説明

組電池の電圧調整装置

【課題】組電池を構成する各単位電池の電圧を所望の電圧まで放電させることで各単位電池の電圧を調整するに際し、所望の電圧に高精度に調整することと短時間で調整することとの好適な両立を図ることのできる組電池の電圧調整装置を提供する。
【解決手段】組電池を構成する各2次電池B1〜Bnには、放電経路20,30がそれぞれ並列接続されている。放電経路20,30の抵抗体21,31は互いに異なる抵抗値を有している。2次電池B1〜Bnの放電に際しては、まず抵抗値の小さな抵抗体21を有する放電経路20を用いて放電を行う。そして、2次電池B1〜Bnの電圧が所望の電圧に近似すると、放電を行うために用いる経路を、放電経路20から放電経路30に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の2次電池の直列接続体として構成される組電池における単一の2次電池及び隣接するいくつかからなる2次電池のいずれかである単位電池の電圧を所望の電圧まで放電させることで各単位電池の電圧を調整する組電池の電圧調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばハイブリッド車等には、複数個の2次電池の直列接続体として構成される組電池が搭載されている。ただし、ハイブリッド車等において、各2次電池の温度ばらつきや組電池自身の個体差等により、各2次電池の残存容量がばらつき、各2次電池の電圧にばらつきが生じることがある。そこで上記2次電池をニッケル水素電池とする組電池を用いる場合には、組電池をわずかに過充電することにより、全ての2次電池を満充電する手法がとられている。
【0003】
これに対し、2次電池としてのリチウム電池は、過充電により劣化が促進される性質を有する。このため、上記2次電池をリチウム電池とする組電池にあっては、過充電により全ての2次電池を満充電する手法を採用すると、その信頼性を高く維持することが困難となる。
【0004】
そこで従来は、例えば下記特許文献1に見られるように、各2次電池と並列に放電経路を接続するとともに、各2次電池の電圧を検出し、電圧の高い2次電池を放電経路により放電させることで各2次電池の電圧を調整する電圧調整装置も提案されている。
【特許文献1】特開2005−56654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記電圧調整装置において、例えば各2次電池と各放電経路とを接続するコネクタ部分の接触抵抗が上昇する場合には、放電経路の電圧降下とコネクタ部分の電圧降下との和が2次電池の電圧となる。このため、放電経路の電圧降下を所望の電圧まで低下させたとしても、2次電池の電圧は、所望の電圧に対しコネクタ部分の電圧降下分だけ誤差を有する。ここで、誤差を低減するためには、放電経路の抵抗値を増大させればよいが、この場合、放電経路を流れる電流が小さくなるため、放電時間が長期化する。
【0006】
なお、上記リチウム電池にて構成される組電池に限らず、組電池を構成する単位電池の電圧を所望の電圧まで放電させることで各2次電池の電圧を調整するものにあっては、所望の電圧に高精度に調整することと調整に要する時間を短縮することとが互いに相反する関係にあるこうした実情も概ね共通したものとなっている。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、組電池を構成する各単位電池の電圧を所望の電圧まで放電させることで各単位電池の電圧を調整するに際し、所望の電圧に高精度に調整することと短時間で調整することとの好適な両立を図ることのできる組電池の電圧調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
【0009】
請求項1記載の発明は、前記各単位電池と並列に接続される放電経路と、前記放電経路の両端の電圧及び前記放電経路を流れる電流値についての原点とこれらについての前記放電開始時の実際の値とを結ぶ直線によって定まる前記所望の電圧における前記電流値よりも前記所望の電圧となるときの実際の電流値の方が小さくなるように前記放電経路を流れる電流を制限する制限手段を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成において、放電経路を単純に抵抗体を備える構成とする場合、放電経路を流れる電流は、放電経路の両端の電圧及び放電経路を流れる電流値についての原点とこれらについての放電開始時の実際の値とを結ぶ直線によって定まる。ここで、放電に要する時間を短縮するためには、放電経路の抵抗値を低減することが望まれる。ただし、この場合、放電経路と単位電池とを接続する接続点の接触抵抗の増大等が生じると、放電経路の電圧降下に基づいて単位電池の電圧を所望の電圧に調整する際の精度が低下する。
【0011】
この点、上記構成では、所望の電圧となるときの実際の電流値が上記直線によって定まる電流値よりも小さくなるように制限することで、調整に要する時間を短縮しつつも、調整を高精度に行うことができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記制限手段は、放電電流が流れる前記放電経路の抵抗値を、前記単位電池の電圧が低下するほど増大させる抵抗可変手段を備えることを特徴とする。
【0013】
上記構成では、単位電池の電圧が低下するほど放電経路の抵抗値を増大させることで、単位電池の電圧が所望の電圧近傍となるときの電流値を好適に制限することができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記放電経路は、前記各単位電池と並列接続された複数の経路からなって且つ該複数の経路のそれぞれが抵抗体及び当該放電経路の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子を備えて構成されてなり、前記抵抗可変手段は、前記スイッチング素子を操作することで前記放電に用いる放電経路を選択することを特徴とする。
【0015】
