説明

結晶質担体変性剤を含むエタノール製造用触媒の製造及び使用

第1の金属、シリカ質担体、及び少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤を含み、少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤の少なくとも1重量%がX線回折によって測定して結晶相である触媒。本発明はまた、かかる触媒を形成する方法、その中で用いる触媒、及びかかる触媒の存在下で酢酸を水素化する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2010年2月2日出願の米国仮出願61/300,810(その全部を参照として本明細書中に包含する)に対する優先権を主張する。
[0002]本発明は、概して、例えば酢酸を水素化してエタノールを形成するプロセスにおいて用いるための結晶質担体変性剤を含む担持触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]酢酸をエタノール(これは、それ自体で用いることができるか、或いは、ポリエチレン、酢酸ビニル、及び/又は酢酸エチル或いは任意の広範囲の他の化学生成物に転化させることができるので重要な商業的供給材料であるエチレンにその後に転化させることができる)に転化させる経済的に実行可能なプロセス及び触媒に対する必要性が長い間感じられている。変動する天然ガス及び原油の価格は、従来製造されている石油又は天然ガス由来のエチレンのコストの変動の一因となり、石油の価格が上昇している場合にはエチレンの別の源に対する必要性がなお更に大きくなる。
【0003】
[0004]アルカン酸及び他のカルボニル基含有化合物を還元するための接触プロセスは広範囲に研究されており、触媒、担体、及び運転条件の種々の組合せが文献において言及されている。金属酸化物上での種々のカルボン酸の還元は、T. Yokoyamaら, "Fine chemicals through heterogeneous catalysis. Carboxylic acids and derivatives"において概説されている。8.3.1章においては、種々のカルボン酸のための水素化触媒に関する開発努力の幾つかが要約されている(Yokoyama, T.; Setoyama, T., "Carboxylic acids and derivatives": "Fine chemicals through heterogeneous catalysis, 2001, 370-379)。
【0004】
M.A. Vanniceらによる一連の研究は、種々の不均一触媒上での酢酸の転化に関する(Rachmady, W.; Vannice, M.A.; J. Catal. (2002) vol.207, p.317-330)。担持及び非担持の両方の鉄上でのHによる酢酸の気相還元が別の研究において報告された(Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal., (2002) vol.208, p.158-169)。触媒表面種及び有機中間体に関する更なる情報が、Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. (2002) vol.208, p.170-179に示されている。気相酢酸水素化は、Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. (2002) vol.209, p.87-98、及びRachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. (2000) vol.192, p.322-334において、更に一群の担持Pt−Fe触媒に関して研究された。
【0005】
[0006]不飽和アルデヒドの選択水素化に関する種々の関連する出版物は、(Djerboua, F.; Benachour, D.; Touroude, R., Applied Catalysis A: General 2005, 282, 123-133;Liberkova, K.; Tourounde, R., J. Mol. Catal. 2002, 180, 221-230;Rodrigues, E.L.; Bueno, J.M.C., Applied Catalysis A: General 2004, 257, 210-211;Ammari, F.; Lamotte, J.; Touroude, R., J. Catal., 2004, 221, 32-42;Ammari, F.; Milone, C.; Touroude, R., J. Catal. 2005, 235, 1-9;Consonni, M.; Jokic, D.; Murzin, D.Y.; Touroude, R., J. Catal. 1999, 188, 165-175;Nitta, Y.; Ueno, K.; Imanaka, T.; Applied Catal. 1989, 56, 9-22)において見ることができる。
【0006】
[0007]クロトンアルデヒドの不飽和アルコールへの選択水素化におけるコバルト、白金、及びスズ含有触媒に関する活性及び選択性を報告する研究が、R. Touroudeら(Djerboua, F.; Benachour, D.; Touroude, R., Applied Catalysis A: General 2005, 282, 123-133、及びLiberkova, K.; Tourounde, R.; J. Mol. Catal. 2002, 180, 221-230)、並びにK. Lazarら(Lazar, K.; Rhodes, W.D.; Borbath, I.; Hegedues, M.; Margitfalvi, 1.L., Hyperfine Interactions, 2002, 1391140, 87-96)において見られる。
【0007】
[0008]M. Santiagoら(Santiago, M.A.N.; Sanchez-Castillo, M.A.; Cortright, R.D.; Dumesic, 1.A., J. Catal. 2000, 193, 16-28)においては、量子化学的計算と組み合わせたマイクロ熱量測定、赤外分光測定、及び反応速度測定が議論されている。
【0008】
[0009]酢酸水素化における触媒活性はまた、レニウム及びルテニウムを有する不均一系に関して報告されている(Ryashentseva, M.A.; Minachev, K.M.; Buiychev, B.M.; Ishchenko, V.M., Bull. Acad. Sci. USSR1988, 2436-2439)。
【0009】
[0010]Kitsonらの米国特許5,149,680においては、白金族金属合金触媒を用いてカルボン酸及びそれらの無水物をアルコール及び/又はエステルに接触水素化する方法が記載されている。Kitsonらの米国特許4,777,303においては、カルボン酸の水素化によってアルコールを製造する方法が記載されている。Kitsonらの米国特許4,804,791においては、カルボン酸の水素化によってアルコールを製造する他の方法が記載されている。また、USP−5,061,671;USP−4,990,655;USP−4,985,572;及びUSP−4,826,795;も参照。
【0010】
[0011]上記に記載の金属に加えて、触媒、例えば水素化触媒は通常は担体材料を含み、担体金属は触媒の特性、例えば性能特性に影響を与えることが知られている。
[0012]Malinowskiら(Bull. Soc. Chim. Belg. (1985), 94(2), 93-5)においては、シリカ(SiO)又はチタニア(TiO)のような担体材料上で不均一化されている低価チタン上での酢酸の接触反応が議論されている。
【0011】
[0013]二元金属ルテニウム−スズ/シリカ触媒は、テトラブチルスズをシリカ上に担持されている二酸化ルテニウムと反応させることによって製造されている(Loessardら, Studies in Surface Science and Catalysis (1989), 1988年号, 48(Struct. React. Surf.), 591-600)。
【0012】
[0014]酢酸の接触還元はまた、例えばHindermanら(Hindermannら, J. Chem. Res., Synopses (1980), (11), 373)において研究されており、ここでは鉄上及びアルカリ促進鉄上での酢酸の接触還元が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許5,149,680
【特許文献2】米国特許4,777,303
【特許文献3】米国特許4,804,791
【特許文献4】USP−5,061,671
【特許文献5】USP−4,990,655
【特許文献6】USP−4,985,572
【特許文献7】USP−4,826,795
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Yokoyama, T; Setoyama, T, "Fine chemicals through heterogeneous catalysis"の"Carboxylic acids and derivatives", 2001, 370-379
【非特許文献2】Rachmady W.; Vannice, M.A.; J. Catal. (2002) vol.207, p.317-330
【非特許文献3】Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal., (2002) vol.208, p.158-169
【非特許文献4】Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. (2002) vol.208, p.170-179
【非特許文献5】Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. (2002) vol.209, p.87-98
【非特許文献6】Rachmady, W.; Vannice, M.A., J. Catal. (2000) vol.192, p.322-334
【非特許文献7】Djerboua, F.; Benachour, D.; Touroude, R., Applied Catalysis A: General 2005, 282, 123-133
【非特許文献8】Liberkova, K.; Touroude, R., J. Mol. Catal. 2002, 180, 221-230
【非特許文献9】Rodrigues, E.L.; Burno, J.M.C., Applied Catalysis A: General 2004, 257, 210-211
【非特許文献10】Ammari, F.; Lamotte, J.; Touroude, R., J. Catal., 2004, 221, 32-42
