結合光学系、ファイバ光学系
【課題】マルチコアファイバ同士を光学的に結合する場合に、結合効率の低下を抑制可能な結合光学系を提供する。
【解決手段】結合光学系は、複数のコアがクラッドで覆われたマルチコアファイバ同士を光学的に結合する光学系である。結合光学系は、第1両側テレセントリック光学系と、第2両側テレセントリック光学系とを含む。第1両側テレセントリック光学系は、一方のマルチコアファイバからの光の主光線が、当該マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される光学系である。第2両側テレセントリック光学系は、第1両側テレセントリック光学系を透過した主光線が他方のマルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で当該マルチコアファイバに対して出射される光学系である。
【解決手段】結合光学系は、複数のコアがクラッドで覆われたマルチコアファイバ同士を光学的に結合する光学系である。結合光学系は、第1両側テレセントリック光学系と、第2両側テレセントリック光学系とを含む。第1両側テレセントリック光学系は、一方のマルチコアファイバからの光の主光線が、当該マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される光学系である。第2両側テレセントリック光学系は、第1両側テレセントリック光学系を透過した主光線が他方のマルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で当該マルチコアファイバに対して出射される光学系である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光通信等に用いられるマルチコアファイバ同士を結合させる結合光学系、及びファイバ光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット端末等の普及により、莫大な情報量を有するデータの通信が要求されている。それに伴い、光通信の更なる大容量化が望まれている。
【0003】
従来の光通信は、クラッド内に一つのコアが設けられたシングルコアファイバを用いて行われている。しかし、一つのシングルコアファイバで通信を行う場合には容量の限界があるため、それを超える容量のデータ通信を行うための手段が要求されている。
【0004】
これに関し、たとえば、一つのクラッド内に複数のコアが設けられた光ファイバであるマルチコアファイバを用いることができる(特許文献1、2参照)。マルチコアファイバは複数のコアを有するため、シングルコアファイバに比べ、大容量のデータ通信を行うことが可能となる。光通信においては、このようなマルチコアファイバ同士(コア同士)を光学的に結合して使用したいという要望がある。
【0005】
ここで、2枚のコリメートレンズを介してシングルコアファイバ同士(コア同士)を光学的に結合する技術が存在する(特許文献3参照)。この技術によれば、シングルコアファイバ同士の間隔を伸縮させた場合であっても、結合効率を低下させることなくシングルコアファイバ同士を光学的に結合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−104443号公報
【特許文献2】特開平8−119656号公報
【特許文献3】特開昭58−68706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マルチコアファイバ同士(コア同士)を光学的に結合するために特許文献3の技術を応用する場合、たとえば、図9A及び図9Bに示す構成となる。図9A及び図9Bは、マルチコアファイバM、マルチコアファイバM´の軸方向の断面図である。
【0008】
マルチコアファイバM及びM´は、2枚のコリメートレンズL1及びL2を介して光学的に結合される(図9A参照)。2枚のコリメートレンズL1及びL2は、両側テレセントリック光学系を構成している。また、コリメートレンズL1とL2の間隔はsとなっている。
【0009】
ここで、マルチコアファイバ同士を光学的に結合するために、マルチコアファイバ同士の間隔を調整する場合について述べる。たとえば、図9Aの状態からマルチコアファイバM´及びコリメートレンズL2をマルチコアファイバM及びコリメートレンズL1からαだけ離した場合、図9Bに示すように、マルチコアファイバMのコアCcから出射する光は、マルチコアファイバM´において対応するコアC´cに垂直に入射する。一方、マルチコアファイバMの周辺コアCaから出射する光は、マルチコアファイバM´において対応する周辺コアC´aに入射する際、光束の入射角度が変わる。たとえば、図9Bに示すように、コアCaから出射した光の主光線(コアCaの光軸と平行な光線)がコリメートレンズL1及びコリメートレンズL2を介して、マルチコアファイバM´のコアC´aの光軸(コアC´aと平行な軸)に対して斜めに入射する。ここで、主光線がコアの断面に対して垂直に入射する場合に結合効率が最適となるが、図9Bのように、コアC´aの光軸に対して主光線が斜めに入射した場合、結合効率の低下を招く。また、マルチコアファイバ同士の間隔をαだけ離した場合、コアCaから出射する光束の一部がコリメートレンズL2に入射せず、所謂ケラレが発生する場合がある。すなわち、特許文献3に記載の技術をマルチコアファイバに応用した場合には、結合効率の低下を招くという問題がある。
【0010】
また、図9C及び図9Dに示すように、マルチコアファイバM及びコリメートレンズL1を含むファイバ光学系を支持するファイバ光学系支持部材H1と、マルチコアファイバM´及びコリメートレンズL2を含むファイバ光学系を支持するファイバ光学系支持部材H2とを接合することにより、マルチコアファイバ同士を光学的に結合することも可能である。
【0011】
この場合、ファイバ光学系間の間隔が正確でないと、マルチコアファイバMからの光の主光線がマルチコアファイバM´のコアの光軸に対して斜めに入射する(図9D参照)。よって、結合効率の低下を招く。
【0012】
この発明は上記の問題点を解決するものであり、マルチコアファイバ同士(ファイバ光学系同士)を光学的に結合する場合に、結合効率の低下を抑制可能な結合光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1記載の結合光学系は、複数のコアがクラッドで覆われたマルチコアファイバ同士を光学的に結合する光学系である。結合光学系は、第1両側テレセントリック光学系と、第2両側テレセントリック光学系とを含む。第1両側テレセントリック光学系は、一方のマルチコアファイバからの光の主光線が、当該マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される光学系である。第2両側テレセントリック光学系は、第1両側テレセントリック光学系を透過した主光線が他方のマルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で当該マルチコアファイバに対して出射される光学系である。
また、上記課題を解決するために、請求項2記載の結合光学系は、請求項1記載の結合光学系であって、第1両側テレセントリック光学系は、第1レンズと、第2レンズとを含む。第1レンズは、一方のマルチコアファイバからの光をコリメートさせる。第2レンズは、第1レンズから出射された光を収束させる。第2両側テレセントリック光学系は、第3レンズと、第4レンズとを含む。第3レンズは、第2レンズから出射された光をコリメートさせる。第4レンズは、第3レンズから出射された光を、他方のマルチコアファイバのコアに入射させる。
また、上記課題を解決するために、請求項3記載の結合光学系は、請求項2記載の結合光学系であって、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、及び第4レンズそれぞれの焦点距離が等しい。
また、上記課題を解決するために、請求項4記載の結合光学系は、請求項2記載の結合光学系であって、第1レンズ及び第4レンズが等しい焦点距離f1を有し、第2レンズ及び第3レンズが等しい焦点距離f2を有する場合、焦点距離f1及び焦点距離f2は以下の式を満たす。
f2/f1>1
また、上記課題を解決するために、請求項5記載の結合光学系は、請求項1記載の結合光学系であって、第1両側テレセントリック光学系は、第1レンズと、第2レンズとを含む。第1レンズは、一方のマルチコアファイバからの光をコリメートさせる。第2レンズは、第1レンズから出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま出射させる。第2両側テレセントリック光学系は、第3レンズと、第4レンズとを含む。第3レンズは、第2レンズから出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま出射させる。第4レンズは、第3レンズから出射された光を、他方のマルチコアファイバのコアに入射させる。
また、上記課題を解決するために、請求項6記載の結合光学系は、請求項1記載の結合光学系であって、第1両側テレセントリック光学系は、第1GRINレンズを含む。第1GRINレンズは、一方のマルチコアファイバからの光を、屈折率の勾配に応じて屈折させる。第2両側テレセントリック光学系は、第2GRINレンズを含む。第2GRINレンズは、第1GRINレンズから出射された光を、屈折率の勾配に応じて屈折させることにより、対応する他方のマルチコアファイバのコアに入射させる。
また、上記課題を解決するために、請求項7記載の結合光学系は、請求項1〜5のいずれかに記載の結合光学系であって、一方のマルチコアファイバのコアの端面と他方のマルチコアファイバのコアの端面とが平行になるように配置されている。
また、上記課題を解決するために、請求項8記載のファイバ光学系は、第1ファイバ光学系と、第2ファイバ光学系とを含む。第1ファイバ光学系は、第1マルチコアファイバと、第1両側テレセントリック光学系とを含む。第1マルチコアファイバは、複数のコアがクラッドで覆われたマルチコアファイバである。第1両側テレセントリック光学系は、第1マルチコアファイバからの光の主光線が、第1マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される光学系である。第2ファイバ光学系は、第2マルチコアファイバと、第2両側テレセントリック光学系とを含む。第2マルチコアファイバは、複数のコアがクラッドで覆われたマルチコアファイバである。第2両側テレセントリック光学系は、第1両側テレセントリック光学系を透過した主光線が第2マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で第2マルチコアファイバに対して出射される光学系である。
また、上記課題を解決するために、請求項9記載のファイバ光学系は、請求項8記載の結合光学系であって、第1マルチコアファイバのコアの端面と第2マルチコアファイバのコアの端面とが平行になるように配置されている。
【発明の効果】
【0014】
2つのマルチコアファイバの間に2つの両側テレセントリック光学系を配置する。この構成により、マルチコアファイバ同士を光学的に結合するために、マルチコアファイバ間の間隔(マルチコアファイバと両側テレセントリック光学系とを含むファイバ光学系間の間隔)を調整したとしても、マルチコアファイバ(ファイバ光学系)の光軸方向のシフトに対して一方のマルチコアファイバ(コア)からの主光線が他方のマルチコアファイバ(コア)に常に垂直に入射するようになる。よって、調整精度が十分に確保でき、マルチコアファイバ同士(ファイバ光学系同士)を光学的に結合することが容易となる。従って、マルチコアファイバ同士(ファイバ光学系同士)を光学的に結合する場合に、結合効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に共通のマルチコアファイバを示す図である。
【図2】第1実施形態に係る結合光学系を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る結合光学系を示す図である。
【図4】第1実施形態の変形例1に係る結合光学系を示す図である。
【図5】第1実施形態の変形例2に係る結合光学系を示す図である。
【図6】第2実施形態に係る結合光学系を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る結合光学系に用いられるレンズを示す図である。
【図8】第3実施形態に係る結合光学系を示す図である。
【図9A】発明が解決する課題を説明するための図である。
【図9B】発明が解決する課題を説明するための図である。
【図9C】発明が解決する課題を説明するための図である。
【図9D】発明が解決する課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[マルチコアファイバの構成]
図1を参照して、実施形態に共通のマルチコアファイバ1の構成について説明する。マルチコアファイバ1は、一般に可撓性を有する長尺の円柱部材である。図1は、マルチコアファイバ1の斜視図である。図1では、マルチコアファイバ1の先端部分のみを示している。
【0017】
マルチコアファイバ1は、たとえば石英ガラスやプラスチック等、光の透過性が高い素材により形成されている。マルチコアファイバ1は、複数のコアCk(k=1〜n)と、クラッド2を含んで構成されている。
【0018】
コアCkは、光源(図示なし)からの光を伝送する伝送路である。コアCkはそれぞれ端面Ek(k=1〜n)を有する。端面Ekからは、光源(図示なし)で発せられた光が出射される。コアCkから出射される光は、主光線Prk(k=1〜n)を含んでいる。クラッド2よりも屈折率を高めるために、コアCkは、たとえば石英ガラスに酸化ゲルマニウム(GeO2)が添加された素材により形成されている。なお、図1では7つのコアC1〜C7を有する構成を示したが、コアCkの数は少なくとも2つ以上であればよい。以下の実施形態において、「主光線」とは、コアCkの光軸と平行な光線をいう。また、「マルチコアファイバの光軸」とは、コアCkの光軸をいう。
【0019】
クラッド2は、複数のコアCkを覆う部材である。クラッド2は、光源(図示なし)からの光をコアCk内に閉じ込める役割を有する。クラッド2は端面2aを有する。コアCkの端面Ek及びクラッド2の端面2aは同一面(マルチコアファイバ1の端面1b)を形成している。クラッド2の素材としては、コアCkの素材よりも屈折率が低い素材が用いられる。たとえば、コアCkの素材が石英ガラスと酸化ゲルマニウムからなる場合には、クラッド2の素材としては石英ガラスを用いる。このように、コアCkの屈折率をクラッド2の屈折率よりも高くすることで、光源(図示なし)からの光をコアCkとクラッド2の境界面で全反射させる。よって、コアCk内に光を伝送させることができる。なお、各コアはクラッド2内で平行になるよう配置されているが、これに限られない。
【0020】
<第1実施形態>
次に、図2を参照して、第1実施形態に係る結合光学系10について説明する。図2は、結合光学系10、マルチコアファイバ1、マルチコアファイバ1´の軸方向の断面図である。本実施形態において、マルチコアファイバ1は、その中心(断面中心)に配置されたコアC1を含む、クラッド2に覆われた7つのコアCk(C1〜C7)を有する。マルチコアファイバ1´は、その中心(断面中心)に配置されたコアC´1を含む、クラッド2´に覆われた7つのコアC´k(C´1〜C´7)を有する。各コア(コアCkとコアC´k)の端面は、平行になるように配置されている。また、各コア(コアCkとコアC´k)は、一対一に対応付けられている。すなわち、マルチコアファイバ1とマルチコアファイバ1´とを対向させた場合、あるコアCk(たとえば、C1)からの光は、対向するコアC´k(たとえば、C´1)に導かれるようになっている。図2では、マルチコアファイバ1の3つのコア(C1、C2、C5)、及び対応するマルチコアファイバ1´の3つのコア(C´1、C´2、C´5)のみを示している。なお、マルチコアファイバ1とマルチコアファイバ1´との直径、コア径、及びコア配置は等しいものとする。
【0021】
[結合光学系の構成]
結合光学系10は、マルチコアファイバ1とマルチコアファイバ1´との間に配置され、マルチコアファイバ同士を光学的に結合する。ここで、「光学的に結合する」とは、マルチコアファイバ同士をレンズ等の光学素子を介して間接的に結合することをいう。結合光学系10は、第1両側テレセントリック光学系10aと、第2両側テレセントリック光学系10bとを含んで構成されている。本実施形態において、第1両側テレセントリック光学系10a及び第2両側テレセントリック光学系10bの倍率はそれぞれ1であるとする。
