経皮プローブを備えた医療システム
MRI適合性材料によって構成された経皮プローブが、
−分析、治療およびモニタリングされる部位(10)を有する患者の身体器官(8)の組織に、一度の治療処置の間に経皮的に挿入される本体と、
−少なくとも1つの情報収集センサ装置(30、33、34)と、
−集束した治療用超音波と非集束した治療用超音波とを放射するように360°に配置された治療用変換器(30)とを有する。
コンピュータ制御システムは、治療用超音波の生成をシミュレートして命令するように、およびサーマルMRI画像によって治療をモニタリングするように適合されたパラメータ設定が可能なコマンド装置(50)を有する。
−分析、治療およびモニタリングされる部位(10)を有する患者の身体器官(8)の組織に、一度の治療処置の間に経皮的に挿入される本体と、
−少なくとも1つの情報収集センサ装置(30、33、34)と、
−集束した治療用超音波と非集束した治療用超音波とを放射するように360°に配置された治療用変換器(30)とを有する。
コンピュータ制御システムは、治療用超音波の生成をシミュレートして命令するように、およびサーマルMRI画像によって治療をモニタリングするように適合されたパラメータ設定が可能なコマンド装置(50)を有する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、経皮プローブを備えた医療システム、および当該医療システムの使用方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
低強度の超音波は、医学診断の手段、すなわち超音波検査に広く用いられている。ここ10年間、高強度の超音波は、温熱療法の治療手段として組織壊死を誘発させるのに有効な手段であることが示されてきた。低侵襲治療手段のために様々な治療プローブが設計されており、それらは外部プローブおよび内部プローブという2つのグループに分類される。
【0003】
外部プローブは、患者の身体の表面形状をなぞるように設計されている。超音波送信器は、同心円状に陳列され、超音波集束を最適化する。
【0004】
内部/侵入型プローブ(interstitial probes)は、患者の体内に挿入される。このプローブは、腔内プローブ、血管内プローブ、および経皮プローブという3つのカテゴリーに主に分類される。
【0005】
(A.腔内プローブ)
腔内プローブは、直腸、膣、または食道などの生体の穴に挿入されるように設計されたものである。例えば、US2007/239,011には、高密度焦点式超音波(HIFU)エネルギーを患者の器官に搬送する医療用プローブが記載されている。当該プローブは、患者の生体腔内に挿入される平面形のプローブ本体と、器官表面に用いられる複数のリーフ(leaf)とを有し、超音波エネルギーを器官内部に搬送する。
【0006】
(B.血管内プローブ)
血管内可撓性プローブは、心房細動または静脈不全の治療のために開発中のものである。
【0007】
(C.経皮侵入型プローブ)
経皮侵入型プローブは、当初はあまり関心をもたれていなかった。従来のプローブは組織を貫通しないが、このプローブは組織を貫通する必要があったためである。それでもなお、このような経皮侵入型プローブは、体外、腔内または血管内において、高強度の集束超音波プローブでは到達することができない深部腫瘍の治療に提案されてきた。超音波経路間における超音波の減衰および位相収差を最小化するために、標的に超音波源を出来る限り近づける。最も一般的な超音波経皮プローブは側視放射プローブ(sideview emission probes)であり、その能動素子は水冷式であり、加熱を促すためにやや高周波(3MHz以上)で動作する。最も一般的な超音波経皮プローブは、MRI適合ではないので、治療のモニタリングは多少なりとも危険を伴うものである。
【0008】
臨床医にとって、超音波は有望な技術である。超音波治療の用途を様々な医療に拡大するために、以下の問題点を解決しなければならない。具体的には、外部プローブは、非侵入式ではあるのだが、一貫して以下の不都合な点を有する。超音波減衰、組織構造(骨、組織界面など)による位相収差および超音波の非集束(defocalization)、恒常的な身体運動(呼吸器、隔膜など)による標的の制限、治療期間が長期に渡ること、超音波経路が正常な組織を通過して形成されることに伴う正常な組織への未知の影響、現在では数百の超音波変換器を備えるようになったプローブの複雑性、システムをMRI互換性およびMRI適合性にすることの複雑性である。
【0009】
具体的には、側視侵入型/内部プローブは、病巣全体を治療するために360°回転させたり、縦方向に移動させたりするなど、治療において臨床医が操作する必要があり、その結果、精度および再現性が欠如する。
【0010】
特に既存のプローブ全てについて、組織の性状診断または組織生検を行うことができない。すなわち、生検処置を治療の数日前に行う必要がある。既存のプローブ全てに関して、温熱治療後に組織切除を行うことができない。実際、腫瘍の温熱治療は、従来の臨床試験において示されているように、重度の腫瘍体積の増加(mass effect)を生じさせる(Carpentier & al., “Real-time Magnetic Resonance-Guided Laser Thermal Therapy of Metastatic Brain Tumors”, Neurosurgery, 63 ONS Suppl 1:21-29, 2008)。このような体積の増加は、殆どの場合、周囲の正常な組織の保存とは両立しないものであり、低侵襲性超音波治療システムの発展を制限する可能性がある。
【0011】
〔発明の要約〕
本発明は、上記不都合な点の少なくともいずれかを解決することを目的とする。
【0012】
これを達成するために、経皮プローブとコンピュータ制御システムとを備えた医療システムであって、MRI適合性材料によって構成された上記経皮プローブは、
−挿入端をもち、一度の治療処置の間に分析、治療およびモニタリングされる部位を有する患者の身体器官の組織に、経皮的に挿入されるように成形された本体と、
−共焦点デジタル内視顕微鏡の光学ヘッドと、
−上記器官の上記部位についての情報を収集するための少なくとも1つの情報収集センサ装置と、
−位相配列として動作可能であり、集束した治療用超音波と非集束した治療用超音波とを上記器官の上記部位に放射する複数の治療用変換器とを有し、
上記コンピュータ制御システムが、パラメータ設定が可能なコマンド装置と、関連機器とを有し、該コマンド装置と該関連機器とが上記治療用超音波の生成を命令することを特徴としている。
【0013】
これらの機能により、プローブをあらゆる器官の適した位置に経皮的に挿入することができる。さらに、プローブを用いて、一度の医療処置の間に、診断および組織性状を確立するため、および適切な治療を実施するために使用できる器官情報を感知することができる。
【0014】
ある実施形態では、従属請求項に記載された1つ以上の機能を用いてもよい。
【0015】
さらに、本発明は、
−一度の医療処置の間に分析、治療およびモニタリングすべき部位をもつ身体器官の組織に、挿入端を備えた本体を有し、MRI適合材料によって構成された経皮プローブの該挿入端を挿入するステップと、
−上記プローブの情報収集センサ装置と、共焦点内視顕微鏡の光学ヘッドとを用いて上記器官の上記部位についての情報を収集するステップと、
−位相配列として構成された、上記プローブの複数の治療用変換器(30)を用いて上記器官の上記部位に放射される集束した治療用超音波および非集束した治療用超音波のうちの少なくとも1つのパラメータを、パラメータ設定が可能なコマンド装置(50)およびコンピュータ制御システムの関連機器(56)を使用して設定するステップとを有していることを特徴とする方法を提供する。
【0016】
一実施形態では、従属請求項に規定された1つ以上の機能を用いてもよい。
【0017】
これらの実施形態のうちの1つないし複数の効果としては、
−治療をリアルタイムでモニタリングできる点、
−組織学的な組織の性状診断と組織治療処置を一度の処理で行える点、
−組織から気泡を抽出して液体と置き換え、画像処理のアーチファクトを回避できる点、
−治療処置を「リアルタイム」でモニタリングでき、治療の安全にとって重要な点をモニタリングできる点、
−MRIおよびMR温度測定を連続的にモニタリングできる点、
−治療処置の有効性をモニタリングするために治療直後にMRIイメージングシーケンス(immediate post-treatment MRI imaging sequences)を実施できる点、
−プローブのすぐ近くの部位および/またはプローブから離れている部位を治療できる点、
−複数の技術を用いて超音波治療エネルギーの集束または非集束(fozalization/defocalization)が向上されているので、病変の形状に最適な超音波治療エネルギーを得られる点、
−動いている患者および/または器官に対しても治療処置を実施できる点、
−超音波放射器が360°に配置されていることから、器官内のプローブを回転させる必要がない点、
−様々で複雑な形状をもつ腫瘍を治療できる点、
−治療後の腫瘍の体積が減少する点、
−治療中に脳波信号を得ることができる点、
−動きアーチファクト、超音波減衰、位相収差、および/または超音波集束ずれ(defocalization)をなくすことができる点、
−治療中に臨床医が操作する必要がなく、治療中のMRIモニタリングを安全かつ有効に行うことが可能となる点、
−リアルタイムの生体内組織の性状診断、生検、および熱処置後の組織切除を可能にし、治療後の腫瘍の増加(mass effect)を避けることを可能にする点、および、
−使い捨て技術であるので、患者間の感染を防止することが可能な点、
が含まれてもよい。
【0018】
〔図面の簡単な説明〕
本発明の他の特徴および効果は、3つの実施形態についての以下の説明、および添付の図面の説明から明らかとなるであろう。なお、下記の実施形態は単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
【0019】
図1は、医療器具の概略図である。
【0020】
図2は、身体器官に挿入されたプローブの部分断面図である。
【0021】
図3a、図3b、および図3cは、第一実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【0022】
図4は、図3cの線IV−IVに沿って切り取った部分断面図である。
【0023】
図5は、異なる実施形態についての図4と同様の図である。
【0024】
図6a、図6b、および図6cは、第二実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【0025】
図7a、図7bおよび図7cは、それぞれ図6a、図6bおよび図6cと同様の図であり、第三実施形態に係るプローブを示す。
【0026】
図8aおよび図8bは、第四実施形態に係るプローブの部材を示す斜視図である。
【0027】
図9は、図8aの線IX−IXに沿って切り取った部分断面図である。
【0028】
図10は、第五実施形態に係るプローブを示す部分斜視図である。
【0029】
図11aおよび図11bは、それぞれ第六実施形態および第七実施形態に係るプローブを示す部分斜視図である。
【0030】
図12は、プローブと動作可能に連結されたコンピュータ制御システムの概略図である。
【0031】
図13は、医療器具の使用例を示す図である。
【0032】
図14は、図2の拡大図である。
【0033】
異なる図面における同様の部材番号は、同様または類似の部材を示す。
【0034】
〔詳細な説明〕
図1に、従来型の磁気共鳴映像(MRI)システム2を備えた医療器具1の概略図を示す。この医療器具は、特に熱画像モードでの操作に適しており、患者は例えば好適なベッド4などに横たわって当該器具に入れられる。
【0035】
