説明

組立式野外用こん炉

【課題】分解組立が容易であり、コンパクトで携帯に便利であり、かつ熱変形が生じにくく耐久性に勝れた野外用こん炉を提供する。
【解決手段】本発明の野外こん炉1は、支持板部3、台箱4、炉枠板部5に加え、支持板部3の取付けが可能で灰が地表面へ直接落下することを防止する台座板2をさらに含む。炉枠板部5は、一対の受炉枠板51のスリット55に一対の差炉枠板52を差し込んで組立てられ、下方から上方に向けて拡開する角錐状に形成される。各要素の取付け部分では一方の要素が他方の要素の移動を拘束するよう構成され、これにより各要素の熱変形が阻止される。燃料保持部6、調整板7を追加して取付け可能であり、この取付けによって野外用こん炉1の熱変形がより効果的に阻止される。分解時、台箱4と台座板2のいずれか一方が容器、他方が蓋となり、その他の要素がこれらの内部に一括収納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式の簡易野外用こん炉に関する。より具体的に、本発明はキャンプ地等の野外での使用に適した、分解組立が容易でコンパクトに収納可能な野外用こん炉に関する。
【背景技術】
【0002】
キャンプ地等で使用される野外用こん炉は、こん炉としての機能が十分に果たせるものであることが大前提となるが、さらに分解、組立が容易であり、分解した後の収納が容易で収納姿がコンパクトであり、携帯用に適したものであることが要求される。加えて昨今では環境に優しいものである点も重要であり、具体的には使用するキャンプ地における環境保護のほか、耐久性があって長期間の繰り返し使用に耐え、資源の有効利用が図れるものであることが望まれている。
【0003】
従来技術においても各種の組立式野外用こん炉が知られているが、中でも、枯れ木などを集めて燃料にする野外用携帯こん炉が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。当該文献に開示された携帯こん炉によれば、最下段に板材を十字状に組んだ風受板が設けられ、その上に燃料を載置する載置具が置かれ、さらにその上に角錐台型の風防筒が乗せられている。載置具の開口部にメッシュ体が張られており、風受板からメッシュ体を通過する空気が枯れ木などの燃料を燃やし、その火気が風防筒を通って上昇して上部に載せられる鍋、やかんなどの調理容器を加熱する。調理容器を支えるため、風防体の上には薄板をクロスさせた載板がさらに載せられている。
【0004】
上記構成によれば、燃料が載置される載置板のメッシュ体が極めて密に編成されているため、燃焼によって生ずる灰などがほとんど下方へ落下しないとされる。また、燃焼後の火気を上方へ伝達させる角錐台型の風防筒は、上方に向うにしたがって縮小するよう傾斜しており、これによって枯れ木などの燃焼による弱い火力を集中させて効率的に火力を利用するよう構成されている。
【特許文献1】特開平10−127498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術に開示された野外用携帯こん炉には改善の余地があった。まず、枯れ木などの燃料を載置する載置板のメッシュ体は、たとえ密に編成されているとしてもやはり燃焼後の灰がメッシュ体を通過して落下することは避けられない。載置板の下には薄板を十字状に組んで地面に垂直に立ち上がる風受板しかなく、メッシュ体から落下した灰は地表面に直接落下することになる。これは環境保護上、好ましいことではない。昨今ではこのような灰などの廃棄物を直接地表面に落下させることを禁止する動きも出ている。こん炉の下に別途鉄板などを敷くことはできるものの、携帯用こん炉単体でこのような対応がされていないのは不便である。また、灰の落下を防止するためにメッシュ体を密にし過ぎると、今度はメッシュ体に灰が詰まって酸素の供給が不十分となり、燃焼に支障を及ぼすことからその程度にも限界がある。
【0006】
また、火気を上方に導く四辺で形成された角錐台型の風防筒は、組立後の収納を考えて対向する二辺の中央、および隣接する四辺の突合せ部に蝶番が設けられ、前記対向する二辺をV字状に畳んで平たく収納するよう構成されている。かかる構造とした場合、可燃物の燃焼により汚れる内部を洗浄することが極めて困難となる。筒状のものを保持しつつその内面を洗浄する必要があり、しかも燃焼に伴う強固な汚れを落とす必要もあることから、十分な洗浄ができないという問題があった。また、火力の関係で角錐台型が上方に縮小するよう構成されていることから、加熱範囲が制限され、例えば網を使用する焼肉など、調理容器以外の加熱は極端に制約されていた。上方に縮小する構成は、燃焼による汚れが付着し易いという問題もあった。また、蝶番が設けられているために構造が複雑となり、製造にも手間を要するものとなっていた。
【0007】
