説明

結晶性ナノ−微粒子分散液の調製方法

(i)水と混和性の有機溶媒中に実質的に水に不溶性の物質を含む第一溶液を、(ii)水および任意に安定化剤を含む水相と、混ぜ合わせて、非晶質微粒子の分散液を形成すること;ならびに(iii)非晶質微粒子の分散液を実質的に水に不溶性の物質の結晶性ナノ−微粒子を形成するのに十分な時間超音波処理することを含む、水性媒体中の結晶性ナノ−微粒子の分散液の調製方法。本方法は1ミクロン未満、特に300nm未満、の平均流体力学的直径を持つナノ−結晶を提供しそして医薬物質のナノ−結晶性分散液の調製に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、結晶性ナノ−微粒子の分散液、特に水性媒体中の結晶性ナノ−微粒子の分散液の調製方法に、およびさらに特に水性媒体中で実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な化合物を含む結晶性ナノ−微粒子の分散液の調製方法に関する。
液体媒体中の固体物質の分散液は、塗料、インク、殺虫剤および他の農薬の分散液、殺生物剤の分散液ならびに薬理学的に活性な化合物の分散液を含む数多くの応用に有用である。
【0002】
薬学の分野においては、多くの薬理学的に活性な化合物は、そのような化合物が患者に投与されるときに、低い生物学的利用能をもたらし得るところの非常に低い水溶性を有する。一般的に、そのような化合物の生物学的利用能は、化合物の粒子径を、特にサブミクロンのサイズに、減少させることにより、これが溶解速度およびしたがって化合物の吸収を改良するので、改良される。
【0003】
水溶性懸濁液、特にサブミクロンの微粒子径を持つ懸濁液、として薬理学的に活性な化合物の製剤は、化合物を静脈に投与することを可能にして、それにより経口投与に比べて生物学的利用能を増加し得るところのこれに代わる投与経路を提供する。
【0004】
直接の沈殿化を経る結晶性ナノ−微粒子(ナノ−結晶)の懸濁液の形成は、問題の多いと当分野で公知である。小さい微粒子径を達成するために必要な迅速沈殿化は、しばしば初めに非晶質の物質の懸濁液をもたらす。非晶質微粒子は、しばしば経時的に結晶化するだろうけれども、遅い結晶の成長は、>1ミクロンの粒子径を持つ大きい結晶の形成をもたらす傾向がある。直接の沈殿化により結晶性の物質を沈殿化する試みは、制御するのが一般的に困難であって、大きい(>1ミクロン)結晶の形成および成長をもたらす。
【0005】
US 4,826,689は、それにより粒子径を制御する、温度および注入速度の制御条件下で有機液体中の固体の溶液の中に水性の沈殿化液体を注入することによる、固体の非晶質微粒子の調製方法を記載している。US 4,997,454は、沈殿化液体が非水性であるところの非晶質微粒子の同様な調製方法を記載している。US 5,118,528はまた、溶媒/反溶媒沈殿化方法を用いる微粒子のコロイド状分散液を調製する方法を記載している。
US 5,780,062は、有機溶媒中の物質の溶液を高分子/両親媒性物質の複合体を含有する水溶液の中に沈殿させる、小さい安定な微粒子を調製する方法を記載している。
【0006】
一般的に、物質の非晶質性溶解度は、物質の結晶性溶解度より顕著にさらに高い。したがって、非晶質微粒子は、結晶性微粒子に比べて、オストワルド成熟のような溶解度駆動粒子成長機構を通してさらに高い速度の粒子成長を受けやすい。それ故に、結晶性の懸濁液は、オストワルド成熟が結晶性微粒子中ではさらに遅い速度で起こるので、非晶質微粒子の分散液より顕著にさらに長い間安定である傾向がある。非晶質微粒子の分散液は、さらにもっと安定な結晶形として再結晶することをまた受けやすくて、大きい結晶の制御されない成長をもたらす。
【0007】
WO 98/23350およびWO 99/59709は、有機化合物の溶融体を液体中に分散させて、乳化液を形成する方法を記載している。次いで、乳化液を超音波にかけて結晶性の分散液を得る。この方法を用いて調製される粒子は2〜10ミクロンのオーダーを持つ。
【0008】
沈殿化により直接に得られる結晶性の分散液は、溶液の攪拌により影響されると当分野で公知である。例えば、機械的混合、振動、マイクロ波処理および超音波処理の、種々な攪拌方法が当分野で公知である(例えば、WO 01/92293を参照)。
【0009】
WO 96/32095は、溶媒中の物質の溶液を小滴の形でもしくは攪拌した反溶媒の中へジェットとして導入することによる結晶の直接形成のための方法を記載している。攪拌は、超音波攪拌を含む数多くの技法を用いて達成される。ここで得られる結晶は、一般的に1〜6ミクロンの質量中位径を有する。
【0010】
US 5,314,506は、物質を含有する溶液のジェットを物質に対する反溶媒を含有する第二ジェットで吹き付ける、結晶化方法を記載している。吹き付けジェットにより生成される迅速混合は、従来の遅い結晶化方法に比較して、そのように形成される結晶の縮小をもたらす。開示された最小の結晶は約3ミクロンであって、大半は3〜20ミクロンの範囲にある。
【0011】
WO 00/44468は、二つのジェットの吹き付け点に超音波エネルギーを当てて、局所混合をさらに増強させる、US 5,314,506に記載された器具の変形例を記載していて、1ミクロン未満の直径を持つ小さい結晶の直接形成を与えると述べられている。一般的に、記載された結晶性微粒子は0.5ミクロンの平均サイズを有する。
【0012】
WO 00/38811は、吸入に適する結晶性粒子を、溶媒および反溶媒システムを混合する点に超音波の照射の存在下でフローセル混合チャンバーの中で反溶媒を用いて溶液から物質の沈殿化により調製する、器具および方法を記載している。この方法は、4〜10ミクロンの平均粒子サイズを典型的に有する粒子の直接結晶化をもたらす。WO 02/00199およびWO 03/035035は、結晶の凝集を減少して、そのように形成された結晶のさらに良い効果的な単離を可能にする、WO 00/38811に記載された方法への変形例を記載している。
【0013】
結晶性ナノ−微粒子を得る新規な方法において、Kasai et al (Jpn. J. Appl. Phys., 31, L1132 (1992))は、激しく攪拌した水10mlの中に有機化合物のエタノール溶液(典型的には30mMの濃度で50μl)の滴下により微粒子を沈殿させて、およそ0.15mMの全体濃度を与えた。次いで、攪拌を数分間継続して、得られた微粒子径は約300nmであった。彼らは、なおさらに低い濃度における沈殿化により微粒子径を減少させることができたことを見出した。同じ手順によりKasai et al (Bull Chem Soc Jpn, 71, 2597 (1998))は、2.5〜20μMの濃度でペリレンのナノ−結晶の水性懸濁液を形成した。しかしながら、そのような低濃度は、試料を使用前に、例えば限外ろ過により、濃縮することを一般的に必要とする。さらに、もし有機化合物の全体初期濃度を増加させるときには、そのような方法で得られる粒子径は>1μmである。(例えば、F. Ruch, E.Matijevic, Journal of Colloid and Interface Science, 229, 207 (2000)を参照)。
EP 275 607は、超音波エネルギーを液体相中の結晶の懸濁液に当てて、超音波を先に形成した結晶をばらばらにするために使用する、方法を記載している。一般的に、ここで得られた結晶の容積平均直径は10〜40ミクロンであった。
【0014】
