説明

経口摂取形状物ならびに代謝異常の予防および処置におけるカチオン性ヒドロキシエチルセルロースの使用

カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを含む経口摂取形状物、および代謝異常の予防および処置におけるその使用方法を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦委託研究に関する記載
本発明は、米国農務省との共同研究開発契約(番号58−3K95−5−1072)のもとになされたものである。
【0002】
分野
本発明は、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを含む経口摂取形状物、ならびに代謝異常の予防および処置におけるその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
肥満は、多くの代謝異常の1つであり、紹介するまでもなくよく知られたリスクを有する。実際、代謝異常は現代の殆どの顕著な健康リスクの幾つかを代表する。例えば、別の代謝異常、II型糖尿病(インスリン代謝障害およびインスリン抵抗性の両者で特徴付けられる)は、過去30年に亘って驚くべき率で増大し、この傾向が変わらなければ2000年に生まれた人の33%超が一生のうちにII型糖尿病を発現すると予測されている。
【0004】
現在、米国心臓協会は、米国成人の約20〜25%が「メタボリックシンドローム」を有すると見積もっている。代謝異常は:腹部肥満、アテローム性脂質異常症、高血圧、グルコース不耐性を伴うかまたは伴わないインスリン抵抗性、炎症性状態および血栓準備状態によって特徴付けられる(Grundyら,“Definition Of Metabolic Syndrome” Circulation,2004,V109,第433−438頁,文書番号 DOI:10.1161/01.CIR.0000111245.75752.C6)。当該分野において、上記症状の3つ以上を有する人々はメタボリックシンドロームを有すると考えられている。メタボリックシンドロームを有する人々では、循環器疾患(例えば、冠動脈性心疾患または動脈壁でのプラーク蓄積に関する他の疾患(例えば脳梗塞および末梢血管の疾患)および/またはII型糖尿病の増大したリスクがある。
【0005】
第WO2008/051794号は、メタボリックシンドロームの危険性、更に、個体において、メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する症状もしくは状態を予防または処置する方法において有用な、特定の水溶性セルロース誘導体を概説する。第WO2008/051794号は、多くのセルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロースが挙げられる)を記載する。
【0006】
しかし、4級アンモニウムヒドロキシエチルセルロース(カチオン性ヒドロキシエチルセルロース(「c−HEC」としても知られる)は、第WO2008/051794号には記載されていない。更に、c−HEC(ヒドロキシエチルセルロースと異なり)は、United States Food and Drug Administration’s CFR,Title 21で取り扱われていない。c−HECは、認可された添加剤についてのEuropean Union’s E number systemでも取り扱われていない。よって、当業者は、c−HECの使用が、第WO2008/051794号におけるヒドロキシエチルセルロースの開示によって示唆されたものとは考えない。間違いなく、実際、c−HECは現在、食物セルロース誘導体または他の食物繊維と考えることはできない。
【0007】
当該分野は、代謝異常を予防または処置する必要性を継続して理解している。鍵となるバイオマーカー(血清コレステロール、インスリン、グルコース、レプチンおよびアディポネクチンのような)、ならびに特徴(体重および臓器重量のような)を調べることにより、本発明は、代謝異常を予防または処置するためのc−HECの有効性を示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
詳細な説明
一態様において、本発明は、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを含む経口摂取形状物を提供する。「経口摂取形状物」(oral ingestion form)は、個体に固体、ゲルまたは液体を摂取させるための任意の従来の手段を意味し、これらに限定するものではないが、薬物、食品、飲料、食品添加物、栄養補給食品または栄養補助食品が挙げられる。「摂取」は、消化として内部に取り込むことである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第WO2001/048021号は、カチオン性セルロースが医薬制御放出,例えば口腔薬物送達(頬内側の粘膜を通じた薬物投与)に有用である場合があることに言及する。しかし出願人は、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースの“摂取”(例えば経口摂取形状物での)は当業者に知られておらず、そして実際、当業者によって阻害される(例えば、グリオキサールの存在、または想定される粘膜接着特性によって)と確信する。
【0010】
背景として、セルロースは、直鎖、非分岐の多糖であって無水グルコース単糖単位(その1,4−位でβアノマー構造により結合している)からなる。ヒドロキシル基(2、3または6位での)の置換によってセルロース誘導体が得られる。ヒドロキシル置換の理論限界は3である。全ての無水グルコース単位が同一に置換されるわけではないため、無水グルコース単位当たりの置換されているヒドロキシル基の平均数を置換度とする(すなわち、全ポリマー鎖に亘っての平均として)。本明細書の目的のために、「カチオン性ヒドロキシエチルセルロース」は、式(I):
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、nは、重量平均分子量(Mw)約70,000〜3,000,000の範囲のポリマーを生成するのに十分な整数であり;
1は、各出現において独立に、Hまたは−CH2CH2O−R2であり、但し少なくとも1つのR1が−CH2CH2O−R2であり;そして
2は、各出現において独立に、H、R3+(R43またはR3+(R4)R5であり、但し少なくとも1つのR2がR3+(R43またはR3+(R4)R5であり、式中:
3は、C1-6アルキレンまたはO−C1-6アルキレンであり;
4は、各出現において独立に、C1-6アルキルであり;そして
5は、4〜5員のアルキレン、アルケニレン、ヘテロアルキレンまたはヘテロアルケニレンであって、これが結合する窒素とともにR5は飽和または不飽和の5員環または6員環を形成する。)
を有するセルロース誘導体を意味する。
【0013】
用語「アルキレン」は、ジラジカルアルキル基を意味する。特記がない限り、全ラジカルは、任意に置換された態様を包含する。「任意に置換された」とは、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ハロ、またはC1-3アルキルを意味する。従って、例えば、式Iは、具体的には、R31-6アルキレン(−CH2CH(OH)CH2−および−CH2CH(OH)−のような)を意図する。式IのR3部分は、一般的には、4級アンモニウムの残りの部分(N+(R43またはN+(R4)R5)を、セルロースエーテルのエトキシ部分(CH2CH2O−)に接続するための橋掛けまたは繋ぎと考えられる。R3の例としては、これがO−C1-6アルキレンの場合、−O−CH2−、−O−CH2CH2−、および−O−CH2−CH(CH3)−が挙げられる。
【0014】
