説明

経口供給系

【解決課題】パラセタモールを含む配合剤に関する。
【解決手段】経口投与した後で循環系にパラセタモールが容易に急速供給されるパラセタモール含有服用配合剤を提供する。さらに、本発明は効果的な痛みの解放を誘導するための方法に関しており、それにはパラセタモール配合剤の投与による鎮痛効果が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してパラセタモールを含む配合剤に関する。さらに特定すると本発明は、経口投与した後で循環系にパラセタモールが容易に急速供給されるパラセタモール含有服用配合剤を提供する。さらに本発明は効果的な痛みの解放を誘導するための方法に関しており、それにはパラセタモール配合剤の投与による鎮痛効果が含まれる。
【背景技術】
【0002】
この明細書で述べられている刊行物である引用文献の詳記もこの説明の終わりに集められている。
【0003】
この明細書において何らかの従来技術に関しては、この従来技術がどの分野においても共通の一般的な知識の一部を形成するという認識もしくは何らかの形態の示唆ではなく、またはその認識もしくは示唆であるととらえるべきではない。
【0004】
パラセタモールはN-アセチル-p-アミノフェノール、アセトアミノフェンおよびAPAPとしても知られていて、鎮痛作用および解熱作用のある薬剤であり、処方が必要な医薬品、および処方の必要のない医薬品として広く用いられている。パラセタモールは1950年代に始めて市販され、現在は一般的に用いられている薬剤である(Prescott Am. J. Ther. 7 (2): 143-147 2000)。パラセタモールの鎮痛解熱作用についての正確なメカニズムは明らかになっていない。しかしながらいくつかの研究では、投与の速度がファクターであると示唆されている(Nielsenら、Eur. J. Clin. Pharmacol. 42 (3): 261-264, 1992、Luthyら、Scweiz Med. Wochenschr 123 (Suppl 50) / II: 406, 1993)。したがってパラセタモールの吸収速度を高めることは、経口投与後の鎮痛作用をより大きく、またさらに速やかにできる。このことから経口供給は、とりわけパラセタモールのような投与量が多くかつ頻繁に投与される薬物では、最終的なユーザーにとって最も便利で最も受け入れやすい薬物投与法である。
【0005】
化合物の経口配合剤の吸収速度と吸収量を改善することが実質的な研究対象となってきた。一般的に固形状の服用組成物が一旦胃に達すると崩壊および/または溶解が進行し、それから小腸に移行してそこで活性成分が小腸壁を通して吸収され、作用部位に到達する前に門脈と肝臓を経て循環系に入る。
【0006】
吸収速度はしばしば、薬物速度論上の標準パラメータを比較することによって、例えば血漿濃度がピークに達する時間(Tmax)とピークに達した血漿濃度(Cmax)によって評価される。吸収濃度は、血漿濃度−時間曲線(AUC)の下にある領域によって評価される。短いTmaxは吸収が素早いことを示すために用いられる。経口投与される製剤についての生物学的利用可能性および生物学的同等性の研究に対する産業上FDAガイダンス(The FDA Guidance for Industry on Bioavailability and Bioequivalence Studies for Orally Administered Products (2003))、および関連する刊行物(Chenら、Clin, Pharmacokinet. 40 (8): 565-72, 2001)は、かなり部分的なAUCが急速吸収の指標となるであろうことから、初期の投与測定法として部分的AUCの利用を推奨した。既知の配合剤に対するパラメータは、患者によって大きく異なる。またそのパラメータは、サンプリングスケジュールや患者の状況、さらに患者の健康状態のような研究プロトコールの観点によっても変化する。この明細書で引用された値は、特別に注記しないかぎり平均±標準偏差として用いられている。
【0007】
McNeilによって提供されたパラセタモール錠剤についてのTmax値は、対応するCmax値が
11.99mg.L-1で標準偏差が1.02の場合に、45.6分で標準偏差が7.2分であると表示されている(Ameerら、J. Pharm. Sci, 72: 955-958, 1983)。表示されている他の値には、Tmaxが35.6±27.7分でCmaxが9.47±4.18mg.L-1(Rumbleら、Clin. Pharmacokinet. 20 (2): 167-173, 1991)である場合、パラレン錠およびパナドール錠についてのTmaxが1.82時間で標準偏差が0.46時間であって、Cmaxが20.4±3.2mg.L-1である場合、Tmaxが35分、さらに77分と同程度の大きさであって、Cmax値が17.02±6.04mg.L-1 (Grattanら、Eur. J. Pharm. Biopharm. 49 (3): 225-229, 2000)である場合がある。
【0008】
人で有効な鎮痛薬となるパラセタモールの血漿濃度範囲は、約5-20μg.mL-1であると見積もられている(Prescott, Medical Clinics of North America, 58: 907-916, 1974)。解熱剤としては、10-20μg.mL-1の濃度のパラセタモールが有効であると示されている(Rumackら、Pediatrics 62 (Suppl): 898-903, 1978)。
【0009】
アメリカ合衆国食品医薬品局(the United States Food and Drug Administration (USFDA))に対してパラセタモールの安全性と有効性を証明するために、チレノールに関連して2002年にMcNeilによって資料が作られた提出物において、50%最大薬物応答(EC50)を示す有効濃度は15.2μg.mL-1と16.55μg.mL-1の間であると見積もられた(FDAに対するMaNeilの提出物、2002)。
【0010】
Prescott(1974、同上文献)は、43人の患者にパラセタモールの治療用量を投与してから1時間後の濃度が80倍程度の範囲になるらしいと報告した。彼は、薬学的速度論上の違いが、鎮痛薬としての応答速度に影響を与えると結論づけた。実際に多くの患者が治療効果を得ることができなかったらしい。
【0011】
米国特許明細書第6,316,025号においてGrattanは、一錠あたり300mgから1000mgの重炭酸ナトリウムを含んでいて、重炭酸ナトリウムに対するパラセタモールの比率が0.74から1の間であるようなパラセタモールの服用錠剤を記載している。Grattanら(2000、同上文献)は引き続き、630mgの重炭酸ナトリウムを含む配合剤はTmaxが17.5±4.95分でCmaxが29.79±9.06mg.L-1であると報告した。このことは、重炭酸ナトリウムを100mLの水と共に飲んだ場合に等張性となる、重炭酸ナトリウムの浸透作用によるものであると示唆された。
【0012】
米国特許出願明細書第20040204475号には、重炭酸ナトリウムとエレトリプタンを含む配合剤が記載されている。重炭酸ナトリウムは、血清とほぼ等張性の十二指腸での濃度となるような量で投与される(150mmol)。例示した配合剤は全て630mgの重炭酸ナトリウムを含んでいた。
【0013】
米国特許出願明細書第20040170681号には、一錠あたり100mg以下の重炭酸ナトリウムを含むパラセタモール配合剤が記載されている。パラセタモールの約90%が、米国薬局方(USP)の溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で15分以内にこの服用配合剤から放出されると記載されている。食事を抜いた患者に100mgの用量でパラセタモールが投与された場合、投与して20分後の血漿濃度−時間曲線下の領域(AUC20)が17μg.mL-1に結果的になるような配合剤が例示されている。
【0014】
英国特許第2103087号には、パラセタモール錠に制酸剤を利用することが記載されている。炭酸カルシウムおよび重炭酸ナトリウムを含む制酸剤は60-1200mgの範囲内で用いられた。吸収速度の最大の増加は重炭酸ナトリウムを225mg入れた場合に認められ、それは従来のパラセタモール錠と比較してパラセタモールの吸収速度が7%から31%の間で増加することを示した。報告されている最短のTmaxは29分であった。
【0015】
本発明によると、薬物の溶解性および吸収性が有意に改善されているパラセタモール配
合剤が、特定すると服用の配合剤が定義されている。
【特許文献1】米国特許出願明細書第20040170681号
【特許文献2】米国特許出願明細書第20040204475号
【特許文献3】米国特許明細書第6,316,025号
【特許文献4】英国特許第2103087号
【非特許文献1】Ameerら、J. Pharm. Sci, 72: 955-958, 1983