【非特許文献11】Ammari, F.; Milone, C.; Touroude, R., J. Catal. 2005, 235, 1-9
【非特許文献12】Consonni, M.; Jokic, D.; Murzin, D.Y.; Touroude, R., J. Catal. 1999, 188, 165-175
【非特許文献13】Nitta, Y.; Ueno, K.; Imanaka, T.; Applied Catal. 1989, 56, 9-22
【非特許文献14】Djerboua, F.; Benachour, D.; Touroude, R., Applied Catalysis A: General 2005, 282, 123-133
【非特許文献15】Liberkova, K.; Touroude, R.; J. Mol. Catal. 2002, 180, 221-230
【非特許文献16】Lazar, K.; Rhodes, W.D.; Borbath, I.; Hegedues, M.; Margitfalvi, 1.L., Hyperfine Interactions, 2002, 1391140, 87-96
【非特許文献17】Santiago, M.A.N.; Sanchez-Castillo, M.A.; Cortright, R.D.; Dumesic, 1.A., J. Catal. 2000, 193, 16-28
【非特許文献18】Ryashentseva, M.A.; Minachev, K.M.; Buiychev, B.M.; Ishchenko, V.M., Bull. Acad. Sci. USSR1988, 2436-2439
【非特許文献19】Malinowskiら, Bull. Soc. Chim. Belg. (1985), 94(2), 93-5
【非特許文献20】Loessardら, Studies in Surface Science and Catalysis (1989), 1988年号, 48(Struct. React. Surf.), 591-600
【非特許文献21】Hindermannら, J. Chem. Res., Synopses (1980), (11), 373
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
[0015]しかしながら、エタノールへの高い選択率、転化率、及び生産性を有し、商業的な水素化プロセスのために好適な触媒寿命を有する新規な水素化触媒に対する必要性が未だ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
[0016]本発明は、酢酸のエタノールへの水素化を触媒するために有用な触媒に関する。第1の態様においては、本発明は、第1の金属、シリカ質担体、及び少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤を含み、メタシリケート担体変性剤の少なくとも0.1重量%、例えば少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも25重量%、少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%がXRDによって測定して結晶相である触媒である。本発明の触媒は、有益には、触媒1kgあたり1時間あたり少なくとも800gの酢酸の水素化におけるエタノールに関する生産性を、高い選択率、例えば少なくとも80%の選択率で与えることができる。
【0017】
[0017]他の態様においては、本発明は、酢酸を、第1の金属、シリカ質担体、及び少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤を含む触媒の存在下で水素化することを含み、メタシリケート担体変性剤の少なくとも1重量%がXRDによって測定して結晶相であるエタノールの製造方法に関する。
【0018】
[0018]好ましい態様においては、少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤は、(i)アルカリ土類金属メタシリケート、(ii)アルカリ金属メタシリケート、(iii)第IIB族金属メタシリケート、(iv)第IIIB族金属メタシリケート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。例えば、少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、及び亜鉛からなる群から選択される金属のメタシリケートから選択することができる。好ましい態様においては、少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤はCaSiOを含む。少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤は、好ましくは触媒の全重量を基準として0.1重量%〜50重量%の量で存在する。
【0019】
[0019]第1の金属は、場合によっては、第IB族、第IIB族、第IIIB族、第IVB族、第VB族、第VIB族、第VIIB族、又は第VIII族遷移金属、ランタニド金属、アクチニド金属、或いは第IIIA族、第IVA族、第VA族、又は第VIA族のいずれかからの金属からなる群から選択される。例えば、第1の金属は、銅、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、チタン、亜鉛、クロム、レニウム、モリブデン、及びタングステンからなる群から選択することができる。第1の金属は、好ましくは触媒の全重量を基準として0.1〜25重量%の量で存在する。
【0020】
[0020]シリカ質担体は、場合によっては触媒の全重量を基準として25重量%〜99重量%の量で存在し、50m/g〜600m/gの表面積を有していてよい。好ましい形態においては、シリカ質担体は、シリカ、シリカ/アルミナ、カルシウムメタシリケート、焼成シリカ、高純度シリカ、及びこれらの混合物からなる群から選択される。シリカ質担体は、好ましくは触媒の全重量を基準として1重量%未満のアルミニウムを含む。更に、シリカ質担体は、好ましくは触媒の全重量を基準として0.30重量%未満の酸化アルミニウム、酸化チタン、及び酸化鉄の組合せを含む。
【0021】
[0021]場合によっては、触媒は、第1の金属と異なる第2の金属、例えば、銅、モリブデン、スズ、クロム、鉄、コバルト、バナジウム、タングステン、パラジウム、白金、ランタン、セリウム、マンガン、ルテニウム、レニウム、金、及びニッケルからなる群から選択される金属を更に含む。第2の金属は、触媒の全重量を基準として0.1〜10重量%の量で存在させることができる。好ましい形態においては、第1の金属は白金であり、第2の金属はスズであり、場合によっては白金とスズとのモル比は0.4:0.6〜0.6:0.4である。他の好ましい形態においては、第1の金属はパラジウムであり、第2の金属はレニウムであり、場合によってはレニウムとパラジウムとのモル比は0.7:0.3〜0.85:0.15である。
【0022】
[0022]触媒は、場合によっては第1の金属及び第2の金属と異なる第3の金属を更に含み、ここで例えば第3の金属は、コバルト、パラジウム、ルテニウム、銅、亜鉛、白金、スズ、及びレニウムからなる群から選択される。第3の金属は、場合によっては触媒の全重量を基準として0.05及び4重量%の量で存在する。
【0023】
[0023]触媒はまた好ましくは、酢酸をエタノールへ転化する際の水素化触媒として用いるのに好適であり、少なくとも10%の酢酸転化率を与える。触媒は、好ましくは触媒の使用100時間あたり6%未満減少する生産性を有する。
【0024】
[0024]他の態様においては、本発明は、シリカ質担体材料;及びメタシリケート担体変性剤;を含み、メタシリケート担体変性剤の少なくとも1重量%がXRDによって測定して結晶相である水素化触媒用の担体に関する。
【0025】
[0025]他の態様においては、本発明は、(a)第1の金属への第1の金属前駆体を変性シリカ質担体と接触させて含侵担体を形成する工程、ここで変性シリカ質担体はシリカ質材料及び少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤を含み、少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤はXRDによって測定して少なくとも1重量%の結晶質メタシリケートを含み;そして、(b)含侵担体を、第1の金属を還元して触媒を形成するのに有効な条件下で加熱する工程;を含む触媒の製造方法に関する。この方法は、場合によっては、第2の金属への第2の金属前駆体を変性シリカ質担体と接触させることを更に含む。他の形態においては、この方法は、(c)少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤又はその前駆体をシリカ質担体と接触させて変性担体前駆体を形成する工程;そして、(d)変性担体前駆体を、変性シリカ質担体を形成するのに有効な条件下で加熱する工程;を更に含む。
【0026】
[0026]下記において添付の図面を参照して本発明を詳細に記載する。ここで、同様の数値は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】[0027]図1Aは、SiO−PtSn1−m触媒を用いるエタノール及び酢酸エチルへの選択率のグラフである。[0028]図1Bは、図1Aの触媒のエタノール及び酢酸エチルへの生産性のグラフである。[0029]図1Cは、図1Aの触媒の酢酸転化率のグラフである。
【図2】[0030]図2Aは、SiO−RePd1−n触媒を用いるエタノール及び酢酸エチルへの選択率のグラフである。[0031]図2Bは、図2Aの触媒のエタノール及び酢酸エチルへの生産性のグラフである。
【図3】[0032]図3は、実施例1〜5の触媒のエタノール生産性のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0034]本発明は、酢酸を水素化することによってエタノールを製造する方法において用いるための触媒に関する。エタノールを形成するための酢酸の水素化は、以下の反応:
【0029】
【化1】

【0030】
によって表すことができる。
[0035]本発明の一態様にしたがってエタノールを形成するための酢酸の水素化において用いる触媒は、少なくとも1種類の金属、担体、例えばシリカ質担体、及び少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤を含む。変性担体は米国公開2010/0121114(その全部を参照として本明細書中に包含する)において議論されている。
【0031】