加えて、そしてより重要な問題として、従来技術による携帯こん炉は耐久性が不十分なことであった。こん炉はほとんどの構成要素が高熱にさらされるため、鉄、ステンレスなどの金属材料を利用せざるを得ないが、携帯用として構成するには各要素の板厚などを薄くして重量を軽減する必要に迫られる。しかしながら、逆に板厚が薄くなると高熱によって構成部品は変形することが避けられない。数回の使用によってこの変形が一定限度を越えると、使用後にこん炉を分解してもうまく畳むことができなくなり、所定の収納ができないものとなる。従来技術による携帯こん炉は、このために僅かの使用回数で廃棄せざるを得ないものとなり、これがキャンプ地などで大量に廃却されるなどの問題が生じている。またこのような事態は、資源の無駄を生じさせてもいた。
【0008】
以上より、本願発明は上述したような従来技術にある問題点を解消し、分解組立が容易であり、コンパクトで携帯にも適し、かつ熱変形が生じにくく耐久性に勝れた野外用こん炉を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、野外用こん炉組立体自身に台座となる要素を含めて灰の直接地表面への落下を防止し、また各構成要素を相互に拘束し合うガッチリとした構造とし、組立後のこん炉の剛性を高めることにより上述した問題を解消するもので、具体的には以下の内容を含む。
【0010】
すなわち、本発明にかかる1つの態様は、全体を下支えする支持板部と、前記支持板部の上に取付けられる中央部にメッシュ体を備えた台箱と、前記台箱の上に取付けられる炉枠板部とから構成される分解・組立可能な携帯式の野外用こん炉であって、前記支持板部の下方に配置されて前記支持板部を取付け、こん炉使用時に生じる灰を受けて灰の地表面への直接落下を防止し、かつ地表面への熱影響を遮蔽する台座板をさらに含むことを特徴とする野外用こん炉に関する。
【0011】
前記野外用こん炉の分解・収納時、前記台箱と前記台座板のいずれか一方を容器、いずれか他方を蓋として利用し、その他の要素をこれらの内部に一括収納するよう構成することができる。具体例としては、前記台座板の矩形状の一対の対向する辺に、当該台座板の平面から直角に立ち上がる高さ部と、前記高さ部からさらに直角に曲がって相互に対向する方向に前記平面と平行に延びるレール部とを設け、前記レール部内に前記台箱(40)を引き出し状に差し込み可能とし、前記その他の要素を前記台箱内に積み重ねて一括収納するよう構成することができる。
【0012】
前記支持板部は、左右幅方向中間で相互にX字状に差し込まれるよう高さ方向の半分の長さまで延びるよう設けられたスリットをそれぞれ反対方向に有する一対の支持板から構成することができる。前記各支持板には、左右両端部の下方から前記台座板の高さ部に対応した高さで水平方向に設けられた横スリットを設け、こん炉組立時に、当該横スリットに前記台座板のレール部を差し込んで前記支持板部を前記台座板に取り付け、両者が相互に相手側を拘束して熱変形を阻止するよう構成することができる。
【0013】
前記レール部の長さ方向に幅狭となるくびれ部を設け、前記支持板部を当該くびれ部内においてX字状となるよう前記台座板に取付けることができる。これによって前記支持板部は、前記レール部の長さ方向への移動を阻止することができる。あるいは前記台座板の各高さ部に所定の間隙を設けた一対の穴を設け、この穴内に前記水平方向に設けられた横スリットの下側を差し込むことで、前記支持板部による前記レール部の長さ方向への移動を阻止してもよい。
【0014】
前記各支持板には左右両端部の上端に相互に対向する方向に延びるL字状に曲った保持フックを設け、こん炉組立時には前記台箱を、X字状に差し込まれた一対の支持板によって形成される4つの前記保持フックで囲まれる空間に貫通するよう水平方向に差し込んで取り付けることができる。これにより、こん炉使用時に支持板部と台箱とが相互に相手側を拘束して熱変形を阻止することができる。
【0015】
前記炉枠板部は、4枚の炉枠板によって下方から上方に向けて拡開する角錐台状に形成することができる。前記4枚の炉枠板は、左右両端部近傍にスリットを設けた一対の受炉枠板と、左右両端部に前記受炉枠板のスリット内に差し込まれる差込タブを設けた一対の差炉枠板とから構成することができる。前記各差炉枠板の差込タブは、前記スリット内に差込まれた状態で、差込み方向の外側で前記受炉枠板を背後から拘束して熱変形を阻止する突出部を有することができる。前記差炉枠板は、前記受炉枠板に設けられた他のスリットに差し込まれ、前記受炉枠板を背後から拘束して熱変形を阻止する固定フックをさらに有していてもよい。
【0016】
前記各支持板の保持フックの先端は、前記支持板部が前記台箱を保持した状態で該台箱に差し込まれた前記受炉枠板の外面に当接するよう形成することができる。かかる構成によって、こん炉組立時に前記先端が前記受炉枠板を所定の傾斜状態に維持して炉枠板部の組立てを容易にし、こん炉使用時に前記突出部先端が前記受炉枠板を背後から拘束して受炉枠板の熱変形を阻止するという効果を奏する。
【0017】
前記各炉枠板の下方端には、前記台箱に設けられたスリットに差し込まれる取付け用のタブが設けられ、少なくとも一部の当該タブは前記台箱の前記スリットに差し込まれた状態で差し込み方向の外側で前記支持板の表面に当接して当該支持板を拘束し、熱変形を阻止することができる。
