸はER標的化情報を含有することができる。棒線:8μm。
【図24】ルミナール標的化決定基がXYLT35をERに保持するのに十分であることを示す: (A)一過性XYLT35−GFP形質転換タバコ葉表皮細胞、皮質セクションで可視化されたゴルジ。 (B)(C)ST52−mRFP、皮質セクションと共にXYLT35−GCS60(B)、XYLT35−GCS80(C)を同時発現するタバコ葉表皮細胞において一過的に可視化されたERおよびゴルジ。AtGCSIのルミナールドメインはERにXYLT35の大部分を再局在化させる。棒線=8μm
【図25】共焦点顕微鏡観察によるBY−2細胞でのGFP融合の局在化分析を示す;皮質(A)または横方向の(B)図。我々のグループで最近同定されたシグナルはGFPに融合しており、組換えタンパク質の局在化は、BY−2タバコ細胞における安定した発現の後に分析された。GFPおよびシグナル1、2、3または4の間の融合はGFP−HDEL融合のようにERを強調した(パネルA〜F)。GFPおよびシグナル5、6、7、8または9の間の融合はERを強調したが、凝集体は対照ManI−GFPのようにゴルジクラスターに同化された(パネルG〜L)。GFPおよびシグナル11〜12の間の融合は、対照XylT35−GFPおよびD13Glu90−GFPのように、ゴルジクラスターに同化された凝集体のみを強調した(パネルM〜O)。最後に、GFPおよびシグナルの間の融合は、ゴルジクラスターに同化した凝集体を強調したが、リソソームコンパートメントに対してもそうであった(パネルR)。
【図26】ジ−argモチーフを保有する組換えタンパク質の局在化を示す。1つまたは2つのジ−argモチーフを保有する組換えタンパク質はmRFP−HDEL ERマーカーと共に同時局在化され(A〜C;G〜R)、一方、アルギニンの突然変異は組換えタンパク質とST52−mRFPゴルジマーカーとの同時局在化を担う(D〜F)。
【図27】I型またはII型膜タンパク質への標的化シグナルの局在化を示す。
【図28】膜タンパク質に対して特異的であって、本明細書中に記載された標的化配列の1つと融合した抗体、または抗体断片は、分泌経路の異なるコンパートメントにおいて膜タンパク質を標的化する能力を有することを示す。ここに、ゴルジに局在化されたGFPは説明のために用いる。プラスミドの構築、およびscFvの標的化発現で用いるプラスミドのいくつかの例はパネルAおよびBに示される。ここに(パネルC)、ゴルジに局在化された膜タンパク質(GFP−golgi)は、単独で発現された場合、ERに再度向けられ、配列番号33と融合したGFP−特異的scFvと同一植物において同時発現された場合にはゴルジコンパートメントに再度向けられる。
【図29】異種酵素、ここではヒトβ1,4ガラクトシルトランスフェラーゼが、本明細書中に記載された標的化シグナルの1つとの融合の後に植物分泌経路の異なるコンパートメントで標的化できることを示す。例として、パネルBは、植物細胞における、ヒトβ1,4ガラクトシルトランスフェラーゼと配列番号8、33、36、または38との融合の発現で用いられるプラスミドを示す。
【図30】このグリコシルトランスフェラーゼの触媒ドメインと配列番号36との融合の後のヒトβ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼの標的化発現が、同一グリコシルトランスフェラーゼがそれ自身のヒト標的化配列によって植物分泌経路において標的化される場合に得られるグリコシル化パターン(パネルA)と比較した場合に、この異種グリコシルトランスフェラーゼ(パネルB)の効率を強く改良することを示す。
【図31】ZERA(登録商標)ペプチドによって生じたプロテインボディーにグリカン成熟酵素が蓄積するように調製されたプラスミドの1つを示す。本明細書中で詳細に記載するプラスミドは、植物細胞において、Zera(登録商標)と融合したマンノシダーゼの発現を可能とする。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0079】
実施例A:ERおよび/またはGAへのタンパク質の方向付け(添付の図3A)
実施例1
標的化シグナルの同定
1.初期ゴルジII型膜タンパク質の局在化
初期ゴルジコンパートメントにおけるN−グリカンプロセッシング酵素の選択的保留を可能とするメカニズムを良好に理解するために、N−グリカンプロセッシング機構の4つの異なるメンバー(A−グルコシダーゼI、マンノシダーゼI、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIおよびb−1,2−キシロシルトランスフェラーゼ、添付の図4)に対する一連のGFP融合の局在化を、タバコBY−2細胞における安定した発現後に実験した。
【0080】
GFP融合タンパク質を発現させるための構築物は、Saint−Jore−Dupas et al,2006(参考文献58)に開示されているように作製した。全てのマンノシダーゼI融合構築物は、Nebenfuhr et al.(1999)(参考文献43)によって元来記載された(ここでは、ManI−GFPと呼ばれる)全長GFP融合から得た。
【0081】
まず、AatII制限部位を含有するリンカーをManIおよびGFPコーディング領域の間に導入した。予測されるステム領域の末端近くの天然AatII部位と組合せて、これは、例えば、Man99−GFPを生じさせるための触媒ドメインの単純な除去を可能とした。
【0082】
第2に、N末端領域の特異的セグメントの除去を容易とするために、PCR突然変異誘発によって3つの新しい制限部位を導入した:1つは開始コドン直後のNheI部位、1つはコドン21および22におけるSpeI部位、およびコドン50および51におけるもう1つのAatII部位。修飾された構築物の一体性は、配列決定によって確認した。この新しい構築物において、小胞体テイルはNheIおよびSteIで除去して、Δ19CTManI−GFPを得ることができ、一方、AatII消化はManIの全ルーメン部分を除去して、Man49−GFPを生じさせる。二つの手法の組合せの結果、Δ19CTMan49−GFPが得られた。最後に、開始コドンを持つTMDドメインの18アミノ酸をコードする、順方向(5’−GATCCTTGGGAATGCTTGCTCTGCTCTTCATCGTTTTCGTTTGTGTCTCTTTCGTTTTCTGGGACCGTCAAA−3’(配列番号40))および逆方向(5’−CTAGTTTGACGGTCCCAGAAAACGAAAGAGACACAAACGAAAACGATGAAGAGCAGAGCAAGCATTCCCAAG−3’(配列番号41))オリゴヌクレオチドを合成し、融合し、任意の開始コドンも含まないGFPを含有するpBLTI121バイナリベクター(Kiefer−Miyer et al.,未公表データ)にサブクローンして、DCTMan49−GFPを得た。同一戦略を用いて、順方法(5’−GATCCTTGGGAATGGCTGCTGCTCTTGCTCTGCTCTTCAT
CGTTTTCGTTTGTGTCTCTTTCGTTTTCTGGGACCGTCAAA−3’(配列番号42))および逆方向(5’−CTAGTTTGACGGTCCCAGAAAACGAAAGAGACACAAACGAAAACGATGAAGAGCAGAGCAAGAGCAGCAGCCATTCCCAAG−3’(配列番号43))プライマーを用いてMAAMan49−GFPを生じさせた。
【0083】
第三に、より長いTMD領域を、前記した修飾されたManIの2工程PCR突然変異誘発に導入した。最初の工程において、TMDに続くAatII部位をBspEI部位と置き換えた。第2の工程において、長いPCRプライマーを用いて、予測されるTMDの最後の7つのアミノ酸を複製して、ManTMD23−GFPを得た。最後に、この構築物の触媒ドメインをAatIIで除去して、Man99TMD23−GFPを得た。
【0084】
前記した全てのクローニング工程はpBluescriptにおいて行った。(二重35SプロモーターおよびNosターミネーターを含めた)仕上げた発現カセットを、次いで、pBIN20に移動させた。
【0085】
ST−mRFPをコードする植物バイナリベクターを得るために、GFPをpVKH18En6 ST−GFP(Saint−Jore et al.,2002(参考文献56))における(Roger Tsienによって提供された)モノマーRFPで置き換える。ST−mRFP発現は6×タンデムに反復されたCaMV 35Sプロモーターの制御下にある。
【0086】
GNTI−GFP、GNT38−GFPを、鋳型として、N−アセチルグロコサミニルトランスフェラーゼをコードするタバコcDNAを用いるPCRによって増幅した(Strasser et al,1999(参考文献60))。逆方向プライマー5’GGTCACTAGTATCTTCATTTCCGAGTTG−3’(配列番号44)および5’−GGTCACTAGTGCGATCTGCATATTCTGACTG−3’(配列番号45)を、順方向5−AACGTCTAGAATGAGAGGGTACAAGTTTTGC−3’(配列番号46)プライマーでのPCRを用いて、GNTI、およびGNTIのN末端38アミノ酸端部を増幅して、各々GNTI−GFPおよびGNT38−GFPを得た。GCSI−GFPを発現させるために、GFPのN末端に融合され、かつpBLTI121(Pagny et al.,2003)参考文献50))にサブクローンされた、Boisson et al.,2001にクローン化されたシロイヌナズナcDNAを用いるPCRによって、全cDNAを増幅した。次いで、最初の90アミノ酸を順方向(5’−CGGGGTACCCCATGACCGGAGCTAGCCGT−3’(配列番号48))および逆方向(5’−GACTAGAAAAGGAGTGATAACCCT−3’(配列番号49))プライマーでのPCRによって増幅し、pBLTI121バイナリベクターに含有されたGFPの5’末端に位置したSpeI制限部位にサブクローンして、GCS90−GFPを得た。同様にして、最初の13アミノ酸が欠失された90アミノ酸を、順方向(5’−CGGGGTACCCCATGAAATCATCATCATTATCTCCC−3’(配列番号49))および前記した同一逆方向プライマーでのPCRによって増幅して、D13GCS90−GFPを得た。
【0087】
全長ManI−GFP融合構築物の蛍光は、もう一つの独立した細胞系においてこの構築物について従前に記載されているように(Nebenfuhr et al.,1999(参考文献43))、細胞質を通って移動する小体(添付の図5Aおよび5B)において、共焦点レーザー走査型顕微鏡観察によって検出した。
【0088】
加えて、実質的な蛍光シグナルがGFP−HDEL構築物によって染色されたERネットワークから区別可能な細胞質全体にわたる網状ネットワークで観察された(添付の図5
Dおよび5E)。ER標識が組換えタンパク質の過剰発現によるかをチェックするために、ManI−GFPを発現するBY−2細胞をタンパク質合成阻害剤シクロヘキシミドと共にインキュベートした。2時間の処理の後、標的化パターンは変化しないままであり、ManI−GFPの定常状態位置がゴルジおよびERであることを示す(添付の図5Cおよび5Bを比較のこと)。
【0089】
蛍光スポットがゴルジスタックであることを確認するために、細胞を50mg・mL−1のbrefeldin A(BFA)で2時間処理した。タバコ葉表皮およびBY−2浮遊培養細胞で発現されたいくつかのゴルジ局在化GFP融合タンパク質について従前に記載されているように(Saint−Jore et al.,2002(参考文献56);Ritzenthaler et al.,2002(参考文献54))このBFA処理は緑色スポットを消失させ、皮質および血管貫通ERはより蛍光的となった(添付の図5Bおよび5Eに対して添付の図5Fを参照のこと)。
【0090】
分泌経路における他の植物N−グリコシル化酵素の1つに対するManIの位置比較は、ManIの前、直後、またはかなり後に作用するN−グリカン成熟酵素の細胞内局在化と同一条件下で分析した。最初の酵素実験はシロイヌナズナからのa−グルコシダーゼIであった(GCSI)。このII型の膜タンパク質は、生成直後の糖タンパク質のその付着の直後に、ERにおける前駆体オリゴ糖からの第1の糖残基をトリミングする(添付の図2Bにおける植物N−グリカン成熟の模式図参照)。全長タンパク質(Boisson
et al.,2001(参考文献6))をGFPに融合させ、COS細胞においてヒトGCSIについて示されたもの(Hardt et al.,2003(参考文献28))と合致して、融合タンパク質はBY−2細胞において専らERに局在化された(添付の図5G)。
【0091】
研究された第2の候補はタバコからの(GNTI)であった。(Strasser et al.,1999(参考文献60))。このグリコシルトランスフェラーゼは、ManIがa−1,2−マンノースを除去して間もなく、第1のN−アセチルグルコサミン残基をN−グリカン上に加える(添付の図2B)。全長タンパク質をGFPに融合させ、GNTI−GFPをタバコBY−2浮遊培養細胞において発現させた。興味深いことには、融合の定常状態位置は、ManI−GFPと非常に類似したパターンで、ゴルジおよびERであった(添付の図5H)(添付の図5Hおよび5Bを比較のこと)。これらのデータは、ManIおよびGNTIのようなゴルジ装置において非常に早く作用すると考えられるN−グリカンプロセッシング酵素がゴルジに標的化されるが、タバコBY−2浮遊培養細胞においてERにも標的化されることを強く示唆する。
【0092】
最後に、第三の候補、シロイヌナズナからのb−1,2−イルオキシトランスフェラーゼ(XylT)はゴルジのみに局在化され(添付の図5)、これは、この酵素のN末端がゴルジスタックの槽の中央サブセットにGFPを標的化することを示したPagny et al.(2003)(参考文献50)からの結果を確認している。
【0093】
タンパク質発現レベルが我々の融合タンパク質の局在化を改変するか否かを確認するために、これらの結果を、融合タンパク質を発現する異なる安定した独立細胞系において確認した。細胞のイメージングは、常に、我々の培養条件下の最適成長相に対応する継代培養から3日または4日後に行った。ER標識が融合の過剰発現によるものではないことを更に確証するのにかかわらず、各融合についての標識パターンを、それがシクロヘキシミドでの2時間処理の後に変化しなかったことを確認することによって制御した。
【0094】
抗GFP抗体およびECL染色で明らかにされたウェスタンブロットは、組み換えタンパク質についてのバックグラウンド上に非常に低いシグナルを示し、これは、この実験に
おける全ての融合タンパク質についての発現の低いレベルを示す(データは示さず)。機能的不飽和分泌経路に適合する融合タンパク質発現のレベルについての更なる証拠は、同一細胞において、ManI−GFPがERおよびゴルジ双方に位置し、一方、ゴルジマーカー(ST52−mRFP)が専らゴルジで発見される場合に、同時発現実験から得られた(添付の図7A〜7C)。
【0095】
まとめると、これらの注意深く制御された条件下で得られた結果は、N−グリコシル化酵素が、専ら、ER(GCSI)に、またはゴルジ(XylT)に特異的に標的化されるが、ManIおよびGNTIならびにプロリル4−ヒドロキシラーゼ(Yuasa et
al.,2005(参考文献65))およびERD2(Boevink et al.,1998(参考文献5);Saint−Jore et al.,2002(参考文献56))のような他の膜タンパク質で当てはまるように、いくつかの酵素は双方のオルガネラにおいて二つの定常状態位置を有することを明瞭に示す。
【0096】
次の工程において、二つの定常状態分布ゴルジ/ERを示すグリコシル化酵素の集団の標的化を担うシグナルを調査した。
2.ルミナールドメインは、ManIおよびGNTIのゴルジおよびER標的化に必要でないことを示す実験
3つの植物グリコシル化酵素の特異的ゴルジ保留に関して、GNTI,XylTおよびArabidopsis ManI(添付の図2)は、それらの特異的標的化が、GNTIについての細胞質テイル、TMD、およびステムを含めたそれらのN末端部分に含有されたシグナルによって媒介することを示す(Essl et al.,1999(参考文献16),Dirnberger et al.,2002(参考文献15);Pagny et al.,2003(参考文献50);Strasser et al.,2006(参考文献61))。本実施例は、ManIおよびGNTIの標的化においてルミナールドメインの役割を調べる。
【0097】
ゴルジルーメンに位置するManIの部分がゴルジおよびER膜に対してこのグリコシラーゼを標的化するにおいて役割を演じるかを決定するために、ManIの最初の99アミノ酸(CT+TMD+S)または最初の49アミノ酸(CT+TMD)をGFPに融合させ、対応するキメラタンパク質を、各々、Man99−GFPおよびMan49−GFPと命名した(添付の図4)。Man99−GFPおよびMan49−GFPをBY−2浮遊培養細胞中で安定に発現させるか、あるいは葉浸潤によってタバコ葉表皮細胞において一過的に発現させた。Man99−GFPおよびMan49−GFPキメラタンパク質の双方は、全長構築物(添付の図5Aおよび5B)について正確に従前に観察されているように、双方の発現系(各々、添付の図6A、6B、6Eおよび6D、6F)においてゴルジ、およびERで観察された。
【0098】
