説明

組電池

【課題】構造が簡単で、組み立てが容易な組電池を提供する。
【解決手段】複数の単電池7を並設してケース2に収容した組電池において、ケース2は、底部と両側の壁部を有する第1ケース部材2と、第1ケース部材の2一端に配置する第2ケース部材3aと、第1ケース部材2の他端に配置する第3ケース部材3bと、第2ケース部材3aと第3ケース部材3bを第1ケース部材2を介して連結する連結部材4とを備える。第1ケース部材2の壁部13a,13bに空間を形成し、この空間に連結部材4を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池が組み合わされた組電池、詳しくは組電池を収容するケースの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の単電池とスペーサを積層してなる組電池を締結する構造や、組電池をケースに収容する構造が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、単位電池と隔壁(セパレータ)を積層し、最外側両端にエンドプレートを配置してこれらをロッドにより締結して、ハウジング内に収容し、エンドプレートをハウジングにねじ結合して固定する構造が記載されている。
特許文献2には、電池セルとスペーサを積層してエンドプレートとバインドバーで固定した電池ブロックを、下ケースと、下ケースの両端の端面プレートと、下ケースを覆う上ケースとからなる外装ケースに収容し、一方の端面プレートに冷却媒体の供給口、他方の端面プレートに冷却媒体の排出口を設けた構造が記載されている。
特許文献3には、複数の電池セルを積層した電池モジュールの両端にエンドプレートを配設してベルトで連結した電池モジュールを、吸気ダクトと排気ダクトとともに、上部ケースと下部ケースからなる筐体に収容して固定した構造が記載されている。
特許文献2−4の構造は、いずれも、単電池とセパレータを積層した組電池を固定してからケースに収容するため、構造が複雑で、組み立てが煩雑となる。また、組電池を固定する金属製の締結部材が冷却媒体に触れるため、冷却媒体に混入した水分によって錆が生じるという問題がある。
【0004】
特許文献4には、組電池を両端のケーシングと両側のダクトにより囲まれた空間に収容し、一端のケーシングの上端と他端のケーシングの上端とを位置決め部材で連結する構造が記載されている。
この構造は、ケーシングの一部である両側のダクトに冷媒通路が形成されており、構造が簡単であるが、両端のケーシングの上端を位置決め部材で連結しているため、組電池にバスバーやコントローラなどを全て取り付けてからでないと、位置決め部材を取り付けることができない。また、位置決め部材が外側にあるため、その分だけ組電池が大型化するという問題がある。
【0005】
特許文献5には、上面に複数の結合溝を形成したバッテリーハウジングと、各結合溝に収容するバッテリーセルとからなり、バッテリーハウジングの各結合溝の周囲に冷却流路を形成した構造が記載されている。
この構造は、バッテリーハウジングはバッテリーセルの数に対応する結合溝が必要であり、構造が複雑であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−156406号公報
【特許文献2】特開2010−272251号公報
【特許文献3】特開2007−165200号公報
【特許文献4】特開2011−76967号公報
【特許文献5】特開2010−199070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、組電池全体を小型化し、ケースの強度を高めることができ、連結部材を錆などから保護することができる組電池を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、
複数の単電池を並設してケースに収容した組電池において、前記ケースは、
底部と両側の壁部を有する第1ケース部材と、
前記第1ケース部材の一端に配置する第2ケース部材と、
前記第1ケース部材の他端に配置する第3ケース部材と、
