説明

組立式箱

【課題】
箱全体の強度を高めることができるとともに、容易に組立てることができる組立式箱の提供。
【解決手段】
底板11と、前側板16、背側板17、左側板18及び右側板19と、各連結板20,21,22,23とを備え、前側板16及び背側板17は、外側板28,31と、上縁板29,32を介して一体に形成された内側板30,33とをもってそれぞれ構成され、前内側板30及び背内側板33は、両側縁に補強板40を備え、左側板18及び右側板19を底板11に重ねて折り畳むとともに、補強板40を折り曲げて内側板30,33に重ね合わせ、仮止め手段により内側板内側面に仮止めして全体形状を平板状となし、各側板16,17,18,19を底板11に対して立ち上げるとともに、補強板40を内側板40に対して立ち上げて左側板18及び右側板19の内側に折り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に野菜や果物等の梱包に使用される組立式箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一枚の段ボール製板材を所定の形状、即ち箱を展開した状態に打ち抜き、それを折曲加工することにより、平板状の底板と、底板の四辺に折り目を介して一体に形成された前側板、背側板、左側板及び右側板とからなる箱状に組立てられる組立式箱が広く使用されている。
【0003】
しかし、このような組立式箱は、一枚の段ボール製板材から構成されているという性質上、例えば、前側板及び背側板の段目方向が縦向きである場合には、左右側板の段目方向が横向きとなるように、互いに直交配置にある側板同士で段ボールの段目の方向が異なる。
【0004】
従って、このような組立式箱を多段積みするなどして、箱に上方からの荷重が作用した場合、段目方向が縦向きの側板は十分な強度を有するが、段目方向が横向きの側板では強度が不足して座屈しやすいという問題があった。
【0005】
そこで、段目が縦向きの側板を、底板と折り目を介して連続した外側板と、外側板と一定幅を有する上縁板を介して一体に形成された内側板とをもって構成するとともに、内側板の両側縁に折り目を介して一体に形成された補強板を備え、底板に対し各側板を立ち上げて箱状に組立てた際に、前記補強板を段目が横向きの側板の内側に折り込み補強することができる組立式箱が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002−332026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の如き従来の技術では、内側板の両側縁に折り目を介して補強板を連接している構造の為、各側板を立ち上げた状態を保持しつつ、補強板を内側に折り曲げる作業を行わなくてはならない等、補強板が邪魔となって組立て難いという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、上述の従来技術の問題を鑑み、箱全体の強度を高めることができるとともに、容易に組立てることができる組立式箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、平板状の底板と、該底板の四辺に折り目を介して一体に形成された前側板、背側板、左側板及び右側板と、前記前側板と左側板の各側辺間を連結する前左側板間連結板と、前記前側板と右側板の各側辺間を連結する前右側板間連結板と、前記背側板と左側板の各側辺間を連結する背左側板間連結板と、前記背側板と右側板の各側辺間を連結する背右側板間連結板とを備え、
前記前側板及び背側板は、前記底板と折り目を介して連続された外側板と、該外側板の前記底板とは反対側の縁部に折り目又は一定幅を有する上縁板を介して一体に形成された内側板とをもってそれぞれ構成され、前記内側板を前記折り目又は上縁板の両縁部を折り目として折り曲げて前記外側板に重ね合わせ、
前記前内側板及び背内側板は、両側縁に折り目を介して一体に形成された補強板を備え、
前記各連結板は、前記底板の隅を始点とした折り目をもって隔てられた固定部と可動部とからなり、該固定部を前記前外側板及び背外側板の内側面に貼着し、
