説明

結合装置およびその製造方法

【課題】本発明は、着脱操作の円滑さと抜け止め機能と係合面の充分な耐久性とを維持しつつ、コストを抑えて製造することができる結合装置を提供する。
【解決手段】結合装置10は、同一形状の一対のカプラ10aを備える。カプラ10aは、カプラ本体11と嵌合部6と案内面31aと係合面41とを備える。嵌合部6は、基準円Kに沿ってカプラ本体11の先端部11bに交互に並んで設けられる凹部33と凸部30とを備え、互いに嵌合する。案内面31aは、軸心線Hを含む面に沿って凸部30に形成され、一対のカプラ10aの着脱操作時に互いに面接触し、嵌合部6どうしの嵌合を案内する。係合面41は、凸部30に形成され、一対のカプラ10aが互いに軸心線H方向に離れる方向に互いに面接触する接触部41aを有する。係合面41を、第1の側辺42から基準円Kに沿って奥側に亘って、凸部30の突出方向に傾斜する平面に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば消防ホースなどを相互に結合するために、雌雄の区別なく互いに結合可能な一対のカプラを備える結合装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消防ホースなど、結合すべきホースを互いに結合する結合金具(結合装置)は、同一形状であって互いに着脱可能に結合する結合金具本体(カプラ)を一対備えている。結合金具本体は、結合すべきホースの端部に1つずつ取り付けられており、互いに結合することによって、結合すべきホースどうしを結合する。
【0003】
各結合金具本体の前端面には、相手側の結合金具本体と互いに衝合するシール面が設けられている。また、各結合金具本体部の前端面には、シール面を囲って周方向に複数の嵌合突部(凸部)が形成されている。
【0004】
各嵌合突部は、結合金具本体の軸心線方向に相手側の結合金具本体に向かって突出している。周方向に隣接する嵌合突部間には、該隣接する嵌合突部どうしによって、相手側の結合金具本体の嵌合突部が嵌合可能な嵌合凹部(凹部)が規定されている。
【0005】
各嵌合突部の側部のうち、嵌合突部が並ぶ円周を横切る側部の一方には、係止鉤部が形成されている。各係止鉤部は、鉤状に形成されており、各嵌合突部が相手側の結合金具本体の嵌合凹部に嵌合した状態において、相手側の係止鉤部と周方向に係合する。
【0006】
各係止鉤部が相手側の結合金具本体の係止鉤部と係合することによって、各結合金具本体どうしが結合される。各係止鉤部は、各結合金具本体どうしが結合した状態において、互いに対向する端面が係合面となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
一方、各結合金具の着脱操作を円滑に行うために、係止鉤部側の各嵌合突部の側面(案内面)は、結合金具本体の軸心線を通る面で構成されている。このため、この側面上に位置する係合面の側辺の延長線は、結合金具本体の軸心線を通る(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
また、各結合金具本体どうしが結合した状態で内部に水などの流体が流動する場合、各結合金具本体どうしを互いに離間する方向に作用する荷重は、各係止鉤部の係合面に作用する。このため、係合面の耐久性を向上するために、各係合面のうち相手側の係合面と接触すべき接触部は、互いに全域で接触する、つまり面接触するように形成されている。それゆえ、嵌合突部および嵌合凹部が並ぶ周方向を横切る係合面の接触部の両側辺の延長線は、それぞれ結合金具本体の軸心線を通る。
【0009】
さらに、接触部は、結合金具本体の軸心線に向かい、かつ延長線が軸心線を垂直に横切る線の集まりによって構成されている。
【0010】
また、各結合金具の結合状態が不意に解除されることを抑制するために、各係合面は、係止鉤部側の側辺から嵌合突部が並ぶ円周に沿って奥側に亘って嵌合突部の突出方向に傾斜している。係合面が傾斜することによって、結合金具本体の軸心線まわりに各係止鉤部どうしの係合を解除する方向へ、各結合金具本体どうしが相対的に回動することが抑制される。それゆえ、各結合金具本体どうしの結合が不意に解除されることが抑制される。
【0011】
前記のような形状の各係合面は、曲面となる。このため、係合面は、結合金具本体を形成するワークを回動させる回動軸と、ワークを切削する工具をワークに相対的に向かわせる軸と、ワークに対して工具をワークの軸心線方向に沿って相対的に移動する軸と、工具の径を補正するために工具をワークに対して相対的に移動する軸とのうち、いくつかの軸を同時に制御することができるマシニングセンタなどの装置によって形成される。
【特許文献1】特開平9−119577号公報
【特許文献2】特開平9−280453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1に開示された結合金具であると、係合面を曲面に形成するために、多軸を同時に制御できるマシニングセンタなどの装置が必要になる。一般に、前記の装置は、高価である。それゆえ、結合金具のコストも高くなる傾向にある。
【0013】
したがって、本発明の目的は、着脱操作の円滑さと抜け止め機能と係合面の充分な耐久性とを維持しつつ、コストを抑えて製造することができる結合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の結合装置は、直線である軸心線方向に互いに着脱可能に結合する同一形状の一対の筒状のカプラを備える。カプラは、筒状のカプラ本体と、嵌合部と、案内面と、係合面とを備える。嵌合部は、カプラの軸心線回りの基準円に沿ってカプラ本体の先端部に交互に並んで設けられる凹部と凸部とを備える。嵌合部は、相手側の嵌合部と互いに嵌合する。案内面は、カプラの軸心線を含む平面に沿って凸部に形成され、一対のカプラの着脱操作時に互いに面接触し、嵌合部どうしの嵌合を案内する。係合面は、凸部に形成され、係合状態の一対のカプラが軸線方向に互いに離れる方向に互いに面接触する接触部を有する。係合面を、案内面側の第1の側辺から基準円に沿って奥側の第2の側辺に亘って、凸部の突出方向に傾斜する平面に形成する。
【0015】
このような結合装置では、各カプラどうしを結合する際に、案内面を相手側のカプラの案内面と接触させることによって、案内面が各嵌合部どうしの嵌合を案内するので、各カプラどうしの着脱作業を行いやすくなる。
【0016】
また、案内面は、カプラの軸心線を含む面に形成される。このため、各案内面が相手側のカプラの案内面と面接触することによって、各案内面間に生じる反力は、カプラの軸心線へ向かう分力を有しない。つまり、各カプラどうしの着脱作業中に、各カプラの軸心線がずれることがない。
【0017】
さらに、係合面が傾斜を有しているので、係合面どうしの係合が解除されにくくなる。さらに、係合面の接触部は、互いに面接触する。このため、各本体部どうしを引き離す荷重を充分に受けることができる。さらに、係合面が平面で形成されるので、多軸を同時に制御するマシニングセンタなどの高価な装置を用いなくても、係合面を形成することができる。
【0018】
このような場合、本発明の結合装置では、係合面を
【数5】

【0019】
となる平面に形成する。
【0020】
第1の長さK1は、第1の接触部端点から第1の仮想線と基準平面との交点までの長さである。第1の接触部端点は、接触部における案内面側の案内面側側辺において基準円の外側に位置する端点である。第1の仮想線は、第1の接触部端点を含みカプラの軸心線と平行に延びる線である。基準平面は、カプラの軸心線と直交する平面である。第2の長さK2は、第2の接触部端点から第2の仮想線と基準平面との交点までの長さである。第2の接触部端点は、案内面側側辺において基準円の内側に位置する端点である。第2の仮想線は、第2の接触部端点を含みカプラの軸心線と平行に延びる線である。第3の長さK3は、第3の接触部端点から第3の仮想線と基準平面との交点までの長さである。第3の接触部端点は、接触部における基準円に沿って奥側の奥側側辺において基準円の外側に位置する端点である。第3の仮想線は、第3の接触部端点を含みカプラの軸心線と平行に延びる線である。第4の長さK4は、第4の接触部端点から第4の仮想線と基準平面との交点までの長さを第4の長さである。第4の接触部端点は、奥側側辺において基準円の内側に位置する端点である。第4の仮想線は、第4の接触部端点を含みカプラの軸心線と平行に延びる線である。
【0021】
または、このような場合、本発明の結合装置では、案内面側側辺と、奥側側辺とを、それぞれの延長線がカプラの軸心線と交差するように、かつ第1の基準平面上に案内面側側辺と奥側側辺とをカプラの軸心線方向に投影した第1の仮想側辺と第2の仮想側辺が、カプラの軸心線上で角度β傾斜して交差するように形成する。案内面側側辺は、接触部における案内面側の側辺である。奥側側辺は、接触部における基準円に沿って奥側の側辺である。第1の基準平面は、第1の側辺において基準円の外側に位置する端点を含みカプラの軸心線と直交する平面である。
【0022】
係合面を、第3の基準平面上に形成する。第3の基準平面は、第2の基準平面を、第2の基準平面上の第2の線よりも軸心線側を第2の線を回転軸に凸部の突出方向に、
【数6】