直接沈殿化に代わるアプローチは、例えば、US 5,145,684に記載されるように粉砕により、懸濁に先立って物質の粒子径を縮小することである。しかしながら、これは、十分に均一な粒子径を達成することが困難であり得ので、不利であり得る。薬理学的に活性な化合物の分散液中の粒子径は、粒子径の差が生物学的利用能におよびしたがって化合物の有効性に影響するようであるので、できるだけ均一であることが特に重要である。さらに、もし分散液が静脈投与に必要であるならば、分散液中の大きい粒子は分散液をこの目的に不適当にして、有害なもしくは危険な副作用に多分至る。
【0015】
それ故に、ナノ−結晶、特に狭い微粒子径分布を持って、500nm未満、さらに特に400nm未満、特別に280nm未満およびさらに特別に250nm未満のナノ−結晶が形成されることを可能にするところのこれに代わる方法の必要性がある。
我々は驚くべきことに、水性媒体中のナノ−結晶の分散液を、結晶化を超音波の適用により誘発する、直接沈殿化方法を用いて調製できることを見出してきている。
【0016】
本発明の第一の態様にしたがって、水性媒体中のナノ−結晶性微粒子の分散液の調製方法であって、
a)水と混和性の有機溶媒中に実質的に水に不溶性の物質を含む第一溶液を、
b)水および任意に安定化剤を含む水相と、
迅速混合で混ぜ合わせること;ならびに
その後に、ここで得られる混合液を、実質的に水に不溶性の物質のナノ−結晶性固体微粒子を形成するのに十分な時間超音波処理すること;および
任意に水と混和性の有機溶媒を除去すること;
を含む、方法が提供される。
【0017】
さらに特に、水性媒体中のナノ−結晶性微粒子の分散液の調製方法であって、
a)水と混和性の有機溶媒中に実質的に水に不溶性の物質を含む第一溶液を、
b)水および任意に安定化剤を含む水相と、
混ぜ合わせて(好ましくは迅速混合の条件下で)、非晶質微粒子の分散液を形成すること;ならびに
c)非晶質微粒子の分散液を、実質的に水に不溶性の物質のナノ−結晶性微粒子を形成するのに十分な時間超音波処理すること;および
任意に水と混和性の有機溶媒を除去すること;
を含む、方法が提供される。
この明細書においては、結晶性ナノ−微粒子もしくはナノ−結晶またはナノ−結晶性微粒子とは、我々は、一ミクロン未満の微粒子径を持つ結晶性微粒子を意味する。
【0018】
分散液中の結晶は好ましくは、1μm未満のおよびさらに好ましくは500nm未満の平均微粒子径を有する。分散液中の結晶は、10〜500nm、さらに特に10〜280nm、さらに特に30〜280nm、特別に50〜250nm、なおさらに特別に100〜200nm、の平均微粒子径を有することが特別に好ましい。本明細書中で使用される用語“平均微粒子径”とは、従来の技法を用いて、例えば、BeckmanCoulter N4 Plus器具を用いる動的光散乱により、測定されるように微粒子(例えば、分散液中に存在する結晶性のもしくは非晶質の微粒子)の平均流体力学的直径を意味する。動的光散乱は、それから流体力学的直径をStoke-Einsteinの式:D=kT/(3πηd)(式中、kはボルツマン定数、Tは温度、ηは溶媒の粘度およびdは流体力学的直径である)を用いて計算することができるところの拡散係数Dを測定するのを許容する(例えば、“コロイドおよび表面化学入門”、D. J. Shaw, Butterworths, 1980に記述されるように)。結晶をまた適当に検査して、それらのサイズおよび形状を低温透過型電子顕微鏡、例えば、Zeiss EM 902、を用いて測定し得る(例えば、H. Mohwald, Y. Talmon、「コロイドおよび界面科学における現行の意見」、2, 129 (1997)を参照)。適当な顕微鏡条件は、本明細書の中で実施例の項のもとで説明されている。
【0019】
本発明にしたがって調製されるナノ−結晶性微粒子は、狭い微粒子径分布を示すが、それは一般に微粒子の99%(容積基準で)が平均流体力学的直径の±150nm内に入ることを意味する。微粒子径分布は、例えばCONTINアルゴリズムおよび1.59の推定微粒子屈折率、を用いて逆重畳積分により計算され得る。
【0020】
本方法にしたがって調製されるナノ−結晶性微粒子は、非結晶性物質を実質的に含まないが、それはナノ−結晶性微粒子が少なくとも70、80、85、90、95、99%および特に100%結晶性であることを意味する。結晶性度は、適当な公知技法、例えば、X線結晶構造解析および/もしくは示差走査熱量測定法(DSC)分析ならびに/またはラマン分光法、を用いて測定されることができる。
【0021】
第一溶液の中の実質的に水に不溶性の物質は好ましくは、実質的に水に不溶性の有機物質である。実質的に水に不溶性とは、0.5mg/ml未満、好ましくは0.1mg/ml未満そして特別には0.05mg/ml未満の25℃での水中溶解度を有する物質を意味する。
【0022】
水中での物質の溶解度は、従来の技法を用いて測定され得る。例えば、物質の飽和溶液を、過剰量の物質を25℃での水に加え、そして溶液を48時間平衡化させることにより調製する。過剰の固体を遠心分離もしくはろ過により除去して、水中の物質の濃度をHPLCのような適当な分析技法により測定する。
【0023】
本発明にしたがう方法を用いて、広範囲の実質的に水に不溶性の物質のナノ−結晶性微粒子の水性分散液を調製し得る。適当な物質は、少なくとも一つの溶媒−非−溶媒システムの中で結晶することができると知られているものである。適当な物質には、限定するものではないが、顔料、殺虫剤、除草剤、殺かび剤、工業的殺生物剤、化粧品および薬理学的に活性な化合物が含まれる。
本発明のさらなる態様は、本発明の方法により作成される物質のナノ−結晶性微粒子を含む。
【0024】
好ましい実施態様において、実質的に水に不溶性の物質は、実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な化合物である。数多くのクラスの薬理学的に活性な化合物は本発明における使用に適しているが、それらには、限定するものではないが、実質的に水に不溶性の抗がん剤、ステロイド、好ましくは糖質副腎皮質ステロイド(特別には抗炎症性糖質副腎皮質ステロイド、例えばブデソニド)、高血圧剤(例えば、フェロジピンもしくはプラゾシン)、β−ブロッカー(例えば、ピンドロールもしくはプロプラノロール)、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、抗高脂血症薬、抗凝血剤、抗血栓剤、抗真菌剤(例えばグリセオフルビン)、抗ウイルス剤、抗生物質、抗菌剤(例えばシプロフロキサシン)、抗精神病薬、抗うつ薬、鎮静薬、麻酔薬、抗炎症薬(例えばケトプロフェン)、抗ヒスタミン剤、ホルモン(例えばテストステロン)、免疫調節剤もしくは避妊薬が含まれる。実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な化合物の特別な例には、ビカルタミドのような抗がん剤、カンデサルタン シレキシチル(candesartan cilexitil)のようなアンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、フェロジピンのような高血圧剤ならびに肥満、精神のおよび神経の障害の処置に有用であるCB調節剤(アンタゴニストもしくは逆アゴニストとして知られる)、例えば、EP 656364、WO 00/46209、WO 01/70700、PCT出願番号PCT/GB02/05736およびPCT/GB02/05742に開示されたもの、が含まれる。
【0025】
水に混和性の有機溶媒
第一層の中の水に混和性の有機溶媒は好ましくは、全ての比率で水に混和性である。水に混和性の有機溶媒は、実質的に水に不溶性の物質のための溶媒でまたなければならない。水に混和性の有機溶媒は、実質的に水に不溶性の物質が、第一溶液が水相と混ぜ合わされるときに、実質的に水に不溶性の物質の沈殿が形成するのを可能にするように水に混和性の有機溶媒の中で十分な溶解度を有するように選択される。適当には、実質的に水に不溶性の物質は水に混和性の有機溶媒の中で10mg/lもしくはそれ以上の溶解度を有する。