[0036]ここで、驚くべきことに且つ予期しなかったことに、少なくとも部分的に結晶相メタシリケート担体変性剤によって変性されている担体を有する触媒は、酢酸の水素化においてエタノールを形成するのに特に有効であり、エタノールに関する高い転化率、選択率、及び生産性を与えることが見出された。本発明の幾つかの態様によれば、メタシリケート担体変性剤の例えば少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも25重量%、少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%は、X線回折法(XRD)によって測定して結晶相である。範囲に関しては、メタシリケート担体変性剤は、0.5重量%〜99重量%、例えば0.5重量%〜75重量%、0.5重量%〜50重量%、0.5重量%〜25重量%、0.5重量%〜10重量%、又は0.5重量%〜5重量%が、XRDによって測定して結晶相であってよい。一態様においては、メタシリケート担体変性剤は2重量%〜5重量%がXRDによって測定して結晶相であってよい。好ましくは、結晶質メタシリケートの結晶系は少なくとも部分的に三斜晶系である。
【0032】
[0037]本発明の種々の態様においては、触媒組成物の結晶質特性は実質的に均一の結晶質メタシリケート担体変性剤から得ることができ、これは、触媒粒子の実質的に全部の中のメタシリケート担体変性剤が同じ結晶度を有することを意味する。この形態においては、触媒粒子のそれぞれの中のメタシリケート担体変性剤は、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも25重量%、少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%の実質的に均一な結晶度を有する。他の形態においては、同じ全結晶度は、ある程度結晶質であり、例えばXRDによって測定して少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも25重量%、少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%結晶質であるメタシリケート担体変性剤を、アモルファスか又は実質的にアモルファスのメタシリケート担体変性剤とブレンドすることによって達成することができる。後者の形態は、触媒バッチの結晶度を所望の結晶度レベルに容易に調整するために望ましい可能性がある。
【0033】
[0038]上述したように、本発明の触媒は、とりわけ、担体、例えば変性担体(担体材料、及び担体材料の酸性度を調節する担体変性剤を含む担体を意味する)を含む。例えば、担体変性剤によって担体材料上の酸部位、例えばブレンステッド酸部位を調節して、酢酸の水素化中においてエタノールへの選択性を優勢にすることができる。担体材料の酸性度は、担体材料上のブレンステッド酸部位の数を減少させるか又はその利用可能性を減少させることによって調節することができる。また、担体変性剤によって担体材料のpKaを変化させることによって担体材料を調節することもできる。記載が他に示さない限りにおいて、表面の酸性度又はその上の酸部位の数は、F. Delannay編, "Characterization of Heterogeneous Catalysts", III章, Measurement of Acidity of Surfaces, p.370-404; Marcel Dekker, Inc., N.Y. 1984(その全文を参照として本明細書中に包含する)に記載されている方法によって求めることができる。
【0034】
[0039]担体材料は、触媒系がエタノールを形成するために用いるプロセス条件下において好適に活性で、選択性で、且つ強靱であるように選択しなければならない。好適な担体材料としては、例えば安定な金属酸化物をベースとする担体又はセラミックをベースとする担体を挙げることができる。好ましい担体材料としては、シリカ、シリカ/アルミナ、カルシウムメタシリケートのような第IIA族シリケート、焼成シリカ、高純度シリカ、及びこれらの混合物のようなシリカ質担体が挙げられる。本発明の幾つかの態様においては、限定なしに酸化鉄、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化マグネシウム、炭素、グラファイト、高表面積グラファイト化炭素、活性炭、及びこれらの混合物などの他の担体材料を用いることができる。
【0035】
[0040]更に、担体材料は、有利には担体変性剤、例えばメタシリケート担体変性剤、好ましくはカルシウムメタシリケートによって変性する。上記に示したように、メタシリケート担体変性剤の少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも25重量%、少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%は、XRDによって測定して結晶相である。範囲に関しては、担体変性剤中の結晶質メタシリケート担体変性剤の量は、例えば、1重量%〜75重量%、例えば20〜50重量%、40〜70重量%、60〜90重量%、又は70〜95重量%の範囲であってよい。担体変性剤中の高い割合の結晶質メタシリケートを用いることによって、(類似のアモルファス担体変性剤を用いて得られる生産性と比較して)エタノールの生産性の増加を達成することができる。一例として、結晶質担体変性剤によって、類似のアモルファスメタシリケート担体変性剤よりも、少なくとも5%、例えば少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも50%生産性を増加させることができる。全生産性の観点では、触媒1kgあたり1時間あたり少なくとも500g(g/kg/時)、例えば少なくとも600g/kg/時、少なくとも700g/kg/時、少なくとも750g/kg/時、少なくとも800g/kg/時、少なくとも850g/kg/時、少なくとも900g/kg/時、又は少なくとも1,000g/kg/時のエタノールのエタノール生産性を達成することができる。
【0036】
[0041]変性担体はまた不純物を含んでいてもよく、その例としては、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び酸化鉄が挙げられる。驚くべきことに且つ予期しなかったことに、本発明者らは、特に低いレベルの酸性不純物を含む変性担体を用いて、エタノールの生産性、選択率、及び/又は転化率の大きな改良を達成することができることを見出した。一態様においては、不純物、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、及び酸化鉄の組合せが、触媒の全重量を基準として0.30重量%未満、例えば0.20重量%未満、0.15重量%未満、0.13重量%未満、0.10重量%未満、又は0.08重量%未満の量で存在する場合に、驚くべき且つ予期しなかった結果が達成される。
【0037】
[0042]一態様においては、担体変性剤は低い揮発性を有し、或いは非揮発性であってよい。低揮発性の変性剤は、担体変性剤の酸性度が触媒の寿命中に逆転しないような十分に低い損失率を有する。かかる塩基性変性剤は、例えば(i)アルカリ土類酸化物、(ii)アルカリ金属酸化物、(iii)アルカリ土類金属メタシリケート、(iv)アルカリ金属メタシリケート、(v)第IIB族金属酸化物、(vi)第IIB族金属メタシリケート、(vii)第IIIB族金属酸化物、(viii)第IIIB族金属メタシリケート、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。本発明の幾つかの態様においては、酸化物及びメタシリケートに加えて、硝酸塩、亜硝酸塩、酢酸塩、及び乳酸塩などの他のタイプの変性剤を用いることができる。好ましくは、担体変性剤は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、及び亜鉛のいずれかの酸化物及びメタシリケート、並びに上記のいずれかの混合物からなる群から選択される。好ましくは、担体変性剤は、少なくとも部分的に結晶相であるケイ酸カルシウム、より好ましくはカルシウムメタシリケート(CaSiO)である。
【0038】
[0043]担体材料及び担体変性剤を含む変性担体の全重量は、触媒の全重量を基準として、好ましくは75重量%〜99.9重量%、例えば78重量%〜97重量%、又は80重量%〜95重量%である。担体変性剤は、好ましくは、例えば活性ブレンステッド酸部位の数を減少させるか又はその利用可能性を減少させることによって酸性度を調節し、より好ましくは担体の表面が活性ブレンステッド酸部位を実質的に含まないことを確保するのに十分な量で与える。好ましい態様においては、担体変性剤は、触媒の全重量を基準として0.1重量%〜50重量%、例えば0.2重量%〜25重量%、0.5重量%〜15重量%、又は1重量%〜8重量%の量で存在する。好ましい態様においては、担体材料は、25重量%〜99重量%、例えば30重量%〜97重量%、又は35重量%〜95重量%の量で存在する。
【0039】
[0044]一態様においては、担体材料は、シリカ、シリカ/アルミナ、カルシウムメタシリケートのような第IIA族シリケート、焼成シリカ、高純度シリカ、及びこれらの混合物からなる群から選択されるシリカ質担体材料である。而して、一態様においては、担体材料は、カルシウムメタシリケート、例えばアモルファスのカルシウムメタシリケートを含み、担体変性剤は少なくとも部分的に結晶質であるメタシリケートを含む。
【0040】
[0045]シリカ質担体としてシリカを用いる場合には、シリカに関する通常の汚染物質であるアルミニウムの量が低く、好ましくは変性担体の全重量を基準として1重量%より低く、例えば0.5重量%より低く、又は0.3重量%より低いことを確保することが有益である。この点に関し、焼成シリカは、通常は99.7重量%より高い純度で入手できるので好ましい。本明細書全体にわたって用いる高純度シリカとは、アルミニウムのような酸性汚染物質が、存在していても0.3重量%未満、例えば0.2重量%未満、又は0.1重量%未満のレベルで存在するシリカを指す。担体変性剤としてカルシウムメタシリケート、例えば結晶質のカルシウムメタシリケートを用いる場合には、担体材料として用いるシリカの純度に関して非常に厳格にする必要はないが、アルミニウムは依然として望ましくなく、通常は意図的には加えない。かかるシリカのアルミニウム含量は、例えば、10重量%未満、例えば5重量%未満、又は3重量%未満であってよい。担体が2重量%〜10重量%の範囲の担体変性剤を含む場合には、それらが適当な量の担体変性剤によって実質的に中和される限りにおいては、より多い量のアルミニウムのような酸性不純物を許容することができる。
【0041】
[0046]担体材料、例えばシリカ質担体材料の表面積は、好ましくは、少なくとも約50m/g、例えば少なくとも約100m/g、少なくとも約150m/g、少なくとも約200m/g、又は最も好ましくは少なくとも約250m/gである。範囲に関しては、担体材料は、好ましくは、50〜600m/g、例えば100〜500m/g、又は100〜300m/gの表面積を有する。本明細書全体にわたって用いる高表面積シリカとは、少なくとも約250m/gの表面積を有するシリカを指す。本明細書の目的のためには、表面積とは、BET窒素表面積(ASTM−D6556−04(その全部を参照として本明細書中に包含する)によって求められる表面積を意味する)を指す。
【0042】
