説明

経皮吸収型製剤

【課題】 経皮吸収性薬物〔6−アミノ−5−クロロ−1−イソプロピル−2−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンズイミダゾールおよびその薬理学的に許容される塩を除く〕を製剤中に安定に存在せしめ、特に経皮吸収性薬物を粘着剤中に配合した際に生じる着色を抑制した経皮吸収型製剤の提供。
【解決手段】 経皮吸収性薬物と、2−メルカプトベンズイミダゾールおよび/または没食子酸プロピルと、無官能性粘着剤とを含有してなる粘着剤層が、支持体の少なくとも片面に形成されてなる経皮吸収型製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮吸収型製剤に関し、詳しくは経皮吸収性薬物を製剤中に安定に存在せしめ、特に製剤の着色を抑制した経皮吸収型製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薬物を皮膚面を通して生体内へ投与するための経皮吸収型製剤として、パップ剤やテープ剤などの皮膚面貼付型の外用剤が種々開発されており、これらの中で特に全身性の薬理作用を発揮する薬物を含有したテープ剤が注目されている。例えば、ニトログリセリンや硝酸イソソルビド、各種ステロイド薬、非ステロイド薬、麻酔薬、抗高血圧薬などを有効成分として粘着剤中に含有させたテープ状の経皮吸収型製剤が提案、開発され一部は上市に至っている。
【0003】
これらの経皮吸収型製剤は、アクリル系や合成ゴム系の粘着剤に各種経皮吸収性薬物を混合したものであって、皮膚面に貼付するだけで薬物が皮膚面を通して持続的に体内に吸収され、優れた薬理作用を発揮するものである。
【0004】
しかしながら、これらの製剤は、経皮吸収性薬物を粘着剤中に混合しているため、粘着剤中の各種微量成分と薬物との相互作用等により生じた分解生成物によって経皮吸収型製剤が着色を起こし、また製剤の保存期間中にその着色が増強される傾向がある。
【0005】
そこで、薬物と粘着剤中成分との反応による分解物の生成を防ぐため、該分解物の構造を明らかにして、分解抑制剤(抗酸化剤、安定化剤)などを添加する方法などが実施されている。しかし、超微量の分解生成物が生じても、許容限界を越える着色を引き起こし、この点において未だ十分な製剤は得られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、経皮吸収性薬物を製剤中に安定に存在せしめ、特に経皮吸収性薬物を粘着剤中に配合した際に生じる着色を抑制した経皮吸収型製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、経皮吸収性薬物を含む無官能性粘着剤に、さらに2−メルカプトベンズイミダゾールおよび/または没食子酸プロピルを含有させることにより、経皮吸収性薬物と無官能性粘着剤中の各種微量成分との相互作用等による着色または保存期間中での着色増強が抑制され、安定な経皮吸収型製剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち本発明は、以下の通りである。
(1)経皮吸収性薬物〔6−アミノ−5−クロロ−1−イソプロピル−2−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンズイミダゾールおよびその薬理学的に許容される塩を除く〕と、2−メルカプトベンズイミダゾールおよび/または没食子酸プロピルと、無官能性粘着剤とを含有してなる粘着剤層が、支持体の少なくとも片面に形成されてなる経皮吸収型製剤。
【0009】
(2)無官能性粘着剤が、アクリル系重合体からなる粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤およびビニルエステル系粘着剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種である(1)記載の経皮吸収型製剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、経皮吸収型製剤中に経皮吸収性薬物を安定に存在せしめ、製剤の着色または製剤保存期間中での着色増強を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の経皮吸収型製剤に用いられる支持体は、特に限定されないが、粘着剤層に含有される経皮吸収性薬物、2−メルカプトベンズイミダゾールおよび/または没食子酸プロピル、その他可塑剤、吸収促進剤等の添加剤が支持体中を通って背面から失われて含量低下を起こさないもの、すなわちこれら成分が不透過性の材質からなるものが好ましい。
【0012】
具体的にはポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、アイオノマー樹脂、アルミニウム箔などの金属箔などの単独フィルムまたはこれらのラミネートフィルムなどが挙げられる。
【0013】
該支持体の厚みは、経皮吸収型製剤のソフト感を損なわない程度、通常1〜25μm、好ましくは1〜15μmである。
【0014】
該支持体は、支持体と粘着剤層との間の投錨性(接着性)を向上させるため、特に可塑剤、吸収促進剤等の添加剤を含有した経皮吸収型製剤において、前記支持体に多孔性フィルムをラミネートした構成とし、多孔性フィルム側に粘着剤層を形成させることが好ましい。
【0015】