医療器具1は、磁気共鳴映像装置からデータを受信するように、磁気共鳴映像装置に接続されたコンピュータ制御システム5をさらに備えている。コンピュータ制御システム5は、磁気共鳴映像装置から、患者3の生体組織、および/または熱磁気共鳴画像を構築するためのデータを受信する。
【0036】
医療器具は、患者の体内に経皮的に挿入され、コンピュータ制御システム5に動作可能に接続されるMRI適合性プローブ6をさらに有する。プローブ6は、同軸線などのMRI適合性ワイヤを介してコンピュータ制御システム5に電気的に接続されている。このMRI適合性ワイヤは周知であるので、ここでは詳しく説明しない。
【0037】
図2に概略的に示されるように、プローブ6は、外径Dが4mm以下、好適には3mm以下、さらに好適には2mm以下の略円筒形本体7を有し、患者の身体3における器官8の組織に挿入されるような形状をもつ。プローブ本体7は、器官の腔を通過する必要がなく、器官8の組織に直接挿入可能なので、侵入型である。プローブ本体7の挿入端9は、器官組織における検査対象および/または治療対象の領域10内、またはその近傍に配置されている。プローブ6は、例えば悪性腫瘍もしくは良性腫瘍、または認知神経化学的脳障害(neuro-cognitive brain impairments)、ならびに、例えば熱剥離などの、モニタリングされた超音波治療によって治療可能な他の全ての器官のあらゆる組織病変に使用されてもよい。
【0038】
図3a、図3bおよび図3cに示されるように、第一実施形態によると、プローブ6は、塗布器11(図3a)、マンドレル12(図3b)、および超音波装置13(図3c)などの複数の部材を有する。
【0039】
塗布器11は、近傍に配置された後部14と、円筒形の内部空洞16を規定する略円筒形本体15とを有する。円筒形の内部空洞16は、本体15全体から先端まで延び、その先端には末端開口部40が形成されている。
【0040】
医療システムは、塗布器11の内部空洞16と流体連通するように、またはそこから取り除かれるように配置される連続ポンプ36をさらに有していてもよい。ポンプが組織片などを採取するように動作し、臨床医が後にその組織片を分析することによって組織情報を提供することができる。
【0041】
ポンプ36は、例えば映像にアーチファクトを形成する気泡など、患者から採取すべきあらゆる物質の採取、および/または、患者に適した液体の注入を行うように動作してもよい。
【0042】
内部マンドレル12は、剛性材料によって構成されており、空洞16を完全に塞ぐように当該空洞16に挿入されるような形状をとる。例えば、マンドレル12は、円筒形状の本体25を有し、その外径が、塗布器11の本体15の内径と等しい構成であってもよい。また、マンドレル12は、円筒形状の後部26を有し、その外径が、塗布器11の後部14の内径と等しい構成であってもよい。マンドレル12は、尖った先端部57をさらに有している構成であってもよい。マンドレルは、後部26における近位端27aから、プローブの挿入端9における遠位端27bに延びる内部経路27を備えており、この内部経路27は、ポンプ36などを介して液体タンク28と流体連通した配置をとるように適合されている構成であってもよい。ポンプ36は、マンドレル12と協働して動作し、空洞27を介して患者に液体を注入すると共に、映像にアーチファクトを形成する可能性がある気泡を採取することができる。
【0043】
本実施形態では、本体25は、その挿入端9に共焦点内視顕微鏡のヘッド23を有する。共焦点内視顕微鏡のヘッド23は、空洞27内において共焦点顕微鏡ヘッド23から後部14に延びるに適した線維を介して挿入端9に接続されており、共焦点顕微鏡ヘッド23を、例えば図示しないMRI適合性ワイヤなどによってコンピュータ制御システム5に接続させる。これにより、共焦点内視顕微鏡ヘッドを、生体内のリアルタイムの器官の細胞や組織の情報を得るために使用することができる。
【0044】
このような小型共焦点内視顕微鏡ヘッドは、周知であるので、ここでは詳しく説明しない。共焦点内視顕微鏡ヘッドを備える代わりに、液体注入のための経路と、内視顕微鏡繊維のための経路との2つの個別の経路がマンドレル25に設けられている構成としてもよい。
【0045】
他の実施形態では(図示せず)、マンドレル後部26は、断片化のために組織に低周波振動(約10kHz)を伝送するように、マンドレル本体内部に低周波振動を生成する電気機械部材を有する。このような実施形態では、マンドレルはMRI適合性ではない可能性がある。
【0046】
マンドレル12が塗布器11の空洞16に挿入されると、その遠位端が塗布器11の遠位端を越えて伸びることによって、共焦点内視顕微鏡ヘッドが治療対象部位の近位に到達する。
【0047】
MRI適合性超音波装置13は、マンドレル12のうちの1つと全体的に同一の外形をもち、塗布器11の空洞16に挿入できるように構成されている。超音波装置の本体29の遠位部29bは、複数の超音波変換器30を有する。超音波変換器30は、例えば、縦方向および円周方向に互いに間隔を空けて配置されると共に、超音波装置が治療部位に挿入される部分の円周および長さの周り全体に配置されている。変換器30の全てが、位相配列装置としてMRI適合性ワイヤ31を介してコンピュータ制御システム5に接続されている。MRI適合性ワイヤ31は、超音波装置の後部32からコンピュータ制御システム5に延びている。変換器30は、超音波放射器、および/または超音波受信器として動作することができる。このようなマイクロ超音波変換器は、周知であるので、ここでは詳しく説明しない(圧電複合材料技術、静電容量微細加工型超音波変換器技術など)。変換器30が超音波を感知するように動作する場合、当該変換器30は器官についての情報を収集することができる。
【0048】
後部32は、流体タンク18と流体連通した流入口17を有する。この流体タンク18は、患者の体外に設けられていることが好ましい。図4および図5に示されるように、流入口17は、少なくとも1つの流入経路19を備えた本体29のマイクロ回路と流体連通する。流入経路19は、本体29の厚み部分において、後部32から先端9まで延びている。先端9において、流入経路19は、先端9から後部32の流出口21に延びる少なくとも1つの流出経路20と流体連通する。
【0049】
パルスマイクロポンプ22などの適当なマイクロポンプが流体ラインに設けられ、流体タンク18から流出口21までの流れを生成する。このようなパルスマイクロポンプは周知であるので、ここでは詳しく説明しない。
【0050】
超音波装置13の外面は、脳波図を感知するカーボンコンタクト電極といった電気生理信号センサ33、または電気代謝バイオセンサ59などの他のMRI適合センサをさらに有していてもよい。
【0051】
本体15の外面に、温度を局所的に感知する温度センサ34などの他のMRI適合センサを設けてもよい。センサ33、34は、超音波装置13の後部32から延びるに適したMRI適合ワイヤ35を介してコンピュータ制御システム5に接続されているので、器官についての情報を収集するように動作することができる。
【0052】
このようなマイクロセンサは、周知であるので、ここでは詳しく説明しない。
【0053】
超音波装置13が塗布器11の空洞16を介して挿入される場合、その遠位部29bは、塗布器の遠位端を越えて延びており、組織への超音波の放射、および/または、組織からの超音波の受信を行うために、超音波変換器30が器官の組織に直接連結された構成をとる。
【0054】
図4に示す実施形態では、マイクロ回路19、20において冷却液を循環させることによって、連結を行う。図5に示すように、冷却液の流れに関しては、プローブの中心に流入経路19および流出経路20を設けるなど、他の形態も可能である。
【0055】
変換器30は、外膜38を有するプローブの周りの動作領域37において動作できるように構成されていてもよい。この外膜38は、プローブから少なくとも20mm(図3cでは原寸大ではない)、好適にはプローブから少なくとも30mmの位置に設けられている。変換器30は、動作領域における焦点領域に超音波の焦点を合わせるようにさらに構成されていてもよい。例えば、変換器30は、2mm(または3mm)〜10mmの範囲内の直径をもつ焦点領域に超音波を集束させるように構成されていてもよい。他の動作モードでは、超音波を集束させない。
【0056】
変換器30は、例えば500kHz〜10MHzの範囲内から選択される1つ以上の周波数で動作するように構成されていてもよい。実際、超音波放射周波数を調節することによって、空洞化現象、細胞の断片化、細胞膜のソノポレーション、および熱による組織壊死(thermal tissue necrosis)などの異なる物理的効果、生物学的効果、および組織治療効果が得られる。熱による組織壊死に関しては、3MHz〜10MHzの周波数が最適である。変換器30は、複数の放射強度、持続時間、およびパルスまたは連続モードにおいて動作するように構成されていてもよい。このような構成の代わりに、変換器30は、位相内または位相外における特定の同期化設定において動作する構成としてもよい。
【0057】
変換器30は、外膜38全体(プローブ周囲30mmの円筒)において、2分以内、好適には20秒以内で30℃、好適には60℃の温度に上昇させるのに十分なエネルギーを放出するように構成されていてもよい。場合により、変換器30は、2mm直径の焦点において、1秒以内、好適には100ミリ秒以内で上記温度に上昇させるように動作可能であるように構成されていてもよい。
【0058】
したがって、プローブを、超音波イメージングモードおよび/またはエラストグラフィモード、超音波治療モード、または断片化モードで動作するように設定することができる。
【0059】
本明細書に記載された様々な実施形態から分かるように、本発明の範囲内において他の変更および構成も可能である。例えば、図6a〜図6cには、第二実施形態が図示されている。この第二実施形態は、冷却液回路が塗布器11のシェル内に設けられており、なおかつセンサ33、34および59、ならびに共焦点内視顕微鏡ヘッド40も塗布器11のシェル内に設けられているという点が、図3〜図5を参照して以上に説明した第一実施形態とは異なる。したがって、本実施形態では、超音波変換器30が塗布器11の本体15を介して器官組織に連結される。
【0060】
図7a〜図7cに示す第三実施形態は、第二実施形態における塗布器11が、超音波変換器30と一体化され、塗布器と超音波装置との統合装置39を形成するように変更されている。統合装置39は、本体15の側面に形成されると共に、内部空洞16と流体連通した複数の開口部40をさらに有する。
【0061】
この第三実施形態では、プローブは、第二実施形態と同様な剛性のマンドレル12を有していてもよい。
【0062】
プローブは、統合装置39の内部空洞16に挿入されるように成形された冷却マンドレル41をさらに有していてもよい。この冷却マンドレル41は、当該冷却マンドレルの後部42の流入口17を介して流体タンク18と流体連通する流入経路19を備えたマイクロ回路と、流入経路19と流体連通して流出口21の後部42から出る流出経路20とを有している。
【0063】
図8a、図8bおよび図9に示す第四実施形態によると、プローブは2つの部材のみを有する。具体的には、第四実施形態では、第三実施形態の塗布器と超音波装置との統合装置39(図7a)と、流体マイクロ回路とが一体化するように変更されている。この流体マイクロ回路は、第三実施形態では独立した冷却マンドレル41内に設けられている。したがって、図8aに示すように、第四実施形態では、第三実施形態に係る統合装置の機能に加えて、ヘッド14内に設けられた流入口17から流入経路19が延び、その一方で内部空洞16自体が流出経路として機能する。したがって、流入経路19は装置の挿入端9において空洞16と流体連通する。
【0064】
第四実施形態では、プローブは、上記2つの実施形態に係る剛性のマンドレル12を有する。
【0065】
第五実施形態は、図10に部分的に示されている。この第五実施形態では、側面に開口部をもたない点が第三または第四実施形態と異なる。
【0066】