[0047]担体材料はまた、好ましくは、水銀侵入ポロシメトリーによって測定して5〜100nm、例えば5〜30nm、5〜25nm、又は約5〜10nmの平均細孔径、及び水銀侵入ポロシメトリーによって測定して0.5〜2.0cm/g、例えば0.7〜1.5cm/g、又は約0.8〜1.3cm/gの平均細孔容積を有する。
【0043】
[0048]担体材料及びしたがって得られる触媒組成物の形態は広範囲に変化させることができる。幾つかの代表的な態様においては、担体材料及び/又は触媒組成物の形態は、ペレット、押出物、球状体、噴霧乾燥微小球体、環、ペンタリング、三つ葉形、四つ葉形、多葉形、又はフレーク状であってよいが、円筒形のペレットが好ましい。好ましくは、シリカ質担体材料は、0.1〜1.0g/cm、例えば0.2〜0.9g/cm、又は0.5〜0.8g/cmの充填密度を可能にする形態を有する。寸法に関しては、シリカ担体材料は、好ましくは、0.01〜1.0cm、例えば0.1〜0.5cm、又は0.2〜0.4cmの平均粒径(例えば、球状粒子に関しては直径、又は非球状粒子に関しては等価球直径を意味する)を有する。変性担体の上か又はその中に配置されている1種類以上の金属は一般に寸法が非常に小さいので、これらは触媒粒子全体の寸法には実質的に影響を与えない。而して、上記の粒径は、一般的に、変性担体及び最終触媒粒子の寸法の両方に適用される。
【0044】
[0049]好ましいシリカ担体材料は、Saint-Gobain NorProからのSS61138高表面積(HSA)シリカ触媒担体である。Saint-Gobain NorPro SS61138シリカは、約250m/gの表面積;約12nmの中央細孔径;水銀侵入ポロシメトリーによって測定して約1.0cm/gの平均細孔容積;及び約0.352g/cm(22 lb/ft)の充填密度;の約95重量%の高表面積シリカを含む。
【0045】
[0050]好ましいシリカ/アルミナ担体材料は、約5mmの見かけ直径、約0.562g/mLの密度、約0.583g−HO/g−担体の吸水度、約160〜175m/gの表面積、及び約0.68mL/gの細孔容積を有するKA-160(Sud Chemie)シリカ球状体である。
【0046】
[0051]酢酸の水素化の1つの可能性のある副生成物は酢酸エチルである。本発明によれば、担体は好ましくは、酢酸エチルの製造を抑えて、触媒組成物をエタノールに対して高度に選択性にするのに有効な担体変性剤を含む。而して、触媒組成物は好ましくは、酢酸エチル及びアルカンのような非常に望ましくない副生成物への酢酸の転化に対して低い選択率を有する。担体の酸性度は、好ましくは、酢酸の4%未満、好ましくは2%未満、最も好ましくは約1%未満が、メタン、エタン、及び二酸化炭素に転化するように制御する。更に、担体の酸性度は、上記で議論したように焼成シリカ又は高純度シリカを用いることによって制御することができる。
【0047】
[0052]一態様においては、変性担体は、担体材料、及び、担体変性剤として、例えばシリカ中の残留アルミナに起因するブレンステッド酸部位を中和するのに有効な量の少なくとも部分的に結晶質のカルシウムメタシリケートを含むカルシウムメタシリケートを含む。好ましくは、カルシウムメタシリケート、例えば結晶質のカルシウムメタシリケートは、担体が実質的に中性又は塩基性であることを確保するために、触媒の全重量を基準として1重量%〜10重量%、例えば4〜8重量%、5重量%〜7重量%、又は約6重量%の量で存在させる。
【0048】
[0053]担体変性剤、例えば結晶質のカルシウムメタシリケートは、担体材料、例えばシリカ質担体材料よりも低い表面積を有する傾向がある可能性があるので、一態様においては、担体材料に、担体変性剤を含ませるこの効果を中和するために、少なくとも約80重量%、例えば少なくとも約85重量%、又は少なくとも約90重量%の高表面積シリカを含むシリカ質担体材料を含ませる。
【0049】
[0054]したがって、理論には縛られないが、担体表面上に存在する酸部位を中和する効果;又は表面を熱的に安定化する効果;のいずれかを有する非揮発性担体変性剤を導入することにより本発明の触媒のための酸化物担体材料を変性及び安定化することによって、エタノールへの選択率、長い触媒寿命、又は両方の所望の向上を達成することが可能になる。一般に、それらの最も安定な原子価状態の酸化物をベースとする担体変性剤は低い蒸気圧を有し、したがって低い揮発性を有するか、或いはどちらかというと非揮発性である。したがって、(i)担体材料の表面上に存在する酸性部位を中和するか;(ii)水素化温度下での形状変化に対する抵抗性を与えるか;又は(iii)両方を行う;のに十分な量の担体変性剤を与えることが好ましい。理論には縛られないが、形状変化に対する抵抗性を与えるとは、例えば、焼結、結晶粒成長、粒界移動、欠陥及び転位の移動、塑性変形、及び/又は微細構造における他の温度誘発変化に対する抵抗性を与えることを指す。
【0050】
[0055]自動車用触媒及びディーゼル煤煙捕捉装置と同様のモノリシック担体上の洗浄被覆内に含侵するのではなく、本発明の触媒は、好ましくは、任意の種々の形状を有する時にはビーズ又はペレットとも呼ばれる粒子に成形し、多数のこれらの成形触媒を反応器内に配置することによって触媒金属を反応区域に与えるという意味では、本発明の触媒は粒子状触媒である。通常見られる形状としては、押出物の表面を画定する生成元が平行線であるという意味で一般的な円筒の形態をとる任意断面の押出物が挙げられる。上記に示すように、ペレット、押出物、球状体、噴霧乾燥微小球体、環、ペンタリング形、三葉形、四葉形、及び多葉形状などの任意の好都合な粒子形状を用いることができるが、円筒形のペレットが好ましい。通常は、形状は、蒸気相を触媒試薬と有効に接触させる認められる能力に基づいて実験的に選択される。
【0051】
[0056]本発明の触媒の1つの有利性は、エタノールを製造するための触媒の安定性又は活性である。したがって、本発明の触媒は、特にエタノールの製造における酢酸を水素化するための商業的な規模の工業用途において用いることが完全に可能であることを認めることができる。特に、触媒活性が、触媒の使用100時間あたり6%未満、例えば100時間あたり3%未満、又は100時間あたり1.5%未満の生産性の減少率を有するような安定度を達成することができる。好ましくは、生産性の減少率は、触媒が定常状態条件を達成した時点で求める。
【0052】
[0057]一態様においては、触媒担体が高純度シリカを含み、担体変性剤として少なくとも部分的に結晶質のカルシウムメタシリケートを用いると、触媒活性によって、酢酸蒸気の存在下、125℃〜350℃の温度で、2500hr−1より高い空間速度における商業的に実行可能な運転の触媒の生産性及び選択性を、1週間以上、2週間以上、及び更には数ヶ月に延びた長期間に延ばすか又は安定化させることができる。
【0053】
[0058]変性担体材料に加えて、本発明の触媒は、担体上の、第1の金属、及び場合によっては第2の金属、第3の金属、又は更なる金属の1以上を更に含む。これに関し、「第1」、「第2」、「第3」等の数値用語は、「金属」の語を修飾するように用いる場合には、それぞれの金属が互いと異なることを示すように意図される。触媒中に存在する全ての担持金属の合計重量は、好ましくは0.1〜25重量%、例えば0.1〜15重量%、又は0.1重量%〜10重量%である。本明細書の目的に関しては、他に示さない限りにおいて、重量%は金属及び担体を含む触媒の全重量を基準とする。触媒中の1種類又は複数の金属は、1種類以上の金属酸化物の形態で存在させることができる。触媒中の1種類又は複数の金属の重量%を求める目的のためには、金属に結合している酸素の重量は無視する。
【0054】
[0059]第1の金属は、第IB族、第IIB族、第IIIB族、第IVB族、第VB族、第VIB族、第VIIB族、又は第VIII族遷移金属、ランタニド金属、アクチニド金属、或いは第IIIA族、第IVA族、第VA族、又は第VIA族のいずれかからの金属であってよい。好ましい態様においては、第1の金属は、銅、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、チタン、亜鉛、クロム、レニウム、モリブデン、及びタングステンからなる群から選択される。好ましくは、第1の金属は、白金、パラジウム、コバルト、ニッケル、及びルテニウムからなる群から選択される。より好ましくは、第1の金属は白金及びパラジウムから選択される。第1の金属が白金を含む場合には、白金の利用可能性のために、触媒は、5重量%未満、例えば3重量%未満、又は1重量%未満の量の白金を含むことが好ましい。
【0055】
[0060]上記に示すように、触媒は、場合によっては、通常は促進剤として機能する第2の金属を更に含む。存在する場合には、第2の金属は、好ましくは、銅、モリブデン、スズ、クロム、鉄、コバルト、バナジウム、タングステン、パラジウム、白金、ランタン、セリウム、マンガン、ルテニウム、レニウム、金、及びニッケルからなる群から選択される。より好ましくは、第2の金属は、銅、スズ、コバルト、レニウム、及びニッケルからなる群から選択される。より好ましくは、第2の金属はスズ及びレニウムから選択される。
【0056】
[0061]触媒が2種類以上の金属を含む場合には、1つの金属は促進剤金属として機能させることができ、他の金属は主金属である。例えば、白金/スズ触媒を用いる場合には、白金は主金属と考えることができ、スズは促進剤金属と考えることができる。便宜上のために、本明細書においては、第1の金属を主触媒と、第2の金属(及び場合によって用いる複数の金属)を1種類又は複数の促進剤と呼ぶ。これは、触媒活性の基本的なメカニズムを示すものと捉えるべきではない。
【0057】
[0062]触媒が2種類以上の金属、例えば第1及び第2の金属を含む場合には、第1の金属は、場合によっては、0.1〜10重量%、例えば0.1〜5重量%、又は0.1〜3重量%の量で触媒中に存在する。第2の金属は、好ましくは、0.1〜20重量%、例えば0.1〜10重量%、又は0.1〜5重量%の量で存在する。2種類以上の金属を含む触媒に関しては、2種類以上の金属は互いと合金化することができ、或いは非合金化金属溶液又は混合物を構成することができる。
【0058】
[0063]好ましい金属比は、触媒において用いる金属によって多少変化する可能性がある。幾つかの態様においては、第1の金属と第2の金属とのモル比は、好ましくは、10:1〜1:10、例えば4:1〜1:4、2:1〜1:2、1.5:1〜1:1.5、又は1.1:1〜1:1.1である。驚くべきことに且つ予期しなかったことに、白金/スズ触媒に関して、図1A、1B、及び1Cに示すように、高い選択率、転化率、及び生産性で酢酸からエタノールを形成するためには、0.4:0.6〜0.6:0.4のオーダー(又は約1:1)の白金とスズとのモル比が特に好ましいことが発見された。エタノールへの選択率は、本明細書に記載する変性担体を導入することによって更に向上させることができる。
【0059】
