説明

組織内に管を形成する装置、方法、及びキット

組織管形成デバイス、方法、及びキットが開示されている。いくつかの変形例では、内側面と外側面を有する組織壁に管を形成する方法が、組織壁を通って組織壁によって規定されるルーメンへアンカ部材を前進させるステップを具え、このアンカ部材が近位部分と、遠位部分と、これらの間の中間部分を具え、近位部分と中間部分が互いに対して角度を成しており、中間部分と遠位部分が互いに対して角度を成しており、アンカ部材を中間部分が組織壁の内側面に接触するように位置決めし、遠位部分が組織壁の内側面に対して角度を成すように構成され、また、中間部分が組織壁の内側面に接触している間に組織壁に組織貫通部材を進めて、管を形成するステップを具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願とのクロスリファレンス
この出願は、2009年9月22日に出願された米国暫定特許出願第61/244,831号の、35USC§119(e)に規定する優先権を主張する。この出願の開示は、ここに参照によって全体が組み込まれている。
【0002】
ここに記載されているのは、組織内に管を形成する装置及び方法である。具体的には、少なくとも一のアンカ部材(例えば、組織を安定させる及び/又は位置決めするため)と少なくとも一の組織貫通部材(例えば、組織内に管を形成するため)を用いて組織内に管を形成する装置及び方法が記載されている。
【背景技術】
【0003】
組織内にあるいは組織を通って管を形成する装置及び方法がこれまでに多数開示されている。例えば、組織内に管を形成する装置及び方法は、米国特許出願第10/844,247号(米国公開第2005/0267520A1)、第10/888,682号(米国公開第2006/0009802A1)、第11/432,982号(米国公開第2006/0271078A1)、第11/544,149号(米国公開第2007/0032802A1)、第11/544,177号(米国公開第2007/0027454A1)、第11/544,196号(米国公開第2007/0027455A1)、第11/544,317号(米国公開第2007/0106246A1)、第11/544,365号(米国公開第2007/0032803A1)、第11/544,272号(米国公開第2007/0032804A1)、第11/788,509号(米国公開第2007/0255313A1)、第11/873,957号(米国公開第2009/0105744A1)、第12/467,251号(2009年5月15日出願)、第12/507,038号(2009年7月21日出願)、第12/507,043号(2009年7月21日出願)、及び米国暫定出願第61/178,895号(2009年5月15日出願)に記載されており、これらはすべて全体が引用によりここに組み込まれている。いくつかのケースでは、これらに記載されている管が自己シールするか、あるいは補助閉鎖デバイスを必要とすることなくシールする。更に、管は、組織位置(例えば器官のルーメン)へのアクセスを提供するのに極めて有用であり、管を通して一又はそれ以上の器具を進めて、手順を実行することができる。このような方法の多大な適用可能性を考えると、組織内に管を形成する更なるデバイス及び方法が必要とされるであろう。
【発明の概要】
【0004】
ここには、組織内に一又はそれ以上の管を形成するデバイス、方法、及びキットが記載されている。いくつかの変形例では、組織の管形成方法が、組織を安定させて、分離し、及び/又は位置決めするアンカ部材を用い、一又はそれ以上の組織貫通部材を用いて組織の少なくとも一部に一又はそれ以上の管を形成するステップを具えている。この組織の安定、分離、及び/又は位置決めによって、組織上でのコントロールを強化することができ、これを行わない場合より、一層高い予測可能性で管を形成することができる。所定の変形例では、代替的にあるいは追加としてアンカ部材を用いて、目的の組織部位に組織の管形成デバイスを位置決めすることができる。アンカ部材の使用は、例えば、デバイスの位置決め精度を高める。
【0005】
管は、好適なあるいは所望のどのような組織にでも形成することができる。例えば、組織はいずれかの身体系の器官(例えば、心臓血管系、消化器系、呼吸器系、排泄管系、生殖器系、神経系など)であっても良い。所定の変形例では、組織が、心臓や動脈などの心臓血管系の器官である。別の変形例では、組織が、胃や腸などの消化器系の器官である。いくつかの変形例では、組織が血管壁(例えば、動脈壁)の組織である。このデバイス、方法、及びキットは、これらの使用が適切であるどのような組織にも使用することができる。
【0006】
ここで形成した管は、比較的迅速に、補助閉鎖デバイスを必要とすることなく、シールすることができる。例えば、管を形成するのに用いた組織貫通部材を管から引き抜いた後、管は15分以内又はそれ以下(例えば、12分以内又はそれ以下、10分以内又はそれ以下、9分以内又はそれ以下、6分以内又はそれ以下、5分以内又はそれ以下、3分以内又はそれ以下、1分以内又はそれ以下など)で自己シールする。もちろん、必要があれば、あるいは望ましい場合は、一又はそれ以上の補助閉鎖デバイス、及び/又は圧力デバイス(例えば、手動圧力、カフを介して与えた圧力、など)を、ここに記載したデバイス及び方法と併用することもできる。
【0007】
所定の変形例では、組織壁(例えば、動脈壁などの血管壁)内に管を形成する方法が、少なくとも一の組織貫通部材を組織壁を通して前進させて、組織壁に管を形成するステップを具えており、この管の少なくとも一部が、組織壁の縦軸に対して約30°より少ない又は約30°に等しい角度(例えば、約19°より少ない又はこれに等しい、約15°より少ない又はこれに等しい、約10°より少ない又はこれに等しい、約5°より少ない又はこれに等しい、約1°乃至約30°、約1°乃至約19°、約1°乃至約15°、約1°乃至約10°、約1°乃至約5°、約5°乃至約15°、約5°乃至約10°)を形成している。
【0008】
管を形成する間に、組織貫通部材が第1の位置において組織に入り、第2の位置において組織から出てゆき、第1及び第2の位置間の長さは、組織又は組織壁(例えば、血管壁)の厚さより大きい。所定の変形例では、管の長さは、組織又は組織壁(例えば、血管壁)の厚さより、例えば、3倍、5倍、6倍、8倍、10倍など、実質的に大きい。いくつかの変形例では、この方法は、一又はそれ以上の閉鎖デバイス及び/又はツールを管の中へ及び/又は管を通って前進させるステップを具えていても良い。
【0009】
組織貫通部材は、例えば、中空針又は中実針などの針であっても良い。この針は、好適な形状を有する好適な先端部を有している。例えば、この先端部は、円錐形、オフセット円錐形、丸型、鋭利又は尖っている、斜角、非斜角などであっても良い。
【0010】
本明細書に記載のデバイスと方法の変形例を用いて、一又はそれ以上の治療薬(例えば、医薬品)をターゲット部位に送達することができる。例えば、デバイスを少なくとも一のルーメンと当該ルーメンと液通する一又はそれ以上の開口(例えば、サイドポート)を有するように構成して、一又はそれ以上の治療薬をルーメンを通って開口を介してターゲット部位に送達するようにしても良い。使用する治療薬は、実行する手順によって選択することができる。一例として、ターゲット部位が胃の組織であれば、ここに記載したデバイス又は方法を用いて一又はそれ以上の抗感染薬を胃の組織に送達することができる。
【0011】
いくつかの変形例では、内部表面と外部表面を有する組織壁に管を形成する方法は、組織壁を通って当該組織壁によって規定されるルーメンにアンカ部材を挿入するステップを具え、当該アンカ部材が近位部分と、遠位部分と、当該近位部分と遠位部分の間の中間部分を具える。近位部分及び中間部分は、お互いに角度を成してもよく、中間部分及び遠位部分は、お互いに角度を成しても良い。この方法は、また、アンカ部材を、中間部分が組織壁の内部表面に接触し、遠位部分が組織壁の内部表面に対して角度を成すように位置決めするステップと、中間部分が組織壁の内部表面に接触している間に組織壁の中に組織貫通部材を挿入して組織壁に管を形成するステップとを具える。所定の変形例では、組織貫通部材が組織壁内を進む間に、アンカ部材の一又はそれ以上のその他の部分(例えば、近位部分及び/又は遠位部分)も組織壁の内部表面に接触していても良い。アンカ部材の遠位部分は、アンカ部材の中間部分が組織壁の内部表面に接触しているときに、組織壁の一部を持ち上げるあるいは広げるようにしても良い。いくつかの変形例では、アンカ部材を用いて、組織貫通部材を組織壁に進める前に組織壁を安定させるようにしても良い。
【0012】
所定の変形例では、組織に管を形成するデバイスは、ガイドと、当該ガイド内に摺動可能に収納され、当該ガイドの開口を通じてガイドから展開可能な組織貫通部材と、ガイドに連結されたあるいはガイドと一体的に形成されたアンカ部材と、を具える。アンカ部材は、第1の細長部分と、当該第1の細長部分に対して角度を成す第2の細長部分と、当該第2の細長部分に対して角度を成す第3の細長部分と、を具える。第1の細長部分は第1の面を規定しており、第2の細長部分は第2の面を規定しており、第1及び第2の面は、その間に約1°乃至約175°(例えば、約10°乃至約150°、約10°乃至120°、約15°乃至約100°、約15°乃至約75°、約20°乃至約60°、約25°乃至約50°、約5°乃至約30°、約6°乃至約25°、約5°乃至約20°、約5°乃至約15°、約5°乃至約10°、約10°乃至約20°、約12°)の第1の角度を有する。
【0013】
第1の細長部分は、長さ約2mm乃至6mm(例えば約3mm乃至約5mm、又は約4mm)である。組織貫通部材は、第1の長軸を有し、第3の細長部材は、ガイドから組織貫通部材を展開させたときに、第1の長軸に対して約6°乃至約30°(例えば、約10°乃至約25°、約15°乃至約20°)の第2の角度を形成する第2の長軸を有する。第3の細長部分は第3の面を規定しており、第2及び第3の面は、その間に約1°乃至約175°(例えば、約10°乃至約150°、約10°乃至約120°、約15°乃至約100°、約15°乃至約75°、約20°乃至約60°、約25°乃至約50°、約5°乃至約30°、約6°乃至約25°、約5°乃至約20°、約5°乃至約15°、約5°乃至約10°、約10°乃至約20°、約12°)の第2の角度を有する。いくつかの変形例では、アンカ部材がガイドから遠位側に延在している。
【0014】
所定の変形例では、組織に管を形成するデバイスが、ガイドと、当該ガイド内に摺動可能に収納され、当該ガイドの開口を通じてガイドから展開可能な組織貫通部材と、ガイドに連結されたあるいはガイドと一体的に形成されたアンカ部材と、を具える。アンカ部材は、第1、第2及び第3の細長部分と、第1及び第2の細長部分の間に第1の湾曲部分と、第2及び第3の細長部分の間に第2の湾曲部分を具える。第1の湾曲部分は第1の面を規定しており、第2の湾曲部分は第1の面に対して角度を成す第2の面を規定している。第1及び第2の面は、その間に約1°乃至約175°(例えば、約10°乃至約150°、約10°乃至120°、約15°乃至約100°、約15°乃至約75°、約20°乃至約60°、約25°乃至約50°、約5°乃至約30°、約6°乃至約25°、約5°乃至約20°、約5°乃至約15°、約5°乃至約10°、約10°乃至約20°、約12°)の第1の角度を有する。第1及び/又は第2の湾曲部分は、約0.1mm乃至約2mm(例えば、約0.5mm乃至約1.5mm)の曲率半径を有していても良い。アンカ部材は柔軟である。いくつかの変形例では、アンカ部材は、ガイドアイシース(例えば、短い筒状部分の形状をしており、これを通ってガイドワイヤを送ってガイドワイヤの位置決めを助ける)及び/又は取り付け可能なガイドワイヤを具えていても良い。いくつかの変形例では、ガイド内の開口を、アンカ部材の遠位端近傍に配置しても良い。
【0015】
所定の変形例では、内部表面と外部表面を有する組織壁に管を形成する方法が、組織壁を通ってアンカ部材を進めるステップであって、このアンカ部材が、第1、第2、及び第3の細長部分を具え、第1及び第2の細長部分の間に第1の湾曲部分を、第2及び第3の細長部分の間に第2の湾曲部分を具え、第1の湾曲部分が第1の面を規定し、第2の湾曲部分が第1の面に対して角度を成す第2の面を規定する、ステップを具える。この方法も、アンカ部材を組織壁の内側表面に接触させるステップと、アンカ部材が組織壁の内部表面に接触している間に組織貫通部材を組織壁の中に進めて組織壁に管を形成するステップと、を具える。
【0016】
組織は、血管(例えば、動脈)を具え、この方法は、アンカ部材を血管のルーメン内に進めるステップを具える。組織貫通部材は、第1の長軸を有しており、アンカ部材の第3の細長部材は第2の長軸を有し、第1及び第2の長軸は、その間に角度を成している。いくつかの変形例では、この第1及び第2の長軸間の角度は、組織貫通部材を組織壁を通って進めたときに、約6°乃至約30°(例えば、約10°乃至25°、約15°乃至約20°)である。所定の変形例では、この方法は、更に、組織貫通部材を組織壁で規定されているルーメンの中に進めるステップを具え、ここで、第1及び第2の長軸間の角度は、組織貫通部材がルーメン内に入ったときに、約6°乃至約30°(例えば、約10°乃至25°、約15°乃至約20°)である。
【0017】
いくつかの変形例では、組織を通る管を形成するデバイスが、ガイドと、当該ガイドの遠位部分に結合されたあるいはこの遠位部分と一体的に形成したアンカ部材と、ガイドの近位部分連結されたあるいはこの近位部分と一体的に形成され、第1のルーメンを有するマーカポートと、ガイドから展開可能な組織貫通部材と、組織貫通部材をガイドから展開させるように構成された押出部材とを具え、組織貫通部材が通る複数の開口を有する壁部分を有する第1の筒状部材を具え、組織貫通部材がマーカポートと流体連通している。所定の変形例では、組織貫通部材は、押出部材によって移動するときに、マーカポートと流体連通し続けている。
【0018】
いくつかの変形例では、組織を通る管を形成するデバイスが、ルーメンを有するマーカポートと、複数の開口が通る壁部分を有する組織貫通部材を具え、組織貫通部材の少なくとも一部がマーカポートのルーメンを通過している。
【0019】
所定の変形例では、アンカ部材、マーカポート、及び、マーカポート内に少なくとも部分的に配置され複数の開口が通る壁部分を有する組織貫通部材を具えるデバイスを用いて組織を通る管を形成する方法が、血液がマーカポートを通って流れてアンカ部材が第1のルーメンに入ったことを表示するまで第1のルーメンを規定する血管壁にアンカ部材を進めるステップを具える。この方法は、また、アンカ部材が第1のルーメン内に配置されている間、組織貫通部材を血管壁に進めるステップも具える。組織貫通部材は、第2のルーメンを具えていても良く、この方法は更に、第2のルーメンを通ってガイドワイヤを進めるステップを具えていても良い。組織貫通部材は、例えば、組織貫通部材に接触して押出部材を押すことによって、血管壁に進むことができる。
【0020】
いくつかの変形例では、組織を通る管を形成するデバイスが、ガイドと、ガイドから展開可能な組織貫通部材と、ガイドに連結されたあるいはガイドと一体的に形成されているアンカ部材と、このアンカ部材に連結されたシースとを具える。シースは、柔軟な細長部材を具え、この部材は、第1の断面直径を有する第1の領域と、第1の領域と一体的に形成した第2の領域を有する遠位部分を具え、第2の領域は、第1の断面直径と異なる第2の断面直径を有する。
【0021】
所定の変形例では、組織を通る管を形成する方法が、バンプ押し出し法を用いてシースを形成するステップと、当該シースを、これと一体的に形成されたアンカ部材に連結するか、組織貫通部材の展開用に構成したガイドに連結するステップとを具える。ガイドは、ルーメンと、このルーメン内に摺動可能に配置した組織貫通部材とを具える。
【0022】
いくつかの変形例では、組織を通る管を形成する系が、シリンジ、及び、ガイド、ガイドに連結されたあるいは一体的に形成されたアンカ部材、押出部材、及び押出部材を押すことによってガイドから展開可能な組織貫通部材、を有するデバイスとを具える。押出部材は、近位端にハンドル部分を有する細長部材を具えていても良く、シリンジをハンドル部材に連結するように構成しても良い。例えば、押出部材のハンドル部分がメス型コネクタを具え、シリンジがこのメス型コネクタに連結するように構成したオス型コネクタを具えていても良い。
【0023】
所定の変形例では、組織内に管を形成するデバイスが、ガイドと、ガイド内に摺動可能に収納されガイドの開口を通って展開可能な組織貫通部材と、ガイドに連結されたあるいはガイドと一体的に形成されたアンカ部材と、アンカ部材に整列している位置からアンカ部材から延在する位置へ作動するように構成したリテーナと、リテーナを作動させるように構成した引張部材と、この引張部材の一部を収納した筒状部材を具える引張装置と、を具える。筒状部材は、ガイドに連結されるかガイドと一体的に形成しても良い。いくつかの変形例では、引張部材がリテーナに連結されている。
【0024】
所定の変形例では、組織に管を形成するデバイスが、ガイドと、ガイド内に摺動可能に収納されガイドの開口を通って展開可能な組織貫通部材と、ガイドに連結されるあるいはガイドと一体的に形成したアンカ部材と、アンカ部材に整列している位置からアンカ部材から延在する位置へ作動するように構成したリテーナと、リテーナを作動させるように構成した引張部材とこの引張部材の一部を収納した半筒状部材を具える引張装置と、を具える。半筒状部材は、ガイドに連結されるかガイドと一体的に形成しても良い。いくつかの変形例では、引張部材がリテーナに連結されている。
【0025】
所定の変形例では、組織に管を形成するデバイスが、ガイドと、ガイド内に摺動可能に収納されガイドの開口を通って展開可能な組織貫通部材と、ガイドに連結されるあるいはガイドと一体的に形成したアンカ部材と、アンカ部材に整列している位置からアンカ部材から延在する位置へ作動するように構成したリテーナと、リテーナに連結され、リテーナを作動させるように構成した引張部材とを具える。引張部材の第1の部分は、ガイドの外側面に沿って配置されており、引張部材の第2の部分はガイドの壁部分の開口を通り、引張部材の第3の部分はガイドのルーメン内に配置されている。引張部材を収納しているガイド部分は、楕円形断面などの非円形の断面を有する。引張部材を収納しているガイド部分は、引張部材と組織貫通部材の両方を収納するサイズと形状であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、組織内に一又はそれ以上の管を形成するデバイスの変形例を示す斜視図である。
【図2】図2Aは、本明細書に記載したデバイスに使用できるガイドシースの変形例を示す側面図であり、図2Bは、アンカ部材の変形例に連結した図2Aのガイドシースを示す斜視図である。
【図3】図3Aは、本明細書に記載したデバイスの変形例の一部を示す斜視図であり;図3Bは、図3Aに示すデバイスの送達ガイドとアンカ部材を示す斜視図であり;図3Cは、図3Bに示すアンカ部材の斜視図であり;図3Dは、図3Bの送達ガイドの部分斜視図であり;図3Eは、図3Aに示すデバイスの部分の側面図であり;図3Fは、図3Eに示すデバイスの様々な構成部品間の角度を示しており;図3Gは、図3Eに示すデバイスの様々な構成部品の長さを示しており;図3Hは、図3Aに示すデバイスの平面図であり;図3Iは、図3Hに示すデバイスの様々な構成部品間の角度を示しており;図3Jは、図3Aに示すデバイスの底面図であり;図3Kは、図3Aに示すデバイスの正面図である。