【0022】
第1両側テレセントリック光学系10aは、マルチコアファイバ1からの光の主光線が、マルチコアファイバ1の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される光学系である。マルチコアファイバ1は、「第1マルチコアファイバ」の一例である。また、マルチコアファイバ1及び第1両側テレセントリック光学系10aは、「第1ファイバ光学系」の一例である。
【0023】
第1両側テレセントリック光学系10aは、レンズ101と、レンズ102を含んで構成されている。なお、第1両側テレセントリック光学系10aは、上記機能を有する光学系であれば、2枚のレンズから構成される必要はない。たとえば、3枚以上のレンズを組み合わせてもよい。また、レンズ間にフィルタ等の光学素子を配置してもよい。
【0024】
レンズ101は、1枚の凸レンズからなる。レンズ101には、マルチコアファイバ1の各コアCkからの光の主光線PrがコアC1の光軸に平行な状態でそれぞれ入射される。レンズ101は、入射した複数の光(マルチコアファイバ1から出射された光)それぞれをコリメートさせる。コリメートされた光は、レンズ102に導かれる。
【0025】
レンズ101は、その中心がコアC1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、コアC1からの光は、レンズ101でコリメートされた状態を保ったまま、レンズ101を透過する。また、コアC1からの光の主光線Pr1は、直進する。一方、レンズ101の中心以外を透過する光(コアC2〜C7からの光)は、レンズ101でコリメートされつつ、所定の方向に屈折される。すなわち、各光の主光線Pr2〜Pr7が所定の方向に屈折される。
【0026】
たとえば、レンズ101は、コアC1の光軸に対して平行な状態で入射された主光線Pr2を含む光をコリメートさせつつ、所定方向に屈折させ、レンズ102に入射させる。同様に、レンズ101は、コアC5の光軸に対して平行な状態で入射された主光線Pr5を含む光をコリメートさせつつ、所定方向に屈折させ、レンズ102に入射させる。本実施形態におけるレンズ101は、「第1レンズ」の一例である。
【0027】
レンズ102は、1枚の凸レンズからなる。レンズ102には、レンズ101を透過した複数の光が入射される。レンズ102は、入射した光を収束させ、第2両側テレセントリック光学系10bに導く。
【0028】
レンズ102は、その中心がコアC1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、レンズ101を透過したコアC1からの光は、レンズ102により収束される。一方、レンズ102の中心以外を透過する光(レンズ101を透過したコアC2〜C7からの光)は、レンズ102により、それぞれの主光線(Pr2〜Pr7)がそれぞれのコア(C2〜C7)の光軸と平行な方向に屈折された後、収束される。
【0029】
たとえば、レンズ102は、入射した主光線Pr2を含む光を、コアC2の光軸と平行な方向に屈折させた後、収束させる。同様に、レンズ102は、入射した主光線Pr5を含む光を、コアC5の光軸と平行な方向に屈折させた後、収束させる。収束された光それぞれは、結像点IPを二次光源として第2両側テレセントリック光学系10bに入射する。このように、第1両側テレセントリック光学系10aにより各コアCkから出射される光束の中間像を作ることで、結像点IPにおいて各コアCkからの光の間隔(光軸垂直方向)を広くとることができる。よって、任意のコアCkからの光(たとえば、コアC2からの光)を抜き取り易くなるため、信号検査を容易に行うことが可能となる。また、マルチコアファイバ間に波長透過フィルタやアッテネータ等の光学素子を挿入することができるため、信号処理を容易に行うことが可能となる。本実施形態におけるレンズ102は、「第2レンズ」の一例である。
【0030】
第2両側テレセントリック光学系10bは、第1両側テレセントリック光学系10aを透過した各コアからの主光線がマルチコアファイバ1´の各コアの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態でマルチコアファイバ1´に対して出射される光学系である。マルチコアファイバ1´は、「第2マルチコアファイバ」の一例である。また、マルチコアファイバ1´及び第2両側テレセントリック光学系10bは、「第2ファイバ光学系」の一例である。
【0031】
第2両側テレセントリック光学系10bは、レンズ103と、レンズ104を含んで構成されている。なお、第2両側テレセントリック光学系10bは、上記機能を有する光学系であれば、2枚のレンズから構成される必要はない。たとえば、3枚以上のレンズを組み合わせてもよい。また、レンズ間にフィルタ等の光学素子を配置してもよい。
【0032】
レンズ103は、1枚の凸レンズからなる。レンズ103は、レンズ102(第1両側テレセントリック光学系10a)から出射された光をコリメートさせ、レンズ104に出射する。
【0033】
レンズ103は、その中心がコアC´1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、レンズ103を透過したコアC1からの光は、コリメート光として出射される。一方、レンズ103の中心以外を透過する光(レンズ102を透過したコアC2〜C7からの光)は、レンズ103でコリメートされつつ、所定の方向に屈折される。すなわち、各光の主光線Pr2〜Pr7が所定の方向に屈折される。
【0034】
たとえば、レンズ103は、レンズ102を透過したコアC2からの光(主光線Pr2を含む)をコリメートさせつつ、所定の方向に屈折させ、レンズ104に入射させる。同様に、レンズ103は、レンズ102を透過したコアC5からの光(主光線Pr5を含む)をコリメートさせつつ、所定の方向に屈折させ、レンズ104に入射させる。本実施形態におけるレンズ103は、「第3レンズ」の一例である。
【0035】
レンズ104は、1枚の凸レンズからなる。レンズ104は、レンズ103から出射された複数の光それぞれを収束させ、マルチコアファイバ1´のコアC´kに入射させる。
【0036】
レンズ104は、その中心がコアC´1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、コアCkからの光それぞれは、レンズ104により収束され、且つコアCkからの光の主光線PrkがそれぞれコアC´kの光軸と平行になるように屈折される。
【0037】
たとえば、レンズ104は、コアC2からの光の主光線Pr2がコアC´2の光軸に対して平行になるように屈折させ、且つ主光線Pr2を含む光を収束させる。そして、レンズ104は、当該光をコアC´2に入射させる。この場合、主光線Pr2は、コアC´2に対して垂直に入射する。同様に、レンズ104は、コアC5からの光の主光線Pr5がコアC´5の光軸に対して平行になるように屈折させ、且つ主光線Pr5を含む光を収束させる。そして、レンズ104は、当該光をコアC´5に入射させる。この場合、主光線Pr5は、コアC´5に対して垂直に入射する。本実施形態におけるレンズ104は、「第4レンズ」の一例である。
【0038】
本実施形態において、レンズ101、レンズ102、レンズ103及びレンズ104は、等しい焦点距離f1を有するレンズである。この場合、同じレンズを用いて結合光学系10を構成することができる。よって、製造コストを抑えることが可能となる。なお、各レンズの焦点距離は、許容誤差の範囲内であれば完全に同じでなくともよく、その場合は実質的に等しいものとみなすことができる。
【0039】
また、本実施形態において、第1両側テレセントリック光学系10aに入射する光の開口数と第2両側テレセントリック光学系10bから出射される光の開口数とが等しくなるよう構成されている。従って、開口数の違いによる結合効率の低下を防止することができる。
【0040】
[光の進み方について]
図2及び図3を参照して、本実施形態に係る光の進み方について説明する。本実施形態では、マルチコアファイバ1から出射された光をマルチコアファイバ1´に導く構成について説明する。すなわち、本実施形態におけるマルチコアファイバ1は、「一方のマルチコアファイバ」の一例である。マルチコアファイバ1´は、「他方のマルチコアファイバ」の一例である。マルチコアファイバ1の中心に配置されたコアC1の光軸は、「一方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。マルチコアファイバ1´の中心に配置されたコアC´1の光軸は、「他方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。なお、図3では、コアC1、C2、C5からの光の主光線Pr1、Pr2、Pr5のみを示す。
【0041】
マルチコアファイバ1のコアC1〜C7それぞれから光が出射される。出射された光は、それぞれ拡散しながら、レンズ101に入射する。ここで、コアC1〜C7からの光の主光線Pr1〜Pr7それぞれは、コアC1〜C7の光軸に平行な状態でレンズ101に入射する。
【0042】
レンズ101に入射した光は、それぞれコリメートされ、レンズ102に入射する。なお、コアC2〜C7からの光は、レンズ101を透過することにより、所定の方向に屈折する。レンズ101から出射した光のうち、コアC1からの光(主光線Pr1を含む)は、レンズ102に対して垂直に入射する。一方、レンズ101から出射した光のうち、コアC2〜C7からの光(主光線Pr2〜Pr7を含む)は、レンズ101により所定の方向に屈折しているため、レンズ102に対して斜め方向から入射する。
【0043】
レンズ102に入射したコアC1〜C7からの光は、レンズ102により、それぞれコアC1〜C7の光軸と平行な方向に屈折した後、収束する。収束した光は、結像点IPを二次光源として、レンズ103に入射する。
【0044】
レンズ103に入射したコアC1からの光(主光線Pr1を含む)は、レンズ103によりコリメートされつつ、レンズ104に対して垂直に入射する。一方、レンズ103に入射したコアC2〜C7からの光は、レンズ103により、コリメートされつつ所定の方向に屈折し、レンズ104に入射する。すなわち、主光線Pr2〜Pr7も所定の方向に屈折する。
【0045】
レンズ104に入射した光の主光線Pr1〜Pr7それぞれは、コアC´1〜C´7の光軸に対して平行に出射され、コアC´1〜C´7に対して入射する。すなわち、主光線Pr1〜Pr7は、コアC´1〜C´7に対して垂直に入射する。たとえば、コアC2からの光の主光線Pr2は、対応するコアC´2に対して垂直に入射する。同様に、コアC5からの光の主光線Pr5は、対応するコアC´5に対して垂直に入射する。
【0046】
このように、本実施形態におけるレンズ101及びレンズ102は、マルチコアファイバ1からの光の主光線Prkが、マルチコアファイバ1の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される両側テレセントリック光学系(第1両側テレセントリック光学系10a)を構成している。また、レンズ103及びレンズ104は、第1両側テレセントリック光学系10aを透過した主光線Prkがマルチコアファイバ1´の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態でマルチコアファイバ1´に対して出射される両側テレセントリック光学系(第2両側テレセントリック光学系10b)を構成している。
【0047】
次に、図2の状態から、マルチコアファイバ同士の間隔を変更した場合の光の進み方について説明する。ここでは、図3のように、マルチコアファイバ1´及び第2両側テレセントリック光学系10b(第2ファイバ光学系)を、マルチコアファイバ1及び第1両側テレセントリック光学系10a(第1ファイバ光学系)から離す場合(αだけ移動させる場合)について述べる。
【0048】
第2ファイバ光学系から第1ファイバ光学系を離したとしても、マルチコアファイバ1に対する第1両側テレセントリック光学系10aの配置関係、及びマルチコアファイバ1´に対する第2両側テレセントリック光学系10bの配置関係には変化がない。よって、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との間隔を変更した場合であってもコアCkからの主光線Prkは、コアC´kに対して垂直に入射する。すなわち、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との間隔を変更した場合であっても結合効率の劣化を抑えることが可能となる。つまり、第1ファイバ光学系及び第2ファイバ光学系という異なる2つの光学系を結合することでマルチコアファイバ同士の光結合をするときに、結合効率の低下を抑制することができる。なお、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系の間隔を調整可能に構成することで、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との間(第1両側テレセントリック光学系10aと第2両側テレセントリック光学系10bとの間)に、波長透過フィルタやアッテネータ等の光学素子を配置し易くなる。
【0049】
なお、マルチコアファイバ1´からの光をマルチコアファイバ1に導くことも可能である。この場合、マルチコアファイバ1´は、「一方のマルチコアファイバ」に該当する。マルチコアファイバ1は、「他方のマルチコアファイバ」に該当する。マルチコアファイバ1´の中心に配置されたコアC´1の光軸は、「一方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。マルチコアファイバ1の中心に配置されたコアC1の光軸は、「他方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。レンズ104は、「第1レンズ」に該当する。レンズ103は、「第2レンズ」に該当する。レンズ102は、「第3レンズ」に該当する。レンズ101は、「第4レンズ」に該当する。
【0050】
[作用・効果]
本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0051】
本実施形態に係る結合光学系10は、複数のコアCk(コアC´k)がクラッド2(クラッド2´)で覆われたマルチコアファイバ同士(マルチコアファイバ1及びマルチコアファイバ1´)を光学的に結合する光学系である。結合光学系10は、第1両側テレセントリック光学系10aと、第2両側テレセントリック光学系10bとを含む。第1両側テレセントリック光学系10aは、マルチコアファイバ1からの光の主光線Prkが、マルチコアファイバ1の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される光学系である。第2両側テレセントリック光学系10bは、第1両側テレセントリック光学系10aを透過した主光線Prkがマルチコアファイバ1´の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態でマルチコアファイバ1´に対して出射される光学系である。
【0052】
具体的に、第1両側テレセントリック光学系10aは、第1レンズ(レンズ101)と、第2レンズ(レンズ102)とを含む。第1レンズは、マルチコアファイバ1からの光をコリメートさせる。第2レンズは、第1レンズから出射された光を収束させる。第2両側テレセントリック光学系10bは、第3レンズ(レンズ103)と、第4レンズ(レンズ104)とを含む。第3レンズは、第2レンズから出射された光をコリメートさせる。第4レンズは、第3レンズから出射された光を、マルチコアファイバ1´のコアC´kに入射させる。
【0053】
また、本実施形態に係るファイバ光学系は、第1ファイバ光学系と、第2ファイバ光学系とを含む。第1ファイバ光学系は、第1マルチコアファイバ(マルチコアファイバ1)と、第1両側テレセントリック光学系10aとを含む。第1マルチコアファイバは、複数のコアCkがクラッド2で覆われたマルチコアファイバである。第1両側テレセントリック光学系10aは、マルチコアファイバ1からの光の主光線Prkが、マルチコアファイバ1の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される光学系である。第2ファイバ光学系は、第2マルチコアファイバ(マルチコアファイバ1´)と、第2両側テレセントリック光学系10bとを含む。第2マルチコアファイバは、複数のコアC´kがクラッド2´で覆われたマルチコアファイバである。第2両側テレセントリック光学系10bは、第1両側テレセントリック光学系10aを透過した主光線Prkがマルチコアファイバ1´の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態でマルチコアファイバ1´に対して出射される光学系である。