【0023】
傾斜させた面である。第2の基準平面は、第1の線を含み、第1の基準平面に対して第2の仮想側辺側が第1の仮想側辺側よりも凸部の突出方向に角度α傾斜する平面である。第1の線は、基準円の外側に位置する第1の側辺の端点を含みカプラの軸心線と直交する線である。第2の線は、第2の基準平面に含まれ、前記第1の側辺の端点を含んで前記第1の側辺に直角な線である。
【0024】
結合装置を簡単に製造できるようにするために、第2の側辺を、係合面を軸心線方向から見た状態において、案内面と平行に形成する。
【0025】
このようにすることによって、係合面を形成する工具を、案内面に平行な姿勢で切り込んだ場合、係合面は、本体部を工具に対して相対的に一方向に移動するだけで形成される。
【0026】
本発明に係る結合装置の製造方法では、万能フライス盤を用いる。結合装置は、直線である軸心線方向に互いに着脱可能に結合する同一形状の一対の筒状のカプラを備える。カプラは、筒状のカプラ本体と、嵌合部と、案内面と、係合面とを備える。嵌合部は、カプラの軸心線回りの基準円に沿ってカプラ本体の先端部に交互に並んで設けられる凹部と凸部とを備える。嵌合部は、相手側の嵌合部と互いに嵌合する。案内面は、カプラの軸心線を含む平面に沿って凸部に形成され、一対のカプラの着脱操作時に、嵌合部どうしの嵌合を案内する。係合面は、凸部に形成され、係合状態の一対のカプラが軸線方向に互いに離れる方向に互いに面接触する接触部を有する。係合面は、平面である。
【0027】
案内面側側辺と奥側側辺とは、それぞれの延長線がカプラの軸心線と交差するように、かつ第1の基準平面上に案内面側側辺と奥側側辺とをカプラの軸心線方向に投影した第1の仮想側辺と第2の仮想側辺が、カプラの軸心線上で角度β傾斜して交差するように形成される。案内面側側辺は、接触部における案内面側の側辺である。奥側側辺は、接触部における基準円に沿って奥側の側辺である。第1の基準平面は、係合面の案内面側の第1の側辺において基準円の外側に位置する端点を通ってカプラの軸心線と直交する面である。
【0028】
係合面は、第3の基準平面上に形成される。第3の基準平面は、第2の基準平面を、第2の基準平面上の第2の線よりも軸心線側を第2の線を回転軸に凸部の突出方向に、
【数7】

【0029】
傾斜させた面である。第2の基準平面は、第1の線を含み、第1の基準平面に対して第2の仮想側辺側が第1の仮想側辺側よりも凸部の突出方向に角度α傾斜する面である。第1の線は、基準円の外側に位置する第1の側辺の端点を含みカプラの軸心線と直交する線である。第2の線は、第2の基準平面に含まれ、前記第1の側辺の端点を含んで前記第1の側辺に直角な線である。
【0030】
万能フライス盤は、工具と、テーブルと、インデックスと、加工ヘッドとを備える。工具は、前記嵌合部が形成される第1の端部とこれと反対側の第2の端部とを有するカプラの素材としてのワークを切削する。テーブルには、ワークが固定される。固定手段は、ワークをテーブルに固定可能である。加工ヘッドは、工具を保持する。加工ヘッドとテーブルとは、互いに離れる方向および近づく方向に沿う第3の方向と、第3の方向と直角な第1の方向および第2の方向とに、相対的に移動可能である。固定手段は、第1の方向と第2の方向とで規定される面内で、第1の方向に対してワークの軸線を傾斜させた状態でワークをテーブルに固定する。加工ヘッドは、第2の方向に垂直な面内で第3の方向に対して工具の軸心線が傾斜する状態に姿勢変化可能である。
【0031】
まず、工具の切削線を凹部の輪郭に沿って移動することによって第1の端部に案内面を形成する。なお、工具の切削線とは、円筒状の工具において前記ワークへの半径方向切り込みの先端を結んだ線である。つまり、工具におけるワークとの接触範囲において、前記工具の進行方向と直角方向の切削側の縁である。
【0032】
案内面を形成した後、形成されるべき係合面が第2の軸と第3の軸とで規定される平面と平行になるように、ワークの軸心線を第1の方向に対して、角度α傾斜させ、かつ工具の軸心線を、第3の軸に対して工具の先端が前記第1の端部の先端に近づくように、角度
【数8】