前記第2ケース部材と前記第3ケース部材を前記第1ケース部材を介して連結する連結部材とを備え、
前記第1ケース部材の壁部に空間を形成し、前記空間に前記連結部材を配置したものである。
ここで、前記第1ケース部材は、底部と両側に壁部を有し、
前記第2ケース部材は、前記第1ケース部材の一端の開口を閉鎖し、
前記第3ケース部材は、前記第1ケース部材の他端の開口を閉鎖するようにしてもよい。
また、前記各単電池の間にスペーサを配設してもよい。
【0009】
前記第1ケース部材の壁部はそれぞれ外壁と内壁を備え、
前記外壁と内壁の間に、前記外壁と内壁を連結するリブを設けることが好ましい。
このようにすると、リブにより第1ケース部材の強度が高まり、冷媒通路内の圧力や外力に対して変形するのが防止される。
前記リブは、前記壁部の一端から他端に向かって延びていると、より強度が高まる点で、好ましい。
また、前記リブにより、前記第1ケース部材の壁部に冷媒通路を形成することが好ましい。これにより、壁部の強度を高めるとともに、冷媒通路を確保することができる。
【0010】
前記リブは複数設けられており、
隣接する2つの前記リブの間に、前記冷媒通路と隔絶された空間を形成し、該空間内に前記連結部材を配置することが好ましい。
これにより、連結部材が冷媒と接触するのが防止され、冷媒に含まれる水分によって錆が生じるのを防止することができる。
【0011】
前記連結部材は、棒状の本体部と、前記本体部の両端に前記本体部よりも細い締結部とを備え、
前記本体部の長さは、前記第1ケース部材の一端から他端までの長さよりも大きくすることが好ましい。
これにより、連結部材の締結部にナットを締め付けて、第2ケース部材と第3ケース部材を連結しても、第1ケース部材が締め付けられることはなく、第1ケース部材が変形するのを防止することができる。
【0012】
前記第2ケース部材に、前記第1ケース部材の一側の壁部の前記冷媒通路と連通する冷媒入口を形成し、
前記第3ケース部材に、前記第1ケース部材の他側の壁部の前記冷媒通路と連通する冷媒出口を形成し、
前記冷媒入口と前記冷媒出口の開口縁に、前記冷媒通路に挿入される突部を形成することが好ましい。
代案として、前記第1ケース部材の前記冷媒通路の端部に、前記冷媒入口と前記冷媒出口に挿入される突部を形成してもよい。
これにより、第1ケース部材と第2ケース部材の間の隙間、及び第1ケース部材と第3ケース部材の間の隙間が突部によって塞がれ、冷却媒体が漏れるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1ケース部材の両側の壁部に形成した空間に連結部材を配置したので、連結部材の大きさが組電池全体の大きさに影響を与えることがなく、組電池を小型化することができる。
また、連結部材によって第1ケース部材の強度が高くなり、外力に対して内部の電池を保護することができる。
さらに、連結部材は第1ケース部材の両側の壁部に形成した空間に配置されているので、錆等から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る組電池の斜視図。
【図2】図1の組電池の分解斜視図。
【図3】組電池アセンブリの分解斜視図。
【図4】スタックケース、エンドプレート及びスタック外の斜視図。
【図5】(A)はスペーサの斜視図、(B)はスペーサの正面図。
【図6】(A)2種類の底部材の斜視図、(B)はその断面図。
【図7】(A)2種類の中蓋部材の斜視図、(B)はその断面図。
【図8】スタックケースに底部材、単電池及びスペーサのセットを収容する状況を示す斜視図。
【図9】スタックケースに収容された単電池及びスペーサにバスバー及び中蓋部材を装着する状況を示す斜視図。
【図10】組み立てられた組電池の断面図。
【図11】ハーネスの配線状態を示す組電池の平面図。
【図12】組電池の冷却流路を示す断面図。
【図13】単電池の端子回りの絶縁構造を示す断面図。