上記構成では、放電経路をスイッチング素子及び抵抗体を備える複数の経路として構成することで、抵抗可変手段をスイッチング素子を操作するという簡易な手段として構成することが可能となる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記放電経路は、スイッチング素子を備えて構成され、前記制限手段は、オペアンプを備えて構成され、該オペアンプの出力信号が前記スイッチング素子の導通制御端子に出力され、前記オペアンプの一方の入力端子が前記抵抗体及び前記スイッチング素子の接続点に接続され、前記オペアンプの他方の入力端子にゼロよりも大きな電圧が印加されてなることを特徴とする。
【0017】
上記構成では、放電経路を流れる電流は、放電経路の両端の電圧が他方の入力端子に印加される電圧と等しくなることでゼロとなる。このため、放電経路の両端に印加される電圧と放電経路を流れる電流とによって描かれる直線は、放電経路の両端の電圧及び放電経路を流れる電流値についての原点とこれらについての放電開始時の実際の値とを結ぶ直線と比較して、同一電圧に対しては小さな電流値を定めるものとなる。このため、所望の電圧となるときの実際の電流値を、放電経路の両端の電圧及び放電経路を流れる電流値についての原点とこれらについての放電開始時の実際の値とを結ぶ直線によって定まる所望の電圧となるときの電流値よりも小さくすることができる。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記オペアンプの出力端子及び前記スイッチング素子の導通制御端子間の導通及び遮断を切り替える切替手段を更に備え、前記電圧の調整が所望されるときに前記切替手段を導通状態とすることを特徴とする。
【0019】
上記構成では、切替手段を備えることで、電圧の調整が所望されないときには、放電経路を用いた放電を回避することができる。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の発明において、前記制限手段は、前記オペアンプの他方の入力端子に、前記組電池の常用域における前記単位電池の電圧と等しい電圧を印加することを特徴とする。
【0021】
上記構成では、他方の入力端子に上記常用域における電圧と等しい電圧を印加することで、所望の電圧となる近傍において放電経路を流れる電流をゼロとすることができる。このため、電圧の調整をいっそう高精度に行うことができる。
【0022】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記放電経路は、前記各単位電池と並列接続された複数の経路からなって且つ該複数の経路のそれぞれが前記放電経路の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子及び定電流放電手段を備えて構成されてなり、前記制限手段は、前記スイッチング素子を操作することで前記放電に用いる放電経路を選択することを特徴とする。
【0023】
上記構成では、放電に用いる放電経路を可変設定することで、実際に流れる電流を可変設定することができる。このため、放電に用いる放電経路の可変設定手段として上記制限手段を構成することができる。
【0024】
請求項8記載の発明は、複数個の2次電池の直列接続体として構成される組電池における単一の2次電池及び隣接するいくつかからなる2次電池のいずれかである単位電池の電圧を所望の電圧まで放電させることで前記各単位電池の電圧を調整する組電池の電圧調整装置において、前記各単位電池と並列に接続される放電経路を備え、前記放電経路は、前記各単位電池と並列接続された複数の経路からなって且つ該複数の経路のそれぞれが前記放電経路の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子及び抵抗体を備えて構成されてなることを特徴とする。
【0025】
上記構成では、複数の放電経路を備えるために、放電に用いる放電経路の可変設定によって放電電流を調節することができる。このため、放電初期に大電流の放電をしつつも放電後期における放電電流量を制限することが可能となり、ひいては所望の電圧に高精度に調整することと短時間で調整することとの好適な両立を図ることができる。
【0026】
請求項9記載の発明は、前記各単位電池と並列に接続されて且つスイッチング素子を備える放電経路と、前記スイッチング素子の導通制御端子に出力端子が接続されるオペアンプとを備え、前記オペアンプの一方の入力端子が前記抵抗体及び前記スイッチング素子の接続点に接続され、前記オペアンプの他方の入力端子にゼロよりも大きな電圧が印加されてなることを特徴とする。
【0027】
上記構成では、放電経路を流れる電流は、放電経路の両端の電圧が他方の入力端子に印加される電圧と等しくなることでゼロとなる。このため、所望の電圧となるときの電流値を好適に制限することができ、ひいては、所望の電圧に高精度に調整することと短時間で調整することとの好適な両立を図ることができる。
【0028】
請求項10記載の発明は、複数個の2次電池の直列接続体として構成される組電池における単一の2次電池及び隣接するいくつかからなる2次電池のいずれかである単位電池の電圧を所望の電圧まで放電させることで前記各単位電池の電圧を調整する組電池の電圧調整装置において、前記各単位電池と並列に接続される放電経路を備え、前記放電経路は、前記各単位電池と並列接続された複数の経路からなって且つ該複数の経路のそれぞれが前記放電経路の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子及び定電流放電手段を備えて構成されてなることを特徴とする。
【0029】
上記構成では、放電に用いる放電経路を可変設定することで、実際に流れる電流を可変設定することができる。このため、放電初期に大電流の放電をしつつも放電後期における放電電流量を制限することが可能となり、ひいては所望の電圧に高精度に調整することと短時間で調整することとの好適な両立を図ることができる。
【0030】