これらの切断融合がタバコ葉において一過的に発現される場合、全発現レベルが既に強く減衰している場合の形質転換から5日の後に依然としてER標識が観察され、(添付の図6F)、一方、XylT35−GFPはゴルジのみに位置したこと(Pagny et
al.,2003(参考文献50);添付の図6I)に注意するのは重要である。これは、さらに、ERにおけるManI融合の部分的位置がキメラタンパク質の過剰発現によらないことを確認する。加えて、Man99−GFPを発現するBY−2細胞をタンパク質合成阻害剤シクロヘキシミドでの2時間処理した場合、全長融合で観察されたように、ER標識は消失しなかった(添付の図6C)(添付の図5Cと比較のこと)。
【0099】
融合タンパク質がどこでゴルジスタック内に局在化されるかの良好な理解を得るために、ManI−GFPを、GFPをモノマー赤色蛍光タンパク質(mRFP,Campbell et al.,2002(参考文献11))で置き換えることによって、GFP(
Saint−Jore et al.,2002(参考文献56);Runions et al.,2006(参考文献55))に由来するトランスゴルジマーカーST52−mRFPと同時発現させた。2つのキメラタンパク質をBY−2細胞において同時に発現させた場合、ManI−GFPとは対照的に、ST52−mRFPはERで検出されず、双方の蛍光シグナルはゴルジ体で観察されたが、完全には同時局在化されなかった(添付の図7A〜7C)。これらの結果は、以下のことを示す従前の結果と合致する。
【0100】
1)ManI−GFP融合はBY−2細胞においてゴルジのシス半分に局在化される(Nebenfuhr et al.,1999(参考文献43))。
2)ラットa−2’6−シアリルトランスフェラーゼの52アミノ末端アミノ酸は、ゴルジスタックのトランス半分に対して優勢にレポータータンパク質を標的化するのに十分である(Boevink et al.,1998(参考文献5))。
【0101】
かくして、共焦点顕微鏡観察は、ManI−GFPおよびST52−mRFPがゴルジ装置中のシステルネの異なるサブセットに蓄積するのを説明するのに十分であった。最後に、Man99−GFPまたはMan49−GFPをトランス−ゴルジマーカーST52−mRFPと同時発現させた場合、2つのフルオロフォアは部分的に重複するに過ぎず、(各々、図7D〜7Fおよび7G〜7I)切断融合タンパク質のゴルジ内局在化は、全長融合ManI−GFPのそれと同一であると示唆する。
【0102】
CT、TMDおよびステムを含めたタバコGNTIの最初の77のN末端アミノ酸は、このグリコシルトランスフェラーゼのゴルジ保留を維持するのに必要な情報を含有することは従前に記載されていた(Essl et al.1999(参考文献16))。GFPに融合されたこのポリペプチドドメインはゴルジに選択的に位置することが示されているが、キメラタンパク質は全長構築物についてここに観察されるようにERにおいてやはり欠失された(添付の図5H)。ゴルジルーメンに残る配列がGNTIのゴルジおよびER標的化に関与するかを決定するために、ルーメン部分(39アミノ酸)を除去し、このグリコシルトランスフェラーゼの残りの最初の38のN末端アミノ酸(CT+TMD)をGFPに融合させた(添付の図4)。融合タンパク質はGNT38−GFPと命名され、BY−2浮遊培養細胞において安定して発現され、あるいはタバコ葉表皮細胞において一過的に発現された。
【0103】
双方の発現系において、GNT38−GFPは、全長構築物(GNTI−GFP、添付の図面5H)で従前に観察されているように、ゴルジに、およびERに位置した(添付の図6Gおよび6H)。加えて、GNT38−GFPがBY−2細胞においてST52−mRFPと安定して同時発現された場合、Man99−GFPおよびMan49−GFPで以前に観察されたように、2つの蛍光スポットは重複したが、いくらかの赤色蛍光は黄色から区別でき、ManIで従前に観察されているように、GNT38−GFPはトランス−ゴルジにはないことを示唆している(添付の図7J〜7L)。
【0104】
これらの結果から、ManIおよびGNTI双方のサイトゾルテイル、およびTMDは、それらの定常状態位置:ERおよび初期ゴルジコンパートメントへこれらのグリコシル化酵素を標的化するのに十分である。対照的に、同一ドメイン(CT+TMD)はXylT35−GFPを、BY−2細胞(Pagny et al.,2003(参考文献50))およびタバコ葉表皮細胞(添付の図6I)の双方においてのみゴルジに標的化させる。
【0105】
3.細胞質テイルは分泌経路の初期コンパートメントにおけるManIの保留に必要でないことを示す実験
哺乳動物および酵母ERに、および/またはゴルジ装置に存在する多くの膜結合タンパ
ク質のN末端サイトゾル領域は、ゴルジからERへ戻るそれらの検索(Teasdale
and Jackson,1996(参考文献62);Zerangue et al.,1999(参考文献66))、またはERからゴルジまでのそれらの輸出(Giraudo and Maccioni,2003(参考文献20))のいずれかを容易とするシグナルを含有する。植物においては、細胞質テイルの長さは、異なるグリコシダーゼおよびグリコシルトランスフェラーゼの間で広く変化できる(添付の図8)。例えば、GCSIおよびManIは長い細胞質テイルを含有する(各々、51/29個のアミノ酸)。比較として、GNTIおよびXylTのCTは11個のアミノ酸のみから構成される。
【0106】
ManIの標的化シグナルをより正確に定義し、およびこの標的化におけるこのグリコシダーゼの比較的長い細胞質ドメイン(29 アミノ酸)の役割を調べるために、2つの融合タンパク質D19Man−GFPおよびD19Man49−GFPを生じさせた。後者の2つのタンパク質において、XylTおよびGNTIのCTと同様に、CTが10アミノ酸まで短くなるように、19個のアミノ酸を除去した。もう1つのER輸出シグナルは残ったままであったが、この切断は、ERからゴルジへの輸送(Giraudo and Maccinoni,2003(参考文献20))で働くであろう二塩基性モチーフ(KxR)を除去した。CTの完全な除去が試みられた(DCTMan49−GFP、添付の図4)が、タバコ細胞で発現されたこの融合タンパク質を得るのは不可能であった。CTの残りの10個のアミノ酸における標的化決定基を探すために、CT配列を人工配列MAAA(MAAAMan49−GFP、添付の図4)によって置き換えた。この人工配列は公知のどの標的化配列にも含有せず、疎水性膜貫通ドメインの長さに影響しない。
【0107】
3つの構築物、すなわちMAAAMan49−GFP、D19Man−GFPおよびD19Man49−GFPが、タバコ細胞において発現されている。後者の2つは、丁度、それらが由来する(各々、添付の図5A、5Bおよび6D、6F)該構築物のようにERおよびゴルジ(添付の図9A〜9D)を標識した。加えて、人工MAAA CTを含有する融合タンパク質は同一のコンパートメントに位置し(添付の図9E)、N末端サイトゾル領域はManI標的化で必要ではなく、結局、ERおよびゴルジ装置へのその定常的な局在化で必要な全ての情報はMAAAMan49−GFP構築物の20個のアミノ酸内に、すなわち、TMDおよびC末端フランキングアミノ酸に含有されていることを示す。
4.膜貫通ドメイン(TDM)の長さがゴルジ標的化、およびManIのサブコンパートメント化において重要な役割を演じることを示す実験
哺乳動物細胞では、どのようにしてII型膜タンパク質がゴルジ内で異なるレベルで保持されるかを説明するために、いくつかのモデルが提案されてきた。
【0108】
最初のモデルである「同族認識」モデル(Nilsson et al.,1993b(参考文献45))によると、ホモ/ヘテロオリゴマー化によるN−グリカン成熟酵素の凝集は、得られた大きな複合体が分泌小胞へ、および分泌経路中の下流への継続的な順方向輸送に送達されるのを妨げる。
【0109】
このタイプの会合の最初の報告された場合の1つは、a−マンノシダーゼII,およびGLTI、メディアルゴルジに位置し、順次哺乳動物N−グリカン成熟作用する2つのグリコシル化酵素に関係するものであった(Nilsson et al.,1994(参考文献46))。このモデルは、元来、安定したゴルジ嚢の存在、および小胞シャトルを介する分泌輸送具の順行性流れを仮定することに注意すべきである(Nilsson et al.,1993b(参考文献45))。システルネ進行/成熟概念と適合させるために「同族認識」モデルは、オリゴマー複合体が逆行性小胞に優先的にパッケージされるのを可能とするように修飾されなければならないであろう(Fullekrug and
Nilsson,1998(参考文献18))。
【0110】
第2のモデルである脂質二層モデル(Bretscher and Munro,1993(参考文献))は、グリカン成熟酵素のTMDの長さ、および各オルガネラ膜の脂質二層の厚みの間の適合が局在化を決定することを提案している。なぜならば、各オルガネラはその特異的膜脂質組成および、結果として、それ自体の厚みを有するからである((Hartmann and Benveniste,1987(参考文献29);Lynch,1993(参考文献33);Moreau et al.,1998(参考文献36);Morr驕@and Mollenhauer,1974(参考文献37))。
【0111】
膜厚みモデルによると、分泌経路におけるN−グリカン成熟酵素の分布は、それらのTMDの長さに基づいて決まる(Bretscher and Munro,1993(参考文献10))。分泌経路オルガネラの膜は、ERから原型質膜まで厚みが増加する。ERおよびシスゴルジ膜は厚みが4〜5nmに過ぎないが、トランスゴルジの膜、分泌小胞および原形質膜は厚みが8〜9.5nmである(Grove et al.,1968(参考文献26);Morr驕@and Mollenhauer,1974(参考文献3
7))。さらに、TMD長さに関する標的化は、動物システム(Munro 1991,1995a,1995b(参考文献38))における、およびI型タンパク質については植物細胞における(Brandizzi et al.,2002a(参考文献9))における、それらのTMDの長さを変化させた後にレポータータンパク質の位置を調べることによって従前に説明された。これは、特異的コンパートメントの膜が一致する長さの疎水性TMDを収容できるに過ぎないことを示唆する。
【0112】
比較は、ゴルジタンパク質TMDの長さが原形質膜タンパク質のそれよりも平均して5アミノ酸だけ短いことを明らかとした(Masibay et al.,1993(参考文献41);Munro,1995a(参考文献48))。いくつかの例はこのモデルに好都合である。ラットa−2,6−シアリルトランスフェラーゼおよびウシb−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼの長さの増加は、これらのグリコシルトランスフェラーゼのゴルジ保留を低下させた。加えて、17のロイシンから作成された合成I型のTMDの結果、リンパ球表面抗原CD8細胞外ドメインのゴルジ保留をもたらし、一方、23ロイシンTMDが細胞膜で増大した量で見出された(Masibay et al.,1993(参考文献41);Munro,1991(参考文献47),1995b(参考文献49))。さらに、1〜9の疎水性アミノ酸の挿入による18アミノ酸のa−2、6−シアリルトランスフェラーゼTMDの長さの暫時の増大の結果、同様なa−2,6−シアリルトランスフェラーゼ−リソソームキメラの増大した細胞表面発現がもたらされ、一方、原形質膜タンパク質TMDの長さの減少により、ゴルジにおけるその保留の増大が生じた(Munro,1995b(参考文献49))。
【0113】
植物細胞においては、TMDの長さに関連する膜内システムに沿っての膜タンパク質のサブコンパートメント化に好都合な予備的データが、GFPに融合した2つのI型膜タンパク質においてTMDの長さを変化させることによって得られた(Brandizzi et al.,2002a(参考文献9))。
【0114】
まず、23個のアミノ酸TMDを含有するヒトリソソーム膜タンパク質LAMP1をGFPに融合させ、タバコの葉で発現させた。融合は原形質膜に位置した。対照的に、TMDを20および17個のアミノ酸まで短くすると、GFPキメラは、各々、ゴルジおよびER膜に局在化された。第2に、空胞ソーティング受容体BP80の19アミノ酸長さのTMDはGFPをゴルジに標的化させ、一方、22アミノ酸の長さのTMDはGFPを原形質膜に標的化させた。
【0115】
どのようにしてそれがゴルジにおけるそのサブコンパートメント化に影響し得るかを知るために、II型膜タンパク質ManIのTMD長さを調べた。特に、TMDの長さは、
このドメインの最後の7個のアミノ酸を複製することによって、16から23アミノ酸まで増加した。ERおよびゴルジ装置のシス半分に位置した16アミノ酸のTMDを含有するそれらのホモログとは対照的に、23アミノ酸のTMDを持つキメラタンパク質は、専ら、ゴルジにより正確には、ゴルジスタックのトランス半分に局在化された。
【0116】
本実施例においては、ManI標的化に必要な情報は、16アミノ酸TMDを含めた20アミノ酸配列内に含まれる。TMDの長さが初期植物分泌経路においてこのII型膜タンパク質の標的化で重要な役割を演じることができるかを調べるために、2つの融合タンパク質ManTMD23−GFPおよびMan99TMD23−GFPを設計し、ここに、ManIのTMDを、その最後の7個のアミノ酸の複製によって16から23アミノ酸まで長くした(添付の図4)。ManTMD23−GFPおよびMan99TMD23−GFPを、BY−2浮遊培養細胞において、およびタバコ葉表皮細胞において発現させた。双方の植物発現系で、ManTMD23−GFPおよびMan99TMD23−GFPは、専ら、明るいスポットに位置し、(添付の図10A、10B、10D)、真菌トキシンブレフェルジンA(50 μg.mL−1、2時間、添付の図11C)に感受性であった。ManTMD23−GFPおよびMan99TMD23−GFPの発現パターンは、電子顕微鏡観察によって従前に確認されているように、共に、BY−2浮遊培養細胞およびタバコ葉表皮細胞中のゴルジに専ら位置するXylT−GFP融合(添付の図10)、またはST52−mRFP融合(添付の図10)と同様であった(Boevink et
al.,1998(参考文献7);Pagny et al.,2003(参考文献63))。
【0117】
ManTMD23−GFPおよびMan99TMD23−GFPのサブ−コンパートメント化をさらに調べるために、これらのGFP融合タンパク質およびST52−mRFPの一方または他方を同時発現する安定したBY−2浮遊培養細胞を確立した。併合イメージにおいて、緑色スポットを赤色スポットから分離するのは不可能であり、23アミノ酸のTMDを含有するGFP融合は、それらが共焦点レベルでST52−mRFPと同時局在化するように、ゴルジ内で順方向にトランス面に向けて移動したことを示唆する(添付の図10と比較のこと)。興味深いことには、スポットのパターンは、断面(添付の図10G〜10I)と比較して、皮質イメージ(添付の図8D〜8F)が同様であり、これはより長いTMDおよびトランスゴルジマーカーST52−mRFPとのMan−GFP融合が完全に同時局在化されるという仮定を補強している。対照的に、メディアルゴルジマーカー(XylT35−GFP)およびトランスゴルジマーカー(ST52−mRFP)の結果、併合イメージ(添付の図10J〜10L)において完全に重複しない蛍光スポットが生じた。
【0118】
ポリクローナル抗GFP抗体でのイムノゴールド標識と電子顕微鏡観察とを組み合わせることにより、我々は、これらの融合タンパク質のゴルジ内局在化をより正確に決定することができた。添付の図11に示すように、Man99−GFP融合は主としてゴルジのシス側に蓄積し(添付の図11B)、一方、Man99TMD23−GFP融合は、主として、ゴルジのトランス側に局在化される。(添付の図11C)。
【0119】
同様な結果がManI−GFPおよびManTMD23−GFPで得られた(データは示さず)。プレ免疫血清または野生型タバコBY−2浮遊培養細胞を用いた対照実験は全くまたはほとんど非特異的ゴルジ標識を示さなかった(添付の図11A)。
【0120】
この結果は、TMDが全長タンパク質ManIとして同一局在化を付与するのに十分であることを示し、該データは、TMDの長さがゴルジスタックおよびER内のこのII型膜タンパク質の正確な位置決定のための非常に重要な因子であることを示唆する。かくして、タンパク質脂質相互作用は、分泌系内のManI標的化において重要な役割を演じる
と期待される。
【0121】
興味深いことには、これらの結果は、植物分泌系におけるI型およびII型膜タンパク質の標的化でのTMD長さの要件の差を明瞭に指摘している。事実、XylTの23アミノ酸のTMD(Dirnberger et al.,2002(参考文献15);Pagny et al.,2003(参考文献50))、またはManIIの22アミノ酸のTMD(Strasser et al.,2006(参考文献60))は、GFPをゴルジのみに標的化する。加えて、本実験においては、長いTMD(23アミノ酸)を有するManIもまた専らゴルジで検出された。対照的に、I型膜タンパク質の23アミノ酸 TMDおよびBP80の長い22アミノ酸のTMDは(Brandizzi et al.,2002a(参考文献8))における原形質膜タンパク質にGFPを標的化する。
【0122】