【図14】組付けシャフトによる締結状態及びエンドプレートの冷媒入口及び冷媒出口とスタックケースの冷媒通路との接続部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。本明細書では、説明の便宜上、図1に示すように、水平面内で互い直交するX,Y軸と、これらのX,Y軸に直交する鉛直面内のZ軸とを設定する。X,Y,Z軸に平行な方向をそれぞれ、X方向、Y方向、Z方向という。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る組電池1を示す。この組電池1は、図2に示すように、大別して、スタックケース2と、エンドプレート3a,3b、組付けシャフト4、スタック外蓋5と、組電池アセンブリ6とから構成されている。スタックケース2、エンドプレート3a、エンドプレート3b、組付けシャフト4は、それぞれ本願発明の第1ケース部材、第2ケース部材、第3ケース部材、連結部材である。
【0017】
図4に示すように、スタックケース2は鋼板から製造されている。スタックケース2は、X方向及びY方向に延びる矩形の底板12と、底板12のY方向の両端にZ方向に立ち上がる左壁部13a,右壁部13bとから構成されている。スタックケース2のX方向の両端及びZ方向の上端は開放されている。
【0018】
底板12は、中央部がY方向の両端部よりも僅かに高く形成された凸部14を有している。凸部14は、底板12を補強するとともに、後述する底部材9の凹部54がX方向に移動可能に係合するように形成されている。
左壁部13a及び右壁部13bは、外壁15と内壁16からなっている。外壁15の下端は、底板12のY方向の両端と連続するように、底板12と一体に形成されている。内壁16の下端は底板12に接合されている。外壁15と内壁16の上端部17は互いに接近する方向にL字形に屈曲して接合されている。
【0019】
左壁部13aの外壁15と内壁16の間には、X方向に延び、かつ、Y方向の両側端が外壁15と内壁16に接合された2つのリブ18a,18bが設けられている。上部リブ18aより上方の外壁15と内壁16の間の空間は、第1冷媒通路19を形成している。下部リブ18bより下方の外壁15と内壁16の間の空間は、第2冷媒通路20を形成している。第1冷媒通路19のX方向に直角な断面は、第2冷媒通路20のX方向に直角な断面よりも小さく形成されている。第1冷媒通路19と第2冷媒通路20の大小は、単電池7の表面温度が高い部分に多くの冷媒が流れるように決定すればよく、実施例の形状には限定されない。
右壁部13bにも、同様に、リブ18a,18bにより第3冷媒通路21と第4冷媒通路22が形成されている。
【0020】
左壁部13aの内壁16には第1冷媒通路19に連通する複数の第1開口部23がX方向に後述するスペーサ8の配列間隔と同じ一定間隔で形成されている。同様に、第2冷媒通路20に連通する複数の第2開口部24がX方向に第1開口部23と同じ一定間隔で形成されている。第1開口部23と第2開口部24は、X方向の幅は同じであるが、Z方向の長さが異なり、第1開口部23が第2開口部24よりも小さくなるように形成されている。第1冷媒通路19と第2冷媒通路20と同様に、第1開口部23と第2開口部24の大小は、単電池7の表面温度が高い部分に多くの冷媒が流れるように決定すればよく、実施例の形状には限定されない。
右壁部13bの内壁16にも、左壁部13aの第1開口部23と第2開口部24と同様な第3開口部25と第4開口部26が形成されている。
リブ18a,18bは、冷媒通路19,20,21,22を形成したスタックケース2の強度を高め、冷媒通路19,20,21,22内の圧力や外力に対して変形するのが防止できるというメリットがある。
また、リブ18a,18bの間の空間は、リブ18a,18bによって冷媒通路19,20,21,22から隔絶されているので、リブ18a,18bの間に挿通される後述する組付けシャフト4が冷媒と接触するのが防止され、冷媒に含まれる水分によって錆が生じるのを防止することができる。
【0021】
壁部13a,13bの上端部17には、スタック外蓋5をネジで固定するためのナット27が固着されている。
【0022】