請求項11記載の発明は、前記各単位電池と並列に接続される放電経路を備え、前記放電経路は、前記各単位電池と並列接続された複数の経路からなって且つ該複数の経路のそれぞれが前記放電経路の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子を備えて構成されてなることを特徴とする。
【0031】
上記構成では、放電に用いる放電経路を可変設定することで、実際に流れる電流を可変設定することができる。このため、放電初期に大電流の放電をしつつも放電後期における放電電流量を制限することが可能となり、ひいては所望の電圧に高精度に調整することと短時間で調整することとの好適な両立を図ることができる。
【0032】
請求項12記載の発明は、前記各単位電池と並列に接続される放電経路と、前記単位電池の電圧の変化に対する前記放電経路を流れる電流の変化速度を変更することで前記所望の電圧となるときに実際に流れる電流を制限する制限手段とを備えることを特徴とする。
【0033】
上記構成では、制限手段を備えることで、放電初期に大電流の放電をしつつも放電後期における放電電流量を制限することが可能となり、ひいては所望の電圧に高精度に調整することと短時間で調整することとの好適な両立を図ることができる。
【0034】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の発明において、前記制限手段は、放電電流が流れる前記放電経路の抵抗値を、前記単位電池の電圧が低下するほど増大させる抵抗可変手段を備えることを特徴とする。
【0035】
上記構成では、単位電池の電圧が低下するほど放電経路の抵抗値を増大させることで、単位電池の電圧が所望の電圧近傍となるときの電流値を好適に制限することができる。
【0036】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の発明において、前記放電経路は、前記各単位電池と並列接続された複数の経路からなって且つ該複数の経路のそれぞれが前記放電経路の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子及び抵抗体を備えて構成されてなり、前記抵抗可変手段は、前記スイッチング素子を操作することで前記放電に用いる放電経路を選択することを特徴とする。
【0037】
上記構成では、放電経路をスイッチング素子及び抵抗体を備える複数の経路として構成することで、抵抗可変手段をスイッチング素子を操作するという簡易な手段として構成することが可能となる。
【0038】
請求項15記載の発明は、請求項12記載の発明において、前記放電経路は、前記各単位電池と並列接続された複数の経路からなって且つ該複数の経路のそれぞれが前記放電経路の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子及び定電流放電手段を備えて構成されてなり、前記制限手段は、前記スイッチング素子を操作することで前記放電に用いる放電経路を選択することを特徴とする。
【0039】
上記構成では、放電に用いる放電経路を可変設定することで、実際に流れる電流を可変設定することができる。このため、放電に用いる放電経路の可変設定手段として上記制限手段を構成することができる。
【0040】
請求項16記載の発明は、請求項1〜15のいずれかに記載の発明において、前記単位電池の電圧の平均値を検出する平均値検出手段と、前記単位電池のうちその電圧が前記平均値よりも高いものを前記放電経路により放電させる放電手段とを更に備えることを特徴とする。
【0041】
上記構成では、単位電池のうちその電圧が平均値よりも高いものを放電経路により放電させることで、最終的に全ての電圧を均一化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる組電池の電圧調整装置をハイブリッド車に搭載される組電池の電圧調整装置に適用した第1の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0043】
図1に、組電池及び電圧調整装置の全体構成を示す。
【0044】
図示されるように、組電池10は、複数(ここではn個)のリチウム2次電池(2次電池B1〜Bn)の直列接続体として構成されている。組電池10は、ブレーキ時の制動エネルギ等を車載発電機により電力回収する際の受け皿として機能するとともに、蓄えた電力を、DC−DCコンバータを介して低圧(例えば「12V」)の車載バッテリに供給するものである。また、組電池10は、車両加速時にはモータでエンジンをアシストする際の電力供給源として機能する。
【0045】
2次電池B1〜Bnには、コネクタCを介してそれぞれ並列に、2つの放電経路20,30が接続されている。これら放電経路20,30は共に、抵抗体21,31とスイッチング素子22,32との直列接続体を備えている。
【0046】
上記放電経路20,30と並列に、電圧検出部40が接続されている。電圧検出部40は、各バッテリB1〜Bnの両端子間の電圧をそれぞれ検出するものである。これら電圧検出部40による電圧の検出結果は、電圧比較部50に取り込まれ、電圧比較部50は、電圧検出部40による電圧の検出結果に基づき、スイッチング素子22,32を操作する。
【0047】
詳しくは、電圧比較部50は、電圧検出部40により検出される2次電池B1〜Bnの電圧の平均値を算出し、2次電池B1〜Bnのうち平均値よりも電圧が高いものを放電経路20,30により放電させることでその電圧を平均値に一致させる。これにより、最終的には、全ての2次電池B1〜Bnの電圧を一致させることができる。
【0048】
図2に、電圧比較部50による放電制御の処理態様を示す。ちなみに、図2では、組電池10の有する2次電池B1〜Bnの個数を説明の便宜上2個としている。図2において、実線は、それぞれ2次電池の電圧であり、一点鎖線はこれら2つの2次電池の電圧の平均値である。図示されるように、時刻t1に放電が開始されると、平均値よりも電圧の大きいものの放電がなされることで、その電圧が低下していく。これに伴い、2次電池の電圧の平均値も低下する。そして、2つの2次電池の電圧がこれらの平均値と一致する時刻t2に放電が終了する。
【0049】
