説明

経鼻ペプチド薬学的製剤

薬学的に許容される、水性液体希釈剤又は担体中に、(1)活性経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片の治療的有効量;及び(2)吸収剤かつ安定化剤THAM[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン];を含み、経鼻投与に好適な形態である薬学的製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬学的に許容される液体希釈剤又は担体中の、治療的活性成分としての天然、合成又はリコンビナント起源由来の薬学的に活性なペプチド、ペプチドホルモン、ポリペプチド又は、それらの薬学的に許容されるあらゆる塩又はそのあらゆるペプチド断片、個別化されたペプチド又はそれらの混合物(以下、便宜上、“経鼻ペプチド”と定義する)ならびに吸収促進剤かつ安定化剤THAM、即ちトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとの組み合わせを含む経鼻投与のための薬学的製剤に関し、特に、経鼻投与のためのすぐに使用できる(ready−to−use)又は再構成水性薬学的溶液に関する。実際、選択された吸収促進剤THAMは、唯一の水素イオン受容体アミンであり、著しい毒性を有さず(ほとんどのアミンは、十分な量で使用された場合に、in vivoで著しい毒性を生じる)、生理的及び可逆的に鼻粘膜上皮細胞を脱分極させることができ、そのようにして、透過性を増大させることによって吸収促進活性を発揮し、鼻粘膜を通した活性な吸収効果を高める。従って、THAMは、本発明の薬学的製剤を特徴づける独特かつ顕著なアミン型吸収促進剤(aminic absorbefacient agent)であり、それゆえに鼻粘膜を通して投薬され得る。THAMは、本発明の薬学的製剤の経鼻ペプチドに対して、顕著な安定化剤にも相当する(represent)。本発明は、単回使い捨て(mono−disposable)又は複数回送達システム(multidose delivery system)装置に充填され得る、すぐに使用できる(ready−to−use)又は再構成された溶液(reconstituted solution)のいずれかとしての薬学的製剤を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ブセレリン、インスリン、デスモプレシン及び多くの他のメディウム(medium)ならびに多様な長鎖ポリペプチド等、薬学的有用性が充分に実証されており、現在、治療薬として使用されている薬理学的に活性なペプチドは、ヒトの胃及び腸において、酵素によって容易に分解され、ヒトの肝臓において容易に代謝される。従って、そのようなポリペプチドを、消化管を通して吸収させること、及び患者の体内において、その本来有している薬学的効果を引き出すことが困難である。それゆえ、従来、ペプチドは一般的に皮下注射、筋肉内注射及び静脈注射等の様々な注射剤として投与されてきた。
【0003】
しかしながら、患者は、長期にわたる注射剤のペプチド投与の間、例えば、損傷及び組織のネクローシス等の疼痛及び炎症を経験し、伝染性疾患に起因する感染に対する潜在的危険性がある。
【0004】
また、最も新しい、いくつかのペプチドの長期間の注射可能な投与のための製剤(U.S.Pat.5,582,591;U.S.Pat.5,776,885及びU.S.Pat.6,376,461)も、患者のコンプライアンス(compliance)を十分解決できなかった。ペプチドの放出速度(liberation rate)は、初期期間の間、高いピークを示し(ペプチドの放出は、期待される程、穏やかではない)、これらの古典的なプロセスに使用された、残留したクロレート有機溶媒の量は著しく、処方された生成物の最終滅菌プロセスは、結果として危険を生じる可能性を伴うガンマ線によってのみ行われる。上記は、長く続いているペプチドの非経口投与経路の主な解決されていない技術的問題を、今なお示す、いくつかの否定的な側面である。
【0005】
例えば、坐剤としての直腸投与(J. Pharm. Pharmacol., 33,334,1981)、気管内投与(Diabetes,20,552,1971)及び点眼投与(J.of Diabetic Society, Summary,237,1974)のような、ペプチド用の他の代替的な投与方法も、過去に試験的に提案されてきた。しかしながら、十分でない吸収率、吸収の大きなばらつき、吸収促進剤及び保存剤又は補助成分に起因する刺激のため、これらのいずれの試みも、未だ実用化されていない。
【0006】
これら全ての理由により、鼻粘膜等の粘膜を通してペプチド化合物を投与するために、近年、多くの研究がされてきた。従って、鼻粘膜を通した投与のための薬学的製剤を含むペプチドが強く望まれ、それらの開発は、この十年の間、多くの研究者の興味を引きつけてきた。
【0007】
それにもかかわらず、ペプチド化合物が、水溶液中で極めて不安定であり、適切に処方されなかった場合、容易に分解し、失活して望ましくない分解産物を生じるという事実のため、多くの著者(authors)は、経鼻投与用の粉末組成物の開発に努力を集中してきた(例、EP 0 302 772;EP 0 468 182及びWO 99/59543)。
【0008】
薬学的水溶液を得るための試みは、現在ではむしろ制限され、しばしば、例えば、インスリン(EP 94157)、バソプレシン(EP 55066−517;JP55055−120)及び異なる式のペプチド(DE 2.256.445;DE 2.758.463;BE 860.717; SA 68/421)の経鼻投与のような、もっぱら特定のペプチドに対して適用できた。これらの文献のほとんどが、ある特定のペプチドに対する特定の技術的解決方法を教示しているに過ぎず、従って、今もなお、経鼻投与用に既に処方されたそれらのペプチドの組成物に対して好適及び同等な(equivalent)だけでなく、現在、非経口経路によってのみ使用されているより多くのペプチドに対しても都合良く適用できる一般的な薬学的製剤を得るための差し迫った必要性がある。
【0009】
しかしながら、さらなる技術的問題が生じ得る:時々、液体の薬剤は、投与後すぐに流れ出る;他のケースでは、吸収促進剤及び/又は保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウム(Amer. J. Ophtalmol. 105,6,1988,p 670−73; Contact Dermatitis 17,1,1987,p 41−2; Cutis, 39,5,1987,p 381−83)又はクロロブタノール(Acta Otolaryng. 70,1970,p 16−26; Merck Index Twelfth Edition entry n. 2148; U.S. Pat. 5,759,565)の使用は、望ましくない副作用を生じ、その上、ペプチドの安全性及び安定性が、表面剤(surface agent)、他の補助成分の添加及び微生物の偶発的な混入によって影響されるというさらなる問題がある。
【0010】
さらに、ほとんどの大人において、ほとんどの経鼻的に投与された薬剤(nasally administered agent)の水溶液を保持するためのヒト鼻腔表面の容量は、400マクロリットル未満であり、一方、約100マイクロリットルが、計量装置の1回の操作(single actuation)によって都合良く再現され得る最小の投薬容量である。しかしながら、経鼻的に投与された治療薬の効果的な全身吸収のため、薬物を運ぶビヒクルは、粘膜上皮(mucus−lined epithelium)に十分な時間、接触している状態になければならない。
【0011】
メチルセルロースあるいはクロスポビドン又はポビドンのような粘度調節剤が、調剤(preparation)と鼻上皮の接触を延長する試みにおいて、時々使用されてきた(EP 0122036)。それにもかかわらず、ウサギにおける実験的研究の最近の文献は、高められた粘度が、ペプチドの鼻腔内吸収に悪影響を及ぼすことを明確に示している。同様に、同じ研究(Int. Jour. of Pharm., 147, 1997, p 233−242)も、ペプチドの鼻腔内吸収に対する張度(tonicity)の悪影響を実証している。従って、等張液はペプチドの鼻腔内吸収を最適化するために避けられる。
【0012】
活性ペプチドの経鼻投与が文献に記載されているという事実にもかかわらず、異なる著者が、制限された成果及び部分的に満足のいく結果、又は相反する知見のいずれかを報告している:Experientia, 1969 Nov. 15, 25(11), p 1195−6; Lancet, 1974 May 4, 1(7862), p 865; Antimicrobial Agents Chemother., 1978 Oct., 14(4), p 596−600; Lncet, 1979 Aug. 4,2(8136), p 215−7; Br. Med. J., 1982, 284(6312), p 303−6; Aerosols in Medicine, Elsevier Scientific, 1983, p 346。
【0013】
極めて重要かつ当業者にとって周知であるが、事実上、文献において無視されている他の技術的側面は、特に処方された際の、ペプチドの安定性である。事実、ペプチドにとって最も好ましい保存条件は:物理的な固体の状態、0℃程度の温度及び酸素からの厳密な保護である。酸素は、ペプチドの三次元構造及びそれらの生物活性を特徴づけるジスルフィド結合及び/又はアミノ基(aminic radical)の酸化に関与する分解プロセスの主要な原因であり、従って、そのような偶発的な接触を可能な限り回避又は制限することが、非常に重要である。
【0014】