【非特許文献2】Chenら、Clin. Pharmacokinet. 40 (8): 565-72, 2001
【非特許文献3】Grattanら、Eur. J. Pharm. Biopharm 49(3): 225-229, 2000
【非特許文献4】経口投与される製剤についての生物学的利用可能性および生物学的同等性の研究に対する産業上FDAガイダンス(The FDA Guidance for Industry on Bioavailability and Bioequivalence Studies for Orally Administered Products )−General Considerations, March 2003
【非特許文献5】Luthyら、Scweiz Med. Wochenschr 123 (Suppl 50)/ II: 406, 1993
【非特許文献6】McNeil 薬剤の消費&特異性、2002年9月19日の非−処方薬報告委員会会合でアセトアミノフェンについてFDAへ提出。
【非特許文献7】Neilsenら、Eur. J. Clin. Pharmacol. 42 (3): 261-264, 1992
【非特許文献8】Prescott, Medical Clinics of North America, 58: 907-916, 1974
【非特許文献9】Prescott Am. J. Ther. 7 (2) : 143-147 2000
【非特許文献10】Rumbleら、Clin. Pharmacokinet. 20 (2): 167-173, 1991
【非特許文献11】Rumackら、Pediatrics 62 (Suppl): 898-903, 1978
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は概して言うと、急速吸収型の経口供給系の剤形にしたパラセタモール配合剤に関する。特定すると本発明は、パラセタモール、一種またはそれより多くのpH調整剤、および容易に水分を取り込めるようにする一種またはそれより多くの薬剤を含む服用配合剤を提供する。パラセタモールは、急速溶解型のパラセタモールとして組み入れられる。
【0017】
したがって本発明は、パラセタモールの急速に溶解する形態、pH調整剤、および容易に水分を取り込めるようにする薬剤を含む服用配合剤であって、その場合のpH調整剤が約0.6mLから約110mLの0.1N塩酸を中和するのに充分な量、および/または約0.06mmolから約11mmolの酸を中和するのに充分な量で存在し、またその服用配合剤に含まれるパラセタモールの少なくとも約70%が、USPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出されることを特徴とする服用配合剤を提供する。
【0018】
パラセタモールの急速に溶解する形態は、容積メジアン径(D50)が350μm以下、そして表面積が0.07 m2.g-1 以上のパラセタモールを含んでいる。またUSPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で180秒以内に少なくとも30%の溶出速度を示すパラセタモール調製物も含まれる。
【0019】
したがって本発明の別の観点は、容積メジアン径(D50)が350μm以下、そして表面積が0.07 m2.g-1 以上のパラセタモールの形態と、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの酸を中和するのに充分な量のpH調整剤と、水分の取り込みを容易化する薬剤とを含む服用配合剤であって、その場合のパラセタモールの少なくとも70%がUSPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出されることを特徴とする服用配合剤に向けられる。
【0020】
別の態様では本発明は、USPの溶解装置2において900mLの0.05 N塩酸を用いた場合の30 rpm、37℃での溶出速度が180秒以内で少なくとも30%を示すパラセタモールの形態と、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの塩酸を中和するのに充分な量のpH調整剤と、水分の取り込みを容易化する薬剤とを含む服用配合剤であって、その場合のパラセタモールの少なくとも70%がUSPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出されることを特徴とする服用配合剤が意図されている。
【0021】
本発明の服用配合剤は、食事を抜いた健康な人の被検者において平均AUC20(即ち、投与して20分後の血漿濃度−時間曲線下の領域)が150分.mg.L-1以上を、パラセタモール1000mgの投与で達成する。
【0022】
したがって本発明のもう一つの観点は、容積メジアン径(D50)が350μm以下、そして表面積が0.07 m2.g-1 以上のパラセタモールの形態と、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの酸を中和するのに充分な量のpH調整剤と、水分の取り込みを容易化する薬剤とを含む服用配合剤であって、この場合、食事を抜いた健康な人の被検者に1000mgのパラセタモールを投与することによって、150分.mg.L-1以上の平均AUC20を達成できるような服用配合剤を提供する。
【0023】
関連する観点では本発明は、USPの溶解装置2において900mLの0.05 N塩酸を用いた場合の30 rpm、37℃での溶出速度が180秒以内で少なくとも30%を示すパラセタモールの形態と、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの酸を中和するのに充分な量のpH調整剤と、水分の取り込みを容易化する薬剤とを含む服用配合剤であって、その場合、食事を抜いた健康な人の被検者に1000mgのパラセタモールを投与することによって、150分.mg.L-1以上の平均AUC20を達成できるような服用配合剤を提供する。
【0024】
本発明のもう一つの観点は、被覆が施された錠剤、被覆のない錠剤、カプセル剤、ペースト剤、カシェ剤、コロイド剤、ゲル剤または融解剤のような投与形態を提供することにある。
【0025】
本発明はさらに、人の被検者において鎮痛性または解熱性の効果などの治療用指標を処理するための方法を意図しており、その方法は、容積メジアン径(D50)が350μm以下、そして表面積が0.07 m2.g-1 以上のパラセタモールの急速溶解性の形態を、pH調整剤と、さらに服用配合剤への水分の取り込みを容易化する薬剤とともに含有する服用配合剤を、痛みを解放するのに有効な量で前記患者に投与する行程を含んでいて、その際のpH調整剤は約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの塩酸を中和するのに充分な量であり、またその際の服用配合剤に含まれるパラセタモールの少なくとも約70%がUSPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出されることを特徴とする。
【0026】
本発明はさらに、患者における痛みの解放を誘導するための医薬品の製造において、食事を抜いた健康な人の被検者に1000mgのパラセタモールを投与することによって、150分.mg.L-1以上の平均AUC20を達成できるようなパラセタモールの形態を利用することに向けられる。
【0027】
別の態様において本発明は、人の被検者において痛みまたは熱を治療するための方法を意図しており、その方法は、容積メジアン径(D50)が350μm以下、そして表面積が0.07 m2.g-1 以上のパラセタモールの急速溶解性の形態を、pH調整剤と、さらに服用配合剤への水分の取り込みを容易化する薬剤とともに含有する服用配合剤を、痛みを解放したり熱を下げたりするのに有効な量で前記患者に投与する行程を含んでいて、その際のpH調整剤は約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの塩酸を中和するのに充分な量であり、またこの場合には食事を抜いた健康な人の被検者に1000mgのパラセタモールを投与することによって、150分.mg.L-1以上の平均AUC20を達成できることを特徴とする。
【0028】
さらに別の態様での本発明は人の被検者において鎮痛作用などの痛みの解放を誘導するための方法を提供し、その方法は、USPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で180秒以内に少なくとも30%が溶出される溶出速度を示すパラセタモールの急速溶解性の形態を、pH調整剤と、さらに錠剤への水分の取り込みを容易化する薬剤とともに含有する服用配合剤を、痛みを解放するのに有効な量で前記患者に投与する行程を含んでいて、その際のpH調整剤は約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの塩酸を中和するのに充分な量であり、またその際の服用配合剤に含まれるパラセタモールの少なくとも約70%がUSPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出されることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