ところで、例えばコネクタCの接触抵抗が増大する等、2次電池B1〜Bnと放電経路20,30とによって構成される閉ループ回路中の放電経路20,30以外の部分の抵抗が増大すると、放電処理中にその部分の電圧降下が無視できないものとなる。すなわち、例えばコネクタCの接触抵抗が増大して且つ放電経路20を介して2次電池B1〜Bnの放電を行う場合、抵抗体21における電圧降下と、コネクタCの接触抵抗による電圧降下との和が、2次電池B1〜Bnの電圧となる。一方、電圧検出部40では、2次電池B1〜Bnの電圧として、実際には、放電経路20の両端の電圧を検出する。このため、電圧検出部40によって検出される2次電池B1〜Bnの電圧には、コネクタCの接触抵抗による電圧降下分の誤差が生じることとなる。
【0050】
上記誤差を低減するためには、放電経路20,30の抵抗値を増大させることが望ましい。これにより、放電経路20,30による電圧降下に比べてコネクタCの接触抵抗による電圧降下が無視し得るものとなるからである。しかし、この場合、放電経路20,30を流れる電流量が減少するため、放電に要する時間が長期化する。
【0051】
図3(a)に、放電経路20,30の抵抗値を小さくした場合に放電経路20,30を流れる電流と電圧との関係を示し、図3(b)に、放電経路20,30の抵抗値を大きくした場合に放電経路20,30を流れる電流と電圧との関係を示す。図中、一点鎖線にて、2次電池B1〜Bnの両端の電圧を示し、実線にて放電経路20,30の両端の電圧を示している。また、電圧V0は放電開始時の2次電池B1〜Bnの電圧を示し、電圧Vaは、2次電池B1〜Bnの電圧として所望される値を示している。
【0052】
図示されるように、放電経路20,30の抵抗値が小さい場合には、放電経路20,30を流れる電流を増大させることができるものの、放電経路20,30の両端の電圧が所望の電圧となるときには、2次電池B1〜Bnの電圧は、電圧Vaに対して誤差ΔV1を有するものとなる。これに対し、放電経路20,30の抵抗値が大きい場合には、放電経路20,30の両端の電圧が所望の電圧となるときの2次電池B1〜Bnの電圧は、電圧Vaに対して誤差ΔV2を有するが、この誤差ΔV2は誤差ΔV1よりも小さいものとなる。ただし、抵抗値を大きくすると、流れる電流が少なく(最大の電流値I02<I01)、放電に要する時間が長期化する。
【0053】
そこで本実施形態では、放電経路20の抵抗体21の抵抗値よりも放電経路30の抵抗体31の抵抗値を大きなものとして且つ、実際に放電がなされる経路を放電開始時には放電経路20とするとともに放電後期には放電経路30へと切り替える。これにより、例えば図3(a)が放電経路20による放電態様を示し、図3(b)が放電経路30による放電態様を示すとすると、放電開始時の電流値を電流値I01としつつも、電圧検出部40によって検出される電圧が所望の電圧Vaとなるときの電流値を、放電経路20を用いた場合の電流値I1よりも小さな電流値I2とすることができる。
【0054】
図4に、本実施形態にかかる放電処理の態様を示す。詳しくは、図4(a)に放電経路20のスイッチング素子22の操作態様を示し、図4(b)に放電経路30のスイッチング素子32の操作態様を示し、図4(c)に放電がなされている経路の抵抗値を示し、図4(d)に、電圧検出部40によって検出される電圧を示す。
【0055】
図示されるように、時刻t11に、まずスイッチング素子22がオンとされると、放電がなされる経路の抵抗値が抵抗体21の抵抗値となる。これにより、放電が開始されるため、電圧検出部40によって検出される電圧が低下する。そして、時刻t12において、スイッチング素子22をオフとするとともにスイッチング素子32をオンとすると、放電がなされる経路の抵抗値が上昇する。このため、2次電池B1〜Bnを含む放電のための閉ループ回路全体での電圧降下に対する放電経路の電圧降下の比が増大するため、時刻t12において電圧が一旦上昇し、その後、放電経路30を介した放電により電圧が低下していく。そして、時刻t13に所望の電圧Vaとなると、スイッチング素子32をオフとすることで放電を終了する。
【0056】
このように本実施形態によれば、電圧検出部40によって検出される電圧が所望の電圧Va近傍となることで、放電経路を放電経路20から放電経路30に切り替えた。これにより、電圧検出部40によって検出される電圧が所望の電圧Va近傍となるときの放電電流量を制限することができ、ひいては、電圧検出部40によって2次電池B1〜Bnの電圧を高精度に検出することができる。したがって、2次電池B1〜Bnの電圧を所望の電圧Vaに高精度に制御することができる。
【0057】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0058】
(1)2次電池B1〜Bnの電圧が低下するほど、放電される経路の抵抗値を増大させることで、2次電池B1〜Bnの電圧が所望の電圧近傍となるときの電流値を好適に制限することができる。
【0059】
(2)抵抗値の異なる抵抗体21,31がそれぞれ配置された放電経路20,30を備えて且つ、放電経路20,30のスイッチング素子22,32を操作することで、いずれの放電経路を用いるかを切り替えた。これにより、スイッチング素子22,32を操作するという簡易な手法にて、放電される経路の抵抗値を可変とすることができる。
【0060】
(3)2次電池B1〜Bnの電圧の平均値を検出し、2次電池B1〜Bnのうちその電圧が平均値よりも高いものを放電させることで、最終的に全ての2次電池B1〜Bnの電圧を均一化することができる。
【0061】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0062】
本実施形態では、放電経路20及び放電経路30の並列回路を用いて放電を行った後、放電経路20を用いて放電を行い、更に放電経路30を用いて放電を行う。
【0063】
図5に、本実施形態にかかる放電処理の態様を示す。なお、図5(a)〜図5(d)は、先の図4(a)〜図4(d)と対応している。
【0064】