所与厚みを持つ膜に滞在するための膜タンパク質についてのTMD長さの要件は、タンパク質のトポロジー(I型またはII型)に依存するであろう。
これらの実験はManIタンパク質標的化TMD長さの役割を明瞭に示すが、他の実験は、他の酵素がより適切な局在化のために他のシグナルを必要とすることを示す。例えば、ゴルジの後期部分におけるより長いTMDの傾向とは反対に、18アミノ酸のTMDとのST52−GFP融合が、23アミノ酸のTMDとのXylT35−GFP融合(Pagny et al.,2003(参考文献50))よりもトランスゴルジにおいてさらに下流で見出されている(Boevink et al.,1998(参考文献5);Wee et al.,1999(参考文献63))。
【0123】
同様な結果が、一過性発現で用いる他の植物系で得られた。事実、Man99−GFPは大豆(添付の図12A)において、またはトマト(添付の図12C)において、ゴルジおよびERに位置し、一方、Man99TMD23−GFPは双方の発現系(添付の図12Bおよび12D)においてほとんど専らゴルジで見出された。
【0124】
TMDが植物グリコシル化酵素にこれまで同定された最も短いものの1つであって、ERへの局在化を可能とする、GCSIに関してここに説明した状況においてさえ、実験は、CTに含有されたさらなる情報が適切な標的化で必要とされることを示した。かくして、GCSIで行ったインシリコ分析および突然変異誘発実験は、植物分泌系におけるグリコシル化酵素のコンパートメント化のための唯一のシグナルとしてのTMD長さと合致しない。
【0125】
換言すれば、TMDの長さはERおよびシスゴルジにおいてManI標的化に対して鍵となる役割を演じるが、GCSIで得られた結果が、ERまたはゴルジ膜におけるいくつかの膜タンパク質の特異的局在化もまた、(TMDを介する)タンパク質−脂質および(特殊なソーティングモチーフを介する)タンパク質−タンパク質の相互作用の双方に依存し得ることを示している。ゴルジマトリックスタンパク質または細胞質レギュレータのようなサイトゾルパートナーの同定は、植物分泌経路に沿ってのN−グリカン成熟酵素を分配するためのこの第2のモデルに関与するメカニズムを説明するのを可能とする。
【0126】
ゴルジにおいて種々のレベルに局在化する酵素の大きな収集物により、真菌トキシンブレフェルジンA(BFA)での処理に応じた、ゴルジスタック内の全てのシステルネがERと融合するか否かの問題の試験が可能となった。事実、16または23個のアミノ酸のTMDおよびST52−mRFPいずれかを含有するMan−GFP融合は、全て、BFAでの2時間のタイムコース実験に渡ってERに向けてゴルジクラスター中に移動して戻る。これらの結論は、従前に公表された結果と合致する(図12に添付)(Nebenfuhr et al.,2002(参考文献43);Ritzenthaler et
al.,2002(参考文献54))。
【0127】
結論において、これらの結果はまとまって、TMD長さが、ManIのERおよびシスゴルジコンパートメントへの標的化において鍵となる役割を演じ、および16から23アミノ酸へのTMDの長さの増加は、このII型膜タンパク質をゴルジのトランス面に向けてさらに下流に再度位置させることを示している(添付の図11D)。
5.後期および初期ゴルジタンパク質は、ブレフェルジンA(BFA)の存在下にてERに再度分布されることを示す実験
この実験の間に生じたゴルジマーカーの大きなパネルを利用し、種々のゴルジサブコンパートメントに位置するゴルジタンパク質が、BFA処理の研究後に異なるように挙動し得る確率を調べた。
【0128】
ER可溶性または膜マーカー(GFP−HDELまたはGlu90−GFP、添付の図13A〜13D)、ER/初期ゴルジマーカー(D19Man49−GFP、添付の図13E〜13F)、メディアルゴルジマーカー(XylT35−GFP、添付の図13G〜13H)または後期ゴルジマーカー(Man99TMD23−GFPまたはST52−mRFP、添付の図13I〜13L)を発現する細胞をBFA(50mg.mL−1)で2時間処理した。BFA処理の最後に全ての融合タンパク質は、凝集体に見出されないERマーカー(添付の図13A〜13D)を除いて、明るい凝集体に、およびER(添付の図13E〜13L)に蓄積した。全てのマーカーはBFAの存在下でERに再度位置した。
【0129】
ST52−mRFPと共にER/初期ゴルジまたは後期ゴルジタンパク質を同時発現する細胞において、BFAは凝集体において見出されてなかったGFP−HDEL(添付の図14A〜14F)およびGlu90−GFP(添付の図14D)を除いて、ERへの、およびゴルジ凝集体への双方のマーカーの再分布(添付の図14)を誘導する。いくつかの場合において、タイミングにわずかな差があるが、これらは検出にとって些細なことではなく、ゴルジ内局在化に関して有用でもない。さらに、可溶性(GFP−HDEL)または膜タンパク質(Glu90−GFP)マーカーいずれかを発現する細胞のBFA処理の後に、観察された蛍光パターンにおいて有意な差は観察されなかった(添付の図14A〜14D)。
6.TMD長さモデルが全てのII型膜タンパク質に適用されないことを示す実験
TMD長さが、植物分泌経路に沿った全てのグルコシダーゼおよびグリコシルトランスフェラーゼのサブコンパートメント化を可能とする唯一のゴルジソーティング決定基であり得るか否かを決定するために、特徴付けられたグリコシル化酵素のN末端配列を比較した(添付の図14)。
【0130】
この分析は、単一の種からのクローン化され、機能的に特徴づけられた少数の異なる酵素の配列によって、ならびに、より少ない数の電子顕微鏡観察データによって、単一の植物系におけるTMD長さおよび膜厚みを関連付けるのを妨げられた。今までにクローン化された全ての植物グリコシル化酵素のN末端配列(CT+TMD)のインシリコ分析は、ゴルジスタックにおける最も下流の位置を持つタンパク質においてより長いTMDの傾向を明瞭に示している(添付の図14)。例えば、a−1,3−フコシルトランスフェラーゼおよびa−1,4−フコシルトランスフェラーゼのような後期ゴルジに位置すると推定される酵素のいずれも、20アミノ酸よりも短いTDMを有しないことに注意するのは興味深い。これらの結果は、TMD長さの予測で用いた、MENSAT_V1,8、PHOBIUSまたはPRED_TMRプログラム(http://bioinf.cs.ucl.ac.uk/psipred/psiform.htmlおよびhttp://biophysics.biol.uoa.gr/PRED−TMR/input.html)で確認された。しかしながら、異なる種からの同様なグリコシル化酵素を比較した場合に、例えば、16アミノ酸(大豆)〜20アミノ酸(Arabidopsis)の範囲の
MaiI TMD、この一般的な傾向に対する例外を認めることができる。
【0131】
ER膜におけるその局在化を説明するための脂質二層モデルに完全に適合することができるその短い18アミノ酸のTMDに基づき、GluIはこのモデルの一般的な適応性についてチェックするために選択された。GluIのTMDがERにおけるその標的化および保留に十分であるか否かを規定するために、(触媒ドメインを含有する)このグリコシダーゼのルミナール部分のほとんどを欠失させ、その最初のN末端の90個のアミノ酸(CT+TMD+S)をGFPに融合させ、融合タンパク質Glu90−GFPを得た(添付の図4)。この融合をタバコ細胞で発現させると、ERは、全長構築物GluI−GFPおよびGFP−HDEL構築物で得られたものと非常に同様なパターンにて強調された(添付の図15Aおよび15B)(顕微鏡写真14Aおよび14Bを4Gと4Dと4Eおよび12Cと比較のこと)。
【0132】
この結果は、ERへのGluI標的化が、この切断されたタンパク質に残存するCT、TMDおよび/または21ルミナールアミノ酸内に位置するシグナルに依存することを明瞭に示していえる。
【0133】
ER中のGluIの局在化に必要とされる最小のタンパク質配列を規定するさらなる試みにおいて、Glu90−GFP構築物からの最初のN末端13アミノ酸が欠失され、D13Glu90−GFPが得られている(添付の図4)。この融合物がタバコ浮遊培養または葉表皮細胞で発現されると、XylT−GFP(添付の図6Iおよび9E)およびST52−GFP(添付の図15F)で観察されたように、キメラタンパク質は専らゴルジ様スポットに位置した(添付の図15Dおよび15E)。
【0134】
結論として、GluIの18アミノ酸長TMDはER膜におけるこのグルコシダーゼを標的化するのに十分ではなく、CTの最初の13アミノ酸に含有されるさらなる情報が、分泌系におけるこのグリコシル化酵素の正常な局在化にとって必要であった。
【0135】
この結果は、TMD長さ以外の因子が初期分泌経路におけるグリコシル化酵素の位置決定に影響するという実験的証拠を提供している。
7.シロイヌナズナ GCSIII型膜タンパク質の局在化
GCSIはタバコ小胞体に厳格に蓄積される。
【0136】
シロイヌナズナ GCSIは、51アミノ酸のサイトゾルテイル、約18残基の膜貫通ドメイン、およびルーメンに向けられた大きな触媒ドメインよりなる、II型膜タンパク質である(Boisson et al.,2001(参考文献6))。このグリコシダーゼの位置を調べるために、GFP融合の全長GCSIへの局在化(添付の図15)を、タバコBY−2細胞における安定した発現の後に実行した(添付の図16Aおよび16B;添付の図17Aおよび17B)。全長GCSI−GFP融合構築物の蛍光は、専ら、GFP−HDEL構築物によって染色されたERネットワークと区別できなかった細胞質全体の網状ネットワークにおいて、共焦点レーザー走査型顕微鏡観察によって検出された(添付の図16Cおよび16D)。
【0137】
これらの結果は、生成直後の糖タンパク質への前駆体オリゴ糖の付着の直後におけるER中の該前駆体オリゴ糖からの第1の糖残基のトリミングと、およびCOS細胞におけるヒトGluIで示された結果と合致する(Hardt et al.,2003(参考文献28))。さらに、観察された可溶性(GFP−HDEL)または膜タンパク質(GCSI−GFP)マーカーいずれを発現する細胞の蛍光パターンにおいても有意な差は観察されなかった(添付の図16A〜16D)。
【0138】
8.GCSIの最初の90アミノ酸はGFPをERに保持するのに十分であること示す実験
GCSIのERにおける選択的保留を可能とするメカニズムを理解するために、GCSI標的化におけるルーメンドメインの役割をまず調べた。ERルーメンに位置するGCSIの部分がこのグリコシダーゼをERに標的化するにおける役割を演じるかを決定するために、GCSIの最初の150アミノ酸(CT+TMD+stem81アミノ酸)または最初の90アミノ酸(CT+TMD+stem21アミノ酸)をGFPに融合し、対応するキメラタンパク質を、各々、GCS150およびGCS90と命名した(図15に添付)。GCS150およびGCS90をAgro浸潤によって、BY−2浮遊培養細胞において安定に発現させるか、またはタバコ葉表皮細胞において一過的に発現させ、共に、正確に(図16A、Bに添付された)全長構築物について従前に観察されているように、(各々、図17A、C、Eおよび17B、D、Fに添付された)双方の発現系におけるERで観察した。これらの切断融合がタバコ葉表皮細胞において一過的に発現される場合、全発現レベルが既に強く減衰している場合には形質転換から5日後にER標識が依然として観察され、一方、同一条件で分析したゴルジ融合が専らゴルジに位置することに注意するのは重要である(Saint−Jore−Dupas et al.,2006;データは示さず)。このデータはグルコシダーゼIの触媒ルーメンドメインが酵素のER位置で必要でなく、GCSIの最初の90アミノ酸がGFPをERに保持するのに十分であること示している。
【0139】
9.細胞質テイルがER保留配列を含有することを示す実験
哺乳動物および酵母ERに存在する多くの膜タンパク質のN末端サイトゾル領域は、厳格な保留(Nilsson et al.,1994(参考文献46);Opat et
al.,2000(参考文献48),Hardt et al.,2003(参考文献28);Ciczora et al.,2005(参考文献12))、またはゴルジからERへ戻るそれらの検索(Teasdale and Jackson,1996(参考文献62);Zerangue et al.,1999(参考文献66))を容易とするシグナルを含有し、一方、いくつかの他のものはERからゴルジへの輸出を促進する(Giraudo and Macioni,2003(参考文献20))。植物においては、少数の研究のみが、膜タンパク質のCTにおけるER輸出配列の存在を示し(Contreras et al.,2004(参考文献4613);Yuasa et al.,2005(参考文献65);Hanton et al.,2005b(参考文献27))、および膜タンパク質ER保留を担うサイトゾルモチーフの特徴付けをいう(Benghezal et al.,2000(参考文献4);McCartney et
al.,2004(参考文献35))。
【0140】
GCSI N末端におけるER標的化情報を含有する配列をより正確に規定するために、GCS90のN末端に位置する最初の13アミノ酸をまず欠失させ、得られたキメラタンパク質をD13GCS90と命名した(図15に添付)。この切断は、ER保留において機能するであろう2つの二塩基性モチーフRRまたはRXRを除去したが、他のER保留シグナル(RRまたKXK)はこの融合タンパク質のCTに留まった。並行して、GCSIの最初の13のN末端アミノ酸ペプチドを、メディアルゴルジに従前に位置したゴルジレポータータンパク質(XYLT35、添付の図15)に融合させた(Pagny et al.,2003(参考文献50))。本実験で用いた実験条件において、XYLT35は、それが図18G〜18Hに示すように、BY−2タバコ細胞のゴルジ装置に専ら蓄積することが確認された。
【0141】
2つの構築物(D13GCS90および13GCS−XYT35)もまたBY−2細胞において安定に発現された。サイトゾルテイルの最初の13アミノ酸の欠失は、ゴルジマーカーXYLT35(図18E〜18F)で観察されたものと同様に、GCS90タンパ
ク質を明るいスポットに再度位置させた(図18C〜18D、図19A)。加えて、D13GCS90はERマーカーmRFP−HDELと同時局在化されなかった(図19B)が、タバコは表皮細胞における一過的発現の後にはST−mRFTゴルジマーカーと完全に同時局在化された(図19C)。興味深いことには、GCSIの13のN末端アミノ酸のXYLT35ゴルジマーカーへの融合はERにおけるレポータータンパク質をブロックした(図18G〜18H;図19G)。GCS13−XYLT35融合タンパク質はGCS90構築物のようにERを標識し(図18A〜18D)、mRFP−HDEL ERマーカーと同時局在化された(図19H)。強力なER標識に加えて、GCS13−XYLT35をタバコ葉表皮細胞において発現した場合に、少数の明るいスポットがやはり観察された。これらのスポットは移動し、ST−mRFPゴルジマーカーと同時局在化される(図19I)。
【0142】
結論として、GCSIの最初の13アミノ酸は、ERにおいてGCS90融合タンパク質を保持するのに必要であり、ゴルジマーカーをERに再度位置させるのに十分である。10.サイトゾルのアルギニンリッチな配列は植物におけるER保留シグナルであることを示す実験
アルギニン残基がAtGCSIの13のN末端アミノ酸におけるER保留に必須であるか否かをさらに調べるために、AtGCSIのヒトホモログのN末端に位置するアルギニンリッチなドメイン、またはI型植物ER存在膜タンパク質A.thalianaカルネキシンのサイトゾルC末端に位置するアルギニンリッチなドメインいずれかのためのペプチドを変化させた。
【0143】
植物細胞において認識されるヒトGCSIのN末端に位置するアルギニンリッチなペプチドの能力を調べるために、GCS90の最初のN末端13アミノ酸をヒトGCSI(Hs10−GCS90、図15)の最初のN末端10アミノ酸によって置換した。タバコ葉表皮細胞において一過的に発現させると、Hs10−GCS90はERに位置し、N末端サイトゾル領域が植物分泌系によって完全に認識されることを示す(図17J〜17L)。
【0144】
2回目に、I型の膜タンパク質によって実行された同様なアルギニンリッチなモチーフがERにおけるII型タンパク質の標的化を媒介できるかを調べるために、シロイヌナズナカルネキシンのC末端に位置した最後の11アミノ酸をゴルジマーカーXYLT35(CNX11−XYLT35、図15、表1)のN末端に融合させた。CNX11−XYLT35はタバコ葉表皮細胞において一過的に発現された。図19M〜19Oに示すように、I型膜タンパク質のアルギニンリッチなC末端ペプチドは、II型のXYLT35ゴルジマーカーをERに保持するのに十分である(図19M〜19N)。同一ゴルジ標識もまた、GCS13−XYLT35融合(図19I)に関して検出された(図19O)ことに注意する。
11.GCSIのサイトゾルテイルにおけるアルギニン残基はER局在化情報を含有することを示す実験
GCSIの13個の最初のアミノ酸内の4個のアルギニン残基の役割をより正確に定義するために、PCR部位特異的突然変異誘発を用いてロイシンまたはアラニン残基いずれかによってこれらの残基を置換し(構築物の詳細については表1参照)、得られた融合タンパク質をタバコ細胞で発現させた。
【0145】
【表3】