【図4】図4Aは、組織内に一又はそれ以上の管を形成するデバイスの別の変形例の一部を示す斜視図であり;図4Bは、図4Aに示すデバイスの側面図であり;図4Cは、図4Bに示すデバイスの様々な構成部品間の角度を示しており;図4Dは、図4Bに示すデバイスの様々な構成部品の長さを示しており;図4Eは、図4Aに示すデバイスの平面図であり;図4Fは、図4Eに示すデバイスの様々な構成部品間の角度を示しており;図4Gは、図4Fに示す構成の代替例である角度配置を示しており;図4Hは、図4Aに示すデバイスの底面図であり;図4Iは、図4Aに示すデバイスの正面図である。
【図5】図5Aは、本明細書に記載のデバイスのリテーナの変形例を示す底面斜視図であり、図5Bは、図5Aのリテーナの分解図である。
【図6】図6Aは、組織内に一又はそれ以上の管を形成するデバイスの送達ガイドの変形例を示す斜視図であり、図6B及び6Cは、それぞれ、図6Aの送達ガイドの側面図と平面図である。図6Dは、組織内に一又はそれ以上の管を形成するデバイスの変形例の一部を示す底面斜視図であり、このデバイスは送達ガイドを具えている。図6Eは、図6Dのデバイスを送達ガイドの領域において6E−6E線に沿って示す断面図である。図6Fは、送達ガイドの変形例を示す断面図である。図6Gは、組織の管を形成するデバイスの変形例の一部を示す底面斜視図であり、ここではデバイスが送達ガイドを具えている。図6Hは、図6Gのデバイスを送達ガイドの領域において6H−6H線に沿って示す断面図である。図6Iは、送達ガイドの変形例を示す断面図である。
【図7】図7Aは、組織内に一又はそれ以上の管を形成するデバイスのハンドルの変形例を示す断面平面図であり;図7Bは、ハンドルの別の変形例の一部の部分断面における斜視図であり;図7Cは、デバイスのハンドルの変形例の一部を示す部分切り取り側面図であり;図7Dは、図7Aのハンドルの一部を示す断面図であり;図7Eは、図7Aのハンドルの構成部品と、このハンドルに連結するように構成したシリンジの変形例との間のアラインメントを示す図である。
【図8】図8Aは、組織内に一又はそれ以上の管を形成するデバイスのハンドルの変形例を示す断面平面図であり;図8Bは、ハンドルの押出部材の遠位側への移動が阻まれている場合の図8Aのハンドルを示す図であり;図8Cは、押出部材が移動可能な場合の図8Aのハンドルを示す図であり;図8Dは、押出部材が遠位側に進んだ後の図8Aのハンドルを示す図であり;図8Eは、押出部材が引き戻された後の図8Aのハンドルを示す図である。図8Fは、図8Aのハンドルのハウジングの一部を示す断面平面図であり、図8G及び8Hは、図8Fに示すハウジングの一部を示しており、使用中のハウジング部分内のハンドルの構成部品の移動を示す図である。図8I乃至8Lは、使用中にハンドルの押出部材が移動した時に図8Fに示すハウジングの別の部分を異なる時間に示す図である。図8M及び8Nは、組織内に一又はそれ以上の管を形成するデバイスのハンドルハウジングの別の変形例の一部を示す図である。図8Oは、組織内に一又はそれ以上の管を形成するデバイスのハンドルの変形例の一部を示す断面平面図である。
【図9】図9A及び9Bは、組織内に一又はそれ以上の管を形成するデバイスの変形例の平面斜視図である。
【図10】図10A乃至10Cは、容器壁に開口を形成するセルジンガー法を示す図である。図10D乃至10Hは、開口内に配置したデバイスを用いて組織壁を通る管を形成する方法の一変形例を示す図である。
【図11】図11A及び11Bは、容器壁を位置決め及び/又は安定させる方法を示す一変形例を示す図である。
【図12】図12A及び12Bは、容器壁を位置決め及び/又は安定させて、容器壁を通る管を形成する方法の一変形例を示す図である。
【図13】図13A乃至13Eは、容器壁を通る管の様々な変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
一又はそれ以上の管を形成するデバイス及び方法をここに述べる。この管は、例えば、組織のルーメンなどのターゲット部位に一又はそれ以上のツールを進めるのに用いることができる。一般的には、ここに記載したデバイス及び方法によって形成された管は、比較的迅速にシールされる、及び/又は、デバイスに追加の閉鎖力あるいは圧力をかけることを必要とせずにシールされる。更に、デバイスを用いて、比較的制御された態様で組織管を形成するのに使用することができる。いくつかの変形例では、デバイスは、一又はそれ以上のアンカ部材(例えば、スキーチップやコークスクリュの形状に似た形状を有する)を具えており、この形状を利用して管形成用に組織を位置決め及び/又は安定させる、及び/又は、組織管を形成する間に組織に対してデバイスを正確に位置決めする。所定の変形例では、組織は、組織貫通部材を通して前進させるために位置決め及び/又は安定させる。このような位置決め及び/又は安定は、比較的正確で、容易で、効果的な管の形成をもたらす。
【0028】
いくつかの変形例では、本明細書に記載のデバイス、及び/又は、方法は、更に、使用の容易さと効率を強化する一又はそれ以上の特徴を具えていても良い。一例として、デバイスが、血管ルーメンへ挿入した時の血液フラッシュといった、ターゲット部位への挿入の視覚的表示を提供するようにしても良い。このような表示は、組織管の形成に逆に作用することなく行うことができる。別の例として、デバイスは、例えば、デバイスを使用しているときなどに、一又はそれ以上のシリンジに比較的容易に連結するように構成しても良い。例えば、デバイスを生理食塩水で洗い流す、及び/又は、血管ルーメンを洗い流すのに使用する生理食塩水を満たしたシリンジにデバイスを連結するように構成することができる。代替的にあるいは追加として、デバイスを介して一又はそれ以上の治療薬剤を送達するのに使用できるシリンジと連結するように構成しても良い。デバイスは、また、使用を比較的容易にするように構成することもできる。更に、デバイスを構成する部品を、全プロファイルを小さく維持する方法で配置するようにしても良い。更に、いくつかの変形例では、一又はそれ以上のデバイスを構成する部品、又はデバイス自体を、比較的容易かつ効率良く製造することができる。
【0029】
本明細書に記載のデバイス及び方法は、一又はそれ以上の管を形成することが望ましいあらゆる組織に使用することができる。例えば、この組織は、身体系(例えば、心臓血管系、呼吸器系、排泄系、消化器系、生殖系、神経系、等)のいずれかの器官といった、器官であっても良い。いくつかの変形例では、この組織は、胃又は腸といった消化器系の器官であっても良い。その他の変形例では、この方法を心臓の血管系(例えば、動脈)といった、心臓血管系の組織に用いることができる。一例として、心臓の筋肉壁及び/又は心室中隔を通して一又はそれ以上の管を形成して、左心室、大動脈、大動脈弁、僧坊弁、大動脈弓などにアクセスすることができる。例えば、組織貫通部材を用いて、心臓の外表面から、心筋壁を通って、心室中隔へ管を形成することができる。所定の変形例では、組織貫通部材を用いて、心臓へ経心突管を形成することができる。いくつかの変形例では、組織が動脈であり、この方法を動脈穿刺(例えば、動脈切開)と組み合わせて使用することができる。所定の変形例では、この組織は、自然開口(例えば、自然開口部越経管腔的内視鏡手術、「NOTES」を行うなど)を介してアクセスすることができる。この組織は、例えば、生殖器系、排泄系、消化器系などである。もちろん、同じ組織であるか、異なる組織であるかを問わず、組織に多数の管を形成する方法も意図されている。
【0030】
図1は、例えば、動脈壁を介して管を形成するなど組織内に一又はそれ以上の管を形成する(例えば、本明細書に記載の方法によって)のに使用できるデバイス(120)の一変形例を示す図である。ここに示すように、デバイス(120)は、使用中に通常身体組織の外側に配置される近位側部分(122)と、使用中に少なくとも一部が通常身体組織内に配置される遠位部分(124)を有する。近位部分(122)は、ハンドル(126)と、押出部材(128)(例えば、プランジャ)と、ハウジング(130)、並びにアクチュエータ(132)及びマーカポート(134)を具える。遠位部分(124)は、組織貫通部材(図示せず)を収納するルーメン(図示せず)を有する送達ガイド(136)と、組織貫通部材ポート(137)と、アンカ部材(138)と、ガイドシース(140)と、リテーナ(以下に説明する)と、を具える。一又はそれ以上のレバー、ボタン、スライド式アクチュエータ、ダイヤル、ノブ、なども適宜近位部分に設けられており、例えば、デバイスの様々な構成部品を制御する、及び/又は、ある種のデバイス構成部品を特定のシーケンスに確実に用いることができる。各構成部品について、以下に詳細に述べる。
【0031】
図2Aには、ガイドシース(140)が示されている。使用中に、ガイドシース(140)は、ターゲット部位へデバイス(120)を進めるのを助けるとともに、ターゲット部位でデバイス(120)を一旦位置決めする。例えば、ガイドシース(140)はガイドワイヤの上を進んで、動脈のルーメンへ入る。ここで、デバイス(120)は動脈切開を形成するのに使用される。
【0032】
図2Aに示すように、ガイドシース(140)は遠位部分(202)と近位部分(204)を有する。いくつかの変形例では、近位及び遠位部分が互いに異なる物性を有していても良い。例えば、遠位部分(202)は、近位部分(204)より、より柔軟であっても良い。比較的柔軟な遠位部分は、例えば、組織にダメージを与えにくいものであっても良い。遠位部分(202)が近位部分(204)より柔軟である構成では、ガイドシース(140)の応答ナビゲーションが可能である。いくつかの実施例では、近位部分(204)は、代替的にあるいは追加として、硬質でしっかりしたものでも良い。これは、例えば、組織が接触することができる比較的硬い構造を提供し、比較的容易なトラッキングと良好な押し出し性を提供することによって組織の係合と安定を促進できる。ガイドシースの所定の変形例は、そこを通るガイドエレメント(例えば、ガイドワイヤ)の経路に合ったサイズと形状をした、一又はそれ以上の側部開口又はスリットを有する。代替的にあるいは追加として、アンカ部材は一又はそれ以上のそのような側部開口又はスリットを具えていても良い。
【0033】
ガイドシース(140)は、長さ(L1)と、遠位部分(202)の寸法(D1)(例えば、断面直径)と、寸法(D1)より大きい近位部分(204)の寸法(D2)(例えば、断面直径)を有する。しかし、ガイドシースのその他の変形例は、その長さに沿ってサイズが比較的均一であり、寸法におけるこのような変化を示していないか、あるいは、異なる寸法(例えば、異なる断面直径)を有する2つ以上の部分を有していても良い。更に、いくつかの変形例では、ガイドシースが遠位部分より寸法が小さい(例えば、断面直径)近位部分を有している。この寸法とガイドシースの構成は、例えば、ガイドシースを使用する手順、及び/又は、ターゲット部位の特徴によって決まる。
【0034】
いくつかの変形例(例えば、ガイドシース(140)が動脈ルーメンに挿入されているいくつかの変形例)では、長さ(L1)が約10mm乃至約400mm(例えば、約50mm乃至約300mm、約100mm乃至約200mm)である。代替的にあるいは追加として、寸法(D1)は約0.2mm乃至約2mm(例えば、約1mm乃至約1.5mm)であり、及び/又は、寸法(D2)は、約0.5mm乃至約3mm(例えば、約1.5mm乃至約2mm)である。サイズの異なるガイドシース部分間の移行は、比較的穏やかでテーパを成しているか、あるいはよりシャープであっても良い。移行部分の特徴は、例えば、ガイドシースの所望する特性に依存している。
【0035】
ガイドシース(140)は、適宜の材料でできている。一例として、いくつかの実施例では、ガイドシース(140)は、一又はそれ以上のポリマ又はポリマ複合体、又は、これらの組み合わせ(例えば、ブレンド)でできている。所定の変形例では、ガイドシース(140)は、発泡性ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)などの、一又はそれ以上の多孔性材料、及び/又は、ポリマブロックアミド(PEBAX(商標))やポリエチレンなどの、一又はそれ以上の実質的に非多孔性の材料でできていても良い。いくつかの場合は、一又はそれ以上の多孔性材料でできたガイドシースを用いて、ガイドシースが組織を通って前進すると、一又はそれ以上の治療薬剤を放出することができる。非多孔性材料を用いて、例えば、組織に露出されているガイドシースの表面積を小さくすることができる。ガイドシースの所定の変形例は、また、一又はそれ以上のコーティングを有していても良く、ここで、この一又はそれ以上のコーティングが管の形成を助けて、例えば、スムーズで摩擦の小さい管の形成を促す。いくつかの変形例では、ガイドシースが排出された後に管をシールするのを助ける薬剤、あるいは、例えば抗炎症材、抗血栓剤など、様々な疾患の治療をするために血管ルーメンに送達される薬剤、又は画像撮影用の造影剤などその他の目的の薬剤など、などの、治療薬剤でガイドシースをコーティングしても良い。これらの薬剤は、ガイドシース(図示せず)内の一又はそれ以上のポート又は開口を介して血管ルーメンに送達することができる。ガイドシース用に選択された材料、並びに提供されるポート又は開口のタイプと数は、薬剤送達の所望の速度によって少なくとも部分的に決定される。
【0036】
いくつかの実施例では、ガイドシースが、複数の異なる部分を有しており、これらが互いに連結されているか、互いに一体化されている(例えば、共押し出し法で形成されている)。所定の変形例では、二又はそれ以上の部分が同じ構造、材料、及び/又は、機械的特徴を有している。代替的にあるいは追加として、いくつかの変形例では、二又はそれ以上の部分が異なる構造、材料、及び/又は、機械的特徴を有している。一例として、ガイドシースが、比較的フレキシブルであり、比較的径が小さい遠位部分と、比較的硬質で比較的径が大きい近位部分を具えている。別の事例では、ガイドシースが、デュロメータが異なる、異なる部分を具えている。ガイドシースの異なる部分は、熱接着、接着剤による接着、機械ヒンジ、又はリビングヒンジ、フォーム継手、スクリュー継手、スナップ継手、ろう付け、半田付け、溶接などといった、何らかの好適な態様で互いに連結されている。
【0037】
いくつかの変形例では、ガイドシース(140)(図2A)などのガイドシースを、バンプ押し出し法を用いて形成することができる。例えば、ガイドシース(140)は、バンプ押し出しを行って単一材料で作り、直径の小さい遠位部分(202)が比較的フレキシブルであって、直径の大きい近位部分(204)が比較的硬質になるようにしても良い。バンプ押し出し法を用いて形成されたガイドシースは、単一材料でできていても良く、あるいは、例えば異なるポリマのブレンドといった、二又はそれ以上の材料の組み合わせでできていても良い。適合な材料の非限定的な例には、PEBAX(商標)、ポリエチレン、あるいはPTFEがある。バンプ押し出し法を用いる場合、結果としてのガイドシースは例えば、ジョイント部分がないか、その長さに沿って(例えば、近位部分と遠位部分の間)非連続であっても良い。更に、バンプ押し出し法により、ガイドシースに亘って連続的に直径を変化させることができる。更に、結果としてのガイドシースは、その部分の1つを他の部分から分離する恐れがないようにしても良い。
【0038】
バンプ押し出し法について述べたが、もちろん、その他の適宜の方法を用いてガイドシースを作ることができる。この方法には、限定するものではないが、紡糸法、射出成型法、及びその他の適宜の押し出し法又は成型法がある。
【0039】
いくつかの変形例では、ガイドシースは、その長さに沿って、及び/又は、その外周に一又はそれ以上のスロットを具えていても良い。このスロットは、例えば、ガイドシースのフレキシビリティ及び/又はナビゲーション能力を強化することができるか、あるいは、上述した様々な薬剤の送達に使用することができる。所定の変形例では、ガイドシースは操縦可能である。このような操縦可能性は、例えば、ガイドシースの近位側に配置したアクチュエータを用いて制御することができる(例えば、図1の、アクチュエータ(132)をハンドル(126)に押圧することによって)。この操縦可能性によって、ガイドシースの少なくとも一部をリアルタイムで組織の形状に合わせることができる。例えば、操縦可能なガイドシースは、動脈壁を通る管を形成するのに望ましい。代替的に又はこれに加えて、ガイドシースは、アクセスする組織に合わせて一又はそれ以上の湾曲部を有するように予め形成しておいても良い。いくつかの変形例では、ガイドシースは、その中に一又はそれ以上のルーメンを有しており、このルーメンはガイドシース内の一又はそれ以上のポートに連結し、例えば、ガイドシースを通して一又はそれ以上の治療薬剤及び/又は生理的食塩水のフラッシュを送達するようにしても良い。治療薬剤及び/又は生理的食塩水のフラッシュは、シリンジ(あるいは適宜のリザーバ)を介してデバイスの近位部分(122)近傍、例えば、押出部材(128)又はマーカポート(134)を介してガイドシースのルーメンに導入することができる。いくつかの変形例では、一又はそれ以上の治療薬剤の送達は、コンピュータで制御するか、あるいはあらかじめプログラムしておくことができる。
【0040】
図2Bは、ガイドシース(140)をアンカ部材(138)に接続する1つの方法を示している。図に示すように、ガイドシース(140)の近位部分(204)は、アンカ部材(138)の遠位部分(139)に接続されている。図2Bでは、ガイドシース(140)が、遠位部分(139)に圧接されているコアワイヤを介してアンカ部材(138)に接続されている。コアワイヤを溶融させて、ガイドシース(140)をアンカ部材(138)に結合させる。しかし、その他の変形例では、ガイドシースを、機械的接合、フォーム継手、スクリュー継手、スナップ継手、接着剤結合、ろう付け、溶接、半田づけなどを用いてアンカ部材に接続しても良く、あるいは、ガイドシースとアンカ部材を互いに一体的に形成しても良い。通常は、ガイドシースとアンカ部材の間の連結を確実にする(例えば、使用中の分離を防ぐために)ことが望ましい。
【0041】
図2Bを参照すると、ガイドシース(140)は、角度(a)でアンカ部材(138)に連結することができる。この角度は、約0°乃至360°(例えば、約5°乃至約270°、約15°乃至約270°、約45°乃至約270°、約45°乃至約180°、約45°乃至約150°、約90°乃至約180°、約90°乃至約150°、約45°乃至約90°、約6°乃至約30°、又は約180°)である。連結したガイドシースとアンカ部材の間の角度は、例えば、ターゲット組織の特性に基づいて選択することができる。いくつかの変形例では、アンカ部材(138)の遠位部分が角度(a)を有し、ガイドシース(140)がアンカ部材に整列している(すなわち、ガイドシースがアンカ部材に対して真っ直ぐである)。更に、上述したように、ガイドシースはその長さに沿って直径が変化していても良い。例えば、ガイドシースの近位部分は、ガイドシースの遠位部分より直径が大きくても良い。更に、図2Bを参照すると、ガイドシース(140)が近位部分(204)と遠位部分(202)との間にバンプ部位(203)を具えていても良く、この部位でガイドシース(140)がより大きい直径(D2)からより小さい直径(D1)へと移行している。
【0042】
