説明

結晶形フェキソフェナジン、およびその調製方法

結晶形フェキソフェナジン遊離塩基であり、そしてその調製方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
式(I)(フェキソフェナジン(Fexofenadine))の4-[4-[4-(ヒドロキシジフェニルメチル)-1-ピペリジニル]-1-ヒドロキシブチル]-α,α-ジメチルベンゼン・アセテートは、H1受容体アンタゴニストであり、有効な抗ヒスタミン剤である。
【背景技術】
【0002】
中枢神経系の組織への浸透が低く、抗ムスカリン作用が弱く、それにより全身的な副作用がほとんど起こらない。
【化1】

【0003】
フェキソフェナジン(Fexofenadine)の抗ヒスタミン作用が、最初に米国特許第4,254,129号に開示され、本明細書に引用にて組み入れられている。米国特許第4,254,129号によれば、フェキソフェナジン(Fexofenadine)は、エチルα,α-ジメチルジフェニル・アセテート、および 4-クロロブチルクロライドから開始され、それをFreidel-Craft法の条件に基づいて反応させ調製できる。
【0004】
Freidel-Craft法による生成物から塩素を、α,α-ジフェニル-4-ピペリジンメタノールに置き換え、4-[4-[4-(ヒドロキシジフェニルメチル)-1-ピペリジニル]-1-オキシブチル]- α,α-ジメチルベンゼン・アセテートが得られ、その塩酸塩として単離される。次にケトンをPtO/H2にて還元し、さらにエステル基に水素付加し、フェキソフェナジン(Fexofenadine)塩基が生成される。
【0005】
フェキソフェナジンを調製する別の方法は、米国特許第5,578,610号、第5,589,487号、第5,581,011号、第5,663,412号、第5,750,703号、第5,994,549号、第5,618,940号、第5,631,375号、第5,644,061号、第5,650,516号、第5,652,370号、第5,654,433号、第5,663,353号、第5,675,009号、第5,375,693号および第6,147,216号に記載されている。
【0006】
本発明は、こうした方法又はその他の方法のいずれかにより調製されたフェキソフェナジン遊離塩基における固体形状の特性に関する。これらの特性は、フェキソフェナジン遊離塩基が、固形状態で得られる条件を調節することにより影響され得る。固体の物理特性としては、たとえば、粉砕された固体の流動性があげられる。
【0007】
流動性は、医薬生成物が生成される時に、その物質の操作容易性に影響を与える。粉末にした化合物の粒子が、容易に流動せず相互に通過できない時、製造専門家が、錠剤又はカプセル生成を開発する際、その点を考慮する必要があり、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、スターチ又は三塩基性燐酸カルシウムなどの滑剤を使用する必要がある。
【0008】
医薬化合物のその他の重要な固体特性は、水性流体中の溶解速度である。患者の胃内の流動体中の活性成分の溶解速度が、以後の治療結果を有し、その理由は、経口投与される活性成分が、患者の血流中に達する速度の上限を与えるためである。さらに溶解速度は、シロップ、エレキシル、および液状薬剤を生成する場合に考慮される。さらに化合物の固体形状が、その圧縮形の挙動に、およびその保存の安定性に影響を与え得る。
【0009】
これら実際の物理特性は、単位セル中の分子構造および分子配列で影響され、その物質の特定の多形を定義する。多形は、非晶質又は別の多形と熱的挙動に相違する。熱的挙動は、実験室において毛管融点法、熱重力分析(TGA)、および示差走査熱量測定(DSC)などの技術により測定され、そして特定の多形と他の多形とを識別するために用いることができる。
【0010】
さらに特定の多形は、スペクトルの形状特性に相違を生じ、それは粉末X線結晶形の図、固形13C NMRスペクトルメータおよび赤外線スペクトルメータなどにより検出できる。