【0146】
GCS90が専らERに局在化され、かつERマーカーmRFP−HDELと完全に同時局在化し(図20A、20B)、ゴルジマーカーST−52−mRFPとは同時局在化しないが(図20C)、Arg−6、Arg−7、Arg−10およびArg−12をアラニン残基と置き換える場合、R/LGCS90は専ら明るいスポットを強調した(図20D)。これらのスポットはゴルジマーカーST−mRFPとの同時局在化から本明細書
中で示すようにゴルジ装置に対応する(図20F)。ER標識は検出されなかった(図20E)。細胞内局在化に対する同一効果は、4つのロイシン残基によるこれらの4つのアルギニン残基置換後に観察された(図20G〜20I)。これらの観察は、N末端に対して位置6〜7〜10および12に位置する4つのアルギニンがGCS90のER存在性を担う構造的情報についてコードしているようである。
【0147】
第2の工程において、(RR)および(RXR)が2つの独立したシグナルとして作用するか否かを規定するために、Arg−6およびArg−7またはArg−10およびArg−12をロイシン残基で置換した。RRモチーフ(構築物R/L10−12GCS90におけるArg−6およびArg−7)またはRXRモチーフ(構築物R/L6−7GCS90におけるArg−10およびArg−12)、しかしながら、またRXXRモチーフ(構築物R/L6−12GSC90におけるArg−7およびArg−10)のいずれかの存在は、融合タンパク質のER保留について十分であった(図20J〜20L、および20M〜20O)。しかしながら、これらの3つの場合において、ER標識に加えて、ゴルジスタックに対して区別される蛍光スポットが観察された(図20Lおよび20O)。
12.RR、RXRまたはRXXRモチーフを保有する融合タンパク質が、ゴルジに会合して、ERに蛍光スポットで蓄積することを示す実験
次の工程は、R/L6−7GCS90、R/L10−12GCS90およびR/L6−12GSC90キメラ融合タンパク質による蛍光スポットとして標識された構造を同定することであった。R/L6/7GCS90タンパク質に関して説明したように、GFP蛍光は、ERにおいて、および蛍光構造において蓄積し、それはゴルジスタックよりも小さい(図20J〜20L、および図21A〜21B)。細胞におけるこれらの構造の局在化をより正確に規定するために、mRFP−HDEL ERマーカー、ST52−mRFPゴルジマーカー、およびR/L6−7GCS90、R/L10−12GCS90またはR/L6−12GSC90融合タンパク質のいずれかを同時に発現させた。
【0148】
結果を図21A〜21Bに示し、小さな蛍光スポットがゴルジスタックに密接に会合するが、区別されることを示す。1つのジクチオソームおよび1つのスポットの会合によって形成されたユニットは、ERに沿って一緒に移動し、それらは決して分離しない。
【0149】
これらの結果を考慮し、R/L6−7GCS90、R/L10−12GCS90およびR/L6−12GSC90融合タンパク質は、ER存在可溶性タンパク質がそこから排除された、ERおよびゴルジの間に位置する小さな中間ドメインにおけるERに蓄積した(図20Kおよび20N)。これらのドメインはゴルジに強く会合し、ER皮質ネットワークに沿ってゴルジスタックと共に移動し、従って、これらのドメインは、Yang et
al.,2005に記載されたようにER出口部位(ERES)で有り得た。これを証明するために、R/L6−7GCS90、R/L10−12GCS90およびR/L6−12GSC90融合タンパク質をタバコ葉表皮細胞においてSar1p−mRFPと同時発現させた。
【0150】
あいにく、蛍光スポットにおけるSar1p−mRFPの動員は示されなかった(図22A〜22C)。それにも拘わらず、Sar1pはGCS90の突然変異した形態の輸送に関与することは示された。事実、図22J〜22Lに示されるように、R/LGCS90をSar1p/GTP−mRFPと同時発現させた場合、Sar1pは、ERおよび、蛍光スポットに蓄積した(図22K)。
【0151】
対照的に、GCS90は、単独で発現されたSar1p−mRFPがERにおけるように(データは示さず)、Sar1p−mRFPを動員させず、GCS90とSar1p−RFPとの同時発現はGCS90標識を修飾しなかった(図22D〜22I)。さらに、
突然変異した形態Sar1p/GTP−mRFPの発現はERにおいてゴルジR/LGCS90の保留に導いた。
【0152】
結論として、R/LGCS90の輸送はサイトゾルタンパク質Sar1pによって調節される。しかしながら、1つのRR、RXRまたはRXXRモチーフを保有する融合タンパク質で標識された小さなドメインは、Sar1p−mRFPと会合しないが、それらは、ERおよびゴルジコンパートメントの間に位置する。
13.AtGCSIのER保留はN末端アルギニンモチーフのみに依存しないことを示す実験
本実施例においては、ゴルジレポータータンパク質に融合したGCSIアルギニンモチーフはそれをERに局在化させた。しかしながら、これらのシグナルが全長GCSIのER局在化に関与する主な保留シグナルであるという証拠はない。
【0153】
ロイシンまたはアラニンによるArg−6、Arg−7、Arg−10およびArg−12の置換の結果、GCS90構築物についてのERが指令する情報の破壊がもたらされるという観察に基づき、N末端の13アミノ酸をGCSIの全長配列から欠失させ、野生型酵素(D13GCSI、図15)のER標的化におけるモチーフ(RXRおよびRR)の重要性を評価した。加えて、GCS150切断形態は、N末端におけるアミノ酸残基1〜13を欠如させて合成した(D13GCS150、図15)。次いで、融合タンパク質を葉表皮細胞において一過的に発現させた。ゴルジ装置に蓄積したD13GCS90とは対照的に、D13GCSIおよびD13GCS150双方は専らERに位置した(図23D〜23E)。さらに、キメラタンパク質がERマーカー(mRFP−HDEL)と共にタバコ細胞で同時に発現された場合、GCS90とは対照的に、D13GCSIおよびD13GCS150の双方はゴルジで検出されず、双方の蛍光シグナルはERで観察され、mRFP−HDELと完全に同時局在化された(図23G〜23L)。これらの結果は、ヒトGCSIが、全長構造を局在化するのに必要でない機能的アルギニンベースのシグナルを含有することを示すHardt et al.,(2003)(参考文献28)の従前の研究と合致する。GCS90(図23F、23Iおよび23L)、GCSI(図23D,23Gおよび23J)およびGCS150(図23E、図23H、および23K)の間で観察された標識の差は、鍵となる情報決定ER局在化がGCSIのルミナールポリペプチド鎖に、より高い確実性で、ステムドメインに、アミノ酸残基70〜150の間に含有されなければならないことを示唆した。
【0154】
この仮定を確証するために、81個のアミノ酸残基70〜150または61個のアミノ酸90〜150をメディアルゴルジマーカーXYLT35のルミナールドメインに融合し(図24A)、タバコ葉表皮細胞においてこれらの新しいタンパク質(XYLT35−GCS81およびXYLT35−GCS60、図24B、C)を一過的に発現させた。GFP標識のほとんどはERで見出され、「残り」はゴルジにあった。
【0155】
哺乳動物細胞においては、ゴルジに位置した膜タンパク質について同族認識モデルにおいて従前に記載されているように、タンパク質サブユニットの会合に関連する直接的保留によってER存在が達成されて、それらの膜貫通および/またはルミナールドメインを介して大きなオリゴマー複合体を与えることができるのが示されている(Nilsson et al.,1994(参考文献46);Opat et al.,2000(参考文献48))。これらの大きなタンパク質オリゴマーは、輸送小胞へのパッケージングを回避すると仮定され、かくして、オルガネラからのそれらの輸出を妨げる。このタイプのメカニズムは、ヘテロオリゴマーオリゴサッカリルトランスフェラーゼ複合体のサブユニット成分のER保留において機能的であり得るが、植物においては未だ記載されていなかった。
【0156】
結論において、AtGCSIのサイトゾルテイルおよびルミナールドメインの双方は、その特異性と合致して、かつ他の真核生物系でなされた観察と完全に合致して、ER標的化決定基を含有し、結果は、AtGCSIが植物ERにおいて、および専らこのコンパートメントにおいて局在化されることを示す。N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GNT1)およびa1,2マンノシダーゼ(ManI)のような植物N−グリカン成熟において初期に作用する他のグリコシル化酵素は、ERにおいて、およびシスゴルジにおいての双方に位置することが示された。GNTIおよびManI、ERおよびシスゴルジは、サイトゾルテイルにおける標的化情報の存在を含有することが示され、一方、GCSIサイトゾルテイルの最初の13のN末端アミノ酸はER標的化情報を含有する。本発明は、ER標的化に関与するサイトゾルテイルにおける鍵となるアミノ酸がいずれであるかを示すが、アルギニンリッチなサイトゾルテイルが全タンパク質配列における唯一のER標的化決定基ではないことも示す。
【0157】
事実、GCS150からのアルギニンリッチな配列の欠失は、ERがゴルジのような後期コンパートメントへ出ていくのを許容せず、D13GCS90は依然として専らERに位置する。
【0158】
これらの結果を一緒にすると、ゴルジII型膜タンパク質にER保留を付与するのに十分な少なくとも2つのドメインがGCSI配列に共存することを示す。GCSIのルミナールドメインにおける欠失は、ER保留についての情報が、GCSI配列中のアミノ酸90および150の間に位置する60アミノ酸ペプチドに含有されることを示した。
【0159】
比較結果が、ルミナールER標的化シグナルの存在に関してヒトグルコシダーゼIで得られたが、今日、関係するルミナール配列は未だ特徴付けられていない(Hardt et al.,2003(参考文献28))。前記したように、ゴルジレポータータンパク質XYLT35に会合させた場合、植物ルミナールペプチドはXYLT35をERに再度位置させるのに十分である。GCSIのルミナールドメインは、AtGCSIおよび可溶性および/または膜結合ER存在タンパク質の間の複合体の形成を容易とすることができよう。しかしながら、同族認識モデルとは矛盾して、いくつかの大きなタンパク質複合体は原形質膜に位置し、完全に組み立てられて、ERから輸出されなければならないことが示されている。
【0160】
事実、これらの複合体のサイズは保留を説明すると考える必要はないようである。事実、ERルーメンにおけるタンパク質の非常に高い濃度のため、恐らくは、タンパク質−タンパク質複合体を形成する能力を有するタンパク質について内部に留まるよりはERを去らせるのはより困難である。BiPに関連するもう1つのERシャペロン系について従前に記載されているように、我々は、現在、生成直後の糖タンパク質折畳み機構が、植物ERにおいて、GCSI、グルコシダーゼII、カルネキシン、カルレチクリンおよびERp57から作成された大きなマルチタンパク質複合体を形成できるか否かを調べている。14.GCSIのサイトゾルテイルは、ER保留に十分な独立した3つのジアルギニンシグナルを含有する。
【0161】
アルギニンリッチな配列(MTAGASRRSARGRI(配列番号1))が、ERにおいてゴルジマーカーXYL35を標的化するのに十分であることが示された。哺乳動物細胞の分泌系における膜タンパク質標的化についての従前の研究に基づき、本実施例は、4つのアルギニン残基がER保留情報を含有しているかを同定するために行った。4つのアルギニンのアラニンまたはロイシン残基への突然変異は、L/GGCS90がゴルジで見出されたように、この配列のER保留能力を完全になくし、かくして、ER保留におけるアルギニン残基の鍵となる役割を確証する。
【0162】
アルギニンリッチな配列における指向性突然変異誘発に基づくさらなる分析は、事実、2つのアルギニン残基(RR、RXRまたはRXXR 配列番号70)がGCS90のER保留を付与するのに十分であり、その結果、13個のアミノ酸からなるペプチドがGCSIのサイトゾルテイルに共存するER保留について十分な3つの区別されるジアルギニンモチーフを含有することを示した。興味深いことには、これらの3つのジアルギニンモチーフのうち1つのみがGCS90のサイトゾルテイルに存在する場合、蛍光はERにおいてのみならず、ERトラックに沿ってゴルジスタックに会合した、およびゴルジスタックと共に移動する小さなスポットにおいても検出される。
【0163】
加えて、可溶性ERマーカータンパク質GFP−HDELはこれらの小さなスポットから排出される。仮定は、R/L6−7GCS90、R/L6−12GCS90およびR/L10−12GCS90が検出されるこれらの小さなスポットは、ER表面に位置する分泌ユニット(ERES)、およびERおよびゴルジ装置の間の物質交換の媒介に対応するというものであった(Runion et al.,2006(参考文献55))。この仮説を確証するさらなる調査は、ER表面におけるジクチオソームに会合した、およびそれと共に移動する単一分泌ユニットに基づいてER/ゴルジ輸送モデルに好都合であろう。しかしならが、ミニスポットはSar1pとは同時局在化されない。ジアルギニンモチーフは哺乳動物膜タンパク質で広く研究されているが、それらは、それらの植物ホモログにおける本発明研究より前には決して特徴付けられていなかった。興味深いことには、ヒトGCSIにおいて従前に同定されたジアルギニンモチーフは、植物細胞においてER保留を媒介することは示されている(Hardt et al.,2003(参考文献28))。
【0164】
しかしながら、AtGCSIで同定されたジアルギニンモチーフはそれらのヒトホモログよりもより柔軟に見える。事実、ヒトaグルコシダーゼIのジアルギニンモチーフは位置+7および+8における2つのアルギニン残基から、および位置+9における塩基性アミノ酸から作成される。AtGCSIにおいて、2つのアルギニン残基の間の距離はより柔軟に見えるが、良好な効率のためには2つのアミノ酸を過ぎることはできない。さらに、このモチーフはタンパク質のN末端に非常に近接すべきである。事実、GCSIにおいては、位置+23および+24におけるジアルギニンモチーフRRは融合タンパク質D13GCSS90−GFPに依然として存在するが、ER保留を付与するには十分でない。
【0165】
最後に、入手可能なGCSI配列の比較は、これらのER存在タンパク質の末端におけるジアルギニンモチーフが高度に保存されていることを示した(表2、Boisson et al.,2001(参考文献6);Hong et al.,2004(参考文献30))。
【0166】
【表4】

