説明

組換え炭水化物結合ポリペプチドの安定型凍結乾燥生薬製剤

【課題】ポリペプチドを含有する医薬品の製造方法に関し、保存に安定な形態の少なくとも1つの組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該炭水化物結合ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体を提供する。
【解決手段】ポリペプチドは、有効な細胞障害性を有するペプチド融合して融合タンパク質となる、または細胞障害活性を有する別のポリペプチドと結合するポリペプチドまたはその機能性誘導体を含む。更に、開示された医薬品を更に製剤して異なる医薬形態の医薬品とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリペプチドを含有する医薬品の製造方法に関し、これは保存に安定な形態の少なくとも1つの組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該炭水化物結合ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体を含む。該ポリペプチドは、ポリペプチドもしくはその機能性誘導体が有効な細胞障害性を有するペプチドと融合して融合タンパク質となったもの、または細胞障害活性を有する更に別のポリペプチドに結合したものを含む。本発明は更に、開示される医薬品を更に製剤して種々の投与形態の医薬品を得ることに関する。
【0002】
近年、医薬品の研究により、組換えタンパク質で治療できる広範な疾病が明らかになっている。ヒト由来のタンパク質の例はインスリン、EPO、およびG−CSFであり、その投与形態および多くの適用が種々の欧州特許に記載されてきた。欧州特許第0 430 200 B1号は皮下および筋肉内投与のためのヒトタンパク質の適用について記載している。安定化したヒトタンパク質を含有する医薬品、中でも尿素または種々のアミノ酸を含有するものが欧州特許第0 306 824 B1号から知られている。この特許ではEPOおよびG−CSFが例として挙げられている。欧州特許第0607156B1号は、輸液または注射を目的とするヒトタンパク質を含有する保存用医薬品の製造について記載している。
【0003】
一般に“組換え”という用語は、組換えDNA技術を使用して調製したタンパク質を表す。これらの方法には、興味のタンパク質をコードする遺伝子のクローニング、対応するcDNAまたはゲノムDNAの好適なベクター系への挿入、および好適なホスト生物(細菌または真核細胞)における該ベクターの形質転換/トランスフェクションが含まれる。クローニングした遺伝子をホスト生物で発現させる場合、対応するタンパク質は培養液上清(発現されるタンパク質が分泌される場合)またはホスト生物のホモジネート(対応するタンパク質が細胞内で発現される場合)から回収できる。組換えタンパク質の生成法は動物および植物タンパク質のいずれについても報告されてきた。2量体植物タンパク質を生成するための的確な方法の例が欧州特許第0 751 221 B1号に記載されている。この特許は、中でも、MLサブユニットをコードする遺伝子の新規の優れたクローニングについて記載している。更にこの特許には、医薬品の調製のために組換えによって生成された該2量体植物タンパク質の使用も記載されている。
【0004】
治療薬としてのヤドリギ抽出物(ヤドリギ・アルバム(Viscum album)の抽出物)の使用は数世紀にわたって知られてきた。レクチンと呼ばれる活性成分がこれらの抽出物の有効成分として同定されている。これらのレクチンは非常に特定された炭水化物構造を、脂質またはタンパク質に結合した形態でも認識し、そしてそれらに結合するタンパク質である。リボソーム不活性化クラスIIタンパク質として特性決定されているヤドリギレクチンは、その2つのサブユニットの相互作用によって薬理学的に有効である。特定の炭水化物結合性をもつ配列モチーフを有するヤドリギレクチンのB鎖は、この場合、タンパク質の標的細胞への輸送に関与する。次いで標的細胞においてAサブユニットがその酵素的rRNA−N−グリコシダーゼ活性によって細胞のリボソーム代謝を阻害し、このようにして該細胞におけるプログラム細胞死(アポトーシス)を引き起こす。
【0005】
当該分野の現状からこれまでに知られている医薬製剤は一般に、ヒトタンパク質、ヒト化タンパク質、植物タンパク質を含有する抽出物、または植物から単離されたタンパク質を含む。タンパク質を含有する製剤の有効性に関しては、該タンパク質の生体活性が保持されることが決定的に重要である。例えば、組換えヴィスクミン(rViscumin)では、これは2量体構造および活性を担う1本鎖、および保持されるべき該分子の特定の薬理学的作用様式の維持である。これらの生体活性の保持は、タンパク質を含有する溶液のpHに強く依存する(図1参照)。更に、目的とする製剤の保存条件は薬剤/医薬品の安定性に影響を与える。
【0006】
疾病の治療のためのヤドリギ植物およびそれから得た抽出物の作用様式は欧州特許第0 602 686 B1号に記載されている。本明細書に記載するように、ヤドリギ抽出物は数世紀にわたって治療の目的で使用されてきた。今世紀初め以来、ヤドリギ抽出物製剤は癌治療に使用され、種々の成功を収めてきた(Bocci, 1993;Gabiusら, GabiusおよびGabius, 1994;GangulyおよびDas, 1994)。Hajtoら(1989、1990)は、治療効果には特にいわゆるヤドリギレクチン(ヴィスクミン、ヤドリギ・アルバム凝集素、VAA)が介在していることを明らかにした。細胞障害作用以外に、現在のところ特に(非特異的)免疫刺激が討議されており、そのポジティブな作用は癌患者の併用療法および後療法に利用される。それらの患者のライフ・クオリティーの上昇には、内因性エンドルフィンの放出が介在している可能性がある(HeinyおよびBeuth, 1994)。
【0007】
インビトロ(Hajtoら, 1990;Mannelら, 1991;Beuthら, 1993)およびインビボ(Hajto, 1986;Hajtoら., 1989;Beuthら, 1991;Beuthら, 1992)での多くの試験、並びに臨床試験(Beuthら, 1992)から、ヤドリギレクチンが介在する炎症性サイトカイン(TNF−α、IL−1、IL−6)の放出の増加、並びに免疫系(TH細胞、NK細胞)の細胞成分の活性化が証明された。
【0008】
今日、60kDaのヤドリギレクチンタンパク質がヤドリギ抽出物の活性原理であると考えられており、ヤドリギレクチンは生化学的方法で抽出物から回収できる(Franzら, 1977;Gabiusら, 1992)。MLタンパク質は2つの共有S−S結合したサブユニットから成り、そのA鎖はリボソームの酵素的不活性化に関与し(Endoら, 1988)、B鎖は炭水化物結合に関与している。生体活性はB鎖のレクチン活性獲得と関係がある(Hajtoら, 1990)。
【0009】
活性成分として組換えヴィスクミンを含有する医薬品または医薬製剤の形態の使用は、植物製剤の興味深く有用な代替物である。これは現在、医薬品として化学的に分類された物質を使用することが可能であるためである。ヤドリギレクチンの高い毒性を考慮すると、組換えによって生成したタンパク質を使用することによって、正確な投与量のために良好な許容量が可能となる。この場合、医薬品または医薬製剤の形態は特に有利であり、これは長期間、すなわち数ヶ月、好ましくは少なくとも1年間にわたって保存安定性を示す。更に、該保存安定型の医薬品または医薬製剤の形態の保存は容易で、高度な技術を必要とせずに行えるべきである。更にまた、保存に安定な形態がその投与形態と異なる場合、医薬品または医薬製剤を容易に更に製剤して、対応する投与形態にできるべきである。当業界で報告されている水性製剤では、現実的には保存期間は2−8℃(冷蔵)の保存条件下で、10週間(2.5ヶ月)未満である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の基礎となる技術的問題は、保存および投与、そして必要によってその製剤に関して容易な使用を保証する、長期保存に安定な形態の医薬品または医薬製剤を製造する方法を提供することである。この場合、本発明の医薬品は少なくとも1つの組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体、更に必要により薬理学的に許容されるキャリアーを含有する。
【0011】
この技術的問題は特許請求の範囲に記載する態様によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明は、少なくとも1つの組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体を長期保存に安定な形態で含有するポリペプチドを含有し、更に必要により医薬的に許容されるキャリアーを含有する医薬品の製造方法に関し、該方法は溶液中でのポリペプチドの薬理学的性質を保持しつつ冷却、凍結、スプレー乾燥、または凍結乾燥する工程を含み、ここで溶液は、溶液のpH値がpH6.0より高く、溶媒に含まれるバッファー系がこのpH値の保持を保証することを特徴とする。
【0013】
対応するクローニングされた遺伝子から出発して、分子生物学の慣例的な方法を使用して組換えポリペプチドおよびタンパク質を得ることができる。これらは、中でもテキストブック“Gentechnologie”(Old and Primrose, 1992)または実験マニュアル“Methods for General and Molecular Bacteriology”(Gerhardtら, 第18章)もしくは“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”(Sambrookら 1993)に記載されている。