本明細書に引用により組み入れられている米国特許第5,738,872号、第5,932,247号および第5,855,912号は、フォーム(Form)I乃至IVと明示された塩酸フェキソフェナジンの4種の結晶形を記載している。米国特許第5,738,872号、および関連特許によれば、フォーム(Form)IIおよびIVは水和物であり、そしてフォーム(Form)IおよびIIIは無水物である。各フォーム(Form)が、その融点、吸熱性開始のDSCプロフィル、およびPXRDにより特徴付けられる。
【0011】
フォーム(Form)Iは、毛管融点範囲が196乃至201℃であり、DSCの吸熱開始温度が195℃乃至199℃であり、そして粉末X線回折(「PXRD」)パターンのd-空間は、14.89、11.85、7.30、6.28、5.91、5.55、5.05、4.96、4.85、4.57、4.45、3.94、3.89、3.84、3.78、3.72、3.36、3.07、3.04、2.45Åであると、報告されている。フォーム(Form)IIは、毛管融点範囲が100乃至105℃であり、DSCの吸熱開始温度が124℃乃至126℃であり、そして粉末X線回折「PXRD」パターンのd-空間は、7.8、6.4、5.2、4.9、4.7、4.4、4.2、4.1、3.7、3.6、3.5Åであると報告されている。
【0012】
フォーム(Form)IIIは、毛管融点範囲が166乃至171℃であり、DSCの吸熱開始温度が166℃であり、そして粉末X線回折(「PXRD」)パターンのd-空間が、8.95、4.99、4.88、4.75、4.57、4.47、4.46、3.67、3.65Åであると報告されている。実施例2においてフォーム(Form)IVは、115乃至116℃にて分解されると記載されている。一般的な記載において、DSCの吸熱開始温度が146℃であると記載されている。フォーム(Form)IVは、粉末X線回折(「PXRD」)パターンのd-空間が、10.38、6.97、6.41、5.55、5.32、5.23、5.11、4.98、4.64、4.32、4.28、4.12、4.02、3.83、3.65、3.51、3.46、および2.83Åであると報告されている。
【0013】
米国特許第5,738,872号が、フォーム(Form)I乃至IVを相互に変換する方法を記載している。フォーム(Form)Iの水性による再結晶は、フォーム(Form)IIの生成に用いることができる。フォーム(Form)II又はフォーム(Form)IVのいずれかを、水を最少にした再結晶又は共沸蒸留によりフォーム(Form)Iが得られる。フォーム(Form)IIIは、フォーム(Form)IIを最少の水にて再結晶し生成できることが記載されている。フォーム(Form)IIIの結晶消化(crystal digestion)を用いフォーム(Form)Iを得ることができる。フォーム(Form)IIおよびIVは、実施例1および2に記載された4-[4-[4-(ヒドロキシジフェニルメチル)-1-ピペリジニル]-1-オキソブチル]-α,α-ジメチルベンゼン・アセテートを水素化ホウ素ナトリウムによる還元により、直接得ることができる。
【0014】
WO 00/71124 A1は、非晶質塩酸フェキソフェナジンが、塩酸フェキソフェナジン溶液を、凍結乾燥により、又は噴霧乾燥により調製できることを記載している。その生成物は、IRスペクトルおよび非特定PXRDのパターンにより特徴付けられる。WO 01/94313の要約に従って刊行物は、「α-ジメチル-4-[1-ヒドロキシ-4-[4-(ヒドロキシジフェニルメチル)-1-ピペリジニル]ブチル]ベンゼン・アセテート・塩酸塩の新規な結晶形、その調製方法、およびその医薬的使用」を開示している。
【0015】
本発明と同一の出願人によるWO 03/039482(US 20030158227)は、フェキソフェナジン塩基の多形として、指定されたフォーム(Form)I乃至VIIを開示している。本発明と同一の出願人によるUS20030021849、US20020177608およびUS20040044038は、塩酸フェキソフェナジンの種々の多形を開示している。WO 04/067511の要約によれば、この刊行物は、「高純度のフェキソフェナジン、および高純度のフェキソフェナジンを調製する方法」を開示している。