【0167】
実施例2:同一性配列の記載
先の実施例に示したように、表3にリストした各シグナルは、緑色蛍光タンパク質のようなレポータータンパク質をERおよび/またはGAへ標的化するのに十分である(添付の図25Aおよび25B参照)。
【0168】
【表5】

【0169】
従前に開示されたように、配列番号1〜3は、ERに標的化される膜タンパク質につい
てのアンカリング配列の組を表わす。これらの配列は、C−またはN末端に位置した膜タンパク質のサイトゾルテイルに位置する。
配列番号1:MTAGASRRSARGRI
配列番号2:MARGERRRRA
配列番号3:MNDRRPQRKRPA
これらのサイトゾルテイルに存在する以下のジ−Argモチーフ配列(配列番号1〜3)は、ERにレポーター膜タンパク質を保有するのに十分であった。
【0170】
モチーフ配列:

配列番号 配列番号 配列番号
RR RRXXRXR 76 RRRK 88
RXR RKXXRXR 77 RRKK 89
RXXR 70 RRXXRXK 78 RKKR 90
RXXXR 71 RRXXKXR 79 KKRR 91
RK KRXXRXR 80
RXK KKXXRXR 81
RXXK 72 RRXXKXK 82
RXXXK 73 RKXXKXR 83
KR RKXXRXK 84
KXR RRRR 85
KXXR 74 RKRR 86
KXXXR 75 RRKR 87

図25に示すように、これらのジArgモチーフは、各々、II型またはI型の膜タンパク質のN末端部分またはC末端部分にそれぞれ位置することができる。
【0171】
他の以下の配列に従ってテストした。
配列番号4〜7は、ERにおける組換え膜ポリペプチドの厳格な保留を担う。これらの配列はERルーメンに位置する。
【0172】
配列番号4
FQGEHKESLYWGTYRPHVYFGVRARTPLSLVAGLMWLGVKDEMYVMRHFC
配列番号5
FQGDHKESLYWGTYRPNVYLGIRARTPLSLIAGIMWIGAKNGQYFLRHVC
配列番号6
ESDASLLWGTYRPQIYFGLRPRLPGSLLTGLAWFGLQDYSDFQHIRHQC
配列番号7
ERSNRLFWGTYRPGIYFGMKHRSPISLLFGVMWTVQDAENFAFRHSC
本発明の配列番号4に対して少なくとも70%の相同性を有する各配列は、本発明の標的化シグナルのそれと同一の効果を有すると見積もられる。
【0173】
図26において、ステム(S3)に位置する配列番号4〜7は、ERにおける膜タンパク質の厳格な保留を担う。S3は膜貫通ドメイン近くに位置する配列である。
ERにおける組換えポリペプチドの厳格な保留(図26参照)は、配列番号8に示すように、ジArgモチーフを含有する配列番号1〜3の1つ、および配列番号4〜7の1つ
の連結によって成され、ERにおける膜タンパク質の厳格な保留、および組換えタンパク質の安定化を担う。
【0174】
16〜23アミノ酸の膜貫通ドメイン(GS2)は、タンパク質をゴルジに向けるのに十分であることが示された。このドメインの使用は、ゴルジ膜における組換えタンパク質または酵素を係留させるのに十分である。本発明のペプチドシグナルに含まれるテストした膜貫通ドメイン(GS2)の例は以下の通りである:
【0175】
【表6】

【0176】
ゴルジ酵素からのサイトゾルテイル(GS1)、膜貫通ドメイン(GS2)およびステム(GS3)の間の配置は、シス、メディアルまたはトランスゴルジにおける膜タンパク質の保留を担う(添付の図26、底部模式図参照)。この配置は、ゴルジ装置における酵素または組換えタンパク質のサブコンパートメント化を可能とする。本発明によるそのようなペプチドシグナル配列の例は以下の通りである:
GS1
配列番号17:MARGSRSVGSSSSKWRYCNPSYYLKRPKR
配列番号18:MGVFSNLRGPRAGATHDEFPATNGSPSSSSSPSSSIKRK
配列番号19:MRGYKFCCDFR
配列番号20
MGVFSNLRGPKIGLTHEELPVVANGSTSSSSSPSSFKRK
配列番号21:MLVMPQPPKPFN
配列番号22:MARGSRSVGSSSSKWRYCNPSYYLKRPKR
配列番号23:MANIWKKQRLRDTGLCR
GS3ドメインから生じたペプチドシグナルの例は以下のものである:
【0177】
【表7】