この明細書を通してその文章の中で別途断らない限り、「含む(comprise)」という用語、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」のような変化形は、述べられている要素もしくは整数、または要素もしくは整数のグループを包含することを意味するが、何らかの他の要素もしくは整数、または要素または整数のグループの除外部分は意味しないと理解されるであろう。
【0030】
本発明はパラセタモール配合物を提供し、特定するとパラセタモールの急速溶解性の経口投与形態を提供する。経口投与形態は一般に、服用配合剤とここでは言われる。服用配合剤は一般に、パラセタモールをpH調整剤、および水分の取り込みを容易化する薬剤と組み合わせて含有している。本発明の経口投与形態は任意であるが、水、または何らかの他の水性−ベースの液体とともに投与することができる。
【0031】
したがって本発明は、パラセタモールの急速溶解性の形態と、pH調整剤と、水分の取り込みを容易化する薬剤とを含む服用配合剤を提供し、この場合pH調整剤は約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの酸を中和するのに充分な量で存在し、また服用配合剤に含まれるパラセタモールの少なくとも約70%はUSPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出される。
【0032】
別記して指示しない限り本発明は、特定の配合剤成分、製造方法、投薬計画などに限定されず、例えば変化してもよい。またここで用いた用語法は、特定の態様のみを説明する目的のためのものであって、限定する意図はないことも理解すべきである。
【0033】
また本発明の明細書で用いられている場合、冠詞の型「a」、「an」および「the」は、この文章で別記して明らかに指示しない限り複数の見方も含むことに気づくべきである。したがって例えば「薬物」に関しては、単独の薬物だけでなく二種またはそれより多くの薬物も含まれ、「pH調整剤(a pH mojulating agent)」に関しては、単独のpH調整剤だけでなく二種またはそれより多くのpH調整剤も含まれ、「水分取り込み剤(a water uptake agent)」に関しては、単独の水分取り込み剤だけでなく二種またはそれより多くの水分取り込み剤も含まれ、さらに他のも同様である。
【0034】
パラセタモールの急速に溶解する形態は、容積メジアン径(D50)が350μm以下、そして表面積が0.07 m2.g-1 以上のパラセタモールを含んでいる。これとは別に、またはそれに追加して、USPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で180秒以内に少なくとも30%の溶出速度を示すパラセタモール調製物も含まれる。
【0035】
したがって本発明の別の観点は、容積メジアン径(D50)が350μm以下、そして表面積が0.07 m2.g-1 以上のパラセタモールの形態と、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの酸を中和するのに充分な量のpH調整剤と、水分の取り込みを容易化する薬剤とを含む服用配合剤を提供し、その場合のパラセタモールの少なくとも70%はUSPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出されることを特徴とする。
【0036】
関連する観点において本発明は、USPの溶解装置2において900mLの0.05 N塩酸を用いた場合の30 rpm、37℃での溶出速度が180秒以内で少なくとも30%を示すパラセタモールの形態と、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの酸を中和するのに充分な量のpH調整剤と、水分の取り込みを容易化する薬剤とを含む服用配合剤であって、その場合のパラセタモールの少なくとも70%がUSPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出されることを特徴とする服用配合剤に向けられる。
【0037】
本発明の服用配合剤は、食事を抜いた健康な人の被検者において平均AUC20が150分.mg.L-1以上を、パラセタモール1000mgの投与で達成する。
【0038】
したがって本発明のもう一つの観点は、容積メジアン径(D50)が350μm以下、そして表面積が0.07 m2.g-1 以上のパラセタモールの形態と、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの酸を中和するのに充分な量のpH調整剤と、水分の取り込みを容易化する薬剤とを含む服用配合剤であって、この場合、食事を抜いた健康な人の被検者に1000mgのパラセタモールを投与することによって、150分.mg.L-1以上の平均AUC20を達成できるような服用配合剤を提供する。
【0039】
関連する観点では本発明は、USPの溶解装置2において900mLの0.05 N塩酸を用いた場合の30 rpm、37℃での溶出速度が180秒以内で少なくとも30%を示すパラセタモールの形態と、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの酸を中和するのに充分な量のpH調整剤と、水分の取り込みを容易化する薬剤とを含む服用配合剤であって、その場合、食事を抜いた健康な人の被検者に1000mgのパラセタモールを投与することによって、150分.mg.L-1以上の平均AUC20を達成できるような服用配合剤を提供する。
【0040】
本発明を説明し、範囲を特定する際、以下の用語法が以下に列挙した定義に従って用いられる。
【0041】
「活性薬」、「化合物」、「薬理学的に活性な薬剤」、「医薬品」、「活性剤」、「活性成分」、「薬物」および「薬物成分」という用語は、この明細書を通して相互変換可能に用いられる。これらの用語は、限定するわけではないが、塩類、エステル類、アミド類、プロ-ドラッグ類、活性な代謝産物、アナログなどを含むここで特別に述べられている活性剤の薬学的に許容され、かつ薬理学的に活性な成分も包含する。「活性剤」、「化合物」、「薬理学的に活性な薬剤」、「医薬品」、「活性剤」、「薬物」、「薬物成分」、および「パラセタモール」という用語が用いられる場合、これにはそれらの化合物はもちろん、それらと本質的に同様の薬学的に許容され、薬理学的に活性な塩類、エステル類、アミド類、プロ−ドラッグ類、代謝産物、アナログなども含まれると解釈すべきである。
「薬物」、「化合物」などの用語は、単独の分子であってもよいし、または分子の複合物であってもよい。
【0042】
ここで用いたようなパラセタモールの「有効量」または「治療上の有効量」という用語については、パラセタモールの充分量を用いれば、治療したり抑制したりされる症状の緩和、というような望まれる治療効果または望まれる薬理学的、生理学的もしくは生化学的イベントがもたらされる。当然のことながら望ましくない作用である、例えば副作用が時として望ましい治療効果とともに現れる。したがって実務者が適当な「有効量」がどれだけであるかを決定する際には、潜在的な利点と潜在的なリスクとのバランスを図る。
【0043】
「供給」および「投与」という用語はこの明細書を通して相互変換可能に用いられ、個人に経口投与剤を与える行為を意味する。「投与する」という用語はここでは、「供給する」、「与える」、「導入する」、または「服用する」と同義語であると考えられる。
【0044】
「薬学的に許容される賦形剤」とは、生物学的にまたは他の意味でも望ましくないわけではない材料からなる薬学的なビヒクルを意味しており、即ち経口服用剤が幾分かの、または一つの実質的に反する反応を引き起こすことなくパラセタモールとともに患者に投与することができる。賦形剤は担体や、希釈剤、結着剤、洗浄剤、着色剤、風味剤、湿潤剤もしくは乳化剤、保存料、滑剤、潤滑剤のような他の添加剤を含んでいてもよく、崩壊剤も同様である。
【0045】
同様に、この明細書で用いられているパラセタモールの「薬学的に許容される」塩、エステル、アミド、プロ−ドラッグ、またはパラセタモールの誘導体とは、生物学的に、または他の意味でも望ましくないわけではない塩、エステル、アミド、プロ−ドラッグ、または誘導体である。
【0046】
