説明

組織酸素測定装置および方法

動脈および静脈酸素化ならびに脳酸素化等の組織酸素化を決定するための装置および方法である。一実施形態では、組織の光学特性は、一連の波長において測定された光減衰を使用して決定される。特有の波長を選択し、光減衰情報を使用することによって、光散乱、吸収、および他の光学組織特性等の変数の変動が最小化され得る。一実施形態では、装置は、2つを超える波長の光波長の組み合わせを有する光エミッタおよび検出器の組み合わせを利用し、ここで、第3の波長のピークスペクトルは、第1および第2の波長のおよそ幾何平均値である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国特許出願第11/780,997号(2007年7月20日出願)の優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、組織内の血液の酸素化の光学測定の正確性を向上させるためのプロセスおよび装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
血液の動脈の酸素化を測定するための標準的方法は、パルス酸素測定法として知られる。パルスオキシメーターは、血液が、異なる波長において酸素化のレベルに応じて非常に異なって、光を減衰させるということに基づいて機能する。心臓から開始する脈波は、動脈血管系において、組織内の動脈血液含有量の周期的変動を生じさせる。結果として、光吸収の周期的変化(図1)は、その放射が組織を通過する光送信機と、パルス酸素測定センサ内に統合される受信機との間で記録されることが可能である。センサ信号の評価は、通常、w1=660およびw2=940nmの光波長において、光吸収の異なる変化を計算することによって実行される。以下の方式または同様の方式で求められる、測定変数Rを得ることが可能である。
【0004】
【数1】

式中に記載される光強度は、パルス酸素測定法において使用されるセンサの受信機内で受光される光強度を表す。測定変数Rは、酸素飽和度の測定値として用いられる。測定変数を出すための商の形成は、動脈血液の酸素飽和度の測定値に及ぼし得る任意の可能性のある影響(組織のヘモグロビン含有量、皮膚の色素沈着、または有毛)を補償するように意図される。最小値と最大値とにおける光減衰の差異は、両波長のそれぞれに対する光減衰の差分である。
【0005】
波長940nmおよび660nmの光を使用して、70乃至100%の範囲の組織内動脈血液の酸素飽和度を測定することは、ほとんどの場合、1つの単一適用部位に対しては十分に正確な測定値をもたらす。しかしながら、動脈血液のより低い酸素飽和度を測定するためには、特に、血液量(すなわち、血液含有量)(非特許文献1参照)および組織の他の光学パラメータによって生じる測定変数Rに及ぼす大きな影響を想定することが必要である。
【0006】
Rallの特許文献1は、胎児のパルス酸素測定センサについて記載している。この種の用途の場合、胎児は、成人よりも生理学的に低酸素化を有しており、SaO2の測定誤差は、低い酸素化において増加するので、より高い測定精度が望ましい。
【0007】
Bernreuterの特許文献2(参照することによって、本明細書に組み込まれる)は、パルス酸素測定法の精度を改良する。しかしながら、動脈酸素化に対して同一高分解能を伴って、異なる身体部位上で測定するためには、光学組織特性を測定するための付加的精度が必要である。別の問題は、パルス酸素測定法単独では、重症患者を監視するために十分な診断情報を提供しないということである(非特許文献2参照)。
【0008】
このため、追加的に、血液SvO2の混合静脈酸素化を測定できることが非常に望ましいであろう。NIRによってSvO2を測定する方法は、Joebsisによる特許文献3において、およびHiranoらによる特許文献4において記載されている。それらの開示された解決策の問題は、組織表面上の毛髪、粉塵、または他の光学的に非透過性材料は、SvO2の測定結果に影響を及ぼし得ることである。
【0009】
血液酸素化の代謝を測定するために、Andersonらは、特許文献5において、使用される光スペクトルの二次導関数が酸素化に関する情報をもたらす計器を開示している。これによって、組織内の光散乱の影響が最小に抑えられ、より高い測定精度をもたらし得る。本解決策の不利点は、光学計器の較正が複雑かつ高価であって、軽重量の装着可能な装置が着目されるようなスポーツ活動用途に対して、そのような装置の使用を不可能にすることである。同様の問題は、例えば、Grattonの特許文献6に開示されている周波数領域分光法に対して知られている。本明細書に記載される、異なる波長において組織の光減衰を単に測定する酸素測定装置は、複雑な時間分解法よりも実行可能であり、かつ実装において柔軟性および信頼性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,529,064号明細書
【特許文献2】米国特許第6,226,540号明細書
【特許文献3】米国特許第4,223,680号明細書
【特許文献4】米国特許第5,057,695号明細書
【特許文献5】米国特許第5,879,294号明細書
【特許文献6】米国特許第4,840,485号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Photon Diffusion Analysis of the Effects of Multiple Scattering on Pulse Oximetry,J.M.Schmitt,IEEE;1991
【非特許文献2】When Pulse Oximetry Monitoring of the Critically Ill is Not Enough by Brian,F.Keogh,Anesth Analg(2002),94:96−99
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、測定された光減衰を加減算することによって、較正に及ぼす影響を排除する装置および方法と、測定出力変数の精度を向上させるモデルベースの較正計算とを対象とする。一実施形態では、装置は、2つを超える波長の光波長の組み合わせを有する光エミッタと検出器との組み合わせを利用し、ここで、第3の波長のピークスペクトルは、第1および第2の波長のおよその幾何平均値である。
【0013】