エンドプレート3a,3bは、スタックケース2のX方向の両端の開口を閉鎖する板状の部材である。図4において左側のエンドプレート3aの一端部には、スタックケース2の左壁部13aの第1冷媒通路19に連通する第1冷媒入口28と第2冷媒通路20に連通する第2冷媒入口29が形成されている。同様に、右側のエンドプレート3bの端部には、スタックケース2の右壁部13bの第3冷媒通路21に連通する第1冷媒出口30と第4冷媒通路22に連通する第2冷媒出口31が形成されている。第1,第2冷媒入口28,29、第1,第2冷媒出口30,31は、スタックケース2に面する縁部に、スタックケース2に向かって突出する突部32を有し、各突部32は第1,第2冷媒通路19,20、第3、第4冷媒通路21,22に挿入されており、冷却媒体がスタックケース2とエンドプレート3a,3bの間の隙間から漏出しないようになっている。なお、第1,第2冷媒入口28,29と第1,第2冷媒出口30,31の開口縁に突部32を設ける代わりに、スタックケース2の第1冷媒通路19、第2冷媒通路20、第3冷媒通路21、第4冷媒通路22の端部に、第1,第2冷媒入口28,29と第1,第2冷媒出口30,31に挿入される突部を設けても、同様の作用効果が得られる。エンドプレート3a,3bの上端面には、後述するスタック外蓋5の差込み片39が差し込まれるスリット33が形成されている。さらに、エンドプレート3a,3bの上端面の中央には、ハーネス引き出し用の切欠き34が形成されている。
【0023】
組付けシャフト4は、図2に示すように、スタックケース2の2つのリブ18a,18bの間に挿通される丸棒である。組付けシャフト4は中央の大径部35と両端の小径部36とからなっている。大径部35,小径部36は、それぞれ本願発明の本体部、締結部である。本体部は丸棒に限らず、角棒であってもよい。シャフト4の両端の小径部36にはナット37が取り付けられるようになっている。シャフト4の中央の大径部35の長さは、スタックケース2のX方向の長さよりも長く形成され、シャフト4の両端の小径部36にエンドプレート3a,3bを介してナット37を締め付けたとしてもスタックケース2を押し潰さないように形成されている。
【0024】
図4に戻ると、スタック外蓋5は、鋼板から製造されている。スタック外蓋5のY方向の両端には、Z方向にスタックケース2に向かって折り曲げることにより、スタックケース2の上端部17にネジ止めされる取付片38が形成されている。スタック外蓋5のX方向の両端には、Z方向にエンドプレート3a,3bに向かって折り曲げることにより、エンドプレート3a,3bのスリット33に差し込まれる差込み片39が形成されている。スタック外蓋5は、内面中央部にY方向の両端部よりも僅かに高く形成された凸部40を有している。凸部40は、スタック外蓋5を補強するとともに、後述する中蓋部材11の凹部71に係合して、中蓋部材11を押さえるように形成されている。
【0025】
図3において、組電池アセンブリ6は、複数の単電池7と、組電池7より1個多いスペーサ8と、組電池7と同じ数の底部材9と、組電池7より1個少ないバスバー10と、組電池7と同じ数の中蓋部材11とから構成されている。
【0026】
単電池7は、リチウムイオン電池などの非水二次電池からなっている。単電池7は、スタックケース2の左壁部13aと右壁部13bの間に収容可能なX方向の幅と、Y方向の奥行きと、Z方向の高さとを有している。単電池7は、上面に正と負の電極41,42を有している。単電池3は、文字通り単一の電池であってもよいし、X方向に列設して複数の小電池のユニットで構成されていてもよい。
【0027】
図5に示すように、スペーサ8は、合成樹脂から成型されている。スペーサ8は、Y方向に延びる上桟43と下桟44を有し、これらの上桟43と下桟44の間に、第1凹凸部45と、第2凹凸部46と、ストレート部47とが形成されている。
第1凹凸部45は、X方向から見た第1面に、凹部と凸部がZ方向に交互に波形に形成され、第1面の裏側の第2面にも、凹部と凸部がZ方向に交互に波形に形成されている。
第2凹凸部46は、前記第1凹凸部45と同様に、凹部と凸部が交互に波形に形成されているが、第1凹凸部45の凹部と凸部が逆に形成されている。
ストレート部47は、上桟43と下桟44を連結し、Z方向に真っ直ぐに延びて、スペーサ8がZ方向に伸びるのを防止するものである。