【0178】
これらのシグナルは、一過性または安定した形質転換後に、タバコ、大豆、トマトまたはダイコン細胞におけるいくつかの膜タンパク質の発現を標的化するのに用いられてきた。これらのシグナルは、同一の標的化効率および特異性でもって、膜タンパク質のN末端(II型膜タンパク質)に、またはC末端(I型膜タンパク質)に加えることができる(シグナルは、II型IまたはIV膜タンパク質に加えることもできるようである)。
【0179】
【表8】

【0180】
実施例3:標的化配列を用いることによって初期分泌経路コンパートメント内の組換えタンパク質の貯蔵によるN−グリカンに対する免疫原性残基の付加の防止
植物ER−存在タンパク質の構造分析は、それらが専ら高マンノースタイプN−グリカンを担うことを示している(Navazio et al.,1997(参考文献41),1998(参考文献42);Pagny et al.,2000(参考文献49))。これらのオリゴ糖構造は植物および哺乳動物に共通しており、したがって、免疫原性ではない。この観察は、β1,2キシロースまたはα1,3フコースのような免疫原性残基の植物が作成した医薬品(PMP)N−グリカンの会合を妨げるための戦略を示唆した。この戦略は、ER内への、すなわち、免疫原性グリコエピトープが成熟する植物N−グリカンにそこで加えられるゴルジ嚢の上流への組換えタンパク質の貯蔵にある。まず、組換え可溶性タンパク質のC末端におけるH/KDELアミノ酸配列の付加は、植物ERにおけるその保留に十分であることが示された(Gomord et al.,1997(参考文献24),1999(参考文献22))。
【0181】
本実施例においては、同一戦略を用い、KDEL―ERシグナル配列を2つの異なる抗体の、抗体の重鎖および軽鎖双方に融合させた。
配列(配列番号1〜8)は、ERへ抗体の重鎖および軽鎖を標的化するのに用いられてきた。
【0182】
配列(配列番号32〜36)は、ERおよびGAへ抗体の重鎖および軽鎖を標的化するのに用いられてきた。
これらの抗体は専ら非免疫原性高マンノース型のN−グリカンを表わし(Sriraman et al.,2004(参考文献59);Petrucelli et al.,2006(参考文献51))、これは、a−マンノシダーゼIのような、ERおよびシスゴルジに位置した酵素に制限されるグリカン成熟に基づく非常に有効な再循環を示す(Nebenfhur et al.,1999(参考文献43))。従って、免疫原性N
−グリカンの、ER保留シグナルへの融合を介してのPMPへの会合への防止は可能である。
実施例B:ERおよび/またはGAにおける抗体または抗体断片の発現(添付の図15、レーンB)
ERおよび/またはGAにおける抗体または抗体断片の発現は、組換えタンパク質産生を改良するための異なる戦略を与える。例えば、それは、非修飾(突然変異した)治療タンパク質をERおよび/またはGAへ標的化するのに導くことができる。
【0183】
植物における機能的発現抗体の元来の証明以来、2つの主な研究の方向が確立されている。最初のものは、治療抗体または抗体断片の大規模な産生のためのバイオリアクターとしての植物の使用であった。第2に、抗体または抗体断片は宿主細胞で発現させて、免疫調節といわれるメカニズムによって生理学的プロセスに影響させる。考えられる免疫調節は、除草剤に特異的な抗体の発現がインプランタにて耐性を付与することが示された場合に最近示された(Almquist KC et al.2004,(参考文献1)、および添付の図27参照)。
実施例C:植物細胞のERおよび/またはGAにおける同種または異種酵素の発現、および該細胞における組換えタンパク質の発現
実施例1:植物細胞のER/GAにおける哺乳動物グリコシルトランスフェラーゼをアドレスすることによる植物細胞でのN−グリコシル化のヒト化(添付の図15、レーンC)
植物においては、他の真核生物細胞におけるように、オリゴ糖前駆体(Glc3Man9GlcNAc2)の、生成直後のポリペプチド上の特異的アスパラギン残基への同時翻訳付加と共に、N−グリコシル化はERにおいて開始する。一旦タンパク質に移動されたならば、かつ分泌された糖タンパク質が分泌経路に沿って輸送されている間に、オリゴ糖は複雑なN−グリカンをもたらすいくつかの成熟を受ける。免疫応答のトリガリング(Wright and Morrison,1994(参考文献64))のような、それらのエフェクター機能で用いられる抗体を含めた多くの医薬品は、それらのイン・ビボ活性および安定性に対してグリコシル化を必要とする。これは、可能な植物の使用が組換え抗体の産生で供給できるかの理由であり、「ヒト化」非免疫原性N−グリカンを得るためにはこれらの植物特異的成熟を阻害するのが必要になる。
【0184】
植物N−グリカンをヒト化するための魅力的な戦略は、植物において哺乳動物グリコシルトランスフェラーゼを発現させることであり、これは植物ゴルジ装置においてN−グリカン成熟の内因性機構を完了させる(またはそれと競合する)ことであろう。これらの補充的戦略に基づき、植物細胞のゴルジにおけるヒトβ(1,4)−ガラクトシルトランスフェラーゼの発現は、植物N−グリカンの部分的ヒト化に導きおよび、恐らくは、β(1,2)−キシロースおよびα(1,3)−フコースの付加と競合する。
【0185】
アルファルファまたはタバコ植物におけるヒトβ(1,4)−ガラクトシルトランスフェラーゼの発現は、ガラクトース残基を、植物N−グリカンの末端N−アセチルグルコサミン残基へ移動させる。しかしながら、このヒトガラクトシルトランスフェラーゼを発現するタバコまたはアルファルファ植物で産生された糖タンパク質によって運ばれたN−グリカンの30〜40%のみが、哺乳動物タイプの末端N−アセチルラクトサミン配列を担う(Bakker et al.,2001(参考文献2))。
【0186】
ヒトβ(1,4)−ガラクトシルトランスフェラーゼをゴルジ標的化シグナルと融合させた。
hGalTおよびGNTlhGalT発現についてのプラスミドはpBLTI121から組み立てた(Pagny et al.,2003参考文献50)。CaMV 35SプロモーターはHindIII−XbaI部位においてアルファルファプラストシアニンプロモーターによって置き換えた。ヒトβ(1,4)−ガラクトシルトランスフェラーゼ
(hGalT)遺伝子(UDPガラクトース:β−N−アセチルグルコサミニド:β(1,4)−ガラクトシルトランスフェラーゼ;EC 2.4.1.22)は、EcoRI消化でpUC19−hGalTから単離した。クレノウ処理の後、1.2kb hGalT断片をSmaI部位においてpBLTI221にクローン化した。次いで、フラグタグを、FGalT順方向(5’−GACTCTAGAGCGGGAAGATGAGGCTTCGGGAGCCGCTC−3’ 配列番号92)および逆方向RGalTFlagStu(5’−AAGGCCTACGCTACTTGTCATCGTCATCTTTGTAGTCGCACGGTGTCCCGAAGTCCAC−3’配列番号93)プライマーを用いるPCRによってコーディング領域のC末端に融合させた。次いで、PlastoプロモーターおよびNosターミネーターの制御下でこのXbaI−StuI断片をバイナリベクターpBLTI121をクローニングすることによってR622を産生した。
【0187】
膜貫通ドメインに対応するN.tabacum N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GNTI)からの最初のN末端38アミノ酸を、順方向FGNT(5’−ATCGAAATCGCACGATGAGAGGGTACAAGTTTTGC−3’ 配列番号94)および逆方向RGNTspe(5’−CCCATGATGCGATCTGCATATTCTGACTGTGTCGC−3’ 配列番号95)プライマーを用いるPCRによって増幅し、引き続いて、ApaI/BamHIによってpGEM−TベクターおよびpBLTI221にクローン化した。GNTIおよびhGalTの間の融合には、PCR増幅をpUC19−hGalTから行って、それ自身のTMDを排除し、SpeIおよびStuI部位を作り出した。順方向FGalTspe(5’−GGACTAGTGCACTGTCGCTGCCCGCCTGC−3’ 配列番号96)および逆方向RgalTFlagStu(5’−AAGGCCTACGCTACTTGTCATCGTCATCTTTGTAGTCGCACGGTGTCCCGAAGTCCAC−3’ 配列番号97)を用いて、Spel/Stul hGalT断片を増幅した。
【0188】
次いで、この断片をpBLTI221−GNTIにクローン化した。最後に、周囲の部位XbaI/StuIによる消化は、1030bpの断片を単離することを可能とし、次いで、この1030ストレッチをバイナリベクターpBLTI121−Plastoへクローン化することによって、R622を産生した。
【0189】
アルファルファ植物の形質転換は以下のように行った。
アルファルファ(Medicago sativa L.)、エコタイプR2336は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)AGL1を用いて形質転換し、以下のように修飾した:葉柄、幹および葉外植体をアグロバクテリウムと5〜7日間共培養した。共培養工程は、SH2K培地中で0.8〜1のODおよび(1.5%スクロースの代わりの)3%スクロースにおいてアグロバクテリウムの未希釈培養で行った。応答性外植体の胚発生から得られたよく樹立された植物を温室中の土壌に移し、葉を分析した。
【0190】
野生型およびGalTまたはGNTI/GalT−形質転換アルファルファ植物から単離されたN−結合グリカンの分析は以下のように行った。
タンパク質は、5mLの抽出緩衝液(0.7Mサッカロース、0.5M トリス、30mM HCl、0.1M KCl、2%β−メルカプトエタノール)中の500mgの新鮮なアルファルファの葉から4℃にて30分間抽出した。不溶性物質を、4℃における10分間の間の遠心(5,000g)によって排除した。4℃にて、30分間の間に、1容量の水飽和フェノールを加えることによって得られた上清を処理する。次いで、フェノール性画分に含有されたタンパク質および糖タンパク質を、5容量のPB(メタノールに溶解させた0.1M酢酸アンモニウム)によって−20℃にて一晩沈殿させた。5mLのPBでペレットを洗浄した後、タンパク質および糖タンパク質は、Bakker et a
l.,2001に従前に記載されているように、ペプシンおよびPNGaseAでの順次の処理によって消化した。次いで、N−グリカンを2−アミノベンズアミド(2−AB)によって蛍光標識した。
【0191】
これらの誘導体化したN−グリカンのMALDI−TOFマススペクトルは、337−nm窒素レーザーを備えたVoyager DE−Pro MALDI−TOF機器(Applied Biosystems,USA)で獲得した。マススペクトルは、マトリックスとして2,5−ジヒドロキシ安息香酸(Sigma−Aldrich)を用いてレフレクターにて、遅延抽出モードにて行った。
【0192】
70:30%アセトニトリル/0.1%TFA中に5mg・mL−1で新たに溶解させたマトリックスを、比率1:1(V/V)にて可溶化されたオリゴ糖と混合した。これらのスペクトルは、100nsの遅延時間にて、20,000Vの加速電圧を用いて正モードで記録した。それらを一旦平滑化し、ペプチドおよびタンパク質の商業的に入手可能な混合物(Applied Biosystems)を用いて外部キャリブレートした。この実験において、スペクトルはデス−Arg−ブラジキニン(904.4681 Da)、アンジオテンシンI(1296.6853)、Glu−フィブロペプチドB(1570.6774 Ba)、ACTHクリップ18−39(2465.1989)およびウシインスリン(5730.6087)を用いてキャリブレートされていた。レーザーのショットを各スペクトルについて累積して、ノイズに対する許容されたシグナルの比率を得た。
【0193】
先に開示したように、本発明は、細胞内コンパートメントおよびサブドメインにおけるグリコシルトランスフェラーゼ活性のみを標的化するのに用いられるシグナルの大きなパネルを提供する。これは、宿主発現系においてN−およびO−グリコシル化の効率を改良し、および表5に示された酵素での同時発現によって異種タンパク質の転写後修飾を最適化するための大きなパネルを提供する。
【0194】
【表9】

【0195】
以上の実施例に開示したように、本発明は、タンパク質を産生するための、植物細胞のサブコンパートメントにおいてタンパク質の発現を修飾するための、植物細胞のREおよび/またはGAにおいて異種タンパク質を発現させるための、方法を提供する。また、本発明は転写後修飾タンパク質も提供する。
実施例D:シグナル配列と融合されたZERA(登録商標)タンパク質の発現
本実施例においては、ZERA(登録商標)および配列シグナル(配列番号8)およびマンノシダーゼIを含む融合タンパク質を作成して、膜タンパク質としてのグルコシダーゼをプロテインボディーに蓄積させた。標的化シグナル(配列番号8)を用いて、酵素を膜ERに蓄積させ、ZERAペプチドを介して凝集体を形成することによってプロテインボディーの産生を可能とする。
【0196】
目的は、プロテインボディーに、N−グリカン(Man5GlcNAc2)を保有する糖タンパク質を蓄積させることであった。
プラスミドの構築物:ヒトマンノシダーゼI(アクセス番号Q9UKM7)に融合したZERAをコードするADNcをPCRによって増幅し、SPeIおよびSacIエンドヌクレアーゼ部位において標的シグナル(配列番号8)を含有するpBLTI121にサブクローンした。
【0197】
アグロバクテリウム媒介タバコBY−2細胞形質転換
熱ショックによって、pVKH18En6−mRFP、PBLTI121−GFPおよびpBIN20−GFP−融合をアグロバクテリウム・ツメファシエンス(株GV3101 pMP90、Koncz and Schell,1986)に導入した。トランスジェニックアグロバクテリウムを、カナマイシン(100mg.mL−1)およびゲンタマイシン(10mg.mL−1)を含有するYEB培地(リットル当たり、ビーフ抽出物5g、酵母抽出物1g、スクロース5g、MgSO−7HO 0.5g)上で選択し、Gomord et al.,1998に記載されているように、これを用いて、タバコ(c.v.Bright Yellow−2)BY−2細胞を形質転換した。形質転換したタバコ細胞を、PBLTI121−GFPおよびpBIN20−GFP−融合のためのカナマイシン(100mg.mL−1)、またはpVKH18En6−mRFPのためのヒグロマイシン(40mg・mL−1)、およびセフォタキシム(250mg・mL−1)の存在下で選択した。GFPおよびmRFP融合を同時発現する二重形質転換体のために、ミクロカルスをまずカナマイシンプレート上で選択し、次いで、ヒグロマイシンプレート上に移した。スクリーニング後、GFPおよび/またはmRFP融合を発現するカルスを用いて、トランスジェニック細胞の浮遊培養を開始した。3〜4日齢BY−2浮遊培養細胞を実験で用いた。
【0198】
本実施例で作成した融合タンパク質を形質転換細胞で発現させ、膜ERにおいて酵素を蓄積させ、ZERAペプチドを介して凝集体を形成させることによってプロテインボディーの産生を行った。
【0199】
以上の実施例に開示することによって、本発明は、タンパク質を細胞の特異的ドメインに標的化し、組換えポリペプチドの産生の収率を増加させ、組換えポリペプチドの免疫原性を妨ぎ、およびそれらの天然相当物の正確なコピーである治療的に活性な組換えポリペプチドを得ることを可能とする。また、本発明は、転写後修飾タンパク質の産生も可能とする。
【0200】

参考文献

参考文献1 Almquist, Kurt C. Yongqing Niu, Michael D. McLean, Frank L. Mena, Kerrm Y. F. Yau, Kirk Brown, Jim E. Brandle, J. Christopher Hall (2004) lmmunomodulation confers herbicide resistance in plants Plant Biotechnology Journal 2 (3), 189-197.