その結果、異なる組織特性の較正に及ぼす影響は、動脈、または静脈、あるいは動脈と静脈酸素化との組み合わせを測定するために、最小限に抑えられ得る。2つの他の波長の幾何平均値として、波長のうちの1つを選択することによって、散乱による変動が低減され得ることが発見されている。光減衰の付加的決定は、異なる組織組成による光吸収の変動、すなわち、筋肉、皮膚、脂肪、骨等の相対量の変動による、測定誤差を低減させ得る。
【0014】
上述は、以下の本発明の詳細な説明がよりよく理解され得るために、本発明の特長および技術的利点を幾分広範に概説している。本発明の付加的な特長および利点は、以下に記載され、本発明の請求項の主題を形成する。開示される概念および特定の実施形態が、本発明の同一目的を実行する他の構造を修正または設計するための基礎として、容易に利用され得ることは、当業者には理解されるはずである。また、そのような均等構造が、添付の請求項に記載される本発明の精神および範囲から逸脱するものではないことは、当業者には認識されるはずである。さらなる目的および利点と合わせて、その構成および操作方法の両方に関して、本発明の特徴であると考えられる新規な特徴は、添付の図面と関連させて検討される場合、以下の説明からより理解されるであろう。しかしながら、図はそれぞれ、例示および説明のみの目的のために提供され、本発明の限定の定義として意図されるものではないことを明示的に理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
次に、本発明のより完全な理解のために、添付の図面と合わせて、以下の説明を参照する。
【図1】図1は、血液による光吸収の経時的変化を示す、グラフである。
【図2】図2は、異なる光学組織特性に対する測定変数Rに応じた動脈酸素飽和度示す、グラフである。
【図3】図3は、本発明による、反射酸素測定センサの概略断面図を示す。
【図4】図4は、本発明による、指クリップセンサの概略断面図を示す。
【図5】図5は、2つの測定変数R1、R2対SaO2に対する酸素化の多次元較正の図である。
【図6】図6は、操作時の酸素測定システムの概略図である。
【図7】図7は、本発明による、胎児の頭皮センサの側面図である。
【図8】図8は、図7のセンサの底面図である。
【図9】図9は、図3のセンサの底面図である。
【図10】図10は、図3のセンサの変形例の側断面図である。
【図11】図11は、図3のセンサの別の変形例の側断面図である。
【図12】図12および図12A−12Dは、図11のセンサの底面図と、センサインターフェース上のエミッタ/検出器位置のいくつかの変形例である。
【図12A】図12および図12A−12Dは、図11のセンサの底面図と、センサインターフェース上のエミッタ/検出器位置のいくつかの変形例である。
【図12B】図12および図12A−12Dは、図11のセンサの底面図と、センサインターフェース上のエミッタ/検出器位置のいくつかの変形例である。
【図12C】図12および図12A−12Dは、図11のセンサの底面図と、センサインターフェース上のエミッタ/検出器位置のいくつかの変形例である。
【図12D】図12および図12A−12Dは、図11のセンサの底面図と、センサインターフェース上のエミッタ/検出器位置のいくつかの変形例である。
【図13】図13、13Bおよび14は、前額部上に固定された反射センサの側断面図である。
【図13B】図13、13Bおよび14は、前額部上に固定された反射センサの側断面図である。
【図14】図13、13Bおよび14は、前額部上に固定された反射センサの側断面図である。
【図15】図15は、心拍出量を決定するためのシステムを示す。
【図16】図16は、身体の異なる部位上へのセンサの適用による、手首装着ディスプレイおよびセンサインターフェースを伴うヒトを示し、2つのセンサインターフェースは、脳の各半球のために前額部上に配置される。
【図17A】図17は、本発明による、組織に面して、検出器接地シールドおよび弾性絶縁層を伴う、酸素測定システムのためのハードウェア処理ユニットの概略図である。
【図17B】図17は、本発明による、組織に面して、検出器接地シールドおよび弾性絶縁層を伴う、酸素測定システムのためのハードウェア処理ユニットの概略図である。
【図18】図18は、2つの測定変数Rv1、Rv2対SvO2に対する酸素化の多次元較正の図である。
【図19】図19は、血液内の酸素のモデルベース決定のための信号処理フローを示す、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用されるように、「静脈」および「混合静脈」は、同義語であり得、「減衰」は、絶対または微分減衰を指し得、「組織酸素化」は、動脈、混合静脈、または静脈の酸素化、あるいはそれらの組み合わせを指し得、語句「約」は、波長を参照する場合、+/−80nmの帯域を定量化し、距離を参照する場合、+/−1cmの帯域を定量化し得、エミッタは、センサインターフェースによって放出される少なくとも1つの波長の光が組織を貫通し始める領域を意味する放射点に対応し、光減衰に対して加重された値は、1つ以上の異なる値を有する可能性があり、光減衰のパルス性部分は、パルス酸素測定法のAC信号に対応し、非パルス部分は、DC信号に対応することに留意されたい。
【0017】
図1の図表は、パルス酸素測定法および動脈血液酸素化を決定するための同等方法が基礎とする基本効果を示す。生体内組織の光吸収を測定する場合、光吸収は、心臓周期毎に同期的に変化する。図表は、収縮期と拡張期との間に測定可能な動脈パルスによって生じる、光吸収の変化対時間を示す。収縮期と拡張期との間、動脈血管系への圧力は、80mmHg乃至120mmHgで変動する。光吸収の変化は、AC信号と呼ばれる。光吸収の時不変部分である、DC信号は、動脈血液、静脈血液、骨、毛髪、組織、および他の一定の吸収成分対時間の非パルス部分によって生じる。時不変信号は、組織の混合静脈酸素化の計算の基礎である。したがって、吸収の主要部分は、静脈血液によって生じ、副次部分は、動脈血液によって生じる。
【0018】
図2は、SaO2対Rによる線図における2つの較正曲線を示す。較正線42は、第1の特有集合の光学特性に対してのみ有効である。較正線40は、第2の特有集合の光学特性に対してのみ有効である。有効集合の光学特性は、組織46上に配置され、プラグ66を介してディスプレイ装置64に接続されるセンサ31Sを伴う、図3および6に示される光学系によって決定可能である。追加的に、図2は、SaO2=0.6およびSaO2=0.4における2つの水平線と、R=1.4における1つの垂直線とを示す。光学系が、2つの異なる集合の光学特性を記録せずに、Rのみ決定する場合、0.2のSaO2誤差(第1の集合の光学特性におけるSaO2−第2の集合の光学特性におけるSaO2)をもたらすであろう。また、血液SvO2の混合静脈飽和度と、混合静脈酸素化に対する測定変数Rv1およびRv2との場合にも同様の関係が存在する(図18)。