【0033】
傾斜させる。そして、工具を係合面が形成されるべき部位に位置決めして、ワークを第2の方向に移動して係合面を形成する。
【0034】
なお、本明細書において、特にことわらない限り、線、側辺と表現した場合には、これら線、側辺は、直線状である。また、特にことわらない限り、面と表現した場合には、これら面は、平面状である。
【発明の効果】
【0035】
本発明の結合装置によれば、各カプラどうしの着脱操作の際に、各カプラ本体の軸心線がずれることがなくなるので、各カプラどうしの着脱操作の円滑さが維持される。また、各カプラどうしが結合した状態では、各係合面の係合状態が解除されにくくなるので、各カプラが不意に外れて抜けることが抑制される。また、結合装置は、接触部が面接触して荷重を受けるので、各カプラどうしを引き離す荷重に対する係合面の耐久性が向上する。アノダイズなどの表面処理を施した場合には、単位面積あたりの荷重である面圧を低くすることが大切であるので、本発明の結合装置に対して、アノダイズなどの表面処理は、特に有効である。
【0036】
また、高価なマシニングセンタを用いなくてもカプラを製造することができる。また、係合面が平面であることによって、本発明のカプラを鍛造や鋳造によっても、容易に製造するこができる。なお、カプラ本体と複数の凸部とを相互に独立して形成する組み立てタイプのカプラであっても、凸部の加工が容易となる。
【0037】
つまり、本発明によれば、着脱操作の円滑さと充分な抜け止め機能と係合面の耐久性とを維持しつつ、コストを抑えて結合装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に本発明の1実施形態に係る結合装置について、図1から図19を参照して説明する。
【0039】
図1に示すように、結合装置10は、一対のカプラ10aを備えている。一方のカプラ10aは、第1のホース13の端部に固定されている。他方のカプラ10aは、第2のホース14の端部に固定されている。各カプラ10aが結合される場合は、カプラ10aの先端面15どうしが対向する。
【0040】
カプラ10aは、筒状であって、カプラ本体11を備えている。カプラ本体11は、略円筒状である。カプラ本体11は、基部11aと、先端部11bとを有している。基部11aは、断面が略円である。断面は、カプラ10aの軸心線H方向に先端部11bに向かって進むにつれて断面の外径が大きくなる形状である。先端部11bは、前記基部11aの端部のうち、断面が大きい方の端部からカプラ10aの軸心線H方向に延びている。先端部11bの断面は、略円であって、一定である。
【0041】
カプラ本体11の内周面には、鋸歯状の凹凸を有するホース取り付け部が形成されている。第1,2のホース13,14のそれぞれ端部は、ホース取り付け部内に挿入される。そして、第1,2のホース13,14の内周面から締めリングが第1,2のホース13,14の端部の外周面をホース取り付け部に押圧する。このため、第1,2のホース13,14は、カプラ10aに固定される。なお、前記の取り付け構造は、一例であって、これに限定されるものではない。
【0042】
カプラ本体11には、シール面部材20が、例えば、内周面に螺合されることによって固定されている。シール面部材20において、相手側のカプラ10aに向かう面は、シール面20aとなっている。シール面20aの内周側には全周に亘ってシール部材21が設けられている。
【0043】
各カプラ10aが結合すると、シール面20aは、互い当接し、シール部材21によって液密になされる。各カプラ10aどうしが互いに結合すると、各カプラ10aの内部が互いに連通する。これにより、第1のホース13と第2のホース14との間を流体が流動することができる。
【0044】
各カプラ本体11の先端部11bには、複数の凸部30が設けられている。各凸部30は、カプラ10aの軸心線H方向に沿って、相手側のカプラ10aに向かって突出している。また、図2に示すように、各凸部30は、シール面20aを囲む基準円K(図2中に2点鎖線で示す)上に等間隔に離れて配置されている。本実施形態では、凸部30は、6個設けられているが、これに限定されるものではない。なお、図2は、カプラ10aを先端面15側から見た状態を示している。
【0045】
図1に示すように、各凸部30は、第1の側面31と第2の側面32とを有している。図2に示すように、第1の側面31と第2の側面32とは、基準円Kを横切る。第1の側面31側の凸部30の側部には、後に説明される係止鉤部40が形成される。第2の側面32側の凸部30の側部には、後に説明される付勢機構70が設けられる。また、図2において、第2の側面32は、第1の側面31に対して時計方向に進んだ位置の側面を示している。
【0046】
図2に示すように、基準円Kに沿って隣り合う凸部30どうしの間には、該隣り合う凸部30どうしによって、凹部33が規定されている。各凹部33は、相手側のカプラ10aの凸部30を軸心線H方向に沿って収容可能である。また、図3と図15とに示すように、凹部33は、基準円Kに沿って凸部30よりも大きい。これにより、凸部30が相手側のカプラ10aの凹部33に収容された状態において、各カプラ10aは、軸心線H方向まわりに相対的に所定角度回動できる。図3は、各カプラ10aどうしが結合した状態を示している。
【0047】
図3に示すように、各カプラ10aどうしが結合した状態では、一方のカプラ10aの各凸部30は、他方のカプラ10aの凹部33に収容される。他方のカプラ10aの凸部30は、一方のカプラ10aの凹部33に収容される。また、各カプラ10aどうしが結合した状態では、凸部30の第1の側面31は、相手側のカプラ10aの第1の側面31と互いに対向する。同様に第2の側面32は、相手側のカプラ10aの第2の側面32と互いに対向する。各凸部30と各凹部33とは、嵌合部6を構成している。
【0048】
図4に示すように、各凸部30の第1の側面31側の側部には、鉤状の係止鉤部40が形成されている。各カプラ10aの凸部30が、相手側のカプラ10aの凹部33に収容された状態では、各係止鉤部40は、相手側のカプラ10aの係止鉤部40と係合可能である。
【0049】
凸部30が相手側のカプラ10aの凹部33に収容された状態において、向い合う係止鉤部40どうしを、軸心線Hまわりに互いに係合する方向に相対的に回動することによって、各係止鉤部40は、互いに係合する。各カプラ10aは、各係止鉤部40が係合することによって、外れることが係止される。
【0050】
第1の側面31は、係止鉤部40を挟んで軸心線H方向に段差が生じている。第1の側面31において、係止鉤部40を挟んで凸部30の突出側は、案内面31aとなっている。案内面31aは、その延長上が軸心線Hを含む面に形成されている。
【0051】
各係止鉤部40の根元部分には、湾曲部34が形成されている。湾曲部34は、凸部30を略円弧状に切り欠いた形状である。湾曲部34は、係止鉤部40の根元に応力が集中することを抑制している。湾曲部34の内部には、弾性発泡材料などが充填固定されてもよい。このようにすることによって、湾曲部34内に砂、泥などの異物が体積して係止鉤部40どうしの係合が阻害されることが防止される。
【0052】
根元側の係止鉤部40の側面、つまり各係止鉤部40どうしの係合時に互いに向い合う面は、係合面41となっている。各係合面41は、各カプラ10aどうしの結合時に相手側のカプラ10aの係合面41と軸心線H方向に互いに係合する。
【0053】
図4と図5とに示すように、各係合面41は、平面であって、基準円Kを横切る第1,2の側辺42,43を有している。第1の側辺42は、案内面31a上に位置している。つまり、第1の側辺42の延長線は、軸心線Hを通る。
【0054】
第2の側辺43は、基準円Kに沿って、奥側の側辺である。軸心線H方向に沿って先端面15を見た状態において、第2の側辺43は、第1の側辺42と平行である。つまり、図2における第2の側辺43は、第1の側辺42と平行である。
【0055】
各係合面41は、第1の端点Aと、第2の端点Bと、第3の端点Cと、第4の端点Dとを有している。第1の端点Aは、第1の側辺42上において、基準円Kの外側に位置する端点である。第2の端点Bは、第1の側辺42上において、基準円Kの内側に位置する端点である。第3の端点Cは、第2の側辺43上において、基準円Kの外側に位置する端点である。第4の端点Dは、第2の側辺43上において、基準円Kの内側に位置する端点である。
【0056】
各係止鉤部40どうしは、軸心線Hまわりに相対的に、一方のカプラ10aの第1の端点Aが他方のカプラの第3の端点Cと当接するまで回動することによって、互いに係合する。
【0057】
図6に示すように、一方のカプラ10aの各係止鉤部40と、他方のカプラ10aの各係止鉤部40とが係合した状態では、一方のカプラ10aの第1の端点Aは、他方のカプラ10aの第3の端点Cと当接する。一方のカプラ10aの第2の端点Bは、他方のカプラ10aの当接点Eと当接する。一方のカプラ10aの第3の端点Cは、他方のカプラ10aの第1の端点Aと当接する。一方のカプラ10aの当接点Eは、他方のカプラ10aの第2の端点Bと当接する。
【0058】
係合面41のうち、第3の端点Cと当接点Eとを通る線140は、相手側のカプラ10aの第1の側辺42と重なる。それゆえ、線140の延長線は、軸心線Hを通る。線140は、本発明で言う、接触部における基準円に沿って奥側の奥側側辺である。
【0059】
係合面41のうち、第1〜3の端点A〜Cと当接点Eとによって規定される範囲(平面)は、互いに面接触する接触部41aとなる。このため、第1の端点Aは、本発明で言う、第1の接触部端点と同じ点である。第2の端点Bは、本発明で言う、第2の接触部端点と同じ点である。第3の端点Cは、本発明で言う、第3の接触部端点と同じ点である。当接点Eは、本発明で言う、第4の接触部端点である。
【0060】
前記したように、係止鉤部40は、係合面41の第1の側辺42から、相手側のカプラ10aの係止鉤部40内へ進入していく。つまり、係合面41の第1の側辺42側は、接触部41aとなる。それゆえ、第1の側辺42は、本発明で言う案内面側側辺でもある。
【0061】
係合面41は、基準円Kに沿って奥側、つまり第2の側辺43側が、第1の側辺42側よりも凸部30の突出方向に離れるように傾斜している。
【0062】
係合状態のカプラ10aに内圧が加わって、軸心線H方向に互いに離れる方向の力が各カプラ10aに作用したとき、この傾斜によって、各係止鉤部40どうしの係合が解除される方向に、各カプラ10aどうしが軸心線Hまわりに相対的に回動することが抑制される。このため、各カプラ10aどうしの結合が不意に解除されることが抑制される。
【0063】
つぎに、接触部41aおよび係合面41の傾斜について説明する。
【0064】
図7は、第1の基準平面R1を示している。第1の基準平面R1は、軸心線Hと直交する平面である。第1の基準平面R1上に、軸心線Hを中心とする扇状の仮想面50を設ける。仮想面50は、係合面41の接触部41aを、軸心線H方向に第1の基準平面R1上に投影した面であって、各カプラ10aどうしを引き離す荷重に対して充分に耐えられる面積を有している。
【0065】
言い換えると、接触部41aの面積は、各カプラ10aどうしを引き離す荷重に対して、充分に耐えられるように決定されている。
【0066】
仮想面50の4角にそれぞれ軸心線Hと平行に延びる仮想線を想定する。図7に係合面41の接触部41aを示しているが、第1〜3の端点A〜Cと当接点Eとは、仮想面50の4角を通る仮想線上に配置される。
【0067】
第1の端点Aが配置される線を第1の仮想線A2とする。第2の端点Bが配置される線を第2の仮想線B2とする。第3の端点Cが配置される線を第3の仮想線C2とする。当接点Eが配置される線を第4の仮想線E2とする。
【0068】
第1の仮想線A2が通る仮想面50上の端点を第1の仮想端点A1とする。第2の仮想線B2が通る仮想面50上の端点を第2の仮想端点B1とする。第3の仮想線C2が通る仮想面50上の端点を第3の仮想端点C1とする。第4の仮想線E2が通る仮想面50上の端点を第4の仮想端点E1とする。
【0069】
仮想面50は、第1の仮想側辺56と、第2の仮想側辺57とを有している。第1の仮想側辺56は、第1の側辺42を第1の基準平面R1上に軸心線H方向に投影した線であって、第1の仮想端点A1と第2の仮想端点B1とを結んでおり、軸心線Hへ向かっている。
【0070】
第2の仮想側辺57は、第3の端点Cと当接点Eとを結ぶ線140を第1の基準平面R1上に軸心線H方向に投影した線であって、第3の仮想端点C1と第4の仮想端点E1とを結んでおり、軸心線Hへ向かっている。
【0071】
第1の仮想端点A1は、第1の仮想側辺56において、基準円Kの外側に位置する端点である。第2の仮想端点B1は、第1の仮想側辺56において、基準円Kの内側に位置する端点である。第3の仮想端点C1は、第2の仮想側辺57において、基準円Kの外側に位置する端点である。第4の仮想端点E1は、第2の仮想側辺57において、基準円Kの内側に位置する端点である。
【0072】
第1の仮想側辺56と第2の仮想側辺57とのそれぞれの延長線は、軸心線H上で角度β傾斜して交差する。このため、各係止鉤部40どうしを互いに係合する場合は、各案内面31aが相手側の案内面31aと当接した状態から、各カプラ10aどうしを軸心線Hまわりに相対的に角度β回動することになる。
【0073】
一方、各係合面41の接触部41aは、相手側のカプラ10aの接触部41aと面接触する。このため、図7に示すように、第1の端点Aから第1の仮想端点A1までの長さである第1の長さK1と第3の端点Cから第3の仮想端点C1までの長さである第3の長さK3との合計は、第2の端点Bから第2の仮想端点B1までの長さである第2の長さK2と当接点Eから第4の仮想端点E1までの長さである第4の長さK4との合計と等しくなる。
【0074】
つまり、
【数9】