【0054】
このように、2つのマルチコアファイバ1及び1´の間に2つの両側テレセントリック光学系(第1両側テレセントリック光学系10a及び第2両側テレセントリック光学系10b)を配置する。この構成により、マルチコアファイバ間の間隔(或いは、マルチコアファイバと両側テレセントリック光学系とを含むファイバ光学系間の間隔)を変更した場合であっても、一方のマルチコアファイバ(コア)からの光を他方のマルチコアファイバ(コア)に確実に導くことができる。たとえば、本実施形態の構成を用いてファイバ光学系同士を接合する場合、ファイバ光学系同士の間隔に誤差があったとしても、マルチコアファイバ1からの主光線Prkをマルチコアファイバ1´のコアC´kに対して垂直に入射させることができるため、結合効率の低下を抑制することができる。また、レンズによるケラレ等が生じないため、結合効率の低下を抑制することができる。すなわち、マルチコアファイバ同士を光学的に結合する場合に、結合効率の低下を抑制することができる。
【0055】
本実施形態に係る結合光学系10(ファイバ光学系)に用いられる第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、及び第4レンズそれぞれの焦点距離は等しくなっている。
【0056】
このように、焦点距離が等しいレンズを用いることにより、2つの両側テレセントリック光学系を同じレンズで構成することができる。よって、結合光学系10の製造コストを抑えることが可能となる。
【0057】
<第1実施形態の変形例1>
第1実施形態で説明した結合光学系10は、マルチコアファイバの端面が加工されている場合についても用いることが可能である。図4は、結合光学系10、マルチコアファイバN、マルチコアファイバN´の軸方向の断面図である。本実施形態におけるマルチコアファイバN(N´)は、その端面が斜状に研磨されている。このような場合であっても、マルチコアファイバ間に結合光学系10を配置することにより、マルチコアファイバ間の間隔を変更した場合であっても、一方のマルチコアファイバ(コア)からの光を他方のマルチコアファイバ(コア)に確実に導くことができる。従って、マルチコアファイバ同士を光学的に結合する場合に、結合効率の低下を抑制することができる。
【0058】
また、マルチコアファイバNの端面、及びマルチコアファイバN´の端面における斜状の方向は一致している。マルチコアファイバNから出射した光は結合光学系10aを透過後に中間像面X上に集光される。このとき、中間像面XとマルチコアファイバNの斜状方向は反転している。この中間像面Xの各結像点IPから出射した光束は結合光学系10bを透過後に斜状に形成されたマルチコアファイバN´の端面に収束する。このとき、中間像面XとマルチコアファイバN´の斜状方向は反転している。マルチコアファイバN等をこのように配置することで、マルチコアファイバNの各コアCkから出射する光をマルチコアファイバN´の各コアC´kに対して最適な光軸方向の位置に収束させることができる。また、マルチコアファイバN(コアCk)から出射する光の光束のうち最も強度の強い光線PはマルチコアファイバN´のコアに対して結合効率が最適になるよう入射される(図4参照)。このため結合効率が低下することなくマルチコアファイバNとマルチコアファイバN´とを接続することができる。
【0059】
本変形例においても主光線Prkは、コアCkの光軸と平行な光線とする。端面が斜状に研磨されたマルチコアファイバのコアから出射する光束は、コアの出射端面(空気と隣接)で屈折する。従って、コアから出射する光の光束のうち最も強度の強い光線Pは、コアの光軸に対して斜めに出射する。すなわち、斜状に研磨されたマルチコアファイバにおいては、この最も強度の強い光線Pと主光線Prkとは別の光線となる。なお、平面に研磨されたマルチコアファイバ(第1実施形態等)では、これらの光線が一致している。
【0060】
<第1実施形態の変形例2>
図5を参照して、第1実施形態の変形例2に係る結合光学系10´について説明する。図5は、結合光学系10´、マルチコアファイバ1、マルチコアファイバ1´の軸方向の断面図である。
【0061】
第1実施形態では、両側テレセントリック光学系に用いるレンズの焦点距離が全て等しい場合(焦点距離f1)について説明したが、レンズの焦点距離はこれに限られない。
【0062】
たとえば、レンズ102の代わりにレンズ101と焦点距離が異なるレンズ105を用いた第1両側テレセントリック光学系10´a、及びレンズ103の代わりにレンズ104と焦点距離が異なるレンズ106を用いた第2両側テレセントリック光学系10´bを用いた結合光学系10´を用いて第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0063】
レンズ105は、1枚の凸レンズからなる。レンズ105には、レンズ101を透過した複数の光が入射される。レンズ105は、入射した光を収束させ、第2両側テレセントリック光学系10bに導く。
【0064】
レンズ105は、その中心がコアC1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、レンズ101を透過したコアC1からの光は、レンズ105により収束される。一方、レンズ105の中心以外を透過する光(レンズ101を透過したコアC2〜C7からの光)は、レンズ105により、それぞれの主光線(Pr2〜Pr7)がそれぞれのコア(C2〜C7)の光軸と平行な方向に屈折された後、収束される。本変形例におけるレンズ105の焦点距離は、レンズ101と異なる焦点距離f2である。本変形例におけるレンズ105は、「第2レンズ」の一例である。
【0065】
レンズ106は、1枚の凸レンズからなる。レンズ106は、レンズ105(第1両側テレセントリック光学系10´a)から出射された光をコリメートさせ、レンズ104に出射する。
【0066】
レンズ106は、その中心がコアC´1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、レンズ105を透過したコアC1からの光は、コリメート光として出射される。一方、レンズ106の中心以外を透過する光(レンズ105を透過したコアC2〜C7からの光)は、レンズ106でコリメートされつつ、所定の方向に屈折される。すなわち、各光の主光線Pr2〜Pr7が所定の方向に屈折される。レンズ106の焦点距離は、レンズ104と異なる焦点距離f2である。本変形例におけるレンズ106は、「第3レンズ」の一例である。
【0067】
ここで、本変形例におけるレンズ101及びレンズ104の焦点距離f1と、レンズ105及びレンズ106の焦点距離f2とは、以下の式(1)を満たすことが望ましい。
【0068】
f2/f1>1・・・(1)
【0069】
このように、焦点距離の異なるレンズを用いて第1両側テレセントリック光学系10´aを構成することにより、第1両側テレセントリック光学系10´aによって得られる結像点IPにおける中間像は、m倍(=f2/f1)に拡大される。すなわち、マルチコアファイバ1からの光が第1両側テレセントリック光学系10´aを透過した場合、第1両側テレセントリック光学系10´aを透過した光の主光線間の間隔ΔY2は、マルチコアファイバ1からの光の主光線間の間隔ΔY1よりも広くなる。よって、任意のコアCkからの光をより抜き取り易くなるため、信号検査を容易に行うことが可能となる。また、拡大された中間像を参照して行うアライメント(マルチコアファイバの光軸に垂直な方向のアライメント)が容易になる。
【0070】
更に、第1両側テレセントリック光学系10´aと同じ焦点距離のレンズを用いて第2両側テレセントリック光学系10´bを構成することにより、第1両側テレセントリック光学系10´aによって拡大された中間像を1/m倍(<1)に縮小することができる。よって、中間像の大きさを変えた場合であってもマルチコアファイバ1´への結合効率を劣化させることがない。また、ファイバ光学系同士の光軸垂直方向のアライメント誤差感度が小さくなる。従って、結合効率を低下させることなくマルチコアファイバ同士を光学的に結合することができる。また、ファイバ光学系間の光軸方向の間隔が長くなるため、調整スペースを十分に確保することができる。すなわち、ファイバ光学系同士の調整を容易に行うことができる。
【0071】
<第2実施形態>
次に、図6を参照して、第2実施形態に係る結合光学系20について説明する。図6は、結合光学系20、マルチコアファイバ1、マルチコアファイバ1´の軸方向の断面図である。第1実施形態と同様の構成等については、詳細な説明を省略する場合がある。
【0072】
第1実施形態で用いたレンズ102及びレンズ103と異なる光学素子を用いる場合でも、第1実施形態と同様の効果を奏する結合光学系を構成することが可能である。本実施形態における結合光学系20は、第1両側テレセントリック光学系20aと、第2両側テレセントリック光学系20bとを含んで構成されている。
【0073】
第1両側テレセントリック光学系20aは、レンズ101及びプリズム201を含んで構成されている。
【0074】
プリズム201は、レンズ101から出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま出射させる。出射された光は、第2両側テレセントリック光学系20b(プリズム202)に導かれる。
【0075】
プリズム201は、マルチコアファイバ1のコアCkの数及び配置に応じた複数の透過面201aを有する。各透過面201aは、レンズ101からの光を屈折・透過させ、第2両側テレセントリック光学系20bに導く。図7に示すように、本実施形態では、コアC2〜C7に対応する6つの透過面201aが設けられている。また、本実施形態では、プリズム201に平面201bが設けられている。平面201bは、コアC1からの光をそのまま透過させるよう構成されている。
【0076】
プリズム201は、その中心がコアC1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、レンズ101を透過したコアC1からの光は、レンズ101でコリメートされた状態を保ったまま、プリズム201の平面201bを透過する。一方、プリズム201の中心以外を透過する光(主光線(Pr2〜Pr7)を含む、レンズ101を透過したコアC2〜C7からの光)は、コリメートされた状態を保ったままプリズム201(透過面201a)により、それぞれのコア(C2〜C7)の光軸と平行な方向に屈折され、第2両側テレセントリック光学系20b(プリズム202)に導かれる。本実施形態におけるプリズム201は、「第2レンズ」の一例である。
【0077】
第2両側テレセントリック光学系20bは、プリズム202及びレンズ104を含んで構成されている。
【0078】
プリズム202は、プリズム201から出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま、レンズ104に出射する。本実施形態におけるプリズム202の構成は、プリズム201と同様、6つ透過面202a及び1つの平面202bを含んで構成されている(図7参照)。
【0079】
プリズム202は、その中心がコアC´1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、プリズム201を透過したコアC1からの光は、レンズ101でコリメートされた状態を保ったまま、プリズム202の平面202bを透過する。一方、プリズム202の中心以外を透過する光(プリズム201を透過したコアC2〜C7からの光)は、コリメートされた状態を保ったまま、透過面202aにおいて所定の方向に屈折される。すなわち、各光の主光線Pr2〜Pr7が所定の方向に屈折される。本実施形態におけるプリズム202は、「第3レンズ」の一例である。
【0080】
[光の進み方について]
次に、図6を参照して、本実施形態に係る光の進み方について説明する。
【0081】
マルチコアファイバ1のコアC1〜C7それぞれから光が出射される。出射された光は、それぞれ拡散しながら、レンズ101に入射する。ここで、コアC1〜C7からの光の主光線Pr1〜Pr7それぞれは、コアC1〜C7の光軸に平行な状態でレンズ101に入射する。
【0082】
レンズ101に入射した光は、それぞれコリメートされ、プリズム201に入射する。なお、コアC2〜C7からの光は、レンズ101を透過することにより、所定の方向に屈折される。レンズ101から出射した光のうち、コアC1からの光(主光線Pr1を含む)は、プリズム201の平面201bに対して垂直に入射する。一方、レンズ101から出射した光のうち、コアC2〜C7からの光(主光線Pr2〜Pr7を含む)は、レンズ101により所定の方向に屈折しているため、プリズム201の透過面201aそれぞれに入射する。
【0083】
プリズム201に入射した光のうちコアC2〜C7からの光は、プリズム201により、コリメートされた状態を保ったまま、コアC2〜C7の光軸と平行な方向に屈折する。屈折した光は、プリズム202に垂直に入射する。コアC1からの光は、レンズ101でコリメートされた状態を保ったままプリズム201を透過し、プリズム202に垂直に入射する。
【0084】
プリズム202に入射した光のうちコアC2〜C7からの光は、プリズム202(透過面202a)により、コリメートされた状態を保ったまま、所定の方向に屈折し、レンズ104に入射する。すなわち、主光線Pr2〜Pr7も所定の方向に屈折する。コアC1からの光(主光線Pr1を含む)は、コリメートされた状態を保ったまま、平面202bを透過し、レンズ104に垂直に入射する。
【0085】
レンズ104に入射した光の主光線Pr1〜Pr7それぞれは、コアC´1〜C´7の光軸に対して平行に出射され、コアC´1〜C´7に対して入射する。すなわち、主光線Pr1〜Pr7は、コアC´1〜C´7に対して垂直に入射する。たとえば、コアC2からの光の主光線Pr2は、対応するコアC´2に対して垂直に入射する。同様に、コアC5からの光の主光線Pr5は、対応するコアC´5に対して垂直に入射する。
【0086】
このように、本実施形態におけるレンズ101及びプリズム201は、マルチコアファイバ1からの光の主光線Prkが、マルチコアファイバ1の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される第1両側テレセントリック光学系20aを構成している。また、本実施形態におけるプリズム202及びレンズ104は、第1両側テレセントリック光学系20aを透過した主光線Prkがマルチコアファイバ1´の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態でマルチコアファイバ1´に対して出射される第2両側テレセントリック光学系20bを構成している。
【0087】
また、第1実施形態と同様に、第2ファイバ光学系(マルチコアファイバ1´及び第2両側テレセントリック光学系20b)から第1ファイバ光学系(マルチコアファイバ1及び第1両側テレセントリック光学系20a)を離したとしても、マルチコアファイバ1に対する第1両側テレセントリック光学系20aの配置関係、及びマルチコアファイバ1´に対する第2両側テレセントリック光学系20bの配置関係には変化がない。よって、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との間隔を変更した場合であってもコアCkからの主光線Prkは、コアC´kに対して垂直に入射する。すなわち、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との間隔を変更した場合であっても結合効率の劣化を抑えることが可能となる。つまり、第1ファイバ光学系及び第2ファイバ光学系という異なる2つの光学系を結合することでマルチコアファイバ同士の光結合をするときに、結合効率の低下を抑制することができる。
【0088】
なお、マルチコアファイバ1´からの光をマルチコアファイバ1に導くことも可能である。この場合、マルチコアファイバ1´は、「一方のマルチコアファイバ」に該当する。マルチコアファイバ1は、「他方のマルチコアファイバ」に該当する。マルチコアファイバ1´の中心に配置されたコアC´1の光軸は、「一方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。マルチコアファイバ1の中心に配置されたコアC1の光軸は、「他方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。レンズ104は、「第1レンズ」に該当する。プリズム202は、「第2レンズ」に該当する。プリズム201は、「第3レンズ」に該当する。レンズ101は、「第4レンズ」に該当する。