[0064]異なる金属を含む触媒に関しては1:1以外のモル比が好ましい可能性がある。例えばレニウム/パラジウム触媒を用いる場合には、パラジウム装填量よりも高いレニウム装填量において、より高いエタノール選択率を達成することができる。図2A、2B、及び2Cにおいて示すように、選択率、転化率、及び生産性の観点でエタノールを形成するために好ましいレニウムとパラジウムとのモル比は、0.7:0.3〜0.85:0.15のオーダー、又は約0.75〜0.25(3:1)である。ここでも、エタノールへの選択率は、本明細書に記載する変性担体を導入することによって更に向上させることができる。
【0060】
[0065]触媒が第3の金属を含む態様においては、第3の金属は、第3の金属が第1及び第2の金属と異なる限りにおいては、第1又は第2の金属に関連して上記に列記した任意の金属から選択することができる。好ましい形態においては、第3の金属は、コバルト、パラジウム、ルテニウム、銅、亜鉛、白金、スズ、及びレニウムからなる群から選択される。より好ましくは、第2の金属は、コバルト、パラジウム、及びルテニウムから選択される。存在する場合には、第3の金属の全重量は、好ましくは0.05〜4重量%、例えば0.1〜3重量%、又は0.1〜2重量%である。
【0061】
[0066]一態様においては、触媒は第1の金属を含み、更なる金属を含まない(第2の金属等を含まない)。この態様においては、第1の金属は、好ましくは0.1〜10重量%の量で存在する。他の態様においては、触媒は担体上の2種類以上の金属の組み合わせを含む。本発明のこの態様の種々の触媒に関する具体的な好ましい金属の組成を下表1に与える。触媒が第1の金属及び第2の金属を含む場合には、第1の金属は好ましくは0.1〜5重量%の量で存在し、第2の金属は好ましくは0.1〜5重量%の量で存在する。触媒が第1の金属、第2の金属、及び第3の金属を含む場合には、第1の金属は好ましくは0.1〜5重量%の量で存在し、第2の金属は好ましくは0.1〜5重量%の量で存在し、第3の金属は好ましくは0.1〜2重量%の量で存在する。1つの代表的な態様においては、第1の金属は白金であり、0.1〜5重量%の量で存在し、第2の金属は0.1〜5重量%の量で存在し、第3の金属は、存在する場合には好ましくは0.05〜2重量%の量で存在する。
【0062】
【表1】

【0063】
[0067]他の形態においては、触媒組成物は、式:
PtPdReSnCaSi
[0068](式中、(i)v:yの比は3:2〜2:3の間であり、及び/又は(ii)w:xの比は1:3〜1:5の間である)
によって表すことができる。而して、この態様においては、触媒に、(i)白金とスズ;(ii)パラジウムとレニウム;又は(iii)白金、スズ、パラジウム、及びレニウム;を含ませることができる。p及びqは、好ましくはp:qが1:20〜1:200であるように選択され、rは原子価の要件を満足するように選択され、そしてv及びwは、
【0064】
【化2】

【0065】
となるように選択される。
[0069]この形態においては、プロセス条件、並びにv、w、x、y、p、q、及びrの値は、好ましくは、転化した酢酸の少なくとも70%、例えば少なくとも80%、又は少なくとも90%がエタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される化合物に転化し、一方、酢酸の4%未満がアルカンに転化するように選択する。より好ましくは、プロセス条件、並びにv、w、x、y、p、q、及びrの値は、好ましくは、転化した酢酸の少なくとも70%、例えば少なくとも80%、又は少なくとも90%がエタノールに転化し、一方、酢酸の4%未満がアルカンに転化するように選択する。本発明の多くの態様においては、pは、存在する全ての少量の不純物を考慮して、担体の表面が活性のブレンステッド酸部位を実質的に含まないことを確保するように選択する。
【0066】
[0070]他の形態においては、触媒組成物は、
PtPdReSnAlCaSi
[0071](式中、(i)vとyは3:2〜2:3の間であり;及び/又は(ii)wとxは1:3〜1:5の間である)
を含む。p及びz、及び存在するアルミニウム及びカルシウム原子の相対位置は、好ましくは、その表面上に存在するブレンステッド酸部位が担体変性剤、例えば少なくとも部分的に結晶質のカルシウムメタシリケートを含むカルシウムメタシリケートによって中和されるように制御され;p及びqは、p:qが1:20〜1:200であるように選択され;rは原子価の要件を満足するように選択され、そして、v及びwは
【0067】
【化3】

【0068】
となるように選択される。
[0072]好ましくは、この形態においては、触媒は少なくとも約100m/g、例えば少なくとも約150m/g、少なくとも約200m/g、又は最も好ましくは少なくとも約250m/gの表面積を有し、z及びp≧zである。本発明の多くの態様においては、pはまた、存在する全ての少量の不純物を考慮して、担体の表面が、エタノールの酢酸エチルへの転化を促進すると考えられる活性のブレンステッド酸部位を実質的に含まないことを確保するように選択する。而して、上述の態様と同様に、プロセス条件、並びにv、w、x、y、p、q、及びrの値は、好ましくは、転化した酢酸の少なくとも70%、例えば少なくとも80%、又は少なくとも90%がエタノールに転化し、一方、酢酸の4%未満がアルカンに転化するように選択する。
【0069】
[0073]本発明の触媒組成物は、好ましくは変性担体の金属含侵によって形成するが、化学蒸着のような他のプロセスを用いることもできる。通常は、金属を含侵する前に、例えば担体材料に担体変性剤を含侵させる工程によって変性担体を形成することが望ましい。酢酸塩又は硝酸塩のような担体変性剤の前駆体を用いることができる。一形態においては、担体変性剤、例えば少なくとも部分的に結晶質のCaSiOを、担体材料、例えばSiOに加える。例えば、固体の担体変性剤を脱イオン水に加え、次にコロイド状の担体材料をそれに加えることによって、担体変性剤の水性懸濁液を形成することができる。得られる混合物を撹拌し、例えば、担体変性剤溶液の体積と同等の細孔容積を有する担体材料に担体変性剤を加える初期湿潤法を用いて更なる担体材料に加えることができる。次に、毛管作用によって担体変性剤を担体材料中の細孔中に引き込む。次に、乾燥及びか焼して担体変性剤溶液内の水及び揮発性成分を除去して、担体変性剤を担体材料上に堆積させることによって、変性担体を形成することができる。乾燥は、例えば、50℃〜300℃、例えば100℃〜200℃、又は約120℃の温度において、場合によっては1〜24時間、例えば3〜15時間、又は6〜12時間の間行うことができる。変性担体は、形成されたら、例えば0.2〜0.4cmの範囲の平均粒径を有する粒子を形成するのに望ましい寸法分布を有する粒子に成形する。担体は、押出し、ペレット化、錠剤化、プレス、粉砕、又は所望の寸法分布に篩別することができる。担体材料を所望の寸法分布に成形する任意の公知の方法を用いることができる。成形した変性担体のか焼は、例えば、250℃〜800℃、例えば300〜700℃、又は約500℃の温度において、場合によっては1〜12時間、例えば2〜10時間、4〜8時間、又は約6時間の間行うことができる。
【0070】
[0074]好ましい触媒の製造方法においては、金属を変性担体上に含侵させる。好ましくは、対象の第1の金属を含む水溶性化合物又は水分散性化合物/コンプレックスのような第1の金属の前駆体(第1の金属前駆体)を金属含侵工程において用いる。用いる金属前駆体によって、水、氷酢酸、又は有機溶媒のような溶媒を用いることが好ましい可能性がある。また好ましくは、第2の金属も第2の金属前駆体から変性担体中に含侵させる。所望の場合には、第3の金属又は第3の金属前駆体も変性担体中に含侵させることができる。
【0071】
[0075]含侵は、好ましくは懸濁液又は溶液中の第1の金属前駆体及び/又は第2の金属前駆体及び/又は更なる金属前駆体のいずれか又は両方を、乾燥した変性担体に添加、場合によっては滴加することによって行う。次に、溶媒を除去するために、得られる混合物を例えば場合によっては真空下で加熱することができる。次に、場合によっては傾斜加熱を用いて更なる乾燥及びか焼を行って最終触媒組成物を形成することができる。加熱及び/又は真空の適用によって、1種類又は複数の金属前駆体の1種類又は複数の金属が、好ましくはそれらの元素状(又は酸化物)形態に分解する。幾つかの場合においては、触媒を使用状態に配置し、か焼し、例えば運転中に遭遇する高温にかけるまでは、液体キャリア、例えば水の除去を完了させることはできない。か焼工程中か又は少なくとも触媒の初期使用段階中において、かかる化合物は、金属又はその触媒活性酸化物の触媒活性形態に転化する。
【0072】
[0076]変性担体中への第1及び第2の金属(及び場合によっては更なる金属)の含侵は、同時(共含侵)か又は逐次的に行うことができる。同時含侵においては、第1及び第2の金属前駆体(及び場合によっては更なる金属前駆体)を混合し、一緒に変性担体に加え、次に乾燥及びか焼して最終触媒組成物を形成する。同時含侵を用いる場合、2つの前駆体が所望の溶媒、例えば水と非混和性である場合においては、分散剤、界面活性剤、又は可溶化剤、例えばシュウ酸アンモニウムを用いて、第1及び第2の金属前駆体の分散又は可溶化を促進させることが望ましい可能性がある。
【0073】
[0077]逐次含侵においては、まず第1の金属前駆体を変性担体に加え、次に乾燥及びか焼し、次に得られる材料に第2の金属前駆体を含侵させ、次に更なる乾燥及びか焼工程を行って最終触媒組成物を形成する。更なる金属前駆体(例えば第3の金属前駆体)は、第1及び/又は第2の金属前駆体と一緒か、或いは別の第3の含侵工程のいずれかで加えて、次に乾燥及びか焼することができる。勿論、所望の場合には、逐次含侵と同時含侵の組み合わせを用いることができる。
【0074】
[0078]好適な金属前駆体としては、例えば、金属ハロゲン化物、アミン可溶化金属水酸化物、金属硝酸塩、又は金属シュウ酸塩が挙げられる。例えば、白金前駆体及びパラジウム前駆体に関する好適な化合物としては、クロロ白金酸、クロロ白金酸アンモニウム、アミン可溶化水酸化白金、硝酸白金、テトラアンモニウム硝酸白金、塩化白金、シュウ酸白金、硝酸パラジウム、テトラアンモニウム硝酸パラジウム、塩化パラジウム、シュウ酸パラジウム、塩化ナトリウムパラジウム、及び塩化ナトリウム白金が挙げられる。一般に、経済的な見地及び環境的な見地の両方から、白金の可溶性化合物の水溶液が好ましい。一態様においては、第1の金属前駆体は金属ハロゲン化物ではなく、実質的に金属ハロゲン化物を含まない。理論には縛られないが、かかる非(金属ハロゲン化物)前駆体はエタノールへの選択性を増加させると考えられる。特に好ましい白金への前駆体は、硝酸白金アンモニウム:Pt(NH(NOである。
【0075】
[0079]一形態においては、まず「促進剤」金属又は金属前駆体、次に「主」又は「主要」金属又は金属前駆体を変性担体に加える。勿論、逆の添加順も可能である。促進剤金属に関する代表的な前駆体としては、金属ハロゲン化物、アミン可溶化金属水酸化物、金属硝酸塩、又は金属シュウ酸塩が挙げられる。上記に示すように、逐次の態様においては、好ましくはそれぞれの含侵工程の後に乾燥及びか焼を行う。上記に記載の促進二元金属触媒の場合においては、促進剤金属の添加から主発して、次に2つの主要金属、例えばPt及びSnの共含侵を含む第2の含侵工程を行う逐次含侵を用いることができる。