【0014】
本発明によれば、“炭水化物結合ポリペプチド”は、ある種の炭水化物に特異的に結合する特性を有するポリペプチドである。それらの炭水化物の例にはガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、修飾型ガラクトース、ノイラミン酸、低分子量の糖類およびオリゴ糖類で末端ガラクトースおよび/または末端ガラクトサミン部分もしくは修飾型ガラクトース部分もしくは末端ノイラミン酸部分を持つもの、そして対応する炭水化物機能を有するペプチドおよび脂質がある。本発明の“該ポリペプチドの機能性フラグメントまたは誘導体”は、上記の炭水化物への結合特異性を有することを特徴とする。
【0015】
有効性の高い医薬品を製造するための本発明のポリペプチド、例えば組換えヴィスクミンおよび他の植物、リボソーム不活性化タンパク質の2量体クラスIIポリペプチド(RIP II)の使用は、中でも欧州特許第0751221B1号に記載されている。しかしながら、該医薬品は調製後、長くて1年で投与するのが好ましい。
【0016】
本発明の意味においては、医薬品または医薬製剤が保存安定性を有するとみなすのは、長期間(すなわち、6ヶ月より長い数ヶ月)にわたって医薬製剤およびポリペプチドの特定の性質を有意に変化させることなく保存でき、それによって該医薬品または製剤の有効性が観察できる場合である。この点で、1、2、3、4、または5年の期間にわたって保存できる保存安定型の本発明にかかる医薬品または医薬製剤が好ましい。好ましくは、それらは市場で一般的であり配送者および適用者も遵守すべき保存条件下で(2−8℃および/または25℃未満の室温)、医薬製剤およびポリペプチドの特定の性質を有意に変化させることなく保存でき、それによって該医薬品または製剤の有効性が観察される。従って本発明は、十分に管理可能な、ここに記載するポリペプチドの保存および輸送形態に関する。
【0017】
本発明の医薬品の製剤は、必要により“薬理学的に許容されるキャリアー”および/または希釈剤と組み合わせて行う。特に好適な薬理学的に許容されるキャリアーの例は当業者に周知であり、緩衝液、水、エマルジョン(例えば水中油型エマルジョン)、種々の界面活性剤、無菌溶液などがある。それらのキャリアーを含有する医薬品は既知の慣例的な技術によって製剤できる。これらの医薬品は好適な用量で個体に投与できる。投与は経口または非経口、例えば静脈内、腹膜内、皮下、筋肉内、局所、鼻腔内、気管支内、もしくは皮内、または動脈内部位でのカテーテルによって行うことができる。投与の種類は治療を行う医師が、臨床的因子に従って決定する。当業者に周知のように、投与の種類は種々の因子、例えば患者の身長もしくは体重、体表面積、年齢、性別、または一般的な健康状態だけでなく、更に、投与すべき特定の薬剤、投与の期間および種類、そして並行して投与する可能性のある他の医薬品にも依存する。一般的な投与量は、例えば0.001から1000μgの範囲であるが、特に上記の因子を考慮した場合、この例より下または上の範囲も考えられる。一般に、本発明の組成物を定期的に投与する場合、投与量は1日当たり、または適用間隔当たり、10ngから10mgユニットの範囲であるべきである。組成物を静脈内投与する場合、投与量は1ngから0.1mgユニット/kg体重/分の範囲であるべきである。
【0018】
本発明の組成物は局所または全身投与することができる。非経口投与のための製剤は無菌の水溶液または非水性溶液、懸濁液、およびエマルジョンを含有する。非水性溶媒の例にはプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油、有機エステル化合物、例えばオレイン酸エチルで注射に好適なものがある。水性キャリアーには水、アルコール水溶液、エマルジョン、懸濁液、塩溶液、および緩衝媒質がある。非経口キャリアーには塩化ナトリウム溶液、リンガー・デキストロース(デキストロースおよび塩化ナトリウム、リンガー乳酸塩、および結合オイルがある。静脈内投与用キャリアーには、例えば液体サプリメント、栄養サプリメント、および電解質サプリメント(例えばリンガー・デキストロースをベースとするもの)がある。更に、本発明の組成物は保存剤および他の添加剤、例えば抗菌化合物、抗酸化剤、錯体生成剤、および不活性ガスを含んでもよい。更に、意図する使用によって、例えばインターロイキン、成長因子、分化因子、インターフェロン、走化性タンパク質、または非特異的免疫調節物質のような化合物を含んでもよい。
【0019】
使用するバッファー物質は、冷却、凍結、スプレー乾燥、または凍結乾燥の段階で、調整されたpHを記載される範囲内に保持するのに好適である。バッファー物質は、低緩衝能で、凍結の際にpHをより低い値に変化させる可能性がないように選択する。凍結乾燥の際にpH範囲を高く維持することによって、ポリペプチドの安定性が保証される。すぐに適用できるように調製された注射液については、低緩衝能であることが更に好ましい。実施例1に、医薬製剤の冷却または凍結の際にpHを確認する方法を記載する。この方法、または同様の方法によって、本発明の方法に好適なバッファー物質を決定することができる。
【0020】
当業界の報告では、バッファー溶液中の低分子オリゴマー化合物(ペプチドを含む)および高分子化合物(ポリペプチドを含む)を含有する多数の医薬品が記載されている。更に、広範なpHで安定な、対応する化合物を含有する多くのそれら医薬品に関して、保存特性を向上する方法が報告されており、当業者に知られている。その例には、医薬品の凍結、スプレー乾燥、または凍結乾燥を含む方法がある。上記のようなpHに依存しない安定性のため、凍結乾燥またはスプレー乾燥の際の特定のpHコントロールの必要性は現在のところ報告されていない。更に、医薬品および医薬製剤を製造するための慣例的な凍結乾燥装置にはpH調整の手段がない。
【0021】
それらの既知の方法を使用した場合、驚くべきことに、組換えヴィスクミンおよび他の植物のリボソーム不活性化タンパク質の2量体クラスIIポリペプチド(RIPII)のレクチン特性は、ある状況下で、該方法で使用される特定の溶媒のpHに感受性を有することが明らかとなった。この値の大きな変動(特に強酸性媒質)によって特定のレクチン特性がある程度失われる。従って、既定のpHに保持することは本発明の方法に必要な特徴である。これらの特定の性質を保持するため、ポリペプチドの安定性を保証するために全ての操作段階において溶液のpH調整が必要とされる。実施例1に、医薬製剤の冷却または凍結の際のpHを確認する方法を記載する。
【0022】
好ましい態様では、記載する方法は以下を含有するポリペプチドを含む:
(a)組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体であって、有効な細胞障害性を有するペプチドに融合して融合タンパク質を生成したもの;
(b)組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体であって、酵素的rRNA−N−グリコシダーゼ活性を有する別のポリペプチドに結合したもの;
(c)組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体であって、酵素的rRNA−N−グリコシダーゼ活性が別の細胞障害活性で置き換わった別のポリペプチドに結合したもの;または
(d)組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体であって、酵素的rRNA−N−グリコシダーゼ活性および/または別の細胞障害活性を有するポリペプチドを含む融合タンパク質に結合したもの。
【0023】
本発明のこの好ましい態様によれば、組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体を、細胞障害活性を有する別のペプチドに結合する。ペプチドの該結合は、共有結合および他の物理−化学相互作用に基づいた結合のいずれでもよい。本発明のペプチドの共有結合の例はペプチド結合(中でも融合タンパク質に特徴的である)およびジスルフィド結合の両方を含む。
【0024】
本発明においては、炭水化物結合ポリペプチドまたは該ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体によって、タンパク質と標的細胞の細胞表面との相互作用が可能となる。次いで、細胞障害活性を有するペプチドは細胞表面上で直接的に(例えば細胞膜に細穴を生成することにより)または細胞内への吸収後に(例えばタンパク質生合成の阻害もしくは破壊によって、アポトーシスのシグナルカスケードの誘導によって、またはミトコンドリアの活性の阻害もしくは破壊によって)のいずれかで作用する。細胞障害活性は当業者に周知の種々の試験を使用して確認できる(“JAMテスト”、参照:Matzinger (1991)、“51Cr 放出テスト”、“細胞のヨウ化プロピジウム染色”、または“アネキシンV試験”、参照:Dulat (2001))。
【0025】
リボソーム不活性化タンパク質(RIP)の酵素的rRNA−N−グルコシダーゼ活性を有するペプチドの例は、例えば、Endoら(1988および1989)およびPeumansら(2001)の総説に記載されている。
【0026】
本発明の方法の別の好ましい態様では、組換え炭水化物結合ポリペプチドはリボソーム不活性化タンパク質のB鎖である。
【0027】