好ましい態様において、R2はR3+(R43であり、そしてR3は−CH2CH2−または−CH2CH(OH)CH2−である。この態様において好ましくは、R4は、独立にCH3またはCH2CH3であり、そして最も好ましくは、R3は−CH2CH(OH)CH2−であり、そしてR4は全出現においてCH3である。
【0015】
4級アンモニウムカチオンは、1級、2級または3級のアミンとは異なり、その溶液のpHに左右されず、永久荷電されている。
【0016】
一態様において、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースのカチオン置換度(しばしばCSまたはカチオン置換という)は、約0.075〜約0.8の範囲であり、好ましくは約0.15〜約0.60の範囲である。約0.15〜約0.60の範囲は、ケルダール窒素量約0.8%〜約2.5%に対応する。より好ましくは、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、ケルダール窒素量1.5〜2.2%を有し、これはCS約0.3〜約0.5に対応する。
【0017】
一態様において、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、ブルックフィールドLVTで評価される溶液粘度約5cP(=mPa・s)〜約10,000cP、好ましくは約5cP〜約3,000cP(1質量%水溶液として25℃にて測定される)を有する。
【0018】
一態様において、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、ブルックフィールドLVTで評価される溶液粘度約10cP〜約50cP(1質量%水溶液として25℃にて測定される)を有する。
【0019】
別の態様において、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、ブルックフィールド溶液粘度約1250cP〜約2250cP(1質量%水溶液として25℃にて測定される)を有する。
【0020】
分子量は、従来のように、サイズ排除クロマトグラフィを用いて、好ましくは低角レーザー光散乱を用いて評価でき、そして好ましくは重量平均分子量(Mw)として評価できる。1つの好ましい態様において、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、Mw約350,000〜550,000ダルトンを有する。別の態様において、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、Mw約560,000〜約790,000ダルトンを有する。別の好ましい態様において、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、Mw約800,000〜約2,000,000ダルトンを有する。
【0021】
式Iの組成物を形成する方法は公知であり、例えば、米国特許第3,472,840号は、重合度(無水グルコース繰返し単位の数)50〜20,000、好ましくは200〜5,000の4級窒素含有セルロースエーテルを開示するが、4級窒素含有セルロースエーテルを摂取することも、メタボリックシンドローム処置におけるその使用も示唆しない。
【0022】
第WO2001/048021号は、高度にチャージされたカチオン性セルロースエーテルを開示する。これは少なくとも約3.0wt%カチオン置換基(ケルダール窒素測定に基づき)で置換されている。ケルダール窒素からCSへの変換は、HECのエチレンオキサイド(EO)置換に左右されるが、EO MS2.0において、3.0%の窒素は、カチオン置換(CS)0.79に対応する。EO MS1.0を有するHECについて、3.0%のケルダール窒素は、CS0.65に対応する。
【0023】
カチオン性HECは、商品名UCARETMにてThe Dow Chemical Companyから入手可能であり、そしてポリクオタニウム−10のCTFA(トイレ化粧品・香料工業協会)指定を有する。1.5〜2.2質量%のカチオン性窒素を含むセルロースエーテルは、The Dow Chemical CompanyのAmerchol divisionによって商標UCARETM Polymers JRにて市販されている。0.8〜1.1質量%のカチオン性窒素を含むセルロースエーテルは、The Dow Chemical CompanyのAmerchol divisionによって商標UCARETM Polymers LRにて市販されている。
【0024】
実際には、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース(c−HEC)は、ヒドロキシエチルセルロースを4級アンモニウムアルキル化剤,例えば3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドまたはグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドで処理することによって形成できる。しかし、従来の実施からの1つの変更は、c−HEC粒子を表面処理する任意のステップ、最も一般的にはグリオキサールでの架橋、を行って不所望の分散および水和の問題(ランピングを特徴とする)を除くのがよいことである。一態様において、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースはグリオキサールを実質的に含まない。
【0025】
本発明において最も有用なカチオン性ヒドロキシエチルセルロースは水溶性である。本明細書で用いる用語「水溶性」は、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースが、100グラムの蒸留水中、25℃および1気圧にて少なくとも2グラム、好ましくは少なくとも3グラム、より好ましくは少なくとも5グラムの、水中での溶解性を有することを意味する。
【0026】
一態様において、経口摂取形状物は、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを含有する薬剤または医薬である。好ましい態様において、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースのCSは0.6未満である。
【0027】
一態様において、経口摂取形状物は、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを含有する食品または飲料である。
【0028】
一態様において、経口摂取形状物は、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを含有する。栄養補給食品または栄養補助食品である。
【0029】
カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、多くの従来の方法によって投与または摂取できる。当業者は、経口摂取剤形を処方する種々の手段を容易に理解する。一態様において、経口摂取形状物は、約0.25g〜約4gのカチオン性ヒドロキシエチルセルロースを含有する。
【0030】
一態様において、本発明は、個体内の代謝異常を予防または処置する方法を提供し、該方法は、個体に有効量の水溶性カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを投与することを含む。
【0031】