参考文献2 Bakker Hans , Muriel Bardor, Jos W. Molthoff, Veronique Gomord, lngrid Elbers, Lucas H. Stevens, Wilco Jordi, Arjen Lommen, Loiec Faye, Patrice Lerouge, and Dirk Bosch (2001) Galactose-extended glycans of antibodies produced by transgenic plants PNAS February 27, 2001 vol. 98 no. 5 2899-2904

参考文献3 Barrieu Francois and Maarten J. Chrispeels (1999) Delivery of a Secreted Soluble Protein to the Vacuole via a Membrane Anchor . Plant Physiol. (1999)
120: 961-968

参考文献4 Benghezal, M., Wasteneys, G. O., and Jones, D. A. 2000. The Cterminal
dilysine motif confers endoplasmic reticulum localisation to type I membrane proteins in plants. Plant Cell 12:1179-1201.

参考文献5 Boevink, P., Oparka, K., Santa Cruz, S., Martin, B., Betteridge, A. and Hawes, C. (1998). Stacks on tracks: the plant Golgi apparatus traffics on an actin/ER network. Plant J. 15, 441-447.

参考文献6 Boisson, M., Gomord, V., Audran, C, Berger, N., Dubreucq, B., Granier, F., Lerouge, P., Faye, L., Caboche, M. and Lepiniec, L. (2001). Arabidopsis glucosidase I mutants reveal a critical role of N-glycan trimming in seed development. EMBO J. 20, 1010-1019.

参考文献7 Bracha K, Lavy M, Yalovsky S. The Arabidopsis AtSTE24 is a CAAX protease with broad substrate specificity.J Biol Chem. 2002 Aug 16;277(33):29856-64.

参考文献8 Brandizzi, F., Frangne, N., Marc-Martin, S., Hawes, C1 Neuhaus, J-M. and Paris, N. (2002a). The destination for single-pass membrane proteins is influenced markedly by the length of the hydrophobic domain. Plant Cell, 14, 1077-1092.

参考文献9 Brandizzi, F., Snapp, E., Roberts, A., Lippincott-Schwartz, J. and Hawes, C. (2002b). Membrane protein transport between the ER and Golgi in tobacco leaves is energy dependent but cytoskeleton independent: evidence from selective
photobleaching. Plant Cell 14, 1293-1309.

参考文献10 Bretscher, M.S. and Munro, S. (1993). Cholesterol and the Golgi apparatus. Science 261 , 1280-1281.

参考文献11 Campbell, R. E., Tour, O., Palmer, A.E., Steinbach, P.A., Baird, G.
S., Zacharias, DA and Tsien, R. Y. (2002). A monomeric red fluorescent protein.
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 7877-7882.

参考文献12 Ciczora Yann 1, Nathalie Callens1, Claire Montpellier1, Birke Bartosch2, Francois-Loiec Cosset2, Anne Op De Beeck1' and Jean Dubuisson1 Contribution of the charged residues of hepatitis C virus glycoprotein E2 transmembrane dom
ain to the functions of the E1 E2 heterodimer. J Gen Virol 86 (2005), 2793-2798;


参考文献13 Contreras, Elena Ortiz-Zapater, Fernando Aniento (2004) Sorting signals in the cytosolic tail of membrane proteins involved in the interaction with
plant ARF1 and coatomer The Plant Journal 38 (4), 685-698

参考文献14 De Praeter, C. M., Gerwig, G. J., Bause, E., Nuytinck, L K., Vliegenthart, J. F., Breuer, W., Kamerling, J. P., Espeel, M. F.,Martin, J. J., De Paepe, A. M., et a/. (2000). A novel disorder caused by defective biosynthesis of N-linked oligosaccharides due to glucosidase I deficiency. Am J Hum Genet 66, 1744- 1756.

参考文献15 Dirnberger, D, Bencur, P, Mach, L. and Steinkellner, H. (2002). The
Golgi localization of Arabidopsis thaliana beta1 ,2- xylosyltransferase in plant cells is dependent on its cytoplasmic and transmembrane sequences. Plant MoI. Biol. 50, 273-281.

参考文献16 Essl, D., Dirnberger, D., Gomord, V., Strasser, R., Faye, L., Gloessl, J. and Steinkellner, H. (1999). The N-terminal 77 amino acids from tobacco N-acetylglucosaminyltransferase I are sufficient to retain a reporter protein in the Golgi apparatus of Nicotiana benthamiana cells. FEBS Lett. 453, 169-173.

参考文献17 Faye Loic, Aurelia Boulaflous, Meriem Benchabane, Veronique Gomorda
and Dominique Michaud Protein modifications in the plant secretory pathway: current status and practical implications in molecular pharming Volume 23, Issue 15, 7 March 2005, Pages 1770-1778

参考文献18 Fuellekrug, J. and Nilsson, T. (1998). Protein sorting in the Golgi
complex. Biochim. Biophys. Acta 1404, 77-84.

参考文献19 Gillmor, C. S., Poindexter, P., Lorieau, J., Palcic, M. M., and Somerville, C. (2002). Alpha-glucosidase I is required for cellulose biosynthesis and morphogenesis in Arabidopsis. J Cell Biol 156, 1003-1013.

参考文献20 Giraudo, CD. and Maccioni, H. J. F. (2003). Endoplasmic reticulum export of glycosyltransferases depends on interaction of a cytoplasmic dibasic motif with Sari MoI. Biol. Cell 14, 3753-3766.

参考文献21 Gomord, V., and Faye, L. (2004). Posttranslational modification of therapeutic proteins in plants. Curr Opin Plant Biol 7, 171-181.

参考文献22 Gomord V, Wee E. and Faye L. (1999). Protein retention and localization in the endoplasmic reticulum and the Golgi apparatus. Biochimie, 81 , 607-618

参考文献23 Gomord V, Sourrouille C, Fichette A.C., Barbor M. Pagny S., Lerouge
P., and Faye L. (2004) Production and glycosylation of plant made pharmaceuticals: the antibodies as a challenge. Plant Biotechnol., 2, 83-100.

参考文献24 Gomord V., Denmat L.A., Fitchette-Laine A.C., Satiat-jeunemaitre, Hawes C. and Faye L. (1997). The C-terminal HDEL sequence is sufficient for retention of secretory proteins but promotes vacuolar targeting of proteins that escape the endoplasmic reticulum. Plant J., 11,313-326

参考文献25 Gomord, V., Fitchette, A.C., Denmat, L.A., Michaud, D. and Faye, L.
(1998). Production of foreign proteins in tobacco cell suspension culture. In Methods in Molecular Biotechnology, VoI 3 (Cunningham C. and Porter AJ. R. Eds.) Totowa: Humana Press Inc., pp. 155-164.

参考文献26 Grove, S.N. , Brecker, CE. and Morre, D.J. (1968). Cytomembrane differentiation in the endoplasmic reticulum-Golgi apparatus-vesicle complex. Science 161 , 171-173.

参考文献27 Hanton SL, Renna L, Bortolotti LE, Chatre L, Stefano G, Brandizzi F. (2005). Diacidic motifs influence the export of transmembrane proteins from the endoplasmic reticulum in plant cells. Plant Cell. 2005 17, 3081-3093.

参考文献28 Hardt, B., Kalz-Fueller, B., Aparicio, R., Volker, C. and Bause, E.
(2003). (Arg)3 within the N-terminal domain of glucosidase I contains ER targeting information but is not required absolutely for ER localisation. Glycobiology, 13, 159-168.

参考文献29 Hartmann, M.A. and Benveniste, P. (1987). Plant membrane sterols: isolation, identification and biosynthesis. Methods Enzymol. 148: 632-650.

参考文献30 Hong, Y., Sundaram, S., Shin, D.-J., and Stanley, P. (2004). The Lec23 Chinese Hamster Ovary Mutant Is a Sensitive Host for Detecting Mutations in {alphaJ-Glucosidase I That Give Rise to Congenital Disorder of Glycosylation lib
(CDG llb)10.1074/jbc.M410121200. J Biol Chem 279, 49894-49901.

参考文献31 Janzik I, Macheroux P, Amrhein N, Schaller A LeSBTI , a subtilase from tomato plants. Overexpression in insect cells, purification, and characterization. J Biol Chem. 2000 Feb 18;275(7):5193-9

参考文献32 Lienard D., Tran Dinh O., E. van Oort, L. Van Overtvelt, C. Bonneau, E. Wambre, M. Bardor, P. Cosette, A. Didier-Laurent, F. Dorlhac de Borne, R. Delon, R. van Ree, P. Moingeon, L. Faye and V. Gomord (2007) Suspension-cultured BY-2 tobacco cells produce and mature immunologically active house dust mite allergens * DL and OTD have equal contributions to this work, Plant biotechnol. J. 5, 93-108

参考文献33 Lynch, D.V. (1993). Sphingolipids. In Lipid Metabolism in Plants (Moore T.S. Ed.) Boca Raton, FL: CRC Press, pp. 285-308.

参考文献34 Masibay, A.S., Balaji, P.V., Boeggeman, E. E. and Qasba, P. K. (1993). Mutational analysis of the Golgi retention signal of bovine b-1 ,4-galactosyltransferase. J. Biol. Chem. 268, 9908-9916.

参考文献35 McCartney, A. W., Dyer, J. M., Dhanoa, P. K., Kim, P. K., Andrews,
D. W., McNew, J. A., and Mullen, R. T. (2004). Membrane-bound fatty acid desaturases are inserted co- translationally into the ER and contain different ER retrieval motifs at their carboxy termini. Plant J 37, 156-173.

参考文献36 Moreau, P., Hartmann, MA, Perret, A.M., Sturbois-Balcerzak, B. and Cassagne, C. (1998). Transport of sterols to the plasma membrane of leek seedlings. Plant Physiol. 117, 931-937.

参考文献37 Morre, D.J. and Mollenhauer, H. H. (1974). The endomembrane concept: a functional integration of endoplasmic reticulum and Golgi apparatus. In Dynamic Aspects of Plant Ultrastructure. (Robards A.W. Ed.) London: McGraw-Hill Book
Cy, pp. 84-137.

参考文献38 Munro, S. (1991). Sequences within and adjacent to the transmembrane segment of b-2,6-sialyltransferase specify Golgi retention. EMBO J. 10, 3577-3588. Munro, S. (1995a). A comparison of the transmembrane domains of Golgi and plasma membrane proteins. Biochem. Soc. Trans. 23, 527-530.

参考文献39 Munro, S. (1995b). An investigation of the role of the transmembrane domain in Golgi protein retention. EMBO J. 14, 4695-4704.

参考文献40 Munro, S. (1998). Localization of proteins to the Golgi apparatus. Trends Cell Biol. 8, 11-15.

参考文献41 Navazio L., Sponga L., Damese P., Fitchette-Laine A-C, Faye L., Baldan B. and mariani P. (1997). The calcium binding protein calreticulin in pollen
of Liriodendron tulipifera L. Plant Sci., 131 , 35- 42

参考文献42 Navazio L., Nardi C, Pancaldu C, Danese P., Baldan B., Fitchette-Laine A.C., Faye L., Meggip F., Martin W. and Mariani P. (1998). Functional conservation of calreticulin in euglena gracilis. J. Euk. Microbiol., 45, 307-313.

参考文献43 Nebenfuehr, A., Gallagher, LA, Dunahay, T.G., Frohlick, J.A., Mazurkiewicz, A.M., Meehl, J. B. and Staehelin, LA (1999). Stop- and-go movements of plant Golgi stacks are mediated by the acto- myosin system. Plant Physiol. 121
, 1127-1142.

参考文献44 Nilsson, T., Pypaert, M., Hoe, M. H., Slusarewicz, P., Berger, E.G.
and Warren, G. (1993a). Overlapping distribution of two glycosyltransferases in
the Golgi apparatus of HeLa cells. J. Cell Biol. 120, 5-13.

参考文献45 Nilsson, T., Slusarewicz, P., Hoe, M. H. and Warren, G. (1993b). Kin recognition: A model for the retention of Golgi enzymes. FEBS Lett. 330, 1-4.

参考文献46 Nilsson, T., Hoe, M. H., Slusarewicz, P., Rabouille, C, Watson, R.,
Hunte, F., Watzele, G., Berger, E.G. and Warren, G. (1994). Kin recognition between medial Golgi enzymes in HeLa cells. EMBO J. 13, 562-574.