【0016】
WO 05/019175の要約によれば、この刊行物は、「無水の結晶形塩酸フェキソフェナジンのフォーム(Form)C、結晶形フェキソフェナジン・酢酸一水和物・フォーム(Form)D、結晶形フェキソフェナジン・酢酸二水和物・フォーム(Form)E、および結晶形フェキソフェナジン遊離塩基一水和物・フォーム(Form)F、同じくその医薬的組成物を調製する方法、その治療としての使用、およびそれを用いての治療方法」を開示している。
【0017】
WO 03/11295の要約によれば、この刊行物は、「新規な塩酸フェキソフェナジン・多形」を開示している。塩酸フェキソフェナジンは、HClとフェキソフェナジン遊離塩基との反応により調製される。使用されるフェキソフェナジン遊離塩基の純度は、得られたHCl塩の品質に影響を与える。従ってHCl塩の変換に適切なフェキソフェナジン遊離塩基の結晶形が技術的に必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
発明の要約
一つの観点において、本発明は、フェキソフェナジン遊離塩基(フォーム(Form)VIII)の新しい結晶形を提供し、そしてピークが約11.9、17.6、18.2、18.6および19.4±0.2度 2θである粉末X線回折パターンにより特徴付けられる。別の観点において、本発明は、水と有機溶媒との混合液中のフェキソフェナジンの塩基性水溶液を酸性化することを含む、結晶形フェキソフェナジン遊離塩基・フォーム(Form)VIIIを調製する方法を提供する。
【0019】
別の観点において、本発明は、塩基および水の存在下、水に混和可能な有機溶媒中フェキソフェナジン・ケト酸の溶液を調製する工程、その溶液に還元剤を添加しケト酸を還元する工程、還元により得られた反応混合物を酸性化し、フェキソフェナジン遊離塩基を沈殿させる工程、及びフェキソフェナジン遊離塩基の結晶形を回収する工程を含む、結晶形フェキソフェナジン遊離塩基・フォーム(Form)VIIIを調製する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の詳細な説明
本発明は、ピークが、11.9、17.6、18.2、18.6、および19.4±0.2度 2θであるX線回折パターンにより特徴付けられる結晶形フェキソフェナジン遊離塩基・フォーム(Form)(VIII)を提供する。さらにフェキソフェナジン遊離塩基・フォーム(Form)VIIIは、XRDのピークが、9.9、13.7、21.0、21.8、及び22.7±0.2度 2θであることにより特徴付けられる。
【0021】
さらに結晶形は、DSCサーモグラムの吸熱性ピークが約102℃142℃であることにより特徴付けられる。さらに結晶形は、TGAサーモグラムが約25乃至120℃の温度範囲にて約6乃至7%の熱損失を示し、そしてKarl Fisherにて測定された約6乃至7重量%の水分を示すことにより特徴付けられる。PXRD、DSC、およびTGAの適切な図は、図1、図2、および図3に相当する。
【0022】
結晶形フェキソフェナジン・フォーム(Form)VIIIは、水と有機溶媒との混合液を含む、フェキソフェナジン遊離塩基の塩基性水溶液を、酸性化することにより調製できる。好ましくは有機溶媒は、C1乃至C4のアルコールであり、より好ましくは有機溶媒はメタノールである。好ましくは水とアルコールとの比率が、容積比で約1:1乃至約1:6である。
【0023】
提供される特定の例において、フェキソフェナジン遊離塩基・フォーム(Form)VIIIは、塩基と水との存在下、水に混和可能な有機溶媒中フェキソフェナジン・ケト酸の溶液を調製する工程、その溶液に還元剤を添加しケト酸を還元する工程、及び還元反応により得られた反応混合物を酸性化し、フェキソフェナジン遊離塩基を沈殿させる工程により回収される。
【0024】
