説明

組織溶着装置用の電気的絶縁性高熱伝導コアを有する管状抵抗加熱ヒータ

【目的】 組織シール及び切断(例えば、熱組織溶着)装置に使用する新規な熱組織溶着システムを提供すること。
【構成】 組織を把持する、相対移動可能な1対の対向した、機能表面を備えた本体と;前記機能表面の少なくとも一方に配置されヒータと;から構成される組織シール及び切断用システムにおいて、前記ヒータを、管状の加熱ヒータ素子とし、この管状加熱ヒータ素子の内部に、高抵抗で、かつ、電気的絶縁性を備えるコア材料と、を備え、前記管状加熱ヒータ素子が直接前記組織に接触して、該組織を加熱して切断及びシールすることを特徴とする組織シール及び切断用システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織溶着装置用の電気的絶縁性高熱伝導コアを有する管状抵抗加熱ヒータに関し、特に管状抵抗加熱ヒータを用いた熱溶着組織シール及び切断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞溶着装置は代表的には1対のピンセット又は鉗子を有し、それらの間に位置する組織を把持するように構成されている。組織溶着装置は、細胞と接触するようにして設けられたヒータ素子、あるいは組織の摩擦熱を利用した超音波ヒータ、さらには組織内に電流を流すことによって、前記組織自身の抵抗を利用して加熱するバイポーラ電極加熱システムによって駆動する。
【0003】
組織が100℃以上に加熱されると、ピンセット間に位置する組織は破壊され、切断される。しかしながら、組織が50−90℃の温度に加熱されると、組織は隣接する組織間でシールされ、溶着されるようになる。
【0004】
このような組織溶着装置の例が、特許文献1、2において開示されており、カリフォルニア、サラトガにあるスタリオンインスツルメント社(Starion Instruments Corporation)によって販売されているTLS熱結紮バサミ装置(TLS Thermal Ligating Shears device:登録商標)及び焼勺ピンセット装置(Cautery Forceps device)中において見ることができる。このスタリオンデバイスの利点は、血管の端末を同時に切断し、シールするために用いることができる。
【0005】
このスタリオン組織溶着装置においては、抵抗ワイヤヒータ素子が一対のピンセットの対向する機能表面の一表面上に設けられている。シール及び切断すべき血管は、装置の対向する機能表面間で保持される。抵抗加熱ワイヤに近接した血管部分は100℃以上に加熱され、その箇所において切断される。この温度に加熱されると、その組織タンパク質構造は破壊される。この切断領域の側方においては、50−90℃の温度に加熱される。このような低い温度においては、その組織タンパク質構造は変性し、その結果結合される。したがって、2つの対向する機能表面を穏やかに圧迫するような機械的圧力を付加することによって、中央の切断領域の側方においてシール領域を形成する。これら2つのシール領域において、前記血管の末端をシールする。
【0006】
組織に直接接触するようにして配置した抵抗加熱ワイヤで組織を加熱する際、その組織がどの程度の温度まで加熱されるかについては、ヒータの電力密度に依存する。また、局所的な高温状態を実現するには、例えば100℃以上の高温度を実現するには、より高い電力密度の電流を流す必要がある。DC電源が小型かつ軽量であるとの限定の下では、十分に高抵抗で高い電流密度を実現するに際しては、直径のより小さい抵抗が要求される。
【0007】
組織シール及び切断のために用いる小径の抵抗ワイヤを用いることによる不利益は、ワイヤと組織との接触面積が小さいということである。前記接触面積を増大させるには、加熱を直接行うことが望ましい。これは、例えば血管の末端をシールする際に、前記血管の末端のシール領域を増大させることができ、血管のシールをより確実なものとすることができるので、便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】PCT国際公開第第出願98/38935号
【特許文献2】PCT国際公開第第出願01/12090号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、抵抗加熱ワイヤの直径を増大させることによって、前記抵抗加熱ワイヤとその周囲の組織との接触面積を増大させると、前記ワイヤの抵抗と電力密度とを減少させる結果となる。したがって、ワイヤの組織加熱能力には限界がある。この電力密度減少の問題に対処するには、前記ワイヤに負荷する電力を増大させる必要がある。しかしながら、このような電力の増大は、現存する小型かつ軽量のDC電源の限界を超えることになる。代わりに要求されるのは、抵抗を変化させることなく、電力密度を減少させないで、一方、小型DC電源の限界内で駆動することができ、表面積(ここでは、ヒータが周囲の組織と接触する面積)を増大せしめることができるようなシステムである。
【0010】