この多孔性フィルムとしては、具体的には紙、織布、不織布、機械的に穿孔処理したフィルムなどが挙げられる。
【0016】
多孔性フィルムの厚みは、投錨性の向上や経皮吸収型製剤全体の柔軟性を考慮すると10〜500μm、プラスタータイプ、粘着テープタイプのような薄手の製剤の場合は10〜200μmの範囲が好ましい。
【0017】
また、多孔性フィルムとして織布や不織布を用いる場合、粘着剤層の目付量を5〜30g/m、好ましくは8〜20g/mとすることが投錨性の向上の点から好ましい。さらに経皮吸収型製剤の薬物放出性を制御するために、前記支持体を比較的通気性のあるものにすることも可能である。
【0018】
本発明の経皮吸収型製剤は、上記支持体の少なくとも片面に後述する粘着剤層が形成されてなる。
【0019】
該粘着剤層は、経皮吸収性薬物〔6−アミノ−5−クロロ−1−イソプロピル−2−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンズイミダゾールおよびその薬理学的に許容される塩を除く〕と、2−メルカプトベンズイミダゾールおよび/または没食子酸プロピルと、無官能性粘着剤とを含有する。
【0020】
本発明に用いられる無官能性粘着剤は、皮膚面に経皮吸収型製剤を密着固定して、含有する経皮吸収性薬物を皮膚面に放出する機能を有するものであり、経皮吸収性薬物をできるだけ分解せずに安定に保持できるように、粘着剤を構成する分子末端に−OH、−COOH、−NHなどの極性官能基や反応性不飽和結合を実質的に有しないものであって、具体的には共重合反応に実質的に関与しないものをいう。
【0021】
無官能性粘着剤として、具体的にはアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタアクリル酸アルキルエステル〔以下、「アクリル酸および/またはメタアクリル酸」を「(メタ)アクリル酸」ともいう〕、および/またはそのアルコキシ変性単量体を重合してなるアクリル系重合体からなる粘着剤;ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体などのゴム系粘着剤;シリコーンゴムや、ジメチルシロキサンベース、ジフェニルシロキサンベースなどのシリコーン系粘着剤;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル系粘着剤;酢酸ビニル−エチレン共重合体などのビニルエステル系粘着剤;ジメチルテレフタレート,ジメチルイソフタレート,ジメチルフタレート等のカルボン酸成分とエチレングリコール等の多価アルコール成分からなるポリエステル系粘着剤などが挙げられる。好ましくは、アクリル系重合体からなる粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤およびビニルエステル系粘着剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0022】
中でも、皮膚接着性、薬物溶解性、薬物安定性などの点から、アクリル系重合体からなる粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエステル系粘着剤が好ましく、アクリル系重合体からなる粘着剤、ポリイソブチレン、スチレン−イソプレン(またはブタジエン)−スチレンブロック共重合体などのゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤がより好ましい。
【0023】
上記アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/またはそのアルコキシ変性単量体を主成分として重合してなる。該(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、皮膚接着性の点から、そのアルキル基が炭素数4〜12の直鎖または分岐状アルキル基である(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。アクリル系重合体としては、この1種類もしくは2種類以上を単量体として50重量%以上配合してなるものが好ましい。
【0024】
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルコキシ変性単量体とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基を、炭素数1〜10の直鎖または分岐状アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエチレングリコール基、メトキシポリエチレングリコール基など)で変性したものであり、具体的には(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステルなどが挙げられる。皮膚接着性、薬物溶解性、薬物安定性などの点から、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに50重量%を越えない範囲で共重合させることが好ましい。
【0025】
該アクリル系重合体は、上記単量体以外に、粘着剤の凝集性を向上させるためにスチレン、(メタ)アクリル酸フェニルエステル、そのアルキル基が炭素数3以下の直鎖または分岐状アルキル基である(メタ)アクリル酸アルキルエステル〔例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステルなど〕、酢酸ビニルなどの単量体を用いて共重合させることもできる。