【0076】
[0080]一例として、SiO上のPtSn/CaSiOは、まずSiO上にCaSiO、例えば結晶質のCaSiOを含侵させ、次にPt(NH(NO及びSn(AcO)を共含侵させることによって製造することができる。ここでも、それぞれの含侵工程の後に乾燥及びか焼工程を行うことができる。殆どの場合において、含侵は金属硝酸塩溶液を用いて行うことができる。しかしながら、か焼によって金属イオンを放出する種々の他の可溶性塩を用いることもできる。含侵のために好適な他の金属塩の例としては、過レニウム酸溶液のような金属酸、金属シュウ酸塩などが挙げられる。実質的に純粋なエタノールを製造する場合には、白金族金属に関するハロゲン化前駆体の使用を避け、その代わりに窒素を含有するアミン及び/又は硝酸塩ベースの前駆体を用いることが一般的に好ましい。
【0077】
[0081]本発明の一態様にしたがって酢酸を水素化してエタノールを形成するプロセスは、当業者に容易に認められるように、固定床反応器又は流動床反応器を用いて種々の構成で実施することができる。本発明の多くの態様においては、「断熱」反応器を用いることがき、即ち、熱を加えるか又は除去するために反応区域を通る内部配管を用いる必要性は少しかないか又は全くない。或いは、熱伝達媒体を備えたシェルアンドチューブ反応器を用いることができる。多くの場合においては、反応区域は、単一の容器内か、或いはその間に熱交換器を有する一連の複数の容器内に収容することができる。断熱反応器の構成は通常はチューブアンドシェルの構成よりもはるかに設備コストが少ないので、本発明の触媒を用いる酢酸還元プロセスを断熱反応器内で行うことができることは重要であると考えられる。
【0078】
[0082]通常は、触媒は、例えば、通常は蒸気形態の反応物質が触媒の上又は触媒を通して通過する細長いパイプ又はチューブの形状の固定床反応器内で用いる。所望の場合には、流動床又は沸騰床反応器のような他の反応器を用いることができる。幾つかの場合においては、水素化触媒を不活性材料と組み合わせて用いて、触媒床を通る反応物質流の圧力降下、及び反応物質化合物と触媒粒子との接触時間を調節することができる。
【0079】
[0083]水素化反応は液相又は蒸気相のいずれかで行うことができる。好ましくは、反応は次の条件下において蒸気相で行う。反応温度は、125℃〜350℃、例えば200℃〜325℃、225℃〜約300℃、又は250℃〜約300℃の範囲であってよい。圧力は、10KPa〜3000KPa(約0.1〜30気圧)、例えば50KPa〜2300KPa、又は100KPa〜1500KPaの範囲であってよい。反応物質は、500hr−1より高く、例えば1000hr−1より高く、2500hr−1より高く、又は更には5000hr−1より高い気体空間速度(GHSV)で反応器に供給することができる。範囲に関しては、GHSVは50hr−1〜50,000hr−1、例えば500hr−1〜30,000hr−1、1000hr−1〜10,000hr−1、又は1000hr−1〜6500hr−1の範囲であってよい。
【0080】
[0084]水素化は場合によっては選択されるGHSVにおいて触媒床を横切る圧力降下を克服するのに丁度十分な圧力において行うが、より高い圧力を使用することに対する制約はなく、例えば5000hr−1又は6,500hr−1の高い空間速度においては反応器床を通る相当な圧力降下に遭遇する可能性があると理解される。
【0081】
[0085]反応は、1モルのエタノールを製造するために酢酸1モルあたり2モルの水素を消費するが、供給流中の水素と酢酸との実際のモル比は、約100:1〜1:100、例えば50:1〜1:50、20:1〜1:2、又は12:1〜1:1で変化させることができる。最も好ましくは、水素と酢酸とのモル比は4:1より大きく、例えば5:1より大きく、又は10:1より大きい。
【0082】
[0086]接触又は滞留時間も、酢酸の量、触媒、反応器、温度、及び圧力のような変数によって広範囲に変化させることができる。通常の接触時間は、固定床以外の触媒系を用いる場合には1秒以下乃至数時間超の範囲であり、好ましい接触時間は、少なくとも蒸気相反応に関しては0.1〜100秒、例えば0.3〜80秒、又は0.4〜30秒である。
【0083】
[0087]酢酸は反応温度において気化させることができ、次に気化した酢酸を、非希釈状態か、或いは窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などのような比較的不活性のキャリアガスによって希釈した状態で、水素と一緒に供給することができる。蒸気相での反応運転のためには、温度は酢酸の露点より低くならないように系内で制御しなければならない。
【0084】
[0088]特に、本発明の触媒を用いると、酢酸の有利な転化率、並びにエタノールへの有利な選択率及び生産性を達成することができる。本発明の目的のためには、転化率という用語は、酢酸以外の化合物に転化する供給流中の酢酸の量を指す。転化率は、供給流中の酢酸を基準とするモル%として表す。酢酸(AcOH)の転化率は、ガスクロマトグラフィー(GC)のデータから次式:
【0085】
【化4】

【0086】
を用いて計算する。
[0089]本発明の目的のためには、転化率は少なくとも10%、例えば少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%にすることができる。少なくとも80%、又は少なくとも90%のような高い転化率を有する触媒が望ましいが、エタノールに関する高い選択率においては低い転化率を許容することができる。勿論、多くの場合においては、適当な再循環流又はより大きな反応器の使用によって転化率を補償することができるが、劣った選択率を補償することはより困難であることがよく理解されている。
【0087】
[0090]「選択率」は、転化した酢酸を基準とするモル%として表す。酢酸から転化するそれぞれの化合物は独立した選択率を有し、選択率は転化率とは独立していることを理解すべきである。例えば、転化した酢酸の50モル%がエタノールに転化する場合には、エタノール選択率を50%と言う。エタノール(EtOH)への選択率は、ガスクロマトグラフィー(GC)のデータから次式:
【0088】
【化5】

【0089】
を用いて計算する。
[0091]式中、「C全ミリモル(GC)」は、ガスクロマトグラフによって分析される全ての生成物からの炭素の全ミリモル数を指す。
【0090】
[0092]本発明の目的のためには、触媒のエトキシレートへの選択率は少なくとも60%、例えば少なくとも70%、又は少なくとも80%である。ここで用いる「エトキシレート」という用語は、具体的には、エタノール、アセトアルデヒド、及び酢酸エチルの化合物を指す。好ましくは、エタノールへの選択率は少なくとも80%、例えば少なくとも85%、又は少なくとも88%である。本発明の幾つかの態様においては、メタン、エタン、及び二酸化炭素のような望ましくない生成物への低い選択率を有することも望ましい。これらの望ましくない生成物への選択率は4%未満、例えば2%未満、又は1%未満である。好ましくは、水素化中においては検出できる量のこれらの望ましくない生成物は形成されない。本発明の幾つかの態様においては、アルカンの形成は低く、通常は触媒上を通過する酢酸の2%未満、しばしば1%未満、多くの場合においては0.5%未満が、燃料として以外の価値を少ししか有しないアルカンに転化する。
【0091】
[0093]生産性とは、1時間あたり、用いた触媒1kgを基準とする水素化中に形成される具体的な生成物、例えばエタノールのグラム数を指す。本発明の一態様においては、触媒1kgあたり1時間あたり少なくとも500g、例えば少なくとも600g/kg/時、少なくとも700g/kg/時、少なくとも750g/kg/時、少なくとも800g/kg/時、少なくとも850g/kg/時、少なくとも900g/kg/時、又は少なくとも1,000g/kg/時のエタノールの生産性が好ましい。範囲に関しては、生産性は、好ましくは触媒1kgあたり1時間あたり500〜3,000g、例えば700〜2,500、又は750〜2,000gのエタノールである。
【0092】
[0094]本発明の幾つかの触媒は、少なくとも10%の酢酸の転化率、少なくとも80%のエタノールへの選択率、及び触媒1kgあたり1時間あたり少なくとも200gのエタノールの生産性を達成することができる。本発明の触媒の部分集合は、少なくとも50%の酢酸の転化率、少なくとも80%のエタノールへの選択率、4%未満の望ましくない化合物への選択率、及び触媒1kgあたり1時間あたり少なくとも600gのエタノールの生産性を達成することができる。
【0093】
[0095]水素化プロセスにおいて用いる原材料は、天然ガス、石油、石炭、バイオマスなどをはじめとする任意の好適な源から誘導することができる。メタノールカルボニル化、アセトアルデヒドの酸化、エチレンの酸化、酸化発酵、及び嫌気発酵によって酢酸を製造することは周知である。石油及び天然ガスの価格は変動してより高価か又はより安価になるので、代替の炭素源から酢酸並びにメタノール及び一酸化炭素のような中間体を製造する方法に益々興味が持たれている。特に、石油が天然ガスと比べて比較的高価である場合には、任意の入手できる炭素源から誘導される合成ガス(シンガス)から酢酸を製造することが有利になる可能性がある。例えば、米国特許6,232,352(その開示事項は参照として本明細書中に包含する)においては、酢酸を製造するためにメタノールプラントを改造する方法が教示されている。メタノールプラントを改造することによって、新しい酢酸プラントのためのCO製造に関連する大きな設備コストが大きく減少するか又は大きく排除される。シンガスの全部又は一部をメタノール合成ループから迂回させ、分離器ユニットに供給してCO及び水素を回収し、これを次に酢酸を製造するために用いる。酢酸に加えて、このプロセスを用いて水素を製造することもでき、これを本発明に関して用いることができる。
【0094】
[0096]米国特許RE35,377(これも参照として本明細書中に包含する)においては、石油、石炭、天然ガス、及びバイオマス材料のような炭素質材料を転化させることによってメタノールを製造する方法が与えられている。このプロセスは、固体及び/又は液体の炭素質材料を水素添加ガス化してプロセスガスを得て、これを追加の天然ガスで蒸気熱分解して合成ガスを形成することを含む。シンガスをメタノールに転化させ、これを酢酸にカルボニル化することができる。この方法では更に、上述のように本発明に関して用いることができる水素が生成する。米国特許5,821,111及び米国特許6,685,754においては、ガス化によって廃バイオマスを合成ガスに転化させる方法が開示されており、これらの開示事項は参照として本明細書中に包含する。
【0095】
[0097]或いは、米国特許6,657,078(その全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されている種類のメタノールカルボニル化ユニットのフラッシュ容器からの粗生成物として、蒸気形態の酢酸を直接回収することができる。粗蒸気生成物は、例えば、酢酸及び軽質留分を凝縮するか又は水を除去する必要なしに本発明のエタノール合成反応区域に直接供給することができ、これによって全体の処理コストが節約される。