参考文献47 Nilsson, T., Rabouille, C, Hui, N., Watson, R. and Warren, G. (1996). The role of the membrane spanning domain and stalk region of N-acetylglucosam
inyltransferase I in retention, kin recognition and structural maintenance of the Golgi apparatus in HeLa cells. J. Cell Sci. 109, 1975-1989.

参考文献48 Opat, A.S., Houghton, F. and Gleeson, P.A. (2000). Medial Golgi but
not late Golgi glycosyltransferases exist as high molecular weight complexes. J. Biol. Chem. 275, 11836-11845.

参考文献49 Pagny S., Cabanes-Macheteau M., Gillikin J.W.; Leborgne-Castel N., Lerouge P., Boston R. Faye L. and Gomord V. (2000). Protein recycling from the Golgi apparatus to the endoplasmic reticulum in plants and its minor contribution
to calreticulin retention. Plant Cell, 12, 739-755

参考文献50 Pagny, S., Bouissonie, F., Sarkar, M., Follet-Gueye, M. L., Driouich, A., Schachter, H., Faye, L. and Gomord, V. (2003). Structural requirements for Arabidopsis b-1 ,2-xylosyltransferase activity and targeting to the Golgi. Plant J. 33, 189-203.

参考文献51 Petruccelii S., Otegui MS., Lareu F., Trandinhthanhlien O., Fitchette AC, Circosta A., Rumbo M., Bardor M., Carcamo R., Gomord V. and Beachy RN. A KDEL tagged monoclonal antibody is efficiently retained in the reticulum endoplasmic in leaves but is both partially secreted and sorted to protein storage vacuoles in seeds. Plant Biotechnol J., 4, 511-527)

参考文献52 Rautengarten C, Steinhauser D, Bussis D, Stintzi A, Schaller A, Kopka J, Altmann T Inferring hypotheses on functional relationships of genes: Analysis of the Arabidopsis thaliana subtilase gene family. PLoS Comput Biol. 2005 Sep;1 (4):e40. Epub 2005 Sep 2

参考文献53 Reyes, F., Marchant, L., Norambuena, L., NiIo, R., Silva, H., and Orellana, A. (2006). AtUTrI , a UDP-glucose/UDP-galactose transporter from Arabidopsis thaliana, is located in the endoplasmic reticulum and up-regulated by the unfolded protein response. J Biol Chem 281, 9145-9151

参考文献54 Ritzenthaler, C, Nebenfuhr, A., Movafeghi, A., Stussi-Garaud, C, Behnia, L., Pimpl, P., Staehelin, LA and Robinson, D. G. (2002). Reevaluation of the effects of brefeldin A on plant cells using tobacco Bright Yellow 2 cells expressing Golgi-targeted green fluorescent protein and COPI antisera. Plant Cell. 14, 237-261.

参考文献55 Runions J., Brach T., Kuelner S and Hawes C. (2006). Photoactivation of GFP reveals protein dynamics within the endoplasmic reticulum membrane. J.
Exp. Bot. 57, 43-50.

参考文献56 Saint-Jore, CM., Evins, J., Batoko, H., Brandizzi, F., Moore, I. and Hawes, C. (2002). Redistribution of membrane proteins between the Golgi apparatus and endoplasmic reticulum in plants is reversible and not dependent on cytoskeletal networks. Plant J., 29, 661-678.

参考文献57 Saint-Jore-Dupas C, Gomord V. and Paris N. (2004). Protein localization in the Golgi apparatus and the frans-Golgi network. Cell MoI. Life ScK1 61
, 159-171.

参考文献58 Sa int-Jore-Dupas C, Nebenfuhr A., Follet-Gueye ML, Boulaflous A., Hawes C, Driouich A., Faye L. and Gomord V., (2006) Partitioning of N-glycan maturation enzymes along the secretory pathway and a key role of transmembrane domain length in early- Golgi targe ting. Plant Cell 18, 3182-3200

参考文献59 Sriraman R., Bardor M., Sack M., Vaquero C, Faye L., Fischer R., Finnern R, Lerouge P. (2004) Recombinant anti-hCG antibodies retained in the endoplasmic reticulum of transformed plants lack core-xylose and core-alpha(1 ,3)-fucose residues. Plant Biotechnol;, 2, 279-287

参考文献60 Strasser, R., Mucha, J., Schwihla, H., Altmann, F., Glossl, J. and Steinkellner, H. (1999). Molecular cloning and characterisation of cDNA coding for b-1 ,2-N-acetylglucosaminyltransferase I (GIcNAc- Tl) from Nicotiana tabacum.
Glycobiology 9, 779-785.

参考文献61 Strasser, R., Schoberer J., Jin C, Mucha, J., Glossl, J., Mach L. and Steinkellner, H. (2006). Molecular cloning and characterisation of Arabidopsis thaliana Golgi a-mannosidase II, a key enzyme in the formation of complexN-glycans in plants. Plant J. 45, 789-803

参考文献62 Teasdale, R. D. and Jackson, M. R. (1996). Signal-mediated sorting of membrane proteins between the endoplasmic reticulum and the Golgi apparatus. Ann. Rev. Cell Develop. Biol. 12, 27-54.

参考文献63 Wee, E.G.T., Sherrier, J., Prime, T. and Dupree, P. (1998). Targeting of active sialyltransferase to the plant Golgi apparatus. Plant Cell 10, 1759-1768.

参考文献64 Wright A, Morrison SL. Effect of altered CH2-associated carbohydrate structure on the functional properties and in vivo fate of chimeric mouse-human immunoglobulin GU Exp Med. 1994 Sep 1 ;180(3):1087-96

参考文献65 Yuasa, K., Toyooka, K., Fukuda, H. and Matsuoka, K.(2005). Membrane-anchored prolyl hydroxylase with an export signal from the endoplasmic reticulum. Plant J. 41 , 81-94.

参考文献66 Zerangue, N., Schwappach, B., Jan, Y.N. and Jan, LY. (1999). A new ER trafficking signal regulates the subunit stoichiometry of plasma membrane K (ATP) channels. Neuron 22, 537-548.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1〜配列番号31よりなる群から選択されたアミノ酸配列。
【請求項2】
請求項1に記載のアミノ酸配列と、前記アミノ酸配列がタンパク質のC末端またはN終末端に融合されている該タンパク質と、を含む組換えタンパク質。
【請求項3】
前記タンパク質が酵素、抗体またはその部分、レポータータンパク質、組換えタンパク質、および治療的に活性なタンパク質よりなる群から選択される、請求項2に記載の組換えタンパク質。
【請求項4】
前記タンパク質が、グリコシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、プロテアーゼ、キナーゼ、デカルボキシラーゼ、エピメラーゼ、ヌクレオチド糖トランスポーターよりなる群から選択された酵素である、請求項2に記載の組換えタンパク質。
【請求項5】
請求項1記載のアミノ酸配列、または請求項3もしくは4に記載の組換えタンパク質をコードする核酸配列。
【請求項6】
請求項5に記載の核酸配列を含む核酸ベクター。
【請求項7】
請求項1に記載の1つのアミノ酸配列、
請求項3または4に記載の1つの組換えタンパク質、および
請求項6に記載の1つの核酸ベクター、
のうちの少なくとも一つを含む植物細胞。
【請求項8】
前記植物細胞が請求項3または4に記載の少なくとも1つのタンパク質を含み、該タンパク質が異種タンパク質である、請求項7に記載の植物細胞。
【請求項9】
請求項1に記載の1つのアミノ酸配列、
請求項3または4に記載の1つの組換えタンパク質、および
請求項6に記載の1つの核酸ベクター、
のうちの少なくとも一つを含む植物。
【請求項10】
前記植物が請求項3または4に記載の少なくとも1つのタンパク質を含み、該タンパク質が異種タンパク質である、請求項9に記載の植物。
【請求項11】
前記植物がアルファルファ、シロイヌナズナ(Arabidospsis thaliana)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ダイズ(Glycine max)、アカナス(Lycopersicon esculentum)、およびトマト(Solanum lycopersicum)よりなる群から選択される、請求項9または10に記載の植物。
【請求項12】
翻訳後修飾されたポリペプチドの産生方法であって、
−細胞を請求項6に記載の少なくとも1つの核酸ベクターでトランスフェクトまたは形質転換する工程であって、該ベクターは、翻訳後修飾される前のポリペプチドである組換えタンパク質、または該ポリペプチドとは異なる組換えタンパク質をコードする工程と、
−前記トランスフェクトされた細胞を成長させる工程と、
−翻訳後修飾されたポリペプチドを収穫する工程と、
からなり、
前記組換えタンパク質が前記ポリペプチドとは異なる場合、当該方法は、前記細胞を前
記ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸ベクターでトランスフェクトする工程をさらに含む、方法。
【請求項13】
前記組換えタンパク質が、翻訳後修飾される前のポリペプチドである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組換えタンパク質が前記ポリペプチドとは異なり、前記組換えタンパク質が、前記ポリペプチドを認識し前記ポリペプチドに特異的に結合する抗体またはその部分である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記組換えタンパク質が前記ポリペプチドとは異なり、前記組換えタンパク質が前記ポリペプチドの翻訳後修飾に関与する同種または異種酵素である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記組換えタンパク質が前記ポリペプチドとは異なり、前記組換えタンパク質が、前記ポリペプチドの翻訳後修飾に関与する酵素を調節する抗体またはその部分である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
ポリペプチドが貯蔵タンパク質と同時発現される、請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ペプチドの翻訳後修飾が、小胞体(ER)およびゴルジ装置(GA)の少なくとも一方のコンパートメント膜において行われる、請求項12〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記翻訳後修飾ポリペプチドが治療的に活性なタンパク質である、請求項12〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記細胞が植物細胞である、請求項12〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記植物細胞が、アルファルファ(Medicago sativa)、シロイヌナズナ(Arabidospsis thaliana)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ダイズ(Glycine max)、アカナス(Lycopersicon esculentum)、およびトマト(Solanum lycopersicum)よりなる群から選択される植物に関連する細胞である、請求項12〜20のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図5E】
image rotate

【図5F】
image rotate

【図5G】
image rotate

【図5H】
image rotate

【図5I】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図6E】
image rotate

【図6F】
image rotate

【図6G】
image rotate

【図6H】
image rotate

【図6I】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図7D】
image rotate

【図7E】
image rotate

【図7F】
image rotate

【図7G】
image rotate

【図7H】
image rotate

【図7I】
image rotate

【図7J】
image rotate

【図7K】
image rotate

【図7L】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図9D】
image rotate

【図9E】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図10D】
image rotate

【図10E】
image rotate

【図10F】
image rotate

【図10G】
image rotate

【図10H】
image rotate

【図10I】
image rotate

【図10J】
image rotate

【図10K】
image rotate

【図10L】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図11C】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図12C】
image rotate

【図12D】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図14C】
image rotate

【図14D】
image rotate

【図14E】
image rotate

【図14F】
image rotate

【図14G】
image rotate

【図14H】
image rotate

【図14I】
image rotate

【図14J】
image rotate

【図14K】
image rotate

【図14L】
image rotate

【図14M】
image rotate

【図14N】
image rotate

【図14O】
image rotate

【図14P】
image rotate

【図14Q】
image rotate

【図14R】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16A】
image rotate

【図16B】
image rotate

【図16C】
image rotate

【図16D】
image rotate

【図17A】
image rotate

【図17B】
image rotate

【図17C】
image rotate

【図17D】
image rotate

【図17E】
image rotate

【図17F】
image rotate

【図18A】
image rotate

【図18B】
image rotate

【図18C】
image rotate

【図18D】
image rotate

【図18E】
image rotate

【図18F】
image rotate

【図18G】
image rotate

【図18H】
image rotate

【図19A】
image rotate

【図19B】
image rotate

【図19C】
image rotate

【図19D】
image rotate

【図19E】
image rotate

【図19F】
image rotate

【図19G】
image rotate

【図19H】
image rotate

【図19I】
image rotate

【図19J】
image rotate

【図19K】
image rotate

【図19L】
image rotate

【図19M】
image rotate

【図19N】
image rotate

【図19O】
image rotate

【図20A】
image rotate

【図20B】
image rotate

【図20C】
image rotate

【図20D】
image rotate

【図20E】
image rotate

【図20F】
image rotate

【図20G】
image rotate

【図20H】
image rotate

【図20I】
image rotate

【図20J】
image rotate

【図20K】
image rotate

【図20L】
image rotate

【図20M】
image rotate

【図20N】
image rotate

【図20O】
image rotate

【図21A】
image rotate

【図21B】
image rotate

【図22A】
image rotate

【図22B】
image rotate

【図22C】
image rotate

【図22D】
image rotate

【図22E】
image rotate

【図22F】
image rotate

【図22G】
image rotate

【図22H】
image rotate

【図22I】
image rotate

【図22J】
image rotate

【図22K】
image rotate

【図22L】
image rotate

【図22M】
image rotate

【図22N】
image rotate

【図22O】
image rotate

【図23A】
image rotate

【図23B】
image rotate

【図23C】
image rotate

【図23D】
image rotate

【図23E】
image rotate

【図23F】
image rotate

【図23G】
image rotate

【図23H】
image rotate

【図24A】
image rotate

【図24B】
image rotate

【図24C】
image rotate

【図25A】
image rotate

【図25B】
image rotate

【図26】
image rotate

【図28A】
image rotate

【図28B】
image rotate

【図29A】
image rotate

【図29B】
image rotate

【図30A】
image rotate

【図30B】
image rotate

【図31】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図8】
image rotate

【図11D】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28C】
image rotate


【公表番号】特表2010−508839(P2010−508839A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535834(P2009−535834)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004234
【国際公開番号】WO2008/056265
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(505045610)サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ スィヤンティフィック(セーエヌエルエス) (41)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE(CNRS)
【Fターム(参考)】