【0075】
となる。
【0076】
なお、係合面41を形成するときに、第1の基準平面R1を、カプラ10aの第1の端点Aを形成すべき点である仮想点120(図7中では、第1の端点Aと同じ点を示す。)を通すことによって、第1の長さK1は、0となる。
【0077】
このため、前記各長さK2〜K3を第1の端点Aからの長さとすることができる。K2〜K3を求めることにより、第1の端点Aに対する第2,3の端点B,Cと当接点Eとの位置を求めることができる。つまり、仮想点120を決定すれば、第2,3の端点B,Cの位置と、当接点Eの位置とを求めることができる。
【0078】
なお、各係止鉤部40が互いに係合する場合、各カプラ10aどうしを軸心線Hまわりに回動したときに、第1の端点Aは、軸心線H方向に相手側の第1の端点Aを乗り越えなければならない。このため、第1の端点Aの位置は、各係止鉤部40どうしが係合するときに、相手側の第1の端点Aを乗り越えることができる位置に設定される。具体的に説明すると、カプラ10aの先端面15から第1の端点Aまでの長さは、第1の端点Aから凹部33の底端までの長さよりも短くなっている。
【0079】
このようにすることによって、凸部30を相手側のカプラ10aの凹部33に完全に押し込めると、第1の端点Aは、軸心線H方向に相手側のカプラ10aの第1の端点Aを越える。
【0080】
前記の各長さK2〜K3を求めるために、第2の基準平面R2を想定する。第2の基準平面R2は、第1の線141を含むとともに、第1の基準平面R1に対して仮想面50側が凸部30の突出方向に角度α傾斜している。第1の線141は、仮想点120、つまり第1の端点Aを通って軸心線Hと直交する線である。
【0081】
また、第3の基準平面R3を想定する。第3の基準平面R3は、第2の基準平面R2を、第2の基準平面R2上の第2の線142まわりに軸心線H側を凸部30の突出方向に回転させた平面である。第2の線142は、第2の基準平面R2上の線であって、第1の端点Aを含みかつ第1の線141直交する線である。
【0082】
第3の基準平面R3と第1の仮想線A2との交点を第1の仮想交点A3とする。図8は、第2の仮想線B2と第3の基準平面R3との交点である第2の仮想交点B3を、第1の基準平面R1に沿って第1の仮想端点A1側から軸心線Hに向かって見た状態を示している。図8では、第1の基準平面R1と第2の基準平面R2とは、2点鎖線で示した通り、線状に見える。また、図8では、第3基準平面R3に含まれる線R3´が点線で示されている。線R3´は、第3の基準平面R3上の線であって、第2の仮想交点B3を含み第2の線142と平行な線である。
【0083】
図10は、第3の仮想線C2と第3の基準平面R3との交点である第3の仮想交点C3を、第1の基準平面R1に沿って第1の仮想端点A1側から軸心線Hに向かって見た状態を示している。図12は、第4の仮想線E2と第3の基準平面R3との交点である第4の仮想交点E3を、第1の基準平面R1に沿って第1の仮想端点A1側から軸心線Hに向かって見た状態を示している。
【0084】
図8に示すように、第2の仮想端点B1から第2の仮想交点B3までの長さを第2の仮想長さB4とする。図10に示すように、第3の仮想端点C1から第3の仮想交点C3までの長さを第3の仮想長さC4とする。図12に示すように、第4の仮想端点E1から第4の仮想交点E3までの長さを第4の仮想長さE4とする。
【0085】
第2〜4の仮想交点B3〜E3は、第2の基準平面R2に対する第3の基準平面R3の回転角度γによって変化する。第2の仮想長さB4と第4の仮想長さE4との合計長さと、第3の仮想長さC4とが等しくなる第3の基準平面R3の回転角度γを求めることによって、第2〜4の仮想交点B3〜E3が第2,3の端点B,Cと当接点Eとなる。
【0086】
つまり、その状態での、第2〜4の仮想長さB4〜E4が第2〜4の長さK2〜K4となり、第1の端点Aに対する第2,3の端点B,Cと、当接点Eとの位置を求めることができる。
【0087】
これにより、係合面41は、相手側のカプラ10aの係合面41との係合解除が抑制される傾斜を有する平面となる。つまり、第1の基準平面R1に対する第2の基準平面R2の傾斜角度αは、各カプラ10aどうしの結合が容易に外れることを抑制するために設けられている。角度αは、各カプラ10aどうしの結合が容易に外れることがないように考慮されて決定される。
【0088】
なお、本実施形態では、第3の基準平面R3が第1の仮想端点A1を含むため、第1の仮想交点A3は、第1の仮想端点A1と同じ点である。このため、第1の仮想端点A1から第1の仮想交点A3までの長さである第1の仮想長さA4は、0である。
【0089】
第2〜4の仮想長さB4〜E4を求めるために、図7に示すように、軸心線Hから係止鉤部40の外縁までの長さをmとする。軸心線Hから係止鉤部40の内縁までの長さをnとする。つまり、mは、軸心線Hから第1,3の仮想端点A1,C1までの長さである。nは、軸心線Hから第2,4の仮想端点B1,E1までの長さである。
【0090】
図8に示すように、(第2の仮想長さB4)=(第2の回転前長さB6)+(第2の回転後長さB7)となる。回転前とは、第3の基準平面R3を角度γだけ回転する前のことであり、つまり、角度γの値が0ということである。これは、第3の基準平面R3が、第2の基準平面R2と同一平面だったときのことである。また、回転後とは、第3の基準平面R3が角度γだけ回転したときのことである。
【0091】
第2の回転前長さB6は、第2の中間交点B5から第2の仮想端点B1までの長さである。第2の中間交点B5は、第2の基準平面R2と第2の仮想線B2との交点である。なお、第2の基準平面R2は、第2の仮想端点B1を含む。このため、第2の仮想端点B1と第2の中間交点B5とは、同一の点であるので、第2の回転前長さB6は、0である。第2の回転後長さB7は、第2の中間交点B5から、第2の仮想交点B3までの長さである。よって、(第2の仮想長さB4)=(第2の回転後長さB7)となる。
【0092】
図9は、第2の基準平面R2に沿って矢印Q1の方向から図8を見た状態を示している。なお、図9において、第2の基準平面R2と第3の基準平面R3とは、2点鎖線で示すとおり、線状に見える。第2の仮想交点B3から第2の基準平面R2へ第1の垂線100を降ろす。図9に示すように、第1の仮想線A2から第2の仮想線B2までの長さは、m−nである。よって、第1の垂線100の長さ100aは、
【数10】