図11aに、第六実施形態に係る装置39を部分的に示す。第五実施形態に係る装置と比較すると、この第六実施形態では、装置39の中心部などにおいて変換器が凹状配列をとる点が異なる。例えば、この中心部にはセンサが設けられていない。したがって、本実施形態では、本体15は正確な円筒形ではなく、中心部が薄くなっている形状をしている。図11bに示す他の実施形態によると、中心部は凹形であってもよい。
【0067】
このような凸形または凹形は、上記実施形態に係る超音波搬送要素のいずれかに用いてもよい。
【0068】
超音波装置が所望の電力で超音波治療エネルギーを供給できるのであれば、他の形状を用いてもよいと考えられる。
【0069】
図11aおよび図11bには、超音波51を概略的に示されている。
【0070】
図12に、コンピュータ制御システム5の実施形態の概略図を示す。このシステムは、1つ以上のプログラミング可能な装置において具現化されてもよく、ハードウエア要素およびソフトウエア要素を備えていてもよい。コンピュータ制御システムのオペレーティングシステムおよびインターフェースは、いかなる従来型のものであってよく、ここでは詳しく説明しない。システム5は、ネットワーク補正、データアーカイブ、および保存のソフトウエアおよびハードウエア、ならびに計量機能および編集機能を含む映像操作ソフトウエアを有する。
【0071】
コンピュータ制御システム5は、プローブ6から得られる超音波感知データ、およびプローブ6から放射され、器官によって反射される超音波をプローブ6が感知した結果に基づく2Dまたは3D画像を得るのに適した従来型の超音波およびエラストグラフィのイメージングソフトウエア43を有していてもよい。
【0072】
コンピュータ制御システムは、プローブ6から与えられたデータ、ならびにプローブの電気生理センサ33によって検出されたデータを読み取るように適合されたEGG読み取りソフトウエア44をさらに有していてもよい。
【0073】
コンピュータ制御システムは、プローブ6の温度センサ34からデータを受信すると共に、これらの受信信号に基づいて組織の温度データを測定するように適合されたサーマルソフトウエア47を有していてもよい。
【0074】
コンピュータ制御システムは、プローブ6の共焦点顕微鏡のヘッド23からデータを受信すると共に、上記データから画像を形成するように適合された共焦点顕微鏡画像ソフトウエア48をさらに有していてもよい。
【0075】
コンピュータ制御システム5は、MRIシステム2からデータを受信すると共に、従来の方法を用いてこのデータから患者のMRI生体組織画像を再構築するように適合されたMRI画像ソフトウエア45をさらに有していてもよい。
【0076】
コンピュータ制御システムは、MRIシステム2に接続されたソフトウエアであって、MRIシステム2から与えられるデータを処理することによってユーザに患者の熱画像および熱凝固画像を提供するように適合された熱画像ソフトウエア46をさらに有していてもよい。
【0077】
コンピュータ制御システム5は、計画ソフトウエア49(planning software)を有していてもよい。当該計画ソフトウエア49(planning software)は、超音波イメージングソフトウエア43、EEGソフトウエア44、MRI画像ソフトウエア45、共焦点顕微鏡画像ソフトウエア48などから患者についての情報および/またはデータ、および/または研究された器官および/または部位についての情報および/またはデータの収集をすると共に、必要に応じて、他の適した方法によって得られる他の患者データまたは器官データを収集するソフトウエアである。計画ソフトウエア49によって、臨床医は必要な情報を評価することができ、なおかつ患者に最適な処置を決定することができる。
【0078】
コンピュータ制御システムは、入手可能な様々な情報に基づいて治療のための最適なパラメータ設定を確立するシミュレーションソフトウエア60をさらに有していてもよい。
【0079】
例えば、シミュレーションソフトウエア60は、プローブモデル(MRIなどから得られた患者の参照フレームにおけるその位置および配列を含む)、腫瘍モデル(音響インピーダンス、および他の関連パラメータ)、および計画された凝固形状を使用することによって、変換器のそれぞれの使用に適した設定を算出する。
【0080】
コンピュータ制御システム5は、計画ソフトウエア49、MRI熱画像ソフトウエア46、およびサーマルソフトウエア47から情報を収集するように適合されたコマンドソフトウエア50をさらに有していてもよい。コマンドソフトウエア50は、プローブ6を治療モードまたは断片化モード(以下参照)に設定することができる設定装置55を有し、超音波変換器のパラメータを設定することによって、シミュレーションソフトウエア60および計画ソフトウエア49から測定された必要な超音波エネルギーを患者の適した部位(適した焦点領域)に向けて放射する。超音波は、サーマル基本モードおよび/または空洞基本モードにおいて動作するように設定されていてもよく、焦点領域は、例えばMRI映像ガイダンスまたは超音波イメージングに基づき動的に修正されていてもよい。
【0081】
コマンドソフトウエア50は、例えばパルスポンプコマンド53によってポンプ22、連続ポンプコマンド54によってポンプ36、および設定装置55によってイメージングモードの超音波装置などの他の機械部材を動作させるのに使用されてもよい。コマンドソフトウエア50は、変換器30に必要な電力を伝送する電力増幅器56に接続されている。変換器の異なる動作モードの切り替えは、臨床医が操作する足踏みスイッチによって命令されてもよい。
【0082】
治療モードでは、システムはステップバイステップユーザコマンド式、またはコンピュータ制御自動式で動作することができる。
【0083】
図13に、上記医療システムの使用例を示す。
【0084】
ステップ101では、剛性の内部マンドレル12を備えた塗布器11が、手または画像モニタリング(外部超音波検査またはMRI)によって経皮的に患者の器官組織に挿入される。または、脳にプローブを挿入するためなどに、定位固定フレームまたはロボットアームを用いてもよい。
【0085】
ステップ102では、器官に対するプローブの位置がモニタリングされる。例えば、患者の画像は、MRIシステムまたは外部CTスキャンもしくは超音波検査システムから得られる。代わりに、または加えて、プローブ6を「イメージング」モードにて動作させることによって、当該プローブ6自体から画像を得てもよい。そのためには、マンドレルを取り出すと共に、超音波装置13を挿入する必要がある。このモードでは、超音波変換器30は、コマンドソフトウエア50によってイメージングモードで動作するように、さらには、反射した超音波を感知するように命令される。イメージングモードでは、変換器30は、例えば動作領域37内で超音波を放射する。得られた感知データは、コンピュータ制御システムの超音波イメージングソフトウエア43に送信される。
【0086】
ステップ103では、ポンプ36により経路27を介して液体を注入することによって空気の侵入を防いでいる間に、剛性の内部マンドレル12を取り出す。その後、連続ポンプ36を内部空洞16に直接接続させ、開口部40を介して器官の一部を吸引することによって生検を実施する。シリンジヘッドまたは生検針を代わりに使用してもよい。この器官の一部は、組織の性状を確認するためにさらに分析される。加えて、または、代わりに、共焦点内視顕微鏡を使用するためにポンプ36を分離し、空洞16(または27)を介して顕微鏡光ファイバを挿入することによって組織の性状診断を行ってもよい。診断したデータは、コンピュータ制御システム5の共焦点顕微鏡画像ソフトウエア48に入力される。
【0087】
ステップ104では、電子生理学的センサ33からのデータを得て、コンピュータ制御システム5の脳波図読み取りソフトウエア44に送信する。
【0088】
ステップ105では、ステップ102、103および/または104において得られたデータを用いて、検査対象の領域と、その領域に対するプローブの位置とを、例えば臨床医が計画ソフトウエア49を使用するなどして規定する。検査対象の領域は、MRI画像などの外部画像を用いて手動または自動でさらに規定してもよい。
【0089】
ステップ105’では、検査対象の領域の位置および大きさに基づき、様々な超音波変換器の超音波治療エネルギー、位相、持続時間がシミュレーションおよび算出される。ステップ106では、コマンドソフトウエア50を用いるなどして超音波放射パラメータが設定される。焦点領域の大きさおよび位置、超音波電力ならびに周波数は、コマンドソフトウエア50において設定される。超音波治療エネルギーをプローブ6から離れた部位に使用するために、低周波の超音波を使用してもよく、一方、近い部位にはより高い周波数を用いてもよい。したがって、プローブ6は、非破壊(代謝シミュレーションなど)モードまたは破壊(凝固、蒸発など)モードによる「温熱」治療モードにおいて動作するように設定される。
【0090】
ステップ107では、超音波が器官8の部位10に印加される。図14に示されるように、プローブ6は、膜38内において非焦点モードで動作することができる。また、プローブ6は、特定の焦点領域58においてアクティブな焦点モードで動作することもできる。同時に、コマンドソフトウエア50の命令下で、ポンプ22によってプローブのマイクロ回路に冷却生理液を送り込み、効果的にプローブを冷却する。プローブおよび/または器官および/または治療の安全にとって重要な点における温度上昇をモニタリングするために、リアルタイムのMRI熱画像はコンピュータ制御システムにおける熱画像ソフトウエア46に提供される。コンピュータ制御システム5を用いて、得られたサーマルデータを時間単位で合計し、特定領域内における熱印加量(thermal deposited doses)を得ることによって、壊死予測を行うことができる。変換器30を用いて反射された超音波を感知し、コンピュータ制御システム5においてリアルタイム画像が形成されることによって、リアルタイムの超音波モニタリングが可能となる。
【0091】
ステップ108では、例えば感知されたMRI画像、または超音波イメージング(超音波検査、エラストグラフィ)などによって、超音波治療の有効性がモニタリングされる。治療が十分ではないと臨床医が判断した場合、工程はステップ105に戻って繰り返えされる。しかし、臨床医が十分な熱治療が行われたと判断した場合、工程はステップ109に移る。
【0092】
ステップ109では、治療部位10が超音波によって機械的に断片化される。プローブ6は、「断片化」モードで動作するように設定され、器官の治療部位にパルス超音波を放射する。「断片化」モードは、治療モードでもある。その結果、ジェットストリーム技術/キャビテーション技術を用いて細胞間接着を破壊することによって、部位の断片化(せん断)が生じる。当然のことながら、本モードにおける超音波パラメータは、コマンドソフトウエア50から設定可能である。本モードでは、プローブはポンプ22によって継続的に冷却されている。他の方法では、低周波振動(約10kHz(1〜50kHz))によって、組織の断片化を行うことのできる。この低周波振動は、電気機械マンドレル後部26から放射され、マンドレル本体を通ることによって、(再挿入される場合)治療対象の組織内に伝送される。または、機械的応力を生ずる他のマンドレル(specific mechanical-stress inducing mandrel)によって上記の低周波振動を生じさせてもよい。
【0093】
ステップ110では、断片化ステップ109の有効性がモニタリングされる。このステップが十分ではないと臨床医が判断した場合、工程はステップ109に戻る。一方、臨床医が十分有効であると判断した場合、工程は断片化組織を体外に吸引するステップ111に移る。
【0094】
ステップ111では、共焦点内視顕微鏡の光ファイバを取り出し、空洞16に接続されたポンプ36が、コンピュータ制御システムのコマンドソフトウエア50の命令を受けて、制御された陰圧においてソフトな吸引を行うことによって、治療部位の体積を減少させることができる。
【0095】