別の好ましい態様では、組換え炭水化物結合ポリペプチドに結合した更なるポリペプチドはリボソーム不活性化タンパク質のA鎖である。
【0028】
更に好ましい別の態様では、リボソーム不活性化タンパク質のB鎖および/またはA鎖はII型リボソーム不活性化タンパク質のB鎖またはA鎖に相当する。該リボソーム不活性化II型タンパク質は組換えヴィスクミンであるのが好ましい。リボソーム不活性化タンパク質の例としてのホロ酵素組換えヴィスクミンの機能および組換えの両方の紹介が欧州特許第0 751 221 B1号に記載されている。
【0029】
方法の別の好ましい態様では、溶液のpHが6.0から9.0、より好ましくは溶液のpHが7.5から8.5の間であることが保証される。実施例に示すように、pH8.0が特に好ましい。pH12より高い範囲は溶液のpH値としてあまり好ましくなく、これはそのような高い範囲のpHでは脱アミノが予期され、結果として医薬的に活性な物質としてのポリペプチドの特性が変化するためである。高いpH範囲を除外することはないが、本発明の方法では、通常、6.0より高く12より低いpHを選択すべきである。しかしながら、当業者は実際にpH12より高い範囲のpHを選択できる。しかしながらこの場合、患者への投与に先立って医薬品のpHを生理学的pH範囲に調整するのが好ましい。本発明の方法の実施の際にpHを制御する方法を実施例1に記載する。
【0030】
バッファー系の塩(単数または複数)を0.6%から2.4%(5mMから200mM)の範囲の最終濃度で使用する方法も好ましい。更にまた、バッファー系の塩(単数または複数)を100mMから200mMの範囲の最終濃度で使用する方法は更に好ましい。従って、例えば100nMから200nM(1.2%から2.4%)の最終濃度のトリス塩基が好ましく、これは最適化した製剤を使用して本発明と関連して実施した全ての研究で、加工によって起こる組換えヴィスクミンの損失がわずか5%しか観察されなかったためである。20mMから100mMの範囲の最終濃度では、対応する損失は10から15%の範囲で検出された。実施例に示すように、20mMの最適濃度未満の最終濃度では、10から20%の範囲で対応する損失が検出された。
【0031】
本発明に関連して、“最終濃度”という表現は、当業者が冷却、凍結、スプレー乾燥、または凍結乾燥過程の前に調整する溶液の質量/容量(m/v)濃度をいう。
【0032】
更に、バッファー系の塩(単数または複数)がトリス/HCl、トリシン/HCl、HEPES/HCl、炭酸アンモニウムバッファー、トリス/グルタミン酸、およびトリス/アスパラギン酸を含む群から選択される方法が好ましい。添付の実施例で特に記載するように、該バッファー系は、選択された初期物質の組み合わせで、凍結段階の際、対応する溶液中のpHを高く保持することを保証する。この理由のために、対応するバッファー系はポリペプチドの安定性に関して重要な役割を果たす。
【0033】
本発明の方法の別の好ましい態様では、溶液のポリペプチドの薬理学的性質を安定化するために1つ以上の界面活性剤を使用する。該界面活性剤は湿潤剤として作用し、従って溶液の表面張力を低下させ、再構成溶液での凍結乾燥産物の湿潤に好都合である。更にこれらの物質は、例えば組換えヴィスクミンが疎水性タンパク質として結合しやすい、使用される調製容器および使用される主な充填剤の壁上のいわゆる“ホットスポット”を占有する。湿潤剤の非存在下では、製造および包装過程中、および医薬溶液中で、タンパク質またはタンパク質活性の喪失が起こりうる。更に、湿潤剤の添加は、凍結乾燥粉末の再構成後の喪失を防止するのに有益である。このような喪失が起こると投与量が不正確となる。
【0034】
非イオン性界面活性剤を界面活性剤として、最終濃度0.01から5.0%の範囲で使用するのが好ましい。
【0035】
好ましい非イオン性界面活性剤は、脂肪酸アルコール、部分グリセリド、ポリソルベート、ポリオキシエチレン脂肪酸エーテルおよびポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポロキサマー(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ブロックポリマー)、糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールエーテルおよびポリオキシエチレン脂肪酸エーテル、ポリオキシ脂肪酸エステル、およびホスファチドを含む群から選択される。
【0036】
好ましいポリソルベートの例はポリソルベート80およびポリソルベート20を含む群から選択される。
【0037】
更に、ポリオキシエチレン脂肪酸エーテルおよびポリオキシエチレン脂肪酸エステル、マクロゴールエーテルまたはマクロゴールエステル、ポロキサマー プルロニックF68、ポロキサマー166または188、およびホスファチド、例えばレシチンは好ましい。この点について、大豆またはニワトリタンパク質由来のレシチンの誘導体も含まれる。
【0038】
0.01から5.0%の範囲の最終濃度で使用される両性界面活性剤も界面活性剤として好ましい。
【0039】
本発明の方法の別の好ましい態様では、凍結乾燥のために、1つ以上の乾燥保護剤を0.1から20%の範囲の最終濃度で、および/または1つ以上の凍結保護剤を0.01から1.0%の範囲の最終濃度で、溶液に添加する。この点で、乾燥保護剤は乾燥の際の物質の保護の役目を果たし、凍結保護剤は凍結の際にそれに相当する役割を果たす。乾燥保護剤および/または凍結保護剤の使用に関してここに記載する最終濃度の範囲は好ましいと思われるものであり、従って、本発明の方法は好ましい最終濃度の範囲外の最終濃度範囲も含む。乾燥保護剤は好ましくは4.0から10%の範囲の最終濃度で使用する。乾燥保護剤と併せて、またはその非存在下で、凍結保護剤は好ましくは0.05から0.1%の範囲の最終濃度で溶液に添加する。
【0040】
更に、乾燥保護剤は以下を含む群から選択されるものが好ましい:
a)低分子量の糖類、例えばグルコース、トレハロース、およびスクロース;
b)ヘキシット、例えばマンニトール(マンニット)およびソルビトール(ソルビット);
c)オリゴ糖および多糖、例えばサイクリックβ−ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、シクロデキストリン、セルロース、デンプン、カルボキシアミロペクチン、キトサン、およびそれらの誘導体;
d)無機ゲル化剤、例えばベントナイト、および二酸化ケイ素;そして
e)合成ポリマー、例えばポリビニルピロリドンおよびポリアクリレート。
【0041】
分子量1,000から100,000Daのデキストランが好ましく、より好ましくは1,000から10,000Daを使用する。本明細書の実施例に記載するように、本発明の方法において、デキストランは好ましい乾燥保護剤であり、これはマンニトールの非存在下で使用するのが好ましいが、実際に他の乾燥保護剤と共に使用できる。実施例に示すように、好ましくはデキストランは本発明の方法において単独でも(他の乾燥保護剤を含有せずに)使用できる。本発明の方法で、特に凍結乾燥過程において、デキストランを乾燥保護剤として単独で使用できるという事実は驚くべきことである。なぜなら当該分野において、デキストランは随伴するアジュバントとして、タンパク質の安定化におけるその役割を果たすことしかできないと報告されてきたからである(Carpenterら, 1993, Carpenterら, 1999, Allisonら, 1999, Allisonら, 2000)。
【0042】
好ましくはイオン性物質も凍結保護剤として使用する。これらのイオン性物質は好ましくは塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、および硫酸カリウムから成る群から選択される。本発明によれば、エデト酸のナトリウム塩も使用される。該塩は、生成過程で金属カチオンを取り込んで複合体を形成するため、ポリペプチドの更なる安定化に寄与する。
【0043】
本発明の方法によれば、凍結乾燥の際、乾燥保護剤および凍結保護剤によって無定形構造が形成される。これらの乾燥保護剤および凍結保護剤は凍結乾燥過程中の結晶格子(固体物質における一定距離の原子)の生成を阻害する。固体物質中に結晶構造が無いことは、粉末結晶構造分析によって(例えばx線回折によって)検出できる。
【0044】
方法の別の好ましい態様では、アミノ酸を安定化剤として使用する。好ましくはそれらは0.01から50mg/mlの濃度で使用する。安定化特性に加え、アミノ酸そのものを本発明におけるバッファー物質として使用できる。
【0045】
更に、好ましくはアミノ酸は酸性アミノ酸、例えばグルタミン酸およびアスパラギン酸、塩基性アミノ酸であるアルギニン、および中性アミノ酸であるバリンを含む群から選択される。
【0046】
本発明の方法の別の態様では、少なくとも組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは組換え炭水化物結合ポリペプチドの機能性誘導体もしくはフラグメントを含むポリペプチドを、0.000001%(10ng/ml)から1.0%(10mg/ml)の最終濃度で使用する。この場合、0.00001%(100ng/ml)から0.1%(1mg/ml)のタンパク質濃度が特に好ましい。
【0047】
方法の別の好ましい態様は、医薬品を更に製剤または再構成して水性もしくは非水性溶液にすることを含む。更に、これは医薬品を更に製剤して注射、点滴注入、または輸液用の溶液とすることを含む。治療すべき疾患または疾病によって、本発明にかかる注射液を皮下、筋肉内、静脈内、心臓内、または腹膜内投与する。体腔中に点滴注入するための溶液は、治療すべき疾患によって、例えば膀胱に点滴注入する。