【0018】
前記野外用こん炉はさらに、前記炉枠板部の内部に取付けられる燃料保持部、または炉枠板部を二重構造とする第2の炉枠板部、または四辺形状の炉枠板部の上方各コーナ部に取付けられる調整板のいずれかを含むことができる。
【0019】
前記燃料保持部は、一対の支持棒と、前記支持棒の中央部分に固定されたネット体とから構成することができる。前記炉枠板部のいずれか一方の対向する一対の炉枠板には前記支持棒を差し込むための幅狭部を備えた鍵状穴を設け、一方、前記一対の支持棒の各先端部には前記鍵状穴の幅狭部に差し込まれる縮径溝を設け、前記支持棒の縮径溝を前記鍵状穴の幅狭部に差し込むことによって、前記燃料保持部を前記対向する一対の炉枠板に取り付けることができる。これにより、前記支持棒は前記対向する一対の炉枠板を拘束し、前記炉枠板の熱変形を阻止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施により、野外レジャーにも手軽に利用することができ、かつコンパクトに収納でき、携帯に便利な野外こん炉を提供することができる。また、キャンピング場に対しては、環境保全に一層貢献することができる野外用こん炉を提供するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態にかかる野外用こん炉(以下、単に「こん炉」とも言う。)について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態にかかる野外用こん炉の概要を示しており、図2、図3はその構成要素を個別に示している。図1において、本実施の形態にかかるこん炉1は、下から順に台座板20と、台座板20に載置されてこん炉1全体を支える支持板部30と、支持板部30の上に固定される台箱40と、台箱40の上に組み立てられる炉枠板部50とから主に構成されている。図1にはさらに、オプションとして燃料保持部60と、網などを載置可能な調整板70とを表示している。ここで、本明細書では、こん炉1の地表面に向かう方向を下方、反対に被加熱物が載置される方向を上方、またこれらに直交する方向を横又は左右方向と呼ぶものとする。
【0022】
台座板20は、図2(a)に示すように、略矩形状の板材を加工して作られている。矩形状の一対の対向する辺が当該台座板20の平面から直角に立ち上がって高さ部21を形成し、さらに高さ部21から直角に曲げられて相互に対向する方向に前記平面と平行に延びるコの字状となったレール部22を形成している。レール部22の長さ方向中央部分にはくびれ部(幅狭部)23が設けられ、後述する支持板部30の取り付けを可能にしている。本実施の形態にかかる台座板20は、1mm厚のステンレス鋼板を用いている。該板厚は、重量軽減の観点からできるだけ薄いことが望ましいが、強度や熱変形などを考慮した場合には自ずから限界がある。これは、以下に記す各構成要素についても同様である。
【0023】
図2(b)は、支持板部30を構成する受支持板31と差支持板32を示している。この両者は基本的に同様な形状であるが、組み付けるための縦スリット33が相互に逆方向に高さの半分の長さまで延びるよう設けられ、両支持板31、32の差込みを可能にしている。縦スリット33、33を利用した差込みにより、X次状にクロスした支持板部30が完成する。各支持板31、32の左右方向両端には、下方に台座板20のレール部22が差し込まれる横スリット34が、同上方には後述する台箱40を差し込む保持フック35がそれぞれ設けられている。
【0024】
図2(c)は、炭などの燃料を載置し、また上方に位置する炉枠板部50を取付ける台箱40を示す。台箱40は、板材の周囲4辺を同一方向に直角に折り曲げ、折り曲げられた端部を溶接することによって全体が箱状に形成されている。この形状は、自らの熱変形を防止し、取付けられる他の構成要素を支持してこれらの熱変形を阻止すると共に、分解後に各構成要素を収納するために有効である。加えて、台箱40は上方で鍋、やかんなどの重量物を支持することもあり、本実施の形態では相対的に厚い2mm厚のステンレス鋼で作られている。
【0025】
台箱40の中央部は開口しており、ここに図示のように平板にメッシュを取付けたメッシュ体41がスポット溶接などの手段で固定されている。炭などの燃料をこのメッシュ体41上に載置して燃やすことができ、また、下方から導入される空気を通過させると共に、燃焼後に出る灰を受ける機能も果たす。しかしながら、本実施の形態にかかる野外用こん炉1では、図1に示すようにその下方にさらに台座板20を備えており、落下する灰を台座板20が受けるため、従来技術のようにメッシュ体41を極端に密なものとする必要はない。なお、図面ではメッシュ体が網状に表示されているが、板材に縦横マトリックス状に多数の穴を穿けたパンチングメタルなどの使用も可能である。
【0026】
台箱40にはさらに、後に取り付けられる炉枠板部50の下方に設けられた固定リブを受け入れる保持スリット42が本実施の形態では合計6箇所設けられ、炉枠板部50の保持を可能にしている。
