説明

経皮吸収製剤並びにその製造方法

【課題】 高い伸縮性を有しているため使用感に優れており、しかもODT効果において優れているため薬物の高い経皮吸収性を達成することが可能な経皮吸収製剤を提供すること。
【解決手段】 支持体と前記支持体の表面上に配置された粘着剤層とを備えた経皮吸収製剤であって、前記支持体がカレンダー加工を施した織布又は編布からなるものであり、前記粘着剤層の厚さが20〜200μmであり、前記支持体に面した前記粘着剤層の表面の凹凸の高低差が10〜100μmであり、且つ、前記凹凸の高低差と前記粘着剤層の厚さとの比率(前記凹凸の高低差/前記粘着剤層の厚さ)が0.01〜0.5であることを特徴とする経皮吸収製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮吸収製剤並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全身性薬物を含有する経皮吸収製剤は、一般にフィルムからなる支持体を使用することが多い。フィルムからなる支持体は、透湿性が小さいため皮膚から蒸散される水分を遮蔽する(閉塞状態にする)ことによって皮膚の角質層を湿潤させ、薬物の経皮吸収性が高まる効果(Occlusive Dressing Technique 効果(以下、「ODT効果」という))を有する。
【0003】
しかし、汎用のプラスチック材料等からなる閉塞性のフィルム支持体は伸縮性が乏しく、皮膚に対する物理的ストレスを生じて皮膚刺激の原因となったり、皮膚の伸縮に対して製剤が追従できないために製剤が皮膚から剥がれ易く、目的とする薬物の吸収が達せられないという問題があった。
【0004】
そこで、例えば、特開平2−270818号公報(特許文献1)には、適度な閉塞性と伸縮性を併せ持つ非多孔性のフィルムを支持体とする貼付剤が開示されている。しかしながら、このようなフィルム製の支持体は伸縮性を高くすれば自己支持性が弱くなるため、皺を生じさせずに製剤を皮膚面に上手に貼ることが難しくなるという問題があった。
【0005】
一方、製剤の伸縮性を良くするために、支持体に不織布、織布、多孔質シート等の伸縮性に優れる素材を用いる場合もある。しかし、不織布や織布等を支持体とする経皮吸収製剤は透湿性が高過ぎるため、ODT効果が得られず、薬物の経皮吸収性の点で十分な性能を発揮することはできなかった。また、このような材料は皮膚への追従性に優れ、皮膚に対して物理ストレスを与えないという点では優れているが、製剤としたときの取扱いが難しく、製剤を貼り損じてしまい易いという問題もあった。
【0006】
そこで、例えば、特開平5−309128号公報(特許文献2)には、薄いフィルムに不織布を積層して自己支持性を高めた支持体材料を用いた貼付製剤が開示されている。しかしながら、このような薄いフィルムに不織布を積層した支持体材料は、貼付製剤の辺縁部において前記薄いフィルムが皮膚と接するとき、厚いフィルム支持体の場合よりもかえって皮膚を傷め易く、また、同出願人が特開2008−127351公報(特許文献3)において記載しているように、フィルムと不織布とを接着するために用いられるバインダーが貼付製剤の柔軟性を損なうため、求める伸縮性が得られ難い等の問題があった。
【0007】
そこで、例えば、特開2005−170828号公報(特許文献4)には、貼付剤の貼りやすさを目的として、カレンダー加工により伸縮性布帛を部分的に形態固定したことを特徴とする貼付剤用布帛が開示されている。しかしながら、特許文献4において開示されているカレンダー加工は、繊維同士を結合、固定させる程の高温高圧の条件下で行われるものであり、一般の繊維加工業者が布帛の2次加工として行うには難しい特殊な条件であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2−270818号公報
【特許文献2】特開平5−309128号公報
【特許文献3】特開2008−127351公報
【特許文献4】特開2005−170828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高い伸縮性を有しているため使用感に優れており、しかもODT効果において優れているため薬物の高い経皮吸収性を達成することが可能な経皮吸収製剤並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、支持体と前記支持体の表面上に配置された粘着剤層とを備えた経皮吸収製剤の前記支持体がカレンダー加工を施した織布又は編布からなるものとし、前記粘着剤層の厚さを20〜200μmとし、前記支持体に面した前記粘着剤層の表面の凹凸の高低差を10〜100μmとし、且つ、前記凹凸の高低差と前記粘着剤層の厚さとの比率(前記凹凸の高低差/前記粘着剤層の厚さ)を0.01〜0.5とすることにより、高い伸縮性を有し、且つODT効果において優れ、薬物を皮膚から良好に吸収させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の経皮吸収製剤は、支持体と前記支持体の表面上に配置された粘着剤層とを備えた経皮吸収製剤であって、