前記左側板及び右側板を前記底板に重ねて折り畳むとともに、前記補強板を折り目より折り曲げて前記内側板に重ね合わせ、仮止め手段により前記内側板内側面に仮止めして全体形状を平板状となし、前記各側板を前記底板に対して立ち上げるとともに、前記補強板を前記内側板に対して立ち上げて前記左側板及び右側板の内側に折り込むことにより箱状に組立てられるようにした組立式箱であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加え、仮止め手段は、内側板に形成された係止用孔と、該係止用孔と互いに係合する補強板に切れ目を入れることにより形成された切り起し片とをもって構成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成に加え、係止用孔は、その内側縁に係止用突起を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1の構成に加え、仮止め手段は、弱い粘着性を有する粘着材をもって構成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3又は4の構成に加え、内側板は、その折り目側又は上縁板側の隅部より先端縁側に斜めに向けた折り目を形成して該折り目より折り畳まれる逃がし片部を備え、該逃がし片部を立ち上げることにより前記仮止め手段が解除され、前記内側板に対し補強板が立ち上がるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4又は5の構成に加え、左側板及び右側板の底板とは反対側の縁部に折り目を介して一体に形成された頂板と、該頂板の両側縁に折り目を介して一体に形成された係止片とを備え、前記折り目より折り曲げて前記頂板を前後両側板の上縁部間に架け渡すとともに、前記係止片を前記前側板及び背側板の上縁部に係止させるようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5又は6の構成に加え、左側板及び右側板の底板とは反対側の縁部に折り目又は一定幅を有する上縁板を介して一体に形成された押さえ板を備え、前記折り目又は左右上縁板の両縁部を折り目として前記押さえ板を折り曲げて、該押さえ板と前記左側板又は右側板との間に補強板を挟持するようにしたことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜6又は7の構成に加え、箱を展開した形状に段ボール製板材を打ち抜き、それを折曲加工することによって形成され、前記段ボール製板材の段目を前後方向に向けて配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る組立式箱は、平板状の底板と、該底板の四辺に折り目を介して一体に形成された前側板、背側板、左側板及び右側板と、前記前側板と左側板の各側辺間を連結する前左側板間連結板と、前記前側板と右側板の各側辺間を連結する前右側板間連結板と、前記背側板と左側板の各側辺間を連結する背左側板間連結板と、前記背側板と右側板の各側辺間を連結する背右側板間連結板とを備え、
前記前側板及び背側板は、前記底板と折り目を介して連続された外側板と、該外側板の前記底板とは反対側の縁部に折り目又は一定幅を有する上縁板を介して一体に形成された内側板とをもってそれぞれ構成され、前記内側板を前記折り目又は上縁板の両縁部を折り目として折り曲げて前記外側板に重ね合わせ、
前記前内側板及び背内側板は、両側縁に折り目を介して一体に形成された補強板を備え、
前記各連結板は、前記底板の隅を始点とした折り目をもって隔てられた固定部と可動部とからなり、該固定部を前記前外側板及び背外側板の内側面に貼着し、
前記左側板及び右側板を前記底板に重ねて折り畳むとともに、前記補強板を折り目より折り曲げて前記内側板に重ね合わせ、仮止め手段により前記内側板内側面に仮止めして全体形状を平板状となし、前記各側板を前記底板に対して立ち上げるとともに、前記補強板を前記内側板に対して立ち上げて前記左側板及び右側板の内側に折り込むことにより箱状に組立てられるようにしたことによって、補強板で補強されて左右両側板の上方からの荷重に対して座屈し難くなり、箱全体の強度が増すとともに、組立ての際に補強板が邪魔にならず容易に組立てることができ、作業効率がよい。
【0017】
仮止め手段は、内側板に形成された係止用孔と、該係止用孔と互いに係合する補強板に切れ目を入れることにより形成された切り起し片とをもって構成されたことによって、補強板を内側板に容易に取り外せる状態で好適に保持させることができる。