好ましくは水に混和可能な有機溶媒は、C1乃至C4のアルコールから成る群から選択される。より好ましくは、水に混和可能な有機溶媒はメタノールである。好ましくは水とアルコールとの比率は、容量当り約1:1乃至約1:6である。好ましくは塩基物質は、NaOH、KOH、NaOMe、NaOtBu、およびKOtBuから成る群から選択される。より好ましくは塩基物質はNaOHである。
ケトエステルから開始される場合、ケトエステルが約13という高いpHにて溶解する。しかしながら、フェキソフェナジンから開始される場合、低いpHにて十分である。
【0025】
好ましくは、還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化アルミニウム・リチウム(LiAlH4)、およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)から成る群から選択される。より好ましくは、還元剤は水素化ホウ素ナトリウムである。フェキソフェナジン遊離塩基を開始物質として使用する場合、還元剤を必要としない。好ましくは還元剤が約20℃乃至約35℃の温度にて添加される。
【0026】
好ましくは、還元剤の量は約1当量より多い。より好ましくは還元剤の量は約1乃至4当量である。好ましくは、追加される水の量が酸の添加中に加えられる。好ましくは添加される水の総量は、フェキソフェナジン・ケト酸を1kg当り約1.5L乃至約10Lである。より好ましくは、水の総量は、フェキソフェナジン・ケト酸を1kg当り約3Lである。
好ましくは、酸性化物は約40℃より低い温度にて加えられる。好ましくは、酸性化物は、HCl、蟻酸、および酢酸から成る群から選択される。より好ましくは酸性化物は酢酸ある。他の酸との反応は、塩が形成されない条件下にて行われるべきである。
【0027】
好ましくは反応の終了時のpHは約5乃至約9であり、より好ましくはpHは約5乃至約6.5である。最も好ましくいpHは約5である。本発明のフェキソフェナジン遊離塩基は、塩基にHClを反応させることにより塩酸フェキソフェナジンに変換することができる。たとえば、フェキソフェナジン遊離塩基・フォーム(Form)VIIIは、水中にて溶解可能であり、そしてメタノール又はTHF中で36%のHCl溶液と接触させる。
【0028】
本発明の医薬組成物は、塩酸フェキソフェナジンを含み、所望により他のフォーム(Form)、又は非晶質フェキソフェナジン、そして又はプソイドエフェドリンなどの活性成分を混合した状態を含む。こうした組成物の塩酸フェキソフェナジンは、本発明のフェキソフェナジン遊離塩基から調製される。本発明の医薬組成物は、活性成分に加えて、1又は複数の賦形剤を含む。種々の目的のために賦形剤が、組成物に加えられる。
【0029】
希釈剤は、固体医薬物のかさを増大させ、そして組成物を含む医薬的な投与形を、患者及び投与する人による扱いを有為に容易化にする。固体組成物に対する希釈剤は、たとえば、微細結晶形セルローズ(たとえば、Avicel(登録商標)、微細セルローズ、ラクトース、スターチ、前ゲラチン化スターチ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストレイト、デキストリン、デキストローズ、二塩基性燐酸カルシウム二水和物、三塩基性燐酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マニトール、ポリメタクリレート(たとえば、Eudragit(登録商標))、塩化カリウム、粉末セルローズ、塩化ナトリウム、ソルビトールおよびタルクを含む。
【0030】
錠剤のように投与形に圧縮成形された固体医薬組成物が賦形剤を含み、その機能が、圧縮後の活性成分と他の賦形剤との結合の支援することである。固体医薬組成物のための結合剤が、アカシア、アルギン酸、カルボマー(たとえば、carbopol)、カルボキシメチルセルローズ・ナトリウム、デキストリン、エチルセルローズ、ゲラチン、グーガ・ガム、水素付加植物油、ヒドロキシエチル・セルローズ、ヒドロキシプロピル・セルローズ(たとえば、Klicel(登録商標))、ヒドロキシプロピル・メチル・セルローズ(たとえば、Methocel(登録商標))、液体グルコース、メギネシウム・アルミニウム・ケイ酸塩、マルトデキストリン、メチルセルローズ、ポリメタクリレート、ポビドン(たとえば、Kollidon(登録商標)、Plasdone(登録商標))、前ゲラチンスターチ、アルギン酸ナトリウム、およびスターチを含む。