同じように、同様の条件が、薬学的製剤としてペプチドが調製される際に、適宜観察されるであろう。しかしながら、数十年前から、予防手段としての窒素の使用が周知である一方、溶液の等張性及びpH範囲は、ペプチドの吸収を増強することに対して、又はそれらのガレヌス(galenical)組成物に対してのどちらにも必須の条件ではないようである。
【0015】
他の目覚ましく、好ましい効果も、治療的ペプチドを含む薬学的組成物を安定化(酸素から保護する)ためである。さらに、そのような薬学的製剤に対する安定性要求は、使用前の保存期限にのみ限定されず、特に、複数回投与容器が使用された場合、例えば、インターネットサイトhppt:/www.emea.eu.int/から入手できるEuropean Agency for the Evaluation of Medical Products(EMEA)−Note for Guidance CPMP/QWP/2934/99, Sep. 2001のような、いくつかの監督機関によって採用された最新のガイダンスによって推奨されるように、その開封後の、特に複数回投薬容器が使用された場合、使用中の安定性をも目的とされるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明に内在する問題は、経鼻ペプチドの一定の吸収率、適切な治療的投薬レベルを達成し、ならびに患者のコンプライアンス(compliance)を改善するために、あらゆる選択された薬学的に活性な経鼻ペプチド及び吸収促進剤かつ安定化剤THAMの都合の良い組み合わせを含む、鼻粘膜を通した投与のための新規かつ一般的な薬学的製剤をつくり出すことである。本発明に内在するさらなる目的は、開封前の保存期限のみならず、複数回投薬容器が開封された場合、使用中の安定性を改善することによって、薬学的製剤の安全性及び安定性の問題(ジスルフィド架橋の酸化)から、経鼻ペプチドを保持することである。本発明に内在するさらなる標的は、単回使い捨て又は複数回投薬システム装置に、都合良く充填され得るように、すぐに使用できる(ready−to−use)又は再構成される溶液として、本発明の薬学的製剤を製造する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
驚いたことに、これは、本発明によって達成された。
【0018】
本発明は、薬学的に許容される液体希釈剤又は担体中に、薬学的に活性な経鼻ペプチド及び吸収促進剤かつ安定化剤THAMの組み合わせを含み、前記水溶液が、必要に応じて、他の薬学的に許容される補助添加剤を含む、経鼻投与のための薬学的製剤が、はっきりと上記の要求を満たし、これらの製剤の報告されている技術的問題のほとんどを十分に克服するという、予期しない認識に基づくものである。
【0019】
さらに、メチルセルロースあるいはクロスポビドン又はポビドンのような粘度調節剤は、ペプチドの鼻腔内吸収に対する副作用、また、乳白色ミセル(opalescent micelles)の形成又は凝集体の沈殿による、組成物の長期にわたる安定性に対する、可能性のある悪影響から、組成物中では意図的に敬遠されてきた。同様に、等張液がペプチドの鼻腔内吸収に悪影響を及ぼすと考えられることから、等張性も意図的に敬遠されてきた。
【0020】
そのような薬学的製剤が、経鼻投与に対して極めて好適であるといことが、予期せずして見出された。すぐに使用できる溶液又は再構成溶液として粘膜上皮に対して適用された場合、他の経路を通した投与に関して、望ましい治療的活性を引き出すのに必要なのと同程度の望ましい薬理学的効果を表し、そして顕著な安定特性を示し、これにより、使用前の保存期限中における経鼻ペプチドの分解及び/又は不活性化の進行のリスクを減らす以外に、特に、複数回送達システム装置に充填された場合(よくあることであるが、その後、使用前に数ヶ月にわたって保存される)、開封後の使用中の安定性を改善する。
【0021】
従って、最初の側面において、本発明によれば、経鼻投与のための薬学的製剤は、以下:
(1)治療的有効成分として、薬学的に活性な経鼻ペプチドあるいはその塩又は断片の治療的有効量;ならびに
(2)吸収促進剤かつ安定化剤THAM;
を、鼻粘膜の粘膜被蓋上皮に対して適用するのに好適な薬学的に許容される液体希釈剤又は担体中に含み、前記水溶液が、必要に応じて、(a)有機又は無機酸;(b)保存剤の1種又は混合物;(c)アミノ酸コフォーミュレーター(co−formulator)等の他の薬学的に許容される補助添加剤を含み;ここで、この2種が混合されるか、必須の成分(1)及び(2)が、すぐに使用できる溶液として水に直接溶解されるか、又は、ここで、成分(1)が、その使用の際に好適な容量の液体、水性希釈剤又は担体で再構成される固体粉末として調製されるかのいずれかを含む。
【0022】
本発明に従って有利に投与され得る、望ましい生理的に活性な経鼻ペプチドは、鼻粘膜を通して容易に吸収されるという事実を考慮し、1000〜150000ダルトンの分子量を有するようなペプチドである。特に、分子量1000〜50000ダルトンの分子量を有するものが、さらに望ましい。その薬学的に許容される塩及びそのペプチド断片をも含む、そのような望ましい生理的に活性な経鼻ペプチドは、下記のリストに例示されるが、それらの内のいくつかを示すものであり、従って、限定と考えるべきではない。
【0023】
例えば、ブセレリン、デスモプレシン、バソプレッシン、アンギオテンシン、フェリプレシン、オクトレオチド、ソマトロピン、サイロトロピン(TSH)、ソマトスタチン、ゴセレリン、トリプトレリン(thryptorelin)、インスリン(ウシ及びブタあるいは合成又はリコンビナントから得られる)、プロチレリン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、プロラクチン、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)、ロイプロレリン、カルシトニン(ヒト、ニワトリ、ウナギ、ブタ又はリコンビナント)、カルボカルシトニン(carbocalcitonin)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、カリクレイン、パラチリン、グルカゴン、オキシトシン、ガストリン、セクレチン、レプチン、ナファレリン、血清ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出因子、成長ホルモン、エリスロポエチン(erytropoietin)、ヒルジン、ウログラストロン(urograstrone)レニン、ヒト副甲状腺ホルモン(h−PTH)等のペプチドホルモン及びホルモン誘導体;インターフェロン及びインターロイキン、トランスフェリン、ヒスタグロブリン、マクロコルチン、エンドルフィン、エンケファリン、ニューロテンシン等のリンホカイン又はモノカインのような生理活性タンパク質;リゾチーム、ウロキナーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ等のペプチド酵素;無細胞及び細胞百日咳ワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、インフルエンザワクチン等のタンパク質ワクチン;ならびにジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド等のペプチドトキソイド;が、本発明の薬学的製剤に好適に含まれ得る。
【0024】
特定の疾患について各患者に対して個別化され得る、個別化されたタンパク質(personalized protein)(ゲノム由来ペプチド種(peptidic nature)の医薬品の新しい分類)を、適宜含むことも可能である。
【0025】
さらに、本発明によれば、経鼻投与のための薬学的製剤は、好ましくは、以下:
(1)治療的有効量の経鼻ペプチド;
(2)吸収促進剤かつ安定化剤THAM;
を、経鼻適用に適した薬学的に許容される液体、水性希釈剤又は担体中に含み、さらに必要に応じて(a)塩酸又はクエン酸;(b)メチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエートの1種又は混合物;(c)システイン;等の他の薬学的に許容される補助添加剤を含み;ここで、補助添加剤と共にすぐに使用できる溶液として処方された場合、必須成分(1)及び(2)の2種混合が、さらに、単回使い捨て容器又は複数回送達システム装置に充填され得る。
【0026】
本発明による好ましい薬学的製剤は、以下の組み合わせ:
(1)鼻腔内経路によって適用される単一の治療的用量に従って、各選択された経鼻ペプチドによって適宜変化し得る、0.001マイクログラム/ml〜50.0mg/ml又は10単位/ml〜20000単位/mlの濃度の治療的有効量の経鼻ペプチド;ならびに
(2)要求される吸収促進活性及び安定性要求との関係で、各選択された経鼻ペプチドによって適宜変化し得る、0.5mg/ml〜30.0mg/mlの濃度のTHAM;
を、必要に応じて、(a)0.3mg/ml〜30.0mg/mlの濃度の0.1N塩酸又は0.6mg/ml〜60.0mg/mlの濃度のクエン酸;(b)0.1mg/ml〜3.0mg/mlの濃度のメチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエートの1種又は混合物;(c)0.05mg/ml〜50.0mg/mlの濃度のシステイン等の他の薬学的に許容される補助添加剤を含む、薬学的に許容される液体、水性希釈剤又は担体中に含む。
【0027】
特に好ましくは、:
(1)治療的有効量の経鼻ペプチドは、0.01マイクログラム/ml〜10.0mg/ml又は20単位/ml〜12500単位/mlの濃度であり;
(2)THAMは、2.0mg/ml〜4.5mg/mlの濃度であり;
及び、薬学的に許容される液体、水性希釈剤又は担体は、さらに必要に応じて、(a)2.8mg/ml〜6.2mg/mlの濃度のクエン酸一水和物;(b)合計で0.3mg/mlを超えないが、2:1〜20:1の割合のメチル及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエートの混合物;(c)0.5mg/ml〜10.0mg/mlの濃度のシステイン等の他の薬学的に許容される補助添加剤を含む。