【0089】
[作用・効果]
本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0090】
本実施形態に係る結合光学系20は、第1両側テレセントリック光学系20aと、第2両側テレセントリック光学系20bとを含む。第1両側テレセントリック光学系20aは、第1レンズ(レンズ101)と、第2レンズ(プリズム201)とを含む。第1レンズは、マルチコアファイバ1からの光をコリメートさせる。第2レンズは、第1レンズから出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま出射させる。第2両側テレセントリック光学系20bは、第3レンズ(プリズム202)と、第4レンズ(レンズ104)とを含む。第3レンズは、第2レンズから出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま出射させる。第4レンズは、第3レンズから出射された光を、マルチコアファイバ1´のコアC´kに入射させる。
【0091】
このように、第2レンズ及び第3レンズとしてプリズム201及びプリズム202を用いて両側テレセントリック系を構成した場合であっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、マルチコアファイバ間の間隔(或いは、ファイバ光学系間の間隔)を変更したときに、一方のマルチコアファイバ(コア)からの光を他方のマルチコアファイバ(コア)に確実に導くことができる。たとえば、本実施形態の構成を用いてファイバ光学系同士を接合する場合、ファイバ光学系同士の間隔に誤差があったとしても、マルチコアファイバ1からの主光線Prkをマルチコアファイバ1´のコアC´kに対して垂直に入射させることができるため、結合効率の低下を抑制することができる。また、レンズによるケラレ等が生じないため、結合効率の低下を抑制することができる。すなわち、マルチコアファイバ同士を光学的に結合する場合に、結合効率の低下を抑制することができる。更に、プリズム201及びプリズム202を用いることにより、第1両側テレセントリック光学系20aと第2両側テレセントリック光学系20bとの間の光をコリメート光とすることができる。よって、第1両側テレセントリック光学系20aと第2両側テレセントリック光学系20bとの距離(第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との距離)が長くなった場合であっても結合効率の低下をより抑えることができる。
【0092】
<第3実施形態>
次に、図8を参照して、第3実施形態に係る結合光学系30について説明する。図8は、結合光学系30、マルチコアファイバ1、マルチコアファイバ1´の軸方向の断面図である。図8では、コアCkからの光のうち、その主光線Prkのみを示している。また、主光線Prkの光路は模式的なものである。第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成等については、詳細な説明を省略する場合がある。
【0093】
[結合光学系の構成]
本実施形態における結合光学系30は、第1両側テレセントリック光学系30aと、第2両側テレセントリック光学系30bとを含む。第1両側テレセントリック光学系30aは、GRIN(Gradient Index)レンズ301を含んで構成されている。第2両側テレセントリック光学系30bは、GRINレンズ302を含んで構成されている。
【0094】
GRINレンズ301は、その中心からの距離に応じて内部の屈折率に勾配を持たせたレンズである。本実施形態におけるGRINレンズ301は、中心から外側に行くほど屈折率が小さくなっている。GRINレンズ301には、マルチコアファイバ1の各コアCkからの光それぞれの主光線PrがコアCkの光軸に平行な状態で入射される。GRINレンズ301は、入射した光を屈折率に応じて所定方向に屈折させ、GRINレンズ302に導く。本実施形態において、GRINレンズ301は、「第1GRINレンズ」の一例である。
【0095】
GRINレンズ301は、その中心がコアC1の光軸上に位置するよう設けられる。コアC1からの主光線Pr1は、そのままGRINレンズ301を直進する。一方、GRINレンズ301の中心以外を透過する光(コアC2〜C7からの光)は、屈折率の勾配に基づいて所定方向に屈折される。
【0096】
たとえば、GRINレンズ301は、コアC2の光軸に対して平行な状態で入射された主光線Pr2を含む光を所定方向に屈折させ、出射後にその光を収束させる。またGRINレンズ301は、主光線Pr2がコアC2の光軸と平行になるように出射させる。同様に、GRINレンズ301は、コアC5の光軸に対して平行な状態で入射された主光線Pr5を含む光を所定方向に屈折させ、出射後にその光を収束させる。またGRINレンズ301は、主光線Pr5がコアC5の光軸と平行になるように出射させる。
【0097】
GRINレンズ302は、GRINレンズ301と同様に、その中心からの距離に応じて内部の屈折率に勾配を持たせたレンズである。GRINレンズ302には、GRINレンズ301から出射された光が入射される。GRINレンズ302は、入射した光を屈折させ、マルチコアファイバ1´のコアCkに導く。本実施形態において、GRINレンズ302は、「第2GRINレンズ」の一例である。
【0098】
GRINレンズ302は、その中心がコアC1の光軸上に位置するよう設けられる。コアC1からの主光線Pr1は、そのままGRINレンズ302を直進する。一方、GRINレンズ302の中心以外を透過する光(GRINレンズ301を透過したコアC2〜C7からの光)は、GRINレンズ302で所定の方向に屈折される。
【0099】
たとえば、GRINレンズ302は、コアC2の光軸に対して平行な状態で入射された主光線Pr2を含む光を所定方向に屈折させ、出射後にその光を収束させる。またGRINレンズ302は、主光線Pr2がコアC´2の光軸と平行になるように出射させる。同様に、GRINレンズ302は、コアC5の光軸に対して平行な状態で入射された主光線Pr5を含む光を所定方向に屈折させ、出射後にその光を収束させる。またGRINレンズ302は、主光線Pr5がコアC´5の光軸と平行になるように出射させる。
【0100】
[光の進み方について]
次に、図8を参照して、本実施形態に係る光の進み方について説明する。
【0101】
マルチコアファイバ1のコアC1〜C7それぞれから光が出射される。出射された光は、GRINレンズ301に入射する。ここで、コアC1〜C7からの光の主光線Pr1〜Pr7それぞれは、コアC1〜C7の光軸に平行な状態でGRINレンズ301に入射する。
【0102】
GRINレンズ301に入射した光は、内部の屈折率の勾配により、光の向きが変化する。その結果、GRINレンズ301に入射した光は、所定の方向に屈折し、GRINレンズ301の出射面近傍で収束する。なお、GRINレンズ301の中心を透過するコアC1からの主光線Pr1は屈折せず直進する。
【0103】
GRINレンズ301内部を透過した光は、GRINレンズ302に入射する。GRINレンズ302に入射した光は、内部の屈折率の勾配により、光の向きが変化する。その結果、GRINレンズ302に入射した光は、所定の方向に屈折し、GRINレンズ302の出射面近傍で収束する。なお、GRINレンズ302の中心を透過するコアC1からの主光線Pr1は屈折せず直進する。
【0104】
GRINレンズ302内部を透過した光は、内部の屈折率の勾配により、光の向きが変化し、コアC´1〜C´7に収束する。またGRINレンズ302内部を透過した光の主光線Pr1〜Pr7それぞれは、コアC´1〜C´7の光軸に対して平行に出射され、コアC´1〜C´7に対して入射する。すなわち、主光線Pr1〜Pr7は、コアC´1〜C´7に対して垂直に入射する。たとえば、コアC2からの光の主光線Pr2は、対応するコアC´2に対して垂直に入射する。同様に、コアC5からの光の主光線Pr5は、対応するコアC´5に対して垂直に入射する。
【0105】
このように、本実施形態におけるGRINレンズ301は、マルチコアファイバ1からの光の主光線Prkが、マルチコアファイバ1の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される第1両側テレセントリック光学系30aを構成している。また、本実施形態におけるGRINレンズ302は、第1両側テレセントリック光学系30aを透過した主光線Prkがマルチコアファイバ1´の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態でマルチコアファイバ1´に対して出射される第2両側テレセントリック光学系30bを構成している。また、GRINレンズ301とGRINレンズ302とは同等の屈折率分布を持っている。
【0106】
また、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、第2ファイバ光学系(マルチコアファイバ1´、及び第2両側テレセントリック光学系30b)から第1ファイバ光学系(マルチコアファイバ1、及び第1両側テレセントリック光学系30a)を離したとしても、マルチコアファイバ1に対する第1両側テレセントリック光学系30aの配置関係、及びマルチコアファイバ1´に対する第2両側テレセントリック光学系30bの配置関係には変化がない。よって、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との間隔を変更した場合であってもコアCkからの主光線Prkは、コアC´kに対して垂直に入射する。すなわち、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との間隔を変更した場合であっても結合効率の劣化を抑えることが可能となる。つまり、第1ファイバ光学系及び第2ファイバ光学系という異なる2つの光学系を結合することでマルチコアファイバ同士の光結合をするときに、結合効率の低下を抑制することができる。
【0107】
なお、マルチコアファイバ1´からの光をマルチコアファイバ1に導くことも可能である。この場合、マルチコアファイバ1´は、「一方のマルチコアファイバ」に該当する。マルチコアファイバ1は、「他方のマルチコアファイバ」に該当する。マルチコアファイバ1´の中心に配置されたコアC´1の光軸は、「一方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。マルチコアファイバ1の中心に配置されたコアC1の光軸は、「他方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。GRINレンズ302は、「第1GRINレンズ」に該当する。GRINレンズ301は、「第2GRINレンズ」に該当する。
【0108】
[作用・効果]
本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0109】
本実施形態に係る結合光学系30は、第1両側テレセントリック光学系30aと、第2両側テレセントリック光学系30bとを含む。第1両側テレセントリック光学系30aは、GRINレンズ301を含む。GRINレンズ301は、マルチコアファイバ1からの光を、屈折率の勾配に応じて屈折させる。GRINレンズ302は、GRINレンズ301から出射された光を、屈折率の勾配に応じて屈折させることにより、対応するマルチコアファイバ1´のコアC´kに入射させる。
【0110】
このように、GRINレンズを用いて両側テレセントリック系を構成した場合であっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、マルチコアファイバ間の間隔(或いは、ファイバ光学系間の間隔)を変更したときに、一方のマルチコアファイバ(コア)からの光を他方のマルチコアファイバ(コア)に確実に導くことができる。たとえば、本実施形態の構成を用いてファイバ光学系同士を接合する場合、ファイバ光学系同士の間隔に誤差があったとしても、マルチコアファイバ1からの主光線Prkをマルチコアファイバ1´のコアC´kに対して垂直に入射させることができるため、結合効率の低下を抑制することができる。また、レンズによるケラレ等が生じないため、結合効率の低下を抑制することができる。すなわち、マルチコアファイバ同士を光学的に結合する場合に、結合効率の低下を抑制することができる。更に、GRINレンズを用いることにより、両側テレセントリック光学系を小型化することができる。従って、結合光学系30(ファイバ光学系)自体を小型化することが可能となる。
【符号の説明】
【0111】
1、1´ マルチコアファイバ
1b 端面
2、2´ クラッド
2a 端面
10 結合光学系
10a 第1両側テレセントリック光学系
10b 第2両側テレセントリック光学系
101、102、103、104 レンズ
Ck、C´k コア
Ek 端面
Prk 主光線
【技術分野】
【0001】
この発明は、光通信等に用いられるマルチコアファイバ同士を結合させる結合光学系、及びファイバ光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット端末等の普及により、莫大な情報量を有するデータの通信が要求されている。それに伴い、光通信の更なる大容量化が望まれている。
【0003】
従来の光通信は、クラッド内に一つのコアが設けられたシングルコアファイバを用いて行われている。しかし、一つのシングルコアファイバで通信を行う場合には容量の限界があるため、それを超える容量のデータ通信を行うための手段が要求されている。
【0004】
これに関し、たとえば、一つのクラッド内に複数のコアが設けられた光ファイバであるマルチコアファイバを用いることができる(特許文献1、2参照)。マルチコアファイバは複数のコアを有するため、シングルコアファイバに比べ、大容量のデータ通信を行うことが可能となる。光通信においては、このようなマルチコアファイバ同士(コア同士)を光学的に結合して使用したいという要望がある。
【0005】
ここで、2枚のコリメートレンズを介してシングルコアファイバ同士(コア同士)を光学的に結合する技術が存在する(特許文献3参照)。この技術によれば、シングルコアファイバ同士の間隔を伸縮させた場合であっても、結合効率を低下させることなくシングルコアファイバ同士を光学的に結合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−104443号公報
【特許文献2】特開平8−119656号公報
【特許文献3】特開昭58−68706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マルチコアファイバ同士(コア同士)を光学的に結合するために特許文献3の技術を応用する場合、たとえば、図9A及び図9Bに示す構成となる。図9A及び図9Bは、マルチコアファイバM、マルチコアファイバM´の軸方向の断面図である。
【0008】
マルチコアファイバM及びM´は、2枚のコリメートレンズL1及びL2を介して光学的に結合される(図9A参照)。2枚のコリメートレンズL1及びL2は、両側テレセントリック光学系を構成している。また、コリメートレンズL1とL2の間隔はsとなっている。
【0009】
ここで、マルチコアファイバ同士を光学的に結合するために、マルチコアファイバ同士の間隔を調整する場合について述べる。たとえば、図9Aの状態からマルチコアファイバM´及びコリメートレンズL2をマルチコアファイバM及びコリメートレンズL1からαだけ離した場合、図9Bに示すように、マルチコアファイバMのコアCcから出射する光は、マルチコアファイバM´において対応するコアC´cに垂直に入射する。一方、マルチコアファイバMの周辺コアCaから出射する光は、マルチコアファイバM´において対応する周辺コアC´aに入射する際、光束の入射角度が変わる。たとえば、図9Bに示すように、コアCaから出射した光の主光線(コアCaの光軸と平行な光線)がコリメートレンズL1及びコリメートレンズL2を介して、マルチコアファイバM´のコアC´aの光軸(コアC´aと平行な軸)に対して斜めに入射する。ここで、主光線がコアの断面に対して垂直に入射する場合に結合効率が最適となるが、図9Bのように、コアC´aの光軸に対して主光線が斜めに入射した場合、結合効率の低下を招く。また、マルチコアファイバ同士の間隔をαだけ離した場合、コアCaから出射する光束の一部がコリメートレンズL2に入射せず、所謂ケラレが発生する場合がある。すなわち、特許文献3に記載の技術をマルチコアファイバに応用した場合には、結合効率の低下を招くという問題がある。