【0018】
係止用孔は、その内側縁に係止用突起を備えたことによって、切り起し片を好適に係合させることができる。
【0019】
仮止め手段は、弱い粘着性を有する粘着材をもって構成されたことによって、補強板を内側板に容易に取り外せる状態で好適に保持させることができる。
【0020】
内側板は、その折り目側又は上縁板側の隅部より先端縁側に斜めに向けた折り目を形成して該折り目より折り畳まれる逃がし片部を備え、該逃がし片部を立ち上げることにより前記仮止め手段が解除され、前記内側板に対し補強板が立ち上がるようにしたことによって、組立ての途中、各側板を底板に対して立ち上げる際に自動的に補強板が内側板より取り外され、好適に左右両側板の内側に折り込むことができる。
【0021】
左側板及び右側板の底板とは反対側の縁部に折り目を介して一体に形成された頂板と、該頂板の両側縁に折り目を介して一体に形成された係止片とを備え、前記折り目より折り曲げて前記頂板を前後両側板の上縁部間に架け渡すとともに、前記係止片を前記前側板及び背側板の上縁部に係止させるようにしたことによって、互いに直交配置にある側板同士が外側に開く方向の力に対して補強がなされる。
【0022】
左側板及び右側板の底板とは反対側の縁部に折り目又は一定幅を有する上縁板を介して一体に形成された押さえ板を備え、前記折り目又は左右上縁板の両縁部を折り目として前記押さえ板を折り曲げて、該押さえ板と前記左側板又は右側板との間に補強板を挟持するようにしたことによって、補強板を左右両側板の内側に好適に保持することができるとともに、補強板が内側部に露出するのを防止して見栄えもよくなる。
【0023】
箱を展開した形状に段ボール製板材を打ち抜き、それを折曲加工することによって形成され、前記段ボール製板材の段目を前後方向に向けて配置したことによって、段目が横向きに配置された左右両側板の内側部に段目が縦向きの補強板が配され、好適に補強することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明に係る組立式箱に関し図1〜図6について説明する。尚、図中に示す方向をそれぞれ前背左右天底として説明する。
【0025】
図1は本発明に係る組立式箱の一例を示している。
【0026】
組立式箱10は、段目が前後方向に向けて配置された段ボール紙からなる段ボール製板材を図2に示す展開図のように打ち抜き、それを折曲加工することにより形成されている。
【0027】
この組立式箱10は、平板状の底板11と、底板11の四辺に折り目12〜15を介して一体に形成された前側板16、背側板17、左側板18及び右側板19と、前側板16と左側板18の両側辺間を連結する前左側板間連結板20と、前側板16と右側板19の両側辺間を連結する前右側板間連結板21と、背側板17と左側板18の両側辺間を連結する背左側板間連結板22と、背側板17と右側板19の両側辺間を連結する背右側板間連結板23とを備える。
【0028】
また、この組立式箱10は、左右両側板18,19の底板11とは反対側の縁部に折り目24,25を介して一体に形成され、前背両側板16,17の上縁部間に架け渡された左頂板26及び右頂板27を備えている。
【0029】
前側板16は、折り目12を介して底板11と連続した前外側板28と、前外側板28の底板11とは反対側の縁部に一定幅を有する前上縁板29を介して一体に形成された前内側板30とを備え、前内側板30を前上縁板29の両縁部を折り目として折り曲げて前外側板28に重ね合わせ、前内側板30を前外側板28の内側面に接着剤により固着させている。
【0030】
背側板17は、折り目13を介して底板11と連続した背外側板31と、背外側板31の底板11とは反対側の縁部に一定幅を有する背上縁板32を介して一体に形成された背内側板33とを備え、背内側板33を背上縁板32の両縁部を折り目として折り曲げて背外側板31に重ね合わせ、背内側板33を背外側板31の内側面に接着剤により固着させている。
【0031】
前背両内側板30,33は、上縁板29,32とは反対側の縁部に後述する係止片48を回避するための回避用凹部34,34が形成されている。
【0032】
また、前内側板30及び背内側板33には、その側縁基端側、即ち上縁板側より先端縁側に斜めに向けた折り目35,35を形成して該折り目35より折り畳まれる逃がし片部36,36を備えている。