他の非医療抵抗加熱システムにおいて、ヒータ素子は、高抵抗で電気的に絶縁された、高熱伝導率の材料で覆われた抵抗加熱ワイヤヒータを具える。前記材料の外側は、外部保護金属スリーブによって覆われている。このようなシステムにおいて、電流は中央の抵抗加熱ワイヤ中を通って流れ、加熱される。この熱は、見かけ上、前記高熱伝導材料中を通るとともに、前記外部金属スリーブ内を通って流れる。しかしながら、そのようなシステムにおいて、前記熱は、前記外部金属スリーブ内を流れない。したがって、このようなシステムの欠点は、加熱及び冷却が遅いということである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様においては、組織シール及び切断(例えば、熱組織溶着)装置に使用する新規な抵抗加熱ヒータを提供する。特に、本発明は、組織シール及び切断装置において使用する抵抗加熱ヒータを提供することである。前記抵抗加熱ヒータは、内部に電流を流すための管状ヒータ素子及びこのヒータ素子内に配置された熱伝導性絶縁体を含む。
【0012】
本発明の新規な抵抗加熱ヒータのデザインによれば、数多くの異なる利点を有する。例えば、本発明の抵抗加熱ヒータ、電力密度や大型の電源を必要とすることなく、匹敵するワイヤ抵抗器よりも大きな直径を有するようになる。このような大きな直径を有することの利点は、周囲の組織との接触面積を増大させることができるということである。このような大きな接触面積を有することにより、組織の処理(すなわち、シール及び切断)面積を増大させることができるようになる。このような大きな接触面積を有するようにすることによって、切断を機械的にではなく熱的に行うことができるようになる。したがって、本発明によれば、同じ電力を投入して得た固体ワイヤヒータ素子に比較し、その処理面積を増大させることができる。
【0013】
また、本発明のヒータ素子における管状形状は、小径の固体抵抗ワイヤヒータに匹敵するような高い電力密度を保持することができる。特に、ヒータ素子の厚さを極薄くすることによって、ヒータの実効的な電気的断面を小さくすることができ、その抵抗を保持あるいは増大(したがって、高電力密度を保持)するようにすることができる。
【0014】
ヒータが、このような熱伝導性を有し、電気的絶縁性を有する材料からなるコアを有することによって、次のような利点を有するようになる。すなわち、前記ヒータは荒れたように形成することができ、簡単に湾曲するようなものとすることができる。また、長さ方向及び横方向に熱伝導性を有するようにすることができる。加えて、本発明のヒータ素子によれば、その長さ方向及び厚さ方向において(長さ方向における熱負荷が変化するにも拘らず)、均一な温度を実現することができる。特に、コアの高い熱伝導性はそのような温度の均一性を促進することができる。
【0015】
本発明の好ましい態様において、本発明は、さらに熱伝導電気絶縁体中に配置された温度検知素子を具えることができる。このような温度検知素子は、熱電対や、サーミスタ、PTC素子あるいはNTC素子のような温度検知素子とすることができるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明の第2の態様において、組織をシールし切断するための新規な熱組織溶着システムを提供する。この熱組織溶着システムは、本発明の新規な抵抗加熱ヒータを含み、全体の構成としては、1対のピンセットその他の装置を含むことができる。好ましい態様において、本発明は、組織をシールし、切断するシステムを提供する。このシステムは、互いに結合したり離隔したりして駆動する、互いに対向する1対の機能表面を有する本体部と、前記機能表面の少なくとも1つの上に配置された抵抗加熱ヒータとを具え、前記抵抗加熱ヒータは、内部に電流を流すように構成された管状のヒータ素子と、このヒータ素子内に配置された熱伝導電気絶縁体とを具える。
【0017】
本発明の好ましい態様において、前記一対の機能表面は一対のピンセットや鉗子から構成するようにすることができる。なお、その他の組織溶着装置も、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて用いることができる。
【0018】
本発明の第3の態様においては、本発明の新規な抵抗加熱ヒータを含んだ熱組織溶着装置を用いて、組織をシールし、切断する新規な方法を提供する。特に、本発明は、熱組織溶着装置を用いて組織を切断し、シールする方法を提供する。前記方法は、前記熱組織溶着装置の2つの対向する機能表面間に位置する組織を把持する工程を含む。熱抵抗ヒータは少なくとも1つの機能表面上に配置し、管状ヒータ素子及びこの管状ヒータ素子内に配置された熱伝導性電気絶縁体を具える。また、前記方法は、前記管状加熱素子を介して電流を流し、前記抵抗加熱ヒータの加熱を行う工程を含む。
【0019】
本発明の好ましい態様において、前記方法は、前記2つの対向する機能表面間に位置する組織を圧迫する工程を具える。この2つの対向する機能表面は、好ましくは1対のアーム、ピンセット、あるいは鉗子から構成することができるが、そのデザインについては限定されない。