【0010】
また、図9C及び図9Dに示すように、マルチコアファイバM及びコリメートレンズL1を含むファイバ光学系を支持するファイバ光学系支持部材H1と、マルチコアファイバM´及びコリメートレンズL2を含むファイバ光学系を支持するファイバ光学系支持部材H2とを接合することにより、マルチコアファイバ同士を光学的に結合することも可能である。
【0011】
この場合、ファイバ光学系間の間隔が正確でないと、マルチコアファイバMからの光の主光線がマルチコアファイバM´のコアの光軸に対して斜めに入射する(図9D参照)。よって、結合効率の低下を招く。
【0012】
この発明は上記の問題点を解決するものであり、マルチコアファイバ同士(ファイバ光学系同士)を光学的に結合する場合に、結合効率の低下を抑制可能な結合光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1記載の結合光学系は、複数のコアがクラッドで覆われたマルチコアファイバ同士を光学的に結合する光学系である。結合光学系は、第1両側テレセントリック光学系と、第2両側テレセントリック光学系とを含む。第1両側テレセントリック光学系は、一方のマルチコアファイバからの光の主光線が、当該マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される光学系である。第2両側テレセントリック光学系は、第1両側テレセントリック光学系を透過した主光線が他方のマルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で当該マルチコアファイバに対して出射される光学系である。
また、上記課題を解決するために、請求項2記載の結合光学系は、請求項1記載の結合光学系であって、第1両側テレセントリック光学系は、第1レンズと、第2レンズとを含む。第1レンズは、一方のマルチコアファイバからの光をコリメートさせる。第2レンズは、第1レンズから出射された光を収束させる。第2両側テレセントリック光学系は、第3レンズと、第4レンズとを含む。第3レンズは、第2レンズから出射された光をコリメートさせる。第4レンズは、第3レンズから出射された光を、他方のマルチコアファイバのコアに入射させる。
また、上記課題を解決するために、請求項3記載の結合光学系は、請求項2記載の結合光学系であって、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、及び第4レンズそれぞれの焦点距離が等しい。
また、上記課題を解決するために、請求項4記載の結合光学系は、請求項2記載の結合光学系であって、第1レンズ及び第4レンズが等しい焦点距離f1を有し、第2レンズ及び第3レンズが等しい焦点距離f2を有する場合、焦点距離f1及び焦点距離f2は以下の式を満たす。
f2/f1>1
また、上記課題を解決するために、請求項5記載の結合光学系は、請求項1記載の結合光学系であって、第1両側テレセントリック光学系は、第1レンズと、第2レンズとを含む。第1レンズは、一方のマルチコアファイバからの光をコリメートさせる。第2レンズは、第1レンズから出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま出射させる。第2両側テレセントリック光学系は、第3レンズと、第4レンズとを含む。第3レンズは、第2レンズから出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま出射させる。第4レンズは、第3レンズから出射された光を、他方のマルチコアファイバのコアに入射させる。
また、上記課題を解決するために、請求項6記載の結合光学系は、請求項1記載の結合光学系であって、第1両側テレセントリック光学系は、第1GRINレンズを含む。第1GRINレンズは、一方のマルチコアファイバからの光を、屈折率の勾配に応じて屈折させる。第2両側テレセントリック光学系は、第2GRINレンズを含む。第2GRINレンズは、第1GRINレンズから出射された光を、屈折率の勾配に応じて屈折させることにより、対応する他方のマルチコアファイバのコアに入射させる。
また、上記課題を解決するために、請求項7記載の結合光学系は、請求項1〜5のいずれかに記載の結合光学系であって、一方のマルチコアファイバのコアの端面と他方のマルチコアファイバのコアの端面とが平行になるように配置されている。
また、上記課題を解決するために、請求項8記載のファイバ光学系は、第1ファイバ光学系と、第2ファイバ光学系とを含む。第1ファイバ光学系は、第1マルチコアファイバと、第1両側テレセントリック光学系とを含む。第1マルチコアファイバは、複数のコアがクラッドで覆われたマルチコアファイバである。第1両側テレセントリック光学系は、第1マルチコアファイバからの光の主光線が、第1マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される光学系である。第2ファイバ光学系は、第2マルチコアファイバと、第2両側テレセントリック光学系とを含む。第2マルチコアファイバは、複数のコアがクラッドで覆われたマルチコアファイバである。第2両側テレセントリック光学系は、第1両側テレセントリック光学系を透過した主光線が第2マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で第2マルチコアファイバに対して出射される光学系である。
また、上記課題を解決するために、請求項9記載のファイバ光学系は、請求項8記載の結合光学系であって、第1マルチコアファイバのコアの端面と第2マルチコアファイバのコアの端面とが平行になるように配置されている。
【発明の効果】
【0014】
2つのマルチコアファイバの間に2つの両側テレセントリック光学系を配置する。この構成により、マルチコアファイバ同士を光学的に結合するために、マルチコアファイバ間の間隔(マルチコアファイバと両側テレセントリック光学系とを含むファイバ光学系間の間隔)を調整したとしても、マルチコアファイバ(ファイバ光学系)の光軸方向のシフトに対して一方のマルチコアファイバ(コア)からの主光線が他方のマルチコアファイバ(コア)に常に垂直に入射するようになる。よって、調整精度が十分に確保でき、マルチコアファイバ同士(ファイバ光学系同士)を光学的に結合することが容易となる。従って、マルチコアファイバ同士(ファイバ光学系同士)を光学的に結合する場合に、結合効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に共通のマルチコアファイバを示す図である。
【図2】第1実施形態に係る結合光学系を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る結合光学系を示す図である。
【図4】第1実施形態の変形例1に係る結合光学系を示す図である。
【図5】第1実施形態の変形例2に係る結合光学系を示す図である。
【図6】第2実施形態に係る結合光学系を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る結合光学系に用いられるレンズを示す図である。
【図8】第3実施形態に係る結合光学系を示す図である。
【図9A】発明が解決する課題を説明するための図である。
【図9B】発明が解決する課題を説明するための図である。
【図9C】発明が解決する課題を説明するための図である。
【図9D】発明が解決する課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[マルチコアファイバの構成]
図1を参照して、実施形態に共通のマルチコアファイバ1の構成について説明する。マルチコアファイバ1は、一般に可撓性を有する長尺の円柱部材である。図1は、マルチコアファイバ1の斜視図である。図1では、マルチコアファイバ1の先端部分のみを示している。
【0017】
マルチコアファイバ1は、たとえば石英ガラスやプラスチック等、光の透過性が高い素材により形成されている。マルチコアファイバ1は、複数のコアCk(k=1〜n)と、クラッド2を含んで構成されている。
【0018】
コアCkは、光源(図示なし)からの光を伝送する伝送路である。コアCkはそれぞれ端面Ek(k=1〜n)を有する。端面Ekからは、光源(図示なし)で発せられた光が出射される。コアCkから出射される光は、主光線Prk(k=1〜n)を含んでいる。クラッド2よりも屈折率を高めるために、コアCkは、たとえば石英ガラスに酸化ゲルマニウム(GeO2)が添加された素材により形成されている。なお、図1では7つのコアC1〜C7を有する構成を示したが、コアCkの数は少なくとも2つ以上であればよい。以下の実施形態において、「主光線」とは、コアCkの光軸と平行な光線をいう。また、「マルチコアファイバの光軸」とは、コアCkの光軸をいう。
【0019】
クラッド2は、複数のコアCkを覆う部材である。クラッド2は、光源(図示なし)からの光をコアCk内に閉じ込める役割を有する。クラッド2は端面2aを有する。コアCkの端面Ek及びクラッド2の端面2aは同一面(マルチコアファイバ1の端面1b)を形成している。クラッド2の素材としては、コアCkの素材よりも屈折率が低い素材が用いられる。たとえば、コアCkの素材が石英ガラスと酸化ゲルマニウムからなる場合には、クラッド2の素材としては石英ガラスを用いる。このように、コアCkの屈折率をクラッド2の屈折率よりも高くすることで、光源(図示なし)からの光をコアCkとクラッド2の境界面で全反射させる。よって、コアCk内に光を伝送させることができる。なお、各コアはクラッド2内で平行になるよう配置されているが、これに限られない。
【0020】
<第1実施形態>
次に、図2を参照して、第1実施形態に係る結合光学系10について説明する。図2は、結合光学系10、マルチコアファイバ1、マルチコアファイバ1´の軸方向の断面図である。本実施形態において、マルチコアファイバ1は、その中心(断面中心)に配置されたコアC1を含む、クラッド2に覆われた7つのコアCk(C1〜C7)を有する。マルチコアファイバ1´は、その中心(断面中心)に配置されたコアC´1を含む、クラッド2´に覆われた7つのコアC´k(C´1〜C´7)を有する。各コア(コアCkとコアC´k)の端面は、平行になるように配置されている。また、各コア(コアCkとコアC´k)は、一対一に対応付けられている。すなわち、マルチコアファイバ1とマルチコアファイバ1´とを対向させた場合、あるコアCk(たとえば、C1)からの光は、対向するコアC´k(たとえば、C´1)に導かれるようになっている。図2では、マルチコアファイバ1の3つのコア(C1、C2、C5)、及び対応するマルチコアファイバ1´の3つのコア(C´1、C´2、C´5)のみを示している。なお、マルチコアファイバ1とマルチコアファイバ1´との直径、コア径、及びコア配置は等しいものとする。
【0021】
[結合光学系の構成]
結合光学系10は、マルチコアファイバ1とマルチコアファイバ1´との間に配置され、マルチコアファイバ同士を光学的に結合する。ここで、「光学的に結合する」とは、マルチコアファイバ同士をレンズ等の光学素子を介して間接的に結合することをいう。結合光学系10は、第1両側テレセントリック光学系10aと、第2両側テレセントリック光学系10bとを含んで構成されている。本実施形態において、第1両側テレセントリック光学系10a及び第2両側テレセントリック光学系10bの倍率はそれぞれ1であるとする。
【0022】
第1両側テレセントリック光学系10aは、マルチコアファイバ1からの光の主光線が、マルチコアファイバ1の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される光学系である。マルチコアファイバ1は、「第1マルチコアファイバ」の一例である。また、マルチコアファイバ1及び第1両側テレセントリック光学系10aは、「第1ファイバ光学系」の一例である。
【0023】
第1両側テレセントリック光学系10aは、レンズ101と、レンズ102を含んで構成されている。なお、第1両側テレセントリック光学系10aは、上記機能を有する光学系であれば、2枚のレンズから構成される必要はない。たとえば、3枚以上のレンズを組み合わせてもよい。また、レンズ間にフィルタ等の光学素子を配置してもよい。
【0024】
レンズ101は、1枚の凸レンズからなる。レンズ101には、マルチコアファイバ1の各コアCkからの光の主光線PrがコアC1の光軸に平行な状態でそれぞれ入射される。レンズ101は、入射した複数の光(マルチコアファイバ1から出射された光)それぞれをコリメートさせる。コリメートされた光は、レンズ102に導かれる。
【0025】
レンズ101は、その中心がコアC1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、コアC1からの光は、レンズ101でコリメートされた状態を保ったまま、レンズ101を透過する。また、コアC1からの光の主光線Pr1は、直進する。一方、レンズ101の中心以外を透過する光(コアC2〜C7からの光)は、レンズ101でコリメートされつつ、所定の方向に屈折される。すなわち、各光の主光線Pr2〜Pr7が所定の方向に屈折される。
【0026】
たとえば、レンズ101は、コアC1の光軸に対して平行な状態で入射された主光線Pr2を含む光をコリメートさせつつ、所定方向に屈折させ、レンズ102に入射させる。同様に、レンズ101は、コアC5の光軸に対して平行な状態で入射された主光線Pr5を含む光をコリメートさせつつ、所定方向に屈折させ、レンズ102に入射させる。本実施形態におけるレンズ101は、「第1レンズ」の一例である。
【0027】
レンズ102は、1枚の凸レンズからなる。レンズ102には、レンズ101を透過した複数の光が入射される。レンズ102は、入射した光を収束させ、第2両側テレセントリック光学系10bに導く。
【0028】
レンズ102は、その中心がコアC1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、レンズ101を透過したコアC1からの光は、レンズ102により収束される。一方、レンズ102の中心以外を透過する光(レンズ101を透過したコアC2〜C7からの光)は、レンズ102により、それぞれの主光線(Pr2〜Pr7)がそれぞれのコア(C2〜C7)の光軸と平行な方向に屈折された後、収束される。
【0029】
たとえば、レンズ102は、入射した主光線Pr2を含む光を、コアC2の光軸と平行な方向に屈折させた後、収束させる。同様に、レンズ102は、入射した主光線Pr5を含む光を、コアC5の光軸と平行な方向に屈折させた後、収束させる。収束された光それぞれは、結像点IPを二次光源として第2両側テレセントリック光学系10bに入射する。このように、第1両側テレセントリック光学系10aにより各コアCkから出射される光束の中間像を作ることで、結像点IPにおいて各コアCkからの光の間隔(光軸垂直方向)を広くとることができる。よって、任意のコアCkからの光(たとえば、コアC2からの光)を抜き取り易くなるため、信号検査を容易に行うことが可能となる。また、マルチコアファイバ間に波長透過フィルタやアッテネータ等の光学素子を挿入することができるため、信号処理を容易に行うことが可能となる。本実施形態におけるレンズ102は、「第2レンズ」の一例である。
【0030】
第2両側テレセントリック光学系10bは、第1両側テレセントリック光学系10aを透過した各コアからの主光線がマルチコアファイバ1´の各コアの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態でマルチコアファイバ1´に対して出射される光学系である。マルチコアファイバ1´は、「第2マルチコアファイバ」の一例である。また、マルチコアファイバ1´及び第2両側テレセントリック光学系10bは、「第2ファイバ光学系」の一例である。
【0031】
第2両側テレセントリック光学系10bは、レンズ103と、レンズ104を含んで構成されている。なお、第2両側テレセントリック光学系10bは、上記機能を有する光学系であれば、2枚のレンズから構成される必要はない。たとえば、3枚以上のレンズを組み合わせてもよい。また、レンズ間にフィルタ等の光学素子を配置してもよい。
【0032】
レンズ103は、1枚の凸レンズからなる。レンズ103は、レンズ102(第1両側テレセントリック光学系10a)から出射された光をコリメートさせ、レンズ104に出射する。
【0033】