前記支持体がカレンダー加工を施した織布又は編布からなるものであり、前記粘着剤層の厚さが20〜200μmであり、前記支持体に面した前記粘着剤層の表面の凹凸の高低差が10〜100μmであり、且つ、前記凹凸の高低差と前記粘着剤層の厚さとの比率(前記凹凸の高低差/前記粘着剤層の厚さ)が0.01〜0.5であることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の経皮吸収製剤の製造方法は、支持体と前記支持体の表面上に配置された粘着剤層とを備えた経皮吸収製剤の製造方法であって、
織布又は編布にカレンダー加工を施して支持体を得る工程と、
前記支持体の表面上に粘着剤層を配置し、前記粘着剤層の厚さが20〜200μmであり、前記支持体に面した前記粘着剤層の表面の凹凸の高低差が10〜100μmであり、且つ、前記凹凸の高低差と前記粘着剤層の厚さとの比率(前記凹凸の高低差/前記粘着剤層の厚さ)が0.01〜0.5である粘着剤層を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
【0013】
なお、本発明における前記粘着剤層の厚さとは、経皮吸収製剤の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、図1に示すように、粘着剤層1の支持体2に面していない方の表面を第一の基準線3とし、支持体2に面した表面の凸部の最も高い点を通り且つ第一の基準線3に平行な線を第二の基準線4とした場合において、第二の基準線4から第一の基準線3までの距離を測定した値(L1)のことである。また、本発明における前記支持体に面した前記粘着剤層の表面の凹凸の高低差とは、支持体2に面した表面の凹部の最も低い点を通り且つ第一の基準線3に平行な線を第三の基準線5とした場合における、第二の基準線4から第三の基準線5までの距離を測定した値(L2)のことである。
【0014】
また、本発明にかかる凹凸の平均ピッチとしては50〜600μmであることが好ましい。なお、本発明における凹凸の平均ピッチとは、経皮吸収製剤の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、隣り合う凸部の中心間の距離を10箇所測定して得られた平均値のことである。
【0015】
さらに、本発明にかかる粘着剤層の粘度としては3000〜9000Pa・sであることが好ましい。なお、本発明における粘度とは、試料(粘着剤層等)の所定の温度での粘度をJIS K−7210に記載の方法に準拠した方法により、フローテスター(SHIMADZU社製、製品名「FLOWTESTER CFT−100」)を用いて測定した値のことであり、本発明にかかる粘着剤層の粘度とは、支持体の表面上に配置する際の粘着剤層を前記方法にて測定した値のことである。
【0016】
また、本発明にかかる支持体の厚さとしては0.05〜0.5mmであり、且つ前記支持体の目付が30〜180g/mであることが好ましい。
【0017】
さらに、本発明にかかる支持体の通気度としては30〜130cm/cm/sであることが好ましい。なお、本発明における通気度とは、JIS L1096 8.27.1 Aに記載の方法(フラジール形法)に準拠した方法により測定した値のことである。
【0018】
また、本発明にかかる支持体の50%モジュラスとしては1〜20N/50mmであることが好ましい。なお、本発明における50%モジュラスとは、JIS Z 0237−1991.6に記載に準拠した方法により、幅50mmの試料(支持体等)を引張速度:50mm/minの条件で測定した値、すなわち50%伸びにおける引張り強さのことである。
【0019】
なお、本発明の経皮吸収製剤が、高い伸縮性を有しているため使用感に優れており、しかもODT効果において優れているため薬物の高い経皮吸収性を達成することができる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、支持体と前記支持体の表面上に配置された粘着剤層とを備えた経皮吸収製剤において、前記支持体に面した前記粘着剤層の表面の凹凸の高低差を所定の厚さに制限することにより、前記粘着剤層の厚さの薄い部位の形成を抑制することができ、前記支持体の表面上に前記粘着剤層が均一な厚さで積層される。前記粘着剤層の厚さの薄い部位は透湿性が高いため、かかる部位の形成を抑制することによって、皮膚からの水分の蒸散を抑え、皮膚の角質層を湿潤させ、薬物の高い経皮吸収性を達成することができるようになると推察する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高い伸縮性を有しているため使用感に優れており、しかもODT効果において優れているため薬物の高い経皮吸収性を達成することが可能な経皮吸収製剤並びにその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】支持体と粘着層とを備えた経皮吸収製剤を示す概略断面図である。