【0027】
次に図3(a)は、こん炉の燃焼室を囲う炉枠板部50を構成する受炉枠板51、図3(b)は同じく差炉枠板52の両炉枠板を示している。本実施の形態では、いずれの炉枠板51、52も1.2mm厚のステンレス鋼板で作られており、加熱枠(開口部)に当る上方の縁部には曲げ加工部53が設けられ、怪我などに対する安全性を確保すると共に自身の熱変形に対抗する剛性を高めている。図3(a)に示す受炉枠板51には、下方に台箱40の保持スリット42に差し込むための固定リブ54が2つ設けられ、また、後に差し込まれる差炉枠板52取付のための傾斜スリット55(55a、55b)が左右両側に設けられている。さらに、中央付近には丸穴と幅狭部とからなる鍵状穴56が一対明けられており、これは後に示すオプションの燃料保持部60を固定するために用いられる。
【0028】
図3(b)に示す差炉枠板52は、左右両端に差込タブ57が設けられ、当該差込タブ57は受炉枠板51に設けられた傾斜スリット55aに差し込まれる。この差し込まれた状態で、差込タブ57の下端に設けられた突出部58が差し込み方向の背後(炉の外側)から受炉枠板51を拘束することができ、受炉枠板51の熱変形を阻止する作用をする。同様に、差炉枠板52の左右両端上方に設けられた固定フック59が受炉枠板51のもう一つの傾斜スリット55bに差込まれ、受炉枠板51を背後(同上)から拘束する。本実施の形態にかかる差炉枠板52の下方端には、台箱4の保持スリット42に差し込まれる固定リブ54が1つ設けられている。固定リブ54の数を受炉枠板52と同様に2つとすることも可能であるが、両者間で数を変えることにより誤組付けを回避するメリットが生まれる。加熱枠(開口部)に当る上方の縁部に曲げ加工部53が設けられているのは、受炉枠板51と同様である。なお、図示の例では中部下方に貫通穴が明けられており、炉内への補助空気の導入を可能にしている。
【0029】
受炉枠板51と差炉枠板52とはそれぞれ一対ずつ使用され、組立ての際には当該一対ずつが対向して上方に向けて拡開する角錐台型の炉本体部を形成し、各上方の縁に設けられた曲げ加工部53が四辺形状のこん炉の加熱枠を構成する。
【0030】
図3(c)は、オプションとなる、一対の支持棒61と支持棒61の上に固定されたネット体62とから構成される燃料保持部60を示している。各支持棒61の先端部には、縮径した溝部63が設けられ、この溝部63が一対の受炉枠板51の鍵状穴56にそれぞれ差し込まれることによって、燃料保持部60を炉枠板部50で囲む炉本体部が構成される。
【0031】
図3(d)は、同じくオプションとなる調整板70を示している。調整板70は、図1の最上部に示すように炉枠板部50の各コーナ部に計4つ取り付けることができる。図3(d)に示すように、調整板70は長手方向の中央軸を対称にして長目スリット71と短目スリット72を有しており、各スリット71、72は上述した炉枠板部50の各コーナ部にて接する受炉枠板51と差炉枠板52とに差し込んで取付け可能である。計4つの調整板70を取付けることにより、両炉枠板51、52を把持して拘束する効果が生じ、また野外用こん炉1を使用して焼肉などをする際の網受けとも使用することができる。網の高さは、スリット71、72のいずれの方向を炉枠板部50に差し込むかによって調整することができる。
【0032】
次に、以上のように構成された本実施の形態にかかる野外用こん炉1の組立て動作を、図4〜図9を参照して説明する。まず図4において、両支持板31、32の縦スリット33同士を差し込んでX字状の支持板部30を作り、これを台座板20に取付ける。この際、支持板部30全体を台座板20のレール部22に設けられたくびれ部23を介して嵌め込み、両支持板31、32の下方に設けられた横スリット34内にレール部22を差し込んで固定する。これにより支持板部30の上下方向の動きが拘束され、かつ水平方向の動きはくびれ部23の長さ方向端部により拘束される。この拘束は、台座板20が支持板部30の熱変形を阻止すると同時に、支持板30が台座板20の熱変形をも阻止する効果を果たす。
【0033】
なお、図示はしていないが、支持板部30の水平方向の動きを規制するには以下の代替策が考えられる。一つは、台座板20の高さ部21に、長さ方向に間隔を設けた一対の穴を穿ける。両支持板51、52がレール部22に差し込まれた際、両支持板51、52の横スリット34の下側に位置する端部がこの高さ部21に設けられた穴にはまることによって支持板部30の動きを規制することができる。他の方策は、レール部22の長さ方向の一端側にレール部22の空隙(コの字状となった内側)を閉鎖するストッパ部材を溶接などにより固定する。ストッパ部材としては、板材、棒材などが利用可能である。支持板部30をレール部22に差込み、スライド移動させてその先端をレール部22の一端側にあるこのストッパ部材に当接させることにより、支持板部30の水平方向の動きを規制することができる。
【0034】