【0026】
一般的に、水に混和性の有機溶媒の中での実質的に水に不溶性の物質の濃度は、効率的な沈殿を助けて、必要な有機溶媒の量を減少させるためにできるだけ高いことが好ましい。水に混和性の有機溶媒の中での実質的に水に不溶性の物質の上限濃度は、溶媒中の物質の溶解度により決定される。しかしながら、我々は広範囲の濃度を本方法では使用し得ることを見出してきている。典型的には、有機溶媒の中で1重量%もしくはそれ以上の実質的に水に不溶性の物質の濃度が適当である。
実質的に水に不溶性の物質は、水に混和性の有機溶媒の中に完全に溶解されねばならない。実質的に水に不溶性の物質の粒子の存在は、分散液の中で微粒子径の不満足な制御をもたらし得る。
【0027】
必要により、水に混和性の有機溶媒中の実質的に水に不溶性の物質の溶解度を、実質的に水に不溶性の物質および水に混和性の有機溶媒の混合液を加熱することにより増加させて、溶液を与えることができる。次いで、溶液を、それが本方法において水相と混ぜ合わされるまで、高い温度に保持する。
【0028】
理解されるだろうように、水に混和性の有機溶媒の選択は、実質的に水に不溶性の物質の性質に依存するだろう。実質的に水に不溶性の物質が有機化合物であるときには、水に混和性の有機溶媒は、実質的に水に不溶性の物質を溶解することができるように十分低い比誘電率を持たねばならない。実質的に水に不溶性の有機物質を溶解させるための適当な水に混和性の有機溶媒には、水に混和性のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコールもしくはプロピレングリコール;ジメチルスルホキシド;ジメチルホルムアミド;N−メチルピロリドン;水に混和性のエーテル、例えばテトラヒドロフラン;水に混和性のニトリル、例えばアセトニトリル;水に混和性のケトン、例えば、アセトンもしくはメチルエチルケトン;ジメチルアセタミドまたは上記の水に混和性の有機溶媒の二つもしくはそれ以上の混合液が含まれる。
【0029】
沈殿化
本方法においては、第一溶液および水相を、例えば、第一溶液を水相に加えることにより、もしくは水相を第一溶液に加えることにより、または第一溶液および水相を、非晶質微粒子の分散液の形成を促進する条件下で実質的に同時に混ぜ合わせることにより、混ぜ合わせ得る。便利には、第一溶液を水相に迅速混合で加えることにより、第一溶液および水相を混ぜ合わせ得る。
好ましくは、第一溶液および水相を混ぜ合わせの間に迅速に混合して、高度の乱流および非晶質微粒子の均一な分散液の形成を促進する。
【0030】
本発明の一つの実施態様において、第一溶液および水相の迅速混合は、混ぜ合わせの間の超音波処理により便利に達成される。これに代えて、本分野で公知の他の攪拌方法を、攪拌速度が、好ましくは<1μmの微粒子径を持つ非晶質微粒子をもたらすように十分高いという条件で、使用し得る。第一溶液および水相を迅速に混合するために使用し得る適当な方法の例には、混ぜ合わせの間に乱流を促進するように従来の攪拌を用いる混合の間の迅速混合が含まれる。これに代えて、例えば、US 5,314,506もしくはWO 00/44468に記載された器具を用いて、沈殿化の条件を非晶質微粒子の初期分散液を与えるように制御するという条件で、ジェット混合により第一溶液および水相を混ぜ合わせ得る。沈殿化をまた、第一溶液のバッチを固定した容積の水相と適当な混合容器の中で混ぜ合わせる、バッチ方法を用いて実施し得る。これに代えて、例えば、第一溶液の流動流を水相の流動流と混合するための手段としてフローセルを用いて連続のもしくは半連続の基準で混ぜ合わせを操作し得る。次いで、ここで得られる非晶質微粒子の分散液を、次の超音波処理およびナノ−結晶性微粒子の懸濁液への変換のために下方流の容器(複数を含む)の中に収集し得る。
【0031】
本明細書中で説明したように、沈殿化の条件は、第一溶液および水相の混ぜ合わせの際に微粒子の非晶質分散液を与えるように制御されなければならない。“微粒子の非晶質分散液”とは、第一溶液および水相が混ぜ合わされるときに、実質的に結晶性微粒子の無いところの非晶質微粒子の液体媒体中の分散液を意味する。本発明者等は、超音波処理に先立って非晶質分散液中のたとえ少量の結晶性物質の存在は、次の超音波処理の間に大きい結晶の形成を促進し、それによりナノ−結晶性微粒子の望ましい均一な分散液の生成を妨害することを見出してきている。適当には、非晶質微粒子の懸濁液は、本方法の次の工程の間に大きい結晶の望ましくない形成を避けるために、0.01重量%未満、特に0.001%未満、さらに特に0.0001重量%未満の、結晶性微粒子を含有すべきである。例えば、非晶質微粒子の初期分散液は、上述のように検出され得る結晶性物質は何も存在しないことが好ましいけれども、0.00001〜0.0001重量%の結晶性物質を含有するかもしれない。初期の非晶質分散液の必要な“純度”(即ち非‐結晶性)は、本方法の次の超音波処理段階により立証されるだろう。もし結晶性物質が存在するならば、超音波処理は、必要なナノ−結晶性微粒子よりむしろ大きい粒子(>1ミクロン)の望ましくない成長をもたらすだろう。
【0032】
微粒子の非晶質分散液の形成に必要な沈殿化の条件は、例えば、特別な物質、使用溶媒、特別な沈殿化使用器具、ならびに第一溶液および水相を混合する/混ぜ合わせるための方法に或る程度依存するだろう。本方法で用いられる迅速沈殿化条件は、動力学的に安定な非晶質微粒子の形成を有利にする。必要な条件は、非晶質微粒子の形成のための沈殿化条件を最適化するための日常の実験法を用いて決定され得る。
【0033】
本発明者等は、第一溶液を水相に加えるかもしくはその逆のときに、混ぜ合わされた溶液の中の実質的に水に不溶性の物質の最終濃度は非晶質分散液の形成に影響することを見出してきている。一般的に、混ぜ合わされた溶液および水相の中の実質的に水に不溶性の物質の約10mMもしくはそれ未満の濃度は、結晶性物質の形成を最少にするだろう(理解されるだろうように、モル濃度とは、本明細書で使用される際には、リットル当りのモル濃度を指す)。実質的に水に不溶性の物質のさらに高い濃度は、沈殿化の間に形成される分散液中での結晶性物質の形成をもたらし得る。
【0034】
したがって、本発明の実施態様においては、実質的に水に不溶性の物質の濃度は、0.2〜10mM,特に0.5〜5mM,さらに特に0.5〜3mM,特別に約1mMであるが、そこでは濃度とは、混ぜ合わされた第一溶液および水相中の実質的に水に不溶性の物質のモル濃度を指す(ならびにそこでは、濃度とは、本明細書で使用される際には、懸濁された非晶質微粒子および混ぜ合わされた液体媒体の中に溶解され得るいずれかの物質を含む、混ぜ合わされた液体の中に存在する物質の全量を指す)。
【0035】
好ましい実施態様において、第一溶液および水相は迅速に混ぜ合わせられる。本発明者等は、迅速な混ぜ合わせは、小さい(一般的に、ナノ−微粒子径の)非晶質微粒子の形成を促進することを見出してきている。それ故に、例えば、第一溶液を攪拌された水相に加える、実施態様においては、第一溶液を、水相の中への遅い注入よりはむしろ、物質の単一の負荷として水相へ加えることが好ましい。小規模においては、これは、全ての第一溶液を攪拌された水相の中に単に注ぎ入れることにより達成され得る。大規模においては、迅速添加は、高い質量輸送速度で第一溶液を水相の中にポンプで注入することにより達成され得る。好ましくは、第一溶液および水相の混ぜ合わせは、混ぜ合わせが実質的に瞬間的であるように、1分未満、さらに好ましくは30秒未満、および特に10秒未満、さらに特に5秒未満(例えば、1〜10秒)で起こる。