【0096】
[0098]本発明の触媒を用いる水素化方法から得られるエタノールは、それ自体で燃料として用いることができ、或いはその後に、ポリエチレン、酢酸ビニル、及び/又は酢酸エチル、或いは任意の広範囲の他の化学生成物に転化させることができるので重要な商業的供給材料であるエチレンに転化させることができる。例えば、エチレンは数多くのポリマー及びモノマー生成物に転化させることもできる。エチレンへのエタノールの脱水を下記に示す。
【0097】
【化6】

【0098】
[0099]エタノールを脱水するために、米国公開2010/0030001及び2010/0030002(これらの全ての内容及び開示事項は参照として本明細書中に包含する)に記載されているもののような任意の公知の脱水触媒を用いることができる。例えば、脱水触媒としてゼオライト触媒を用いることができる。少なくとも約0.6nmの細孔径を有する任意のゼオライトを用いることができるが、好ましいゼオライトとしては、モルデナイト、ZSM−5、ゼオライトX、及びゼオライトYからなる群から選択される脱水触媒が挙げられる。ゼオライトXは例えば米国特許2,882,244に、ゼオライトYは米国特許3,130,007(これらの全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されている。
【0099】
[0100]エタノールはまた、燃料として、医薬品、洗浄剤、殺菌剤、水素化輸送又は消費において用いることもできる。エタノールはまた、酢酸エチル、アルデヒド、及びより高級のアルコール、特にブタノールを製造するための原材料として用いることもできる。更に、本発明にしたがってエタノールを製造するプロセス中に形成される酢酸エチルのような任意のエステルは、酸触媒と更に反応させて更なるエタノール及び酢酸を形成することができ、これを水素化プロセスに再循環することができる。
【0100】
[0101]下記において、例示及び例証のみの目的の数多くの態様を参照して本発明を詳細に記載する。特許請求の範囲に示される本発明の精神及び範囲内の特定の態様に対する修正は当業者に容易に明らかになるであろう。
【0101】
[0102]以下の実施例は、本発明方法において用いる種々の触媒を製造するために用いる手順を記載する。
【実施例】
【0102】
[0103]まず、それぞれが同等のPt/Sn装填量及び比を有するCaSiO変性SiO担体上の5種類のPt/Sn触媒を形成した。次に、得られた触媒を実施例1〜5において酢酸の水素化において試験し、エタノール生産性を求めた。実施例1で用いたSiO担体は結晶質のCaSiO(約2〜5%の結晶度)で変性し、一方、実施例2〜5の担体はアモルファスのCaSiOで変性した。酢酸の反応供給液を蒸発させ、水素及びキャリアガスとしてのヘリウムと一緒に反応器に充填した。得られたエタノール生産性を図3に示す。
【0103】
[0104]示されるように、結晶質のCaSiOを含むCaSiOを用いた実施例1は、驚くべきことに且つ予期しなかったことに、850g/kg/時の優れたエタノールの生産性を示した。これに対して、全て従来のアモルファスのCaSiOを用いた実施例2〜5は、最大で780g/kg/時のエタノール生産性を示した。これは、従来の変性担体触媒に対して約10%のエタノール生産性の増加である。
【0104】
[0105]本発明を詳細に記載したが、発明の精神及び範囲内の修正は当業者に容易に明らかであろう。上記の議論、当該技術における関連する知識、並びに背景及び詳細な説明に関連して上記で議論した参照文献(それらの開示事項は全て参照として本明細書中に包含する)を考慮すると。更に、下記及び/又は特許請求の範囲において示す本発明の複数の形態並びに種々の態様及び種々の特徴の複数の部分を、完全か又は部分的に結合又は交換することができると理解すべきである。当業者に認められるように、種々の態様の上記の記載においては他の態様を示すこれらの態様を他の態様と適当に組み合わせることができる。更に、当業者であれば、上記の記載は例示のみの目的であり、本発明を限定することは意図しないことを認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属、シリカ質担体、及び少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤を含み、メタシリケート担体変性剤の少なくとも0.5重量%がXRDによって測定して結晶相である触媒。
【請求項2】
メタシリケート担体変性剤の0.5重量%〜5重量%が結晶相である、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも1重量%が結晶相である、請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも5重量%が結晶相である、請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも10重量%が結晶相である、請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも25重量%が結晶相である、請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも50重量%が結晶相である、請求項1に記載の触媒。
【請求項8】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも75重量%が結晶相である、請求項1に記載の触媒。
【請求項9】
少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤が、(i)アルカリ土類金属メタシリケート、(ii)アルカリ金属メタシリケート、(iii)第IIB族金属メタシリケート、(iv)第IIIB族金属メタシリケート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項10】
少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、及び亜鉛からなる群から選択される金属のメタシリケートから選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項11】
少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤がCaSiOを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項12】
少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤が触媒の全重量を基準として0.1重量%〜50重量%の量で存在する、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項13】
触媒が触媒1kgあたり1時間あたり少なくとも800gの酢酸の水素化におけるエタノールに関する生産性を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項14】
触媒が少なくとも80%のエタノールへの選択率を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項15】
第1の金属が、第IB族、第IIB族、第IIIB族、第IVB族、第VB族、第VIB族、第VIIB族、又は第VIII族遷移金属、ランタニド金属、アクチニド金属、或いは第IIIA族、第IVA族、第VA族、又は第VIA族のいずれかからの金属からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項16】
第1の金属が、銅、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、チタン、亜鉛、クロム、レニウム、モリブデン、及びタングステンからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項17】
第1の金属が触媒の全重量を基準として0.1〜25重量%の量で存在する、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項18】
シリカ質担体が触媒の全重量を基準として25重量%〜99重量%の量で存在する、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項19】
シリカ質担体が50m/g〜600m/gの表面積を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項20】
シリカ質担体が、シリカ、シリカ/アルミナ、カルシウムメタシリケート、焼成シリカ、高純度シリカ、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項21】
シリカ質担体が触媒の全重量を基準として1重量%未満のアルミニウムを含む、請求項20に記載の触媒。
【請求項22】
シリカ質担体が、触媒の全重量を基準として0.30重量%未満の酸化アルミニウム、酸化チタン、及び酸化鉄の組み合わせを含む、請求項20に記載の触媒。
【請求項23】
第1の金属と異なる第2の金属を更に含む、請求項15に記載の触媒。
【請求項24】
第2の金属が、銅、モリブデン、スズ、クロム、鉄、コバルト、バナジウム、タングステン、パラジウム、白金、ランタン、セリウム、マンガン、ルテニウム、レニウム、金、及びニッケルからなる群から選択される、請求項23に記載の触媒。
【請求項25】
第2の金属が触媒の全重量を基準として0.1〜10重量%の量で存在する、請求項23に記載の触媒。
【請求項26】
第1の金属が白金であり、第2の金属がスズである、請求項23に記載の触媒。
【請求項27】
白金とスズとのモル比が0.4:0.6〜0.6:0.4である、請求項26に記載の触媒。
【請求項28】
第1の金属がパラジウムであり、第2の金属がレニウムである、請求項23に記載の触媒。
【請求項29】
レニウムとパラジウムとのモル比が0.7:0.3〜0.85:0.15である、請求項28に記載の触媒。
【請求項30】
触媒が第1の金属及び第2の金属と異なる第3の金属を更に含む、請求項23に記載の触媒。
【請求項31】
第3の金属が、コバルト、パラジウム、ルテニウム、銅、亜鉛、白金、スズ、及びレニウムからなる群から選択される、請求項30に記載の触媒。
【請求項32】
第3の金属が触媒の全重量を基準として0.05〜4重量%の量で存在する、請求項30に記載の触媒。
【請求項33】
触媒が、酢酸をエタノールに転化する際の水素化触媒として用いるのに好適であり、少なくとも10%の酢酸転化率を与える、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項34】
触媒が触媒の使用100時間あたり6%未満減少する生産性を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒。
【請求項35】
シリカ質担体材料;及び
メタシリケート担体変性剤;