【0019】
図3は、組織46上に配置される図の上部の酸素測定センサ31Sを示す。センサ31Sは、2つの光エミッタ31E、32Eと、2つの光検出器31D、32Dとを含む。矢印A1からA4は、組織を通してエミッタから検出器に光が通過する様子を示す。A1は、エミッタ31E内で放出され、検出器31D内で受光される光を表す。A2は、エミッタ32E内で放出され、検出器31D内で検出される光である。A3は、31E内で放出され、32D内で検出される光であって、A4は、エミッタ32E内で放出され、検出器32D内で検出される光である。
【0020】
図4は、指48上に固定される指クリップセンサ54を示す。指クリップセンサは、エミッタ31E、32Eと、検出器31D、32Dと、を組み込む。指クリップセンサの電気センサ信号は、センサケーブル60を介して伝送される。また、信号は、従来通り、当該分野において周知の手段(図示せず)によって、無線で伝送することが可能である。
【0021】
図5は、SaO2対R1およびR2の多次元較正を示す。ある組み合わせのR1およびR2は、較正面上のデータ点に対応し、飽和度レベルSaO2を示す。また、図18では、血液SvO2の混合静脈飽和度と、混合静脈酸素化に対する2つの関連測定変数Rv1およびRv2との場合にも、同様の関係が存在する。
【0022】
図7および8は、それぞれ、側面図および底面図から、一連のエミッタ31E、32E、33E、および34Eと、一連の検出器31D、32D、33D、および34Dと、を伴う、胎児の頭皮センサ74を示す。センサは、分娩時、螺旋状針76を介して、胎児の頭皮上に固定可能である。追加的に、胎児の心電図(ECG)が、針76を介して伝送することが可能である。
【0023】
図9は、図3からのセンサ31Sの底面図である。検出器35Dおよび36Dは、エミッタ31Eおよび32Eによって放出される光の受光を最大限にするための同心形態を有する。
【0024】
図10−12は、センサ31Sのいくつかの修正例を示す。図10は、側面図において、平坦体を伴うセンサを示し、検出器31D、32Dおよびエミッタ32Dは、ともに近接して群化され、エミッタ32Eは、本群から離れて配置される。センサは、バンド108を介して、組織上に固定可能である。光シールド110は、周辺光の影響を最小限に抑える。
【0025】
図11は、センサホルダ122を伴うセンサを示す。
【0026】
図12は、図11のセンサの底面図である。センサホルダ122の底側は、医療用の糊または接着剤で被覆可能である。センサホルダ122が、図11に従って、センサ31S上に配置され、組織46に適用される場合、センサホルダ122上の糊によって、固定が可能である。センサホルダ122は、安価かつ使い捨てとして、構築可能である。代替として、組織に適用されるセンサの底側は、糊で直接被覆可能である。この場合の不利点は、センサが再使用不可能なことである。心拍数は、皮膚に接触するECG電極123を介して検出される。図12Aは、センサを示し、エミッタ31Eおよび132Eは、近接して配置され、第1の検出器31D1は、エミッタの近傍に配置され、第2の32Dは、エミッタから離れて配置される。図12Bは、図12Bの若干の修正であって、エミッタ31Eおよび132Eとともに、検出器31D1が一直線に配置される、センサを示す。図12Cでは、検出器31D1の代わり、2つの検出器31D1および31D2が示される。図12Dは、図12Cの修正例であって、検出器31D1および31D2が、センサインターフェース上で種々の接続形態(ここでは、エミッタ31Eおよび132Eに近接して)で配置可能であることを示す。
【0027】
図13、13B、および14は、ヒトの前額部に適用される、センサ32Sの変形例を示す。図13および13Bに示される第1の変形例では、センサ32Sは、バンド108を介して、前額部に固定される。矢印A32およびA42、光が、エミッタ31E、32Eから検出器31および32Dに進行し、前額部組織152および頭蓋骨150を通過し、脳148を通過または接触する様子を表す。矢印A12およびA22は、前額部組織152および頭蓋骨150のみ通過する。図13および図13Bの差異は、図13では、検出器31Dおよび32Dが、近接して配置されるのに対し、図13Bでは、エミッタが、近接して配置されることである。
【0028】
また、前額部上に適用されるセンサ32Sの第2の変形例が、図14に示される。図13の矢印A12、A22、A32、およびA42と比較される、矢印Al1、A21、A31、およびA41は、光検出器およびエミッタの位置の変動によって、酸素含有量が、使用されるセンサ変形例の外形を変化させずに、異なって感知され得ることを示す。
【0029】
図15は、ベッド上に横たわり、挿管チューブ210によって酸素を供給されている患者と、麻酔器204とを示す。麻酔器204は、患者に接続され、患者の酸素消費量または二酸化炭素産生量を測定するための発明装置を有する。センサ32Sは、患者の前額部上に配置され、SaO2およびSvO2と、酸素抽出とを計算する、酸素抽出監視装置206と接続される。監視装置206および麻酔器204は、心拍出量または心拍出量の傾向を計算する、第3の装置202に連結される。
【0030】
図16は、例えば、スポーツ活動または他の医療用途のために、異なる適用部位における酸素監視の使用を示し、手首装着ディスプレイ装置220は、脳の両半球のためのセンサインターフェース214および215を伴う前額部バンドセンサから、胸部バンドセンサ224から、腕部バンドセンサ218またはセンサインターフェース221を伴う本手首部バンドの特殊変形例から、あるいは指手袋センサ222から、酸素化データを受信可能である。
【0031】
図17aは、2つのエミッタ31Eおよび32Eと、2つの検出器31Dおよび32Dとを使用することによって酸素化を評価するためのハードウェアを示す。LED駆動部226は、符号化ハードウェアを組み込み、多次元較正のための較正を調節する、可変エミッタ/検出器幾何学形状のための較正を調節することが可能な、ライン238、248を介して、2つのエミッタを励起する。増幅器AMP1 232およびAMP2 234は、検出器31Dおよび32Dに接続される。デマルチプレクサDEMUX320は、LED−DRIVE226の切替状態に従って、同期的にタイミング調節される、それぞれのエミッタ内で使用される各波長を選択し、AD−コンバータAD−CONV 236を介して、CPU228に測定データを送達する。センサインターフェースは、弾性材料から成り得る、患者に面する絶縁層239を備える。光検出器31Dおよび32Dは、接地ライン235に接続される接地層233によって遮蔽される。接地シールドは、例えば、導電層または金属グッリドから成ることが可能である。図17bは、センサ240の断面図を示す。