ここで用いられる「治療する」および「治療」という用語は、症状の重症度および/もしくは頻度を減少させたり緩和させたりすること、症状および/もしくは基になる原因を減らすこと、並びに/または症状および/もしくは基になる原因の出現を抑制することを言う。このように例えば患者を「治療する」ことには、特定の症状の後戻りを阻止したり引き起こしたりすることによって臨床的症状のある人を治療することはもちろん、疑いのある人の特定の異常または悪い生理学的イベントを抑制することも関連している。したがって例えば痛みを解放する必要のある患者を治療する方法には、痛みの状態を治療することだけでなく、痛みを抑制することの両方が包含される。痛みの治療に関しては、鎮痛薬の導入が行われる。さらに対象の配合剤は、痛みの解放を必要としている病気の症状を治療するために用いられる。
【0047】
ここで考慮されている病気は、痛みおよび/もしくは熱の解放、痛みおよび/もしくは熱の抑制、痛みおよび/もしくは熱の減少、並びに/または痛みおよび/もしくは熱のレベルの治療といった、痛みや熱の管理を必要としている病気を含む。
【0048】
Cmaxは、パラセタモールのピークの血漿濃度である。AUC20は投与してから20分間の血漿濃度−時間曲線下の部分的領域である。Tmaxはパラセタモールの血漿濃度がピークに達する時間である。
【0049】
「pH調整剤」に関して言うと、一種またはそれより多くのpH陽性剤が含まれる。これらには、酸、塩基、または一種もしくはそれより多くの酸および/または塩基の組み合わせが含まれる。一種より多くとは、2から約10までを意味していて、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10種のpH調整剤である。
【0050】
一つの特定の態様においては少なくとも一種のpH調整剤は可溶性および/または分散性である。
【0051】
もう一つの特定の態様においては少なくとも一種のpH調整剤は塩基である。
【0052】
好適なpH調整剤の非−限定的な例としては、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ジナトリウム グリシン炭酸塩、ナトリウム グリシン炭酸塩、リジン炭酸塩、アルギニン炭酸塩、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、メタ酒石酸、アジピン酸、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、並びにアスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ロイシン、チロシンおよびプリプトファンのようなアミノ酸、さらにそれらの二種またはそれより多くの組み合わせも同様に挙げられる。
【0053】
好適には、少なくとも一種のpH調整剤は例えばアルカリ金属炭酸塩のような炭酸塩である。
【0054】
望ましくは炭酸塩は水溶性である。
【0055】
好ましくは服用配合剤に含まれるpH調整剤は、12mLから05mLの0.1N HClを中和する能力がある。付け加えて服用配合剤に含まれるpH調整剤は、1.2mmolから9.5mmolの酸を中和する能力ある。
【0056】
pH調整剤は一般に、服用配合剤の約2重量%から約90重量%の量で含まれる。さらに好ましくはpH調整剤は、服用配合剤の約2重量%から約80重量%の量で含まれ、そして最も好ましくは約2重量%から約70重量%の量で含まれる。pH調整剤の重量あたりのパーセント量の例は、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または90%である。
【0057】
pH調整剤に対するパラセタモールの比は好ましくは、重量比で両端を含めて0.5:1から30:1の間である。更に好ましくはpH調整剤に対するパラセタモールの重量比は、1:1から20:1の間である。例としては、重量比で0.5:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、または30:1である。
【0058】
一態様においてpH調整剤は重炭酸ナトリウムおよび/または重炭酸カリウムおよび/または炭酸マグネシウムおよび/またはクエン酸であり、それは服用配合剤の重量あたり2%から75%の量で含まれる。
【0059】
パラセタモールは配合剤(例えば錠剤)あたり、約1000mgまたは約500mgの量で含まれると都合がよく、pH調整剤はパラセタモール、500mgあたり50mgから450mgの量で、例えば500mgあたり、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121
、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、または450mgの量で含まれる。
【0060】
好ましくはpH調整剤は、服用配合剤中のパラセタモールあたり100mgから300mgの量で含まれる。より好ましくはpH調整剤は重炭酸ナトリウムである。
【0061】
より好ましくは、食事を抜いた健康な人の被検者に服用配合剤に含まれる1000mgのパラセタモールを水と共に投与すると、健康な食事を抜いた人の被検者に約170分.mg.L-1以上の平均AUC20が得られる。
【0062】
一態様においては服用配合剤は錠剤であり、パラセタモールの少なくとも70%がUSPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出される。さらに好ましくは少なくとも80%が180秒以内に溶出される。
【0063】
別の態様では服用配合剤は錠剤であり、パラセタモールの少なくとも70%がUSPの溶解装置2において900mLの0.05 N塩酸を用いた場合、30 rpm、37℃で120秒以内に服用配合剤から溶出される。さらに好ましくは少なくとも80%が120秒以内に溶出される。
【0064】
さらに別の態様では服用配合剤は錠剤であり、パラセタモールの少なくとも70%がUSPの溶解装置2において900mLの0.05 N塩酸を用いた場合、30 rpm、37℃で90秒以内に服用配合剤から溶出される。さらに好ましくは少なくとも80%が90秒以内に溶出される。
【0065】
「急速溶解性の形態のパラセタモールとして服用配合剤に入れられるパラセタモール」に関して言うと、パラセタモールの急速溶解性の形態、および製造工程でパラセタモールの急速溶解性の形態に変換されるパラセタモールを含んでいる。
【0066】
パラセタモールの急速溶解性の形態は、気体吸収によって測定した場合の質量に対する表面積の比が約0.08m2.g-1以上の大きさであり、および/またはレーザ回折法によって測定した場合の容積メジアン径(D50)が約300μm以下の粒子径であるパラセタモールを含んでいる。
【0067】
一態様におけるパラセタモールは、USPの溶解装置2において900mLの0.05 N塩酸を用いて37℃で30 rpmパドル回転させた場合の溶出速度が望ましくは、180秒以内に少なくとも30%が溶出される急速溶解性の形態である。
【0068】
また、標準的な形態のパラセタモールは製造工程を経て急速溶解性の形態に変換することができ、その際には最終的な産物は、USPの溶解装置2における溶解速度が900mLの0.05 N塩酸を用いた場合に30 rpm、37℃で180秒以内に少なくとも70%が溶出されるようになっている。
【0069】
好ましい態様では、USPの溶解装置2において900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で30秒後に炭酸塩からなるpH調整剤を存在させた服用配合剤から溶出したパラセタモールの量は、炭酸塩からなるpH調整剤を存在させない服用配合剤から溶出したパラセタモールの量よりも、少なくとも5倍以上である。
【0070】
一態様において急速溶解性のパラセタモールはD50粒子径が300μm以下である。
【0071】
パラセタモールの急速溶解性形態にはミクロ粒子またはサブ−ミクロ粒子と、粒子径を小さくしたりおよび/または表面積を大きくしたりした粒子だけではなく、パラセタモールの変形した結晶とが含まれている。
【0072】
別の態様ではパラセタモールの急速溶解性の形態は、パラセタモールの塩、エステル、アミド、プロ−ドラッグまたは他の薬学的に許容されるパラセタモールの誘導体である。
【0073】
一態様においてはパラセタモールの結晶を、変形結晶を生じさせるために、ポリマーもしくはタンパク質、またはその混合物のような結晶化変形剤が存在するところで再結晶させる。用いることのできるポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)、およびポリビニルピロリドンのサブユニットとの共重合体である。用いることのできるタンパク質には、アルブミン(ウシ、またはヒツジ)、パパイン、ペプシン、およびその他のものが含まれる。好ましくはポリビニルピロリドンは結晶化する間中存在する。
【0074】
好ましくはPVP-パラセタモール−コ−クリスタル(co-crystal)をガス吸収法によって測定すると、質量に対する表面積の比率は0.2 m2.g-1 以上である。
【0075】