図示されるように、時刻t21にスイッチング素子22及びスイッチング素子32の双方がオンとされることで、放電が開始される。そして、電圧検出部40によって検出される電圧が所望の電圧Vaに近似する時刻t22において、スイッチング素子32をオフとする。これにより、放電に用いられる経路の抵抗値が上昇するため、2次電池B1〜Bnを含む放電のための閉ループ回路の全電圧降下に対する放電経路の電圧降下の比が増大する。これにより、時刻t22において、電圧検出部40によって検出される電圧が上昇する。その後、再度電圧が低下し、時刻t22のときよりも更に所望の電圧Vaに近づく時刻t23において、スイッチング素子22をオフとして且つスイッチング素子32をオンとする。これにより、放電に用いられる経路の抵抗値が上昇するため、2次電池B1〜Bnを含む放電のための閉ループ回路の全電圧降下に対する放電経路の電圧降下の比が増大する。これにより、時刻t23において、電圧検出部40によって検出される電圧が上昇する。そして、電圧が再度低下し、所望の電圧Vaとなると、スイッチング素子32をオフとする。
【0065】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(3)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
【0066】
(4)放電経路20及び放電経路30の並列回路を用いて放電を行うことで、抵抗値のいっそう小さい放電経路を構成することができる。
【0067】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0068】
図6に、本実施形態にかかる組電池の電圧調整装置の全体構成を示す。なお、図6において、先の図1に示した部材と対応する機能を有する部材については便宜上同一の符号を付している。
【0069】
図示されるように、本実施形態では、2次電池B1〜Bnのそれぞれと並列に単一の放電経路20が接続されている。そして、スイッチング素子22の導通制御端子(スイッチング素子22としてのバイポーラトランジスタのベース端子)には、スイッチング素子60を介してオペアンプ62の出力端子が接続されている。オペアンプ62の反転入力端子は、抵抗体21及びスイッチング素子22の接続点と接続されており、オペアンプ62の非反転入力端子には、基準電圧源64の基準電圧Vrefが印加されている。
【0070】
電圧比較部50は、電圧検出部40によって検出される各2次電池B1〜Bnの電圧のばらつきに基づき、各2次電池B1〜Bnの電圧を、これらのうちの最低電圧に応じた所望の電圧とすべくスイッチング素子60をオンとすることで、2次電池B1〜Bnのうち電圧が高いものを放電させる。
【0071】
図7に、スイッチング素子60をオンさせたときの電圧検出部40によって検出される電圧の推移を示す。図中実線にて示されるように、電圧検出部40によって検出される電圧は、放電開始時の電圧V0から基準電圧Vrefへと低下する。このため、基準電圧Vref近傍において電流値を制限することができるため、所望の電圧が基準電圧近傍であるときには、2次電池B1〜Bnの電圧を所望の電圧に特に高精度に制御することができる。この際、基準電圧Vrefは、組電池の常用域における各2次電池B1〜Bnの残存容量(例えば「60%」)と対応する電圧(例えば「3.6V」)とする。これにより、所望の電圧の近傍で電流値を略ゼロとすることができる。
【0072】
これに対し、オペアンプ62の非反転入力端子に印加される電圧をゼロとする場合の電圧の推移を、一点鎖線にて示す。この場合には、放電経路20が抵抗体21からなる場合と同様の推移を示し、電圧が基準電圧Vrefとなるときの電流値が大きなものとなる。
【0073】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0074】
(5)オペアンプ62の出力信号がスイッチング素子22の導通制御端子に出力され、オペアンプ62の反転入力端子が抵抗体21及びスイッチング素子22の接続点に接続され、オペアンプ62の非反転入力端子にゼロよりも大きな電圧が印加される設定とした。これにより、所望の電圧となるときの実際の電流値を制限することができ、ひいては、電圧を高精度の制御することができる。
【0075】
(6)オペアンプ62の出力端子及びスイッチング素子60の導通制御端子間の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子60を更に備え、電圧の調整が所望されるときにスイッチング素子60を導通状態とした。これにより、電圧の調整が所望されないときに放電経路を用いた放電を回避することができる。
【0076】
(7)オペアンプ62の非反転入力端子に常用域の電圧を印加することで、所望の電圧への電圧の調整をいっそう高精度に行うことができる。
【0077】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0078】
図8に、本実施形態にかかる組電池の電圧調整装置の全体構成を示す。なお、図8において、先の図1に示した部材と対応する機能を有する部材については便宜上同一の符号を付している。
【0079】
図示されるように、本実施形態では、2次電池B1〜Bnのそれぞれと並列に単一の放電経路20が接続されている。放電経路20は、抵抗体21及びバイポーラトランジスタ23の直列接続体を備えて構成されている。そして、本実施形態では、バイポーラトランジスタ23の導通制御端子(ベース端子)に流れる電流を、放電初期よりも放電後期において減少させることで、コレクタ及びエミッタ間を流れる電流量を放電後期において制限する。換言すれば、電圧検出部40によって検出される電圧が所望の電圧近傍となることでコレクタ及びエミッタ間を流れる電流を制限する。
【0080】
図9に、本実施形態にかかる放電処理の態様を示す。詳しくは、図9(a)は、バイポーラトランジスタ23のベースに流れる電流を示し、図9(b)は、放電経路20を流れる電流を示し、図9(c)は、電圧検出部40によって検出される電圧を示す。
【0081】
