説明

結像光学素子、結像光学素子の製造方法、光学機器

【課題】結像光学素子の外形のばらつきを補完し、高い精度で画像形成を行うことが可能な結像光学素子を提供する。
【解決手段】本発明の結像光学素子は、複数のロッドレンズを互いの光軸が平行となるように配列してなるレンズアレイ22と、透光性のスペーサー部材25と、を有し、スペーサー部材25のレンズアレイ22と対向する面に溝25Hが形成され、溝25Hに設けられた接着剤40によってレンズアレイ22が溝25H内に嵌め込まれていると共に、レンズアレイ22とスペーサー部材25とを透過した光が発光部E及び受光部70の双方に結像するように、溝25H内におけるレンズアレイ22の光軸方向の位置が調節されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンター、スキャナー、複写機、ファクシミリ等の光学機器の画像伝送部に用いられる結像光学素子とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンター、スキャナー、複写機、ファクシミリ等の光学機器では、発光部からの光を受光部に効率的に伝送するために、発光部と受光部との間に結像光学素子を設けることが行われている(例えば、特許文献1〜4参照)。結像光学素子としては、ファイバー状に形成した複数のロッドレンズを、その両端面が露出するようにして樹脂で一体化したものが用いられており、日本板硝子株式会社から入手可能なセルフォックレンズアレイ(SLA、「セルフォック」は日本板硝子株式会社の登録商標)等が代表例として知られている。
【0003】
結像光学素子は、レンズアレイを単独で用いる場合もあるが、レンズアレイを「スペーサー部材」と呼ばれる透光性の板状部材に固定して用いる場合もある。この場合、発光部と受光部との間に空気層のみが介在する場合に比べて、光の利用効率を高めることができる。スペーサー部材を用いた構成は、LEDに比べて発光輝度の小さい有機EL素子を発光部に用いる場合に、特に有効である。
【0004】
結像光学素子は、ロッドレンズの長さやスペーサー部材の厚みに応じた共役長TC(Total Conjugate Length)を有している。発光部からの光をピントの合った状態で受光部に結像させるには、発光部から受光部までの距離を結像光学素子の共役長と一致させれば良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2590003号
【特許文献2】特許第2854500号
【特許文献3】特開2007−276333号公報
【特許文献4】特開2006−212844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のレンズアレイは、複数のロッドレンズを互いの光軸が平行となるように配列し、ロッドレンズ同士の隙間にシリコーン樹脂等の樹脂を充填して形成される。樹脂で一体化された複数のロッドレンズは、適当な長さに切断された後、その両端面を研磨される。しかし、ロッドレンズは樹脂に比べて硬度が大きいため、両端面を研磨したときに、ロッドレンズの周囲の樹脂が撓み、樹脂の内側までロッドレンズが深く研磨されることがある。そのため、ロッドレンズの長さにばらつきが生じやすく、必ずしも設計どおりに画像を結像させることができなかった。
【0007】
そこで、現状では、ロッドレンズの長さ(設計値)とレンズアレイの厚みを何水準か用意し、それらの組み合わせによって所望の共役長を実現している。しかし、この方法では、作業性が悪くなり、また、事前に多数の在庫を準備する必要があるため、コスト高になるという問題がある。また、レンズアレイをスペーサー部材に接着する場合、研磨された面は必ずしもロッドレンズの光軸に対して垂直にならないため、レンズアレイが接着面に対して傾いて配置され、受光部上で結像位置にずれが生じ易いという問題があり、高い精度を要求される光学機器では使用することが難しかった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、結像光学素子の外形のばらつきを補完し、高い精度で画像形成を行うことが可能な結像光学素子、結像光学素子の製造方法、及び、光学機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の結像光学素子は、複数のロッドレンズを互いの光軸が平行となるように配列してなるレンズアレイと、透光性のスペーサー部材と、を有し、発光部から出射した光を前記レンズアレイと前記スペーサー部材とを透過させて受光部に結像させる結像光学素子であって、前記スペーサー部材の前記レンズアレイと対向する面に溝が形成され、前記溝に設けられた接着剤によって前記レンズアレイが前記溝内に嵌め込まれていると共に、前記レンズアレイと前記スペーサー部材とを透過した光が前記発光部及び前記受光部の双方に結像するように、前記溝内における前記レンズアレイの光軸方向の位置が調節されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、レンズアレイがスペーサー部材の溝に嵌め込まれるため、レンズアレイをスペーサー部材の所定の位置に精度よく且つ強固に設置することができる。また、レンズアレイがスペーサー部材の接着面に対して傾いて配置されることがないので、受光部上での結像位置のずれが生じにくくなり、高い精度で画像形成を行うことができる。また、レンズアレイの光軸方向の位置を溝内で調節しているので、レンズアレイの外形にばらつきが生じても、確実に画像を結像させることができる。