レンズ103は、その中心がコアC´1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、レンズ103を透過したコアC1からの光は、コリメート光として出射される。一方、レンズ103の中心以外を透過する光(レンズ102を透過したコアC2〜C7からの光)は、レンズ103でコリメートされつつ、所定の方向に屈折される。すなわち、各光の主光線Pr2〜Pr7が所定の方向に屈折される。
【0034】
たとえば、レンズ103は、レンズ102を透過したコアC2からの光(主光線Pr2を含む)をコリメートさせつつ、所定の方向に屈折させ、レンズ104に入射させる。同様に、レンズ103は、レンズ102を透過したコアC5からの光(主光線Pr5を含む)をコリメートさせつつ、所定の方向に屈折させ、レンズ104に入射させる。本実施形態におけるレンズ103は、「第3レンズ」の一例である。
【0035】
レンズ104は、1枚の凸レンズからなる。レンズ104は、レンズ103から出射された複数の光それぞれを収束させ、マルチコアファイバ1´のコアC´kに入射させる。
【0036】
レンズ104は、その中心がコアC´1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、コアCkからの光それぞれは、レンズ104により収束され、且つコアCkからの光の主光線PrkがそれぞれコアC´kの光軸と平行になるように屈折される。
【0037】
たとえば、レンズ104は、コアC2からの光の主光線Pr2がコアC´2の光軸に対して平行になるように屈折させ、且つ主光線Pr2を含む光を収束させる。そして、レンズ104は、当該光をコアC´2に入射させる。この場合、主光線Pr2は、コアC´2に対して垂直に入射する。同様に、レンズ104は、コアC5からの光の主光線Pr5がコアC´5の光軸に対して平行になるように屈折させ、且つ主光線Pr5を含む光を収束させる。そして、レンズ104は、当該光をコアC´5に入射させる。この場合、主光線Pr5は、コアC´5に対して垂直に入射する。本実施形態におけるレンズ104は、「第4レンズ」の一例である。
【0038】
本実施形態において、レンズ101、レンズ102、レンズ103及びレンズ104は、等しい焦点距離f1を有するレンズである。この場合、同じレンズを用いて結合光学系10を構成することができる。よって、製造コストを抑えることが可能となる。なお、各レンズの焦点距離は、許容誤差の範囲内であれば完全に同じでなくともよく、その場合は実質的に等しいものとみなすことができる。
【0039】
また、本実施形態において、第1両側テレセントリック光学系10aに入射する光の開口数と第2両側テレセントリック光学系10bから出射される光の開口数とが等しくなるよう構成されている。従って、開口数の違いによる結合効率の低下を防止することができる。
【0040】
[光の進み方について]
図2及び図3を参照して、本実施形態に係る光の進み方について説明する。本実施形態では、マルチコアファイバ1から出射された光をマルチコアファイバ1´に導く構成について説明する。すなわち、本実施形態におけるマルチコアファイバ1は、「一方のマルチコアファイバ」の一例である。マルチコアファイバ1´は、「他方のマルチコアファイバ」の一例である。マルチコアファイバ1の中心に配置されたコアC1の光軸は、「一方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。マルチコアファイバ1´の中心に配置されたコアC´1の光軸は、「他方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。なお、図3では、コアC1、C2、C5からの光の主光線Pr1、Pr2、Pr5のみを示す。
【0041】
マルチコアファイバ1のコアC1〜C7それぞれから光が出射される。出射された光は、それぞれ拡散しながら、レンズ101に入射する。ここで、コアC1〜C7からの光の主光線Pr1〜Pr7それぞれは、コアC1〜C7の光軸に平行な状態でレンズ101に入射する。
【0042】
レンズ101に入射した光は、それぞれコリメートされ、レンズ102に入射する。なお、コアC2〜C7からの光は、レンズ101を透過することにより、所定の方向に屈折する。レンズ101から出射した光のうち、コアC1からの光(主光線Pr1を含む)は、レンズ102に対して垂直に入射する。一方、レンズ101から出射した光のうち、コアC2〜C7からの光(主光線Pr2〜Pr7を含む)は、レンズ101により所定の方向に屈折しているため、レンズ102に対して斜め方向から入射する。
【0043】
レンズ102に入射したコアC1〜C7からの光は、レンズ102により、それぞれコアC1〜C7の光軸と平行な方向に屈折した後、収束する。収束した光は、結像点IPを二次光源として、レンズ103に入射する。
【0044】
レンズ103に入射したコアC1からの光(主光線Pr1を含む)は、レンズ103によりコリメートされつつ、レンズ104に対して垂直に入射する。一方、レンズ103に入射したコアC2〜C7からの光は、レンズ103により、コリメートされつつ所定の方向に屈折し、レンズ104に入射する。すなわち、主光線Pr2〜Pr7も所定の方向に屈折する。
【0045】
レンズ104に入射した光の主光線Pr1〜Pr7それぞれは、コアC´1〜C´7の光軸に対して平行に出射され、コアC´1〜C´7に対して入射する。すなわち、主光線Pr1〜Pr7は、コアC´1〜C´7に対して垂直に入射する。たとえば、コアC2からの光の主光線Pr2は、対応するコアC´2に対して垂直に入射する。同様に、コアC5からの光の主光線Pr5は、対応するコアC´5に対して垂直に入射する。
【0046】
このように、本実施形態におけるレンズ101及びレンズ102は、マルチコアファイバ1からの光の主光線Prkが、マルチコアファイバ1の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される両側テレセントリック光学系(第1両側テレセントリック光学系10a)を構成している。また、レンズ103及びレンズ104は、第1両側テレセントリック光学系10aを透過した主光線Prkがマルチコアファイバ1´の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態でマルチコアファイバ1´に対して出射される両側テレセントリック光学系(第2両側テレセントリック光学系10b)を構成している。
【0047】
次に、図2の状態から、マルチコアファイバ同士の間隔を変更した場合の光の進み方について説明する。ここでは、図3のように、マルチコアファイバ1´及び第2両側テレセントリック光学系10b(第2ファイバ光学系)を、マルチコアファイバ1及び第1両側テレセントリック光学系10a(第1ファイバ光学系)から離す場合(αだけ移動させる場合)について述べる。
【0048】
第2ファイバ光学系から第1ファイバ光学系を離したとしても、マルチコアファイバ1に対する第1両側テレセントリック光学系10aの配置関係、及びマルチコアファイバ1´に対する第2両側テレセントリック光学系10bの配置関係には変化がない。よって、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との間隔を変更した場合であってもコアCkからの主光線Prkは、コアC´kに対して垂直に入射する。すなわち、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との間隔を変更した場合であっても結合効率の劣化を抑えることが可能となる。つまり、第1ファイバ光学系及び第2ファイバ光学系という異なる2つの光学系を結合することでマルチコアファイバ同士の光結合をするときに、結合効率の低下を抑制することができる。なお、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系の間隔を調整可能に構成することで、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との間(第1両側テレセントリック光学系10aと第2両側テレセントリック光学系10bとの間)に、波長透過フィルタやアッテネータ等の光学素子を配置し易くなる。
【0049】
なお、マルチコアファイバ1´からの光をマルチコアファイバ1に導くことも可能である。この場合、マルチコアファイバ1´は、「一方のマルチコアファイバ」に該当する。マルチコアファイバ1は、「他方のマルチコアファイバ」に該当する。マルチコアファイバ1´の中心に配置されたコアC´1の光軸は、「一方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。マルチコアファイバ1の中心に配置されたコアC1の光軸は、「他方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。レンズ104は、「第1レンズ」に該当する。レンズ103は、「第2レンズ」に該当する。レンズ102は、「第3レンズ」に該当する。レンズ101は、「第4レンズ」に該当する。
【0050】
[作用・効果]
本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0051】
本実施形態に係る結合光学系10は、複数のコアCk(コアC´k)がクラッド2(クラッド2´)で覆われたマルチコアファイバ同士(マルチコアファイバ1及びマルチコアファイバ1´)を光学的に結合する光学系である。結合光学系10は、第1両側テレセントリック光学系10aと、第2両側テレセントリック光学系10bとを含む。第1両側テレセントリック光学系10aは、マルチコアファイバ1からの光の主光線Prkが、マルチコアファイバ1の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される光学系である。第2両側テレセントリック光学系10bは、第1両側テレセントリック光学系10aを透過した主光線Prkがマルチコアファイバ1´の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態でマルチコアファイバ1´に対して出射される光学系である。
【0052】
具体的に、第1両側テレセントリック光学系10aは、第1レンズ(レンズ101)と、第2レンズ(レンズ102)とを含む。第1レンズは、マルチコアファイバ1からの光をコリメートさせる。第2レンズは、第1レンズから出射された光を収束させる。第2両側テレセントリック光学系10bは、第3レンズ(レンズ103)と、第4レンズ(レンズ104)とを含む。第3レンズは、第2レンズから出射された光をコリメートさせる。第4レンズは、第3レンズから出射された光を、マルチコアファイバ1´のコアC´kに入射させる。
【0053】
また、本実施形態に係るファイバ光学系は、第1ファイバ光学系と、第2ファイバ光学系とを含む。第1ファイバ光学系は、第1マルチコアファイバ(マルチコアファイバ1)と、第1両側テレセントリック光学系10aとを含む。第1マルチコアファイバは、複数のコアCkがクラッド2で覆われたマルチコアファイバである。第1両側テレセントリック光学系10aは、マルチコアファイバ1からの光の主光線Prkが、マルチコアファイバ1の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される光学系である。第2ファイバ光学系は、第2マルチコアファイバ(マルチコアファイバ1´)と、第2両側テレセントリック光学系10bとを含む。第2マルチコアファイバは、複数のコアC´kがクラッド2´で覆われたマルチコアファイバである。第2両側テレセントリック光学系10bは、第1両側テレセントリック光学系10aを透過した主光線Prkがマルチコアファイバ1´の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態でマルチコアファイバ1´に対して出射される光学系である。
【0054】
このように、2つのマルチコアファイバ1及び1´の間に2つの両側テレセントリック光学系(第1両側テレセントリック光学系10a及び第2両側テレセントリック光学系10b)を配置する。この構成により、マルチコアファイバ間の間隔(或いは、マルチコアファイバと両側テレセントリック光学系とを含むファイバ光学系間の間隔)を変更した場合であっても、一方のマルチコアファイバ(コア)からの光を他方のマルチコアファイバ(コア)に確実に導くことができる。たとえば、本実施形態の構成を用いてファイバ光学系同士を接合する場合、ファイバ光学系同士の間隔に誤差があったとしても、マルチコアファイバ1からの主光線Prkをマルチコアファイバ1´のコアC´kに対して垂直に入射させることができるため、結合効率の低下を抑制することができる。また、レンズによるケラレ等が生じないため、結合効率の低下を抑制することができる。すなわち、マルチコアファイバ同士を光学的に結合する場合に、結合効率の低下を抑制することができる。
【0055】
本実施形態に係る結合光学系10(ファイバ光学系)に用いられる第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、及び第4レンズそれぞれの焦点距離は等しくなっている。
【0056】
このように、焦点距離が等しいレンズを用いることにより、2つの両側テレセントリック光学系を同じレンズで構成することができる。よって、結合光学系10の製造コストを抑えることが可能となる。
【0057】
<第1実施形態の変形例1>
第1実施形態で説明した結合光学系10は、マルチコアファイバの端面が加工されている場合についても用いることが可能である。図4は、結合光学系10、マルチコアファイバN、マルチコアファイバN´の軸方向の断面図である。本実施形態におけるマルチコアファイバN(N´)は、その端面が斜状に研磨されている。このような場合であっても、マルチコアファイバ間に結合光学系10を配置することにより、マルチコアファイバ間の間隔を変更した場合であっても、一方のマルチコアファイバ(コア)からの光を他方のマルチコアファイバ(コア)に確実に導くことができる。従って、マルチコアファイバ同士を光学的に結合する場合に、結合効率の低下を抑制することができる。
【0058】
また、マルチコアファイバNの端面、及びマルチコアファイバN´の端面における斜状の方向は一致している。マルチコアファイバNから出射した光は結合光学系10aを透過後に中間像面X上に集光される。このとき、中間像面XとマルチコアファイバNの斜状方向は反転している。この中間像面Xの各結像点IPから出射した光束は結合光学系10bを透過後に斜状に形成されたマルチコアファイバN´の端面に収束する。このとき、中間像面XとマルチコアファイバN´の斜状方向は反転している。マルチコアファイバN等をこのように配置することで、マルチコアファイバNの各コアCkから出射する光をマルチコアファイバN´の各コアC´kに対して最適な光軸方向の位置に収束させることができる。また、マルチコアファイバN(コアCk)から出射する光の光束のうち最も強度の強い光線PはマルチコアファイバN´のコアに対して結合効率が最適になるよう入射される(図4参照)。このため結合効率が低下することなくマルチコアファイバNとマルチコアファイバN´とを接続することができる。
【0059】
本変形例においても主光線Prkは、コアCkの光軸と平行な光線とする。端面が斜状に研磨されたマルチコアファイバのコアから出射する光束は、コアの出射端面(空気と隣接)で屈折する。従って、コアから出射する光の光束のうち最も強度の強い光線Pは、コアの光軸に対して斜めに出射する。すなわち、斜状に研磨されたマルチコアファイバにおいては、この最も強度の強い光線Pと主光線Prkとは別の光線となる。なお、平面に研磨されたマルチコアファイバ(第1実施形態等)では、これらの光線が一致している。
【0060】
<第1実施形態の変形例2>
図5を参照して、第1実施形態の変形例2に係る結合光学系10´について説明する。図5は、結合光学系10´、マルチコアファイバ1、マルチコアファイバ1´の軸方向の断面図である。
【0061】
第1実施形態では、両側テレセントリック光学系に用いるレンズの焦点距離が全て等しい場合(焦点距離f1)について説明したが、レンズの焦点距離はこれに限られない。
【0062】
たとえば、レンズ102の代わりにレンズ101と焦点距離が異なるレンズ105を用いた第1両側テレセントリック光学系10´a、及びレンズ103の代わりにレンズ104と焦点距離が異なるレンズ106を用いた第2両側テレセントリック光学系10´bを用いた結合光学系10´を用いて第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0063】