【0020】
本発明は、順次に電気絶縁材料及び外部金属スリーブで覆われた抵抗加熱ワイヤを含む抵抗加熱ワイヤ加熱システムにおいては見ることのできない利点を提供する。例えば、従来の抵抗加熱ワイヤシステムにおいては、外部保護金属シースから電気的に絶縁された内部抵抗ワイヤを使用する。一方、本発明では、抵抗加熱素子として外部金属シースを使用する。したがって、本発明によれば、組織をより直接的に加熱することができるようになる。本発明の利点としては、高速応答性が挙げられる。特に、本発明のシステムは、上述した順次に電気絶縁材料及び外部金属スリーブで覆われた抵抗加熱ワイヤよりもより早く加熱及び冷却を行うことができる。
【0021】
本発明の好ましい態様において、管状ヒータ素子の抵抗は周囲の組織の抵抗よりも小さくする。したがって、電流は組織内を流れないようになる。代わりに、電流は実質的にヒータ素子内を流れ、ヒータ素子内で発生した熱は周囲の組織に熱伝導によって直接的に伝達される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、相対移動可能な1対の対向した機能表面の少なくとも一方に配置されヒータを、管状の加熱ヒータ素子と、この管状加熱ヒータ素子の内部に、高抵抗で、かつ、電気的絶縁性を備えるコア材料と、から構成し、コア材料により温度を均一に保ちつつ、この管状加熱ヒータ素子を直接組織に接触させて組織を加熱して切断及びシールするので、管状加熱ヒータ素子の外表面のより大きな接触面積でより確実に組織の切断及びシールすることができる。
【0023】
また、本発明のヒータ素子における管状形状は、小径の固体抵抗ワイヤヒータに匹敵するような高い電力密度を保持することができる。特に、ヒータ素子の厚さを極薄くすることによって、ヒータの実効的な電気的断面を小さくすることができ、その抵抗を保持あるいは増大(したがって、高電力密度を保持)するようにすることができる。
【0024】
ヒータが、このような熱伝導性を有し、電気的絶縁性を有する材料からなるコアを有することによって、次のような利点を有するようになる。すなわち、前記ヒータは荒れたように形成することができ、簡単に湾曲するようなものとすることができる。また、長さ方向及び横方向に熱伝導性を有するようにすることができる。加えて、本発明のヒータ素子によれば、その長さ方向及び厚さ方向において(長さ方向における熱負荷が変化するにも拘らず)、均一な温度を実現することができる。特に、コアの高い熱伝導性はそのような温度の均一性を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の非医療抵抗加熱ヒータカートリッジ加熱システムの断面斜視図である。
【図2】従来の加熱システムの第2の例を示す断面斜視図である。
【図3】本発明のヒータ素子システムの断面斜視図である。
【図4】本発明の楕円形状ヒータ素子システムにおける断面斜視図である。
【図5】図3又は図4に示すヒータ素子システムに対し、1対の組織把持ピンセットを具えた組織溶着装置の断面斜視図である。
【図6】図5に示す組織溶着装置を用いた場合の、組織シール及び切断領域を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、従来の第1の例における抵抗ワイヤヒータを示す図である。(このような抵抗加熱ワイヤヒータは、組織溶着システムにおいて用いられることはなかった)。ヒータ10は、中央抵抗加熱ワイヤ12を含んでいる。ワイヤ12は、ニクロム線(登録商標)などの抵抗加熱用合金から作製することができる。ワイヤ12は高抵抗であって電気的絶縁性を有する高熱伝導性のコア材料14によって囲まれている。コア材料14は、酸化マグネシウム又は窒化ホウ素などのセラミック材料から構成されている。コア材料14は、外部金属シース16によって囲まれている。金属シース16は、ステンレスから構成することができる。
【0027】
ヒータ10はワイヤ12に電流を流すことによって駆動する。一方、外部金属シース16は、ワイヤ12に対して電気的に絶縁されている。このシステムの欠点は、応答性が遅い点にある(すなわち、加熱及び冷却に時間を要するので組織溶着デバイスに対しては適していない)。
【0028】
図2は、組織溶着デバイスに使用する、従来の第2の例におけるヒータを示す図である。このヒータ20は、単に固体状の抵抗加熱合金ワイヤ素子を具えており、このワイヤ素子は、スタリオンインスツルメント社(Starion Instruments Corporation)によって販売されているTLS熱結紮バサミ装置(TLS Thermal Ligating Shears device:登録商標)中に組み込まれる。加熱ワイヤ20の抵抗値は、それを覆うことになる組織の抵抗値よりも小さい。したがって、加熱ワイヤ20は、組織中に直接接触するようにして配置され、前記組織は組織を通じて流れる最小限の電流量によって加熱されることになる。ヒータ10に対するヒータ20の利点は、その単純な構成中にある。しかしながら、ヒータ20の不利益な点は直径が小さく(したがって、組織との接触面積が小さく)、熱転写量が小さいという点にある。