【0028】
さらに、意外にも、経鼻ペプチドを含む薬学的製剤中に混合された場合、THAMが、該薬学的製剤の吸収促進特性及び、経鼻適用の結果として起こる(consequential)該経鼻ペプチドのバイオアベイラビリティーレベルを増強することを見出した。
【0029】
事実、本発明におけるTHAMの最も際立った特性の1つは、この有機水素イオン受容体が、in vivoにおいて顕著な生物学的活性を生じ、生理学的及び可逆的に鼻粘膜上皮細胞膜を脱分極させ、それによって、経鼻ペプチド吸収の活性プロセスを増強するということに、思いがけず、気づいた。さらに、他のアミンに反し、THAMは、他のアミンが顕著な毒性の問題を呈する濃度において、そのような望ましい効果を生み出す。
【0030】
本発明の更なる驚くべき技術的利点は、THAMが、薬学的製剤に含まれる経鼻ペプチドの安定化に、大きく関与することである。事実、驚いたことに、THAMを含む液体の薬学的製剤は、雰囲気中からO2及びCO2を容易に吸収せず、それによって酸素との接触を回避し、生産、保存及び使用中での安定特性を改善することが観察されていることから、窒素フロー(flow)のもとでの生産もまた、任意の選択肢である。
【0031】
言い換えれば、THAMが、経鼻ペプチドのチオアミノ酸(thioamino acid)間のジスルフィド架橋の酸化を防止し、それによって、予期せずして、薬学的製剤の治療的有効量の経鼻ペプチドを安定化することが、実験的に観察されている。
【0032】
本発明によれば、薬学的製剤の製造方法も、提供される。選択された経鼻ペプチドあるいはその塩又はそのペプチド断片ならびに吸収促進剤かつ安定化剤THAMの組み合わせを、液体希釈剤又は担体(前記水溶液は、必要に応じて、他の薬学的に許容される補助添加剤を含む)中に含む薬学的製剤は、すぐに使用できる溶液(単回使い捨て又は複数回投薬)又は再構成溶液(複数回投薬)が所望された場合、実質的に異なる方法によって製造される。従って、薬学的製剤を製造する方法は、例えば、以下に例示によって要約される、基本的工程を含む。
(A)すぐに使用できる溶液:
(a1)十分量のTHAM及び必要に応じて、メチル又は/及びプロピルp−ヒドロキベンゾエート、塩酸又はクエン酸、システインを好適な容器の中で、適切な量の蒸留水に溶解させ、完全に溶解するまで攪拌する;
(a2)十分量の薬学的に活性な経鼻ペプチドあるいはその塩又はその断片を、その後、溶液(a1)に完全に溶解させ、泡立ちを防ぐために穏やかに攪拌する。
【0033】
該製造方法は、さらに以下の工程:
(a3)その滅菌のため、溶液(a2)を濾過する;及び
(a4)単回使い捨て又は複数回投薬容器に、望ましい量の濾液を充填する。単回投与は、一体化されたシステムであるが、複数回投薬容器は、後述するように、経鼻投薬用の送達システム装置で適宜密閉されなければならない。
を含む。
【0034】
上記の投与システム装置は、操作ごとに、決められた容量(治療的に有効な単位用量に相当する)の経鼻ペプチド溶液を投薬する。すぐに使用できる溶液は、それらの経鼻ペプチドが、水溶液中に処方された場合、使用前の保存期間中及び開封後の使用期間中の場合であっても、十分な保存期限特性を示すことから、好ましい。
【0035】
経鼻送達システム装置は、この目的のために、適切に製造され、既に市場において入手可能であり、数日又は数週間にわたる、単回経鼻投与単位又は数回の逐次単位用量(従って、この期間は“複数回投薬”である)を投薬するための、十分な薬学的製剤を含み得る。送達量(計量容量)は、各選択された経鼻ペプチドについて既に定義されたように、鼻粘膜の粘膜上皮に適用される治療的有効量単位の経鼻ペプチドに相当する。
【0036】
従って、前述のとおり、本発明は、さらに、好適な容器、溶液の正確な計量容量を送達する高精度計量用ポンプ(metered precision pump)、点鼻タイプ又はスプレーの形態で鼻上皮への投与を可能にする経鼻アプリケーター(nasal applicator)を含む、治療的有効量の薬学的製剤の経鼻投与のための便利な送達システム装置を提供し、前記便利な送達システム装置は、以下の組み合わせ:
(1)治療的活性成分として、生理的に活性な経鼻ペプチドあるいはその塩又は断片の治療的有効量;及び
(2)吸収促進剤及び安定化剤THAM;
を、液体、水性希釈剤又は担体中に含み、前記溶液が、必要に応じて、(a)有機又は無機酸;(b)メチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエートの1種又は混合物;(c)アミノ酸コフォーミュレーター等の他の薬学的に許容される補助添加剤を含む。
【0037】
従って、本発明は、経鼻ペプチドあるいはその塩又はその断片の治療的有効量を、経鼻ペプチド処置を必要とする患者に投与する方法をも提供するものであり、該方法は、前述のように、前記患者に鼻経路によって薬学的製剤を投与することを含む。
【0038】
容器である高精度計量用ポンプ及び経鼻アプリケーターは、単回用量の投薬のみのユニットとしても一体化され得、使い捨てにもされ得る。
【0039】
複数回投薬ディスペンサーの送達システム装置も、投薬計測システム(dose counting system)を装備し得る。
(B)再構成溶液(容器n.°1及びn.°2):
(b1)経鼻ペプチドあるいはその塩又はその断片の十分量を、好適な量の溶媒に別々に溶解させる;この溶液を濾過した後、予め決定されている容量の濾液で複数回投薬容器を好適に充填し、この溶液を従来通りに凍結乾燥する;この容器を、その後、この目的のために市場において入手可能なストッパーシステムの1つによって、好適に密閉される(容器n.°1及び経鼻ペプチド粉末);
(b2)好適な容器中にて、適切な量の蒸留水に適当な量のTHAMならびに必要に応じてメチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエート、塩酸又はクエン酸、システインを溶解し、完全に溶解するまで攪拌する;結果として生じた溶液を、その滅菌のために濾過する;所望の容量の濾液を、好適な容器に充填し、この目的のために市場において入手可能なストッパーシステムの1つによって、適宜密閉される(容器n.°2−再構成のための溶媒混合物)。
【0040】
従って、その使用を開始する際には、経鼻ペプチド粉末は、容器n.°2の溶媒混合物を容器n.°1に注ぎ入れ、経鼻ペプチド粉末が完全に溶解するまで容器を回転させて完全に混合することによって経鼻溶液として再構成される。その後、スクリュー計量用ポンプ(screw precision pump)を好適に装備する以外、上記(A)すぐに使用できる溶液の段で記載されるような、経鼻装置システムを、容器n.°1のネックにねじ止め(screw closure)で適宜、設置する。再構成溶液は、使用前の保存期間中に水溶液中に処方された場合、十分な保存期限特性を示さない経鼻ペプチドに好ましい。
【0041】
すぐに使用できる溶液及び再構成溶液(容器n.°1及びn.°2)の両方とも、それらの安定性の結果に従って、好適な保存条件で保存され、ほとんどの場合、保存管理温度は、+5°±3℃の範囲内であり、一方、他の場合、保存温度は+25°±2℃を超えない。
【0042】
本発明によれば、鼻粘膜の粘膜上皮を通した投与のための薬学的製剤中に含まれる、経鼻ペプチドあるいはその塩又は断片の治療的有効量は、基本的に選択された経鼻ペプチドあるいはその塩又は断片の種類、また、患者の年齢、体重、疾患の重症度、所望の治療反応、健康状態及び同時に投与される他の薬剤によって変化し得る。一般的に、薬学的に活性な経鼻ペプチドを含む、本発明の経鼻投与のための薬学的製剤の用量は、使用された経鼻ペプチドの既知の投与用量に従って決定され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下の実施例を参照に、本発明が詳細に説明されるが、これは、更なる詳細を提示するためのみに記載されるものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0044】
デスモプレシンの長期保存期限及び使用中に安定な複数回投薬製剤
本実施例は、本発明の[処方(A)]による、複数回投薬鼻腔用スプレー薬学的製剤に関する。この処方は、管理された冷蔵条件(t°:+5°±3℃)で保存された場合、2年以上の保存期限を有し、開封後、室温(t°:+25°±2℃)で保存された場合、1ヶ月の保存期限を有する。該処方は、以下の組成物を有する:
処方(A)
1a)酢酸デスモプレシン(DDAVP) 112.60 mg
(デスモプレシン相当 100.00 mg)
2a)THAM 4.40 g
3a)クエン酸 6.28 g
4a)メチルp−ヒドロキシベンゾエート 0.27 g
5a)プロピルp−ヒドロキシベンゾエート 0.03 g
6a)蒸留水 1000.00 mlに調整
処方(A)を、以下の公表される組成物を有する、既に市場に出回っている[処方(B)]調剤と比較した:
処方(B)
1b)酢酸デスモプレシン(DDAVP) 100.00 mg
2b)塩化ナトリウム 7.50 g
3b)クエン酸一水和物 1.70 g
4b)リン酸二ナトリウム二水和物 3.00 g
5b)塩化ベンザルコニウム溶液(50%) 0.20 g
6b)滅菌水 1000 mlに調整
安定性の結果は、表n.°1及び表n.°2に要約される。
【0045】
両研究の異なる試験間隔における処方(A)の安定性プロフィールは、既に市場に出回っている参照製品と同等、あるいは少しであるがさらに良い。
【0046】
表n.°1
管理された冷蔵条件(+5°±3℃)における、24ヶ月の保存中の異なる試験間隔での2つのデスモプレシン製剤(A)及び(B)のアッセイの比較結果
【0047】
【表1】

表n.°2
開封後、一定の室温(+25°±2℃)で保存した後、30日間の使用中条件での異なる試験間隔における2つのデスモプレシン製剤(A)及び(B)のアッセイの比較結果
【0048】
【表2】