図示されるように、時刻t31に電圧比較部50からバイポーラトランジスタ23のベースに電流を流すことで、バイポーラトランジスタ23のコレクタ及びエミッタ間が導通状態となり、放電経路20を介した放電が開始される。これにより、電圧検出部40によって検出される電圧は低下していく。そして、電圧検出部40によって検出される電圧が所望の電圧Va近傍となる時刻t32において、電圧比較部50からバイポーラトランジスタ23のベースに流れる電流を減少させる。なお、この際、バイポーラトランジスタ23のベース及びエミッタ間の電圧を検出し、この検出される電圧に応じて電流を可変させることが望ましい。これにより、コレクタ及びエミッタ間を流れる電流も、ベース電流を固定した場合と比較して制限されることとなる。このため、電圧検出部40によって検出される電圧は、2次電池B1〜Bnの電圧の高精度な検出値となる。そして、2次電池B1〜Bnが所望の電圧Vaと略等しくなる時刻t33において、ベース電流をゼロとし、放電を終了することができる。
【0082】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0083】
(8)電圧検出部40によって検出される電圧が所望の電圧Va近傍となるときにバイポーラトランジスタ23のベースに流れる電流を減少させることで、所望の電圧Vaとなるときに放電経路20を流れる電流を制限することができる。
【0084】
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0085】
図10に、本実施形態にかかる組電池の電圧調整装置の全体構成を示す。なお、図12において、先の図1に示した部材と対応する機能を有する部材については便宜上同一の符号を付している。
【0086】
図示されるように、本実施形態では、放電経路20をスイッチング素子22及び定電流ダイオード24の直列接続体を備えて構成し、放電経路30を、スイッチング素子32及び定電流ダイオード34の直列接続体を備えて構成する。ここで、定電流ダイオード24,34の素子の仕様を、定電流ダイオード24の出力電流Iaが定電流ダイオード34の出力電流Ibよりも大きくなる設定とした。そして、電圧比較部50では、スイッチング素子22,32を操作することで、放電に際して実際に使用する経路を切り替える。
【0087】
図11に、上記スイッチング素子22,32の操作による放電処理の態様を示す。ここで縦軸は、電圧検出部40によって検出される電圧を、また横軸は放電電流を示す。
【0088】
図示されるように、電圧検出部40によって検出される電圧が電圧V0であるときに放電を開始する際、スイッチング素子22をオン状態としスイッチング素子32をオフ状態とし、放電経路20を介して放電をすることで、放電電流を出力電流Iaとする。そして、電圧検出部40によって検出される電圧が所望の電圧Va近傍となるとき、スイッチング素子22をオフ状態に、またスイッチング素子32をオン状態に切り替える。これにより、放電経路30を介して放電を行うことで、放電電流を出力電流Iaよりも小さい出力電流Ibとする。これにより、所望の電圧Va近傍における放電電流を好適に制限することができる。特に、放電開始点(Ia,V0)と原点とを結ぶ直線(図中、1点鎖線)によって定まる所望の電圧Vaにおける電流量よりも、所望の電圧Vaとなるときの実際の放電電流を小さくすることができる。
【0089】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(3)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
【0090】
(9)放電経路20,30を、スイッチング素子22,32及び定電流ダイオード24,34を備えて構成し、スイッチング素子22,32を操作することで放電に用いる放電経路を選択した。これにより、実際に流れる電流を可変設定することができ、ひいては、所望の電圧Va近傍において電流を制限することができる。
【0091】
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0092】
図12に、本実施形態にかかる組電池の電圧調整装置の全体構成を示す。なお、図12において、先の図1に示した部材と対応する機能を有する部材については便宜上同一の符号を付している。
【0093】
図示されるように、本実施形態では、互いに隣接するn個の2次電池Bi1〜Bin(i=1〜m)がブロックを構成している。そして、これら各ブロックの2次電池Bi1〜Bin毎に、これらと並列に放電経路20、放電経路30が接続されている。そして、電圧検出部40によって各ブロックの電圧が検出され、これに基づき、電圧比較部50では、スイッチング素子22,32を操作することで電圧の高いブロックの2次電池Bi1〜Binを放電させる。この際、放電経路20及び放電経路30の使用の仕方は、先の第1の実施形態の同様である。
【0094】
なお、ブロック毎に放電処理を行なう図12に示す機能に加えて、先の図1に示したように、各2次電池Bij毎に放電処理を行なう機能を更に備えることが望ましい。
【0095】
以上説明した本実施形態によれば、各ブロックの2次電池Bi1〜Binについて、先の第1の実施形態の上記(1)〜(3)の効果に準じた効果を得ることができる。
【0096】
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0097】
・上記第1〜第6の実施形態では、スイッチング素子22をバイポーラトランジスタにて構成したが、これに限らず、例えばMOSトランジスタであってもよい。
【0098】
・上記第1〜第6の実施形態では、所望の電圧Vaを2次電池B1〜Bnの電圧の平均値としたが、これに限らず、例えば2次電池B1〜Bnの電圧の最低値としてもよい。
【0099】
・上記第1の実施形態において、放電初期に放電経路20及び放電経路30を用い、放電後期に放電経路20及び放電経路30のいずれか一方のみを用いるようにしてもよい。この場合、抵抗体21及び抵抗体31の抵抗値を同一としてもよい。
【0100】