ステップ112では、治療が十分であると臨床医が判断したかをモニタリングする。十分ではないと判断された場合、工程はステップ111に戻る。工程の完了が決定された場合、プローブ6を器官から取り出し、処置が完了する。
【0096】
上記説明は、上述したプローブおよびシステムの想定され得る実施形態の1つを例示したものであり、当業者であれば、上記ステップの順番を繰り返す、省略する、または変更することができ、または、治療する病状に応じて追加のステップを加えることができる。したがって、プローブは以下のモードおよび物理的手段によって組織病変を治療することができる。すなわち、熱性血液凝固、熱性可逆的虚血、非熱機械ジェットストリームおよびキャビテーション手段、およびソノポレーションまたはこれらの組合せである。
【0097】
さらに、侵入型プローブを侵入させずに、治療する器官の外側の近傍に配置して用いてもよい。プローブは、使い捨て、または次の使用前に滅菌されてもよい。
【0098】
さらに他の実施形態では、プローブを患者の器官に永続的に装着させて、患者の体内に埋め込まれるなどされた好適なコンピュータによる遠隔制御よって定期的に検査されてもよい。
【0099】
上記実施形態は、多数の機能を有するプローブを示しているが、これらの機能の全てにより本発明のプローブが構成されている必要はないことを理解されたい。例えば、情報収集装置は、イメージングモードの超音波変換器30、電子生理学的センサ33、温度センサ34、および共焦点内視顕微鏡ヘッド40のうちの1つ以上からなっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】医療器具の概略図である。
【図2】身体器官に挿入されたプローブの部分断面図である。
【図3a】第一実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【図3b】第一実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【図3c】第一実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【図4】図3cの線IV−IVに沿って切り取った部分断面図である。
【図5】異なる実施形態についての図4と同様の図である。
【図6a】第二実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【図6b】第二実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【図6c】第二実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【図7a】図6aと同様の図であり、第三実施形態に係るプローブを示す。
【図7b】図6bと同様の図であり、第三実施形態に係るプローブを示す。
【図7c】図6cと同様の図であり、第三実施形態に係るプローブを示す。
【図8a】第四実施形態に係るプローブの部材を示す斜視図である。
【図8b】第四実施形態に係るプローブの部材を示す斜視図である。
【図9】図8aの線IX−IXに沿って切り取った部分断面図である。
【図10】第五実施形態に係るプローブを示す部分斜視図である。
【図11a】第六実施形態および第七実施形態に係るプローブを示す部分斜視図である。
【図11b】第六実施形態および第七実施形態に係るプローブを示す部分斜視図である。
【図12】プローブと動作可能に連結されたコンピュータ制御システムの概略図である。
【図13】医療器具の使用例を示す図である。
【図14】図2の拡大図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、経皮プローブを備えた医療システム、および当該医療システムの使用方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
低強度の超音波は、医学診断の手段、すなわち超音波検査に広く用いられている。ここ10年間、高強度の超音波は、温熱療法の治療手段として組織壊死を誘発させるのに有効な手段であることが示されてきた。低侵襲治療手段のために様々な治療プローブが設計されており、それらは外部プローブおよび内部プローブという2つのグループに分類される。
【0003】
外部プローブは、患者の身体の表面形状をなぞるように設計されている。超音波送信器は、同心円状に陳列され、超音波集束を最適化する。
【0004】
内部/侵入型プローブ(interstitial probes)は、患者の体内に挿入される。このプローブは、腔内プローブ、血管内プローブ、および経皮プローブという3つのカテゴリーに主に分類される。
【0005】
(A.腔内プローブ)
腔内プローブは、直腸、膣、または食道などの生体の穴に挿入されるように設計されたものである。例えば、US2007/239,011には、高密度焦点式超音波(HIFU)エネルギーを患者の器官に搬送する医療用プローブが記載されている。当該プローブは、患者の生体腔内に挿入される平面形のプローブ本体と、器官表面に用いられる複数のリーフ(leaf)とを有し、超音波エネルギーを器官内部に搬送する。
【0006】
(B.血管内プローブ)
血管内可撓性プローブは、心房細動または静脈不全の治療のために開発中のものである。
【0007】
(C.経皮侵入型プローブ)
経皮侵入型プローブは、当初はあまり関心をもたれていなかった。従来のプローブは組織を貫通しないが、このプローブは組織を貫通する必要があったためである。それでもなお、このような経皮侵入型プローブは、体外、腔内または血管内において、高強度の集束超音波プローブでは到達することができない深部腫瘍の治療に提案されてきた。超音波経路間における超音波の減衰および位相収差を最小化するために、標的に超音波源を出来る限り近づける。最も一般的な超音波経皮プローブは側視放射プローブ(sideview emission probes)であり、その能動素子は水冷式であり、加熱を促すためにやや高周波(3MHz以上)で動作する。最も一般的な超音波経皮プローブは、MRI適合ではないので、治療のモニタリングは多少なりとも危険を伴うものである。
【0008】
臨床医にとって、超音波は有望な技術である。超音波治療の用途を様々な医療に拡大するために、以下の問題点を解決しなければならない。具体的には、外部プローブは、非侵入式ではあるのだが、一貫して以下の不都合な点を有する。超音波減衰、組織構造(骨、組織界面など)による位相収差および超音波の非集束(defocalization)、恒常的な身体運動(呼吸器、隔膜など)による標的の制限、治療期間が長期に渡ること、超音波経路が正常な組織を通過して形成されることに伴う正常な組織への未知の影響、現在では数百の超音波変換器を備えるようになったプローブの複雑性、システムをMRI互換性およびMRI適合性にすることの複雑性である。
【0009】
具体的には、側視侵入型/内部プローブは、病巣全体を治療するために360°回転させたり、縦方向に移動させたりするなど、治療において臨床医が操作する必要があり、その結果、精度および再現性が欠如する。
【0010】
特に既存のプローブ全てについて、組織の性状診断または組織生検を行うことができない。すなわち、生検処置を治療の数日前に行う必要がある。既存のプローブ全てに関して、温熱治療後に組織切除を行うことができない。実際、腫瘍の温熱治療は、従来の臨床試験において示されているように、重度の腫瘍体積の増加(mass effect)を生じさせる(Carpentier & al., “Real-time Magnetic Resonance-Guided Laser Thermal Therapy of Metastatic Brain Tumors”, Neurosurgery, 63 ONS Suppl 1:21-29, 2008)。このような体積の増加は、殆どの場合、周囲の正常な組織の保存とは両立しないものであり、低侵襲性超音波治療システムの発展を制限する可能性がある。
【0011】
〔発明の要約〕
本発明は、上記不都合な点の少なくともいずれかを解決することを目的とする。
【0012】
これを達成するために、経皮プローブとコンピュータ制御システムとを備えた医療システムであって、MRI適合性材料によって構成された上記経皮プローブは、
−挿入端をもち、一度の治療処置の間に分析、治療およびモニタリングされる部位を有する患者の身体器官の組織に、経皮的に挿入されるように成形された本体と、
−共焦点デジタル内視顕微鏡の光学ヘッドと、
−上記器官の上記部位についての情報を収集するための少なくとも1つの情報収集センサ装置と、
−位相配列として動作可能であり、集束した治療用超音波と非集束した治療用超音波とを上記器官の上記部位に放射する複数の治療用変換器とを有し、
上記コンピュータ制御システムが、パラメータ設定が可能なコマンド装置と、関連機器とを有し、該コマンド装置と該関連機器とが上記治療用超音波の生成を命令することを特徴としている。
【0013】
これらの機能により、プローブをあらゆる器官の適した位置に経皮的に挿入することができる。さらに、プローブを用いて、一度の医療処置の間に、診断および組織性状を確立するため、および適切な治療を実施するために使用できる器官情報を感知することができる。
【0014】
ある実施形態では、従属請求項に記載された1つ以上の機能を用いてもよい。
【0015】
さらに、本発明は、
−一度の医療処置の間に分析、治療およびモニタリングすべき部位をもつ身体器官の組織に、挿入端を備えた本体を有し、MRI適合材料によって構成された経皮プローブの該挿入端を挿入するステップと、
−上記プローブの情報収集センサ装置と、共焦点内視顕微鏡の光学ヘッドとを用いて上記器官の上記部位についての情報を収集するステップと、
−位相配列として構成された、上記プローブの複数の治療用変換器(30)を用いて上記器官の上記部位に放射される集束した治療用超音波および非集束した治療用超音波のうちの少なくとも1つのパラメータを、パラメータ設定が可能なコマンド装置(50)およびコンピュータ制御システムの関連機器(56)を使用して設定するステップとを有していることを特徴とする方法を提供する。
【0016】
一実施形態では、従属請求項に規定された1つ以上の機能を用いてもよい。
【0017】
これらの実施形態のうちの1つないし複数の効果としては、
−治療をリアルタイムでモニタリングできる点、
−組織学的な組織の性状診断と組織治療処置を一度の処理で行える点、
−組織から気泡を抽出して液体と置き換え、画像処理のアーチファクトを回避できる点、
−治療処置を「リアルタイム」でモニタリングでき、治療の安全にとって重要な点をモニタリングできる点、
−MRIおよびMR温度測定を連続的にモニタリングできる点、
−治療処置の有効性をモニタリングするために治療直後にMRIイメージングシーケンス(immediate post-treatment MRI imaging sequences)を実施できる点、
−プローブのすぐ近くの部位および/またはプローブから離れている部位を治療できる点、
−複数の技術を用いて超音波治療エネルギーの集束または非集束(fozalization/defocalization)が向上されているので、病変の形状に最適な超音波治療エネルギーを得られる点、
−動いている患者および/または器官に対しても治療処置を実施できる点、
−超音波放射器が360°に配置されていることから、器官内のプローブを回転させる必要がない点、
−様々で複雑な形状をもつ腫瘍を治療できる点、
−治療後の腫瘍の体積が減少する点、
−治療中に脳波信号を得ることができる点、
−動きアーチファクト、超音波減衰、位相収差、および/または超音波集束ずれ(defocalization)をなくすことができる点、
−治療中に臨床医が操作する必要がなく、治療中のMRIモニタリングを安全かつ有効に行うことが可能となる点、
−リアルタイムの生体内組織の性状診断、生検、および熱処置後の組織切除を可能にし、治療後の腫瘍の増加(mass effect)を避けることを可能にする点、および、
−使い捨て技術であるので、患者間の感染を防止することが可能な点、
が含まれてもよい。
【0018】
〔図面の簡単な説明〕