【0093】
となる。
【0094】
図8に示すように、第2の仮想長さB4は、
【数11】

【0095】
であるので、
【数12】

【0096】
となる。
【0097】
図10に示すように、(第3の仮想長さC4)=(第3の回転前長さC6)+(第3の回転後長さC7)である。第3の回転前長さC6は、第3の中間交点C5から第3の仮想端点C1までの長さである。第3の中間交点C5は、第2の基準平面R2と第3の仮想線C2との交点である。第3の回転後長さC7は、第3の中間交点C5から第3の仮想交点C3までの長さである。
【0098】
図10に示すように、第2の仮想線B2を含み第1の仮想側辺56に垂直な仮想平面上に、第1の仮想側辺56が延びる方向に第3の仮想線C2を投影した場合、この第3の仮想線C2の投影線から第2の仮想線B2までの長さは、つぎの説明の通り、m×sin(β)である。図7における第1の基準平面R1上で、第3の仮想端点C1から第1の線141へ垂線をおろしたときの交点をCyとし、第1の基準平面R1と軸心線Hとの交点をOとすると、第3の仮想端点C1と交点Cyと交点Oとによって形成される三角形の辺OC1の長さ(第3の仮想端点C1から交点Oまでの長さ)がmとなる。そして、辺C1O(第3の仮想端点C1から交点Oまでの辺)と辺CyO(交点Cyから交点Oまでの辺)との角度がβなので、辺C1Cy(第3の仮想端点C1から交点Cyまでの長さ)は、m×sin(β)となる。
【0099】
よって、第3の回転前長さC6は、
【数13】

【0100】
となる。
【0101】
図11は、第2の基準平面R2に沿って矢印Q2の方向から図10を見た状態を示している。第3の仮想交点C3から第2の基準平面R2へ第2の垂線101を降ろす。
【0102】
図11に示すように、第1の仮想端点A1と軸心線Hを含む基準平面上に第3の仮想線C2を投影した場合、この第3の仮想線C2の投影線から第1の仮想線A2までの長さは、つぎの通り、m−{m×cos(β)}となる。
【0103】
図7における、第1の基準平面R1上で第3の仮想端点C1と交点Cyと交点Oとによって形成される三角形の辺C1O(第3の仮想端点C1から交点Oまでの辺)の長さは、mである。辺C1O(第3の仮想端点C1から交点Oまでの辺)と辺OCy(交点Oから交点Cyまでの辺)との交差角度は、βなので、辺OCy(交点Oから交点Cyまでの辺)の長さは、m×cos(β)となる。
【0104】
第2の垂線101の長さ101aは、
【数14】

【0105】
となる。図10に示すように、
【数15】

【0106】
である。よって、
【数16】

【0107】
となる。
【0108】
(第3の仮想長さC4)=(第3の回転前長さC6)+(第3の回転後長さC7)であるので、
【数17】

【0109】
となる。
【0110】
図12に示すように、(第4の仮想長さE4)=(第4の回転前長さE6)+(第4の回転後長さE7)である。第4の回転前長さE6は、第4の中間交点E5から第4の仮想端点E1までの長さである。第4の中間交点E5は、第2の基準平面R2と第4の仮想線E2との交点である。第4の回転後長さE7は、第4の中間交点E5から第4の仮想交点E3までの長さである。
【0111】
図12に示すように、第4の仮想線E2を、第2の仮想線B2を含み第1の仮想側辺56に垂直な基準平面に第1の仮想側辺56が延びる方向に投影した場合、この第4の仮想線E2の投影線と第2の仮想線B2との間の長さは、つぎの通り、n×sin(β)となる。
【0112】
図7における第1の基準平面R1上で、第4の仮想端点E1から第1の線141へ垂線をおろしたときの交点をCxとすると、第4の仮想端点E1と交点Cxと交点Oとによって形成される三角形の辺OE1の長さ(第4の仮想端点E1から交点Oまでの長さ)がnとなる。そして、辺E1O(第4の仮想端点E1から交点Oまでの辺)と辺CXO(交点Cxから交点Oまでの辺)との角度がβなので、辺E1Cx(第4の仮想端点E1から交点Cxまでの長さ)は、n×sin(β)となる。
【0113】
第4の回転前長さE6は、
【数18】

【0114】
となる。図13は、第2の基準平面R2に沿って矢印Q3の方向から図12を見た状態を示している。第4の仮想交点E3から第2の基準平面R2へ第3の垂線102を降ろす。
【0115】
図13に示すように、第1の仮想端点A1と軸心線Hとを含む基準平面に第4の仮想線E2を投影した場合、この第4の仮想線E2の投影線と第1の仮想線A2との間の長さ、つまり交点Cxから第1の仮想端点A1までの長さは、m−{n×cos(β)}となる。
【0116】
よって、第3の垂線102の長さ102aは、
【数19】

【0117】
となる。
【0118】
図12に示すように、第4の回転後長さE7は、
【数20】

【0119】
である。よって、
【数21】

【0120】
となる。(第4の仮想長さE4)=(第4の回転前長さE6)+(第4の回転後長さE7)であるので、
【数22】

【0121】
となる。
【0122】
つぎに、(第3の仮想長さC4)=(第2の仮想長さB4)+(第4の仮想長さE4)となる角度γを求める。
【数23】

【0123】
となる。
【0124】
この式をさらに整理すると、
【数24】

【0125】
この式をさらに整理すると、
【数25】

【0126】
この式をさらに整理すると、
【数26】

【0127】
となる。
【0128】
この式をさらに整理すると、
【数27】

【0129】
この式をtan(γ)について解くと、
【数28】

【0130】
となる。
【0131】
つまり、
【数29】

【0132】
となる。
【0133】
得られた前記角度を第2〜4の仮想長さB4〜E4を表す式に代入することにより、第1の端点Aからの第2の長さK2と、第3の長さK3と、第4の長さK4とが得られる。それゆえ、仮想点120を決定することによって、K2〜K4に基づいて接触部41aを形成すべき面が決定され、係合面41が形成される。図5に示すように、第4の端点Dは、軸心線H方向に沿って係合面41を見た状態において、第1の側辺42と第2の側辺43とが平行になるように、接触部41aを拡張することによって形成される。
【0134】
図14に示すように、第1の側面31を正面から見た場合、係合面41は、カプラ10aの軸心線H側が凸部30の突出方向に
【数30】