続いて図5において、両支持板31、32の上方にある4箇所の保持フック35に囲まれて作られる仮想空間に対し、破線矢印に示すように台箱40を水平方向にスライドさせて差込んで固定する。台箱40は4箇所の保持フック35により上下方向が拘束されるため、これによって熱変形が阻止される。同時に、保持フック35を介して支持板部30の熱変形が台箱40により阻止される。
【0035】
次に図6において、炉枠板部50の内の一対の受炉枠板51を、下方にある固定リブ54を台箱40に設けられた保持スリット42内に差し込むことにより、台箱40に取付ける。この状態で図の左側に位置する受炉枠板51で示すように、受炉枠板51の外面に支持板部30にある保持フック35の先端が背後から当接し、受炉枠板31がこれによって傾斜した状態で仮保持される。受炉枠板51の固定リブ54が台箱40の保持スリット42に単に差し込まれただけであれば、受炉枠板51は不安定のままで倒れる恐れがある。保持フック35が外面から当接して受炉枠板51を背後から支えるために受炉枠板51は自立可能となる。これは後の差炉枠板52を差し込む動作を極めて容易にする。極端には、保持フック35による当接支持がなければ、4枚の炉枠板51、52を一人で組み付けるのに難渋することになり得る。このように、本願発明では保持フック35を巧みに利用することで組立性を大幅に改善している。
【0036】
加えて、図面には示されていないが、一対の受炉枠板51にある計4つの固定リブ54は、台箱40の保持スリット42を貫通したあと下方に突出し、固定リブ54の先端が台箱40の裏側で支持板部30の両支持板31、32の表面に当接している。これにより、両支持板31、32の動きが拘束されてその熱変形が阻止されるほか、受炉枠板51自身の保持姿勢も保たれるものとなる。
【0037】
続いて図7において、炉枠板部の内の残りの一対の差炉枠板52(図では左側の1枚のみを表示)を、下方に設けられた固定リブ54(図3b参照)を台箱40に設けられた保持スリット42(図6参照)に差し込むと共に、受炉枠板51に設けられた傾斜スリット55a内に両側にある差込タブ57を差し込むことにより取付ける。この際同時に、差炉枠板52の上方両端にある固定フック59が受炉枠板51のもう一つの傾斜スリット55bに差込まれる。差込タブ57の下方に延びる突出部58と前記固定フック59が受炉枠板51の背後(炉の外側)から受炉枠板51を拘束し、熱変形を阻止する。また。傾斜スリット55a、55bに差込タブ57、固定フック59が差し込まれることによって差炉枠板52自身も拘束され、熱変形が阻止される。なお、図7では差炉枠板52の手前側の一枚を表示していないが、同様にして台箱40及び受炉枠板51に差し込まれて取付けられる。差炉枠板52にも2つの固定リブ54を設ける形式とした場合には、受炉枠板51と同様に当該固定リブ54によって支持板部30の熱変形を阻止する効果が得られる。
【0038】
次に、オプションとなる燃料保持部60が、その一対の支持棒61の先端を両受炉枠板51に設けられた鍵状穴56に差し込むことによって炉枠板51、52に囲まれた燃焼室内に固定される。一対の受炉枠板51が上方に拡開するよう傾斜しているため、支持棒61の差込みは容易である。かつ、取り付け穴が鍵状穴56となっているため、一旦差し込まれた支持棒61の端部にある溝部63(図3c参照)が鍵状穴56の幅狭部分に落ち込むことにより、受炉枠板51の板厚方向の移動が拘束され、これによって熱変形が阻止される。最後に、図7には示されていないが、もう一つのオプションである調整板70が、炉枠板部5により形成された四辺形形状の加熱枠の各コーナ部4個所に差し込まれ、組立が完成する。
【0039】
以上のようにして組立てられた本実施の形態にかかる野外用こん炉1の全体像を図1に、正面から見た部分透視図を図8に示している。特に図8において、野外用こん炉1の使用時、まず丸めた新聞紙等を燃料保持部60の上に置き、その上に炭などの燃料65を置く。着火に際して丸めた紙類を燃料65の下に配置することが火の着きを容易にすることなどは、通常のこん炉取扱いと不変である。一旦燃料65に火が点くと、風向きがどのようであってもX字状の支持板部30によって区画されたいずれかの領域で遮られた空気の流れが矢印で示すように台箱40のメッシュ体41を通過して上方に導かれ、燃料保持部60を通過して燃料65に酸素を供給する。オプションである燃料保持部60を使用することが、燃料65と台箱40との間に十分な空隙を設けて空気の円滑な導入が可能となるために好ましくはあるが、燃料保持部60を使用することなく、可燃物を台箱40のメッシュ部41に直接置いて燃やしてもよい。
【0040】
可燃物が燃焼することによって炉枠板部50内に火気が充満し、炉枠板部50の上端に形成される四辺形の加熱枠に導かれる。本発明にかかる野外用こん炉1は炉枠板部50が上へ向けて拡開する角錐台型構造となっているため、広い面積で火力を利用することができ、鍋、やかん類の加熱のほか、焼肉、焼き魚などに使用するにも適している。図8に示すように、調節板70を炉枠板部50のコーナ部4箇所に差し込むことにより、熱源から被加熱物までの高さ、利用面積を調節することができ、調整板70には焼き網80などを乗せることができる。調節板70は、炉枠板部50を構成する受炉枠板51、差炉枠板52の相互連結関係を強固に保持する役割も果すことは上述の通りである。