・上記第1及び第2の実施形態において、放電経路の数は、2つに限らない。
【0101】
・放電電流が流れる放電経路の抵抗値を2次電池の電圧が低下するほど増大させる抵抗可変手段としては、上記第1及び第2の実施形態で例示する電圧比較部50に限らない。例えば、各2次電池B1〜Bnと並列に単一の放電経路を接続するとともに放電経路内に可変抵抗器を備えて且つ、可変抵抗器の抵抗値を調節する手段として抵抗可変手段を構成してもよい。
【0102】
・上記第3の実施形態では、オペアンプ62の非反転入力端子に残存容量に対応する電圧を印加したがこれに限らない。要は、オペアンプ62の非反転入力端子にゼロよりも大きな電圧を印加することで、電圧検出部40によって検出される電圧及び放電電流についての原点とこれらについての放電開始時の実際の値とを結ぶ直線(図7の一点鎖線)によって定まる所望の電圧における電流値よりも、所望の電圧となるときの実際の電流値を小さくすればよい。これにより、所望の電圧となるときの電流値を制限することができるため、電圧検出部40によって2次電池B1〜Bnの電圧を高精度に検出することができる。
【0103】
・上記第3の実施形態では、オペアンプ62の非反転入力端子に印加される電圧を固定値としたが、この印加電圧を可変設定してもよい。この際、都度の所望の電圧を印加電圧とすることが望ましい。こうした設定とする場合には、電圧検出部40を設けなくても、2次電池B1〜Bnの電圧を所望の電圧に高精度に調整することができる。
【0104】
・上記第3の実施形態においてスイッチング素子60を備えていなくても、2次電池B1〜Bnの電圧が基準電圧Vrefよりも大きくなることを回避するように放電を行うことはできる。
【0105】
・上記第5の実施形態では、放電開始点(Ia,V0)と原点とを結ぶ直線(図中、1点鎖線)によって定まる所望の電圧Vaにおける電流量よりも、所望の電圧Vaとなるときの実際の放電電流を小さくする設定としたが、必ずしもこうした設定としなくても、所望の電圧近傍において放電電流を制限することはできる。このため、複数の放電経路20,30を備える構成とすることで、所望の電圧に高精度に調整することと短時間で調整することとの好適な両立を図ることができる。
【0106】
・上記第5の実施形態においては、定電流ダイオード24,34の出力電流を互いに異なる設定としたが、同一としてもよい。この場合であっても、放電初期において放電経路20,30の双方を用い、放電後期において放電経路20,30のいずれか一方のみを用いることで、所望の電圧近傍において放電電流を制限することができる。
【0107】
上記第5の実施形態において、放電経路の数は、2つに限らない。また、印加電圧にかかわらず一定の電流を放電する定電流放電手段としては、上記定電流ダイオードに限らない。この際、定電流放電手段は、定電流素子に限らず、例えばカレントミラー回路等を備えて構成される定電流回路であってもよい。
【0108】
・組電池の電圧調整装置としては、ハイブリッド車に搭載されるものに限らず、例えば電気自動車に搭載されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】第1の実施形態にかかる組電池の電圧調整装置の全体構成を示す図。
【図2】同実施形態にかかる放電処理の態様を示すタイムチャート。
【図3】電圧調整に際しての調整精度と電流量との関係を示す図。
【図4】上記実施形態にかかる放電処理の態様を示すタイムチャート。
【図5】第2の実施形態にかかる放電処理の態様を示すタイムチャート。
【図6】第3の実施形態にかかる組電池の電圧調整装置の全体構成を示す図。
【図7】同実施形態にかかる放電電流と電圧との関係を示す図。
【図8】第4の実施形態にかかる組電池の電圧調整装置の全体構成を示す図。
【図9】同実施形態にかかる放電処理の態様を示すタイムチャート。
【図10】第5の実施形態にかかる組電池の電圧調整装置の全体構成を示す図。
【図11】同実施形態にかかる放電電流と電圧との関係を示す図。
【図12】第6の実施形態にかかる組電池の電圧調整装置の全体構成を示す図。
【符号の説明】
【0110】
10…組電池、20,30…放電経路、21,31…抵抗体、22,32…スイッチング素子、40…電圧検出部、50…電圧比較部、B1〜Bn…2次電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の2次電池の直列接続体として構成される組電池における単一の2次電池及び隣接するいくつかからなる2次電池のいずれかである単位電池の電圧を所望の電圧まで放電させることで前記各単位電池の電圧を調整する組電池の電圧調整装置において、
前記各単位電池と並列に接続される放電経路と、
前記放電経路の両端の電圧及び前記放電経路を流れる電流値についての原点とこれらについての前記放電開始時の実際の値とを結ぶ直線によって定まる前記所望の電圧における前記電流値よりも前記所望の電圧となるときの実際の電流値の方が小さくなるように前記放電経路を流れる電流を制限する制限手段を備えることを特徴とする組電池の電圧調整装置。
【請求項2】
前記制限手段は、放電電流が流れる前記放電経路の抵抗値を、前記単位電池の電圧が低下するほど増大させる抵抗可変手段を備えることを特徴とする請求項1記載の組電池の電圧調整装置。
【請求項3】
前記放電経路は、前記各単位電池と並列接続された複数の経路からなって且つ該複数の経路のそれぞれが抵抗体及び当該放電経路の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子を備えて構成されてなり、
前記抵抗可変手段は、前記スイッチング素子を操作することで前記放電に用いる放電経路を選択することを特徴とする請求項2記載の組電池の電圧調整装置。
【請求項4】
前記放電経路は、スイッチング素子を備えて構成され、
前記制限手段は、オペアンプを備えて構成され、
該オペアンプの出力信号が前記スイッチング素子の導通制御端子に出力され、前記オペアンプの一方の入力端子が前記抵抗体及び前記スイッチング素子の接続点に接続され、前記オペアンプの他方の入力端子にゼロよりも大きな電圧が印加されてなることを特徴とする請求項1記載の組電池の電圧調整装置。