「個体」は、動物、好ましくは哺乳類、より好ましくは人間を意味する。代替として、個体は、重量減少を必要とする哺乳類,例えば従来のペット(これらに限定するものではないが、犬、猫、およびげっ歯動物、または農業動物(これらに限定するものではないが、馬、牛、豚および羊が挙げられる)が挙げられる)であることができる。本発明の例は、処置に対する人間の応答を再現するように規定された幾つかの許可された動物モデルの利点を有する。代表的な食品誘導肥満(DIO)モデルは、オスC57BL/6Jマウスである。C57BL/6Jマウスは、高脂肪飼料(典型的には、脂肪に由来するカロリーの40〜60%を含有する(対照飼料は5〜10%の脂肪を含有する)での“不断給餌”がされた場合のみ肥満表現型を発現する。C57BL/6Jマウスにおける肥満は、脂肪細胞のサイズおよび脂肪細胞セルの数の両者に起因する。肥満に加えて、高脂肪飼料でC57BL/6Jマウスによって発現される典型的な疾患は、徐々に悪化するインスリン抵抗性、グルコース不耐性、穏やかから中程度の高血糖、脂質異常症、低アディポネクチン血症、レプチン耐性/高レプチン血症、および高血圧である。C57BL/6Jマウスは、胴体肥満、糖尿病の発現の漸進的な過程、更に栄養成分と遺伝子多様性との相互作用において、人間のII型糖尿病の一般的な形の進行にほぼ匹敵する。
【0032】
高脂肪給餌ハムスターモデルリポタンパク系は、リポタンパクコレステロール分布、一次胆汁酸、コレステロールエステル転送タンパク活性およびLDL受容体の規制(人間のリポタンパク系について報告されているのと極めて類似)を有する。更に、リン脂質の分類の分布は、ラットよりも人間により類似する。従って、高脂肪給餌ハムスターは、脂質異常症およびコレステロール代謝作用のモデルを支持した。高脂肪給餌ハムスターは、その生存期間に亘って確実に体重を増大させ、よって一般的には体重損失ではなく体重増加の低減を示す。
【0033】
有効量の水溶性カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、時間または深刻さにおいて、症状の発現を遅延させ、または発現する、もしくは発現した症状の深刻さを低減し、または該症状に関連する公知のバイオマーカーに影響を与えるのに必要な量を意味する。
【0034】
代謝異常の症状の例としては、肥満,例えば腹部肥満、肝脂肪変性、アテローム性脂質異常症、高血圧、グルコース不耐性を伴うかまたは伴わないインスリン抵抗性、炎症性状態、および血栓準備状態が挙げられる。本明細書で用いる「予防」は、時間または深刻さでの、症状の発現の遅延を意味し、そして「処置」または「改善」は、発現する、または発現した症状の深刻さの低減を意味する。
【0035】
影響を及ぼされる代謝異常のバイオマーカーの例としては、VLDL−C、LDL−C、HDL−C、アディポネクチン、レプチン、空腹時血漿グルコース、空腹時血漿インスリン、肝臓脂質、肝臓グリセリド、または肝臓中の遊離コレステロールエステルの発現または濃度が挙げられる。影響としては、発現の直接的な調節または発現への間接的な影響(例えば、身体組織内の状態または代謝であって遺伝子発現またはタンパクレベルの変化を招来するものに影響することによる)の両者を包含することが理解される。発現または濃度のレベルは、個体によるカチオン性ヒドロキシエチルセルロースの摂取後に、非有効物質(例えば非変性のセルロース自体)の摂取後の発現または濃度のレベルとの比較で評価できる。
【0036】
一態様において、本発明は、肥満および肥満症を予防または処置する方法を提供し、該方法は、個体に有効量の水溶性カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを投与することを含む。一態様において、個体が重量を損失する。「重量損失」は、好ましくは低減された脂肪組織サイズまたは低減された脂肪細胞のサイズおよび数による個体の体重の低減と定義する。一態様において、個体の重量増加が低減される。「重量増加の低減」は、好ましくは、カロリー過剰摂取をしながら個体の体重が維持されることを意味する。
【0037】
別の態様において、本発明は、アテローム性脂質異常症を予防または処置する方法を提供する。これは上昇したトリグリセリドおよび低濃度のHDLコレステロールによってルーチンのリポタンパク分析で明らかにされ、個体に有効量の水溶性カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを投与することを含む。
【0038】
脂肪細胞は、種々の生物学的に活性な分子を生成し、アディポサイトカインまたはアディポカイン(プラスミノゲン活性化因子阻害剤−1(PAI−1)、ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体アルファ(PPARα)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、レジスチン、レプチン、およびアディポネクチンが挙げられる)として集合的に公知である。本発明の別の態様において、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、アディポネクチンの発現または濃度のレベルに影響を及ぼす方法、好ましくはアディポネクチンの発現または濃度を上げる方法における使用を見出し、該方法は、個体に有効量の水溶性カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを投与することを含む。アディポネクチンは、30kDaタンパクであり、脂肪組織において排他的に発現し、そして、げっ歯動物および人間の両者において最も豊富な循環性アディポサイトカインである。アディポネクチンは、肥満、II型糖尿病、および冠動脈性心疾患を低減することが見出されている。肥満において、アディポネクチンレベルは低下し、そしてレプチンレベルは上昇する。
【0039】
本発明の別の態様において、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、レプチンの発現または濃度のレベルに影響を及ぼす方法、好ましくはレプチンの発現または濃度を低下させる方法、における使用を見出し、該方法は、個体に有効量の水溶性カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを投与することを含む。レプチンはまた、脂肪組織中で生成し、そして体重の調節において鍵となる役割を果たすと考えられる。人間において、レプチンレベルは、男性および女性の両者で肥満の増大で高まることが示されている。レプチンに対する応答の損失との組み合わせでのアディポネクチンの低下は、異所性の脂質蓄積を招来する。これが筋肉内で生じる場合、インスリン不感受性を招来する。
【0040】
本発明の別の態様において、グルコース不耐性を伴うかまたは伴わないインスリン抵抗性を予防または処置の方法であって、個体に有効量の水溶性カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを投与することを含む方法を提供する。インスリン抵抗性は、脂肪、筋肉および肝臓の細胞から通常のインスリン応答を生成するために通常量のインスリンが十分でない状態である。
【0041】
脂肪細胞におけるインスリン抵抗性は、貯蔵されたトリグリセリドの加水分解をもたらし、これは血漿中の遊離脂肪酸を上昇させる。筋肉におけるインスリン抵抗性はグルコースの摂取を低減し、一方、肝臓におけるインスリン抵抗性はグルコースの貯蔵を低減し、両者は血中グルコースを上昇させる作用を果たす。インスリン抵抗性に起因するインスリンおよびグルコースの高い血漿レベルは、しばしば、メタボリックシンドロームおよびII型糖尿病を招来する。インスリン抵抗性の個体において、通常レベルのインスリンは筋肉および脂肪細胞によるグルコース吸収のシグナルを誘発しない。これを補償するために、インスリン抵抗性の個体における膵臓は、大幅により多いインスリンを放出して細胞のグルコース吸収を適切に誘発する。しばしばこれは食後数時間、血糖の急激な低下および低血糖反応を招来する可能性がある。
【0042】
インスリン抵抗性は、通常、体脂肪量の増大で上昇し、更に、広範囲のインスリン感受性が任意の既知レベルの体脂肪で存在する。殆どの肥満の人々は、食後高インスリン血症および比較的低いインスリン感受性を有するが、インスリン感受性の変形は肥満の人々にも存在する。高い血漿非エステル化脂肪酸(NEFA)レベルは、筋肉および肝臓に過剰の脂質をもたらし、これはインスリン抵抗性を上昇させる。