【0041】
炭等の可燃物が燃焼することによって発生する灰は、ほとんどのものが燃料保持部60を通過し、まず台箱40に落下する。台箱40に設けられた通気用のメッシュ体41は比較的密に構成されているため、一部の灰はここで保持される。しかしながら、残りの灰はこのメッシュ体41も通過し、最終的には台座板20まで落下する。いずれにせよ本願発明にかかる野外用こん炉1では、台座板20が存在することによって、燃焼後に排出される灰が直接地表面まで落下することはない。これにより、単に地表面の汚れが回避されるばかりでなく、地表面への熱影響を遮蔽するなど総合的な環境保護に貢献するものとなる。
【0042】
野外用こん炉1の使用時には、炭等可燃物の燃焼によって周囲を囲む炉枠板部50、台箱40、さらには支持板部30、台座板20に至るまで高熱にさらされる。本実施の形態にかかる野外用こん炉1では、これまで述べてきたように各部材間が相互に相手側をガッチリと拘束し、または当接して背後から支持するなどしているため、各要素を熱変形から有効に守ることができる。実際、本願発明者らが行った実験によれば、当該野外用こん炉1を繰り返し使用しても目に見えるような熱変形はほぼゼロであった。例えば特許文献1に示す携帯こん炉では、僅か数回の使用で折り畳み、収納が困難になるほど熱変形することを考慮すれば、これは画期的なことであると言える。
【0043】
加熱利用後の分解の手順は、上述した組立て手順の逆に進めればよく、極めて容易である。すなわち、まず調整板70が使用されていればこれを抜き取り、燃焼室内部に置かれた燃料保持部60を取り外す。次に炉枠板部50を、差炉枠板52、受炉枠板51の順で取り除く。続いて台箱40を支持板部30の保持フック35から水平方向に引き抜いて取り外し、次いでその下方に現れる支持板部30を台座板2から外して両支持板31、32に分離する。これにより全構成要素が分解される。
【0044】
本発明にかかる野外用こん炉1の収納姿を図9に示している。収納時には、まず箱状となっている台箱40の中に、台座板20を除いた他の全ての要素を積み重ねて入れる。本発明にかかる野外用こん炉1は、ごく一部を除いていずれの要素も板材からほぼ平坦な形状に形成されているため、重ね合わせは容易である。台箱40内に全部の要素が収納されたら、最後にこの台箱40を台座板20のレール部22内側に形成された隙間へ引き出し状に滑り込ませ、収納が完了する。
【0045】
本実施の形態では、こん炉の火気利用開口部の四辺形寸法が約290mm四方である場合に、収納された後の姿は316mm×210mm×18mmと、ほぼA4のブックサイズの収納姿に変身する。このため、キャンプ地などへ出かける際の搬送、現地での持ち運びは極めて容易であり、また保管時においてもほとんど場所を取ることがない。なお、各構成要素に関してこれまで表示してきた板厚は、上記本実施の形態の寸法諸元に適するものを例示したものであり、例えば火気利用開口部がより大きくなる大型のこん炉に対しては板厚をより厚目に設定することが望ましく、逆に小型の場合には板厚を減らす可能性があることは論を待たない。
【0046】
その他も含め、特に特許文献1に示す携帯用こん炉に比較した場合の本発明にかかる野外用こん炉の特徴をまとめれば、以下のようになる。
(1)台座板20を有するため、燃焼後の灰を直接地表面に落下させることがない。
(2)支持板部30が十字状ではなくX状に配置されているため、幅を長く取ることができ、こん炉の支持を安定化させると同時により多くの空気をこん炉内に導くことができる。
(3)燃料保持部60を使用することにより、燃料と台箱40との間に空気溜りができ、炭等の燃料に有効に空気を導くことができる。
(4)炉枠板部50を4枚に完全に分離することができ、蝶番を不要とし、洗浄を容易にする。
(5)炉枠板部50が上方に広がる角錐台型であり、加熱面積が広く、用途が広範である。
(6)各要素が組み付けられたときに要素同士が相互に動きを拘束し合い、熱変形をほとんど発生させない。
(7)熱変形が少ないことから、耐久寿命を格段に延ばすことができる。
(8)各構成要素がほぼ平坦な板材から形成されており、積み重ねてもかさばらない。
(9)各構成要素は板材(ステンレス鋼板)をNCレーザで切り取って製造でき、他加工も最小限に抑えているため、加工費が廉価である。
(10)分割組立が容易で、かつ組立て時には誰が組んでもガッチリ組み上げることができ、分解後には極めてコンパクトに収納されて保管にも便利である。
【0047】