【0048】
本発明の方法の別の好ましい態様では、胃腸、経口、経鼻、肺、皮膚、経皮、または局所投与のための医薬品の更なる製剤または再構成も含む。
【0049】
更に、医薬品を更に製剤してジュース、カプセル、錠剤、坐薬、またはゲルとすることも好ましい。
【0050】
言及したゲルは本発明の医薬品を更に製剤して生成できるが、これは無機および有機ヒドロゲル化剤を水溶液または水/アルコール溶液と共に使用して得ることができる。この場合、天然、部分的合成、および合成起源のゲル化剤が含まれる。これらの分子は、部分的に、極度の膨潤能力を有し、一般にこれによって塗布可能なゲル製剤となる。
【0051】
更に、医薬品を更に製剤して、吸入器を使用して投与できる吸入用の粉末とすることも好ましい。
【0052】
本発明は更に、本発明の方法の1つに従って調製される医薬品に関する。
【0053】
本発明はまた、それらの医薬品を製造するためのポリペプチドの使用にも関する。
【0054】
更なる製剤によって、本発明の医薬品の投与は種々の方法、例えば静脈内、腹膜内、皮下、筋肉内、局所、または経皮で行うことができる。治療を行う医師は臨床的因子に従って投与の種類を決定する。当業者に周知のように、投与の種類は種々の因子、例えば患者の身長、体表面積、年齢、性別、または一般的な健康状態に依存するが、投与される特定の薬剤、投与の期間と種類、並行して投与される可能性のある他の医薬品にも依存する。
【0055】
図面
図1は、バッファー溶液のpH変化と温度の関係を示す。バッファー溶液は20mM リン酸バッファーに相当し、更に0.1%塩化ナトリウムを含有する。実施例1に示すように、このバッファー溶液を市販の低温保持装置中で温度を調節しながら冷却した。溶液中のpH値を、特に好適なpH電極を用いて測定した。記載するアッセイにおける冷却速度は1.2Kであった。経過曲線は、バッファー溶液の室温から溶液の凝固点までの冷却は、この溶液のpH値に有意な影響を与えなかったことを示している。溶液を凝固点未満の温度まで冷却すると、pH値が8から5未満まで、顕著に低下する。
【0056】
図2は、炭水化物特異的組換えヴィスクミンの安定性とpH値および2から8℃での短期保存、バッファー溶液中の組換えヴィスクミンの関係を示す。バッファー溶液は20mMリン酸バッファー(pH7.2)に相当し、NaOH(1Mおよび0.1M)またはHCl(10%または1%)でpH値を3、4、5、7、8、および9に調整した。更に、リン酸バッファー溶液は、溶液の等張性の調整のための0.7から0.9%の濃度のNaCl、および容器表面へのポリペプチドの吸着を予防するための0.1g/lの濃度の低分子量ポリビニルピロリドンを含む。図に示すアッセイでは、バッファー溶液中でのポリペプチド組換えヴィスクミンの安定性は、pH値が低下すると顕著に低下する。pH値6未満では、短い保存期間後であっても、炭水化物特異性を有する組換えヴィスクミンは残存しない。
【0057】
図3は、安定化バッファー溶液中の炭水化物特異的組換えヴィスクミン(rML)およびそれらから生成した凍結乾燥粉末(凍結乾燥産物)の安定性と温度の関係を示す。バッファー溶液は200mM トリス/HClバッファー(pH8.0)であり、8.0%(w/v)のデキストランT10、0.1%(w/v)のNaCl、および0.1%(w/v)のポリソルベート80を含有する。組換えヴィスクミンは2.0μg/mlの濃度で溶液中に含有される。実施例3に記載するアッセイに従って溶液を分配、処理、および試験する。図に示す試験結果は、安定化バッファー溶液中の組換えヴィスクミン含量は40℃の温度で顕著に低下し始めることを示している。50℃では、炭水化物特異性を有する組換えヴィスクミンの初期濃度のわずか50%しか検出されない。60℃では、もはや炭水化物特異性を有する組換えヴィスクミンは検出されない。従って、溶液中の組換えヴィスクミンの分解温度は40℃から50℃の間にある。炭水化物特異性を有する組換えヴィスクミンが固体中で検出された含量は、温度の上昇と共に非常に徐々にしか低下しない。50℃の温度では初期含量の94%の含量が、60℃の温度では初期含量の91%の含量がなおも検出される。
【0058】
図4は、pH値を変化させた時の、水溶液中での組換えヴィスクミンの炭水化物結合活性の安定性の依存性を例証する。
【0059】
図5は、温度上昇に伴う、水溶液中での、および凍結乾燥粉末としての組換えヴィスクミンの炭水化物結合活性の依存性を示す。
【0060】
図6は、凍結保護剤としての役割におけるアジュバント、プルロニックF68およびポリソルベート80が、100mM トリスバッファー(pH8.0)中の組換えヴィスクミン水溶液の凍結/解凍の工程に及ぼす影響を示す。溶液は乾燥保護剤デキストランT1を、好ましい範囲未満である2%の濃度で含有する。
【0061】
図7は、組換えヴィスクミンの水溶液のタンパク質濃度が凍結乾燥工程に及ぼす影響を示す。
【0062】
図8は、乾燥保護剤マンニットおよびマンニットと非結晶化凍結保護剤の混合物が組換えヴィスクミンに対して及ぼす影響を示す。
【0063】
図9は、凍結乾燥の際の組換えヴィスクミンの安定性に関する凍結保護剤デキストランT1の好適性および最適範囲を示す。
【0064】
図10は、60℃に上昇させた温度での凍結乾燥した組換えヴィスクミン製剤の安定性に及ぼす種々の乾燥保護剤の影響を示す。
【0065】
図11は、2から8℃の保存温度での、10週間にわたる組換えヴィスクミンの水性製剤(四角)および56週間にわたる凍結乾燥産物(菱形)の保存安定性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、バッファー溶液のpH変化と温度の関係を示す。
【図2】図2は、炭水化物特異的組換えヴィスクミンの安定性とpH値および2から8℃での短期保存、バッファー溶液中の組換えヴィスクミンの関係を示す。
【図3】図3は、安定化バッファー溶液中の炭水化物特異的組換えヴィスクミン(rML)およびそれらから生成した凍結乾燥粉末(凍結乾燥産物)の安定性と温度の関係を示す。
【図4】図4は、pH値を変化させた時の、水溶液中での組換えヴィスクミンの炭水化物結合活性の安定性の依存性を例証する。
【図5】図5は、温度上昇に伴う組換えヴィスクミンの炭水化物結合活性の依存性を示す。
【図6】図6は、凍結保護剤が組換えヴィスクミン水溶液の凍結/解凍の工程に及ぼす影響を示す。
【図7】図7は、組換えヴィスクミンの水溶液のタンパク質濃度が凍結乾燥工程に及ぼす影響を示す。
【図8】図8は、乾燥保護剤マンニットおよびマンニットと非結晶化凍結保護剤の混合物が組換えヴィスクミンに対して及ぼす影響を示す。
【図9】図9は、凍結乾燥の際の組換えヴィスクミンの安定性に関する凍結保護剤デキストランT1の好適性および最適範囲を示す。
【図10】図10は、60℃に上昇させた温度での凍結乾燥した組換えヴィスクミン製剤の安定性に及ぼす種々の乾燥保護剤の影響を示す。
【図11】図11は、2から8℃の保存温度での、10週間にわたる組換えヴィスクミンの水性製剤(四角)および56週間にわたる凍結乾燥産物(菱形)の保存安定性を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0067】
実施例1:医薬品の冷却または凍結の際のpH値の確認方法
組換えヴィスクミンは組換えによって生成した、糖特異的結合活性を有する2量体植物タンパク質である。細胞におけるアポトーシスを誘発するという、タンパク質の薬理作用は、糖特異的結合活性の獲得と相関する。糖特異性の獲得は、取り巻く媒質のpH値に大きく依存する。媒質のpH値が6.0未満に低下すると、組換えヴィスクミンの糖結合活性は顕著に低下する。これは組換えヴィスクミンの水性製剤の凍結乾燥の凍結段階の際のpH変化でも同様である。このため、凍結乾燥に関しては、組換えヴィスクミン医薬製剤の凍結の際の水性バッファー系のpHの調節が必要である。
【0068】
この問題は、組換えヴィスクミンまたはその活性薬剤なしの基本処方の医薬品(バッファー塩の組み合わせ)を、15mlの容量で一般的な凍結フラスコ(バイアル)中で生成することによって解決できる。凍結フラスコを温度制御された市販の低温保持装置中に入れる。特に好適なpH電極(例えば、ISFET電極用のConverter Model 605パワーサプライを備えた耐圧Sure-Flow pHutureプローブ(Orion)、または耐霜ガラス電極(Schott Gerate GmbH,Hofheim)を使用してpHを測定する。pH値の記録は市販のpHメーターで行う。1.2Kの冷却速度は、凍結乾燥機の冷却速度のシミュレーションに好適である。溶液中のpH値を、温度に対して測定する。
【0069】
図1は20mMのリン酸ナトリウムバッファー(室温でpH8.0)の、温度に対するpH値の変化を示す。
【0070】
温度を0℃未満に低下させると、記載する方法で測定したところ、0.1%(w/v)の塩化ナトリウムを含有する20mMリン酸バッファーの例で確認できるように、リン酸バッファーは不規則で強いpH値の低下を示す。これはバッファー系の物理的変化を示唆している。周知のように、温度の低下に伴ってリン酸1水素ナトリウムはリン酸バッファー溶液から結晶化する傾向があり、それによってこのpH変化が起こる。
【0071】
組換えヴィスクミンの水性製剤は既に欧州特許第0 751 221 B1号に報告されている。医薬品として好適なこれらの水性製剤はpH7.2、100−200ng/mlの組換えヴィスクミン濃度のリン酸バッファー水溶液であり、例えば以下の組成を有する:
【表1】