【実施例2】
【0049】
ブセレリンの長期保存期限及び使用中に安定な複数回投薬製剤
本実施例は、本発明の[処方(C)]による、ブセレリンの複数回投薬鼻腔用スプレー薬学的製剤に関する。この処方は、管理された冷蔵条件(t°:+5°±3℃)で保存された場合、2年以上の保存期限を有し、開封後、室温(t°:+25°±2℃)で保存された場合、1ヶ月の使用中の保存期限を有する。処方は、以下の組成を有する:
処方(C)
1c)酢酸ブセレリン 10.50 mg
(ブセレリン相当 10.00 mg)
2c)THAM 42.00 mg
3c)クエン酸 60.00 mg
4c)メチルp−ヒドロキシベンゾエート 2.70 mg
5c)プロピルp−ヒドロキシベンゾエート 0.30 mg
6c)蒸留水 10.00 gに調整
この処方を、以下の公表された組成物を有する、既に市場に出回っている[処方(D)調剤と比較した。
処方(D)
1d)酢酸ブセレリン 10.50 mg
(ブセレリン相当 10.00 mg)
2d)塩化ナトリウム 80.0 mg
3d)クエン酸ナトリウム 24.00 mg
4d)クエン酸一水和物 4.00 mg
5d)塩化ベンザルコニウム 1.00 mg
6d)注射用水 10.00 g
安定性の結果は、表n.°3及び表n.°4に要約される。
【0050】
両研究の異なる試験間隔における処方(C)の安定プロフィールは、既に市場に出回っている参照製品と同等あるいは、少しであるがさらに良い。
表n.°3
管理された冷蔵条件(+5°±3℃)における、24ヶ月の保存中の異なる試験間隔での2つのブセレリン処方(C)及び(D)のアッセイの比較結果
【0051】
【表3】

表n.°4
開封後、一定の室温(+25°±2℃)で保存した後、30日間の使用中条件での異なる試験間隔における2つのブセレリン処方(C)及び( D)のアッセイの比較結果
【0052】
【表4】

【実施例3】
【0053】
デスモプレシンを含む経鼻投与のための薬学的製剤[実施例1の試験処方(A)]及びその調製方法
本実施例において、処方(A)(実施例1参照)のデスモプレシンの鼻腔用スプレー薬学的製剤は、すぐに使用できる溶液として調製された。原料は、1000.0mlの最終容量(約400単位に相当)になるように、スケール容量(scale volume)で使用された。最初に、原料4a)及び5a)を、約800.0mlの6a)に、完全に溶解させた。その後、2a)及び3a)を、完全に混合することによって加えた。完全に溶解してから、泡立ちを防ぐため、注意深く攪拌することによって1a)を加え、1000.0mlの溶液を得るために、6a)の残りの200.0mlを加えた。得られた溶液を、経鼻適用に好適な組成物を得るために濾過(例、Pallブランドの0.2ミクロンフィルターを使用)した。濾過された溶液を、個別の鼻腔用スプレー複数回投薬容器中に、各2.5ml容量の溶液で導入した。この充填工程は、例えば、クラス100又は1000の細菌学的に管理された領域において行われた。この組成物は、合計0.25mgの活性原料を含み、計量ポンプシステムは、100マイクロリットルの後の個別用量を投薬するために好適であった(例、各操作についてデスモプレシン10マイクログラム)。
【0054】
同様に、原料1a)の半量を使用する以外、同じ処方、計量投薬システム及び生産技術を使用することによって、各100マイクロリットルの操作についてデスモプレシン5マイクログラムを送達する、すぐに使用できる溶液を得ることが可能であった。
【実施例4】
【0055】
ブセレリンを含む経鼻投与のための薬学的製剤[実施例2の試験処方(C)]及びその調製方法
本実施例において、処方(C)(実施例2参照)のブセレリンの鼻腔用スプレー薬学的製剤を、すぐに使用できる溶液として調製した。
【0056】
原料は、10.0リットルの最終容量(約1000単位に相当)になるように、スケール容量で使用された。原料4c)及び5c)を、8.0リットルの6c)のアリコート中に溶解させ、完全に溶解した後、原料2c)及び3c)を添加し、完全に混合した。最後に、1c)を、完全に溶解するまで加えた。結果として得られた溶液を、経鼻適用に好適な組成物を与えるために、0.2ミクロンフィルター(Pallブランド)によって濾過した。濾過された溶液を、鼻腔用スプレー複数回投薬ディスペンサーに、各10.0グラムの溶液重量で導入した。この充填工程は、例えば、クラス100又は1000の細菌学的に管理された領域において行われた。各容器は、ブセレリン10.0mg/溶液10.0gを含み、経鼻アプリケーターは、各操作についてブセレリン0.1mg/100マイクロリットル容量の個別用量を投薬する。
【実施例5】
【0057】
経鼻投与に好適なインスリンを含む薬学的製剤及びその調製方法
以下の組成を有する鼻腔用スプレータイプの形態で、インスリンの薬学的製剤[処方(E)]は、再構成溶液として調製された:
* 容器n.°1の調製(粉末):
1e)インスリン 5000 単位
* 容器n.°2の調製(溶媒混合物):
2e)THAM 58.0 mg
3e)塩酸 0.1N 29.0 mg
4e)メチルp−ヒドロキシベンゾエート 12.0 mg
5e)蒸留水 10.00 mlに調整
原料は、各タイプ、合計100容器になるように、スケール容量で使用された。容器n.°1を、粉末1e)の相当重量を直接、容器に投入する(dosing)か、又は既知の濃度の1e)で好適な溶液を調製することによって調製し、1回分に分けたの容量(dosed volume)を個別に直接、容器に注ぎ入れ、その後、凍結乾燥粉末を得るために容器内で直接、凍結乾燥を行った。容器n.°2の溶媒混合物を、原料2e)、3e)及び4e)を、濾過前に2e)又は3e)のいずれかによってpH7.0−7.2に調整する以外、実施例3と同じ手順及び技術を用いて、5e)中に溶解することで調製した。結果として生じた、経鼻投与に好適な溶媒混合物を、クラス100又は1000の微生物学的に管理された領域において、容器n.°2中に、各10.0ml容量に分けて、充填するために使用した。
【0058】
両容器を、この目的のために既に市場で入手可能な好適なストッパーで、適宜密閉した。
【0059】
容器n.°1のインスリン粉末は、その使用時に、容器n.°2の溶媒混合物を容器n.°1に注ぎ入れることによって再構成(reconstitute)され得る。
【0060】
経鼻アプリケーター及び適切なキャップを備えたスクリューシステム(screw system)を有する、選択された計量ポンプを、その後、既に再構成経鼻溶液を含む容器n.°1のスクリューネック上に配置した。
【0061】
投薬システムが、後の個別の用量を投薬するのに好適であるのに対し、各再構成複数回投薬溶器の合計容量は、10.0ml(インスリン5000単位/ml)であり、各操作についてインスリン100単位に相当する、200マイクロリットルの溶液をそれぞれ含んだ。
【実施例6】
【0062】
経鼻投与に好適なh−PTH(1−34)を含む薬学的製剤及びその調製方法
以下の組成を有する、ヒト−PTH(1−34)の鼻腔用スプレー薬学的製剤[処方(F)]:
1f)h−PTH(1−34) 1000 単位
2f)THAM 41.50 mg
3f)クエン酸 60.50 mg
4f)メチルp−ヒドロキシベンゾエート 2.50 mg
5f)プロピルp−ヒドロキシベンゾエート 0.30 mg
6f)蒸留水 1.00 mlに調整
は、すぐに使用できる溶液として調製された。
【0063】
原料は、1.0リットルの最終容量(各3.0mlに対して約300単位に相当)になるように、スケール容量で使用された。
【0064】
原料4f)及び5f)を、800.0mlの6f)のアリコートに溶解し、完全に溶解した後、原料2f)及び3f)を加え、完全に混合した。最後に、1f)を完全に溶解するまで加え、1.0リットルの溶液を得るために、6f)の残りの200.0mlを加えた。結果として生じた溶液を、経鼻適用に好適な組成物を得るために、0.2ミクロンフィルター(Pallブランド)を用いて濾過した。濾過された溶液を、例えば、クラス100又は1000の微生物学的に管理された領域において、3.0mlの溶液量で鼻腔用スプレー複数回投薬ディスペンサー中に充填するために使用した。各容器は、h−PTH3000単位/溶液3.0mlを含み、計量ポンプシステムは、各操作についてh−PTH100単位/100マイクロリットル容量の後の個別用量を送達するのに好適であった。
【0065】
同様に、原料1f)の2倍量(2000単位)及び4倍量(4000単位)を使用する以外、同じ処方、投与計量システム及び生産技術の使用によって、各操作でh−PTH200単位及び400単位/100マイクロリットル容量を、それぞれ送達するすぐに使用できる溶液を得ることが可能であった。
【実施例7】
【0066】
経鼻投与のための2つのカルボカルシトニン製剤の相対的バイオアベイラビリティー研究
予備実験において、カルボカルシトニンを含む本発明の処方(G)を、既に市場において入手可能であり、従来技術に従って調製された組成物である処方(F)と比較した。特に、12人の被験者における、2つの処方(G)及び(H)中に含まれる等用量のカルボカルシトニン(経鼻溶液100マイクロリットル中40MRC/操作の単回用量)の経鼻投与に続く、薬物動態パラメーター(無作為の投与順序、2つの用量間の洗浄時間間隔が48時間、ラジオイムノアッセイ(RIA)法及び公知の試薬によるカルボカルシトニンの血漿濃度の測定、ならびに結果として得られたバイオダイナミックパラメーター(biodynamic parameter)の統計学的解析(statistical elaboration))を測定した。
【0067】
各処方の組成は、以下の通りである。
処方(G)
以下を含む1.0mlのすぐに使用できる経鼻溶液(G):
1g)カルボカルシトニン 400 MRC
2g)THAM 4.20 mg
3g)クエン酸 6.00 mg
4g)メチルp−ヒドロキシベンゾエート 1.00 mg
5g)プロピルp−ヒドロキシベンゾエート 0.10 mg
6g)蒸留水 1.00 mlまで調整
処方(H)