【0135】
傾斜する。
【0136】
図15に示すように、凸部30の第2の側面32側の側部には、付勢機構70が設けられている。付勢機構70は、凸部30が相手側のカプラ10aの凹部33内に収容されたときに、向い合う係止鉤部40どうしを互いに係合する方向に付勢する。
【0137】
付勢機構70は、一例として、円筒形のケース部材71と、ケース部材71内に突没自在に収容された鋼球72と、鋼球72を突出方向に付勢するスプリング73となどを備えており、各第2の側面32側の側部に埋め込まれている。鋼球72の一部は、第2の側面32から出ている。
【0138】
一方のカプラ10aの凸部30が、他方のカプラ10aの凹部33内に収容されると、一方のカプラ10aの付勢機構70の鋼球72が、他方のカプラ10aの付勢機構70の鋼球72と当接する。このため、付勢機構70によって、各カプラ10aは、各係止鉤部40どうしが係合する方向に、軸心線Hまわりに付勢される。
【0139】
また、第2の側面32は、凸部30の突出方向に向くように、軸心線Hに対して傾斜している。このため、各付勢機構70の付勢力は、各カプラ10aどうしを引き離す方向にも作用する。この付勢力は、各係止鉤部40どうしが係合した状態では、各係合面41どうしを互いに押し付ける方向に作用しており、各係止鉤部どうしの係合状態を解除しにくくしている。
【0140】
つぎに、各カプラ10aどうしの結合時の動作を説明する。まず、図1に示すように、各カプラ10aの先端面どうしを対向させて、各カプラ10aの軸心線Hを合わせる。そして、一方のカプラ10aの凸部30と他方のカプラ10aの凹部33とを対向させ、かつ一方のカプラ10aの凹部33を他方のカプラ10aの凸部30と対向させる。
【0141】
ついで、各凸部30を相手側のカプラ10aの凹部33内に押し込めていく。各凸部30が相手側の凹部33内に押し込められると、まず、互いの付勢機構70の鋼球72どうしが接触する。これにより、各カプラ10aの各係止鉤部40どうしが互いに係合する方向に付勢される。このため、案内面31aが相手側のカプラ10aの案内面31aに当接される。
【0142】
各案内面31aは、その延長上に軸心線Hを含む面である。このため、一方のカプラ10aの案内面31aと他方のカプラ10aの案内面31aとの間に作用する、付勢機構70付勢力に対する反力は、軸心線Hに向かう方向、つまり径方向に作用する分力を有さない。
【0143】
よって、各カプラ10aどうしの着脱作業中に、各カプラ10aの軸心線がずれたりすることが抑制され、着脱操作の円滑さが損なわれない。この状態で凸部30を相手側のカプラ10aの凹部33内にさらに押し込めると、図16に示すように、一方のカプラ10aの第2の端点Bと、他方のカプラ10aの第2の端点Bとが当接する。
【0144】
各凸部30を相手側のカプラ10aの凹部33内にさらに押し込めると、図17に示すように、一方のカプラ10aの係止鉤部40と、他方のカプラ10aの係止鉤部40とが係合する瞬間では、一方のカプラ10aの第1の端点Aと、他方のカプラ10aの第1の端点Aとが当接する。
【0145】
このように、一方のカプラ10aの係止鉤部40と、他方のカプラ10aの係止鉤部40とが係合する場合、一方のカプラ10aの第2の端点Bと他方のカプラ10aの第2の端点Bとが当接してから、一方のカプラ10aの第1の端点Aと他方のカプラ10aの第1の端点Aとが当接するまでの間は、一方のカプラ10aの第1の側辺42と他方のカプラ10aの第1の側辺42とが交差している。
【0146】
図6に示すように、凸部30を相手側の凹部33内にさらに押し込めていくと、一方のカプラ10aの第1の端点Aが他方のカプラ10aの第1の端点Aを乗り越える。そして、付勢機構70の付勢力によって各カプラ10aどうしが相対的に角度β回動して、各係止鉤部40どうしが互いに係合する。これにより、図3に示すように、各カプラ10aどうしが互いに結合する。
【0147】
各カプラ10aどうしの結合を解除する場合は、まず、軸心線Hまわりに各係止鉤部40の係合が解除される方向に、各カプラ10aを付勢機構70の付勢力に抗って相対的に回動する。これにより、各カプラ10aどうしが軸心線H方向に互いに近接する方向に相対的に押圧される。押圧されたことによって、各カプラ10aの係合面41の第1の端点Aは、相手側のカプラ10aの第1の端点Aを乗り越え、各係止鉤部40どうしの係合が解除されて、各カプラ10aどうしの結合が解除される。
【0148】
つぎに、カプラ10aの製造方法を説明する。図18に示すように、カプラ10aは、万能フライス盤110によって製造される。万能フライス盤110は、テーブル111と、固定手段200と、加工ヘッド113と、カプラ10aの素材としてのワーク115を切削する工具114とを備えている。
【0149】
ワーク115は、筒状であって一端部が本発明で言う第1の端部115bであり、他端部が本発明で言う第2の端部115cである。
【0150】
テーブル111は、図中に示すように、第1の方向Xと、第2の方向Yに往復動可能である。第2の方向Yは、第1の方向Xに対して垂直である。
【0151】
固定手段200は、台201と、インデックス112と、チャック202と、を備えている。インデックス112は、台201に固定されている。チャック202は、インデックス112の先端に取り付けられている。チャック202は、ワーク115を保持する。図19に矢印Tで示すように、インデックス112は、ワーク115をその軸心線まわりに回動自由にさせ、かつ回動した後にワーク115をその姿勢に固定する。
【0152】
テーブル111は、加工ヘッド113よりも下方に位置しており、ワーク115に向かう第3の方向Zに往復動可能である。第3の方向Zは、第1の方向Xおよび第2の方向Yとに垂直な方向である。
【0153】
上記のように、テーブル111が第1,2,3の方向X,Y,Zとに移動可能であることによって、テーブル111と加工ヘッド113とは、互いに第1,2,3の方向X,Y,Zに、相対的に移動可能になる。
【0154】
加工ヘッド113は、工具114を保持する。また、加工ヘッド113は、第2の方向Yに垂直な平面内で第3の方向Zに対して傾斜することによって、工具114の軸心線114aを第3の方向Zに対して傾斜させることができる。
【0155】
まず、ワーク115の第2の端部115cをチャック202に保持させる。ついで、台201の姿勢を、ワーク115の軸心線115aが第1の方向Xに沿うように姿勢を調整する。また、工具114を加工ヘッド113に保持して、工具114の軸心線114aが第3の方向Zに沿うように加工ヘッド113の姿勢を調整する。
【0156】
ついで、テーブル111を第1の方向Xと第2の方向Yとに移動することによって、工具114に対してワーク115を相対的に移動し、工具114の切削線Qを凸部30および凹部33の輪郭に沿って移動させて第1の端部115bに凸部30と凹部33とを形成する。
【0157】
切削線Qについて、図20と図21とを用いて説明する。図20は、工具114がワーク115を切削している様子を一部切り欠いて示す断面図である。図20中に示される2点差線のハッチングで囲まれる範囲は、工具114とワーク115との接触範囲Wである。図21は、工具114がワーク115を切削している様子を、工具114の軸心線114aを垂直に横切るように断面した断面図である。
【0158】
工具114の切削線Qは、工具114においてワーク115への半径方向切り込みの先端を結んだ線である。つまり、工具114におけるワーク115との接触範囲Wにおいて、図中矢印で示す工具114の進行方向と直角方向の切削側の縁である。なお、図中工具114は、誇張して大きくかかれている。
【0159】
第1の側面31を形成する場合は、例えば、まず、テーブル111を第1の方向Xに移動することによって、案内面31aを形成する。これにより、案内面31aは、その延長上に軸心線Hを含む面に形成される。案内面31aが形成された後に、テーブル111を第2の方向Yに所定距離移動して、図19に示すように、係止鉤部40に仕上げ代(余肉)つけた外枠を形成する。その後に、インデックス112を角度β回転させてからテーブル111を再び第1の方向Xに移動して、残りの第1の側面31を形成する。
【0160】
凹部33の底端や、第2の側面32を形成する場合は、例えば、凹部33の底端や第2の側面32が第2の方向Yに沿うように台201の姿勢を変化させた後に、テーブル111を第2の方向Yに移動することによって凹部33の底端や第2の側面32を形成する。
【0161】
ついで、係合面41を形成する。係合面41を形成する場合は、図21に示すように、2点鎖線で示されたまだ形成されていない係合面41が第2の方向Yに沿うように、台201および加工ヘッド113の姿勢を調整する。
【0162】
具体的には、形成されるべき係合面41が第2の方向Yと第3の方向Zとで規定される平面と平行になるように、ワーク115の軸心線115aが第1の方向Xに対して角度α傾斜するように台201の姿勢を調整する。
【0163】
さらに、工具114の軸心線114aが第3の方向Zに対して、工具114の先端114bが第1の端部115bの先端115dに近づくように、
【数31】