【0036】
初期の沈殿化により形成される非晶質微粒子の粒子径は1ミクロン未満である必要は無い。しかしながら、非晶質微粒子の粒子径は必要な結晶性ナノ−微粒子のそれと同様であることが好ましい。したがって、第一溶液および水相の混ぜ合わせは、1μm未満およびさらに好ましくは500nm未満の平均微粒子径を持つ非晶質微粒子の均一な分散液を生成することが好ましい。非晶質微粒子は、10〜500nm、特に10〜280nm、さらに特に30〜280nm、さらに特別に50〜250nmおよびなおさらに特別に100〜200nmの平均微粒子径を有することが特別に好ましい。
【0037】
沈殿化の間の温度は重要とは考えられないで、必要であればさらに高いかもしくはさらに低い温度が用いられるけれども、約環境温度(例えば15〜25℃)で便利に行われ得る。しかしながら、本発明の実施態様においては、水相を冷却して、非晶質のおよび結晶性の溶解度間の比率を増大させて、かくして、過飽和および核化速度を増加させて、超音波処理に関係して下で説明するように、さらに小さい微粒子を得ることが有利であり得る。
【0038】
したがって、本発明の特別な実施態様においては、第一溶液を高乱流の条件下に(例えば、迅速攪拌、超音波処理によりもしくは迅速攪拌および超音波処理の組合せにより)水相と混ぜ合わすが、そこでは、混ぜ合わせは、迅速に(好ましくは30秒未満、さらに好ましくは10秒未満、例えば、1〜10秒)で起こり、そしてそこでは、混ぜ合わされた第一溶液および水相の中の実質的に水に不溶性の物質の濃度は、10mMもしくはそれ未満(好ましくは5mM未満そして特に約1mMの最終濃度)である。本発明者等は、これらの条件は、1ミクロン未満の平均微粒子径を持つ非晶質微粒子の均一な分散液の形成を促進することを見出してきている。
【0039】
或る微粒子は沈殿して、水相中で安定化剤の必要無しに非晶質微粒子の均一な分散液を形成するだろう。しかしながら、我々は、非晶質微粒子は、水相中で安定化剤が存在しなければ、沈殿化に際してもしくは次の超音波処理の間にしばしば凝集することを見出してきている。
【0040】
分散液の中で微粒子凝集の防止のために適当な安定化剤は当業者に周知である。適当な安定化剤には、分散剤および陰イオン性、陽イオン性もしくは非イオン性であり得る界面活性剤が含まれる。適当な分散剤には、高分子の分散剤、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールまたはセルロース誘導体、特に水溶性もしくは水に分散性のセルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースもしくはカルボキシメチルセルロース、が含まれる。好ましい高分子分散剤はポリビニルピロリドン(PVP)である。広範囲のPVP高分子、例えば、50,000〜60,000のような、10,000〜100,000ダルトンの範囲での分子量を持つPVP、を使用し得る。適当な陰イオン性界面活性剤には、アルキルもしくはアリール硫酸エステル塩、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、が含まれる。
【0041】
他の適当なイオン性界面活性剤には、例えば、アルキルもしくはアリールカルボン酸塩、例えば、ミリステン酸ナトリウムもしくはカリウムまたはラウリン酸ナトリウム;ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、特にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、カルシウムもしくはカリウム(例えば、ドキュセートナトリウムもしくはエアゾールOT)またはジアミルスルホコハク酸ナトリウム(エアゾールAY)のような、ジ−(4〜12C)アルキルスルホコハク酸エステル塩;またはデオキシコール酸、タウロコール酸、グリココール酸の塩のような、胆汁酸塩、例えば、タウロコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウムのような胆汁酸のナトリウム塩が含まれる。適当な陽イオン性界面活性剤には、第四級アンモニウム化合物および脂肪アミンが含まれる。特別な陽イオン性界面活性剤には、例えば、塩化ラウリルアンモニウムを含むアルキルアンモニウム化合物(例えば、(8〜22C)アルキルアンモニウム、特に、ハロゲン化物のような(8〜20C)アルキルアンモニウム化合物);アルキルトリメチルアンモニウム化合物(例えば、(8〜22C)アルキルトリメチルアンモニウム、特に、ハロゲン化物のような(8〜20C)アルキルトリメチルアンモニウム化合物)、例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム(セトラミド)、臭化トリメチルテトラデシルアンモニウム(ミリスタミド)もしくは臭化ラウリルトリメチルアンモニウム(ラウラミド);ハロゲン化ベンザルコニウム(ハロゲン化(8〜20C)アルキルベンジルジメチルアンモニウム、特に、ハロゲン化(8〜18C)アルキルベンジルジメチルアンモニウムおよびそれらの混合物のような)、例えば塩化ベンザルコニウム;または(8〜20C)アルキルピリジニウム化合物のようなアルキルピリジニウム化合物、例えば、塩化もしくは臭化セチルピリジニウム、が含まれる。
【0042】
適当な非イオン性界面活性剤には、ポリオキシエチレン残基を含有してももしくはしなくてもよいところのソルビタンのモノエステル(例えば、Tween 20、Tween 40、Tween 60およびTween 80のようなTween界面活性剤)、脂肪アルコールおよびポリオキシエチレンの間に形成されるエーテル、ポリオキシエチレン−ポリプロピレングリコール、エトキシル化ひまし油(例えば、Cremophor EL)、エトキシル化硬化ひまし油およびエトキシル化12OH−ステアリン酸(例えば、Solutol HS15)が含まれる。さらに適当な非イオン性界面活性剤には、例えば、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体、特にPluronic、Tetronicのようなブロック共重合体(ポロキソマー)またはLutrol F68もしくはLutrol F127のようなLutrol界面活性剤;またはPolysorbate 80のようなポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステルが含まれる。他の適当な界面活性剤は当業者に周知あって、したがって選択されることができる。本発明での使用のために適当であり得るさらに別の界面活性剤には、例えば、US 6,383,471、表1に列記された界面活性剤が含まれる。
【0043】
水相は単一の安定化剤または二つもしくはそれ以上の安定化剤の混合物を含有し得る。好ましい実施態様においては、水相は、高分子の分散剤および非イオン性、陰イオン性もしくは陽イオン性であり得る、両親媒性の界面活性剤を含有する。特に、高分子の分散剤および陰イオン性界面活性剤、例えば、ポリビニルピロリドンおよびドデシル硫酸ナトリウムの組合せ。
実質的に水に不溶性の物質が薬理学的に活性な化合物であるときには、安定化剤は薬学的に許容される物質であることが好ましい。
さらに別な実施態様においては、安定化剤を、水相との混ぜ合わせに先立って第一溶液に加え得る。適当な安定化剤は以前に本明細書中で説明したようである。
【0044】
任意に、さらに別の安定化剤を、水相の中への非晶質微粒子の沈殿化後の分散液へ加えて、分散液中での微粒子凝集のさらに別な阻害を提供し得る。安定化剤(複数を含む)をまた、必要により超音波処理に続くナノ−結晶性微粒子の最終分散液に加えて、例えば、ナノ−結晶の凝集化を阻害し得る。