組織管形成デバイス用のアンカ部材は、例えば、動脈壁を通って管を形成するといった、特定の方法及び/又はターゲット組織に適したサイズ、形状及び構成を有している。図3A乃至3Kは、アンカ部材の2つの異なる例示的変形例を示しているが、その他の適宜の変形例を使用することもできると解される。
【0043】
まず、図3A及び3Bは、以下により詳細に述べるように、アンカ部材(300)が、遠位側部分がより近位側の部分に対して上向きに傾斜するといった、スキーチップのような形状を有している。アンカ部材(300)は遠位側部分(301)を有しており、そこでアンカ部材がガイドシース(304)に取り付けられている。アンカ部材(300)は、近位側部分(303)も有しており、そこでアンカ部材が、組織貫通部材ポート(310)が終端するルーメンを有する送達ガイド(308)に取り付けられている。このルーメンは、一般的に組織貫通部材を収納するサイズと形状をしている。図3Aは、更に、送達ガイド(308)のルーメン内に摺動可能に収容されている組織貫通部材(306)を具える。この部材は、送達ガイド(308)から組織貫通部材ポート(310)を通って前進している。組織貫通部材(306)が前進した時の組織貫通部材(306)のアンカ部材(300)に対する通路については、以下に詳細に述べる。アンカ部材(300)は、また、リテーナ(302)を具えており、このリテーナの機能についても以下に詳細に述べる。
【0044】
図3C及び3Dは、アンカ部材(300)の一の構成例を示す。まず、図3Cは、送達ガイド(308)から取り外したアンカ部材(300)を、組み立てた形で示す。アンカ部材(300)は、例えば、互いに合致し溶接された、あるいは、機械的接合、フォーム継手、スクリュー継手、スナップ継手、接着剤による接着、ろう付け、半田付け、などを用いてしっかり連結した、2つの成型片の形をしている。アンカ部材(300)を形成しているこの成型片は、スタンプ、プレス、あるいは、電動式金属加工、金属射出成型などの方法で形成することができる。このような成型片(309)の例が図3Dに示されている。いくつかの場合は、第2の成型片(図示せず)を第1の成型片(309)の鏡像としても良く、第1の成型片に対して、溶接、半田付け、フォーム継手、スクリュー継手、スナップ継手、接着、ろう付けなどを行って、アンカ部材を形成するようにしても良い。その他適宜の連結方法を使用することもできる。アンカ部材を作る方法は、例えば、アンカ部材のジオメトリ、及び/又はアンカ部材の所望の構造的特徴に依存する。一例として、アンカ部材が強い圧縮力に耐えることが望まれる場合は、アンカ部材を一体的に形成して(すなわち、ワンピースとして)、アンカ部材に存在するブレイクポイントや、壊れやすい領域の可能性を制限する。
【0045】
アンカ部材は適宜の形状を有しており、いくつかの場合は、一又それ以上の湾曲部を有している。この湾曲部は、例えば、ターゲット部位におけるアンカ部材の整列及び/又は位置決めを強化する。いくつかの変形例では、この湾曲部は、回転あるいは把握ステップをなくしたり、一般的には、組織が操作される角度を最小にするなど、組織内に管を形成する工程数を低減することになる。このことは、壊れやすい組織に管を形成する場合に特に望ましい。一又はそれ以上の湾曲部は、一貫性のある組織の接触を確実なものとすることによって、組織の管形成の効率を上げる働きをする。アンカ部材における湾曲部によって、デバイスが様々な角度で管を形成することができる。例えば、カーブによって、比較的薄い角度(例えば、約6°乃至約12°、約8°乃至約10°)で、あるいは比較的深い角度(約70°乃至約90°、約75°乃至約85°)で血管ルーメン(例えば、動脈ルーメン)に入る管を形成することができる。この湾曲部のいくつかあるいはすべてが同じ面にあっても良く、あるいはこの湾曲部のいくつがあるいはすべてが別々の面にあっても良い。
【0046】
例えば、図3E及び3Fを参照すると、アンカ部材(300)は、角度(a)と(a)を形成する2つの湾曲部を含む。具体的には、角度(a)は、アンカ部材(300)の遠位領域(312)と中央領域(314)との間の湾曲部によって形成されており、角度(a)は、アンカ部材(300)の中央領域(314)と近位領域(316)の間に形成されている。いくつかの変形例では、角度(a)が、図2Bの角度(a)と同じである。領域(312)、(314)、及び(316)は一体的であっても良く、及び/又は互いに対してほぼ連続的であっても良い。あるいは、少なくとも2つの領域が互いに連結されているか、及び/又は、互いに対してほぼ不連続的であっても良い。
【0047】
図3Eは、送達ガイド(308)から出てゆき、アンカ部材(300)と交差している組織貫通部材(306)を示す。組織貫通部材(306)が送達ガイド(308)から出て行く位置と、組織貫通部材(306)がアンカ部材と交差する位置との間の距離が交差長さ(LC1)であり、これは、例えば約3mm乃至約20mmである。交差長さ(LC1)は、管を形成する組織のサイズ(例えば、厚さ、長さなど)によって部分的に決まり、いくつかの場合は、上記の範囲より大きい(例えば、約25mm乃至約40mm、約30mm乃至約35mm)。アンカ部材のその他の変形例は、異なる交差長さを有しており、これが組織内に形成した管の形状、長さ、角度、及びその他の特徴に影響する。
【0048】
図3Fに示すように、アンカ部材(300)は、角度(a)で送達ガイド(308)に連結されている。ここで、角度(a)は、近位側セグメント(316)と送達ガイド(308)によって形成されている。角度(a)は、例えば、約10°乃至約45°、約30°乃至約90°、約90°乃至約150°、あるいは約150°乃至約175°(例えば、約168°)であり;角度(a)は、例えば、約10°乃至約45°、約30°乃至約90°、約90°乃至約150°、あるいは約150°乃至約175°(例えば、約168°)であり;及び/又は、角度(a)は、例えば、約10°乃至約45°、約30°乃至約90°、約90°乃至約150°、あるいは約150°乃至約175°(例えば、約170°)である。
【0049】
図3Gは、アンカ部材(300)の領域(312)、(314)、及び(316)の長さを示す。図3Gに示すように、領域(312)は長さ(L)を有し、領域(314)は長さ(L)を有し、領域(316)は長さ(L)を有している。いくつかの変形例では、長さ(L)及び(L)のうちの一又はそれ以上が、約2mm乃至約6mmである。所定の変形例では、長さ(L)が約3mm乃至約13mmである。代替的にあるいは追加として、この3つの長さの和が約7mm乃至約25mmである。長さ(L)、(L)、及び(L)はすべて互いに異なる一方、アンカ部材のいくつかの変形例は、すべて同じ長さの2またそれ以上の領域を具えている。例えば、アンカ部材のすべての領域が同じ長さを有していても良い。長さ(L)、(L)、及び(l)は、管を形成する組織のサイズ(例えば、厚さ、長さなど)によって部分的に決まり、上述の例示の範囲より長い。いくつかの変形例では、アンカ部材(300)の断面直径が約0.5mm乃至約1.7mm(例えば、約1.1mm)である。更に、アンカ部材(300)の直径は、ターゲット組織に応じて変化しても良い。
【0050】
図3Gを参照すると、送達ガイド(308)は長さ(LD1)を有し、これは、例えば約25mm乃至約160mmである。この長さについて以下に詳細に説明する。アンカ部材の個々の領域の長さ、アンカ部材の全長、及び組織貫通部材の交差長さは、管を形成する組織を収容するために変化しても良い。いくつかの場合、これらの長さの一又はそれ以上を調整して、デバイスがターゲット組織にアクセスする能力が改良されている。例えば、上述の長さは、管を形成する組織のサイズ(例えば、厚さ、長さなど)によって部分的に決定することができる。
【0051】
選択的に、アンカ部材は異なる面に少なくとも2つの湾曲部を有していても良い。例えば、図3H及び3Iは、アンカ部材(300)の平面図であり(図3Hは組織貫通部材(306)を伴っている)、図3Iは、アンカ部材(300)が平面において追加の角度(a)、(a)、及び(a)を有することを示している。角度(a)は、遠位領域(312)と中央領域(314)によって形成されており、角度(a)は中央領域(314)と近位領域(316)によって形成されており、角度(a)は、近位領域(316)と送達ガイド(308)によって形成されている。交差角度(aC1)は、組織貫通部材(306)と、組織貫通部材が交差する位置に対して遠位にあるアンカ部材(300)の領域によって形成されている。いくつかの変形例では、角度(a)が約10°乃至約45°であるか、約30°乃至約90°であるか、約90°乃至約150°であるか、約135°乃至約225°(例えば、約180°)であり、角度(a)は、約10°乃至約45°であるか、約30°乃至約90°であるか、約90°乃至約150°であるか、あるいは約135°乃至225°(例えば、約180°)であるか、及び/又は、角度(a)は、約10°乃至約45°であるか、約30°乃至約90°であるか、約90°乃至約150°であるか、あるいは約135°乃至225°(例えば、約180°)である。所定の変形例では、交差角度(aC1)は、約10°乃至約45°であるか、約30°乃至約90°であるか、約90°乃至約150°であるか、約2°乃至約30°である。
【0052】
上述したとおり、アンカ部材(300)は、角度(a)乃至(a)を有しており、この角度は一又はそれ以上の異なる平面にある。例えば、角度(a)乃至(a)は第1の平面にあり、角度(a)乃至(a)は第2の平面にあり、第1の平面と第2の平面は異なる。いくつかの変形例では、これらの平面が交差していても良い。アンカ部材の角度は、2つ以上の異なる平面、例えば、3、4、6又は8の平面を占めることがある。いくつかの変形例では、各角度が、その他の角度から離れている、自身の異なる平面を占めていても良い。所定の変形例では、この異なる平面が一又はそれ以上のその他の平面と交差していていも良く、及び/又は、互いに対して平行であっても良い。異なる平面は、平面管の角度が約0°乃至約360°(例えば、約10°乃至約45°、約30°乃至約90°、約45乃至約270°、約90°乃至約150°、約90°乃至約180°)である。いくつかの変形例では、アンカ部材(300)が、十分な数の屈曲平面によって近似したスパイラルを形成する曲面など、一又はそれ以上の非平坦な曲面を有している。上述した角度は、非平坦曲面の平坦突出部を表わしており、これは、複雑なジオメトリの領域を検証するのに用いることができる。上述した特徴(例えば、角度及び/又は異なる平面の数、非平坦曲面の有無、異なる平面の交差、組織貫通部材が安価と交差するときに形成される角度など)は、組織貫通部材の展開と結果としての管の所望の特徴によって調整することができる。
【0053】
様々なアンカ部材領域の長さ(例えば、長さ(L)、(L)、(L)、及び(LD1)など)、並びにこれらの領域の管の角度は、アンカ部材に関連する送達ガイドから展開する組織貫通部材の経路に影響する。例えば、図3Aは、組織貫通部材(306)が送達ガイド(308)から前進した時に、図3H、3J、及び3Kに示すように、アンカ部材(300)の形状が組織貫通部材(306)を、送達ガイド(308)の縦軸の一方の側部へずらせる。特に、図3Hは、送達ガイド(308)、アンカ部材(300)、組織貫通部材(306)、及びガイドシース(304)の平面図であり、図3J及び3Kは、同じ構成部品のそれぞれ、底面図と正面図である(ここでは、リテーナ(302)を見ることができる)。これらの特徴は、アンカ部材(300)が組織貫通部材(306)を一方の側部へどのようにずれているかを示す。このずれは、従って、結果としての組織管の特性に影響する。いくつかの変形例では、長さ(L)、(L)、(L)、及び(LD1)は、部分的に、管が形成される組織のサイズ(例えば、厚さ、長さなど)によって決まる。
【0054】
組織貫通部材の交差長さ、及び/又は、交差角度を調整して、組織管形成の成功率を改善することができ、また、結果としての組織管の特徴(例えば、サイズ、長さ、シーリング時間など)の決定を助けることができる。いくつかの変形例では、特定の組織貫通部材経路を、ジオメトリ及び厚さの異なる組織にアクセスするように合わせることができる。異なる組織管は、1つのタイプの組織へのアクセスを容易にする一方、異なるタイプの組織へのアクセスは容易でない。所定の組織を通る管を形成するのに必要な組織貫通部材の展開経路は、アンカ部材領域の角度及び/又は長さを変えることによって調整することができる。例えば、アンカ部材(300)の領域の角度と長さは、図3Aに示すように、組織貫通部材(306)を偏向させる。アンカ部材の領域の角度及び/又は長さを変えることで、アンカ部材と組織の接触が良好になり、所望の組織管をより高い成功率で形成することができる。更に、アンカ部材と組織の接触が増えると、組織貫通部材の制御が強化され、デバイスがより正確かつ一貫して操作され、組織を位置決めすることができ、これによって、所望の組織管の一貫した及び/又は繰り返し可能な形成が可能となる。異なる数の曲面及び/又は屈折度及び/又は異なる領域長さ(例えば、異なる長さ(L)、(L)、及び(L)など)を有するその他のアンカ部材の変形例は、代替の組織貫通経路を提供することができ、従って、例えば、タイプの異なる組織を通る様々な管を形成するのに使用することができる。例えば、動脈壁を通る管を形成するのに適したアンカ部材の長さと角度は、腸壁を通る管を形成するのには適さないであろう。
【0055】
一例として、図4A乃至4Iは、いくらかコルクねじの形状をしたアンカ部材(400)のもう1つの変形例を示す。図4A及び4Bは、それぞれ、アンカ部材(400)とそれに関連する構造の斜視図及び側面図である。ここに示すように、アンカ部材(400)はガイドシース(404)に連結された遠位部分(401)と、送達ガイド(408)に連結された近位部分(403)を有する。アンカ部材(400)は、その間に角度を有する様々な領域を具えている。図4Bに示すように、アンカ部材(400)は遠位領域(412)と、第1の中央領域(414)と、第2の中央領域(416)と、近位領域(418)を具える。アンカ部材(400)の領域(412)、(414)、(416)、及び(418)のうちの少なくともいくつかは、互いに一体的である、及び/又は、ほぼ連続的であるか、互いに連結されている、及び/又は、ほぼ不連続的である。アンカ部材(400)は、リテーナ(402)を具えていても良い。
【0056】
送達ガイド(408)は、組織貫通部材ポート(410)を具えており、このポートを通って組織貫通部材(406)を前進させる。例えば、図4Bは、送達ガイド(408)から出てゆき、アンカ部材(400)と交差している組織貫通部材(406)を示す。組織貫通部材(406)が送達ガイド(408)から出てゆく位置と、組織貫通部材がアンカ部材(400)と交差する位置との距離が、交差長さ(LC2)であり、これは、例えば約3mm乃至約20mmである。アンカ部材のその他の変形例は、様々な交差長さを有しており、これが結果としての組織管の形状、長さ、及びその他の特徴に影響する。図4Bもまた交差角度(aC2)を示しており、この角度は組織貫通部材(406)と、組織貫通部材(406)がアンカ部材(400)と交差する位置に対して遠位であるアンカ部材(400)の領域によって形成される。交差角度(aC2)は、組織管形成デバイスの様々な変形例で異なっており、例えば、約20°乃至約45°、約30°乃至約90°、約90°乃至約150°であり、これを調整して、組織貫通部材とアンカ部材との間に所望の相互動作を得るようにすることができる。
【0057】
図面に示すように、図4Cのアンカ部材(400)は湾曲しており、多面領域間に3つの角度(a)、(a)及び(a10)を有する。より詳細には、遠位領域(412)と第1の中央領域(414)が角度(a)を形成しており、第1の中央領域(414)と第2の中央領域(416)が角度(a)を形成しており、第2の中央領域(416)と近位領域(418)が角度(a10)を形成している。いくつかの変形例では、角度(a)、(a)、及び(a10)のうちの少なくとも1つ(例えば、すべて)が、約10°乃至約45°、約30°乃至約90°、約90°乃至約150°、約135°乃至約175°(例えば、約168°)である。少なくとも2つの角度が互いに異なっているか、及び/又は少なくとも2つの角度が互いに同じであっても良い。更に、図に示すように、アンカ部材(400)は送達ガイド(408)に連結されて、この2つの構成部品がその間に(すなわち、近位領域(418)と送達ガイド(408)との間)に角度(a11)を形成するようにしても良い。所定の変形例では、角度(a11)が約10°乃至約45°、約30°乃至約90°、約90°乃至約150°、約100°乃至約170°であっても良い。
【0058】
領域(412)、(414)、(416)、及び(418)は、異なる長さであっても良く、これらの領域の少なくとも2つが同じ長さであっても良い。いくつかの変形例では、複数の領域を有するアンカ部材の全ての領域が同じ長さを有する。図4Dに示すように、遠位領域(412)は長さ(L)を有し、第1の中央領域(414)は長さ(L)を有し、第2の中央領域(416)は長さ(L)を有し、近位領域(418)は長さ(L)を有する。所定の変形例では、長さ(L)、(L)、(L)、及び/又は(L)は、約2mm乃至約6mmであっても良い。更に、図4Dを参照すると、送達ガイド(408)は、長さ(LD2)を有し、これは、例えば、約25mm乃至約100mmである。例えば、上述の長さは、管が形成される組織のサイズ(例えば、厚さ、長さなど)によって部分的に決まる。アンカ部材(400)の直径は、例えば、約0.5mm乃至約1.7mm(例えば、約1.1mm)であっても良い。また、アンカ部材(400)の直径は、ターゲット組織によって変わっても良い。
【0059】
上述したように、また図4E乃至4Gを参照してここに示すように、選択的に、アンカ部材は、アンカ部材の第1の湾曲面と区別される第2の面に一又はそれ以上の曲面を有している。特に、図4E及び4Fを参照すると、アンカ部材は、角度(a)、(a)、(a10)、及び(a11)を含む面にほぼ直交する第2の面に、更なる角度(a12)及び(a13)を有する。角度(a12)は、遠位部分(401)と近位部分(403)によって形成されており、例えば、約3°乃至30°、約10°乃至45°、約30°乃至約90°、約90°乃至約150°、約60°乃至約150°である。角度(a13)は、近位部分(403)と送達ガイド(408)によって形成され、例えば、約3°乃至約30°、約10°乃至約45°、約30°乃至約90°、約90°乃至約約150°、約45°乃至約150°である。いくつかの変形例では、アンカ部材(400)は一又はそれ以上の非平面曲面を有しており、これが十分な数の平坦屈曲部によって近似される。上述した角度は、非平坦曲面の平坦突出部を表わしており、複雑なジオメトリの領域を検査するのに有益である。
【0060】