【0032】
図19は、モデルベース較正の信号フローを示す。入力処理回路260は、信号フローの第1の部分である。処理回路は、光減衰を計算するための回路262と、異なる測定変数を計算するための回路264とに接続される。光減衰に対する計算262は、混合静脈酸素化SvO2に対する値を出力する結合回路270を有する、混合静脈酸素化のためのモデルベース決定回路266の基礎である。動脈酸素化のためのモデルベース決定回路268は、光減衰を計算するための回路262と、異なる測定変数を計算するための回路264とに接続される。SaO2のための動脈酸素化回路の出力値272は、SaO2のためのモデルベース計算268に連結される。
【0033】
動脈酸素化を測定するために、2つの波長の代わりに3つの波長を使用することによって、以下の近似式は、拡散理論の助けによって導出可能である。本操作の結果は、次のようである。
【0034】
【数2】

式中、Rw2、w1およびRw1、w0は、波長w0、w1、およびw2ならびにQを使用して、式(1)に従って計算され、Qは、補正パラメータである。
【0035】
光減衰LAwxは、以下または同様の方式で計算可能である。
【0036】
【数3】

LAwxは、波長wxにおいて、放出される光強度Iwxoと、受光された光が組織を通過する光強度Iwxとの比の対数に対応する。添え字wxに続く指数は、選択された波長を示す。Graaffらは、組織内の散乱が、指数関数に従って、より高い波長に対して減少することを示した(Applied Optics;Reduced Light−Scattering Properties for Mixtures of Spherical Particles:A Simple Approximation Derived from Mie Calculations by R.Graaff;1992参照)。LAwxは、波長wxにおいて、放出される光強度Iwxoと、受光された光が組織を通過する光強度Iwxとの比の対数に対応する。添え字wxに続く指数は、選択された波長を示す。
【0037】
Graaffらは、組織内の散乱が、指数関数に従って、より高い波長に対して減少することを示した(Applied Optics;Reduced Light−Scattering Properties for Mixtures of Spherical Particles:A Simple Approximation Derived from Mie Calculations by R.Graaff;1992参照)。また、吸収変動は、ac/dc比等の他の測定値または近似式から得られてもよい。振幅は、最大振幅、RMS、平均、または相関係数等の任意の測定値であってもよい。また、カルマンフィルタ法等の他の技術から導出されてもよく、または信号の時間導関数の測定値であってもよい。また、異なる波長における吸収率を利用する計算が示されるが、代替計算を使用して、同一またはほぼ同一の結果を得てもよい。例えば、吸収は、比率を計算せずに、直接使用することが可能である。
【0038】
散乱の影響を低減するための波長の組み合わせの好ましい選択は、波長w0および波長w2の幾何学的平均値としての波長wlを有する、以下の式によって定義される。
【0039】
【数4】

本組み合わせは、約1のデフォルト値を有し、補正パラメータQの変動帯域を最小に抑える。式(2)の測定変数R’は、散乱および組織の血液含有量の変動に関連する最小誤差を有する。
【0040】
(実施例1)
図3に示されるセンサ31Sを使用して、向上した精度によって、組織の動脈酸素化および混合静脈血液酸素化を決定する。式(2)を使用して、動脈酸素化に対する測定変数R’を提供する。エミッタ31Eおよび32Eのそれぞれに対し、3つの波長が定義される。最初に、2つの測定波長w0=940nmおよびw2=660nmが選択される。式(4)を使用すると、第3の波長w1は、約788nmである。計算された第3の波長に近似し、追加的に、血液吸収スペクトルの等吸収点にあるため、波長w1=805nmが選択される。次のステップは、3つの波長w0、w1、およびw3のそれぞれに対し、結果として生じる光減衰LAを決定する。
【0041】
【数5】

【0042】
【数6】

【0043】
【数7】

式中、LA(Axwy)は、波長wyにおける光矢Axに関連する、検出器内で受光された光強度の対数である。光矢Axの添え字xは、選択された光矢の数を表し、添え字yは、選択された波長を表す。光強度の対数の代わりに、光強度自体を式(5)−(7)中で使用可能であって、「+」は、「*」によって置換され、「−」は、「/」によって置換される。
【0044】
次のステップでは、Rw2、w1およびRw1、w0が、式(1)に従って計算される。その結果、R’は、Rw2、w1またはRw1、w0に依存し得る補正因子としてQを伴う、式(2)を使用して決定可能である。R’に依存する測定された動脈酸素化は、散乱、血液含有量、または組織内の他の光学吸収成分の影響を最小限に抑える。
【0045】
(2)の一部である(8)の商は、測定変数Rv’をもたらす。
【0046】
【数8】

Rv’は、散乱の影響が低減された組織の光学吸収の測定値である。したがって、混合静脈酸素化SvO2のための信号として使用可能である。
【0047】
(2)の数学的に等しい形態は、以下となる。
【0048】
【数9】

また、式(9)に従って、以下の式を使用して、SaO2に対する測定変数R1’を決定可能である
【0049】
【数10】

式中、fは、上記で定義された変数を有する、光学組織パラメータの経験的関数である。
【0050】
血液の全体的飽和度範囲に対する変数LAw1、LAw2、LAw3、Rw1、w2、およびRw2、w3を有する、測定変数に及ぼす組織の吸収および散乱の影響を低減する経験的較正は、複雑である。追加的に、異なる適用部位に対する、これらのパラメータに基づく純粋な経験的較正は、おそらく、不可能である。提案されるモデルベース方法は、較正の複雑性を低減する。SaO2は、R’にのみ依存する向上された正確性を伴って、決定可能である。
【0051】