本発明の他の特徴および効果は、3つの実施形態についての以下の説明、および添付の図面の説明から明らかとなるであろう。なお、下記の実施形態は単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
【0019】
図1は、医療器具の概略図である。
【0020】
図2は、身体器官に挿入されたプローブの部分断面図である。
【0021】
図3a、図3b、および図3cは、第一実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【0022】
図4は、図3cの線IV−IVに沿って切り取った部分断面図である。
【0023】
図5は、異なる実施形態についての図4と同様の図である。
【0024】
図6a、図6b、および図6cは、第二実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【0025】
図7a、図7bおよび図7cは、それぞれ図6a、図6bおよび図6cと同様の図であり、第三実施形態に係るプローブを示す。
【0026】
図8aおよび図8bは、第四実施形態に係るプローブの部材を示す斜視図である。
【0027】
図9は、図8aの線IX−IXに沿って切り取った部分断面図である。
【0028】
図10は、第五実施形態に係るプローブを示す部分斜視図である。
【0029】
図11aおよび図11bは、それぞれ第六実施形態および第七実施形態に係るプローブを示す部分斜視図である。
【0030】
図12は、プローブと動作可能に連結されたコンピュータ制御システムの概略図である。
【0031】
図13は、医療器具の使用例を示す図である。
【0032】
図14は、図2の拡大図である。
【0033】
異なる図面における同様の部材番号は、同様または類似の部材を示す。
【0034】
〔詳細な説明〕
図1に、従来型の磁気共鳴映像(MRI)システム2を備えた医療器具1の概略図を示す。この医療器具は、特に熱画像モードでの操作に適しており、患者は例えば好適なベッド4などに横たわって当該器具に入れられる。
【0035】
医療器具1は、磁気共鳴映像装置からデータを受信するように、磁気共鳴映像装置に接続されたコンピュータ制御システム5をさらに備えている。コンピュータ制御システム5は、磁気共鳴映像装置から、患者3の生体組織、および/または熱磁気共鳴画像を構築するためのデータを受信する。
【0036】
医療器具は、患者の体内に経皮的に挿入され、コンピュータ制御システム5に動作可能に接続されるMRI適合性プローブ6をさらに有する。プローブ6は、同軸線などのMRI適合性ワイヤを介してコンピュータ制御システム5に電気的に接続されている。このMRI適合性ワイヤは周知であるので、ここでは詳しく説明しない。
【0037】
図2に概略的に示されるように、プローブ6は、外径Dが4mm以下、好適には3mm以下、さらに好適には2mm以下の略円筒形本体7を有し、患者の身体3における器官8の組織に挿入されるような形状をもつ。プローブ本体7は、器官の腔を通過する必要がなく、器官8の組織に直接挿入可能なので、侵入型である。プローブ本体7の挿入端9は、器官組織における検査対象および/または治療対象の領域10内、またはその近傍に配置されている。プローブ6は、例えば悪性腫瘍もしくは良性腫瘍、または認知神経化学的脳障害(neuro-cognitive brain impairments)、ならびに、例えば熱剥離などの、モニタリングされた超音波治療によって治療可能な他の全ての器官のあらゆる組織病変に使用されてもよい。
【0038】
図3a、図3bおよび図3cに示されるように、第一実施形態によると、プローブ6は、塗布器11(図3a)、マンドレル12(図3b)、および超音波装置13(図3c)などの複数の部材を有する。
【0039】
塗布器11は、近傍に配置された後部14と、円筒形の内部空洞16を規定する略円筒形本体15とを有する。円筒形の内部空洞16は、本体15全体から先端まで延び、その先端には末端開口部40が形成されている。
【0040】
医療システムは、塗布器11の内部空洞16と流体連通するように、またはそこから取り除かれるように配置される連続ポンプ36をさらに有していてもよい。ポンプが組織片などを採取するように動作し、臨床医が後にその組織片を分析することによって組織情報を提供することができる。
【0041】
ポンプ36は、例えば映像にアーチファクトを形成する気泡など、患者から採取すべきあらゆる物質の採取、および/または、患者に適した液体の注入を行うように動作してもよい。
【0042】
内部マンドレル12は、剛性材料によって構成されており、空洞16を完全に塞ぐように当該空洞16に挿入されるような形状をとる。例えば、マンドレル12は、円筒形状の本体25を有し、その外径が、塗布器11の本体15の内径と等しい構成であってもよい。また、マンドレル12は、円筒形状の後部26を有し、その外径が、塗布器11の後部14の内径と等しい構成であってもよい。マンドレル12は、尖った先端部57をさらに有している構成であってもよい。マンドレルは、後部26における近位端27aから、プローブの挿入端9における遠位端27bに延びる内部経路27を備えており、この内部経路27は、ポンプ36などを介して液体タンク28と流体連通した配置をとるように適合されている構成であってもよい。ポンプ36は、マンドレル12と協働して動作し、空洞27を介して患者に液体を注入すると共に、映像にアーチファクトを形成する可能性がある気泡を採取することができる。
【0043】
本実施形態では、本体25は、その挿入端9に共焦点内視顕微鏡のヘッド23を有する。共焦点内視顕微鏡のヘッド23は、空洞27内において共焦点顕微鏡ヘッド23から後部14に延びるに適した線維を介して挿入端9に接続されており、共焦点顕微鏡ヘッド23を、例えば図示しないMRI適合性ワイヤなどによってコンピュータ制御システム5に接続させる。これにより、共焦点内視顕微鏡ヘッドを、生体内のリアルタイムの器官の細胞や組織の情報を得るために使用することができる。
【0044】
このような小型共焦点内視顕微鏡ヘッドは、周知であるので、ここでは詳しく説明しない。共焦点内視顕微鏡ヘッドを備える代わりに、液体注入のための経路と、内視顕微鏡繊維のための経路との2つの個別の経路がマンドレル25に設けられている構成としてもよい。
【0045】
他の実施形態では(図示せず)、マンドレル後部26は、断片化のために組織に低周波振動(約10kHz)を伝送するように、マンドレル本体内部に低周波振動を生成する電気機械部材を有する。このような実施形態では、マンドレルはMRI適合性ではない可能性がある。
【0046】
マンドレル12が塗布器11の空洞16に挿入されると、その遠位端が塗布器11の遠位端を越えて伸びることによって、共焦点内視顕微鏡ヘッドが治療対象部位の近位に到達する。
【0047】
MRI適合性超音波装置13は、マンドレル12のうちの1つと全体的に同一の外形をもち、塗布器11の空洞16に挿入できるように構成されている。超音波装置の本体29の遠位部29bは、複数の超音波変換器30を有する。超音波変換器30は、例えば、縦方向および円周方向に互いに間隔を空けて配置されると共に、超音波装置が治療部位に挿入される部分の円周および長さの周り全体に配置されている。変換器30の全てが、位相配列装置としてMRI適合性ワイヤ31を介してコンピュータ制御システム5に接続されている。MRI適合性ワイヤ31は、超音波装置の後部32からコンピュータ制御システム5に延びている。変換器30は、超音波放射器、および/または超音波受信器として動作することができる。このようなマイクロ超音波変換器は、周知であるので、ここでは詳しく説明しない(圧電複合材料技術、静電容量微細加工型超音波変換器技術など)。変換器30が超音波を感知するように動作する場合、当該変換器30は器官についての情報を収集することができる。
【0048】
後部32は、流体タンク18と流体連通した流入口17を有する。この流体タンク18は、患者の体外に設けられていることが好ましい。図4および図5に示されるように、流入口17は、少なくとも1つの流入経路19を備えた本体29のマイクロ回路と流体連通する。流入経路19は、本体29の厚み部分において、後部32から先端9まで延びている。先端9において、流入経路19は、先端9から後部32の流出口21に延びる少なくとも1つの流出経路20と流体連通する。
【0049】
パルスマイクロポンプ22などの適当なマイクロポンプが流体ラインに設けられ、流体タンク18から流出口21までの流れを生成する。このようなパルスマイクロポンプは周知であるので、ここでは詳しく説明しない。
【0050】
超音波装置13の外面は、脳波図を感知するカーボンコンタクト電極といった電気生理信号センサ33、または電気代謝バイオセンサ59などの他のMRI適合センサをさらに有していてもよい。
【0051】
本体15の外面に、温度を局所的に感知する温度センサ34などの他のMRI適合センサを設けてもよい。センサ33、34は、超音波装置13の後部32から延びるに適したMRI適合ワイヤ35を介してコンピュータ制御システム5に接続されているので、器官についての情報を収集するように動作することができる。
【0052】
このようなマイクロセンサは、周知であるので、ここでは詳しく説明しない。
【0053】
超音波装置13が塗布器11の空洞16を介して挿入される場合、その遠位部29bは、塗布器の遠位端を越えて延びており、組織への超音波の放射、および/または、組織からの超音波の受信を行うために、超音波変換器30が器官の組織に直接連結された構成をとる。
【0054】
図4に示す実施形態では、マイクロ回路19、20において冷却液を循環させることによって、連結を行う。図5に示すように、冷却液の流れに関しては、プローブの中心に流入経路19および流出経路20を設けるなど、他の形態も可能である。
【0055】
変換器30は、外膜38を有するプローブの周りの動作領域37において動作できるように構成されていてもよい。この外膜38は、プローブから少なくとも20mm(図3cでは原寸大ではない)、好適にはプローブから少なくとも30mmの位置に設けられている。変換器30は、動作領域における焦点領域に超音波の焦点を合わせるようにさらに構成されていてもよい。例えば、変換器30は、2mm(または3mm)〜10mmの範囲内の直径をもつ焦点領域に超音波を集束させるように構成されていてもよい。他の動作モードでは、超音波を集束させない。
【0056】
変換器30は、例えば500kHz〜10MHzの範囲内から選択される1つ以上の周波数で動作するように構成されていてもよい。実際、超音波放射周波数を調節することによって、空洞化現象、細胞の断片化、細胞膜のソノポレーション、および熱による組織壊死(thermal tissue necrosis)などの異なる物理的効果、生物学的効果、および組織治療効果が得られる。熱による組織壊死に関しては、3MHz〜10MHzの周波数が最適である。変換器30は、複数の放射強度、持続時間、およびパルスまたは連続モードにおいて動作するように構成されていてもよい。このような構成の代わりに、変換器30は、位相内または位相外における特定の同期化設定において動作する構成としてもよい。
【0057】
変換器30は、外膜38全体(プローブ周囲30mmの円筒)において、2分以内、好適には20秒以内で30℃、好適には60℃の温度に上昇させるのに十分なエネルギーを放出するように構成されていてもよい。場合により、変換器30は、2mm直径の焦点において、1秒以内、好適には100ミリ秒以内で上記温度に上昇させるように動作可能であるように構成されていてもよい。
【0058】
したがって、プローブを、超音波イメージングモードおよび/またはエラストグラフィモード、超音波治療モード、または断片化モードで動作するように設定することができる。
【0059】
本明細書に記載された様々な実施形態から分かるように、本発明の範囲内において他の変更および構成も可能である。例えば、図6a〜図6cには、第二実施形態が図示されている。この第二実施形態は、冷却液回路が塗布器11のシェル内に設けられており、なおかつセンサ33、34および59、ならびに共焦点内視顕微鏡ヘッド40も塗布器11のシェル内に設けられているという点が、図3〜図5を参照して以上に説明した第一実施形態とは異なる。したがって、本実施形態では、超音波変換器30が塗布器11の本体15を介して器官組織に連結される。