【図2】実施例1で得られた経皮吸収製剤の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】比較例1で得られた経皮吸収製剤の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】比較例2で得られた経皮吸収製剤の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例1及び比較例1で得られた経皮吸収製剤についての皮膚透過試験の結果を示すグラフである。
【図6】比較例1及び2で得られた経皮吸収製剤についての皮膚透過試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0023】
本発明の経皮吸収製剤は、支持体と前記支持体の表面上に配置された粘着剤層とを備えた経皮吸収製剤であって、前記支持体がカレンダー加工を施した織布又は編布からなるものであり、前記粘着剤層の厚さが20〜200μmであり、前記支持体に面した前記粘着剤層の表面の凹凸の高低差が10〜100μmであり、且つ、前記凹凸の高低差と前記粘着剤層の厚さとの比率(前記凹凸の高低差/前記粘着剤層の厚さ)が0.01〜0.5であることを特徴とするものである。
【0024】
先ず、本発明において用いられる支持体について説明する。本発明において用いられる支持体はカレンダー加工を施した織布又は編布からなり、後述の粘着剤層を保持するものである。
【0025】
本発明において用いられ、後述のカレンダー加工が施される織布又は編布は、特に制限されないが、試料幅50mm、試料長200mm及び伸長速度200mm/minの測定条件での50%モジュラス試験において、縦方向の強度が100g〜2000g/50mmであり、横方向強度が100g〜2000g/50mmであるものが好ましい。
【0026】
また、本発明において用いられる織布又は編布の伸張回復率は、縦横とも50%以上であることが好ましく、剛軟度は10〜100mmであることが好ましく、さらに厚みは0.1〜2mmであるものが好ましい。
【0027】
なお、本発明における伸張回復率とはJIS L 1096 B−1に記載の方法(定荷重法)に準拠した方法により測定した値のことであり、本発明における剛軟度とはJIS L 1096−1999に記載の方法(45°カンチレバー法)に準拠した方法により測定した値のことである。
【0028】
また、本発明において用いられる織布又は編布の種類は特に制限されず、例えば、織布としては平織り、綾織、朱子織が挙げられ、編布としては横編み、縦編みのいずれでもよく、例えば、メリヤス編、トリコット編、ミラニーズ編、ラッセル編が挙げられる。かかる織布及び編布の中では、メリヤス編に後述のカレンダー加工を施し本発明の支持体として用いることが好ましい。さらに、メリヤス編としては、緯メリヤス編の編布、経メリヤス編の編布、経糸と緯糸を編成したの編布があり、緯メリヤス編としては、例えば、天竺編、ゴム編、パール編(ガータ編)が挙げられ、経メリヤス編としては、一重編構造としてデンビ編、コード編、アトラス編、くさり編が、二重以上の編構造としてハーフ編、逆ハーフ編、クインズコード編、ダブルアトラス編が挙げられる。
【0029】
また、本発明において用いられる織布又は編布の繊維の形態は特に制限されず、例えばモノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、紡績糸が挙げられる。これらの中では、特にメリヤス編にしたときに高い伸縮性を有する経皮吸収製剤が得られるという観点から、マルチフィラメント糸を用いることが好ましい。
【0030】
さらに、本発明において用いられる織布又は編布の繊維の材質は特に限定はされず、例えば、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース誘導体が挙げられる。これらの中では、後述の粘着剤層に含有される薬物が吸着しない等の耐性の観点から、ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
【0031】
また、本発明において用いられる織布又は編布の繊維のフィラメント径、フィラメント数は特に限定はされないが、前記メリヤス編に用いる場合は、フィラメント径が10nm〜10μmであり、フィラメント数は10〜100本/糸であるマルチフィラメント糸が好ましく用いられ、かかるメリヤス編の編布としては、目付が30〜180g/mのものが好ましい。
【0032】
なお、かかる織布又は編布は高い伸縮性を有しているものの、高い通気度、透湿度等を有しており、さらに空隙率が大きいため後述の粘着剤層が支持体に食い込み易くなる。然るに、かかる織布又は編布には後述のカレンダー加工を施し、布中の密度を高め、通気度等並びに粘着剤層の食い込みを低減させる必要がある。
【0033】
本発明において用いられるカレンダー加工を施した織布又は編布、すなわち支持体としては、厚さが0.05〜0.5mmであり、且つ目付が30〜180g/mであるものが好ましく、厚さが0.2〜0.5mmであり、且つ目付が50〜150g/mであるものがより好ましい。本発明において用いられる支持体の厚さ及び目付が前記下限未満だと、前記支持体中の空隙率が大きくなるため、後述の粘着剤層を配置した際に、粘着剤が支持体に食い込み易くなり、ひいては粘着剤層が支持体を貫通してしまい、粘着剤層に含有される薬物等の保存性が悪くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粘着剤が支持体に入りにくくなるため、支持体への粘着剤層の積層が困難になる傾向となる。