適切な場合、変形したパラセタモール結晶はD50粒子径が50−300μmの範囲内であり、例えば、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、または300μmである。
【0076】
一態様においてパラセタモールの急速溶解性の形態は、湿潤マッシング法(wet massing)、乾燥スラグ法(dry slugging)もしくは粉末成型法(compaction)、凍結化ベッド(fluidized bed)もしくはスプレードライ法(spray drying)などの顆粒化技術によって製造された顆粒の形態になっており、その際高エネルギーの顆粒造成機が用いられてもよい。また顆粒には、pH調整剤および/または水分取り込み剤が含まれていてもよい。服用配合剤は任意であるが、過剰の顆粒状パラセタモールおよび/またはpH調整剤および/または水分取り込み剤を含んでいてもよい。
【0077】
好ましくはその顆粒には、限定するわけではないがクロスポビドン、クロスカルメロース、ナトリウムスターチグリコレート、スターチおよび/またはスターチ誘導体などの一種またはそれより多くの崩壊剤が含まれる。
【0078】
一態様においてパラセタモールの急速溶解性の形態は、マンニトールを含む共融物のようなパラセタモールの溶解性を高める分子をさらに含む配合剤に入れて提供される。
【0079】
従って本発明の別の態様は、ここに記載されているようなパラセタモールの急速溶解性の形態として用いられるパラセタモールと、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量のpH調整剤とを含む服用配合剤に向けられており、それはUSPの溶解装置2において900mLの0.05 N塩酸を用いた場合、30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から少なくとも約70%のパラセタモールが溶出できるものであり、また食事を抜いた健康な人の被検者に1000mgのパラセタモールを含む服用配合剤を投与することで、150分.mg.L-1以上の平均AUC20が達成できる。
【0080】
技術者は、服用配合剤が一種またはそれより多くの薬学的に許容される賦形剤も含むことが可能であると認識できる。
【0081】
「水分取り込み剤」に関しては、水の取り込みを容易にする薬剤を含む。これらは単独か組み合わせて用いられ、水を吸収したり、水に溶解したり、または水を動かしたりできる導水剤(wicking agents)、崩壊剤、結着剤、担体、および他の親水性賦形剤が含まれるであろう。排他的ではないが一般に、「水分取り込み剤」は服用配合剤への水の取り込みを容易にする。
【0082】
好ましい水分取り込み剤としては、架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン(crospovidone))、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムスターチグリコレート、デンプン、スターチ誘導体、低置換型ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ミクロクリスタリンセルロース、粉末セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ドクセート(docusate)ナトリウム、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、マグネシウムアルミニウムシリケート、メチルセルロース、ポラクリリン、カリウム、ケイ化ミクロクリスタリンセルロース、酸化マグネシウム、トラガカント、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、ポリエチレングリコール、アミノ酸、シクロデキストリン、尿素および/またはポリビニルピロリドン(ポビドン(povidone)、PVP)が挙げられる。
【0083】
水分取り込み剤は服用配合剤の2重量%から80重量%の量で、より好ましくは服用配合剤の2重量%から60重量%の間の量で存在しているとよい。
【0084】
pH調整剤に対する水分取り込み剤の比率は好ましくは、重量比で0.1:1から20:1の間であり、例えば0.1:1、0.2:1、0.3:1、0.4:1、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.
8:1、0.9:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1または20:1である。pH調整剤に対する水分取り込み剤の比率はより好ましくは、重量比で0.3:1および15:1の間である。
【0085】
任意であるが服用配合剤はまた、一種またはそれより多くの賦形剤、または風味剤、着色剤、甘味料および保存料のような他の成分を含有していてもよい。
【0086】
したがって本発明の別の観点は、ここに記載されているようなパラセタモールの急速溶解性の形態として用いられるパラセタモールと、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量のpH調整剤と、服用配合剤の80重量%までの量の水分取り込み剤とを含む服用配合剤に向けられており、それはUSPの溶解装置2において900mLの0.05 N塩酸を用いた場合、30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から少なくとも約70%のパラセタモールが溶出できるものであり、また食事を抜いた健康な人の被検者に1000mgのパラセタモールを含む服用配合剤を投与することで、150分.mg.L-1以上の平均AUC20が達成できる。
【0087】
一態様において服用配合剤は、水などの水性の飲み物と共に投与される。共に投与される液体は服用配合剤の前、後、または同時に投与することが可能である。
【0088】
したがって本発明のもう一つの観点は、ここに記載されているようなパラセタモールの急速溶解性の形態として用いられるパラセタモールと、水分取り込み剤と、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06mmolから約11mmolの酸を中和するのに充分な量のpH調整剤とを含む服用配合剤に向けられており、それはUSPの溶解装置2において900mLの0.05 N塩酸を用いた場合に30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から少なくとも約70%のパラセタモールを溶出させることができるものであり、そして前記投与形態はさらに一種またはそれより多くの薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤を含んでいて、その服用配合剤は液体とともに投与される。
【0089】
パラセタモールまたは塩もしくはプロ−アクティブ型は、服用配合剤一回につき約100mgから約1000mgを与えればよく、例えば、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428
、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、615、616、617、618、619、620、621、622、623、624、625、626、627、628、629、630、631、632、633、634、635、636、637、638、639、640、641、642、643、644、645、646、647、648、649、650、651、652、653、654、655、656、657、658、659、660、661、662、663、664、665、666、667、668、669、670、671、672、673、674、675、676、677、678、679、680、681、682、683、684、685、686、687、688、689、690、691、692、693、694、695、696、697、698、699、700、701、702、703、704、705、706、707、708、709、710、711、712、713、714、715、716、717、718、719、720、721、722、723、724、725、726、727、728、729、730、731、732、733、734、735、736、737、738、739、740、741、742、743、744、745、746、747、748、749、750、751、752、753、754、755、756、757、758、759、760、761、762、763、764、765、766、767、768、769、770、771、772、773、774、775、776、777、778、779、780、781、782、783、784、785、786、787、788、789、790、791、792、793、794、795、796、797、798、799、800、801、802、803、804、805、806、807、808