以上、本発明の実施の形態にかかる野外用こん炉について述べてきたが、本発明は上述した実施の形態のものには限定されない。本発明を基に、様々な変形が可能である。例えば、一対の支持板31、32の組付けは、縦スリット33同士を差込む方式に代えて蝶番により折り畳む方式としてもよい。燃料保持部60は一対の受炉枠板51の間ではなく、一対の差炉枠板52の間に取り付けられてもよい。燃料保持部60の固定は、鍵状穴56を用いることなく、スリットを利用してこれに単に差込むだけの形式としてもよい。受炉枠板51、差炉枠板52のいずれか一方または双方には、燃料保持部6の下方となる位置に予備の空気導入穴を設けてもよい。また、収納時の姿は容器と蓋とを逆にし、台座板20を容器にして他の部品をこの中に収納し、台箱40を蓋にして台座板20の容器ごとこの中に差し込むよう構成してもよい。炉枠板部50は、固定リブ54を利用した差込み式とせず、蝶番により台箱40に折り畳めるようにしてもよい。あるいは炉枠板部50を二重構造とし、上記実施の形態に示す炉枠体部50の内部にさらに燃料を囲む枠体部(第2の炉枠板部)を設け、火力の放出を防いでより効率的に使用するようにしてもよい。これらの変形は、単なる例示である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る野外用こん炉は、野外用品を製造、販売、使用する産業分野において広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態にかかる野外用こん炉の概要を示す斜視図である。
【図2】図1に示す野外用こん炉を構成する要素の概要を示す斜視図である。
【図3】図1に示す野外用こん炉を構成する他の要素の概要を示す斜視図である。
【図4】図1に示す野外用こん炉の組立て手順(その1)を示す説明図である。
【図5】図1に示す野外用こん炉の組立て手順(その2)を示す説明図である。
【図6】図1に示す野外用こん炉の組立て手順(その3)を示す説明図である。
【図7】図1に示す野外用こん炉の組立て手順(その4)を示す説明図である。
【図8】図1に示す野外用こん炉の使用状態を示す正面部分透視図である。
【図9】図1に示す野外用こん炉の収納状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1.野外用こん炉(こん炉)、 20.台座板、 21.高さ部、 22.レール部、 23.くびれ部、 30.支持板部、 31.受支持板、 32.差支持板、 33.縦スリット、 34.横スリット、 35.保持フック、 40.台箱、 41.メッシュ体、 42.保持スリット、 50.炉枠板部、 51.受炉枠板、 52.差炉枠板、 53.曲げ加工部、 54.固定リブ、 55.傾斜スリット、 56.鍵状穴、 57.差込タブ、 58.突出部、 59.固定フック、 60.燃料保持部、 61.支持棒、 62.ネット体、 63.溝部、 65.燃料、 70.調整板、 71、72.差込みスリット。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体を下支えする支持板部(30)と、前記支持板部(30)の上に取付けられる中央部にメッシュ体(41)を備えた台箱(40)と、前記台箱(40)の上に取付けられる炉枠板部(50)とから構成される分解・組立可能な携帯式の野外用こん炉(1)において、
前記支持板部(30)の下方に配置されて前記支持板部(30)を取付け、こん炉使用時に生じる灰を受けて灰の地表面への直接落下を防止し、地表面への熱影響を遮蔽する台座板(20)をさらに含むことを特徴とする野外用こん炉(1)。
【請求項2】
前記野外用こん炉(1)の分解・収納時、前記台箱(40)と前記台座板(20)のいずれか一方が容器、他方が蓋となって、その他の要素がこれらの内部に一括収納されることを特徴とする、請求項1に記載の野外用こん炉(1)。
【請求項3】
前記台座板(20)が、矩形状の一対の対向する辺が当該台座板の平面から直角に立ち上がった高さ部(21)と、前記高さ部(21)からさらに直角に曲がって相互に対向する方向に前記平面と平行に延びるレール部(22)とを有し、
前記レール部(22)内に前記台箱(40)が引き出し状に差し込まれ、前記その他の要素は前記台箱(40)内に積み重ねられて一括収納されることを特徴とする、請求項2に記載の野外用こん炉(1)。
【請求項4】
前記支持板部(30)が、左右幅方向中間で相互にX字状に差し込まれるよう高さ方向の半分の長さまで相互に反対方向に延びるスリット(33)を有する一対の支持板(31、32)から構成され、前記各支持板(31、32)が、左右両端部の下方から前記台座板(20)の高さ部(21)に対応した高さで水平方向に設けられたスリット(34)を有し、
こん炉組立時に、当該水平方向に設けられたスリット(34)に前記台座板(20)のレール部(22)が差し込まれて前記支持板部(30)が前記台座板(20)に取り付けられ、両要素(20、30)が相互に相手側を拘束して熱変形を阻止することを特徴とする、請求項1に記載の野外用こん炉(1)。
【請求項5】