【0034】
また、本発明において用いられる支持体としては、通気度が30〜130cm/cm/sであるものが好ましく、40〜90cm/cm/sであるものがより好ましい。本発明において用いられる支持体の通気度が前記下限未満だと、経皮吸収製剤の透湿度が低くなるため、皮膚が過度にむれる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、経皮吸収製剤の透湿度が高くなるため、ODT効果が得られにくくなる傾向となる。
【0035】
さらに、本発明において用いられる支持体としては、50%モジュラスが1〜20N/50mmであるものが好ましく、2〜15N/50mmであるものがより好ましい。本発明において用いられる支持体の50%モジュラスが前記下限未満だと、経皮吸収製剤の皮膚等への貼付が困難になる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、皮膚への追従性が悪くなり、経皮吸収製剤が皮膚から剥れやすくなる傾向となる。
【0036】
次に、本発明において用いられる粘着剤層について説明する。本発明において用いられる粘着剤層は前記支持体の一方の表面に積層され皮膚等への貼付を可能とするものであり、感圧接着性を有する粘着剤と経皮吸収させるべき薬物とを含有する層である。
【0037】
また、本発明において用いられる粘着剤層の厚さとしては、20〜200μmであり、50〜175μmであることが好ましい。本発明において用いられる粘着剤層の厚さが前記下限未満だと、経皮吸収製剤の皮膚に対する付着性が悪くなり、他方、前記上限を超えると、前記支持体による粘着剤層の保持ができなくなる。
【0038】
また、本発明において用いられる粘着剤層が含有する感圧接着性を有する粘着剤としては特に制限されず、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、シリコン系粘着剤、水性高分子からなるハイドロゲル等、またはこれらの混合物を用いることができる。これらの中では、経皮吸収製剤の薬物の放出性の観点から、ポリアクリル酸エステル系粘着剤とゴム系粘着剤との混合物を用いることが好ましく、かかる混合比率(ポリアクリル酸エステル系粘着剤:ゴム系粘着剤)としては質量比で、1:9〜9:1であることが好ましい。
【0039】
かかるポリ(メタ)アクリル酸エステル系粘着剤はアクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルを主なモノマー単位とする重合体からなるものであり、主モノマー単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられ、これらを単独又は複数組み合わせて用いることができる。これらの中では、粘着特性の観点から、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルを主モノマー単位としたポリ(メタ)アクリル酸エステル系粘着剤を用いることが好ましい。
【0040】
また、前記主モノマーに対して任意に共重合される副モノマーは特に限定されず、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、メチルビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニルが挙げられ、経皮吸収製剤の用途により必要であれば、これらを単独又は複数組み合わせて用いることができる。
【0041】
さらに、かかるゴム系粘着剤としては、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体が挙げられ、これらを単独又は複数組み合わせて用いることができる。これらの中では、経皮吸収製剤の薬物の放出性並びに粘着剤の凝集力の観点から、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を用いることが好ましい。
【0042】
また、ポリウレタン系粘着剤としては、例えば脂肪族系ポリウレタン粘着剤、芳香族系ポリウレタン粘着剤を用いることができ、さらに、かかるシリコン系粘着剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等のシリコンゴムを主成分とするものを用いることができ、また、水性高分子からなるハイドロゲルとしては、例えば、ゼラチン、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース等を主成分とするものを用いることができる。
【0043】
さらに、本発明において用いられる粘着剤層は、実質的に水を含有しないことが好ましい。本発明において実質的に水を含有しないということは、カールフィッシャー法により測定された粘着剤層の含水率が10%未満であるということであり、前記含水率が前記下限を超えると、経皮吸収製剤の貼付中に粘着剤層の水分が増減することにより、粘着物性や薬物吸収性が変化(増減)し易い傾向となる。