【0045】
一般的に、実質的に水に不溶性の物質が薬理学的に活性な化合物であるときには特に、安定化剤に関与する可能な副作用を最小化するために、および/もしくは化合物の有効性に有害であり得るところの薬理学的に活性な化合物との相互作用を最小化するために、存在する安定化剤の量を最小化することが望まれる。したがって、安定化剤の量は、非晶質微粒子および/もしくはナノ−結晶性微粒子の最終分散液を安定化させるために必要である最少量であるべきことが一般的に望ましい。一般的に、水相は、0.001〜2重量%、特に0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%、および特別に0.1〜0.2重量%の安定化剤を含有するだろう。界面活性剤が使用されるときには、界面活性剤は、ナノ−結晶の液体媒体の中への溶解化を避けるために臨界ミセル濃度以下での濃度で存在することが望ましい。
【0046】
本発明の一つの実施態様において、水相は、高分子の分散剤および両親媒性の界面活性剤、例えば、ポリビニルピロリドンおよびドデシル硫酸ナトリウム、を含有する。両親媒性の界面活性剤は高分子分散剤との臨界会合濃度以上である濃度において、しかし臨界ミセル濃度以下の濃度において、存在する。これは、高分子−両親媒性凝集体が、US 5,780,062で記載されたように、形成することを可能にする。したがって、この実施態様においては、US 5,780,062で記載された方法を、沈殿化条件が本発明により必要とされるように非晶質微粒子の初期分散液を与えるように制御されるという条件で、使用し得る。高分子−界面活性剤システムにおける界面活性剤の臨界会合濃度は、公知の方法(例えば、E. D. Goddard, Colloids and Surfaces, 19, 255 (1986)に記載されたように)により測定され得る。例えば、界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウム(SDS)でありそして高分子がPVPであるときには、SDSの臨界会合濃度は3mMである。したがって、この実施態様においては、SDS濃度は、臨界会合濃度(約3mM)および臨界ミセル濃度(約8mM)の間にあるべきである。
【0047】
本発明の好ましい実施態様において、水相は、高分子の分散剤および両親媒性の界面活性剤、例えば、ポリビニルピロリドンおよびドデシル硫酸ナトリウム、を含有する。この実施態様においては、界面活性剤は、高分子の分散剤および陰イオン性界面活性剤との臨界会合濃度以下である濃度で存在する。かくして、水相がポリビニルピロリドンおよびドデシル硫酸ナトリウムを含有する場合には、SDSの濃度は、3mM以下、例えば、0.1〜2.8mM、特に約0.25mMである。我々は、この実施態様が、少量の安定化剤のみを使用する一方で、非晶質微粒子の特に安定な分散液を与えることを見出してきている。
【0048】
上述のように、本発明にしたがう方法における第一溶液および水相の混ぜ合わせは、実質的に水に不溶性の物質の微粒子の非常に迅速な、実質的に瞬間的な沈殿化をもたらして、狭い微粒子径分布を持つ望ましいサイズの微粒子を与える。この懸濁液の長時間の超音波処理は、同様に狭い微粒子径分布を持つ望ましいサイズのナノ−結晶の形成をもたらす。
【0049】
理論に縛られない願望を持って、第一溶液の水相との混ぜ合わせに引き続く非晶質微粒子の初期懸濁液の形成は、その後の超音波処理の間にナノ−結晶性微粒子の均一な分散液の引き続く形成を促進する。一般的に、物質の非晶質の溶解度は、結晶の溶解度よりさらに高く、例えばフェロジピンの場合には、結晶の溶解度は、およそ24μMの非晶質の溶解度に比較して2μMである。超音波処理の間に非晶質微粒子の分散液の存在は、結晶化のための溶液中で物質の貯蔵庫を提供して、それにより、さらに高い非晶質の溶解度のために、結晶の溶解度に比して高くかつ一定なレベルの過飽和を保持することが考えられる。非晶質微粒子の存在により提供される高くかつ比較的一定な程度の過飽和は、非晶質微粒子の分散液へ音波処の適用の際に大多数の一次核の形成に好ましい条件を提供する。超音波処理の間に高いレベルおよび比較的一定な状熊の過飽和の保持は、連続した一次核化を促進して、それ故に大多数の小さい結晶性ナノ−微粒子の成長を有利にすることが考えられる。超音波処理によりおよび結晶化の間に誘発される高度の核化は、比較的一定なレベルの過飽和の結果として均一な微粒子径を持つ結晶性微粒子の形成を促進すると考えられる。超音波処理のプロセスの間に、非晶質の物質は、それが液体媒体の中に溶解するにつれて徐々に消費され、そして結晶性ナノ−微粒子として再沈殿されることが考えられる。
【0050】
結晶性分散液を直接に与える従来の沈殿化方法では、結晶性粒子の初期形成が一般的に過飽和の程度の減少をもたらして、形成した初期結晶の迅速な成長を促進して、それによりさらに大きい(一般的に、ミクロンサイズの)結晶の形成を有利にする。同様に、もし非晶質微粒子の初期分散液がまた結晶性物質を含有するならば、存在する結晶は一般的に、本発明にしたがう必要な結晶性ナノ−微粒子よりむしろ超音波処理の間に大きい結晶の急速な成長をもたらすだろう。
【0051】
超音波処理
超音波処理とは、我々は、第一溶液および水相の混ぜ合わせから生じる混合液への超音波の適用を意味する。
【0052】
本発明の方法にしたがって、迅速混合で第一溶液および水相の混ぜ合わせは、実質的に水に不溶性の物質の非晶質微粒子の初期沈殿をもたらすが、そこでは(好ましい実施態様においては)、非晶質微粒子は<1μmの微粒子径を有する。
【0053】
混ぜ合わせが完了した後で、非晶質沈殿の結晶化が起こるまで、混合液を超音波処理する。それ故に、混ぜ合わせ後で混合液の超音波処理に十分な時間は、非晶質微粒子の結晶性微粒子への実質的に完全な変換に(例えば、70、80、90、95もしくは95%の非晶質微粒子の結晶性ナノ−微粒子への変換に)十分な時間である。適当な十分な時間は、例えば、10〜200分、好ましくは20〜200分、さらに好ましくは10〜120分および特別には20〜100分のように、少なくとも10分、特に少なくとも20分である。必要な時間は、数多くの要因、例えば、水にやや溶けにくい化合物の性質、超音波の周波数、使用される液の容積および超音波処理装置のエネルギー出力、に依存し得ることが認識されるだろう。
【0054】
超音波の周波数は、非晶質微粒子の懸濁液の結晶化を促進するように選択されるべきである。一般的に、例えば、20〜100kHz、さらに特に20〜50kHzの範囲における、約16kHzもしくはそれ以上の周波数が適当である。必要な出力は、超音波を当てる懸濁液の容積に依存する。一般的に、例えば、5〜5000W、特に200〜4000Wの、約5Wもしくはさらに高い出力が適当である。超音波エネルギーの強度は広い規制値の間で調節され得る。
【0055】
超音波は周知の方法を用いて当てられ得る。例えば、例えば液体媒体中に置かれた超音波のプローブもしくはホーン、を使って超音波を直接に当て得る。これに代えて、超音波浴を使ってもしくは超音波振動子から懸濁液の中への懸濁液を含有する容器の中へ液体を満たしたプローブを介する伝送のような連結装置を使って非晶質微粒子を含有する容器へ連結して、超音波を当て得る。
【0056】
適当な超音波処理装置は当業者に周知であり、したがって選択され得る。実験室規模で便利に、35kHzの超音波周波数および285Wの出力を持つ超音波処理装置、例えばElma Transsonic Bath T460/H、を使用し得る。非‐実験室規模では、GB 2,276,567に記載されたもののような、例えばAEA Technologyからの、音波反応器を使用できる可能性がある。