【0011】
本発明においては、前記溝の少なくとも一方の端部が前記スペーサー部材の端面まで形成されていることが望ましい。
この構成によれば、溝内でレンズアレイの光軸方向を調節する際に溝から溢れた接着剤をスペーサー部材の端面からスムーズに排出することができる。そのため、レンズアレイの位置調節を容易にすることができ、さらに、溢れた接着剤がレンズアレイ自身にかかることがないので、信頼性の高い結像光学素子を提供することができる。
【0012】
本発明においては、前記溝の深さは、前記レンズアレイの光軸方向の高さの半分以上であることが望ましい。
この構成によれば、レンズアレイを溝内に強固に保持することができ、レンズアレイの倒れも確実に防止することができる。
【0013】
本発明の結像光学素子の製造方法は、複数のロッドレンズを互いの光軸が平行となるように配列してなるレンズアレイと、透光性のスペーサー部材と、を有し、発光部から出射した光を前記レンズアレイと前記スペーサー部材とを透過させて受光部に結像させる結像光学素子の製造方法であって、前記スペーサー部材の前記レンズアレイと対向する面に溝を形成し、前記溝に接着剤を塗布して前記レンズアレイを前記溝に嵌め込む工程と、前記レンズアレイの共役長に対応した距離で離間された位置調整用の光源と位置調整用の受光器とを有する組立機を用い、前記光源と前記受光器との間に前記レンズアレイと前記スペーサー部材とを配置し、前記光源から出射した光が前記レンズアレイと前記スペーサー部材とを透過し前記受光器で結像するように、前記溝内における前記レンズアレイの光軸方向の位置を調節する工程と、前記接着剤を硬化して前記レンズアレイを前記溝内に固定する工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、レンズアレイがスペーサー部材の溝に嵌め込まれるため、レンズアレイをスペーサー部材の所定の位置に精度よく且つ強固に設置することができる。また、レンズアレイがスペーサー部材の接着面に対して傾いて配置されることがないので、受光部上での結像位置のずれが生じにくくなり、高い精度で画像形成を行うことができる。また、レンズアレイの光軸方向の位置を溝内で調節しているので、レンズアレイの外形にばらつきが生じても、確実に画像を結像させることができる。
【0015】
本発明においては、前記溝の少なくとも一方の端部を前記スペーサー部材の端面まで形成し、前記溝から溢れた前記接着剤を前記スペーサー部材の端面から排出しつつ、前記溝内における前記レンズアレイの光軸方向の位置を調節することが望ましい。
この構成によれば、溝内でレンズアレイの光軸方向を調節する際に溝から溢れた接着剤をスペーサー部材の端面からスムーズに排出することができる。そのため、レンズアレイの位置調節を容易にすることができ、さらに、溢れた接着剤によってレンズアレイの光出射面が覆われてしまうといった問題を防止することができる。
【0016】
本発明においては、前記光源から出射する光の波長は、前記発光部から出射する光の波長と同じであることが望ましい。
この構成によれば、実機においても組立機と同様に、確実に画像を結像させることができる。
【0017】
本発明の光学機器は、前述した本発明の結像光学素子を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、結像光学素子の外形のばらつきを補完し、高い精度で画像形成を行うことが可能な光学機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】光学機器の一例であるラインプリンターの斜視図である。
【図2】図1におけるII−II線からみた断面図である。
【図3】感光体ドラムおよびプリンターヘッドの正面図である。
【図4】集束性レンズアレイの斜視図である。
【図5】結像光学素子の製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参酌して、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明では、鉛直方向をZ方向とするXYZ座標系を用いて各部材の配置や構成を説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0020】