【0044】
また、本発明において粘着剤層に含有される薬物としては特に制限されず、経皮吸収製剤が用いられる治療目的に応じて任意に選択することができ、例えば、全身麻酔薬、睡眠薬、鎮痛薬、解熱消炎鎮痛薬、ステロイドホルモン薬、興奮・覚醒薬、精神神経用薬、局所麻酔薬、骨格筋弛緩薬、自立神経用剤、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、強心薬、不整脈用薬、利尿薬、血圧降下薬、血管収縮薬、血管拡張薬、カルシウム拮抗薬、抗・殺菌薬、寄生性皮膚疾患用薬、皮膚軟化薬、抗生物質、解毒薬、鎮咳薬、鎮痒薬、催眠薬、精神活力薬、ぜんそく薬、ホルモン分泌促進薬、抗潰瘍薬、制癌薬、ビタミン薬が挙げられる。
【0045】
さらに、本発明において用いられる粘着剤層の前記薬物の含有量としては特に制限されず、各薬物の粘着剤層への溶解度、投与量等を考慮し、適宜選択される。
【0046】
また、本発明において用いられる粘着剤層としては、前記粘着剤及び前記薬物以外にも、経皮吸収製剤として配合される公知の添加剤を含有していてもよく、例えば、粘着付与樹脂、可塑剤、経皮吸収促進剤、溶解剤、安定化剤、充填剤、増粘剤、pH調整剤を用いることができる。
【0047】
さらに、本発明において用いられる粘着剤層の前記公知の添加剤(粘着付与樹脂等)の含有量としては特に制限されないが、10〜80質量%であることが好ましい。前記粘着剤の含有量が前記下限未満だと経皮吸収製剤の薬物の放出性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、所望の粘着特性が得られにくい傾向となる。
【0048】
このような粘着付与樹脂としては、例えば、脂環族飽和炭化水素樹脂、(水添)ロジンエステル類、(水添)テルペン系樹脂等の粘着付与樹脂を用いることができ、1種又は2種以上の組合せを使用することができる。これら化合物の中では、脂環族系飽和炭化水素樹脂を用いることが好ましい。
【0049】
また、このような可塑剤としては、他の粘着剤層の成分と相溶性がよく、粘着剤層に柔軟性を与えるものであればよく、液状ポリイソプレン、液状ポリブテン、流動パラフィン、アーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ラッカセイ油、スクワレン、スクワラン等の動物油や植物油、脂肪酸類、脂肪酸エステル類を用いることができ、1種又は2種以上の組合せを使用することができる。これら化合物の中では、流動パラフィンを用いることが好ましい。
【0050】
さらに、経皮吸収促進剤としては、例えば、脂肪酸、脂肪酸エステル、多価アルコール、アルコール、界面活性剤、有機塩基及びその塩、有機酸及びその塩、ビタミン、レシチンを用いることができ、1種又は2種以上の組合せを使用することができる。これら化合物の中では、脂肪酸エステルと、有機酸及びその塩との混合物を用いることが好ましい。
【0051】
次に、本発明の経皮吸収製剤について説明する。本発明の経皮吸収製剤は、前記支持体と前記粘着剤層とを備えた経皮吸収製剤であって、前記粘着剤層の厚さが20〜200μmであり、前記支持体に面した前記粘着剤層の表面の凹凸の高低差が10〜100μmであり、且つ、前記凹凸の高低差と前記粘着剤層の厚さとの比率(前記凹凸の高低差/前記粘着剤層の厚さ)が0.01〜0.5であることを特徴とするものである。前記凹凸の高低差と前記粘着剤層の厚さとの比率、及び前記凹凸の高低差等が前記下限未満だと前記粘着剤層が前記支持体に食い込みにくく、前記支持体と前記粘着層との粘着力が弱くなるため、前記支持体が前記粘着層を保持することができず、他方、前記上限を超えると、前記粘着剤層の前記支持体への食い込みが過度に大きくなり前記粘着剤層の厚さの薄い部位が多く形成されることになるため、皮膚からの水分の蒸散を抑え、皮膚の角質層を湿潤させ、薬物の高い経皮吸収性を達成することができなくなる。
【0052】
また、前記支持体に面した前記粘着剤層の表面の凹凸の高低差としては15〜80μmであることが好ましい。前記凹凸の高低差が前記下限未満だと前記支持体への前記粘着剤層の投錨性が不足する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、経皮吸収製剤の透湿度が増加し、薬物の経皮吸収性が低下する傾向となる。
【0053】
さらに、前記凹凸の高低差と前記粘着剤層の厚さとの比率(前記凹凸の高低差/前記粘着剤層の厚さ)としては0.05〜0.4であることが好ましい。前記比率が前記下限未満だと前記支持体への前記粘着剤層の投錨性が不足する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、経皮吸収製剤の透湿度が増加し、薬物の経皮吸収性が低下する傾向となる。
【0054】
また、本発明の経皮吸収製剤における前記凹凸の平均ピッチは50〜600μmであることが好ましく、100〜400μmであることがより好ましい。前記凹凸の平均ピッチが前記下限未満だと、前記粘着剤層の前記支持体への食い込みが過度になるため、経皮吸収製剤の透湿度が高くなり、薬物を皮膚に良好に吸収させることが困難になる傾向になり、他方、前記上限を超えると、前記支持体が前記粘着層を保持することが困難になる傾向となる。