、809、810、811、812、813、814、815、816、817、818、819、820、821、822、823、824、825、826、827、828、829、830、831、832、833、834、835、836、837、838、839、840、841、842、843、844、845、846、847、848、849、850、851、852、853、854、855、856、857、858、859、860、861、862、863、864、865、866、867、868、869、870、871、872、873、874、875、876、877、878、879、880、881、882、883、884、885、886、887、888、889、890、891、892、893、894、895、896、897、898、899、900、901、902、903、904、905、906、907、908、909、910、911、912、913、914、915、916、917、918、919、920、921、922、923、924、925、926、927、928、929、930、931、932、933、934、935、936、937、938、939、940、941、942、943、944、945、946、947、948、949、950、951、952、953、954、955、956、957、958、959、960、961、962、963、964、965、966、967、968、969、970、971、972、973、974、975、976、977、978、979、980、981、982、983、984、985、986、987、988、989、990、991、992、993、994、995、996、997、998、999もしくは1000mg、または間の部分である。
【0090】
技術者は、服用配合剤を利用しようとする使用者に応じて適切なパラセタモール量が変わることを認識できる。例えば、免疫がなくなった生まれて2、3ヶ月の乳児の熱では、一キログラムあたり10から15mgのパラセタモールが推奨される投与量である。パラセタモール1000mgという大人の一投与量では、一つ、二つ、三つ、四つまたはそれより多くに分けて服用配合剤を含む一回量投与として投与すればよい。例えば1000mgの投与量のパラセタモールは、500mgのパラセタモールと、水分取り込み剤と、約0.3 mLから約55 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.03 mmolから約5.5 mmolの塩酸を中和するのに充分な量のpH調整剤とをそれぞれ含む二個の服用配合剤を一回量投与として投与すればよい。
【0091】
一態様において服用配合剤は幼児に用いることが意図されており、パラセタモールは100から250mgの範囲内であろう。
【0092】
別の態様において服用配合剤は大人に用いることが意図されており、パラセタモールは250から1000mgの範囲内であろう。
【0093】
上記に示したように最も好適なpH調整剤は重炭酸ナトリウムおよび/または炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムおよび/または重炭酸カリウムであって、それは服用配合剤中、一服用配合剤あたり約25mgから450mgの範囲内で含まれており、例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、または450mgである。
【0094】
服用配合剤はまた、薬学的に活性な別の薬剤である、例えばコデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、トラマドール、およびプロポキシフェンのような他の鎮痛薬、アスピリンおよびイブプロフェンのような抗−炎症性鎮痛薬、シュードエフェドリンおよびフェニレフリンのような鬱血除去剤、フォルコジンおよびデキストロメトルファンのような鎮咳薬、グアイフェネシンおよびブロムヘキシンのような去痰薬、ジフェンヒドラミンおよびクロルフェニラミンのような非−鎮静性や鎮静性の抗ヒスタミン薬、並びにドキシラミンのような筋肉弛緩薬を含んでいてもよい。
【0095】
したがって好適な一態様において本発明は、ここに記載されているようなパラセタモールの急速溶解性の形態として用いられるパラセタモールと、水分取り込み剤と、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06mmolから約11mmolの酸を中和するのに充分な量のpH調整剤と、一種またはそれより多くの追加の薬学的に活性な成分とを含む服用配合剤であって、USPの溶解装置2において900mLの0.05 N塩酸を用いた場合に30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から少なくとも約70%のパラセタモールが溶出するような服用配合剤を提供する。
【0096】
特定すると好適な服用配合剤には、服用配合剤の重量あたり約50-65%のパラセタモール、21-26%のpH調整剤、および約12-18%の水分取り込み剤を含む服用配合剤、また服用配合剤あたり50-65%のパラセタモール、21-26%の重炭酸ナトリウム、7-9%のクロスポビドン、および5-7%のスターチ誘導体を含む服用配合剤が含まれる。
【0097】
本発明の別の観点では、パラセタモールの急速溶解性の形態として用いられるパラセタモールと、水分取り込み剤と、パラセタモールの一回量の中に入れた約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06mmolから約11mmolの酸を中和するのに充分な量のpH調整剤とを含む服用配合剤を含有する投与形態を提供する。
【0098】
投与形態は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、カシェ剤、コロイド剤、ゲル剤または融解剤であることができる。その投与形態は、任意であるがチェアブル形態であってもよい。
【0099】
本発明の投与形態は、被覆が施されていてもよいし、被覆が施されていなくてもよいし、および/または層状になっていてもよい錠剤である。好適な被覆剤には、ポビドンまたはヒプロメロースのような水溶性ポリマーをベースとする被覆が含まれる。好適な被覆ポリマーはまた、セルロース(セルソースアセトフタレート、ヒプロメロースフタレート)であってもよいし、またはアクリル酸ポリマーの誘導体(メタクリル酸共重合体)であってもよい。任意であるが、投与形態はゼラチンで被覆されていてもよい。
【0100】
投与形態には、一種またはそれより多くの別の薬学的に活性な薬剤が含まれている場合もある。
【0101】
一態様において投与形態は、USPの溶解装置2において900mLの0.05 N塩酸を用いた場合に30 rpm、37℃で180秒以内に30%以下の溶出速度を示す別のパラセタモール調製物を含む多相放出型の投与形態である。
【0102】
本発明の服用配合剤は、同時または連続的に成分を混合し、その後で例えば錠剤、カプセル剤、カシェ剤などのような投与ユニットに変換することによって製造できる。
【0103】
本発明の錠剤は、例えば直接圧縮法、または顆粒化法および圧縮法によって製造できる。
【0104】
本発明はさらに、被検者における痛み、熱、または不快感といった症状を治療するための方法を意図しており、その方法は、ここに記載されたようなパラセタモールの急速溶解性の形態として用いられるパラセタモールと、水分取り込み剤と、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの酸を中和するのに充分な量の一種またはそれより多くのpH調整剤とを含む服用配合剤を前記被検者に投与する行程を含んでいて、投与はある時間、病気の症状を抑制したり緩和したりできる条件下で行われる。
【0105】
本発明のもう一つの観点は、痛みおよび/熱を感じているか、痛みおよび/熱が起こる予感がある被検者における痛みおよび/熱の管理に影響を与えるための方法を意図しており、その方法は、ここに記載されたようなパラセタモールの急速溶解性の形態として用いられるパラセタモールと、水分取り込み剤と、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの酸を中和するのに充分な量の一種またはそれより多くのpH調整剤とを含む服用配合剤を前記被検者に投与する行程を含んでいて、投与はある時間、病気の症状を抑制したり緩和したりできる条件下で行われる。
【0106】
またこれらの方法は、一種またはそれより多くの薬学的に許容される賦形剤を含む服用配合剤も関与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0107】
本発明はさらに、以下の非−限定的な実施例によって説明される。
【実施例1】
【0108】