【0072】
冷却および凍結の際、リン酸バッファー(pH7.2)のpH値は低下し、これはリン酸バッファー(pH8.0)で測定されたように、また図1に示したように、温度の低下による。当業者に周知のように、pHの初期値が低いと、凍結の際に水溶液が酸性範囲により強くシフトし、これは溶液中のリン酸2水素ナトリウムの濃度が上昇するためである。上記の組成物の製剤を凍結乾燥する場合、図5で組換えヴィスクミンの水性製剤に関して記載したように、この必然性によってpH6未満の低pH状態となり、そのような条件下では組換えヴィスクミンは不安定となり、タンパク質の変性によって活性を喪失する。
【0073】
生物学的バッファーであるトリス/HCl、トリシン/HCl、およびHEPES/HCl(pH8.0)のpH変化がGloger O., Muller B.W., 2000に記載および考察されている。
【0074】
温度の低下に伴って、pH8.0に調整されたトリス/HCl、トリシン/HCl、およびHEPES/HClからなるバッファー系は、pH値が9.0までの、連続的で小さなpH変化を示す(Gloger O., Muller B.W., 2000)。
【0075】
実施例2:炭水化物特異的組換えヴィスクミンの安定性とpH値および短期保存の関係
200ng/mlの濃度の組換えヴィスクミンを種々のバッファーに溶解する。20mMリン酸バッファー(pH7.4)から出発して、NaOH(1Mおよび0.1M)またはHCl(10%または1%)を使用してpH3、4、5、7、8、および9のバッファーを生成する。更にリン酸バッファー溶液は、最終濃度0.7から0.9%のNaCl(溶液の等張性の調整のため)および0.1g/lの濃度の低分子量ポリビニルピロリドン(容器表面へのポリペプチドの吸着を防止するため)を含有する。溶液をメンブラン(孔径0.2μm)で濾過して微生物を除去し、密封ポリエチレン容器中、温度を2から8℃に制御した条件下で保存する。時間毎にサンプルを採取する。これらのサンプルを20mMリン酸バッファー(pH7.4)で1:10に希釈し、レクチン活性を有するタンパク質含量の測定を行うための均質溶液を得る。このレクチン活性の測定は糖タンパク質および特異的モノクローナル抗体を使用する特異的酵素結合免疫アッセイによって行う。実施例4に、レクチン活性を有する溶液のタンパク質含量を測定するためのアッセイの例を記載する。図2に示すアッセイはポリペプチド組換えヴィスクミンの安定性がバッファー溶液中でpH値の低下と共に顕著に低下することを示している。pH6未満では、短期保存後にレクチン活性を有する組換えヴィスクミンは溶液中にもはや残存しない。レクチン活性を保持しつつ最も安定性が高い組換えヴィスクミンは高pH値で観察される。
【0076】
実施例3:組換えヴィスクミン(rML)凍結乾燥産物の安定性
2.0μg/mlの濃度の組換えヴィスクミンを、以下を含有する安定化バッファー溶液に溶解する:200mM トリス/HClバッファー(pH8.0)、8.0%(w/v)デキストランT10、0.1%(w/v)NaCl、および0.1%(w/v)ポリソルベート80。この溶液の一部を無菌条件下で凍結乾燥し、粉末とする。これを行うために、濾過して微生物を除去した後、0.5mlの溶液を0.2μmフィルターを通してガラスバイアルに充填し、凍結乾燥プラグである程度まで閉め、凍結乾燥機で乾燥させる。他の部分も濾過して微生物を除去し、ガラスバイアルに充填し、閉じ、試験まで2から8℃で保存する。
【0077】
凍結乾燥後、水溶液の入ったガラスバイアルおよび固体(乾燥した溶液)の入ったものを温度および時間が制御される水浴中に配する。ガラスバイアルを以下の温度に施与した:
30℃で5分間
1.5℃/分の温度上昇で加熱
40℃で5分間
1.5℃/分の温度上昇で加熱
50℃で5分間
1.5℃/分の温度上昇で加熱
60℃で5分間
【0078】
温度を調節した後、選択した溶液および固体サンプル中のレクチン活性を有するタンパク質含量を、糖タンパク質および特異的モノクローナル抗体を使用する特異的酵素結合免疫アッセイによって測定した。レクチン活性を有する溶液のタンパク質含量を測定するためのアッセイの例を実施例4に記載する。
【0079】
図3に示すアッセイは、安定化バッファー溶液中の組換えヴィスクミン含量が40℃の温度で顕著に低下し始めることを示している。50℃では、レクチン活性を有する組換えヴィスクミンの初期濃度のわずか50%しか検出されない。溶液を60℃に加熱した後は、もはやレクチン活性を有する組換えヴィスクミンを検出することはできない。従って溶液中の組換えヴィスクミンの分解温度は40℃と50℃の間である。
【0080】
固体中のレクチン活性を有する組換えヴィスクミンの含量は温度の上昇と共に非常に徐々に低下するだけである。50℃でレクチン活性を有する組換えヴィスクミンの初期含量の94%の含量、60℃で91%の含量が見られる。これは組換えヴィスクミンが溶液より凍結乾燥粉末中ではるかに安定であることを示している。
【0081】
実施例4:レクチン活性を有する溶液のタンパク質含量の測定
炭酸バッファー(pH9.6)中のアシアロフェツインの0.1mg/ml溶液100μlを高タンパク質結合性の96マイクロタイタープレートのウェルに入れ、室温で16時間インキュベートする。0.05g/lのポリソルベート80を含有するPBSで3回洗浄した後、10g/lのウシ血清アルブミンおよび0.05g/lのポリソルベート80(非特異的結合部位をブロッキングする)を含有するPBS200μlと共に、マイクロタイタープレートウェルを室温で1時間インキュベートする。3回洗浄した後、10−200ng/mlの濃度範囲の組換えヴィスクミン対照溶液(100μl)、試験溶液(100μl)、およびブランク測定のためにはバッファー(0.05g/lのポリソルベート80を含有するPBS)(100μl)をそれぞれウェルに入れ、室温で2時間インキュベートする。その後、マイクロタイタープレートのウェルを洗浄し、特異的モノクローナル検出抗体(マウスの抗組換えヴィスクミン A鎖IgG)を1μg/mlの濃度でPBS(0.05g/lのポリソルベート80および0.1g/lのウシ血清アルブミンを含有)に混合した溶液(100μl)を添加し、室温で1時間インキュベートする。マイクロタイタープレートのウェルを3回洗浄し、販売者の指示に従って、希釈液中の特定の市販のペルオキシダーゼ(POD)結合型抗IgGマウス抗体(100μl)を添加し、室温で1時間インキュベートする。マイクロタイタープレートのウェルを6回洗浄し、次いで、市販のオルト−フェニレンジアミン/H22錠剤を25mlのクエン酸バッファー(pH5)に混合した溶液(100μl)を添加し、暗所において室温で15分間インキュベートする。15分後、1M硫酸(100μl)を各ウェルに添加し、溶液の呈色強度を、吸収測定によって測定した。
【0082】
試験溶液中の含量を、対照溶液と比較して測定した。
【0083】
実施例5:デキストラン含有組換えヴィスクミン注射液 10μg/ml(凍結乾燥産物)
以下にデキストラン含有注射液の種々の製剤について記載する。
これを行うために、ポリソルベート、トリス塩基、およびデキストランを、注射に必要な量の80%の水に溶解する。次いで、HCl(1N)を用いてpHを8.0に調整する。組換えヴィスクミンをこの溶液に添加し、十分撹拌する。残りの水を加えて必要な容量までフィルアップする。次いで、溶液を0.2μmフィルターを通して無菌化する。溶液を無菌条件下でガラスバイアルに充填し、凍結乾燥用プラグで前密封し、凍結乾燥機で乾燥する。
【表2】