図1は、本発明の光学機器の一例であるラインプリンター1の概略斜視図である。ラインプリンター1は、感光体ドラム70とプリンターヘッド80とを備えている。感光体ドラム70は、ラインプリンター1の筐体(フレーム)における特定の部位(以下「設置面」という)に対して所定の間隔をあけた位置に配置されている。プリンターヘッド80は、設置面に配置されて感光体ドラム70と設置面との間隙に位置する。
【0021】
プリンターヘッド80は、発光パネル10と、発光パネル10から出射された光を感光体ドラム70上に結像させる結像光学素子20とを備えている。結像光学素子20は、集束性レンズアレイ22と透光性のスペーサー部材25とを備えている。集束性レンズアレイ22は発光パネル10と感光体ドラム70との間隙に配置され、発光パネル10側の面を光入射面、感光体ドラム70側の面を光出射面とされている。スペーサー部材25は発光パネル10と集束性レンズアレイ22との間隙に配置され、両者と透光性の接着剤によって接着されている。
【0022】
プリンターヘッド80は、支持体30上に固定されている。支持体30の発光パネル10が設置された面の周縁部には、Z方向に突出する2本の突起部37が設置される。各突起部37は、各発光素子E(図2参照)の配列に沿った直線L(X方向に平行な直線)上であって、X方向に沿って発光パネル10を挟む位置に配置されている。各突起部37の先端には軸受61が固定されており、感光体ドラム70の両端面から突出する軸部63は、各軸受61に支持されている。これにより、感光体ドラム70は、集束性レンズアレイ22の光出射面に対向した姿勢を維持したまま回転軸Rを中心として回転可能となっている。
【0023】
図2は、図1におけるII−II線からみた断面図であり、図3は、感光体ドラム70およびプリンターヘッド80の正面図である。発光パネル10は、X方向を長手方向とする帯状の素子基板12に多数の発光素子(発光部)Eを配列形成したものである。発光素子Eは、例えば有機EL素子であり、透光性を有する素子基板12の集束性レンズアレイ22とは反対側の面にX方向に沿って多数配列されている。素子基板12の一つの長辺には、発光素子Eを駆動するICチップ15が実装されている。ICチップ15は、支持体30に形成された凹部30Hに嵌め込まれており、支持体30と干渉しないようになっている。
【0024】
スペーサー部材25は、ガラスやプラスチック等の透光性の板状部材によって形成されている。スペーサー部材25は、Z方向からみて複数の発光素子Eと重なり合うように寸法および形状が選定されている。スペーサー部材25は、素子基板12のうち発光素子Eが形成された側とは反対側の面と集束性レンズアレイ22の光入射面との間に介在して両者に接触する。したがって、各発光素子Eと集束性レンズアレイ22の光入射面との距離はスペーサー部材25の厚さに応じて定まる。すなわちスペーサー部材25は両者の間隔を規定するギャップ材として機能する。
【0025】
スペーサー部材25の集束性レンズアレイ22が配置される面には、Z方向から見て複数の発光素子Eと重なる位置に、X方向に延在する溝25Hが形成されている。溝25HのY方向の幅は、集束性レンズアレイ22のY方向の幅と略一致しており、集束性レンズアレイ22は溝25Hに嵌め込まれた状態で接着剤40によって固定されている。溝25H内における集束性レンズアレイ22のZ方向(光軸方向)の位置は、集束性レンズアレイ22とスペーサー部材25とを透過した光が発光素子E及び感光体ドラム70の受光部の双方に結像するような位置に調節されている。なお、この調節方法は、図5を用いて後述する。
【0026】
溝25HのX方向両端部は、スペーサー部材25の端面まで達している。集束性レンズアレイ22とスペーサー部材25との間に介在する接着剤40は、集束性レンズアレイ22のZ方向の位置を調節する過程で溝25Hに沿って移動し、スペーサー部材25の端面において排出可能となっている。溝25Hが形成された部分のスペーサー部材25のZ方向の厚みは、集束性レンズアレイ22の作動距離とスペーサー部材25の屈折率とに応じて選定される。溝25HのZ方向の深さは、例えば、集束性レンズアレイ22の半分以上とされるが、集束性レンズアレイ22を溝25H内に高精度且つ強固に設置することができるものであれば、これに限定されない。
【0027】
図4は、集束性レンズアレイ22の概略斜視図である。集束性レンズアレイ22は、Z方向(素子基板12の法線方向)を光軸方向とする多数の屈折率分布型のロッドレンズ23をX方向にアレイ状に配列したものである。ロッドレンズ23としては、例えば、日本板硝子株式会社製のセルフォック(登録商標)レンズが好適に用いられる。このロッドレンズ23は、直径0.28mm程度のファイバー状に形成され、X方向に沿って千鳥状に配置されている。各ロッドレンズ23の隙間には黒色のシリコーン樹脂24が充填され、さらに、その周囲にはフレーム26が配置され、各部材が一体化されている。