【0060】
図7a〜図7cに示す第三実施形態は、第二実施形態における塗布器11が、超音波変換器30と一体化され、塗布器と超音波装置との統合装置39を形成するように変更されている。統合装置39は、本体15の側面に形成されると共に、内部空洞16と流体連通した複数の開口部40をさらに有する。
【0061】
この第三実施形態では、プローブは、第二実施形態と同様な剛性のマンドレル12を有していてもよい。
【0062】
プローブは、統合装置39の内部空洞16に挿入されるように成形された冷却マンドレル41をさらに有していてもよい。この冷却マンドレル41は、当該冷却マンドレルの後部42の流入口17を介して流体タンク18と流体連通する流入経路19を備えたマイクロ回路と、流入経路19と流体連通して流出口21の後部42から出る流出経路20とを有している。
【0063】
図8a、図8bおよび図9に示す第四実施形態によると、プローブは2つの部材のみを有する。具体的には、第四実施形態では、第三実施形態の塗布器と超音波装置との統合装置39(図7a)と、流体マイクロ回路とが一体化するように変更されている。この流体マイクロ回路は、第三実施形態では独立した冷却マンドレル41内に設けられている。したがって、図8aに示すように、第四実施形態では、第三実施形態に係る統合装置の機能に加えて、ヘッド14内に設けられた流入口17から流入経路19が延び、その一方で内部空洞16自体が流出経路として機能する。したがって、流入経路19は装置の挿入端9において空洞16と流体連通する。
【0064】
第四実施形態では、プローブは、上記2つの実施形態に係る剛性のマンドレル12を有する。
【0065】
第五実施形態は、図10に部分的に示されている。この第五実施形態では、側面に開口部をもたない点が第三または第四実施形態と異なる。
【0066】
図11aに、第六実施形態に係る装置39を部分的に示す。第五実施形態に係る装置と比較すると、この第六実施形態では、装置39の中心部などにおいて変換器が凹状配列をとる点が異なる。例えば、この中心部にはセンサが設けられていない。したがって、本実施形態では、本体15は正確な円筒形ではなく、中心部が薄くなっている形状をしている。図11bに示す他の実施形態によると、中心部は凹形であってもよい。
【0067】
このような凸形または凹形は、上記実施形態に係る超音波搬送要素のいずれかに用いてもよい。
【0068】
超音波装置が所望の電力で超音波治療エネルギーを供給できるのであれば、他の形状を用いてもよいと考えられる。
【0069】
図11aおよび図11bには、超音波51を概略的に示されている。
【0070】
図12に、コンピュータ制御システム5の実施形態の概略図を示す。このシステムは、1つ以上のプログラミング可能な装置において具現化されてもよく、ハードウエア要素およびソフトウエア要素を備えていてもよい。コンピュータ制御システムのオペレーティングシステムおよびインターフェースは、いかなる従来型のものであってよく、ここでは詳しく説明しない。システム5は、ネットワーク補正、データアーカイブ、および保存のソフトウエアおよびハードウエア、ならびに計量機能および編集機能を含む映像操作ソフトウエアを有する。
【0071】
コンピュータ制御システム5は、プローブ6から得られる超音波感知データ、およびプローブ6から放射され、器官によって反射される超音波をプローブ6が感知した結果に基づく2Dまたは3D画像を得るのに適した従来型の超音波およびエラストグラフィのイメージングソフトウエア43を有していてもよい。
【0072】
コンピュータ制御システムは、プローブ6から与えられたデータ、ならびにプローブの電気生理センサ33によって検出されたデータを読み取るように適合されたEGG読み取りソフトウエア44をさらに有していてもよい。
【0073】
コンピュータ制御システムは、プローブ6の温度センサ34からデータを受信すると共に、これらの受信信号に基づいて組織の温度データを測定するように適合されたサーマルソフトウエア47を有していてもよい。
【0074】
コンピュータ制御システムは、プローブ6の共焦点顕微鏡のヘッド23からデータを受信すると共に、上記データから画像を形成するように適合された共焦点顕微鏡画像ソフトウエア48をさらに有していてもよい。
【0075】
コンピュータ制御システム5は、MRIシステム2からデータを受信すると共に、従来の方法を用いてこのデータから患者のMRI生体組織画像を再構築するように適合されたMRI画像ソフトウエア45をさらに有していてもよい。
【0076】
コンピュータ制御システムは、MRIシステム2に接続されたソフトウエアであって、MRIシステム2から与えられるデータを処理することによってユーザに患者の熱画像および熱凝固画像を提供するように適合された熱画像ソフトウエア46をさらに有していてもよい。
【0077】
コンピュータ制御システム5は、計画ソフトウエア49(planning software)を有していてもよい。当該計画ソフトウエア49(planning software)は、超音波イメージングソフトウエア43、EEGソフトウエア44、MRI画像ソフトウエア45、共焦点顕微鏡画像ソフトウエア48などから患者についての情報および/またはデータ、および/または研究された器官および/または部位についての情報および/またはデータの収集をすると共に、必要に応じて、他の適した方法によって得られる他の患者データまたは器官データを収集するソフトウエアである。計画ソフトウエア49によって、臨床医は必要な情報を評価することができ、なおかつ患者に最適な処置を決定することができる。
【0078】
コンピュータ制御システムは、入手可能な様々な情報に基づいて治療のための最適なパラメータ設定を確立するシミュレーションソフトウエア60をさらに有していてもよい。
【0079】
例えば、シミュレーションソフトウエア60は、プローブモデル(MRIなどから得られた患者の参照フレームにおけるその位置および配列を含む)、腫瘍モデル(音響インピーダンス、および他の関連パラメータ)、および計画された凝固形状を使用することによって、変換器のそれぞれの使用に適した設定を算出する。
【0080】
コンピュータ制御システム5は、計画ソフトウエア49、MRI熱画像ソフトウエア46、およびサーマルソフトウエア47から情報を収集するように適合されたコマンドソフトウエア50をさらに有していてもよい。コマンドソフトウエア50は、プローブ6を治療モードまたは断片化モード(以下参照)に設定することができる設定装置55を有し、超音波変換器のパラメータを設定することによって、シミュレーションソフトウエア60および計画ソフトウエア49から測定された必要な超音波エネルギーを患者の適した部位(適した焦点領域)に向けて放射する。超音波は、サーマル基本モードおよび/または空洞基本モードにおいて動作するように設定されていてもよく、焦点領域は、例えばMRI映像ガイダンスまたは超音波イメージングに基づき動的に修正されていてもよい。
【0081】
コマンドソフトウエア50は、例えばパルスポンプコマンド53によってポンプ22、連続ポンプコマンド54によってポンプ36、および設定装置55によってイメージングモードの超音波装置などの他の機械部材を動作させるのに使用されてもよい。コマンドソフトウエア50は、変換器30に必要な電力を伝送する電力増幅器56に接続されている。変換器の異なる動作モードの切り替えは、臨床医が操作する足踏みスイッチによって命令されてもよい。
【0082】
治療モードでは、システムはステップバイステップユーザコマンド式、またはコンピュータ制御自動式で動作することができる。
【0083】
図13に、上記医療システムの使用例を示す。
【0084】
ステップ101では、剛性の内部マンドレル12を備えた塗布器11が、手または画像モニタリング(外部超音波検査またはMRI)によって経皮的に患者の器官組織に挿入される。または、脳にプローブを挿入するためなどに、定位固定フレームまたはロボットアームを用いてもよい。
【0085】
ステップ102では、器官に対するプローブの位置がモニタリングされる。例えば、患者の画像は、MRIシステムまたは外部CTスキャンもしくは超音波検査システムから得られる。代わりに、または加えて、プローブ6を「イメージング」モードにて動作させることによって、当該プローブ6自体から画像を得てもよい。そのためには、マンドレルを取り出すと共に、超音波装置13を挿入する必要がある。このモードでは、超音波変換器30は、コマンドソフトウエア50によってイメージングモードで動作するように、さらには、反射した超音波を感知するように命令される。イメージングモードでは、変換器30は、例えば動作領域37内で超音波を放射する。得られた感知データは、コンピュータ制御システムの超音波イメージングソフトウエア43に送信される。
【0086】
ステップ103では、ポンプ36により経路27を介して液体を注入することによって空気の侵入を防いでいる間に、剛性の内部マンドレル12を取り出す。その後、連続ポンプ36を内部空洞16に直接接続させ、開口部40を介して器官の一部を吸引することによって生検を実施する。シリンジヘッドまたは生検針を代わりに使用してもよい。この器官の一部は、組織の性状を確認するためにさらに分析される。加えて、または、代わりに、共焦点内視顕微鏡を使用するためにポンプ36を分離し、空洞16(または27)を介して顕微鏡光ファイバを挿入することによって組織の性状診断を行ってもよい。診断したデータは、コンピュータ制御システム5の共焦点顕微鏡画像ソフトウエア48に入力される。
【0087】
ステップ104では、電子生理学的センサ33からのデータを得て、コンピュータ制御システム5の脳波図読み取りソフトウエア44に送信する。
【0088】
ステップ105では、ステップ102、103および/または104において得られたデータを用いて、検査対象の領域と、その領域に対するプローブの位置とを、例えば臨床医が計画ソフトウエア49を使用するなどして規定する。検査対象の領域は、MRI画像などの外部画像を用いて手動または自動でさらに規定してもよい。
【0089】
ステップ105’では、検査対象の領域の位置および大きさに基づき、様々な超音波変換器の超音波治療エネルギー、位相、持続時間がシミュレーションおよび算出される。ステップ106では、コマンドソフトウエア50を用いるなどして超音波放射パラメータが設定される。焦点領域の大きさおよび位置、超音波電力ならびに周波数は、コマンドソフトウエア50において設定される。超音波治療エネルギーをプローブ6から離れた部位に使用するために、低周波の超音波を使用してもよく、一方、近い部位にはより高い周波数を用いてもよい。したがって、プローブ6は、非破壊(代謝シミュレーションなど)モードまたは破壊(凝固、蒸発など)モードによる「温熱」治療モードにおいて動作するように設定される。
【0090】
ステップ107では、超音波が器官8の部位10に印加される。図14に示されるように、プローブ6は、膜38内において非焦点モードで動作することができる。また、プローブ6は、特定の焦点領域58においてアクティブな焦点モードで動作することもできる。同時に、コマンドソフトウエア50の命令下で、ポンプ22によってプローブのマイクロ回路に冷却生理液を送り込み、効果的にプローブを冷却する。プローブおよび/または器官および/または治療の安全にとって重要な点における温度上昇をモニタリングするために、リアルタイムのMRI熱画像はコンピュータ制御システムにおける熱画像ソフトウエア46に提供される。コンピュータ制御システム5を用いて、得られたサーマルデータを時間単位で合計し、特定領域内における熱印加量(thermal deposited doses)を得ることによって、壊死予測を行うことができる。変換器30を用いて反射された超音波を感知し、コンピュータ制御システム5においてリアルタイム画像が形成されることによって、リアルタイムの超音波モニタリングが可能となる。