【0055】
さらに、本発明の経皮吸収製剤としては、前記支持体及び前記粘着剤層の他に、剥離ライナー層を備えていてもよい。本発明において用いられる剥離ライナー層は、前記前記粘着剤層の前記支持体が配置されていない方の表面に配置されるものであり、製剤の保存中には粘着剤層を被覆して保護し、製剤の使用の際には除去されるものである。
【0056】
また、本発明において用いられる剥離ライナー層の材質としては特に制限されないが、前記粘着剤層に長期間暴露されるため、前記粘着剤層の成分に対して物理的耐性及び化学的耐性があり、特に薬物を吸着したりしない材質が好ましく、例えば、プラスチックフィルム、ゴムシート、布、紙、金属箔が挙げられる。このようなプラスチックフィルムとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート、ポリイミドフィルム、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリビニルアルコールからなるフィルムが挙げられる。また、このような布としては、レーヨン、麻、綿等からなる織布及び不織布が挙げられ、このような紙としては、クラフト紙、和紙、クレープ紙が挙げられる。また、金属箔としてはアルミニウム、銅、鉛、ステンレスからなる箔が挙げられる。さらに、このようなフィルム等に関しては1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このようなフィルム等の中では、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましい。
【0057】
さらに、このようなフィルム等には支持体との剥離性を高めるという観点から、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の離型処理を施して用いることが好ましい。
【0058】
また、本発明において用いられる剥離ライナー層の厚さとしては特に制限されず、前記材質等によって適宜選択されるものであるが、50〜100μmであることが好ましい。
【0059】
次に、本発明の経皮吸収製剤の製造方法について説明する。本発明の経皮吸収製剤の製造方法は、前記支持体と前記粘着剤層とを備えた経皮吸収製剤の製造方法であって、織布又は編布にカレンダー加工を施して前記支持体を得る工程と、前記支持体の表面上に配置し前記粘着剤層を得る工程と、を含むことを特徴とする経皮吸収製剤の製造方法である。
【0060】
本発明において用いられる織布又は編布をカレンダー加工する方法としては、複数のロールの間に前記織布又は編布を通し圧延する方法であれば特に制限されず、例えば、熱をかけながら圧延する方法(ホットカレンダー処理)、熱をかけずに圧延する方法(コールドカレンダー処理)が挙げられる。かかる方法においては、熱をかけながら圧延すると加工圧力、加工時間が低減できるという経皮吸収製剤の作製上の効率性の観点から、ホットカレンダー処理を前記織布又は前記編布に施すのが好ましい。なお、本発明において用いられるホットカレンダー処理の条件(加工温度、加工圧力、圧延時間等)は特に制限されず、前記織布又は前記編布の材質や厚さ等によって適宜選択される。
【0061】
また、前記支持体の表面上に配置し前記粘着剤層を得る方法としては特に制限されず、
例えば、溶剤法、ホットメルト法が挙げられる。
【0062】
ホットメルト法を採用する場合は、前記粘着剤及び前記薬物(必要に応じて前記添加剤等も含む)を加熱しながら混合して、均一な溶融液を調製する。次に、前記溶融液を前記支持体上に所定の厚さに展延した後、室温にて冷却することで、前記支持体の表面上に配置された前記粘着剤層を得ることができる。
【0063】
また、前記溶融液等の粘度としては、すなわち前記支持体の表面上に配置する際の前記粘着剤層の粘度としては、フローテスター(SHIMADZU社製、製品名「FLOWTESTER CFT−100」、オリフィス径0.5mm)を用いて、温度65℃、荷重9.81×10Paという条件下にて前記方法により測定した際に、3000〜10000Pa・sであることが好ましい。前記粘度が前記下限未満だと、前記粘着剤層が前記支持体を貫通する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記支持体と前記粘着層との粘着力が弱いため、前記支持体が前記粘着層を保持することができなくなる傾向となる。
【0064】
さらに、本発明の経皮吸収製剤として前記剥離ライナー層を備える場合において、ホットメルト法を採用する場合は、前記溶融液を前記剥離ライナー層の表面上に展延した後、前記支持体と貼付することで、前記支持体の表面上に配置された前記粘着剤層を得ることもできる。
【0065】
また、溶剤法を採用する場合は、先ず、前記粘着剤及び前記薬物(必要に応じて前記添加剤等も含む)を混合して、酢酸エチル、ヘキサン、トルエン等の有機溶媒に溶解させ、均一な溶解液を調製する。次に、前記溶解液を前記剥離ライナー層の表面上に所定の厚さに展延した後、温風をあてて前記有機溶媒を除去した後、前記支持体を積層することで、前記支持体の表面上に配置された前記粘着剤層を得ることができる。