【0043】
インスリン抵抗性の測定としては、空腹状態では、Homeostatic Model Assessment(HOMA)、対数HOMA(log[HOMA])、および量的インスリン感受性検査指数(QUICKI)が挙げられ、これはインスリン抵抗性/感受性の指数として、空腹時のグルコースおよびインスリンのレベルに基づいて算出できる。これらの3つの指数は、空腹時のインスリンおよびグルコースのレベルを用いてインスリン抵抗性を算出し、そして各々はクランプ試験の結果と合理的に相関する。一態様において、個体のQUICKI指数は、約20%超、約25%超、または好ましくは約35%超改善される。
【0044】
別の態様において、本発明は、炎症性状態を予防または処置するための方法を提供し、該方法は、個体に有効量の水溶性カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを投与することを含む。炎症性状態は、C−反応性タンパク(CRP)の増加によって臨床的に理解される。
【0045】
別の態様において、本発明は、血栓準備状態を予防または処置する方法を提供し、該方法は、個体に有効量の水溶性カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを投与することを含む。血栓準備状態は、血漿プラスミノゲン活性化阻害剤(PAI)−Iおよびフィブリノゲンの増大を特徴とする。
【0046】
別の態様において、本発明は、メタボリックシンドロームを予防または処置する方法を提供し、該方法は、個体に有効量の水溶性カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを投与することを含む。本明細書で用いる用語「メタボリックシンドローム」は、腹部肥満、アテローム性脂質異常症、高血圧、グルコース不耐性を伴うかまたは伴わないインスリン抵抗性、炎症性状態および血栓準備状態からなる群から選択される少なくとも3つの症状、より好ましくは4つ以上の症状を特徴とする。メタボリックシンドロームに関連する症状または状態としては、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、グルコース代謝障害、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、糖尿病性神経障害、勃起不全、月経前症候群、血管再狭窄、および/または潰瘍性大腸炎、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、皮膚および/または結合組織の障害、足潰瘍、代謝アシドーシス、関節炎、骨粗しょう症ならびにグルコース耐性異常、ならびに循環器疾患、またはII型糖尿病であってメタボリックシンドロームに関連する範囲のものが挙げられる。
【0047】
カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを投与する望ましい時間は、摂取されるカチオン性ヒドロキシエチルセルロースの量、個体の一般的な健康状態、個体の活性レベルおよび関連の因子に応じて変動しうる。メタボリックシンドロームまたはメタボリックシンドロームに関連する症状もしくは状態は典型的には、高脂肪量を伴う偏った栄養によって誘導されるため、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、高脂肪量を有する栄養物を摂取する間を通じて投与または摂取することが推奨される。一般的には、少なくとも1〜12週、好ましくは3〜8週、または症状が軽減されるまでの投与が推奨される。
【0048】
本明細書で開示する投与の継続期間および1日当たりの用量は、一般的な範囲であって、種々の要素(例えば具体的なセルロース誘導体、個体の体重、年齢および健康状態等)に応じて変動させてもよいことを理解すべきである。好ましくは、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、単一の用量または量ではなく1日を通じて、十分な量で投与または摂取される。投与するカチオン性ヒドロキシエチルセルロースの量は、一般的には、1日当たり、哺乳類の体重1ポンド当たりで、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース10〜300ミリグラムの範囲である。人間については、約2g〜約30g、好ましくは約3g〜約15gのカチオン性ヒドロキシエチルセルロースを毎日摂取する。
【0049】
別の態様において、本発明は、代謝障害の処置のための薬剤の製造におけるカチオン性ヒドロキシエチルセルロースの使用を提供する。一態様において、腹部肥満、アテローム性脂質異常症、高血圧、グルコース不耐性を伴うかまたは伴わないインスリン抵抗性、炎症性状態および血栓準備状態からなる群から選択される少なくとも3つの症状が存在する。一態様において、VLDL、LDL、HDL、アディポネクチン、レプチン、空腹時血漿グルコース、空腹時血漿インスリン、肝臓脂質、肝臓グリセリド、または肝臓中の遊離コレステロールの発現または濃度に影響を及ぼす。一態様において、個体は重量損失を受ける。一態様において、個体は体重増加の低減を受ける。一態様において、個体はQUICKI指数の約20%超、約25%超、または好ましくは約35%超の改善を受ける。
【0050】

以下の例は例示のためのみであって本発明の範囲の限定を意図しない。
【0051】
洗浄手順:
市販で入手可能なカチオン性ヒドロキシエチルセルロース(c−HEC)は、従来のように、グリオキサールで表面処理して不所望の分散および水和の問題を防止する。このグリオキサールは摂取前に除去しなければならない。以下の例は、グリオキサールを除去するために以下のプロトコルに実質的に従って洗浄されたc−HECを用いる。
【0052】
12リットルの4口丸底フラスコには撹拌翼およびモーター、窒素入口、均圧添加漏斗、および還流コンデンサー(ミネラルオイルバブラーに接続されている)が取り付けられる。フラスコに1000gのc−HEC、6065gのイソプロピルアルコール、および935gの蒸留水を入れる。混合物を1時間、窒素の安定流下で撹拌して、系中に同伴されているいずれの酸素も除去する。窒素下で撹拌を継続しながら、100.0gの20%水性水酸化ナトリウム溶液を5分間に亘って滴下添加し、続いて室温で1時間、窒素下で撹拌する。スラリーは、42.5gの氷酢酸を添加することによって中和し、15分間の撹拌後、ポリマーを減圧ろ過によって収集する。ポリマーを大型Buchner漏斗中で:4回、10リットルの4:1アセトン/水(体積基準)および、2回、10リットルの純アセトンで、洗浄する。ポリマーを真空中50℃で1晩乾燥させ、938gのオフホワイトの粉末を得る。ポリマーは、揮発性成分量約4.9g、灰分(酢酸ナトリウムとして)約0.78%、およびグリオキサール量約1.9ppmを有する。
【0053】
例1
開始時体重約130グラムの成熟したオスのGolden Syrianハムスター((LVG strain,Charles River,Wilmington,MA)で、以下に特定する飼料の各々で動物実験を行なった。動物実験は、Animal Care and Use Committee,Western Regional Research Center,USDA,Albany,CAによって承認された。
【0054】