【0031】
患者の胃内における圧縮形の固体医薬組成物の溶解速度を、組成物に分解剤を添加することで増大させることができる。分解剤は、アルギン酸、カルボキシメチル・セルローズ・カルシウム(たとえば、Ac-Di-Sol(登録商標)、Primellose(登録商標))、グーア・ガム、マグネシウム・アルミニウム・ケイ酸塩、メチルセルローズ、微細結晶形セルローズ、ポラクリンカリウム、粉末セルローズ、前ゲラチン化スターチ、アルギン酸ナトリウム、ナトリウム・スターチ・グリコレート(たとえば、Explotab(登録商標))、およびスターチを含む。
【0032】
滑剤は、添加されると非圧縮の固体組成物の流動性を改良し、そして投与される精度が改良され得る。滑剤として機能する賦形剤は、コロイド状二酸化ケイ素、マグネシウム・三ケイ酸塩、粉末セルローズ、スターチ、タルク、および三塩基燐酸カルシウムを含む。
【0033】
錠剤などの投与形状が、粉末組成物を圧縮成形にて生成される場合、その組成物は、ポンチおよびダイスで圧縮される。特定の賦形剤および活性成分は、ポンチおよびダイスの表面に付着する傾向があり、そのことにより生成物は、窪みおよびその他の表面異常を生ずる。潤滑剤を組成物に添加することで付着を減少させ、そして生成物の形状とダイスとの離形性が容易と成り得る。
【0034】
潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸・グリセロール、パルミチン酸グリセロール、水素付加カスター(castor)油、水素付加植物油、鉱油、ポリエチレン・グリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリル・フマール酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、およびステアリン酸亜鉛を含む。
【0035】
風味剤および風味強化剤は、患者に対し投与形をより風味良くする。本発明の組成物中に包含できる医薬生成物に対する普通の風味剤および風味強化剤は、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマール酸、エチルマルトール、および酒石酸を含む。さらに固体および液体組成物に、医薬的に受け入れ可能な着色剤を使用して染色し、その外観を改良し、そして/又は生成物および単位投与レベルにて患者の識別を容易にすることができる。
【0036】
本発明の液体医薬組成物において、塩酸フェキソフェナジンおよび他の固体賦形剤のいずれかが、水、植物油、アルコール、ポリエチレン・グリコール、又はグリセリンなどの液体担体中で、溶解又は懸濁される。液体医薬組成物は、液体担体に溶解できない組成物の活性成分又は他の賦形剤を、全体的に均一に分散させるよう乳化剤を含むことができる。本発明の液体組成物に有効な乳化剤は、たとえば、ゲラチン、卵の黄み、カゼイン、コレステロール、アカシア、トラガカンス、コンドラス、ペクチン、メチルセルローズ、カルボマー、セトステアリル・アルコール(cetostearyl alcohol)、およびセチルアルコールを含む。
【0037】
さらに本発明の液体医薬組成物は、生成物の口への感覚を改良するために、そして/又は腸管の内層をコートするために粘性強化剤を包含することができる。こうした粘性強化剤には、アカシア、アルギン酸・ベントナイト(bentonite)、カルボマー、カルボキシメチル・セルローズ・カルシウム又はナトリウム、セトステアリル・アルコール(cetostearyl alcohol)、メチルセルローズ、エチルセルローズ、ゲラチン・グーアガム、ヘドロキシエチル・セルローズ、ヒドロキシプロピル・セルローズ、ヒドロキシプロピル・メチル・セルローズ、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレン・カルボネイト、プロピレングリコール・アルギネイト、アルギン酸ナトリウム、ナトリウム・スターチ・グリコレイト、スターチ・トラガカンスおよびキサンタン・ガムがあげられる。