また、一酸化炭素ヘモグロビン、メトヘモグロビン、ビリルビン、または血液中に溶解されたグルコース等の血液の他の光吸収成分のために、本方法を使用することが可能である。600nm−1000nmの範囲の光波長は、一酸化炭素ヘモグロビンおよびメトヘモグロビンのために使用可能である。グルコースは、1100nmで血液中に溶解される吸収ピークを示し、より低い波長におけるビリルビンは、300nm−800nmの範囲である。それぞれの付加的成分に対し、付加的波長が選択される必要がある。すなわち、SaO2およびメトヘモグロビンを同時に測定するためには、4つの波長が選択される必要があり、式(9)に従って、2つの異なる測定変数R’1およびR’2が定義される必要があることを意味する。故に、SaO2に対して結果として生じる出力は、R’1に依存し、メトヘモグロビンは、R’2に依存する。
【0052】
その結果、センサ31Sは、組織の散乱および吸収による、測定誤算の影響の低減を伴って、動脈および混合静脈酸素化ならびに他の血液成分を同時に測定可能である。
【0053】
(実施例2)
図4では、指クリップセンサ54は、2つのエミッタ31E、32Eと、2つの検出器31Dおよび32Dとともに、示される。指クリップセンサの利点は、適用が容易なことである。図3のセンサ31Sと同等に、指48内の混合静脈および動脈酸素化の測定値として、出力変数R’およびRv’を計算するために、実施例1に従う全計算が行なわれ得るように、2つのエミッタと2つの検出器との間の4つの代表的光路が可能である。また、対応する計算は、図9のセンサを使用して行なうことが可能である。ここでの差異は、拡大された同心検出器領域によって、検出された光強度を増加可能である、検出器35Dおよび36Dの代替形態である。
【0054】
(実施例3)
図5は、SaO2対R1およびR2の多次元較正を示す。R1およびR2は、2つの波長対(第1の波長対に対し、波長wm1=660nmおよびwm2=910nmが選択され、第2の波長対に対し、wm3=810nmおよびwm2=910nmが選択される)を選択することによって、(1)に従って、計算可能である。第2の波長対は、動脈酸素化に対し感受性が低く、光学組織パラメータ変動による誤差を補償するために使用される。多次元較正が、可変組織パラメータの存在下、向上した精度をもたらすことを保証するために、特有の波長集合および特有の検出器/エミッタ距離のために指定される、正確に対応する較正を選択することが重要である。したがって、付加的情報は、選択されたセンサに符号化される必要がある。組織酸素濃度計装置は、本情報を読み出し、適切な較正を使用することが可能である。情報の符号化は、例えば、センサのLED駆動部ライン内に実装されるレジスタによって、達成可能である(図17:248、238参照)。絶縁層239と光感知要素31Dおよび32Dとの間の接地シールド面233は、電気干渉および雑音を最小限に抑えるために有用である。また、絶縁層を使用して、例えば、手首装着装置220および統合されたセンサインターフェースに対する力を分断し、センサ精度に及ぼす影響を有し得る、組織上へのセンサインターフェースの力を制御することが可能である。また、弾性手首部バンド221は、本影響を低減する助けとなり得る。
【0055】
多次元較正の(図5)改良型は、式(2)に従ってR1を、式(8)に従ってR2を計算することによって、達成可能である。これは、可変光学組織吸収による表示される動脈酸素化SaO2の誤差を最小限にする。
【0056】
(実施例4)
図7では、螺旋状針76によって、胎児の頭部上の皮膚を穿刺する、胎児のパルス酸素測定センサ74が示される。図8の底面図は、4つのエミッタ31E、32E、33Eおよび34Eと、4つの検出器31D、32D、33Dおよび34Dとを伴う、センサ74を示す。明らかに、エミッタと検出器との間において、選択された波長毎に4つを超える異なる光路が可能である。本付加的情報を使用して、結果として生じる光減衰Laxの全体集合を計算する。また、異なる光路に対し、一連の測定変数Rxを計算することが可能である。変数LAxおよびRxの加重平均値(加重は、関連測定信号の雑音に依存し得る)LAmおよびRmの生成は、組織不均質性による誤差を低減する助けをする。組織組成を局所的に変動することによって影響を受けない、光学組織パラメータに対して安定した測定値を達成することは、誤差を最小限に抑え、モデルベースパラメータの入力を正確に決定するために重要である。
【0057】
(実施例5)
脳酸素濃度計は、図13に示され、患者の前額部の右側に配置される。脳の断面図は、1つの波長を表す、4つの光路が、組織を通して、エミッタ31E、32Eから検出器31Dおよび32Dに進行する様子を示す。結果として生じる光減衰LAは、A32およびA22の光減衰を加算し、そこからA42およびA12に関連する光減衰を減算することによって、各波長に対して達成可能である。したがって、結果として生じる光減衰LAは、エミッタまたは検出器上の粉塵、あるいはそれらの部分の劣化に依存せず、それらのセンサが再使用可能であるため、重要な特長である。脳酸素濃度計の図13内のセンサの2つのエミッタ31Eおよび32Eのそれぞれに対し、3つの波長が選択される(wb1=660nm、wb2=740nm、およびwb3=810nm)。
【0058】
結果として生じる光減衰LAwb2およびLAwb3の比率Rvbは、混合静脈酸素化に対する測定値として使用される。波長wb3=810nmにおいて結果として生じる光減衰を使用して、SvO2対RvbおよびLAwb3の多次元較正によって、Rvbの組織内の血液含有量の依存性を排除可能である。
【0059】
エミッタ32Eと検出器31Dとの間の好ましいエミッタ/検出器距離は、2cm超である。脳組織と重層組織とを対比するために、1つの長光路は、約4cmのエミッタ/検出器距離を有し、短光路は、約2cmのエミッタ/検出器距離を有し、重層構造を区別すべきである。信号上の雑音と、主に脳に関連する信号部分との関係は、本願のための良好な妥協案である。エミッタ/検出器距離が長いほど、脳内への貫通深度は深くなる。最小限のセンサ外形において、最大貫通深度を達成するためには、エミッタと検出器との間の距離は、全エミッタと検出器との間の最大距離であるべきである。図14は、センサ内において、2つの検出器が最大距離を有し、検出器およびエミッタ要素が、センサの中心に対して対称的に群化される、実施例を示す。A31、A21の光の結果として生じる最大貫通深度は、最大エミッタ/検出器距離も、センサの同一全体外形において、図13内のセンサと比較して短いため、ここでは、図13に示される、センサのA32の光の最大貫通深度未満である。したがって、エミッタおよび検出器を非対称的に配置することは、組織の深層中の酸素化測定を達成するための最良の選択肢である。図13Bでは、エミッタ31Eは、エミッタ32Eに近接して配置される。検出器32Dは、検出器31Dとエミッタ32Eとの間に配置される。光減衰A32およびA22を加算し、Al2およびA42を減算することによって、脳重層構造の大部分が、脳組織に対して対比可能であって、酸素化信号が、80%を超えて、重層構造ではなく、脳組織に由来するように計算可能である、信号をもたらす。