【0029】
図3は、本発明に従ったヒータ30を示す図である。ヒータ30は、その外部表面において、管状抵抗加熱ヒータ素子32を具えている。ヒータ素子32は、ニクロム(登録商標)やインコネル(登録商標)のような金属合金などの適当な抵抗加熱材料から構成することができるが、これらの材料に限定されるものではない。ヒータ素子32の内部には、高抵抗で電気的絶縁性を有する高熱伝導のコア材料34が配置されている。コア材料34は、セラミック材料から構成することができ、酸化マグネシウムや窒化ボロン、窒化アルミニウムなどの材料を含むことができる。本発明の好ましい態様において、コア材料34は、空気やその他のガスを含むことができる。また、本発明の好ましい態様において、ヒータ30はセラミックロッドを金属化して形成するようにすることもできる。
【0030】
図4は、本発明のヒータを楕円形状に形成したものである。この例のヒータでは、(図3に示す例と比較して)組織との接触面積を増大するようにすることができる。図4における素子30A、32A、34A及び36Aは、図3における素子30、32、34及び36に相当する。
【0031】
本発明の一態様においては、温度検知素子36を含むようにすることができる。温度検知素子36は本発明の必須の素子ではないが、所望に応じて含ませることができる。種々の場合において、温度検知手段36は熱電対、サーミスタ、正温度係数("PTC")素子あるいは負温度係数("NTC")素子を含むことができる。タングステンワイヤのようなPTC正温度係数素子は、ヒータ素子32の製造に際して組み込むことにより、特に有用となる。他の有用なPTC材料としては、合金120及び鉄を含む。
【0032】
本発明の好ましい態様において、管状ヒータ素子32のDC抵抗値は、それを覆う組織の抵抗値よりも小さくする。特に、管状ヒータ素子32の抵抗値は10Ω以下とすることができる。
【0033】
本発明の好ましい態様において、管状ヒータ素子32の外部直径は0.35mm〜0.55mmの範囲とすることが好ましく、その厚さは約0.001インチとする。
【0034】
図3に示すヒータ30の駆動方法を図5及び図6に関連して説明する。図5には、組織溶着装置40が示されている。組織溶着装置40は一対の結紮ばさみを具えることができ、又は一対のピンセットを具えることができる。さらには、一対のアーム間に位置する組織を挟みこむようにして設けられた他の装置を具えるようにすることもできる。
【0035】
組織溶着装置40は、一対の対向した機能表面42及び44を含む。ヒータ30は、1以上の機能表面の表面上に配置する。本例では、ヒータ30は、機能表面42の表面上に配置している。
【0036】
本発明の新規の方法に従うと、組織溶着装置40は、2つの対向する機能表面42及び44間に位置する組織を挟み込み、管状ヒータ素子32を介して電流を流し、ヒータ30周囲の組織を加熱することによって、組織を切断あるいはシールする。本発明の好ましい態様において、上述した方法は、電流を管状ヒータ素子32内に流す間に、対向する機能表面42及び44間に位置する組織を機械的に圧迫するような工程を具えることができ、これによって、隣接した組織のシールをより良く実行することができる。
【0037】
組織溶着装置40は、さらに電気的なリード46及び48を含むことができる。これらのリード46及び48は、管状ヒータ素子32の、長さ方向における異なる箇所にそれぞれ接続されている。電源45は、リード46及び48に電気的に接続され、管状ヒータ素子32内に電流を流し、管状ヒータ素子32を加熱する。より好ましくは、管状ヒータ素子32内を流れる電流は10Aを超えないようにする。電源45は、交互に定電流電源、定電圧電源あるいは温度フィードバック制御電源とすることができる。
【0038】
図5には、また血管BVが示されている。血管BVは図6において概略的に示すように把持することができる。図6に示すように、血管BVは組織溶着装置40の機能表面42及び44間において把持されている。ヒータ30に最も近接した組織は100℃以上にまで加熱され、その組織構造は破壊され、切断領域Cを形成する。切断領域Cの一方の側において、ヒータ30から離隔した部分の領域は50−90℃の温度に加熱され、溶着領域Sを形成する。機能表面42及び44に血管BVを把持するようにして機械的圧力を付加することにより、組織のシーリングをアシストするようにすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を把持する、相対移動可能な一対の対向した、機能表面を備えた本体と;前記機能表面の少なくとも一方に配置されたヒータと;から構成される組織シール及び切断用システムにおいて、
前記ヒータは、通電されて発熱する管状加熱ヒータ素子と、この管状加熱ヒータ素子の内部に位置する、該管状加熱ヒータ素子より高抵抗で、かつ、高い電気的絶縁性を備えるコア材料と、を備え、