【0057】
超音波処理の間の温度は、重要とは考えられないで、一般的に、50℃以下の温度が適当である。しかしながら、我々は、低温はさらに小さい結晶性微粒子の形成を一般的に有利にすることを見出してきている。したがって、本発明の実施態様においては、非晶質分散液の超音波処理の間の温度は、50℃未満、特に45℃未満、例えば0〜45℃、好ましくは1〜35℃および特別に5〜10℃、である。理論に縛られない願望を持って、さらに低い温度は、超音波処理の間にさらに高いレベルの過飽和もたらして、超音波処理の間の一次核化の程度を増加して、それによりさらに大多数のさらに小さい結晶性微粒子を与える。
【0058】
任意に、水に混和性の有機溶媒を結晶化後に分散液から除去することができる。水に混和性の有機溶媒を除去するための適当な方法は周知であって、それには、蒸発、例えば真空下に分散液を加熱することにより、逆浸透、透析、限外ろ過もしくはクロスフローろ過が含まれる。
望ましければ、分散液から過剰の水を、例えば蒸発により、除去することにより、分散液を結晶化後に濃縮し得る。
【0059】
任意に、さらに別の成分を本発明で使用される液体媒体に、例えば、第一溶液、水相、非晶質微粒子の分散液にもしくはナノ−結晶性微粒子の分散液に、加えて、必要なように性質を修飾し得る。そのような成分の例には、粘度修飾剤、緩衝剤、味覚のマスキング剤、抗酸化剤、保存剤、pHを調整する添加剤もしくは着色剤が含まれる。さらに別の成分は、微粒子の沈殿化の前に、もしくはさらに好ましくは、後で加えられ得る。
【0060】
本発明のさらなる実施態様にしたがって、水性媒体中で実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な物質のナノ−結晶性微粒子の分散液の調製方法であって、
a)水と混和性の有機溶媒中に実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な物質を含む第一溶液を、
b)水および任意に安定化剤を含む水相と、
迅速混合で混ぜ合わせること;ならびに
その後に、ここで得られる混合液を、実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な物質のナノ−結晶性固体微粒子を形成するのに十分な時間超音波処理すること;および
任意に水と混和性の有機溶媒を除去すること;
を含む、方法が提供される。
【0061】
特に、この実施態様は、水性媒体の中で実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な物質のナノ−結晶性微粒子の分散液の調製方法であって、
a)水と混和性の有機溶媒中に実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な物質を含む第一溶液を、
b)水および任意に安定化剤を含む水相と、
混ぜ合わせて(好ましくは迅速混合で)、非晶質微粒子の分散液を形成すること;ならびに
c)非晶質微粒子の分散液を、実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な物質のナノ−結晶性微粒子を形成するのに十分な時間超音波処理すること;および
任意に水と混和性の有機溶媒を除去すること;
を含む、方法を提供する。
【0062】
本発明の実施態様は、水性媒体の中で固体の実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な物質のナノ−結晶性結晶の分散液を提供する。この実施態様についての適当なプロセス条件は、本明細書中で前に説明したようである。
【0063】
望ましければ、本発明にしたがって調製される分散液の中に存在するナノ−結晶性微粒子を結晶化に引き続いて水性媒体から単離(もしくは水に混和性の有機溶媒の除去)をし得る。ナノ−結晶性微粒子を、従来の技法を用いて、例えば、遠心分離、逆浸透、膜ろ過、凍結乾燥もしくは噴霧乾燥により、分離し得る。ナノ−結晶性微粒子の単離は、微粒子が実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な物質を含むときに、それは結晶を洗浄しかつ無菌の水性媒体の中に再懸濁させて、例えば、経口のもしくは注射の(例えば静脈の)投与による、温血哺乳類(特別にヒト)への投与に適する懸濁液を与えることを許容するので、有用である。結晶を単離しないでその代わりに生成したままの分散液を使用することが、例えば、特別な物質の結晶の単離は硬く結合した凝集体の形成をもたらすので、好ましいだろう。
【0064】
本発明のもう一つの実施態様において、本方法を無菌条件下で実施して、それにより、さらに別な精製のもしくは無菌化の工程の必要無しに、上で説明したように温血哺乳類へ投与することができるところの無菌分散液を直接に提供する。これに代えて、分散液を滅菌ろ過し引き続いて結晶化および水に混和性の有機溶媒の任意な除去をして、無菌の懸濁液を残し得る。
【0065】
本発明のさらなる態様にしたがって、その中に本発明にしたがう方法により取得可能な実質的に水に不溶性の物質の分散したナノ−結晶性微粒子があるところの連続的な水相を含む水性分散液が提供される。
好ましくは、実質的に水に不溶性の物質は、上で説明したように実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な物質である。
【0066】
好ましくは、分散液中のナノ−結晶性微粒子の濃度は、0.25mMよりさらに大きく、例えば、0.25〜10mM、特に0.5〜5mM、である。実質的に水に不溶性の物質のナノ−結晶性微粒子(複数を含む)は、本明細書中で前に定義したような微粒子径を有する。
【0067】
本発明のさらなる態様にしたがって、本発明にしたがう方法により取得可能な実質的に水に不溶性の物質のナノ−結晶性微粒子(複数を含む)が提供される。好ましくは、実質的に水に不溶性の物質は、上で説明したように実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な物質である。実質的に水に不溶性の物質のナノ−結晶性微粒子(複数を含む)は、本明細書中で前に定義したような微粒子径を有する。
【0068】
本発明のさらなる態様にしたがって、薬学的に許容される賦形剤もしくは担体と共同で、実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な物質のナノ−結晶性微粒子(複数を含む)を含む医薬組成物が提供される。
【0069】
物質が実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な物質であるときには、本発明にしたがう分散液を例えば、経口のもしくは注射の(例えば静脈の)投与により、温血哺乳類(特別にヒト)へ投与し得る。さらに別な実施態様において、分散液を湿式造粒方法での造粒液体として使用して、実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な物質および一つもしくはそれ以上の添加物を含む顆粒を調製し得る。次いで、ここで得られる顆粒を直接に使用して、例えばカプセルの中への充填により、顆粒を含有する単位剤型を提供し得る。これに代えて、顆粒をさらなる添加物、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等と任意に混合し、そして経口投与に適した錠剤の状熊に打錠し得る。必要であれば、錠剤を被膜して、放出性質についての制御を与えるかもしくはそれを、例えば光への露出による、分解に対して防御し得る。湿式造粒技法および錠剤製剤の使用に適する添加物は当分野で周知である。