【0060】
図12は、脳酸素測定センサの底面図を示し、エミッタ31Eと、検出器31Dおよび32Dは、三角形に配置される。波長wbl=660nmおよびwb3=810nmを使用する、エミッタ31Eと31Dおよび31Eと32Dとの間の光路は、式(1)に従って計算される、測定変数Rp1およびRp2を評価するために決定される。Rp1およびRp2の平均値は、動脈酸素化SaO2に対する出力値として使用される。代替として、図12Aに示されるように、エミッタ31Eおよび32Eは、検出器31Dおよび32Dが位置する場所に配置され得、検出器31Dおよび32Dは、図12のエミッタ31Eおよび32Eの位置に配置される。図12Bでは、検出器31D1は、エミッタ31Eと123Eとの間に配置される。31D1と31Eとの間の関連光路と、31D1と123Eとの間の光路の光減衰を加減算することは、浅組織層の影響が相殺されるため、最小限に抑えられる。図12Cは、図12Bに同様のセンサを示す。ここでの差異は、検出器31D1が、検出器31D1および31D2によって置換されることである。その光減衰を計算する前に、本2つの検出器の光強度を加算することによって、さらなる計算のために、検出器31D1および31D1の関連減衰を単一検出器のように処理可能となる。これに従って、エミッタ31Eおよび123Dは、検出器31D1、31D2とエミッタ31Eおよび123Eとの間で分路する光を回避することによって、より近接して配置可能である。図12Dは、代替位置の検出器31D1および31D2を示す。両半球に対する脳の酸素化均衡を監視するために、左右のセンサは、センサインターフェース214、215を伴う図16の例示に従って、使用可能である。
【0061】
(実施例6)
実施例5を参照すると、脳酸素測定センサは、組織の動脈および混合静脈酸素化を決定可能であると記載されている。これらの2つのパラメータを使用して、組織の酸素抽出を計算可能である。したがって、測定値は、動脈および混合静脈酸素化の差異であり得る。酸素抽出は、組織に酸素が供給されている状態を反映し、追加的に、心拍出量または心拍出量CaOutの傾向を非侵襲的に計算するために使用可能である。図15は、挿管チューブ210を介して、空気を供給されている患者を示す。酸素消費量またはCO2生成は、麻酔器204内で決定される。脳酸素測定センサ32Sは、SaO2およびSvO2ディスプレイ装置206に接続される。装置204および装置206の情報は、以下または同様の方式で、心拍出量モニタ202内で評価される。
【0062】
【数11】

(実施例7)
身体部分の組織の酸素化の知識は、スポーツ活動監視のために、非常に着目されている。太腿または上腕の筋肉の酸素化は、異なるスポーツ活動に対するトレーニングレベルを反映し得る。図16は、手首装着ディスプレイ220と有線または無線で接続される、種々のセンサを装着する運動選手を示す。スポーツ活動センサは、図12の上述の脳センサと同一接続形態を有し得る。しかしながら、エミッタ/検出器距離は、所望の組織監視深度に応じて変動する。混合静脈酸素化を監視するための好ましい波長は、ws1=700nm、ws2=805nm、およびws3=870nmである。結果として生じる光減衰LAは、各波長(選択された波長に対する指数としてwsl、ws2、およびws3を伴う、LWws1、LAws2、およびLAws3)に対して計算される。混合静脈酸素化Rvsに対する測定変数は、以下または同様の方式で求められる。
【0063】
【数12】

このように、混合静脈酸素化の決定に対して、組織の光散乱および吸収に及ぼす影響がより少なくなり得る。
【0064】
より優れた測定精度のためのさらなる改良は、SvO2対RvsおよびRvの多次元較正に依存する、混合静脈酸素化に対する出力値を生成することによって、達成可能である。
【0065】
上述の説明は、多くのの特異性を含有するが、これらは、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、本発明の現在好ましい実施形態の一部の例示を単に提供するものとして解釈されたい。例えば、エミッタの形状は、矩形である可能性があり、エミッタは、LED、検出器、フォトダイオードを含むことが可能であって、脳センサの形状は、円形である可能性があり、組織の動脈および混合静脈酸素化を計算するための提案される方法は、異なる組み合わせで組み合わせ可能であって、信号は、運動または他の望ましくない源等によって生じる雑音の影響を低減するために、カルマンフィルタによって処理可能である。
【0066】
本発明およびその利点が詳述されたが、添付の請求項によって定義されるように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更、置換、および修正が成され得ることを理解されたい。さらに、本願の範囲は、明細書に記載されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。当業者であれば、本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載される対応する実施形態と実質的に同一機能を果たす、または実質的に同一結果を達成する、現在既存あるいは後に開発される、プロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、もしくはステップが、本発明に従って利用されてもよい。故に、添付の請求項は、その範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップを含むことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の組織酸素化を測定するための装置であって、
患者組織部位に連結されるように適合されるセンサインターフェースであって、該センサインターフェースは、光を組織内に放出する少なくとも1つの光エミッタと、該少なくとも1つのエミッタから組織を通過する光を検出する少なくとも1つの検出器とを含む、センサインターフェースと、