前記管状加熱ヒータ素子は、前記本体の前記一対の機能表面間に前記組織を挟み込んだとき、該組織に直接接触して、該組織を加熱して切断及びシールすることを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項2】
請求項1記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
前記管状加熱ヒータ素子の長さ方向における異なる位置に接続した1対のリードを具え、前記管状加熱ヒータ素子の長さ方向に沿って電流を流すようにしたことを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項3】
請求項2記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
前記1対のリードに接続された電源を具え、前記管状加熱ヒータ素子の長さ方向に電流を流すようにしたことを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
前記管状加熱ヒータ素子はニクロムを具えることを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
前記管状加熱ヒータ素子はインコネルを具えることを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
前記コア材料はセラミック材料を具えることを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項7】
請求項6記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
前記コア材料は酸化マグネシウムを具えることを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項8】
請求項6記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
前記コア材料は窒化ホウ素を具えることを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項9】
請求項6記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
前記コア材料は窒化アルミニウムを具えることを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
前記管状加熱ヒータ素子の抵抗が周囲の体組織の抵抗よりも小さいことを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項11】
請求項10記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
前記管状加熱ヒータ素子のDC抵抗が10Ω以下であることを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
前記ヒータは、セラミックロッドを金属化して形成することを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
前記コア材料中に配置された温度検知素子を具えることを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
1対の対向した機能表面を具える前記本体は、ピンセットであることを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項15】
請求項1ないし13のいずれか1項記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
1対の対向した機能表面を具える前記本体は、鉗子であることを特徴とする組織シール及び切断用システム。
【請求項16】
請求項13記載の組織シール及び切断用システムにおいて、
前記温度検知素子は、熱電対、サーミスタ、PTC及びNTCからなる群より選ばれることを特徴とする組織シール及び切断用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−152434(P2011−152434A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57319(P2011−57319)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【分割の表示】特願2006−506977(P2006−506977)の分割
【原出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【出願人】(501352033)スタリオン・インストゥルメンツ・コーポレイション (3)
【氏名又は名称原語表記】Starion Instruments Corporation
【Fターム(参考)】