【請求項5】
前記オペアンプの出力端子及び前記スイッチング素子の導通制御端子間の導通及び遮断を切り替える切替手段を更に備え、
前記電圧の調整が所望されるときに前記切替手段を導通状態とすることを特徴とする請求項4記載の組電池の電圧調整装置。
【請求項6】
前記制限手段は、前記オペアンプの他方の入力端子に、前記組電池の常用域における前記単位電池の電圧と等しい電圧を印加することを特徴とする請求項4又は5記載の組電池の電圧調整装置。
【請求項7】
前記放電経路は、前記各単位電池と並列接続された複数の経路からなって且つ該複数の経路のそれぞれが前記放電経路の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子及び定電流放電手段を備えて構成されてなり、
前記制限手段は、前記スイッチング素子を操作することで前記放電に用いる放電経路を選択することを特徴とする請求項1記載の組電池の電圧調整装置。
【請求項8】
複数個の2次電池の直列接続体として構成される組電池における単一の2次電池及び隣接するいくつかからなる2次電池のいずれかである単位電池の電圧を所望の電圧まで放電させることで前記各単位電池の電圧を調整する組電池の電圧調整装置において、
前記各単位電池と並列に接続される放電経路を備え、
前記放電経路は、前記各単位電池と並列接続された複数の経路からなって且つ該複数の経路のそれぞれが前記放電経路の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子及び抵抗体を備えて構成されてなることを特徴とする組電池の電圧調整装置。
【請求項9】
複数個の2次電池の直列接続体として構成される組電池における単一の2次電池及び隣接するいくつかからなる2次電池のいずれかである単位電池の電圧を所望の電圧まで放電させることで前記各単位電池の電圧を調整する組電池の電圧調整装置において、
前記各単位電池と並列に接続されて且つスイッチング素子を備える放電経路と、
前記スイッチング素子の導通制御端子に出力端子が接続されるオペアンプとを備え、
前記オペアンプの一方の入力端子が前記抵抗体及び前記スイッチング素子の接続点に接続され、前記オペアンプの他方の入力端子にゼロよりも大きな電圧が印加されてなることを特徴とする組電池の電圧調整装置。
【請求項10】
複数個の2次電池の直列接続体として構成される組電池における単一の2次電池及び隣接するいくつかからなる2次電池のいずれかである単位電池の電圧を所望の電圧まで放電させることで前記各単位電池の電圧を調整する組電池の電圧調整装置において、
前記各単位電池と並列に接続される放電経路を備え、
前記放電経路は、前記各単位電池と並列接続された複数の経路からなって且つ該複数の経路のそれぞれが前記放電経路の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子及び定電流放電手段を備えて構成されてなることを特徴とする組電池の電圧調整装置。
【請求項11】
複数個の2次電池の直列接続体として構成される組電池における単一の2次電池及び隣接するいくつかからなる2次電池のいずれかである単位電池の電圧を所望の電圧まで放電させることで前記各単位電池の電圧を調整する組電池の電圧調整装置において、
前記各単位電池と並列に接続される放電経路を備え、
前記放電経路は、前記各単位電池と並列接続された複数の経路からなって且つ該複数の経路のそれぞれが前記放電経路の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子を備えて構成されてなることを特徴とする組電池の電圧調整装置。
【請求項12】
複数個の2次電池の直列接続体として構成される組電池における単一の2次電池及び隣接するいくつかからなる2次電池のいずれかである単位電池の電圧を所望の電圧まで放電させることで前記各単位電池の電圧を調整する組電池の電圧調整装置において、
前記各単位電池と並列に接続される放電経路と、
前記単位電池の電圧の変化に対する前記放電経路を流れる電流の変化速度を変更することで前記所望の電圧となるときに実際に流れる電流を制限する制限手段とを備えることを特徴とする組電池の電圧調整装置。
【請求項13】
前記制限手段は、放電電流が流れる前記放電経路の抵抗値を、前記単位電池の電圧が低下するほど増大させる抵抗可変手段を備えることを特徴とする請求項12記載の組電池の電圧調整装置。
【請求項14】
前記放電経路は、前記各単位電池と並列接続された複数の経路からなって且つ該複数の経路のそれぞれが前記放電経路の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子及び抵抗体を備えて構成されてなり、
前記抵抗可変手段は、前記スイッチング素子を操作することで前記放電に用いる放電経路を選択することを特徴とする請求項13記載の組電池の電圧調整装置。
【請求項15】
前記放電経路は、前記各単位電池と並列接続された複数の経路からなって且つ該複数の経路のそれぞれが前記放電経路の導通及び遮断を切り替えるスイッチング素子及び定電流放電手段を備えて構成されてなり、
前記制限手段は、前記スイッチング素子を操作することで前記放電に用いる放電経路を選択することを特徴とする請求項12記載の組電池の電圧調整装置。
【請求項16】
前記単位電池の電圧の平均値を検出する平均値検出手段と、
前記単位電池のうちその電圧が前記平均値よりも高いものを前記放電経路により放電させる放電手段とを更に備えることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の組電池の電圧調整装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−250521(P2007−250521A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285231(P2006−285231)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】