【0033】
逃がし片部36の外側板とは反対側の縁部、即ち前背両内側板30,33の外側板とは反対側の縁部には、底板11から前外側板28又は背外側板31にかけて形成された係止孔37に係合される係止突起38が形成されている。
【0034】
また、前内側板30及び背内側板33の両側縁には、折り目39を介して補強板40が一体に形成され、その補強板40は、折目39より折り曲げて前背両内側板30,33に重ね合わされ、その状態で仮止め手段により前背両内側板30,33にそれぞれ仮止めされるようになっている。
【0035】
尚、補強板40の前記折り目部39にコ字状の切れ目を入れることにより、前背両内側板30,33に対して補強板40を立ち上げた際に、前内側板30及び背内側板33の両側縁に左右両側板18,19に形成された係止孔41に係合される係止突起42が形成されるようになっている。
【0036】
補強板40は、その縁部に底板11に形成された係止孔43に係合される係止突起44が形成されている。
【0037】
仮止め手段は、図3に示すように、逃がし片部36、即ち前背両内側板30,33に形成された係止用孔45と、補強板40の折り目39を介して係止用孔45と略対称な位置に形成された切り起し片46とをもって構成され、補強板40を折り目39より折り曲げて内側板30,33に重ねた状態で、切り起し片46を指等で内側板側に押し込み、切り起し片46を立ち上げて係止用孔45に挿入し、係合させることにより補強板40を前背両内側板30,33にそれぞれ仮止めするようになっている。
【0038】
切り起し片46は、折り目39とは反対側の部分を一部残して、補強板40に楕円形状に切れ目を入れることにより形成され、前記一部残した部分を折り目として立ち上げられるようになっている。
【0039】
一方、係止用孔45は、円形に形成され、その折り目39側の内側縁に係止用突起47aが、係止用突起47aから正負それぞれ90度変位した位置に係止用突起47b,47bがそれぞれ形成されており、係止用突起47bに対して係止用突起47aの方が大きく形成されている。
【0040】
また、この係止用孔45は、逃がし片部36を引起す際に使用する指穴としても機能するようになっている。
【0041】
前上縁板29及び背上縁板32は、一定幅を有する細長板状に形成され、前側板16又は背側板17の上縁部を構成している。
【0042】
この前背両上縁板29,32には、左右両頂板26,27の側縁に形成される係止片48が挿入される係止孔49が外側板側の折り目の内側にコ字状に切り込みを入れることにより形成され、前背両外側板28,31に対し、上縁板29,32を直角に配置することにより、係止孔49が形成されるとともに、外側板に連続したガイド片50が上縁より突出するようになっている。
【0043】
左側板18は、底板11と折り目14を介して連続して形成され、底板11とは反対側の縁部に折り目24を介して左頂板26が連続して形成されている。
【0044】
右側板19は、底板11と折り目15を介して連続して形成され、底板11とは反対側の縁部に折り目25を介して右頂板27が連続して形成されている。
【0045】
また、左側板18及び右側板19の両側縁には、前内側板30又は背内側板33の側縁に設けられた係合突起42が係合されるように係合用の係合孔41が設けられている。
【0046】
左頂板26及び右頂板27は、左右両側板18,19の上縁を構成する上縁板部と、上縁板部の両側部に一体に形成された隅部補強部とをもって構成され、その隅部補強部の側辺部に折り目を介して係止片48が一体に形成されている。
【0047】
左右両頂板26,27は、係止片48が前側板16及び背側板17の上縁、即ち前上縁板29及び背上縁板32上に形成された係止孔49に挿入されて係止されることによって、それぞれ組立式箱10の上面端部で前側板16と背側板17との間に掛け渡されて固定される。
【0048】
この係止片48は、上縁板より上方に突出したガイド片50に規制され、好適に係止孔49に挿入できるようになっている。
【0049】
また、上縁板部の折り目とは反対側の縁部には、折り目51を介して押さえ板52が一体に形成され、この押さえ板52の折り目51とは反対側の縁部には、底板11に形成された係止孔53に係合される係止突起54が形成されている。そして、組立てられた際には、左右両側板18,19と押さえ板52との間に補強板40,40が挟持されるようになっている。