前記レール部(22)が長さ方向に幅狭となるくびれ部(23)を有し、前記支持板部(30)が当該くびれ部(23)内においてX字状に前記台座板(20)に取付けられることにより、又は前記高さ部(21)が長さ方向に間隔を設けた一対の開口を有し、前記支持板部(30)が前記レール部(22)に差し込まれた際に前記水平方向に設けられたスリット(34)の下側部分が当該一対の開口にはまることにより、前記支持板部(30)が前記レール部(22)の長さ方向へ移動することが阻止されることを特徴とする、請求項4に記載の野外用こん炉(1)。
【請求項6】
前記レール部(22)が長さ方向の一方の端部に当該レール部(22)の空隙を閉鎖するストッパ部材を有し、前記レール部に差し込まれた各支持板(31、32)の長さ方向の端部が当該ストッパ部材に当接することにより、前記支持板部(30)の前記レール部(22)長さ方向への移動が阻止されることを特徴とする、請求項4に記載の野外こん炉(1)。
【請求項7】
前記各支持板(31、32)が左右両端部の上端に相互に対向する方向に延びるL字状に曲った保持フック(35)を有し、
こん炉組立時に、X字状に差し込まれた一対の支持板(31、32)によって形成される4つの前記保持フック(35)で囲まれる空間を貫通するよう前記台箱(40)が水平方向に差し込まれて取付けられ、こん炉使用時に相互に相手側を拘束して熱変形を阻止することを特徴とする、請求項4に記載の野外用こん炉(1)。
【請求項8】
前記炉枠板部(50)が、4枚の炉枠板によって下方から上方に向けて拡開する角錐台状に形成され、
前記4枚の炉枠板が、左右両端部近傍にスリット(55a)を設けた一対の受炉枠板(51)と、左右両端部に前記受炉枠板(51)のスリット(55a)内に差し込まれる差込タブ(57)を設けた一対の差炉枠板(52)とから構成され、
前記各差炉枠板(52)の差込タブ(57)が前記スリット(55a)内に差込まれた状態で、差込み方向の外側で前記受炉枠板(51)を背後から拘束して熱変形を阻止する突出部(58)を前記差込タブ(57)が有すること、または前記受炉枠板(51)に設けられた他のスリット(55b)に差し込まれて前記受炉枠板(51)を背後から拘束して熱変形を阻止する固定フック(59)を前記差炉枠板(52)が有することを特徴とする、請求項1に記載の野外用こん炉(1)。
【請求項9】
前記各支持板(31、32)の保持フック(35)の先端が、前記台箱(40)を保持した状態で該台箱(40)に差し込まれた前記受炉枠板(51)の外面に当接するよう形成され、
こん炉組立時に前記先端が前記受炉枠板(51)を所定の傾斜状態に維持して炉枠板部(50)の組立てを容易にし、
こん炉使用時に前記突出部先端が前記受炉枠板(51)を背後から拘束して受炉枠板(51)の熱変形を阻止することを特徴とする、請求項8に記載の野外用こん炉(1)。
【請求項10】
前記各炉枠板(51、52)の下方端に、前記台箱(40)に設けられたスリット(42)に差し込まれる取付け用のタブ(54)が設けられ、少なくとも一部の当該タブ(54)が前記台箱(40)の前記スリット(42)に差し込まれた状態で差し込み方向の外側で前記支持板(31、32)の表面に当接して当該支持板(31、32)を拘束し、熱変形を阻止することを特徴とする、請求項8に記載の野外用こん炉(1)。
【請求項11】
前記各炉枠板(51、52)の上方端の縁に、当該炉枠板(51、52)自身の熱変形に対する対抗力を増す曲げ加工部(53)が設けられていることを特徴とする、請求項8に記載の野外用こん炉(1)。
【請求項12】
前記野外用こん炉(1)が、前記炉枠板部(50)の内部に取付けられる燃料保持部(60)、炉枠板部50を二重構造とする第2の炉枠板部、四辺形状の炉枠板部(50)の上方各コーナ部に取付けられる調整板(70)、のいずれかをさらに含むことを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれか一に記載の野外用こん炉。
【請求項13】
前記燃料保持部(60)が、一対の支持棒(61)と、前記支持棒(61)の中央部分に固定されたネット体(62)とから構成され、
前記炉枠板部(50)のいずれか一方の対向する一対の炉枠板(51又は52)に、前記支持棒(61)を差し込むための幅狭部を備えた鍵状穴(56)が設けられ、
前記一対の支持棒(61)の各先端部に前記鍵状穴(56)の幅狭部に差し込まれる縮径溝(63)が設けられ、
前記支持棒(61)の縮径溝(63)が前記鍵状穴(56)の幅狭部に差し込まれることによって前記燃料保持部(60)が前記対向する一対の炉枠板(51又は52)に取り付けられ、前記支持棒(61)が前記対向する一対の炉枠板(51又は52)を拘束して熱変形を阻止することを特徴とする、請求項12に記載の野外用こん炉(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−127994(P2009−127994A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306782(P2007−306782)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(502435166)有限会社光中 (1)
【Fターム(参考)】