【0084】
また、更にNaClを含む組換えヴィスクミン注射液の調製について以下に記載する。NaClはポリソルベート、トリス塩基、およびデキストランと共に水に溶解する。
【表3】

【0085】
この群の組換えヴィスクミン製剤の最後の例として、NaClに加えて更にNa−EDTAを含む組換えヴィスクミン注射液の調製について記載する。これらをポリソルベート、トリス塩基、およびデキストランと同時に水に溶解する。
【0086】
【表4】

ここに示す例では、凍結乾燥産物の再構成のために、これらのそれぞれを表示する量の水に溶解する。
【0087】
実施例6:β−HP−シクロデキストリン含有組換えヴィスクミン注射液 10μg/ml(凍結乾燥産物)
【表5】

この注射液の調製のために、ポリソルベート、トリス塩基、エデト酸2ナトリウム、およびβ−ヒドロキシプロピル−シクロデキストリンを、注射に必要な量の80%の水に溶解する。次いで、HCl(1N)でpHを8.0に調整する。組換えヴィスクミンをこの溶液に添加し、十分撹拌する。残りの水を使用して必要な容量までフィルアップする。次いで、溶液を0.2μmフィルターを通して無菌化する。溶液を無菌条件下でガラスバイアルに充填し、凍結乾燥用プラグで前密封し、凍結乾燥機で乾燥する。
【0088】
実施例7:アミノ酸含有組換えヴィスクミン水溶液 10μg/ml (凍結乾燥産物)
溶液の生成は、実施例4に記載する方法に従って行う。従って、ポリソルベート、トリス塩基、塩化ナトリウム、およびアミノ酸を、注射に必要な量の80%の水に溶解する。無菌条件下で溶液をガラスアンプルまたはガラスビンに注入する。医薬品は2から8℃の保存条件下で安定である。
【0089】
【表6】

【0090】
【表7】

80mgのデキストランT1を溶液に添加してからフィルアップすることにより、凍結乾燥産物も調製できる。
【0091】
実施例8:バッファー溶液中の炭水化物特異的組換えヴィスクミンの安定性に対する種々のアミノ酸の影響
本明細書では、代表的な酸性、中性、および塩基性のアミノ酸がバッファー水溶液中でポリペプチド組換えヴィスクミンを安定化することができることを示している。
【0092】
以下の表に要約するアッセイは、8.0のpH値でのバッファー水溶液中での組換えヴィスクミンの安定性に対するアミノ酸の影響を明らかにしている。
【表8】

【0093】
組換えヴィスクミン溶液を2から8℃で3日間保存すると、22%の炭水化物特異的組換えヴィスクミンがこの期間後もまだ検出できる。
【0094】
しかしながら、酸性アミノ酸であるグルタミン酸(ここでは酸性アミノ酸の例として使用する)を溶液に添加すると、100%の炭水化物特異的組換えヴィスクミンが3日間の対応する保存後に回収できる。この安定化効果は0.1から10mg/mlの濃度範囲で観察される。
【0095】
中性アミノ酸、例えばバリンを添加しても、水溶液中のポリペプチドの安定化が観察される。このアミノ酸に関して、安定化効果を有する濃度範囲は10mg/mlである。保存の3日後、組換えヴィスクミンの初期含量の91%がまだ見られる。
【0096】
驚くべきことに、塩基性のアミノ酸では、0.1mg/mlという低濃度でタンパク質の安定化効果が観察できた。74%の含量を有する対応する溶液中のタンパク質の回収は、22%のコントロール製剤中で観察される含量より明らかに高い。
【0097】
従ってアミノ酸は、添加剤として水溶液に対して、また添加剤として組換えヴィスクミンの乾燥製剤(粉末、凍結乾燥産物)中でも安定化作用を有する。
【0098】
実施例9:組換えヴィスクミン水溶液 輸液用濃縮物 200μg
注射用の組換えヴィスクミン水溶液または濃縮液の調製の例を以下に記載する:
【表9】

【0099】
溶液の製造は、実施例4に記載する方法に従って実施する。すなわち、ポリソルベート、トリス塩基、塩化ナトリウム、およびグルタミン酸を、注射に必要な量の80%の水に溶解する。次いで、HCl(1N)でpHを8.0に調整する。組換えヴィスクミンをこの溶液に添加し、十分撹拌する。残りの水を使用して必要な容量までフィルアップし、溶液を0.2μmフィルターを通して無菌化する。溶液を無菌条件下でガラスビンに充填する。医薬品は2−8℃の保存条件下で安定である。
【0100】
800mgのデキストランT1を溶液に添加してからフィルアップすることにより、凍結乾燥産物を製造することも可能である。
【0101】
実施例10:注入用組換えヴィスクミン水溶液 500μg
体腔に注入するための組換えヴィスクミン水溶液の例を以下に記載する:
【表10】

【0102】
溶液の製造は、実施例4に記載する方法に従って実施する。すなわち、ポリソルベート、トリス塩基、塩化ナトリウム、およびグルタミン酸を、注射に必要な量の80%の水に溶解する。次いで、HCl(1N)でpHを8.0に調整する。組換えヴィスクミンをこの溶液に添加し、十分撹拌する。残りの水を使用して必要な容量までフィルアップし、溶液を0.2μmフィルターを通して無菌化する。溶液を無菌条件下でガラスビンに充填する。医薬品は2−8℃の保存条件下で安定である。
【0103】
0.2mgのデキストランT1を溶液に添加してからフィルアップすることにより、凍結乾燥産物を製造することも可能である。
【0104】
実施例11:グルコース含有組換えヴィスクミン溶液 10μg/ml(凍結乾燥産物)
上記のように、本発明の好ましい態様では糖を組換えヴィスクミン溶液に添加する。後に凍結乾燥を行うそれら溶液の製造の例を以下に記載する:
【表11】

ポリソルベート、トリス塩基、およびグルコースを、注射に必要な量の80%の水に溶解する。次いで、HCl(1N)でpHを8.0に調整する。組換えヴィスクミンをこの溶液に添加し、十分撹拌する。残りの水を使用して必要な容量までフィルアップし、溶液を0.2μmフィルターを通して無菌化する。溶液を無菌条件下でガラスバイアルに充填し、凍結乾燥用プラグで前密封し、凍結乾燥ユニットで乾燥する。
【0105】
実施例12:ソルビトール含有組換えヴィスクミン溶液 10μg/ml(凍結乾燥産物)
上記のように、本発明の他の好ましい態様では、ソルビトールを組換えヴィスクミン溶液に添加する。後に凍結乾燥を行うそれら溶液の製造の例を以下に記載する:
【表12】

【0106】
ポリソルベート、トリス塩基、およびソルビトールを、注射に必要な量の80%の水に溶解する。次いで、HCl(1N)でpHを8.0に調整する。組換えヴィスクミンをこの溶液に添加し、十分撹拌する。残りの水を使用して必要な容量までフィルアップする。次いで溶液を0.2μmフィルターを通して無菌化する。溶液を無菌条件下でガラスバイアルに充填し、凍結乾燥用プラグで前密封し、凍結乾燥ユニットで乾燥する。
【0107】
実施例13:キトサン含有組換えヴィスクミン溶液 10μg/ml(凍結乾燥産物)
【表13】

ポリソルベート、トリス塩基、およびキトサンを、注射に必要な量の80%の水に溶解する。次いで、HCl(1N)でpHを8.0に調整する。組換えヴィスクミンをこの溶液に添加し、十分撹拌する。残りの水を使用して必要な容量までフィルアップする。次いで溶液を0.2μmフィルターを通して無菌化する。溶液を無菌条件下でガラスバイアルに充填し、凍結乾燥用プラグで前密封し、凍結乾燥ユニットで乾燥する。
【0108】
実施例14:アエロシル含有組換えヴィスクミン溶液 100μg/ml(凍結乾燥産物)
【表14】

ポリソルベート、トリス塩基、およびデキストランを、注射に必要な量の80%の水に溶解する。次いで、HCl(1N)でpHを8.0に調整する。組換えヴィスクミンおよびコロイド状二酸化ケイ素をこの溶液に添加し、十分撹拌する。残りの水を使用して必要な容量までフィルアップする。溶液を無菌条件下でガラスバイアルに充填し、凍結乾燥用プラグで前密封し、凍結乾燥ユニットで乾燥する。
【0109】
実施例15:ポビドン含有組換えヴィスクミン溶液 10μg/ml(凍結乾燥産物)
【表15】

ポリソルベート、トリス塩基、およびポリビニルピロリドンを、注射に必要な量の80%の水に溶解する。次いで、HCl(1N)でpHを8.0に調整する。組換えヴィスクミンをこの溶液に添加し、十分撹拌する。残りの水を使用して必要な容量までフィルアップする。次いで溶液を0.2μmフィルターを通して無菌化する。溶液を無菌条件下でガラスバイアルに充填し、凍結乾燥用プラグで前密封し、凍結乾燥ユニットで乾燥する。
【0110】
実施例16:溶液(経口摂取用の10mg組換えヴィスクミン溶液)の調製のための組換えヴィスクミン粉末
粉末としてその後の経口適用のために更に加工し、水に溶解してから適用する、組換えヴィスクミン粉末の調製の例を以下に記載する:
【表16】