を含み、メタシリケート担体変性剤の少なくとも0.5重量%がXRDによって測定して結晶相である水素化触媒用の担体。
【請求項36】
メタシリケート担体変性剤の0.5重量%〜5重量%が結晶相である、請求項35に記載の担体。
【請求項37】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも1重量%が結晶相である、請求項35に記載の担体。
【請求項38】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも5重量%が結晶相である、請求項35に記載の担体。
【請求項39】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも10重量%が結晶相である、請求項35に記載の担体。
【請求項40】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも25重量%が結晶相である、請求項35に記載の担体。
【請求項41】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも50重量%が結晶相である、請求項35に記載の担体。
【請求項42】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも75重量%が結晶相である、請求項35に記載の担体。
【請求項43】
(a)第1の金属への第1の金属前駆体を変性シリカ質担体と接触させて含侵担体を形成する工程、ここで変性シリカ質担体はシリカ質材料及び少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤を含み、少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤はXRDによって測定して少なくとも0.5重量%の結晶質メタシリケートを含み;そして
(b)含侵担体を、第1の金属を還元して触媒を形成するのに有効な条件下で加熱する工程;
を含む触媒の製造方法。
【請求項44】
メタシリケート担体変性剤の0.5重量%〜5重量%が結晶相である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも1重量%が結晶相である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも25重量%が結晶相である、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも75重量%が結晶相である、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
第2の金属への第2の金属前駆体を変性シリカ質担体と接触させることを更に含む、請求項43〜47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
(c)少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤又はその前駆体をシリカ質担体と接触させて変性担体前駆体を形成する工程;そして
(d)変性担体前駆体を、変性シリカ質担体を形成するのに有効な条件下で加熱する工程;
を更に含む、請求項43〜47のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
酢酸を、第1の金属、シリカ質担体、及び少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤を含む触媒の存在下で水素化することを含み、メタシリケート担体変性剤の少なくとも0.5重量%がXRDによって測定して結晶相であるエタノールの製造方法。
【請求項51】
メタシリケート担体変性剤の0.5重量%〜5重量%が結晶相である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
800g/kg/時より多いエタノールに関する生産性を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも1重量%が結晶相である、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも25重量%が結晶相である、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
メタシリケート担体変性剤の少なくとも75重量%が結晶相である、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
第1の金属が、第IB族、第IIB族、第IIIB族、第IVB族、第VB族、第VIB族、第VIIB族、又は第VIII族遷移金属、ランタニド金属、アクチニド金属、或いは第IIIA族、第IVA族、第VA族、又は第VIA族のいずれかからの金属からなる群から選択される、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
第1の金属が、銅、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、チタン、亜鉛、クロム、レニウム、モリブデン、及びタングステンからなる群から選択される、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
第1の金属が触媒の全重量を基準として0.1〜25重量%の量で存在する、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤が、(i)アルカリ土類金属メタシリケート、(ii)アルカリ金属メタシリケート、(iii)第IIB族金属メタシリケート、(iv)第IIIB族金属メタシリケート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、及び亜鉛のメタシリケートからなる群から選択される、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
少なくとも1種類のメタシリケート担体変性剤が触媒の全重量を基準として0.1重量%〜50重量%の量で存在する、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
シリカ質担体が触媒の全重量を基準として25重量%〜99重量%の量で存在する、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
シリカ質担体が50m/g〜600m/gの表面積を有する、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
シリカ質担体が、シリカ、シリカ/アルミナ、カルシウムメタシリケート、焼成シリカ、高純度シリカ、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
シリカ質担体が触媒の全重量を基準として1重量%未満のアルミニウムを含む、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
触媒が第1の金属と異なる第2の金属を更に含む、請求項56に記載の方法。
【請求項67】
第1の金属が白金であり、第2の金属がスズである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
白金とスズとのモル比が0.4:0.6〜0.6:0.4である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
第1の金属がパラジウムであり、第2の金属がレニウムである、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
レニウムとパラジウムとのモル比が0.7:0.3〜0.85:0.15である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
第2の金属が、銅、モリブデン、スズ、クロム、鉄、コバルト、バナジウム、タングステン、パラジウム、白金、ランタン、セリウム、マンガン、ルテニウム、レニウム、金、及びニッケルからなる群から選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項72】
第2の金属が触媒の全重量を基準として0.1〜10重量%の量で存在する、請求項66に記載の方法。
【請求項73】
触媒が第1及び第2の金属と異なる第3の金属を更に含む、請求項66に記載の方法。
【請求項74】
第3の金属が、コバルト、パラジウム、ルテニウム、銅、亜鉛、白金、スズ、及びレニウムからなる群から選択される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
第3の金属が触媒の全重量を基準として0.05〜4重量%の量で存在する、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
水素化中に酢酸の少なくとも10%が転化する、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
水素化が少なくとも80%のエタノールへの選択率を有する、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
水素化が4%未満のメタン、エタン、及び二酸化炭素、並びにこれらの混合物への選択率を有する、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
触媒が触媒の使用100時間あたり6%未満減少する生産性を有する、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
石炭源、天然ガス源、又はバイオマス源から酢酸を得る、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項81】
水素化中に得られるエタノールを脱水してエチレンを生成させることを含む、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
水素化を、気相中において、125℃〜350℃の温度、10KPa〜3000KPaの圧力、及び4:1より大きい水素と酢酸とのモル比で行う、請求項50〜55のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−518705(P2013−518705A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551388(P2012−551388)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2011/023379
【国際公開番号】WO2011/097246
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(500175107)セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション (77)
【Fターム(参考)】