【0050】
前左側板間連結板20、前右側板間連結板21、背左側板間連結板22及び背右側板間連結板23は、それぞれ底板11の四隅を始点とした折り目55により隔てられた固定部56と可動部57とをもって構成され、固定部56は、接着剤をもって前外側板28及び背外側板31の内面に接着されるようになっている。
【0051】
また、組み立てられた際に、各連結板20,21,22,23の固定部56と可動部57とが重なり合った部分が内側板により押さえられるようになっている。
【0052】
次に、上述した組立式箱10の組立方法を説明する。
【0053】
まず、図4(a)〜(b)に示すように、左右両側板18,19を折り目14,15より内側、即ち底板11側に折り曲げ、左右両側板18,19の底板11とは反対側の縁部より連接された左右両頂板26,27及び押さえ板52,52とともに底板11に重ねて折り畳む。そして、そのとき一緒に折られる各連結板20,21,22,23の固定部56を前外側板28及び背外側板31の重なり合った部分に接着剤等によって貼着させる。
【0054】
このように各連結板20,21,22,23の固定部56を前外側板28及び背外側板31の重なり合った部分に貼着させたことにより、前側板16及び背側板17を立ち上げると貼着された各連結板20,21,22,23に連動して左右両側板18,19も立ち上がるようになっている。
【0055】
次に、図4(b)〜(c)に示すように、前背両内側板30,33を上縁板29,32の両縁部を折り目として内側に折り曲げ、前背両外側板28,31に重ね合わせ、重なり合った内側板30,33を外側板28,31の内側面に貼着させ、前背両側板16,17を形成する。
【0056】
このとき、前内側板30及び背内側板33に形成された回避用凹部34により、左右両頂板26,27の側縁に形成された係止片48は、内側板30,33により押さえ込まれないようになっている。
【0057】
また、前背両内側板30,33を上縁板29,32を介して折り曲げることにより、前背両上縁板29,32よりガイド片50が立ち上がるとともに、係止孔49が形成される。
【0058】
そして、図4(c)〜(d)に示すように、各補強板40を折り目39より折り曲げて前背両内側板30,33にそれぞれ重ね合わせ、仮止め手段、即ち、補強板40の切り起し片46を前背両内側板30,33の係止用孔45に係合させて補強板40を前背両内側板30,33に仮止めする。
【0059】
これで一次組立が終了し、組立中間部材60が形成され、この状態で、運搬や保管等を行えば、平板状であるので重ねても嵩張らず効率がよい。
【0060】
次に、この組立中間部材60を図4(d)〜図5(e)に示すように、左右両頂板26,27及び押さえ板52,25がそれぞれ一体に形成された左側板18及び右側板19を立ち上げると、各連結板20,21,22,23が連動して、前側板16及び背側板17も立ち上がる。このとき逃がし片部36が立ち上がることにより、各連結板20,21,22,23が前背両内側板30,33に邪魔されずに好適に作動する。
【0061】
また、補強板40が折り目35を跨いで配置されているので、折り目35より折曲がり内側板30,33に対して逃がし片部36が立ち上がると、図6に示すように、逃がし片部36と補強板40との間が離間し、それにより仮止め手段が自動的に解除され、即ち、補強板40の切り起し片46が逃がし片部36の係止用孔45より外れ、補強板40が前背両内側板30,33より離脱して段ボール板材の弾性力により立ち上がるようになっている。
【0062】
そして、図5(e)〜(f)に示すように、各側板16,17,18,19を底板11に対して立ち上げ、逃がし片部36を元に戻して、前内側板30及び背内側板33の係合突起を底板11、左側板18及び右側板19の各係止孔に係合させ、各連結板20,21,22,23の固定部56と可動部57とが重なり合った部分を、前外側板28と前内側板30との間、或いは背外側板31と背内側板33との間で挟持する。
【0063】
また、各側板16,17,18,19を底板11に対し立ち上げることにより、各補強板40,40…が左右両側板18,19の内側に自動的に配置される。
【0064】