以下を含む1.0mlのすぐに使用できる経鼻溶液(H):
1h)カルボカルシトニン 400 MRC
2h)グリチルリチン酸アンモニウム 20.00 mg
3h)塩化ナトリウム 6.00 mg
4h)クエン酸ナトリウム 4.63 mg
5h)無水クエン酸 0.37 mg
6h)メチルp−ヒドロキシベンゾエート 1.30 mg
7h)プロピルp−ヒドロキシベンゾエート 0.20 mg
8h)浄化水(depurated water) 1.00 mlに調整
処方(G)の原料は、200単位のパイロットバッチになるように、スケール容量で使用された。すぐに使用できる溶液(G)を、実施例3に既に開示される方法に従って調製し、これに対し、処方(F)は、既に市場で入手可能であった。
【0068】
カルボカルシトニン40MRCの各単回用量の経鼻投与後の異なる時間間隔での、12人の被験者における、最も重要な血漿濃度の薬物動態パラメーター(処方(G)及び処方(H)を別々に、100マイクロリットル容量を投薬する複数回投薬容器を用いて、それぞれ送達した)を、統計学的にCmax(最高血中濃度)、Tmax(最高血中濃度到達時間)、AUCtot(血中濃度曲線下面積)及びT1/2(半減期)として表した。それらは、以下の表n.5及びn.6中に報告される。
表n.°5
処方(G)−カルボカルシトニン溶液(G)(経鼻溶液100マイクロリットル容量)の40MRCの単回用量の経鼻投与後の、12人の被験者における、相対的な、パイロットバイオアベイラビリティー研究からの、血漿濃度の薬物動態パラメーター
【0069】
【表5】

表n.°6
処方(H)−カルボカルシトニン溶液(H)(経鼻溶液100マイクロリットル容量)の40MRCの単回用量の経鼻投与後の、12人の被験者における、相対的な、パイロットバイオアベイラビリティー研究からの、血漿濃度の薬物動態パラメーター
【0070】
【表6】

2つの処方(G)及び(H)の最も顕著なバイオダイナミックパラメーター間の相違は、わずかに処方(G)の方が良い。しかしながら、それらは、統計学的に有意ではない。従って、2つの試験された処方は、生物学的に同等であろう。
【実施例8】
【0071】
2つのカルシトニン(サケ)鼻腔用スプレー製剤の相対的バイオアベイラビリティー研究
パイロット研究においてカルシトニン(サケ)を含む本発明の処方(I)を、既に市場で入手可能であり、従来技術によって調製された組成物である処方(K)と比較した。特に、12人の被験者における、2つの異なる処方(I)及び(K)中に含まれる等用量のカルシトニン(サケ)(経鼻溶液90マイクロリットル中200MRC/操作の単回用量)の経鼻投与に続く、薬物動態パラメーター(無作為の投与順序、2つの用量間の洗浄時間間隔が72時間、公知の方法および試薬でのラジオイムノアッセイ(RIA)によるカルシトニン(サケ)の血漿濃度の測定、ならびに結果として得られたバイオダイナミックパラメーター(biodynamic parameter)の統計学的解析(statistical elaboration))を測定した。
【0072】
各処方の組成は、以下の通りである。
処方(I)
以下を含む1.0mlのすぐに使用できる経鼻溶液(I):
1i)カルシトニン(サケ) 2200 MRC
2i)THAM 4.20 mg
3i)クエン酸 6.00 mg
4i)蒸留水 1.00 mlに調整
処方(K)
以下を含む1.0mlのすぐに使用できる経鼻溶液(K):
1k)カルシトニン(サケ) 2200 MRC
2k)塩化ナトリウム 8.50 mg
3k)塩化ベンザルコニウム 0.10 mg
4k)塩酸(0.1N) pH調整のため
5k)窒素ガス 空気と置換するため
6k)精製水 1.00 mlに調整
処方(I)の原料は、パイロットバッチ200単位になるように、スケール用量で使用された。すぐに使用できる溶液(I)は、溶液(I)が無菌条件において、意図的に製造され、市場で入手可能な、特別の無菌装置システム(内部減圧を補うため、各操作後に容器内に流入する空気を、適宜滅菌する追加の小さな円筒形フィルターを有する)を備えた容器に充填されることを除いて、実施例3において既に開示された方法に従って調製された。
【0073】
処方(K)は、既に市場で入手可能であった。
【0074】
カルシトニン(サケ)200MRCの各単回用量の経鼻投与後の異なる時間間隔での、12人の被験者における、最も重要な血漿濃度の薬物動態パラメーター(処方(I)及び処方(K)を別々に、90マイクロリットル容量を投薬する複数回投薬容器を用いて、それぞれ送達した)を、統計学的にCmax(最高血中濃度)、Tmax(最高血中濃度到達時間)、AUCtot(血中濃度曲線下面積)及びT1/2(半減期)として表した。それらは、以下の表n.7及びn.8中に報告される。
表n.°7
処方(I)−カルシトニン(サケ)溶液(I)(経鼻溶液90マイクロリットル容量)200MRCの単回用量の経鼻投与後の、12人の被験者における、相対的な、パイロットバイオアベイラビリティー研究からの、血漿濃度の薬物動態パラメーター
【0075】
【表7】

表n.°8
処方(K)−カルシトニン(サケ)溶液(K)(経鼻溶液90マイクロリットル容量)200MRCの単回用量の経鼻投与後の、12人の被験者における、相対的な、パイロットバイオアベイラビリティー研究からの、血漿濃度の薬物動体学的パラメーター
【0076】
【表8】

2つの処方(I)及び(K)の最も顕著なバイオダイナミックパラメーター間の相違は、それらが統計学的にそれ程有意ではないにもかかわらず、わずかに処方(I)の方が良く、従って、2つの試験された処方は、生物学的に同等であろう。
【0077】
本発明の様々な実施態様が、ここに記載されたが、当業者は、基本的及び任意の原料の組み合わせ及び製造条件に修正を加えることができ、類似又は同等の結果を得ることが可能である。そのような修正は、本発明の開示の範囲内に意図されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的製剤であって、以下:
(1)治療的有効量の活性経鼻ペプチド(nasal peptide)、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片;ならびに(2)吸収促進剤かつ安定化剤THAM[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン];を薬学的に許容される水性液体希釈剤又は担体中に含み、前記製剤は経鼻投与に好適な形態である。
【請求項2】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、ペプチドホルモン又はホルモン誘導体、生理活性リンホカイン又はモノカイン、ペプチド酵素、タンパク質ワクチン、ペプチドトキソイド、ゲノム(genoma)に由来する個別化されたタンパク質の群から選択され、経鼻投与に適した形態で好都合に使用され得る請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項3】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、ブセレリン、デスモプレシン、バソプレシン、アンギオテンシン、フェリプレシン、オクトレオチド、ソマトロピン、サイロトロピン(TSH)、ソマトスタチン、ゴセレリン、トリプトレリン(thryptorelin)及びインスリン(ウシ及びブタ由来あるいは合成又はリコンビナント)のようなペプチドホルモン又はホルモン誘導体の群から選択される請求項1又は2に記載の薬学的製剤。
【請求項4】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、プロチレリン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、プロラクチン、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成ホルモン−放出ホルモン(LH−RH)、ロイプロレリン、カルシトニン(ヒト、ニワトリ、ウナギ、ブタ又はリコンビナント)、カルボカルシトニン(carbocalcitonin)及びカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)のようなペプチドホルモン又はホルモン誘導体の群から選択される請求項1又は2に記載の薬学的製剤。
【請求項5】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、カリクレイン、パラチリン、グルカゴン、オキシトシン、ガストリン、セクレチン、レプチン、ナファレリン、血清ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出因子、成長ホルモン、エリスロポエチン、ヒルジン、ウログラストロン(urograstrone)、レニン及びヒト副甲状腺ホルモン(h−PTH)のようなペプチドホルモン又はホルモン誘導体の群から選択される請求項1又は2に記載の薬学的製剤。
【請求項6】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、インターフェロン、インターロイキン、トランスフェリン、ヒスタグロブリン、マクロコルチン、エンドルフィン、エンケファリン及びニューロテンシンのような生理活性リンホカイン又はモノカインの群から選択される請求項1又は2に記載の薬学的製剤。
【請求項7】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、リゾチーム、ウロキナーゼ及びスーパーオキサイドジスムターゼのようなペプチド酵素の群から選択される請求項1又は2に記載の薬学的製剤。
【請求項8】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、無細胞及び細胞百日咳、ジフテリア、破傷風及びインフルエンザワクチンのようなタンパク質ワクチンの群から選択される請求項1又2に記載の薬学的製剤。