【0164】
傾斜するように加工ヘッド113の姿勢を調整する。
【0165】
前記の各調整が終了すると、工具114を第1の側辺42が形成されるべき箇所に沿わせる。そしてテーブル111を第1の方向Xに移動することによって、ワーク115に対する工具114の切り込み量を調整する。ワーク115に対する工具114の切り込み量の調整が終了すると、テーブル111を第2の方向Yに移動することによって係合面41を加工する。このように係合面41を形成することによって、図5に示すように、軸心線H方向に先端面15を見た状態において、第2の側辺43は、第1の側面31と平行になる。
【0166】
前記のように形成される凸部30の案内面31aは、延長上に軸心線Hを含む面に形成される。このため、各カプラ10aどうしの着脱操作の円滑さが保たれる。係合面41の接触部41aは、互いに面接触する。このため、係合面41は、充分な耐久性を有するようになる。係合面41は、各係止鉤部40どうしの係合が解除されることを抑制する傾斜を有する。このため、各カプラ10aどうしの結合が不意に解除されて、各カプラ10aが抜けることが抑制される。接触部41aは、互いに面接触する平面に形成される。このため、多軸同時制御可能である高価なマシニングセンタを用いなくても、一軸ずつ制御する万能フライス盤110で係合面41を形成することができる。
【0167】
それゆえ、着脱操作の円滑さと抜け止め機能と係合面の充分な耐久性とを維持しつつ、コストを抑えて結合装置10を製造することができる。
【0168】
また、軸心線H方向に係合面41を見た状体において、係合面41は、第1の側辺42と第2の側辺43とは、互いに平行である。このため、係合面41を形成する場合、テーブル111を第2の方向Yに動すだけでよいので、係合面41を簡単に形成することができる。
【0169】
また、本実施形態では、係合面41は、1つの凹部33を形成した後に形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、係合面41は、全ての凹部33を形成した後に形成されるようにしてもよい。
【0170】
また、万能フライス盤110は、テーブル111が第1,2の方向X,Yに移動し、加工ヘッド113が第3の方向Zに移動するが、これに限定されるものではない。例えば、テーブル111が第3の方向Zに移動してもよい。要するに、工具114がワーク115に対して相対的に移動可能であればよい。
【0171】
なお、操作性をより円滑にするために、第1の側面31と係合面41とが交わる角部は、曲面や平面によって面取り仕上げほどこされてもよい。また、係合面41が平面であるので、カプラ10は、鍛造や鋳造でも容易に製造することができる。
【0172】
また、図22に示すように、カプラ本体11と凸部30とがそれぞれ独立して形成され、これらを組み立てることによってカプラ10aが形成されてもよい。この点について一例を説明する。
【0173】
凸部30は、カプラ本体11とは、別に形成されている。凸部30は、例えば複数個からなるユニット状になっている。このユニット301は、複数の凸部30と、これら複数の凸部30を一体にせしめる基部312と、を有している。各凸部30と基部312とは、一体に形成されている。なお、ユニット301は、複数の凸部30を有するのではなく、1つの凸部30を有する構造であってもよい。
【0174】
基部312は、カプラ本体11の外周面と接触する内周面302と、外周面303と、を有している。外周面303は、カプラ本体11の軸線に沿って凸部30から離れるにしたがって内周面302に近づくように傾斜している。
【0175】
カプラ本体11には、ユニット301が軸方向に抜けないように、カプラ本体11の先端部において外周面310から外側に突出する張り出し304を有している。
【0176】
固定部材300は、筒状の部材である。固定部材300は、カプラ本体11の外周面310との間に複数のユニット301を挟みこむとともに、張り出し304との間にユニット301を挟みこむ。
【0177】
それゆえ、固定部材300には、カプラ本体11との間にユニット301の基部312を挟みこむための周壁部309と、張り出し304との間にユニット301の基部312を挟みこむ張り出し305と、を有している。
【0178】
基部312の先端面の一部は、張り出し304に当接する。基部312の後端面は、張り出し305に当接する。なお、基部312の先端面とは、基部312において凸部30が配置される側の端面である。後端面は、先端面の反対側の面である。
【0179】
張り出し305は、内側に向かって突出している。張り出し305の内周部には、雌ねじ部307が形成されている。カプラ本体11の外周部には、雌ねじ部307と螺合する雄ねじ部308が形成されている。
【0180】
周壁部309の内周面311は、ユニット301のテーパー状の外周面303に面接触するように、傾斜している。
【0181】
雌ねじ部307と雄ねじ部308とが互いに螺合することによって、固定部材300は、カプラ本体11に固定される。また、固定部材300がカプラ本体11に固定されることによって、複数のユニット301は、カプラ本体11に固定される。
【0182】
なお、カプラ本体11と凸部30とが別々に形成される構造は、上記の構造に限定されるものでは、ない。要するに、カプラ10aが、それぞれ別々に形成されるカプラ本体11と凸部30とが互いに組み合わさることによって構成される構造であっても、本発明は、有効である。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る結合装置の斜視図。
【図2】図1に示された本体部の先端部の先端面を示す正面図。
【図3】図1に示された本体部どうしが互いに結合した状態を示す斜視図。
【図4】図1に示された凸部の一部を拡大して示す斜視図。
【図5】図2に示された先端部の先端面の一部を拡大して示す正面図。
【図6】図1に示された凸部が相手側の本体部の凸部と係合した状態を示す斜視図。
【図7】第1の基準平面と第2の基準平面と第3の基準平面と係合面の接触範囲とのそれぞれの関係を示す図。
【図8】第2の仮想交点を、第1の基準平面に沿って第1の仮想端点側から軸心線Hに向かって見た状態を示す図。
【図9】図8を第2の基準平面に沿って矢印の方向から見た状態を示す図。
【図10】第3の仮想交点を、第1の基準平面に沿って第1の仮想端点側から軸心線に向かって見た状態を示す図。
【図11】図10を第2の基準平面に沿って矢印の方向から見た状態を示す図。
【図12】第4の仮想交点を、第1の基準平面に沿って第1の仮想端点側から軸心線に向かって見た状態を示す図。
【図13】図12を第2の基準平面に沿って矢印の方向から見た状態を示す図。
【図14】図1に示された第1の側面の正面図。
【図15】図3に示されたF15を拡大して示す図。
【図16】図1に示された係止鉤部が相手側の本体部の係止鉤部と係合する途中の状態を示す斜視図。
【図17】図1に示された係止鉤部が相手側の本体部の係止鉤部と係合する途中の状態を示す斜視図。
【図18】本発明に係る結合装置を製造する万能フライス盤を示す斜視図。
【図19】図18に示されたワークから係合面を形成する状態を示す斜視図。
【図20】工具がワークを切削している様子を、一部きり欠いて示す断面図。
【図21】工具がワークを切削している様子を、工具の軸心線を垂直に横切るように断面した断面図。
【図22】カプラ本体と凸部とが分離可能な形態を示す断面図。
【符号の説明】
【0184】
6…嵌合部、10…結合装置、10a…カプラ、11…カプラ本体、11b…先端部、30…凸部、31a…案内面、33…凹部、41…係合面、41a…接触部、42…第1の側辺(案内面側側辺)、43…第2の側辺、56…第1の仮想側辺、57…第2の仮想側辺、110…万能フライス盤、111…テーブル、112…インデックス、113…加工ヘッド、114…工具、115…ワーク、115b…第1の端部、115c…第2の端部、115d…先端、140…線(奥側側辺)、141…第1の線、142…第2の線、H…軸心線、K…基準円、R1…第1の基準平面(基準平面)、R2…第2の基準平面、A…第1の端点(第1の接触部端点)、B…第2の端点(第2の接触部端点)、C…第3の端点(第3の接触部端点)、E…当接点(第4の接触部端点)、A2…第1の仮想線、B2…第2の仮想線、C2…第3の仮想線、E2…第4の仮想線、Q…切削線、X…第1の方向、Y…第2の方向、Z…第3の方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線である軸心線方向に互いに着脱可能に結合する同一形状の一対の筒状のカプラを備える結合装置であって、
前記カプラは、
筒状のカプラ本体と、
前記軸心線回りの基準円に沿って前記カプラ本体の先端部に交互に並んで設けられる凹部と凸部とを備え、互いに嵌合する嵌合部と、
前記軸心線を含む平面に沿って前記凸部に形成され、前記一対のカプラの着脱操作時に前記嵌合部どうしの嵌合を案内する案内面と、
前記凸部に形成され、係合状態の前記一対のカプラが軸心線方向に互いに離れる方向に互いに面接触する接触部を有する係合面と、
を備え、
前記係合面は、
前記係合面の前記案内面側の第1の側辺から前記基準円に沿って奥側の第2の側辺に亘って、前記凸部の突出方向に傾斜する平面に形成されることを特徴とする結合装置。
【請求項2】
前記接触部における前記案内面側の案内面側側辺において前記基準円の外側に位置する第1の接触部端点から、前記第1の接触部端点を含み前記軸心線と平行に延びる第1の仮想線と前記軸心線と直交する基準平面との交点までの長さを第1の長さK1、
前記案内面側側辺において前記基準円の内側に位置する第2の接触部端点から、前記第2の接触部端点を含み前記軸心線と平行に延びる第2の仮想線と前記基準平面との交点までの長さを第2の長さK2、
前記接触部における前記基準円に沿って奥側の奥側側辺において前記基準円の外側に位置する第3の接触部端点から、前記第3の接触部端点を含み前記軸心線と平行に延びる第3の仮想線と前記基準平面との交点までの長さを第3の長さK3、
前記奥側側辺において前記基準円の内側に位置する第4の接触部端点から、前記第4の接触部端点を含み前記軸心線と平行に延びる第4の仮想線と前記基準平面との交点までの長さを第4の長さK4、とすると、
前記係合面は、
【数1】