代替的にあるいは追加として、アンカ部材(400)は追加平面において角度(a14)、(a15)、(a16)、及び(a17)を有しており、この角度は一般的に、図4G及び4Iに示すように、コークねじ構成を形成している。角度(a14)は、遠位領域(412)と第1の中央領域(414)によって形成されており、角度(a15)は、第1の中央領域(414)と第2の中央領域(416)によって形成され、角度(a16)は、第2の中央領域(416)と近位領域(418)によって形成されている。最終的に、角度(a17)は、近位領域(418)と送達ガイド(408)によって形成されている。いくつかの変形例では、角度(a14)は、約約3°乃至30°、約10°乃至45°、約30°乃至約90°、約90°乃至約150°、約60°乃至約150°である。角度(a15)は、約3°乃至約30°、約10°乃至約45°、約30°乃至約90°、約90°乃至約約150°、約45°乃至約150°であり、角度(a16)は、約3°乃至30°、約10°乃至45°、約30°乃至約90°、約90°乃至約150°、約45°乃至約150°であり、及び/又は、角度(a17)は、約3°乃至約30°、約10°乃至約45°、約30°乃至約90°、約90°乃至約約150°、約30°乃至約170°である。例えば、所定の変形例では、角度(a14)が約50°であり、(a15)が約120°であり、(a16)が約150°であり、及び/又は、(a17)が約120°である。いくつかの変形例では、上述の角度は、非平坦曲面の平坦突出部を表わしている。
【0061】
これらの角度は、図4E、4H、及び4Iに示すデバイスの平面図、底面図及び正面図から明らかなように、アンカ部材(400)の少なくとも一部が組織貫通部材(406)の一又はそれ以上の部分に巻きつくように選択される。複数の異なる平面における角度は、組織を位置決めして、組織貫通部材(406)が送達ガイド(408)から進むときにこの経路を案内する。例えば、図4Iでは、組織貫通部材(406)がアンカ部材(400)によって上、下、及び側部を取り囲まれており、組織貫通部材に対して組織を位置決めするのを助けている。アンカ部材(400)はまた、組織貫通部材が組織を貫通するときに、組織貫通部材がそれないようにするよう働く。
【0062】
上述した通り、図4C、4F、及び4Gに記載のアンカ部材(400)は、角度(a)乃至(a17)を有しており、これらの角度は一又はそれ以上の異なる平面に位置している。例えば、角度(a)乃至(a11)は、第1の平面に、角度(a12)乃至(a13)及び/又は角度(a14)乃至(a17)は第2の平面にある。ここで、第1及び第2の平面は異なる平面であり、いくつかの変形例では、互いに交差している。角度(a)乃至(a17)も、例えば、3、4、6、8といった2つ以上の異なる平面を占めている。例えば、各角度は、他の角度と別の、自身の異なる平面を占めている。交差角度(aC2)は、上述のその他の角度と異なる平面にあるか、あるいは、一又はそれ以上の角度をもつ共通平面にある。いくつかの変形例では、この異なる平面は一又はそれ以上のその他の平面と交差している、及び/又は、互いに対して平行であっても良い。異なる平面は、約0°乃至360°(例えば、約45°乃至270°、約90°乃至約180°)の角度で交差している。いくつかの変形例では、アンカ部材(400)は、ある平面に拘束されていない一又はそれ以上の非平面曲面を有しており、これは十分な数の平坦屈曲部によって近似される。角度と異なる平面の数、並びに平面の交差は、組織貫通部材の所望の度合いの制約に従って調整され、ターゲット組織(例えば動脈壁)中に特定の組織管を達成する。
【0063】
アンカ部材(400)の領域(412)、(414)、(416)、及び(418)の角度(a)乃至(a17)及び長さ(L)乃至(L)及び(LD2)は、送達ガイド(408)から組織貫通部材(406)の展開経路を形成する。このように組織貫通部材(406)によって形成された組織管の特徴は、ある程度、アンカ部材(400)の特徴によって決まる。例えば、血管壁を通る組織管が血管ルーメンに入るときの角度は、比較的浅い(例えば、約6°乃至約12°、約8°乃至約10°)か、比較的深く(例えば、約60°乃至約90°、約70°乃至約80°)、これはアンカ部材の寸法(例えば、角度及び長さ)によって部分的に決まる。アンカ部材の構成要素の角度と長さも、管が形成されるときに組織が操作される角度に影響する。これは、すなわち、管形成デバイスを除去するときに管が自己シールする速度に影響する。更に、組織貫通部材(406)は、アンカ部材(400)の上方をまず通過し、次いで、アンカ部材(400)の下方を通過する。このことにより、展開時に組織貫通部材(406)の経路をある程度方向づけて、これによって組織貫通部材(406)による意図しない変位を低減する。この結果、組織貫通部材を比較的正確に、予測可能な状態で、及び/又は再現可能に進めることができる。
【0064】
もちろん、アンカ部材(400)は、アンカ部材の一変形例に過ぎず、アンカ部材のその他の変形例を組織管形成デバイスに使用することができる。特定のアンカ部材の構成は、例えば、展開時に特別な方法で一又はそれ以上の組織貫通部材を案内するあるいは安定させるように選択することができる。一例として、アンカ部材は、特定のジオメトリ及び/又は厚さを有する組織を通って特定の組織貫通部材の展開経路を達成するように構成することができる。例えば、アンカ部材は第1の平面に所定数の角度を有しており、及び/又は、第2の平面に別の数の角度を有していても良く、及び/又は、上記の角度とサイズの異なる角度を有していても良い。いくつかの場合、アンカ部材のジオメトリを規定する平面及び/又は角度の数を増やして、組織貫通部材がターゲット組織(例えば動脈壁の組織)の表面を貫通するのではなく、組織を「通りこしてしまう」可能性を低減することができる。
【0065】
異なる平面における追加の角度も、特定の組織を通る経路を形成するのに必要なデバイスの手動調整(例えば、傾けるなど)の量を低減させる、あるいはなくすことができる。例えば、アンカ部材は複数角度を有しており、組織貫通部材の中央軸に沿って組織貫通部材を方向づけるらせんの形状に回る。所定の変形例では、アンカ部材の様々なセグメントの長さを変えて、所定の組織を通る結果としての組織貫通部材の経路を変更することができる。このようなアンカ部材の特徴を変えることによって、組織を通る組織貫通部材の様々なアプローチを行うことができる。例えば、アンカ部材の特徴によって、比較的薄い角度(例えば、約6°乃至約12°、約8°乃至約10°)、又は、比較的厚い角度(例えば、約60°乃至約90°、約70°乃至約80°)で組織管を形成することができる。所定の変形例では、アンカ部材は、所定の弾性又は硬さの組織内に管を形成するようなサイズと形状である。このことは、例えば、1つのアプローチで組織内の特定のターゲット部位へ容易にアプローチできず、別のアプローチがターゲット部位への容易なアプローチを提供する場合に重要である。例えば、異なるジオメトリの組織(例えば、比較的筒状の動脈対比較的楕円形状の胃)にアクセスするには、異なるアプローチ(例えば、異なる角度と長さの組織管)が必要である。
【0066】
図4A乃至4Iに示すアンカ部材(400)は、例えば、血管壁(例えば動脈壁)などの組織を通る規定されたアクセス経路を組織貫通部材(406)が追従するようにする。様々な数の湾曲部及び/又は曲率を有するアンカ部材のその他の変形例は、代替の組織貫通部材の経路(例えば、タイプの異なる組織を通る様々な管を形成するのに使用できる)を提供する。アンカ部材が流体フロー(例えば、動脈中の血液流)に接触する変形例では、アンカ部材は、例えば、流れを妨げるものを低減するようなストリームライン及び/又は形状をしている。
【0067】
アンカ部材は、単一材料で作っても良く、複数材料で作っても良い。いくつかの変形例では、アンカ部材が、そこを通って管が形成される組織にしっかり接触できるような一又はそれ以上の材料を具えている。例えば、アンカ部材は一又はそれ以上の合金(例えば、ステンレススチール、ニッケルチタン合金など)でできていても良く、及び/又は、一又はそれ以上のポリマ(例えば、カーボン充填サーモプラスチックポリマ、サーモセットプラスチック、エポシキ樹脂など)でできていても良い。更に、いくつかの変形例では、アンカ部材は、アンカ部材の表面がよりざらざらしている、及び/又は、組織により係合しやすいように表面を修飾していても良い。表面修飾は、超音波下での可視性を強化する。
【0068】
所定の変形例では、アンカ部材が機械加工したハイポチューブを具えている。いくつかの変形例では、アンカ部材を、スイス式旋盤で形成した二又はそれ以上の部品を組み立てて形成しても良く、スイス式旋盤で一体的に形成しても良い。代替的にあるいは追加として、アンカ部材を、機械的接合、フォーム継手、スクリュー継手、スナップ継手、接着、ろう付け、半田付け、溶融、熱接着などの二又はそれ以上の要素を用いて組み立てて形成しても良い。所定の変形例では、アンカ部材の少なくとも一部が中空である。例えば、アンカ部材は、一又はそれ以上のルーメン(例えば、一又はそれ以上の送達用治療薬剤及び/又は生理食塩水フラッシュ)を具えていても良い。アンカ部材が一又はそれ以上の湾曲部を具えているいくつかの変形例では、この湾曲部を、例えば、アンカ部材の本体が形成するときに形成しても良いし、本体を形成した後に形成するようにしても良い。例えば、湾曲部はアンカ部材の一又はそれ以上の部分を、屈折、加熱、溶融、曲げる、プレス、及び/又は成型することによってアンカ部材に導入することができる。
【0069】
いくつかの変形例では、上記に簡単に述べたように、アンカ部材に一又はそれ以上の表面修飾(例えば、アンカ部材とターゲット組織管の接触を強化するような)を行っても良い。例えば、アンカ部材は、一又はそれ以上の溝、畝、スロット、及び/又は、突出部を具える、及び/又は、アンカ部材の組織との摩擦相互作用を変える(適宜に、摩擦を増やすあるいは減らす)表面コーティングを行っても良い。
【0070】
いくつかの場合、アンカ部材が一又はそれ以上のスロット及び/又はその他の開口を具えている。これらの開口により、例えば、アンカ部材からの一又はそれ以上の治療薬剤を保存及び放出が可能となる。代替的にあるいは追加として、この開口によって、ある程度の柔軟性と操縦性が生じる。選択的に、アンカ部材の一又はそれ以上の部分がアンカ部材を通る一又はそれ以上のルーメンを具え、その他のアンカ部材は実質的に中実である。
【0071】
アンカ部材の近位部分は、適宜の技術によって送達ガイドに連結されている(例えば、図3A及び4Aを参照)。例えば、いくつかの変形例では、金属又は合金でできたアンカ部材と送達ガイドが互いに、溶接、フォーム継手、スクリュー継手、スナップ継手、ろう付け、半田付け、一又はそれ以上の接着剤で接合などで、連結されている。アンカ部材と送達ガイドは、互いに機械的に連結されていても良い(例えば、ヒンジなどを用いて)。所定の変形例では、アンカ部材と送達ガイドが互いに一体化されており、従って、連結の目的の更なる特徴は不要である。
【0072】
適当なタイプの組織貫通部材をここに述べたデバイス及び方法に用いることができ、いくつかの変形例では、複数の組織貫通部材が用いられている(例えば、デバイスは、2つの組織貫通部材を展開することができる)。いくつかの変形例では、組織貫通部材が、そこを通って様々なデバイス及び/又は治療薬剤を送達する一又はそれ以上のルーメンを具えていても良い。所定の変形例では、治療薬剤送達用のサイズと形状をした組織貫通部材の遠位端に、開口、スリット、あるいはポートがある。例えば、組織貫通部材は、組織を貫通するように構成した遠位端を有するカニューレの形状であっても良い。代替的に、実質的に中実の組織貫通部材を用いて、比較的小さな穿刺を行っても良い。例えば、組織貫通部材は、ランセットであっても良い。組織貫通部材の尖った遠位部分は、一又はそれ以上の鋭い端部を有し、及び/又は、最も遠位先端に単一の鋭利なポイントを有していても良い。鋭利な遠位部分は丸型であっても良く、あるいは、ほぼまっすぐでも良い。鋭利な遠位端のジオメトリとサイズは、形成する組織管のジオメトリとサイズに基づいて選択することができる。いくつかの変形例では、組織貫通部材が、ステンレススチールハイポチューブなどの生体適合性材料でできたハイポチューブを具えていても良い。組織貫通部材は、ほぼまっすぐであっても良く、所望の組織管を得るのに適した、一又はそれ以上の湾曲部分を有していても良い。
【0073】
組織管形成デバイスは、例えば、ターゲット部位にデバイスを正確に位置させるのに使用できる一又はそれ以上のリテーナを具えていても良い。例えば、図3A及び4Aは、リテーナ(302)及び(402)をそれぞれ具えるアンカ部材の変形例を示す図である。更に、図5A及び5Bは、リテーナ(500)の一変形例を詳細に示す図である。ここに示すように、リテーナ(500)は、リテーナ本体(506)と、連結構造(502)と、開口(504)及び(505)を具える。更に、リテーナ(500)は、アンカ部材(510)内のスロット(511)内へ及びこのスロットから弧を描くように形成されている。図に示す変形例では、スロット(511)は、リテーナのサイズと形状に合致するサイズと形状をしている。連結構造(502)は、例えば、回動点として働くヒンジを具えており、リテーナ(500)がスロット(511)内へおよびこのスロットの外へ回転できるようになっている。代替的にあるいは追加として、リテーナが更なる自由度で作動できるような一又はそれ以上の連結構造を用いることができる。このような連結構造の非限定的な例には、リテーナをスロット(511)に沿って横方向に移動させるスライドバーや、リテーナをスロット(511)内へ及びスロットの外に回転させて軸上を回転させるボールヒンジなどがある。連結構造(502)は、例えば、ステンレススチールや、ニッケルチタン合金(例えば、ニチノール)を含む適宜の材料で作ることができる。リテーナ本体(506)は、適宜の材料でできており、いくつかの場合、ステンレススチールハイポチューブで形成されている。所定の変形例では、以下に詳細に説明するように、リテーナ本体(506)が、その中を通ってケーブルを収納するルーメンを有している。
【0074】
リテーナ(500)は、複数の方法のいずれかで作動する。図5Bは、リテーナ(500)の動きを方向づけるのに使用される作動機構の一実施例を示す。この図に示すように、リテーナ本体(506)は、本体を通るルーメン(501)を具えており、このルーメンにケーブル(507)を収納する。ケーブル(507)は、ケーブル先端(508)からリテーナ本体(506)を通って、送達ガイド又はアクチュエータルーメン(図5Bには示さず)の遠位部分へ延びている。ケーブルチップ(508)は、テーパ付き本体(520)を有し、これがケーブル先端とリテーナ本体との間の連結を容易にしている。テーパ付き本体は、ケーブルが緩んだときに先端のリテーナ本体への係合を維持するのに役立つ。いくつかの変形例では、ケーブル先端がボールである。ケーブル(507)は、例えば送達ガイドの近位部分で作動し(例えば張力がかかったり、開放されたりする)、従って、リテーナ(500)の動作を方向づけることができる。例えば、ケーブル(507)は、図8M及び8Nに示すように、ハンドルのレバーに連結されている。
【0075】
ケーブル先端(508)は、その直径がルーメン(501)の直径より大きくなるようなサイズであっても良い。この結果、ルーメン(501)が、ケーブル先端(508)のストッパとして作用する。ケーブル先端(508)は、例えば、一又はそれ以上の金属、合金(例えば、ステンレススチール)、強度の高いポリマ、及び/又は、その他の適宜の材料で形成されている。いくつかの変形例では、ケーブル先端が、例えば、ケーブル先端の材料を溶融させて形成したボールの形状をしている。
【0076】
ケーブル(507)は、一又はそれ以上の金属、合金(例えば、ステンレススチール)、ポリマ(超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)又はアラミド芳香性ポリアミドファイバ)、及び/又は、スピン−押し出し材料(例えば、SPECTRAスピン−押し出しUHMWPEなどの、スピン−押し出しUHMWPE)などの、適宜の材料でできている。いくつかの場合、ケーブル(507)などのケーブルは、押し出し法によって形成することができる。代替的にあるいは追加として、ケーブルは、複数の個別の紐を編んで形成するようにしても良い。所定の変形例では、一又はそれ以上のポリマ(例えば、強度の高いポリマ)をケーブルの上にモールドしている。
【0077】
ケーブル(507)は、通常、ケーブル先端(508)に(例えば、溶接、接着剤による接合、クリンプなどによって)しっかりと連結されている。ケーブル(507)に張力がかかると、ケーブル先端(508)がリテーナ本体(506)の方に引っ張られる。ケーブル先端(508)は、先端の径がルーメンの径より大きいので、ケーブル先端がルーメンに対して止まるまでルーメン(507)内に引き込まれる。更なる張力が、リテーナ(500)を連結構造(502)の周りを回動する力を与え、これによって、リテーナをスロット(511)から図5Aに示す位置へと全体的に引っ張る。ケーブル(507)に係る張力を開放することで、図5Bに示すものと同様に、ケーブル先端(508)がリテーナ本体(506)から離れて、リテーナ(500)をスロット(511)に向けて回動させる。リテーナがアンカ(510)のスロット(511)内、すなわち停止位置にあるとき、張力の開放によるケーブル(507)の伸びが、リテーナをスロット(511)に保持するように働く。この停止位置では、低減されたケーブルの張力によって、ケーブル先端(508)をリテーナ本体(506)から遠くへ延ばし、これが、スロット(511)の内側エッジをとらえる一方、ルーメン(501)内にテーパ付き本体(520)の一部を維持し、従って、リテーナをスロット内に維持する。停止位置を維持することが、アンカ部材のプロファイルをより小さくすることに寄与し、よって、使用中にアンカ部材による組織にダメージが生じる可能性が低減される。リテーナ(500)を稼働させるその他の機構を使用して、リテーナの動きを、組織管形成デバイスの一般的な動作に適合させるようにしても良い。
【0078】
上述したように、アンカ部材の近位部分を送達ガイドに連結しても良い。送達ガイド(600)の一の変形例が、図6A乃至6Cに示されている。まず、図6Aは、送達ガイド(600)の斜視図を示す。ここに示すように、送達ガイド(600)は、遠位部分(602)、ネック(604)、及びシャフト(606)を具えている。送達ガイド(600)は、また、その中を縦に通るルーメン(図示せず)を具え、このルーメンは、遠位部分(602)の遠位端で組織貫通部材ポート(603)と流体連通している。送達ガイドのいくつかの変形例は、また、シャフト(606)の近位側部分にサイドポートを具えており、このサイドポートは、流体(例えば、血液、間質液など)を送達ガイドの外に再度方向づけるようなサイズと形状をしている。このサイドポートは、ホール又はスリットであっても良い。組織貫通部材(図示せず)は、送達ガイド(600)のルーメン内に収納されており、組織貫通部材ポート(603)を通って制御可能に前進できる。
【0079】
遠位部分(602)、ネック(604)、シャフト(606)のうちの少なくとも2つあるいは全ては、互いに一体であっても良く、あるいはこれらのうちの少なくとも2つあるいは全てが、個別に形成されて、互いに連結されていても良い。遠位部分(602)、ネック(604)、及び/又はシャフト(606)は、同じ材料でできていても良く、あるいは、これらのうちの少なくとも1つが他のものと異なる材料でできていても良い。いくつかの変形例では、遠位部分(602)、ネック(604)、及び/又はシャフト(606)は、物理的及び構造的特徴(例えば、柔軟性、不透過度、耐性など)が異なる、各部分の機能に適した様々な材料でできていても良い。例えば、遠位部分(602)とシャフト(606)は、比較的硬い材料(例えば、ステンレススチール)でできており、ネック部分(604)は、比較的柔軟な材料(例えば、シリコーン)でできていても良い。代替的に、遠位部分(602)、ネック(604)、及びシャフト(606)は、全て同じ材料(例えば、ステンレススチール)でできていても良く、及び/又は、全て比較的硬質あるいは柔軟であっても良い。追加として、いくつかの変形例では、ネック部分(604)及び/又はシャフト(606)が一又はそれ以上の構造(例えば、スリット)を具え、ある程度柔軟性があるようにしても良い。