ソルビトール、サッカリン、サッカリン・ナトリウム、スクロース、アスパータム(aspartame)、フルクトース、マニトール、および転化糖などの甘味剤を添加して、味を改良することができる。
【0038】
アルコール、安息香酸ナトリウム、ブチレイト・ヒドロキシ・トルエン、ブチレイト・ヒドロキシアニソール、およびエチレンジアミン四酢酸などの保存剤およびキレート剤が、消化の安全程度にて加えられ、保存の安定性を改良することができる。
さらに本発明による液体組成物が、グルコン酸、乳酸、クエン酸ナトリウム、又は酢酸ナトリウムなどの緩衝剤を含み得る。賦形剤の選択および使用すべき量を、この分野において標準的な方法、および標準的作業の経験および考慮に基づいて、製造専門家により容易に決定することができ得る。
【0039】
本発明の固体組成物は、粉末、粒状、凝集、圧縮成形した組成物を含む。投与形態が、経口、頬測、直腸、非経口(皮膚下、筋肉内、および静脈内を含む)、吸入剤および眼からの投与に適した投与形態である。諸与の症例において最も適切な経路が、治療される状態の性質および重篤度に依存されるが、本発明の最も好ましい経路が経口経路である。
【0040】
この投与形態が、従来単位容量の形にて提示され、そして周知の医薬的技術におけるいずれかの方法により調製される。
投与形態が、錠剤、粉末、カプセル、座薬、サケット、トローチ、およびロゼンジ、などの固形の投与形、並びに液体シロップ、懸濁液およびエレキシルを含む。本発明の特に好ましい投与形が、組成物、好ましくは本発明の粉末化、又は顆粒化した固体組成物を含むカプセルであり、その組成物が、硬いシェールか軟らかいシェールのいずれかの中にある。そのシェールがゲラチンから生成され、そして所望によりゲラチンおよびソルビトールなどの可塑剤および不透明剤又は着色剤を含む。
【0041】
活性成分および賦形剤が、技術的に周知の方法により組成物中にて処方され、投与形に生成することができる。錠剤化するため又はカプセルに充填する組成物を、湿式顆粒化により調製することができる。湿式顆粒化における、粉末状の活性成分および賦形剤の1部又は全てを、液体の存在下で典型的に水の存在下にてブレンドし、そしてさらに混合し、その粉末を集塊化し顆粒状にする。その顆粒体を選別しそして/又は粉砕し、乾燥し、さらにその後選別しそして/又は粉砕し所望の粒子サイズにする。次に顆粒体を、錠剤化するか、又は滑剤そして/又は潤滑剤などを錠剤化する前に、その他の賦形剤を添加することができる。
【0042】
錠剤化する組成物を、乾燥ブレンドすることで従来のように調製することができる。たとえば、活性成分および賦形剤をブレンドした組成物を、圧縮成形されスラグ(slug)又はシートにし、その後細かく砕き圧縮成形し顆粒物にできる。成形された顆粒物をその後圧縮し錠剤に成形することができる。
【0043】
顆粒状に乾燥する別の選択肢として、ブレンドした組成物を、直接圧縮技術を用い直接に圧縮し、圧縮した投与形にすることができる。直接圧縮法が顆粒状にすることなく、より均一な錠剤を生成する。直接の圧縮錠剤化に特に良く適した賦形剤には、微結晶形セルローズ、噴霧状乾燥ラクトース、燐酸二カルシウム二水和物、およびコロイド状ケイ素があげられる。
【0044】
直接圧縮して錠剤を成形する時にこれらの賦形剤や他の賦形剤を適切に使用することが、特に直接圧縮により錠剤の成形に挑戦する当業者に周知である。本発明のカプセルへの充填が、標準的な錠剤化として記載された前記ブレンド体と顆粒体のいずれも含むことができ、これらのみが、最終錠剤化工程を受けていない。カプセル、錠剤、およびロゼンジ、および他の単位投与形が、好ましくは、約60mgの容量レベルの塩酸フェキソフェナジン又は塩基を含む。
【実施例】
【0045】
実施例1.