【0091】
ステップ108では、例えば感知されたMRI画像、または超音波イメージング(超音波検査、エラストグラフィ)などによって、超音波治療の有効性がモニタリングされる。治療が十分ではないと臨床医が判断した場合、工程はステップ105に戻って繰り返えされる。しかし、臨床医が十分な熱治療が行われたと判断した場合、工程はステップ109に移る。
【0092】
ステップ109では、治療部位10が超音波によって機械的に断片化される。プローブ6は、「断片化」モードで動作するように設定され、器官の治療部位にパルス超音波を放射する。「断片化」モードは、治療モードでもある。その結果、ジェットストリーム技術/キャビテーション技術を用いて細胞間接着を破壊することによって、部位の断片化(せん断)が生じる。当然のことながら、本モードにおける超音波パラメータは、コマンドソフトウエア50から設定可能である。本モードでは、プローブはポンプ22によって継続的に冷却されている。他の方法では、低周波振動(約10kHz(1〜50kHz))によって、組織の断片化を行うことのできる。この低周波振動は、電気機械マンドレル後部26から放射され、マンドレル本体を通ることによって、(再挿入される場合)治療対象の組織内に伝送される。または、機械的応力を生ずる他のマンドレル(specific mechanical-stress inducing mandrel)によって上記の低周波振動を生じさせてもよい。
【0093】
ステップ110では、断片化ステップ109の有効性がモニタリングされる。このステップが十分ではないと臨床医が判断した場合、工程はステップ109に戻る。一方、臨床医が十分有効であると判断した場合、工程は断片化組織を体外に吸引するステップ111に移る。
【0094】
ステップ111では、共焦点内視顕微鏡の光ファイバを取り出し、空洞16に接続されたポンプ36が、コンピュータ制御システムのコマンドソフトウエア50の命令を受けて、制御された陰圧においてソフトな吸引を行うことによって、治療部位の体積を減少させることができる。
【0095】
ステップ112では、治療が十分であると臨床医が判断したかをモニタリングする。十分ではないと判断された場合、工程はステップ111に戻る。工程の完了が決定された場合、プローブ6を器官から取り出し、処置が完了する。
【0096】
上記説明は、上述したプローブおよびシステムの想定され得る実施形態の1つを例示したものであり、当業者であれば、上記ステップの順番を繰り返す、省略する、または変更することができ、または、治療する病状に応じて追加のステップを加えることができる。したがって、プローブは以下のモードおよび物理的手段によって組織病変を治療することができる。すなわち、熱性血液凝固、熱性可逆的虚血、非熱機械ジェットストリームおよびキャビテーション手段、およびソノポレーションまたはこれらの組合せである。
【0097】
さらに、侵入型プローブを侵入させずに、治療する器官の外側の近傍に配置して用いてもよい。プローブは、使い捨て、または次の使用前に滅菌されてもよい。
【0098】
さらに他の実施形態では、プローブを患者の器官に永続的に装着させて、患者の体内に埋め込まれるなどされた好適なコンピュータによる遠隔制御よって定期的に検査されてもよい。
【0099】
上記実施形態は、多数の機能を有するプローブを示しているが、これらの機能の全てにより本発明のプローブが構成されている必要はないことを理解されたい。例えば、情報収集装置は、イメージングモードの超音波変換器30、電子生理学的センサ33、温度センサ34、および共焦点内視顕微鏡ヘッド40のうちの1つ以上からなっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】医療器具の概略図である。
【図2】身体器官に挿入されたプローブの部分断面図である。
【図3a】第一実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【図3b】第一実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【図3c】第一実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【図4】図3cの線IV−IVに沿って切り取った部分断面図である。
【図5】異なる実施形態についての図4と同様の図である。
【図6a】第二実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【図6b】第二実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【図6c】第二実施形態に係るプローブの様々な部材を示す斜視図である。
【図7a】図6aと同様の図であり、第三実施形態に係るプローブを示す。
【図7b】図6bと同様の図であり、第三実施形態に係るプローブを示す。
【図7c】図6cと同様の図であり、第三実施形態に係るプローブを示す。
【図8a】第四実施形態に係るプローブの部材を示す斜視図である。
【図8b】第四実施形態に係るプローブの部材を示す斜視図である。
【図9】図8aの線IX−IXに沿って切り取った部分断面図である。
【図10】第五実施形態に係るプローブを示す部分斜視図である。
【図11a】第六実施形態および第七実施形態に係るプローブを示す部分斜視図である。
【図11b】第六実施形態および第七実施形態に係るプローブを示す部分斜視図である。
【図12】プローブと動作可能に連結されたコンピュータ制御システムの概略図である。
【図13】医療器具の使用例を示す図である。
【図14】図2の拡大図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮プローブとコンピュータ制御システムとを備えた医療システムであって、
MRI適合性材料によって構成された上記経皮プローブは、
−挿入端(9)をもち、一度の治療処置の間に分析、治療およびモニタリングされる部位(10)を有する患者の身体器官(8)の組織に、経皮的に挿入されるように成形された本体と、
−共焦点デジタル内視顕微鏡の光学ヘッド(23)と、
−上記器官の上記部位(10)についての情報を収集するための少なくとも1つの情報収集センサ装置(30、33、34)と、
−位相配列として動作可能であり、集束した治療用超音波と非集束した治療用超音波とを上記器官の上記部位(10)に放射する複数の治療用変換器(30)とを有し、
上記コンピュータ制御システムが、パラメータ設定が可能なコマンド装置(50)と、関連機器(56)とを有し、該コマンド装置(50)と該関連機器(56)とが上記治療用超音波の生成を命令することを特徴とする医療システム。
【請求項2】
上記経皮プローブにおける上記情報収集センサ装置が、上記身体器官(8)の超音波イメージングを実施する少なくとも1つの超音波変換器(30)を有し、
各上記変換器(30)が、イメージングモードにおいては上記情報収集センサ装置として機能し、治療モードにおいては、上記治療用変換器として機能することを特徴とする請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
上記コンピュータ制御システムが、感知した超音波から画像を生成するための画像装置(43)を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の医療システム。
【請求項4】
上記プローブが、該プローブの上記本体を介して上記患者の身体から上記組織の一部を収集ための吸引装置(16、36)を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項5】
上記吸引装置(16、36)が、上記プローブの先端の上記挿入端の第一端(9)から第二端に向けて上記プローブの上記本体内に延びており、なおかつポンプ(36)と流体連通している吸引チャンネル(16)を有していることを特徴とする請求項4に記載の医療システム。
【請求項6】
上記情報収集センサ装置が、
−脳生理学信号を収集するための少なくとも1つの脳波検査電極(33)と、
−組織生理学信号を収集するための少なくとも1つのバイオセンサ(59)と、
−上記部位(10)の温度を測定するための少なくとも1つの熱電極(34)と、
−上記組織を採取するための生検針とのうち、少なくともいずれか1つを有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項7】
上記プローブが、該プローブの上記本体を介して上記器官から液体を排出するための液体排出管路系(16)を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項8】
上記プローブが、冷却液を該プローブの上記本体に流すための流体管路系(17、19、20、21;17、19、16)を有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項9】
上記コンピュータ制御システムが、上記プローブの上記本体に上記冷却液の流れを生み出すためのパルスポンプコマンド(53)を有していることを特徴とする請求項8に記載の医療システム。
【請求項10】
上記治療用変換器(30)が、上記治療用装置に隣接する、少なくとも直径2mmの球状の治療部位において、1秒未満、好ましくは100ミリ秒未満で少なくとも30℃、好ましくは少なくとも60℃の温度に上昇させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項11】
上記治療用変換器(30)が、上記プローブの周囲の断面直径が30mmである領域において、10ミリ秒未満で少なくとも30℃、好ましくは少なくとも60℃の温度に上昇させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項12】
上記コンピュータ制御システムが、上記プローブの上記本体を介して吸引するための連続ポンプコマンド(54)を有していることを特徴とする請求項4、5または7に記載の医療システム。
【請求項13】
上記コンピュータ制御システムが、上記治療用超音波を上記身体器官の上記部位(10)に放射するのに十分な電力を生成して上記治療用変換器(30)に供給するための少なくとも1つの電力増幅器(56)を有していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項14】
上記コンピュータ制御システムが、上記治療用超音波のパラメータを設定するための設定装置(55)を有していることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項15】
上記コンピュータ制御システムが、MRIシステムに連結されると共に、上記MRIシステムから得られた上記患者の身体のMRIデータを受信するためのMRIインターフェース(45;46)と、MRI画像を生成および操作するためのソフトウエアとを有していることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項16】
上記コンピュータ制御システムが、少なくとも超音波の生成および制御と、共焦点顕微鏡画像の生成および処理とを行うためのソフトウエアをさらに有していることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項17】
上記コンピュータ制御システムが、上記治療用超音波のパラメータを決定するためのシミュレーションソフトウエアを有していることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項18】
上記シミュレーションソフトウエアが、上記パラメータを算出するために、上記プローブ、腫瘍、および切除する予定の形状をモデル化することを特徴とする請求項17に記載の医療システム。
【請求項19】
−一度の医療処置の間に分析、治療およびモニタリングすべき部位(10)をもつ身体器官(8)の組織に、挿入端(9)を備えた本体を有し、MRI適合材料によって構成された経皮プローブ(6)の該挿入端(9)を挿入するステップと、