【0080】
図6B及び6Cは、それぞれ、送達ガイド(600)の側面及び平面図である。図に示すように、遠位部分(602)、は長さ(L)と寸法(D)(例えば、断面直径)を有する。いくつかの変形例では、長さ(L)は約5mm乃至約25mmであり、及び/又は寸法(D)は、約0.7mm乃至約3mm(例えば、約1.5mm乃至約2mm)である。ネック(604)は、長さ(L10)を有し、これは、例えば、約1mm乃至約5mm(例えば、約2mm乃至約4mm)である。図6A乃至6Cに示す変形例では、ネック(604)が遠位側の一方の厚さから近位側の第2の厚さへテーパが付いている。より詳細には、図6Cに示すように、ネック(604)の近位部分が寸法(D)(例えば、断面直径)を有し、ネック(604)の遠位側部分は、寸法(D)(例えば、断面直径)を有する。いくつかの変形例では、寸法(D)は、約0.5mm乃至約2mm(例えば、約1mm乃至約1.5mm)であり、及び/又は、寸法(D)は、約0.7mm乃至約3mm(例えば、約1mm乃至約2mm)である。
【0081】
上述の長さは、部分的に、管を形成する組織のサイズ(例えば、厚さ、長さなど)によって決定され、例えば、上述の例示的寸法より大きくても、小さくても良い。所定の変形例では、寸法(D)は、シャフト(606)の厚さに合致する。もちろん、ここには示していないが、その他の構造を有するネックを適宜使用するようにしても良い。例えば、いくつかの変形例では、送達ガイドが均一の厚さを有するネック、及び/又は、送達ガイドの遠位部分及び/又はシャフトと異なる厚さを有するネックを具えていても良い。追加として、送達ガイドは一以上の適宜のテーパ部分を具えていても良い。
【0082】
図6B及び6Cを参照すると、シャフト(606)は長さ(L11)を具え、これは、例えば約25mm乃至約100mm(例えば、約50mm乃至約75mm)であり、約0.5mm乃至約3mm(例えば、約1mm乃至約2mm)の寸法(D)(例えば、断面直径)を有する。ここには示していないが、送達ガイドの遠位部分及び/又はシャフトは、その他の変形例では一以上の厚さを有していても良い。
【0083】
送達ガイド(600)の遠位部分(602)は、予め形成した湾曲部分を有し、この部分の湾曲角度は(a20)である(図6B)。いくつかの変形例では、角度(a20)は約10°乃至約45°、約30°乃至約90°、約90°乃至約150°、約15°乃至約60°である。角度(a20)を調整して、例えば、ターゲット組織において組織貫通部材を所望するように展開させるようにしても良く、この角度は、深い、中程度である、あるいは浅くても良い。いくつかの変形例では、送達ガイドは、一以上の予め形成された湾曲部を有する遠位部分を、一又はそれ以上の平面に有する。代替的にあるいは追加として、送達ガイドは、一又はそれ以上の平面に一又はそれ以上の予め形成された曲面を有するネック及び/又はシャフトを具えていても良い。この湾曲部は、例えば、組織を通る一又はそれ以上の管の形成を容易にする。所定の変形例では、(例えば、組織管形成デバイスの使用中に)送達ガイドの湾曲部の湾曲角度を調整することができる。例えば、送達ガイドは、送達ガイドの一又はそれ以上の部分を変異させるのに使用できる一又はそれ以上の部材を具えていても良い。いくつかの変形例では、送達ガイドは、一又はそれ以上の比較的柔軟な材料でできた部分(例えば、遠位部分)を具えており、この部分が使用中に湾曲して組織に一致することができるようになっている。
【0084】
送達ガイド(600)はそれを通るルーメン(図示せず)を具えている。組織貫通部材(図示せず)は、このルーメン内に収納されており、組織貫通部材ポート(603)を通って送達ガイドの遠位部分で出てゆく。送達ガイド(600)は、一の組織貫通部材ポート(603)を有するものとして記載されているが、送達ガイドのいくつかの変形例は、2、3、4、あるいは5の組織貫通部材ポートといった、複数の組織貫通部材ポートを有していても良い。このことによって、例えば、組織貫通部材が様々な位置で展開することができるようになり、あるいは、特定の組織貫通部材用に展開位置を調整することができる。
【0085】
所定の変形例では、作動ケーブルも、送達ガイドのルーメン内に少なくとも部分的に収納されている。例えば、図6D及び6Eは、送達ガイド(620)と作動ケーブル(621)を具える組織管形成デバイス(660)の一変形例を示す。作動ケーブル(621)の遠位端は、デバイス(660)のアンカ部材(619)から延在しているリテーナ(616)の先端部分(618)に連結されている。作動ケーブル(621)は、アンカ部材(619)を通って、スリット(617)を介してアンカ部材から出ており、この地点で作動ケーブル(621)が送達ガイド(600)の送達ガイドシャフト(622)の外側に沿って横断している。作動ケーブル(621)は、次いで、開口(623)を介して送達ガイドシャフト(622)のルーメン(624)へ入り、デバイスの近位部分(例えば、作動ハンドル)に達するまでルーメンを通って、ここで、作動ケーブルにかかる張力を調整することができる。
【0086】
図6Eは、送達ガイド(620)の断面図であり、楕円形状をしたルーメン(624)に収納された作動ケーブル(621)と組織貫通部材(626)の双方を示す。ルーメン(624)の楕円形状は、例えば、ルーメンが作動ケーブルと組織貫通部材の双方を、使用中にこれらの間で実質的な接触あるいは緩衝が生じないように収納するのに役立つ。しかしながら、楕円形状がここに示されているが、送達ガイドのその他の変形例は、別の適宜の断面形状を有していても良い。更に、作動ケーブル(621)と組織貫通部材(626)の双方を収納するのに一のルーメン(624)が示されているが、デバイスのいくつかの変形例は、二又はそれ以上のルーメンを具え、作動ケーブルと組織貫通部材をそれぞれ別のルーメンに配置するようにしても良い。例えば、図6Fは、ルーメン(625)と、このルーメン内に配置され自身のルーメン(629)を有する筒状部材(628)を具える送達ガイドを示している。筒状部材(628)は、例えば、ルーメン(625)の壁に固定されていても、ルーメン(625)内で自由に移動できるようにしても良い。作動ケーブルと組織貫通部材を別々のルーメンに収納することで、例えば、作動ケーブルと組織貫通部材の間に不用意な接触が生じないようにできる。例えば、組織貫通部材から作動ケーブルを隔離することで、組織貫通部材によって作動ケーブルが偶発的に切れることを防止できる。代替的に、作動ケーブルと組織貫通部材の両方を共通のルーメンに収納することで、比較的シンプルな送達ガイドの設計が可能になる。
【0087】
ルーメン(624)、(625)、及び(629)は、例えば、作動ケーブル(621)及び/又は組織貫通部材(626)のサイズ及び形状に応じた、適宜のサイズ及び形状である。作動ケーブルと組織貫通部材を収納する所定の構造について述べたが、その他の構造も適宜用いることができる。
【0088】
組織貫通部材(626)などの組織貫通部材は、好適な構造又は形状を有している。一例として、組織貫通部材は、図6Eに示すような断面楕円形状を有していても良く、あるいは、図6Fに示すように断面がほぼ円形であっても良く、その他適宜の形状を有していても良い。更に、組織貫通部材の形状は、この部材が配置されているルーメンの形状と合致している必要はない。例えば、断面楕円形のルーメンに配置されている組織貫通部材が、円形断面を有していても良い。一般的に、組織貫通部材は、組織を貫通する又は切断するのに適した(例えば、鋭利な、丸い、尖ったなど)遠位先端を有している。組織貫通部材は、中実であっても良く(図6E及び6Fに記載した組織貫通部材と同様に)、いくつかの変形例では、組織貫通部材の少なくとも一部がそこを通る一又はそれ以上のルーメンを有していても良い。組織貫通部材は、例えば、組織貫通部材が配置されている送達ガイドの曲率に合致する一又はそれ以上の湾曲面を有する形状であっても良い。代替的に、組織貫通部材は、ほぼまっすぐ(すなわち、約180°の湾曲角度を有する)であっても良い。いくつかの変形例では、組織貫通部材がハンドル又は押出部材(例えばプランジャ)などの作動機構(例えば、その近位端で)に連結されている。
【0089】
送達ガイドの別の変形例が、図6G及び6Hに記載されている。ここに示すように、組織管形成デバイス(660)は、そこを通るルーメン(644)を具える送達ガイド(640)と、ルーメン(644)内に配置された組織貫通部材(626)を具える。組織管形成デバイス(660)は、また、ケーブル先端(618)から組織管形成デバイス(660)のアンカ部材(619)を通って延在する作動ケーブル(621)を具える。作動ケーブル(621)は、スリット(617)を介してアンカ部材(619)から出て、筒状部材(648)の作動ルーメン(649)に入る前に送達ガイド(640)のシャフト(642)の外側を通過する。筒状部材(648)は、送達ガイド(640)のシャフト(642)の外側面に連結(例えば溶接)されており、例えば、ハイポチューブで形成されている、及び/又は一又はそれ以上の金属及び/又は合金で、及び/又はその他の好適な材料でできている。図に示すように、組織貫通部材(626)は、シャフト(642)のルーメン(644)内に収納されている。
【0090】
図6Iは、組織管形成デバイス(661)の別の変形例を示す。図に示すように、組織管形成デバイス(661)は、送達ガイド(640)と、送達ガイド(640)の外側面に連結された半筒状部材(650)を具える。断面がほぼ円形であるというよりは、半筒状部材(650)はいくらかU字型断面を有する。半筒状部材(650)はまた、作動ケーブル(621)を収納する作動ルーメン(651)を具える。いくつかの変形例では、半筒状部材(650)は、製造工程において、送達ガイド(640)のシャフトに型打ちされている。半筒状部材の使用は、例えば、デバイス(661)の全プロファイルを比較的低く維持するのに役立つ。
【0091】
別々に形成した筒状部材あるいは半筒状部材と送達ガイドに付いて述べたが、いくつかの変形例では、デバイスが一体的に形成した筒状部材と送達ガイドを具えている。
【0092】
組織管形成デバイスは、例えば、装置を作動させる、制御する、位置決めする、及び/又は操縦するのに使用する一又はそれ以上のハンドルを具えていても良い。どのような適宜に設定されたハンドルを使用しても良い。一例として、図7Aは、送達ガイド(700)とハンドルハウジング(708)を有するハンドル(720)を具える組織管形成デバイス(709)の一部を断面で示す。送達ガイド(700)は、開口(702)を有する近位部分を具え、デバイス(709)は開口(702)の位置に送達ガイド(700)の一部を包むマーカポート(703)を具える。マーカポート(703)は、開口(702)と流体連通する開口(721)を具え、例えば、ポリマーオーバーモールド工程又はその他の好適な方法によって形成することができる。開口(702)のサイズと形状は、例えば、オーバーモールド工程の間にポリマが送達ガイドに入る可能性を制限するように選択されており、いくつかの変形例では、マーカポート(703)がオーバーモールド工程で形成されている。いくつかの変形例では、ここに示すように、オーバーモールドしたマーカポートが、マーカポートのハンドルハウジングに対する動きを制限するストップ部分(704)を具えている。図に示すように、マーカポート(703)と送達ガイド(700)の近位側部分は、ハンドルハウジング(708)内に固定されている。ストップ部分(704)は、マーカポート(703)と送達ガイド(700)の位置をハンドルハウジング(708)内に固定し維持するよう働く。更に、いくつかの変形例では、送達ガイド(700)がストップ部分(704)に固定的に連結されており、送達ガイド(700)はストップ部分(704)内で回転できない。更に、いくつかの変形例では、送達ガイド(700)が、その他の構成要素及び/又は方法(例えば、機械的接合、フォーム継手、スクリュー継手、スナップ継手、接着剤による接着、ろう付け、半田付け、溶接、熱接着など)によってハンドルハウジング(708)内に固定され位置決めされている。
【0093】
マーカポートストップ部分と送達ガイドを組み合わせたもう1つの変形例を図7Bに示す。ここに示すように、ストップ部分(714)とワッシャ(715)は、互いに、送達ガイド(700)とマーカポート(713)の位置を固定している。いくつかの変形例では、ワッシャ(715)が送達ガイドに取り付けられており、ストップ部分(714)がマーカルーメンに取り付けられている。ワッシャ(715)が、例えば送達ガイドに溶接されることによって、送達ガイド(700)に連結されても良い。代替的にあるいは追加として、ワッシャ(715)は、送達ガイドに半田付け、フォーム継手、スクリュー継手、スナップ継手、接着、ろう付けなどで連結しても良い。これによって、送達ガイドをハンドル(708)内に保持できる。ストップ部分(714)は、マーカルーメンを送達ガイドに整列させる。ワッシャ(715)のサイズと形状は、例えば、マーカポート(713)と送達ガイド(700)をハンドルハウジング(708)内に固定的に位置決めする働きをする。
【0094】
図7Aを参照すると、送達ガイド(700)は開口(705)を具えており、この開口によって組織貫通部材(706)を送達ガイドのルーメンに挿入して、組織貫通部材が送達ガイド内で摺動可能となる。組織貫通部材(706)の長さは、その遠位端(図示せず)が送達ガイドの遠位部分にある組織貫通部材ポートから延在するように選択される。組織貫通部材(706)は、例えば、プランジャなどの押し出し機構及び/又は引張機構を用いて作動する(すなわち、送達ガイド内へ進む)。
【0095】
上述した通り、送達ガイドは、送達ガイドのルーメンへのアクセスを提供する側部開口(例えば、図7Aにおける開口(702))を具えている。いくつかの変形例では、送達ガイドにオーバーモールドされたあるいはこの上に形成されたマーカポートが、側部開口に整列したチャネル又はその他の開口を具える。このようなマーカポートと側部開口の組み合わせの一変形例が図7Cに示されている。図7Cの部分断面図に示すように、マーカポート(713)は組織貫通部材(706)を収納している送達デバイス(700)の上にオーバーモールドされている。マーカポート(713)は、開口(736)で終端しているチャネル(732)を含む突出部(734)を具える。突出部(734)は、適宜のサイズと形状を有している。例えば、この突出部は、テーパが付いており(図7Cに示すように)、及び/又は、シリンジ又はチューブとインターフェースを取るあるいはこれに合致する標準的形状を有していても良い(例えば、突出部は、オス型又はメス型ルアーフィッティングの形状に合致するようにテーパが付いていても良い)。いくつかの変形例では、突出部(734)は代替的にあるいは追加として、一又はそれ以上の追加構成部品にねじ込むのに適したねじを具えていても良い。図7Cに示すように、突出部(734)は、例えば、約6mm乃至約20mmの長さL12を有している。上述した通り、送達ガイド(700)の開口(702)は、チャネル(732)と整列している。この整列によって、開口(736)から、チャネル(732)を通り、開口(702)を介して送達ガイドにアクセスすることができる。
【0096】
組織管形成デバイスのいくつかの変形例は、中に少なくとも一のルーメンを有する一又はそれ以上の組織貫通部材を具える。このルーメンは、例えば、一又はそれ以上の治療薬剤及び/又はその他のデバイス(例えば、ガイドワイヤ)の送達に使用することができる。例えば、図7Cに示すように、組織貫通部材(706)は、側部開口(744)と複数の側部スロット(742)を具えている。開口(744)は、例えば、モールディング工程中に組織貫通部材(706)をマーカポートに整列させるために、製造工程中に整列構造として使用することができる。送達ガイド及びチャネル(732)の側部開口(702)は、側部スロット(742)及び/又は側部開口(744)の一又はそれ以上と整列しており、これによって、組織貫通部材のルーメンから開口(736)へ流体連通を提供している。
【0097】
組織貫通部材(706)は、所定数の側部スロットを有するものとして記載されているが、組織貫通部材は、5、10、20、30、50などの側部スロットなど、適宜数の側部スロットを有していても良い。いくつかの変形例では、組織貫通部材の側部スロットの数は、組織貫通部材の長さを超えて組織貫通部材のルーメンへアクセスできるように選択することができる。組織貫通部材が送達ガイド内で摺動するように構成されている所定の変形例では、組織貫通部材の長さに沿った側部スロットの数が、組織貫通部材が移動する距離に対応する。スロットが記載されているが、その他の変形例では、スリット、メッシュ、及び/又は何らかの流体透過材料又は構造を、代替的にあるいは追加として用いるようにしても良い。複数の側部スロットは、組織貫通部材ルーメンを通って配置されたガイドワイヤを案内する。いくつかの変形例では、側部スロットを伴う組織貫通部材を、モールディング、鍛造、及び/又はハイポチューブ針からの側部スロットの切断によって、形成することができる。所定の変形例では、組織貫通部材の側部スロットの数、サイズ、及び/又は形状は、組織貫通部材ルーメン内の流体経路及び/又はデバイスと、スロットが干渉しない。組織貫通部材(706)は、また、組織貫通部材ルーメンとマーカポートとの間を流体連通させる、単一の連続した側部スロットを有していても良い。この単一の側部スロットは、組織貫通部材ルーメンを通って配置されたガイドワイヤを十分に案内する一方で、ガイドワイヤがルーメンを離れることを防止する形状(例えば、ジグザグ形状)であっても良い。
【0098】
上述した通り、組織貫通部材(706)は、送達ガイド(700)内で摺動可能である。図7Dに示す変形例では、組織貫通部材(706)の近位部分が、それを移動させる押出部材(図に示すように、プランジャ(750))に連結されている。組織貫通部材(706)は、オーバーモールド、機械的接合、フォーム継手、スクリュー継手、スナップ継手、接着剤による接合、ろう付け、半田付け、溶接、熱接着などといった適宜の方法のうちのいずれかによってプランジャ(750)に取り付けられている。更に、プランジャは適宜の構造を有していても良い。例えば、図7Dに示すように、プランジャ(750)は、グリップ(752)、プランジャシャフト(754)、第1のフランジ(756)、第1のフランジ先端(757)、及び、第2のフランジ(758)を具える。グリップ(752)は、人間工学的なサイズと形状をしている。例えば、グリップ(752)は、親指を容易に収納する、あるいは、以下に説明するように追加のデバイスとインターフェースを取るようなサイズと形状である。プランジャ(750)のいくつかの変形例は、組織貫通部材の取付点から、プランジャシャフト(754)を通って、グリップ(752)まで延在する少なくとも一のルーメン(図示せず)を具え、プランジャのルーメンが組織貫通部材(706)と流体連通するようにしている。図7Dに示すように、組織貫通部材(706)とプランジャ(750)は、少なくとも部分的にハンドルハウジング(708)に保持されている。図7Dにも示すように、マーカポート(703)は、送達ガイド(700)の上にオーバーモールドされており、ストップ部分(714)を用いて、マーカポート(703)と送達ガイド(700)を固定し、従って、保持構造(762)によって固定される。マーカポートは、送達ガイドの上にオーバーモールドされているが、マーカポートと送達ガイドは、送達ガイドをマーカポート内に保持する適当な方法を用いて連結することができる。