最後に、図5(f)〜(g)に示すように、折り目24,25より左右両頂板26,27を内側へ折り曲げ、両側縁の係止片48をガイド片50にガイドさせながら係止孔49に挿入して係合させ、更に、図5(g)〜(h)に示すように、押さえ板52,52を折り目51より内側に折り曲げ、係止突起54を係止孔53に係合させ、左右両側板18,19と押さえ板52との間に補強板40を挟持する。
【0065】
これで、組立式箱10の組立てが完了する。
【0066】
この組立式箱10を分解する際には、押さえ板52を底板11より取り外すとともに、左右両頂板26,27の係止片48を上縁板より取り外し、逃がし片部36を立ち上げ、そのまま前側板16及び背側板17を寝かせると、各連結板20,21,22,23に連動して左側板18及び右側板19も底板11に重ねて折り畳んだ状態となり、その状態で、補強板40を仮止め手段により前背両内側板30,33にそれぞれ仮止めすることによって、一次組立が終了したときと同じ状態になる。
【0067】
尚、上述の実施例では、仮止め手段を円形の係止用孔45と、楕円形の切り起し片46とをもって構成した例について説明したが、仮止め手段を、図7に示すように、折り目39側に頂点が配置された三角形状の係止用孔65と、台形状の切り起し片66とをもって構成してもよい。尚、上述の実施例と同一の部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0068】
この係止用孔65と切り起し片66とは、折り目39より補強板40を折曲げ、内側板30,33に重ね合わせた際に、係止用孔65の三角形の底辺部と切り起し片66の台形の底辺部とが略同じ位置に配置されるように、折り目39を介して略対称な位置に形成されている。
【0069】
切り起し片66は、底辺部に支持部66aが一体に形成され、支持部66aの一部を残して切れ目を入れることにより補強板40より立ち上げ可能に形成されている。
【0070】
支持部66aは、残された部分側が狭いテーパ状に形成されている。
【0071】
このように構成された仮止め手段は、折り目39より折り曲げて補強板40を内側板30,33に重ね合わせた際に、係止用孔65の三角形の底辺部と切り起し片66の台形の底辺部とが略同じ位置に配置され、その位置で指等により切り起し片66を内側板側に押し込むことにより、支持部66aを介して台形状の切り起し片66が立ち上がり、三角形の係止用孔65に嵌り込んで仮止めされるようになっている。
【0072】
また、図6に示す場合と同様に、内側板30,33、即ち逃がし片部36に補強板40を仮止めした状態から、逃がし片部36を立ち上げると、逃がし片部36と補強板40との間には互いに離間する方向に力が作用し、支持部66aの根元部分、即ち逃がし片部36と切り起し片66とを連結している部分にねじれが生じ、それにより切り起し片66が補強板40よりねじり切られて仮止めが解除されるようになっている。
【0073】
また、上述の実施例では、仮止め手段を係止用孔と切り起し片をもって構成した例について説明したが、仮止め手段は、内側板又は補強板の互いに向い合う面の一方又は両方に粘着性の弱い粘着テープ等の粘着材を貼り付けておくことにより構成してもよく、その他、一定の保持力を有する一方、所定の力で容易に取り外し可能な状態に仮止めできるものであればよい。
【0074】
尚、上述の実施例では、押さえ板52を設け、補強板40を左右側板18,19と押さえ板52との間に挟持するようにした例について説明したが、押さえ板52は設けずともよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る組立式箱の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の組立式箱の展開図である。
【図3】同上の仮止め手段の一例を示す部分拡大斜視図である。
【図4】同上の組立式箱の中間組立工程の状態を示す斜視図である。
【図5】同上の組立式箱の製箱工程の状態を示す斜視図である。
【図6】同上の組立式箱の逃がし片部を立ち上げた状態を示す部分拡大図である。
【図7】同上の仮止め手段の他の一例を示す部分拡大平面図である。
【符号の説明】
【0076】
10 組立式箱
11 底板
12〜15 折り目
16 前側板
17 背側板
18 左側板
19 右側板
20 前左側板間連結板
21 前右側板間連結板
22 背左側板間連結板
23 背右側板間連結板
24,25 折り目
26 左頂板
27 右頂板