−上記プローブの情報収集センサ装置(30、33、34)と、共焦点内視顕微鏡の光学ヘッドとを用いて上記器官の上記部位についての情報を収集するステップと、
−位相配列として構成された、上記プローブの複数の治療用変換器(30)を用いて上記器官の上記部位に放射される集束した治療用超音波および非集束した治療用超音波のうちの少なくとも1つのパラメータを、パラメータ設定が可能なコマンド装置(50)およびコンピュータ制御システムの関連機器(56)を使用して設定するステップとを有していることを特徴とする方法。
【請求項20】
収集した上記情報を分析するステップと、上記分析に基づいて上記治療用超音波のパラメータを設定するステップとをさらに有していることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記身体器官の上記組織に上記プローブの上記挿入端(9)を経皮的に挿入するステップをさらに有していることを特徴とする請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
上記治療用超音波を放射するステップをさらに有していることを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
経皮プローブとコンピュータ制御システムとを備えた医療システムであって、
MRI適合性材料によって構成された上記経皮プローブは、
−挿入端(9)をもち、一度の治療処置の間に分析、治療およびモニタリングされる部位(10)を有する患者の身体器官(8)の組織に、経皮的に挿入されるように成形された本体と、
−共焦点デジタル内視顕微鏡の光学ヘッド(23)と、
−上記器官の上記部位(10)についての情報を収集するための少なくとも1つの情報収集センサ装置(30、33、34)と、
−位相配列として動作可能であり、集束した治療用超音波と非集束した治療用超音波とを上記器官の上記部位(10)に放射する複数の治療用変換器(30)とを有し、
上記コンピュータ制御システムが、パラメータ設定が可能なコマンド装置(50)と、関連機器(56)とを有し、該コマンド装置(50)と該関連機器(56)とが上記治療用超音波の生成を命令することを特徴とする医療システム。
【請求項2】
上記経皮プローブにおける上記情報収集センサ装置が、上記身体器官(8)の超音波イメージングを実施する少なくとも1つの超音波変換器(30)を有し、
各上記変換器(30)が、イメージングモードにおいては上記情報収集センサ装置として機能し、治療モードにおいては、上記治療用変換器として機能することを特徴とする請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
上記コンピュータ制御システムが、感知した超音波から画像を生成するための画像装置(43)を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の医療システム。
【請求項4】
上記プローブが、該プローブの上記本体を介して上記患者の身体から上記組織の一部を収集ための吸引装置(16、36)を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項5】
上記吸引装置(16、36)が、上記プローブの先端の上記挿入端の第一端(9)から第二端に向けて上記プローブの上記本体内に延びており、なおかつポンプ(36)と流体連通している吸引チャンネル(16)を有していることを特徴とする請求項4に記載の医療システム。
【請求項6】
上記情報収集センサ装置が、
−脳生理学信号を収集するための少なくとも1つの脳波検査電極(33)と、
−組織生理学信号を収集するための少なくとも1つのバイオセンサ(59)と、
−上記部位(10)の温度を測定するための少なくとも1つの熱電極(34)と、
−上記組織を採取するための生検針とのうち、少なくともいずれか1つを有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項7】
上記プローブが、該プローブの上記本体を介して上記器官から液体を排出するための液体排出管路系(16)を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項8】
上記プローブが、冷却液を該プローブの上記本体に流すための流体管路系(17、19、20、21;17、19、16)を有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項9】
上記コンピュータ制御システムが、上記プローブの上記本体に上記冷却液の流れを生み出すためのパルスポンプコマンド(53)を有していることを特徴とする請求項8に記載の医療システム。
【請求項10】
上記治療用変換器(30)が、上記治療用装置に隣接する、少なくとも直径2mmの球状の治療部位において、1秒未満、好ましくは100ミリ秒未満で少なくとも30℃、好ましくは少なくとも60℃の温度に上昇させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項11】
上記治療用変換器(30)が、上記プローブの周囲の断面直径が30mmである領域において、10ミリ秒未満で少なくとも30℃、好ましくは少なくとも60℃の温度に上昇させることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項12】
上記コンピュータ制御システムが、上記プローブの上記本体を介して吸引するための連続ポンプコマンド(54)を有していることを特徴とする請求項4、5または7に記載の医療システム。
【請求項13】
上記コンピュータ制御システムが、上記治療用超音波を上記身体器官の上記部位(10)に放射するのに十分な電力を生成して上記治療用変換器(30)に供給するための少なくとも1つの電力増幅器(56)を有していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項14】
上記コンピュータ制御システムが、上記治療用超音波のパラメータを設定するための設定装置(55)を有していることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項15】
上記コンピュータ制御システムが、MRIシステムに連結されると共に、上記MRIシステムから得られた上記患者の身体のMRIデータを受信するためのMRIインターフェース(45;46)と、MRI画像を生成および操作するためのソフトウエアとを有していることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項16】
上記コンピュータ制御システムが、少なくとも超音波の生成および制御と、共焦点顕微鏡画像の生成および処理とを行うためのソフトウエアをさらに有していることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項17】
上記コンピュータ制御システムが、上記治療用超音波のパラメータを決定するためのシミュレーションソフトウエアを有していることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項18】
上記シミュレーションソフトウエアが、上記パラメータを算出するために、上記プローブ、腫瘍、および切除する予定の形状をモデル化することを特徴とする請求項17に記載の医療システム。
【請求項19】
−一度の医療処置の間に分析、治療およびモニタリングすべき部位(10)をもつ身体器官(8)の組織に、挿入端(9)を備えた本体を有し、MRI適合材料によって構成された経皮プローブ(6)の該挿入端(9)を挿入するステップと、
−上記プローブの情報収集センサ装置(30、33、34)と、共焦点内視顕微鏡の光学ヘッドとを用いて上記器官の上記部位についての情報を収集するステップと、
−位相配列として構成された、上記プローブの複数の治療用変換器(30)を用いて上記器官の上記部位に放射される集束した治療用超音波および非集束した治療用超音波のうちの少なくとも1つのパラメータを、パラメータ設定が可能なコマンド装置(50)およびコンピュータ制御システムの関連機器(56)を使用して設定するステップとを有していることを特徴とする方法。
【請求項20】
収集した上記情報を分析するステップと、上記分析に基づいて上記治療用超音波のパラメータを設定するステップとをさらに有していることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記身体器官の上記組織に上記プローブの上記挿入端(9)を経皮的に挿入するステップをさらに有していることを特徴とする請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
上記治療用超音波を放射するステップをさらに有していることを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2011−518583(P2011−518583A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503453(P2011−503453)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054319
【国際公開番号】WO2009/125002
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(510270166)
【氏名又は名称原語表記】ITZCOVITZ,Julian
【住所又は居所原語表記】8 rue Soyer,F−92200 NEUILLY SUR SEINE,France
【出願人】(510270177)
【氏名又は名称原語表記】L’UNIVERSITE PIERRE ET MARIE CURIE−(PARIS 6)
【住所又は居所原語表記】Etablissement public a caractere scientifique,culturel et professionel 4 place Jussieu F−75252 Paris Cedex 05 France
【出願人】(510270188)
【氏名又は名称原語表記】L’ASSISTANCE PUBLIQUE−HOPITAUX DE PARIS
【住所又は居所原語表記】Etablissement public de sante 3 avenue Victoria F−75184 Paris Cedex France
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054319
【国際公開番号】WO2009/125002
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(510270166)
【氏名又は名称原語表記】ITZCOVITZ,Julian
【住所又は居所原語表記】8 rue Soyer,F−92200 NEUILLY SUR SEINE,France
【出願人】(510270177)
【氏名又は名称原語表記】L’UNIVERSITE PIERRE ET MARIE CURIE−(PARIS 6)
【住所又は居所原語表記】Etablissement public a caractere scientifique,culturel et professionel 4 place Jussieu F−75252 Paris Cedex 05 France
【出願人】(510270188)
【氏名又は名称原語表記】L’ASSISTANCE PUBLIQUE−HOPITAUX DE PARIS
【住所又は居所原語表記】Etablissement public de sante 3 avenue Victoria F−75184 Paris Cedex France
【Fターム(参考)】
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