【0028】
スペーサ8の上桟43の上端の一端寄りには、単電池7の端子41,4より大きなY方向の幅を有する絶縁壁48が上方に突出するように一体に形成されている。絶縁壁48をスペーサ8に一体に形成することで、絶縁壁48を別個に別部品として設ける必要がなく、部品点数が減少する。絶縁壁48には2つの係合孔49a,49bがY方向に並んで形成されている。係合穴49a,49bには、後述する中蓋部材11の係合突起65が係合するようになっている。
スペーサ8の下桟43の下端の両側分には、それぞれ1対の係合爪50a,50bが形成されている。係合爪50a,50bは、弾性アームの先端に爪を形成したもので、後述する底部材9の係合孔53に係合するようになっている。
【0029】
図6に示すように、底部材9は、合成樹脂から成型されている。底部材9は、各単電池7に対応して設けられている。底部材9は、上面に1個の単電池7が載置される基部51と、基部51のY方向両端からZ方向に立ち上がる突出片52とからなっている。
基部51には、一側端にスペーサ8の1対の係合爪50a,50bが係合する係合孔53が形成されている。基部51の底面には、前述のスタックケース2の凸部14が係合する凹部54が形成されている。基部51には、随所に軽量化、及び成型時のひけ防止のため、長孔55が形成されている。
突出片52は、スタックケース2の左右壁部13a,13bと単電池7の間の隙間に介在し、単電池7のY方向の移動を防止している。
組電池アセンブリ6のX方向の最も端に位置する底部材9aは、2つのスペーサ8が取り付けられるように、基部51の両側端に係合孔53が形成されているため、他の底部材9よりも幅広に形成されている。
【0030】
図3に戻ると、バスバー10は、導電性の板状材料からなり、隣接する単電池7の正極端子41と負極端子42を電気的に接続する。
【0031】
図7に示すように、中蓋部材11は、合成樹脂から成型されている。中蓋部材11は、各単電池7に対応して設けられている。中蓋部材11は、第1中蓋部材11aと第2中蓋部材11bの2種類で構成されている。中蓋部材11は、単電池7の端子41,42がある面を見て単電池7の短辺方向の寸法とほぼ同じ幅を有し、単電池7の長辺方向の寸法とほぼ同じ長さを有する。具体的には、中蓋部材11の幅は単電池7の端子がある面を見て短辺方向の寸法にスペーサ8の肉厚を加えた寸法であり、単電池の短辺方向に単電池と同じピッチで配設されている。中蓋部材11の長さは、単電池7の長辺方向の寸法よりも両端の後述する突出部58の分だけ大きい。
【0032】
第1中蓋部材11aは、中央の基部56と、基部56の両側に基部56よりも高く形成された端子絶縁部57と、端子絶縁部57の端よりZ方向に立ち下がる突出部58とからなっている。
基部56の上面中央には、X方向の一側端に、切欠き59が形成され、この切欠き59の対向する縁部に、ハーネスを固定するための1対のベンディングアームからなる固定部60が形成されている。また、基部56の上面の一端部には、一方の側端寄りの位置から中央に向かってY方向に延びる第1案内部61aと、第1案内部61aの端から他方の側端に向かってX方向に延びる第2案内部61bとからなる案内部61が形成されている。同様に、基部56の上面の他端部には、一方の側端寄りの位置から中央に向かってY方向に延びる第1案内部61aと、第1案内部61aの端から他方の側端に向かってX方向に延びる第2案内部61bとからなる案内部61が形成されている。また、基部56の両端部には軽量化、材料削減、成形不良防止のための開口62が形成されている。
【0033】
端子絶縁部57には、一方の側縁に切欠き63が形成されている。切欠き63は、第1中蓋部材11aを単電池7の上に装着したときに、単電池7の端子41,42の上方に位置し、かつ、端子41,42の約半分が露出するような位置に形成されている。端子絶縁部57の他方の側縁に設けた補強リブ64には、スペーサ8の絶縁壁48と対向し、かつ、絶縁壁48の係合孔49a,49bの一方に係合する係合突起65が形成されている。
【0034】