ハムスターを28の群に分けた。各群は約8匹のハムスターを有する。これらの群は、8連続週の期間、比較的高脂肪の飼料を給餌され、用量1%、2%、4%、または8%のカチオン性ヒドロキシエチルセルロース(c−HEC HV)を受けた。カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、比較的高粘度、およびCS約0.3〜約0.5、または、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、β−グルカン、ペクチン、サイリウム、キシラン、または微結晶セルロース(MCC)から選択される食物繊維を有する。1000gの飼料は、20%の脂肪(140gのバター脂肪、50gのコーン油、10gの魚油、および1gのコレステロール)、20%のタンパク(200gのカゼイン)、468gのコーンスターチ、3gのDL−メチオニン、3gの酒石酸水素コリン、35gのミネラル混合物、10gのビタミン混合物、および10g(1%)、20g(2%)、40g(4%)、または80g(8%)のいずれかのc−HEC HV、HPMC、β−グルカン、ペクチン、サイリウム、キシラン、またはMCCを含有していた。繊維量は、適切量のMCCの添加によって8質量%一定に維持した。MCCは、一般的にはこれらの類の試験における対照群と考える。
【0055】
各ハムスター体重は毎週記録し、初期体重測定からの差として体重増加の量を算出した。データの一部を、既定の週でのMCC対照からの差のパーセントとして表1に纏める。
【0056】
【表1】

【0057】
従来の食物繊維を給餌された成熟したハムスターは飼料で体重が増加した。言い換えると、β−グルカン、ペクチン、サイリウム、キシラン、またはMCCについて観察された低減は、統計的に有意ではない(p<0.05)ものであった。驚くべきことに、4%および8%のc−HECを含有する飼料を給餌されたハムスターにおける体重の分析は、体重の統計的に有意な低減を示した。実験の最後の3週において、2%c−HEC飼料ハムスターでさえも、体重増加は、最も良い8%の従来飼料を給餌されたハムスターよりも少なかった。更に、体重増加の低減は、食物摂取の減少に起因するものではなかった。同様の結果が算出されたエネルギー摂取について観測された。
【0058】
例2
開始時体重約70グラムの成熟したオスのGolden Syrianハムスター(LVG strain,Charles River,Wilmington,MA)で動物実験を行なった。動物実験は、Animal Care and Use Committee,Western Regional Research Center,USDA,Albany,CAによって承認された。ハムスターを4の群に分けた。各群は約10匹のハムスターを有する。これらの群は、4連続週の期間、比較的高脂肪の飼料を給餌され、用量5%の中粘度c−HEC(「c−HEC LV」−カチオン性ヒドロキシエチルセルロース,約0.3〜約0.5有する)、5%高粘度c−HEC(例1による「c−HEC HV」)、5%K250M HMPCまたは5%MCCを受けた。1000gの飼料は、20%の脂肪(140gのバター脂肪、50gのコーン油、10gの魚油、および1gのコレステロール)、20%のタンパク(200gのカゼイン)、498gのコーンスターチ、3gのDL−メチオニン、3gの酒石酸水素コリン、35gのミネラル混合物、10gのビタミン混合物、および50gのc−HEC LV、c−HEC HV、HPMC、またはMCCのいずれかを含有していた。MCC対照からの差パーセントとして結果を表2に纏める。
【0059】
【表2】

【0060】
体重増加の低減は、全てのハムスターが体重増加した(これらが熟年に到達していないため)が、MCCハムスターが最も重く成長した事実を意味する。体重に加え、脂肪組織の重量を評価して、総重量増加が腹部肥満からきたものであるかを評価した。顕著な低減(p<0.05)が、MMC飼料対照に対する平均後腹膜脂肪重量の比較で、c−HEC LVについて観測された。MCC飼料対照との比較において、腸間膜脂肪重量と腎臓との両者で顕著な差は観測されなかった。c−HEC LV、c−HEC−HV、およびHPMCの飼料は、MCC飼料対照との比較において、平均肝臓重量における顕著な低減(p<0.05)を示した。
【0061】
結果は、c−HEC HV、c−HEC LV、およびHPMCのセルロース誘導体が、個体におけるアテローム性脂質異常症の予防または処置に有用であることを示し、MCC飼料対照との比較において、平均VLDL−C、LDL−C、およびHDL−Cのレベルの顕著な低減(p<0.05)を示す。
【0062】
アディポネクチンは、仲介する脂質およびグルコースのホメオスタシスに含まれる。これはメタボリックシンドロームの他のリスク因子と相関する。結果は、c−HEC HV、c−HEC−LV、およびHPMCについて、MCC対照飼料との比較において、血漿アディポネクチンレベルの顕著な増大(p<0.05)を示した。これらの結果は、おそらくアディポサイトカインの発現の制御を通じて、これらがインスリン抵抗性を低減する能力を有することができ、おそらくインスリン感受性を元の状態に戻す能力を有することができることを示唆する。
【0063】
血漿レプチンレベルの顕著な低減(p<0.05)は、c−HEC HVおよびc−HEC LVについて、MCC飼料対照との比較において、観測された。レプチンレベルと体重とには、良好な相関、よって肥満との強い繋がりおよび相関が存在すると考えられる。空腹時血漿グルコースレベルの顕著な低減(p<0.05)は、c−HEC HVおよびc−HEC LVについて観測された。加えて、空腹時血漿インスリンレベルの顕著な低減(p<0.05)は、c−HEC HVについて観測され、MCC対照飼料と比べて67%の低減を示した。纏めると、種々のセルロース追加飼料についての空腹時血漿グルコースおよびインスリンレベルは、インスリン抵抗性QUICKI指数によって更に評価された。これらの驚くべき結果は、c−HEC HVおよびc−HEC LVがII型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、および循環器疾患の発症を予防または低減する助けとなりうることの証拠を与える。
【0064】
c−HEC HV、c−HEC LV、およびHPMCを追加した飼料は、対照飼料MCCと比べて、平均総脂質の統計的に有意な低減(p<0.05)を示した。c−HEC LVは、血漿トリグリセリドレベルの約28%の低減を示した。肝臓遊離コレステロールについて、c−HEC HV、c−HEC LV、およびHPMCは、平均遊離コレステロールにおいて、対照飼料MCCからの統計的に有意な低減(p<0.05)を示した。同様に、全ての飼料は、平均総コレステロールにおいて、対照飼料MCCからの統計的に有意な低減(p<0.05)を示した。
【0065】
驚くべきことに、胆汁酸、ステロールおよびトリグリセリドは、cHEC追加飼料で何ら統計的に有意な増大を示さなかった。これらの結果は驚くべきものである。HPMCは、胆汁酸の分泌、更にハムスターの排泄物中のコレステロール由来の代謝物を促進するからである。興味深いことに、モノアシルグリセリドは、cHEC LVまたはcHEC HVの存在で顕著に増大(p<0.05)することが示された。これらの予期しない結果は、cHECが、HPMC等の他の繊維とは異なる機構または作用様式を有する可能性があることを示唆する。
【0066】
プロトコル
全てのハムスターの体重を試験の開始時および終了時に記録した。ハムスターは、犠牲にする前12時間絶食させて、実験中の全動物からの排泄物を収集し、凍結乾燥し、そして脂質分析用に保存した。血漿は、EDTAカリウム中に収集した血管の血液から準備した。肝臓を凍結させて−80℃で保存した。
【0067】
異常値分析:異常値分析の前に、各バイオマーカーの相関の多変量分析を行った。異常値は、マハラノビス距離に基づいて決定した。ELISAまたは活性アッセイによって測定される血漿タンパクバイオマーカーの殆どについて、このプロセスは、生物学的変動、更に相違(サンプル収集中に生じたもの)に起因する異常値/変動性を検出できた。測定変動は、各分析におけるサンプルの再現のCV%によって評価した。血漿脂質バイオマーカーおよび肝臓脂質バイオマーカーの異常値分析は、同様の様式で分析したが、他のバイオマーカーとは別に行った。サンプルの操作および測定が異なっていたためである。異常値は、ANOVA分析および平均の試験から省略した。
【0068】