振盪下で反応容器にメタノール(12.5L)を添加した。フェキソフェナジン・ケト酸(乾燥した5kgにより)、47%のNaOHを2kg、および水7.5Lを反応容器に加えた。十分溶解するまで振盪を続けた。水素化ホウ素ナトリウムを、20乃至35℃にて反応容器に漸次加えた。反応が終了するまで振盪を続けた。水(7.5L)を反応容器に加え、そして酢酸を < 25℃の温度でpH = 5乃至6になるまで、ゆっくりと加えた。さらに懸濁液を1時間攪拌した後、生成物を濾取した。ウエット・ケーキを、4容量の水にて洗浄し、さらに2容量のメタノールにて3回洗浄した(それぞれリンスする)。
【0046】
実施例2.
メタノール(120ml)、水(6ml)、および32%のHCl溶液(10g)を、反応容器に加えた。その溶液を振盪下で-5℃に冷却した。フェキソフェナジン塩基(40g)を反応容器に加えた。十分な溶解が得られるまで、振盪を続けた。その溶液を振盪下にて-12℃まで冷却した。懸濁液を、-12℃にて2乃至16時間攪拌した。生成物を濾取した。純粋な塩酸フェキソフェナジン・フォーム(Form)XVIが得られた。得られ塩酸フェキソフェナジン・フォーム(Form)XVIのウエット・ケーキを、真空下、65℃乃至80℃で乾燥した。16時間乾燥した後、純粋なフェキソフェナジン・フォーム(Form)XVIが得られた。
【0047】
特に好ましい例、および図に示される例を参照し、本発明に記載されているように、当業者は、本明細書に記載されているように本発明の精神および範囲から逸脱することなく、記載および図示されたような本発明の変更が理解されよう。その実施例は、本発明の理解するために説明されるが、何らかの方法にてその範囲を限定することを意図することなく、そしてその範囲の限定を解釈すべきでない。その実施例は、従来の方法の詳細な説明を含んでいない。こうした方法は、当業者に十分に周知であり、そして多くの刊行物に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、フェキソフェナジン遊離塩基・フォーム(Form)VIIIのPXRDパターンである。
【図2】図2は、フェキソフェナジン遊離塩基・フォーム(Form)VIIIのDSCのサーモグラムである。
【図3】図3は、フェキソフェナジン遊離塩基・フォーム(Form)VIIIのTGAのサーモグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピークが、11.9、17.6、18.2、18.6、および19.4±0.2度 2θである粉末X線回折パターンにより特徴付けられる結晶形フェキソフェナジン遊離塩基。
【請求項2】
ピークが、9.9、13.7、21.0、21.8、および22.7±0.2度 2θである粉末X線回折(XRD)パターンによりさらに特徴付けられる、請求項1記載の結晶形フェキソフェナジン遊離塩基。
【請求項3】
結晶形が、以下図1に示される粉末X線回折(XRD)の概要図に示される、請求項2記載の結晶形フェキソフェナジン遊離塩基。
【請求項4】
DSCのサーモグラムの吸熱ピークが、約102℃および142℃である請求項1記載の結晶形フェキソフェナジン遊離塩基。
【請求項5】
TGAのサーモグラムが、25乃至120℃の温度範囲であり、約6乃至7%の重量損失を示す、請求項1記載の結晶形フェキソフェナジン遊離塩基。
【請求項6】
水と有機溶媒との混合液を含むフェキソフェナジン遊離塩基の塩基性水溶液を酸性化し、フェキソフェナジン遊離塩基の結晶形を沈殿させ、そしてその結晶形を回収することを含む、請求項1記載のフェキソフェナジン遊離塩基の結晶形を調製する方法。
【請求項7】
有機溶媒がC1乃至C4のアルコールである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
アルコールがメタノールである請求項7記載の方法。
【請求項9】
酸性化物質が酢酸である請求項6記載の方法。
【請求項10】
請求項6記載のフェキソフェナジン遊離塩基をHCl塩に変換することをさらに含む、塩酸フェキソフェナジンの調製方法。
【請求項11】
水と有機溶媒との混合液を含むフェキソフェナジン遊離塩基の塩基性水溶液を酸性化し、結晶形を沈殿させ、そしてその結晶形をHCl塩に変換させることを含む、結晶形フェキソフェナジンHCl塩の調製方法。