となる平面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の結合装置。
【請求項3】
前記接触部における前記案内面側の案内面側側辺と、前記接触部における前記基準円に沿って奥側の奥側側辺とは、それぞれの延長線が前記軸心線と交差するとともに、前記基準円の外側に位置する前記第1の側辺の端点を含み前記軸心線と直交する第1の基準平面上に、前記案内面側側辺と前記奥側側辺とを前記軸心線方向に投影した第1の仮想側辺と第2の仮想側辺が、前記軸心線上で角度β傾斜して交差する線に形成され、
前記係合面は、
前記第1の側辺の端点を含み前記軸心線と直交する第1の線を含む第2の基準平面であって前記第1の基準平面に対して前記第2の仮想側辺側が前記第1の仮想側辺側よりも前記凸部の突出方向に角度α傾斜する第2の基準平面の、該第2の基準平面に含まれる第2の線であって前記第1の側辺の端点を含んで前記第1の側辺に直角な第2の線より前記軸心線側を、前記第2の線を回転軸に前記軸心線方向に前記凸部の突出側に、
【数2】

傾斜させた第3の基準平面上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の結合装置。
【請求項4】
前記係合面を前記軸心線方向から見た状態において、前記第2の側辺を、前記案内面と平行に形成することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の結合装置。
【請求項5】
直線である軸心線方向に互いに着脱可能に結合する同一形状の一対の筒状のカプラを備え、
前記カプラは、
筒状のカプラ本体と、
前記軸心線回りの基準円に沿って前記カプラ本体の先端部に交互に並んで設けられる凹部と凸部とを備え、互いに嵌合する嵌合部と、
前記軸心線を含む平面に沿って前記凸部に形成され、前記一対のカプラの着脱操作時に前記嵌合部どうしの嵌合を案内する案内面と、
前記凸部に形成され、係合状態の前記一対のカプラが互いに軸心線方向に離れる方向に互いに面接触する接触部を有する平面である係合面と、
を備え、
前記接触部における前記案内面側の案内面側側辺と、前記接触部における前記基準円に沿って奥側の奥側側辺とは、それぞれの延長線が前記軸心線と交差するとともに、前記係合面の前記案内面側の第1の側辺において前記基準円の外側に位置する端点を含み前記軸心線と直交する第1の基準平面上に、前記案内面側側辺と前記奥側側辺とを前記軸心線方向に投影した第1の仮想側辺と第2の仮想側辺が、前記軸心線上で角度β傾斜して交差する線に形成され、
前記係合面は、
前記第1の側辺の端点を含み前記軸心線と直交する第1の線を含む第2の基準平面であって前記第1の基準平面に対して前記第2の仮想側辺側が前記第1の仮想側辺側よりも前記凸部の突出方向に角度α傾斜する第2の基準平面の、該第2の基準平面に含まれる第2の線であって前記第1の側辺の端点を含んで前記第1の側辺に直角な第2の線より前記軸心線側を、前記第2の線を回転軸に前記軸心線方向に前記凸部の突出側に、
【数3】

傾斜させた第3の基準平面上に形成される結合装置の製造方法であって、
前記嵌合部が形成される第1の端部とこれと反対側の第2の端部とを有する前記カプラの素材としてのワークを切削する工具と、
前記ワークが固定されるテーブルと、
前記ワークを前記テーブルに固定する固定手段と、
前記工具を保持する加工ヘッドと、
を具備し、
前記加工ヘッドと前記テーブルとは、互いに離れる方向および近づく方向に沿う第3の方向と、前記第3の方向と直角な第1の方向と、前記第3の方向および前記第1の方向の両方向と直角な第2の方向とに、相対的に移動可能であり、
前記固定手段は、前記第1の方向と前記第2の方向とで規定される面内で、前記第1の方向に対して前記ワークの軸線を傾斜させた状態で前記ワークを前記テーブルに固定可能であり、
前記加工ヘッドは、前記第3の方向と前記第1の方向とで規定される面内で前記第3の方向に対して前記工具の軸心線が傾斜する状態に姿勢変化可能である万能フライス盤を用い、
前記工具の切削線を前記凸部の輪郭に沿って移動することによって前記第1の端部に前記案内面を形成した後、
前記ワークの軸心線を、前記第1の軸方向に対して、形成されるべき前記係合面が前記第2の軸と前記第3の軸とで規定される平面と平行になるように、前記角度α傾斜させ、かつ前記工具の軸心線を前記第3の軸に対して、前記工具の先端が前記第1の端部の先端に近づくように前記角度
【数4】

傾斜させ、前記工具を前記係合面が形成されるべき部位に位置決めした後、前記ワークを前記第2の方向に移動することによって前記係合面を形成することを特徴とする結合装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2007−120662(P2007−120662A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315062(P2005−315062)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(391001169)櫻護謨株式会社 (40)
【Fターム(参考)】