コレステロールリポタンパクのこれらの粒子サイズに基づく同時評価は、サイズ排除クロマトグラフィによって行った。Agilent 1100 HPLCシステムは、ポストカラム誘導体化反応器とともに用い、これは温度制御された水ジャケット(Aura Industrials,Staten,NY)中の混合コイル(1615−50 Bodman,Aston,PA)からなり、そしてHewlett−Packard(Agilent,Palo Alto,CA)HPLCポンプ79851−Aを用いてコレステロール反応剤(Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)を、流量0.2mL/分で送達した。ウシコレステロールリポタンパク標準(Sigma Aldrich)を用い、標準ピーク面積を用いてUV検出器を較正した。約15μLの血漿をAgilent 1100オートサンプラーを介してSuperose 6HR HPLCカラム(Pharmacia LKB Biotechnology,Piscataway,NJ)に注入した。リポタンパクは、0.15MのNaCl、pH7.0、0.02%のアジ化ナトリウムを含有するバッファーにて流量0.5mL/分で流出した。
【0069】
犠牲にした後リポタンパクレベルを測定した。データは、JMP統計ソフトウエアを用いて分析した。各群内で、問題の種のレベルはJMPでOne Way Analysis of Variance(ANOVA)を用いて分析し、平均はTukey−Kramer HSD(Honestly Significant Difference)試験を用いて試験した。
【0070】
血漿サンプルは、アディポネクチンについて、二重抗体サンドイッチ酵素イムノアッセイ法に基づいてアッセイした。サンプルは、アッセイ開始前に、Adiponectin ELISA Kit(B−Bridge International,Inc.Mountain View,CA)による反応剤バッファーで希釈した。全反応剤を再構成した後、100μLの連続希釈されたアディポネクチン標準および希釈した血漿サンプルを適切数の抗体コートされたウエルに添加した。プレートを22〜28℃で60分間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを3回、洗浄バッファーで洗浄し、そして100μLのビオチニル化二次抗体アディポネクチンポリクローナル抗体を各ウエルに添加し、そして22〜28℃で60分間インキュベートした。洗浄バッファーで3回洗浄した後、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)およびストレプトアビジンのコンジュゲートを各ウエルに添加して、22〜28℃で60分間インキュベートした。洗浄後、酵素用の発色基質を全ウエルに添加してインキュベートした。色の発現は停止溶液の添加によって停止させ、そして各ウエルの吸収を450nmにてSynergyTM HT Multi−Detection Microplate Readerで測定した。
【0071】
血漿サンプルは、Assay Design Leptin ELISAキット(Assay Designs,Inc.,Ann Arbor,MI)を用いてレプチンについてアッセイした。全反応剤を与えられたプロトコルに従って再構成した。100μLの連続希釈したレプチン標準および血漿サンプルを、適切数の抗体コートされたウエルに添加した。プレートを密閉し、簡単に混合した後、37℃で1時間インキュベートした。7回洗浄した後、100μLの準備した標識抗体溶液を各ウエルに添加して37℃で30分間インキュベートした。9回の洗浄後、100μLのTMB溶液を各ウエルに添加し、プレートを25℃で30分間暗所でインキュベートした。100μLの停止溶液を各ウエルに添加することによって反応を停止させた。各ウエルの吸収を450nmにてSynergyTM HT Multi− Detection Microplate Readerで測定した。
【0072】
血漿インスリンレベルは、Mercodia Ultrasensitive Rat Insulin ELISAで測定した。これは製造元のプロトコルに従って実施した。50μLの連続希釈したキャリブレーターおよび血漿サンプルを適切数の抗体コートされたウエルに添加し、インキュベートし、軌道シェーカー上、高速(400rpm)で、室温(25℃)にて2時間振とうした。6回の洗浄後、250μLのTMB Chromagen Solutionを各ウエルに添加し、インキュベートし、高速(400rpm)で、軌道シェーカー上、室温(25℃)にて30分間振とうした。50μLの停止溶液を各ウエルに添加することによって停止させた。各ウエルの吸収を450nmにてSynergyTM HT Multi−Detection Microplate Readerで測定した。
【0073】
ハムスター血漿サンプル中のグルコースの濃度(mg/dL)を、Roche Diagnostics/Hitachi 914 Clinical AnalyzerおよびRoche Diagnostics Glucose/HK Assayキットを用い、製造元の取扱説明書に従って評価した。このアッセイについての測定範囲は2〜750mg/dL(検出限界2mg/dL)であった。Gluco−quant Glucose/HKアッセイは、2つの反応剤溶液を使用し:R1は、100mmol/L、pH7.8のTRISバッファー、4mmol/L Mg+2、≧1.7mmol/L ATP、≧1.0mmol/L NADP、および防腐剤であり;R2は、30mmol/L、pH7.0のHEPESバッファー、4mmol/LのMg+、≧8.3U/mLのヘキソキナーゼ(酵母)、≧15U/mLのグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(E.coli)、および防腐剤である。較正用に、C.F.A.A.(Calibrator for Automated Systems)キャリブレーターを用いた。アッセイ評価(質評価)用に、Precinorm U PlusおよびPrecipath U Plusの対照サンプルを分析した。血漿サンプルを解凍し、サンプルカップ中に充填し、上記のようにして臨床分析器アッセイについて分析した。
【0074】
QUICKI指数は、空腹時の血漿グルコース(mmol/L)および血漿インスリン(mU/L)の濃度から以下のように算出した:
QUICKI−1/(log[グルコース]+log[インスリン])
【0075】
排泄物サンプルからの胆汁酸、ステロール、モノ−,ジ−,およびトリ−グリセリドの分析.凍結乾燥した粉砕排泄物サンプル(0.15g±0.05g)を計量し、3.5gの砂とDionex ASE抽出セル中で混合した。100μLアリコートの内部標準スパイク溶液(500μg/mL、THF中)を各サンプルに添加した(50μgIS)。セルをDionex Accelerated Solvent Extraction(ASE)システム中に入れ、抽出を60/40ヘキサン/2−プロパノール(2%酢酸とともに)で60℃および2175psi(静止10分)で実施した。抽出物(20mL)を、前計量したバイアル中に収集して振とうし、コレステロールおよびトリグリセリドの評価(以下参照)のために2mLを別のバイアルに移した。抽出物の残りの18mLを窒素流下で蒸発乾燥させた(65℃、45分、8psi)。8mLのアセトニトリルをバイアルに添加し、窒素流下(45℃、45分、10psi)で再び蒸発乾燥させて恒量とした。残渣を計量して総脂質%を評価した。残渣を0.9mLの2/6テトラヒドロフラン/[50/50移動相A/B]中で再構成し、そして溶液を10mm、0.2μmのPTFEシリンジフィルターで2mLのHPLCオートサンプラーバイアル中に濾過した。サンプルは、HPLCによって以下に概説する条件を用いて分析した:
装置:Agilent 1200RR HPLCシステム(Chemstation Rev B.02.01−SR1(LC1200RR,1897 Buildingを有する)