レンズ105は、1枚の凸レンズからなる。レンズ105には、レンズ101を透過した複数の光が入射される。レンズ105は、入射した光を収束させ、第2両側テレセントリック光学系10bに導く。
【0064】
レンズ105は、その中心がコアC1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、レンズ101を透過したコアC1からの光は、レンズ105により収束される。一方、レンズ105の中心以外を透過する光(レンズ101を透過したコアC2〜C7からの光)は、レンズ105により、それぞれの主光線(Pr2〜Pr7)がそれぞれのコア(C2〜C7)の光軸と平行な方向に屈折された後、収束される。本変形例におけるレンズ105の焦点距離は、レンズ101と異なる焦点距離f2である。本変形例におけるレンズ105は、「第2レンズ」の一例である。
【0065】
レンズ106は、1枚の凸レンズからなる。レンズ106は、レンズ105(第1両側テレセントリック光学系10´a)から出射された光をコリメートさせ、レンズ104に出射する。
【0066】
レンズ106は、その中心がコアC´1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、レンズ105を透過したコアC1からの光は、コリメート光として出射される。一方、レンズ106の中心以外を透過する光(レンズ105を透過したコアC2〜C7からの光)は、レンズ106でコリメートされつつ、所定の方向に屈折される。すなわち、各光の主光線Pr2〜Pr7が所定の方向に屈折される。レンズ106の焦点距離は、レンズ104と異なる焦点距離f2である。本変形例におけるレンズ106は、「第3レンズ」の一例である。
【0067】
ここで、本変形例におけるレンズ101及びレンズ104の焦点距離f1と、レンズ105及びレンズ106の焦点距離f2とは、以下の式(1)を満たすことが望ましい。
【0068】
f2/f1>1・・・(1)
【0069】
このように、焦点距離の異なるレンズを用いて第1両側テレセントリック光学系10´aを構成することにより、第1両側テレセントリック光学系10´aによって得られる結像点IPにおける中間像は、m倍(=f2/f1)に拡大される。すなわち、マルチコアファイバ1からの光が第1両側テレセントリック光学系10´aを透過した場合、第1両側テレセントリック光学系10´aを透過した光の主光線間の間隔ΔY2は、マルチコアファイバ1からの光の主光線間の間隔ΔY1よりも広くなる。よって、任意のコアCkからの光をより抜き取り易くなるため、信号検査を容易に行うことが可能となる。また、拡大された中間像を参照して行うアライメント(マルチコアファイバの光軸に垂直な方向のアライメント)が容易になる。
【0070】
更に、第1両側テレセントリック光学系10´aと同じ焦点距離のレンズを用いて第2両側テレセントリック光学系10´bを構成することにより、第1両側テレセントリック光学系10´aによって拡大された中間像を1/m倍(<1)に縮小することができる。よって、中間像の大きさを変えた場合であってもマルチコアファイバ1´への結合効率を劣化させることがない。また、ファイバ光学系同士の光軸垂直方向のアライメント誤差感度が小さくなる。従って、結合効率を低下させることなくマルチコアファイバ同士を光学的に結合することができる。また、ファイバ光学系間の光軸方向の間隔が長くなるため、調整スペースを十分に確保することができる。すなわち、ファイバ光学系同士の調整を容易に行うことができる。
【0071】
<第2実施形態>
次に、図6を参照して、第2実施形態に係る結合光学系20について説明する。図6は、結合光学系20、マルチコアファイバ1、マルチコアファイバ1´の軸方向の断面図である。第1実施形態と同様の構成等については、詳細な説明を省略する場合がある。
【0072】
第1実施形態で用いたレンズ102及びレンズ103と異なる光学素子を用いる場合でも、第1実施形態と同様の効果を奏する結合光学系を構成することが可能である。本実施形態における結合光学系20は、第1両側テレセントリック光学系20aと、第2両側テレセントリック光学系20bとを含んで構成されている。
【0073】
第1両側テレセントリック光学系20aは、レンズ101及びプリズム201を含んで構成されている。
【0074】
プリズム201は、レンズ101から出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま出射させる。出射された光は、第2両側テレセントリック光学系20b(プリズム202)に導かれる。
【0075】
プリズム201は、マルチコアファイバ1のコアCkの数及び配置に応じた複数の透過面201aを有する。各透過面201aは、レンズ101からの光を屈折・透過させ、第2両側テレセントリック光学系20bに導く。図7に示すように、本実施形態では、コアC2〜C7に対応する6つの透過面201aが設けられている。また、本実施形態では、プリズム201に平面201bが設けられている。平面201bは、コアC1からの光をそのまま透過させるよう構成されている。
【0076】
プリズム201は、その中心がコアC1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、レンズ101を透過したコアC1からの光は、レンズ101でコリメートされた状態を保ったまま、プリズム201の平面201bを透過する。一方、プリズム201の中心以外を透過する光(主光線(Pr2〜Pr7)を含む、レンズ101を透過したコアC2〜C7からの光)は、コリメートされた状態を保ったままプリズム201(透過面201a)により、それぞれのコア(C2〜C7)の光軸と平行な方向に屈折され、第2両側テレセントリック光学系20b(プリズム202)に導かれる。本実施形態におけるプリズム201は、「第2レンズ」の一例である。
【0077】
第2両側テレセントリック光学系20bは、プリズム202及びレンズ104を含んで構成されている。
【0078】
プリズム202は、プリズム201から出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま、レンズ104に出射する。本実施形態におけるプリズム202の構成は、プリズム201と同様、6つ透過面202a及び1つの平面202bを含んで構成されている(図7参照)。
【0079】
プリズム202は、その中心がコアC´1の光軸上に位置するよう設けられる。この場合、プリズム201を透過したコアC1からの光は、レンズ101でコリメートされた状態を保ったまま、プリズム202の平面202bを透過する。一方、プリズム202の中心以外を透過する光(プリズム201を透過したコアC2〜C7からの光)は、コリメートされた状態を保ったまま、透過面202aにおいて所定の方向に屈折される。すなわち、各光の主光線Pr2〜Pr7が所定の方向に屈折される。本実施形態におけるプリズム202は、「第3レンズ」の一例である。
【0080】
[光の進み方について]
次に、図6を参照して、本実施形態に係る光の進み方について説明する。
【0081】
マルチコアファイバ1のコアC1〜C7それぞれから光が出射される。出射された光は、それぞれ拡散しながら、レンズ101に入射する。ここで、コアC1〜C7からの光の主光線Pr1〜Pr7それぞれは、コアC1〜C7の光軸に平行な状態でレンズ101に入射する。
【0082】
レンズ101に入射した光は、それぞれコリメートされ、プリズム201に入射する。なお、コアC2〜C7からの光は、レンズ101を透過することにより、所定の方向に屈折される。レンズ101から出射した光のうち、コアC1からの光(主光線Pr1を含む)は、プリズム201の平面201bに対して垂直に入射する。一方、レンズ101から出射した光のうち、コアC2〜C7からの光(主光線Pr2〜Pr7を含む)は、レンズ101により所定の方向に屈折しているため、プリズム201の透過面201aそれぞれに入射する。
【0083】
プリズム201に入射した光のうちコアC2〜C7からの光は、プリズム201により、コリメートされた状態を保ったまま、コアC2〜C7の光軸と平行な方向に屈折する。屈折した光は、プリズム202に垂直に入射する。コアC1からの光は、レンズ101でコリメートされた状態を保ったままプリズム201を透過し、プリズム202に垂直に入射する。
【0084】
プリズム202に入射した光のうちコアC2〜C7からの光は、プリズム202(透過面202a)により、コリメートされた状態を保ったまま、所定の方向に屈折し、レンズ104に入射する。すなわち、主光線Pr2〜Pr7も所定の方向に屈折する。コアC1からの光(主光線Pr1を含む)は、コリメートされた状態を保ったまま、平面202bを透過し、レンズ104に垂直に入射する。
【0085】
レンズ104に入射した光の主光線Pr1〜Pr7それぞれは、コアC´1〜C´7の光軸に対して平行に出射され、コアC´1〜C´7に対して入射する。すなわち、主光線Pr1〜Pr7は、コアC´1〜C´7に対して垂直に入射する。たとえば、コアC2からの光の主光線Pr2は、対応するコアC´2に対して垂直に入射する。同様に、コアC5からの光の主光線Pr5は、対応するコアC´5に対して垂直に入射する。
【0086】
このように、本実施形態におけるレンズ101及びプリズム201は、マルチコアファイバ1からの光の主光線Prkが、マルチコアファイバ1の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される第1両側テレセントリック光学系20aを構成している。また、本実施形態におけるプリズム202及びレンズ104は、第1両側テレセントリック光学系20aを透過した主光線Prkがマルチコアファイバ1´の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態でマルチコアファイバ1´に対して出射される第2両側テレセントリック光学系20bを構成している。
【0087】
また、第1実施形態と同様に、第2ファイバ光学系(マルチコアファイバ1´及び第2両側テレセントリック光学系20b)から第1ファイバ光学系(マルチコアファイバ1及び第1両側テレセントリック光学系20a)を離したとしても、マルチコアファイバ1に対する第1両側テレセントリック光学系20aの配置関係、及びマルチコアファイバ1´に対する第2両側テレセントリック光学系20bの配置関係には変化がない。よって、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との間隔を変更した場合であってもコアCkからの主光線Prkは、コアC´kに対して垂直に入射する。すなわち、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との間隔を変更した場合であっても結合効率の劣化を抑えることが可能となる。つまり、第1ファイバ光学系及び第2ファイバ光学系という異なる2つの光学系を結合することでマルチコアファイバ同士の光結合をするときに、結合効率の低下を抑制することができる。
【0088】
なお、マルチコアファイバ1´からの光をマルチコアファイバ1に導くことも可能である。この場合、マルチコアファイバ1´は、「一方のマルチコアファイバ」に該当する。マルチコアファイバ1は、「他方のマルチコアファイバ」に該当する。マルチコアファイバ1´の中心に配置されたコアC´1の光軸は、「一方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。マルチコアファイバ1の中心に配置されたコアC1の光軸は、「他方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。レンズ104は、「第1レンズ」に該当する。プリズム202は、「第2レンズ」に該当する。プリズム201は、「第3レンズ」に該当する。レンズ101は、「第4レンズ」に該当する。
【0089】
[作用・効果]
本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0090】
本実施形態に係る結合光学系20は、第1両側テレセントリック光学系20aと、第2両側テレセントリック光学系20bとを含む。第1両側テレセントリック光学系20aは、第1レンズ(レンズ101)と、第2レンズ(プリズム201)とを含む。第1レンズは、マルチコアファイバ1からの光をコリメートさせる。第2レンズは、第1レンズから出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま出射させる。第2両側テレセントリック光学系20bは、第3レンズ(プリズム202)と、第4レンズ(レンズ104)とを含む。第3レンズは、第2レンズから出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま出射させる。第4レンズは、第3レンズから出射された光を、マルチコアファイバ1´のコアC´kに入射させる。
【0091】
このように、第2レンズ及び第3レンズとしてプリズム201及びプリズム202を用いて両側テレセントリック系を構成した場合であっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、マルチコアファイバ間の間隔(或いは、ファイバ光学系間の間隔)を変更したときに、一方のマルチコアファイバ(コア)からの光を他方のマルチコアファイバ(コア)に確実に導くことができる。たとえば、本実施形態の構成を用いてファイバ光学系同士を接合する場合、ファイバ光学系同士の間隔に誤差があったとしても、マルチコアファイバ1からの主光線Prkをマルチコアファイバ1´のコアC´kに対して垂直に入射させることができるため、結合効率の低下を抑制することができる。また、レンズによるケラレ等が生じないため、結合効率の低下を抑制することができる。すなわち、マルチコアファイバ同士を光学的に結合する場合に、結合効率の低下を抑制することができる。更に、プリズム201及びプリズム202を用いることにより、第1両側テレセントリック光学系20aと第2両側テレセントリック光学系20bとの間の光をコリメート光とすることができる。よって、第1両側テレセントリック光学系20aと第2両側テレセントリック光学系20bとの距離(第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との距離)が長くなった場合であっても結合効率の低下をより抑えることができる。
【0092】
<第3実施形態>
次に、図8を参照して、第3実施形態に係る結合光学系30について説明する。図8は、結合光学系30、マルチコアファイバ1、マルチコアファイバ1´の軸方向の断面図である。図8では、コアCkからの光のうち、その主光線Prkのみを示している。また、主光線Prkの光路は模式的なものである。第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成等については、詳細な説明を省略する場合がある。
【0093】
[結合光学系の構成]
本実施形態における結合光学系30は、第1両側テレセントリック光学系30aと、第2両側テレセントリック光学系30bとを含む。第1両側テレセントリック光学系30aは、GRIN(Gradient Index)レンズ301を含んで構成されている。第2両側テレセントリック光学系30bは、GRINレンズ302を含んで構成されている。
【0094】
GRINレンズ301は、その中心からの距離に応じて内部の屈折率に勾配を持たせたレンズである。本実施形態におけるGRINレンズ301は、中心から外側に行くほど屈折率が小さくなっている。GRINレンズ301には、マルチコアファイバ1の各コアCkからの光それぞれの主光線PrがコアCkの光軸に平行な状態で入射される。GRINレンズ301は、入射した光を屈折率に応じて所定方向に屈折させ、GRINレンズ302に導く。本実施形態において、GRINレンズ301は、「第1GRINレンズ」の一例である。
【0095】
GRINレンズ301は、その中心がコアC1の光軸上に位置するよう設けられる。コアC1からの主光線Pr1は、そのままGRINレンズ301を直進する。一方、GRINレンズ301の中心以外を透過する光(コアC2〜C7からの光)は、屈折率の勾配に基づいて所定方向に屈折される。
【0096】
たとえば、GRINレンズ301は、コアC2の光軸に対して平行な状態で入射された主光線Pr2を含む光を所定方向に屈折させ、出射後にその光を収束させる。またGRINレンズ301は、主光線Pr2がコアC2の光軸と平行になるように出射させる。同様に、GRINレンズ301は、コアC5の光軸に対して平行な状態で入射された主光線Pr5を含む光を所定方向に屈折させ、出射後にその光を収束させる。またGRINレンズ301は、主光線Pr5がコアC5の光軸と平行になるように出射させる。