28 前外側板
29 前上縁板
30 前内側板
31 背外側板
32 背上縁板
33 背内側板
34 回避用凹部
35 折り目
36 逃がし片部
37 係止孔
38 係止突起
39 折り目
40 補強板
41 係止孔
42 係止突起
43 係止孔
44 係止突起
45 係止用孔
46 切り起し片
47 係止用突起
48 係止片
49 係止孔
50 ガイド片
51 折り目
52 押さえ板
53 係止孔
54 係止突起
55 折り目
56 固定部
57 可動部
60 組立中間部材
65 係止用孔
66 切り起し片
66a 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の底板と、該底板の四辺に折り目を介して一体に形成された前側板、背側板、左側板及び右側板と、前記前側板と左側板の各側辺間を連結する前左側板間連結板と、前記前側板と右側板の各側辺間を連結する前右側板間連結板と、前記背側板と左側板の各側辺間を連結する背左側板間連結板と、前記背側板と右側板の各側辺間を連結する背右側板間連結板とを備え、
前記前側板及び背側板は、前記底板と折り目を介して連続された外側板と、該外側板の前記底板とは反対側の縁部に折り目又は一定幅を有する上縁板を介して一体に形成された内側板とをもってそれぞれ構成され、前記内側板を前記折り目又は上縁板の両縁部を折り目として折り曲げて前記外側板に重ね合わせ、
前記前内側板及び背内側板は、両側縁に折り目を介して一体に形成された補強板を備え、
前記各連結板は、前記底板の隅を始点とした折り目をもって隔てられた固定部と可動部とからなり、該固定部を前記前外側板及び背外側板の内側面に貼着し、
前記左側板及び右側板を前記底板に重ねて折り畳むとともに、前記補強板を折り目より折り曲げて前記内側板に重ね合わせ、仮止め手段により前記内側板内側面に仮止めして全体形状を平板状となし、前記各側板を前記底板に対して立ち上げるとともに、前記補強板を前記内側板に対して立ち上げて前記左側板及び右側板の内側に折り込むことにより箱状に組立てられるようにしたことを特徴としてなる組立式箱。
【請求項2】
仮止め手段は、内側板に形成された係止用孔と、該係止用孔と互いに係合する補強板に切れ目を入れることにより形成された切り起し片とをもって構成された請求項1に記載の組立式箱。
【請求項3】
係止用孔は、その内側縁に係止用突起を備えた請求項2に記載の組立式箱。
【請求項4】
仮止め手段は、弱い粘着性を有する粘着材をもって構成された請求項1に記載の組立式箱。
【請求項5】
内側板は、その折り目側又は上縁板側の隅部より先端縁側に斜めに向けた折り目を形成して該折り目より折り畳まれる逃がし片部を備え、該逃がし片部を立ち上げることにより前記仮止め手段が解除され、前記内側板に対し補強板が立ち上がるようにした請求項1〜3又は4に記載の組立式箱。
【請求項6】
左側板及び右側板の底板とは反対側の縁部に折り目を介して一体に形成された頂板と、該頂板の両側縁に折り目を介して一体に形成された係止片とを備え、前記折り目より折り曲げて前記頂板を前後両側板の上縁部間に架け渡すとともに、前記係止片を前記前側板及び背側板の上縁部に係止させるようにした請求項1〜4又は5に記載の組立式箱。
【請求項7】
左側板及び右側板の底板とは反対側の縁部に折り目又は一定幅を有する上縁板を介して一体に形成された押さえ板を備え、前記折り目又は左右上縁板の両縁部を折り目として前記押さえ板を折り曲げて、該押さえ板と前記左側板又は右側板との間に補強板を挟持するようにした請求項1〜5又は6に記載の組立式箱。
【請求項8】
箱を展開した形状に段ボール製板材を打ち抜き、それを折曲加工することによって形成され、前記段ボール製板材の段目を前後方向に向けて配置した請求項1〜6又は7に記載の組立式箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−103738(P2006−103738A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291701(P2004−291701)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(395019889)中越テック株式会社 (14)
【出願人】(000201641)全国農業協同組合連合会 (69)
【Fターム(参考)】