カラム:Waters Acquity BEH C18カラム、2.1x100mm,1.7μm;
PN:186002352
Chemstation収集:Lipids Sterols BA 4.M;
方法:処理:Lipids Sterols BA IS_50_12−12−07 (較正日)
カラム温度:50℃
流量:0.250mL/分
注入体積:2μL(フラッシュポートにてニードルウォッシュで1s)
移動相A:53/23/24 MeOH/CAN/H2O(30mMの酢酸アンモニウム、加えて24mL毎Lの酢酸を有する)
移動相B:2−プロパノール(30mM酢酸アンモニウムを有する)
グラジエント:
時間(分) B%
0.01 4
6.0 36
8.0 48
17.0 51
18.0 73
31.0 85
34.0 96
35.0 4
検出:ESA Biosciences,Corona Plus Charged Aerosol Detector(CAD)
【0076】
例3
肥満のC57BL/6J(B6)オスのマウス(開始齢約18週)を、Jackson Laboratories(Seattle,WA)から得た。この動物実験はJackson Labによって、USDA Animal Welfare Act(9 CFR,Parts 1,2,および3)において概説される規制、およびThe Guide for Care and Use of Laboratory Animals(ILAR刊行物,1996,National Academy Press)において規定される条件に則って行った。
【0077】
マウスをランダムに10動物の群に分けた。マウスに配合飼料D 12492(高脂肪飼料、60kcal%脂肪)(Research Diets Inc.(New Brunswick, NJ)より提供される)を給餌し、METHOCEL K250M ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)またはc−HEC HVのいずれかを含有する種々の用量とブレンドし、表3中に示す、高脂肪飼料D12492と比べたときの体重低減パーセントを得た。
【0078】
【表3】

【0079】
これらのマウスの体重の分析は、c−HEC−3%(表にはない)、c−HEC−4%、およびHPMC−8%を含む飼料を給餌されたマウスにおいて、高脂肪飼料対照と比べて統計的に有意なより低い体重を示した。優位な体重損失を示すのに必要なc−HECのより低い濃度は、c−HECが驚くべきことに重量損失に対してより有効であることを示唆した。重量損失は食物摂取の減少に起因するものではなかった。c−HECまたはHPMCを追加した飼料におけるマウスにおける食物摂取は顕著に変化しなかったからである。
【0080】
例4
動物実験は、Perry Scientific,Inc.(PSI;San Diego CA)によって行い、USDA Animal Welfare Act(9 CFR,Parts 1,2,および3)において概説される規制、およびThe Guide for Care and Use of Laboratory Animals(ILAR刊行物,1996,National Academy Press)において規定される条件に則って行った。プロトコルは、実験開始前にPSI’s Institutional Animal Care and Use Committeeによって認可された。Perry Scientific,Inc.はAAALAC公認施設である。実験は、典型的なマウスDIOモデルで行った。肥満のC57BL/6J(B6) オスのマウス(開始齢約18週)を、Jackson Laboratories(Seattle,WA)から得た。
【0081】
マウスを体重でランダムに各10動物の9群に分けた。これらの群には比較的高脂肪の飼料(PROLAB RMH 2500 げっ歯類飼料,60kcal%脂肪にて)を、4連続週の間給餌し、質量基準で0.5%,1%,2%,または4%の用量の高粘度c−HEC(例1において記載する「c−HEC HV」)、1%,2%,4%または8%のHPMC(METHOCEL K250M HPMC,The Dow Chemical Companyから入手可能)、またはc−HECもしくは食物繊維を有さない対照、が摂取された。
【0082】
結果の幾つかを表4中に高脂肪対照からの差のパーセントとして纏める。
【0083】
【表4】

【0084】
これらのマウスにおける体重の分析は、cHEC−HV−4%、HPMC−4%、およびHPMC−8%を含む飼料を給餌されたマウスにおいて、高脂肪飼料対照と比べて統計的に顕著なより低い体重を示した。cHEC−HV−4%給餌飼料での体重損失は、HPMC−8%給餌飼料での体重損失と同様であり、cHECがより有効であることを示唆した。cHEC−4%,HPMC−4%,およびHPMC−8%給餌飼料での体重増加の低減は、食物摂取の減少に起因するものではなかった。cHECまたはHPMCを追加した飼料におけるマウスにおける食物摂取は顕著に変化しなかったからである。同様の結果は、計算でのエネルギー摂取についても観測された。
【0085】
高脂肪飼料対照に対する平均腸間膜脂肪重量と比べて顕著な低減(p<0.05)が、cHEC−HV−4%,HPMC−4%,およびHPMC−8%についてそれぞれ55.4%,32.4%,および44.4%で観測された。これらの結果は、全体体重の変化と良好に相関した。飼料誘導肥満(DIO)モデルのオスC57BL/6Jマウスにおいて、肥満は、脂肪細胞肥大(脂肪細胞サイズの増大)および過形成(脂肪細胞セルの数の増大)の両者に起因し、もたらされた脂肪は選択的に腸間膜に蓄積される。しかし、ハムスターにおいては代謝が異なり、脂肪は後腹膜脂肪組織中に蓄積される。アディポネクチンレベルは増大を示さなかったが、これは他のDIOマウス実験で先に観測されたC57BL/6J(B6)マウスの予測された例外である。
【0086】
レプチンレベルの顕著な低減(p<0.05)は、cHEC 4%, HPMC 4%,およびHPMC 8%について観測された。これらの結果は、体重および腸間膜脂肪の脂肪の低減パーセントと良好に相関する。
【0087】
驚くべきことに、顕著な低減(p<0.05)は、68.3%のcHEC−4%について、高脂肪対照飼料と比べたときの平均血漿インスリンレベルにおいて観測されたのみであった。高脂肪飼料対照マウスと比べたときの、空腹時グルコースレベルの顕著な低減(p<0.05)は、cHEC−4%,HPMC−4%,およびHPMC−8%についてそれぞれ37.6,22.0,および26.8%で観測され、高血糖性であった。インスリン抵抗性に対するセルロース追加飼料の効果を更に調べるために、QUICKI指数を評価した。驚くべきことに、高脂肪飼料対照と比べたときに、顕著な差(p<0.05)は、cHEC−4%について42.7%で観測されたのみであった。これらの結果はハムスター実験(例1)と同様であった。これまで、cHECは、調査され、空腹時血漿グルコースおよび空腹時血漿インスリンの両者において顕著な低減を示す唯一の繊維である。cHECでのこのデータは、インスリン抵抗性およびII型糖尿病の予防または処置のための飼料または治療剤の試験について、このセルロース繊維がインスリン抵抗性を改善する機構への更なる支持を与える。
【0088】
プロトコル
動物試験を4週間続け、実験開始前、その後週1回、および終了時(採血前)に計量した。食物摂取は、既定飼料 対 残存飼料、で比較することによって週2回測定した。マウスは犠牲にする前に12時間絶食させた。血漿グルコースレベルをPerry Scientificで分析した。犠牲時に血液を心穿刺で抗凝血剤中に収集し、遠心分離によって分離し、グルコース、インスリン、レプチンおよびアディポネクチンのレベルの分析のために凍結させた。犠牲時に腸間膜脂肪体を取り出して計量した。
【0089】