【0028】
図2及び図3において、各発光素子E(発光部)から出射した光は素子基板12とスペーサー部材25とを透過して集束性レンズアレイ22に入射する。集束性レンズアレイ22に入射した光はロッドレンズによって集光されたうえで感光体ドラム70の表面(受光部)に到達する。これによって感光体ドラム70の表面には、発光パネル10上の像に対応した正立像が結像され、感光体ドラム70の表面に静電潜像を形成する。
【0029】
この際、発光パネル10と集束性レンズアレイ22との間隙にはスペーサー部材25が介在するので、発光パネル10と集束性レンズアレイ22との間隙に空気のみが介在する構成と比較して、集束性レンズアレイ22に向かう各発光素子Eからの光束が狭まる。したがって、発光パネル10から出射した光のうち集束性レンズアレイ22に入射する光量の割合(光の利用効率)を増加させることができる。
【0030】
図5は、スペーサー部材25と集束性レンズアレイ22とを組み立てて結像光学素子20を製造する方法の説明図である。両者を組み立てる組立機90には、赤外光を出射する光源(発光部)91と、光源91から出射した光を検出する受光器(受光部)92とが設けられている。図示は省略したが、スペーサー部材25と光源91との間には、ガラス等で形成された透光性の離間部材が配置され、スペーサー部材25と光源91とを離間している。
【0031】
離間部材のZ方向の厚みや屈折率は、素子基板12のZ方向の厚みや屈折率と等しくなっている。光源91と受光器92との間隔も、発光パネル10の発光素子E(発光部)と感光体ドラム70(受光部)との間隔と等しくなっている。
【0032】
光源91としては、点光源が用いられる。光源91の大きさは、発光素子Eの大きさと異なっていても良いが、あまり大きすぎると、ロッドレンズ23の呑み込みが悪くなるので、望ましくない。例えば、発光素子EのXY平面内の面積を27μmとした場合、光源91のXY平面内の面積は、27μm〜5mm程度が望ましい。光源91の発光波長は特に限定されないが、発光素子Eの発光波長と同じであることが望ましい。例えば、発光素子Eの発光波長として赤色〜赤外の波長領域を用いる場合、光源91の発光波長は赤色〜赤外の波長領域が望ましい。
【0033】
受光器92としては、例えば、CCDカメラが用いられるが、これに限定されない。光源91から出射した光を高感度に検出できるものであれば、フォトダイオード等の他の受光器を用いることも可能である。
【0034】
スペーサー部材25と集束性レンズアレイ22とを組み立てる場合には、まず、光源91の上部に配置した前記離間部材の上にスペーサー部材25を設置し、溝25Hに接着剤40を塗布した後、集束性レンズアレイ22を溝25Hに嵌め込む。そして、集束性レンズアレイ22を把持し、光源91から出射した光が受光器92で結像するように、溝25H内における集束性レンズアレイ22のZ方向の位置を調節する。
【0035】
スペーサー部材25のZ方向の厚みLは、集束性レンズアレイ22(ロッドレンズ23の長さの設計値はZ)において想定される作動距離よりも大きく、共役長TC(Total Conjugate Length)よりも小さい厚みに設定される。スペーサー部材25の表面には、集束性レンズアレイ22の高さZよりも浅い溝25Hを形成し、そこに接着剤40として、例えば紫外線硬化型接着剤40を塗布し、集束性レンズアレイ22を嵌め込む。
【0036】
そして、光源91から赤外光を照射し、集束性レンズアレイ22に向けて照射し、スペーサー部材25と集束性レンズアレイ22とを透過した赤外光を受光器92上に結像させる。このとき、接着剤40は、紫外線硬化型の接着剤を用いるため、光源91から出射される赤外光によって硬化しない。そのため、集束性レンズアレイ22の位置を調節している間は、粘性の低い状態が維持され、スムーズに位置調節を行うことができる。
【0037】
集束性レンズアレイ22の位置をZ方向に移動させると、それに追随して接着剤40が溝25H内を流動する。余分な接着剤40は、溝25Hを伝わってスペーサー部材25の端面に達し、外部に排出される。集束性レンズアレイ22は、例えば、受光器92で検出される光が最も強くなる位置に配置すれば良い。
【0038】
調節が終了したら、光源91の位置に紫外線を照射する別の光源を設置し、接着剤40に紫外線を照射してこれを硬化する。これにより、集束性レンズアレイ22はZ方向の位置を適切に調節された状態でスペーサー部材25上に固定される。
【0039】
以上により結像光学素子20が完成したら、結像光学素子20を図1の発光パネル10上に接着し、プリンターヘッド80を作製する。そして、このプリンターヘッド80を支持体30上に固定し、ラインプリンター1が完成する。