【0070】
本方法により調製される薬理学的に活性な物質のナノ−結晶性微粒子をまた、カプセルおよび直接打錠錠剤製剤のような、乾燥混合組成物を;および微粒子が適当なマトリックス内に、例えば、水で膨潤性のもしくは水で侵食性のマトリックスまたは生物分解性の高分子マトリックスの中で、分散されている、徐放性製剤を、限定するものではないが、含む他の医薬製剤に使用し得る。
本発明のさらなる態様にしたがって、医薬品としての使用のために本発明にしたがう方法により取得可能な実質的に水に不溶性の物質のナノ−結晶性微粒子(複数を含む)が提供される。
【0071】
本発明にしたがう方法は、従来の結晶化方法を用いて結晶化するのが困難である特定の物質の結晶化を促進するために有用であり得る。或る物質は溶液から結晶化するのが非常に困難で、物質を結晶形で与えるだろう方法を得るためには、しばしばさらに多くの試行錯誤が必要とされることは周知である。本発明での非晶質の分散液の存在により得られる一定な過飽和のユニークな条件は、公知の従来の結晶化方法を用いて結晶化され得なかった物質のナノ−結晶を提供し得る。次いで、本発明を用いて調製されるここで得られるナノ−結晶を種晶として用いて、さらに多くの従来の結晶化方法における結晶化を促進することができる。例えば、結晶性の医薬化合物の調製は、それが化合物を高度に純粋な形で調製するのを可能にするので、しばしば有利である。結晶形は、安定性および物質を取扱い上の利点のような他の利点をまた提供する。
【0072】
本発明のさらなる態様にしたがって、本発明にしたがう方法により取得可能な実質的に水に不溶性の物質のナノ−結晶性微粒子(複数を含む)の結晶化方法における種晶としての使用が提供される。その中で種晶が使用され得る適当な結晶化方法は当分野で周知であって、それには、例えば、遅い冷却、蒸発もしくは反溶媒の添加により過飽和を誘発するシステムが含まれる。
【0073】
方法
以下の実施例において、2.75リットルの容積、285Wの出力消費および35kHzの超音波周波数を持つElma Transsonic Bath T460/Hを使用して超音波処理を行った。
【0074】
実施例項および微粒子の結晶性のもしくは非晶質の状熊の分析において示される画像は、CEVS(制御環境ガラス固化システム)の中で25℃において希釈していないナノ−微粒子の懸濁液を用いる冷却−TEM(冷却透過電子顕微鏡法)で撮られた。−170℃で液体エタン中でガラス固化された、多孔性高分子フイルムで被膜化された金属プレート上で薄いフイルムとして試料を塗布して、Zeiss EM 902(加速器電圧:80kV)の中で窒素の沸騰温度で調査した。
引用された平均微粒子流体力学的直径は、N4 Plus Beckman CoulterおよびBrookhaven Fiber-Optic Quasi-Elastic Light Scattering (FOQELS)機器を用いる動的光散乱測定から得られる強度−加重の数である。
【実施例】
【0075】
本発明は以下の実施例により例示されるが限定されるものではない。実施例において、使用されるポリビニルピロリドンは、57000の重量−平均分子量を有するPVP K30(例えばBASF)であった。全ての実施例において、ドデシル硫酸ナトリウムは、安定化剤としてのPVPと一緒に使用された。使用されるSDSの濃度は水相中で0.25mMであった。
【0076】
実施例1:フェロジピン
ジメチルアセタミド中の100mMフェロジピンの溶液を作成した。この溶液0.010mlを0.2%(w/w)ポリビニルピロリドンおよび0.25mMドデシル硫酸ナトリウムを含有する水溶液0.990mlへ超音波処理の下で迅速に加えた。超音波処理を30分間継続した。ここで得られた微粒子は、165nmの平均流体力学的直径を持って結晶性であった(微粒子径の変化は2時間にわたり何も観察されなかった)。微粒子の冷却−TEM画像を図1aに示す。
【0077】
比較実施例1
実施例1の方法を繰り返したが、超音波処理を二つの溶液を混合した後には直接中止した。本方法は、およそ170nmの平均微粒子流体力学的直径を持つ非晶質微粒子を生成した。微粒子径は、1時間にわたってオストワルド成熟により170から250nmへ増加し、そして2時間後にはサイズは370nmであった。混合後およそ20分で撮った微粒子の冷却−TEM画像を図1bに示す。
【0078】
実施例2:カンデサルタン シレキシチル
ジメチルアセタミド中の100mMカンデサルタン シレキシチルの溶液を作成した。この溶液0.010mlを0.2%(w/w)ポリビニルピロリドンおよび0.25mMドデシル硫酸ナトリウムを含有する水溶液0.990mlへ超音波処理の下で迅速に加えた。超音波処理を75分間継続した。ここで得られた微粒子は、170nmの平均流体力学的直径を持って結晶性であった。
【0079】
比較実施例2
実施例2を繰り返したが、超音波処理を二つの溶液を混合した後には直接中止した。70nmの平均流体力学的直径を持つ非晶質微粒子が得られた。
【0080】
実施例3:N'−[(1E)−(1−ベンジル−1H−インドール−3−イル)メチレン]ベンゾヒドラジド
ジメチルアセタミド中の100mM N'−[(1E)−(1−ベンジル−1H−インドール−3−イル)メチレン]ベンゾヒドラジド(Interchim、フランスから市販)の溶液を作成した。この溶液0.010mlを0.2%(w/w)ポリビニルピロリドンおよび0.25mMドデシル硫酸ナトリウムを含有する水溶液0.990mlへ超音波処理の下で迅速に加えた。超音波処理を80分間継続した。ここで得られた微粒子は、160nmの平均流体力学的直径を持って結晶性であった。
【0081】
比較実施例3
実施例3を繰り返したが、超音波処理を二つの溶液を混合した後には直接中止した。90nmの平均流体力学的直径を持つ安定な非晶質微粒子が得られた。結晶性物質は何も観察されなかった。
【0082】
実施例4:ビカルタミド
ジメチルスルホキシド中の100mMビカルタミドの溶液を作成した。この溶液0.020mlを0.01%(w/w)ポリビニルピロリドン(PVP)および0.25mMドデシル硫酸ナトリウムを含有する水溶液1.980mlへ超音波処理の下で迅速に加えた。超音波処理を45分間継続した。超音波処理の後で、1%(w/w)PVPを含有する溶液475μlを加えて、PVPの濃度を0.2%(w/w)に上げた。ここで得られた微粒子は、190nmの平均流体力学的直径を持って結晶性であって、微粒子径は、少なくとも1時間の間は一定のままであった。
【0083】
比較実施例4
実施例4を繰り返したが、超音波処理を二つの溶液を混合した後には直接中止した。次いで、超音波処理の後で直接に、PVPの濃度を0.2%(w/w)に上げて、およそ190nmの平均流体力学的直径を持つ非晶質のナノ−微粒子が得られた。微粒子径は、1時間にわたって190から300nmへ増加する(多分、オストワルド成熟の結果として)と観察された。
【0084】
実施例5:5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−N−ピペリジン−1−イル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド
ジメチルアセタミド中の5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−N−ピペリジン−1−イル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(EP 656 354に記載された)の100mM溶液を作成した。この溶液0.010mlを0.2%(w/w)ポリビニルピロリドン(PVP)および0.25mMドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有する水溶液0.990mlへ超音波処理の下で迅速に加えた。超音波処理を75分間継続した。ここで得られた微粒子は、275nmの平均流体力学的直径を持って結晶性であった。微粒子径は、少なくとも2.5時間の間は一定のままであった。