突出部58には、X方向両側縁に補強リブ66が形成され、補強リブ66を連結して箱状にする補強板67が形成されている。補強リブ66の上端には、係合溝68が形成されている。両補強リブ66の下端は下方に向かって先細りになったテーパ69が形成されている。
【0035】
第2中蓋部材11bは、固定部60と、係合突起65、係合溝68を除き、XY平面を見て、第1中蓋部材11aと鏡対称に形成されている。
第2中蓋部材11bの基部56の固定部60は、第1中蓋部材11aの固定部60と同じ側縁に形成されているが、X方向の中心線Cに対して反対側に形成されている。
第2中蓋部材11bの端子絶縁部57の係合突起65は、第1中蓋部材11aの端子絶縁部57の係合突起65と反対の側縁に形成され、かつ、X方向の中心線から遠くに形成されている。
第2中蓋部材11bの突出部58には、第1中蓋部材11aの係合溝68と係合する係合突起70が形成されている。
【0036】
次に、以上の構成からなる組電池1の組み立て手順について説明する。
【0037】
図8に示すように、スタックケース2のリブ18a,18bの間にシャフト4を挿通し、該シャフト4の一端にエンドプレート3aを介してナット32を装着し、エンドプレート3aをスタックケース2の一端に当て、スタックケース2の他端は開放しておく。このエンドプレート3aは組電池アセンブリ6を収容した後に取り付けることもできるので、組み付けの自由度が高い。
【0038】
次に、スペーサ8の下端の係合爪50a,50bを底部材9の係合孔53に係合してスペーサ8と底部材9を一体にし、底部材9に単電池7を載せる。このスペーサ8、底部材9、及び単電池7の1組をスタックケース2の開放した端部から挿入し、底部材9の凹部54をスタックケース2の凸部14に係合し、スタックケース2の奥に向かってX方向にスライドさせてスタックケース2内に収容する。同様にして他の全てのスペーサ8、底部材9、及び単電池7の1組をスタックケース2に収容する。なお、最後の底部材9aには両端にスペーサ8を装着し、単電池7が2つのスペーサ8,8に挟まれるようにした状態で、スタックケース2に収容する。スペーサ8は、絶縁部48がX方向からみて左右交互になるように配置する。このようにすると、スペーサ8の絶縁壁48、組電池1の端子側すなわちZ方向に見て、組電池の一端の単電池から他端の単電池に向かう方向すなわちX方向に千鳥状に配置される。
【0039】
ここで、誤組により、スペーサ8の絶縁壁48が千鳥配置になっていない場合には、誤って配置されたスペーサ8の絶縁壁48を上方に引っ張ると、スペーサ8の係合爪50a,50bが底部材9の係合孔53から外れるので、スペーサ8だけを引き出すことができ、正しい方向に配置することができる。
スペーサ8には絶縁壁48が一体に形成されているので、絶縁壁48を別個に取り付ける必要がなく、端子41,42周りの構造が簡単となるうえ、スペーサ8だけを取り付ければよいので、組み立てが容易になる。
【0040】
全てのスペーサ8、底部材9,9a、及び単電池7をスタックケース2に収容した後、スタックケース2の開放端にエンドプレート3bを当てエンドプレート3bから突出するシャフト4にナット32を装着して締め付ける。このとき、図14に示すように、シャフト4の大径部35はスタックケース2の長さより長いので、ナット32を締め付けてもスタックケース2のX方向の長さはシャフト4の大径部35の長さより縮まることはなく、スタックケース2が押し潰されることはない。この場合、エンドプレート3a,3bとスタックケース2の間に隙間が生じる。この隙間があっても、図14に示すように、エンドプレート3aの第1冷媒入口28と第2冷媒入口29の突部32が第1冷媒通路に差し込まれるので、隙間から冷却媒体が漏れるのを防止することができる。
【0041】
このように、スタックケース2に単電池7、スペーサ8、底部材9を配設し、スタックケース2のリブ18a,18bの間の空間にシャフト4を挿通して、該シャフト4によりスタックケース2を介してエンドプレート3,3bを連結して固定するだけであり、ケースの構造が簡単で、ケースを容易に組み立てることができる。スタックケース2に単電池7、スペーサ8、底部材9を収容し、エンドプレート3,3bを取り付けた状態では、内部の単電池7、スペーサ8、底部材9は全て固定された状態となるので、単電池7の上にバスバー10、中蓋部材11a,11b、ハーネスなどを容易に取り付けることができる。