1から4、および5の一部(この処方でデキストランT1は乾燥保護物質の役割を果たす)を純水に溶解して10mlとし、凍結乾燥によって粉末にする。この粉末は保存可能である。上記の例のように、粉末を他の物質と混合し、100mlのボトルに充填する。溶液を調製するためには、固体を水に溶解して100mlとする。
【0111】
以下の処方の1から5および6の一部(この処方でスクロースは乾燥保護物質の役割を果たす)を純水に溶解して10mlとし、凍結乾燥によって粉末にする。この粉末は保存可能である。上記の例のように、粉末を他の物質と混合し、100mlのボトルに充填する。溶液を調製するためには、固体を水に溶解して100mlとする。
【表17】

【0112】
実施例17:溶液(経口摂取用の10mg組換えヴィスクミンジュース)の調製のための組換えヴィスクミン粉末
ジュース調製用の粉末としてその後の経口適用のために更に加工し、水に溶解してから適用する、組換えヴィスクミン粉末の調製の例を以下に記載する:
【表18】

1から4、および5の一部を純水に溶解して10mlとし、凍結乾燥によって粉末にする。この粉末は保存可能である。周知の方法で粉末を他の物質と混合し、100mlのボトルに充填する。ジュースを調製するためには、固体に水を添加して100mlとし、溶解する。膨潤時間が観察された後、ジュースは摂取に好適である。
【0113】
実施例18:組換えヴィスクミン錠剤0.1/0.5mg 経口摂取用250mg錠剤
組換えヴィスクミン錠剤の調製の例を以下に示す:
【表19】

1から5を純水に溶解して2mlとし、凍結乾燥によって粉末にする。この粉末は保存可能である。周知の方法で粉末を他の物質と混合して粉末とし、圧縮して錠剤とする。これらの錠剤を、胃内での活性剤の放出を防止する一般的な被覆剤でコーティングする(遅延放出)。
【0114】
【表20】

1から5を純水に溶解して2mlとし、凍結乾燥によって粉末にする。この粉末は保存可能である。周知の方法で粉末を他の物質と混合して粉末とし、圧縮して錠剤とする。これらの錠剤を、胃内での活性剤の放出を予防する一般的な被覆剤でコーティングする(遅延放出)。
【0115】
【表21】

1から5を純水に溶解して1mlとし、凍結乾燥によって粉末にする。この粉末は保存可能である。周知の方法で粉末を他の物質と混合して粉末とし、硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0116】
実施例19:組換えヴィスクミン坐薬1mg 腸内導入用250坐薬
組換えヴィスクミン坐薬の調製の例を以下に示す:
【表22】

1から6を純水に溶解して2mlとし、凍結乾燥によって粉末にする。この粉末は保存可能である。周知のように粉末を他の物質と混合して坐薬とする。制御された温度で純水およびグリセロール85%の混合液に溶解した組換えヴィスクミン粉末を坐薬マトリクスに混合する。塊を圧縮して形成し、放置して冷却させ、固化する。
【0117】
実施例20:組換えヴィスクミンゲル1mg 保存せずに皮膚適用するための親水性ゲル
皮膚適用のための親水性組換えヴィスクミンゲルの調製の例を以下に示す:
【表23】

1から6を純水に溶解して2mlとし、凍結乾燥によって粉末にする。この粉末は保存可能である。周知の方法で粉末を他の物質と混合してゲルとする。30℃未満の温度で、純水に溶解した組換えヴィスクミン粉末をゲルマトリクスに混合する。
必要により、安息香酸ナトリウムまたはPHBエステルと共に保存できる。
【0118】
実施例21:吸入用の組換えヴィスクミン粉末0.1/0.5mg 1g粉末
【表24】

1から5を純水に溶解して2mlとし、凍結乾燥によって粉末にする。この粉末は保存可能である。周知の方法で粉末を他の物質と混合して粉末として微粉化し、乾燥粉末吸入によって投与する。
【0119】
実施例22:組換えヴィスクミンの安定性に対する選択された凍結保護剤の影響
以下の組成の組換えヴィスクミン製剤:
【表25】

を凍結バイアルに充填して0.5mlとし、凍結乾燥機で3K/時間の冷却速度で−35℃まで冷却し、その後解凍し、溶液中の組換えヴィスクミンの炭水化物結合活性を実施例4に記載する方法に従って測定する。プルロニックF68およびポリソルベート80を凍結保護剤として使用する。
【0120】
解凍後、いずれの凍結保護剤でも、2つの濃度で、98から102%の範囲で組換えヴィスクミン活性が回収される(図6)。
【0121】
2つの凍結保護剤、プルロニックF68およびポリソルベート80は、2つの濃度、0.1から1.0%で示すように、好ましい範囲で、凍結乾燥過程における凍結の際に組換えヴィスクミンを安定化するのに好適である。
【0122】
実施例23:凍結乾燥の際の安定性に対するタンパク質濃度の影響
以下の組成の組換えヴィスクミン製剤:
【表26】

を凍結バイアルに充填して0.5mlとし、凍結乾燥機で3K/時間の冷却速度で−35℃まで冷却した後、乾燥する。
乾燥プログラム:
初期乾燥:−10℃で8時間、圧力80kPa、次いで温度を10℃まで上昇させて8時間、圧力80kPa。
2次乾燥:30℃で6時間、圧力10kPa。
【0123】
凍結保護剤、ポリソルベート80(凍結過程の際の組換えヴィスクミンの安定化に好適である)のみを使用する場合、異なる濃度の組換えヴィスクミンを含有する選択された製剤は、凍結乾燥過程の終了後のタンパク質の安定化が不十分である(図7)。凍結乾燥産物中の組換えヴィスクミンの安定性は、水溶液中の最終濃度の選択により異なる。従って、活性の回収率は10μg/mlの濃度での50%から、100μg/mlの濃度での80%まで増加する。実例によって、全ての組換えヴィスクミン濃度で、好適な乾燥保護剤の添加が明らかに凍結乾燥型の医薬品の安定性に有利な影響を与えることが示されている。
【0124】
実施例24:組換えヴィスクミンの安定性に対するマンニトール(マンニット)およびマンニトール/デキストランの影響
以下の組成の組換えヴィスクミン製剤(10μg/ml):
【表27】

を凍結バイアルに充填して0.5mlとし、凍結乾燥機で3K/時間の冷却速度で−35℃まで冷却した後、乾燥する。
乾燥プログラム:
初期乾燥:−10℃で8時間、圧力80kPa、次いで温度を10℃まで上昇させて8時間、圧力80kPa。
2次乾燥:30℃で6時間、圧力10kPa。
【0125】
ほぼ最適な濃度である2%のマンニットを添加することによって、組換えヴィスクミンの活性回収が61%となることが測定される(図8)。マンニットは凍結乾燥した組換えヴィスクミンの溶液(10μg/ml)の安定性を50%から61%増加できるので、組換えヴィスクミンの安定化に好適である。マンニット(2%)およびデキストランT1(2%)の混合物では、凍結乾燥後の活性の回収は74%となり、このことからデキストラン単独でも安定性に正の影響を与えるという結論が得られる。
【0126】
実施例25:組換えヴィスクミンの安定性に対するデキストランT1の影響
以下の組成の組換えヴィスクミン製剤(10μg/ml):
【表28】

を凍結バイアルに充填して0.5mlとし、凍結乾燥機で3K/時間の冷却速度で−35℃まで冷却した後、乾燥する。
乾燥プログラム:
初期乾燥:−10℃で8時間、圧力80kPa、次いで温度を10℃まで上昇させて8時間、圧力80kPa。
2次乾燥:30℃で6時間、圧力10kPa。
【0127】
ほぼ最適な濃度である2%のデキストランT1を添加することによって、89%の組換えヴィスクミンの活性回収が検出される。デキストランを含有する組換えヴィスクミンの安定性はマンニット/デキストラン混合物を使用したときに得られた結果に比較して、有意に向上する。4%以上のデキストラン濃度で開始し、凍結乾燥工程において安定な固体の医薬製剤を得る。デキストランは組換えヴィスクミンの乾燥保護剤として好適である。
【0128】
実施例26:更なる乾燥保護剤の影響
以下の組成の組換えヴィスクミン製剤(10μg/ml):
【表29】

を凍結バイアルに充填して0.5mlとし、凍結乾燥機で3K/時間の冷却速度で−35℃まで冷却した後、乾燥する。
乾燥プログラム:
初期乾燥:−10℃で8時間、圧力80kPa、次いで温度を10℃まで上昇させて8時間、圧力80kPa。
2次乾燥:30℃で6時間、圧力10kPa。
【0129】
8% ヒドロキシエチルデンプン450(HES450 8%)、8% β−ヒドロキシプロピルシクロデキストリン(β−HP−CD 8%)、8% ヒドロキシエチルデンプン130(HES130 8%)、および8% デキストランT1(トリス100 Dex T1 8%)の濃度の乾燥保護剤、そして2%(w/v)の濃度のマンニット(Man 2%)を含有する製剤の安定性は明白である。最初に例証した製剤は60℃で8時間後、60%を超える活性組換えヴィスクミンが回収されるが、マンニットを含有する製剤はそれらの条件下で低いストレス安定性しか示さない(図10)。
【0130】
医薬品の流通のための条件は、ストレス安定性を考慮してこれらのデータから得ることができる。乾燥した組換えヴィスクミン医薬品は、水溶液製剤で必要とされるように閉鎖冷却チェーンで輸送する必要がない。
【0131】
実施例27:組換えヴィスクミン溶液および組換えヴィスクミン粉末の相対的保存安定性
以下の組成の組換えヴィスクミン製剤(10μg/ml):
【表30】