選択された波長wsjにおいて検出された光に応じて、光減衰LAwsjを決定するためのプロセッサと、
該組織部位において、該センサインターフェースを連結するための連結装置と、
該決定された光減衰に基づいて、組織酸素化を表す信号を生成するためのデータプロセッサと、
組織酸素化レベルを表示するディスプレイ装置と
を備える、装置。
【請求項2】
前記データプロセッサは、組織酸素化を表す信号を生成するための手段を含み、光減衰のパルス変化に基づいて、動脈酸素化情報を提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのエミッタは、LEDであり、前記少なくとも1つの検出器は、フォトダイオードである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
組織酸素化を表す信号を生成するための前記手段は、前記動脈酸素情報の正確性を向上させるために、光減衰の非パルス部分を使用する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
組織酸素化を表す信号を生成するための前記手段は、光減衰の非パルス部分を使用して、組織酸素化を決定する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記センサインターフェースは、胸部バンドまたは頭部バンドに連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記センサ連結装置は、腕部バンドである、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記腕部バンドは、手首部バンドである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記センサインターフェースを通して、組織に付与される力を制御するための弾性手段を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのエミッタは、少なくとも3つの異なる波長を有する光を放出する、請求項2に記載の装置。
【請求項11】
2つの決定された光減衰を加減算し、組織内の酸素化に関連する少なくとも1つの測定値を生成する、請求項2に記載の装置。
【請求項12】
パルスまたは心拍数が、追加的に決定される、請求項2に記載の装置。
【請求項13】
前記ディスプレイ装置は、時間を表示する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
組織酸素化を測定するための装置であって、
少なくとも2つの波長によって光を組織内に放出する少なくとも2つのエミッタと、該組織を通過する光を受光する少なくとも1つの検出器とを含む、センサインターフェースと、
該センサインターフェース内のセンサ変動の情報を保有するための記憶装置と、
該センサインターフェースの該センサ変動情報を使用して、組織酸素化を決定するためのプロセッサと
を備える、装置。
【請求項15】
前記エミッタのうちの少なくとも1つの波長放出強度は、計算するための手段によって補償される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記エミッタのうちの少なくとも1つの光放出強度は、前記計算するための手段によって補償される、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記エミッタのうちの少なくとも1つの光放出強度および該エミッタのうちの少なくとも1つの波長は、前記計算するための手段によって補償される、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
脳組織酸素化は、前記センサインターフェースを使用して決定され、少なくとも1つのエミッタ/検出器の距離は、3cmより大きく、該センサインターフェースは、前額部の片側に提供され、前記装置は、一方の脳半球の酸素化を測定する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つのエミッタ/検出器の距離は、長さ約1cmであり、関連経路は、検出された光のパルス性部分を評価することによって、光減衰、または追加的に動脈酸素化を決定するために使用されることが可能である、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも1つの波長wsjに対して計算ステップを実行する装置であって、
第1のエミッタ内で放出され、第1の検出器において受光される光の光減衰LA(A1、wsj)を計算するステップと、
第2のエミッタ内で放出され、第2の検出器において受光される光の光減衰LA(A4、wsj)を計算するステップと、
該第1のエミッタ内で放出され、該第2の検出器において受光される光の光減衰LA(A2、wsj)を計算するステップと、
該第2のエミッタ内で放出され、該第1の検出器において受光される光の光減衰LA(A3、wsj)を計算するステップと、
LA(A2、wsj)およびLA(A3、wsj)の光減衰を重み付けおよび累算し、そこから該重み付けおよび累算された光減衰LA(Al、wsj)およびLA(A4、wsj)を減算することによって、該波長wsjにおいて結果として生じる光減衰LAwsjに対応する、該組織単独の光学成分を算出するステップと
を備える、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
組織酸素化を測定するための装置であって、
前額部組織に連結されるように適合されるセンサであって、該センサは、少なくとも2つの光エミッタであって、各エミッタに対して少なくとも2つの異なる波長を伴って該センサ上に互いから離れて配置され、各エミッタはおよそ同一の波長を有し、光を該組織内に放出する、エミッタと、該組織を通過する光を検出するための少なくとも1つの検出器とを含み、該エミッタのうちの1つと、該少なくとも1つの検出器のうちの1つとの距離は、光路が該組織を貫通するように選択され、少なくとも1つのエミッタ/検出器の対の間の距離は、20ミリメートルより大きい、センサと、
該少なくとも1つの検出器および該少なくとも2つのエミッタに対して選択された波長wsjに対して、検出された光に応じて、少なくとも2つの信号を計算するための手段であって、該少なくとも2つの信号は、光減衰を加算または減算することによって計算される、手段と、
該少なくとも2つの光エミッタと該少なくとも1つの検出器との間の少なくとも2つの可能性のある光路に対するIn(該検出器において受光される定常状態の光の強度)に対応する減衰を計算するステップと、