分散分析を用いて、血漿バイオマーカー、脂質のレベル、ならびに体重および組織重量に対する処置の効果を試験した。測定変動は、各分析におけるサンプル再現のCV%によって評価した。平均比較−より大きい数の飼料群の間での複数の比較を容易にするために、Tukey−Kramer HSD(Honestly Significant Difference)試験を、この種の平均比較のために通常用いた。これは全体の信頼レベル95%を持つ。ピアソン相関係数を評価して、種々のバイオマーカーおよびパラメーターの間の関係を調べた。JMP(登録商標)7.0.2(SAS Institute Inc.,Cary,NC)を、統計分析のために用いた。
【0090】
マウスEDTA血漿サンプルを、二重抗体サンドイッチ酵素イムノアッセイ法に基づき、アディポネクチンについてアッセイした。サンプルを反応剤バッファー(Adiponectin ELISAキット,B−Bridge International,Inc.(Mountain View,CA)より)で希釈した。100μLの連続希釈したアディポネクチン標準および希釈した血漿サンプルを、適切数の抗体コートされたウエルに添加した。プレートを22〜28℃で60分間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、100μLのビオチニル化二次抗体アディポネクチンポリクローナル抗体を各ウエルに添加し、そして22〜28℃で60分間インキュベートした。洗浄バッファーで3回洗浄した後、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)およびストレプトアビジンのコンジュゲートを各ウエルに添加して、22〜28℃で60分間インキュベートした。洗浄後、酵素用の発色基質を全ウエルに添加してインキュベートした。色の発現は停止溶液の添加によって停止させ、そして各ウエルの吸収を450nmにてSynergyTM HT Multi−Detection Microplate Readerで測定した。
【0091】
血漿サンプルは、Murine Leptin Immunoassayキット(R&D Systems,Minneapolis,MN)を用いてレプチンについてアッセイした。全反応剤、血漿サンプルをキャリブレーター希釈液20xでアッセイ前に希釈した。50μLのアッセイ希釈液を各サンプルウエルに添加した後、50μLの連続希釈したレプチン標準および希釈した血漿サンプルを、適切数の抗体コートされたウエルに添加した。プレートを室温(約25℃)で2時間インキュベートし、5回洗浄した。100μLの抗体−酵素コンジュゲート溶液を各ウエルに添加し、25℃(室温)で2時間インキュベートし、洗浄バッファーで5回洗浄した。100μLのTMB Chromagen Solutionを各ウエルに添加した。100μLの停止溶液を各ウエルに添加することによって色反応を停止させ、各ウエルの吸収を450nmにてSynergyTM HT Multi−Detection Microplate Readerで測定した。
【0092】
インスリンは、Mercodia Ultrasensitive Mouse Insulin ELISAを用い、製造元のプロトコルに従って測定した。50μLの連続希釈したキャリブレーターおよび血漿サンプルを、適切数の抗体コートされたウエルに添加し、ウエル内でインキュベートし、高速(900rpm)で、軌道シェーカー上、約37℃にて2時間振とうした。6回洗浄した後、200μLのTMB Chromagen Solutionを各ウエルに添加し、インキュベートし、高速(400rpm)で、軌道シェーカー上、室温(25℃)にて30分間振とうした。50μLの停止溶液を各ウエルに添加することによって反応を停止させた。各ウエルの吸収を、450nmにて、SynergyTM HT Multi−Detection Microplate Readerで測定した。
【0093】
QUICKI指数は、空腹時の血漿グルコース(mmol/L)および血漿インスリン(mU/L)の濃度から以下のように算出した:
QUICKI−1/(log[グルコース]+log[インスリン])
本発明は、本明細書に具体的に開示および例示した態様に限定されないことが理解される。発明の種々の改変が当業者に明らかとなろう。そのような変更および改変は、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなくなすことができる。
【0094】
更に、各々の列挙された範囲は、範囲の全ての組合せおよび下位組合せ、ならびにその中に含まれる具体的な数値を包含する。更に、本明細書に列挙または説明される各々の特許、特許出願および公開の開示は、これにより参照によってその全部が本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを含む、経口摂取形状物。
【請求項2】
薬剤、医薬、食品、飲料、食品添加物、栄養補給食品、または栄養補助食品である、請求項1に記載の経口摂取形状物。
【請求項3】
グリオキサールを実質的に含まない、請求項1に記載の経口摂取形状物。
【請求項4】
約0.25g〜約4gのカチオン性ヒドロキシエチルセルロースを含有する栄養補助食品である、請求項1に記載の経口摂取形状物。
【請求項5】
腹部肥満、アテローム性脂質異常症、高血圧、グルコース不耐性を伴うかまたは伴わないインスリン抵抗性、炎症性状態および血栓準備状態からなる群から選択される少なくとも3つの症状を改善するための有効量のカチオン性ヒドロキシエチルセルロースを含有する、請求項1または5に記載の経口摂取形状物。
【請求項6】
カチオン性ヒドロキシエチルセルロースが、CS約0.3〜約0.5を有する、請求項1に記載の経口摂取形状物。
【請求項7】
個体における代謝異常を予防または処置する方法であって:個体に有効量の水溶性カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを投与するステップを含む、方法。
【請求項8】
腹部肥満、アテローム性脂質異常症、高血圧、グルコース不耐性を伴うかまたは伴わないインスリン抵抗性、炎症性状態および血栓準備状態からなる群から選択される少なくとも3つの症状が存在する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
VLDL、LDL、HDL、アディポネクチン、レプチン、空腹時血漿グルコース、空腹時血漿インスリン、肝臓脂質、肝臓グリセリド、または肝臓中の遊離コレステロールの発現または濃度に影響を及ぼす、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
個体の重量が減少する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
個体の重量増加が低減する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
個体のQUICKI指数が、約20%超、約25%超、または好ましくは約35%超、改善される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
代謝異常を処置するための薬剤の製造における、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースの使用。

【公表番号】特表2012−526141(P2012−526141A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509975(P2012−509975)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/033890
【国際公開番号】WO2010/129788
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【出願人】(509110769)
【Fターム(参考)】