この非−限定的な実施例は、この発明に入るような一投与量あたり100−800mgの範囲にわたるpH調整剤としての炭酸塩と、改善された錠剤の溶解性とAUC20値を示す水分取り込み剤の存在を伴った急速溶解性のパラセタモールをベースとする別個の配合剤の範囲を含む。配合剤1は、数多くの配合剤で急速溶解性のパラセタモールとして用いられるパラセタモール−PVPクリスタルの配合剤および調整品を扱っている。
【0109】
全ての配合剤は、食事を抜いた健康な人の被検者に、1000mgの投与量のパラセタモールと等価な二個の錠剤を水とともに投与してテストした。パラセタモールの血漿レベルは、最初の一時間の間に採取した少なくとも10個のサンプルを用いて、投与してから8時間後まで測定した。インビトロでの錠剤溶解性は、USP溶解装置2において900mLの0.0033 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で測定した。
【0110】
インビトロ−インビボの線形相関(IVIVC)(R2=0.60)が、5人の被検者でクロスオーバーした設計で評価したそれぞれの配合剤を用いた23個の異なる錠剤配合剤の評価に基づき、パラセタモールのAUC20と、適合する錠剤についての溶解度の指数関数的速度定数(kdiss)との間で確立された。したがって約150分.mg.L-1のAUC20が、180秒間でパラセタモールの約70%の溶解度に対応する。不完全な線形相関関係が、23個の配合剤についてのTmaxおよびKdissの間に存在していた(R2=0.29)。低めのTmaxは一般に高いAUC20と関連しているが、Tmaxが約120分.mig.L-1のAUC20でプラトーに達することがわかり、このことは、吸収速度のついて好ましいインビボでの測定を行う場合、TmaxよりもむしろAUC20を利用できることを示唆している。
【0111】
26人の健康な絶食させた被検者において、二種のテストと二種の商業的に入手可能な配合剤について確認クロスオーバー試験を行ったところ、平均AUC20とインビトロでの溶解速度定数kdissとの間に線形相関関係(R2=0.990)があった。この回帰は、AUCが150分.mg.L-1 であることは、配合剤から180秒間で約70%のパラセタモールが溶出したことと対応している。AUC20と180秒間で溶出したパラセタモールの%との間の線形相関関係は、R2=0.996である。
【0112】
以下の表は、インビボでの薬物速度論的データとインビトロでの溶解性能とを備えた配合剤のうちのいくつかについての例を挙げている。
【0113】
【表1】

溶媒の量、攪拌行程、および濾過を行う前の沈殿時間は、それぞれのバッチの大きさごとに決定する必要がある、エタノールと水の比率を異ならせて、二つの相に対する溶媒として用いることができる。
【0114】
通常クリスタルは300μ以下の容積メジアン径(D50)を持っていて、パラセタモールの急速溶解性の形態として挙動する。
【0115】
得られた結晶は通常、4-8%のPVPを含んでおり、使用する前にパラセタモールの含有量について評価する。これによって、500mgのパラセタモールに量的に等しくなるように、さらに処理するために計算できる。このクリスタルは、例えば錠剤を形成すべく圧縮することによって、またはカプセル剤に粉末混合物を充填することによって、最終的な産物に変換される前に配合剤に他の成分とともに混合される。
【0116】
配合剤2−10は、インビトロでの溶解性およびインビボでの薬物速度論的パラメータに対するpH調整剤の作用を証明するために、多重の5人の被検者においてクロスオーバー試験を行ってテストしたうちのいくつかである。全て、圧縮する前に成分と混合することによって調製された圧縮配合剤である。
【0117】
【表2】

【0118】
【表3】

配合剤11および12は、pH調整剤とともに急速溶解性のパラセタモールを含む配合剤であり、それらを26人の健康な絶食した被検者において、二種の商業的に入手可能な「急速放出性製品」として記載されたパラセタモールのブランドと比較してインビボで評価した。
【0119】
【表4】

【0120】
【表5】

【0121】
【表6】

【実施例2】
【0122】
急速溶解性のパラセタモールの選択
以下のデータは、異なるグレードのパラセタモールを用いて作った錠剤のインビトロでの溶解性に対して、pH調整剤である重炭酸ナトリウムを添加した効果について証明している。6個の異なるグレードのパラセタモールを配合剤13-18においてテストした。パラセタモールのそれぞれのサンプルに対して二種の配合剤が準備され、Aと名付けられたpH調整剤が含まれていないものと、Bと名付けられたpH調整剤が含まれているものである。
【0123】
【表7】

インビトロでの溶解性は、USP溶解装置2において900mLの0.0033 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で測定した。30秒間で溶解したパラセタモールの%を、pH調整剤である重炭酸ナトリウムの存在する場合、および存在しない場合でそれぞれのグレードのパラセタモールについて比較した。重炭酸ナトリウムによって引き起こされる溶解度の%増加を算出した。
【0124】
重炭酸ナトリウムによって引き起こされる溶解度の増加は、ある種のグレードのパラセタモールでかなり大きい。本発明の目的では、増加が500%を超えて大きい場合、それらのグレードのパラセタモールが急速溶解性のパラセタモールとして記載される。配合剤13-16で用いたパラセタモールは急速溶解性のパラセタモールの定義と合っていて、配合剤17-18で用いられたパラセタモールは合っていない。
【0125】
【表8】

【実施例3】
【0126】
インビトロでの溶解性試験に基づく水分取り込み剤の範囲の選択
この配合剤で用いられるさまざまな賦形剤は、崩壊剤やウィック剤、結着剤、およびフィラーのような特殊なカテゴリーとは別に、一般的に水分取り込み剤として分類することができる。ミクロクリスタリンセルロースは、これらすべてのカテゴリーに記載することのできる例である。本発明の目的では、これらのカテゴリーのどれかに記載されている何らかの賦形剤が、水分取り込み剤の定義の中に入ると考えられる。
【0127】
pH調整剤と組み合わせて存在する水分取り込み剤が満足がゆくものでないならば、インビトロでの溶解は急速には起こらなかったことがわかっている。さらにインビトロでの錠剤の溶解性が減少することは、pH調整剤のレベルの増加と関連していること、また水分取り込み剤のレベルを増加させることによって溶解性能が復帰できることを意味していた。pH調整剤は含まないで水分取り込み剤を含む配合剤10は、180秒で20%しかパラセタモールのゆっくりとした溶解性が到達しないことを示している。このことは、両方の薬剤の満足性が配合剤中で発揮されている場合には90秒間で70%を超える溶解性があることと比較される。
【0128】
錠剤に含まれる水分取り込み剤の%、およびpH調整剤の重量に対する水分取り込み剤の比率が、得られる錠剤が目指すインビトロでの溶解性能を達成するのに重要である。
【0129】
【表9】

【0130】
当業者は、ここに記載された発明が特定して記載されたもの以外に変形および修飾が可能であることを高く評価できる。本発明にはそのような変形および修飾の全てが含まれると理解すべきである。本発明はまた、この明細書に個別に、またはまとめて記載されているか、あるいは指示されている行程、特徴、組成物および化合物の全てと、前記行程または特徴のどれか二つまたはそれより多くからなるどれかおよび全ての組み合わせとを含んでいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容積メジアン径(D50)が350μm以下、そして表面積が0.07 m2.g-1 以上のパラセタモール、約0.6 mLから約110 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.06 mmolから約11 mmolの酸を中和するのに充分な量のpH調整剤、並びに服用配合剤への水分の取り込みを容易化する薬剤を含む服用配合剤であって、前記パラセタモールの少なくとも70%がUSPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出されることを特徴とする服用配合剤。
【請求項2】
前記パラセタモールの少なくとも80%が、USPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で180秒以内に服用配合剤から溶出される請求項1の服用配合剤。
【請求項3】
前記服用配合剤は錠剤であり、前記パラセタモールの少なくとも70%が、USPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で120秒以内に服用配合剤から溶出される請求項1の服用配合剤。
【請求項4】
前記パラセタモールの少なくとも80%が、USPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で120秒以内に服用配合剤から溶出される請求項3の服用配合剤。