【請求項9】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、ジフテリア、破傷風のようなペプチドトキソイドの群ならびにゲノム(genoma)に由来する個別化されたタンパク質の群から選択される請求項1又は2に記載の薬学的製剤。
【請求項10】
(1)活性経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片の治療的有効量が、鼻内経路によって投与される治療的有効量に関して、0.001マイクログラム/ml〜50.0mg/ml又は10単位/ml〜20000単位/mlの濃度であり;ならびに(2)THAMが0.5mg/ml〜30.0mg/mlの濃度である前記いずれかの請求項に記載の薬学的製剤。
【請求項11】
(1)活性経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片の治療的有効量が、0.01マイクログラム/ml〜50.0mg/ml又は20単位/ml〜12500単位/mlの濃度であり;ならびに(2)THAMが、2.0mg/ml〜10.0mg/mlの濃度である前記いずれかの請求項に記載の薬学的製剤。
【請求項12】
(1)活性経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片の治療的有効量が、0.05マイクログラム/ml〜10.0mg/ml又は100単位/ml〜6000単位/mlの濃度であり;ならびに(2)THAMが、2.5mg/ml〜4.5mg/mlの濃度である前記いずれかの請求項に記載の薬学的製剤。
【請求項13】
前記薬学的製剤が、点鼻タイプ(drop type)又は鼻腔用スプレーの形態で経鼻投与に好適な、すぐに使用できる溶液の形態又は再構成溶液(reconstituted solution)の形態である前記いずれかの請求項に記載の薬学的製剤。
【請求項14】
計測された単回投薬容量又はその複数回投薬において好適に投与でき(administrable)、前記操作が50マイクロリットル〜200マイクロリットルの計測された投薬容量を含む前記いずれかの請求項に記載される薬学的製剤。
【請求項15】
水性液体希釈剤又は担体が、必要に応じて、(a)塩酸又はクエン酸;(b)メチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエートの1種又は混合物;ならびに(c)システインのような他の薬学的に許容される補助添加剤を含む前記いずれかの請求項に記載の薬学的製剤の製造方法。
【請求項16】
薬学的に許容される水性液体希釈剤又は担体が、さらに、必要に応じて(a)0.3mg/ml〜50.0mg/mlの濃度の0.1N塩酸、0.6mg/ml〜60.0mg/ml、より好ましくは2.8mg/ml〜6.2mg/mlの濃度のクエン酸;(b)2:1〜20:1の割合で、0.3mg/mlを超えない濃度のメチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエートの1種又は混合物;ならびに(c)0.5mg/ml〜10.0mg/mlの濃度のシステインのような、他の薬学的に許容される補助添加剤を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
以下:THAM、ならびに、必要に応じて、メチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエート、塩酸又はクエン酸ならびにシステインに、完全に溶解するまで、適切な量の蒸留水を加える工程、その後、最後に、適切な量の経鼻ペプチドあるいはその薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片を、前記溶液混合物中に溶解する工程を含む、すぐに使用できる(ready−to−use)溶液の形態である、請求項1〜14のいずれかに記載の経鼻投与のための薬学的製剤の製造方法。
【請求項18】
さらに、経鼻投与に好適な溶液を作製するために濾過する工程ならびに、濾液、より好ましくは連続的用量計測システム(progressive dose counting system)で単回の使い捨て又は複数回投薬装置システムに充填する工程を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
以下:
容器中に活性経鼻ペプチド粉末の対応する重量を分けること(dosing)、又は活性経鼻ペプチドの既知濃度で好適な溶液を調製することのいずれかによって、経鼻ペプチドを含む容器no.°1を調製すること、一回分に分けた容量を個別に該容器に注ぎ入れ、そしてその後、凍結乾燥粉末を得るために凍結乾燥すること;
完全に溶解するまで、適切な量の蒸留水をTHAM、ならびに必要に応じて、メチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエート、塩酸又はクエン酸及びシステインに加えることによって生じる、再構成(reconstitution)のための溶媒混合物を含む容器n.°2を調製すること;
該溶液を経鼻投与に適するように濾過すること;ならびに
濾液を容器n.°2に充填すること
を含む、再構成溶液(reconstituted solution)の形態である請求項1〜14のいずれかに記載の経鼻投与のための薬学的製剤の製造方法。
【請求項20】
容器n.°1が、対応する重量の粉末1e)を直接容器に分けるか、又は粉末1e)の既知濃度で好適な溶液を調製し、1回分に分けられた容量を、個別に直接容器に注ぎ入れ、その後、凍結乾燥粉末を得るために容器内において直接、凍結乾燥されることによって、調製される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
さらに、以下:その使用の開始時に、容器n.°1中に容器n.°2の溶媒混合物を注ぎ入れることによって再構成溶液を調製する工程;完全に溶解するまで、回転することによって完全に混合する工程;再構成溶液を含む容器n.°1のネック上に、複数回投薬装置システムをねじ締めにして(screwing)取り付ける工程を含む、請求項19又は20に記載される方法。
【請求項22】
長期保存期限を有し、使用中、活性経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片の治療的有効量の組成物を提供する、請求項1〜14いずれかに記載の薬学的製剤。
【請求項23】
請求項1〜14のいずれかに記載の薬学的製剤で患者を処置する方法であって、望ましい薬理学的効果を引き出す目的で、薬学的に許容される液体、水性担体又は希釈剤中に、THAMと適宜混合された、経鼻ペプチドあるいはその薬学的に許容される塩又はペプチド断片の治療的有効量を含む、前記製剤の1回分の容量を、点鼻タイプ又は鼻腔用スプレーの形態で、前記患者に鼻腔内投与することを含む方法。
【請求項24】
計量された単回投薬使い捨て又は複数回投薬システム中に含まれる、薬学的製剤の投与可能な投薬容量が、各操作について、50マイクロリットル〜200マイクロリットルである、請求項23に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的製剤であって、以下:
(1)ペプチド性物質の鼻粘膜上皮を通した吸収を増強するための選択的吸収促進剤としてのTHAM[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン];
(2)活性経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片の治療的有効量;
を、薬学的に許容される水性液体希釈剤又は担体中に含む、前記製剤が経鼻投与に好適な形態である薬学的製剤。
【請求項2】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、ペプチドホルモン又はホルモン誘導体、生理活性リンホカイン又はモノカイン、ペプチド酵素、タンパク質ワクチン、ペプチドトキソイド、ゲノム(genoma)に由来する個別化されたタンパク質の群から選択され、経鼻投与に適した形態で好都合に使用され得る請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項3】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、ブセレリン、デスモプレシン、バソプレシン、アンギオテンシン、フェリプレシン、オクトレオチド、ソマトロピン、サイロトロピン(TSH)、ソマトスタチン、ゴセレリン、トリプトレリン(thryptorelin)及びインスリン(ウシ及びブタ由来あるいは合成又はリコンビナント)のようなペプチドホルモン又はホルモン誘導体の群から選択される請求項1又は2に記載の薬学的製剤。
【請求項4】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、プロチレリン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、プロラクチン、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成ホルモン−放出ホルモン(LH−RH)、ロイプロレリン、カルシトニン(ヒト、ニワトリ、ウナギ、ブタ又はリコンビナント)、カルボカルシトニン(carbocalcitonin)及びカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)のようなペプチドホルモン又はホルモン誘導体の群から選択される請求項1又は2に記載の薬学的製剤。
【請求項5】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、カリクレイン、パラチリン、グルカゴン、オキシトシン、ガストリン、セクレチン、レプチン、ナファレリン、血清ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出因子、成長ホルモン、エリスロポエチン、ヒルジン、ウログラストロン(urograstrone)、レニン及びヒト副甲状腺ホルモン(h−PTH)のようなペプチドホルモン又はホルモン誘導体の群から選択される請求項1又は2に記載の薬学的製剤。