【0085】
比較実施例5
実施例5を繰り返したが、超音波処理を二つの溶液を混合した後には直接中止した。およそ220nmの平均流体力学的直径を持つ非晶質のナノ−微粒子が得られた。微粒子径は、2.5時間にわたって220から340nmへ増加する(多分、オストワルド成熟に因り)と観察された。
【0086】
実施例6:5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチル−N−ピペリジン−1−イル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド
ジメチルアセタミド中の5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチル−N−ピペリジン−1−イル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(WO 00/46209に記載された)の100mM溶液を作成した。この溶液0.010mlを0.2%(w/w)ポリビニルピロリドンおよび0.25mMドデシル硫酸ナトリウムを含有する水溶液0.990mlへ超音波処理の下で迅速に加えた。超音波処理を35分間継続した。ここで得られた微粒子は、190nmの平均流体力学的直径を持って結晶性であった。微粒子径は、少なくとも1.5時間の間は一定のままであった。
【0087】
比較実施例6
超音波処理を二つの溶液を混合した後には直接中止した、もう一つの実験において、およそ280nmの平均流体力学的直径を持つ非晶質のナノ−微粒子が得られた。微粒子径は、1.5時間にわたって280から480nmへオストワルド成熟に因り増加した。
【0088】
実施例7:5,6−ビス(4−クロロフェニル)−N−ピペリジン−1−イルピラジン−2−カルボキサミド
ジメチルアセタミド中の5,6−ビス(4−クロロフェニル)−N−ピペリジン−1−イルピラジン−2−カルボキサミド(PCT GB02/05736に記載された)の100mM溶液を作成した。この溶液0.010mlを0.2%(w/w)ポリビニルピロリドンおよび0.25mMドデシル硫酸ナトリウムを含有する水溶液0.990mlへ超音波処理の下で迅速に加えた。超音波処理を60分間継続した。ここで得られた微粒子は、170nmの平均流体力学的直径を持って結晶性であった。結晶性ナノ−微粒子径は、少なくとも1.5時間の間は一定のままであった。
【0089】
比較実施例7
実施例7を繰り返したが、超音波処理を二つの溶液を混合した後には直接中止した。およそ210nmの平均流体力学的直径を持つ非晶質のナノ−微粒子が得られた。微粒子径は、1.5時間にわたって210から260nmへ増加した(多分、オストワルド成熟の結果として)。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1a】図1aは、本発明にしたがう方法を用いて調製されたフェロジピンのナノ−結晶の冷却−TEM画像を示す。
【図1b】図1bは、比較実施例1にしたがって調製されたフェロジピンの非晶質微粒子の冷却−TEM画像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中のナノ−結晶性微粒子の分散液の調製方法であって、
a)水と混和性の有機溶媒中に実質的に水に不溶性の物質を含む第一溶液を、
b)水および任意に安定化剤を含む水相と、
混ぜ合わせて、非晶質微粒子の分散液を形成すること;ならびに
c)非晶質微粒子の分散液を、実質的に水に不溶性の物質のナノ−結晶性微粒子を形成するのに十分な時間超音波処理すること;および
任意に水と混和性の有機溶媒を除去すること;
を含む、方法。
【請求項2】
ナノ−結晶性微粒子が50〜250nmの平均微粒子径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
実質的に水に不溶性の物質が実質的に水に不溶性の薬理学的に活性な化合物である、請求項1もしくは2に記載の方法。
【請求項4】
方法の工程(b)に引き続いた混ぜ合わせた溶液および水相の中の実質的に水に不溶性の物質の濃度が10mMもしくはそれ未満である、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)に引き続いた混ぜ合わせた溶液および水相の中の実質的に水に不溶性の物質の濃度が0.5〜3mMである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
水相が安定化剤を含む、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
安定化剤が高分子の分散剤および両親媒性の界面活性剤を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
安定化剤が高分子の分散剤および陰イオン性界面活性剤を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
高分子の分散剤がポリビニルピロリドンでありそして陰イオン性界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
両親媒性の界面活性剤が両親媒性−高分子の臨界会合濃度以下の濃度にある、請求項7〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
第一溶液および水相の混ぜ合わせが迅速混合で行われる、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
迅速混合が混ぜ合わせの間の超音波処理を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第一溶液および水相の混ぜ合わせが30秒未満で行われる、請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
第一溶液が水相に加えられる、請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
第一溶液および水相の混ぜ合わせに引き続いて生成される非晶質微粒子の分散液が少なくとも10分間(好ましくは20〜100分間)超音波処理される、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
超音波処理が50℃以下の温度で起こる、請求項1〜15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
水性媒体からナノ−結晶性微粒子を単離することをさらに含む、請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【公表番号】特表2006−504511(P2006−504511A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−522299(P2004−522299)
【出願日】平成15年7月14日(2003.7.14)
【国際出願番号】PCT/GB2003/003044
【国際公開番号】WO2004/009057
【国際公開日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】