【0026】
また、該無官能性粘着剤には、必要に応じて、粘着性をさらに向上させるために、粘着性付与剤(例えば、ロジン、変性ロジン、石油系樹脂、ポリテルペン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブテン樹脂、液状ポリイソブチレンなど)、可塑剤(例えば、流動パラフィンなど)、吸収促進剤、界面活性剤、充填剤などの公知の添加剤が配合されていてもよい。
【0027】
上記無官能性粘着剤と共に粘着剤層に含有される経皮吸収性薬物は、6−アミノ−5−クロロ−1−イソプロピル−2−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンズイミダゾールおよびその薬理学的に許容される塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩など)が除外される。本発明者らは、無官能性粘着剤と、2−メルカプトベンズイミダゾールおよび/または没食子酸プロピルとを組み合わせることにより、驚くべきことに薬物種に関係なく、安定性、着色防止に効果を発揮することを見いだした。したがって、経皮吸収性の薬物であれば特に制限されないが、経皮吸収性薬物として、例えば分子量400以下、融点300℃以下、水への溶解度4mg/ml以下の脂溶性薬物が挙げられる。該経皮吸収性薬物は、コルチコステロイド類、鎮痛消炎剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌剤、抗真菌剤、ビタミン剤、冠血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、性ホルモン、抗鬱剤、脳循環改善剤、制吐剤、抗腫瘍剤、生体医薬などの種類の薬物である。
【0028】
これらの薬物の含有量は、薬物種や投与目的に応じて適宜設定することができるが、通常、粘着剤層中に1〜40重量%、好ましくは2〜30重量%程度含有させる。含有量が1重量%未満であると、治療や予防に有効な量の薬物放出が期待できない傾向があり、また40重量%を越えると、治療や予防効果が飽和に達し、経済的に不利となる傾向がある。
【0029】
本発明の経皮吸収型製剤の粘着剤層に、上記経皮吸収性薬物と共に含有される2−メルカプトベンズイミダゾールおよび/または没食子酸プロピルは、該経皮吸収性薬物との相互作用等(酸化、光分解、加水分解)によって着色を引き起こす無官能性粘着剤中の微量成分に作用し、経皮吸収性薬物と無官能性粘着剤中微量成分との反応を阻害すると思われる。これにより、経皮吸収性薬物を製剤中に安定に存在せしめることができ、相互作用等による着色または保存期間中の着色増強を抑制することができる。
【0030】
2−メルカプトベンズイミダゾールおよび/または没食子酸プロピルの総含有量は、無官能性粘着剤の種類や経皮吸収性薬物の種類さらには着色の強弱に応じて適宜設定することができるが、通常、粘着剤層中に0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜3重量%、さらに好ましくは0.03〜2重量%程度の範囲である。これらは単独または併用して粘着剤層中に配合することができる。
【0031】
これら2−メルカプトベンズイミダゾールおよび/または没食子酸プロピルの含有量が少なすぎると充分な阻害作用が発揮されにくくなり、着色の抑制効果はあまり望めなくなる傾向がある。一方、これらの含有量が多すぎると、経皮吸収性薬物や、架橋剤などの粘着剤層中の他成分などとの相互作用が起こる可能性があり、さらに別の反応生成物が生じて再び製剤の安定性が低下し易くなる傾向がある。
【0032】
本発明に用いられる粘着剤層は、上記無官能性粘着剤中に、経皮吸収性薬物と、2−メルカプトベンズイミダゾールおよび/または没食子酸プロピルとを含有させてなることが好ましいが、経皮吸収性薬物を無官能性粘着剤中に含有させずに、該薬物をそのままもしくは適当な溶剤に溶解した溶液として無官能性粘着剤層と支持体との界面に介在させ、製剤周縁部をシールした形態として粘着剤層とすることもできる。この場合、2−メルカプトベンズイミダゾールおよび/または没食子酸プロピルは、薬物含有層中、あるいは無官能性粘着剤層中のいずれに存在していてもよい。このように粘着剤層を、無官能性粘着剤層と薬物含有層とに分離することによって、経日保存での薬物分解をより抑制することができる。この場合、薬物含有層と無官能性粘着剤層との間に微孔性フィルムを介在させることによって、薬物の放出の厳密な制御を行うことも可能である。該粘着剤層の厚みは、通常10〜200μm、好ましくは15〜150μmである。
【0033】
本発明の経皮吸収型製剤の製造方法は特に限定されず、例えば無官能性粘着剤、2−メルカプトベンズイミダゾールおよび/または没食子酸プロピル、経皮吸収性薬物の順で溶媒に溶解または分散させ、必要に応じて既知の粘着付与剤、可塑剤、吸収促進剤、界面活性剤、充填剤などを添加し、得られた溶液または分散液を支持体の少なくとも片面に塗布し、乾燥して粘着剤層を支持体の表面に形成させる方法などが挙げられる。また、上記の溶液または分散液を保護用の剥離シート上に塗布し、乾燥して剥離シート上に粘着剤層を形成させ、そののちに支持体を粘着剤層に接着させることによっても製造することができる。