【0099】
上述したように、プランジャ(750)のいくつかの変形例は、少なくとも一のルーメンを具えている。このルーメンは、例えば、組織貫通部材の取付点から、プランジャシャフト(754)を通って、グリップ(752)へ延在している。図7Eは、ルーメンを具えるプランジャ(750)を示している。特に、この図に示すように、プランジャ(750)は、プランジャシャフト(754)を具えており、ハンドルハウジング(708)内に少なくとも部分的に保持されている。プランジャシャフト(754)は、プランジャシャフトの近位端(781)において、開口(776)で終端しているルーメン(図示せず)を具えている。使用中に、組織貫通部材(図示せず)は、プランジャシャフト(754)に取り付けられて、組織貫通部材のルーメンとプランジャシャフト内のルーメン間を流体連通させている。
【0100】
いくつかの実施例では、開口(776)は、シリンジ(780)の開口(782)など、シリンジの開口を収納するサイズと形状を有している。例えば、シリンジの開口(782)は、プランジャの開口(776)に対して機械的に対応しており、これらの2つの開口は、互いに機械的に連結できる(例えば、Luer−lok(商標)、Luer−slip(商標)、ロック継手、スナップ継手、摩擦継手によって)。シリンジ(780)がプランジャ(750)に連結されると、組織貫通部材とプランジャ(750)のルーメン、並びにシリンジ(780)のバレルが、結果として互いに流体連通する。シリンジバレル(784)は、例えば、プランジャ(750)を介して、組織貫通部材のルーメンに、送達ガイドに、及び組織に導入するのに適した適宜の材料(例えば、流体又はガス成分)を含んでいる。例えば、いくつかの変形例では、シリンジバレル(784)が生理食塩水フラッシュ溶液、一又はそれ以上の治療薬剤、一又はそれ以上のガス(例えば、酸素、二酸化炭素、窒素)、一又はそれ以上の造影剤などを含んでいても良い。これらの物質を組織に導入する速度は、手動で調整するか、コンピュータやその他の機構で調整することができる。代替的にあるいは追加として、開口(776)を用いて、ターゲット組織あるは新たに形成した組織管に一又はそれ以上のデバイスを導入することができる。例えば、一又はそれ以上のカテーテルベースのデバイスを開口(776)を介して、組織貫通部材を介して、組織に送達することができる。いくつかの変形例では、ガイドワイヤを開口(776)に挿入する。開口(776)は、丸い形状を有するものとして図7Eに示されているが、このような開口は、ルアー型継手に合致するテーパ付き形状など、適宜の形状であっても良い。いくつかの変形例では、開口(776)とリング構造(778)を、相補形状を有するデバイスと機械的係合を作る構成としても良い。
【0101】
上述した通り、所定の変形例では、組織貫通部材とプランジャアッセンブリが、少なくとも部分的にハンドルハウジング内に収納されている。いくつかの変形例では、ハウジング内の追加の構成部品が組織貫通部材及び/又はプランジャの作動を調整する。ハンドルハウジングとハンドル部品の一変形例が図8Aに示されており、この図は、組織管形成デバイス(800)の近位部分の断面を提供している。ここに示すように、ハンドルハウジング(803)は、レバー開口(801)と、ブラケット(804)と、取付用突出部(833)と、保持構造(806)を具える。いくつかの変形例では、ハンドルハウジング(803)は、単一の成型シェルの形をしており、他の変形例では、ハンドルハウジング(803)は、互いに連結された二又はそれ以上の成型シェルを具えている。ブラケット(804)は、突出部(805)を具えており、これを用いて、例えば、ハンドルハウジング(803)の複数の部品を互いに連結することができる(例えば、スナップ継手、又は摩擦継手によって)。代替的にあるいは追加として、ハンドルハウジングに構造(ねじ付き開口、溝、突出部、ホックなど)が設けられており、複数の部品が、機械的接合、フォーム継手、スクリュー継手、スナップ継手、接着剤による接合、ろう付け、半田付け、溶接、熱接着などによって、互いに連結されている。
【0102】
ハンドルハウジング(803)用に適した材料の例には、ポリアセタール(例えば、DELRIN(登録商標)アセタール樹脂)、ポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、TEFLON(登録商標)ポリマ)、ポリイミド、ナイロン、シリコーン、SANTOPRENE(登録商標)サーモプラスチック加硫物、及びポリビニル塩化物(PVC)などのポリマが含まれる。あるタイプ又は族のポリマは、様々なデュロメータ硬さで入手可能であり、この場合、所望の特徴に合った適宜のポリマを使用する。比較的硬質の材料の例は、PEEK、PEKK、ABS、又はシリコーンであり、比較的柔軟な材料の例は、シリコーン、SANTOPRENE(登録商標)サーモプラスチック加硫物、PEAX(登録商標)ポリマである。もちろん、これらは例示の材料に過ぎず、その他の比較的硬い、あるいは比較的柔軟な材料も、適宜使用することができる。
【0103】
更に、特別に柔軟あるいは硬質ではない材料を使用することができる。更に、いくつかの変形例では、異なる材料の組み合わせ(例えば、混合物)を使用することができる。例えば、ポリマのブレンドを使用することができ、一又はそれ以上のポリマと充填材料(グラスファイバ及び/又は粒子、カーボンファイバなど)の合成物を使用することができる。例えば、シリコーンオイル及び/又はPTFEなどの潤滑剤を様々な構成部品(例えば、プランジャ及び/又はレバー又はアクチュエータ)に加えて移動部品間の摩擦相互作用を低減することができる。
【0104】
再度図8Aを参照すると、デバイス(800)は、ハンドルハウジング(803)内に部分的に保持されているレバー(802)を具えており、このレバーは、ハンドルハウジング内のレバー開口(801)から突出している。デバイス(800)はまた、マーカポート(830)、送達ガイド(832)、組織貫通部材(820)、及びプランジャ(826)を具えており、これらはすべて、ハンドルハウジング(803)によって部分的に保持されている。プランジャ(826)は、第1のフランジ(821)と、第1のフランジ先端部(822)と、第2のフランジ(828)を具える。いくつかの変形例では、第1のフランジ(821)が第2のフランジ(828)より長くても良い。図8Aに示すように、第1のフランジ先端部(822)が、平行四辺形の形状をしている。しかし、第1のフランジ先端部は適当な形状を有していても良い。レバー(802)は、ノッチ(835)と、ストップアーム(836)と、ストップアームベース(837)と、ストップアームヘッド(383)を具えている。保持ケーブル(ここには図示しないが、図5B及び6D乃至6Iを参照)は、ストップアームベース(837)の一部、及び/又は、ストップアームヘッド(838)の一部に取り付けられている。使用中に、レバー(802)を作動させて、ストップアーム(836)と、ストップアームベース(837)と、ストップアームヘッド(838)を移動させ、これを用いて、同様に、取り付けた保持ケーブルを作動させることができる。
【0105】
デバイス(800)は、さらに、ハンドルハウジング(803)内に配置して、取付用突出部(833)とレバー(802)のノッチ(835)に連結されたばね(834)を具える。いくつかの変形例では、ばね(834)は、図に示す位置へレバー(802)をバイアスするばね定数を有する。
【0106】
ハンドルハウジング(803)と上述した構成部品を用いて、デバイス(800)の使用中に、送達ガイド(832)内におけるプランジャ(826)と組織貫通部材(820)の動きを調整することができる。もちろん、ハンドル及び作動機構のその他の適宜の変形例も使用することができる。
【0107】
図8B乃至8Eは、プランジャ(826)と組織貫通部材(820)の作動中に、ハンドルハウジング(803)によって保持されているデバイス(800)の構成部品の様々な構成と配置を示す。
【0108】
まず、図8Bは、レバー(802)の位置が、矢印(851)の方向におけるプランジャ(826)もしくは組織貫通部材(820)の動きをブロックしている構成(860)を示す。構成(860)にあるように、ストップアームヘッド(838)がプランジャを邪魔する位置にあるとき、プランジャ(826)は、矢印(851)の方向へ前進することが妨げられる。ストップアームヘッド(838)は、プランジャ(826)の第2のフランジ(828)とハンドル内の湾曲したランプ(808)と接触することによって、プランジャ(826)の移動を妨げる。ばね(834)は、レバー(802)が図8Bに示す位置に保持されるようにバイアスされており、例えば、約6mm乃至約20mmの長さL13を有する。例えば、上述の長さは、管を形成する組織のサイズ(例えば、厚さ、長さなど)によって部分的に決まる。デバイス(800)が構成(860)にあると、組織貫通部材(820)が組織内に作動することが妨げられる。構成(860)は、例えば、組織内の管の形成の前の、デバイス全体の初期構成であっても良い。
【0109】
図8Cは、ハンドルハウジング(803)の構成部品の別の構成(861)を示す。いくつかの変形例では、構成(861)は、レバー(802)を矢印(852)の方向に進めることによって、構成(860)から得られる。レバー(802)を矢印(852)の方向に進めることで、ストップアームヘッド(838)が同じ方向に移動し、ばね(834)を、例えば、約11mm乃至約25mmの長さL14に伸長させる。この方法でレバーを進めることによって、レバーがハンドルの突出部をとらえ、後に詳細に説明するように、その位置を維持することができる。通常は、長さL14は、構成(860)の長さL13より長い。ストップアームヘッド(838)が矢印(852)の方向に移動すると、湾曲したランプ(808)がストップアームヘッドをプランジャ(826)の第2のフランジ(828)から離れる方向へ変位させる。湾曲したランプ(808)は、ストップアームヘッド(838)を第1のプランジャ妨害位置と第2のプランジャ通過位置の両方において維持する形状をしている。例えば、湾曲したランプ(808)は、後に詳細に述べるように、角度の付いたクエスチョンマークの形状でハンドルハウジング(803)内にモールドすることができる。ストップアームヘッド(838)が、図8Cに示すような第2のフランジ(828)の一方の側部に沿って配置されている場合、プランジャ(826)の経路は邪魔されないので、ヘッドはプランジャ通過位置にあり、これによって、プランジャ(826)を進めることができる。レバー(802)を矢印(852)の方向に進めることで、リテーナが作動する。例えば(図5Aを参照して)、レバー(802)を上述したように移動させることでケーブル(507)に張力がかかり、スロット(511)の外でリテーナ(500)が回動する。この構成は、リテーナを管形成のために組織に係合及び/又は固定するよう位置決めする。
【0110】
図8Dは、ハンドルハウジング(803)内の構成部品の別の構成(862)を示す図であり、この構成は、例えば、プランジャ(826)を矢印(853)の方向に進めることで、構成(861)から得ることができる。矢印(853)の方向にプランジャ(826)を進めることで、組織貫通部材(820)が送達ガイド(832)内へ、同じ方向に進む。プランジャ(826)を前進させることで、第1のフランジ先端部が矢印(853)の方向に進むと、第1のフランジ先端部(822)をハンドルハウジング(803)の中央線(807)に向けて及びこれに沿って(すなわち、レバー(802)から遠ざかって)移動させる。構成(862)のいくつかの変形例では、組織貫通部材(820)が組織貫通位置にある。更に、ばね(834)が、例えば約11mm乃至約25mmの長さL15を有する。所定の変形例では、長さL15は、長さL14と同じである(図8C)。
【0111】
図8Eは、ハンドルハウジング(803)の構成部品の構成(863)を示しており、この構成は、プランジャ(826)を矢印(854)の方向に戻すことによって構成(862)から得られる。矢印(854)の方向にプランジャ(826)を戻すことによって、レバー(802)が矢印(855)の方向に移動して、これによって、ストップアームヘッド(838)がプランジャ妨害位置へ引っ張られる(図8Bに示す位置と同様)。プランジャ(826)を引っ張ることによって、第1のフランジ先端部が矢印(854)の方向に引っ張られるときに、第1のフランジ先端部(822)がレバー(802)の方向へ移動する。第1のフランジ先端部(822)が引っ張られると、レバー(802)の一部に接触してこれを移動させ、レバー(802)が矢印(855)の方向に開放される。ここでは、ストップアームヘッド(838)が第2のフランジ(828)の経路にあり、第2のフランジが、通過したストップアームヘッド(838)を矢印(855)の方向に移動しないようにする。代替的にあるいは追加として、ストップアームヘッド(838)がばね(834)によってプランジャ妨害位置へ引っ張られる。構成(863)では、ばね(834)が、例えば、約6mm乃至約26mmである、長さL16を有する。所定の変形例では、長さL16は、長さL13と同じであっても良い。レバー(802)がプランジャ妨害位置へ移動したら、プランジャ(826)と組織貫通部材(820)は、矢印(855)の方向に作動することが妨げられる。いくつかの変形例では、レバー(802)が矢印(855)の方向に移動すると、リテーナケーブル(例えば、図5A及び5Bのケーブル(507))に係る張力が開放され、リテーナ(500)をスロット(511)の中へ回動させる。スロットに位置したリテーナによって、デバイスを組織から取り出すことができる。しかし、ここで述べたデバイスは、別の構成において取り出すこともできると解するべきである。
【0112】
ハンドルハウジング(803)などのハンドルハウジングは、様々なデバイスの構成部品を収納するのに適した構成を有している。例えば、図8Fは、図8B乃至8Eに記載したハンドルハウジング(803)の一部の内側面を示している。ハンドルハウジング(803)は、複数の突出部とランプを具えており、これが、例えば、使用中のデバイスの様々な構成の変化を助ける(例えば、上述したように)。ハンドルハウジング(803)は所定の構成の突出部とランプを有しているが、ハンドルハウジングのその他の変形例は異なる構成を有し、及び/又は適宜、タイプ及び/又は数が異なる構成部品を保持することができると解するべきである。ハンドルハウジングの突出部とランプは、成型、カービング、あるいは適宜の方法で形成することができる。例えば、図8Oは、構成が異なる成型した突出部とランプを具え、組織管形成デバイスに使用できるハンドルハウジング(870)の別の変形例を示す。この図に示すように、ハウジング(870)は、上述した位置においてデバイスが確実につかまれるように、フィンガーグリップとして作用する突出部(871)を具えている。
【0113】
ハンドルハウジング(803)のミラー画像を図8Fに示す。ここに示すように、ハンドルハウジング(803)は、湾曲したランプ(808)と、突出部(809)と、レール(810)を具える。これらの構造は、例えば、ハンドルハウジング(803)と一体的に成型されていてもよく、あるいは、別々に形成して、適宜の方法(例えば、機械的接合、フォーム継手、スクリュー継手、スナップ継手、接着剤による接合、ろう付け、半田付け、溶接、熱接着など)でハンドルハウジング(803)に取り付けても良い。湾曲したランプ(808)は、ランプの少なくとも一部において湾曲しており、ランプの他の部分ではほぼまっすぐである。レール(810)と突出部(809)は、その間を物体が通過するように配置されている。例えば、図8Fに示すように、レール(810)と突出部(809)は、互いにほぼ平行に位置している。突出部(809)は、各々が突出部のエッジに対応する2つの異なる方向に物体の動きを方向づけるように構成された形状を有している。例えば、突出部(809)は、平行四辺形として記載されており、これはまず物体をレール(810)に対してある角度で方向づけ、次いで、この物体をレール(810)に平行に方向づける。いくつかの変形例では、ハンドルハウジング(803)を有する組織管形成デバイスの動作中に、湾曲したランプ(808)がデバイスのレバーストップアームヘッドの位置を案内して、レール(810)と突出部(809)がデバイスのプランジャの第1のフランジ先端部の位置を案内する。代替的にあるいは追加として、これらの構成部品の一方又は両方が、デバイスの一又はそれ以上のその他の構成部品の位置を案内する。
【0114】
図8G乃至8Lは、使用中のデバイス(800)の所定の構成部品の相対位置を示す。
【0115】
まず、図8Gは、レバーストップアームヘッドがプランジャ妨害位置にあるときの、ハウジング(803)内のデバイスのレバーストップアームヘッド(838)の位置を示す。レバーストップアームヘッドは、例えば、デバイスが上述の構成(860)又は(863)にあるときに、この位置にある。この構成では、デバイスの押出部材(例えばプランジャ)と組織貫通部材(例えば針)の作動が防止される。図8Gでは、ストップアームヘッド(838)が湾曲したランプ(808)の湾曲部分にしっかり座しており、押出部材の第2のフランジの経路を妨害している(例えば、図8G参照)。図8Hは、ストップアームヘッド(838)がプランジャ通過位置にあるときの、ストップアームヘッドの位置を示す。例えば、デバイスが構成(861)又は(862)にあるときに、ストップアームヘッド(838)がこの位置にあり、プランジャと組織貫通部材を妨害のない長手方向に、送達ガイド内へ及び送達ガイドの外へと移動させる(図8C及び8D参照)。ストップアームヘッド(838)は、レバーが長手方向に、例えば、図8Cに示すように、矢印(852)にそって作動するときに、プランジャ通過位置へ押圧される。レバーストップアームヘッドに沿って、(例えば、時期の早い組織貫通部材の作動を防止する安全構造として)レバーがプランジャをその位置に「ロック」する。
【0116】
図8I乃至8Lは、デバイス(800)が使用中であるときのデバイス(800)のハウジング(803)内におけるプランジャ部品の様々な位置を示す。ここに示すように、プランジャと組織貫通部材の動きの方向は、レール(810)と、プランジャの第1のフランジ先端部(822)を介して突出部(809)によって案内される。図8Iは、プランジャが完全に引き戻されているときの第1のフランジ先端部(822)の位置を示す(図8Bと8Eの構成(860)と(863)を参照)。図8Jは、プランジャが前進しているとき(図8Dの矢印(853)を参照)の第1のフランジ先端部(822)の位置を示す。プランジャが前進すると、第1のフランジ先端部(822)の平行四辺形と突出部の平行四辺形の摺動エッジによって、第1のフランジ先端部(822)がレール(810)と突出部(809)の間に押圧される。図8Kは、プランジャが完全に前進した後(例えば、図8Dの構成(862)を参照)の、第1のフランジ先端部(822)の位置を示す。最終的に、図8Lは、プランジャが後退しているとき(例えば、図8Eの矢印(854)を参照)の、第1のフランジ先端部(822)の位置を示す。プランジャが後退すると、第1のフランジ先端部(822)の平行四辺形と突出部の平行四辺形の摺動エッジによって、第1のフランジ先端部(822)が突出部(809)とハウジング(803)のエッジの間に押圧される。第1のフランジ先端部(822)が後退すると、この先端部がレバーの一部と相互作用して、ハンドルハウジングとの係合を開放し、図8Eに示すように、ばねを矢印(855)の方向に押圧する(例えば、ストップアームヘッド(838)を作動させるレバー(802)を参照)。