【0066】
また、かかる場合において、前記剥離ライナー層の表面上に展延した後前記支持体と貼付する際の前記粘着剤層の粘度、すなわち前記支持体の表面上に配置する際の前記粘着剤層の粘度としては、フローテスター(SHIMADZU社製、製品名「FLOWTESTER CFT−100」、オリフィス径0.5mm)を用いて、温度65℃、荷重9.81×10Paという条件下にて前記方法により測定した際に、3000〜9000Pa・sであることが好ましい。前記粘度が前記下限未満だと、前記粘着剤層の前記支持体への食い込みが過度に大きくなるため、経皮吸収製剤の透湿度が高くなり、薬物の高い経皮吸収性を達成することが困難になる傾向になり、他方、前記上限を超えると、前記支持体と前記粘着層との粘着力が弱くなり、前記支持体が前記粘着層を保持することができなくなる傾向となる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0068】
(実施例1)
先ず、経皮吸収製剤の粘着剤層を作製した。すなわち、薬物としてリスペリドン40gと、感圧性粘着剤としてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体60gと、ポリアクリル酸エステル粘着剤(アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体)25gと、粘着付与樹脂として脂環族飽和炭化水素樹脂(荒川化学工業社製、製品名「アルコンP−100」)225gと、可塑剤として流動パラフィン47gと、経皮吸収促進剤(有機酸およびその塩、脂肪酸プロピレングリコールエステル)103gと、有機溶媒としてトルエン500gとを混合し、均一に溶解させ、粘着剤層を構成する組成物(塗布液)を得た。得られた塗布液を剥離ライナー(離型処理としてシリコーン処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、温風(110℃)を0.2時間あててトルエンを乾燥除去し、厚さ約140μmの粘着剤層を得た。
【0069】
次に、経皮吸収製剤の支持体を作製した。すなわち、ポリエステル製メリヤス編布(厚さ542μm、目付106.8g)をカレンダー加工機械を用いて、加工温度(カレンダー加工ロール温度)110℃、ロール圧は線圧として180kg/cmの条件にて圧延し、支持体(厚さ350μm、目付103.6g、通気度65.5cm/cm/s、50%モジュラス4N/50mm)を得た。
【0070】
次に剥離ライナー上に形成された粘着剤層とカレンダー加工を施し得られた支持体を貼付し、経皮吸収製剤を得た。
【0071】
(比較例1)
カレンダー加工を施したポリエステル製メリヤス編布の代わりにポリエステルフィルム(スリーエム社製、製品名「Scotchpak#9732」、ポリエステル/ポリ酢酸ビニル積層フィルム、厚さ50.8μm、水蒸気透過率16g/m/24hr)を用いた以外は実施例1と同様にして経皮吸収製剤を作製した。
【0072】
(比較例2)
ポリエステル製メリヤス編布にカレンダー加工を施さなかった以外は実施例1と同様にして経皮吸収製剤を作製した。
【0073】
このようにして得られた各経皮吸収製剤については、下記方法にて評価した。
【0074】
(経皮吸収製剤の断面の観察)
経皮吸収製剤の断面を走査型電子顕微鏡(SEM、フィリップス社製)で観察し撮影した。得られた結果を実施例1については図2に、比較例1については図3に、比較例2については図4に示す。
【0075】
また、得られた断面写真から粘着層の厚さ及び支持体に面した粘着剤層の表面の凹凸の高低差(支持体への粘着剤層の食い込み凹凸差)を測定し、前記凹凸の高低差と前記粘着剤層の厚さとの比率(前記凹凸の高低差/前記粘着剤層の厚さ)を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0076】
(透湿度測定)
経皮吸収製剤の剥離ライナーを除去した状態で透湿度を測定した。測定はJIS Z0208に記載の方法(防湿包装材料透湿度試験方法(カップ法))に準じて行った。得られた結果を表1に示す。
【0077】
【表1】

【0078】
(ヒト皮膚を用いた透過試験)
経皮吸収製剤を約3cmの大きさに裁断し、ダーマトームを用いて約500μmの厚さにしたヒト死体摘出皮膚の角質側に貼付した。一方、ヒト死体摘出皮膚の真皮側をレセプター層側にして、32℃の温水を外周部に循環させたフロースルーセルに装着した。レセプター層に生理食塩水を用い、約2mL/hrの流速で4時間毎にサンプリングを行った。貼付してから24時間後に経皮吸収製剤を剥離し、その後72時間までサンプリングを行った。得られたレセプター溶液を20ml測り取り、高速液体クロマトグラフィーを用いて、経皮吸収製剤から皮膚に吸収されたリスぺリドンの濃度を測定し、1時間あたりの皮膚透過速度を算出した。得られた結果を実施例1及び比較例1については図5に、比較例1及び比較例2については図6に示す。
【0079】