該少なくとも2つの信号に基づいて、組織酸素化を表す出力を生成するための手段と
を備える、装置。
【請求項22】
少なくとも2つのエミッタと少なくとも2つの検出器とを使用して、前記波長のうちの少なくとも2つの場合に、該波長の各々に対して、2つの光路の対応する前記光減衰が加算され、2つのさらなる光路の対応する光減衰が減算されて、該少なくとも2つの信号に対する測定値を生成する、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
脳内の組織酸素化を示す比Rを計算するための手段を備え、前記2つの信号が使用される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
3つの異なる波長を使用して、該3つの波長の減衰または光減衰対酸素化の比に基づく2つの比Rに従属する多次元較正によって、組織酸素化レベルの測定値を計算するための手段を備える、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
光の付加的波長を使用して、組織成分の測定値を計算するための手段を備える、請求項22に記載の装置。
【請求項26】
較正は、経験的なデータに基づく、請求項22に記載の装置。
【請求項27】
前記センサは、少なくとも4cmである少なくとも1つのエミッタ/検出器距離と、少なくとも1.5cmである第2のエミッタ/検出器距離とを含む、請求項22に記載の装置。
【請求項28】
前記センサは、少なくとも4cmである少なくとも1つのエミッタ/検出器距離と、少なくとも1.5cmである第2のエミッタ/検出器距離とを含む、請求項21に記載の装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つの検出器および前記少なくとも2つのエミッタのうちの少なくとも3つは、前記センサ上におよそ直線的に整列させられる、請求項21に記載の装置。
【請求項30】
生成された酸素化信号のうちの少なくとも65%は、前額部組織および脳組織を通る光路を加減算することによって、脳組織によって発生させられる、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
対象の前額部の反対側に配置される一対のセンサによって、該対象の脳半球の酸素化レベルを監視するための、請求項28に記載の装置。
【請求項32】
対象の前額部の反対側に配置される一対のセンサであって、LEDおよび光検出器を含む、センサによって、該対象の脳半球の酸素化レベルを監視する、請求項28に記載の装置。
【請求項33】
脳半球を監視するために、前記前額部の片側に配置される前記センサのエミッタ/検出器距離は、長さ20mm未満である、請求項28に記載の装置。
【請求項34】
20mm以下の距離によって分離されるエミッタ/検出器の対に関連付けられる光信号を使用して、動脈酸素化に対する測定値を計算する手段を有する、請求項28に記載の装置。
【請求項35】
少なくとも1つの波長wsjに対して、前記装置は、
第1のエミッタ内で放出され、第1の検出器において受光される光の光減衰LA(Al、wsj)を決定することと、
第2のエミッタ内で放出され、第2の検出器において受光される光の光減衰LA(A4、wsj)を決定することと、
該第1のエミッタ内で放出され、該第2の検出器において受光される光の光減衰LA(A2、wsj)を決定することと、
該第2のエミッタ内で放出され、該第1の検出器において受光される光の光減衰LA(A3、wsj)を決定することと、
LA(A2、wsj)およびLA(A3、wsj)の光減衰を重み付けおよび累算し、そこから該重み付けおよび累算された光減衰LA(A1、wsj)およびLA(A4、wsj)を減算することによって、該波長wsjにおいて結果として生じる光減衰LAwsjに対応する該組織の光学成分を決定することと
を備える、方法を実行する、請求項21に記載の装置。
【請求項36】
前記センサのうちの少なくとも1つの検出器は、電気的に絶縁された絶縁層と、前記絶縁層と前記光強度が検出される領域との間の接地層とを含む、請求項21に記載の装置。
【請求項37】
前記少なくとも1つの検出器は、脳半球の酸素化を検出するための使用に適合される、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
組織酸素化を決定するための方法であって、
少なくとも2つの検出器および少なくとも2つのエミッタを組織表面上に配置することと、第1のエミッタによって放出され、第1の検出器において測定される光減衰を加算することと、該第1のエミッタと第2の検出器との間の光減衰を減算することと、検出器とエミッタとの対をさらに選択し、光減衰を加算または減算することによって、結果として生じる光減衰を決定することと、
以前に加算された少なくとも1つの光減衰に対して、各検出器で終端する光路を有する各検出器とエミッタとの対に対する該結果として生じる光減衰から、光減衰を減算することにより、該結果として生じる光減衰を生成することと
光減衰を加減算して、組織酸素化の測定値を決定することと
を備える、方法。
【請求項39】
前記検出器とエミッタとは、矩形状に離間している、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記検出器とエミッタとは、前記エミッタと検出器との間の組織を通る少なくとも2つの光路が交差しないように離間している、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記検出器とエミッタとは、前記光路内に非対称性を提供するように離間している、請求項38に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13−13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2010−534083(P2010−534083A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516610(P2010−516610)
【出願日】平成20年7月21日(2008.7.21)
【国際出願番号】PCT/IB2008/001932
【国際公開番号】WO2009/013608
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510018096)
【Fターム(参考)】