【0117】
図8M及び8Nは、レバーのハンドルハウジングとの係合が外れる一機構を示しており、図8Eに示すように、ばねが矢印(855)の方向にレバーを押圧している。図8Mは第1の構成(例えば、図8Bの構成(860))における、レバー(802)と、レバー突出部(823)と、ストップアーム(836)のハウジング溝(824)と湾曲したランプ(808)に対する位置を示している。レバー突出部(823)は、所望の形状(例えば、三角形)をしている。ハウジング溝(824)は、レバー突出部(823)を受けて保持するサイズと形状をしている。レバー(802)が図8Cに示すように、矢印(852)の方向に押圧されると、レバー突出部(823)もハウジング溝(824)内へ矢印(852)の方向に押圧される。図8Nは、レバー突出部がハウジング溝(824)に保持されているときのレバー突出部の位置を示している。溝は、図8C及び8Dにも示されている。第1のフランジ先端部が図8E(図8Lにも示す)の矢印(854)の方向に引っ張られると、第1のフランジ先端部がハンドル(802)に接触し、図8Nに示すように、ハンドルが矢印(825)の方向にレバー突出部(823)を押圧する。レバー突出部(823)が矢印(825)の方向にずれると、レバー突出部はハウジング溝(824)内に保持されず、ばね(834)がレバーを図8Mに示す位置に押し戻す。レバーをハンドルハウジングと係合させ、係合を開放するのに用いる例示的機構をここに示しているが、その他の機構を適宜使用することもできる。
【0118】
図8M及び8Nには、レバー(802)に連結した、あるいはこれと一体的に形成した、ケーブル取り付け構造(827)も示されている。図5A及び5Bに示すリテーナからのケーブル(507)は、デバイスを通ってケーブル取り付け構造(827)にねじ込まれている。この構造は、第1のポスト(880)と第2のポスト(881)を具える。ケーブルは、例えば、図6D乃至6Iに示すように、デバイスを通ってねじ込まれている。一旦ハンドルハウジングに入ると、ケーブル(507)は、ケーブル取り付け構造(827)の周りに巻き付く。例えば、ケーブル(507)は、第1のポスト(880)のスリット(881)を通ってゆく。ケーブルは、張力がかかった状態で第1のポスト(880)に熱でつないでも良い(例えば、ケーブルの上でスリット近くの第1のポストを溶かすなど)。ケーブルを第2のポスト(882)の周囲に巻きつけて熱でつなぐことによって、追加のアタッチメントを提供することができる。ケーブルを第1及び第2のポストに固定することで、ケーブルをレバー(802)に固定し続けることができる(例えば、約1ポンドの力に耐えるように)。ケーブルをレバー(802)に固定する他の方法には、例えば、ケーブルをケーブル取り付け構造に連結する方法(例えば、ろう付け、半田付け、溶接、熱接着など)がある。
【0119】
組織内に管を形成するデバイスの一変形例について述べたが、例えば図9A及び9Bに示すように、組織内に管を形成するデバイスのその他の変形例を用いることができる。図9Aは、レバー(901)と(902)、マーカポート(904)、針(図示せず)などの組織貫通部材、送達ガイド(905)、アンカ部材(906)、及びガイドシース(907)を具えるデバイス(900)を示す。デバイス(900)は、複数のねじ(903)によって互いに連結された少なくとも2つの構成部品で形成されたハウジング(908)を具える。しかしながら、いくつかの変形例では、ハウジング(918)は、接着剤による接合、スナップ継手、摩擦継手などを用いて組み立てても良く、あるいは一体的に形成されていても良い。図9Bは、デバイス(910)の別の変形例を示す図であり、この例は、ハウジング(918)と、摺動アクチュエータ(911)と、プランジャ(912)と、マーカポート(913)と、針(図示せず)などの組織貫通部材と、送達ガイド(914)と、アンカ部材(915)と、ガイドシース(916)を具える。いくつかの変形例では、ハウジング(918)(又はその他の適宜のハウジング)を組み立てにねじが不要な方法で形成している。
【0120】
上述した通り、ここに述べたデバイスを用いて、組織に一又はそれ以上の管を形成することができる。図10A乃至10Hは、組織に一又はそれ以上の管を形成するために組織へのアクセスに使用される方法及びデバイスの一変形例を示す。図10A乃至10Hに示す方法をその他の方法(例えば、図11A及び11B、及び図12に示す方法)と共に使用して、組織に一又はそれ以上の管を形成することができる。これらの図面は動脈組織における管の形成を示しているが、ここに述べたデバイスと方法は、上述した通り、あらゆる組織に使用することができる。
【0121】
図10A乃至10Cは、組織を通ってワイヤを配置する標準セルジンガー法を示している。まず、図10Aに示すように、針(1000)を皮下組織(1001)を通って動脈(1002)に進める。図に示すように、針(1000)は、動脈(1002)のルーメン(1004)に入る。針(1000)がルーメン(1004)へ入るところは、選択的に、例えば、針の中のポート(例えば、マーカポート)を介して針を通る血液のフラッシュ(血流など)を観察することによって、視覚的に確認することができる。図10Bは、針(1000)を通り、動脈(1002)のルーメン(1004)へのワイヤ(1010)の前進を示す。ワイヤ(1010)を配置した後、針は近位側に引き戻されて、図10Cに示すように、ルーメン(1004)にワイヤ(1010)が残る。上述したもののようなデバイスは、ワイヤ(1010)を介してルーメンにアクセスできる。選択的に、このようなデバイスを用いて、標準セルジンガー法を実行して、ルーメンへの初期アクセスを増やし、組織を通じて管を形成することができる。
【0122】
図10D乃至10Hは、図1のデバイス(120)を用いてどのように組織ルーメンにアクセスするかを示す図である。図10Dに示すように、デバイス(120)を皮下組織(1021)を通って動脈(1022)のルーメン(1024)へ挿入する。もちろん、ここに述べた方法は、特に動脈に対して述べられてはいるが、上述した通り、この方法はあらゆる組織に使用することができると解される。ワイヤ(1010)(前に図10A乃至10Cを参照して上述した標準セルジンガー法を用いて配置しておいた)は、ガイドシース(140)を通ってねじ入れて、側部ポート(1019)を介して出す。図10Eは、ルーメン(1024)へ配置するためのガイドとしてのワイヤ(1010)上のガイドシース(140)の前進を示す。ガイドシース(140)がルーメン(1024)内に配置された後、図10Fに示すようにワイヤ(1010)を除去する。
【0123】
以下により詳細に説明するように、いくつかの変形例では、デバイス(120)は挿入中に回転することができる。例えば、図10Fに示すようにデバイス(120)は、図10Eに示す位置から約45°回転しており、図10Gに示すデバイス(120)は、更に45°回転している(トータルで、図10Eに示す位置から約90°回転している)。もちろん、以下に述べるように、所望の通りいずれの方向において、どのような回転角度を用いても良く、いくつかの場合は、デバイス(120)がまったく回転しないことが好ましい。
【0124】
図10Gは、組織(1021)へのデバイス(120)の更なる前進を示す。ここに示すように、デバイス(120)は、送達ガイド(136)とアンカ部材(138)が皮下組織(1021)へ入り、アンカ部材(138)が動脈(1022)のルーメン(1024)へ入るように前進している。更に、ガイドシース(140)の遠位部分がルーメン(1024)へ進められている。アンカ部材(138)がルーメン(1024)に入ると、組織貫通部材ポート(137)が血液に露出されて、ルーメン(1024)に流れる。上述した通り、組織貫通部材ポートがマーカポート(134)と流体連通して、組織貫通部材ポートに入る血液がマーカポート(134)から出てゆき、これによって、アンカ部材(138)がルーメン(1024)に正しく配置された(血液フラッシュ(1025)によって)ことが表示される。図10Hは、デバイス(120)が90°戻って回転して、どのように図10Eに示す元の前進位置へ戻るかを示す図である。図10Hにも示すように、アンカ部材(138)を、アンカ部材が完全に動脈(1022)のルーメン(1024)内に入るように前進させている。この変形例では、アンカ部材(138)は、図3A乃至3Kに示すスキーチップアンカと同様に、その遠位端において上側に傾いている。この傾きは、例えば、アンカ部材(138)が使用中に組織を広げる又はその他の操作を行うのを補助する。もちろん、アンカ部材のその他の変形例は傾斜しておらず、代替のジオメトリ(例えば、コルクスクリュージオメトリなど)を有していても良い。
【0125】
図11A乃至11Cは、デバイスが動脈壁組織を固定する場合の、デバイス(120)の遠位部分(124)を拡大して示す図である。図11Aでは、図3A及び4Aにそれぞれ示すリテーナ(302)及び(402)と同様に、リテーナ(1102)が、アンカ部材(138)内でリテーナ開口(1104)から展開している。リテーナは、例えば、アンカ部材(138)を位置決め及び/又は安定させるのに使用することができ、及び/又は組織に対してデバイス(120)を正確に位置決めするのに使用することができる。ここで、リテーナ(1102)はアクチュエータ(132)を介して展開しており、リテーナピボット(1103)(アンカ部材(138)内のスロットとして記載されている)の周りを外側に揺動するが、その他の適宜の展開機構を使用することもできる。図11Aに示すリテーナは、ワイヤ(図示せず)を介してアクチュエータ(132)に連結されたハイポチューブの形をしているが、上述した通り、その他の適宜のリテーナを用いても良い。また、図11Aにはケーブル先端(1106)が示されており、上述した通り、これを用いて、所望の場合にリテーナを未展開位置においてリテーナ開口内に保持する。
【0126】
リテーナ(1102)を展開させた後、デバイス(120)を近位側に引っ張って、図11Bに示す様にアンカ部材(138)をルーメンの内側表面に接触させる。また、皮下組織内に組織貫通部材(137)があることも示されている。この位置において、血液は通常組織貫通部材ポートを通ってマーカポートへ流れない。この結果、オペレータは送達ガイド(136)がもはやルーメン(1024)にないとの視覚表示を得る。この方法で、デバイスの正しい位置決めが容易になる。アンカ部材(138)がルーメン壁(1100)の内側表面に接触すると、組織の少なくとも一部を変形させて、若干広げる。この効果によって、組織がアンカの形状に一致して、組織貫通部材経路の形状を制御する方法を提供する。この変形例では、組織貫通部材をその中を通って前進させるために、アンカ部材が組織の一部を有効に固定する。
【0127】
図12A及び12Bは、組織を通る管の形成を示す。まず、図12Aは、組織貫通部材(1200)のルーメン壁(1100)への前進を示す。図に示すように、組織貫通部材(1200)は、第1の位置(1202)においてルーメン壁に入り、ルーメン壁の中に横方向に前進する。注意すべきは、組織貫通部材(1200)が若干曲がっていることである。しかし、組織貫通部材のその他の変形例は、より多くの湾曲部があり、及び/又は、多数の湾曲部があるか、真っ直ぐであっても良い。組織貫通部材(1200)は、図12Aに示すように、ルーメン壁(1100)に前進した後、デバイス(120)を操作して、組織がアンカ部材(138)の輪郭に従うようにする。上述した通り、アンカ部材は、組織とアンカ部材の間の一定の接触を確保するようなサイズと形状をしており(例えば、完全に長さと角度を変化させることによって)、これによって、組織貫通部材に対する組織の位置の上でより多くの制御を行うことができる。リテーナ(1102)は、更に、組織貫通部材に対するルーメン壁(1100)の位置を更に固定する働きをする。これによって、アンカ部材(138)が組織をさらに広げて、組織貫通部材(1200)に第1の方向から第2の方向へ、あるいは、場合によって第2の方向から第1の方向へ再度方向づけをさせる。形成された管の径は、例えば、組織貫通部材の径とほぼ同じであっても良く、例えば、約0.5mm乃至約2mmである(例えば、約1.1mmなど、約1mm乃至約1.5mm)。
【0128】
管の長さは、適宜のものであっても良く、所望の長さとしても良い。いくつかの変形例では、この長さは管の比較的迅速なシーリングを容易に行うことができるように選択することができる。例えば、ここに述べたデバイスと方法を脈管構造と共に使用する場合は、より長い管が管のシーリングを助ける有益な生物学的要因(例えば、成長ファクタ、組織ファクタなど)に露出できると考えられるので、より長い管が好ましい。このことは、その他の組織と用いる場合でも同じである。更に、より長い管は、影響を与える機械的圧力に対してより広い面積を有しており、これが、管をより迅速にシールさせる。例えば、管が12分又はそれ以下、9分又はそれ以下、6分又はそれ以下、3分又はそれ以下などでシールし、必要とされる外部圧縮又は圧力の期間が低減する。いくつかの変形例では、管の長さが、その管が形成されている組織壁の厚さより大きくても良い(例えば、管が形成されている組織壁の位置における、あるいは組織壁の平均厚さに対して)。管は、管が形成されている組織壁の厚さと同じ高さであっても良く、いくつかの場合は、組織壁の厚さより高さが短くても良い。例えば、管は、上述した通り、組織の一部の内側部分に一又はそれ以上の治療薬剤を置くように形成しても良い。管が血管壁に形成されている所定の変形例では、管の一部(例えば、少数又は多数)が血管壁の縦軸にほぼ平行に血管壁を横切るものでも良い。
【0129】
図12Bは、組織貫通部材(1200)がルーメン(1024)に入るまで、ルーメン壁(1100)内へこの壁を通って更に前進しているところを示す。組織貫通部材(1200)がルーメン(1024)内に進むと、上述したようにマーカポートを介してあるいはプランジャの開口を介して、血液フラッシュが観察される。この方法で、ルーメン(1024)内で組織貫通部材(1200)の正しい位置決めを確認することができる。組織貫通部材(1200)を更に進めてもルーメンへ入らない場合(例えば、石灰化が組織貫通部材の正しい再方向付けを妨げている場合、あるいは、好ましくない生体構造又はデバイス位置が存在する場合、など)、サイドポート(1019)が身体の外側に露出されるまでデバイス(120)を近位側に後退させる。この時点で、別のデバイスで再度行うか、標準的な動脈切開手順(組織が動脈である場合)を用いるかの決断がなされる。
【0130】
いくつかの変形例では、ここに述べた一又はそれ以上のデバイス及び/又は方法を用いて、回転した組織に一又はそれ以上の管を形成することができる。例えば、ある方法は、組織壁の一部近傍にデバイスを位置決めするステップと、組織壁のその部分を(例えば、そのデバイスを使って)回転させるステップと、組織貫通部材を回転した組織を通って前進させて管を形成するステップと、を具える。この回転は、組織壁に対して組織貫通部材を位置決めするのに役立つ。この組織は、組織周辺の周りをいずれの方向に回転しても良い(例えば、0°乃至360°、0°乃至180°、0°乃至45°、45°乃至90°など)。しかしながら、この組織は、有意の量(例えば、組織が1°、5°、10°、15°など)で回転する必要はなく、組織の厚さ全部が回転する必要はない。
【0131】
いくつかの変形例では、組織の一部のみが一回回転し、その他の変形例では、複数回回転する(例えば、同じ方向に、あるいは異なる方向に)。管を形成する前に及び/又は管を形成している間の組織の回転は、組織貫通部材を所望の位置に置くのに有効であり、従って、いずれかの側に適当な厚さの組織を有する管を形成するのに役立つ。これによって、様々なツールの反復挿入に十分に耐える管のロバスト性が確実になる。更に、管のいずれかの側に十分な組織厚さを有することで、より迅速に管がシールされる。組織貫通部材を組織壁の一又はそれ以上の表面から遠ざけた初期の位置決めによって、より長い管を形成することができ、これによって、より早いシーリングを確実にすることができる。組織のこの部分は、代替的にあるいは追加として一又はそれ以上の他の適宜の方法で操作することができ、いくつかの場合は、組織のこの部分に真空を適用する。組織を操作する、及び/又は、組織に真空を適用する方法は、例えば、米国特許出願第11/873,957号(US2009/0105744A1として公開)、及び第12/07,038号(2009年7月21日出願)に記載されており、これらは双方ともすでに全体が引用によりここに組み込まれている。
【0132】
ここに述べたデバイスのいくつかの変形例は、一又はそれ以上の加熱要素、電極、及び/又はセンサ(例えば、ドップラ、温度センサ、圧力センサ、神経センサ、血流センサ、超音波センサなど)、その表面に沿って設けた一又はそれ以上の薬剤送達ポート、視覚化を容易にする一又はそれ以上の放射性不透過性マーカ、などを具える。例えば、いくつかの変形例では、デバイスが、管の形成をモニタするのに使用できる一又はそれ以上の放射線不透過性材料(例えば、デバイスの一又はそれ以上の部分に)を具えていても良い。例えば、組織貫通部材を一又はそれ以上の放射線不透過性材料で作るようにしても良く、あるいは、X線蛍光透過法によって、組織貫通部材を提供する放射線不透過性マーキングを具えていても良い。デバイスが一又はそれ以上のセンサを具えている所定の変形例では、デバイスを用いて、温度、圧力、組織同定あるいは位置(例えば、神経又は様々な身体構造)、及び/又は血管内の血流などの、少なくとも一の有益なパラメータを検出することができる。例えば、このパラメータが血管内の血流である場合、血管内の血流が検出されるとデバイスを再度位置決めすることができる。
【0133】
いくつかの変形例では、デバイスが一又はそれ以上のエネルギィアプリケータを具えていても良く、組織にエネルギィを与えるのに使用することができる。これは、例えば、組織のシーリングに役立つ。このエネルギィは、適宜のエネルギィ源(例えば、超音波、無線、光、磁気、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選択されたエネルギィ)から得ることができる。更に、デバイスの所定の変形例は、一又はそれ以上のカメラ(例えば、直接的な可視化を容易にする)を具えていても良い。このカメラは、対応する光源あるいは照明源を有していても良く、デバイスの適宜の位置に具えられている。
【0134】
いくつかの変形例では、デバイスの構成部品が、例えば、皮膚表面に接触する一又はそれ以上の比較的柔軟な構造を有していても良い。一例として、デバイスの構成部品が、比較的柔軟なバルーンといった膨張可能な部材を具えており、デバイス使用時にこれが皮膚表面に接触する。代替的にあるいは追加として、デバイスの構成部品が、デバイスの使用時に皮膚表面に接触する一又はそれ以上のスプリングを具えていても良い(例えば、組織の一部を隔離するために皮膚表面に対して十分な張力を提供するため)。