【0040】
以上のように、本実施形態のラインプリンター1では、集束性レンズアレイ22がスペーサー部材25の溝25Hに嵌め込まれるため、集束性レンズアレイ22をスペーサー部材25の所定の位置に高精度且つ強固に設置することができる。また、集束性レンズアレイ22がスペーサー部材25の接着面に対して傾いて配置されることがないので、感光体ドラム70上での結像位置のずれが生じにくくなり、高い精度で画像形成を行うことができる。また、集束性レンズアレイ22のZ方向の位置を溝25H内で調節しているので、集束性レンズアレイ22の外形にばらつきが生じても、確実に画像を結像させることができる。
【0041】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0042】
また、本発明の結像光学素子の用途は像担持体である感光体ドラムの露光に限定されない。例えば、原稿などの読取対象に光を照射するライン型の光ヘッド(照明装置)として画像読取装置に本発明の結像光学素子を採用することができる。この種の画像読取装置としては、スキャナー、複写機やファクシミリの読取部分、バーコードリーダー、あるいはQRコード(登録商標)のような二次元画像コードを読む二次元画像コードリーダーがある。
【符号の説明】
【0043】
1…ラインプリンター(光学機器)、20…結像光学素子、22…集束性レンズアレイ、23…ロッドレンズ、25…スペーサー部材、25H…溝、40…接着剤、70…感光体ドラム(受光部)、91…光源、92…受光器、E…発光素子(発光部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロッドレンズを互いの光軸が平行となるように配列してなるレンズアレイと、透光性のスペーサー部材と、を有し、発光部から出射した光を前記レンズアレイと前記スペーサー部材とを透過させて受光部に結像させる結像光学素子であって、
前記スペーサー部材の前記レンズアレイと対向する面に溝が形成され、前記溝に設けられた接着剤によって前記レンズアレイが前記溝内に嵌め込まれていると共に、前記レンズアレイと前記スペーサー部材とを透過した光が前記発光部及び前記受光部の双方に結像するように、前記溝内における前記レンズアレイの光軸方向の位置が調節されていることを特徴とする結像光学素子。
【請求項2】
前記溝の少なくとも一方の端部が前記スペーサー部材の端面まで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の結像光学素子。
【請求項3】
前記溝の深さは、前記レンズアレイの光軸方向の高さの半分以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の結像光学素子。
【請求項4】
複数のロッドレンズを互いの光軸が平行となるように配列してなるレンズアレイと、透光性のスペーサー部材と、を有し、発光部から出射した光を前記レンズアレイと前記スペーサー部材とを透過させて受光部に結像させる結像光学素子の製造方法であって、
前記スペーサー部材の前記レンズアレイと対向する面に溝を形成し、前記溝に接着剤を塗布して前記レンズアレイを前記溝に嵌め込む工程と、
前記レンズアレイの共役長に対応した距離で離間された光源と受光器とを有する組立機を用い、前記光源と前記受光器との間に前記レンズアレイと前記スペーサー部材とを配置し、前記光源から出射した光が前記レンズアレイと前記スペーサー部材とを透過し前記受光器で結像するように、前記溝内における前記レンズアレイの光軸方向の位置を調節する工程と、
前記接着剤を硬化して前記レンズアレイを前記溝内に固定する工程と、を有することを特徴とする結像光学素子の製造方法。
【請求項5】
前記溝の少なくとも一方の端部を前記スペーサー部材の端面まで形成し、前記溝から溢れた前記接着剤を前記スペーサー部材の端面から排出しつつ、前記溝内における前記レンズアレイの光軸方向の位置を調節することを特徴とする請求項4に記載の結像光学素子の製造方法。
【請求項6】
前記光源から出射する光の波長は、前記発光部から出射する光の波長と同じであることを特徴とする請求項4又は5に記載の結像光学素子の製造方法。
【請求項7】
前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の結像光学素子を備えていることを特徴とする光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−210852(P2010−210852A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56025(P2009−56025)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】