【請求項5】
前記パラセタモールの少なくとも70%が、USPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で90秒以内に服用配合剤から溶出される請求項3の服用配合剤。
【請求項6】
前記パラセタモールの少なくとも80%が、USPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いて30 rpm、37℃で90秒以内に服用配合剤から溶出される請求項5の服用配合剤。
【請求項7】
食事を抜いた健康な人である被検者に一回投与量1000 mgのパラセタモールを水とともに投与すると、約150分.mg.L-1以上の平均AUC20が得られる請求項1の服用配合剤。
【請求項8】
食事を抜いた健康な人である被検者に一回投与量1000 mgのパラセタモールを水とともに投与すると、約170分.mg.L-1以上の平均AUC20が得られる請求項1の服用配合剤。
【請求項9】
前記配合剤に含まれるパラセタモールは、USPの溶解装置2にて900mLの0.05 N塩酸を用いた場合、30 rpm、37℃での溶出速度が180秒以内で少なくとも30%である請求項1の服用配合剤。
【請求項10】
前記pH調整剤が可溶性および/または分散性である請求項1または7または8または9の服用配合剤。
【請求項11】
少なくとも一種のpH配合剤が塩基である請求項10の服用配合剤。
【請求項12】
少なくとも一種のpH配合剤が炭酸塩である請求項11の服用配合剤。
【請求項13】
前記炭酸塩が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、ジナトリウム グリシン炭酸塩、ナトリウム グリシン炭酸塩、リジン炭酸塩、およびアルギニン炭酸塩から選択される請求項12の服用配合剤。
【請求項14】
前記炭酸塩が水溶性である請求項13の服用配合剤。
【請求項15】
前記炭酸塩が炭酸ナトリウムである請求項14の服用配合剤。
【請求項16】
前記pH調整剤が約50mgから400mgの間の量の重炭酸ナトリウムであり、また前記パラセタモールが約500ngの量である請求項15の服用配合剤。
【請求項17】
前記pH調整剤が服用配合剤の約2重量%から約90重量%の量で含まれている請求項1または7または8または16の服用配合剤。
【請求項18】
前記pH調整剤が服用配合剤の約2重量%から約80重量%の量で含まれている請求項17の服用配合剤。
【請求項19】
前記pH調整剤が服用配合剤の約2重量%から約70重量%の量で含まれている請求項18の服用配合剤。
【請求項20】
パラセタモールとpH調整剤との比が、約0.05:1から30:1までの間である請求項1または7または8または17の服用配合剤。
【請求項21】
USPの溶解装置2において900mLの0.05 N塩酸を用いた場合、30 rpm、37℃で30秒後に服用配合剤から溶出される前記服用配合剤から溶出される急速溶解性のパラセタモールの量は、炭酸塩のpH調整剤を含まない服用調整剤から溶出される急速溶解性のパラセタモールの量よりも少なくとも約5倍以上である請求項1または7または8または17の服用配合剤。
【請求項22】
前記パラセタモールは容積メジアン径(D50)が約300μm以下である請求項1または7または8または17の服用配合剤。
【請求項23】
前記パラセタモールは質量あたりの表面積の比率が約0.08m2.g-1以上である請求項1または7または8または17の服用配合剤。
【請求項24】
パラセタモールの急速溶解性の形態が、塩、エステル、アミド、プロ−ドラッグまたはパラセタモールの誘導体である請求項1または7または8または17の服用配合剤。
【請求項25】
パラセタモールの急速溶解性の形態は、一種またはそれより多くの結晶化変形剤の存在下で結晶化させたパラセタモールの製剤である請求項1または7または8または17の服用配合剤。
【請求項26】
前記結晶化変形剤は、ポリマー、タンパク質またはそれらの混合物である請求項25の服用配合剤。
【請求項27】
前記結晶化変形剤はポリビニルピロリドンである請求項25の服用配合剤。
【請求項28】
前記パラセタモールの急速溶解性の形態は、顆粒の剤形である請求項1または7または8または17の服用配合剤。
【請求項29】
前記顆粒は、pH調整剤および/または水分取り込み剤を含む請求項28の服用配合剤。
【請求項30】
極上の顆粒状パラセタモールおよび/またはpH調整剤および/または水分取り込み剤を含む請求項28の服用配合剤。
【請求項31】
前記顆粒がさらに崩壊剤を含む請求項28から30のいずれか一項の服用配合剤。
【請求項32】
前記崩壊剤がクロスポビドン、クロスカルメロース、ナトリウムスターチグリコレート、スターチおよび/またはスターチ誘導体である請求項31の服用配合剤。
【請求項33】
前記水分取り込み剤が、架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムスターチグリコレート、ポビドン、デンプン、スターチ誘導体、低置換型ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ミクロクリスタリンセルロース、粉末セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ドクセート(docusate)ナトリウム、グアーガム、マグネシウムアルミニウムシリケート、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、ケイ化ミクロクリスタリンセルロース、酸化マグネシウム、トラガカント、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、ポリエチレングリコール、アミノ酸、シクロデキストリン、尿素および/またはポリビニルピロリドンから選択される請求項1の服用配合剤。
【請求項34】
前記水分取り込み剤が、服用配合剤の約2重量%から約80重量%の量で含まれる請求項1または33の服用配合剤。
【請求項35】
前記水分取り込み剤が、服用配合剤の約2重量%から約60重量%の量で含まれる請求項34の服用配合剤。
【請求項36】
前記服用配合剤が、服用配合剤の重量あたり、約50-65%のパラセタモール、21-26%のpH調整剤、および約12-18%の水分取り込み剤を含む請求項1の服用配合剤。
【請求項37】
服用配合剤の重量あたり、約50-65%のパラセタモール、21-26%の重炭酸ナトリウム、7-9%のクロスポビドンおよび約5-7%のスターチ誘導体を含む請求項1の服用配合剤。
【請求項38】
一種またはそれより多くの別の薬学的に活性な薬剤をさらに含む、請求項1または7または8または17または36または37の服用配合剤。
【請求項39】
パラセタモールの投与量が1000mgであり、また服用配合剤が500mgのパラセタモールと、約0.3 mLから約55 mLの0.1 N塩酸を中和するのに充分な量および/または約0.03 mmolから約5.5 mmolの酸を中和するのに充分な量のpH調整剤とを含む、請求項1の服用配合剤。
【請求項40】
服用配合剤が、500mgのパラセタモールと、約25mgから450mgの重炭酸ナトリウムとを含む請求項1の服用配合剤。
【請求項41】
請求項1または7または8または17または36または37に定義されたとおりの服用配合剤を含む投与形態。
【請求項42】
前記投与形態が、皮膜を施した錠剤、皮膜のない錠剤、カプセル剤、または粉末剤である請求項41の投与形態。
【請求項43】
一種またはそれより多くの薬学的に活性な薬剤をさらに含む請求項41または42の投与形態。
【請求項44】
薬学的に活性な別の薬剤の一つは、USPの溶解装置2において37℃で30 rpmのパドル回転を行った場合、900mLの0.05 N塩酸を用いると180秒以内で30%以下の溶解度を持つパラセタモールである請求項43の服用形態。
【請求項45】
被検者における痛みおよび/または熱および/または不快感といった症状を治療するための方法において、その方法が、請求項1の服用配合剤を前記被検者に投与する行程を含むことを特徴とする治療方法。
【請求項46】
前記被検者がヒトである請求項45の方法。
【請求項47】
痛みおよび/または熱および/または不快感といった症状を緩和するための医薬品の製造において、パラセタモールとpH調整剤の急速溶出形態の利用。

【公表番号】特表2008−500287(P2008−500287A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513610(P2007−513610)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000758
【国際公開番号】WO2005/115344
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(506362244)イメイジノット ピーティーワイ エルティーディー (4)
【Fターム(参考)】