また、シャフト4はスタックケース2の両側の左右壁部13a,13bのリブ18a、18bで形成される空間に配置されているので、シャフト4の大きさが組電池全体の大きさに影響を与えることがなく、組電池を小型化することができる。
さらに、シャフト4によってスタックケース2の強度が高くなり、外力に対して内部の電池を保護することができる。
【0042】
続いて、図9に示すように、隣接する単電池7の電極41,42にバスバー10を装着し、全ての単電池7を直列に接続する。次に、中蓋部材11a,11bを各単電池7の上に装着する。このとき、第1中蓋材11aと第2中蓋材11bを交互に装着し、一端側では切欠き63と切欠き63が対向し、他端側で係合突起65と係合突起65が対向するようにする。そして、第1中蓋部材11aの係合突起65をスペーサ8の隣接する一方の係合孔49aに係合し、第2中蓋部材11bの係合突起65をスペーサ8の隣接する他方の係合孔49bに係合する。ここで、第2中蓋部材11bを左右逆に装着しようとしても、第2中蓋部材11bの係合突起65が係合する係合穴49bには既に第1中蓋部材11aの係合突起65が係合しているので、第2中蓋部材11bを装着することができない。これにより、中蓋部材11a,11bの誤組を防止することができる。
【0043】
図13は隣接する単電池7,7の端子41,42回りの絶縁構造を示す。端子41,42間にはスペーサ8の絶縁壁48が位置し、絶縁壁48には第1中蓋部材11aと第2中蓋部材11bのそれぞれの端子絶縁部57が係合しているため、図13において左の単電池7の端子41から右の単電池7の端子42に至る長い沿面距離が確保され、隣接する単電池7,7の端子41,42は電気的に十分に絶縁されている。
【0044】
第1中蓋部材11aと第2中蓋部材11bの突出部58は,図10に示すように、スタックケース2の壁部13a,13bと単電池7の間に挿入されるので、単電池7のY方向のずれが防止される。なお、単電池7のX方向のずれを防止するために、エンドプレート3a,3bとこれに対向するスペーサ8との間に板バネなどの弾性部材を介在するようにしてもよい。
【0045】
次に、図11に示すように、端子41,42に電圧検出用のハーネスを接続し、隣接する第1中蓋部材11aと第2中蓋部材11bの第1案内部材61aが形成するガイド溝に沿って中央に向かって配線し、中央で90°に屈曲させて、隣接する第2案内部材61bが形成するガイド溝に沿って配線し、固定部60に適宜固定しながらエンドプレート3a,3bの切欠き34を経てスタックケース2の外部に導出する。
配線を終えると、スタックケース2の上部開口にスタック外蓋5を載置し、スタック外蓋5の取付片38をスタックケース2の両端の上端部17に重ね、スタック外蓋5の差込み片39をエンドプレート3a,3bのスリット33に差し込み、ボルト締めして取り付ける。このとき、スタック外蓋5の凸部40が、第1中蓋部材11aと第2中蓋部材11bの基部56とその両側の端子絶縁部57の間の段差で形成される凹部71に嵌合して、第1中蓋部材11aと第2中蓋部材11bが単電池7に向かって押し付けられる。
【0046】
以上のようにして組電池1の組み立てが完了するが、組み立て手順はこれに限るものではなく、全ての単電池7、スペーサ8、及び底部材9をスタックケース2の外側で組み立てておき、そのアセンブリ6を一度にスタックケース2に収容してもよい。
【0047】
続いて、組電池1の作用について説明する。
【0048】
図12に示すように、スタックケース2の左壁部13aの第1冷媒通路19と第2冷媒通路20に導入された冷媒は、それぞれ内壁16の第1開口部23と第2開口部24からスペーサ8の第1,第2凹凸部45,46に流入する。第1,第2凹凸部45,46を順次通過する間に、冷媒は隣接する単電池7を冷却する。スペーサ4の第1,第2凹凸部45,46を全て通過した冷媒は、スタックケース2の右壁部13bの第3開口25と第4開口26を通って、第3冷媒通路21と第4冷媒通路22に流出する。