【請求項12】
塩基および水の存在下、水に混和可能な有機溶媒中で、フェキソフェナジン・ケト酸の溶液を調製する工程、その溶液に還元剤を添加しケト酸を還元する工程、還元により得られた反応混合物を酸性化し、フェキソフェナジン遊離塩基を沈殿させる工程、そしてフェキソフェナジン遊離塩基の結晶形を回収する工程を含む、請求項1記載の結晶形フェキソフェナジン遊離塩基の調製方法。
【請求項13】
水に混和可能な有機溶媒が、C1乃至C4のアルコールから成る群から選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
C1乃至C4のアルコールがメタノールである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
水と水に混和可能な有機溶媒との比率が約1:1乃至約1:6である、請求項12記載の方法。
【請求項16】
塩基物が、NaOH、KOH、NaOMe、NaOtBuおよびKOtBuから成る群から選択される、請求項12記載の方法。
【請求項17】
塩基物はNaOHである請求項16記載の方法。
【請求項18】
還元剤が、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化アルミニウム・リチウム(LiAlH4)、およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)から成る群から選択される、請求項12記載の方法。
【請求項19】
還元剤が水素化ホウ素ナトリウムである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
還元剤が、約20℃乃至約35℃の温度にて溶液に添加される、請求項12記載の方法。
【請求項21】
還元剤の量が約1当量より多い、請求項12記載の方法。
【請求項22】
還元剤の量が約1乃至約4等量である請求項21記載の方法。
【請求項23】
酸性化物が、HCl、蟻酸、および酢酸から成る群から選択される、請求項12記載の方法。
【請求項24】
酸性化物が酢酸である請求項23記載の方法。
【請求項25】
酸性化が約pH 5乃至約pH 9にて行われる請求項12記載の方法。
【請求項26】
酸性化が約pH 5乃至約pH 6.5にて行われる請求項25記載の方法。
【請求項27】
酸性化が約pH 5にて行われる請求項26記載の方法。
【請求項28】
酸性化物の添加中にさらに水を加えることを含む、請求項12記載の方法。
【請求項29】
請求項12記載のフェキソフェナジン遊離塩基をそのHCl塩に変換することを含む、塩酸フェキソフェナジンの調製方法。
【請求項30】
塩基および水の存在下、水に混和可能な有機溶媒中で、フェキソフェナジン・ケト酸の溶液を調製する工程、その溶液に還元剤を添加しケト酸を還元する工程、還元により得られた反応混合物を酸性化し、フェキソフェナジン遊離塩基を沈殿させる工程、そしてフェキソフェナジン遊離塩基の結晶形を回収する工程、そしてそれをHCl塩に変換する工程を含む、結晶形フェキソフェナジンHCl塩の調製方法。
【請求項31】
塩酸フェキソフェナジンの調製に、請求項1乃至3のいずれか1項記載による結晶形フェキソフェナジン遊離塩基の使用。
【請求項32】
医薬的に受け入れ可能な担体と、請求項10、請求項11、請求項29、又は請求項30にて調製された塩酸フェキソフェナジンとを混合する工程を含む、塩酸フェキソフェナジンを含む医薬生成物を調製するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−514641(P2008−514641A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533761(P2007−533761)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/034804
【国際公開番号】WO2006/037042
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】