表1及び図2に示した結果から明らかなように、実施例1で得られた経皮吸収製剤は本発明の経皮吸収製剤であること、すなわちカレンダー加工を施した支持体に均一な厚さをもった粘着剤層が形成されていることが確認され、透湿度は80g/m/24hrと経皮吸収製剤として優れたものであった。一方、比較例2で得られた経皮吸収製剤は、表1及び図4に示した結果から明らかなように、支持体への粘着剤層の食い込みの凹凸幅が大きいものであり、透湿度も経皮吸収製剤として劣ったものであった。
【0080】
また、図5及び図6に示した結果から明らかなように、本発明の経皮吸収製剤(実施例1)を用いた場合は、透湿度の低い経皮吸収製剤(比較例1)を用いた場合と比較しても同等以上の透過量が確認され、ヒト皮膚の薬物透過性の観点においても優れたものであった。一方、本発明にかかる支持体を有さない経皮吸収製剤(比較例2)を用いた場合は、明らかにヒト皮膚の薬物透過量が少ないものであった。
【0081】
さらに、比較例1で得られた経皮吸収製剤に比べ、本発明の経皮吸収製剤(実施例1)は、伸縮性に富んでいるため、皮膚への追従性も高く、皮膚刺激は軽減され、経皮吸収製剤貼付中の使用感の点において優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上説明したように、本発明によれば、高い伸縮性を有しているため使用感に優れており、しかもODT効果において優れているため薬物の高い経皮吸収性を達成することが可能な経皮吸収製剤並びにその製造方法をを提供することが可能となる。
【0083】
したがって、本発明の経皮吸収製剤は、医薬・医療産業において極めて有用である。
【符号の説明】
【0084】
1…粘着剤層、2…支持体、3…第一の基準線、4…第二の基準線、5…第三の基準線、L1…粘着剤層の厚さ、L2…凹凸の高低差。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と前記支持体の表面上に配置された粘着剤層とを備えた経皮吸収製剤であって、
前記支持体がカレンダー加工を施した織布又は編布からなるものであり、前記粘着剤層の厚さが20〜200μmであり、前記支持体に面した前記粘着剤層の表面の凹凸の高低差が10〜100μmであり、且つ、前記凹凸の高低差と前記粘着剤層の厚さとの比率(前記凹凸の高低差/前記粘着剤層の厚さ)が0.01〜0.5であることを特徴とする経皮吸収製剤。
【請求項2】
前記凹凸の平均ピッチが50〜600μmであることを特徴とする請求項1に記載の経皮吸収製剤。
【請求項3】
前記粘着剤層の粘度が3000〜9000Pa・sであることを特徴とする請求項1又は2に記載の経皮吸収製剤。
【請求項4】
前記支持体の厚さが0.05〜0.5mmであり、且つ前記支持体の目付が30〜180g/mであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の経皮吸収製剤。
【請求項5】
前記支持体の通気度が30〜130cm/cm/sであることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の経皮吸収製剤。
【請求項6】
前記支持体の50%モジュラスが1〜20N/50mmであることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の経皮吸収製剤。
【請求項7】
支持体と前記支持体の表面上に配置された粘着剤層とを備えた経皮吸収製剤の製造方法であって、
織布又は編布にカレンダー加工を施して支持体を得る工程と、
前記支持体の表面上に粘着剤層を配置し、前記粘着剤層の厚さが20〜200μmであり、前記支持体に面した前記粘着剤層の表面の凹凸の高低差が10〜100μmであり、且つ、前記凹凸の高低差と前記粘着剤層の厚さとの比率(前記凹凸の高低差/前記粘着剤層の厚さ)が0.01〜0.5である粘着剤層を得る工程と、
を含むことを特徴とする経皮吸収製剤の製造方法。
【請求項8】
前記凹凸の平均ピッチが50〜600μmであることを特徴とする請求項7に記載の経皮吸収製剤の製造方法。
【請求項9】
前記粘着剤層の粘度が3000〜9000Pa・sであることを特徴とする請求項7又は8に記載の経皮吸収製剤の製造方法。
【請求項10】
前記支持体の厚さが0.05〜0.5mmであり、且つ前記支持体の目付が30〜180g/mであることを特徴とする請求項7〜9のうちのいずれか一項に記載の経皮吸収製剤の製造方法。
【請求項11】
前記支持体の通気度が30〜130cm/cm/sであることを特徴とする請求項7〜10のうちのいずれか一項に記載の経皮吸収製剤の製造方法。
【請求項12】
前記支持体の50%モジュラスが1〜20N/50mmであることを特徴とする請求項7〜11のうちのいずれか一項に記載の経皮吸収製剤の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−162514(P2011−162514A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29535(P2010−29535)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000160522)久光製薬株式会社 (121)
【Fターム(参考)】