を凍結バイアルに充填して0.5mlとし、凍結乾燥機で3K/時間の冷却速度で−35℃まで冷却した後、乾燥する。
乾燥プログラム:
初期乾燥:−10℃で8時間、圧力80kPa、次いで温度を10℃まで上昇させて8時間、圧力80kPa。
2次乾燥:30℃で6時間、圧力10kPa。
次いでバイアルを制御された条件下、2から8℃で保存する。
【0132】
以下の組成の組換えヴィスクミン製剤(1μg/ml):
【表31】

をガラスアンプルに充填し、制御された条件下、2から8℃で保存する。この製剤は欧州特許第0 751 221 B1号に記載される組換えヴィスクミンの水性医薬製剤と同等である。
【0133】
52週間の保存後、組換えヴィスクミンは凍結乾燥粉末で活性の変化を示さない。活性の喪失は検出できない。当該分野において知られる対応する水性製剤は短期間の保存期間でしか安定性を示さず、6週間の保存後、その活性はわずか70%である(図11)。凍結乾燥製剤が明らかに優れていることは明かである。これらのデータから、粉末の形態での組換えヴィスクミンの医薬品では1年を超える期間という結論を下すことができ、当該分野において知られるように製剤した水性製剤ではより短い期間しかない。
【0134】
上に記載する実施例は記載した本発明を説明する。
【0135】
種々の文献をこの明細書で引用する。引用した文献の開示内容(全ての製造者の説明および指示などを含む)は参照により本明細書に組み込まれる。
【0136】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
長期保存に安定な形態の少なくとも1つの組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該炭水化物結合ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体、更に必要により医薬的に許容されるキャリアーを含む、ポリペプチドを含有する医薬品の製造方法であって、
溶液中でのポリペプチドの薬理学的性質を保持しつつ冷却、凍結、スプレー乾燥、または凍結乾燥する工程を含み、
溶液が、溶液のpH値が6.0より高いこと、および溶媒に含有されるバッファー系によってこのpH値の保持が保証されることを特徴とする、上記方法。
【請求項2】
以下を含有するポリペプチド:
(a)組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体であって、有効な細胞障害性を有するペプチドに融合して融合タンパク質を生成したもの;
(b)組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体であって、酵素的rRNA−N−グリコシダーゼ活性を有する別のポリペプチドに結合したもの;
(c)組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体であって、酵素的rRNA−N−グリコシダーゼ活性が別の細胞障害活性で置き換わっている別のポリペプチドに結合したもの;または
(d)組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体であって、酵素的rRNA−N−グリコシダーゼ活性および/または別の細胞障害活性を有するポリペプチドを含む融合タンパク質に結合したもの
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
組換え炭水化物結合ポリペプチドがリボソーム不活性化タンパク質のB鎖である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
組換え炭水化物結合ポリペプチドに結合する更なるポリペプチドがリボソーム不活性化タンパク質のA鎖である、請求項2記載の方法。
【請求項5】
リボソーム不活性化タンパク質がII型リボソーム不活性化タンパク質である、請求項3および/または4記載の方法。
【請求項6】
リボソーム不活性化タンパク質がII型組換えヴィスクミンである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
溶液のpH値が6.0から9.0の間である、請求項1から6のいずれかに記載される方法。
【請求項8】
溶液のpH値が7.5から8.5の間である、請求項1から7のいずれかに記載される方法。
【請求項9】
バッファー系の塩(単数または複数)を5mMから200mMの範囲の最終濃度で使用する、請求項1から8のいずれかに記載される方法。
【請求項10】
バッファー系の塩(単数または複数)を100mMから200mMの範囲の最終濃度で使用する、請求項1から9のいずれかに記載される方法。
【請求項11】
バッファー系の塩(単数または複数)が、トリス/HCl、トリシン/HCl、HEPES/HCl、炭酸アンモニウムバッファー、トリス/グルタミン酸、およびトリス/アスパラギン酸を含む群から選択される、請求項1から10のいずれかに記載される方法。
【請求項12】
溶液がポリペプチドの薬理学的性質を安定化するために1つ以上の界面活性剤を含有する、請求項1から11のいずれかに記載される方法。
【請求項13】
界面活性剤が非イオン性界面活性剤であり、0.01から5.0%の範囲の最終濃度で使用される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
非イオン性界面活性剤が、脂肪酸アルコール、部分グリセリド、ポリソルベート、ポリオキシエチレン脂肪酸エーテルおよびポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポロキサマー(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ブロックポリマー)、糖脂肪酸エステル、ポリオキシグリセロール脂肪酸エステル、およびホスファチドを含む群から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
ポリソルベートが、ポリソルベート80、ポリソルベート20、およびポリオキシエチレンソルビトールエーテルを含む群から選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ポリオキシエチレン脂肪酸エーテルおよびポリオキシエチレン脂肪酸エステルがマクロゴールエーテルまたはマクロゴールエステルである、請求項14記載の方法。
【請求項17】
ポロキサマーがプルロニックF68、ポロキサマー166、またはポロキサマー188である、請求項14記載の方法。
【請求項18】
ホスファチドがレシチンである、請求項14記載の方法。
【請求項19】
界面活性剤が両性界面活性剤であり、0.01から5.0%の範囲の最終濃度で使用される、請求項12記載の方法。
【請求項20】
最終濃度0.1から20%の範囲の1つ以上の乾燥保護剤および/または最終濃度0.01から1.0%の範囲の凍結保護剤を凍結乾燥のために溶液に添加する、請求項1から19のいずれかに記載される方法。
【請求項21】
乾燥保護剤を最終濃度4.0から10%の範囲で添加し、そして/または凍結保護剤を最終濃度0.05から0.1%の範囲で添加する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
乾燥保護剤が以下を含む群:
a)低分子量の糖類、例えばグルコース、トレハロース、およびスクロース;
b)ヘキシット、例えばマンニトール(マンニット)およびソルビトール(ソルビット);
c)オリゴ糖および多糖、例えばサイクリックβ−ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、シクロデキストリン、セルロース、デンプン、カルボキシアミロペクチン、キトサン、およびそれらの誘導体;
d)無機ゲル化剤、例えばベントナイトおよび二酸化ケイ素;および
e)合成ポリマー、例えばポリビニルピロリドンおよびポリアクリレート
から選択される、請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
乾燥保護剤(単数または複数)がデキストランである、請求項20または21記載の方法。
【請求項24】
イオン性物質を凍結保護剤として使用する、請求項20または21記載の方法。
【請求項25】
イオン性物質が、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、および硫酸カリウムを含む群から選択される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
乾燥保護剤および凍結保護剤が凍結乾燥の際に両性構造を生成する、請求項20から25のいずれかに記載される方法。
【請求項27】
安定化剤がアミノ酸であり、0.01から50mg/mlの最終濃度で使用される、請求項1から26のいずれかに記載される方法。
【請求項28】
アミノ酸が酸性アミノ酸(例えばグルタミン酸およびアスパラギン酸)、塩基性アミノ酸(アルギニン)、および中性アミノ酸(バリン)を含む群から選択される、請求項27記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの組換え炭水化物結合ポリペプチドまたは該ポリペプチドの機能性フラグメントもしくは誘導体が10ng/mlから10mg/mlの最終濃度で使用される、請求項1から28のいずれかに記載される方法。
【請求項30】
ポリペプチドが100ng/mlから1mg/mlの最終濃度で使用される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
医薬品を更に製剤または再構成して水溶液または非水性溶液とすることを更に含む、請求項1から30のいずれかに記載される方法。
【請求項32】
医薬品を更に製剤して注射液、点滴注入液、または輸液とする、請求項31記載の方法。
【請求項33】
胃腸、経口、経鼻、肺、皮膚、経皮、または局所適用のために医薬品を更に製剤または再構成することを更に含む、請求項1から30のいずれかに記載される方法。
【請求項34】
医薬品を更に製剤してジュース、カプセル、錠剤、坐薬、またはジェルとすることを更に含む、請求項1から31のいずれかに記載される方法。
【請求項35】
医薬品を更に製剤して、吸入器を使用して投与する吸入用の粉末とする、請求項1から30のいずれかに記載される方法。
【請求項36】
請求項1から35のいずれかに記載される方法に従って生成される医薬品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−157393(P2011−157393A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88380(P2011−88380)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【分割の表示】特願2003−533899(P2003−533899)の分割
【原出願日】平成14年10月2日(2002.10.2)
【出願人】(504135907)ビスカム・アーゲー (2)
【Fターム(参考)】