【0135】
もちろん、組織貫通部材は組織壁を通って適宜の方法で進めることができ、この部材を用いて手順が行われている間に適宜の形状を有する管を形成することができる。例えば、管は若干傾斜した形状を有していても良く、より角度が付いていても良く、斜めであっても良く、一又はそれ以上の斜めになった部分を有していても良い。いくつかの変形例では、管が一又はそれ以上の傾斜した領域と、一又はそれ以上の平坦な領域と、及び/又は、管が形成されている組織壁の縦軸にほぼ平行な一又はそれ以上の領域を有していても良い。管が血管壁(例えば動脈壁)に形成されている所定の変形例では、管が、血管のルーメンの縦軸にほぼ平行な一又はそれ以上の領域を具えていても良い。いくつかの変形例では、組織貫通部材が、波状の経路に沿って組織内に進むように構成されており、これによって、組織を通る波形管を形成することができる。この波形管は、例えば、比較的真っ直ぐな経路をたどるその他の組織貫通部材によって形成された管より、より大きな表面積を有する。このより大きな表面積によって、管が比較的容易に自己シールできる。管における波形の存在はわずかなものであっても、実質的なものであっても良い。管のその他の構成(例えば、鋸歯状管、周期的に振動する管など)も、手近な適宜のアプリケーションに適している限り、形成することができる。
【0136】
図13A乃至13Eは、動脈壁(1300)を通って形成できる管の例を示す。図13Aに示すように、動脈壁(1300)は、内膜(1306)、中間膜(1304)、外膜(1302)の3層を有する。動脈壁を通って形成された管は、これらの3層を様々な方法で横切ることができる。例えば、図13Bに示す管(1320)は、ほぼまっすぐであり、内膜(a21)、(a22)、及び(a23)に入る角度は、ほぼ同じであり、これは、例えば約6°乃至約15°、約3°乃至約30°、約35°乃至約50°である。しかしながら、管は、動脈壁(1300)の層全体をとして一又はそれ以上の屈曲があっても良い。図13Cは、3つの屈曲ポイントを有する管(1321)を示しており、入口(a21)、(a22)、及び(a23)の角度は互いに異なる。例えば、角度(a21)は約70°であり、角度(a22)は約45°、角度(a23)は約8°である。
【0137】
これらの角度(a21)、(a22)、及び(a23)は、管を形成する組織壁によって変わり、いくつかの角度はある種の組織において管を形成するのに最適であるが、同じ角度が第2の組織において管を形成するのに適していないことがある。例えば、動脈壁(1300)を通る自己シーリング管を形成するには、中間膜から動脈のルーメンに、例えば、約6°乃至約15°、あるは約3°乃至約30°といった比較的小さい角度で入る(a23)ことが望ましい。
【0138】
いくつかの場合は、大多数の管が動脈壁(1300)の一の層にある管を形成することが望ましい。図13Dは、管(1322)の実質的な部分が中間層(1304)にある管の一変形例を示す。ここに示すように、入射角度(a21)、(a22)、及び(a23)は、上述したように変化しても良い。図13Eは、動脈壁(1300)の層にそっていない屈曲ポイントを有する、管(1323)の別の変形例を示す。例えば、屈曲角度(a24)、(a25)、及び(a26)は、管(1323)に沿って望む場所にできる。屈曲角度(a24)、(a25)、及び(a26)は、同じであっても異なっていても良く、いくつかの組織では、屈曲角度(a26)が屈曲角度(a24)と(a25)より小さいことが好ましい。屈曲角度(a24)、(a25)及び(a26)は、例えば、約6°乃至約15°、約3°乃至約30°、約35°乃至約50°、約60°乃至約90°、約75°乃至約120°、又は約120°乃至約180°である。
【0139】
上述した通り、管は自己シーリングするものでも良い。いくつかの場合は、上述したような管の角度は、自己シーリング管を形成するように選択することができる。自己シーリング管は、そのシーリングを助ける介入装置又は方法を必要とせず、むしろ、管が自体でシールする。例えば、自己シーリング管は、プラグ、エネルギィ、シーラント、クリップ、縫合など、シールを助けるものを必要としない。いくつかの変形例では、管を規定する組織の様々な領域(例えば、組織の対向する及び/又はオーバーラップする領域)が互いに集まってシールすることができる。所定の変形例では、組織管のルーメンへの入口ポイントにおける組織管とルーメンとの角度が比較的薄い(例えば、約6°乃至約20°、約6°乃至約15°、約9°乃至約12°)。これは、例えば、管の自己シーリング能力を高める(例えば、管が組織壁の中で比較的長く、これによって、自己シーリングのための実質的表面積が得られるため)。いくつかの変形例では、管を形成した後、自己シーリング管に圧力をかける(例えば、管のシールをより一層迅速にする)ことができる。管が所定の時間(例えば15分又はそれ以下、10分又はそれ以下、5分又はそれ以下、2分又はそれ以下、1分又はそれ以下)内に自己シールしない所定の変形例では、手動圧力などの圧力を比較的短時間(例えば、2分又はそれ以下)かけて、管のシールを助けるようにしても良い。
【0140】
いくつかの変形例では、一又はそれ以上の管が、一又はそれ以上の不規則組織表面を有する組織に形成されている。この不規則面は、例えば、波形、屈曲、湾曲、溝、突出部、これらの組み合わせなどの形状をしている。不規則な組織表面に管を形成する方法は、例えば、米国特許出願第11/873,957号(US2009/0105744A1として公開)に記載されており、これは、全体が引用によりここに組み込まれている。
【0141】
いくつかの変形例では、キットがここに述べた一又はそれ以上(例えば、2、3、4、5)のデバイス及び/又はデバイス構成要素を具えている。所定の変形例では、このキットは、ここに記載された組織を通る管を形成する一又はそれ以上のデバイスと、ここに記載された一又はそれ以上のデバイス構成要素と(例えば、組織貫通部材)、及び/又は一又はそれ以上の追加のツールを具える。例えば、このツールは、手順を実行する間に管を通って前進するものであり(例えば、ガイドワイヤ、はさみ、グリッパ、結紮器具など)、縫合を助ける一又はそれ以上の補助ツール(例えば、エネルギィ送達デバイス、縫合デバイスなど)であり、手順を助ける一又はそれ以上のツール(例えば、胃内視鏡、内視鏡、カメラ、光源など)であり、これらの組み合わせなどである。いくつかの変形例では、キットが一又はそれ以上(例えば、2、3、4、5)の、5Fr又は6Frシース導入器などのシース導入器を具えている。もちろん、使用のためのインストラクションもこのキットに含めるようにしても良い。
【0142】
ここに詳細に説明したデバイス、方法、及びキットは説明及び例示の方法で記載したが、この説明及び例示は、理解を明確にするためのものにすぎない。当業者には、この教示に照らして、特許請求の範囲の精神と範囲から外れることなく、所定の変更及び変形がなされることは自明である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織内に管を形成するデバイスにおいて:
ガイドと;
前記ガイド内に摺動可能に収納され、前記ガイドから当該ガイドの開口を通って展開可能な組織貫通部材と;
前記ガイドに連結されるかあるいは前記ガイドと一体的に形成されたアンカ部材であって、第1の細長部分と、当該第1の細長部分に対して角度を成している第2の細長部分と、前記第2の細長部分に対して角度を成している第3の細長部分と、を具えるアンカ部材と;
を具え、前記第1の細長部分が第1の平面を規定しており、前記第2の細長部分が第2の平面を規定しており、前記第1及び第2の平面がこれらの平面間に約1°乃至約175°の第1の角度を有していることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記第1の角度が約5°乃至約30°であることを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記第1の角度が約5°乃至約20°であることを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記第1の角度が約5°乃至約15°であることを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記第1の角度が約12°であることを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記第1の角度が約5°乃至約10°であることを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記第1の細長部分が長さ約2mm乃至約6mmであることを特徴とするデバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のデバイスにおいて、前記第1の細長部分が長さ約4mmであることを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記組織貫通部材が第1の縦軸を有し、前記第3の細長部分が、前記組織貫通部材が前記ガイドから展開するときに、前記第1の縦軸に対して約6°乃至約30°の第2の角度を形成する第2の縦軸を有することを特徴とするデバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記組織貫通部材が針を具えることを特徴とするデバイス。
【請求項11】
請求項10に記載のデバイスにおいて、前記針が中空状であることを特徴とするデバイス。
【請求項12】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記第3の細長部材が第3の平面を規定しており、前記第2及び第3の平面がその間に約6°乃至約25°の第2の角度を有することを特徴とするデバイス。
【請求項13】
請求項12に記載のデバイスにおいて、前記第2の角度が約10°乃至約20°であることを特徴とするデバイス。
【請求項14】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記アンカ部材が前記ガイドから遠位側に延在していることを特徴とするデバイス。
【請求項15】
組織に管を形成するデバイスにおいて:
ガイドと;
前記ガイド内に摺動可能に収納され、前記ガイドの開口を通って前記ガイドから展開可能な組織貫通部材と;
前記ガイドに連結されるかあるいは前記ガイドと一体的に形成されたアンカ部材であって、第1、第2、及び第3の細長部分と、前記第1及び第2の細長部分間の第1の湾曲部分と、前記第2及び第3の細長部分間の第2の湾曲部分と、を具えるアンカ部材と;
を具え、前記第1の湾曲部分が第1の平面を規定しており、前記第2の湾曲部分が前記第1の平面に対して角度を成している第2の平面を規定していることを特徴とするデバイス。
【請求項16】
請求項15に記載のデバイスにおいて、前記第1及び第2の平面が約1°乃至約175°の角度を有することを特徴とするデバイス。
【請求項17】
請求項15に記載のデバイスにおいて、前記第1の湾曲部分が約0.1mm乃至約2mmの曲率半径を有することを特徴とするデバイス。
【請求項18】
請求項17に記載のデバイスにおいて、前記第2の湾曲部分が約0.1mm乃至約2mmの曲率半径を有することを特徴とするデバイス。
【請求項19】
請求個15に記載のデバイスにおいて、前記アンカ部材が柔軟であることを特徴とするデバイス。
【請求項20】
請求項15に記載のデバイスにおいて、前記アンカ部材がさらに、ガイドアイシースを具えることを特徴とするデバイス。
【請求項21】
請求項15に記載のデバイスにおいて、前記アンカ部材が更に取り外し可能なガイドワイヤを具えることを特徴とするデバイス。
【請求項22】
請求項15に記載のデバイスにおいて、前記組織貫通材が針を具えることを特徴とするデバイス。
【請求項23】
請求項22に記載のデバイスにおいて、前記針が中空状であることを特徴とするデバイス。
【請求項24】
請求項15に記載のデバイスにおいて、前記ガイド内の開口が前記アンカ部材の遠位端に対して近位に配置されていることを特徴とするデバイス。
【請求項25】
組織に管を形成するデバイスにおいて:
ガイドと;
前記ガイドの遠位部分に連結されているか、これと一体的に形成されたアンカ部材と;
前記ガイドの近位端に連結されているか、これと一体的に形成され、第1のルーメンを有するマーカポートと;
前記ガイドから展開可能な組織貫通部材と;
前記ガイドから前記組織貫通部材を展開させるように構成された押出部材と;
を具え、前記組織貫通部材が、複数の開口が通る壁部分を具える第1の筒状部材を具え、前記組織貫通部材が前記マーカポートと流体連通している、ことを特徴とするデバイス。
【請求項26】
請求項25に記載のデバイスにおいて、前記組織貫通部材が前記押出部材によって移動するときに前記マーカポートと流体連通し続けていることを特徴とするデバイス。
【請求項27】
組織を通って管を形成するデバイスにおいて:
ルーメンを具えるマーカポートと;
複数の開口が通る壁部分を具える筒状部材を具える組織貫通部材と;
を具え、前記組織貫通部材の少なくとも一部が前記マーカポートのルーメンを通過することを特徴とするデバイス。
【請求項28】
組織を通って管を形成するデバイスにおいて:
ガイドと;
前記ガイドから展開可能な組織貫通部材と;
前記ガイドに連結されるか、当該ガイドと一体的に構成されたアンカ部材と;
前記アンカ部材に連結されたシースと;
を具え、前記シースが、第1の断面直径を有する第1の領域と、当該第1の領域と一体的に形成された第2の領域とを具える遠位部分を具える柔軟な細長部材を具え、前記第2の領域が、前記第1の断面直径と異なる第2の断面直径を有する、ことを特徴とするデバイス。
【請求項29】
組織を通って管を形成するシステムにおいて:
ガイドと、当該ガイドに連結されるかあるいは当該ガイドと一体的に形成されたアンカ部材と、押出部材と、当該押出部材を押すことによって前記ガイドから展開可能な組織貫通部材とを具えるデバイスと;
シリンジと;
を具え、前記押出部材が、その近位端にハンドル部分を有する細長部材を具え、前記シリンジが当該ハンドル部分に連結するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項29に記載のシステムにおいて、前記押出部材のハンドル部分がメス型コネクタを具え、前記シリンジが当該メス型コネクタに連結するように構成されたオス型コネクタを具えることを特徴とするシステム。
【請求項31】
組織内に管を形成するデバイスにおいて:
ガイドと;
前記ガイド内に摺動可能に収納され、前記ガイド内の開口を通って展開可能な組織貫通部材と;
前記ガイドに連結されるかあるいは前記ガイドと一体的に形成されたアンカ部材と;
前記アンカ部材と整列した位置から、前記アンカ部材から延在する位置へ作動するように構成されたリテーナと;
前記リテーナを作動するように構成された引張部材と、当該引張部材の一部を収納する筒状部材を具える引張装置と;
を具え、前記筒状部材が前記ガイドに連結されるかあるいは前記ガイドと一体的に形成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項32】
請求項31に記載のデバイスにおいて、前記引張部材がリテーナに連結されていることを特徴とするデバイス。
【請求項33】
組織内に管を形成するデバイスにおいて:
ガイドと;
前記ガイドに摺動可能に収納され、前記ガイドの開口を通って展開可能な組織貫通部材と;
前記ガイドに連結されるかあるいは前記ガイドと一体的に形成されたアンカ部材と;
前記アンカ部材と整列した位置から、前記アンカ部材から延在する位置へ作動するように構成されたリテーナと;
前記リテーナを作動するように構成された引張部材と、当該引張部材の一部を収納する半筒状部材を具える引張装置と;
を具え、前記半筒状部材が前記ガイドに連結されるかあるいは前記ガイドと一体的に形成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項34】
請求項33に記載のデバイスにおいて、前記引張部材がリテーナに連結されていることを特徴とするデバイス。
【請求項35】
組織内に管を形成するデバイスにおいて:
ガイドと;
前記ガイドに摺動可能に収納され、前記ガイドの開口を通って展開可能な組織貫通部材と;
前記ガイドに連結されるかあるいは前記ガイドと一体的に形成されたアンカ部材と;
前記アンカ部材と整列した位置から、前記アンカ部材から延在する位置へ作動するように構成されたリテーナと;
前記リテーナに連結され当該リテーナを作動するように構成された引張部材と;
を具え、前記引張部材の第1の部分が前記ガイドの外側面に沿って配置されており、前記引張部材の第2の部分が前記ガイドの壁部分の開口を通過し、前記引張部材の第3の部分が前記ガイドのルーメン内に配置されることを特徴とするデバイス。
【請求項36】
請求項35に記載のデバイスにおいて、前記ガイドの前記引張部材を収納している部分が非円形断面を有することを特徴とするデバイス。
【請求項37】
請求項36に記載のデバイスにおいて、前記ガイドの前記引張部材を収納している部分が楕円形断面を有することを特徴とするデバイス。
【請求項38】
請求項35に記載のデバイスにおいて、前記ガイドの前記引張部材を収納している部分が前記引張部材と前記組織貫通部材の両方を収納するサイズと形状であることを特徴とするデバイス。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図8I】
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【図8J】
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【図8K】
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【図8L】
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【図8M】
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【図8N】
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【図8O】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【公表番号】特表2013−505114(P2013−505114A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531000(P2012−531000)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/049859
【国際公開番号】WO2011/038026
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(511275706)アルスタシス,インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ARSTASIS,INC.
【Fターム(参考)】