【請求項6】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、インターフェロン、インターロイキン、トランスフェリン、ヒスタグロブリン、マクロコルチン、エンドルフィン、エンケファリン及びニューロテンシンのような生理活性リンホカイン又はモノカインの群から選択される請求項1又は2に記載の薬学的製剤。
【請求項7】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、リゾチーム、ウロキナーゼ及びスーパーオキサイドジスムターゼのようなペプチド酵素の群から選択される請求項1又は2に記載の薬学的製剤。
【請求項8】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、無細胞及び細胞百日咳、ジフテリア、破傷風及びインフルエンザワクチンのようなタンパク質ワクチンの群から選択される請求項1又2に記載の薬学的製剤。
【請求項9】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、ジフテリア、破傷風のようなペプチドトキソイドの群ならびにゲノム(genoma)に由来する個別化されたタンパク質の群から選択される請求項1又は2に記載の薬学的製剤。
【請求項10】
(1)活性経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片の治療的有効量が、鼻内経路によって投与される治療的有効量に関して、0.001マイクログラム/ml〜50.0mg/ml又は10単位/ml〜20000単位/mlの濃度であり;ならびに(2)THAMが0.5mg/ml〜30.0mg/mlの濃度である前記いずれかの請求項に記載の薬学的製剤。
【請求項11】
(1)活性経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片の治療的有効量が、0.01マイクログラム/ml〜50.0mg/ml又は20単位/ml〜12500単位/mlの濃度であり;ならびに(2)THAMが、2.0mg/ml〜10.0mg/mlの濃度である前記いずれかの請求項に記載の薬学的製剤。
【請求項12】
(1)活性経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片の治療的有効量が、0.05マイクログラム/ml〜10.0mg/ml又は100単位/ml〜6000単位/mlの濃度であり;ならびに(2)THAMが、2.5mg/ml〜4.5mg/mlの濃度である前記いずれかの請求項に記載の薬学的製剤。
【請求項13】
前記薬学的製剤が、点鼻タイプ(drop type)又は鼻腔用スプレーの形態で経鼻投与に好適な、すぐに使用できる溶液の形態又は再構成溶液(reconstituted solution)の形態である前記いずれかの請求項に記載の薬学的製剤。
【請求項14】
計測された単回投薬容量又はその複数回投薬において好適に投与でき(administrable)、前記操作が50マイクロリットル〜200マイクロリットルの計測された投薬容量を含む前記いずれかの請求項に記載される薬学的製剤。
【請求項15】
水性液体希釈剤又は担体が、必要に応じて、(a)塩酸又はクエン酸;(b)メチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエートの1種又は混合物;ならびに(c)システインのような他の薬学的に許容される補助添加剤を含む前記請求項のいずれかに記載の薬学的製剤の製造方法。
【請求項16】
薬学的に許容される水性液体希釈剤又は担体が、さらに、必要に応じて(a)0.3mg/ml〜50.0mg/mlの濃度の0.1N塩酸、0.6mg/ml〜60.0mg/ml、より好ましくは2.8mg/ml〜6.2mg/mlの濃度のクエン酸;(b)2:1〜20:1の割合で、0.3mg/mlを超えない濃度のメチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエートの1種又は混合物;ならびに(c)0.5mg/ml〜10.0mg/mlの濃度のシステインのような、他の薬学的に許容される補助添加剤を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
以下の工程:THAM、ならびに、必要に応じて、メチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエート、塩酸又はクエン酸ならびにシステインに、完全に溶解するまで、適切な量の蒸留水を加える工程、その後、最後に、適切な量の経鼻ペプチドあるいはその薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片を、前記溶液混合物中に溶解することを含む、すぐに使用できる(ready−to−use)溶液の形態である、請求項1〜14のいずれかに記載の経鼻投与のための薬学的製剤の製造方法。
【請求項18】
さらに、経鼻投与に好適な溶液を作製するために濾過する工程ならびに、濾液、より好ましくは連続的用量計測システム(progressive dose counting system)で単回の使い捨て又は複数回投薬装置システムに充填する工程を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
以下:
容器中に活性経鼻ペプチド粉末の対応する重量を分けること(dosing)、又は活性経鼻ペプチドの既知濃度で好適な溶液を調製することのいずれかによって、経鼻ペプチドを含む容器n.o1を調製すること、一回分に分けた容量を個別に該容器に注ぎ入れ、そしてその後、凍結乾燥粉末を得るために凍結乾燥すること;
完全に溶解するまで、適切な量の蒸留水をTHAM、ならびに必要に応じて、メチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエート、塩酸又はクエン酸及びシステインに加えることによって生じる、再構成(reconstitution)のための溶媒混合溶物を含む容器n.o2を調製すること;
該溶液を経鼻投与に適するように濾過すること;ならびに
濾液を容器n.o2に充填すること
を含む、再構成溶液(reconstituted solution)の形態である請求項1〜14のいずれかに記載の経鼻投与のための薬学的製剤の製造方法。
【請求項20】
容器n.o1が、対応する重量の粉末1e)を直接容器に分けるか、又は粉末1e)の既知濃度で好適な溶液を調製し、1回分に分けられた容量を、個別に直接容器に注ぎ入れ、その後、凍結乾燥粉末を得るために容器内において直接、凍結乾燥されることによって、調製される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
さらに、以下:その使用の開始時に、容器n.o1中に容器n.o2の溶媒混合物を注ぎ入れることによって再構成溶液を調製する工程;完全に溶解するまで、回転することによって完全に混合する工程;再構成溶液を含む容器n.o1のネック上に、複数回投薬装置システムをねじ締めにして(screwing)取り付ける工程を含む、請求項19又は20に記載される方法。
【請求項22】
長期保存期限を有し、使用中、活性経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片の治療的有効量の組成物を提供する、請求項1〜14いずれかに記載の薬学的製剤。
【請求項23】
請求項1〜14のいずれかに記載の薬学的製剤で患者を処置する方法であって、望ましい薬理学的効果を引き出す目的で、薬学的に許容される液体、水性担体又は希釈剤中に、THAMと適宜混合された、経鼻ペプチドあるいはその薬学的に許容される塩又はペプチド断片の治療的有効量を含む、前記製剤の1回分の容量を、点鼻タイプ又は鼻腔用スプレーの形態で、前記患者に鼻腔内投与することを含む方法。
【請求項24】
計量された単回投薬使い捨て又は複数回投薬システム中に含まれる、薬学的製剤の投与可能な投薬容量が、各操作について、50マイクロリットル〜200マイクロリットルである、請求項23に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻粘膜上皮を通したペプチド性物質の吸収を増強する、選択的吸収促進剤としての、薬学的製剤(ここで、該薬学的製剤が、治療的有効量の活性ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片を、薬学的に許容される水性液体希釈剤又は担体中に含み、前記製剤が、経鼻投与に好適な形態である)中のTHAM[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]の使用。
【請求項2】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、ペプチドホルモン又はホルモン誘導体、生理活性リンホカイン又はモノカイン、ペプチド酵素、タンパク質ワクチン、ペプチドトキソイド、ゲノム(genoma)に由来する個別化されたタンパク質の群から選択され、経鼻投与に適した形態で好都合に使用され得る請求項1に記載の使用。