【符号の説明】
【0049】
1 組電池
2 スタックケース(第1ケース部材)
3a エンドプレート(第2ケース部材)
3b エンドプレート(第3ケース部材)
4 組み付けシャフト(連結部材)
7 単電池
8 スペーサ
13a 左壁部
13b 右壁部
15 外壁
16 内壁
18a,18b リブ
19 第1冷媒通路
20 第2冷媒通路
21 第3冷媒通路
22 第4冷媒通路
35 大径部(棒状部材)
36 小径部(ネジ止め部)
28,29 冷媒入口
30,31 冷媒出口
32 突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池を並設してケースに収容した組電池において、前記ケースは、
底部と両側の壁部を有する第1ケース部材と、
前記第1ケース部材の一端に配置する第2ケース部材と、
前記第1ケース部材の他端に配置する第3ケース部材と、
前記第2ケース部材と前記第3ケース部材を前記第1ケース部材を介して連結する連結部材とを備え、
前記第1ケース部材の壁部に空間を形成し、前記空間に前記連結部材を配置したことを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記第1ケース部材の壁部はそれぞれ外壁と内壁を備え、
前記外壁と内壁の間に、前記外壁と内壁を連結するリブを設けたことを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記リブは、前記壁部の一端から他端に向かって延びていることを特徴とする請求項2に記載の組電池。
【請求項4】
前記リブにより、前記第1ケース部材の壁部に冷媒通路を形成したことを特徴とする請求項3に記載の組電池。
【請求項5】
前記リブは複数設けられており、
隣接する2つの前記リブの間に、前記冷媒通路と隔絶された空間を形成し、該空間内に前記連結部材を配置したことを特徴とする請求項4に記載の組電池。
【請求項6】
前記連結部材は、棒状の本体部と、前記本体部の両端に前記本体部よりも細い締結部とを備え、
前記本体部の長さは、前記第1ケース部材の一端から他端までの長さよりも大きくしたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の組電池。
【請求項7】
前記第2ケース部材に、前記第1ケース部材の一側の壁部の前記冷媒通路と連通する冷媒入口を形成し、
前記第3ケース部材に、前記第1ケース部材の他側の壁部の前記冷媒通路と連通する冷媒出口を形成し、
前記冷媒入口と前記冷媒出口の開口縁に、前記冷媒通路に挿入される突部を形成したことを特徴とする請求項4に記載の組電池。
【請求項8】
前記第2ケース部材に、前記第1ケース部材の一側の壁部の前記冷媒通路と連通する冷媒入口を形成し、
前記第3ケース部材に、前記第1ケース部材の他側の壁部の前記冷媒通路と連通する冷媒出口を形成し、
前記第1ケース部材の前記冷媒通路の端部に、前記冷媒入口と前記冷媒出口に挿入される突部を形成したことを特徴とする請求項4に記載の組電池。
【請求項9】
前記第1ケース部材は、底部と両側に壁部を有し、
前記第2ケース部材は、前記第1ケース部材の一端の開口を閉鎖し、
前記第3ケース部材は、前記第1ケース部材の他端の開口を閉鎖する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の組電池。
【請求項10】
前記各単電池の間にスペーサを配設したことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−73917(P2013−73917A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214406(P2011−214406)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(508110205)株式会社リチウムエナジージャパン (32)
【Fターム(参考)】