【0034】
本発明の経皮吸収型製剤は、製造、運搬または保存中に粘着剤層が、いたずらに器具、容器などに接着することを防止するために、また製剤の劣化を防止するために、粘着剤層表面に剥離シートを積層しておくことができる。そして使用時にこれを剥離して、粘着剤層面を露出させ、皮膚に貼付して投与する。
【0035】
剥離シートとしては、使用時に粘着剤層から容易に剥離されるものであれば特に限定されず、例えば粘着剤層との接触面にシリコーン処理が施された、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレートなどのフィルム、あるいは上質紙またはグラシン紙とポリオレフィンとのラミネートフィルムなどが用いられる。該剥離シートの厚みは、通常1000μm以下、好ましくは30〜200μmである。
【0036】
本発明の経皮吸収型製剤の投与量は、使用する経皮吸収性薬物の種類、患者の年齢、体重、症状などにより異なるが、通常、成人に対して一回当たり経皮吸収性薬物1〜500mgを含有した当該製剤を、皮膚1〜100cmに1日に1回〜7日に1回程度貼付する。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明を詳細に述べるが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、以下の記載において、部および%はそれぞれ重量部および重量%を意味する。
【0038】
〔粘着剤A溶液の調製〕
アクリル酸2−エチルヘキシルエステル60部と、メタクリル酸メチルエステル40部とを、不活性ガス雰囲気下、酢酸エチル中にて重合反応を行い、粘着剤A溶液を調製した。
【0039】
〔粘着剤B溶液の調製〕
アクリル酸ブチルエステル30部、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル30部およびメタクリル酸エチルエステル40部を、粘着剤A溶液と同様の操作で重合して粘着剤B溶液を調製した。
【0040】
〔粘着剤C溶液の調製〕
アクリル酸2−エチルヘキシルエステル50部、アクリル酸2−メトキシエチルエステル25部および酢酸ビニル25部を、粘着剤A溶液と同様の操作で重合して粘着剤C溶液を調製した。
【0041】
〔粘着剤D溶液の調製〕
ポリイソブチレン(粘度平均分子量12万)30部、ポリイソブチレン(粘度平均分子量6万)30部および流動パラフィン40部を均一に混合し、粘着剤D溶液を調製した。
【0042】
実施例1〜15、比較例1〜9
表1に示す配合割合に従って、各粘着剤溶液を調製し、得られた溶液をポリエステル製セパレーター(75μm厚)上に乾燥後の厚みが約40μmとなるように塗布、乾燥して粘着剤層を作製した。次いで、この粘着剤層をポリエステル製フィルム(12μm厚)に貼り合わせて経皮吸収型製剤を作製した。なお、表中、2−MBIは2−メルカプトベンズイミダゾールを、PGaは没食子酸プロピルを示す。また、含量は乾燥後の粘着剤層中の含量として表す。
【0043】
【表1】

【0044】
上記各実施例および比較例にて作製した経皮吸収型製剤について、以下に示す製剤着色度試験を行った。
【0045】
〔製剤着色度試験〕
各経皮吸収型製剤について、製剤作製直後および50℃密閉状態にて1ヵ月間保存後、各製剤の着色度を確認した。各製剤を適当な大きさに打ち抜き、色彩色差計CR−200(ミノルタ社製)を用いて、各製剤の着色度Δbを測定した。また、各製剤について、経皮吸収性薬物、2−メルカプトベンズイミダゾールおよび/または没食子酸プロピルを全く含んでいないテープの着色度Δbを測定し、これをブランク値として各製剤の着色度Δbから差し引いて製剤着色度(Δb−Δb)を算出した。さらに、50℃密閉状態にて1ヵ月間保存後の製剤着色度から、製剤作製直後の製剤着色度を差し引いて着色増強度とした。
【0046】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮吸収性薬物〔6−アミノ−5−クロロ−1−イソプロピル−2−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンズイミダゾールおよびその薬理学的に許容される塩を除く〕と、2−メルカプトベンズイミダゾールおよび/または没食子酸プロピルと、無官能性粘着剤とを含有してなる粘着剤層が、支持体の少なくとも片面に形成されてなる経皮吸収型製剤。
【請求項2】
無官能性粘着剤が、アクリル系重合体からなる粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤およびビニルエステル系粘着剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の経皮吸収型製剤。


【公開番号】特開2008−101028(P2008−101028A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8127(P2008−8127)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【分割の表示】特願平9−241435の分割
【原出願日】平成9年9月5日(1997.9.5)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】