【請求項3】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、ブセレリン、デスモプレシン、バソプレシン、アンギオテンシン、フェリプレシン、オクトレオチド、ソマトロピン、サイロトロピン(TSH)、ソマトスタチン、ゴセレリン、トリプトレリン(thryptorelin)及びインスリン(ウシ及びブタ由来あるいは合成又はリコンビナント)のようなペプチドホルモン又はホルモン誘導体の群から選択される請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、プロチレリン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、プロラクチン、黄体形成ホルモン(LH)、黄体形成ホルモン−放出ホルモン(LH−RH)、ロイプロレリン、カルシトニン(ヒト、ニワトリ、ウナギ、ブタ又はリコンビナント)、カルボカルシトニン(carbocalcitonin)及びカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)のようなペプチドホルモン又はホルモン誘導体の群から選択される請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、カリクレイン、パラチリン、グルカゴン、オキシトシン、ガストリン、セクレチン、レプチン、ナファレリン、血清ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出因子、成長ホルモン、エリスロポエチン(erytropoietin)、ヒルジン、ウログラストロン(urograstrone)、レニン及びヒト副甲状腺ホルモン(h−PTH)のようなペプチドホルモン又はホルモン誘導体の群から選択される請求項1又は2に記載の使用。
【請求項6】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、インターフェロン、インターロイキン、トランスフェリン、ヒスタグロブリン、マクロコルチン、エンドルフィン、エンケファリン及びニューロテンシンのような生理活性リンホカイン又はモノカインの群から選択される請求項1又は2に記載の使用。
【請求項7】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、リゾチーム、ウロキナーゼ及びスーパーオキサイドジスムターゼのようなペプチド酵素の群から選択される請求項1又は2に記載の使用。
【請求項8】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、無細胞及び細胞百日咳、ジフテリア、破傷風及びインフルエンザワクチンのようなタンパク質ワクチンの群から選択される請求項1又2に記載の使用。
【請求項9】
経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片が、ジフテリア、破傷風のようなペプチドトキソイドの群ならびにゲノム(genoma)に由来する個別化されたタンパク質の群から選択される請求項1又は2に記載の使用。
【請求項10】
(1)活性経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片の治療的有効量が、鼻内経路によって投与される治療的有効量に関して、0.001マイクログラム/ml〜50.0mg/ml又は10単位/ml〜20000単位/mlの濃度であり;ならびに(2)THAMが0.5mg/ml〜30.0mg/mlの濃度である前記いずれかの請求項に記載の使用。
【請求項11】
(1)活性経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片の治療的有効量が、0.01マイクログラム/ml〜50.0mg/ml又は20単位/ml〜12500単位/mlの濃度であり;ならびに(2)THAMが、2.0mg/ml〜10.0mg/mlの濃度である前記いずれかの請求項に記載の使用。
【請求項12】
(1)活性経鼻ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片の治療的有効量が、0.05マイクログラム/ml〜10.0mg/ml又は100単位/ml〜6000単位/mlの濃度であり;ならびに(2)THAMが、2.5mg/ml〜4.5mg/mlの濃度である前記いずれかの請求項に記載の使用。
【請求項13】
前記薬学的製剤が、点鼻タイプ(drop type)又は鼻腔用スプレーの形態で経鼻投与に好適な、すぐに使用できる溶液の形態又は再構成溶液(reconstituted solution)の形態である前記いずれかの請求項に記載の使用。
【請求項14】
計測された単回投薬容量又はその複数回投薬において好適に投与でき(administrable)、前記操作が50マイクロリットル〜200マイクロリットルの計測された投薬容量を含む前記いずれかの請求項に記載される使用。
【請求項15】
水性液体希釈剤又は担体が、必要に応じて、(a)塩酸又はクエン酸;(b)メチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエートの1種又は混合物;ならびに(c)システインのような他の薬学的に許容される補助添加剤を含む前記いずれかの請求項に記載の使用。
【請求項16】
薬学的に許容される水性液体希釈剤又は担体が、さらに、必要に応じて(a)0.3mg/ml〜50.0mg/mlの濃度の0.1N塩酸又は0.6mg/ml〜60.0mg/ml、より好ましくは2.8mg/ml〜6.2mg/mlの濃度のクエン酸;(b)2:1〜20:1の割合で、0.3mg/mlを超えない濃度のメチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエートの1種又は混合物;ならびに(c)0.5mg/ml〜10.0mg/mlの濃度のシステインのような、他の薬学的に許容される補助添加剤を含む請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記薬学的製剤が、以下:THAM、ならびに、必要に応じて、メチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエート、塩酸又はクエン酸ならびにシステインに、完全に溶解するまで、適切な量の蒸留水を加える工程、その後、最後に、適切な量の経鼻ペプチドあるいはその薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片を、前記溶液混合物中に溶解する工程を含む方法によって調製される、すぐに使用できる(ready−to−use)溶液の形態である、請求項1〜14のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
該方法がさらに、経鼻投与に好適な溶液を作製するために濾過する工程ならびに、濾液、より好ましくは連続的用量計測システム(progressive dose counting system)で単回の使い捨て又は複数回投薬装置システムに充填する工程を含む請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記薬学的製剤が、以下:
容器中に活性経鼻ペプチド粉末の対応する重量を分けること(dosing)、又は活性経鼻ペプチド粉末の既知濃度で好適な溶液を調製することのいずれかによって、経鼻ペプチドを含む容器n.o1を調製すること、一回分に分けた容量を個別に該容器に注ぎ入れ、そしてその後、凍結乾燥粉末を得るために凍結乾燥すること;
完全に溶解するまで、適切な量の蒸留水をTHAM、ならびに必要に応じて、メチル又は/及びプロピルp−ヒドロキシベンゾエート、塩酸又はクエン酸及びシステインに加えることによって生じる、再構成(reconstitution)のための溶媒混合物を含む容器n.o2を調製すること;
該溶液を経鼻投与に適するように濾過すること;ならびに
濾液を容器n.o2に充填すること
を含む方法によって調製される、再構成溶液(reconstituted solution)の形態である請求項1〜14のいずれかに記載の使用。
【請求項20】
容器no.o1が、対応する重量の粉末1e)を直接容器に分けるか、又は粉末1e)の既知濃度で好適な溶液を調製し、1回分に分けられた容量を、個別に直接容器に注ぎ入れ、その後、凍結乾燥粉末を得るために容器内において直接、凍結乾燥されることによって、調製される請求項19に記載の使用。
【請求項21】
さらに、以下:その使用の開始時に、容器n.o1中に容器n.o2の溶媒混合物を注ぎ入れることによって再構成溶液を調製する工程;完全に溶解するまで、回転することによって完全に混合する工程;再構成溶液を含む容器n.o1のネック上に、複数回投薬装置システムをねじ締めにして(screwing)取り付ける工程を含む、請求項19又は20に記載される使用。
【請求項22】
薬学的製剤(fomulating)で患者を処置する方法であって、以下:
(1)鼻粘膜上皮を通したペプチド性物質の吸収を増強するための選択的吸収促進剤としてのTHAM[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]、及び
(2)治療的有効量の活性ペプチド、その薬学的に許容される塩又はそのペプチド断片
を、薬学的に許容される水性液体希釈剤又は担体中に含み、前記製剤が、経鼻投与に好適な形態であり、所望の薬理学的効果を引き出す目的で、前記製剤の1回分に分けた容量を、前記患者に点鼻タイプ又は鼻腔用スプレーの形態で鼻腔内投与することを含む方法。
【請求項23】
計量された単回投薬使い捨て又は複数回投薬システム中に含まれる、薬学的製剤の投与可能な投薬容量が、各操作について50マイクロリットルから200マイクロリットルである、請求項23に記載の方法。

【公表番号】特表2006−503005(P2006−503005A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−526696(P2004−526696)
【出願日】平成15年6月24日(2003.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2003/006641
【国際公開番号】WO2004/014411
【国際公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(592255486)テラピコン エス.アール.エル. (4)
【氏名又は名称原語表記】THERAPICON S.R.L.
【Fターム(参考)】