【0097】
GRINレンズ302は、GRINレンズ301と同様に、その中心からの距離に応じて内部の屈折率に勾配を持たせたレンズである。GRINレンズ302には、GRINレンズ301から出射された光が入射される。GRINレンズ302は、入射した光を屈折させ、マルチコアファイバ1´のコアCkに導く。本実施形態において、GRINレンズ302は、「第2GRINレンズ」の一例である。
【0098】
GRINレンズ302は、その中心がコアC1の光軸上に位置するよう設けられる。コアC1からの主光線Pr1は、そのままGRINレンズ302を直進する。一方、GRINレンズ302の中心以外を透過する光(GRINレンズ301を透過したコアC2〜C7からの光)は、GRINレンズ302で所定の方向に屈折される。
【0099】
たとえば、GRINレンズ302は、コアC2の光軸に対して平行な状態で入射された主光線Pr2を含む光を所定方向に屈折させ、出射後にその光を収束させる。またGRINレンズ302は、主光線Pr2がコアC´2の光軸と平行になるように出射させる。同様に、GRINレンズ302は、コアC5の光軸に対して平行な状態で入射された主光線Pr5を含む光を所定方向に屈折させ、出射後にその光を収束させる。またGRINレンズ302は、主光線Pr5がコアC´5の光軸と平行になるように出射させる。
【0100】
[光の進み方について]
次に、図8を参照して、本実施形態に係る光の進み方について説明する。
【0101】
マルチコアファイバ1のコアC1〜C7それぞれから光が出射される。出射された光は、GRINレンズ301に入射する。ここで、コアC1〜C7からの光の主光線Pr1〜Pr7それぞれは、コアC1〜C7の光軸に平行な状態でGRINレンズ301に入射する。
【0102】
GRINレンズ301に入射した光は、内部の屈折率の勾配により、光の向きが変化する。その結果、GRINレンズ301に入射した光は、所定の方向に屈折し、GRINレンズ301の出射面近傍で収束する。なお、GRINレンズ301の中心を透過するコアC1からの主光線Pr1は屈折せず直進する。
【0103】
GRINレンズ301内部を透過した光は、GRINレンズ302に入射する。GRINレンズ302に入射した光は、内部の屈折率の勾配により、光の向きが変化する。その結果、GRINレンズ302に入射した光は、所定の方向に屈折し、GRINレンズ302の出射面近傍で収束する。なお、GRINレンズ302の中心を透過するコアC1からの主光線Pr1は屈折せず直進する。
【0104】
GRINレンズ302内部を透過した光は、内部の屈折率の勾配により、光の向きが変化し、コアC´1〜C´7に収束する。またGRINレンズ302内部を透過した光の主光線Pr1〜Pr7それぞれは、コアC´1〜C´7の光軸に対して平行に出射され、コアC´1〜C´7に対して入射する。すなわち、主光線Pr1〜Pr7は、コアC´1〜C´7に対して垂直に入射する。たとえば、コアC2からの光の主光線Pr2は、対応するコアC´2に対して垂直に入射する。同様に、コアC5からの光の主光線Pr5は、対応するコアC´5に対して垂直に入射する。
【0105】
このように、本実施形態におけるGRINレンズ301は、マルチコアファイバ1からの光の主光線Prkが、マルチコアファイバ1の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される第1両側テレセントリック光学系30aを構成している。また、本実施形態におけるGRINレンズ302は、第1両側テレセントリック光学系30aを透過した主光線Prkがマルチコアファイバ1´の光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態でマルチコアファイバ1´に対して出射される第2両側テレセントリック光学系30bを構成している。また、GRINレンズ301とGRINレンズ302とは同等の屈折率分布を持っている。
【0106】
また、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、第2ファイバ光学系(マルチコアファイバ1´、及び第2両側テレセントリック光学系30b)から第1ファイバ光学系(マルチコアファイバ1、及び第1両側テレセントリック光学系30a)を離したとしても、マルチコアファイバ1に対する第1両側テレセントリック光学系30aの配置関係、及びマルチコアファイバ1´に対する第2両側テレセントリック光学系30bの配置関係には変化がない。よって、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との間隔を変更した場合であってもコアCkからの主光線Prkは、コアC´kに対して垂直に入射する。すなわち、第1ファイバ光学系と第2ファイバ光学系との間隔を変更した場合であっても結合効率の劣化を抑えることが可能となる。つまり、第1ファイバ光学系及び第2ファイバ光学系という異なる2つの光学系を結合することでマルチコアファイバ同士の光結合をするときに、結合効率の低下を抑制することができる。
【0107】
なお、マルチコアファイバ1´からの光をマルチコアファイバ1に導くことも可能である。この場合、マルチコアファイバ1´は、「一方のマルチコアファイバ」に該当する。マルチコアファイバ1は、「他方のマルチコアファイバ」に該当する。マルチコアファイバ1´の中心に配置されたコアC´1の光軸は、「一方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。マルチコアファイバ1の中心に配置されたコアC1の光軸は、「他方のマルチコアファイバの光軸」の一例である。GRINレンズ302は、「第1GRINレンズ」に該当する。GRINレンズ301は、「第2GRINレンズ」に該当する。
【0108】
[作用・効果]
本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0109】
本実施形態に係る結合光学系30は、第1両側テレセントリック光学系30aと、第2両側テレセントリック光学系30bとを含む。第1両側テレセントリック光学系30aは、GRINレンズ301を含む。GRINレンズ301は、マルチコアファイバ1からの光を、屈折率の勾配に応じて屈折させる。GRINレンズ302は、GRINレンズ301から出射された光を、屈折率の勾配に応じて屈折させることにより、対応するマルチコアファイバ1´のコアC´kに入射させる。
【0110】
このように、GRINレンズを用いて両側テレセントリック系を構成した場合であっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、マルチコアファイバ間の間隔(或いは、ファイバ光学系間の間隔)を変更したときに、一方のマルチコアファイバ(コア)からの光を他方のマルチコアファイバ(コア)に確実に導くことができる。たとえば、本実施形態の構成を用いてファイバ光学系同士を接合する場合、ファイバ光学系同士の間隔に誤差があったとしても、マルチコアファイバ1からの主光線Prkをマルチコアファイバ1´のコアC´kに対して垂直に入射させることができるため、結合効率の低下を抑制することができる。また、レンズによるケラレ等が生じないため、結合効率の低下を抑制することができる。すなわち、マルチコアファイバ同士を光学的に結合する場合に、結合効率の低下を抑制することができる。更に、GRINレンズを用いることにより、両側テレセントリック光学系を小型化することができる。従って、結合光学系30(ファイバ光学系)自体を小型化することが可能となる。
【符号の説明】
【0111】
1、1´ マルチコアファイバ
1b 端面
2、2´ クラッド
2a 端面
10 結合光学系
10a 第1両側テレセントリック光学系
10b 第2両側テレセントリック光学系
101、102、103、104 レンズ
Ck、C´k コア
Ek 端面
Prk 主光線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコアがクラッドで覆われたマルチコアファイバ同士を光学的に結合する結合光学系であって、
一方の前記マルチコアファイバからの光の主光線が、当該マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される第1両側テレセントリック光学系と、
前記第1両側テレセントリック光学系を透過した前記主光線が他方の前記マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で当該マルチコアファイバに対して出射される第2両側テレセントリック光学系と、
を含むことを特徴とする結合光学系。
【請求項2】
前記第1両側テレセントリック光学系は、
前記一方のマルチコアファイバからの光をコリメートさせる第1レンズと、
前記第1レンズから出射された光を収束させる第2レンズと、
を有し、
前記第2両側テレセントリック光学系は、
前記第2レンズから出射された光をコリメートさせる第3レンズと、
前記第3レンズから出射された光を、前記他方のマルチコアファイバのコアに入射させる第4レンズと、
を有することを特徴とする請求項1記載の結合光学系。
【請求項3】
前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ、及び前記第4レンズそれぞれの焦点距離が等しいことを特徴とする請求項2記載の結合光学系。
【請求項4】
前記第1レンズ及び前記第4レンズが等しい焦点距離f1を有し、前記第2レンズ及び前記第3レンズが等しい焦点距離f2を有する場合、焦点距離f1及び焦点距離f2は以下の式を満たすことを特徴とする請求項2記載の結合光学系。
f2/f1>1
【請求項5】
前記第1両側テレセントリック光学系は、
前記一方のマルチコアファイバからの光をコリメートさせる第1レンズと、
前記第1レンズから出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま出射させる第2レンズと、
を有し、
前記第2両側テレセントリック光学系は、
前記第2レンズから出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま出射させる第3レンズと、
前記第3レンズから出射された光を、前記他方のマルチコアファイバのコアに入射させる第4レンズと、
を有することを特徴とする請求項1記載の結合光学系。
【請求項6】
前記第1両側テレセントリック光学系は、
前記一方のマルチコアファイバからの光を、屈折率の勾配に応じて屈折させる第1GRINレンズを有し、
前記第2両側テレセントリック光学系は、
前記第1GRINレンズから出射された光を、屈折率の勾配に応じて屈折させることにより、対応する前記他方のマルチコアファイバのコアに入射させる第2GRINレンズを有することを特徴とする請求項1記載の結合光学系。
【請求項7】
前記一方のマルチコアファイバのコアの端面と前記他方のマルチコアファイバのコアの端面とが平行になるように配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の結合光学系。
【請求項8】
複数のコアがクラッドで覆われた第1マルチコアファイバと、
前記第1マルチコアファイバからの光の主光線が、前記第1マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される第1両側テレセントリック光学系と、
を有する第1ファイバ光学系と、
複数のコアがクラッドで覆われた第2マルチコアファイバと、
前記第1両側テレセントリック光学系を透過した前記主光線が前記第2マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で前記第2マルチコアファイバに対して出射される第2両側テレセントリック光学系と、
を有する第2ファイバ光学系と、
を含むことを特徴とするファイバ光学系。
【請求項9】
前記第1マルチコアファイバのコアの端面と前記第2マルチコアファイバのコアの端面とが平行になるように配置されていることを特徴とする請求項8記載のファイバ光学系。
【請求項1】
複数のコアがクラッドで覆われたマルチコアファイバ同士を光学的に結合する結合光学系であって、
一方の前記マルチコアファイバからの光の主光線が、当該マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される第1両側テレセントリック光学系と、
前記第1両側テレセントリック光学系を透過した前記主光線が他方の前記マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で当該マルチコアファイバに対して出射される第2両側テレセントリック光学系と、
を含むことを特徴とする結合光学系。
【請求項2】
前記第1両側テレセントリック光学系は、
前記一方のマルチコアファイバからの光をコリメートさせる第1レンズと、
前記第1レンズから出射された光を収束させる第2レンズと、
を有し、
前記第2両側テレセントリック光学系は、
前記第2レンズから出射された光をコリメートさせる第3レンズと、
前記第3レンズから出射された光を、前記他方のマルチコアファイバのコアに入射させる第4レンズと、
を有することを特徴とする請求項1記載の結合光学系。
【請求項3】
前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ、及び前記第4レンズそれぞれの焦点距離が等しいことを特徴とする請求項2記載の結合光学系。
【請求項4】
前記第1レンズ及び前記第4レンズが等しい焦点距離f1を有し、前記第2レンズ及び前記第3レンズが等しい焦点距離f2を有する場合、焦点距離f1及び焦点距離f2は以下の式を満たすことを特徴とする請求項2記載の結合光学系。
f2/f1>1
【請求項5】
前記第1両側テレセントリック光学系は、
前記一方のマルチコアファイバからの光をコリメートさせる第1レンズと、
前記第1レンズから出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま出射させる第2レンズと、
を有し、
前記第2両側テレセントリック光学系は、
前記第2レンズから出射された光を、コリメートされた状態を保ったまま出射させる第3レンズと、
前記第3レンズから出射された光を、前記他方のマルチコアファイバのコアに入射させる第4レンズと、
を有することを特徴とする請求項1記載の結合光学系。
【請求項6】
前記第1両側テレセントリック光学系は、
前記一方のマルチコアファイバからの光を、屈折率の勾配に応じて屈折させる第1GRINレンズを有し、
前記第2両側テレセントリック光学系は、
前記第1GRINレンズから出射された光を、屈折率の勾配に応じて屈折させることにより、対応する前記他方のマルチコアファイバのコアに入射させる第2GRINレンズを有することを特徴とする請求項1記載の結合光学系。
【請求項7】
前記一方のマルチコアファイバのコアの端面と前記他方のマルチコアファイバのコアの端面とが平行になるように配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の結合光学系。
【請求項8】
複数のコアがクラッドで覆われた第1マルチコアファイバと、
前記第1マルチコアファイバからの光の主光線が、前記第1マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で出射される第1両側テレセントリック光学系と、
を有する第1ファイバ光学系と、
複数のコアがクラッドで覆われた第2マルチコアファイバと、
前記第1両側テレセントリック光学系を透過した前記主光線が前記第2マルチコアファイバの光軸に平行な状態で入射され、且つ平行な状態で前記第2マルチコアファイバに対して出射される第2両側テレセントリック光学系と、
を有する第2ファイバ光学系と、
を含むことを特徴とするファイバ光学系。
【請求項9】
前記第1マルチコアファイバのコアの端面と前記第2マルチコアファイバのコアの端面とが平行になるように配置されていることを特徴とする請求項8記載のファイバ光学系。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【公開番号】特開2013−105152(P2013−105152A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250877(P2011−250877)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
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